JP2006343235A - 回転電機の電機子検査方法及びその検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻線の短絡判定への外乱の影響を小さくし、短絡が生じている真の電機子の検出精度を向上することができる回転電機の電機子検査方法を提供する。
【解決手段】隣接又は対極の整流子セグメント5aに接続された巻線コイル4の端子間から得られる検査パルスに基づいた出力波形を複数組、例えばセグメント5aの全区間分のばらつき度合いから巻線コイル4のレアーショート等の短絡の有無が判定される。
【選択図】 図1
【解決手段】隣接又は対極の整流子セグメント5aに接続された巻線コイル4の端子間から得られる検査パルスに基づいた出力波形を複数組、例えばセグメント5aの全区間分のばらつき度合いから巻線コイル4のレアーショート等の短絡の有無が判定される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、回転電機の電機子の巻線コイルにおいてレアーショート(Layer Short )等の短絡が発生しているか否かを検査する、その検査方法及び検査装置に関するものである。
従来、回転電機の電機子においては、電機子コアのティースに複数回巻回された巻線コイルの端子間に幅狭の検査パルスを印加し、その検査パルスに基づく出力波形を測定してレアーショート等の短絡の発生の有無を検出して、電機子(巻線コイル)の良否判定を行う所謂インパルス試験が実施されている。このインパルス試験で巻線コイルのレアーチェックを行う場合、良品判定の基準となる良品マスタ波形と、測定した出力波形とのズレ量に基づいて判定がなされている。判定方法としては、良品マスタ波形に対する出力波形のゼロクロス時間、波形位相差面積、波形面積、減衰率等が用いられる。
ここで、ブラシ付き回転電機の電機子は整流子、即ち各巻線コイルの端子が接続される複数の整流子セグメントを有しており、対向する一対のブラシが接触する対極の整流子セグメント間、及び隣接する整流子セグメント間でインパルス試験が実施される。このインパルス試験は整流子セグメントの全てに実施され、それぞれ1対1で良品マスタ波形と出力波形とが比較判定される。
因みに、電機子を有するステータと篭型ロータとを有する回転電機において、その篭型ロータの構造的欠陥(ロータバーの切れ等)を検出する試験方法が、例えば特許文献1にて開示されている。しかしながら、この試験方法では、篭型ロータを有する回転電機を対象とするのみで汎用性が低く、一般的な試験方法としては上記のようなインパルス試験が行われている。
特開平7−218605号公報
ところで、インパルス試験による巻線コイルからの出力波形は、該コイルのL成分、C成分、及びR成分の全ての影響を受けるため、これらの要因としての電機子コアの鉄損や、コアとの絶縁を図る絶縁塗装の厚さ、硬化度、コイルとの対向面積といった外乱によって波形全体がシフトしてしまう場合がある。
これに対し、レアーショートが発生する部位によっては出力波形の変化が僅かであるため、この変化を不良判定に含めるように不良判定を厳しくすると、外乱による出力波形の変化に対しても不良の判定がなされ、レアー不良が生じてないにもかかわらず誤判定されてしまうという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、巻線の短絡判定への外乱の影響を小さくし、短絡が生じている真の電機子の検出精度を向上することができる回転電機の電機子検査方法及びその検査装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電機子コアに設けられる複数のティースのそれぞれに巻線コイルが巻回されてなる回転電機の電機子において、1つ又は所定数接続された前記巻線コイルの端子間を複数組用意し、各組の前記端子間に検査パルスをそれぞれ印加し、各組の前記端子間から得られる出力波形に基づいて前記巻線コイルの短絡の有無を判定する電機子検査方法であって、前記各組の前記巻線コイルの端子間から得られる出力波形のばらつき度合いから前記巻線コイルの短絡の有無を判定することをその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転電機の電機子検査方法において、前記電機子は、対応する前記巻線コイルが接続される整流子セグメントを有する整流子を備えるものであり、前記検査パルスを前記整流子セグメントに印加して前記巻線コイルの短絡の有無を判定することをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転電機の電機子検査方法において、 