JP2998115B2 - 自動車用空調装置 - Google Patents

自動車用空調装置

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JP2998115B2 JP35964591A JP35964591A JP2998115B2 JP 2998115 B2 JP2998115 B2 JP 2998115B2 JP 35964591 A JP35964591 A JP 35964591A JP 35964591 A JP35964591 A JP 35964591A JP 2998115 B2 JP2998115 B2 JP 2998115B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車に装備される空
調装置に関するもので、特に、室内熱交換器と室外熱交
換器とを備え、それらの熱交換器の間で気相・液相の相
変化を生じさせながら冷媒を循環させることにより冷房
あるいは暖房などを行うようにした自動車用空調装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車の冷房装置は、車室内に
供給される空気と熱交換を行う室内熱交換器のエバポレ
ータ、車外に排出される空気と熱交換を行う室外熱交換
器のコンデンサ、そして、そのエバポレータからコンデ
ンサに流れる冷媒を圧縮するコンプレッサ、及びコンデ
ンサからエバポレータに流れる冷媒を減圧する膨張弁な
どの減圧手段によって構成されている。その冷房装置に
おいては次のような冷凍サイクルが行われる。まず、コ
ンプレッサにより圧縮された気相冷媒は、高温高圧とな
ってコンデンサに導かれる。そのコンデンサにはクーリ
ングファンによって外気が吹き付けられており、その外
気によって冷媒が冷却されて液化する。液化した高圧冷
媒は、次いで膨張弁により減圧され、エバポレータに送
られる。そのエバポレータにおいては、冷媒は周囲から
熱を奪うことによって気化する。したがって、車外ある
いは車室内から取り入れられて車室内に供給される空気
をそのエバポレータに吹き付けるようにすれば、その空
気が冷却され、車室内の冷房が行われる。そして、気化
した冷媒は、再びコンプレッサに送られて圧縮される。
通常の自動車用空調装置は、このような冷凍サイクルを
行う蒸気圧縮式冷房装置とエンジン冷却水を利用したヒ
ータとを組み合わせることによって構成されている。
【0003】また、最近では、例えば特開昭60−179322
号公報に示されているように、自動車用空調装置にもヒ
ートポンプ方式を採用することが検討されるようになっ
てきている。そのヒートポンプ式空調装置においても、
室内熱交換器と室外熱交換器とが設けられ、それらの間
で上述の冷凍サイクルと同様に冷媒を循環させることに
より、冷房が行われる。一方、暖房は、冷媒の流れ方向
を切り換え、その冷凍サイクルを逆として室内熱交換器
から放熱させるようにすることによって行われる。この
ようなヒートポンプ式空調装置によれば、外気から熱が
吸収されて暖房が行われるので、上述のエンジン冷却水
を利用するもののようにエンジン温度に左右されること
がなくなり、暖房の立ち上がりが早くなる。また、内燃
エンジンを備えていない電気自動車にも適用することが
できる。
【0004】このように、自動車用空調装置において
は、蒸気圧縮式あるいはヒートポンプ式のいずれの場合
にも、室内熱交換器と室外熱交換器とが用いられる。そ
の室内熱交換器は車室内に供給される空気と熱交換する
ものであるので、車室内側に配置される。一般には、そ
の室内熱交換器は車室前部のインストルメントパネル内
に設置される。一方、室外熱交換器は、外気と熱交換を
行う関係上、空気を車外から取り入れやすく車外に排出
しやすい位置、例えば車体前端部のエンジンルーム内に
設置される。そして、その室外熱交換器によって熱交換
された空気が車室内に流入することのないようにするた
めに、それら室内熱交換器が設置される室と室外熱交換
器が設置される室との間は互いに仕切られるようになっ
ている。
【0005】ところで、そのような空調装置により制御
される車室内の温度は、車室内に供給される空気と熱交
換する室内熱交換器の効率に大きく左右される。室内熱
交換器に流入する冷媒の温度が十分に低くあるいは高く
されていても、その熱交換器における吸熱量あるいは放
熱量が少なければ、車室内の温度は所期の温度にまで達
しない。そして、室内熱交換器に導かれる冷媒の温度は
室外熱交換器において熱交換する外気の温度によって左
右されるが、冷房が行われるのは外気温が高いときであ
り、暖房が行われるのは外気温が低いときである。すな
わち、室内熱交換器に流入する冷媒の温度を十分に低
く、あるいは高くすることは難しい。したがって、室内
熱交換器による熱交換量はできるだけ多くすることが求
められる。
【0006】そこで、上記公報に記載されたものでは、
車室前方に設置される通常の室外熱交換器及び室内熱交
換器のほかに、車室後方に第3の熱交換器を設け、その
第3熱交換器を室内熱交換器としても用いるようにして
いる。その空調装置においては、各熱交換器はそれぞれ
冷媒配管を介してコンプレッサに接続されている。ま
た、各熱交換器間は、冷媒を断熱膨張させる減圧装置を
備えた冷媒配管により互いに結ばれている。コンプレッ
サと各熱交換器との間には四方弁が設けられており、そ
の四方弁によって冷媒の流れ方向が切り換えられるよう
になっている。そして、冷房時には、コンプレッサによ
って圧縮された冷媒が室外熱交換器に送られるととも
に、室内熱交換器及び第3熱交換器から気化した冷媒が
コンプレッサに戻され、暖房時には、コンプレッサから
冷媒が室内熱交換器に送られるとともに、第3熱交換器
