JP4147469B2 - シンクロレゾルバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシンクロレゾルバの巻線のバラツキを補正し、製品間の互換性を確保するための改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平7−44813号(特許文献1)に示すように、サーボモータシステムの角度位置検出器として、シンクロレゾルバが用いられている。シンクロレゾルバは、ロータ鉄心がステータ鉄心に対して相対的に角度変位することにより、両者の空隙中のリラクタンスが変化することを利用してその回転角度位置を検出するものであり、シンクロレゾルバステータには120°の電気角の位相差をもつA相、B相、及びC相の検出信号用の巻線が巻回されている。各相の巻線の巻数、インダクタンス、抵抗値等にバラツキがあると、3相の信号に不平衡が生じ、真値に対して誤差を生じるため、位置検出器としての精度が低下する。かかる問題点を解決するため、従来では、特開2000−262081(特許文献2)に開示されているように、レゾルバ装置の各相のバラツキを補正するための補正データをドライブユニット内に予め記憶しておき、レゾルバ装置からの多相出力信号を相変換回路で2相出力信号に変換し、R/Dコンバータと上記補正データによりデジタル位置信号を得る等することで、モータ部とドライブユニットとの互換性を保つように構成していた。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−44813号公報
【特許文献2】
特開2000−262081号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特許文献2に開示されている技術では、最低限、モータ部に補正データを予め記憶しておき、システム起動時にドライブユニット側のメモリに当該補正データをロードする必要があるため、モータ部には補正データ記憶用のROMを実装する必要があり、ドライブユニットには補正データ読み込み用のメモリの実装が必要となる。つまり、ダイレクトドライブモータシステムの部品点数が増大し、コストが高くなる。さらに、同文献には、モータ部に補正データに加えて相変換回路とR/Dコンバータをも実装することで、補正データを加味した位置検出信号をドライブユニットに出力する構成も開示されているが、モータ部の構成がさらに複雑になる。また、何れの場合も個々のモータ毎のレゾルバの形状のわずかな誤差の相違による影響や、ステータコイルの巻数の相違などに起因するバラツキを補正するには必ずしも十分ではなかった。
【0004】
そこで、本発明はより高精度な絶対精度を確保しつつ、簡易な構成で製品間の互換性を実現するためのシンクロレゾルバを提案することを課題とする。また、本発明は簡易な方法で精度よく巻線の位置調整を可能とする方法を提案することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するべく、本発明のシンクロレゾルバは、環状ステータ基部の円周方向にわたって等間隔に配されたステータポールを備えるステータと、前記ステータに対して相対的に角度変位し、前記ステータとの間隙中のリラクタンス成分を変化せしめるロータとを備えたシンクロレゾルバにおいて、前記ステータポールに巻回される各相の巻線位置を調整するための位置調整手段を備えたことを特徴とする。かかる構成により、高精度な絶対精度を確保しつつ、製品間の互換性を実現することができる。
【0006】
好ましくは、前記位置調整手段は、ステータポールに挿嵌可能な形状を成すコイルボビンである。コイルボビンを用いることにより、巻線の取り付け位置を高精度に調整することができる。
【0007】
好ましくは、前記コイルボビンは、取り付け位置の緩み防止機構を備えている。取り付け位置の緩み防止機構として、例えば、ボビン中空内部に凸設された突起部等が好適である。
【0008】
本発明の位置調整方法では、前記巻線から出力されるレゾルバ信号を変換して得られる2相信号をオシロスコープに入力して得られるリサージュ図形が略真円となるように前記位置調整手段の位置調整を行う。2相信号を利用することで、巻線位置の調整を容易に行える。
【0009】
本発明の位置調整方法では、前記巻線から出力されるレゾルバ信号を変換して得られる速度信号が略一直線となるように前記位置調整手段の位置調整を行う。速度信号を利用することで、巻線位置の調整を容易に行える。
【0010】
