JP2004216774A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】10pl以下の液滴を、高周波数で高密度で吐出する記録ヘッドにおいても、端よれによる白すじが画像上に発生しないインクジェット記録ヘッドを提供すること。
【解決手段】記録ヘッド1の吐出口面4において、複数の吐出口が配列する方向の延長領域に吐出口の配列方向とは異なる方向に連続した凸部領域8を設ける。これにより、吐出口面4近傍が減圧雰囲気になったとしても、凸部領域8が気流防止壁となるために、両端部のインク滴3が中央側に引き寄せられることがなく、直進してプリント媒体2に着弾される。
【選択図】 図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばインクなどの液体を吐出するための吐出口を有するインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
なお、本明細書において「プリント」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターンなどを形成したり、または媒体の加工を行う場合をも包含する。また、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革などのインクを受容可能な物をも含むものである。さらに、「インク」(「液体」と記述する場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様に広く解釈されるべきであり、プリント媒体に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成またはプリント媒体の加工あるいはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固や不溶化など)に供され得る液体を含み、従ってプリントに関して用いることが可能なあらゆる液体を包含している。
【0003】
【従来の技術】
近年、インターネットやデジタルカメラ等の普及に伴い、高精細で高階調のカラー印刷に対する需要が高まっている。そして、このような需要に対応可能でありながら、比較的廉価で小型な構成が実現できるインクジェットプリンタが、現在急速に普及しつつある。
【0004】
インクジェットプリンタにおいては、インクジェット記録ヘッドよりインクを例えば複数の滴として吐出させる訳であるが、この吐出を行わせるために利用されるエネルギー手段には様々なものがある。しかし、熱エネルギーを発生する手段(例えば、電気熱変換体やレーザ光など)を具え、この熱エネルギーにより液体の状態変化を生起させる方式が、プリントの高密度化および高精細化が達成できる点で優れていると言える。その代表的な構成や基本的な原理については、既にいくつかの特許文献により開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
ところで、上記特許文献で開示されている構成内容は、いわゆるオンデマンド型およびコンティニュアス型の何れのインクジェットプリンタにも適用可能であるが、特にオンデマンド型の場合には有効に機能するといえる。オンデマンド型の場合、液体が保持されているシートやインク流路に配置される電気熱変換体に対し、プリント情報に応じて少なくとも1つの駆動信号を印加する。この駆動信号は、核沸騰を越える急速な温度上昇を電気熱変換体に与え、熱エネルギーを発生させる。そして、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせ、液体内の気泡を形成できるのである。このようにオンデマンド型では、駆動信号に対し、1対1で液体内の気泡を形成できるのである。
【0006】
この様な気泡の成長および収縮は、吐出口を介して液体を吐出させ、少なくとも1つの液滴を形成する。そして、この時の駆動信号をパルス形状とすれば、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、応答性に優れた液体の吐出が達成できる。このようなパルス形状の駆動信号として好ましい制御方法は、既にいくつか提案されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。
【0007】
なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する条件についても言及されている提案があり、この内容を採用するとさらに優れたプリントを行うことができる(特許文献5参照)。
【0008】
また、液体吐出ヘッドの構成としては、上述の各特許文献に開示されているような吐出口と液路と電気熱変換体との組合せ構成(電気熱変換体が液路に沿って配置された直線状液流路または電気熱変換体が液路を挟んで吐出口と正対する直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成も開示されている。(例えば特許文献6、特許文献7参照)。
【0009】
加えて、複数の電気熱変換体に対し、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成(特許文献8参照)や、熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成(特許文献9参照)も開示されている。
【0010】
このような熱エネルギーの付与によって液体を吐出させる吐出方式においては、常温で液体であるものの他に、プリント信号に応じた熱エネルギーの付与によって初めて液化し、プリント媒体に到達する時点ではすでに固化し始める性質のものを使用する場合もある。このような場合の液体は、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持される形態のものもある(例えば特許文献10、特許文献11参照)。
【0011】
また、以上説明したようなシリアル型のインクジェット記録装置においては、キャリッジ移動に伴う空気流の影響によるインク滴の着弾ズレを抑制する為に、キャリッジの移動方向における前記ノズル口の近傍に凸部を設けた構成も開示されている(特許文献12参照)。
【0012】
以上、どのような構成においても、インクジェットプリンタとして良好なプリントを行うことが出来る。
【0013】
ところで、デジタルカメラ等の高性能化が進み、高画質な出力画像が要求される中、インクジェットプリンタの更なる高性能化も進められつつある。インクジェットプリンタで高精細かつ高階調のプリント画像を得る手段としては、
▲1▼ インクを吐出するための吐出口の配列間隔を狭め、プリント画像の解像度の向上を図る。
▲2▼ 特定色のインクに対し、これに含まれる色剤の割合、つまり色剤の濃度が異なる複数(最低2つ)の色インクをそれぞれ吐出する複数のプリントヘッドを用意し、必要に応じて濃度の異なるインク(濃インクと淡インク)を選択的に重ね打ちすることにより階調性の向上を図る。
▲3▼ 吐出口から吐出されるインク滴の大きさ、すなわちインク量を可変にすることにより階調性の向上を図る。
などの方法が知られている。
【0014】
ここで、上述した様に、熱エネルギーにより液体に状態変化を生起させる方式で記録を行うインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドの構成上、▲3▼の方法が比較的困難であるので、▲1▼や▲2▼の方法が採られることが多い。しかしながら、▲2▼の方法においては、特定の色インクに対して2つ以上のプリントヘッドが必要となるので、製造コストやランニングコストが高くなったり、インクジェットプリンタそのものが大型化する恐れがある。従って、上述した方式のプリンタにおいては、▲1▼のように吐出口の配列間隔を狭め、各吐出口から吐出される個々のインク滴の大きさを小さく(例えば10ピコリットル以下)して解像度の向上を図る手法が簡便な方法と言える。
【0015】
ところで、上述した方式、すなわち膜沸騰により成長する気泡を大気に連通させずにインク滴を吐出する方式では、吐出されるインク滴を小さくするに連れて、吐出口に連通するインク路の通路断面積を小さくしなければならない。この場合、吐出効率が低下してインク滴の吐出速度が落ち、吐出方向が不安定になって記録画像品位が劣化すると言う新たな問題が生じていた。また、インク路の通路断面積を小さくすることは、プリンタ休止時の水分蒸発に伴い、吐出口近傍のインクに増粘化を起こす。このようなインクの増粘は、記録ヘッドの初期吐出不良などを発生させ、記録ヘッドの信頼性を低下させる恐れもある。
【0016】
よって、インク路の通路断面積を小さくせずに、特に小さなインク滴を吐出させる有効な方法として、インクの加熱による膜沸騰で、成長する気泡(バブル)を吐出口を介して大気に連通させる方式が既に開示されている(例えば特許文献13、特許文献14、特許文献15参照)。以下、このような吐出方式をバブル連通吐出方式と称す。バブル連通吐出方式のプリントヘッドでは、インク滴の大きさを吐出口の幾何学的形状で決定できるため、インク路の通路断面積を極端に小さくする必要がない。また、温度などの影響も受けにくく、インク滴の吐出量が旧来の方式の記録ヘッドと比較して非常に安定しているという利点もある。よって、近年では、高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得る為、上述したバブル連通吐出方式を採用したインクジェットプリンタが多く普及してきている。
【0017】
【特許文献1】
米国特許第4723129号明細書
【0018】
【特許文献2】
米国特許第4740796号明細書
【0019】
【特許文献3】
