JP2010010424A - チップ部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チップ部品の欠けや割れの発生を防止したチップ部品の製造方法を提供する。
【解決手段】
複数の焼成前チップ部品を準備する工程と、前記複数の焼成前チップ部品をバレル容器に投入する工程と、前記バレル容器の回転数を第1の速度で上昇させる第1段階と、前記第1段階の後に前記バレル容器の回転数を前記第1の速度より小さい第2の速度で上昇させる第2段階と、を含む複数の段階で前記バレル容器の回転数を制御し、前記焼成前チップ部品をバレル研磨する研磨工程と、前記焼成前チップ部品を焼成する工程と、を有するチップ部品の製造方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、チップ部品の製造方法に関し、より詳細にはチップ部品をバレル研磨する工程を含むチップ部品の製造方法に関する。
セラミック電子部品等のチップ部品の製造方法において、チップ部品の稜線部やコーナー部が尖っていると、当該稜線部等に欠けや割れが発生するいわゆるチッピングと呼ばれる現象が発生することが問題となっていた。
上記のような問題を解決するための従来技術としては、例えば、セラミック焼成体を得た後に、セラミック焼成体をバレル研磨することによって、チップ部品の稜線部に丸みをつける製造方法が知られている(特許文献1等参照)。
しかしながら、従来技術に係る製造方法では、焼成後にバレル研磨を行っているため、チップ部品を焼成する前の工程においてチッピングが発生しやすいという問題を有している。また、従来技術に係る製造方法では、回転数の上昇速度が大きい場合、チップ部品に加わる負荷が大きくなりすぎて研磨中にチッピングが発生しやくなる一方で、回転数の上昇速度が小さい場合、バレル研磨に長時間を要するという課題を有していた。
特開平8−316088号公報
本発明の目的は、チップ部品の欠けや割れの発生を防止したチップ部品の製造方法を提供することである。
上記目的を解決するため、本発明に係るチップ部品の製造方法は、
複数の焼成前チップ部品を準備する工程と、
前記複数の焼成前チップ部品をバレル容器に投入する工程と、
前記バレル容器の回転数を第1の速度で上昇させる第1段階と、前記第1段階の後に前記バレル容器の前記回転数を前記第1の速度より小さい第2の速度で上昇させる第2段階と、を含む複数の段階で前記バレル容器の前記回転数を制御し、前記焼成前チップ部品をバレル研磨する研磨工程と、
前記焼成前チップ部品を焼成する工程と、を有する。
本発明に係るチップ部品の製造方法は、互いに異なる速度でバレル容器の回転数を上昇させる複数の段階でバレル容器の回転数を制御し、焼成前チップ部品をバレル研磨する。バレル容器の回転数を、焼成前チップの研磨状態に合わせて適切に調整することによって、研磨中にチップに過剰な負荷が加わることを抑制し、チッピングを防止することができる。また、本発明に係るチップ部品の製造方法は、焼成前チップ部品をバレル研磨するため、焼成前チップ部品を製造した後、焼成する工程までにおけるチッピングを防止できる。
また、本発明に係るチップ部品の製造方法では、前記研磨工程において、前記焼成前チップ部品は、乾式でバレル研磨されてもよい。
乾式でバレル研磨を行うことによって、湿式でバレル研磨を行う場合に比べて、バレル研磨中に液体成分等がチップ部品の内部に侵入することが抑制されるため、良好な電気的特性を有するチップ部品を得ることができる。また、本発明に係るチップ部品の製造方法は、バレル容器の回転数を焼成前チップの研磨状態に合わせて適切に調整できるため、乾式で研磨した場合でも、焼成前チップに加わる摩擦圧力を適切に調整して、研磨中のチッピングを防止することができる。
また、本発明に係るチップ部品の製造方法では、前記研磨工程において、前記焼成前チップ部品は、メディアレスでバレル研磨されてもよい。
メディアを用いずにバレル研磨することによって、研磨後にメディアとチップ部品を分離する工程を省略することが可能であるため、チップ部品の製造が効率化できる。また、研磨中に、メディアを構成する物質が、チップ分の内部に侵入し、チップ部品の特性に悪影響を与えることを防止できる。
また、前記第1段階における前記第1の速度は、1分間に750回転以下の割合で前記回転数を上昇させる速度であってもよい。特にバレル研磨を開始した直後におけるバレル容器の前記回転数の上昇速度を所定の値以下とすることによって、チッピング等の発生をさらに効果的に防止することができる。
また、前記研磨工程では、前記第2段階の後に前記バレル容器の前記回転数を一定に保持する等速段階と、前記等速段階の後の前記バレル容器の前記回転数を下降させる減速段階とをさらに含む複数の段階で前記バレル容器の前記回転数を制御してもよい。等速段階や減速段階を含む複数の段階で前記バレル容器の前記回転数を制御することによって、チップ部品に加わる摩擦圧力をより適切に調整することができる。
また、前記研磨工程では、前記第2段階の後に、前記バレル容器の前記回転数を上昇させる1以上の速度上昇段階をさらに含む複数の段階で前記バレル容器を制御し、当該速度上昇段階では、前記第1段階および前記第2段階を含む当該速度上昇段階より前に行われた段階において前記バレル容器の前記回転数を上昇させるいずれの速度よりも小さい速度で、前記バレル容器の前記回転数を上昇させてもよい。上昇速度が段階ごとに徐々に遅くなっていくように設定された多段階で、バレル容器の回転数を制御することによって、チップに加わる摩擦圧力をより適切に調整できる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法によって製造されたセラミックコンデンサの一例を表す概略断面図、
図2(A)は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いるバレル研磨工程前のグリーンチップの斜視図、
