JP2010006934A - 易引裂き性ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性、保香性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、フィルム取り扱い性や外観に優れ、印刷、ラミネートの際のフィルムのシワ、フィルムの延び、ピッチ変動が無く、且つスティック包装用途や蓋材料用途等に好適な易引裂き性と取扱い性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを安価に提供すること。
【解決手段】 厚さが5〜9μmであって、酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mo1%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)と、低融点軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル(B)との混合物からなり、フィルム中に含まれるブロック共重合ポリエステル(B)中の低融点軟質重合体が1重量%以上4重量%以下であり、
前記フィルムのヘイズ値が7%以下であり、長手方向の屈折率Nxと幅方向の屈折率Nyに於いて(Nx−Ny)あるいは(Ny−Nx)が0.02以上0.06以下であり、かつ150℃に於ける熱収縮率が長手方向、幅方向共に5%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法に関し、さらに詳細には、ポリエステル延伸プィルムの優れた特性である耐熱性、保香性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、フィルム取り扱い性や外観に優れ、印刷、ラミネートの際のフィルムのシワ、フィルムの延び、ピッチ変動が無く、且つスティック包装用途や蓋材料用途等に好適な易引裂き性と取扱い性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
引裂き性の優れたフィルムとして、透明性がよいセロハンが広く使用されてきた。しかしながら、セロハンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し、一定の品質のものを常に供給することが困難であり、かつ厚みの不均一性に起因する加工性の悪さが欠点とされてきた。一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムは強靱性、耐熱性、耐水性、透明性等の優れた特性の良さがある反面、引裂き性が劣るためスティック包装用途や蓋材料用途等に用いることができないという欠点があった。
かかる欠点を解消する方法として、ポリエステルフィルムからなる基材上に、アルミニウム箔及び/又は紙からなる剛直層と、シーラント層とを順次ラミネートする方法や、縦方向及び横方向の引張伸度の合計数値が200%以下のポリエステルフィルムからなる基材の一方の面にヒートシール層を積層し、他方の面に無機酸化物の蒸着薄膜層、紙屑、ホットメルトコート層を積層する方法、或いは厚み3〜25μmのポリエステルフィルムの片面にアルミ箔を積層した構造を有し、前記ポリエステルフィルムに易カット加工を施すことを特徴とする方法等が開示されている。(特許文献1〜3参照)
公開特許第3495338号公報 特開2003−165174号公報 特開2002−178450号公報
しかしながら、これらの方法は易引き裂き性を得る為に紙又はアルミニウム箔といった剛直層を用いており、コストアップにつながる、また、特許文献3に於いては微細孔を設ける工程が必要なため、コストアップにつながるばかりでなく、微細孔の深さの不均一性に起因した引裂き性のバラツキが発生するという問題があり好ましくない。
また、ポリエステル樹脂に軟質重合体成分を含む共重合ポリエステルを含有させ、フィルム製造の際、混合溶融樹脂をせん断速度200sec−1以上で押し出し吐出して得たフィルムが提案されている(例えば、特許文献4等参照。)。
特開2001−261952号公報
しかしながら、上記フィルムは一方向の直線引き裂き性を目的とするものである。
また、さらに実質的に分子配向がない層と分子配向を有し、かつ低密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体やナイロン樹脂を含有する層からなるポリエステル系積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献5等参照。)
特開2008−30281号公報
また、さらに実質的に分子配向がない層と分子配向を有し、かつ融点170℃以上の結晶セグメント及び融点又は軟化点が100℃以下、分子量が400〜8000の軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステルを含有する層からなるポリエステル系積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献6等参照。)
特開2005−313562号公報
しかしながら、上記フィルムは、分子配向がない層により引き裂き性を得ている。
