JP2007118285A - インクジェット機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 圧電体からなる振動板の作用により、インクを噴射させるようにしてなるインクジェット機構は、圧電体からなる2つの振動板の間に板状のスペーサを介在させ、かつ振動板とスペーサとによって液体流路および液体供給路を画成し、振動板とスペーサとを互いに接合させたものを基本単位として、それらの複数単位を積層化して積層圧電体を形成し、その積層圧電体にさらに液体流路に連通する噴射孔を形成したノズルプレートを接合してなる。
スペーサを構成するインク流路形成用切溝の一部に幅狭部分を形成し、振動板とスペーサとを交互に積層することによって、幅狭部分によって規定されるオリフィスを有する積層圧電体を形成する。
【選択図】 図9
Description
このピエゾ方式のインクジェットプリンタヘッドは、図10に示されるように、電圧を加えると伸縮するような圧電素子1からなる振動板2を、基板3に凹設したインク室4に対して対面もしくは側面に接合させてなる構成であり、インク供給路5から供給されたインクに振動板2の振動を伝えて、インク噴射口6からインク滴7を噴射させることができる。
後者は、インクの吐出粘度によっては噴射することができないのである。特に、高粘度したインクでは、吐出することさえできないこともある。つまり、圧電体に電圧を高めたところで振動する力を高めるには限界が来してしまう。そのために、物理的な面での噴射する力にも限界を来してしまい、高粘度のインクを飛翔させることを阻害してしまうのである。
そのために、噴射速度を高めることや、インクの粘度に関らず均一なインク噴射を行えることができないこともあり、インクジェットとしての機能が低下してしまうこともあった。
すなわち、本発明は、
一端が開放されていると共に、流路方向に垂直な方向で幅狭となっている部分を有するインク流路形成用切溝と、該インク流路形成用切溝と連結し、インク供給路を形成するような開口を有するスペーサと、
前記スペーサの開口に連通する開口と、少なくとも片面に前記スペーサの切溝に対応して形成された電極とを有する圧電体からなる振動板とからなり、
スペーサと振動板とを交互に積層して積層圧電体を形成し、その積層圧電体のインク吐出部に、前記スペーサの切溝の一端に対応する位置に噴射孔を有するノズルプレートを配設してなり、
前記インク流路形成用切溝にオリフィスが形成されてなるインクジェット機構である。
本発明において、前記インク流路形成用切溝の幅狭部分によって規定されるオリフィスは、インク供給路形成用開口から離れた位置に配設する、あるいはインク供給路形成用開口に連結されて設けることができる。
また、本発明において、前記インク流路形成用切溝の幅狭部分は、インク供給路形成用開口に連結されていると共に、インク流路形成用切溝の上壁部または下壁部と前記幅狭な部分とを繋ぐ端壁は、流路方向に対して30〜90度の角度をなして配設することができる。
本発明において、前記振動板と交互に積層されるスペーサは、主としてSiまたはSiO2からなる材料で構成することができる。
本発明において、積層された圧電体は、スペーサを振動板によって挟持させた構成とすることができる。
本発明において、振動板と、スペーサと、ノズルプレートとの各接合部に金属層を設け、互いに金属層を介して接合することができる。また、この金属層は同一の金属から形成することができ、特に、金または銅から形成することができる。
本発明において、前記オリフィス幅は、キャビティ幅の10〜75%とすることことができる。この範囲内にすることにより、飛翔性をより高めやすくすることができるのである。
本発明にかかるインクジェット機構は、圧電体からなる2つの振動板の間に板状のスペーサを介在させ、かつ振動板とスペーサとによって液体流路および液体供給路を画成し、振動板とスペーサとを互いに接合させたものを基本単位として、それらの複数単位を積層化して積層圧電体を形成し、その積層圧電体にさらに液体流路に連通する噴射孔を形成したノズルプレートを接合した形態が基本的構成であり、スペーサを構成するインク流路形成用切溝内に、流路方向に垂直な方向に幅狭となる部分を設け、積層された状態で、幅狭部分によって規定されるオリフィスが形成されるように構成したことである。