図2(B)は、図2(A)に示すバレル研磨工程前のグリーンチップを、II−II線に沿って切断した概略断面図、
図3(A)は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いるグリーンシートを表す断面図、
図3(B)は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いる内部電極パターン層を有するグリーンシートを表す断面図、
図4(A)は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いるバレル研磨工程後のグリーンチップの斜視図、
図4(B)は、図3(A)に示すバレル研磨工程後のグリーンチップを、IVB−IVB線に沿って切断した概略断面図、
図5は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いたバレル研磨装置の概略図、
図6は、第1実施形態および実施例1に係るチップ部品の製造方法において行われた研磨工程におけるバレル容器の回転数の時間変化を示すグラフ、
図7は、実施例2に係るチップ部品の製造方法おいて行われた研磨工程におけるバレル容器の回転数の時間変化を示すグラフ、
図8は、参考例1に係るチップ部品の製造方法において行われた研磨工程におけるバレル容器の回転数の時間変化を示すグラフ、
図9は、実施例3に係るチップ部品の製造方法について行われた研磨工程シミュレーションの結果を示すグラフ、
図10は、参考例2に係るチップ部品の製造方法について行われた研磨工程シミュレーションの結果を示すグラフである。
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法によって製造されたセラミックコンデンサ2の一例を表す概略断面図である。ただし、実施形態に係る方法によって製造されるチップ部品としては、セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品に限定されず、その他のチップ部品であってもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る製造方法によって製造された積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1外部電極6と第2外部電極8とを有する。コンデンサ素体4は、内側誘電体層10と、内部電極層12とを有し、内側誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。コンデンサ素体4は、その積層方向の両端面に、外側誘電体層11を有する。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部の外側に形成してある第1外部電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部の外側に形成してある第2外部電極8の内側に対して電気的に接続してある。
内側誘電体層10および外側誘電体層11の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各内側誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。また、外側誘電体層11からなる外層部の厚みは、特に限定されないが、10〜200μmの範囲とすることができる。
外部電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、Ni,Pd,Ag,Au,Cu,Pt,Rh,Ru,Ir等の少なくとも1種、又はそれらの合金を用いることができる。通常は、Cu,Cu合金、Ni又はNi合金等や、Ag,Ag−Pd合金、In−Ga合金等が使用される。外部電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
本実施形態に係るセラミックコンデンサの製造方法では、まず、図2(A)および(B)に示すにように、グリーン積層体を所定の寸法に切断したグリーンチップ42を準備する。グリーンチップ42の製造方法としては特に限定されないが、例えば、以下のような方法によって製造することができる。
グリーンチップ42を準備する工程では、まず、 図3(A)に示すように、ドクターブレード法などにより、支持体としてのキャリアシート20上に、内側グリーンシート用ペーストを塗布し、内側グリーンシート10aを形成する。形成された内側グリーンシート10aには、適切な乾燥処理が施される。
内側グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。
次いで、図3(B)に示すように、上記にて形成した内側グリーンシート10aの表面に、内部電極パターン層用ペーストを用いて、内部電極パターン層12aを形成し、内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを得る。内部電極パターン層12aの形成方法としては、特に限定されないが、印刷法、転写法などが例示される。
内部電極パターン層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。なお、内部電極パターン層用ペーストには、必要に応じて、共材としてセラミック粉末が含まれていても良い。
次に、得られた内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを交互に積層し、内部積層体30(図2(B))を得る。そして、得られた内部積層体30を、外側グリーンシート11aの上に積層し、さらに内部積層体30の上にも外側グリーンシート11aを積層して、グリーン積層体を得る。なお、外側グリーンシート11aに内部積層体30を積層するかわりに、外側グリーンシート11aに直接内側グリーンシート10aと内部電極パターン層12aとを交互に所定数積層してもよい。また、複数枚の内側グリーンシート10aと複数枚の内部電極パターン層12aとを交互に積層した積層体ユニットを予め作製しておき、それらを外側グリーンシート11aに所定数積層してもよい。
