JP2010008124A - 絶縁被覆導体検査方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁被覆導体を巻回して形成したコイル8における当該絶縁被覆導体の電気絶縁特性を検査するための絶縁被覆導体検査方法において、コイル8を試験容器10内に配置し、試験容器10内を減圧し、コイル8との間に隙間を空けて電極21、22を対峙させ、電極21、22とコイル8との間に交流電圧を印加し、交流電圧の印加によってコイル8と電極21、22との間において発生する放電の発生頻度を測定し、放電の発生頻度が、基準発生頻度よりも大きい場合に電気絶縁性に優れた良品、小さい場合に電気絶縁性に不良がある不良品と判定する。所定範囲は、放電電荷量が100000(pc)以下の範囲であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
また、目視検査であるため、重要な欠陥を見落とすおそれも残っている。
上記コイルを試験容器内に配置し、
該試験容器内を減圧し、
上記コイルとの間に隙間を空けて電極を対峙させ、
該電極と上記コイルとの間に交流電圧を印加し、
交流電圧の印加によって上記コイルと上記電極との間において発生する放電の発生頻度を測定し、
放電の発生頻度が、基準発生頻度よりも大きい場合に電気絶縁性に優れた良品、小さい場合に電気絶縁性に不良がある不良品と判定することを特徴とする絶縁被覆導体検査方法にある(請求項1)。
すなわち、コイルと電極との間に所定の交流電圧を印加すると、絶縁皮膜が健全で通常の電気絶縁性を有する部分(健全部)からでも、比較的小さい電荷量の放電が多数発生する。一方、絶縁皮膜に傷等が存在し、極端に電気絶縁性に劣る部位(不良部)が存在すると、そこから比較的大きい電荷量の放電が発生する。このような不良部が存在する場合には、逆に、健全部からの比較的小さい電荷量の放電頻度が大きく低減するということを見出した。
ここで、電気絶縁性の判定は、比較的大きい電荷量の放電の発生頻度が高い場合を不良とすることも考えられるが、それよりも、所定の電荷量あるいは測定した全範囲の電荷量の放電の発生頻度が低い場合を電気絶縁性に不良があると判定する方が判定精度が高い。本発明は、この後者の方法を採用したものである。
上記コイルを収容する試験容器と、
該試験容器内を減圧するための減圧手段と、
上記コイルとの間に隙間を空けて対峙させる電極と、
該電極と上記コイルとの間に交流電圧を印加する電圧印加手段と、
交流電圧の印加によって上記コイルと上記電極との間において発生する放電の発生頻度を測定する放電測定手段と、
該放電の発生頻度が、基準発生頻度よりも大きい場合に電気絶縁性に優れた良品、小さい場合に電気絶縁性に不良がある不良品と判定する判定手段とを有することを特徴とする絶縁被覆導体検査装置にある(請求項8)。
更に、上記放電の放電電荷量を測定し、該放電電荷量が10000(pc)以下の範囲であることがより一層好ましい(請求項7、16)。この範囲とすることによって、良品と不良品との差を明確に区別することが可能となる。
また、上記電極は複数に分割されて設けられており、電圧を印加する電極を順次変更することによって上記試験部位を変更可能に構成されていることも好ましい(請求項14)。そして、電極の分割と相対移動可能化の両方を具備する構造でもよい。
本発明の実施例に係る絶縁被覆導体検査方法及び装置につき、図1〜図5を用いて説明する。
本例の絶縁被覆導体検査装置1は、図1に示すごとく、絶縁被覆導体を巻回して形成したコイル8における当該絶縁被覆導体の電気絶縁特性を検査するための絶縁被覆導体検査装置である。本例では、図1、図2に示すごとく、コイル8はステータコア91に装着された状態のもの(ステータ9)を検査対象とした。
本例の電極21、22は、図1、図2に示すごとく、ステータコア91の端部からはみ出しているコイルエンド部81の全周を囲うように環状に設けると共に、その断面形状を略コ字状に形成した。また、上方に配置する電極21は、上記リード部85と干渉しないように切り欠き部219を設けた。
また、各電極21、22は、それぞれ周方向に8分割されており、その間に絶縁材211を挟み、その分割した分割電極210、220単位毎に電圧を印加できるように構成されており、電圧を印加する電極210、220を順次変更することによって試験部位を変更可能に構成されている。これによりコイルエンド部81のどこに傷があるのか特定することが可能となる。
また、ステータコア91に装着された3相のコイル8の中性点を接続せず、U相、V相、W相をそれぞれ別々に電圧を印加することで、どの相のコイルに傷があるのか判定することができる。さらに上記分割電極210、220によって電圧を印加する電極を変更することによって、どの相のコイルのどこに傷があるのか判定することができる。
さらに、リード部85側とリード部85と反対側を別々に電圧を印加させることでリード部85側とリード部85と反対側のどちらに傷があるのかを特定することもできる。
まず、図1に示すごとく、ステータコア91に装着したコイル8を試験容器10内に配置し、試験容器10内を減圧度400(Pa)まで減圧した。
また、試験容器10内では、コイル8との間に隙間を空けて電極21、22を対峙させた。隙間量は3〜30mmの範囲になるように設定した。
測定結果を図5に示す。同図は、横軸に放電電荷量(pc)を、縦軸に1秒間に発生する放電発生頻度(pps)をとった。そして、複数回実験を行った結果の良品平均値(A)と、傷付け品平均値(B)とをプロットした。
実施例1の優位性をより鮮明にするために、本発明と異なる従来の方法(特許文献2に準じた方法)で比較実験を行った。
比較実験は、図6に示すごとく、電極は特に使わず、減圧下においてステータ9のステータコア91とコイル8との間に交流電圧を印加し、ステータ9とコイル8との間で放電を発生させ、実施例1と同様にコロナ放電測定器を用いて放電電荷量(pc)と放電発生頻度(pps)とを求めた。減圧条件は、2666Paとし、電圧の印加条件は、電圧800Vで印加時間0.5秒、2次電流設定値24mAという条件とした。そして、予め電気絶縁性がないことを確認してある良品の場合と、一部絶縁皮膜に傷を付けた傷付け品の場合とについてそれぞれ複数回実験を行い、その平均値を求めた。
