JP3619080B2 - 液体吐出ヘッドおよびその駆動方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよびその駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を吐出するための液体吐出ヘッドおよびその駆動方法に関し、一般的なプリント装置のほか、複写機や通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用可能な他、捺染装置やエッチングなどの加工装置にも応用することができる。
【0002】
なお、本明細書において、「プリント」または「記録」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像,模様,パターンなどを形成したり、あるいはエッチングなどの加工をも含む。
【0003】
また、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙片のみならず、布帛,プラスチックフィルム,金属板,ガラス,セラミックス,木材,皮革など、インクを受容可能なものであり、シート状物体以外の三次元立体、例えば球体や円筒体などもその対象となる。
【0004】
さらに、「液体」とは、上記「プリント(または記録)」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、プリント媒体に付与されることによって、画像,模様,パターンなどの形成、またはプリント媒体のエッチング加工、あるいはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)などに供されるものを含む。
【0005】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、いわゆるノンインパクトプリント方式のプリント装置であり、高速なプリントや様々なプリント媒体に対してプリントすることが可能であって、プリント時における騒音がほとんど生じないといった特徴を持つことから、ワードプロセッサやファクシミリあるいは複写機などのプリント機構を担う装置として広く採用されている。
【0006】
このインクジェット方式の代表的なものとして、インクやプリント媒体に対するインクのプリント性を調整するための処理液(以下、本明細書ではこれらをまとめて便宜的にインクと呼称する)などの液体、つまりインク滴の吐出エネルギーとして熱エネルギーを発生する電気熱変換素子を用いた方法が知られており、これは微小な吐出口から微小なインク滴を吐出させ、紙などのプリント媒体に対してプリントを行うものである。
【0007】
一般に、インク滴を形成するための駆動系と、この駆動系に対してインクを供給する供給系とから構成される電気熱変換素子を用いたインクジェットヘッドは、電気熱変換素子を加圧室内に設け、これにプリント信号となる電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギーを与え、この時のインクの急激な相変化、つまり気化により生じる気泡圧力をインク滴の吐出に利用したものである。
【0008】
さらに電気熱変換素子を用いたインクジェットヘッドの場合、電気熱変換素子を配列した基板表面に沿ってインクを吐出させるエッジシューター方式と、電気熱変換素子を配列した基板表面に対して垂直にインクを吐出させるサイドシューター方式とが知られている。
【0009】
従来のサイドシューター方式のインクジェットヘッドの外観を図48に示し、その概略構造を図49に示し、そのX−X,Y−Y矢視断面構造をそれぞれ図50,図51に示す。すなわち、電気熱変換素子11が一定間隔で配列する発熱基板12には、インクを吐出する複数の吐出口13と、これら吐出口13が開口する複数のインク室14と、これらインク室14にインクを供給するための細長いインク供給口15とが形成されている。電気熱変換素子11の配列方向に沿って延在するインク供給口15は、一般的にサンドブラストや異方性エッチングあるいはレーザー加工などで発熱基板12に穿設されている。また、電気熱変換素子11にインクを吐出するための電気信号を与えるため、配線基板16と発熱基板12とはTAB(ape utomated onding)方式で接続され、さらに発熱基板12は支持部材17の上に固定されている。
【0010】
近年、パーソナルコンピュータの大幅な低価格化および高性能化に伴い、プリンタなどのカラー化が進み普及してきている。このようなカラープリンタのプリントヘッドは多色のインクを印字するため、複数個、例えば黄色,マゼンタ色,シアン色,黒色の4色のインクに対応して4個設けられており、上述したインクジェットヘッドにおいては、装置の小型化のために発熱基板12の電気熱変換素子11をできるだけ小さな間隔で配置している。特に、600dpi,1200dpiといった高精細のプリントを行うインクジェットヘッドにおいては、複数の吐出口13およびインク室14の各々の高い均一性が要求されるため、吐出口13の配列方向に沿ったその両端部に位置するインク室を実際のプリント作業において使用しないダミーインク室14dとして規定し、実際のプリント作業で使用するインク室14と区別するのが一般的である。
【0011】
従来、インクジェットヘッドとしては、圧電素子や電気熱変換素子などの駆動素子を駆動し、圧力あるいは気泡の発生に基づく液体の吐出を行うものが知られている。このようなインクジェットヘッドは、液体を取り扱うため、液体の増粘に対してインクジェットヘッド内の液体をインクジェットヘッド外へ排出するためのキャップを用いた吸引回復機構や、駆動素子を駆動する予備吐出(プリント信号とは関係なく行われ、空吐出とも称される)を行うようになっているか、または吐出口表面を清掃するクリーニング機構を有するインクジェットプリンタに適用される。
【0012】
かかるインクジェットプリンタにおいては、その作動シーケンスとして「吸引回復」や「クリーニング」や「予備吐出」を行うモード、あるいは「クリーニング」のみを行った後に「予備吐出」を行うモードを有するものが用いられる。
【0013】
複数のインクジェットヘッドを搭載してカラー化したも知られているが、複数のカラーインクジェットヘッドを一体または別体に設けた場合の何れにおいても、異なる色または異なる特性の液体が複数のインクジェットヘッドの間で混ざり合う場合がある。
【0014】
このような不具合を解決するものとして、種々の手段が知られている。このうち、特開平8−295033号公報には、隣接するインクジェットヘッドの間にダミーノズルを設けることで、これらの間での混色を防止するようにした技術が開示されており、具体的には、隣接するインクジェットヘッドからのインクをダミーノズル内に導き、このダミーノズルから混色したインクを吐出することにより、混色インクの除去を可能としている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図48〜図51に示した従来のインクジェットヘッドにおいて、ダミーインク室14dの領域は、ダミーインク室14dがいくつあれば良いのではなく、ある領域の寸法が必要なため、図48〜図51に示した従来のインクジェットヘッドにおいては、ダミーインク室14dとダミーインク室14dに対応した吐出口13は、プリントの際に用いられるインク室14および吐出口13と同一の形状,寸法および配列ピッチで形成されるため、吐出口13の配列ピッチが細かい高精細インクジェットヘッドにおいては、ダミーインク室14dおよび吐出口13の数が増加してしまう。このため、複数色のカラーインクに対応した複数のインクジェットヘッドの各吐出口13からのインクの吐出状態を良好にする目的で、これら吐出口13からインクを一括吸引する回復処理の際に、ダミーインク室14dから上述した気泡が完全に除去されない場合、減圧状態にあるダミーインク室14dに異なる色のインクが入り込み、インクジェットヘッド内で複数色のインクの混色が発生するおそれがあった。
【0016】
さらに、この回復処理の際にダミーインク室14dからもインクが吸引排出されるため、無駄に消費されるインク量が多くなってしまう不具合があった。
【0017】
一方、ワイパブレードを用いた吐出口面の払拭操作の際に、このワイパブレードや吐出口面に付着したインクが吐出口内に押し込んでしまう場合がある。このように吐出口内に押し込まれたインクは、通常、混色または増粘状態にあるため、高品位なプリント作業を実現するためには、このような払拭操作を実施した後にも予備吐出操作を行い、吐出口内に押し込まれたインクを排出する必要がある。
【0018】
なお、先行して払拭された吐出口は、これよりも後に払拭された吐出口と比較すると、吐出口内に混入したインクが拡散する時間が長くなることから、吐出口に対して払拭された順に予備吐出操作を行うことにより、より少ない吐出回数でインクの混色を解消することが可能である。
【0019】
このように、吸引回復後やワイピング後に実施される予備吐出操作は、インクジェットヘッド内に入った混色インクや増粘インクを排出することが目的である。この予備吐出操作におけるインクジェットヘッドの回復性、すなわち、インク排出性は、実際のプリント作業に与る吐出口(以下、主吐出口と呼称する)と、ダミーの吐出口(以下、副吐出口と呼称する)とで大きく相違する場合がある。つまり、副吐出口からの液体の吐出量は、主吐出口からの液体の吐出量よりも一般に多いことから、一回の予備吐出操作でのインクジェットヘッドの回復性は、副吐出口の方が良好である。しかし、副吐出口は、主吐出口の配列方向に沿って延在する細長い共通液室の端部など、液体の流れが淀み易い部分に近接して配置されているため、通常、1つの副吐出口から吐出されるべき液量は、1つの主吐出口から吐出されるべき液量よりも遥かに多く設定する必要がある。従来、主吐出口の回復性と副吐出口の回復性とを明確に区別していなかったため、副吐出口の回復性を確保するために必要な予備吐出液量を主吐出口に対しても実施していたため、主吐出口から予備吐出される液量は、必要以上に多くなってしまう不具合があった。
【0020】
【発明の目的】
本発明の目的は、複数種の液体とそれぞれ吐出する複数種の吐出口からの液体の吐出状態を良好にするためにこれら吐出口から液体を一括吸引する回復処理の際に、吸引された液体の一部が内部に入り込んで混色などの不具合を生ずることのない液体吐出ヘッドを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、上述した回復処理の際における液体の無駄な消費をできるだけ抑制し得ると共に内部に介在する気泡を排出し得る液体吐出ヘッドを提供することにある。
【0022】
本発明の別な目的は、液体が供給される細長い共通液室の長手方向端部において滞留する傾向にある液体を流動化させ、これを確実に外部に排出し得る液体吐出ヘッドの駆動方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の形態は、所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の配列方向の端側に該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて配列する少なくとも1つの副吐出口と、これら複数の吐出口がそれぞれ開口する複数の液室と、これら液室がそれぞれ連通すると共に液体が供給される共通液室と、前記主吐出口および副吐出口に対応して前記液室にそれぞれ設けられ、前記主吐出口および副吐出口から液体を吐出させるために利用される吐出エネルギーを発生する複数の吐出エネルギー発生部とを具えたことを特徴とする液体吐出ヘッドにある。
【0025】
本発明によると、プリント作業時においては主吐出口から液体が吐出され、副吐出口が開口する液室の吐出エネルギー発生部は吐出エネルギーを発生せず、副吐出口からは液体が吐出されない。しかしながら、プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際には、副吐出口からも液体が吐出可能である。また、副吐出口が主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて配列しているため、吐出口の配列長が一定の場合、主吐出口および副吐出口から液体を吸引する際に吐出口をすべて一定間隔で配列した従来のものよりも副吐出口の数が相対的に少なくなる結果、副吐出口からの液体の吸引量が相対的に減少する。
【0026】
本発明の第2の形態は、所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて配列する少なくとも1つの副吐出口とを有し、プリント媒体に対して液体を吐出する際に前記主吐出口のみから液体を吐出する液体吐出ヘッドの駆動方法であって、前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、前記副吐出口からも同時に液体を吐出するステップを具えたことを特徴とするものである。
【0027】
本発明によると、プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際には、副吐出口からも液体が吐出可能であり、この副吐出口が開口する液室内の液体がここに介在する気泡と共に吐出される。
【0028】
本発明の第3の形態は、液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向の端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口と、これら主吐出口および副吐出口がそれぞれ開口すると共にそれぞれ前記共通液室に連通する複数の液室とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、1つの前記副吐出口と前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを複数具え、このステップは前記主吐出口の配列方向一端側から順に行われることを特徴とするものである。
【0029】
本発明によると、プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際に、1つの副吐出口と共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口とから液体を同時に吐出するステップが主吐出口の配列方向一端側から順に行われ、共通液室の長手方向一端側で滞留状態にある液体が副吐出口から確実に排出される。
【0030】
本発明の第4の形態は、液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向の端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口と、これら主吐出口および副吐出口がそれぞれ開口すると共にそれぞれ前記共通液室に連通する複数の液室とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、1つの前記副吐出口と前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを複数具え、1つの前記副吐出口からの液体の吐出動作は、前記主吐出口の配列方向一端側から順に行われるのに対し、前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口からの液体の吐出動作は、前記主吐出口の配列方向一端側とその他端側とで交互に行われることを特徴とするものである。
【0031】