外側グリーンシート11aは、内側グリーンシート10aと同様に、キャリアシート20上に、外側グリーンシート用ペーストを塗布した後、適切な乾燥処理を行うことによって得られる。外側グリーンシート用ペーストは、内側グリーンシート用ペーストと同様に、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
得られたグリーン積層体を、所定の寸法に切断し、図2に示すグリーンチップ42を得る。この段階において、グリーンチップ42は、図2(A)に示すように、稜線部42aおよびコーナー部42bが尖った略直方体形状を有している。なお、グリーンチップ42を準備する工程において、各グリーンシート10a,11a、内部積層体30およびグリーンチップ42は、必要に応じて乾燥処理される。
次に、本実施形態に係るセラミックコンデンサの製造方法では、上述のようにして得られた複数のグリーンチップ42を、図5に示すバレル装置50におけるポット52に投入する。
図5に示すように、バレル装置50は、ポット52および支持部53等からなるバレル装置本体部を有しており、バレル本体部は、バレル装置外装54の内部に収納されている。本実施形態に係る製造方法に用いたバレル装置50は、遠心バレル装置であり、公転軸58を中心として回転させられる4つのポット52を有している。各ポット52は、公転軸58を中心とする円周上に、略等間隔(90度間隔)に配置されている(ただし、図5には2つのポット52のみが図示されている)。
ポット52の形状は、通常、円筒状や多角柱状とされ、研磨条件により適宜変更すればよいが、本実施形態では、六角柱状である。また、ポット52には、ポット内部に投入されたグリーンチップ等を封止するための蓋60が取り付けられている。なお、本発明に係る製造方法に使用されるバレル装置50としては、遠心バレル装置に限定されず、回転バレル装置等のその他のバレル装置を使用してもよい。
バレル装置50の支持部53には、不図示の制御部によって回転数を制御可能な公転軸58が取り付けられている。公転軸58には、公転軸58と一体となって回転する公転板55が固定されている。さらに、公転板55の上面には、自転軸51を介して、ポットホルダ56取り付けられている。
グリーンチップ42を投入するポット52は、ポットホルダ56に取り付けられ、ポットホルダ56とともに公転軸58を中心として回転させられるため、グリーンチップ42に遠心力が加えられる。さらに、図5に示すポット52は、公転板55に取り付けられた自転軸51を中心として回転可能となっている。
すなわち、不図示の制御部は、公転軸58の回転数と、自転軸51の回転数とを、必要に応じて独立に制御することができる。したがって、バレル装置50は、各回転数を制御することによって、ポット52に投入されたグリーンチップ42に対して適切な遠心力を加え、バレル研磨を行うことができる。なお本願明細書および特許請求の範囲において、ポット52の回転は、自転軸51を中心とするポット52の自転と、公転軸58を中心とするポット52の公転とを含む。
本実施形態では、ポット52に水等の液体を投入せず、乾式にてバレル研磨を行う。乾式でバレル研磨を行うことによって、研磨中に水分等の液体成分がグリーンチップ42に侵入し、焼成後の電気的特性を悪化させることを防止できる。
また、本実施形態に係るバレル研磨では、グリーンチップ42とともに、メディア(研磨媒体)を投入してもよい。メディアとしては、アルミナボール、シリカボールまたはジルコニアボール等を用いることができる。しかし、本実施形態に係るバレル研磨では、メディアをポット52に投入せず、メディアレスで研磨を行ってもよい。
メディアレスで研磨を行うことによって、メディアを構成する物質が、グリーンチップ42内に侵入し、焼成後の電気的特性を悪化させることを防止できる。また、研磨後にグリーンチップ42とメディアとを分離させる工程を省略できるため、製造工程を簡略化し、生産性を向上させることができる。
本実施形態に係るセラミックコンデンサの製造方法では、複数のグリーンチップ42を、図5に示すバレル装置50のポット52に投入した後、ポット52を回転させてバレル研磨を行い、図2(A)に示す稜線部42aやコーナー部42bに丸みをつける。図5に示すバレル装置50では、公転軸58と自転軸51のいずれか一方のみを回転させてバレル研磨をおこなってもよく、また、公転軸58と自転軸51の両方を回転させながらバレル研磨をおこなってもよい。
本実施形態では、自転軸51を固定した状態で、公転軸58のみを回転させてバレル研磨を行う。図6は、図5に示す公転軸58に取り付けられたポット52の回転数の時間変化を表したものである。本実施形態における研磨工程では、公転軸58の回転数を、公転軸58(ポット52)の回転数の上昇速度が互いに異なる第1〜第4段階で制御しながら上昇させる。ポット52は、図5に示す公転板55およびポットホルダ56等を介して公転軸58に固定されているため、公転軸58と同一の回転数で、公転軸58の周りを回転する。
すなわち、回転開始〜回転開始後3分までの第1段階61では、バレル装置50の制御部は、ポット52(公転軸58)の回転数を第1の速度で上昇させる。第1の速度は、ポット52の回転数を、一分間に略27回転の割合で上昇させる速度である。第1段階61によって、ポット52の回転数は、80rpmに到達する。
回転開始後3分から10分までの第2段階62では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第2の速度で上昇させる。第2の速度は、ポット52の回転数を、一分間に略9回転の割合で上昇させる速度である。第2段階62によって、ポット52の回転数は、140rpmに到達する。