から気化した冷媒がコンプレッサに戻されるようになっ
ている。室外熱交換器には、車外から取り入れられて車
外に排出される外気が吹き付けられる。また、室内熱交
換器には、車外あるいは車室内から導入された空気が吹
き付けられ、その熱交換器を通過した空気が車室内に導
かれる。そして、車室内から流出する空気が第3熱交換
器を通過するようにされている。その第3熱交換器を通
過した空気は、冷房時には車室内に戻され、暖房時には
車外に排出される。このような空調装置によれば、冷房
時には第3熱交換器が室内熱交換器として働くことにな
る。すなわち、室内熱交換器が二つ設けられていること
になり、その熱交換面積が増大するので、熱交換量が多
くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うな空調装置では、例えば外気を導入しながら冷暖房を
行うとき、その外気は車室前方側の室内熱交換器のみを
通して車室内に供給されるので、その室内熱交換器の熱
交換効率が低ければ、十分に冷却あるいは昇温されない
空気が車室内に流入することになる。しかも、その空調
装置の場合には、第3熱交換器は、冷房時には上述のよ
うに室内熱交換器として働くが、暖房時には室外熱交換
器として作用するので、その第3熱交換器によって車室
内の空気を昇温させることもできない。そのために、特
に外気温が低いときには、車室内の温度を十分に高める
ことが難しくなる。第3熱交換器が常に室内熱交換器と
して働くようにすればよいが、上述のように三つの熱交
換器を並列的に配置した空調装置では、そのようにしよ
うとすると、各熱交換器に流れる冷媒の流れ方向をそれ
ぞれ制御することが必要となり、その回路が極めて複雑
となる。
【0008】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、外気を導入しながら冷暖
房を行うときにも、その外気が十分に冷却あるいは昇温
されて車室内に供給される、構造が簡単で冷暖房効率の
高い自動車用空調装置を得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明では、車室内に供給される空気と熱交換を行
う室内熱交換器として第1室内熱交換器と第2室内熱交
換器との二つの熱交換器を用い、それらの熱交換器を、
車室内に空気を吹き出す空気吹き出し口を備えた第1室
内に、その第1室内熱交換器を通過した空気が第2室内
熱交換器を通過するように配置するとともに、その第1
室から分離された第2室内に、車外に排出される空気と
熱交換を行う室外熱交換器を配置し、その各熱交換器間
を冷媒配管により直列に接続するようにしている。第2
室内熱交換器と室外熱交換器とを結ぶ冷媒配管には冷媒
を圧縮するコンプレッサが設けられている。また、室外
熱交換器と第1室内熱交換器とを結ぶ冷媒配管には冷媒
を減圧する減圧手段が設けられている。
【0010】
【作用】このように構成された空調装置においては、コ
ンプレッサによって圧縮された高温高圧の気相冷媒を室
外熱交換器側に送ると、冷媒はその室外熱交換器におい
て第2室内に導入された空気と熱交換することにより凝
縮する。そして、液化した冷媒は、減圧手段によって減
圧された後、第1室内熱交換器において第1室内に導入
された空気から吸熱し、更に、第2室内熱交換器に送ら
れて、第1室内熱交換器を通過した空気と熱交換するこ
とにより、気化する。したがって、第1室内に導入され
た空気は、第1室内熱交換器と第2室内熱交換器との両
方で冷却されることになり、温度の高い外気が導入され
るときにも、その外気は十分に冷却される。そして、そ
の冷却空気が空気吹き出し口から車室内に供給されるの
で、車室内は確実に冷房される。また、コンプレッサに
よって圧縮された冷媒を第2室内熱交換器側に送ると、
高温の冷媒がその第2室内熱交換器から第1室内熱交換
器へと順に流れ、それらの熱交換器において車室内に供
給される空気と熱交換する。したがって、その空気は二
重に昇温されることになり、その昇温空気によって車室
内の暖房が行われる。そして、冷媒は、その熱交換によ
って凝縮し、減圧手段により減圧された後、室外熱交換
器に送られて、その熱交換器において外部から吸熱する
ことにより気化する。このように、冷暖房時のいずれに
おいても、車室内に供給される空気は、第1室内熱交換
器によって冷却あるいは昇温された後、第2室内熱交換
器によって更に冷却あるいは昇温される。したがって、
室内熱交換器の見かけ上の熱交換面積が増大することに
なり、それらの熱交換器による熱交換量が、個々には少
なくても全体としては十分な大きさとなる。こうして、
冷暖房効率の高い空調装置となる。そして、従来の空調
装置に室内熱交換器を一つ追加するのみでよいので、そ
の構造が複雑化することもない。また、個々の室内熱交
換器は容量の小さいものとすることができるので、空調
装置全体をコンパクト化することができる。
【0011】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図中、図1は本発明による自動車用空調装置の一実
施例を示す概略構成図である。この図から明らかなよう
に、この自動車1の車内空間は、車室2の前後がインス
トルメントパネル3及び後部隔壁4によってそれぞれ仕
切られており、車室2の前方に第1室としての熱交換器
室5が、また、車室2の後方に第2室である原動機室6
がそれぞれ形成されている。更に、インストルメントパ
ネル3より前方の空間は水平隔壁7によって上下にも仕
切られており、熱交換器室5の下方に車室2と連通する
通路8が形成されている。この自動車1は電気自動車で
あって、その動力源であるバッテリ9及びモータ(図示
せず)は後部の原動機室6内に設置されている。
【0012】車室2の前方の熱交換器室5内には、中央