本発明によると、プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際に、1つの副吐出口と共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口とから液体を同時に吐出するステップが繰り返し行われるが、1つの副吐出口からの液体の吐出動作が主吐出口の配列方向一端側から順に行われるのに対し、共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口からの液体の吐出動作は、主吐出口の配列方向一端側とその他端側とで交互に行われる。この結果、共通液室の長手方向両端部で滞留状態にある液体に振動が与えられて流動化が促進され、副吐出口から確実に排出される。
【0032】
本発明の第5の形態は、液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向の端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口と、これら主吐出口および副吐出口がそれぞれ開口すると共にそれぞれ前記共通液室に連通する複数の液室とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、1つの前記副吐出口と前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを複数具え、前記主吐出口をその配列方向に沿ってその配列方向一端側から順に第1のグループと第2のグループとに交互に分け、前記副吐出口からの液体の吐出動作は、前記主吐出口の配列方向一端側から順に行われ、前記主吐出口の配列方向一端側に位置する最初および最後の前記副吐出口とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第1のグループから選択されるのに対し、前記主吐出口の配列方向一端側に位置して最初および最後の前記副吐出口以外の少なくとも1つの前記副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第2のグループから選択されることを特徴とするものである。
【0033】
本発明によると、プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際に、1つの副吐出口と共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口とから液体を同時に吐出するステップが繰り返し行われるが、副吐出口からの液体の吐出動作は、主吐出口の配列方向一端側から順に行われる。主吐出口は、その配列方向に沿ってその配列方向一端側から順に第1のグループと第2のグループとに交互に分けられ、主吐出口の配列方向一端側に位置する最初および最後の副吐出口とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの主吐出口は、第1のグループから選択される。しかしながら、主吐出口の配列方向一端側に位置して最初および最後の副吐出口以外の少なくとも1つの副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの主吐出口は、第2のグループから選択される。
【0034】
本発明の第6の形態は、液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の配列方向の端側に該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、少なくともすべての前記主吐出口から液体を吐出する第1のステップと、少なくともすべての前記副吐出口から液体を吐出する第2のステップとを具えたことを特徴とするものである。
【0035】
本発明によると、主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために主吐出口から液体を吐出させる際に、少なくともすべての主吐出口から液体を吐出するステップ以外に、少なくともすべての副吐出口から液体を吐出するステップが設定されており、これによって主吐出口からの液体の吐出量が抑制される。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の形態による液体吐出ヘッドにおいて、副吐出口が開口する液室とこの副吐出口に隣接する主吐出口が開口する液室との間に、共通液室に連通すると共に吐出口を持たない少なくとも1つのダミー液室をさらに具えてもよい。この場合、ダミー液室と副吐出口を有する液室とを交互に配列してもよく、ダミー液室に吐出エネルギー発生部を設けてもよい。相互に隣接する副吐出口と主吐出口との間隔が主吐出口の配列間隔の2倍以上かつ5倍以下の整数倍であってもよく、副吐出口の開口面積を主吐出口の開口面積よりも大きく設定してもよい。また、副吐出口の開口形状を主吐出口の開口形状と相違させてもよい
【0040】
本発明の第2〜第4の形態による液体吐出ヘッドの駆動方法において、前記主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向他端側に前記主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口をさらに具え、前記主吐出口の配列方向一端側に位置する前記副吐出口からの液体の吐出に続き、前記主吐出口の配列方向他端側に位置する前記副吐出口から順に液体が吐出されるものであってもよい。また、1つの前記副吐出口からの液体の吐出量は、同時に駆動される1つの前記主吐出口からの液体の吐出量よりも多くてもかまわない。さらに、前記主吐出口からプリント媒体に液体を吐出する際の吐出駆動周波数よりも、前記副吐出口と同時に液体を吐出する際の吐出駆動周波数の方を小さくしてもよい。
【0041】
本発明の第3〜第5の形態による液体吐出ヘッドの駆動方法において、1つの前記副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの前記主吐出口は、この副吐出口に対して前記主吐出口の配列間隔の2倍以上離れていてもよい。
【0042】
本発明の第5の形態による液体吐出ヘッドの駆動方法において、前記主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向他端側に前記主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口をさらに具え、前記主吐出口の配列方向一端側に位置する前記副吐出口からの液体の吐出に続き、前記主吐出口の配列方向他端側に位置する前記副吐出口から順に液体が吐出され、前記主吐出口の配列方向他端側に位置する最初および最後の前記副吐出口とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第2のグループから選択されるのに対し、前記主吐出口の配列方向他端側に位置して最初および最後の前記副吐出口以外の少なくとも1つの前記副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第1のグループから選択されるものであってもよい。
【0047】
【実施例】
本発明をインクジェットプリンタに応用した実施例について、図1〜図47を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限らず、これらをさらに組み合わせたり、この明細書の特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるべき他の技術にも応用することができる。
【0048】
[装置本体]
図1及び図2にインクジェット記録方式を用いたプリンタの概略構成を示す。図1において、この実施形態におけるプリンタの外殻をなす装置本体M1000は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003及び排出トレイM1004の外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図2参照)とから構成される。
【0049】
前記シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、記録装置の骨格をなし、後述の各記録動作機構を保持するものとなっている。
【0050】
また、前記下ケースM1001は装置本体M1000の略下半部を、上ケースM1002は装置上本体M1000の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなし、その上面部及び前面部にはそれぞれ開口部が形成されている。
【0051】
さらに、前記排出トレイM1004はその一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録シートが排出可能となると共に排出された記録シートPを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004a,M1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0052】
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0053】
また、上ケースM1002の後部上面には、電源キーE0018及びレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LED E0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯し記録可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化をさせたり、ブザーE0021(図7)をならすことによりプリンタのトラブル等をオペレータに知らせる等種々の表示機能を有する。なお、トラブル等が解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによって記録が再開されるようになっている。
【0054】
[記録動作機構]
次に、上記プリンタの装置本体M1000に収納、保持される本実施形態における記録動作機構について説明する。
【0055】
本実施形態における記録動作機構としては、記録シートPを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出される記録シートPを所望の記録位置へと導くと共に、記録位置から排出部M3030へと記録シートPを導く搬送部M3029と、搬送部M3029に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部と、前記記録部等に対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
【0056】
(記録部)
ここで、前記記録部を説明する。
【0057】
前記キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカートリッジH1000とからなる。
【0058】
記録ヘッドカートリッジ
まず、前記記録ヘッドカートリッジについて図3〜図5に基づき説明する。
【0059】
この実施形態における記録ヘッドカートリッジH1000は、図3に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有し、前記記録ヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
【0060】
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクが用意されており、図4に示すように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
【0061】
そして,前記記録ヘッドH1001は、図5の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800から構成されている。
【0062】
記録素子基板H1100には、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、前記記録素子基板H1100は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、前記記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と記録素子基板H1100とが電気的に接続されるよう電気配線基板H1300aを保持している。この電気配線基板H1300は、前記記録素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、前記外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0063】
一方、前記インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が超音波溶着され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に亘るインク流路H1501を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、前記係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0064】
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、前記記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録素子部とを、接着等で結合することにより、記録ヘッドH1001を構成している。
【0065】
キャリッジ
次に、図2に基づき前記キャリッジM4001を説明する。
【0066】
図示のように、キャリッジM4001には、キャリッジM4001と係合し記録ヘッドH1001をキャリッジM4001の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、記録ヘッドH1001のタンクホルダーH1500と係合し記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。
【0067】
すなわち、ヘッドセットレバーM4007はキャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられると共に、記録ヘッドH1001との係合部には不図示のヘッドセットプレートがばねを介して備えられ、このばね力によって記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
【0068】
またキャリッジM4001の記録ヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部と記録ヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)H1301とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0069】
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部とキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部とキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらに前記コンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板E0013に接続されている(図7参照)。