米国特許第4463359号明細書
【0020】
【特許文献4】
米国特許第4345262号明細書
【0021】
【特許文献5】
米国特許第4313124号明細書
【0022】
【特許文献6】
米国特許第4558333号明細書
【0023】
【特許文献7】
米国特許第4459600号明細書
【0024】
【特許文献8】
特開昭59−123670号公報
【0025】
【特許文献9】
特開昭59−138461号公報
【0026】
【特許文献10】
特開昭54−56847号公報
【0027】
【特許文献11】
特開昭60−71260号公報
【0028】
【特許文献12】
特開平9−39256号公報
【0029】
【特許文献13】
特開平4−10940号公報
【0030】
【特許文献14】
特開平4−10941号公報
【0031】
【特許文献15】
特開平4−10742号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなバブル連通吐出方式の記録ヘッドであっても、記録ヘッドを搭載したキャリッジを高速で移動走査させつつ、すべての吐出口から小さなインク滴を高周波数で連続的に吐出させた場合、いわゆる「ベタ」プリントを行った場合には、以下のような問題が生じていた。
【0033】
図1は、上記問題点を説明する為に、記録ヘッドの全吐出口より高周波数でインク滴の吐出を行った場合の記録状態を示した図である。図1において、1は記録ヘッドであり、インク滴3をy方向に吐出しながら、z方向に移動走査することにより記録媒体2への記録を行っている。インク滴を吐出する複数の吐出口は、記録ヘッド1の吐出口面4にあり、x方向に所定の間隔で配列された状態となっている。画像データが「ベタ」の場合(すなわち、全ての吐出口から全てのタイミングで吐出が行われる場合)には、各吐出口に備えられた電気熱変換体のような吐出エネルギー発生部の全てが、同一の駆動周波数で駆動される。このとき、全吐出口からインク滴3が図のように連続して、高周波数で吐出されるので、周囲に介在する粘性を持った空気が、この多数のインク滴3の高周波数数での吐出によって、インク滴3の運動に伴い、一緒に引きずられて移動する。この結果、吐出口面4近傍が記録ヘッド1の周囲よりも減圧傾向となるので、周囲の空気が気流となって減圧領域へと流れる。矢印はこの場合の気流の動きを示したものである。吐出された後のインク滴3は、気流の影響によってその進行方向に影響を受ける。特に、配列する複数の吐出口のうち、両端部に位置する吐出口から吐出されたインク滴3は、図のように配列方向の中央側に引き寄せられ、プリント媒体2においては目的の位置とは異なった位置に着弾されてしまう。以下、このような現象を「端よれ現象」と称す。
【0034】
図2は、上記端よれ現象が起こった状態の記録ヘッドを用い、「ベタ」プリントを行った場合の、プリント媒体2に形成される画像を示したものである。キャリッジに搭載された記録ヘッド1は図中z方向にに移動しながらインク滴を吐出する。ここで第1回目の記録走査によって画像5が記録されているとする。次に記録ヘッド1は、プリント媒体2に対し、図中、x方向に移動したのち、再びz方向に移動しながらインク滴を吐出する。そして、この第2回目の記録走査によって画像6が記録されているとする。この際、第1回目の記録走査によって形成された画像5と、第2回目の記録走査によって形成された画像6との間に白スジ7が形成されている。そして、この白スジ7は移動走査の開始時、つまり図の左側では殆ど存在しておらず、右側に進むに従って太くなっていることが確認される。すなわち、各記録走査の当初で、記録ヘッド1が図の左側に位置するタイミングでは存在していなかった気流が、「ベタ」記録を続けることによって発生し、インク滴への影響が大きくなっていると想定される。通常、端よれ現象が起こっていない記録ヘッドによって「ベタ」記録を行った場合には、画像内にこのような白スジは現れない。一様な「ベタ」であるはずの画像内にこのような白スジが存在することは、大きな画像弊害となる。
【0035】
発明者らがこのような端よれ現象が起こる条件を検討したところ、吐出口の配列間隔が狭く、10ピコリットル以下の少量のインク滴を高周波数で吐出できるインクジェットプリンタにおいてこのような不具合が特に顕著に現れることを確認した。
【0036】
下の「表1」は、吐出口の配列間隔を21μmとした記録ヘッドを用い、所定の吐出周波数で、吐出量(重量)別に端ヨレ量(白すじ7の1/2の太さ)の値を調べた結果を示している。尚、配列間隔21μmとは、記録画像を1200dpi(ドット/インチ;参考値)の密度で記録することを目的とした値である。
【0037】
【表1】
Figure 2004216774
【0038】
「表1」によれば、液滴サイズが小さくなるほど、端よれ量が大きくなっていることがわかる。この理由としては、液滴サイズが小さくなることにより、液滴重量−表面積(投影面積)の関係で重量に対する表面積の割合が増えるが、気流による液滴の移動は、表面積の割合が大きいほど影響を受けることになるためと考えられる。
【0039】
かかる不具合を防止するため、吐出面4の両端側に位置する吐出口から吐出されるインク滴の大きさを中央部より大きく設定し、インク滴の慣性質量を増大させることによって、特に気流の影響を受ける両端側から吐出されるインク滴の吐出軌跡の偏倚を抑制することも可能である。しかしながら、インク滴を大きくすることは、高精細かつ高階調の画像を形成する上での障害になる。さらに、プリント媒体2におけるインク滴の浸透が遅れる上、プリント媒体の膨潤に伴ってプリント画像の劣化を招来する恐れがある。
【0040】
また、発明者らは、吐出エネルギー発生部に対する駆動周波数が高い値であるほど、端よれ量も大きく現れることも確認した。従って、吐出エネルギー発生部に対する駆動周波数を低く抑えることによって上述した不具合を緩和することも可能である。しかしながら、駆動周波数を低く設定した場合にはプリント速度が遅くなってしまい、高速でプリントアウトするという本来のユーザのニーズに応えることができなくなってしまう。
【0041】
気流による着弾位置ずれという問題に対しては、従来技術の項で説明した特許文献13によれば、吐出口近傍に気流防止壁を設けることにより、抑制する効果があることが開示されている。しかしながら、特許文献13の内容は、キャリッジの移動により起こる気流にのみ着目しているものであり、主に吐出口列に垂直な方向への着弾位置ずれに対応可能なものである。これに対し、ここで発明者らが問題としている気流および端よれ現象は、むしろ、吐出口列に平行な方向への気流であり、高密度で小吐出量の記録ヘッドに特有の問題である。よって、上記特許文献12の内容は、本件が目的としている端よれ現象への対策としては不充分と言える。また、上記特許文献12には、吐出口列に平行及び垂直な凸部領域と吐出口の間隔や、凸部領域の高さ等の具体的な数値がなく、充分な効果を得る為の条件も不明確であった。
【0042】
本発明は、上記問題点を解決する為に成されたものであり、その目的とするところは、10pl以下の液滴を、高周波数で高密度で吐出する記録ヘッドにおいても、端よれによる白すじが画像上に発生しないインクジェット記録ヘッドを提供することである。
【0043】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明においては、同一平面上に所定の密度で所定の方向に配列された液体を吐出するための複数の吐出口と、少なくとも該複数の吐出口の配列範囲の側端部に、前記複数の吐出口の配列方向とは異なる方向に延在して、前記同一平面より突出した凸部領域と、を有することを特徴とする。
【0044】
以上の構成によれば、吐出口面近傍が減圧雰囲気になったとしても、凸部領域が気流防止壁となるために、両端部のインク滴が中央側に引き寄せられることがなく直進してプリント媒体に着弾されるので、記録走査の各境界部で発生する白すじを防止することが可能となる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、シリアルタイプのインクジェットプリンタを適用するものとし、ここではまず、図3〜図11を参照して本発明に適用可能なシリアルプリンタの構成例を説明する。但し、ここで説明するシリアルプリンタの各構成内容は本発明を限定するものではなく、本発明の実施形態としては、これらをさらに組み合わせたり、この明細書の特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるべき他の技術にも応用することができる。
【0046】
1.装置本体
図3は、インクジェットプリント方式を用いたプリンタの概略構成を示す図である。
【0047】
図3(a)において、この実施形態におけるプリンタの装置本体M1000の外殻は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003および排出トレイM1004を含む外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図3(b)参照)とから構成される。
【0048】
シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、プリンタの骨格をなし、後述の各プリント動作機構を保持するものとなっている。
【0049】
また、下ケースM1001は装置本体M1000の外殻の略下半部を、上ケースM1002は装置本体M1000の外殻の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなしている。装置本体M1000の上面部および前面部にはそれぞれ開口部が形成されている。
【0050】