部に第1室内熱交換器10が設置され、その後方に第2
室内熱交換器11が設置されている。また、その第1室
内熱交換器10の前方には、それらの熱交換器10,1
1に空気を吹き付ける室内電動ファン12が設けられて
いる。こうして、熱交換器室5内には室内電動ファン1
2によって空気が導入され、その空気が、第1室内熱交
換器10を通過した後、第2室内熱交換器11を通るよ
うにされている。一方、車室2後方の原動機室6内に
は、室外熱交換器13と、その熱交換器13に空気を導
く室外電動ファン14とが設けられている。そして、そ
の室外熱交換器13の直前に、コンプレッサ15及びそ
の駆動モータ(図示せず)が設置されている。上述のバ
ッテリ9等もその室外熱交換器13の直前に配置されて
おり、室外熱交換器13に導かれる空気がそれらバッテ
リ9やコンプレッサ15等の発熱源の上方を通過するよ
うにされている。
【0013】第1室内熱交換器10と第2室内熱交換器
11とは冷媒配管16を介して接続されている。また、
第2室内熱交換器11と室外熱交換器13とは冷媒配管
17を介して接続されている。そして、室外熱交換器1
3と第1室内熱交換器10とは冷媒配管18を介して接
続されている。こうして、各熱交換器10,11,13
は互いに直列に接続され、ループ状の冷媒回路が形成さ
れるようになっている。コンプレッサ15は、第2室内
熱交換器11と室外熱交換器13との間の冷媒配管17
に四方弁19を介して接続されている。したがって、そ
の四方弁19を切り換えることにより、コンプレッサ1
5によって圧縮された冷媒が第2室内熱交換器11ある
いは室外熱交換器13のいずれか側に送られるようにな
っている。すなわち、この実施例では、その四方弁19
によって、冷媒の流れ方向を切り換える切り換え手段が
構成されている。室外熱交換器13と第1室内熱交換器
10との間の冷媒配管18には、冷媒を減圧する減圧手
段としての膨張弁20が設けられている。その膨張弁2
0はキャピラリチューブと呼ばれる細管からなるもの
で、いずれの側に流れる冷媒をも同様に減圧する可逆式
のものである。こうして、これら第1及び第2室内熱交
換器10,11、室外熱交換器13、コンプレッサ1
5、冷媒配管16,17,18、四方弁19、及び膨張
弁20によって、ヒートポンプサイクルが構成されるよ
うになっている。
【0014】膨張弁20が設けられる冷媒配管18に
は、更に、その膨張弁20をバイパスするバイパス通路
21が設けられている。そして、そのバイパス通路21
の分岐部に、膨張弁20側とバイパス通路21側とを切
り換える方向切換弁22が設けられている。したがっ
て、その切換弁22をバイパス通路21側に切り換えた
ときには、冷媒は膨張弁20を迂回して流れるようにな
っている。また、第1室内熱交換器10と第2室内熱交
換器11との間の冷媒配管16にも、上述の膨張弁20
と同様な膨張弁23と、その膨張弁23をバイパスする
バイパス通路24とが設けられている。そして、そのバ
イパス通路24の分岐部に方向切換弁25が設けられ、
その切換弁25によって膨張弁23側とバイパス通路2
4側とが切り換え可能とされている。更に、冷媒配管1
8には、室外熱交換器13と切換弁22との間にも他の
方向切換弁26が設けられている。そして、その切換弁
26に、一端がコンプレッサ15と室外熱交換器13と
の間の冷媒配管17に接続されたバイパス配管27の他
端が接続されている。こうして、方向切換弁26をバイ
パス配管27側に切り換えたときには、冷媒が室外熱交
換器13を迂回して流れるようにされている。
【0015】車体の前端面には、熱交換器室5内に外気
を取り入れる外気取入れ口28が設けられている。その
外気取入れ口28は、開度調整可能な外気導入ダンパ2
9によって開閉されるようになっている。また、熱交換
器室5の底面をなす水平隔壁7には、その前端部に、通
路8を介して車室2内の空気を熱交換器室5内に取り入
れる内気導入口30が設けられている。そして、その内
気導入口30の後方に、下方に向けて回動する開度調整
可能な連通ダンパ31が設けられている。その連通ダン
パ31は、完全に下方に回動させたときには通路8を遮
断するものとされている。水平隔壁7には、更にその後
端部、すなわち車室2側にも、下方に回動するダンパ3
2によって開閉される開口33が設けられている。その
開口33は第2室内熱交換器11の配設位置より後方に
位置するようにされている。そして、そのダンパ32
は、開口33を開いたときには、車室2から内気導入口
30に流れる空気を遮断するものとされている。したが
って、そのときには、第2室内熱交換器11を通過した
空気がその開口33を通って車室2側へ流れることもな
いようになっている。すなわち、そのダンパ32によっ
て、熱交換器室5を車室2から遮断する遮蔽手段が構成
されている。熱交換器室5の車室2に面する壁面をなす
インストルメントパネル3には、通常の自動車と同様
に、その上面、上部、及び下部にそれぞれ空気吹き出し
口34,35,36が設けられている。それらの空気吹
き出し口34,35,36もそれぞれ開閉可能とされて
いる。こうして、熱交換器室5内には、外気取入れ口2
8あるいは内気導入口30から車外あるいは車室2内の
空気が取り入れられ、その空気が、第1及び第2室内熱
交換器10,11によって熱交換された後、空気吹き出
し口34,35,36から車室2内に導かれるようにな
っている。また、開口33を開いたときには、熱交換器
室5内の空気が通路8を通して循環するようになってい
る。
【0016】一方、車体の後端面には、原動機室6内の
室外熱交換器13を通った空気を車外に排出する空気排
出口37が設けられている。その空気排出口37は排気
ダンパ38によって開閉されるようになっている。そし
