JP3668020B2 - インクジェットプリンタヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを噴射して印刷するインクジェットプリンタに用いられるインクジェットプリンタヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より高速でかつ安定してインクを吐出することが可能なインクジェットプリンタヘッドが要求されており、このようなヘッドとして図5及び図6に示すものがあった。
【0003】
このインクジェットプリンタヘッドは、平行に整列する複数の隔壁1aを有し、各隔壁1a間をインク流路5としてなるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などの如き圧電部材からなる基板1と、この基板1の各隔壁1a上に接着され、インク流路5を塞ぐ天板14と、インク流路5の長手方向の一端に接着され、各インク流路5と連通するノズル孔7を備えたノズル板8とからなり、上記各隔壁1aの両側面には電極2を備え、これら電極2間に通電することで図6に示すように、圧電部材からなる隔壁1aにすべり振動を発生させて点線方向に変位させることによってインク流路5内の体積を変化させ、インク流路5内のインクをノズル孔7より吐出させて記録媒体上に印字または描画するようになっていた。なお、図5中、6はインク流路5内にインクを導くためのインク供給孔である。
【0004】
そして、従来、このようなインクジェットプリンタヘッドを形成するにあたり、天板14はセラミックス、ガラス、樹脂等の材質により形成され、また、天板14を隔壁1a上に接着する接着剤13として熱硬化性のエポキシ樹脂が使用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5及び図6に示すインクジェットプリンタヘッドにおいては、長時間にわたって駆動を続けると、隔壁1aの変位運動によって発熱現象が起こり、極端な場合は80℃程度にまで及ぶことがある。そして、このような発熱現象が発生すると、圧電部材からなる隔壁1a及び隔壁1aと接触するインクの温度が上昇し、この状態が長時間にわたると、隔壁1aを形成する圧電材料の電気的特性が低下したり、インク特性の劣化を招くといった課題があった。即ち、隔壁1aの温度が高くなると、変位運動特性を決める圧電部材のε(比誘電率)、Kp(電気機械結合係数)、d定数(変位距離)、即答性等の電気的特性が低下する結果、インク流路5内の体積変化が不安定となるため、一定量のインクをノズル孔7より安定して吐出することができず、また、インクにあっては、インクの流動特性(例えば粘度など)が変化したり、インク特性の劣化が起こることによって、インクの噴射特性が変化し、その結果、不安定なインク吐出挙動が発生するといった課題があった。しかも、熱によるインクの乾きが早くなり、ノズル孔7内にインク内容物が堆積して目詰まりを起こし、インクの吐出特性が不安定となるといった恐れもあった。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、隔壁の変位運動によってインク流路内の圧力を高めてインクを吐出するタイプのインクジェットプリンタヘッドにおいて、隔壁の変位運動によって発生する熱の放熱性を高め、長期にわたって安定したインクの吐出が可能なインクジェットプリンタヘッドを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、平行に整列した圧電材料からなる複数の隔壁を有し、該隔壁間をインク流路としてなる基板と、該基板の隔壁上に接着され、各インク流路を塞ぐ天板と、上記インク流路に連通するノズル孔を備えてなるノズル板とからなり、上記各隔壁に通電して変位させることによって上記インク流路内の体積を変化させ、インク流路に連通するノズル孔よりインクを吐出するインクジェットプリンタヘッドにおいて、上記天板を熱伝導率が20W/mK以上であるセラミックス又は金属により形成するとともに、上記天板と前記各隔壁とを平均粒子径が1μm以下の高熱伝導性セラミック粒子を70〜50体積%と、30〜50体積%の熱硬化性樹脂とが合計100体積%となる接着層によって接着したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記天板の放熱特性を高めるために、インク流路と反対側の表面を中心線平均粗さ(Ra)で10〜100μmとしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は本発明のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す斜視図、図2は図1のインク流路近傍の構造を部分的に拡大した断面図である。なお、従来例と同一部分については同一符号で示す。
【0011】
このインクジェットプリンタヘッドは、平行に整列する複数の隔壁1aを有し、各隔壁1a間をインク流路5としてなる圧電部材からなる基板1と、この基板1の各隔壁1a上に接着され、インク流路5を塞ぐ天板4と、インク流路5の長手方向の一端に接着され、各インク流路5と連通するノズル孔7を備えたノズル板8とからなり、上記各隔壁1aの両側面には電極2を備え、これらの電極2間に通電することで図2に示すように、圧電部材からなる隔壁1aにすべり振動を発生させて点線方向に変位させることによってインク流路5内の体積を変化させ、インク流路5内のインクをノズル孔7より吐出させて記録媒体上に印字または描画するようになっていた。なお、図1中、6はインク流路5内にインクを導くためのインク供給孔である。