【0070】
[スキャナ]
この実施形態におけるプリンタは、記録ヘッドを示すようなスキャナと交換することで読取装置としても使用することができる。
【0071】
このスキャナは、プリンタ側のキャリッジと共に移動し、記録媒体に代えて給送された原稿画像を副走査方向において読み取るようになっており、その読み取り動作と原稿の給送動作とを交互に行うことにより、1枚の原稿画像情報を読み取るようになっている。
【0072】
図6はこのスキャナM6000の概略構成を示す図である。
【0073】
図示のように、スキャナホルダM6001は箱型形状をなしており、その内部には読み取りに必要な光学系・処理回路などが収納されている。また、このスキャナM6000をキャリッジM4001へと装着した時、原稿面と対面する部分にはスキャナ読取レンズM6006が設けられており、ここから原稿画像を読み取るようになっている。スキャナ照明レンズM6005は内部に不図示の光源を有し、その光源から発せられた光が原稿へと照射される。
【0074】
前記スキャナホルダM6001の底部に固定されたスキャナカバーM6003は、スキャナホルダM6001内部を遮光するように嵌合し、側面に設けられたルーバー状の把持部によってキャリッジM4001への着脱操作性の向上を図っている。スキャナホルダM6001の外形形状は記録ヘッドH1001と略同形状であり、キャリッジM4001へは記録ヘッドカートリッジH1000と同様の操作で着脱することができる。
【0075】
また、スキャナホルダM6001には、前記処理回路を有する基板が収納される一方、この基板に接続されたスキャナコンタクトPCBが外部に露出するよう設けられており、キャリッジM4001へとスキャナM6000を装着した際、前記スキャナコンタクトPCB M6004がキャリッジM4001側のコンタクトFPC E0011に接触し、前記基板を、前記キャリッジM4001を介して本体側の制御系に電気的に接続させるようになっている。
【0076】
次に、本発明の実施形態における電気的回路構成を説明する。
【0077】
図7は、この実施形態における電気的回路の全体構成を概略的に示す図である。
【0078】
この実施形態における電気的回路は、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015等によって構 成されている。
【0079】
ここで、前記電源ユニットは、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
【0080】
また、キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4001(図2)に搭載されたプリント基板ユニットであり、コンタクトFPC E0011を通じて記録ヘッドとの信号の授受を行うインターフェースとして機能する他、キャリッジM4001の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づき、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。
【0081】
さらに、メインPCBはこの実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、ASFセンサE0009、カバーセンサE0022、パラレルインターフェース(パラレルI/F)E0016、シリアルインターフェース(シリアルI/F)E0017、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、ブザーE0021等に対するI/Oポートを基板上に有し、さらにCRモータE0001、LFモータE0002、PGモータE0003と接続されてこれらの駆動を制御する他、インクエンドセンサE0006、GAPセンサE0008、PGセンサE0010、CRFFC E0012、電源ユニットE0015との接続インターフェイスを有する。
【0082】
図8は、メインPCBの内部構成を示すブロック図である。
【0083】
図8において、E1001はCPUであり、このCPU E1001は内部にオシレータOSC E1002を有すると共に、発振回路E1005に接続されてその出力信号E1019によりシステムクロックを発生する。また、制御バスE1014を通じてROM E1004およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)E1006に接続され 、ROMに格納されたプログラムに従って、ASICの制御、電源キーからの入力信号E1017、及びリジュームキーからの入力信号E1016、カバー検出信号E1042、ヘッド検出信号(HSENS)E1013の状態の検知を行ない、さらにブザー信号(BUZ)E1018によりブザーE0021を駆動し、内蔵されるA/DコンバータE1003に接続されるインクエンド検出信号(INKS)E1011及びサーミスタ温度検出信号(TH)E1012の状態の検知を行う一方、その他各種論理演算・条件判断等を行ない、インクジェット記録装置の駆動制御を司る。
【0084】
ここで、ヘッド検出信号E1013は、記録ヘッドカートリッジH1000からフレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013及びコンタクトフレキシブルプリントケーブルE0011を介して入力されるヘッド搭載検出信号であり、インクエンド検出信号はインクエンドセンサE0006から出力されるアナログ信号、サーミスタ温度検出信号E1012はキャリッジ基板E0013上に設けられたサーミスタ(図示せず)からのアナログ信号である。
【0085】
E1008はCRモータドライバであって、モータ電源(VM)E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのCRモータ制御信号E1036に従って、CRモータ駆動信号E1037を生成し、CRモータE0001を駆動する。E1009はLF/PGモータドライバであって、モータ電源E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのパルスモータ制御信号(PM制御信号)E1033に従ってLFモータ駆動信号E1035を生成し、これによってLFモータを駆動すると共に、PGモータ駆動信号E1034を生成してPGモータを駆動する。
【0086】
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1006からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。パラレルI/F E0016は、ASIC E1006からのパラレルI/F信号E1030を、外部に接続されるパラレルI/FケーブルE1031に伝達し、またパラレルI/FケーブルE1031の信号をASIC E1006に伝達する。シリアルI/F E0017は、ASIC E1006からのシリアルI/F信号E1028を、外部に接続されるシリアルI/FケーブルE1029に伝達し、また同ケーブルE1029からの信号をASIC E1006に伝達する。
【0087】
一方、前記電源ユニットE0015からは、ヘッド電源(VH)E1039及びモータ電源(VM)E1040、ロジック電源(VDD)E1041が供給される。また、ASIC E1006からのヘッド電源ON信号(VHON)E1022及びモータ電源ON信号 (VMOM)E1023が電源ユニットE0015に入力され、それぞれヘッド電源E1039及びモータ電源E1040のON/OFFを制御する。電源ユニットE0015から供給されたロジック電源(VDD)E1041は、必要に応じて電圧変換された上で、メインPCB E0014内外の各部へ供給される。
【0088】
またヘッド電源E1039は、メインPCB E0014上で平滑された後にフレキシブルフラットケーブルE0011へと送出され、記録ヘッドカートリッジH1000の駆動に用いられる。
【0089】
E1007はリセット回路で、ロジック電源電圧E1040の低下を検出して、CPU E1001及びASIC E1006にリセット信号(RESET)E1015を供給し、初期化を行なう。
【0090】
このASIC E1006は1チップの半導体集積回路であり、制御バスE1014を通じてCPU E1001によって制御され、前述したCRモータ制御信号E1036、PM制御信号E1033、電源制御信号E1024、ヘッド電源ON信号E1022、及びモータ電源ON信号E1023等を出力し、パラレルI/F E0016およびシリアルI/F E0017との信号の授受を行なう他、PEセンサE0007からのPE検出信号(PES)E1025、ASFセンサE0009からのASF検出信号(ASFS)E1026、GAPセンサE0008からのGAP検出信号(GAPS)E1027、PGセンサE0007からのPG検出信号(PGS)E1032の状態を検知して、その状態を表すデータを制御バスE1014を通じてCPU E1001に伝達し、入力されたデータに基づきCPU E1001はLED駆動信号E1038の駆動を制御してLEDE0020の点滅を行なう。
【0091】
さらに、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドカートリッジH1000とのインターフェイスをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はフレキシブルフラットケーブルE0012を通じて入力されるCRエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013、及びコンタクトFPC E0011を経て記録ヘッドH1000に供給される。
【0092】
図9は、ASIC E1006の内部構成を示すブロック図である。
【0093】
なお、同図において、各ブロック間の接続については、記録データやモータ制御データ等、ヘッドや各部機構部品の制御にかかわるデータの流れのみを示しており、各ブロックに内蔵されるレジスタの読み書きに係わる制御信号やクロック、DMA制御にかかわる制御信号などは図面上の記載の煩雑化を避けるため省略している。
【0094】
図中、E2002はPLLであり、図9に示すように前記CPU E1001から出力されるクロック信号(CLK)E2031及びPLL制御信号(PLLON)E2033により、ASIC E1006内の大部分へと供給するクロック(図示しない)を発生する。
【0095】
また、E2001はCPUインターフェース(CPUI/F)であり、リセット信号E1015、CPU E1001から出力されるソフトリセット信号(PDWN)E2032、クロック信号(CLK)E2031及び制御バスE1014からの制御信号により、以下に説明するような各ブロックに対するレジスタ読み書き等の制御や、一部ブロックへのクロックの供給、割り込み信号の受け付け等(いずれも図示しない)を行ない、CPU E1001に対して割り込み信号(INT)E2034を出力し、ASIC E1006内部での割り込みの発生を知らせる。
【0096】
また、E2005はDRAMであり、記録用のデータバッファとして、受信バッファE2010、ワークバッファE2011、プリントバッファE2014、展開用データバッファE2016などの各領域を有すると共に、モータ制御用としてモータ制御バッファE2023を有し、さらにスキャナ動作モード時に使用するバッファとして、上記の各記録用データバッファに代えてスキャナ取込みバッファE2024、スキャナデータバッファE2026、送出バッファE2028などの領域を有する。
【0097】
また、このDRAM E2005は、CPU E1001の動作に必要なワーク領域としても使用されている。すなわち、E2004はDRAM制御部であり、制御バスによるCPU E1001からDRAM E2005へのアクセスと、後述するDMA制御部E2003からDRAM E2005へのアクセスとを切り替えて、DRAM E2005への読み書き動作を行なう。
【0098】
DMA制御部E2003では、各ブロックからのリクエスト(図示せず)を受け付けて、アドレス信号や制御信号(図示せず)、書込み動作の場合には書込みデータ(E2038、E2041、E2044、E2053、E2055、E2057)などをRAM制御部に出力してDRAMアクセスを行なう。また読み出しの場合には、DRAM制御部E2004からの読み出しデータ(E2040、E2043、E2045、E2051、E2054、E2056、E2058、E2059)を、リクエスト元のブロックに受け渡す。
【0099】
また、E2006は1284I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、パラレルI/F E0016を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、記録時にはパラレルI/F E0016からの受信データ(PIF受信データE2036)をDMA処理によって受信制御部E2008へと受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(1284送信データ(RDPIF)E2059)をDMA処理によりパラレルI/Fに送信する。
【0100】
E2007はUSBI/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、シリアルI/F E0017を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、印刷時にはシリアルI/F E0017からの受信データ(USB受信データE2037)をDMA処理により受信制御部E2008に受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(USB送信データ(RDUSB)E2058)をDMA処理によりシリアルI/F E0017に送信する。受信制御部E2008は、1284I/F E2006もしくはUSBI/F E2007のうちの選択されたI/Fからの受信データ(WDIF)E2038)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ書込みアドレスに、書込む。
【0101】
E2009は圧縮・伸長DMAであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、受信バッファE2010上に格納された受信データ(ラスタデータ)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ読み出しアドレスから読み出し、そのデータ(RDWK)E2040を指定されたモードに従って圧縮・伸長し、記録コード列(WDWK)E2041としてワークバッファ領域に書込む。
【0102】
E2013は記録バッファ転送DMAで、CPUI/F E2001を介したCPU E1007の制御によってワークバッファE2011上の記録コード(RDWP)E2043を読み出し、各記録コードを、記録ヘッドカートリッジH1000へのデータ転送順序に適するようなプリントバッファE2014上のアドレスに並べ替えて転送(WDWP E2044)する。また、E2012はワーククリアDMAであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御によって記録バッファ転送DMA E2015による転送が完了したワークバッファ上の領域に対し、指定したワークフィルデータ(WDWF)E2042を繰返し書込む。
【0103】
