JP2010002373A - Vr型レゾルバ - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡素な巻線構造で検出信号に含まれる高調波成分を低減するのに好適なVR型レゾルバを提供する。
【解決手段】極片歯11及び歯21は、これらの歯幅W1と歯幅W2とを同じ幅(W1=W2)に構成する。更に、極片歯11は、その歯幅W1と歯間距離L1とを、W1:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、その深さH1を、歯幅W1と深さH1とが、W1:H1=1:2となる深さに構成する。一方、歯21は、その歯幅W2と歯間距離L2とを、W2:H2=1:2となる幅及び長さに構成し、その深さH2を、歯幅W1と深さH2とが、W1:H2=1:2となる深さに構成する。そして、極片歯11の先端部における円周方向の両端部に大きさR1のR(丸み)を設け、歯21の先端部における円周方向の両端部に大きさR2のRを設ける。
【選択図】 図3

Description

本発明は、固定子に設けられた極片に形成された複数の極片歯と、該極片歯と対向する歯列を有する回転子の各歯との間のリラクタンスの変化に応じて位相の異なる複数のレゾルバ信号を出力するVR型レゾルバに関する。
従来、回転子の回転角度位置や移動子の移動位置を検出する位置検出センサとして、例えば、レゾルバ、エンコーダなどが用いられている。特に、レゾルバは、センサ本体に精密部品、電子部品を使用しないことから、エンコーダなどと比較して耐環境性に優れており、長期間使用されることが多い。
例えば、VR(可変リラクタンス)型のレゾルバは、モータ等のアクチュエータの回転軸に回転自在に取り付けられ、回転子と固定子の間のリラクタンスが回転子の位置により変化し、その変化に応じた電圧のレゾルバ信号を出力する。モータ部にレゾルバを設け、そのレゾルバからの多相出力(例えば、3相)をモータを駆動制御するドライブユニット内に取り込む。ドライブユニットでは、取り込んだ多相出力信号を相変換回路により2相出力(SlN、COS)信号に変換し、このアナログの信号をR/Dコンバータ(RDC)でデジタルの信号に変換し、更に、該変換して得られた角度データを補正データにより補正して、最終的なデジタル位置信号を得て、これに基づきアクチュエータを制御している。
ところで、ロータに巻線を有しないVR型レゾルバの場合、ステータの歯形状とロータの歯形状とによるギャップパーミアンスの変化を利用して位置に応じたレゾルバ信号を検出するため、この歯形状の内容によって、各相のレゾルバ信号に含まれるノイズ成分である高調波成分も大きく変化する。この高調波成分が大きい程、位置検出精度に与える影響は大きくなるので、位置検出精度を向上させるためには、高調波成分による誤差を補正データ等を用いて補正する必要がある。
この問題を解決する技術として、例えば、特許文献1に記載の位置検出装置がある。
この位置検出装置は、励磁巻線と出力巻線とを異なった極数としていずれも固定子鉄心のスロットに納め、励磁巻線の極対数をp1、出力巻線の極対数をp2として、回転子はM個の突極を有する鉄心で巻線を設けない構造において、p1+p2=M、又はp1−p2=±Mとし、励磁巻線を単相とし、出力巻線を2相又は3相とした場合には、回転子の全円周の1/Mの動きを1周期とする正弦波の2相又は3相電圧が出力巻線に誘導されることを利用し、励磁巻線を2相として出力巻線を単相とした場合には、出力巻線に誘導される電圧は、回転子が全円周の1/M動くときに位相が2π変化する正弦波電圧となることを利用して位置を検出する。更に、突極の中央を原点として回転子外周の位置を表す空間角をθ2とするとき、回転子を、回転子形状によるギャップパーミアンス脈動がcos(Mθ2)となるような回転子形状、又はこれに近似した回転子形状に構成している。
特開平6−213614号公報
しかしながら、上記特許文献1の従来技術は、誘導電圧波形に含まれる高調波成分を小さくするための構成として、回転子形状をギャップパーミアンス脈動がcos(Mθ2)となるような回転子形状にすると共に、励磁巻線と出力巻線とをそれぞれ別体に備え、更に、これら2種類の巻線を1つのポールに対して巻き回しており、複雑な巻線構造を有している。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、比較的簡素な巻線構造で検出信号に含まれる高調波成分を低減するのに好適なVR型レゾルバを提供することを目的としている。
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のVR型レゾルバは、先端部に複数の極片歯を有する極片を円周等分に複数有して固定支持されると共に各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルを各相毎に直列に巻回してなる環状の固定子と、この固定子の前記極片歯にギャップをもって対向して円周方向に形成された歯列を有して固定子と同心に配し相対回転自在に支持された環状の回転子とを備えたVR型レゾルバにおいて、前記固定子の各極片歯と前記回転子の各歯との間のギャップパーミアンスの変動による前記各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を比較的低減する大きさのRを、前記固定子の各極片歯の先端部における円周方向の両端部と、前記回転子の歯列における各歯の先端部における円周方向の両端部とに設けた。
このような構成であれば、固定子の極片歯及び回転子の歯の先端部における円周方向の両端に設けられたR(丸み)によって、ギャップパーミアンスの変動を小さくすることができ、固定子の極片歯及び回転子の歯の先端部における円周方向の両端にRを設けない構成と比較して、各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を低減することができる。つまり、歯先の円周方向の両端に適切な大きさのRを設けることで、レゾルバ信号を理想的な波形(SIN波形)の信号に近づけることができる。
これによって、巻線構造を変更することなく、検出信号に対する補正処理を不要にできるので、従来と比較して簡素な構成で、補正処理回路を低減できることによるコストの低減及び回路低減による省スペース化、またはプロセッサにおける演算負荷の軽減などの効果を得ることができる。
また、固定子の極片歯及び回転子の歯の双方の先端部にRを設ける構造としたので、例えば、一方のRの大きさに制限を設けなければいけない場合などに、他方のRの大きさを調整することで、制限のあるRの大きさで一方にのみRを設けた場合と比較して、高調波成分をより低減させることができる構造とすることができる。
〔発明2〕 更に、発明2のVR型レゾルバは、発明1に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子の極片歯の歯幅と前記回転子の歯の歯幅とを同じ幅にした。
このような構成であれば、固定子の極片歯の歯幅と、回転子の歯の歯幅とが異なる場合と比較して、固定子の極片歯と回転子の歯とに対する適切なRの大きさを簡易に設定することができる(例えば、同じ値に設定することができる)。
〔発明3〕 更に、発明3のVR型レゾルバは、発明2に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子の各極片歯の円周方向の歯幅W1と前記各極片において隣り合う前記各極片歯間の距離L1とを、W1:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、前記隣り合う各極片歯間の凹部の深さH1を、W1:H1=1:2となる深さに構成し、前記回転子の歯列における各歯の円周方向の歯幅W2と隣り合う前記各歯間の距離L2とを、W2:L2=1:2となる幅及び長さに構成し、前記隣り合う各歯間の凹部の深さH2を、W2:H2=1:2となる深さに構成した。
このような構成であれば、W1=W2、L1=L2、H1=H2となるので、これらの関係となるサイズで構成しなかった場合と比較して、Rの大きさで位置検出精度に対する誤差をコントロールできるので、固定子の極片歯と回転子の歯とに対する適切なRの大きさをより簡易に設定することができる。
〔発明4〕 更に、発明4のVR型レゾルバは、発明3に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子の極片歯の前記両端部に設けるRの大きさR1と前記W1とを、該R1を前記W1で除算した結果が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにし、前記回転子の歯の前記両端部に設けるRの大きさR2と前記W2とを、該R2を前記W2で除算した結果が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにした。
このような構成であれば、ギャップパーミアンスの変動をより確実に小さくすることができ、各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分をより確実に低減することができる。
上記「13[%]±2[%]」は、本発明者らが実験によって得た知見に基づく数値であり、R1/W1=13[%]、R2/W2=13[%]となるR1、R2、W1、W2とすることで、高調波成分を略ゼロにすることができる。また、13[%]±2[%]の範囲内にすることで、位置検出精度に対する誤差を±20[秒]以内に抑えることができる。
〔発明5〕 更に、発明5のVR型レゾルバは、発明3に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子の極片歯の前記両端部に設けるRの大きさR1及び前記W1と前記回転子の歯の前記両端部に設けるRの大きさR2及び前記W2とを、前記R1を前記W1で除算した結果と前記R2を前記W2で除算した結果との平均が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにした。
このような構成であれば、ギャップパーミアンスの変動をより確実に小さくすることができ、各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分をより確実に低減することができる。
上記「13[%]±2[%]」は、本発明者らが実験によって得た知見に基づく数値であり、R1/W1とR2/W2との平均値が13[%]となるR1、R2、W1、W2とすることで、高調波成分を略「0」にすることができる。また、13[%]±2[%]の範囲内にすることで、位置検出精度に対する誤差を±20[秒]以内に抑えることができる。