さらに、排出トレイM1004はその一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、プリント動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここからプリントシートが排出可能となると共に排出されたプリントシートを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004aおよびM1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0051】
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されているヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900などの交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0052】
また、上ケースM1002の後部上面には、図7を参照するに、電源キーE0018およびレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LEDE0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯してプリント可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化をさせたり、プリンタのトラブルなどをオペレータに知らせるなど種々の表示機能を有する。さらに、ブザーE0021をならすこともできる。なお、トラブルなどが解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによってプリントが再開されるようになっている。
【0053】
2.プリント動作機構
次に、プリンタの装置本体M1000に収納、保持される本実施形態におけるプリント動作機構について説明する。
【0054】
図3(b)は、本実施形態におけるプリント動作機構を説明する為の内部機構である。図3(b)において、プリントシートを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出されるプリントシートを所望のプリント位置へと導くと共に、プリント位置から排出部M3030へとプリントシートを導く搬送部M3029と、プリント位置に搬送されたプリントシートに所定のプリントを行うプリント部と、前記プリント部などに対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
【0055】
ここで、プリント部について説明すると、このプリント部は、キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に図示しない着脱手段を介して着脱可能に搭載されるヘッドカートリッジH1000とからなる。
【0056】
2.1 ヘッドカートリッジ
まず、プリント部に用いられるヘッドカートリッジについて説明する。
図4(a)は、本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000の概観図である。この図に示すように、ヘッドカートリッジH1000は、はインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクをプリント情報に応じてノズルから吐出させるプリントヘッドH1001とを有する。プリントヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
【0057】
ここに示すヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラープリントを可能とするため、インクタンクとして、例えば、黒色、淡シアン色、淡マゼンタ色、シアン色、マゼンタ色および黄色の各色独立のインクタンクH1900が用意されており、各インクタンクH1900に設けられ、ヘッドカードリッジH1000に対して係止し得る弾性変形可能な取り外し用レバーH1901を操作することにより、それぞれがプリントヘッドH1001に対して取り外し可能となっている。
【0058】
図4(b)は、これら6色のインクタンクH1900をプリントヘッドH1001から取り外した状態を示している。このように、取り外し用レバーH1901は、本発明の着脱手段の一部として機能するものである。
【0059】
図5は、プリントヘッドH1001の構成を説明する為の分解斜視図である。
【0060】
プリントヘッドH1001は、図に示すように、プリント素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダH1500、流路形成部材H1600、フィルタH1700、シールゴムH1800から構成されている。
【0061】
プリント素子基板H1100には、Si基板の片面にインクを吐出するための複数のプリント素子と、各プリント素子に電力を供給するアルミニウムなどの電気配線とが成膜技術により形成され、このプリント素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、プリント素子基板H1100は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、プリント素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400を介して、電気配線基板H1300がプリント素子基板H1100に対して電気的に接続されるよう保持されている。この電気配線基板H1300は、プリント素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、プリント素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0062】
一方、インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に亙るインク流路H1501を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルタH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0063】
さらに、前述のようにタンクホルダH1500、流路形成部材H1600、フィルタH1700およびシールゴムH1800から構成されるタンクホルダ部と、プリント素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300および第2のプレートH1400から構成されるプリント素子部とを、接着などで結合することにより、プリントヘッドH1001を構成している。
【0064】
2.2 キャリッジ
次に、再び図3(b)を参照してヘッドカートリッジH1000を搭載するキャリッジM4001を説明する。
【0065】
図3(b)に示すように、キャリッジM4001には、プリントヘッドH1001をキャリッジM4001上の所定の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、プリントヘッドH1001のタンクホルダH1500と係合しプリントヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。
【0066】
すなわち、本発明の着脱手段としてのヘッドセットレバーM4007は、キャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられると共に、プリントヘッドH1001との係合部にはばね付勢されるヘッドセットプレート(図示せず)が備えられ、このばね力によってプリントヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
【0067】
また、キャリッジM4001のプリントヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(図7参照。以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部とプリントヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)H1301とが電気的に接触し、プリントのための各種情報の授受やプリントヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0068】
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部とキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部とキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらにコンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板E0013に接続されている(図7参照)。
【0069】
3.スキャナ
本実施形態におけるプリンタは、上述したヘッドカートリッジH1000に代えてキャリッジM4001にスキャナを装着することで読取装置としても使用することができる。
【0070】
このスキャナは、プリンタ側のキャリッジM4001と共に主走査方向に移動し、プリント媒体に代えて給送された原稿画像をその主走査方向への移動の過程で読み取るようになっており、その主走査方向に沿った読み取り動作と副走査方向に沿った原稿の給送動作とを交互に行うことにより、1枚の原稿画像情報を読み取ることができる。