これらの電圧印加用電極14は、インク流路33の幅の概ね半分の幅を有してインク流路33に沿って配設されていることが好ましい。圧電体の変形効率が最もよいためである。
なお、本発明における圧電体の駆動モードとしては、d33モード、d31モード、d15モードのいずれでも駆動することが可能である。即ち、これらのモードを用いることでインク等の液滴の噴射が阻害されることや、液滴の噴射速度やサイズ等のバラツキが生じることがないためである。また、これらのモードのうち、2つ以上のモードを混合させて用いることもできる。
さらに、前記各圧電体10には、前記電圧印加用電極14や、給電パッド16等の導体路18のうち、給電パッド16を除いた部分を被覆する絶縁保護膜20が設けられると共に、後述するようなスペーサ200やノズルプレート300との接合部に対応する部分には、接合用金属層22が設けられる。
この絶縁保護膜20の厚さは、0.05〜5μm程度であることが好ましい。厚さが、0.05μm未満では、十分な絶縁性を確保できないからであり、一方、5μmを超えると、無機膜では膜応力が増大し、クラックが生じやすくなり、有機膜では、圧電体の変位が吸収され、インクに圧力が十分に伝達できないからである。
すなわち、前記オリフィス50を規定するような幅狭部分52を、インク供給路形成用開口34に連結させた形態(図9(b)参照)、あるいはインク供給路形成用開口34から所定の距離だけ離れた位置に配設した形態(図9(c)参照)を採用することが望ましい。
キャビティ幅が300μm未満であれば、圧電体の変位量が小さくなりやすくなるので、飛翔速度が低下することや高粘度の液体を飛翔させることがしにくくなることがある。
逆に、キャビティ幅が1800μmを越えると、剛性が不足して、変位量に見合うだけの圧力を液体にかけることができないこともあり、圧電体の変位する力が液体に負けているといった現象が起きていると推定している。
その一方、オリフィス50を形成するような幅狭部分52の幅の比率は、キャビティ幅に対して、10〜75%であることが望ましい。
その理由は、オリフィスの比率が10%未満であると、インク流路が狭くなり、インクの流通を阻害してしまうことがあり、そのために、インク噴射の飛翔性などに影響を与えてしまうことがある。
その逆に、オリフィスの比率が75%を越えると、オリフィスを形成する効果が相殺してしまうことがあり、その結果として、飛翔性の向上やインクの噴射性の向上が行えなくなることがある。
これらの材料は、単体で用いても、あるいは2種類以上の材料を複合化した複合体で用いてもよい。
前記絶縁性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、さらにこれらの複合樹脂等が用いられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等が用いられる。
また、前記金属としては、例えば、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、SUS、コバール、42アロイ、鉄、チタン、クロム等の単体、あるいはそれらの合金を用いることができる。
また、前記セラミックスとしては、例えば、ガラスセラミックや、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウム、炭化珪素等を用いることができる。
さらに、前記無機材料としては、例えば、Siや、SiO2、炭素(カーバイト等を含む)等が含有された材料を用いることができる。
接着剤としては、半田、絶縁性接着剤、金属含有接着剤などを用いることができる。
半田であれば、Sn/Pb、Sn/Ag、Sn/Sb等からなる組成のものを用いることができる。
絶縁性接着性であれば、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等)、熱可塑性樹脂(ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等)、感光性樹脂、紫外線硬化樹脂などを用いることができる。絶縁性接着剤とは、接着剤に導電性がないものを示すのである。必要に応じて、無機などの粒子が配合されていてもよい。
金属含有接着剤であれば、Cu、Ag、Auなどの金属粒子が1種もしくは2種以上含有したものが含まれ、導電性接着剤ともいう。その一例として、0.03μmのAg粒子が含有したものにエポキシ樹脂などの接着剤を配合したものである。