て、その空気排出口37が閉じられているときには、室
外熱交換器13を通った空気は原動機室6内で循環する
ようにされている。また、原動機室6の車外に面する外
壁には、自動車1の走行中に正圧がかかる位置に、外気
導入ダンパ39によって開閉される外気導入口40が設
けられている。更に、車室2と原動機室6との間を仕切
る後部隔壁4には、それらの間を連通させる換気口41
が設けられている。その換気口41は、換気ダンパ42
によって開閉されるようになっている。
【0017】次に、このように構成された自動車用空調
装置の作用について説明する。 イ)冷房 通常は、室外熱交換器13と第1室内熱交換器10との
間の冷媒通路18に設けられている方向切換弁22は、
冷媒が膨張弁20を通して流れるようにセットされる。
一方、第1及び第2室内熱交換器10,11間の冷媒通
路16に設けられている方向切換弁25は、冷媒がバイ
パス通路24を流れるようにセットされる。また、方向
切換弁26は、冷媒が室外熱交換器13を流れるように
セットされる。車室2内の冷房を行うときには、図2に
示されているように、四方弁19を、コンプレッサ15
によって圧縮された冷媒が室外熱交換器13に導かれる
ようにセットする。そして、インストルメントパネル3
上部の空気吹き出し口35、原動機室6の外気導入口4
0及び空気排出口37を開く。また、換気を同時に行う
ときには、熱交換器室5の外気取入れ口28、通路8を
開閉する連通ダンパ31、及び車室2と原動機室6との
間の換気口41をそれぞれ半開とする。その他の開口は
閉じておく。
【0018】この状態で、コンプレッサ15及び電動フ
ァン12,14を駆動する。室内電動ファン12を駆動
すると、熱交換器室5内に、その前面の外気取入れ口2
8から外気が走行風ととともに取り入れられる。また、
その熱交換器室5に隣接する通路8を通して内気導入口
30から車室2内の空気が吸入される。そして、その混
合空気が熱交換器室5内の第1及び第2室内熱交換器1
0,11に吹き付けられ、それらの熱交換器10,11
を通過した空気が空気吹き出し口35から車室2内に供
給される。一方、室外電動ファン14の駆動により、原
動機室6内には、その外気導入口40から外気が取り入
れられるとともに、換気口41から車室2内の空気が吸
入され、その混合空気が室外熱交換器13に吹き付けら
れる。そして、その熱交換器13を通過した空気が空気
排出口37から車外に排出される。この間において、コ
ンプレッサ15が駆動されることにより、そのコンプレ
ッサ15によって圧縮されて高温高圧となった気相冷媒
が原動機室6内の室外熱交換器13に導かれる。その熱
交換器13には上述のように車外から取り入れられた外
気と車室2から排出される内気との混合空気が吹き付け
られている。したがって、その室外熱交換器13におい
て、冷媒と原動機室6内に導入された空気との熱交換が
行われ、その熱交換によって冷媒が冷却される。その結
果、その冷媒は凝縮して液体となる。冷媒と熱交換する
ことにより昇温された空気は空気排出口37から車外に
排出される。一方、液化した冷媒は、冷媒配管18を通
して流れ、その冷媒配管18に設けられている膨張弁2
0によって減圧されて蒸発しやすい状態とした上で、熱
交換器室5内の第1室内熱交換器10に導かれる。その
熱交換器10においては、冷媒は急速に膨張することに
よって周囲から熱を奪いながら気化する。更に、その冷
媒はバイパス通路24を通して第2室内熱交換器11に
導かれ、その熱交換器11において再び膨張する。こう
して、冷媒は、断熱膨張を繰り返すことによって周囲か
ら吸熱する。したがって、それら第1及び第2室内熱交
換器10,11に吹き付けられる空気が冷却される。そ
して、その冷却空気が空気吹き出し口35から車室2内
に吹き出される。車室2内に供給される空気から吸熱す
ることにより気化し、昇温された冷媒は、再びコンプレ
ッサ15に導かれて圧縮される。
【0019】このようにして、第1及び第2室内熱交換
器10,11を通して車室2内に空気を供給することに
より、車室2内の冷房が行われる。その場合、第2室内
熱交換器11においては、第1室内熱交換器10によっ
て冷却された空気が更に冷却されるので、その空気の温
度は十分に低くなる。したがって、外気温が高くても、
車室2内は確実に冷房される。また、熱交換器室5を通
して車室2内に外気を取り入れ、その分だけ車室2内の
空気を原動機室6から車外に排出することにより、車室
2内の換気が行われる。車室2内の温度、すなわち車室
2内に供給される空気の温度は、コンプレッサ15の回
転数と室内ファン12の送風量とによって調節される。
また、換気量は、換気口41のダンパ42の開度あるい
は電動ファン12,14の回転数によって制御される。
【0020】室外熱交換器13に吹き付けられる空気に
は、車室2内から排出される冷気が混合される。したが
って、その空気は外気よりも低温となり、その熱交換器
13内を流れる冷媒が効率よく冷却される。また、車室
2内から排出される冷気がバッテリ9やコンプレッサ1
5等の発熱源の周囲を流れることにより、それらの発熱
源が冷却される。すなわち、換気のために車室2から排
出される空気はバッテリ9等の冷却にも利用されること
になる。こうして、車室2から排出される冷気が有効に
活用されるようになり、車室2内の冷房のために費やさ
れたエネルギが回収される。
【0021】換気は行わず、冷房のみを行うときには、
図3に示されているように、熱交換器室5の外気取入れ
口28及び車室2と原動機室6との間の換気口41を閉
じる。また、車室2と熱交換器室5とを連通させる通路
8の連通ダンパ31は水平状態に保ち、その通路8を全
開状態とする。そのようにすると、車室2と熱交換器室
5との間で空気が循環することによって車室2内が冷房