回転開始後10分から15分までの第3段階63では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第3の速度で上昇させる。第3の速度は、ポット52の回転数を、一分間に略4回転の割合で上昇させる速度である。第3段階63によって、ポット52の回転数は、160rpmに到達する。
回転開始後15分から25分までの第4段階64では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第4の速度で上昇させる。第4の速度は、ポット52の回転数を、一分間に略2回転の割合で上昇させる速度である。第4段階64によって、ポット52の回転数は、180rpmに到達する。
回転開始後25分から45分までの等速段階65では、ポット52の回転数を180rpmに保持した後、回転開始後45分から50分までの減速段階66では、ポット52の回転数を第7の速度で下降させる。第7の速度は、ポット52の回転数を、一分間に略36回転の割合で下降させる速度である。減速段階66によって、ポット52の回転は停止させられ、バレル研磨工程が終了する。
図4は、図2に示すグリーンチップ42を、上述の研磨工程によって研磨することによって得られる研磨後のグリーンチップ43を表す斜視図である。グリーンチップ43の稜線部43aおよびコーナー部43bは、バレル研磨によって丸みを付けられている。
このように、本実施形態に係る製造方法では、グリーンチップ43の稜線部43aおよびコーナー部43b等が丸みを付けられているため、グリーンチップ42を焼成等するその後の工程において、グリーンチップ43に割れ、欠け、クラック等が発生することを防止できる。なお、グリーンチップ43の稜線部43aおよびコーナー部43bに形成された丸みRの半径寸法を、20μm〜40μm程度とすることで、その後の工程においてチッピング等が発生することを効果的に防止できる。
また、本実施形態に係る研磨工程では、ポット52の回転数を第1の速度で上昇させる第1段階61と、第1段階61の後にポット52の回転数を第1の速度より小さい第2の速度で上昇させる第2段階62とを含む複数の段階で、バレルの回転数を制御する。このような制御を行うことによって、本実施形態に係る製造方法では、研磨中におけるグリーンチップ42にチッピングが発生することを効果的に防止するとともに、短時間で研磨を行うことができる。
すなわち、本実施形態に係る研磨工程は、互いに異なる速度でポット52の回転数を上昇させる複数の段階でポット52の回転数を制御するため、研磨状態に合わせてグリーンチップ42に適切な負荷(遠心力)を加えることができる。適切な速度でポット52の回転数を上昇させることによって、回転数の急激な上昇に伴うグリーンチップ42への負荷の急上昇を抑制し、チッピングを防止できる。さらに、回転数の上昇速度を変化させることによって、グリーンチップ42の研磨状態に対して十分な遠心力が加わらない状態が続くことを防止し、研磨時間を短縮することができる。
さらに、ポット52の回転数を上昇させる上昇段階(例えば第1段階61および第2段階62)の間に、ポット52の回転数を一定時間保持する等速段階を挟みながら、ポット52の回転数を段階的に上昇させることもできる。しかし、グリーンチップ42の研磨は、等速段階でも進行するため、バレルの回転数は、間欠的に上昇させるのではなく、継続的に上昇させることが好ましい。すなわち、バレル研磨工程では、所定の回転数に到達するまでは、ポット52の回転数を継続的に上昇させることが、研磨状態に合わせてグリーンチップ42に適切な負荷を加える観点から好ましい。
また、第1の速度より、第2の速度を小さくすることによって、研磨状態に合わせてグリーンチップ42に適切な負荷(遠心力)を加えることができる。第1段階61において、ポット52の内部でグリーンチップ42の流動が開始されて実質的に研磨が開始されるまでの間は、速やかにポット52の回転数を上昇させることが好ましいからである。
したがって、第1段階61では速やかにポット52の回転数を上昇させ、第2段階62では、ポット52の回転数の上昇速度を第1段階61より小さくすることによって、グリーンチップ42に適切な負荷(遠心力)を加えることができる。したがって、本実施形態に係る研磨工程は、チッピングを防止しつつ、研磨に必要な時間を短縮することができる。このように、バレル研磨工程では、所定の回転数に到達するまでは、ポット52の回転数の上昇速度が次第に低下するように制御しながらポット52の回転数を継続的に上昇させることが、グリーンチップ42に適切な負荷を加える観点から好ましい。
さらに、本実施形態に係る研磨工程によれば、ポット52の内部におけるグリーンチップ42同士が衝突する際に、衝撃を緩和する作用がある水を加えない乾式研磨であっても、チッピングを抑制した研磨を行うことができる。なぜなら、本実施形態に係る研磨工程は、グリーンチップ42に加わる負荷を、研磨状態に応じた適切な大きさに保ちながら、バレル研磨を行うことができるからである。なお、ポット52の回転数の上昇速度を、より細かく段階を分けて変化させてもよく、ポット52の回転数の上昇速度を遷移的に小さくするように制御してもよい。このように、乾式でバレル研磨を行うことによって、研磨中に水分等の液体成分がグリーンチップ42に侵入し、焼成後の電気的特性を悪化させることを防止できる。
また、本実施形態に係る研磨工程によれば、ポット52中にメディア(研磨媒体)を投入せずに研磨を行うことができる。なぜなら、本実施形態に係る研磨工程は、グリーンチップ42に加わる負荷を、研磨状態に応じた適切な大きさに保ちながら、バレル研磨を行うことができるため、メディアレスで研磨を行っても効率的な研磨が可能であるからである。
また、メディアレスで研磨を行うことによって、メディアを構成する物質がグリーンチップ42内に侵入し、焼成後の電気的特性を悪化させることを防止できる。また、研磨後にグリーンチップ42とメディアとを分離させる工程を省略できるため、製造工程を簡略化し、生産性を向上させることができる。