これらの接着剤を介して、振動板およびスペーサを接合させるのである。このとき、接着剤の厚みは、0.5μm以上であることが望ましい。0.5μm未満では、接着剤の厚みの均一性が確保されないこともあり、振動板とスペーサとの接合の不具合が生じてしまうこともある。
特に、接着剤の厚みが、0.5〜10μmであることが望ましい。10μmを越えると、圧電体の変位が吸収され、インクに充分に圧力が伝達されないために、飛翔性を阻害してしまうことがある。
接着剤の形成方法としては、印刷、塗布、フィルムの貼り付け、スプレーによる噴射などが挙げられる。
振動板100とスペーサ200との接合面には、金属層22、38がそれぞれ形成されると共に、振動板100およびスペーサ200とノズルプレート300との接合面にも、金属層が形成されている。金属層は、全面に形成してもよいし、接合が必要な部分にのみ形成してもよい。
これらの金属層としては、金、銅、ニッケル、チタン、亜鉛、アルミニウム等の金属を、単層もしくは2層以上の複数層で形成する。あるいは半田やロウ付け材(銀ロウ、金ロウ等)の合金で形成することが好ましい。
前記金属層を形成する方法としては、電解めっき、無電解めっき等の化学的な形成方法や、スパッタ、蒸着、CVD等の物理的な形成方法を用いることが望ましく、複数層の金属層を形成する場合には、それらを同一の形成方法で形成してもよいし、異なる形成方法で形成してもよい。
その金属層の厚みは、0.01μm以上であることが望ましい。厚みが0.01μm未満であると、金属皮膜の均一性が確保されないことがあり、金属接合を行うと、接合が不十分になることあり、密着性が得られないこともあるためである。
すなわち、圧電体10からなる振動板100、スペーサ200およびノズルプレート300の接合部に金属膜を被覆し、それらの接合部位を加熱および加圧することによって互いに金属接合させ、互いに密着させるように構成されている。
その理由は、それぞれの接合面での熱膨張係数が同じになるために、接合面付近での熱膨張などの応力を起因とする剥離や剥がれを阻止できるからである。
さらに、接合させる時間が0.5分未満では、時間が短すぎて均熱化が進まないため、安定した金属接合を行なうことができないからである。
ただし、銅−銅での金属接合を行なう場合には、その接合面の酸化膜(CuOなどの銅酸化物)を酸処理などで予め除去した後、接合させることで密着強度が向上する。
すなわち、振動板100の接合面に介在する接着剤を溶解させることはなく、また、インク内に接着剤などの成分が混ざることもないために、噴射されたインクなどの変質、変色などを引き起こすこともなくなる。
また、アルカリを主成分とするインクとしては、NaOH、KOHなどのアルカリ溶液全般を主成分とするインクを用いることができる。
また、アルコールを主成分とするインクとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類全般を主成分とするインクを用いることができる。
前記溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ノルマルブロビルアセテート、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、スワゾール、ソルベッソ、エチセロ、ブチセロ、セロアセ、ヘキサン、アノン等を用いることができる。
以下、本発明のインクジェット機構について、実施例に基づいて更に詳細に説明する。
圧電材料としての鉛ジルコニウム・チタネート(以下、「PZT」という)を、以下のような工程により製造した。
(1)原料配合
まず、PZT製造に用いる複数のセラミック材料のモル分率や添加物量を原料の重量比に換算し、秤量調合する。
Pb(Zr、Ti)O2を構成するPbO(またはPb3O2)、ZrO2、TiO2をそれぞれ粉末にし、さらに他の添加成分も粉末にして、それらの規定量を調合する。
これらの原料粉末の純度は、98%以上であることが好ましく、事前に原料として用いるものに含有されている不純物の種類、粒径分布などは把握しておくことが好ましい。
ボールミルに前記(1)にて調合した原料と純水を加え、回転数:150〜650rpm、混合時間:12〜24時間の条件下で混合、粉砕した。
