JP2010012820A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートポンプ式の空調装置にあって、暖房、冷房のみならず、中間期の適切な温度制御を可能とする車両用空調装置を提供すること。
【解決手段】第1の冷凍サイクル31と第2の冷凍サイクル32とを有し、第1の冷凍サイクル31を稼動させれば冷房運転モードに、第2の冷凍サイクル32を稼動させれば暖房運転モードに、それから、第2の冷凍サイクル32の運転時に第1の冷凍サイクル31にも冷媒を流して第1のエバポレータ14を稼働させれば除湿機能を持つ暖房運転モードに、前記第1の冷凍サイクル31と前記第2の冷凍サイクル32を共に稼働させれば冷・暖房運転モードになるよう構成され、それらの4つの運転モードが総合信号により選択され空調制御が行われる車両用空調装置である。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両に用いられる空調装置に関し、特にヒートポンプ式の車両用空調装置に関する。
近年、電気自動車、ハイブリッド自動車の開発、又はエンジンの高効率化等が盛んに行われているが、このような車両においては、従来のエンジン走行車のようにエンジン冷却水を暖房の熱源として用いることができない、又は困難であるため、十分な暖房機能を得るための熱源の確保が模索されている。特に電気自動車の場合、バッテリの電力のみで電動圧縮機を駆動して快適な空気調和を得る必要があり、車両の走行用の電力を浪費しないために、効率のよい冷暖房運転および除湿運転が求められている。
このような状況下、ヒートポンプ冷暖房を行う車両用ヒートポンプ式空調装置として、例えば特許文献1に開示されているように、四方弁により冷媒の流れを冷房運転時と暖房運転時で逆転させ、暖房運転時には、車室外熱交換器を吸熱器として使用すると共に、車室内熱交換器を放熱器として使用し、冷房運転時には、車室外熱交換器を放熱器として使用するようにした冷凍サイクルが知られている。さらに、特許文献1に記載される空調装置は、車室外から空調装置への導入空気と、車室内から車室外への排出空気とを熱交換させる排気熱回収構造を備えている。この構成により、冷房時は車室外空気よりも冷たい空気を、暖房時は車室外空気より暖かい空気を導入することができ、圧縮機の消費電力を小さくすることができる。
また、特許文献2に示されるように、放熱用熱交換器を車室外と空調装置内双方に設けて直列に接続して冷凍サイクルを構成し、暖房時には三方弁32を切り替えて車室外熱交換器38をバイパスさせるようにした構成も知られている。さらに特許文献2に示される車両用ヒートポンプ式空調装置は、コンプレッサ31へ吸入される冷媒と廃熱を回収した熱媒体を熱交換させる廃熱回収構造を備えている。この構成によれば、回収した廃熱によってコンプレッサが吸引する冷媒の温度が上昇し、結果としてコンプレッサの吐出する冷媒の温度が上昇するため、暖房能力を向上させることができる。
特開平6−206433号公報 特開平6−171350号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるような四方弁を用いたヒートポンプ式空調装置においては、冷凍サイクルを構成する熱交換器のうち室内熱交換器5しか車室内空調装置内に設けられていないため、蒸発器によって冷却された空気を放熱器によって適宜加熱すること、いわゆるエアミックスを得ることができない。また、梅雨時など外気温は低いが除湿が必要なときにおいては、冷えすぎないように圧縮機の回転数を低く抑えることが考えられるが、これは単に「弱冷房運転」であって、必要な除湿が得られない恐れがある。また、特許文献1の第3の実施例においては、空調空気を加熱するための電気ヒータ32が設けられているが、熱源としてはきわめて効率が悪い。
さらに、冷房運転時と暖房運転時で冷媒の流れ方向が変わるため、車室外熱交換器側、車室内熱交換器側にいずれの配管も高温、高圧に耐えられるよう管径等を設定しなければならないという問題がある。
また、特許文献1が備える排気熱回収構造においては、空調装置の導入空気に回収した排気熱を還元する方式となっているため、除湿暖房運転時にはこの排気熱回収を適用できない。もし適用したとすると、室内熱交換器を通過する導入空気の温度が上がってしまい、除湿効果を得るためにコンプレッサが冷やさなければならない熱量が大きくなり、却って効率が悪くなるという不都合が生じる。