〔発明6〕 また、上記目的を達成するために、発明6のVR型レゾルバは、先端部に複数の極片歯を有する極片を円周等分に複数有して固定支持されると共に各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルを各相毎に直列に巻回してなる環状の固定子と、この固定子の前記極片歯に対向して円周方向に形成された歯列を有して固定子と同心に配し相対回転自在に支持された環状の回転子とを備えたVR型レゾルバにおいて、前記固定子の極片歯の円周方向の歯幅と前記回転子の歯の円周方向の歯幅とを同じ幅Wに構成し、前記各極片歯の歯幅Wと前記各極片において隣り合う前記各極片歯間の距離L1とを、W:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、前記回転子の各歯の歯幅Wと隣り合う前記歯間の距離L2とを、W:L2=1:2となる幅及び長さに構成し、前記固定子の各極片歯と前記回転子の各歯との間のギャップパーミアンスの変動による前記各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を比較的低減する大きさのRを、前記固定子の各極片歯の先端部における円周方向の両端部と、前記回転子の歯列における各歯の先端部における円周方向の両端部とのいずれか一方に設けた。
このような構成であれば、固定子の極片歯及び回転子の歯のいずれか一方の先端部における円周方向の両端に設けられたRによって、ギャップパーミアンスの変動を小さくすることができ、固定子の極片歯及び回転子の歯の先端部における円周方向の両端にRを設けない構成と比較して、各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を低減することができる。つまり、固定子の極片歯及び回転子の歯の双方にRを設けずとも、いずれか一方に設けることでギャップパーミアンスの変動を小さくすることができる。
〔発明7〕 更に、発明7のVR型レゾルバは、発明6に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子の極片歯及び前記回転子の歯のいずれか一方の前記両端部に設けるRの大きさを、該Rの大きさを前記固定子の極片歯及び前記回転子の歯のいずれか一方の円周方向の幅Wで除算した結果が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにした。
このような構成であれば、ギャップパーミアンスの変動をより確実に小さくすることができ、各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分をより確実に低減することができる。
上記「13[%]±2[%]」は、本発明者らが実験によって得た知見に基づく数値であり、R1/W1=13[%]又はR2/W2=13[%]となるR1及びW1又はR2及びW2とすることで、高調波成分を略ゼロにすることができる。また、13[%]±2[%]の範囲内にすることで、位置検出精度に対する誤差を±20[秒]以内に抑えることができる。
〔発明8〕 更に、発明8のVR型レゾルバは、発明1乃至7のいずれか1に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子は、前記相数Nとして3、4及び6のいずれか1つの相数のコイルを各相毎に直列に巻き回してなる。
このような構成であれば、3相、4相又は6相のVR型レゾルバに対して、上記発明1乃至7のVR型レゾルバと同等の作用及び効果を得ることができる。
〔発明9〕 更に、発明9のVR型レゾルバは、発明1乃至8のいずれか1に記載のVR型レゾルバにおいて、前記固定子が、前記相数Nが4以上の偶数の相数で構成されているときに、前記各相のコイルから出力されるN相のレゾルバ信号における各2相の組み合わせに対するレゾルバ信号の差動信号を生成する差動信号生成手段を備え、該差動信号生成手段で生成した前記各2組の差動信号に基づき、SIN信号及びCOS信号の2相の信号を生成する。
このような構成であれば、4相以上の偶数相の各2相のコイルの組から出力される各2つのレゾルバ信号の差動信号を生成することができ、該差動信号に基づき、SIN信号及びCOS信号の2相の信号を生成することができる。これにより、レゾルバ信号に含まれる高調波成分の一部(偶数次の高調波成分)を除去することができるので、例えば、固定子及び回転子を製造する抜き金型の磨耗などによってRの大きさが変化した場合などに、高調波成分による位置検出精度への影響を低減することができる。
〔発明10〕 更に、発明10のVR型レゾルバは、発明1乃至8のいずれか1に記載のVR型レゾルバにおいて、先端部に複数の極片歯を有する極片を直線状に等分に複数有して固定支持されると共に各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルを各相毎に直列に巻回してなる直線状の固定子と、この固定子の前記極片歯にギャップをもって対向して形成された歯列を有して固定子と相対移動自在に支持された直線状の可動子とを備えたVR型レゾルバにおいて、前記固定子の各極片歯と前記回転子の各歯との間のギャップパーミアンスの変動による前記各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を比較的低減する大きさのRを、前記固定子の各極片歯の先端部における直線方向の両端部と、前記回転子の歯列における各歯の先端部における直線方向の両端部とに設けた。
このような構成であれば、直線状の固定子及び回転子によって構成される直線状のVR型レゾルバにおいても、上記発明1と同等の作用及び効果が得られる。
以上説明したように、発明1のVR型レゾルバによれば、固定子の有する極片歯の先端部の円周方向の両端部と、回転子の有する歯列における各歯の先端部の円周方向の両端部とに、ギャップパーミアンスによる高調波成分を比較的低減できる大きさのRを設けたので、Rを設けなかった場合と比較して、各相のレゾルバ信号に含まれる高調波成分を低減することができるという効果が得られる。
更に、発明2のVR型レゾルバによれば、発明1の前記効果に加え、固定子の有する極片歯の歯幅と回転子の有する歯の歯幅とを同一又は略同一の幅としたので、歯幅が異なる場合と比較して、適切なRの大きさを簡易に設定することができるという効果が得られる。
更に、発明3のVR型レゾルバによれば、発明2の前記効果に加え、固定子の有する各極片歯の歯幅W1と各極片における極片歯間の距離L1とを、W1:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、回転子の有する歯の歯幅W2(=W1)と歯間距離L2(=L1)とをW2:L2=1:2となる幅及び長さに構成し、極片歯間の凹部の深さH1を、W1:H1=1:2となる深さに構成し、歯間の凹部の深さH2(=H1)を、W2:H2=1:2となる深さに構成したので、ギャップパーミアンスの変動を、歯先の形状(Rの大きさ)のみに依存させることができるので、適切なRの大きさをより簡易に設定することができるという効果が得られる。
更に、発明4のVR型レゾルバによれば、発明3の前記効果に加え、固定子の極片歯の先端部に設けるRの大きさR1とW1とを、R1/W1=13[%]±2[%]の範囲内となる大きさ及び幅とし、回転子の歯の先端部に設けるRの大きさR2とW2とを、R2/W2=13[%]±2[%]の範囲内となる大きさ及び幅としたので、位置検出精度に対する誤差を20[秒]以内に抑えることができるという効果が得られる。
更に、発明5のVR型レゾルバによれば、発明3の前記効果に加え、R1、R2、W1、W2を、R1/W1とR2/W2との平均が13[%]±2[%]の範囲内となる大きさ及び幅としたので、位置検出精度に対する誤差を20[秒]以内に抑えることができるという効果が得られる。
更に、発明6のVR型レゾルバによれば、固定子の有する極片歯の先端部の円周方向の両端部と、回転子の有する歯列における各歯の先端部の円周方向の両端部とのいずれか一方に、ギャップパーミアンスによる高調波成分を比較的低減できる大きさのRを設けたので、Rを設けなかった場合と比較して、各相のレゾルバ信号に含まれる高調波成分を低減することができるという効果が得られる。
更に、発明7のVR型レゾルバによれば、発明6の前記効果に加え、固定子の極片歯の先端部に設けたRの大きさR1とW1とを、R1/W1=13[%]±2[%]となる大きさ及び幅とするか、あるいは、回転子の歯の先端部に設けたRの大きさR2とW2とを、R2/W2=13[%]±2[%]となる大きさ及び幅としたので、位置検出精度に対する誤差を20[秒]以内に抑えることができるという効果が得られる。
更に、発明9のVR型レゾルバによれば、4相以上の偶数相の各2相の組に対する各2つのレゾルバ信号の差動信号を生成し、該生成した差動信号に基づきSIN信号及びCOS信号の2相の信号を生成するようにしたので、レゾルバ信号に含まれる高調波成分の一部を除去することができるので、固定子及び回転子を製造する金型の磨耗などによってRの大きさに変化が生じても、その変化による位置検出精度への影響を低減することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図13は、本発明に係るVR型レゾルバの実施の形態を示す図である。
まず、本発明に係る3相VR型レゾルバの構造を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る3相VR型レゾルバの構造を示す平面図である。
本実施の形態に係るVR型レゾルバは、図1に示すように、環状のレゾルバステータ10の内側に、環状のレゾルバロータ20を組み合わせたインナロータタイプのもので、ステータ10は先端部に複数の極片歯11を有する極片(ポール)12を円周方向に等間隔に複数設けると共に各極片12にコイル13を巻回して固定支持されている。前記ロータ20は、ステータ10の極片歯11に対向して円周方向に極片歯と同じピッチで形成された多数の歯21を有してステータ10同心に配し相対回転自在に支持されている。このレゾルバステータ10の電気的に隣り合う極片12のそれぞれの位相が互いに120[°]となるように、レゾルバステータ10の各極片歯11は、レゾルバロータ20の歯21のピッチの整数倍から1/3ピッチずらされている。
そして、レゾルバステータ10の各極片12に巻かれたコイル巻線13が、電気的に120[°]位相を異ならせた3相交流のA相,B相,C相にそれぞれ接続される。
いま、レゾルバロータ20が図外のモータロータと同期回転すると、レゾルバロータ20の歯21とレゾルバステータ10の極片歯11との間の空隙(エアギャップ)中のリラクタンスがレゾルバロータ20の位置の変化に応じて変化し、その変化に応じた電流がレゾルバステータ10のコイル巻線13に流れる。その電流を変調信号として検出することにより回転角度位置又は回転速度を検出する。レゾルバロータ20がその1歯分回転すると、レゾルバステータ10側では電気角360[°]相当の変調信号が検出される。
例えば、レゾルバロータ20の歯数が150の場合は、その1回転で上記A,B,C相の信号が150サイクル得られる。得られた3相の信号を電気回路で2相変換してCOS信号とSIN信号としたものをRDCなどから構成される演算部に入力して位置信号とし、これをモータにフィードバックすることにより、その回転速度や回転角度(位置)を正確に制御することができる。
図1は、3相のVR型レゾルバの例を示す図であるが、4相の場合は、極片12のそれぞれの位相が互いに90[°]となるように、レゾルバステータ10の各極片歯11は、レゾルバロータ20の歯21のピッチの整数倍から1/4ピッチずらされる。同様に、6相の場合は、位相が60[°]となるように、1/6ピッチずらされる。