される。すなわち、内気循環の冷房が行われる。その場
合には、車外から取り入れられる高温の外気を冷却する
必要がなく、また、車室2内の冷気が排出されることも
ないので、車室2内の冷房はより効率よく行われ、その
立ち上がりも早くなる。
【0022】ロ)暖房 車室2内の暖房を行うときには、図4に示されているよ
うに、四方弁19を切り換えて、コンプレッサ15によ
って圧縮された冷媒が第2室内熱交換器11に導かれる
ようにする。そして、インストルメントパネル3の下部
の空気吹き出し口36、原動機室6の外気導入口40及
び空気排出口37を開く。換気を同時に行うときには、
更に熱交換器室5の外気取り入れ口28、通路8を開閉
する連通ダンパ31、及び車室2と原動機室6との間の
換気口41をそれぞれ半開とする。その他の開口は閉じ
ておく。この状態で、コンプレッサ15及び電動ファン
12,14を駆動する。熱交換器室5内の室内電動ファ
ン12を駆動すると、車室2内の空気が通路8を通して
内気導入口30からその熱交換器室5内に吸入されると
ともに、外気取入れ口28から外気が取り入れられる。
そして、その混合空気が熱交換器室5内の第1及び第2
室内熱交換器10,11を通過した後、空気吹き出し口
36から車室2内に供給される。一方、室外電動ファン
14の駆動によって、原動機室6内には、その外気導入
口40から外気が取り入れられるとともに、換気口41
から車室2内の空気が吸入され、その混合空気が室外熱
交換器13に吹き付けられる。そして、その室外熱交換
器13を通過した空気が空気排出口37から車外に排出
される。また、コンプレッサ15が作動すると、そのコ
ンプレッサ15により圧縮されて高温高圧となった気相
冷媒が熱交換器室5内の第2室内熱交換器11に送られ
る。更に、その冷媒は、バイパス通路24を介して第1
室内熱交換器10に導かれる。そして、それらの熱交換
器10,11において、熱交換器室5内に導入された空
気と熱交換される。したがって、その空気が昇温され
る。その高温空気は、空気吹き出し口36から車室2内
に吹き出される。車室2内に供給される空気と熱交換し
た冷媒は、冷却されて高圧液体となり、冷媒配管18の
膨張弁20によって減圧された後、原動機室6内の室外
熱交換器13に導かれる。そして、その室外熱交換器1
3に吹き付けられる空気と熱交換することにより、その
空気中の熱を奪って気化する。次いで、その冷媒は、再
びコンプレッサ15に導かれて圧縮される。室外熱交換
器13において冷媒と熱交換して低温となった空気は、
原動機室6の空気排出口37から車外に排出される。
【0023】このようにして、冷房時とはヒートポンプ
サイクルを逆転させ、第1及び第2室内熱交換器10,
11において冷媒の放熱をさせながら、その熱交換器1
0,11を通して車室2内に空気を供給することによ
り、車室2内の暖房が行われる。その場合、車室2内に
供給される空気は、まず第1室内熱交換器10において
昇温された後、第2室内熱交換器11において更に昇温
される。すなわち、この場合にも、車室2内に供給され
る空気は第1及び第2室内熱交換器10,11により2
段階で熱交換されることになる。したがって、室内熱交
換器の見かけ上の熱交換面積が著しく増大することにな
り、外気温が低いときにも十分に昇温される。しかも、
室外熱交換器13に吹き付けられる空気は、その上流側
に設置されているバッテリ9やコンプレッサ15等の発
熱源によって加熱される。そして、それらの熱が冷媒に
吸収される。その結果、バッテリ9やコンプレッサ15
等の排熱が積極的に利用されることになり、暖房効率が
著しく向上する。また、熱交換器室5を通して取り入れ
られた外気が車室2内に供給され、その分だけ車室2内
の空気が換気口41及び原動機室6を通して空気排出口
37から車外に排出されることにより、車室2内の換気
が行われる。その場合、車室2内から排出される空気の
温度は高いが、その空気は原動機室6内の室外熱交換器
13に通される。そして、その熱交換器13によってそ
の空気中の熱が吸収され、コンプレッサ15に送られる
気相冷媒の温度が高められる。車室2内に供給される空
気はそのコンプレッサ15通過後の冷媒と熱交換するこ
とによって加熱されるので、その供給空気には換気のた
めに車室2内から排出される空気中の熱が加えられるこ
とになる。こうして、車室2から排出される空気中の熱
が回収される。そして、冷房と暖房との切り換えは、四
方弁19によって冷媒の流れ方向を逆転させるのみで行
われる。すなわち、三つの熱交換器10,11,13が
すべて冷暖房時のいずれにおいても有効に働くようにす
るために、冷媒の流れ方向を個々に制御するという必要
がない。したがって、多数の制御弁などを用いる必要が
なく、その冷媒回路は単純なものとなる。
【0024】この暖房モードにおいても、図5に示され
ているように、熱交換器室5の外気取入れ口28及び車
室2後部の換気口41をともに閉じて運転することもで
きる。その場合には、連通ダンパ31は水平状態として
通路8を全開状態に保つ。そのようにすれば、内気循環
式の暖房が行われることになり、車室2内の暖房が効率
よく行われ、その立ち上がりが早くなる。
【0025】ハ)換気 車室2内の換気のみを行うときには、コンプレッサ15
を停止してヒートポンプサイクルを停止させる。そし
て、図6に示されているように、熱交換器室5の外気取
入れ口28、インストルメントパネル3上部の空気吹き
出し口35、車室2と原動機室6との間の隔壁4に設け
られている換気口41、及び原動機室6後部の空気排出
口37を開く。また、インストルメントパネル3上面の
空気吹き出し口34をも開くようにしてもよい。一方、
車室2と熱交換器室5とを連通させる通路8は、連通ダ
ンパ31を下方に回動させることによって遮断する。こ