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、特に易開封性と加工性に注目し、ポリエステルフィルムの優れた特性である耐熱性、防湿性、透明性、保香性等を極力維持し、フィルムの任意の方向で引き裂き性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは上記課題を解決する為、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、 厚さが5〜9μmであって、酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mo1%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)と、軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル(B)との混合物からなり、フィルム中に含まれるブロック共重合ポリエステル(B)中の低融点軟質重合体が1重量%以上4重量%以下であり、
前記フィルムのヘイズ値が7%以下であり、長手方向の屈折率Nxと幅方向の屈折率Nyに於いて(Nx−Ny)あるいは(Ny−Nx)が0.02以上0.06以下であり、かつ150℃に於ける熱収縮率が長手方向、幅方向共に5%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムである。
この場合において、前記フィルムの(Nx―Ny)が0.02以上、0.06以下であることが好適である。
また、この場合において、前記ブロック共重合ポリエステル(B)に含まれる軟質重合体の割合が3mo1%以上、12mol%以下の範囲であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記フィルムの突刺強度が2N以上7N以下であることが好適である。
本発明によるポリエステル系樹脂フィルムは、耐熱性、耐寒性、防湿性、透明性、保香性等のポリエステル本来の特性を有しながらも、易開封性、加工性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルムである。
易開封性が改善されることにより、包装袋にノッチを設けることも無く、また鋏等を用いる事も無く任意の位置から開封する事が可能となる。さらに、加工性が改善されることにより、印刷やラミネートといった加工が通常の設備、条件で行う事が出来るという利点を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に於ける二軸延伸ポリエステルフィルムは、酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mol%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)と、軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル(B)との混合物からなり、フィルム中に含まれるブロック共重合ポリエステル(B)中の軟質重合体が1重量%以上、4重量%以下であることを特徴とする。
酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mol%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)としては、例えばポリエチレンテレフタレートの他に、イソフタル酸共重合体、ネオペンチルグリコール共重合体等のテレフタル酸およびエチレングリコールを主成分とし、他の酸成分および/または他のグリコール成分を共重合成分として含有するポリエステルが挙げられる。
更に他の酸成分としては、脂肪族の二塩基酸(例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸)や芳香族の二塩基酸(例えば、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、5−第3ブチルイソフタル酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸)が用いられる。グリコール成分としては、脂肪族ジオール(例えば、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール)または芳香族ジオール(例えば、キシリレングリコール、ビス(4−β−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体)が用いることができる。
結晶性ポリエステル樹脂(A)の組成は酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mo1%以上含有することが挙げられるが、好ましくはテレフタル酸を95mol%以上、エチレングリコールを95mol%以上含有するポリエステル共重合体であり、更に好ましくはテレフタル酸を98mol%以上、エチレングリコールを98mol%以上含有するポリエステル共重合体である。