測定結果を図6に示す。同図は、横軸に放電電荷量(pc)を、縦軸に1秒間に発生する放電発生頻度(pps)をとった。そして、複数回実験を行った結果の良品平均値(A)と、傷付け品平均値(B)とをプロットした。
また、本発明方法の方が、低い電圧で試験できるので、高電圧の負荷によるコイルへのダメージも低減することができる。
10 試験容器
11 減圧手段
12 放電測定手段
13 電圧印加手段
14 判定手段
21、22 電極
8 コイル
81 コイルエンド部
9 ステータ
91 ステータコア
Claims (16)
- 絶縁被覆導体を巻回して形成したコイルにおける当該絶縁被覆導体の電気絶縁特性を検査するための絶縁被覆導体検査方法において、
上記コイルを試験容器内に配置し、
該試験容器内を減圧し、
上記コイルとの間に隙間を空けて電極を対峙させ、
該電極と上記コイルとの間に交流電圧を印加し、
交流電圧の印加によって上記コイルと上記電極との間において発生する放電の発生頻度を測定し、
放電の発生頻度が、基準発生頻度よりも大きい場合に電気絶縁性に優れた良品、小さい場合に電気絶縁性に不良がある不良品と判定することを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。 - 請求項1において、上記コイルはステータコアに装着された状態のものであることを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。
- 請求項2において、上記電極は、上記ステータコアの端部からはみ出しているコイルエンド部に対峙させられ、該コイルエンド部と上記電極との間において発生する放電の発生頻度を測定することを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。
- 請求項3において、上記電極は、上記コイルエンド部を囲うように断面略コ字状に形成されていることを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記電極と上記コイルとの間の交流電圧の印加は、上記コイルに対して試験部位を部分的にずらして複数回に分けて行い、試験部位ごとにそれぞれ上記判定を行うことを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、上記放電の放電電荷量を測定し、該放電電荷量が100000(pc)以下の範囲で上記発生頻度を測定することを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、上記放電の放電電荷量を測定し、該放電電荷量が10000(pc)以下の範囲であることを特徴とする絶縁被覆導体検査方法。
- 絶縁被覆導体を巻回して形成したコイルにおける当該絶縁被覆導体の電気絶縁特性を検査するための絶縁被覆導体検査装置において、
上記コイルを収容する試験容器と、
該試験容器内を減圧するための減圧手段と、
上記コイルとの間に隙間を空けて対峙させる電極と、
該電極と上記コイルとの間に交流電圧を印加する電圧印加手段と、
交流電圧の印加によって上記コイルと上記電極との間において発生する放電の発生頻度を測定する放電測定手段と、
該放電の発生頻度が、基準発生頻度よりも大きい場合に電気絶縁性に優れた良品、小さい場合に電気絶縁性に不良がある不良品と判定する判定手段とを有することを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。 - 請求項8において、上記コイルはステータコアに装着された状態のものであることを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項9において、上記電極は、上記ステータコアの端部からはみ出しているコイルエンド部に対峙させられ、該コイルエンド部と上記電極との間において発生する放電の発生頻度を測定することを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項10において、上記電極は、上記コイルエンド部を囲うように断面略コ字状に形成されていることを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項8〜11のいずれか1項において、上記電極と上記コイルとの間の交流電圧の印加は、上記コイルに対して試験部位を部分的にずらして複数回に分けて行い、試験部位ごとにそれぞれ上記判定を行うよう構成されていることを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項12において、上記電極は、上記コイルの一部に対峙すると共に該コイルに対して相対移動可能であり、上記電極の相対移動によって上記試験部位を変更可能に構成されていることを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項12又は13において、上記電極は複数に分割されて設けられており、電圧を印加する電極を順次変更することによって上記試験部位を変更可能に構成されていることを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項8〜14のいずれか1項において、上記放電測定手段は、上記放電の放電電荷量を測定し、該放電電荷量が100000(pc)以下の範囲で上記発生頻度を測定することを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
- 請求項8〜14のいずれか1項において、上記放電測定手段は、上記放電の放電電荷量を測定し、該放電電荷量が10000(pc)以下の範囲で上記発生頻度を測定することを特徴とする絶縁被覆導体検査装置。
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