この点、特許文献2に開示されるような三方弁を用いたヒートポンプ式空調装置においては、冷凍サイクルを構成する熱交換器のうち放熱器と蒸発器がともに車室内空調装置内に設けられているため、冷房運転、エアミックス運転、除湿暖房運転を得ることができる。しかしながら、冷凍サイクルを流れる冷媒が全て吸収用車室内熱交換器(蒸発器)35を通過する構成のため、除湿の必要がないときでも空調空気が一旦冷やされるという点で非効率である。
また、冷房運転時においても放熱用車室熱交換器33を高圧ガスが通過することになり、エアミックスドアが閉鎖されて熱交換が抑制されているとは言え、放射熱や漏れ等で空調空気が暖められてしまうという不都合がある。
さらに、特許文献2が備える廃熱回収構造においては、廃熱が還元される箇所が吸収用車室内熱交換器(蒸発器)35の下流となるため、回収還元された廃熱の大小に関わらず、吸収用車室内熱交換器を通過する空気の温度は外気温度となる。除湿暖房が必要な状況は一般に外気温度が低く、吸収用車室内熱交換器で吸熱しすぎると熱交換器が凍結してしまうため、凍結が生じない程度に圧縮機の能力を落とさなければならない。結果として、吸熱量が減り、放熱用車室内熱交換器から放熱量が小さくなって暖房能力が不十分となるという問題がある。
そこで、この発明は、暖房運転、冷房運転のみならず中間期の適切な温度制御および除湿運転を可能とするヒートポンプ式の空調装置を提供することを目的とする。
この発明に係る車両用空調装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサを持ち、このコンプレッサの出口側に少なくとも2つの冷凍サイクルを備え、第1の冷凍サイクルは、圧縮冷媒と外気とを熱交換させる第1のコンデンサと、この第1のコンデンサにより放熱された冷媒を膨張弁を介して断熱膨張させ、導入空気を冷却し、前記コンプレッサの入り口側に接続される、空調装置本体内に配された第1のエバポレータと、前記コンプレッサ出口側から前記第1のコンデンサまでの配管に設けられた開閉型の第1の電磁弁とより成り、第2の冷凍サイクルは、空調装置本体内に配され、圧縮冷媒の持つ熱を放出させる第2のコンデンサと、空調装置本体外に配され、この第2のコンデンサにより放熱された冷媒に吸熱させる第2のエバポレータと、前記コンプレッサの出口側から前記第2のコンデンサまでの配管に設けられた開閉型の第2の電磁弁とより成り、更に前記第2の冷凍サイクルの前記第2のコンデンサの下流から分岐して前記第1の冷凍サイクルの前記第1のコンデンサの下流に接続する連絡配管を設け、この連絡配管に開閉型の第3の電磁弁を設けて、前記第2のコンデンサで放熱された冷媒を前記第1の冷凍サイクルへ分配可能に構成したことを特徴としている(請求項1)。
この構成により、二つの冷凍サイクルのうち、第1の冷凍サイクルのみを稼働させれば、第1のエバポレータによる冷却作用が働いて冷房運転となり、第2の冷凍サイクルのみを稼働させれば、第2のコンデンサによる加熱作用が働いて暖房運転となり、そして同時に二つの冷凍サイクルを稼働させれば、第1のエバポレータからの冷風と第2のコンデンサからの温風を混合して温度制御する冷・暖房運転となる。さらに、第2の冷凍サイクル(暖房側)を稼働させながら、その一部の冷媒を第1の冷凍サイクル(冷房側)の第1のエバポレータに分配することにより除湿機能を有する暖房運転となる。このように第1、第2の冷凍サイクルを適宜切り替えることにより、様々な運転が得られ、特に中間期にあって、暖房運転時に除湿を可能として窓ガラスの曇ってしまうことを防ぐことができると共に、冷・暖房運転モードとすれは、冷風と温風をエアミックスダンパによる混合制御を可能として、細かい空調制御を可能としている。
第2のエバポレータへの吸熱は、車室内から車室外へ排出される空気から行うため、車両の後方に、車室内から車室外へ空気を排出させる排気ブロアと、この排出される空気から排熱回収を図る排気熱交換器とを備え、この排気熱交換器と前記第2のコンデンサとの間に循環ポンプを備えた排熱回収サイクルを設けるようにしても良い(請求項2)。この構成により、排気から熱を排気熱交換器により回収し、その熱を排熱回収サイクルを経て第2のエバポレータに伝えて、暖房の貴重な熱源として利用することができる。