前記混合、粉砕工程は、調合した原料や純水が均一に混合され、粉砕されるように行なう。不均一であると、仮焼成時の反応性や最終製品における圧電特性に大きな影響を与えるからである。
前記(2)で混合、粉砕された原料を、温度80〜150℃、時間30〜240分程度で乾燥させ、予め余分な水分を取り除いた後、温度800〜900℃、時間30〜60分程度で仮焼成を行なって、粉体の状態で予め固相反応させる。
(4)混合粉砕
ボールミルに前記(3)において仮焼成した原料と純水を加えて、回転数:150〜650rpm、混合時間:12〜36時間、の条件下で混合、粉砕した。
前記(4)で得た混合物にバインダー(結合剤)を均一に加え、成形の前段階とした。
前記バインダーとしては、アクリル系バインダーや、PVA、PVB等を用いることができる。
前記バインダーの重量比は、0.5%以下にすることが好ましい。
重量比が0.5%を越えると、成形を容易にし、機械的な強度を得ることができるが、電気的特性や圧電性が低下するからである。また、酸化物の還元が促進されやすくなるからである。
粒径が0.05〜10μmの原料粉末を成形して、所定形状の成形体とした。
(7)焼成
前記(6)にて得た成形体を、温度:900〜1300℃、保持時間:
30分〜3時間、の条件下で焼成する。
(8)研磨、切断、表面仕上
焼成終えた圧電材料を所定の寸法にするために、研磨加工、切断加工、表面仕上加工などを行なう。
分極処理や圧電体として使用するために電極を形成する工程である。その一例として、銀ペーストを圧電材料に塗布し、500〜800℃で焼き付ける方法がある。それ以外にも無電解メッキによる電極作成法、真空蒸着法、スパッタによって電極を形成してもよい。銀以外にも金、ニッケル、銅、チタン、亜鉛、アルミニウム等の金属を単層もしくは2層以上の複数層で形成することができる。
その電極の厚さは、0.1〜5μmにすることが望ましい。その理由は、厚さが0.1μm未満では、抵抗が高く、分極しにくいからであり、一方、厚さが5μmを超えると、不経済であるからである。
焼結されたままのPZTなどの圧電材料は、等方的であり圧電性をもたないので、これに圧電性を付与させるために、圧電材料のもつ抗電界以上の直流電界を印加して、自発分極の向きを揃え極性を与える分極処理を行う。
例えば、80〜150℃前後の絶縁油の中で、1〜5kv/分の直流電界を印加しつつ、数十分間保持しながら分極を施す。この分極工程を経ることにより、圧電材料が圧電性を有する圧電体となる。この実施例では、圧電体の分極方向は、電界方向に対して垂直な方向とする(シェアモード)。
(1)板状体の加工
前記(A)で製造した圧電体材料としてのPZTを、厚さ80〜90μmの板状に加工し、さらに、その板状体を所定の大きさ、例えば、5mm×7mmに切断して圧電素子板10とした。
圧電素子板10をドリル等の加工具を用いて穴加工し、開口径が1mmのインク供給口12を形成する(図6(a)参照)。その後、圧電素子板10の表面を研磨して平滑化した。研磨の一例として、粗研磨(粒子名:GC#4000)、鏡面研磨(コロイダルシリカ)の2段階の研磨を行い、圧電素子板10の厚みが均一となるように平滑化した。それにより、圧電素子板10の厚みを70μm、その表面の平均粗度(Ra:JIS B0601)を0.1μm以下にした。
前記(1)の工程により作成された圧電素子板10の全面に、ドライフィルムレジスト層(旭化成エレクトロニクス(株)社製 製品名:SPG−152)を形成した。このレジスト層は、ドライフィルムを用いないで、レジスト液を塗布することによって形成してもよい。
前記圧電素子板10に電界を形成するための電圧印加電極14およびその電極を外部に接続するための給電パッド16を含む導体層パターン18が描画されたマスクを、該ドライフィルムレジスト層上に載置して、露光量:80mj/cm2で露光し、その後、ナトリウムなどが含有されたアルカリ水溶液で現像することによって、圧電素子板10上に、マスクパターンに相当するレジスト非形成部を有するレジスト層を形成した。
前記導電層パターン18をスパッタにより形成する場合には、例えば、スパッタ装置(芝浦製作所製、製品名:CFS−4ES−231)を用いて、真空度:5.0×10−4Pa、電力量:100W、スパッタ時間:18分の条件下でスパッタ処理を施し、厚みが0.03〜0.06μmのチタン層を形成する。