E2015は記録データ展開DMAであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御部E2018からのデータ展開タイミング信号E2050をトリガとして、プリントバッファ上に並べ替えて書込まれた記録コードと展開用データバッファE2016上に書込まれた展開用データとを読み出し、展開記録データ(RDHDG)E2045を生成し、これをカラムバッファ書込みデータ(WDHDG)E2047としてカラムバッファE2017に書込む。ここで、カラムバッファE2017は、記録ヘッドカートリッジH1000へと転送データ(展開記録データ)とを一時的に格納するSRAMであり、記録データ展開DMAとヘッド制御部とのハンドシェーク信号(図示せず)によって両ブロックにより共有管理されている。
【0104】
E2018はヘッド制御部で、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御信号を介して記録ヘッドカートリッジH1000またはスキャナとのインターフェイスを行なう他、エンコーダ信号処理部E2019からのヘッド駆動タイミング信号E2049に基づき、記録データ展開DMAに対してデータ展開タイミング信号E2050の出力を行なう。
【0105】
また、印刷時には、前記ヘッド駆動タイミング信号E2049に従って、カラムバッファから展開記録データ(RDHD)E2048を読み出し、そのデータをヘッド制御信号E1021を通じて記録ヘッドカートリッジH1000に出力する。
【0106】
また、スキャナ読み取りモードにおいては、ヘッド制御信号E1021を通して入力された取込みデータ(WDHD)E2053をDRAM E2005上のスキャナ取込みバッファE2024へとDMA転送する。E2025はスキャナデータ処理DMAであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナ取込みバッファE2024に蓄えられた取込みバッファ読み出しデータ(RDAV)E2054を読み出し、平均化等の処理を行なった処理済データ(WDAV)E2055をDRAM E2005上のスキャナデータバッファE2026に書込む。
【0107】
E2027はスキャナデータ圧縮DMAで、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナデータバッファE2026上の処理済データ(RDYC)E2056を読み出してデータ圧縮を行ない、圧縮データ(WDYC)E2057を送出バッファE2028に書込み転送する。
【0108】
E2019はエンコーダ信号処理部であり、エンコーダ信号(ENC)を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってヘッド駆動タイミング信号E2049を出力する他、エンコーダ信号E1020から得られるキャリッジM4001の位置や速度にかかわる情報をレジスタに格納して、CPU E1001に提供する。CPU E1001はこの情報に基づき、CRモータE0001の制御における各種パラメータを決定する。また、E2020はCRモータ制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、CRモータ制御信号E1036を出力する。
【0109】
E2022はセンサ信号処理部で、PGセンサE0010、PEセンサE0007、ASFセンサE0009、及びGAPセンサE0008等から出力される各検出信号を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってこれらのセンサ情報をCPU E1001に伝達する他、LF/PGモータ制御部DMA E2021に対してセンサ検出信号E2052を出力する。
【0110】
LF/PGモータ制御DMAE2021は、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、DRAM E2005上のモータ制御バッファE2023からパルスモータ駆動テーブル(RDPM)E2051を読み出してパルスモータ制御信号Eを出力する他、動作モードによっては前記センサ検出信号を制御のトリガとしてパルスモータ制御信号E1033を出力する。
【0111】
また、E2030はLED制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、LED駆動信号E1038を出力する。さらに、E2029はポート制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド電源ON信号E1022、モータ電源ON信号E1023、及び電源制御信号E1024を出力する。
【0112】
次に、上記のように構成された本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の動作を図10のフローチャートに基づき説明する。
【0113】
AC電源に本装置が接続されると、まず、ステップS1では装置の第1の初期化処理を行なう。この初期化処理では、本装置のROMおよびRAMのチェックなどの電気回路系のチェックを行ない、電気的に本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0114】
次にステップS2では、装置本体M1000の上ケースM1002に設けられた電源キーE0018がONされたかどうかの判断を行い、電源キーE0018が押された場合には、次のステップS3へと移行し、ここで第2の初期化処理を行う。
【0115】
この第2の初期化処理では、本装置の各種駆動機構及びヘッド系のチェックを行なう。すなわち、各種モータの初期化やヘッド情報の読み込みを行うに際し、本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0116】
次にステップS4ではイベント待ちを行なう。すなわち、本装置に対して、外部I/Fからの指令イベント、ユーザ操作によるパネルキーイベントおよび内部的な制御イベントなどを監視し、これらのイベントが発生すると当該イベントに対応した処理を実行する。
【0117】
例えば、ステップS4で外部I/Fからの印刷指令イベントを受信した場合には、ステップS5へと移行し、同ステップでユーザ操作による電源キーイベントが発生した場合にはステップS10へと移行し、同ステップでその他のイベントが発生した場合にはステップS11へと移行する。
【0118】
ここで、ステップS5では、外部I/Fからの印刷指令を解析し、指定された紙種別、用紙サイズ、印刷品位、給紙方法などを判断し、その判断結果を表すデータを本装置内のRAM E2005に記憶し、ステップS6へと進む。
【0119】
次いでステップS6ではステップS5で指定された給紙方法により給紙を開始し、用紙を記録開始位置まで送り、ステップS7に進む。
【0120】
ステップS7では記録動作を行なう。この記録動作では、外部I/Fから送出されてきた記録データを、一旦記録バッファに格納し、次いでCRモータE0001を駆動してキャリッジM4001の走査方向への移動を開始すると共に、プリントバッファE2014に格納されている記録データを記録ヘッドH1001へと供給して1行の記録を行ない、1行分の記録データの記録動作が終了するとLFモータE0002を駆動し、LFローラM3001を回転させて用紙を副走査方向へと送る。この後、上記動作を繰り返し実行し、外部I/Fからの1ページ分の記録データの記録が終了すると、ステップ8へと進む。
【0121】
ステップS8では、LFモータE0002を駆動し、排紙ローラM2003を駆動し、用紙が完全に本装置から送り出されたと判断されるまで紙送りを繰返し、終了した時点で用紙は排紙トレイM1004a上に完全に排紙された状態となる。
【0122】
次にステップS9では、記録すべき全ページの記録動作が終了したか否かを判定し、記録すべきページが残存する場合には、ステップS5へと復帰し、以下、前述のステップS5〜S9までの動作を繰り返し、記録すべき全てのページの記録動作が終了した時点で記録動作は終了し、その後ステップS4へと移行し、次のイベントを待つ。
【0123】
一方、ステップS10ではプリンタ終了処理を行ない、本装置の動作を停止させる。つまり、各種モータやヘッドなどの電源を切断するために、電源を切断可能な状態に移行した後、電源を切断しステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0124】
また、ステップS11では、上記以外の他のイベント処理を行なう。例えば、本装置の各種パネルキーや外部I/Fからの回復指令や内部的に発生する回復イベントなどに対応した処理を行なう。なお、処理終了後にはステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0125】
次に、本発明の液体吐出ヘッドとしての上述した記録ヘッドH1001の具体的な構成について、さらに詳細に説明する。
【0126】
本実施例における記録ヘッドH1001の外観を図11に示し、その概略構造を図12に破断状態で示し、そのXIII−XIII矢視断面構造を図13に示す。すなわち、12は上述した記録素子である電気熱変換素子11が複数配列された記録素子基板H1100である発熱基板、13mはプリント作業時にインク滴を吐出させるための主吐出口、13sはプリント作業時にインク滴が吐出されない副吐出口であり、これら2種類の吐出口13m,13sは上述した吐出口H1100Tに相当する。14はこれら二種類の吐出口13m,13sにインクを供給するための複数のインク室、15は複数のインク室14がそれぞれ連通すると共にインクが供給される発熱基板12に開口した本発明の細長い共通液室としての共通インク室であり、上述したインク供給口H1201に対応する。また、16は発熱基板12にプリント信号を与えるための信号線を配線した配線基板であり、上述した電気配線基板H1300に対応する。
【0127】
発熱基板12は、通常、Siウェハ上に発熱抵抗層および配線などがフォトリソグラフィ 技術によってパターニングされ、インク室14、吐出口13m,13sを感光性樹脂によって作成し、異方性エッチングなどによって共通インク室15を形成した後、Siウェハを切 断することによって形成される。そして、この発熱基板12には、電気熱変換素子11を駆動するための電気的信号の受け渡しを行う配線基板16が実装技術によって接続され、さらに発熱基板12は第1のプレートH1200である支持部材17の上に固定されている。
【0128】
本実施例では、共通インク室15を挟んで相互に平行な2列の吐出口13m,13sを相互に半ピッチずらしていわゆる千鳥状に配列しており、一方の列の主吐出口13mの配列方向の両端側に2つの副吐出口13sをそれぞれ配置しており、実際のプリント作業の際に用いられる主吐出口13mに対応したインク室14を600dpiのピッチPmで配列し、その外側にプリント作業時に使用しない副吐出口13sに対応したインク室14を300dpiのピ ッチPsで配置している。
【0129】
各々のインク室14には電気熱変換素子11が設けられ、それぞれ吐出口13m,13sからインクが吐出できるようにしているが、上述したように副吐出口13sは、実際のプリント作業時にインク滴が吐出されず、このプリント作業に先立って行われる予備吐出操作などの場合にのみ、電気熱変換素子11を駆動してインク滴を副吐出口13sから吐出できるようにしている。この場合、副吐出口13sからの予備吐出を主吐出口13mからの予備吐出よりも吐出しやすい条件で行うことが好ましい。
【0130】
従って、吐出不良などの回復およびインク室14内へのインク充填の際に行われる吐出口13m,13sからの吸引回復時において、副吐出口13sが開口するインク室14からもインクの吸引が行われるため、共通インク室15の長手方向両端部に介在する気泡の排出、つまり泡抜けが良好になる。また、副吐出口13sが開口するインク室14内に異なる色のインクが入り込んだとしても、吸引回復処理の後に予備吐出操作を行って副吐出口13sからもインク滴を吐出させることにより、混色インクを副吐出口13sから排出することが可能となり、記録ヘッドH1001内でのインクの混色を防止することができる。
【0131】
しかも、本実施例においては実際のプリント作業で使用するインク室14の配列ピッチPmを600dpiとし、副吐出口13sが開口するインク室14の配列ピッチPsを300dpi(あるいは150dpiに設定することも可能である)の粗いピッチPsで配置しているため、実際のプリント作業で使用する主吐出口13mの配列方向最外端から広い領域を相対的に少ない数の副吐出口13sを持ったインク室14で配置することができ、インクの混色を減少することができると共に電気熱変換素子11の数も減らすことができ、安価に提供できる。
【0132】
上述した実施例では、副吐出口13sを有するインク室14の配列ピッチPsを実際のプ リント作業で使用する主吐出口13mの配列ピッチPmの2倍に設定したが、5倍まで広げ るようにしても良く、この場合には整数倍であることが好ましい。また、吐出口を持たないダミーインク室14dを副吐出口13sを有するインク室14と交互に配置するようにしてもよい。
【0133】
このような本発明による液体吐出ヘッドの他の実施例の概略構造を図14に示し、そのXV−XV矢視断面構造を図15に示すが、先の実施例と同一機能の部材にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、本実施例においては、吐出口を持たないダミーインク室14dと副吐出口13Sを有するインク室14とを主吐出口13mが開口するインク室14の配列ピッチPmと同一ピッチにて交互に1列当たり2つずつ配列 している。
【0134】
このように、ダミーインク室14dおよび副吐出口13sを有するインク室14の配列ピッチPsを実際のプリント作業において使用する主吐出口13mを有するインク室14の配 列ピッチPmと同一配列ピッチとすることにより、実際のプリント作業において使用される インク室14の均一化をより一層図ることができ、特にダミーインク室14dに隣接する主吐出口13mを持ったインク室14の均一性を高めることができる。
【0135】
なお、本実施例ではダミーインク室14dと副吐出口13sを有するインク室14とを交互に配列したが、ダミーインク室14dの割合を増やし、例えば2つあるいは3つ置きにダミーインク室14dに対して副吐出口13sを有するインク室14を配置するようにしてもよい。この場合には、吸引操作による回復処理の際に、副吐出口13sから吸引されるインク量をさらに抑制することができる。
【0136】
上述した実施例では、ダミーインク室14dおよび副吐出口13sを有するインク室14の配列ピッチPsを実際のプリント作業において使用する主吐出口13mを有するインク室 14の配列ピッチPmと同一配列ピッチとしたが、2倍以上にすることも可能である。
【0137】
このような本発明による液体吐出ヘッドの別な実施例の概略構造を図16に示し、そのXVII−XVII矢視断面構造を図17に示すが、先の実施例と同一機能の部材にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、本実施例においては、吐出口を持たないダミーインク室14dと副吐出口13Sを有するインク室14とを主吐出口13mが開口するインク室14の配列ピッチPmの2倍のピッチPsにて1列当たり1つずつ配列している。
【0138】
このように、副吐出口13sをダミーインク室14dの最外側に1つだけ形成した場合、副吐出口13sから排出されるインクの流速を高めることが可能となり、共通インク室15の長手方向端部に介在する気泡を排出する効果を高めることができる。また、副吐出口13sを主吐出口13mの配列方向に沿って最小限設けたため、記録ヘッドH1001内でのインク混色を最小限に抑えることができる。
【0139】