前各組の前記巻線コイルの端子間から得られた出力波形と該出力波形に対する良品判定のための良品マスタ波形とのズレ量と、前記ばらつき度合いとを総合して前記判定を行うことをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、電機子コアに設けられる複数のティースのそれぞれに巻線コイルが巻回されてなる回転電機の電機子において、1つ又は所定数接続された前記巻線コイルの端子間を複数組用意し、各組の前記端子間に検査パルスをそれぞれ印加し、各組の前記端子間から得られる出力波形に基づいて前記巻線コイルの短絡の有無を判定する電機子検査装置であって、前記各組の前記巻線コイルの端子間から得られる出力波形のばらつき度合いから前記巻線コイルの短絡の有無を判定する判定手段を備えたことをその要旨とする。
(作用)
請求項1,4に記載の発明によれば、1つ又は所定数接続された巻線コイルを複数組用意し、各組の巻線コイルの端子間から得られる検査パルスに基づいた出力波形のばらつき度合いから巻線コイルの短絡の有無が判定される。つまり、電機子に備えられるいずれかの巻線コイルにて短絡が生じると、検査パルスに基づいた巻線コイルの端子間からの出力波形が良品の電機子から得られる出力波形とずれ、しかも組毎の出力波形にばらつきが生じる。一方、外乱の影響を受けた電機子は、巻線コイルの端子間からの出力波形そのものが良品の電機子から得られる出力波形とずれるが、組毎の出力波形のばらつきは十分に小さい。従って、出力波形のばらつき度合いを考慮して巻線コイルの短絡の有無を判定することで、外乱の影響が小さくなって外乱による誤判定が少なくなり、短絡が生じている真の電機子の検出が可能となる。
請求項1,4に記載の発明によれば、1つ又は所定数接続された巻線コイルを複数組用意し、各組の巻線コイルの端子間から得られる検査パルスに基づいた出力波形のばらつき度合いから巻線コイルの短絡の有無が判定される。つまり、電機子に備えられるいずれかの巻線コイルにて短絡が生じると、検査パルスに基づいた巻線コイルの端子間からの出力波形が良品の電機子から得られる出力波形とずれ、しかも組毎の出力波形にばらつきが生じる。一方、外乱の影響を受けた電機子は、巻線コイルの端子間からの出力波形そのものが良品の電機子から得られる出力波形とずれるが、組毎の出力波形のばらつきは十分に小さい。従って、出力波形のばらつき度合いを考慮して巻線コイルの短絡の有無を判定することで、外乱の影響が小さくなって外乱による誤判定が少なくなり、短絡が生じている真の電機子の検出が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、対応する巻線コイルの各端子が接続される整流子セグメントを有する整流子を備えた電機子においては、その整流子セグメントに検査パルスが印加されて巻線コイルの短絡の有無が判定される。このような電機子においては整流子セグメントに検査装置の検査端子を接触させる等して検査パルスを印加すれば済むので、その検査が容易である。
請求項3に記載の発明によれば、各組の巻線コイルの端子間から得られた出力波形と良品マスタ波形とのズレ量と、組毎の出力波形のばらつき度合いとを総合して、巻線コイルの短絡の有無が判定される。これにより、短絡の有無判定がより確実となる。
従って、本発明によれば、巻線の短絡判定への外乱の影響を小さくし、短絡が生じている真の電機子の検出精度を向上することができる回転電機の電機子検査方法及びその検査装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施の形態に用いられる回転電機の電機子(ロータ)1を示す。この電機子1は、ヨークハウジング(図示略)と該ヨークハウジングの内周面に固着されるマグネット(図示略)とを備えるステータに対して設けられるものであり、そのマグネットの内側に回転可能に収容される。
図1は、本実施の形態に用いられる回転電機の電機子(ロータ)1を示す。この電機子1は、ヨークハウジング(図示略)と該ヨークハウジングの内周面に固着されるマグネット(図示略)とを備えるステータに対して設けられるものであり、そのマグネットの内側に回転可能に収容される。
電機子1は、回転軸2と、該回転軸2に固定され放射状に複数(本実施の形態では12個)のティース3aを有する電機子コア3と、該コア3の各ティース3aに複数回巻回された複数(同様に12個)の巻線コイル4と、回転軸2に固定され複数(同様に12個)の整流子セグメント5aを有する整流子5と、を備えている。各巻線コイル4は、その両端が隣接する整流子セグメント5aに接続され、図2に示すような1つの閉ループを構成するように整流子5に対して接続されている。そして、このような整流子5には、一対の給電用のブラシ(図示略)が回転軸2を挟んだ対称位置(180°間隔)配置され、各ブラシが対極のセグメント5aに接触するようになっている。