ここで、図2(a)は、理想の検出信号(励磁信号は無視)と、高調波成分を示す検出信号とを示す波形図であり、(b)は、(a)の波形における高調波成分のみを示す波形図である。なお、図2(a)及び(b)において、横軸は電気角度、縦軸は信号レベルを示す。
レゾルバによって検出される信号は、理想的には、図2(a)中の実線波形に示すような、理想的なSIN波形となることが望ましい。しかしながら、VR型レゾルバは、歯21と極片歯11との間のエアギャップ中のリラクタンスの変化を信号として検出するため、歯21と極片歯11との形状に応じてエアギャップが変化すると、この変化に伴ってコイル巻線13のギャップパーミアンス(パーミアンス係数)が変化する。このギャップパーミアンスの変化が大きいと、検出信号中に高調波成分が多く含まれるようになるため、検出される信号は、図2(a)中の点線波形に示すように、理想波形からはズレた波形となる。つまり、ギャップパーミアンスの変化によって、理想のSIN信号に、図2(b)に示す高調波成分が含まれるようになる。この検出信号の理想波形からのズレは、そのまま誤差となり位置検出精度を悪化させるため、ギャップパーミアンスの変化はできるだけ小さくすることが望ましい。
一方、ギャップパーミアンスの変化は、エアギャップを挟んで対向する歯21と極片歯11との形状が大きく関与しているため、これらの形状を、ギャップパーミアンスの変化が最小、あるいは検出誤差を無視できる範囲の大きさとなる形状に構成することで、高調波成分を打ち消すあるいは低減させることができる。
ここで、図3(a)は、極片歯11の構成を説明する図であり、(b)は、歯21の構成を説明する図である。また、図4(a)及び(b)は、極片歯11のみ及び歯21のみにRを設けたときの構成を示す側面図である。また、図5(a)は、極片歯11にのみRを設けたときのR1/W1と高調波成分の大きさとの関係を示す図であり、(b)は、歯21にのみRを設けたときのR2/W2と高調波成分の大きさとの関係を示す図である。
検出信号中に含まれる高調波成分を打ち消すあるいは低減させるために、本実施の形態においては、まず、レゾルバステータ10の有する各極片12における極片歯11と、レゾルバロータ20の有する歯21とのサイズを同一にした。更に、極片歯11の先端部の円周方向の両端にRを設けると共に、歯21の先端部の円周方向の両端にRを設けるようにした。
ここで、図3(a)に示すように、極片歯11の歯幅をW1、極片12における各極片歯11間の長さ(以下、歯間距離という)をL1、極片歯11間の凹部の深さをH1とする。またさらに、図3(b)に示すように、歯21の歯幅をW2、各歯21間の長さ(以下、歯間距離という)をL2、歯21間の凹部の深さをH2とする。
本実施の形態では、具体的に、まず、極片歯11及び歯21は、これらの歯幅W1と歯幅W2とを同じ幅(W1=W2)に構成する。更に、極片歯11は、その歯幅W1と歯間距離L1とを、W1:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、その深さH1を、歯幅W1と深さH1とが、W1:H1=1:2となる深さに構成する。
一方、歯21は、その歯幅W2と歯間距離L2とを、W2:L2=1:2となる幅及び長さに構成し、その深さH2を、歯幅W1と深さH2とが、W1:H2=1:2となる深さに構成する。
そして、図3(a)及び(b)に示すように、極片歯11の先端部における円周方向の両端部に大きさR1のR(丸み)を設け、歯21の先端部における円周方向の両端部に大きさR2のRを設ける。
先端部へのRを設ける方法としては、一般に、量産では抜き型を用いて、レゾルバを構成するレゾルバステータやレゾルバロータなどの薄板を生産している。この方法の場合は、予め、検出信号中に含まれる高調波成分を打ち消すあるいは低減させるのに適切な大きさのR1及びR2を事前に決めた上で抜き型を製作する。
ここで、図4(a)に示すように、レゾルバステータ10側の極片歯11の歯先のみに大きさR1のRを設けた場合に、検出信号中の高調波成分と「R1/W1」[%]との関係は、図5(a)に示すようになる。同図(a)においては、歯幅W1を約0.78[mm]として、極片歯11の歯先のRの大きさR1を変えていき、「R1/W1」が8〜20[%]のときの高調波成分を測定した。同図(a)を見ると、13[%](R1≒0.1)を境に、それより小さくなっても大きくなっても高調波成分が大きくなっていっているのが解る。つまり、「R1/W1」が大き過ぎても小さ過ぎても高調波成分をゼロとすることはできない。
一方、図4(b)に示すように、レゾルバロータ20側の歯21の歯先のみに大きさR2のRを設けた場合に、検出信号中の高調波成分と「R2/W2」[%]との関係は、図5(b)に示すようになる。同図(b)においては、歯幅W2を約0.78[mm]として、Rの大きさR2を変えていき、「R2/W2」が8〜20[%]のときの高調波成分を測定した。同図(b)を見ると、13[%](R2≒0.1)を境に、それより小さくなっても大きくなっても高調波成分が大きくなっていっているのが解る。つまり、「R2/W2」が大き過ぎても小さ過ぎても高調波成分をゼロとすることはできない。
以上のことから、「R1/W1」と、「R2/W2」の値、即ちR1とR2の大きさが検出信号中の高調波成分に影響を及ぼすことが解る。このことは、レゾルバにSIN波の励磁信号を供給することと、Rの大きさによって極片歯11と歯21とのギャップパーミアンスが変化することとが要因となっている。つまり、極片歯11及び歯21の歯先のいずれか一方に、「R1/W1=R2/W2」が13[%]となる大きさのRを設けることで、VR型レゾルバを、ギャップパーミアンスの変化が高調波成分を丁度打ち消すようなものに構成することができる。
また、図6に示すように、極片歯11及び歯21の歯先の双方に「R1/W1=R2/W2=RA/WA(RA=R1=R2)」となるRを設ける構成としてもよい。
ここで、図6は、極片歯11及び歯21の歯先の双方にRを設けたときの構成を示す側面図である。また、図7は、極片歯11及び歯21の歯先の双方にRを設けたときのRA/WAと検出誤差との関係を示す図である。
極片歯11及び歯21の歯先の双方にRを設けた場合に、検出信号中の誤差成分と、「RA/WA」との関係は、図7に示すようになる。同図においては、歯幅W1及びW2を約0.78[mm]として、R1及びR2(R1=R2)の大きさを変えていき、「RA/WA」が8〜20[%]のときの高調波成分を測定した。同図を見ると、極片歯11及び歯21の歯先の一方だけにRを設けた場合と同様に、13[%](RA≒0.1)を境に、それより小さくなっても大きくなっても高調波成分が大きくなっていっているのが解る。つまり、「RA/WA」が大き過ぎても小さ過ぎても高調波成分をゼロとすることができない。
従って、「R1/W1」と「R2/W2」とが共に13[%]となるように、極片歯11及び歯21の歯先の双方に大きさR1及びR2(R1=R2≒0.1)のRを設けることで、検出誤差を略ゼロにすることができることが解る。
以下、本実施の形態のVR型レゾルバを、ダイレクトドライブモータ(以下、DDモータという)に適用することを考えて、歯先に設けるRの大きさを設定する。
一般に、DDモータの位置検出精度は、90秒(±45秒)で実用化されている。図6に示すように、RA/WAが13±2[%]の範囲であれば、検出誤差は±20秒以内となり、±45秒の検出誤差に対して十分満足できる位置検出精度が得られるVR型レゾルバを製作することができる。
従って、本実施の形態では、「R1/W1」と「R2/W2」の少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるように、極片歯11及び歯21の歯先の少なくとも一方に大きさR1又はR2のRを設けることとする。
次に、図8〜図13に基づき、極片歯11及び歯21の歯先の少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となる、大きさR1又はR2(双方に設ける場合はR1=R2)のRを設けた場合のN相のレゾルバを、各種レゾルバ制御回路に適用した場合の具体的な作用及び効果を説明する。なお、N相レゾルバは、不図示のDDモータの回転軸に取り付けられていることとする。
ここで、図8、図9及び図10は、3相、4相及び6相のレゾルバに上記構成を適用した場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。また、図11は、3相のABSレゾルバと、3相のINCレゾルバとを組み合わせた構成に上記構成を適用した場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。また、図12は、4相のレゾルバに上記構成を適用すると共に、RDCを用いずに角度を検出する場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。また、図13は、演算部において角度演算処理後の電気角度と角度演算値との関係を示す図である。
まず、A相、B相、C相を有する3相レゾルバの極片歯11及び歯21に対して上記構成を適用したレゾルバ装置を用いた場合のレゾルバ制御回路に対する作用及び効果を説明する。
図8に示すように、レゾルバ制御回路は、発振器40aと増幅器(Amp)40bとから構成される励磁回路40と、A〜Cの各相に対応するA相検出抵抗Ra、B相検出抵抗Rb及びC相検出抵抗Rcから構成される電流/電圧変換回路41と、3/2変換回路42と、演算部43と、移相器44とを含んで構成される。
そして、励磁回路40から、励磁信号sin(ωt)を3相のレゾルバに供給する。一方、DDモータの回転軸が回転することによって、3相レゾルバの対向する極片歯11及び歯21の歯先間のエアギャップにおけるリラクタンスが変化して、3相レゾルバの各相からは回転位置に応じたアナログのレゾルバ信号が出力される。このアナログの3相のレゾルバ信号は、電流/電圧変換回路41において、3相の信号電流から3相の信号電圧へと変換されて、3/2変換回路42へと出力される。3/2変換回路42では、3相のレゾルバ信号を、SIN信号及びCOS信号の2相の信号に変換して演算部43へと出力する。
演算部43は、RDC、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを含んで構成されており、RDCにおいて、3/2変換回路からのアナログの2相の信号(SIN,COS)を、デジタルの角度信号φに変換して、ASICに出力し、ASICにおいて、デジタルの角度信号φからモータの回転角度位置を演算する。この回転角度信号は、モータを制御する上位の制御回路に出力される。
また、移相器44は、発振器40aから出力される励磁信号の位相を遅らせて2相信号のキャリア信号の位相と同期させたRef信号(sin(ωt))を生成するもので、演算部43は、発振器40aの発振角周波数による同期整流後のアナログ速度信号を生成する。この速度信号も上位の制御回路に出力される。
ここで、3相レゾルバの各相の検出信号を、A(θ)、B(θ)、C(θ)とすると、5次までの高調波成分を考慮した各検出信号は、下式(1)〜(3)で表すことができる。