上述した実施例では、副吐出口13sの寸法形状と主吐出口13mの寸法形状とは同じにしてあるが、これらを適当に変更することも可能である。
【0140】
このような本発明による液体吐出ヘッドの別な実施例の概略構造を図18に示し、そのXIX−XIX矢視断面構造を図19に示すが、先の実施例と同一機能の部材にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、本実施例においては、図16に示した実施例における副吐出口13sの寸法形状を主吐出口13mの寸法形状よりも大きな円形に設定している。
【0141】
本実施例に示すように1200dpiといった高精細の記録ヘッドH1001の場合、実際 のプリント作業の際にインク滴が吐出される主吐出口13mの開口面積はかなり小さくなる(例えば、直径が16μm以下)ため、吸引回復時の泡抜け性などの点で不利である。従っ て、本実施例のように副吐出口13sの直径を例えば20〜30μmに設定することにより 、副吐出口13sからの泡排出効果を高めることができる。この副吐出口13sの開口面積は、主吐出口13mの面積や配列数および吸引時の泡排出性やメニスカス保持などに応じて最適な値が決定される。
【0142】
また、主吐出口13mや副吐出口13sの形状は、上述した円形以外に、図20および図21に示すように、矩形でもよく、何れか一方が円形であってもよい。要するに、主吐出口13mと副吐出口13sとを相似形にする必要はなく、上記の開口面積を決定する際に副吐出口13sの形成時の安定性や泡排出性などから最適な形状を決定することが望ましい。これらの図20および図21において、先の実施例と先の実施例と同一機能の部材にはこれと同一符号を記してある。
【0143】
さらに本発明の別な実施例について、以下に説明する。本実施例における記録ヘッドH1001の吐出口13m,13sの配列状態を図22に示す。異なる種類(本実施例では6種類)のインクを吐出する主吐出口13mは、共通インク室15を挟んでそれぞれ600dpiの間隔で片側128個ずつその配列方向に沿って半ピッチずらした状態で配列しており、共通インク室15からインクが供給される。つまり、各色毎に合計256個の主吐出口13mが設けられ、その配列方向両端に副吐出口13sが4個ずつ300dpiの間隔で配列している。
【0144】
本実施例における共通インク室15の断面構造を図23に示し、ここに供給されるインクの流動状態を図24に模式的に示す。すなわち、共通液室15の長手方向両端部では、インクが流れずに滞留しやすく、ここに介在する気泡は記録ヘッドH1001の外部に排出されにくい。副吐出口13sは、吸引回復処理の際に共通インク室15内の長手方向両端部(以下この部分を淀み部と呼称する)18からの泡抜け性を向上させるために設けられたものである。具体的には、吸引回復処理の際における淀み部18に近接して副吐出口13sを形成し、この淀み部18からの泡抜け性の向上を企図したものである。
【0145】
本実施例においては、主吐出口13mの開口面積は約200μmであり、副吐出口13sの開口面積は約300μmである。副吐出口13sの開口面積が大きいほど、吸引回復処理の際の流れ抵抗が小さくなることから、泡抜け性を向上させるために副吐出口13sの開口面積を大きくすることが好ましい。
【0146】
本実施例では、吸引回復処理を図示しない1つのキャップで6色すべてを同時に実施するため、このキャップ内ではすべての色のインクが混ざり合う。このため、キャップ内の混色インクが記録ヘッドH1001の吐出口面に付着し、吸引動作を停止した後にインクタンクH1900内の負圧によってキャップ内の混色インクが吐出口13m,13sから記録ヘッドH1001内に吸引されてしまうおそれがある。この状態でプリント作業を実施すると、本来意図した色と異なる色のインクが吐出されてしまうため、プリント品位が著しく劣化することとなる。
【0147】
このような不具合を防止するため、吸引回復処理後に記録ヘッドH1001内に吸引された混色インクを吐出口13m,13sから排出するため、予備吐出処理を行う必要がある。
【0148】
この予備吐出処理による記録ヘッドH1001の回復については、2つの特性、すなわち一部の吐出口内で激しい混色が発生するけれども、すぐに回復する場合と、混色が長く残留する場合とを考慮する必要がある。
【0149】
このような2つの特性を模式的に図25および図26に示す。図25に示した状態は、吸引回復処理で共通インク室15内に混入した混色インクを即座に予備吐出処理した場合であり、混色インクは共通インク室15内で拡散する前に排出されるため、吐出口13mの配列方向に沿った一部の吐出口13mから一定期間だけ混色インクが吐出されることになる。この混色部分の混色度合いは激しい(濃い)けれども、少ない予備吐出回数が解消することができる。図26は、混色インクが共通インク室15内に混入してから時間の経過が数秒以上あり、その後に予備吐出処理を行った場合である。混色インクが共通インク室15内で拡散した後に予備吐出処理を実施しているため、混色部分の混色度合いは軽い(薄い)けれども、吐出口13mの配列方向に沿ったほぼ全域に亙ってすべての吐出口13mから混色インクが長期間に亙って吐出されることとなる。予備吐出処理を続けることによって、吐出口13mの配列方向に沿った共通インク室15の中央部では、インクの流速が相対的に速くなるため、吐出口13mの配列方向に沿ったその両側部分よりも早く回復を終えることができるものの、図26に示すような場合には、予備吐出回数を非常に多く設定する必要がある。
【0150】
1つの発熱基板12の電気的構成を図27に示し、記録ヘッドH1001の部分の電気的構成を図28に示す。すなわち、本実施例では3枚の発熱基板12が支持部材17上に取り付けられており、第1の発熱基板12には、黒色インク(以下、Kと表記する場合がある)および淡シアン色インク(以下、Lcと表記する場合がある)をそれぞれ吐出するための2つのインクジェットヘッドが組み込まれ、第2の発熱基板12には淡マゼンタ色インク(以下、Lmと表記する場合がある)およびシアン色インク(以下、Cと表記する場合がある)をそれぞれ吐出するための2つのインクジェットヘッドが組み込まれ、第3の発熱基板12にはマゼンタ色インク(以下、Mと表記する場合がある)および黄色インク(以下、Yと表記する場合がある)をそれぞれ吐出するための2つのインクジェットヘッドが組み込まれている。
【0151】
副吐出口13sに関し、その電気熱変換素子11に通電してインク滴を正常に吐出する場合と、電気熱変換素子11に通電してもインクが吐出されず、インク室14内に貯溜されたインクが加熱されるに止まる場合と、電気熱変換素子11を駆動しない場合との3つの状態が考えられる。
【0152】
副吐出口13sの電気熱変換素子11に通電してインク滴が正常に吐出される場合、すべての吐出口13m,13sからインク滴が吐出されるため、その直後の共通インク室15内にインクの滞留が均一に生じ、再度すべての吐出口13m,13sからインク滴を吐出させることで、共通インク室15内の混色インクなどを効率良く排出することができる。
【0153】
副吐出口13sの電気熱変換素子11に通電してもインクが吐出されない場合には、主吐出口13mのみからインク滴が吐出され、副吐出口13sを駆動したにもかかわらず、インクが吐出されない状態となる。この場合、副吐出口13sのインク室14内に介在するインクは、電気熱変換素子11によってその粘性が低下し、共通インク室15の長手方向両端側に位置する主吐出口13mの電気熱変換素子11を同時に駆動することにより、共通インク室15の長手方向両端部の淀み部18に滞留するインクを効率よく排出することができる。
【0154】
副吐出口13sの電気熱変換素子11を駆動しない場合、副吐出口13sからはインクが全く排出されないけれども、主吐出口13mからはインクを良好に吐出させることができる。
【0155】
副吐出口13sは、主吐出口13mと異なり、ヒートイネーブル信号HEKCL,ブロック分割信号BE0〜BE3,副吐出口吐出信号DHEによって電気熱変換素子11が駆動され、副吐出口13sを主吐出口13mとは独立して制御することができる。しかも、本実施例では図28に示すように、これらの信号線を2つのインクジェットヘッドで共通化し、その数を半減させている。
【0156】
本実施例における主吐出口13mおよび副吐出口13sからのインク滴の吐出方法を説明するが、まず通常のインクの吐出動作を説明する。
【0157】
プリント時などにおける通常のインク吐出は、プリントデータ信号とヒートパルス信号とのアンドで行われる。プリントデータ信号はインク滴の吐出の有無を決定し、ヒートパルス信号は吐出エネルギーの制御に関与する。また、吐出可能な吐出口13m,13sに対してこれらを全数同時に駆動すると、電力的および熱的に過大になるので、通常、これらを分割して駆動する。
【0158】
図29に1色分のインクジェットヘッドの電気熱変換素子11に対する駆動回路を示し、図30にその駆動タイミングを示す。1色分のインクジェットヘッドは、32ビットのシフトレジスタと4本のブロック信号とにより16分割された256個の主吐出口13mを具える。
【0159】
電気熱変換素子11は、パワートランジスタにより駆動され、電気熱変換素子11が加熱されることによってインク室14内に介在するインクに膜沸騰を生じさせ、インクを主吐出口13mから吐出させることができるようになっている。
【0160】
プリントデータは、HCLK信号とSi信号とを用いてシリアルで転送され、BG信号でラッチされる。ブロック分割信号は、BE0,BE1,BE2,BE3の4本の信号をデコーダによって16本にデコードし、16分割分された電気熱変換素子11のそれぞれをイネーブルとする。従って、データ信号と、選択されたブロック指定信号と、ヒートパルス信号HEとのアンドによって吐出制御が行われる。
【0161】
これに対し、副吐出口13sからのインク滴の吐出には、プリントデータは必要ないので、副吐出口吐出信号DHE,ヒート信号HE,ブロック分割信号BE0,BE1,BE2,BE3によって制御することができる。
【0162】
図31および図32は、それぞれ1色分の副吐出口13sの電気熱変換素子11に対する駆動回路と駆動タイミングとを示している。副吐出口13sを駆動する場合、DHE信号をはじめからオンにしておき、ブロック信号を切り替えながらヒート信号HEによって制御する。この時、プリントデータは転送してもしなくても副吐出口13sの駆動には関係がないので、必要な制御に合わせてプリントデータを送信すればよい。
【0163】
副吐出口13sの吐出順序を電気回路と関係付けた図33を用いて説明する。図の中央部分は、吐出口13m,13Sの位置関係を示しており、D0〜D7は副吐出口13sを表し、N0〜N255は主吐出口13mを表す。偶数番号列と奇数番号列の吐出口13m,13sとは、これらの配列ピッチ半分だけずらして配置されている。
【0164】
副吐出口13sは、それぞれの列の上側と下側とにそれぞれ2つずつ設けられている。図から明らかなように、D0〜D7の副吐出口13sは、それぞれ異なるブロックイネーブル信号線に接続されており、ブロックイネーブル信号は、図31に示すようにブロック分割信号BE0〜BE3をデコードした信号である。
【0165】
これによって、副吐出口13sを使用した際の消費電力が分散され、電源に対して大きな影響を与えない。また、このためにブロックイネーブル信号を使用することで、特別な信号線を追加することなく、ダミーヒータの駆動を可能としている。
【0166】
なお、主吐出口13m及び副吐出口13sの吐出方法は上記方法に限定されるものではない。
【0167】
次に、吐出口13mを含めた吐出順序を図34を用いて説明する。図34において、各吐出口13m,13sの側方に近接する丸付き数字が、各吐出口13m,13sに対応するブロックイネーブル信号を表しており、丸付き数字の順に予備吐出が行われるようになっている。このように、共通インク室15の長手方向一端側から順に吐出口13m,13sの電気熱変換素子11を駆動することも可能であるが、吐出口13m,13sの配列状態を表す図35およびその駆動順序を表す図36に示すように、共通インク室15の長手方向に沿って主吐出口13mを16個ずつAブロックとBブロックとの2組に交互に分け、以下に説明するように吐出することも可能である。すなわち、主吐出口13mの配列方向一端側に位置する副吐出口13sからの液体の吐出動作は、主吐出口13mの配列方向一端側からD0〜D3の順に行われ、主吐出口の配列方向一端側に位置する最初および最後の副吐出口DO,D3とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの主吐出口13mは、Aブロックから選択されるのに対し、途中の少なくとも2つの副吐出口D1,D2のうちの少なくとも一方と同時に液体を吐出する少なくとも2つの主吐出口13mは、Bブロックから選択される。主吐出口13mの配列方向一端側に位置する副吐出口13sからの吐出に続き、他端側に位置する副吐出口13sからの液体の吐出動作は、主吐出口13mの配列方向一端側からD4〜D7の順に行われ、先の場合と同様に、主吐出口13mの配列方向一端側に位置する最初および最後の副吐出口D4,D7とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの主吐出口13mは、Aブロックから選択されるのに対し、これらの間の2つの副吐出口D1,D2のうちの少なくとも一方(Dん実施例ではD6の副吐出口)と同時に液体を吐出する少なくとも2つの主吐出口13mは、Aブロックから選択される。
【0168】
本実施例で用いられる予備吐出処理においては、次の表1に示すように、11のモードがあり、各モードにおける予備吐出処理は、表1に示されたタイミングで実施される。ただし、予備吐出Dは吸引回復処理後に行われ、予備吐出Gは、払拭処理後に行われるモードであって、副吐出口13sからの予備吐出を含む後述するパターン予備吐出処理である。
【0169】
【表1】
Figure 0003619080
【0170】
なお、本実施例では主吐出口13mからの一回の吐出量は約4.5ピコリットルであり、副吐出口13sの一回の吐出量は約9ピコリットルである。
【0171】
次に、一連の吸引回復動作について図37のフローチャートにより説明すると、まずS11のステップにてPGモータE0003を駆動し、後述するチューブポンプM5100を回転させて吐出口13m,13sから記録ヘッドH1001の吸引を行う。S12のステップにてLFモータE0002を駆動して後述する大気連通弁M7001を開放し、後述するキャップM5001内を強制的に大気圧にして吸引を終了させる。チューブポンプM5100は引き続き回転しているため、S23の空吸引ステップが実行されてキャップM5001やキャップチューブM5009内に残っているインクを図示しない廃インク吸収体に排出することができる。次に、S24のステップにてチューブポンプM5100を停止し、キャップM5001を吐出口面から退避させた後、S25のステップにて吐出口面の払拭作業を実施することにより、この時点で吐出口面に付着している混色インクを払拭することが可能であり、キャップM5001を吐出口面から退避させた後の混色を防止することができる。そして、S16のステップにて混色インク排出のための予備吐出処理を行う。
【0172】
このS16での予備吐出処理を図38のフローチャートにてさらに詳細に説明すると、まずK,Lcに対応した第1の発熱基板12において、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させるが、これは、図34に示したような手順に従って繰り返される。その後、Lm,Cに対応した第2の発熱基板12において、同様にすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させ、次いでM,Yに対応した第3の発熱基板12において、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させる。