また上述においては、第2のコンデンサが空調装置本体に配されて、冷媒の熱を放出しているが、この第2のコンデンサに代わってヒータコアを空調装置本体に配するとともに、第2のコンデンサは空調装置本体外に配し、この第2のコンデンサから放出される熱を循環ポンプを持つヒータコア加熱サイクルを介してこのヒータコアに供給するようにしても良い(請求項3)。この構成により、第2のコンデンサに代えて、ヒータコアにより空調装置内に熱が放出される。
この発明の空調運転モードは、冷房運転モード、暖房運転モード、冷・暖房運転モード、除湿機能を持つ暖房運転モード、の4つの運転モードを有し、各空調運転モードを少なくとも室内温度、設定温度から演算される総合信号により切換える制御装置を具備することを特徴としている(請求項4)。
即ち、熱負荷信号である総合信号に基づいて、各空調運転モードを選択でき、暖房要求側から冷房要求側へ、暖房運転モード、除湿機能を持つ暖房運転モード、冷・暖房運転モード、冷房運転モード、が順次稼動される。
また、前記連絡配管が第2の冷凍サイクルから分岐する分岐点と第2のエバポレータの間に、第4の電磁弁を設けてもよい(請求項5)。この構成により、第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサから第2のエバポレータへの冷媒流れを許したり止めたりすることができる。また、この第4の電磁弁を電子膨張弁とした場合(請求項6)、さらに第2のコンデンサから第2のエバポレータへの絞り度合いを調整することが可能となる。
この第4の開閉弁を備えた本発明に係る車両用空調装置においては、第1、第2、第3の電磁弁を開き、第4の電磁弁を閉鎖することにより、第1の冷凍サイクルの第1のコンデンサを通過した冷媒のみならず第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサを通過した全ての冷媒を第1のサイクルの第1のエバポレータに振り分けることができるので、空調装置に導入された外気を効率的に冷却・除湿する一方で、冷えすぎないように第2のコンデンサの熱源により再加熱することが可能となる。このように冷房運転モードでは冷えすぎるが、冷房・暖房モードでは除湿能力が足りない、というような条件のとき、総合信号に基づいて上記の如く各開閉弁を切り替えることにより、前述の4つの運転モードに加え、微冷除湿運転も可能となる(請求項7)。
以上のように、請求項1の発明によれば、冷凍サイクルを2つとしたことで、一方の冷凍サイクルを稼動させれば冷房運転となり、他方の冷凍サイクルを稼動させれば暖房運転となり、同時に両者を稼働させれば、冷風と温風が得られることから混合して温度制御を可能とする冷・暖房運転となる。
さらに、第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサの下流から分岐して第1の冷凍サイクルの第1のコンデンサの下流に接続する連絡配管が設けられているため、暖房運転時にこの連絡配管に設けられた電磁弁を開くことにより、第2のコンデンサで放熱された冷媒の一部を第1の冷凍サイクルの第1のエバポレータに分配することが可能となる。これにより、空調装置に導入された空気が第1のエバポレータで冷却・除湿されることとなり、除湿機能を持つ暖房運転が得られる。第1のエバポレータに分配される冷媒は一部のみであり、残りの冷媒は第2のサイクルを流れるため、特許文献2に示されるヒートポンプ装置のように全ての冷媒が室内熱交換器に流されて導入空気が過度に冷却されることがなく、効率的な除湿暖房運転が得られる。
請求項2の発明によれば、車室内から車室外へ排出される空気から回収された熱は、排熱回収サイクルを介して前記第2の冷凍サイクルの第2のエバポレータに吸熱される。第2のエバポレータは空調装置本体外に配されているため、特許文献1に示される排気熱回収構造のように、空調装置に導入された除湿前の外気を暖めてしまい除湿機能が損なわれてしまうことがない。
請求項3の発明によれば、第2のコンデンサに代わってヒータコアが空調装置本体内に配され、空調装置本体外に配された第2のコンデンサから放出された熱が循環ポンプを持つヒータコア加熱サイクルを介してヒータコアに供給される。この構成により、第2の冷凍サイクルの高圧高温冷媒を空調装置本体まで導くことが不要になり、媒体に水等を用いた容易な配管構成ヒータコア加熱サイクルにてヒータコアに熱を供給することが可能となる。
請求項4の発明によれば、暖房運転モード、除湿機能を持つ暖房運転モード、冷・暖房運転モード、冷房運転モードの4つの運転モードが熱負荷信号である総合信号により切換えられ、良好な空調制御を得ることができる。