【0071】
図6(a)および図6(b)は、このスキャナM6000の概略構成を説明するため、スキャナM6000を上下逆にして示す図である。
【0072】
図示のように、スキャナホルダM6001は略箱型の形状であり、その内部には読み取りに必要な光学系・処理回路などが収納されている。また、このスキャナM6000をキャリッジM4001へと装着した時に、原稿面と対面する部分には読取部レンズM6006が設けられており、このレンズM6006により原稿面を内部の読取部に合焦させることで、原稿画像を読み取るようになっている。一方、照明部レンズM6005は内部に不図示の光源を有し、その光源から発せられた光がレンズM6005を介して原稿へと照射される。
【0073】
スキャナホルダM6001の底部に固定されたスキャナカバーM6003は、スキャナホルダM6001内部を遮光するように嵌合し、側面に設けられたルーバー状の把持部によってキャリッジM4001への着脱操作性の向上を図っている。スキャナホルダM6001の外形形状はプリントヘッドH1001と略同形状であり、キャリッジM4001へはヘッドカートリッジH1000と同様の操作で着脱することができる。
【0074】
また、スキャナホルダM6001には、読取処理回路を有する基板が収納される一方、この基板に接続されたスキャナコンタクトPCBが外部に露出するよう設けられており、キャリッジM4001へとスキャナM6000を装着した際、スキャナコンタクトPCB M6004がキャリッジM4001側のコンタクトFPC E0011に接触し、基板を、キャリッジM4001を介して本体側の制御系に電気的に接続させるようになっている。
【0075】
4.電気的回路
次に、本発明の実施形態における電気的回路構成を説明する。
【0076】
図7は、本実施形態における電気的回路の全体構成例を概略的に示す図である。
【0077】
本実施形態における電気的回路は、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015などによって構成されている。
【0078】
ここで、電源ユニットE0015は、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
【0079】
また、キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4001(図3(b)参照)に搭載されたプリント基板ユニットであり、コンタクトFPC E0011を通じてプリントヘッドH1001との信号の授受を行うインタフェースとして機能する他、キャリッジM4001の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づき、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。
【0080】
さらに、メインPCB E0014は本実施形態におけるインクジェットプリント装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、自動給紙(Automatic Sheet Feeder:以下、ASFと記載する)センサE0009、カバーセンサE0022、パラレルインタフェース(パラレルI/F)E0016、シリアルインタフェース(シリアルI/F)E0017、レジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、ブザーE0021などに対するI/Oポートを基板上に有する。また、さらにキャリッジM4001を主走査させるための駆動源をなすモータ(CRモータ)E0001、プリント媒体を搬送するための駆動源をなすモータ(LFモータ)E0002、プリントヘッドH1001の回復動作とプリント媒体の給紙動作とに兼用されるモータ(PGモータ)E0003と接続されてこれらの駆動を制御する他、インクエンプティセンサE0006、プリントヘッドH1001とプリント媒体とのギャップを検出するためのGAPセンサE0008、PGセンサE0010、CRFFC E0012、電源ユニットE0015との接続インタフェースを有する。
【0081】
図8は、メインPCB E0014の内部構成を示すブロック図である。
【0082】
図8において、E1001はCPUであり、このCPU E1001は発振回路E1005に接続されたクロックジェネレータ(CG)E1002をその内部に有し、その出力信号E1019によりシステムクロックを発生する。また、制御バスE1014を通じてROM E1004およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)E1006に接続され、ROMに格納されたプログラムに従って、ASIC E1006の制御、電源キーからの入力信号E1017およびレジュームキーからの入力信号E1016、カバー検出信号E1042、ヘッド検出信号(HSENS)E1013の状態の検知を行い、さらにブザー信号(BUZ)E1018によりブザーE0021を駆動し、内蔵されるA/DコンバータE1003に接続されるインクエンプティ信号(INKS)E1011およびサーミスタによる温度検出信号(TH)E1012の状態の検知を行う一方、その他各種論理演算・条件判断などを行い、インクジェットプリント装置の駆動制御を司る。
【0083】
ここで、ヘッド検出信号E1013は、ヘッドカートリッジH1000からフレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013およびコンタクトフレキシブルプリントケーブルE0011を介して入力されるヘッド搭載検出信号であり、インクエンプティ検出信号E1011はインクエンプティセンサE0006から出力されるアナログ信号、温度検出信号E1012はキャリッジ基板E0013上に設けられたサーミスタ(図示せず)からのアナログ信号である。
【0084】
E1008はCRモータドライバであって、モータ電源(VM)E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのCRモータ制御信号E1036に従って、CRモータ駆動信号E1037を生成し、CRモータE0001を駆動する。E1009はLF/PGモータドライバであって、モータ電源E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのパルスモータ制御信号(PM制御信号)E1033に従ってLFモータ駆動信号E1035を生成し、これによってLFモータを駆動すると共に、PGモータ駆動信号E1034を生成してPGモータを駆動する。
【0085】
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1006からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサなどへの電源供給を制御する。パラレルI/F E0016は、ASIC E1006からのパラレルI/F信号E1030を、外部に接続されるパラレルI/FケーブルE1031に伝達し、またパラレルI/FケーブルE1031の信号をASIC E1006に伝達する。シリアルI/F E0017は、ASIC E1006からのシリアルI/F信号E1028を、外部に接続されるシリアルI/FケーブルE1029に伝達し、また同ケーブルE1029からの信号をASIC E1006に伝達する。
【0086】
一方、電源ユニットE0015からは、ヘッド電源(VH)E1039およびモータ電源(VM)E1040、ロジック電源(VDD)E1041が供給される。また、ASIC E1006からのヘッド電源ON信号(VHON)E1022およびモータ電源ON信号(VMOM)E1023が電源ユニットE0015に入力され、それぞれヘッド電源E1039およびモータ電源E1040のON/OFFを制御する。電源ユニットE0015から供給されたロジック電源(VDD)E1041は、必要に応じて電圧変換された上で、メインPCB E0014内外の各部へ供給される。
【0087】
またヘッド電源信号E1039は、メインPCB E0014上で平滑化された後にフレキシブルフラットケーブルE0011へと送出され、ヘッドカートリッジH1000の駆動に用いられる。
【0088】
E1007はリセット回路で、ロジック電源電圧E1041の低下を検出して、CPU E1001およびASIC E1006にリセット信号(RESET)E1015を供給し、初期化を行う。
【0089】
このASIC E1006は1チップの半導体集積回路であり、制御バスE1014を通じてCPU E1001によって制御され、前述したCRモータ制御信号E1036、PM制御信号E1033、電源制御信号E1024、ヘッド電源ON信号E1022およびモータ電源ON信号E1023などを出力し、パラレルI/F E0016およびシリアルI/F E0017との信号の授受を行う他、PEセンサE0007からのPE検出信号(PES)E1025、ASFセンサE0009からのASF検出信号(ASFS)E1026、GAPセンサE0008からのGAP検出信号(GAPS)E1027、PGセンサE0010からのPG検出信号(PGS)E1032の状態を検知し、その状態を表すデータを制御バスE1014を通じてCPU E1001に伝達し、入力されたデータに基づきCPU E1001はLED駆動信号E1038の駆動を制御してLEDE0020の点滅を行う。
【0090】