テレフタル酸の含有量が90mo1%未満、或いはエチレングリコールの含有量が90mo1%未満となった場合、フィルムの結晶性が低下することで、剛性、耐熱性が低下し、印刷やラミネートの際のシワやピッチ変動、幅やせが生じ好ましくない。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに用いられるポリエステル樹脂(A)の極限粘度は0.55d1/g以上〜0.75dl/g以下であるのが好ましい。
極限粘度が0.55d1/g未満の場合、ポリエステルフィルム製造時に破断が発生しやすくなるため好ましくない。逆に、極限粘度が0.75dl/gを超える場合、フィルムの強度が高くなり易引裂き性が悪化する為好ましくない。尚、更に好ましくは0.60d1/g以上0.7d1/g以下である。
また、本発明に用いられる、結晶セグメント及び軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル(B)に於いて、
このような軟質重合体としては、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合グリコール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合グリコール等のポリエーテルを示すことができる。好ましくはポリエチレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール等が実用的である。これらのブロック共重合ポリエステルは通常の縮合重合法によって製造することができる。
本発明に於いて用いるブロック共重合体ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレ−トーポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリテトラメチレンテレフタレート・イソフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体などを挙げることができる。
本発明に於いて、フィルム中に含まれるブロック共重合ポリエステル(B)中の軟質重合体が1重量%以上、4重量%以下であり、さらに好ましくは1.5重量%以上、3重量%以下である。
また、上記結晶セグメントは、融点170℃以上のものが好ましい。
融点が170℃以上であるとは、その成分だけで重合体としたときに、融点が170℃以上のものであるが、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の残基と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、キシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、芳香族、脂環族ジオールの残基とからなるポリエステル等を用いることができるが、特にテレフタル酸残基が80mol%以上を占めることが望ましい。
また、上記軟質重合体は、分子量400〜8000のものあるいは、軟化点が100℃以下であるものが好ましい、分子量が400〜8000あるいは軟化点が100℃以下であるとは、該セグメント構成成分だけで測定した場合の融点或いは軟化点が100℃以下のものをいう。分子量が400以下のものを用いた場合は、得られるブロック共重合ポリエステルは融点が低く粘着性が激しい為、フィルムヘの配合加工性に困難となる。また、分子量が8000を越える場合は、軟質重合体が層分離し、極めて高い溶融粘度を示し、硬く脆い性質となり、共重合反応後重合釜からの取り出しが困難となったり、また、このブロック共重合ポリエステルをフィルム成形に用いた場合、透明性が悪くなる為好ましくない。特に好ましくは800〜2000の分子量のものである。
本発明に於いて、軟質重合体は易引裂き性を発現させる為に必要であり、1重量%未満では充分な易引裂き性を発現させる事が出来ない。また、4重量%を超えると耐熱性、剛性、製膜性が悪化し、フィルムとして必要な特性を得る事が出来なくなる。
軟質重合体を含有させることによって、上記結晶性ポリエステル(A)と上記ブロック共重合ポリエステル(B)に界面が生じ、そこに応力がかかると分離される、引き裂きやすさにつながる。
本発明に於いて、ブロック共重合ポリエステル(B)に含まれる軟質重合体の割合は3mo1%以上、12mol%以下であることが好ましい。3mol%未満の場合、軟質重合体としての特性が得られず、12mol%を越えた場合、結晶性ポリエステル(A)との混合溶融時にブロック共重合ポリエステル(B)の分散が大きくなり、製膜の際の延伸工程で破れたり、熱固定工程に於いて溶融したり、また透明性も悪化する。好ましくは3〜10mol%、特に好ましくは3〜7mo1%である。
本発明に於いて、ブロック共重合ポリエステル(B)が適切に分散されているときの、フィルムのヘイズ値は7μm換算した場合に7%以下である。さらに6%以下であることが好ましく、特に5%以下であることが好ましい。
本発明に於いて、150℃に於ける熱収縮率が長手方向、幅方向共に5%以下とすることで易引裂き性、耐熱性、剛性を満足させる二軸延伸ポリエステルフィルムを得る事ができる。フィルムを延伸しただけの状態では、非晶部も配向されているが、熱処理を行なうことにより、非晶部の配向が緩和され、引き裂きやすくなると同時に、結晶化度が高くなり、フィルムの耐熱性、剛性も大きくなる。