本発明の位置調整方法では、前記巻線から出力されるレゾルバ信号を変換して得られるデジタル位置信号と、前記シンクロレゾルバの角度位置の基準を示す位置検出器が出力する位置信号(基準信号)との偏差が所定値以下となるように前記位置調整手段の位置調整を行う。レゾルバが出力するデジタル位置信号と位置検出器が出力する基準信号とを比較することで、巻線位置の調整を容易に行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、各図を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
図1は本実施形態のダイレクトドライブモータシステムの構成図である。同図に示すように、同システムは、主に、回転軸11を回転駆動するためのダイレクトドライブモータ10と、ダイレクトドライブモータ10の駆動制御を行うドライブユニット20と、モータの角度位置を検出するレゾルバ(絶対位置検出用レゾルバ、及び相対位置検出用レゾルバ)へ励磁信号を供給するとともに当該レゾルバから出力される多相レゾルバ信号を伝達するレゾルバ用信号ケーブル41と、モータ駆動電力を供給するモータケーブル42から構成される。
【0013】
ドライブユニット20は、多相レゾルバ信号を2相信号(SIN信号,COS信号)に変換し、さらに励磁信号の周波数による同期整流等を施した上で、補正ROM22に内蔵されている補正データを取り込んで補正後の信号をR/D変換し、デジタル位置信号をコントローラ30へ出力するコントローラ回路21と、コントローラ30からのフィードバック制御により、ダイレクトドライブモータ10の回転角度位置を正確に制御するため、モータケーブル42を介してモータ端子32へ励磁電流を供給するためのパワーアンプ回路23とを備えている。
【0014】
尚、補正ROM22には個々のモータによる各相のバランスのずれに起因する誤差を修正するための補正データが記憶されているのではなく、レゾルバの種類によって定まる誤差を修正するための補正データが記憶されている。
【0015】
図2はダイレクトドライブモータ10の断面図である。同図に示すように、ダイレクトドライブモータ10には中空筒型のハウジング12内に収容された回転軸11がクロスローラ軸受19を介して回転自在に軸支されている。クロスローラ軸受19は、ハウジング12に固設された内輪18と、回転軸11の下端部内周面に固設された外輪16と、両者の間を転動する転動体17から構成されている。内輪18の外周面には互いに直交する第1傾斜軌道面と第2傾斜軌道面とから成る断面が直角二等辺三角形状の外方軌道凹溝が形成され、外輪16の内周面には互いに直交する第3傾斜軌道面と第4軌道面とから成る断面が直角二等辺三角形状の内方軌道凹溝が形成されている。転動体17は、第1傾斜軌道面と第4傾斜軌道面にそれぞれ転接する複数の第1の転動体17と、隣り合う第1の転動体17の間に位置して第2傾斜軌道面と第3傾斜軌道面に転接する第2の転動体17から成る。
【0016】
回転軸11の下端部外周面には珪素鋼板を積層し、半径方向外側に向かって突出する複数の極歯を有する環状のモータロータ15が嵌着固定されており、これと対向するハウジング12内周面には珪素鋼板を積層し、半径方向内側に向かって突出する複数の磁極を備えるモータステータ13が配置されている。当該磁極は略T字状の形状を成し、モータケーブル42を介してパワーアンプ回路23から供給される励磁電流により回転磁界を発生するためのステータコイル14が巻回されるとともに、モータロータ15の極歯と所定の間隙をおいて対峙する位置に多数の磁極歯が形成されている。
【0017】
回転軸11には回転軸11の絶対角度位置を検出するためのレゾルバ50と、相対角度位置を検出するためのレゾルバ60が設けられている。レゾルバ50は回転軸11の内周面に固接された環状の成層鉄心からなるレゾルバロータ54と、ハウジング12に固設されレゾルバロータ54と対峙する環状の成層鉄心からなるレゾルバステータ51と、レゾルバステータ51のステータポールに巻回された巻線(ステータコイル)81から構成される単極レゾルバである。レゾルバ60は回転軸11の内周面に固接された環状の成層鉄心からなるレゾルバロータ64と、ハウジング12に固設されレゾルバロータ64と対峙する環状の成層鉄心からなるレゾルバステータ61と、レゾルバステータ61のステータポールに巻回された巻線(ステータコイル)82から構成される多極レゾルバである。
【0018】
図3は絶対位置検出用レゾルバ50の断面図である。同図に示すように、レゾルバ50は3相バリアブルリラクタンス型レゾルバであり、レゾルバステータ51とレゾルバロータ54との間隙のリラクタンスがレゾルバロータ54の回転角度位置により変化し、レゾルバロータ54の1回転でリラクタンス変化の基本波成分が1周期となる構造を備えている。つまり、レゾルバステータ51の外径中心、内径中心、及びレゾルバロータ54の外径中心はダイレクトドライブモータの回転中心O1と一致するが、レゾルバロータ54の内径中心O2は回転中心O1に対してΔxだけわずかに偏心するように、レゾルバロータ54の径方向の肉厚を連続的に変化させている。