その後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、レジスト層およびレジスト層表面の金属層をリフトオフ法により剥離、除去させることによって、圧電素子板10の両面に、電圧印加電極14と給電パッド16とからなる導体層パターン18を形成した。
前記(2)の工程で形成した圧電素子板上に、給電パッド16に対応する部分を予めくり抜いてあるポリイミド樹脂からなる転写シートを、温度150〜250℃、圧力1.5Kg/cm2の条件で熱圧着させ、圧電素子板10上の導体層パターン18のうち給電パッド16だけを露出させた状態で絶縁保護層20を形成した(図6(c)参照)。
前記(3)で絶縁保護膜20を形成した圧電素子板10上に、給電パッド16に対応する部分を型取ったマスクを載置して、給電パッド16を被覆し、そのような被覆状態で接合用金属層22を形成した(図6(d)参照)。前記マスクは、圧電素子板10上に金属層22を形成した後に、取り除く。前記給電パッド16の被覆は、マスクを用いることなく、給電パッド16をレジスト層で被覆保護した状態で、金属層22を形成し、その後、レジスト層を化学的に取り除くことによって行なうこともできる。
同様に、そのチタン層上に、真空度:5.0×10−4Pa、電力量:200W、スパッタ時間:30分の条件下で、厚み:1.0μmの金層を形成し、その後、給電パッド16を被覆しているマスクを取り除いた。
これによって、給電パッド16以外の全面にチタン−金の2層構造の金属層22を形成した。
(1)マスク層形成
まず、直径4インチ、厚さ70μmのシリコンウェハを用意する(図7(a)参照)。
前記シリコンウェハの片面全体に、ドライフィルムレジスト層(旭化成社製 製品名:SPG−152)を形成する。レジスト層は、ドライフィルムを用いないで、レジスト液を塗布することによって形成してもよい。
このマスクを該ドライフィルムレジスト層に載置して、露光量:80mj/cm2で露光し、その後、ナトリウムなどが含有されたアルカリ水溶液で現像することによって、板状シリコン30上にインク流路形成用切溝32、その切溝32の上壁または下壁に対して90度をなす端壁54とそれに連続する幅狭部分52、その幅狭部分52に連結されたインク供給口34、給電パッド収容部36およびピース外形に対応したレジスト非形成部を形成した。
エッチング終了後に、10%水酸化ナトリウム水溶液によってレジスト層を剥離、除去した。
前記(2)の工程で得たシリコン基板上に、接合用金属層38を形成した(図7(c)参照)。
この接合用金属層38は、例えば、スパッタ装置(芝浦製作所製、製品名:CFS−4ES−231)を用いて、真空度:5.0×10−4Pa、電力量:100W、スパッタ時間18分の条件下で、厚み:0.03〜0.06μmのチタン層を形成し、さらに、そのチタン層上に、同様のスパッタ装置を用いて、5.0×10−4Pa、電力量:200W、スパッタ時間30分の条件下で、厚み:1.0μmの金層を形成することによって、シリコン板の全面にチタン−金の2層構成の金属膜を被覆した。
この実施例において、前記幅狭部分52の幅を、100μm、200μm、300μm、400μm、60μm、450μmにしたものをそれぞれ、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3、実施例1−4、実施例1−5、実施例1−6とした。
また、スペーサを挟んで対向配置される電極のサイズは、幅:300μm、長さ:3.65mmとした。
(1)マスク層形成
まず、直径4インチ、厚さ70μmのシリコンウェハを準備する。
次に、前記シリコンウェハ50の片面の全体に、ドライフィルムレジスト(旭化成エレクトロニクス(株)社製、製品名:SPG−152)を貼付けてレジスト層を形成する。レジスト層は、ドライフィルムを用いることなく、レジスト液を塗布することによって形成してもよい。
次いで、直径が30〜50μmの開口を150μmピッチで描画したマスクを該ドライフィルムレジスト層上に載置して、露光量:80mj/cm2で露光し、その後、ナトリウムなどが含有されたアルカリ水溶液を用いて現像することによって、シリコン上に、マスクパターンに相当するレジスト非形成部を形成した。
前記(1)の工程で形成したレジスト層を有する板状シリコン50に、フッ素系ガス、ハロゲン系ガスによるドライエッチング処理を施した。