本発明に於いて、非晶部の配向が適切に緩和されているときの、フィルムの150℃における熱収縮率は5%以下である。さらに4%以下が好ましく、特に3%以下が好ましい。
本発明に於いて、フィルムの長手方向の屈折率Nxと幅方向の屈折率Nyに於いて(Nx−Ny)あるいは(Ny−Nx)0.6以下とすることで任意の方向の易引裂き性を得ることができるが、(Nx−Ny)あるいは(Ny−Nx)が0.6を超える場合、長手方向あるいは幅方向の配向のみが強く、任意の方向の手切れ性が得られない。
本発明に於いては、手切れ性を発言するために、フィルムの厚さを10μm以下とすることが好ましく、さらに8μm以下が好ましい。
本発明に於いては、フィルムの厚さを5μm以上とすることで、加工時に問題となるフィルムのシワ、伸び、ゆがみ、印刷ピッチの変動等を防.止する事ができる。
本発明に於いて、結晶性ポリエステル(A)とブロック共重合ポリエステル(B)を混合することで易引裂き性を得ており、通常の包装用ポリエステルフィルムに比べるとフィルムの剛性は低下する。しかしながら、フィルムの長手方向の屈折率Nxと幅方向の屈折率Nyに於いて(Nx一Ny)あるいは(Ny−Nx)を0.02以上とすることで加工時に問題となるフィルムのシワ、伸び、ゆがみ、印刷ピッチの変動等を防止する事ができる。さらに(Nx−Ny)あるいは(Ny−Nx)が0.03以上、0.05以下であることが好ましい。
フィルムを長手方向に巻き取り、加工の際に長手方向にフィルムを巻き出して行なうことが多いが、このときは(Nx−Ny)が0.02以上、0.6以下であることが好ましい。
本発明に於いて、150℃に於ける熱収縮率が長手方向、幅方向共に5%以下であることが好ましい。熱収縮率が5%を超えると印刷、ラミネートに於けるインキ或いは接着剤の乾燥工程に於いてフィルム幅の変化やピッチ変化が生じる為好ましくない。さらに好ましくは3%以下である。
熱収縮率を5%以下とするには、第2段目延伸を行った後に、少なくとも200〜235℃の温度範囲で熱処理を行う方法が挙げられる。また、熱処理工程に於いて1〜5%の緩和処理を行うことにより、熱収縮率を低下させることができる。
本発明に於いて、こうして得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの突刺強度は2N以上7N以下であることが好ましく、更に好ましくは3N以上6N以下である。突刺強度が7Nを越える場合、フィルムの強度が強くなり、易引裂き性を得ることが困難となり好ましくない。また、2N未満の場合はフィルムの強度が弱すぎる為にフィルムの取り扱いが困難となり、加工中に破断したりして好ましくない。
本発明に於いて、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面または両面にコロナ処理を実施して、濡れ張力を44〜58mN/mに調整することができる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種添加材、例えば、滑材、顔料、酸化防止剤、帯電防.止剤等が添加されていてもよ
い。
次に、本発明フィルムの製造方法の一例を説明するが、これらに限定するものではない。
ポリエステル樹脂(A)及びブロック共重合ポリエステル樹脂(B)をそれぞれ真空乾燥機にて水分率が50ppm以下となるように調整し、混合した後押出機に供給し、溶融押し出しして口金より押し出し、冷却固化させて未延伸シートを成形する。
このようにして得られたシートを、逐次2軸延伸の第1段目の延伸としてポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度以上、ガラス転移温度+30℃以下の温度にて予熱した後、幅方向に3.5〜4.5倍延伸し、20℃〜30℃に急冷する。次いで第2段目延伸としてポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度+10℃以上+30℃以下の温度に予熱した後長手方向に3.5〜4.5倍延伸した後20℃〜30℃に急冷する。
例えば、上記のように、フィルムの走行方向に対して、まず幅方向に延伸し、さらに幅方向と長手方向の延伸倍率を同程度にすることで、長手方向の屈折率Nxと幅方向の屈折率Nyの差(Nx−Ny)が0.6以下とすることで任意の方向の易引裂き性を得ることができ、しかも(Nx−Ny)を0.02以上とすることができ、長手方向のフィルムを加工する際にフィルムのシワ、伸び、ゆがみ、印刷ピッチの変動等を防止する事ができる。
次に二軸延伸されたフィルムを200℃から235℃にて熱処理を行う。熱処理の際には弛緩処理を行っても良い。
また、本発明に於いて特に防湿性、酸素バリア性等のバリア性が必要とされる場合に於いては公知の方法にて金属蒸着膜、或いは無機蒸着膜を設けることができる。
本発明で得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、自動包装やスティック包装、或いは蓋材の構成材料として他の基材と組み合わせたり、あるいは単体で用いることができ、印刷工程、ラミネート工程、包装工程条件等に関しては何ら制限されるものではなく、公知の方法が採用できる。
次に実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例および比較例における評価の方法については(a)〜(f)の方法で行った。