A(θ)=Adc0+Aac1cosθ+Aac2cos2θ+Aac3cos3θ+Aac4cos4θ+Aac5cos5θ
・・・(1)
B(θ)=Bdc0+Bac1cos(θ-120°)+Bac2cos2(θ-120°)+Bac3cos3(θ-120°)+Bac4cos4(θ-120°)+Bac5cos5(θ-120°)
・・・(2)
C(θ)=Cdc0+Cac1cos(θ+120°)+Cac2cos2(θ+120°)+Cac3cos3(θ+120°)+Cac4cos4(θ+120°)+Cac5cos5(θ+120°)
・・・(3)

上式(1)〜(3)において、Adc0、Bdc0、Cdc0は、A相、B相、C相の検出信号に含まれる直流成分であり、Aac1cosθ〜Aac5cos5θ、Bac1cos(θ-120°)〜Bac5cos5(θ-120°)、Cac1cos(θ+120°)〜Cac5cos5(θ+120°)は、A相、B相、C相の検出信号に含まれる1次〜5次の交流成分である。
ここで、説明の便宜上、Adc0〜Cdc0、Aac1〜Cac1、Aac2〜Cac2、Aac3〜Cac3、Aac4〜Cac4、Aac5〜Cac5の値は、同じ次数同士においてそれぞれ等しいこととする。
従って、上式(1)〜(3)に示す、A(θ)、B(θ)、C(θ)を、2相の信号fc(θ)、fs(θ)に変換すると、これらは、下式(4)、(5)で表すことができる。

fc(θ)=3(Aac1cosθ+Aac2cos2θ+Aac4cos4θ)/2 ・・・(4)
fs(θ)=3(Aac1sinθ+Aac2sin2θ+Aac4sin4θ)/2 ・・・(5)

上式(4)及び(5)から、2相に変換された検出信号には、2次と4次の高調波成分が残ることになる。
更に、演算部においては、上式(4)及び(5)から、下式(6)に示すデジタル角度信号φを算出する。

φ=θ+Δθ ・・・(6)