前記エッチング処理は、例えば、ドライエッチング装置(東京エレクトロン社製)を用いて、RFパワー:600W、ガス流量:SF6/O2=130/10sccm、エッチング時間:40分の条件で、マスク層のレジスト非形成部に向けて、フッ素系ガスなどのガスを照射することにより、開口径が30〜50μmの孔がピッチ150μmで配列されてなる液滴噴射孔40を形成した(図8参照)。
前記エッチング処理を施したシリコンに、剥離処理を行うことにより、板状シリコン上に形成されてマスク層を除去した。場合によっては、使用するインクの種類に応じて、シリコンの表面に、SiC、SiO2、DLCなどの無機膜や、シリコーン、テフロンなどの有機膜で親液、撥液処理を施してもよい。
(1)振動板とスペーサの積層
前記(B)の(1)〜(4)の工程で作製された振動板100と、前記(C)の(1)〜(3)の工程で作製されたスペーサ200とを交互に積層させる。その際に、最外層は、圧電素子10からなる振動板100となるように積層させる(図4参照)。
その後、振動板100のインク供給口12とスペーサ200のインク供給口34とが合致するように位置合わせを行った後、圧力:10〜100MPa、温度:50〜250℃の条件下で熱圧着し、1分以上程度保持して一括積層させることによって、圧電素子10からなる複数の振動板100がスペーサ200のインク流路形成用切溝32を挟んで対向配置された形態の積層圧電体400を形成した(図5参照)。
前記(1)で製造した積層圧電体400に、前記(C)で製造したノズルプレート300を以下の(a)〜(c)の工程によって接合させた。
(a) まず、ノズルプレート300の接合面となるべき表面を研磨し、その接合面を平坦にした。その研磨方法としては、コロイダルシリカ、SiC、ダイアモンドなどの研磨剤を用いて行うことが望ましい。
この実施例では、ダイアモンド砥粒(ビューラー社製、製品名:メタダイヤモンドサスペンション)を用いて研磨を行い、その後、コロイダルシリカ(フジミインコーポレード社製、製品名:COMPOL)による仕上げ研磨を行った。
それにより、ノズルプレート300の接合面全域にわたってチタン−金の2層構造の金属層(図示を省略)を被覆した。
すなわち、インク流路形成用切溝32の先端(ノズル穴側)からインク供給口34までの距離(キャビティー長)が4.5mm、キャビティ幅が600μm、幅狭部分52が形成された位置、即ち、インク流路形成用切溝32の先端から端壁54までの距離が3.36mm、流路方向に垂直な方向における幅狭部分52の幅が、200μm、流路方向における幅狭部分52の長さが300μm、インク流路形成用切溝32の流路方向に沿った壁部(上壁または下壁)と幅狭部分の流路方向に沿った壁部とを繋ぐ端壁54が、流路方向に対してなす角度は90°であるように作製した。
なお、スペーサを挟んで対向配置される電極のサイズは、幅:300μm、長さ:3.65mmとした。
すなわち、インク流路形成用切溝32の先端(ノズル穴側)からインク供給口34までの距離(キャビティー長)が4.5mm、キャビティ幅が600μm、幅狭部分52が形成された位置、即ち、インク流路形成用切溝32の先端から端壁までの距離が4.2mm、流路方向に垂直な方向における幅狭部分52の幅が、200μm、流路方向における幅狭部分52の長さが300μm、インク流路形成用切溝32の流路方向に沿った壁部(上壁または下壁)と幅狭部分の流路方向に沿った壁部とを繋ぐ端壁54が、流路方向に対してなす角度が、60°であるように作製した
この実施例3において、前記角度が、60°、45°、30°、95°になるように形成した例をそれぞれ、実施例3−1、実施例3−2、実施例3−3とした。
なお、スペーサを挟んで対向配置される電極のサイズは、幅:300μm、長さ:3.65mmとした。
このとき、前記幅狭部分52の幅を、300μm、60μm、450μmにしたものをそれぞれ、実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3とした。
このとき、インク流路形成用切溝32の流路方向に沿った壁部(上壁または下壁)と幅狭部分の流路方向に沿った壁部とを塞ぐ端壁54が、流路方向に対してなす角度が、30°、45°、60°になるように形成した例を、それぞれ実施例5−1、実施例5−2、実施例5−3とした以外は、実施例3と同様にインクジェクト機構を製造している。