の場合、一般には、原動機室6の外気導入口40は閉じ
ておく。電動ファン12,14は、自動車1の高速走行
時には停止させておく。また、低速走行時あるいは停車
時には駆動する。このようにすると、自動車1の高速走
行時には、前端の外気取入れ口28から走行風が熱交換
器室5内に流入し、インストルメントパネル3の空気吹
き出し口34あるいは35から車室2内に流入する。そ
して、車室2内の空気は後部の換気口41から原動機室
6を経て車外に流出する。したがって、車室2内の換気
が行われる。このときの換気量は、外気取入れ口28を
開閉する外気導入ダンパ29の開度によって調整され
る。その開度調整は、例えば室内電動ファン12のモー
タに生ずる逆起電力によりそのときの風量を検出し、そ
の信号によりダンパ29を作動させる電磁モータ等を制
御するようにすることによって行うことができる。ま
た、自動車1の停車時あるいは低速走行時には、室内電
動ファン12によって外気取入れ口28から外気が取り
入れられ、車室2内に供給される。そして、その分だけ
車室2内の空気が室外電動ファン14により車外に排出
される。したがって、車室2内の換気が行われる。この
ときの換気量は、電動ファン12,14の回転数によっ
て調整される。この場合、原動機室6内に設置されてい
るバッテリ9やコンプレッサ15等は、その原動機室6
を経て空気排出口37から車外に排出される車室2内の
空気によって冷却される。その空気のみでは十分な冷却
が行われないような場合には、図に破線で示されている
ように原動機室6の外気導入口40を開いてその原動機
室6内に外気を導入し、その外気がバッテリ9等の冷却
空気に加えられるようにする。
【0026】ニ)除湿 車室2内の湿度が上昇し、フロントガラス等が曇るよう
なときには、除湿モードで運転する。まず、車室2内が
適度の温度の場合には、図7に示されているように、第
1室内熱交換器10と室外熱交換器13との間の冷媒配
管18に設けられている方向切換弁22を切り換えて、
冷媒が膨張弁20を迂回して流れるようにする。一方、
第1室内熱交換器10と第2室内熱交換器11との間の
冷媒配管16に設けられている切換弁25は、冷媒が膨
張弁23を流れるように切り換える。更に、方向切換弁
26も切り換えて、コンプレッサ15と第1室内熱交換
器10との間が短絡されるようにする。そして、四方弁
19を、コンプレッサ15によって圧縮された冷媒が第
2室内熱交換器11側に流れる方向に切り換える。ま
た、このときには、インストルメントパネル3の上面の
空気吹き出し口34、原動機室6の外気導入口40及び
空気排出口37を開く。この状態で、コンプレッサ15
及び電動ファン12,14を低速駆動する。コンプレッ
サ15が作動すると、そのコンプレッサ15によって圧
縮された冷媒が第2室内熱交換器11に導かれる。そし
て、その室内熱交換器11において放熱した後、膨張弁
23によって減圧され、第1室内熱交換器10において
気化する。その第1室内熱交換器10には、車室2内か
ら通路8及び内気導入口30を通して導入された空気が
吹き付けられている。したがって、その空気が冷却さ
れ、その冷却によって空気中の水分が凝縮する。その結
果、第1室内熱交換器10を通して第2室内熱交換器1
1に吹き付けられる空気は比較的乾燥した空気となる。
そして、その空気が第2室内熱交換器11において冷媒
と熱交換することにより昇温される。こうして、インス
トルメントパネル3上面の空気吹き出し口34から乾燥
した空気が吹き出し、その乾燥空気がフロントガラスに
吹き付けられることにより、そのフロントガラスの曇り
が除去される。この場合、方向切換弁26が冷媒配管1
8とバイパス配管27とを接続するように切り換えられ
ているので、第1室内熱交換器10において気化した冷
媒は、バイパス通路21及び冷媒配管18からバイパス
配管27を通して直接コンプレッサ15に導かれる。し
たがって、室外熱交換器13には冷媒は流れず、その室
外熱交換器13は働かない。すなわち、冷媒の吸熱及び
放熱は第1及び第2室内熱交換器10,11のみにおい
て行われる。そして、理論的にはその吸熱量と放熱量と
は等しい。その結果、車室2内から熱交換器室5内に取
り入れられて第1室内熱交換器10により冷却された空
気は、第2室内熱交換器11において等しい温度だけ昇
温されることになり、熱交換器室5から車室2内に供給
される空気の温度は元の温度に等しくなる。こうして、
除湿によって車室2内の温度が変動することが防止され
る。この間において、原動機室6内に設置されているバ
ッテリ9やコンプレッサ15等は、室外電動ファン14
によってその原動機室6内に導入される外気により冷却
される。
【0027】また、車室2内の温度が低く、暖房しなが
ら除湿することが求められる場合には、図8に示されて
いるように、方向切換弁26を通常状態に戻す。その他
は図7の場合と同様とする。このようにすると、上述の
場合と同様に、第1室内熱交換器10において冷却され
た後、第2室内熱交換器11において加熱された空気が
車室2内に供給されることになるが、この場合には、第
1室内熱交換器10において外気から吸熱した冷媒が室
外熱交換器13に導かれ、その熱交換器13においても
外気から吸熱する。したがって、第2室内熱交換器11
に導かれる冷媒の温度が高くなる。そして、そのように
冷媒の吸熱は二つの熱交換器10,13において行われ
るのに対し、放熱は第2室内熱交換器11のみで行われ
るので、熱交換器室5内に導入された空気は第1室内熱
交換器10で冷却されるよりも第2室内熱交換器11に
おいて高く昇温される。すなわち、車室2内にはより高
温の空気が供給されることになり、車室2内が暖房され
る。こうして、除湿しながらの暖房が可能となる。そし
て、そのように車室2内が暖房されるので、外気温が低