研磨工程の後に、本実施形態に係るセラミックコンデンサの製造方法では、グリーンチップ43に対して、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程等を行うことにより、図1に示すコンデンサ素体4を得る。本実施形態に係る製造方法では、焼成前のグリーンチップ42をバレル研磨するため、グリーンチップ42を作製した後、焼成する工程までにおけるチッピングを防止できる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1
本発明の実施例1に係る製造方法では、図2(A)に示すようなグリーンチップ42を準備した。グリーンチップ42は、実施形態において説明したように、表面に内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを、外側グリーンシート11aの上に積層した後、さらに外側グリーンシート11aを積層することによってグリーン積層体を形成し、得られたグリーン積層体を切断することによって作製した。
図2(B)に示す内側グリーンシート10aに用いた内側グリーンシート用ペーストとしては、セラミック粉末であるBaTiO系粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペーストを用いた。有機ビヒクルに用いるバインダとしては、ポリビニルブチラール樹脂、溶剤としてはターピネオールを使用した。
また、内部電極パターン層を形成するための内部電極用ペーストは、導電剤であるNi粒子と有機ビヒクルとを混練して調整したものを用いた。さらに、外側グリーンシート11aに用いた外側グリーンシート用ペーストとしては、内側グリーンシートペーストと同様に、セラミック粉末であるBaTiO系粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペーストを用いた。
なお、グリーン積層体を切断して得られたグリーンチップ42は、グリーンチップ42を焼成した後、図1に示す外部電極6,8を形成した状態において、横1.0mm、縦0.5mm、高さ0.5mmのセラミックコンデンサを得られる寸法とした。
本発明の実施例1に係る製造方法では、上述のようにして得られた複数のグリーンチップ42を、図5に示すバレル装置50のポット52に投入した。実施例1に用いたポット52の容積は2リットルであり、グリーンチップ42のポット52への投入量はポット52の容積の50%とした。
さらに、本発明の実施例1に係る製造方法では、ポット52に、水、溶剤、分散材などの液体を投入することなく、ポット52の中にこれらの液体が実質的に存在しない条件、すなわち乾式でバレル研磨を行った。また、ポット52にメディアを投入せず、メディアレスでバレル研磨を行った。
次に、本発明の実施例1に係る製造方法では、グリーンチップ42が投入されたポット52を回転させてバレル研磨を行い、図2(A)に示す稜線部42aやコーナー部42bに丸みをつけた。
図6は、図5に示すポット52の回転数の時間変化を表したものである。実施例1における研磨工程では、公転軸58(ポット52)の回転数を、公転軸58の上昇速度が互いに異なる第1〜第4段階で制御しながら上昇させた。なお、実施例1に係る製造方法では、自転軸51を固定した状態で、公転軸58のみを回転させてバレル研磨を行った。実施例1でも、ポット52は、図5に示す公転板55およびポットホルダ56等を介して公転軸58に固定されているため、公転軸58と同一の回転数で、公転軸58の周りを回転する。
すなわち、図6に示すように、回転開始〜回転開始後3分までの第1段階61では、ポット52の回転数を第1の速度(ポット52の回転数を、一分間に略27回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第1段階61によって、ポット52の回転数は、80rpmに到達した。
回転開始後3分から10分までの第2段階62では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第2の速度(ポット52の回転数を、一分間に略9回転の割合)で上昇させた。第2段階62によって、ポット52の回転数は、140rpmに到達した。
回転開始後10分から15分までの第3段階63では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第3の速度(ポット52の回転数を、一分間に略4回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第3段階63によって、ポット52の回転数は、160rpmに到達した。
回転開始後15分から25分までの第4段階64では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第4の速度(ポット52の回転数を、一分間に略2回転の割合で上昇させる速度)で上昇させる。第4段階64によって、ポット52の回転数は、180rpmに到達した。
回転開始後25分から45分までの等速段階65では、ポット52の回転数を180rpmに保持した後、回転開始後45分から50分までの減速段階66では、ポット52の回転数を第7の速度(ポット52の回転数を、一分間に略36回転の割合で下降させる速度)で下降させた。減速段階66によって、ポット52の回転を停止させ、バレル研磨工程を終了した。
実施例1では、以上のような研磨工程を行い、図2に示すグリーンチップ42をバレル研磨することによって、図4(A)および(B)に示すように、稜線部43aやコーナー部43bに丸みをつけたグリーンチップ43を得た。グリーンチップ43の稜線部43aおよびコーナー部43bに形成された丸みRの半径寸法は、10μm〜50μmであった。
さらに、実施例1では、グリーンチップ43に対して、脱バインダ工程、焼成工程を行うことにより、図1に示すコンデンサ素体4を得た。さらに、得られたセラミック素体4のうち、500個について割れ、欠けの有無を調査した。結果を表1に示す。