ここで、電機子1を製造する途中でコア3のティース3aに巻線コイル4を巻装する際に、巻線コイル4の絶縁皮膜が剥がれる等してレアーショート等の短絡が生じる場合があり、レアーショートが生じた電機子1は不良品として外部への流出を防止する必要がある。そのため、製造された電機子1は検査装置10を用いて、レアーショートが生じているか否かが検査される。
検査装置10は、1つ及び所定数の巻線コイル4の端子間に対して幅狭の検査パルスを印加し、その検査パルスに基づく出力波形を測定してレアーショートの発生の有無を検出する装置である。この場合、各巻線コイル4の端子は整流子セグメント5aに接続されているので、検査装置10は検査対象の巻線コイル4の端子が接続される整流子セグメント5aにその検査端子を接触させてインパルス試験を実施する。因みに、インパルス試験は、対極(180°間隔)の整流子セグメント5a間(電機子1における半数の巻線コイル4の端子間)、及び隣接する整流子セグメント5a間(各巻線コイル4の端子間)のそれぞれ全区間実施する。
尚、本実施の形態で用いる検査パルスは、電圧が一旦マイナス側に下降し、マイナス側のピーク値を境にその後上昇してゼロを通過してプラス側に上昇し、プラス側のピーク値を境に下降に転じてゼロ付近にて安定するように変化する(図示略)。このような検査パルスは、コンデンサやスイッチング素子等を用いた簡単な回路で生成可能である。
先ず、対極の整流子セグメント5a間のインパルス試験について説明する。ここで、本実施の形態の整流子5は12個の整流子セグメント5aを有するので、セグメント番号を「1」〜「12」まで付すこととする。
図3は、レアーショートが生じていない良品の電機子1におけるインパルス試験の出力波形を示しており、対極のセグメント番号「1−7」間、「2−8」間、「3−9」間、「4−10」間、「5−11」間、「6−12」間のそれぞれの出力波形が示されている。各区間の出力波形は、共に検査パルスと同様に変化する。即ち、各区間の出力波形は、電圧が一旦マイナス側に下降してからゼロを通過してプラス側に上昇し、その後ゼロ付近にて安定する波形となる。各区間の出力波形のばらつきは極めて小さく、各区間の出力波形は略一致する。
これに対し、図4(a)は、レアーショートが生じた不良品の電機子1におけるインパルス試験の出力波形を示している。尚、同図4(a)で波線にて示す波形は、図3に示す良品の波形等から設定した良品マスタ波形である。
図4(a)に示すように、各出力波形のうち、「3−9」間及び「4−10」間の出力波形が良品マスタ波形から大きくずれている。具体的には、検査開始からゼロを横切る時間、即ちゼロクロス時間が良品マスタ波形よりも「3−9」間及び「4−10」間の出力波形の方が早くなり、プラス側ピーク値がそれら各区間の出力波形の方が低くなっている。
また、「2−8」間及び「5−11」間の出力波形は、上記「3−9」間及び「4−10」間の出力波形よりも良品マスタ波形に近づいた波形であり、上記「3−9」間及び「4−10」間の出力波形のズレ量(ゼロクロス時間やプラス側ピーク値のズレ)に次ぐズレ量である。また、「1−7」間及び「6−12」間の出力波形は、上記「2−8」間及び「5−11」間の出力波形よりも更に良品マスタ波形に近づいた波形であり、上記「2−8」間及び「5−11」間の出力波形のズレ量(ゼロクロス時間やプラス側ピーク値のズレ)に次ぐズレ量である。
図4(b)は、良品マスタ波形に対する各区間の出力波形とのズレを示している。つまり、同図4(b)にて示されるように、「3−9」間及び「4−10」間の出力波形は良品マスタ波形に対するズレ量が大きく、次いで「2−8」間及び「5−11」間の出力波形であり、次いで「1−7」間及び「6−12」間の出力波形となっている。同図4(b)から各区間の出力波形のばらつきが大きいことがわかる。
次いで、図5(a)は、レアーショートは生じていないが標準よりも外乱の影響を比較的大きく受けた電機子1のインパルス試験の出力波形を示している。尚、同図5(a)においても、波線にて良品マスタ波形を示す。
ここで、インパルス試験による巻線コイル4からの出力波形は、図8にて示す巻線コイル4の等価回路にて示されるように、該コイル4のL成分、C成分、及びR成分の全ての影響を受ける。これらの要因としては、電機子コア3の鉄損や、コア3との絶縁を図る絶縁塗装の厚さ、硬化度、コイル4との対向面積といった外乱である。つまり、この外乱により巻線コイル4のL成分、C成分、及びR成分が変化し、これが出力波形に影響を与えることになる。