イソプロピルアルコールからなる溶剤を含んだインク(粘度:2mPa・s)を用い、1周期:300μm、電圧印加時間:30μs、電圧Vp−p:40Vの矩形パルスを使用して、噴射試験を行い、このときに、噴射するインクの速度を測定した。
イソプロピルアルコールからなる溶剤を含んだインクを用い、1周期:300μm、電圧印加時間:30μs、電圧Vp−p:70Vの矩形パルスを使用して、噴射試験を行った。このときに、噴射するインクの粘度を徐々に高めて、インクの噴射速度が6m/s未満になるまでインクを換えて測定した。このとき、インク噴射速度が6m/s未満になったときのインクの粘度を限界粘度とした。
12 インク供給口
14 電圧印加電極
16 給電パッド
18 導体層パターン
20 絶縁保護層
22 接合用金属層
30 板状シリコン
32 インク流路形成用切溝
33 インク流路
34 インク供給口形成用開口
36 給電パッド収容部
38 接合用金属層
40 板状シリコン
42 液滴噴射孔
50 オリフィス
52 幅狭部分
54 端壁
100 振動板
200 スペーサ
300 ノズルプレート
400 積層圧電体
Claims (10)
- 一端が開放されていると共に、流路方向に垂直な方向で幅狭となっている部分を有するインク流路形成用切溝と、該インク流路形成用切溝と連結し、インク供給路を形成するような開口を有するスペーサと、
前記スペーサの開口に連通する開口と、少なくとも片面に前記スペーサの切溝に対応して形成された電極とを有する圧電体からなる振動板とからなり、
前記スペーサと振動板とを、交互に積層して積層圧電体を形成し、その積層圧電体のインク吐出部に、前記スペーサの切溝の一端に対応する位置に噴射孔を有するノズルプレートを配設してなり、
前記インク流路形成用切溝にオリフィスが形成されてなるインクジェット機構。 - 前記オリフィスは、インク供給路形成用開口から離れた位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット機構。
- 前記オリフィスは、インク供給路形成用開口に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット機構。
- 前記オリフィスは、インク供給路形成用開口に連結されていると共に、インク流路形成用切溝の上壁部または下壁部と前記幅狭な部分とを繋ぐ端壁は、流路方向に対して30〜90度の角度をなして配設されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット機構。
- 前記オリフィス幅は、キャビティ幅の10〜75%である請求項1に記載のインクジェット機構。
- 前記スペーサと振動板とノズルプレートとの各接合部分に金属層を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット機構。
- 前記スペーサは、主としてSiまたはSiO2からなる材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット機構。
- 前記積層圧電体は、2つの振動板をスペーサを介して挟持させた構成を基本単位としたものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット機構。
- 前記金属層は、同一の金属からなることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット機構。
- 前記金属層は、金または銅からなることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット機構。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013208900A (ja) * | 2012-02-27 | 2013-10-10 | Toshiba Tec Corp | インクジェットヘッドおよびその製造方法 |
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-
2005
- 2005-10-26 JP JP2005311256A patent/JP2007118285A/ja active Pending
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