【0012】
そして、本発明によれば、上記天板4と隔壁1aとを接着する接着層3が、熱硬化性樹脂と高熱伝導性セラミックス粒子(以下、セラミック粒子という)の複合材からなり、その割合はセラミック粒子を70〜50体積%に対して熱硬化性樹脂を30〜50体積%の範囲で含むことを特徴とする。
【0013】
このような接着層3に用いるセラミックス粒子としては、アルミナ粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化珪素粒子、炭化珪素粒子等を用いることができ、これらのセラミック粒子は隔壁1aの両側面に形成される電極2間の導通を防ぐのに必要な絶縁性を有するとともに、熱伝導率が20W/mK以上であることから、隔壁1aの変位運動に伴って発生する熱を効果的に天板4に逃がすことができる。また、接着成分の樹脂として熱硬化性樹脂を用いるのは、熱に対して比較的安定で、接着強度が強く、耐薬品性に優れ、インクに対する安定性が高いためである。このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ系、フェノール系、メラミン系、ポリエステル系等の樹脂を用いることができ、これらの中でもシール性(隣り合うインク流路5間の連通を防ぐ)、耐インク性、接着強度等の観点から、エポキシ系の樹脂が好適である。なお、エポキシ系の樹脂には一液系と、硬化剤と混合する二液系があるが、何れの系でも構わない。
【0014】
そして、接着層3の構成比率について、セラミックス粒子の割合を70〜50体積%としたのは、その割合が70体積%を越えると(熱硬化性樹脂の割合が30体積%未満)、セラミックス粒子間やセラミックス粒子と天板4との間、さらにはセラミックス粒子と隔壁1aとの間を接着する樹脂量が不足し、接着層3の接着強度が小さくなるために、隔壁1aが変位運動すると接着層3から離脱し、シール性が低下してインクが漏れたり、インク流路5内の圧力を高めることができず、インクを吐出することができなくなるからであり、逆にセラミックス粒子の割合が50体積%未満となると(熱硬化性樹脂が50体積%を越える)、熱硬化性樹脂内で互いのセラミック粒子が浮いた状態となり易く、セラミックス粒子同士が接触する割合が少なくなるため、接着層3の熱伝導特性が低下し、十分な放熱特性が得られないからである。
【0015】
なお、接着強度及び熱伝導特性の点でより好ましい接着層3の構成比率は、セラミックス粒子を70〜60体積%に対し、熱硬化性樹脂を30〜40体積%の割合で含んだものが良い。
【0016】
さらに、接着層3を構成するセラミックス粒子は、その粒子径が大きすぎると、セラミック粒子間やセラミック粒子と天板4、及びセラミック粒子と隔壁1aとの接触点が少なくなり、熱伝導特性が低下することになる。このことは、図4(a)(b)に示す模式図からも判るように、同じ接着面積に対し、天板4と隔壁1aとの間に粒径の大きなセラミック粒子10を含む接着層3でもって接合した図4(a)に示す構造では、天板4と隔壁1aとの間に粒径の小さなセラミック粒子11を含む接着層3でもって接合した図4(b)に示す構造と比較して、セラミック粒子10間、セラミック粒子10と天板4、及びセラミック粒子10と隔壁1a間における接触点が少なくなり、熱伝導の経路が制限されることが容易に推察できる。そして、このセラミック粒子の平均粒子径が1μmより大きくなると、接着層3の熱伝導特性が悪く、十分な放熱特性が得られなくなる。
【0017】
従って、高熱伝導性セラミックス粒子の平均粒子径は1μm以下が良く、また、接着層3の接着強度を考えると、好ましくは0.5μm 以下であることが良い。
【0018】
なお、接着層3の組成を測定する手段としては、XRD(X線回折分析)の同定により確認することができ、セラミック粒子及び熱硬化性樹脂の占める割合は、SEM画像による面分析によってセラミック粒子と熱硬化性樹脂の占める面積比を求め、体積比に換算することで確認することができ、さらにセラミック粒子の平均粒子径は、SEM画像に例えば3本の線を引き、線の総長さを線上に存在するセラミック粒子の数で割った値を平均粒子径とすれば良い。
【0019】
さらに、本発明によれば、インク流路5を塞ぐ天板4を熱伝導率が20W/mK以上を有するセラミックス又は金属により形成することを特徴とする。
【0020】
即ち、天板4の熱伝導率が20W/mK未満では、接着層3の熱伝導特性が高くても隔壁1aに発生する熱を外部に逃がすことができず、圧電材料からなる隔壁1a及びインクの温度上昇を防ぐことができないからである。20W/mK以上の熱伝導率を有するセラミックスとしては、窒化アルミニウム、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、マグネシア、サファイアを用いることができ、また、金属としては銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)等を用いることができ、好ましくは40W/mK以上の熱伝導率を有するものが良い。
【0021】