さらに、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021でヘッドカートリッジH1000とのインタフェースをとりプリント動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はフレキシブルフラットケーブルE0012を通じて入力されるCRエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013およびコンタクトFPC E0011を経てプリントヘッドH1001に供給される。
【0091】
図9は、ASIC E1006の内部構成例を示すブロック図である。
【0092】
なお、同図において、各ブロック間の接続については、プリントデータやモータ制御データなど、ヘッドや各部機構部品の制御にかかわるデータの流れのみを示しており、各ブロックに内蔵されるレジスタの読み書きに係わる制御信号やクロック、DMA制御にかかわる制御信号などは図面上の記載の煩雑化を避けるため省略している。
【0093】
図中、E2002はPLLコントローラであり、図9に示すようにCPU E1001から出力されるクロック信号(CLK)E2031およびPLL制御信号(PLLON)E2033により、ASIC E1006内の大部分へと供給するクロック(図示しない)を発生する。
【0094】
また、E2001はCPUインタフェース(CPUI/F)であり、リセット信号E1015、CPU E1001から出力されるソフトリセット信号(PDWN)E2032、クロック信号(CLK)E2031および制御バスE1014からの制御信号により、以下に説明するような各ブロックに対するレジスタ読み書きなどの制御や、一部ブロックへのクロックの供給、割り込み信号の受け付けなど(いずれも図示しない)を行い、CPU E1001に対して割り込み信号(INT)E2034を出力し、ASIC E1006内部での割り込みの発生を知らせる。
【0095】
また、E2005はDRAMであり、プリント用のデータバッファとして、受信バッファE2010、ワークバッファE2011、プリントバッファE2014、展開用データバッファE2016などの各領域を有すると共に、モータ制御用としてモータ制御バッファE2023を有し、さらにスキャナ動作モード時に使用するバッファとして、上記の各プリント用データバッファに代えて使用されるスキャナ取込みバッファE2024、スキャナデータバッファE2026、送出バッファE2028などの領域を有する。
【0096】
また、このDRAM E2005は、CPU E1001の動作に必要なワーク領域としても使用されている。すなわち、E2004はDRAM制御部であり、制御バスによるCPU E1001からDRAM E2005へのアクセスと、後述するDMA制御部E2003からDRAM E2005へのアクセスとを切り替えて、DRAM E2005への読み書き動作を行う。
【0097】
DMA制御部E2003では、各ブロックからのリクエスト(図示せず)を受け付けて、アドレス信号や制御信号(図示せず)、書込み動作の場合には書込みデータE2038、E2041、E2044、E2053、E2055、E2057などをDRAM制御部E2004に出力してDRAMアクセスを行う。また読み出しの場合には、DRAM制御部E2004からの読み出しデータE2040、E2043、E2045、E2051、E2054、E2056、E2058、E2059を、リクエスト元のブロックに受け渡す。
【0098】
また、E2006はIEEE1284I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、パラレルI/F E0016を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インタフェースを行う他、プリント時にはパラレルI/F E0016からの受信データ(PIF受信データE2036)をDMA処理によって受信制御部E2008へと受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(1284送信データ(RDPIF)E2059)をDMA処理によりパラレルI/Fに送信する。
【0099】
E2007はUSB(Universal Serial Bus)I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、シリアルI/F E0017を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インタフェースを行う他、印刷時にはシリアルI/F E0017からの受信データ(USB受信データE2037)をDMA処理により受信制御部E2008に受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(USB送信データ(RDUSB)E2058)をDMA処理によりシリアルI/F E0017に送信する。受信制御部E2008は、1284I/F E2006もしくはUSBI/F E2007のうちの選択されたI/Fからの受信データ(WDIF)E2038)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ書込みアドレスに書込む。
【0100】
E2009は圧縮・伸長DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、受信バッファE2010上に格納された受信データ(ラスタデータ)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ読み出しアドレスから読み出し、そのデータ(RDWK)E2040を指定されたモードに従って圧縮・伸長し、プリントコード列(WDWK)E2041としてワークバッファ領域に書込む。
【0101】
E2013はプリントバッファ転送DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1007の制御によってワークバッファE2011上のプリントコード(RDWP)E2043を読み出し、各プリントコードを、ヘッドカートリッジH1000へのデータ転送順序に適するようなプリントバッファE2014上のアドレスに並べ替えて転送(WDWP E2044)する。また、E2012はワーククリアDMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御によってプリントバッファ転送DMAコントローラE2013による転送が完了したワークバッファ上の領域に対し、指定したワークフィルデータ(WDWF)E2042を繰返し書込む。
【0102】
E2015はプリントデータ展開DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御部E2018からのデータ展開タイミング信号E2050をトリガとして、プリントバッファ上に並べ替えて書込まれたプリントコードと展開用データバッファE2016上に書込まれた展開用データとを読み出し、展開プリントデータ(RDHDG)E2045をカラムバッファ書込みデータ(WDHDG)E2047としてカラムバッファE2017に書込む。ここで、カラムバッファE2017は、ヘッドカートリッジH1000への転送データ(展開プリントデータ)を一時的に格納するSRAMであり、プリントデータ展開DMAコントローラE2015とヘッド制御部E2018とのハンドシェーク信号(図示せず)によって両ブロックにより共有管理されている。
【0103】
E2018はヘッド制御部で、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御信号を介してヘッドカートリッジH1000またはスキャナとのインタフェースを行う他、エンコーダ信号処理部E2019からのヘッド駆動タイミング信号E2049に基づき、プリントデータ展開DMAコントローラに対してデータ展開タイミング信号E2050の出力を行う。
【0104】
また、印刷時には、前記ヘッド駆動タイミング信号E2049に従って、カラムバッファから展開プリントデータ(RDHD)E2048を読み出し、そのデータをヘッド制御信号E1021としてヘッドカートリッジH1000に出力する。
【0105】
また、スキャナ読み取りモードにおいては、ヘッド制御信号E1021として入力された取込みデータ(WDHD)E2053をDRAM E2005上のスキャナ取込みバッファE2024へとDMA転送する。E2025はスキャナデータ処理DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、スキャナ取込みバッファE2024に蓄えられた取込みバッファ読み出しデータ(RDAV)E2054を読み出し、平均化などの処理を行った処理済データ(WDAV)E2055をDRAM E2005上のスキャナデータバッファE2026に書込む。
【0106】
E2027はスキャナデータ圧縮DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナデータバッファE2026上の処理済データ(RDYC)E2056を読み出してデータ圧縮を行い、圧縮データ(WDYC)E2057を送出バッファE2028に書込み転送する。
【0107】
E2019はエンコーダ信号処理部であり、エンコーダ信号(ENC)を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってヘッド駆動タイミング信号E2049を出力する他、エンコーダ信号E1020から得られるキャリッジM4001の位置や速度にかかわる情報をレジスタに格納して、CPU E1001に提供する。CPU E1001はこの情報に基づき、CRモータE0001の制御における各種パラメータを決定する。また、E2020はCRモータ制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、CRモータ制御信号E1036を出力する。