請求項5および6の発明によれば、連絡配管が第2の冷凍サイクルから分岐する分岐点と第2のエバポレータの間に、第4の電磁弁が設けられているため、第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサから第2のエバポレータへの冷媒流れを開閉もしくは絞り度合いを加減することができる。特に第1、第2、第3の電磁弁を開放し、第4の電磁弁を閉鎖することにより、第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサで放熱した冷媒全てを第1のサイクルの第1のエバポレータに振り分けて十分な冷却・除湿能力を確保すると同時に、第2のコンデンサによる熱源により冷えすぎが緩和されるため、微冷除湿運転が可能となる。このように、冷房運転モードでは冷房能力が過剰であるが、冷・暖房運転モードでは冷房能力が足りない、というような条件のとき、熱負荷状況を示す総合信号に基づいて、この微冷除湿運転モードに切り替えることにより、さらに好適な空調制御が得られる。
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、車両用空調装置1は、車室3内の温度等を制御する装置であり、車両2に搭載された空調装置本体4は、空調ケース5の上流側にインテーク部6を備え、インテークドア7の作動によって内気導入口10と外気導入口11を切換えて、内気又は外気の導入を選択している。そして、ブロア12により導入される内気又は外気を下流へ送り出している。
前記インテーク部6の下流には、導入空気を冷却するための第1のエバポレータ14が配され、ここを通過する空気を冷却している。この第1のエバポレータ14は下記に説明する冷凍サイクル30の構成要素となっている。
第2のコンデンサ16は、前記空調装置本体4内で前記第1のエバポレータ14の下流に配され、下記する冷凍サイクル30からの熱の供給を受けて、ここを通過する空気を加熱している。この第2のコンデンサ16への通過空気量は、その前に設けられたミックスドア17にて制御され、この下流域で第2のコンデンサ16を通過して暖められた温風と、この第2のコンデンサ16をバイパスした冷風と混合することで、吹出空気温度が調温されている。
そして、調温された空気が、選択されている吹出モードによりデフロスト吹出口18、ベント吹出口19及び足元吹出口20から車室3内に吹出される。21は熱源不足時に用いられるPTCなどの補助ヒータである。
車室3内の後方には、排気空気から熱を回収する排熱回収システムの排気熱交換器26が設けられ、この排気熱交換器26は排気ブロア24も共に排気ケース25に包まれ、車室3内から排出される空気(内気)から熱交換して熱の回収を図っている。この排気熱交換器26は下記に説明する排熱回収サイクル47を構成している。
冷凍サイクル30は、冷媒を加圧するモータ駆動のコンプレッサ33を共通とし、該コンプレッサ33からの吐出側に2つの第1及び第2の冷凍サイクル31及び32を備えている。前記第1の冷凍サイクル31は、第1の開閉型の電磁弁34を介して車室外に配された第1のコンデンサ35に接続され、この第1のコンデンサ35で放熱され、冷媒は液化され、一方向弁36を介して前記第1のエバポレータ14に流される。
第1のエバポレータ14は積層型、フィンアンドチューブ型等で、その上流側に絞り弁38を持ち、この絞り弁38により冷媒は断熱膨張され、その際に吸熱し、第1のエバポレータ14を通る空気を冷風化する。そして、冷媒は吸熱して気化されながら、該第1のエバポレータ14の出口からアキュームレータ39に至り、そこで、一時的に貯められた後、コンプレッサ33に吸入される。即ち、第1の冷凍サイクル31を稼働させることで、冷媒が実線矢印のように流れ、車室内を冷房する働きが行われる。40は高圧側の圧力を検出する圧力検出器である。
それから、第2の冷凍サイクル32は、第2の開閉型の電磁弁41を介して前述した空調装置本体4内に配された第2のコンデンサ16が接続され、この第2のコンデンサ16で高温高圧の冷媒ガスの持つ熱が放熱される。即ち、第2の冷凍サイクル32を稼働させることで、車室内を暖房する働きが行われる。そして、第2のコンデンサ16からの冷媒は、下記する第2のエバポレータ45に流される。