【0173】
次に、K,Lcに対応した第1の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する合計100個(片側50個)の主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ2000回ずつ予備吐出させるが、これも図34に示したような手順に従って繰り返される。同様に、Lm,Cに対応した第2の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側50個ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ2000回ずつ予備吐出させ、しかる後、M,Yに対応した第3の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側50個ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ2000回ずつ同様に予備吐出させる。
【0174】
次に、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させ、同様に、Lm,Cに対応した第2の発熱基板12において、同様にすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させ、しかる後、M,Yに対応した第3の発熱基板12において、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させる。
【0175】
次に、K,Lcに対応した第1の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側50個ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させ、同様にLm,Cに対応した第2の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側50個ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させ、しかる後、M,Yに対応した第3の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側50個ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ同様に予備吐出させる。
【0176】
そして、再びそれぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させ、同様に、Lm,Cに対応した第2の発熱基板12において、同様にすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させ、しかる後、M,Yに対応した第3の発熱基板12において、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させる。
【0177】
このような予備吐出Dモードにおける予備吐出パターンの概念を図39に示す。
【0178】
なお、予備吐出処理における吐出回数は、共通インク室15内に混入したインク量と混入してからの時間、すなわち共通インク室15内で混色インクが拡散する時間とから決定される値であり、上述した吐出回数は、実機を用いた実験によって充分に効果があることを確認した。
【0179】
本実施例のインクジェットプリンタにおいては、吐出口面に付着したインク滴などによる吐出不良を防止するため、プリント作業や予備吐出処理における吐出回数が所定回数に達した後に払拭処理を行っている。この払拭処理の手順について図40のフローチャートを用いて説明する。
【0180】
まず、S21のステップにて吐出ドット数の図示しないカウンタを0にクリアする。次に、S22のステップにてプリント信号に従って給紙を行うと共にS23のステップにてプリント動作を行う。この時、プリント媒体に対するプリント作業のために吐出されたインクの吐出ドット数および予備吐出処理にて吐出されるインクの吐出ドット数をカウントし、カウンタに加算する。プリント動作終了後、S25のステップにてプリントされたプリント媒体の排紙を行い、S26のステップにてカウンタの値とあらかじめ設定された所定値とを比較する。カウンタの値が所定値よりも小さい場合には、払拭処理を行わずS22のステップに戻って、プリント信号入力待ちの状態になる。S25のステップにてカウンタの値が所定値以上の場合は、S26のステップにて吐出口面に付着したインク滴を除去するための払拭処理を行い、さらにこの払拭処理いに伴う混色を防止するため、S27のステップにて予備吐出処理を行った後、S21のステップに戻ってカウンタの値を0にリセットする。
【0181】
ここで、S27における予備吐出処理の内容について図41のフローチャートを用い、さらに詳細に説明する。
【0182】
まず、K,Lcに対応した第1の発熱基板12において、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させるが、これは、図34に示したような手順に従って繰り返される。その後、Lm,Cに対応した第2の発熱基板12において、同様にすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させ、次いでM,Yに対応した第3の発熱基板12において、それぞれすべての主吐出口13mと副吐出口13sとからインク滴をそれぞれ500回ずつ予備吐出させる。
【0183】
次に、K,Lcに対応した第1の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する合計32個(片側16個)の主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させるが、これも図34に示したような手順に従って繰り返される。同様に、Lm,Cに対応した第2の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側16個ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ予備吐出させ、しかる後、M,Yに対応した第3の発熱基板12において、共通液室15の長手方向両端側にそれぞれ位置する片側516ずつの主吐出口13mと、すべての副吐出口13Sとからインク滴をそれぞれ1000回ずつ同様に予備吐出させる。
【0184】
このような予備吐出処理によるパターンを図42に概念的に示すが、前述した吸引回復処理後に行われる予備吐出処理と比較した場合、少量のインクしか共通インク室15内に混入しないので、相対的に少ない予備吐出回数で混色を解消することが可能であり、いたずらに予備吐出回数を増やすことなく、すなわち予備吐出処理に伴うインクミストの発生によるプリント装置筺体内部の汚染やインク浪費を招来することなく、混色を解消することができる。
【0185】
予備吐出パターンは上記のものに限定されるわけではなく、例えば図43に示すように、すべての主吐出口13mとすべての副吐出口13sとから例えば2000回ずつインク滴を吐出した後、副吐出口13sのみからインク滴を3000回ずつ吐出させるようにしてもよい。
【0186】
次に、吸引回復処理を行うためのチューブポンプM5100の構成について説明する。
【0187】
チューブポンプM5100は、前述したように、ポンプチューブM5019、キャップチューブM5009を介してキャップM5001に接続されている。このポンプM5100は、前記自動給送部M3022と本ポンプM5100とに駆動力の伝達経路を切り換える駆動切換手段とポンプ駆動伝達ギア列M5130とを介してPGモータE0003に連結されている。
【0188】
チューブポンプM5100は、をポンプコロM5018によってポンプチューブM5019をしごいて圧力を発生させるポンプであり、図44および図45にその構成を示す。図44はポンプコロM5018がポンプチューブM5019に圧接された状態を示す図であり、図45はポンプコロM5018のポンプチューブM5019への圧接力が解除された状態を示す図である。
【0189】
ポンプM5100は、ポンプチューブM5109と、ポンプ中心軸M5076を中心とした半円筒径(180度以上)の内壁を有し、ポンプチューブM5019を前記内壁に沿わせるポンプチューブガイドM5022と、ポンプチューブM5019をポンプチューブガイドM5022に圧接してしごくことで圧力を発生させるポンプコロM5018と、ポンプコロM5018を回転および移動可能に支持するポンプコロホルダM5020と、ポンプコロホルダM5020を回転軸M5020aで回転可能に支持し、自らも回転軸M5076に回転可能に支持されるポンプコロガイドM5021と、ポンプコロガイドM5021とポンプコロホルダM5020との間で作用し、ポンプコロM5018がポンプチューブM5019をポンプチューブガイドM5022に圧接する役割をするポンプコロ圧接ばねM5025とで構成されている。
【0190】
また、ポンプコロM5018,ポンプコロホルダM5020,ポンプコロ圧接ばねM5025は、ポンプ中心軸M5076に対して180度の角度位相差をもってポンプコロガイドM5021上に2個ずつ設けられている。
【0191】
また、このポンプM5100には、ポンプチューブM5019をしごくポンプコロM5018のポンプチューブM5019への圧接力を解除できる機構が設けられている。
【0192】
ポンプコロM5018は、ポンプコロホルダM5020に設けられた移動溝M5020b内を軸が移動できるように構成されている。
【0193】
図44の状態では、ポンプコロM5018とポンプコロホルダM5020の移動溝M5020bとの位置関係は、ポンプ中心軸5076からポンプコロM5018までの距離が大きく、ポンプコロM5018がポンプチューブM5019を圧接する状態(チューブ内壁を密着させる状態)になる。
【0194】
図45の状態では、ポンプコロM5018は、ポンプ中心軸5076からの距離が小さく、ポンプチューブM5019を圧接しない状態になる。
【0195】
PGモータE0003が正転方向に回転する時には、ポンプM5100内の各部材はポンプ中心軸M5076を中心に、図45中の矢印F2方向に回転し、ポンプコロM5018は、ポンプチューブM5019との間に発生する摩擦力によって、ポンプコロホルダM5020の移動溝M5020bを矢印G2方向に相対的に移動する。従って、PGモータE0003が正転するときには、ポンプコロM5018の圧接力が解除され、吸引圧は発生しない。
【0196】
PGモータE0003が逆転方向に回転する時には、ポンプM5100内の各部材はポンプ中心軸M5076を中心に、図44中の矢印F1方向に回転し、ポンプコロM5018は、コロダンパーM5016を通過する時に、コロダンパーM5016の付勢力により、ポンプコロホルダM5020の移動溝M5020bを矢印G1方向に相対的に移動する。従って、PGモータE0003が逆転するときには、ポンプコロM5018の圧接力が作用し、ポンプチューブM5019をしごくことができ、吸引圧を発生することができる。
【0197】
この吸引回復処理に関する制御および駆動系の概略構成を図46に示す。すなわち、CPU E1001は、LP/PGモータドライバE0017を介してPGモータE0003およびLFモータE0002を駆動制御する。
【0198】
PGモータE0003の一方の軸は、ワンウェイクラッチM5041,キャップ駆動伝達ギア列M5110およびキャップカムおよびキャップレバーM5004を介してキャップM5001に連結されており、PGモータE0003の正転方向への回転によって、キャップM5001を記録ヘッドH1001の記録素子基板H1100に密着して当接させる。
【0199】
PGモータE0003の他方の軸は、振り子アームM5026および切換えレバー1M5043などで構成される駆動切換手段、ポンプ駆動伝達ギア列M5130を介してチューブポンプM5130の回転軸M5076に連結されている。前述したように、PGモータE0003が逆転するときには、チューブポンプM5130は吸引圧を発生させることができるが、PGモータE0003が正転するときには、チューブポンプM5130は吸引圧を発生させることができない。LFモータE0002は、排出ローラM2003を回転駆動する。排出ローラM2003は、バルブ駆動伝達ギア列M5140,バルブクラッチM5048,バルブカムM5036などで構成されるバルブ駆動系M7002を介して大気連通弁M7001と連結されている。大気連通弁M7001は、バルブチューブM5010の大気に対する開閉を行うもので、前述したバルブレバーM5038およびバルブゴムM5036で構成されている。LFモータE002が逆転されて排出ローラM2003は逆転方向に駆動される場合、大気連通弁M7001は開となり、LFモータE002が正転して排出ローラM2003が正転方向に駆動される場合、大気連通弁M7001は閉となる。
【0200】
次に、この吸引回復処理の動作シーケンスを図47に示すフローチャートに従って説明する。なお、以下の説明においては、パルスモータであるPGモータE003は、指令パルス信号の478パルス分で、ポンプコロM5018が回転軸M5076を中心に1回転(1周)するものとする。
【0201】
まず、CPU E1001は、PGモータE0003を正転させ、キャップカムおよびキャップレバーM5004を駆動することにより、キャップM5001を記録ヘッドH1001の記録素子基板H1100(吐出口面)側に移動させ、吐出口面をキャッピングする(ステップS11)。この時、PGモータE0003の正転によって、チューブポンプM5100も動作するが、このときには、前述したように、ポンプコロM5018のポンプチューブM5019に対する圧接力は解除されているため、ポンプコロM5018はポンプチューブM5019をしごかず、吸引圧は発生しない。また、この状態のときには、大気連通弁M7001は解放されている。
【0202】
次に、CPU E1001がLFモータE002を駆動して排紙ローラM2003を正転方向に駆動することで、大気連通弁7001を閉じ、PGモータE0003を所定の回転速度で所定の指令パルスだけ逆転駆動することにより、ポンプコロM5018でポンプチューブM5019を圧接しかつしごき、これによりキャップM5001内の圧力を所定の目標負圧に到達させる(ステップS12、S13)。例えば、700PPSの回転速度で、400パルスだけ駆動する。この結果、ポンプコロM5018の圧接力によってポンプチューブM5019がしごかれて、キャップチューブM5009およびキャップM5001を介して記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板H1100に負圧が作用し、該記録素子基板H1100上の吐出口13m,13sからプリント作業に適さなくなったインクや気泡などが強制的に吸引される。
【0203】
上記700PPSの回転速度における400パルス分のモータ駆動によって、負圧が目標値、例えば0.19atmまで上昇する。
【0204】
CPU E1001は、400パルス分のモータ駆動が終了すると、PGモータE0003を予め設定した所定時間td、例えば200msだけ停止させる(ステップS14)。この停止中には、キャップM5001内の負圧によって記録素子基板H1100上の吐出口13m,13sから吸引されたインクがポンプチューブM5019内に流入すると、チューブポンプM5100が停止しているため、流入したインクの体積分だけキャップM5001内の負圧が緩和(下降)される。このポンプ停止中における負圧の下降幅は、例えば0.02atmとする。