【0108】
E2022はセンサ信号処理部で、PGセンサE0010、PEセンサE0007、ASFセンサE0009およびGAPセンサE0008などから出力される各検出信号E1032、E1025、E1026、E1027を受け、CPUE1001の制御で定められたモードに従ってこれらのセンサ情報をCPU E1001に伝達する他、LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021に対してセンサ検出信号E2052を出力する。
【0109】
LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021は、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、DRAM E2005上のモータ制御バッファE2023からパルスモータ駆動テーブル(RDPM)E2051を読み出してパルスモータ制御信号E1033を出力する他、動作モードによっては前記センサ検出信号を制御のトリガとしてパルスモータ制御信号E1033を出力する。
【0110】
また、E2030はLED制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、LED駆動信号E1038を出力する。さらに、E2029はポート制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド電源ON信号E1022、モータ電源ON信号E1023および電源制御信号E1024を出力する。
【0111】
5.プリンタの動作
次に、上記のように構成されたインクジェットプリント装置の動作を説明する。
【0112】
図10は、本実施形態のインクジェットプリンタにおけるプリント動作の工程を説明する為のフローチャートである。
【0113】
AC電源に装置本体1000が接続されると、まず、ステップS1では装置の第1の初期化処理を行う。この初期化処理では、本装置のROMおよびRAMのチェックなどの電気回路系のチェックを行い、電気的に本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0114】
次にステップS2では、装置本体M1000の上ケースM1002に設けられた電源キーE0018がONされたかどうかの判断を行い、電源キーE0018が押された場合には、次のステップS3へと移行し、ここで第2の初期化処理を行う。
【0115】
この第2の初期化処理では、本装置の各種駆動機構およびプリントヘッドH1001のチェックを行う。すなわち、各種モータの初期化やヘッド情報の読み込みを行うに際し、装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0116】
次にステップS4ではイベント待ちを行う。すなわち、本装置に対して、外部I/Fからの指令イベント、ユーザ操作によるパネルキーイベントおよび内部的な制御イベントなどを監視し、これらのイベントが発生すると当該イベントに対応した処理を実行する。
【0117】
例えば、ステップS4で外部I/Fからの印刷指令イベントを受信した場合には、ステップS5へと移行し、同ステップでユーザ操作による電源キーイベントが発生した場合にはステップS10へと移行し、同ステップでその他のイベントが発生した場合にはステップS11へと移行する。
【0118】
ここで、ステップS5では、外部I/Fからの印刷指令を解析し、指定された紙種別、用紙サイズ、印刷品位、給紙方法などを判断し、その判断結果を表すデータを本装置内のRAM E2005に記憶し、ステップS6へと進む。
【0119】
次いでステップS6ではステップS5で指定された給紙方法により給紙を開始し、用紙をプリント開始位置まで送り、ステップS7に進む。
【0120】
ステップS7ではプリント動作を行う。このプリント動作では、外部I/Fから送出されてきたプリントデータを、一旦プリントバッファに格納し、次いでCRモータE0001を駆動してキャリッジM4001の主走査方向への移動を開始すると共に、プリントバッファE2014に格納されているプリントデータをプリントヘッドH1001へと供給して1行のプリントを行い、1行分のプリントデータのプリント動作が終了するとLFモータE0002を駆動し、LFローラM3001を回転させて用紙を副走査方向へと送る。この後、上記動作を繰り返し実行し、外部I/Fからの1ページ分のプリントデータのプリントが終了すると、ステップ8へと進む。
【0121】
ステップS8では、LFモータE0002を駆動し、排紙ローラM2003を駆動し、用紙が完全に本装置から送り出されたと判断されるまで紙送りを繰返し、終了した時点で用紙は排紙トレイM1004a上に完全に排紙された状態となる。
【0122】
次にステップS9では、プリントすべき全ページのプリント動作が終了したか否かを判定し、プリントすべきページが残存する場合には、ステップS5へと復帰し、以下、前述のステップS5〜S9までの動作を繰り返し、プリントすべき全てのページのプリント動作が終了した時点でプリント動作は終了し、その後ステップS4へと移行し、次のイベントを待つ。
【0123】
一方、ステップS10ではプリンタ終了処理を行い、本装置の動作を停止させる。つまり、各種モータやヘッドなどの電源を切断するために、電源を切断可能な状態に移行した後、電源を切断しステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0124】
また、ステップS11では、上記以外の他のイベント処理を行う。例えば、本装置の各種パネルキーや外部I/Fからの回復指令や内部的に発生する回復イベントなどに対応した処理を行う。なお、処理終了後にはステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0125】
6.プリントヘッド
ここで、本実施形態で用いるプリントヘッドH1001の吐出口群の構成配置について説明する。
【0126】
図11は、本実施形態におけるプリントヘッドH1001のプリント素子基板H1100の拡大破断構造を示したものである。吐出口の配列形態を図12に示す。
【0127】
プリント素子基板H1100は、厚さが0.5mm〜1mmのシリコン基板11の上に成膜技術を用いて吐出エネルギー発生部、液室、吐出口などを形成した構成となっている。
【0128】
シリコン基板11には、これを貫通する長孔状の液体供給口12が形成されている。この液体供給口12の両側には、液体供給口12の長手方向に沿って所定間隔で2列に並ぶ複数(本実施形態では片側128個)の電気熱変換体13が相互に半ピッチずらした状態で形成され、吐出エネルギー発生部を構成している。更に、本実施形態の記録ヘッドにおいては、同一のシリコン基板11上に2色の異なるインクが吐出可能となる様、2列の吐出口列から構成される1対の吐出口列が2色分ずつ並列して配置されている。
【0129】
更にシリコン基板11には、これら電気熱変換体13の他、電気熱変換体13とプリンタ本体側との電気的接続を行うための電極端子14およびアルミニウムなどで形成される図示しない電気配線などが成膜技術によって形成されており、これら電極端子14を介して図示しない駆動ICから電気熱変換体13に対する駆動信号が与えられ、同時に駆動電力がこの電気熱変換体13に供給される。
【0130】
12は、液体供給口であり、シリコン基板11上に各色ごとに備わっている。この液体供給口12に連通する液室15を介して電気熱変換体13とそれぞれ正対する複数の吐出口16を有する上板部材17が形成されている。すなわち、この上板部材17とシリコン基板11との間には液体供給口12と個々の液室15とに連通する色ごとの液流路18が形成され、これらは吐出口16と同様にフォトリソグラフィ技術により上板部材17と共に形成されている。
【0131】
液体供給口12から各液室15内に供給される液体は、対応する液室15内の電気熱変換体13に駆動信号が与えられることにより、電気熱変換体13の発熱に伴って沸騰し、これにより発生する気泡の圧力によって吐出口16から吐出される。この場合、液室15内で発生する気泡は、その成長に伴って吐出口16から大気連通状態となる。
【0132】
8は凸部領域であり、各色の吐出口列の両側に構成された部材である。この凸部領域8は、吐出口16が配列する面よりもHだけy方向に突出している。
【0133】
図12は、図11で説明したシリコン基板11上の1色分の吐出口列を正面から見た拡大図である。1つの吐出口16は1つの電気熱変換体13と1対1で対応しており、吐出口16および電気熱変換体13のそれぞれの列は、xの方向にd0=42μmのピッチ間隔で配列されている。更に、2つの列はx方向に互いに半ピッチ、即ち21μmだけずれて配置されており、y方向に移動しながらタイミングをずらして吐出させることにより、結果的にプリントシートに形成されるドットの配列密度は、x方向において21μmピッチすなわち1200dpi(ドット/インチ;参考値)となっている。本実施形態の電気熱変換体13はすべて同一寸法を有し、一辺が24μmの正方形である。吐出口16もすべて同一寸法を有し、一辺が16μmの正方形となっている。電気熱変換体13の1回の駆動によって吐出口16から吐出されるインク滴の吐出量は、本実施形態では5ピコリットルに設定されている。
【0134】
なお、吐出口16の形状としては、本実施形態のような正方形状とする他、例えば長方形、円形、台形などの矩形状、あるいは星形など、適宜の形状とすることもできる。
【0135】