第2のエバポレータ45に流される冷媒は、その上流側に設けられたオリフィス46により断熱膨張され、第2のエバポレータ45にて下記する排熱回収サイクル47と熱交換される。熱交換する部位の構造は、冷媒が流れる第2のエバポレータの複数の扁平チューブと、下記する熱媒体が流れる排熱回収サイクル47の放熱部50の複数の扁平チューブが、それぞれ互いに重なり合って積層されてなり、この排熱回収サイクル47の熱媒体の熱を第2の冷凍サイクルの冷媒に吸熱させることが可能となっている。
この排熱回収サイクル47は、前述した排気熱交換器26で回収した温熱を、水を媒体にして第1の循環ポンプ48にて前記放熱部50に循環させることにより構成されている。これにより、車室3内から車室3外へ排出される空気から回収した排熱を、放熱部50にて第2の冷凍サイクル32と熱交換させ、暖房運転時の貴重な熱源として利用することが可能となっている。なお、この排熱回収サイクル47には、他の熱源であるモータ等の機器から吸熱部49も接続している。
さらに、第2のエバポレータ45からの冷媒は、前記したアキュームレータ39に至り、ここで貯められた後コンプレッサ33に吸入される。このように、第2の冷凍サイクル32を稼働させることで、冷媒が点線矢印のように流れ、車室内を暖房する働きが行われる。
また、冷凍サイクル30には、前記第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサ16の下流から分岐して前記第1の冷凍サイクルの第1のコンデンサ35の下流に接続する連絡配管56が設けられている。さらにこの連絡配管56上には、第3の開閉弁57と一方向弁58が設けられている。
暖房運転時、すなわち第2の冷凍サイクル32が稼動しているときに、この第3の開閉型の電磁弁57を開けることで、そこを流れる冷媒の一部が二点鎖線矢印のように第1の冷凍サイクルの第1のエバポレータ14側に分配される。これにより、導入空気を第1のエバポレータ14によって冷却・除湿し、さらに第2のコンデンサによって加熱する、除湿機能を持つ暖房運転が得られる。
特許文献2に記載されるヒートポンプ式冷暖房装置においては、暖房運転時においても全ての冷媒を第1のエバポレータに流す構成のため、導入空気が冷却されすぎてしまい、第1のエバポレータが凍結したり、暖房能力を低下させる問題があったが、本発明の構成においては、第1の冷凍サイクル31の第1のエバポレータ14に分配される冷媒は一部のみであるため、導入空気が冷却されすぎて、暖房能力を低下させたり、第1のエバポレータ31が凍結する恐れがない。このように、車室内の湿度が高く車外の温度が低い時に、暖房能力を損なうことなくガラス面に発生する曇りを防止する効果を持たすことができる。
上記の構成において、第1の開閉型の電磁弁34を開けば、第1の冷凍サイクル31に冷媒が流れて冷房運転モードとなり、第2の開閉型の電磁弁41を開けば、第2の冷凍サイクル32に冷媒が流れて暖房運転モードとなり、第1の開閉型の電磁弁34と第2の開閉型の電磁弁41とを共に開けば、冷・暖房運転モードとなり、そして、第2の開閉型の電磁弁41と第3の開閉型の電磁弁57を共に開けば、除湿機能を持つ暖房運転モードとなる。なお、上記において、説明のないその他の開閉弁は閉状態となっている。このように、4つのモードの運転が3個の電磁弁の制御で行われる。
各運転モードの選択は、図示しないがマイクロコンピュータなどの制御装置で行われ、例えば図3に示すフローのように行われる。車両用空量装置1が稼働されると、ステップ101において、外気温度、車室内温度、設定温度、日射などの熱負荷情報から総合信号(Tm)が制御装置により演算される。
総合信号が演算されたら、ステップ102に進み、運転モード選択が行われる。即ち、総合信号(Tm)により、暖房運転モード、除湿機能を持つ暖房運転モード(図3においては除湿暖房と記述する)、冷・暖房運転モード、冷房運転モードの一つが選ばれる。
4つの運転モードから一つが選択されると、その運転モードを稼働させるための電磁弁34,41,57の制御が以下のステップにより行われる。冷房運転モードが選択されると、ステップ103で「冷房モード?」と判断され、「YES」であるから、ステップ104に進み、第2の電磁弁41は閉に、それから、ステップ105に進み、第1の電磁弁34は開に、それから、ステップ106に進み、第3の電磁弁57は閉とされる。即ち、第1の冷凍サイクル31が稼働され、冷媒が図1の実線矢印のように流され、冷房運転モードが稼働される。
冷・暖房運転モードが選択されると、ステップ103で「冷房運転モード?