また、上式(6)において、Δθは、下式(7)となる。

Δθ=tan-1[(Aac2-Aac4)/sin3θ/{Aac1+(Aac2+Aac4)cos3θ}]
・・・(7)

上式(7)に示すΔθは、2次と4次の高調波成分が原因の誤差成分となる。この誤差成分は、特に2次の高調波成分が支配的となっている。
本来であれば、この誤差成分を取り除くために補正処理が必要となるが、本実施の形態においては、3相レゾルバのレゾルバステータ10の極片歯11の歯先と、レゾルバロータ20の歯21の歯先との少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたので、絶対精度に対する±20秒以内の誤差を無視すると、上式(7)における、2次以降の高調波による誤差成分を略ゼロにすることができる。その結果、上式(4)及び(5)は、下式(8)及び(9)に近似することができる。

fc(θ)=3(Aac1cosθ)/2 ・・・(8)
fs(θ)=3(Aac1sinθ)/2 ・・・(9)

これにより、上式(7)で示されるΔθを大幅に小さくすることができるので、演算部43において、誤差を補正するためのメモリや回路等を設ける必要がない、または演算部43において誤差の補正演算を行う必要がない。従って、メモリや回路等を設ける必要がないことによるコストの低減、または補正処理演算を省くことができるのでその演算負荷の低減などの効果が得られる。
次に、図9に基づき、A相、B相、C相、D相を有する4相レゾルバの極片歯11及び歯21に対して上記構成を適用したレゾルバ装置を用いた場合のレゾルバ制御回路に対する作用及び効果を説明する。
4相のレゾルバは、先述したように、極片12のそれぞれの位相が互いに90[°]となるように、レゾルバステータ10の各極片歯11を、レゾルバロータ20の歯21のピッチの整数倍から1/4ピッチずらして形成した構成となる。4相のレゾルバは、3相レゾルバに対して、歯のピッチが変更されるだけで新規の構成部が追加される変更とはならないので、3相のレゾルバと各構成部の符号を同じとする。
図9に示すレゾルバ制御回路は、上記図8のレゾルバ制御回路において、3/2変換回路42の変わりに、2つの差動回路45a及び45bが加わった構成となっている。更に、D相が増えたことにより、電流/電圧変換回路41に、D相検出抵抗Rdが加わっている。
従って、励磁回路40から、励磁信号sin(ωt)が4相のレゾルバに供給され、DDモータの回転軸が回転すると、まず、A〜D相の各相から回転位置に応じたアナログのレゾルバ信号が出力される。このアナログの4相のレゾルバ信号は、電流/電圧変換回路41において、4相の信号電流から4相の信号電圧へと変換される。そして、差動回路45aにおいて、B相とD相の信号からこれらの差動信号(SIN信号)を生成し、差動回路45bにおいて、A相とC相の信号から、これらの差動信号(COS信号)を生成する。これらSIN信号及びCOS信号は、演算部43に出力される。
演算部43と移相器44の動作は、上記図8に示すレゾルバ制御回路と同様となるので記載を省略する。
ここで、4相レゾルバの各相の検出信号を、A(θ)、B(θ)、C(θ)、D(θ)とすると、5次までの高調波成分を考慮した各検出信号は、下式(10)〜(13)で表すことができる。

A(θ)=Adc0+Aac1cosθ+Aac2cos2θ+Aac3cos3θ+Aac4cos4θ+Aac5cos5θ
・・・(10)
B(θ)=Bdc0+Bac1cos(θ+90°)+Bac2cos2(θ+90°)+Bac3cos3(θ+90°)+Bac4cos4(θ+90°)+Bac5cos5(θ+90°)
・・・(11)
C(θ)=Cdc0+Cac1cos(θ+180°)+Cac2cos2(θ+180°)+Cac3cos3(θ+180°)+Cac4cos4(θ+180°)+Cac5cos5(θ+180°)
・・・(12)
D(θ)=Ddc0+Dac1cos(θ+270°)+Dac2cos2(θ+270°)+Dac3cos3(θ+270°)+Dac4cos4(θ+270°)+Dac5cos5(θ+270°)
・・・(13)

上式(10)〜(13)において、Adc0、Bdc0、Cdc0、Ddc0は、A相、B相、C相、D相の検出信号に含まれる直流成分であり、Aac1cosθ〜Aac5cos5θ、Bac1cos(θ+90°)〜Bac5cos5(θ+90°)、Cac1cos(θ+180°)〜Cac5cos5(θ+180°)、Dac1cos(θ+270°)〜Dac5cos5(θ+270°)は、A相、B相、C相、D相の検出信号に含まれる1次〜5次の交流成分である。
ここで、説明の便宜上、Adc0〜Ddc0、Aac1〜Dac1、Aac2〜Dac2、Aac3〜Dac3、Aac4〜Dac4、Aac5〜Dac5の値は、同じ次数同士においてそれぞれ等しいこととする。
従って、上式(10)〜(13)に示す、A(θ)、B(θ)、C(θ)、D(θ)から、差動回路45aにおいて、A(θ)とC(θ)の差動信号、差動回路45bにおいて、B(θ)とD(θ)の差動信号を生成すると、この差動信号からなる2相の信号fc(θ)、fs(θ)は、下式(14)及び(15)となる。

fc(θ)=A(θ)-C(θ)=2Aac1cosθ+2Aac3cos3θ+2Aac5cos5θ
・・・(14)
fs(θ)=B(θ)-D(θ)=2Aac1cos(θ-180°)+2Aac3cos3(θ-180°)+2Aac5cos5(θ-180°)
・・・(15)

上式(14)及び(15)から、2相に変換された検出信号には、3次と5次の高調波成分が残ることになる。従って、角度演算された誤差を波形にすると3次が支配的な誤差波形が得られる。
本来であれば、この誤差成分を取り除くために補正処理が必要となるが、本実施の形態においては、4相レゾルバのレゾルバステータ10の極片歯11の歯先と、レゾルバロータ20の歯21の歯先との少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたので、絶対精度に対する±20秒以内の誤差を無視すると、上式(14)、(15)における、3次以降の高調波による誤差成分を略ゼロにすることができる。その結果、上式(14)及び(15)は、下式(16)及び(17)に近似することができる。

fc(θ)=2Aac1cosθ ・・・(16)
fs(θ)=2Aac1cos(θ-180°) ・・・(17)

これにより、誤差の要因となる高調波成分を大幅に小さくすることができるので、演算部43において、誤差を補正するためのメモリや回路等を設ける必要がない、または演算部43において誤差の補正演算を行う必要がない。従って、4相のレゾルバに対しても、メモリや回路等を設ける必要がないことによるコストの低減、または補正処理演算を省くことができるのでその演算負荷の低減などの効果が得られる。
次に、図10に基づき、A相、B相、C相、D相、E相、F相を有する6相レゾルバの極片歯11及び歯21に対して上記構成を適用したレゾルバ装置を用いた場合のレゾルバ制御回路に対する作用及び効果を説明する。
6相のレゾルバは、先述したように、極片12のそれぞれの位相が互いに60[°]となるように、レゾルバステータ10の各極片歯11を、レゾルバロータ20の歯21のピッチの整数倍から1/6ピッチずらして形成した構成となる。6相のレゾルバは、3相レゾルバに対して、歯のピッチが変更されるだけで新規の構成部が追加される変更とはならないので、3相のレゾルバと各構成部の符号を同じとする。
図10に示すレゾルバ制御回路は、上記図9に示すレゾルバ制御回路に、差動回路45cを加えると共に、E相とF相が加わったことにより、電流/電圧変換回路41にE相検出抵抗Reと、F相検出抵抗Rfとが加わった構成となっている。更に、3つの差動回路45a〜45cからの3つの信号を2相の信号に変換するために、3/2変換回路42も加わった構成となっている。
従って、励磁回路40から、励磁信号sin(ωt)が6相のレゾルバに供給され、DDモータの回転軸が回転すると、A相〜F相の各相から回転位置に応じたアナログのレゾルバ信号が出力される。この6相のアナログのレゾルバ信号は、電流/電圧変換回路41において、6相の信号電流から6相の信号電圧へと変換される。そして、差動回路45aにおいて、F相とC相の信号からこれらの差動信号を生成し、差動回路45bにおいて、E相とB相の信号から、これらの差動信号を生成し、差動回路45cにおいて、D相とA相の信号から、これらの差動信号を生成する。これら3つの信号は、3/2変換回路42に出力され、そこでアナログの2相の信号(SIN、COS)に変換されて演算部43へと出力される。
演算部43と移相器44の動作は、上記図8に示すレゾルバ制御回路と同様となるので記載を省略する。
ここで、6相レゾルバの各相の検出信号を、A(θ)、B(θ)、C(θ)、D(θ)、E(θ)、F(θ)とすると、5次までの高調波成分を考慮した各検出信号は、下式(18)〜(23)で表すことができる。