Figure 2010010424
表1に示すように、実施例1では、調査した500個のセラミック素体4の中に、割れまたは欠けが発生していたものは無く、チッピング発生率は0%であった。
実施例2
実施例2に係る製造方法では、研磨工程におけるポット52の回転数の制御(時間変化)が異なる以外は、実施例1に係る製造方法と同様にしてコンデンサ素体4を作製した。図7は、実施例2に係る製造方法の研磨工程おけるポット52の回転数の時間変化を表したものである。実施例2における研磨工程では、図5に示す公転軸58(ポット52)の回転数を、公転軸58の上昇速度が互いに異なる第1〜第5段階で制御しながら上昇させた。
すなわち、回転開始〜回転開始後0.2分までの第1段階67では、ポット52の回転数を第1の速度(ポット52の回転数を、一分間に略750回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第1段階67によって、ポット52の回転数は、150rpmに到達した。
回転開始後0.2分から10分までの第2段階68では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第2の速度(ポット52の回転数を、一分間に略2回転の割合)で上昇させた。第2段階68によって、ポット52の回転数は、170rpmに到達した。
回転開始後10分から15分までの第3段階69では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第3の速度(ポット52の回転数を、一分間に略1回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第3段階69によって、ポット52の回転数は、175rpmに到達した。
回転開始後15分から20分までの第4段階70では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第4の速度(ポット52の回転数を、五分間に略3回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第4段階70によって、ポット52の回転数は、178rpmに到達した。
回転開始後20分から25分までの第5段階71では、バレル装置50の制御部は、ポット52の回転数を、第5の速度(ポット52の回転数を、五分間に略2回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第5段階71によって、ポット52の回転数は、180rpmに到達した。
回転開始後25分から45分までの等速段階72では、ポット52の回転数を180rpmに保持した後、回転開始後45分から50分までの減速段階73では、ポット52の回転数を第7の速度(ポット52の回転数を、一分間に略36回転の割合で下降させる速度)で下降させた。減速段階73によって、ポット52の回転を停止させ、バレル研磨工程を終了した。
実施例2でも、実施例1と同様に、グリーンチップ43を焼成してセラミック素体4のうち、500個について、割れ、欠けの有無を調査した。結果を表1に示す。実施例2では、500個のセラミック素体4の中に、割れまたは欠けが発生していたものが5個あり、チッピング発生率は1%であった。
参考例1
参考例1に係る製造方法では、研磨工程におけるポット52の回転数の制御(時間変化)が異なる以外は、実施例1に係る製造方法と同様にしてコンデンサ素体4を作製した。図8は、参考例1に係る製造方法の研磨工程おけるポット52の回転数の時間変化を表したものである。参考例1における研磨工程では、公転軸58(ポット52)の回転数を1段階で上昇させた。なお、参考例1でも、ポット52は、公転軸58と同一の回転数で、公転軸58の周りを回転する。
すなわち、回転開始〜回転開始後0.1分までの第1段階74では、ポット52の回転数を第1の速度(ポット52の回転数を、一分間に略1500回転の割合で上昇させる速度)で上昇させた。第1段階74によって、ポット52の回転数は、150rpmに到達した。
回転開始後0.1分から60分までの等速段階75では、ポット52の回転数を150rpmに保持した後、回転開始後60分から60.1分までの減速段階76では、ポット52の回転数を第7の速度(ポット52の回転数を、一分間に略1500回転の割合で下降させる速度)で下降させた。減速段階76によって、ポット52の回転を停止させ、バレル研磨工程を終了した。
参考例1でも、実施例1および2と同様に、グリーンチップ43を焼成して得たセラミック素体4のうち、500個について、割れ、欠けの有無を調査した。結果を表1に示す。参考例では、500個のセラミック素体4の中に、割れまたは欠けが発生していたものが20個あり、チッピング発生率は4%であった。
総合評価
表1に示すように、実施例1および2に係る製造方法は、参考例1に比べてチッピング発生率が低いという結果が得られた。すなわち、実施例1および2に係る製造方法は、ポット52の回転数を上昇させる際に、回転数の上昇速度を多段階に、しかも時間とともに減少させながら制御しているため、研磨中にグリーンチップ42に過剰な負荷が加わることが効果的に防止されている。そのため、実施例1および2に係る製造方法では、研磨中において、グリーンチップ42に過剰な負荷がかからず、チッピング発生率が低下したものと考えられる。
また、チッピング発生率が0%であった実施例1では、最も回転数の上昇速度が高い第1の段階61においても、ポット52の回転数の上昇速度は、一分間に略26.7回転である。このため、グリーンチップ42の稜線部42aが研磨中において最も尖っており、グリーンチップ42に急激な負荷が加わりやすい研磨開始直後においても、グリーンチップ42に係る負荷が適切に調整され、チッピングが防止されていると考えられる。