(a)屈折率
アッペ屈折率計を用いて測定した
(b〉透明性
JIS−K−7105に準じてヘーズを測定した。
(c)150℃熱収縮率
フィルムの長手方向及び幅方向に、幅20mm、長さ250mmのサンプルを切り出し、200mm間隔で印をつけ、5gの一定張力で間隔Aを測る。続いて、150℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間放置した。オーブンから取り出し室温まで冷却後に、5gの一定張力で間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求めた。測定はフィルムの幅方向を等間隔に5ヶ所からサンプルを切りだし測定し、その平均値をもとめた。
熱収縮率=(A−B)/A×100(%)
(d)手切れ性
官能テストで行ない、上記ラミネートにて得られたサンプルを、ヒートシールにて製袋し、シール部分を手で切断した時の開封性で評価した。尚、袋を両手で持つ際には、3mm程度の間隔を持ち、長手方向、幅方向の両方で行った。
○:爪を立てることなく容易に開封できる
△:爪を立てることで容易に開封できる
×:爪を立てても容易に開封できない
(e)突刺強度
厚生省告示第20号に準拠し測定した。フィルムを固定し、先端が直径1mmの半円形である金属棒の針を速度50mm/分で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した。図1に示すように筒状の治具にフィルムを両面テープにて固定し、
直径1mmφの突刺棒にてフィルムを突き刺す。
(f)製膜性
製膜中の吐出状態、破断状態で判断した。
○:吐出ムラ及び破断なく安定製膜できる。
△:吐出ムラ及び破断が極僅かであり製膜が可能。
×:吐出ムラ或いは破断が多く製膜が困難。
(g)加工性
得られたフィルムにグラビア印刷を行った後、押出ラミネートを行い得られたラミサンプルの印刷ピッチの変動幅を測定した。
尚、印刷は東谷鉄工所社製PAS型3色グラビア印刷機を用い、張力100N/m、加工速度100m/min、乾燥温度70℃にて行った。また、ラミネートはモダンマシナリー社製押出ラミネ一ターを用い、張力85N/m、ACの乾燥温度50℃、加工速度100m/minにて、基材/PE15μm/Al−7μm/PE−25μmとなる構成を得た。評価方法としては、下記のとおりとした。
○:2%未満
△:4%未満
×:4%以上
(実施例1)
結晶性ポリエステル樹脂(A)として、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡績社製ポリエステル:RE553、PES−Aと記す)を用い、ブロック共重合ポリエステル(B)としてテレフタル酸、ブタンジオール、分子量1000のポリテトラメチレングリコールからなる共重合ポリエステル(東洋紡績社製ペルプレンGP900、TPA//BD/PTMG=100//96.6/3.4(mo1%)、PES−Bと記す、PTMGに由来する軟質重合体の比率=12重量%)を用いた。
それぞれの樹脂を120℃にて真空乾燥を行い水分率を50ppm以下とし、ポリエステル樹脂(A)/ブロック共重合ポリエステル樹脂(B)=80重量%/20重量%となるよう調整し、280℃にて押出機より押出し、30℃に調温した冷却ドラムで急冷して未延伸シートを得た。
該未延伸積層シートを横方向に85℃で4.0倍、次いで縦方向に90℃で4.0倍に延伸した後、230℃の温度で熱処理をして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例2)
PES−Bの添加量を10重量%とした以外は実施例1と同じようにして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例3)
ブロック共.重合ポリエステル(B)としてテレフタル酸、ブタンジオール、分子量1000のポリテトラメチレングリコールからなる共重合ポリエステル(東洋紡績社製ペルプレン:GP200、TPA//BI)/PTMG=100//90/10(mol%)、ES−Cと記す、PTMGに由来する軟質重合体の比率=29重量%)を用い、ポリエステル樹脂(A)/ブロック共重合ポリエステル樹脂(B)=90重量%/10重量%とした以外は実施例1と同様にして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例4)
フィルム厚みを9μmとした以外は実施例1と同じようにしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例5)
延伸倍率を横3.5倍、縦3.5倍とした以外は実施例1と同じようにして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例1)
原料としてPES−Aのみを用いた以外は実施例1と同様にして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例2)
PES−Bの添加量を40重量%とした以外は実施例1と同様にして7μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例3)
厚みを11μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例4)