A(θ)=Adc0+Aac1cosθ+Aac2cos2θ+Aac3cos3θ+Aac4cos4θ+Aac5cos5θ
・・・(18)
B(θ)=Bdc0+Bac1cos(θ+60°)+Bac2cos2(θ+60°)+Bac3cos3(θ+60°)+Bac4cos4(θ+60°)+Bac5cos5(θ+60°)
・・・(19)
C(θ)=Cdc0+Cac1cos(θ+120°)+Cac2cos2(θ+120°)+Cac3cos3(θ+120°)+Cac4cos4(θ+120°)+Cac5cos5(θ+120°)
・・・(20)
D(θ)=Ddc0+Dac1cos(θ+180°)+Dac2cos2(θ+180°)+Dac3cos3(θ+180°)+Dac4cos4(θ+180°)+Dac5cos5(θ+180°)
・・・(21)
E(θ)=Edc0+Eac1cos(θ+240°)+Eac2cos2(θ+240°)+Eac3cos3(θ+240°)+Eac4cos4(θ+240°)+Eac5cos5(θ+240°)
・・・(22)
F(θ)=Fdc0+Fac1cos(θ+300°)+Fac2cos2(θ+300°)+Fac3cos3(θ+300°)+Fac4cos4(θ+300°)+Fac5cos5(θ+300°)
・・・(23)

上式(18)〜(23)において、Adc0、Bdc0、Cdc0、Ddc0、Edc0、Fdc0は、A相、B相、C相、D相、E相、F相の検出信号に含まれる直流成分であり、Aac1cosθ〜Aac5cos5θ、Bac1cos(θ+60°)〜Bac5cos5(θ+60°)、Cac1cos(θ+120°)〜Cac5cos5(θ+120°)、Dac1cos(θ+180°)〜Dac5cos5(θ+180°)、Eac1cos(θ+240°)〜Eac5cos5(θ+240°)、Fac1cos(θ+300°)〜Fac5cos5(θ+300°)は、A相、B相、C相、D相、E相、F相の検出信号に含まれる1次〜5次の交流成分である。
ここで、説明の便宜上、Adc0〜Fdc0、Aac1〜Fac1、Aac2〜Fac2、Aac3〜Fac3、Aac4〜Fac4、Aac5〜Fac5の値は、同じ次数同士においてそれぞれ等しいこととする。
従って、上式(18)〜(23)に示す、A(θ)、B(θ)、C(θ)、D(θ)、E(θ)、F(θ)から、差動回路において、A(θ)とD(θ)の差動信号、B(θ)とE(θ)の差動信号、C(θ)とF(θ)の差動信号を生成すると、この差動信号からなる3相の信号da、db、dcは、下式(24)〜(26)となる。

da=A(θ)-D(θ)=2Aac1cosθ+2Aac3cos3θ+2Aac5cos5θ
・・・(24)
db(θ)=B(θ)-E(θ)=2Aac1cos(θ-120°)+2Aac3cos3(θ-120°)+2Aac5cos5(θ-120°)
・・・(25)
dc(θ)=C(θ)-F(θ)=2Aac1cos(θ+120°)+2Aac3cos3(θ+120°)+2Aac5cos5(θ+120°)
・・・(26)

上式(24)〜(26)から、上記差動信号には、3次と5次の高調波成分が残ることが解る。つまり、差動信号を生成することで、偶数次の高調波成分が除去される。
更に、上式(24)〜(26)で表される信号を3/2変換回路42で2相の信号に変換すると、この2相の信号は、下式(27)及び(28)で表すことができる。

fc(θ)=3(Aac1cosθ+Aac5cos5θ)/2 ・・・(27)
fs(θ)=3(Aac1sinθ+Aac5sin5θ)/2 ・・・(28)

従って、角度演算された誤差を波形にすると5次の高調波成分が支配的な誤差波形が得られる。
本来であれば、この誤差成分を取り除くために補正処理が必要となるが、本実施の形態においては、6相レゾルバのレゾルバステータ10の極片歯11の歯先と、レゾルバロータ20の歯21の歯先との少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたので、絶対精度に対する±20秒以内の誤差を無視すると、上式(27)、(28)における、5次以降の高調波による誤差成分を略ゼロにすることができる。その結果、上式(27)及び(28)は、下式(29)及び(30)に近似することができる。

fc(θ)=3(Aac1cosθ)/2 ・・・(29)
fs(θ)=3(Aac1sinθ)/2 ・・・(30)