【0205】
CPU E1001は、上記所定時間tdの待機が終了すると、PGモータE0003を再度、所定の回転速度で所定の指令パルス数(駆動量)だけ逆転駆動する。例えば、700PPSの回転速度で、96パルスだけ駆動する(ステップS15)。
【0206】
このPGモータE0003の再駆動によって、負圧は前記下降分とほぼ同じ値(例えば0.02atm)だけ再上昇する。すなわち、負圧は目標値0.19atmに向かって上昇する。このようにして、PGモータE0003の停止および駆動を繰り返すことにより、目標値近傍(例えば0.17〜0.19atm)の負圧をキャップM5001に印加し続けることが可能となる。
【0207】
次に、CPU E1001は、ステップS13でPGモータE0003の駆動を開始してからの経過時間Tが予め設定された所定時間Tc(例えば1.5秒)を経過したか否かを判定し(ステップS16)、この所定時間が経過していない場合は、ステップS14およびステップS15の処理を行った繰り返し数nが予め設定された所定値nc(例えば25回)に達したか否かを判定し(ステップS18)、達していない場合は、手順をステップS14に復帰させ、再度ステップS14およびステップS15の処理を繰り返す。
【0208】
また、ステップS16の判定において、上記経過時間Tが設定時間Tcに達すると、CPU E1001は、LFモータE0002を正転し、排紙ローラM2003を正転方向に駆動し、大気連通弁M7001を解放する(ステップS17)。大気連通弁M7001が解放されると、キャップM5001内が大気圧になり、記録ヘッドH1001からのインクの吸引が終了する。大気連通弁M7001の開放タイミングは、PGモータE0003の駆動途中となるように、設定時間Tcおよび設定回数ncを調整する。PGモータE0003の駆動中に大気連通弁M7001を開放すると、記録ヘッドH1001から引き出されキャップM5001内に存在しているインクを、すばやくキャップM5001から除去することができる。これにより、ヘッド吐出口面に残存するインク量を減らすことが可能となり、混色防止に有効である。
【0209】
なお、この実施形態における吸引量は、ステップS13でPGモータE0003の駆動を開始してから大気連通弁M7001が解放されるまでの経過時間Tcによって規定される。
【0210】
大気連通弁M7001を開放した後も、繰り返し数nが所定回数ncに達するまで、PGモータE0003の駆動と停止(ウェイト)を繰り返す。
【0211】
すなわち、大気連通弁M7001を開放した後も、繰り返し数nが所定回数ncに達するまで、PGモータの駆動と停止を繰り返し、これによりプリンタ回復装置のチューブM5009,M5019内に残ったインクをプリンタ本体に設けられた廃インク吸収体に排出する(これを空吸引という)。
【0212】
ポンプ効率を高める目的で吸引時の初期体積を小さくするため、プリンタ回復装置のチューブを可能な限り細くすることが多い。この場合、大気連通弁M7001が開放状態であっても、空吸引時にチューブの流れ抵抗により、微小な負圧がキャップM5001内に発生する。その負圧がヘッド固有の或る値を越えると、ヘッドからインクが引き出されてしまうため、混色などの原因となる。
【0213】
このため、本装置においては、空吸引においても、PGモータE0003の駆動/停止を繰り返すことにより、空吸引時のキャップ内での負圧発生を最小限に抑制するようにしており、混色などの不具合を好適に回避することができる。
【0214】
このように、本実施例ではチューブポンプM5100を連続回転してキャップM5001内を素早く目標負圧にした後、チューブポンプM5100の駆動/停止を複数回繰り返し、キャップM5001内を目標負圧の近傍の所定範囲内に維持するようにしたので、記録ヘッドH1001に対して適切な吸引量、吸引圧での吸引回復が可能になり、インク浪費を抑制し、気泡の吸引を防ぐことができる。
【0215】
なお、上記実施例においては、ステップS13およびS15において、PGモータE0003の駆動速度および指令パルス数を指定することで、チューブポンプM5100の駆動を規定するようにしたが、PGモータE0003の駆動速度および駆動時間によってチューブポンプM5100の駆動を規定するようにしてもよい。
【0216】
また、上記実施例では、PGモータE0003の駆動を96パルス分とし、停止時間を200msとしたが、これらをより細かく制御すれば、キャップM5001内の圧力範囲をより狭く管理することができる。
【0217】
また、本実施形態では、S14〜S15のPGモータE0003の駆動/ウェイトの繰り返しのなかで、PGモータE0003の駆動パルス数を96パルス、ウェイト時間を200msと固定しているが、途中で駆動パルス数、ウェイト時間を変更してもよい。例えば、放置などにより、ヘッドの吐出口13m,13s近傍のインクの粘度が上昇している場合、吐出口13m,13s近傍の増粘インクは流動性が悪く排出されにくいが、ヘッド流路内にある増粘していない正常なインクは比較的容易に排出することが可能である。このような場合には、PGモータ駆動/ウェイトの繰り返しで、初期の吸引のみPGモータE0003の駆動を大きくすることが効果的である。例えば、ウェイトを200msに固定し、1回目の駆動パルス数を154パルス,2回目を134パルス,3回目を115パルス,4回目以降を96パルスとすることにより、初期の吸引を強力にし、増粘インクを素早く排出することができる。勿論、PGモータE0003の駆動/ウェイトの繰り返しのなかで、駆動パルス数を固定しウェイト時間を変化させることでも、駆動パルス/ウェイト時間の両方を変化させることでも、同様の効果を達成することが可能である。
【0218】
このように、ヘッドの状態やインクの種類に応じて吸引方法を最適化して使用することが望ましい。
【0219】
【発明の効果】
本発明によると、所定間隔で配列する複数の主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の配列方向の端側に該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて配列する少なくとも1つの副吐出口を設けたので、液体吐出ヘッドの回復処理の際に副吐出口からも液体を予備吐出させることができる。この結果、共通液室の両端部に介在する気泡がこの液体と共に副吐出口から排出されるため、一括吸引操作による液体吐出ヘッドの回復処理の際に、異なる種類の液体が副吐出口から液体吐出ヘッド内に混入して混色などの不具合を未然に防止することができる上、副吐出口から吸引される液体の量を抑制することが可能である。特に、液体が供給される細長い共通液室の長手方向端部と副吐出口との間で液体の流動を促進させることができるので、滞留傾向にある共通液室の長手方向端部に介在する増粘化した液体を副吐出口から円滑かつ確実に液体吐出ヘッドの外側に排出させることができる。
【0220】
副吐出口が開口する液室とこの副吐出口に隣接する主吐出口が開口する液室との間に、共通液室に連通すると共に吐出口を持たない少なくとも1つのダミー液室を設けた場合には、プリント作業時にこのダミー液室をバッファとして機能させることができる。
【0221】
また、ダミー液室に吐出エネルギー発生部を形成した場合には、吐出口を有する液室とダミー液室とが吐出口の有無だけ相違することとなり、高精度の液体吐出ヘッドを安定して成形することが可能となる。
【0222】
ダミー液室と副吐出口を有する液室とを交互に配列した場合には、液体吐出ヘッドの回復処理の際に副吐出口から吸引される液体の量を抑制することができる。
【0223】
副吐出口の開口面積を前記主吐出口の開口面積よりも大きく設定した場合には、プリント作業時に副吐出口が開口する液室のバッファ機能をより高めることができる。
【0224】
副吐出口の開口形状を主吐出口の開口形状と相違させた場合には、この副吐出口が開口する液室のバッファ機能を最適に設定することができる。
【0225】
吐出口を相互に平行に少なくとも2列形成し、それぞれ600dpiの間隔で配列すると共 に列毎のこれらの配列間隔を相互に半ピッチずらした場合には、1200dpiの高性能な液 体吐出ヘッドを得ることができる。
【0226】
主吐出口から吐出される液体の吐出量が5ピコリットル以下の場合には、画像の分解能を向上させて得られる画像品質を大幅に向上させることができる。
【0227】
プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際に、1つの副吐出口と共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを主吐出口の配列方向一端側から順に行うようにした場合には、共通液室の長手方向一端側で滞留状態にある液体を副吐出口から確実に排出することができる。
【0228】
プリント作業に先立って行われる予備吐出操作の際に、1つの副吐出口と共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを繰り返し行う際に、1つの副吐出口からの液体の吐出動作を主吐出口の配列方向一端側から順に行うのに対し、共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの主吐出口からの液体の吐出動作を主吐出口の配列方向一端側とその他端側とで交互に行うようにした場合には、共通液室の長手方向両端部で滞留状態にある液体に振動が与えられて流動化が促進される結果、これを副吐出口から確実に排出することができる。
【0229】
主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために主吐出口から液体を吐出させる際に、少なくともすべての副吐出口から液体を吐出するステップを設定した場合には、主吐出口からの不要な液体の吐出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すものの外装部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に用いる記録ヘッドカートリッジを組立てた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す記録ヘッドカートリッジを示す分解斜視図である。
【図5】図4に示した記録ヘッドを斜め下方から観た分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるスキャナカートリッジを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に示したメインPCBの内部構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示したASICの内部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明による液体吐出ヘッドの一実施例の外観を表す斜視図である。
【図12】図11に示した実施例の内部構造を表す断面図である。
【図13】図12中のXIII−XIII矢視断面図である。
【図14】本発明による液体吐出ヘッドの他の実施例の内部構造を表す断面図である。
【図15】図14中のXV−XV矢視断面図である。
【図16】本発明による液体吐出ヘッドの別な実施例の内部構造を表す断面図である。
【図17】図16中のXVII−XVII矢視断面図である。
【図18】本発明による液体吐出ヘッドのさらなる実施例の内部構造を表す断面図である。
【図19】図18中のXIX−XIX矢視断面図である。
【図20】本発明による液体吐出ヘッドのさらに他の実施例の内部構造を表す断面図である。
【図21】本発明による液体吐出ヘッドのさらに別な実施例の内部構造を表す断面図である。
【図22】本発明による液体吐出ヘッドの吐出口の配列状態を破断状態で表す断面図である。
【図23】本発明による液体吐出ヘッドの共通インク室の構造を表す模式的に表す断面図図である。
【図24】図23に示した共通インク室内を流れるインクの流動状態を表す模式図である。
【図25】混色インクによるインクの吐出状態の一例を表す概念図である。
【図26】混色インクによるインクの吐出状態の他の一例を表す概念図である。
【図27】本発明による液体吐出ヘッドの1つの発熱基板の電気的構成を表すブロック図である。
【図28】本発明による液体吐出ヘッドの副吐出口の電気熱変換素子に対する信号線図である。
【図29】本発明による液体吐出ヘッドの1色分の駆動回路図である。
【図30】本発明による液体吐出ヘッドの1色分の駆動タイミングを表す駆動波形図である。
【図31】本発明による液体吐出ヘッドの他の実施例による1色分の駆動回路図である。
【図32】本発明による液体吐出ヘッドの他の実施例による1色分の駆動タイミングを表す駆動波形図である。
【図33】本発明による液体吐出ヘッドの副吐出口の吐出順序を電気回路と関係付けた電気回路図である。
【図34】本発明による液体吐出ヘッドの吐出口の対する吐出順序を示す概念図である。
【図35】本発明による液体吐出ヘッドの吐出口の配列状態の一例を表す平面図である。
【図36】図35に示した吐出口の駆動順序の一例を表す概念図である。
【図37】本発明による液体吐出ヘッドに対する吸引回復動作の手順を表すフローチャートである。
【図38】本発明による液体吐出ヘッドに対する予備吐出処理の手順を表すフローチャートである。
【図39】図38に示した予備吐出処理における予備吐出パターンを表す概念図である。
【図40】本発明による液体吐出ヘッドに対する払拭処理の手順を表すフローチャートをである。
【図41】本発明による液体吐出ヘッドに対する予備吐出処理の手順を表すフローチャートである。
【図42】図41に示した予備吐出処理における予備吐出パターンを表す概念図である。
【図43】予備吐出処理における予備吐出パターンの別な例を示す概念図である。
【図44】吸引回復処理に用いられるチューブポンプ野概略構造を表す正面図であり、ポンプチューブに対してポンプコロを圧接した状態を表す。
【図45】吸引回復処理に用いられるチューブポンプ野概略構造を表す正面図であり、ポンプチューブに対してポンプコロの圧接力が解除された状態を表す。
【図46】本発明による液体吐出ヘッドの吸引回復処理に関する制御および駆動系の概念図である。
【図47】本発明による液体吐出ヘッドに対する吸引回復処理の動作シーケンスを表すフローチャートである。
【図48】従来のサイドシュータータイプのインクジェットヘッドの外観を表す斜視図である。
【図49】図48に示したインクジェットヘッドの内部構造を表す断面図である。
【図50】図49中のX−X矢視断面図である。
【図51】図49中のY−Y矢視断面図である。
【符号の説明】
11 電気熱変換素子
12 発熱基板(記録素子基板H1300)
13m 主吐出口
13s 副吐出口
14 インク室
14d ダミーインク室
15 共通インク室(H1201)
16 配線基板(電気配線基板H1300)
17 支持部材(第1のプレートH1200)
18 淀み部
Pm 実際のプリント作業で使用するインク室の配列ピッチ
Ps 副吐出口が開口するインク室およびダミーインク室の配列ピッチ
M1000 装置本体
M1001 下ケース
M1002 上ケース
M1003 アクセスカバー
M1004 排出トレイ
M2003 排出ローラ
M2015 紙間調整レバー
M2003 排紙ローラ
M3001 LFローラ
M3019 シャーシ
M3022 自動給送部
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4001 キャリッジ