図5(a)に示すように、外乱の影響を受けた電機子1のインパルス試験の出力波形は、各区間とも良品マスタ波形に対してずれる一方、波形変化は同様となる。従って、図5(b)にて良品マスタ波形に対する各区間の出力波形とのズレを示すように、各区間の出力波形とも良品マスタ波形に対して同様にずれることから、各区間の出力波形のばらつきは極めて小さい。
これに着目し、不良品流出を極力防止すべく巻線レアー不良の判定を厳しくし、図5(a)に示すように良品マスタ波形に対する各区間の出力波形の僅かなズレでも不良品と判定するように検査装置10のズレ量判定用の判定値を設定しても、図5(b)に示すように各区間の出力波形のばらつきがそのばらつき判定用の判定値より小さい場合にはレアーショートが生じていない良品であるとの判定が可能となる。つまり、本実施の形態の検査装置10は、良品マスタ波形に対する各区間の出力波形のズレ量の比較に加え、各区間の出力波形のばらつきを比較し、両者ともに判定値を超えると不良品である判定がなされるように構成されている。
これにより、検査装置10は、各区間の出力波形のズレ量とそのばらつきの両者が対応する判定値を超える図4のような出力波形となる電機子1を、レアーショートが生じている不良品であると判定する。これに対し、図5のような出力波形となる外乱の影響を受けた電機子1は、各区間の出力波形のズレ量がそのズレ量判定用の判定値を超えるが、各区間の出力波形のばらつきがそのばらつき判定用の判定値より小さい場合、検査装置10は、レアーショートが生じていない良品であると判定する。従って、本実施の形態の検査装置10は、巻線レアー不良の判定を厳格に行うことができつつも、その判定への外乱の影響が小さく、外乱による誤判定が少なくなっている。そして、このような判定結果は、図示しない表示装置等に出力される。
因みに、上記は対極の整流子セグメント5a間のインパルス試験を図示して説明したが、検査装置10は特に図示しないが隣接する整流子セグメント5a間のインパルス試験も行っている。この場合も、レアーショートが生じている巻線コイル4が接続された整流子セグメント5aからの出力波形のズレが大きくなり、そのセグメント5aから離れるほどズレが小さくなるため、セグメント5aの各隣接区間の出力波形にばらつきが生じる。従って、対極のインパルス試験と同様、出力波形のばらつきの検出を加味することで、良品か、レアーショートが生じている不良品か、レアーショートが生じていないが外乱の影響を受けているものかが判定できる。そして、検査装置10は、対極の整流子セグメント5a間、及び隣接する整流子セグメント5a間のインパルス試験の結果を総合して電機子1の巻線レアー不良の判定を行うようになっている。
尚、図7に示すように、セグメント番号「3−4」間及び「9−10」間の巻線コイル4にてレアーショートが生じている場合、そのセグメント番号若しくはそのセグメント番号に近い程、良品マスタ波形に対する出力波形のズレ(この場合、ゼロクロス時間)は大きい。また、これらのセグメント番号から離れるほど、良品マスタ波形に対する出力波形のズレは小さくなる傾向にあって、各区間の出力波形にはばらつきが生じる。
またこの場合、図6に示すように対極のセグメント番号のインパルス試験においては、セグメント番号「6−12」間や「1−7」間の出力波形のズレが大きい。また、セグメント番号「5−11」間や「2−8」間、更にはセグメント番号「4−10」間や「3−9」間に向かうほど、出力波形のズレが小さくなる傾向にあって、各区間の出力波形にはばらつきが生じる。このような各区間の出力波形のばらつきは巻線レア判定に用いられるとともに、ズレ量の大きさからレアーショートが生じている箇所が特定可能となっている。
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)隣接及び対極の整流子セグメント5aに接続された巻線コイル4の端子間から得られる検査パルスに基づいた出力波形を複数組、本実施の形態ではセグメント5aの全区間分のばらつき度合いから巻線コイル4のレアーショート等の短絡の有無が判定される。つまり、電機子1に備えられるいずれかの巻線コイル4にて短絡が生じると、検査パルスに基づいた巻線コイル4の端子間からの出力波形が良品の電機子1から得られる出力波形とずれ、しかも区間毎の出力波形にばらつきが生じる。一方、外乱の影響を受けた電機子1は、巻線コイル4の端子間からの出力波形そのものが良品の電機子1から得られる出力波形とずれるが、区間毎の出力波形のばらつきは十分に小さい。従って、出力波形のばらつき度合いを考慮して巻線コイル4の短絡の有無を判定することで、外乱の影響が小さくなって外乱による誤判定が少なくなり、レアーショートが生じている真の電機子1を検出することができる。