これにより、誤差の要因となる高調波成分を大幅に小さくすることができるので、演算部43において、誤差を補正するためのメモリや回路等を設ける必要がない、または演算部43において誤差の補正演算を行う必要がない。従って、6相のレゾルバに対しても、メモリや回路等を設ける必要がないことによるコストの低減、または補正処理演算を省くことができるのでその演算負荷の低減などの効果が得られる。
次に、図11に基づき、A相、B相、C相を有する3相のABS(Absolute)レゾルバと、A相、B相、C相を有する3相のINC(Increment)レゾルバとの複合型のレゾルバの極片歯11及び歯21に対して上記構成を適用したレゾルバ装置を用いた場合のレゾルバ制御回路に対する作用及び効果を説明する。
複合型のレゾルバは、3相レゾルバを2つ複合して用いるもので、各3相レゾルバの構成は、上記図8の3相レゾルバと同様となる。よって、3相のレゾルバと各構成部の符号を同じとする。
図11に示すレゾルバ制御回路は、上記図8に示すレゾルバ制御回路に対して、励磁回路40から、2つの3相レゾルバのいずれか一方に選択的に励磁信号を供給するための励磁切替スイッチ48を含んだ構成となっている。更に、2つの3相レゾルバの信号を処理するために、3相のABSレゾルバのA相〜C相検出抵抗Ra〜Rcからなる電流/電圧変換回路を41aと、3相のINCレゾルバのA相〜C相検出抵抗R1〜R3からなる電流/電圧変換回路41bと、ABSレゾルバ用の3/2変換回路42aと、INCレゾルバ用の3/2変換回路42bと、これら2つの3/2変換回路42a及び42bの演算部43への出力をいずれか一方に選択的に切り替えるABS/INC切替スイッチ49とを含んだ構成となっている。
励磁切替スイッチ48及びABS/INC切替スイッチ49は、共に演算部43のASICからの制御信号に基づき切替動作をするようになっている。
従って、ASICからの制御信号によって励磁切替スイッチ48が作動し、励磁回路40の出力端子が3相のABSレゾルバに接続されると、励磁回路40から、まず3相のABSレゾルバに、励磁信号sin(ωt)が供給される。一方、DDモータの回転軸が回転すると、これによりレゾルバロータ20が回転して、3相ABSレゾルバの各相からはアナログのレゾルバ信号が出力される。このアナログの3相のレゾルバ信号は、電流/電圧変換回路41aにおいて、3相の信号電流から3相の信号電圧へと変換されて、3/2変換回路42aへと出力される。3/2変換回路42aにおいて、3相のレゾルバ信号は、SIN信号及びCOS信号の2相のABS信号に変換される。一方、ASICからの制御信号によってABS/INC切替スイッチ49が作動し、3/2変換回路42aの出力端子が、演算部43の入力端子へと接続される。従って、3/2変換回路42aによって変換出力された2相のABS信号(SIN信号及びCOS信号)は、演算部43へと入力される。
また、ASICからの制御信号によって励磁切替スイッチ48が作動し、励磁回路40の出力端子が3相のINCレゾルバに接続されると、励磁回路40から、3相のINCレゾルバに、励磁信号sin(ωt)が供給される。これにより、3相INCレゾルバの各相からはアナログのレゾルバ信号が出力される。このアナログの3相のレゾルバ信号は、電流/電圧変換回路41bにおいて、3相の信号電流から3相の信号電圧へと変換されて、3/2変換回路42bへと出力される。3/2変換回路42bでは、3相のレゾルバ信号を、SIN信号及びCOS信号の2相のINC信号に変換する。一方、ASICからの制御信号によってABS/INC切替スイッチ49が作動し、3/2変換回路42bの出力端子が、演算部43の入力端子へと接続される。従って、3/2変換回路42bによって変換出力された2相のINC信号(SIN信号及びCOS信号)は、演算部43へと入力される。
演算部43は、RDCにおいて、3/2変換回路42aからのABS信号と、3/2変換回路42bからのINC信号とを、デジタルの角度信号φに変換し、ASICにおいて、これらのデジタルの角度信号φから回転角度位置を演算する。そして、この回転角度信号をモータを制御する上位の制御回路に出力する。
移相器44の動作については、上記図8のレゾルバ制御回路のものと同様となるので記載を省略する。
ここで、3相ABSレゾルバ及び3相INCレゾルバの各相の検出信号A(θ)〜C(θ)は、上記図8のレゾルバ制御回路に適用した3相レゾルバと同様となり、いずれも上式(1)〜(3)となる。
従って、本実施の形態においても、各3相レゾルバのレゾルバステータ10の極片歯11の歯先と、レゾルバロータ20の歯21の歯先との少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたので、上記図8のレゾルバ制御回路と同様の作用及び効果を得ることができる。
次に、図12及び図13に基づき、A相、B相、C相、D相を有する4相のレゾルバの極片歯11及び歯21に対して上記構成を適用したレゾルバ装置を用いた場合の、RDCを用いずに角度検出を行う構成のレゾルバ制御回路に対する作用及び効果を説明する。
この4相のレゾルバは、上記図9の4相レゾルバと同様の構成となるので、各構成部の符号を同じとする。
図12に示すレゾルバ制御回路は、上記図9に示すレゾルバ制御回路に対して、差動回路45a及び45bのアナログの各出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路46a及び46bが追加された構成となっている。更に、演算部43は、ASIC等のプロセッサのみでRDCを持たない構成となっている。
この演算部43では、A/D変換回路46a及び46bからのSIN、COSの2つのデジタル値に対して逆正接を返すATAN2関数を用いて、図13に示すように、電気角度0〜360[°]毎に、角度位置情報を、−180〜180[°]に変換する。
図12に示すレゾルバ制御回路は、演算部43においてRDCを用いずに回転角度位置を演算する点が、上記図9に示すレゾルバ制御回路と異なる点であり、その他の構成は同じとなるので、4相レゾルバの各相の検出信号A(θ)〜D(θ)は、上記図9の4相レゾルバを適用したレゾルバ制御回路と同様となり、いずれも上式(10)〜(13)となる。
従って、本実施の形態においても、4相レゾルバのレゾルバステータ10の極片歯11の歯先と、レゾルバロータ20の歯21の歯先との少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたので、上記図9のレゾルバ制御回路と同様の作用及び効果を得ることができる。
以上、本実施の形態のVR型レゾルバは、レゾルバステータ10の極片歯11の歯先と、レゾルバロータ20の歯21の歯先との少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたので、歯先間のエアギャップの変動によるギャップパーミアンスの変動を小さくすることができる。これにより、検出信号に含まれる高調波成分を打ち消すあるいは低減することができるので、位置検出精度に対する誤差を低減することができる。
また、極片歯11及び歯21の歯幅、歯間距離(歯ピッチ)、深さ、Rの大きさを調整することで検出誤差を低減するようにしたので、巻線コイルの構成等はそのままに、簡易に検出誤差を低減することができる。
上記実施の形態において、レゾルバステータ10は、発明1〜4並びに6〜9のいずれか1に記載の固定子に対応し、レゾルバロータ20は、発明1〜4、6、7及び10のいずれか1に記載の回転子に対応し、差動回路45、45a、45bは、発明9に記載の差動信号生成回路に対応する。
なお、上記実施の形態においては、レゾルバステータ10及びレゾルバロータ20の回転型のVR型レゾルバを例に挙げて説明したが、この構成に限らず、レゾルバステータ10及びレゾルバロータ20を直線状にしたリニア型のVR型レゾルバに本発明を適用してもよい。
この構成の場合に、直線状の固定子は、発明10の固定子に対応し、直線状の移動子は、発明10の移動子に対応する。
また、上記実施の形態においては、レゾルバステータ10の極片歯11及びレゾルバロータ20の歯21の少なくとも一方に、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けるようにしたが、この構成に限らず、R1/W1とR2/W2との平均値が13±2[%]の範囲内となるRを設ける構成としてもよい。
これによって、例えば、レゾルバロータ側の歯21の歯先にR2の上限がR2/W2が10[%]以内の制約がある場合でも、歯21の歯先にR2/W2=10[%]となるRを設け、レゾルバステータ10側の極片歯11の歯先にR1/W1=16[%]となるRを設けることで、「{(R1/W1)+(R2/W2)}/2=(10+16)/2=13[%]」となり、R1/W1とR2/W2との少なくとも一方が13±2[%]の範囲内となるRを設けたのと同様に検出誤差を小さくすることができる。
この構成の場合に、レゾルバステータ10は、発明5の固定子に対応し、レゾルバロータ20は、発明5の回転子に対応する。
また、上記実施の形態においては、極片歯11の歯幅W1と歯21の歯幅W2とを同じ幅(W1=W2)で構成し、レゾルバステータ10における歯間距離L1と、レゾルバロータ20の歯間距離L2とを同じ長さ(L1=L2)で構成し、W1:L1=W2:L2=1:2に構成したが、この構成に限らず、歯幅W1とW2との長さを異なる長さに構成してもよい。
例えば、図14(a)に示すように、W1よりもW2を大きく構成してもよい。この場合は、W2を大きくした分、L2が短くなる。
このように、W1とW2とを異ならせた場合に、W2/L2と検出誤差との関係は、図14(b)に示すように、非線形の関係となる。上記実施の形態においては、歯幅W2と歯間距離L2との比を1:2としている。これは、L2の長さに対してW2を1/3の長さ(幅)としていることになる(1/3≒33.33[%])。
これに対して、歯幅W2を広くした場合は、W2:L2=1:2となる33.33[%]を境に、広くすればするほど検出誤差が増加する。これはW2を狭くした場合も同様で、狭くすればするほど検出誤差が増加する。但し、図14(b)においては、極片歯11の歯先のRをR1/W1=13[%]となる大きさに設定し、歯21の歯先のRをR2/W2=13[%]となるように設定している。
また、レゾルバロータ20における、R2/W2と検出誤差との関係は、図14(c)に示すように、13[%]を境に、R2が大きすぎても小さすぎても検出誤差が増加する。
以上の関係から、W2/L2を固定値(例えば、33.33[%])としたときに、検出誤差を打ち消すR2/W2(例えば、13[%])が存在することが解る。
従って、例えば、歯21の歯幅W2を、W2/L2=31[%]となる幅に設定する場合は、図14(b)から、31[%]のときの検出誤差が+16[秒]となっているので、この+16[秒]を歯先のRの大きさによって生じる誤差成分(高周波成分)で打ち消すようにR2の値を設定してやればよいことが解る。
図14(c)から、R2/W2=9[%]で、検出誤差が−16[秒]となっているので、歯21の歯先のRをR2/W2=9[%]となる大きさR2で設けることで+16[秒]の検出誤差を打ち消すことができる。なお、検出誤差を打ち消せればよいので、歯21側ではなく、極片歯11の歯先のRを、R1/W1=9[%]となる大きさR1で設けることでも同様に検出誤差を打ち消すことができる。また、歯21及び極片歯11の双方の歯先にR1/W1=R2/W2=9[%]となる大きさのRを設けても同様の効果が得られる。
また、例えば、歯21の歯幅W2を、W2/L2=35[%]となる幅に設定する場合は、図14(b)から、35[%]のときの検出誤差が−24[秒]となっているので、この−24[秒]を歯先のRの大きさによって生じる誤差成分で打ち消すようにR2の値を設定する。
この場合は、図14(c)から、R2/W2=19[%]で、検出誤差が+24[秒]となっているので、歯21の歯先のRをR2/W2=19[%]となる大きさR2で設けることで−24[秒]の検出誤差を打ち消すことができる。なお、検出誤差を打ち消せればよいので、歯21側ではなく、極片歯11の歯先のRを、R1/W1=19[%]となる大きさR1で設けることでも同様に検出誤差を打ち消すことができる。
なお、レゾルバロータ20の歯21を中心に述べてきたが、極片歯11側の歯幅W1を変更する場合も歯21と同様となる。
本発明に係る3相VR型レゾルバの構造を示す平面図である。 (a)は、理想の検出信号と、高調波成分を示す検出信号とを示す波形図であり、(b)は、(a)の波形における高調波成分のみを示す波形図である。 (a)は、極片歯11の構成を説明する図であり、(b)は、歯21の構成を説明する図である。 (a)及び(b)は、極片歯11のみ及び歯21のみにRを設けたときの構成を示す図である。 (a)は、極片歯11にのみRを設けたときのR1/W1と高調波成分の大きさとの関係を示す図であり、(b)は、歯21にのみRを設けたときのR2/W2と高調波成分の大きさとの関係を示す図である。 極片歯11及び歯21の歯先の双方にRを設けたときの構成を示す側面図である。 極片歯11及び歯21の歯先の双方にRを設けたときのRA/WAと検出誤差との関係を示す図である。 3相レゾルバにR/W=13±2[%]の範囲内となるRを設けた場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。 4相レゾルバにR/W=13±2[%]の範囲内となるRを設けた場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。 6相レゾルバにR/W=13±2[%]の範囲内となるRを設けた場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。 単極の3相レゾルバと、多極の3相のレゾルバとを組み合わせた構成に上記構成を適用した場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。 4相のレゾルバに上記構成を適用すると共に、RDCを用いずに角度を検出する場合のレゾルバ制御回路の一例を示す図である。 演算部において角度演算処理後の電気角度と角度演算値との関係を示す図である。 (a)は、歯幅W1よりもW2を大きく構成した場合の極片歯11と歯21との構成を示す側面図であり、(b)は、歯幅W2と検出誤差との関係を示す図であり、(c)は、R2と検出誤差との関係を示す図である。
符号の説明
10 レゾルバステータ
11 極片歯
12 極片
20 レゾルバロータ
21 歯
40 励磁回路
41,41a,41b 電流/電圧変換回路
42,42a,42b 3/2変換回路
43 演算部
44 移相器
45,45a〜45c 差動回路
46a,46b A/D変換回路