さらに、天板4からの放熱特性を高めるうえで、大気に曝される表面の面状態を若干粗すことが好ましく、天板4のインク流路5と反対側の表面が中心線平均粗さ(Ra)で10μm未満では、大気に曝される表面積が少ないために十分な放熱特性が得られない。その為、天板4のインク流路5と反対側の表面の面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で10μm以上とすることが良い。
【0022】
ただし、天板4の厚みは数mm程度であり、面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で100μmを越えると、特にセラミックスからなる天板4では曲げ強度が極端に低下する恐れがある。
【0023】
従って、天板4のインク流路5と反対側の表面の面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で10〜100μmの範囲とすることが良く、好ましくは中心線平均粗さ(Ra)で10〜50μmとすることが良い。
【0024】
次に、図1に示すインクジェットプリンタヘッドの製法について説明する。
【0025】
まず、複数の隔壁1aを有する基板1を製作するために、図3(a)に示すように、予め矢印方向に分極処理した圧電材料からなる基板1にダイシングソーによる機械加工やブラスト加工等によってインク流路5を構成する溝を形成し、この溝を区画する壁板を隔壁1aとする。このような基板1を形成する圧電材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、チタン酸鉛などを主成分とするものあるいはこれらの複合材料を用いることができる。また、隔壁1aを有する基板1を形成する他の手段としては、平板上に印刷にて圧電材料を順次積層して隔壁1aを形成したり、隔壁1aの形状をなす成形型に圧電材料のスラリーを流し込んで硬化させたものを平板上に接合したあと、一体的に焼結させても良い。なお、隔壁1aを別体で形成する場合には、隔壁1aに対して図3(a)のように鉛直方向に分極処理を施す必要がある。
【0026】
そして、隔壁1aの両側面に電極2として金、銀、パラジウム、銀−パラジウム、白金、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属膜を、蒸着、無電解メッキ、印刷焼き付け等の一般的な手法によって形成する。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、隔壁1aの頂部に前述した熱硬化性樹脂とセラミック粒子とからなる接着層3を10μm以下の範囲で均一にかつ薄く塗布する。接着層3を塗布する方法としては、スクリーン印刷法や、有機物フィルムなどの上に印刷や成膜した後、隔壁1aの頂部に転写する方法をとっても良い。
【0028】
そして、図3(c)に示すように、隔壁1aの頂部に熱伝導率が20W/mK以上のセラミックス又は金属からなる天板4を載せ、熱を加えて接着層3を形成する熱硬化性樹脂を硬化させることで接着する。
【0029】
しかるのち、インク流路5の一方端にセラミックス、ガラス、樹脂等からなるノズル板8を熱硬化性樹脂により接着したあと、例えば、エキシマレーザー等のレーザー加工によって各インク流路5と連通するノズル孔7を穿孔することにより得ることができる。
【0030】
【実施例】
ここで、接着層3を構成する高熱伝導性セラミック粒子の材質、高熱伝導性セラミック粒子の平均粒子径、及び高熱伝導性セラミック粒子と樹脂との割合を異ならせて図1,2に示すインクジェットプリンタヘッドを製作し、このインクジェットプリンタヘッドの放熱特性を調べる実験を行った。
【0031】
本実験に用いるインクジェットプリンタヘッドは、図3(a)に示すように、あらかじめ板厚方向(矢印方向)に3〜5kV/min×15〜30minにてシリコンオイル中で分極処理したジルコン酸チタン酸鉛を主体とする圧電材料からなる基板1にダイシングソーで溝を加工することにより、平行に整列した複数の隔壁1aを有する基板1を製作した。そして、上記基板1の各隔壁1aの両側面1bにそれぞれ銀からなる電極2を蒸着により形成した。次に、図3(b)に示すように、隔壁1aの上部に、高熱伝導性セラミック粒子の材質、高熱伝導性セラミック粒子の平均粒子径、及び高熱伝導性セラミック粒子と樹脂との割合を異ならせた接着層3を5μm程度の厚みに均一に塗布した後、図3(c)に示すように、基板1の隔壁1a上に天板4を張り合わせ、大気雰囲気下で120℃に加熱硬化させて天板4を接着した。しかるのち、エポキシ樹脂からなるノズル板8をインク流路5の一方端側を塞ぐように接着剤にて接着し、次いで各インク流路5と連通するノズル孔7をレーザにて穿孔してインクジェットプリンタヘッドを製作した。なお、天板4には熱伝導率170W/mK、密度3.2g/cm3 、インク流路5と反対側の表面を中心線平均粗さ(Ra)で10μmに仕上げた窒化アルミニウムセラミックスを用いた。
【0032】
そして、これらのインクジェットプリンタヘッドをインクジェットプリンタ本体に組み込んで、1時間の印字処理を施したあと、インクの温度を測定することで放熱特性を調べ、インクの温度が30℃以下のものを優れたものとして評価した。
【0033】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0034】
【表1】
【0035】
この結果、試料No.1〜8に見られるように、接着層3を構成する熱硬化性樹脂の割合が30〜50体積%、高熱伝導性セラミック粒子の割合が70〜50体積%の範囲にあり、高熱伝導性セラミック粒子の熱伝導率が20W/mK以上でかつ平均粒子径が1μm以下であるインクジェットプリンタヘッドは、優れた放熱性を有し、インク温度を30℃未満に抑えることができ、優れていることが判った。