(1)隣接及び対極の整流子セグメント5aに接続された巻線コイル4の端子間から得られる検査パルスに基づいた出力波形を複数組、本実施の形態ではセグメント5aの全区間分のばらつき度合いから巻線コイル4のレアーショート等の短絡の有無が判定される。つまり、電機子1に備えられるいずれかの巻線コイル4にて短絡が生じると、検査パルスに基づいた巻線コイル4の端子間からの出力波形が良品の電機子1から得られる出力波形とずれ、しかも区間毎の出力波形にばらつきが生じる。一方、外乱の影響を受けた電機子1は、巻線コイル4の端子間からの出力波形そのものが良品の電機子1から得られる出力波形とずれるが、区間毎の出力波形のばらつきは十分に小さい。従って、出力波形のばらつき度合いを考慮して巻線コイル4の短絡の有無を判定することで、外乱の影響が小さくなって外乱による誤判定が少なくなり、レアーショートが生じている真の電機子1を検出することができる。
(2)対応する巻線コイル4の各端子が接続される整流子セグメント5aを有する整流子5を備えた本実施の形態のような電機子1においては、その整流子セグメント5aに検査パルスが印加されて巻線コイル4の短絡(レアーショート)の有無が判定される。このような電機子1においては整流子セグメント5aに検査装置10の検査端子を接触させる等して検査パルスを印加すれば済むので、その検査を容易に行うことができる。
(3)本実施の形態では、区間組の巻線コイル4の端子間から得られた出力波形と良品マスタ波形とのズレ量と、区間毎の出力波形のばらつき度合いとを総合して、巻線コイル4の短絡(レアーショート)の有無が判定される。これにより、短絡の有無判定をより確実とすることができる。
(4)巻線レアー不良以外で良品マスタ波形とのズレが生じる要因として外乱、即ち電機子コア3の鉄損や、コア3との絶縁を図る絶縁塗装の厚さ、硬化度、コイル4との対向面積が関係している。ここで、電気容量の一般式C=ε×s/d(C:電気容量、ε:誘電率、s:面積、d:距離)において、絶縁塗装(例えば粉体絶縁塗装)の硬化度が低いと誘電率εが増加、巻線コイル4との対向面積が増えると面積sが増加、絶縁塗装の巻く圧が薄いと距離dが減少、電気容量Cが増加する。電気容量Cが大きくなると、検査パルスに基づいた出力波形の周期が短く、減衰率が小さくなる。また、電機子コア3の鉄損が増加すると、逆に検査パルスに基づく出力波形の周期が長く、減衰率が大きくなる。そこで、検査パルスに基づいた出力波形の周期や減衰率等を検討することで、電機子コア3の鉄損を評価することが可能であり、また絶縁塗装の状態を評価することも可能であり、手間の掛かる絶縁塗装の硬化度を短時間で測定することもできる。
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施の形態では、隣接及び対極の整流子セグメント5a間の検査パルスに基づく出力波形を元に巻線コイル4の短絡判定を行うようにしているが、隣接及び対極のいずれか一方に基づいてその判定を行うようにしてもよい。また、隣接及び対極の整流子セグメント5a間の全区間の出力波形に基づいて判定を行っているが、全区間でなく、任意の複数区間の出力波形に基づいて判定を行うようにしてもよい。
○上記実施の形態では、隣接及び対極の整流子セグメント5a間の検査パルスに基づく出力波形を元に巻線コイル4の短絡判定を行うようにしているが、隣接及び対極のいずれか一方に基づいてその判定を行うようにしてもよい。また、隣接及び対極の整流子セグメント5a間の全区間の出力波形に基づいて判定を行っているが、全区間でなく、任意の複数区間の出力波形に基づいて判定を行うようにしてもよい。
○上記実施の形態では、整流子5(整流子セグメント5a)に検査装置10の検査端子を接触させて巻線コイル4の短絡判定の検査を行うようにしているが、整流子5を有していない電機子等、巻線コイル4の所定の部位に検査端子を接触させてその判定を行うようにしてもよい。
○上記実施の形態では、ロータ用の電機子1に実施したが、ステータ側の電機子に実施することもできる。
○上記実施の形態のインパルス試験に加え、その他の試験(例えば、抵抗測定、サーチコイルでの回転誘導試験、外観試験等)と組み合わせて、巻線コイル4の短絡判定を行うようにしてもよい。
○上記実施の形態のインパルス試験に加え、その他の試験(例えば、抵抗測定、サーチコイルでの回転誘導試験、外観試験等)と組み合わせて、巻線コイル4の短絡判定を行うようにしてもよい。
次に、上記実施の形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項4に記載の回転電機の電機子検査装置において、
前記電機子は、対応する前記巻線コイルの各端子が接続される整流子セグメントを有する整流子を備えるものであり、
前記判定手段は、前記検査パルスを前記整流子セグメントに印加して前記巻線コイルの短絡の有無を判定することを特徴とする回転電機の電機子検査装置。