図に示す距離Lは、凸部領域8と最外部の吐出口16との距離を示している。発明者がこの距離Lと端よれ量の関係を検討したところ、下記に示す「表2」に示すような結果が得られた。尚、この検討の条件としては、凸部領域8の高さ0.4mm、インク滴の吐出速度10〜15m/s、プリント媒体とヘッドの吐出口面の間隔1.6mm、キャリッジの移動速度毎秒63.5mm、プリントヘッドの応答周波数15khzであった。更に、凸部領域8のない状態で、「ベタ」プリント行った場合には、端よれ量は24μmであった。
【0136】
【表2】
Figure 2004216774
【0137】
この表の結果から、距離Lが短いほど端よれ量も減少することが確認された。更に、発明者らは、距離Lを0.2〜0.3mmに固定した状態で、凸部領域8の高さHを変動させることにより、端よれ量に対する高さHの影響も確認した。
【0138】
「表3」は、高さHと端よれ量の関係を示した結果であり、L及びH以外の他の条件は「表2」の場合と同等とする。
【0139】
【表3】
Figure 2004216774
【0140】
以上「表2」および「表3」の結果より、なるべく高さのある凸部領域8を、両端部に位置する吐出口になるべく近づけて設置することで、端よれ量が低減可能であることが確認された。
【0141】
図13は、上記検討により、適切なLおよびHに設計された凸部領域8を具備する記録ヘッドを用い、「ベタ」プリントを行った場合の吐出状態を、図1で説明した従来の記録状態と比較して示したものである。図13において、プリントヘッド1、プリント媒体2、インク滴3、および吐出口面4は図1と同様の構成のものである。また、斜線で示した8が凸部領域である。本実施形態のように、凸部領域8を適切な状態で記録ヘッドに具備することは、たとえ吐出口面4近傍が減圧雰囲気になったとしても、凸部領域8が気流防止壁となるために、両端部のインク滴が中央側に引き寄せられることがない。よって、図1では歪曲されていた両端部におけるインク滴の奇跡が、図13のようにほぼ直進させることが可能となる。そしてこのように、両端のインク滴が、プリントシート上の目的通りの位置に着弾されるので、図2で示したような、キャリッジの移動走査毎に発生していた白すじも低減できる。
【0142】
発明者らの検討によれば、L=0.2〜0.3mm、H=0.4mm程度が画像劣化となるような白すじが目立たなくなるほぼ限界の値と判断された。よって、理想的な実施形態としては、L≦0.2mm、H≧0.4mmであることが望ましい。
【0143】
なお、図11の説明では、凸部領域8が各色にそれぞれ独立に設けてある構成としたが、本実施形態および本発明はこの形状に限定するものではない。本実施形態の凸部領域8aおよび8bを一体化し、同一のシリコン基板11に構成されたすべての色の吐出口列に共通な凸部領域8としてもよい。また、上述した特許文献12のように、キャリッジの走査方向に対する気流も低減できるように、x方向に平行な凸部領域を同時に設けたり、吐出口を色ごとに、あるいはシリコン基板上にある吐出口列すべてを一括して囲い込むように凸部領域を構成しても本発明は有効である。
【0144】
ところで以上では、電気熱変換体13のような熱エネルギー発生手段を具え、発生した熱エネルギーにより液体の状態変化を生起させ、とりわけ、小吐出量を高精細に記録するためにバブル連通吐出方式のインクジェット記録を例に説明してきたが、本発明はこの方法に限定されるものではない。吐出の方法は、従来技術の項に記載した個々の特許文献のように、バブル連通吐出方式以外のものであっても良く、更には、熱エネルギー以外のエネルギー手段により液体を吐出させる方法であってもよい。いずれにしても、インクのような液体を高密度に高周波数に吐出を行う記録ヘッドでは、上述した端よれ現象が起こる可能性が高く、この場合にはどの様な吐出方法であっても本発明は有効となるのである。
【0145】
さらに、上述した実施形態では、移動走査するキャリッジに対して着脱可能なカートリッジを、図4を参照して説明して来たが、この構成においても本発明を限定するものではない。記録ヘッドおよびインクタンクがキャリッジに一体的に固定された構成であっても、あるいはキャリッジに対して交換可能でありながら、記録ヘッドとインクタンクが一体化されたヘッドカートリッジを用いた場合にも、本発明は有効となる。また、搭載される記録ヘッドの種類や個数についても、上記実施形態に限定されるものではない。例えば単色のインクに対応して記録が可能なキャリッジ構成でも良いし、キャリッジ自体がカートリッジ毎に複数個用意されていてもよい。このような場合、例えば黒色などの主流色のみを用いたプリントモードと、複数の異なる色の記録による複色カラープリントモードや混色によるフルカラーモードを、カートリッジを交換することにより切りかえる構成であってもよい。さらに、プリント媒体の種類やプリントモードに応じてインクのプリント性を調整するための処理液(プリント性向上液)を専用あるいは共通の記録ヘッドから吐出することも有効である。
【0146】
更には、キャリッジがプリントシートに対し相対的に往復移動しながら画像を形成するシリアル型のプリンタでなく、記録ヘッドの吐出口がプリントシートの記録幅だけ備えられたラインヘッドを用いたラインプリンタに本発明を適用してもよい。キャリッジの移動を伴わなくとも、記録密度や吐出周波数によっては本発明が問題とする端よれ現象は存在しうるので、このような場合においても本発明は有効といえる。
【0147】
また、上記実施形態のなかでは特に詳細な説明を行ってはいないが、本発明のプリンタの構成として、記録ヘッドからの液体の吐出状態を適正にするための回復手段や、予備的な補助手段などを付加することは本発明の効果を一層安定できるものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対するキャッピング手段や、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体やこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、プリント作業とは別に吐出を行う予備吐出手段を挙げることができる。
【0148】
さらに、以上においては、常温で液体の形態をとるインクをプリントシートに記録する場合を例に説明して来たが、本発明が適用可能な液体はこれに限定されるものではない。所定の温度以下では固化したもので、室温程度の温度で軟化もしくは液化する材料であっても良い。また、一般にインクジェット方式では、30℃以上70℃以下の範囲内で液体の温度調整を行って、液体の粘性を安定吐出範囲に調整することから、プリント信号を付与する環境において液化させる構成をとってもよい。加えて、従来の技術の項で開示した特許文献12および特許文献13のように放置状態では固化し、熱エネルギーによる加熱によって液化する材料を用いてもよい。この場合、昇温を固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用させることで液体の蒸発を防止することができる。
【0149】
なお、本発明にかかるプリント装置の形態としては、コンピュータなどの情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダなどと組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置や捺染装置の形態を採るものなどであっても良く、プリント媒体としては、シート状あるいは長尺の紙や布帛、あるいは板状をなす木材や石材、樹脂、ガラス、金属などの他に、3次元立体構造物などを挙げることができる。
【0150】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0151】
〔実施態様1〕同一平面上に所定の密度で所定の方向に配列された液体を吐出するための複数の吐出口と、少なくとも該複数の吐出口の配列範囲の側端部に、前記複数の吐出口の配列方向とは異なる方向に延在して、前記同一平面より突出した凸部領域とを有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【0152】
〔実施態様2〕前記所定の方向に配列した複数の吐出口の内、最外端部に位置する前記吐出口と、前記凸部領域との距離が、0.3mm以下であるこを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【0153】
〔実施態様3〕前記凸部領域の前記複数の吐出口が配列される平面からの高さが0.4mm以上であるこを特徴とする、実施態様1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【0154】
〔実施態様4〕前記吐出口から1回の吐出で排出される液体の体積が10pl以下であることを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【0155】
〔実施態様5〕前記吐出口から液体を吐出するために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生するエネルギー発生部を有し、前記熱エネルギーによって液体内に起こる膜沸騰により成長する気泡が前記吐出口を介して大気に連通することにより、所定量の液滴が吐出されることを特徴とする実施態様1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【0156】
〔実施態様6〕プリント媒体に対し、前記インクジェット記録ヘッドが相対的に移動しながら液体の吐出をおこなう主走査と、該主走査とは直行する方向へ相対的に所定量の距離だけ移動する副走査とを交互に行うことによって、前記プリント媒体に画像を形成することが可能な実施態様1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【0157】