【0036】
(実施例2)
次に、接着層3として、エポキシ系の樹脂を50体積%と平均粒子径が0.7μmのアルミナ粒子を50体積%の割合で含むものを使用し、天板4の材料、天板4のインク流路5と反対側の表面の中心線平均粗さ(Ra)を異ならせたインクジェットプリンタヘッドを製作し、実施例1と同様の条件にて放熱特性について調べる実験を行った。
【0037】
それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0038】
【表2】
【0039】
この結果、試料No.21〜27に見られるように、天板4を熱伝導率が20W/mK以上を有するセラミックスにより形成したインクジェットプリンタヘッドは、高い放熱性を有し、インク温度を30℃未満に抑えることができ、優れていた。
【0040】
さらに、試料No.21〜25を比較すると、天板4のインク流路5と反対側の表面の面粗さを粗くすることによりインク温度が低くなり、放熱性を向上させることができることが判る。そして、試料No.21〜23,25のように、天板4のインク流路5と反対側の表面の面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で10μm以上とすることで、インクの温度を28℃以下にまで下げることができ、特に好ましかった。
【0041】
以上の結果より、接着層3を構成する熱硬化性樹脂の割合を30〜50体積%とし、かつ平均粒子径が1μm以下の高熱伝導性セラミック粒子の割合を70〜50体積%とし、合計100体積%とするとともに、天板4を熱伝導率が20W/mK以上を有するセラミックスにより形成したインクジェットプリンタヘッドは、高い放熱性を有し、インク温度を30℃未満に抑えることができ、優れていた。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、平行に整列した圧電材料からなる複数の隔壁を有し、該隔壁間をインク流路としてなる基板と、該基板の隔壁上に接着され、各インク流路を塞ぐ天板と、上記インク流路に連通するノズル孔を備えたノズル板とからなり、上記各隔壁に通電して変位させることによって上記インク流路内の体積を変化させ、インク流路に連通するノズル孔よりインクを吐出するインクジェットプリンタヘッドにおいて、上記天板を熱伝導率が20W/mK以上であるセラミックス又は金属により形成するとともに、上記天板と前記各隔壁とを平均粒子径が1μm以下の高熱伝導性セラミック粒子を70〜50体積%と30〜50体積%の熱硬化性樹脂とからなる接着層によって接合したことによって、圧電材料からなる隔壁の変位運動に伴って熱が発生しても、上記接着層は熱伝導に優れることから天板まで効率良く熱を伝達し、さらに大気に曝された天板によって効率良く冷却することができるため、隔壁及びインクの温度上昇を防ぐことができる。その為、長期使用においても隔壁の駆動特性やインク特性を変化させたり劣化させることがないため、高速でかつ安定してインクを吐出することができる。
【0043】
また、本発明によれば、天板の大気に曝される表面を中心線平均粗さ(Ra)で10〜100μmとすることによって、天板での放熱特性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のインク流路近傍の構造を部分的に拡大した断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明のインクジェットプリンタヘッドの製造工程を説明するための図である。
【図4】(a)(b)は本発明の接合層における熱伝導特性を説明するための模式図である。
【図5】従来のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す斜視図である。
【図6】図5のインク流路近傍の構造を部分的に拡大した断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板
1a・・・側壁
2・・・電極
3・・・接着剤
4・・・天板
5・・・インク流路
7・・・ノズル孔
8・・・ノズル板
Claims (2)
- 平行に整列した圧電材料からなる複数の隔壁を有し、該隔壁間をインク流路としてなる基板と、該基板の隔壁上に接着され、各インク流路を塞ぐ天板と、上記インク流路に連通するノズル孔を備えたノズル板とからなり、上記各隔壁に通電して変位させることによって上記インク流路内の体積を変化させ、インク流路に連通するノズル孔よりインクを吐出するインクジェットプリンタヘッドにおいて、上記天板を熱伝導率が20W/mK以上であるセラミックス又は金属により形成するとともに、上記天板と前記各隔壁とを平均粒子径が1μm以下の高熱伝導性セラミック粒子を70〜50体積%と、30〜50体積%の熱硬化性樹脂とが合計100体積%となる接着層によって接着したことを特徴とするインクジェットプリンタヘッド。
- 上記天板のインク流路と反対側の表面を中心線平均粗さ(Ra)で10〜100μmとしたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッド。
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