Claims (10)

  1. 先端部に複数の極片歯を有する極片を円周等分に複数有して固定支持されると共に各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルを各相毎に直列に巻回してなる環状の固定子と、この固定子の前記極片歯にギャップをもって対向して円周方向に形成された歯列を有して固定子と同心に配し相対回転自在に支持された環状の回転子とを備えたVR型レゾルバにおいて、
    前記固定子の各極片歯と前記回転子の各歯との間のギャップパーミアンスの変動による前記各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を比較的低減する大きさのRを、前記固定子の各極片歯の先端部における円周方向の両端部と、前記回転子の歯列における各歯の先端部における円周方向の両端部とに設けたことを特徴とするVR型レゾルバ。
  2. 前記固定子の極片歯の歯幅と前記回転子の歯の歯幅とを同じ幅にしたことを特徴とする請求項1に記載のVR型レゾルバ。
  3. 前記固定子の各極片歯の円周方向の歯幅W1と前記各極片において隣り合う前記各極片歯間の距離L1とを、W1:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、前記隣り合う各極片歯間の凹部の深さH1を、W1:H1=1:2となる深さに構成し、前記回転子の歯列における各歯の円周方向の歯幅W2と隣り合う前記各歯間の距離L2とを、W2:L2=1:2となる幅及び長さに構成し、前記隣り合う各歯間の凹部の深さH2を、W2:H2=1:2となる深さに構成したことを特徴とする請求項2に記載のVR型レゾルバ。
  4. 前記固定子の極片歯の前記両端部に設けるRの大きさR1と前記W1とを、該R1を前記W1で除算した結果が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにし、前記回転子の歯の前記両端部に設けるRの大きさR2と前記W2とを、該R2を前記W2で除算した結果が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにしたことを特徴とする請求項3に記載のVR型レゾルバ。
  5. 前記固定子の極片歯の前記両端部に設けるRの大きさR1及び前記W1と前記回転子の歯の前記両端部に設けるRの大きさR2及び前記W2とを、前記R1を前記W1で除算した結果と前記R2を前記W2で除算した結果との平均が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにしたことを特徴とする請求項3に記載のVR型レゾルバ。
  6. 先端部に複数の極片歯を有する極片を円周等分に複数有して固定支持されると共に各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルを各相毎に直列に巻回してなる環状の固定子と、この固定子の前記極片歯に対向して円周方向に形成された歯列を有して固定子と同心に配し相対回転自在に支持された環状の回転子とを備えたVR型レゾルバにおいて、
    前記固定子の極片歯の円周方向の歯幅と前記回転子の歯の円周方向の歯幅とを同じ幅Wに構成し、
    前記各極片歯の歯幅Wと前記各極片において隣り合う前記各極片歯間の距離L1とを、W:L1=1:2となる幅及び長さに構成し、
    前記回転子の各歯の歯幅Wと隣り合う前記歯間の距離L2とを、W:L2=1:2となる幅及び長さに構成し、
    前記固定子の各極片歯と前記回転子の各歯との間のギャップパーミアンスの変動による前記各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を比較的低減する大きさのRを、前記固定子の各極片歯の先端部における円周方向の両端部と、前記回転子の歯列における各歯の先端部における円周方向の両端部とのいずれか一方に設けたことを特徴とするVR型レゾルバ。
  7. 前記固定子の極片歯及び前記回転子の歯のいずれか一方の前記両端部に設けるRの大きさを、該Rの大きさを前記固定子の極片歯及び前記回転子の歯のいずれか一方の円周方向の幅Wで除算した結果が「13[%]±2[%]」の範囲内となる大きさにしたことを特徴とする請求項6に記載のVR型レゾルバ。
  8. 前記固定子は、前記相数Nとして3、4及び6のいずれか1つの相数のコイルを各相毎に直列に巻き回してなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のVR型レゾルバ。
  9. 前記固定子が、前記相数Nが4以上の偶数の相数で構成されているときに、前記各相のコイルから出力されるN相のレゾルバ信号における各2相の組み合わせに対するレゾルバ信号の差動信号を生成する差動信号生成手段を備え、該差動信号生成手段で生成した前記各2組の差動信号に基づき、SIN信号及びCOS信号の2相の信号を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のVR型レゾルバ。
  10. 先端部に複数の極片歯を有する極片を直線状に等分に複数有して固定支持されると共に各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルを各相毎に直列に巻回してなる直線状の固定子と、この固定子の前記極片歯にギャップをもって対向して形成された歯列を有して固定子と相対移動自在に支持された直線状の可動子とを備えたVR型レゾルバにおいて、
    前記固定子の各極片歯と前記回転子の各歯との間のギャップパーミアンスの変動による前記各相のコイルから出力されるレゾルバ信号に含まれる高調波成分を比較的低減する大きさのRを、前記固定子の各極片歯の先端部における直線方向の両端部と、前記回転子の歯列における各歯の先端部における直線方向の両端部とに設けたことを特徴とするVR型レゾルバ。
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