〔実施態様7〕実施態様1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドを搭載可能なインクジェット記録装置。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、吐出口面近傍が減圧雰囲気になったとしても、凸部領域が気流防止壁となるために、両端部のインク滴が中央側に引き寄せられることがない。よって、両端部のインク滴が直進してプリント媒体に着弾されるので、記録走査の各境界部で現れる白すじを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のインクジェットプリンタによるインクの吐出状態を模式的に表す概念図である。
【図2】従来のインクジェットプリンタによる記録画像を示す図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の実施形態によるインクジェットプリンタの外略構成を示す斜視図である。
【図4】(a)および(b)は、本発明の実施形態によるプリンタに用いるヘッドカートリッジ示す斜視図である。
【図5】図4(b)に示したプリントヘッドを斜め下方から観た分解斜視図である。
【図6】図4(a)に示したヘッドカートリッジに代えて本発明の実施形態によるプリンタに搭載可能なスキャナカートリッジの構成を天地逆にして示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態のプリンタにおける電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に示した電気的回路のうちメインPCBの内部構成例を示すブロック図である。
【図9】図8に示したメインPCBのうちASICの内部構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態のプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態における記録ヘッドのプリント素子基板の拡大破断構造を示した図である。
【図12】図11のシリコン基板上の1色分の吐出口列を正面から見た拡大図である。
【図13】本発明の実施形態のインクジェットプリンタによるインクの吐出状態を模式的に表す概念図である。
【符号の説明】
1 プリントヘッド
2 プリント媒体
3 インク滴
4 吐出口面
5 「ベタ」画像
6 「ベタ」画像
7 白すじ
8 凸部領域
11 シリコン基板
12 液体供給口
13 電気熱変換体
14 電極端子
15 液室
16 吐出口
17 上板部材
18 液流路
M1000 装置本体
M1001 下ケース
M1002 上ケース
M1003 アクセスカバー
M1004 排出トレイ
M1004a,M1004b 補助トレイ
M2003 排紙ローラ
M3001 LFローラ
M3019 シャーシ
M3022 自動給送部
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4000 プリント部
M4001 キャリッジ
M4002 キャリッジカバー
M4007 ヘッドセットレバー(着脱手段)
M4021 キャリッジ軸
M5000 回復系ユニット
M6000 スキャナ
M6001 スキャナホルダ
M6003 スキャナカバー
M6004 スキャナコンタクトPCB
M6005 照明部レンズ
M6006 読取部レンズ
E0001 キャリッジモータ
E0002 LFモータ
E0003 PGモータ
E0004 エンコーダセンサ
E0005 エンコーダスケール
E0006 インクエンプティセンサ
E0007 PEセンサ
E0008 GAPセンサ
E0009 ASFセンサ
E0010 PGセンサ
E0011 コンタクトFPC(フレキシブルプリントケーブル)
E0012 CRFFC(フレキシブルフラットケーブル)
E0013 キャリッジ基板
E0014 メイン基板
E0015 電源ユニット
E0016 パラレルI/F
E0017 シリアルI/F
E0018 電源キー
E0019 レジュームキー
E0020 LED
E0021 ブザー
E0022 カバーセンサ
E1001 CPU
E1002 OSC(CPU内蔵オシレータ)
E1003 A/D(CPU内蔵A/Dコンバータ)
E1004 ROM
E1005 発振回路
E1006 ASIC
E1007 リセット回路
E1008 CRモータドライバ
E1009 LF/PGモータドライバ
E1010 電源制御回路
E1011 INKS(インクエンド検出信号)
E1012 TH(サーミスタ温度検出信号)
E1013 HSENS(ヘッド検出信号)
E1014 制御バス
E1015 RESET(リセット信号)
E1016 RESUME(レジュームキー入力)
E1017 POWER(電源キー入力)
E1018 BUZ(ブザー信号)
E1019 発振回路出力信号
E1020 ENC(エンコーダ信号)
E1021 ヘッド制御信号
E1022 VHON(ヘッド電源ON信号)
E1023 VMON(モータ電源ON信号)
E1024 電源制御信号
E1025 PES(PE検出信号)
E1026 ASFS(ASF検出信号)
E1027 GAPS(GAP検出信号)
E0028 シリアルI/F信号
E1029 シリアルI/Fケーブル
E1030 パラレルI/F信号
E1031 パラレルI/Fケーブル
E1032 PGS(PG検出信号)
E1033 PM制御信号(パルスモータ制御信号)
E1034 PGモータ駆動信号
E1035 LFモータ駆動信号
E1036 CRモータ制御信号
E1037 CRモータ駆動信号
E0038 LED駆動信号
E1039 VH(ヘッド電源)
E1040 VM(モータ電源)
E1041 VDD(ロジック電源)
E1042 COVS(カバー検出信号)
E2001 CPU I/F
E2002 PLL
E2003 DMA制御部
E2004 DRAM制御部
E2005 DRAM
E2006 IEEE1284 I/F
E2007 USB I/F
E2008 受信制御部
E2009 圧縮・伸長DMAコントローラ
E2010 受信バッファ
E2011 ワークバッファ
E2012 ワークエリアDMAコントローラ
E2013 プリントバッファ転送DMAコントローラ
E2014 プリントバッファ
E2015 プリントデータ展開DMAコントローラ
E2016 展開用データバッファ
E2017 カラムバッファ
E2018 ヘッド制御部
E2019 エンコーダ信号処理部
E2020 CRモータ制御部
E2021 LF/PGモータ制御部
E2022 センサ信号処理部
E2023 モータ制御バッファ
E2024 スキャナ取込みバッファ
E2025 スキャナデータ処理DMAコントローラ
E2026 スキャナデータバッファ
E2027 スキャナデータ圧縮DMAコントローラ
E2028 送出バッファ
E2029 ポート制御部
E2030 LED制御部
E2031 CLK(クロック信号)
E2032 PDWM(ソフト制御信号)
E2033 PLLON(PLL制御信号)
E2034 INT(割り込み信号)
E2036 PIF受信データ
E2037 USB受信データ
E2038 WDIF(受信データ/ラスタデータ)
E2039 受信バッファ制御部
E2040 RDWK(受信バッファ読み出しデータ/ラスタデータ)
E2041 WDWK(ワークバッファ書込みデータ/プリントコード)
E2042 WDWF(ワークフィルデータ)
E2043 RDWP(ワークバッファ読み出しデータ/プリントコード)
E2044 WDWP(並べ替えプリントコード)
E2045 RDHDG(プリント展開用データ)
E2047 WDHDG(カラムバッファ書込みデータ/展開プリントデータ)
E2048 RDHD(カラムバッファ読み出しデータ/展開プリントデータ)
E2049 ヘッド駆動タイミング信号
E2050 データ展開タイミング信号
E2051 RDPM(パルスモータ駆動テーブル読み出しデータ)
E2052 センサ検出信号
E2053 WDHD(取込みデータ)
E2054 RDAV(取込みバッファ読み出しデータ)
E2055 WDAV(データバッファ書込みデータ/処理済データ)
E2056 RDYC(データバッファ読み出しデータ/処理済データ)
E2057 WDYC(送出バッファ書込みデータ/圧縮データ)
E2058 RDUSB(USB送信データ/圧縮データ)
E2059 RDPIF(1284送信データ)
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 プリントヘッド
H1100 プリント素子基板
H1100T 吐出口
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダ
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルタ
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク
H1901 取り外し用レバー

Claims (1)

  1. 同一平面上に所定の密度で所定の方向に配列された液体を吐出するための複数の吐出口と、
    少なくとも該複数の吐出口の配列範囲の側端部に、前記複数の吐出口の配列方向とは異なる方向に延在して、前記同一平面より突出した凸部領域と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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