それに対して、チッピング発生率が1%であった実施例2では、第1段階67におけるポット52の回転数の上昇速度が、一分間に略750回転であり、これ以上回転数の上昇速度を上げると、チッピング発生率が悪化するものと考えられる。したがって、第1段階におけるポット52の回転数の上昇速度は、750回転以下とすることが好ましいと考えられる。
チッピング発生率が4%であった参考例1では、1段階のみの上昇速度でポット52の回転数を上昇させており、この際にグリーンチップ42に過剰な負荷が加わり、研磨中にチッピングが発生したものと考えられる。実施例および参考例の研磨工程は、液体による衝撃緩和作用が働かない乾式で行われているため、実施例1および2において、グリーンチップ42に係る負荷が適切に調整されたことによる上述のような効果が、顕著に表れたものと考えられる。
以下に示す実施例3および参考例2では、各実施例および参考例で行われるバレル研磨中において、グリーンチップ42に加わる摩擦圧力がどのように変化するのかをシミュレーションした。
実施例3
実施例3では、研磨工程におけるポット52の回転数の制御(時間変化)が異なる以外は、実施例1に係る製造方法と同様にしてコンデンサ素体4を作製するという条件で、バレル研磨中における摩擦圧力をシミュレーションした。結果を図9に示す。
図9では、時間変化に対するポット52の回転数(すなわち公転軸58の回転数)の変化と、ポット52内で研磨されている摩擦圧力の変化を表している。図9において、ポット52の回転数の変化は点線で表されており、摩擦圧力の変化は実線で表されている。
実施例3では、ポット52の回転数の上昇速度が互いに異なる第1〜第6段階で、ポット52の回転数を制御しながらバレル研磨を行うという条件でシミュレーションを行った。すなわち、回転開始〜回転開始後2分までの第1段階77では、ポット52の回転数を第1の速度(ポット52の回転数を一分間に略40回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始2分後においてポット52の回転数は、80rpmに到達する。
さらに、回転開始後2分〜6分までの第2段階78では、ポット52の回転数を第2の速度(ポット52の回転数を一分間に略15回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始6分後においてポット52の回転数は、140rpmに到達する。回転開始後6分〜10分までの第3段階79では、ポット52の回転数を第3の速度(ポット52の回転数を一分間に略5回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始10分後においてポット52の回転数は、160rpmに到達する。
同様に、回転開始後10分〜15分までの第4段階80では、ポット52の回転数を第4の速度(ポット52の回転数を一分間に略4回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始15分後においてポット52の回転数は、180rpmに到達する。回転開始後15分〜25分までの第5段階81では、ポット52の回転数を第5の速度(ポット52の回転数を一分間に略2回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始25分後においてポット52の回転数は、200rpmに到達する。
回転開始後25分〜45分までの第6段階82では、ポット52の回転数を第6の速度(ポット52の回転数を一分間に略1回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始45分後においてポット52の回転数は、220rpmに到達する。回転開始後45分〜50分までの減速段階83では、ポット52の回転数を第7の速度(ポット52の回転数を、一分間に略44回転の割合で下降させる速度)で下降させ、回転開始50分後においてポット52の回転を停止させた。
ここで、ポット52に投入されたグリーンチップ42に対して、バレル研磨中に加わる摩擦圧力Pは、ポット52の回転によって発生する遠心力Fと、時間tの関数である接触面積S(t)を用いて、おおむね式(1)のように表すことができる。
P=F/S(t)・・・(1)
さらに、遠心力Fは、グリーンチップ42の質量mと、ポット52の回転半径rと、ポット52の回転数に比例する角速度ωを用いて、式(2)にように表される。
F=mrω・・・(2)
式(1)に式(2)を代入すると、摩擦圧力Pは式(3)で表すことができる。
P=mrω/S(t)・・・(3)
すなわち、摩擦圧力Pは、接触面積Sに反比例し、回転数(角速度ω)の2乗に比例する。
図9において実線で示されている摩擦圧力は、式(3)に基づいて計算した。実施例3では、図9に示すように、摩擦圧力の急激な変動がなく、グリーンチップ42に対して安定した摩擦圧力が加えられることがわかる。すなわち、実施例3では、上昇速度が段階ごとに徐々に遅くなっていくように設定された多段階で、バレル容器の回転数を制御している。したがって、研磨の進行に伴い式(3)における接触面積Sが大きくなるのに対応して、ポット52の回転数(式(3)における角速度ω)が大きくなり、グリーンチップ42に対して安定した摩擦圧力Pが加えられる。
図9に示すように、実施例3に係る製造方法によれば、摩擦圧力に急峻な変化が無く安定しているため、グリーンチップ42に加わる負荷を、研磨状態に応じた適切な大きさに保ちながらバレル研磨を行えることが解る。したがって、バレルの回転数を、上昇速度が異なる複数の段階で上昇させながらバレル研磨を行うことによって、摩擦圧力の急激な変動を抑制してチッピングを防止しつつ、研磨時間を短縮することが可能である。
参考例2
参考例2では、研磨工程におけるポット52の回転数の制御(時間変化)が異なる以外は、実施例3と同様にして、バレル研磨中における摩擦圧力をシミュレーションした。結果を図10に示す。