(イ) 請求項4に記載の回転電機の電機子検査装置において、
前記電機子は、対応する前記巻線コイルの各端子が接続される整流子セグメントを有する整流子を備えるものであり、
前記判定手段は、前記検査パルスを前記整流子セグメントに印加して前記巻線コイルの短絡の有無を判定することを特徴とする回転電機の電機子検査装置。
このようにすれば、上記請求項2と同様の効果を得ることができる。
(ロ) 請求項4又は上記(イ)に記載の回転電機の電機子検査装置において、
前記判定手段は、前各組の前記巻線コイルの端子間から得られた出力波形と該出力波形に対する良品判定のための良品マスタ波形とのズレ量と、前記ばらつき度合いとを総合して前記判定を行うことを特徴とする回転電機の電機子検査装置。
(ロ) 請求項4又は上記(イ)に記載の回転電機の電機子検査装置において、
前記判定手段は、前各組の前記巻線コイルの端子間から得られた出力波形と該出力波形に対する良品判定のための良品マスタ波形とのズレ量と、前記ばらつき度合いとを総合して前記判定を行うことを特徴とする回転電機の電機子検査装置。
このようにすれば、上記請求項3と同様の効果を得ることができる。
1…電機子、3…電機子コア、3a…ティース、4…巻線コイル、5…整流子、5a…整流子セグメント、10…判定手段としての検査装置。
Claims (4)
- 電機子コアに設けられる複数のティースのそれぞれに巻線コイルが巻回されてなる回転電機の電機子において、1つ又は所定数接続された前記巻線コイルの端子間を複数組用意し、各組の前記端子間に検査パルスをそれぞれ印加し、各組の前記端子間から得られる出力波形に基づいて前記巻線コイルの短絡の有無を判定する電機子検査方法であって、
前各組の前記巻線コイルの端子間から得られる出力波形のばらつき度合いから前記巻線コイルの短絡の有無を判定することを特徴とする回転電機の電機子検査方法。 - 請求項1に記載の回転電機の電機子検査方法において、
前記電機子は、対応する前記巻線コイルの各端子が接続される整流子セグメントを有する整流子を備えるものであり、
前記検査パルスを前記整流子セグメントに印加して前記巻線コイルの短絡の有無を判定することを特徴とする回転電機の電機子検査方法。 - 請求項1又は2に記載の回転電機の電機子検査方法において、
前各組の前記巻線コイルの端子間から得られた出力波形と該出力波形に対する良品判定のための良品マスタ波形とのズレ量と、前記ばらつき度合いとを総合して前記判定を行うことを特徴とする回転電機の電機子検査方法。 - 電機子コアに設けられる複数のティースのそれぞれに巻線コイルが巻回されてなる回転電機の電機子において、1つ又は所定数接続された前記巻線コイルの端子間を複数組用意し、各組の前記端子間に検査パルスをそれぞれ印加し、各組の前記端子間から得られる出力波形に基づいて前記巻線コイルの短絡の有無を判定する電機子検査装置であって、
前記各組の前記巻線コイルの端子間から得られる出力波形のばらつき度合いから前記巻線コイルの短絡の有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする回転電機の電機子検査装置。
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JP2005169840A JP2006343235A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 回転電機の電機子検査方法及びその検査装置 |
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---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-06-09 JP JP2005169840A patent/JP2006343235A/ja active Pending
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JP2010261914A (ja) * | 2009-05-11 | 2010-11-18 | Asmo Co Ltd | 電機子検査方法及び検査装置 |
CN104588330A (zh) * | 2015-01-30 | 2015-05-06 | 上海昭程整流子科技有限公司 | 电机换向器残料检测机构 |
CN104588330B (zh) * | 2015-01-30 | 2017-03-22 | 上海昭程整流子科技有限公司 | 电机换向器残料检测机构 |
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