いときにも、車室2内の換気を行いながら除湿すること
ができる。その場合には、同図に示されているように、
熱交換器室5の外気取入れ口28、通路8を開閉する連
通ダンパ31、及び車室2と原動機室6との間の換気口
41をそれぞれ半開とする。そのようにすれば、車室2
内には、同様に冷却後、加熱することによって生成され
た高温の乾燥空気が供給される。一方、車室2内の湿度
の高い空気は換気口41から原動機室6の空気排出口3
7を通して車外に排出される。このときにも、車室2内
から排出される高温空気中の熱は室外熱交換器13によ
って回収される。また、原動機室6内に設置されている
バッテリ9やコンプレッサ15等の排熱もその暖房に利
用される。したがって、熱効率は十分に高く維持され
る。
【0028】ホ)解氷 暖房が行われるのは外気温の低いときである。そして、
上述したように、暖房モードでの運転時には室外熱交換
器13において吸熱が行われる。すなわち、冷媒が気化
することによって、その室外熱交換器13に吹き付けら
れる空気から熱が奪われる。そのために、その熱交換器
13に湿度の高い外気を吹き付けると、その外気中の水
分が結露し、氷となって室外熱交換器13に付着するこ
とがある。そのように室外熱交換器13に氷が付着する
と、その熱交換器13の効率が著しく低下してしまう。
そこで、そのようなときには次のように運転する。
【0029】まず、図9に示されているように、冷媒の
流れ方向を暖房モードと同じ方向とする。すなわち、四
方弁19は、コンプレッサ15によって圧縮された冷媒
が第2室内熱交換器11側に流れるようにセットしたま
まとする。また、内気循環の暖房時と同様に、車室2と
熱交換器室5との間の通路8、及びインストルメントパ
ネル3下部の空気吹き出し口36は開いておく。一方、
原動機室6の外気導入口40及び空気排出口37はとも
に閉じ、車室2との間の換気口41も閉じておく。そし
て、このときには、第1室内熱交換器10と室外熱交換
器13との間の冷媒配管18に設けられている方向切換
弁22を切り換えて、冷媒が膨張弁20を迂回して流れ
るようにする。この状態で、コンプレッサ15及び電動
ファン12,14を駆動する。その場合、室内電動ファ
ン12は低速回転させる。すると、第1及び第2室内熱
交換器10,11において冷媒と熱交換する空気量が少
なく抑えられるので、冷媒は、それらの熱交換器10,
11を通過した後も比較的高温のまま保たれる。そし
て、その冷媒が、膨張弁20を迂回するバイパス通路2
1を通り、室外熱交換器13に流入する。したがって、
その室外熱交換器13には比較的高温高圧の冷媒が導か
れることになる。しかも、このときには、原動機室6は
密閉されているので、室外電動ファン14が駆動される
ことによって、その原動機室6内では空気が循環してい
る。そして、その空気は、バッテリ9やコンプレッサ1
5等の発熱によって加熱される。その結果、室外熱交換
器13には高温空気が吹き付けられることになる。こう
して、室外熱交換器13に付着した氷が解かされる。こ
の間において、第1及び第2室内熱交換器10,11に
吹き付けられる空気は、室内電動ファン12の回転数が
低いために少量ではあるが、その室内熱交換器10,1
1によって少なくとも加熱される。そして、その加熱さ
れた空気が車室2内に供給される。したがって、車室2
内は暖房されるには至らないとしても、少なくともその
温度低下は防止される。こうして、車室2内の温度を維
持したまま、室外熱交換器13の解氷が行われる。
【0030】このモードでも室外熱交換器13の解氷が
できない場合には、図10に示されているように、四方
弁19を切り換えてヒートポンプサイクルを冷房モード
で運転する。その場合、第1及び第2室内熱交換器1
0,11によって冷却された空気が車室2内に流出する
ことのないようにするために、熱交換器室5から車室2
内に空気を吹き出す空気吹き出し口34,35,36を
すべて閉じるとともに、熱交換器室5の底壁をなす水平
隔壁7に設けられた車室2側の開口33を開く。する
と、その開口33を開閉するダンパ32によって通路8
が車室2側から遮断され、熱交換器室5側が密閉され
る。したがって、熱交換器室5内の第1及び第2室内熱
交換器10,11を通過した空気は、開口33から通路
8側に流出した後、内気導入口30を通して再び熱交換
器室5内に流入するようになる。こうして、乗員に冷気
を感じさせるようなことが防止される。そして、このよ
うに冷房モードで運転することにより、室外熱交換器1
3においては冷媒が放熱するので、その熱交換器13の
周囲が高温となる。また、このときにも、バッテリ9や
コンプレッサ15等の発熱源が収容されている原動機室
6が密閉され、その原動機室6内で空気が循環するよう
にされているので、その原動機室6内の室外熱交換器1
3には温風が吹き付けられることになる。その結果、室
外熱交換器13に付着した氷は急速に解かされる。この
ように、室外熱交換器13に結氷が生じたときにも、ヒ
ートポンプサイクルを作動させるとともに、バッテリ9
やコンプレッサ15等の排熱を利用することによって、
その氷を除去することが可能となる。
【0031】なお、上記実施例においては、冷媒の流れ
方向を切り換える切り換え手段として四方弁19を用い
るものについて説明したが、コンプレッサ15として特
開昭55−8588号公報に示されているように逆転可能なも
のを用いるようにすれば、そのような四方弁19等は省
くことができる。また、冷媒を減圧する減圧手段として
は、上記実施例のようにキャピラリチューブからなる単
一の膨張弁20のほか、冷房サイクルで働く膨張弁と暖
房サイクルで働く膨張弁とを別個に備えたものを用いる
こともできる。更に、上記実施例においては、室外熱交
換器13を車室後方の原動機室6内に配置するようにし