M4002 キャリッジカバー
M4007 ヘッドセットレバー
M4021 キャリッジ軸
M5000 回復系ユニット
M5001 キャップ
M5004 キャップレバー
M5009 キャップチューブ
M5010 バルブチューブ
M5019 ポンプチューブ
M5036 バルブゴム
M5038 バルブレバー
M5041 ワンウェイクラッチ
M5043 切換レバー
M5048 バルブクラッチ
M5100 ポンプ
M5110 キャップ駆動伝達ギア列
M5130 チューブポンプ
M5140 バルブ駆動伝達ギア列
M6000 スキャナ
M6001 スキャナホルダ
M6003 スキャナカバー
M6004 スキャナコンタクトPCB
M6005 スキャナ照明レンズ
M6006 スキャナ読取レンズ1
M6100 保管箱
M6101 保管箱ベース
M6102 保管箱カバー
M6103 保管箱キャップ
M6104 保管箱バネ
M7001 大気連通弁
E0001 キャリッジモータ
E0002 LFモータ
E0003 PGモータ
E0004 エンコーダセンサ
E0005 エンコーダスケール
E0006 インクエンドセンサ
E0007 PEセンサ
E0008 GAPセンサ(紙間センサ)
E0009 ASFセンサ
E0010 PGセンサ
E0011 コンタクトFPC(フレキシブルフラットケーブル)
E0012 CRFFC(フレキシブルフラットケーブル)
E0013 キャリッジ基板
E0014 メイン基板
E0015 電源ユニット
E0016 パラレルI/F
E0017 シリアルI/F
E0018 電源キー
E0019 リジュームキー
E0020 LED
E0021 ブザー
E0022 カバーセンサ
E1001 CPU
E1002 OSC(CPU内蔵オシレータ)
E1003 A/D(CPU内蔵A/Dコンバータ)
E1004 ROM
E1005 発振回路
E1006 ASIC
E1007 リセット回路
E1008 CRモータドライバ
E1009 LF/PGモータドライバ
E1010 電源制御回路
E1011 INKS(インクエンド検出信号)
E1012 TH(サーミスタ温度検出信号)
E1013 HSENS(ヘッド検出信号)
E1014 制御バス
E1015 RESET(リセット信号)
E1016 RESUME(リジュームキー入力)
E1017 POWER(電源キー入力)
E1018 BUZ(ブザー信号)
E1019 発振回路出力信号
E1020 ENC(エンコーダ信号)
E1021 ヘッド制御信号
E1022 VHON(ヘッド電源ON信号)
E1023 VMON(モータ電源ON信号)
E1024 電源制御信号
E1025 PES(PE検出信号)
E1026 ASFS(ASF検出信号)
E1027 GAPS(GAP検出信号)
E0028 シリアルI/F信号
E1029 シリアルI/Fケーブル
E1030 パラレルI/F信号
E1031 パラレルI/Fケーブル
E1032 PGS(PG検出信号)
E1033 PM制御信号(パルスモータ制御信号)
E1034 PGモータ駆動信号
E1035 LFモータ駆動信号
E1036 CRモータ制御信号
E1037 CRモータ駆動信号
E0038 LED駆動信号
E1039 VH(ヘッド電源)
E1040 VM(モータ電源)
E1041 VDD(ロジック電源)
E1042 COVS(カバー検出信号)
E2001 CPU I/F
E2002 PLL
E2003 DMA制御部
E2004 DRAM制御部
E2005 DRAM
E2006 1284 I/F
E2007 USB I/F
E2008 受信制御部
E2009 圧縮・伸長DMA
E2010 受信バッファ
E2011 ワークバッファ
E2012 ワークエリアDMA
E2013 記録バッファ転送DMA
E2014 プリントバッファ
E2015 記録データ展開DMA
E2016 展開用データバッファ
E2017 カラムバッファ
E2018 ヘッド制御部
E2019 エンコーダ信号処理部
E2020 CRモータ制御部
E2021 LF/PGモータ制御部
E2022 センサ信号処理部
E2023 モータ制御バッファ
E2024 スキャナ取込みバッファ
E2025 スキャナデータ処理DMA
E2026 スキャナデータバッファ
E2027 スキャナデータ圧縮DMA
E2028 送出バッファ
E2029 ポート制御部
E2030 LED制御部
E2031 CLK(クロック信号)
E2032 PDWM(ソフト制御信号)
E2033 PLLON(PLL制御信号)
E2034 INT(割り込み信号)
E2036 PIF受信データ
E2037 USB受信データ
E2038 WDIF(受信データ/ラスタデータ)
E2039 受信バッファ制御部
E2040 RDWK(受信バッファ読み出しデータ/ラスタデータ)
E2041 WDWK(ワークバッファ書込みデータ/記録コード)
E2042 WDWF(ワークフィルデータ)
E2043 RDWP(ワークバッファ読み出しデータ/記録コード)
E2044 WDWP(並べ替え記録コード)
E2045 RDHDG(記録展開用データ)
E2047 WDHDG(カラムバッファ書込みデータ/展開記録データ)
E2048 RDHD(カラムバッファ読み出しデータ/展開記録データ)
E2049 ヘッド駆動タイミング信号
E2050 データ展開タイミング信号
E2051 RDPM(パルスモータ駆動テーブル読み出しデータ)
E2052 センサ検出信号
E2053 WDHD(取込みデータ)
E2054 RDAV(取込みバッファ読み出しデータ)
E2055 WDAV(データバッファ書込みデータ/処理済データ)
E2056 RDYC(データバッファ読み出しデータ/処理済データ)
E2057 WDYC(送出バッファ書込みデータ/圧縮データ)
E2058 RDUSB(USB送信データ/圧縮データ)
E2059 RDPIF(1284送信データ)
H1000 記録ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 記録素子基板
H1100T 吐出口
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク

Claims (17)

  1. 所定間隔で配列する複数の主吐出口と、
    これら主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の配列方向の両端側に該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて配列する少なくとも1つの副吐出口と、
    これら複数の吐出口がそれぞれ開口する複数の液室と、
    これら液室がそれぞれ連通すると共に液体が供給される共通液室と、
    前記主吐出口および前記副吐出口に対応して前記液室にそれぞれ設けられ、前記主吐出口および前記副吐出口から液体を吐出させるために利用される吐出エネルギーを発生する複数の吐出エネルギー発生部と
    を具えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記副吐出口が開口する前記液室とこの副吐出口に隣接する前記主吐出口が開口する前記液室との間に、前記共通液室に連通すると共に吐出口を持たない少なくとも1つのダミー液室をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記ダミー液室と前記副吐出口を有する前記液室とを交互に配列したことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記ダミー液室には前記吐出エネルギー発生部が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 相互に隣接する前記副吐出口と前記主吐出口との間隔は、前記主吐出口の配列間隔の2倍以上かつ5倍以下の整数倍であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記副吐出口の開口面積は、前記主吐出口の開口面積よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記副吐出口の開口形状は、前記主吐出口の開口形状と相違していることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
  8. 所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の両端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて配列する少なくとも1つの副吐出口とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、前記副吐出口からも同時に液体を吐出するステップを具えたことを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
  9. 液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向の両端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口と、これら主吐出口および副吐出口がそれぞれ開口すると共にそれぞれ前記共通液室に連通する複数の液室とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、1つの前記副吐出口と前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを複数具え、このステップは前記主吐出口の配列方向一端側から順に行われることを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
  10. 液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向の両端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口と、これら主吐出口および副吐出口がそれぞれ開口すると共にそれぞれ前記共通液室に連通する複数の液室とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、1つの前記副吐出口と前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを複数具え、1つの前記副吐出口からの液体の吐出動作は、前記主吐出口の配列方向一端側から順に行われるのに対し、前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口からの液体の吐出動作は、前記主吐出口の配列方向一端側とその他端側とで交互に行われることを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
  11. 記主吐出口の配列方向一端側に位置する前記副吐出口からの液体の吐出に続き、前記主吐出口の配列方向他端側に位置する前記副吐出口から順に液体が吐出されることを特徴とする請求項8から請求項10の何れかに記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  12. 液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿ってその配列方向の両端側に当該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口と、これら主吐出口および副吐出口がそれぞれ開口すると共にそれぞれ前記共通液室に連通する複数の液室とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、1つの前記副吐出口と前記共通液室を挟んで近接する少なくとも2つの前記主吐出口とから液体を同時に吐出するステップを複数具え、前記主吐出口をその配列方向に沿ってその配列方向一端側から順に第1のグループと第2のグループとに交互に分け、前記副吐出口からの液体の吐出動作は、前記主吐出口の配列方向一端側から順に行われ、前記主吐出口の配列方向一端側に位置する最初および最後の前記副吐出口とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第1のグループから選択されるのに対し、前記主吐出口の配列方向一端側に位置して最初および最後の前記副吐出口以外の少なくとも1つの前記副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第2のグループから選択されることを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
  13. 記主吐出口の配列方向一端側に位置する前記副吐出口からの液体の吐出に続き、前記主吐出口の配列方向他端側に位置する前記副吐出口から順に液体が吐出され、前記主吐出口の配列方向他端側に位置する最初および最後の前記副吐出口とそれぞれ同時に液体を吐出するそれぞれ少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第2のグループから選択されるのに対し、前記主吐出口の配列方向他端側に位置して最初および最後の前記副吐出口以外の少なくとも1つの前記副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの前記主吐出口は、前記第1のグループから選択されることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  14. 1つの前記副吐出口と同時に液体を吐出する少なくとも2つの前記主吐出口は、この副吐出口に対して前記主吐出口の配列間隔の2倍以上離れていることを特徴とする請求項9から請求項13の何れかに記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  15. 1つの前記副吐出口からの液体の吐出量は、同時に駆動される1つの前記主吐出口からの液体の吐出量よりも多いことを特徴とする請求項8から請求項14の何れかに記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  16. 前記主吐出口からプリント媒体に液体を吐出する際の吐出駆動周波数よりも、前記副吐出口と同時に液体を吐出する際の吐出駆動周波数の方が小さいことを特徴とする請求項8から請求項15の何れかに記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  17. 液体が供給される細長い共通液室と、この共通液室の長手方向に沿って当該共通液室の両側にそれぞれ所定間隔で配列する複数の主吐出口と、これら主吐出口の配列方向に沿って当該主吐出口の配列方向の両端側に該主吐出口の配列間隔よりも広い間隔を隔てて前記共通液室の両側に配される複数の副吐出口とを有し、前記主吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行う液体吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記主吐出口からの液体の吐出状態を良好にするために前記主吐出口から液体を吐出させる際に、少なくともすべての前記主吐出口から液体を吐出する第1のステップと、
    少なくともすべての前記副吐出口から液体を吐出する第2のステップと
    を具えたことを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
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