実施例1で得られた未延伸シートを、縦方向に80℃で4.2倍、次いで横方向に4.0倍延伸した後、230℃の温度で熱処理をして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例5)
厚みを4μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例6)
結晶性ポリエステル樹脂(A)として、テレフタル酸とイソフタル酸及びエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートーイソフタレート樹脂(東洋紡績社製ポリエステル:RM130、TPA/IPA//EG=87.5/12.5//100(mol%)、PES−Dと記す)を用い、熱処理温度を200℃とした以外は実施例1と同様にして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例7)
ブロック共重合ポリエステル(B)としてテレフタル酸、ブタンジオール、分子量1000のポリテトラメチレングリコールからなる共重合ポリエステル(東洋紡績社製ペルプレン:GP301、TPA//BD/PTMG=100//85/15(mo1%)、PES−Eと記す、PTMGに由来する軟質重合体の比率=40重量%)を用い、ポリエステル樹脂(A)/ブロック共重合ポリエステル樹脂(B)=92重量%/8重量%とした以外は実施例1と同様にして7μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例8)
延伸倍率を第一段目に横延伸3.0倍、第二段目に縦延伸4.2倍とした以外は実施例1と同様にして厚み7μmのフィルムを得た。当該フィルムは長手方向への引裂き性は優れていたが、幅方向の引裂き性に劣っており、任意方向の易引裂き性が得られなかった。得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1〜5、比較例1〜8で得られたフィルムの評価結果を表1、2、3に示す。
Figure 2010006934
Figure 2010006934
Figure 2010006934
実施例1〜5、比較例1〜8より明らかなように、厚さが5〜9μmである二軸延伸ポリエステルフィルムに於いて、酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mol%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)と、結晶セグメント及び低融点軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル(B)との混合物からなり、フィルム中に含まれるブロック共重合ポリエステル(B)中の軟質重合体が1重量%以上、4重量%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムは優れた易引裂き性と加工性を有する事がわかる。
本願発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの優れた特性である耐熱性、防湿性、透明性、保香性等を極力維持し、フィルムの任意の方向で引き裂き性を有するため、動包装やスティック包装、或いは蓋材の構成材料として用いることができ、産業界に寄与することが大である。
試料測定の模式図である。

Claims (4)

  1. 厚さが5〜9μmであって、酸成分としてテレフタル酸を90mol%以上含有し、グリコール成分としてエチレングリコールを90mo1%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)と、軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル(B)との混合物からなり、フィルム中に含まれるブロック共重合ポリエステル(B)中の軟質重合体が1重量%以上4重量%以下であり、
    前記フィルムのヘイズ値が7%以下であり、長手方向の屈折率Nxと幅方向の屈折率Nyに於いて(Nx−Ny)あるいは(Ny−Nx)が0.02以上0.06以下であり、かつ150℃に於ける熱収縮率が長手方向、幅方向共に5%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1記載のフィルムであって、前記フィルムの(Nx―Ny)が0.02以上、0.06以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. 請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムであって、ブロック共重合ポリエステル(B)に含まれる低融点軟質重合体の割合が3mo1%以上、12mol%以下の範囲であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1記載の二軸延伸ポリエステルフィルムであって、突刺強度が2N以上7N以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
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