」と判断され、「NO」であるから、ステップ107に進み、第2の電磁弁41は開に、それからステップ108に進み「冷・暖房運転モード?」と判断され、「YES」であるから、ステップ105に進み、第1の電磁弁34は開に、それからステップ106に進み第3の電磁弁57は閉とされる。即ち第1及び第2の冷凍サイクル31,32が稼働され、冷媒が図1の実線矢印及び点線矢印のように流され、冷・暖房運転モードが稼働される。このため、冷風と温風を混合して温度調節をすることから、温度制御の自由度が増し、中間期の温調に最適である。
除湿暖房運転モードが選択されると、ステップ103で「冷房運転モード?」と判断され、「NO」であるから、ステップ107に進み、第2の電磁弁41は開に、それから、ステップ108に進み「冷・暖房運転モード?」と判断され、「NO」であるから、ステップ109に進み、第1の電磁弁は開に、それから、ステップ110に進み、「除湿暖房運転?」と判断され、「YES
」であるから、ステップ111に進んで第3の電磁弁57は開とされる。即ち、第2の冷凍サイクル32と連絡配管56に冷媒が点線矢印と二点鎖線矢印のように流され、除湿機能を持つ暖房運転モードが稼働される。このため、低外気時にフロントガラスの曇り止め作用が行え、有効な効果となる。
暖房運転モードが選択されると、ステップ103で「冷房運転モード?」と判断され、「NO」であるから、ステップ107に進み、第2の電磁弁41は開に、それから「冷・暖房運転モード?」と判断され、「NO」であるから、ステップ109に進み、第1の電磁弁34は閉に、それから、ステップ110に進み、「除湿暖房モード?」と判断され、「NO」であるから、ステップ106に進み、第3の電磁弁57を閉とされる。即ち、第2の冷凍サイクル32に冷媒が点線矢印のように流され、暖房運転モードが稼働される。
図2において、この発明の2番目の実施例が示されている。この実施例2が前記実施例1と異なる所は、前記実施例1が直接第2のコンデンサ16を空調装置本体4内に配しているのに対し、この実施例2においては、第2のコンデンサ16を空調装置本体4外に配し、この第2のコンデンサ16からヒータコア加熱サイクル62を介して加熱媒体(水)を空調装置本体4内に配されたヒータコア61に送り、このヒータコア61を加熱するようにしている。
即ち、第2の冷凍サイクル32に設けられた第2のコンデンサ16にヒータコア加熱サイクル62の受熱部63が添着された構成で、この受熱部63により第2のコンデンサ16からの放熱が回収される。この第2のコンデンサ16は、冷媒の流れる部位と前記受熱部63の水が流れる部位との間にフィンを介した構成で、第2のコンデンサ16から放熱された熱はヒータコア加熱サイクル62の水側に伝えられる。
前記受熱部63は、第2の循環ポンプ60と空調装置本体4内に配されたヒータコア61とで閉サイクルのヒータコア加熱サイクル62を構成し、回収された熱はヒータコア61に至って、放熱される。この実施例2にあっては、ヒータコア加熱サイクル62を設けたことが実施例1と異なるが、その他の構成は実施例1と同一のため、同一部分を同じ符号を付して説明を省略した。この実施例2にあっても、前述した4つの運転モードを総合信号により、選択して空調運転が行われることは勿論である。
図4において、この発明の3番目の実施例が示されている。前記実施例1においては、第2のエバポレータ45の上流にオリフィス46が設けられているのに対し、この実施例3においては、このオリフィス46の上流または下流に開閉型の第4の電磁弁52が設けられており、第2のコンデンサ16から第2のエバポレータ45への冷媒流れを開閉できるようになっている。