参考例1における研磨工程では、図10において点線で示すように、公転軸58の回転数を1段階で上昇させた。すなわち、回転開始〜回転開始後0.1分までの第1段階84では、公転軸58の回転数を第1の速度(ポット52の回転数を一分間に略1500回転の割合で上昇させる速度)で上昇させ、回転開始0.1分後においてポット52の回転数は、150rpmに到達する。
転開始後0.1分から60分までの等速段階85では、ポット52の回転数を150rpmに保持した後、回転開始後60分から60.1分までの減速段階86では、ポット52の回転数を第7の速度(ポット52の回転数を、一分間に略1500回転の割合で下降させる速度)で下降させた。減速段階86によって、ポット52の回転を停止させ、バレル研磨工程を終了した。
参考例2では、図10に示すように、実線で示す摩擦圧力が、特に研磨開始直後において急激に大きくなり、その後急激に低下している。参考例2のように、1段階でポット52の回転数を上昇させた場合は、第1段階84において、グリーンチップ42に非常に大きな摩擦圧力が加わるため、グリーンチップ42に割れおよび欠けを発生させる危険性が高いことが解る。
図1は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法によって製造されたセラミックコンデンサの一例を表す概略断面図である。 図2(A)は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いるバレル研磨工程前のグリーンチップの斜視図、図2(B)は、図2(A)に示すバレル研磨工程前のグリーンチップを、II−II線に沿って切断した概略断面図である。 図3(A)は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いるグリーンシートを表す断面図、図3(B)は、図3(B)内部電極パターン層を有するグリーンシートを表す断面図である。 図4(A)は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造に用いるバレル研磨工程後のグリーンチップの斜視図、図4(B)は、図3(A)に示すバレル研磨工程後のグリーンチップを、III−IIIB線に沿って切断した概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係るチップ部品の製造方法に用いたバレル研磨装置の概略図である。 図6は、第1実施形態および実施例1に係るチップ部品の製造方法において行われた研磨工程におけるバレルの回転数の時間変化を示すグラフである。 図7は、実施例2に係るチップ部品の製造方法おいて行われた研磨工程におけるバレルの回転数の時間変化を示すグラフである。 図8は、参考例1に係るチップ部品の製造方法において行われた研磨工程におけるバレルの回転数の時間変化を示すグラフである。 図9は、実施例3に係るチップ部品の製造方法について行われた研磨工程シミュレーションの結果を示すグラフである。 図10は、参考例2に係るチップ部品の製造方法について行われた研磨工程シミュレーションの結果を示すグラフである。
符号の説明
2… セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
42,43… グリーンチップ
50… バレル装置
51… 自転軸
52… ポット
58… 公転軸
61,67,77… 第1段階
62,68,78… 第2段階

Claims (7)

  1. 複数の焼成前チップ部品を準備する工程と、
    前記複数の焼成前チップ部品をバレル容器に投入する工程と、
    前記バレル容器の回転数を第1の速度で上昇させる第1段階と、前記第1段階の後に前記バレル容器の前記回転数を前記第1の速度より小さい第2の速度で上昇させる第2段階と、を含む複数の段階で前記バレル容器の前記回転数を制御し、前記焼成前チップ部品をバレル研磨する研磨工程と、
    前記焼成前チップ部品を焼成する工程と、を有するチップ部品の製造方法。
  2. 前記研磨工程において、前記焼成前チップ部品は、乾式でバレル研磨されることを特徴とする請求項1に記載のチップ部品の製造方法。
  3. 前記研磨工程において、前記焼成前チップ部品は、メディアレスでバレル研磨されることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ部品の製造方法。
  4. 前記バレル容器の前記回転数を制御する前記複数の段階のうち、前記バレル容器の前記回転数を上昇させる段階の全ては、一分間に750回転以下の割合で前記回転数を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のチップ部品の製造方法。
  5. 前記研磨工程において、前記第1段階では、前記第2段階以下の摩擦圧力が前記焼成前チップ部品に加わることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のチップ部品の製造方法。
  6. 前記研磨工程では、前記第2段階の後に前記バレル容器の前記回転数を一定に保持する等速段階と、前記等速段階の後の前記バレル容器の前記回転数を下降させる減速段階とをさらに含む複数の段階で前記バレル容器の前記回転数を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のチップ部品の製造方法。
  7. 前記研磨工程では、前記第2段階の後に、前記バレル容器の前記回転数を上昇させる1以上の速度上昇段階をさらに含む複数の段階で前記バレル容器を制御し、当該速度上昇段階では、前記第1段階および前記第2段階を含む当該速度上昇段階より前に行われた段階において前記バレル容器の前記回転数を上昇させるいずれの速度よりも小さい速度で、前記バレル容器の前記回転数を上昇させることを特徴とする請求項1から請求項6に記載のチップ部品の製造方法。
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