ているが、その室外熱交換器13は、例えば車体の前端
部に第3の室を形成し、その第3室内に配置するように
することもできる。そのようにすれば、室外熱交換器1
3に吹き付ける外気の取入れがより容易となる。そのよ
うな場合には、その第3室内にコンプレッサ15等を設
置するようにすることもできる。また、そのコンプレッ
サ15等は、それらのいずれの室からも独立した別室内
に配置するようにすることもできる。更に、室外熱交換
器も二つとし、それらの室外熱交換器を車体前後の独立
室内にそれぞれ配置するようなことも可能である。その
場合には、それらの熱交換器を上記実施例の場合と同様
に直列に接続するようにすればよい。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、室内熱交換器を二つとし、それらの室内熱交
換器を、一方の熱交換器を通過した空気が他方の熱交換
器を通るように配置しているので、車室内に供給される
空気が2段階で熱交換されるようになり、その熱交換効
率を高めることができる。したがって、外気温の高いと
きの放熱量、あるいは外気温が低いときの吸熱量を確保
することができ、極めて効率の高い空調装置とすること
ができる。また、従来の空調装置に一つの室内熱交換器
を追加するのみでよいので、構造が複雑化することもな
い。そして、各室内熱交換器は個々には小容量のものと
することができるので、空調装置全体をコンパクトに構
成することができる。更に、二つの室内熱交換器間に膨
張弁とその膨張弁をバイパスするバイパス通路とを設け
ることにより、車室内の温度を一定に保持したままでの
除湿や暖房しながらの除湿というような特殊なモードで
の運転が可能となるので、車室内を常に快適な環境に保
持することが可能となる。また、それらの室内熱交換器
を車室の前方に配置し、車室の後方には室外熱交換器を
配置するようにすることにより、換気時に車室内から排
出される空気中のエネルギを回収することが可能となる
ので、消費エネルギの少ない空調装置とすることがで
き、電気自動車等にも適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動車用空調装置の一実施例を示
す概略構成図である。
【図2】その空調装置における冷房モードの一形態を示
す説明図である。
【図3】その空調装置における冷房モードの異なる形態
を示す説明図である。
【図4】その空調装置における暖房モードの一形態を示
す説明図である。
【図5】その空調装置における暖房モードの異なる形態
を示す説明図である。
【図6】その空調装置における換気モードの一形態を示
す説明図である。
【図7】その空調装置における除湿モードの一形態を示
す説明図である。
【図8】その空調装置における除湿モードの異なる形態
を示す説明図である。
【図9】その空調装置における解氷モードの一形態を示
す説明図である。
【図10】その空調装置における解氷モードの異なる形
態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 自動車 2 車室 5 熱交換器室(第1室) 6 原動機室(第2室) 9 バッテリ 10 第1室内熱交換器 11 第2室内熱交換器 13 室外熱交換器 15 コンプレッサ 16,17,18 冷媒配管 19 四方弁 20 膨張弁(減圧手段) 21 バイパス通路 22 方向切換弁 23 膨張弁(減圧手段) 24 バイパス通路 25 方向切換弁 28 外気取入れ口 30 内気導入口 31 連通ダンパ 34,35,36 空気吹き出し口 37 空気排出口 40 外気導入口 41 換気口

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内に空気を吹き出す空気吹き出し口
    を備えた第1室内に、車室内に供給される空気と熱交換
    を行う第1室内熱交換器と第2室内熱交換器とが、その
    第1室内熱交換器を通過した空気が第2室内熱交換器を
    通過するように配置されるとともに、 前記第1室から分離された第2室内に、車外に排出され
    る空気と熱交換を行う室外熱交換器が配置されており、 それら第1室内熱交換器と第2室内熱交換器との間、第
    2室内熱交換器と室外熱交換器との間、及び室外熱交換
    器と第1室内熱交換器との間がそれぞれ冷媒配管により
    直列に接続されていて、 前記第2室内熱交換器と室外熱交換器との間の冷媒配管
    に、その冷媒配管を流れる冷媒を圧縮するコンプレッサ
    が設けられ、 前記室外熱交換器と第1室内熱交換器との間の冷媒配管
    に、その冷媒配管を流れる冷媒を減圧する減圧手段が設
    けられていることを特徴とする、 自動車用空調装置。
  2. 【請求項2】 前記室外熱交換器と第1室内熱交換器と
    の間の冷媒配管に、前記減圧手段をバイパスするバイパ
    ス通路が切り換え可能に設けられ、 前記第1室内熱交換器と第2室内熱交換器との間の冷媒
    配管に、その冷媒配管を流れる冷媒を減圧する減圧手段
    と、その減圧手段をバイパスするバイパス通路とが切り
    換え可能に設けられている、 請求項1記載の自動車用空調装置。
  3. 【請求項3】 前記第1室が車室の前方に設けられると
    ともに、前記第2室が車室の後方に設けられ、 その第2室と車室との間が開閉可能な換気口を介して連
    通可能とされている、 請求項1又は2記載の自動車用空調装置。
  4. 【請求項4】 前記第2室内に、前記コンプレッサ及び
    その駆動モータ等の発熱源が設置されている、 請求項3記載の自動車用空調装置。
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