この第3の実施例においては、前記第1の実施例における冷房運転モード、暖房運転モード、冷・暖房運転モード、除湿機能つき暖房運転モードに加え、さらに微冷除湿運転モードが可能となっている。この微冷除湿運転モードにおいては、第1の電磁弁34と第2の電磁弁41両方を開くことにより、コンプレッサ33から吐出された冷媒は第1の冷凍サイクル31の第1のコンデンサ35と第2の冷凍サイクル32の第2のコンデンサ16に振り分けられる。ここまでは冷・暖房運転モードと同じであるが、この微冷除湿運転モードおいては、さらに第3の電磁弁57を開いて第4の電磁弁52を閉じることにより、第2の冷凍サイクル32の第2のコンデンサ16に流れた冷媒を、連絡配管56を介して第1の冷凍サイクル31の第1のエバポレータ14に流入させている。これにより、冷・暖房運転モードにおいては、第1の冷凍サイクル31に振り分けられた冷媒のみで空調装置本体4に導入された空気を冷却しなければならないところ、この微冷除湿運転モードにおいては、第1の冷凍サイクル31に分配された冷媒と第2の冷凍サイクル32に分配された冷媒がともに第1のエバポレータ14を通過するため、冷・暖房モードに比して冷房要求が高い条件のときに好ましい空調制御が得られる。
この実施例3における各運転モードの選択は、外気温度、車室内温度、設定温度、日射などの熱負荷情報から演算された総合信号に基づいて、暖房運転モード、除湿機能を持つ暖房運転モード、冷・暖房モード、微冷除湿運転モード、冷房運転モード、の5つの運転モードから一つが選択される。総合信号によるモード判定と各電磁弁の開閉操作手順は、前述の実施例1と同様の考え方であるため詳述しないが、各モードに対する各電磁弁の開閉パターンを図6に示す。
図5において、この発明の4番目の実施例が示されている。前記実施例3においては、オリフィス46の上流に第4の電磁弁として開閉型の弁が設けられているのに対し、実施例4においては、オリフィス46が除かれ、開閉型の電磁弁52に変えて電子膨張弁53が設けられている。これにより、第2のコンデンサ16から第2のエバポレータ45への絞り度合いを調節することが可能となり、微冷除湿運転モードから冷・暖房運転モードへの切り替わりを連続的に行うことも可能となる。
なお、実施例3、実施例4に対しても、前述の実施例2と同様に、空調装置本体4外に配した第2のコンデンサ16から、ヒータコア加熱サイクル62を介して空調装置本体4に配されたヒータコア61を加熱するように構成することが可能であるのは言うまでもない。
この発明に係る車両用空量装置の実施例1の構成図である。 この発明に係る車両用空調装置の実施例2の構成図である。 この発明に係る車両用空調装置の実施例1及び2の運転モードのフローチャートである。 この発明に係る車両用空調装置の実施例3の構成図である。 この発明に係る車両用空調装置の実施例4の構成図である。 この発明に係る車両用空調装置の実施例3の運転モードに対する電磁弁の開閉パターンである。
符号の説明
1 車両空調装置
2 車両
3 車室
4 空調装置本体
6 インテーク部
12 フロント側のブロア
14 第1のエバポレータ
16 第2のコンデンサ
17 ミックスドア
21 補助ヒータ
24 排気ブロア
25 排気ケース
26 排気熱交換器
30 冷凍サイクル
31 第1の冷凍サイクル
32 第2の冷凍サイクル
33 コンプレッサ
34 第1の開閉型の電磁弁
35 第1のコンデンサ
39 アキュームレータ
41 第2の開閉型の電磁弁
45 第2のエバポレータ
47 排熱回収サイクル
52 第4の開閉型の電磁弁
56 連絡配管
57 第3の開閉型の電磁弁
61 ヒータコア
62 ヒータコア加熱サイクル

Claims (7)

  1. 冷媒を圧縮するコンプレッサを持ち、このコンプレッサの出口側に2つの冷凍サイクルを備え、
    第1の冷凍サイクルは、圧縮冷媒と外気とを熱交換させる第1のコンデンサと、
    この第1のコンデンサにより放熱された冷媒を膨張弁を介して断熱膨張させ、導入空気を冷却する、空調装置本体内に配された第1のエバポレータと、
    前記コンプレッサの出口側から前記第1のコンデンサまでの配管に設けられた開閉型の第1の電磁弁とより成り、
    第2の冷凍サイクルは、空調装置本体内に配され、圧縮冷媒の持つ熱を放出させる第2のコンデンサと、
    空調装置本体外に配され、この第2のコンデンサより放熱された冷媒に吸熱させる第2のエバポレータと、
    前記コンプレッサの出口側から前記第2のコンデンサまでの配管に設けられた開閉型の第2の電磁弁とより成り、
    更に前記第2の冷凍サイクルの前記第2のコンデンサの下流から分岐して前記第1の冷凍サイクルの前記第1のコンデンサの下流に接続する連絡配管を設け、この連絡配管に開閉型の第3の電磁弁を設けて、前記第2のコンデンサで放熱された冷媒を前記第1の冷凍サイクルへ分配可能に構成したことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 車両の後方には、車室内から車室外へ空気を排出させる排気ブロアと、この排出される空気から排熱回収を図る排気熱交換器とを備え、この排気熱交換器と前記第2のエバポレータとの間に循環ポンプを備えた排熱回収サイクルを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
  3. 前記第2のコンデンサに代わってヒータコアを前記空調装置本体内に配するとともに、前記第2のコンデンサは空調装置本体外に配し、この第2のコンデンサから放出される熱を循環ポンプを持つヒータコア加熱サイクルを介して前記ヒータコアに供給することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用空調装置。
  4. 前記第1の電磁弁を開いて前記第1の冷凍サイクルを稼働させる冷房運転モードと、
    前記第2の電磁弁を開いて前記第2の冷凍サイクルを稼働させる暖房運転モードと、
    前記第1の電磁弁と第2の電磁弁を同時に開いて前記第1の冷凍サイクルと前記第2の冷凍サイクルを稼動させる冷・暖房運転モードと、
    前記第2の電磁弁と前記第3の電磁弁を開いて除湿機能を持つ暖房運転モードとの4つの空調モードを有し、各空調運転モードを少なくとも車室内温度、設定温度から演算される総合信号により切換える制御装置を具備することを特徴とする請求項1,2又は3記載の車両用空調装置。
  5. 前記連絡配管が前記第2の冷凍サイクルから分岐する分岐点と前記第2のエバポレータの間に、第4の電磁弁を設けたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の車両用空調装置。
  6. 前記第4の電磁弁は電子膨張弁であることを特徴とする請求項5記載の車両用空調装置。
  7. 前記第1の電磁弁を開いて前記第1の冷凍サイクルを稼働させる冷房運転モードと、
    前記第2の電磁弁と前記第4の電磁弁を開いて前記第2の冷凍サイクルを稼働させる暖房運転モードと、
    前記第1の電磁弁と前記第2の電磁弁と前記第4の電磁弁を同時に開いて前記第1の冷凍サイクルと前記第2の冷凍サイクルを稼動させる冷・暖房運転モードと、
    前記第1の電磁弁と前記第2の電磁弁と前記第3の電磁弁を開いて前記第1の冷凍サイクルと前記第2の冷凍サイクルの第2のコンデンサのみを稼動させる微冷除湿運転モードと、
    前記第2の電磁弁と前記第3の電磁弁と前記第4の電磁弁を開いて除湿機能を持つ暖房運転モードとの5つの空調モードを有し、各空調運転モードを少なくとも車室内温度、設定温度から演算される総合信号により切換える制御装置を具備することを特徴とする請求項5又は6記載の車両用空調装置。
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