【0019】
レゾルバステータ51には、120°間隔でA相、B相及びC相を構成する各々6つ(計18個)のステータポール52が環状の成層鉄心からなるステータ基部51aの円周方向にわたって等間隔に配置されている。ステータポール52は角柱状の形状をなし、ステータ基部51aに対して直立している。また、その断面形状は長手方向に一様であり、巻線81が型巻きされているコイルボビン70が挿着自在となるよう加工されている。ステータポール52の先端にはコイルボビン70の脱落防止用のつば53が溶接等の接合手段で接合されており、つば53の下端部に凸設された凸部53aと、ステータポール52の先端に凹設された凹部52aが嵌合している。つば53をステータポール52に接合する方法としては、溶接に限らず、例えば、かしめ等でもよく、導電性を損なわないものであれば、接着剤による接着等でもよい。上記の構成において、巻線81の共通線に励磁信号を印加し、レゾルバロータ54を1回転させると、A相、B相及びC相の各巻線81からは1サイクル毎に120°位相がずれた多相レゾルバ信号が各々出力される。
【0020】
図5はコイルボビン70を装着したステータポール52の拡大図である。同図に示すように、コイルボビン70は巻線81を巻回するための巻枠部70bと、巻枠部70bの上下外周から外方延出形成された2つの鍔部70aからなり、巻枠部70bには巻線81が均一に巻回されている。コイルボビン70の材質として、適度な弾力性のある非磁性体であれば、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂であれば、射出成形が容易である。ステータポール52はステータ基部51aの外周面に対して垂直に凸設された角柱体であり、湾曲のない直立形状をなしている。巻線81が予め型巻きされたコイルボビン70をステータポール52に挿着し、巻線81に所定の交流信号を印加した状態で、SIN信号とCOS信号の2相に変換された信号、同期整流後の信号、又は速度信号等をオシロスコープで観察し、各相のレゾルバ信号のバランスがとれるようにコイルボビン70の取り付け位置を調整することにより、巻線81の取り付け誤差等に起因するバランスの不整合を解消することができる。各相について、少なくともコイルボビン70を1ヶ所ずつ位置調整すれば、全体的にバランスが良くなることが本発明者の実験により確認できている。コイルボビン70の装着位置の調整手順については後述する。
【0021】
ステータポール52は長手方向(高さ方向)にわたって断面形状が略一定の形状をなしているため、コイルボビン70を挿着した後でも上下方向に微調整が可能である。各相のバランスの整合性がとれた状態で、接着剤によりコイルボビン70をステータポール52に固着すれば、製品間でばらつきのない、つまり、互換性のあるシンクロレゾルバを得ることができる。従来のように型巻きされた空芯コイルをステータポール52に挿入、固定する場合や巻線をステータポール52に直巻きする場合では巻線とステータポール52との間に微小な間隙を生じ、巻線の取り付け精度を高めることが困難であるが、樹脂成型されたコイルボビン70を用いれば、弾力性のある樹脂を介して巻線81がステータポール52に巻回されるため、適度な圧着力により、かかる間隙の発生を抑止し、高精度な位置決めを可能にできる。
【0022】
図6はコイルボビン70の断面図である。コイルボビン70にはステータポール52を挿嵌するための中空部が長手方向に沿って形成されており、緩み防止用の突起部70cが中空内部に向けて凸設されている。突起部70cの先端は断面半円形となっており、適度な圧着力でステータポール52に当接し、コイルボビン70の上下方向の位置ずれを防止している。図7はコイルボビン70の透視図であり、突起部70cがコイルボビン70の長手方向に沿って内筒に凸設されている状態を示している。突起部70cの形状は同図に示した形状に限らず、例えば、断面V字状若しくはU字状の凸部又は凹部でもよい。
【0023】
尚、コイルボビン70の材質は樹脂に限らず、非磁性体で弾性に富み、適度な圧着力のある素材であれば、プラスチック等の他の素材でもよい。また、つば53は必ずしも必須ではなく、コイルボビン70をステータポール52に対して確実に固着できる場合には不要である。また、ステータポール52につば53を取り付ける場合には、上記のようにステータポール52とつば53を別体とした構成とする他、例えば、つば付きのステータポールの下端部に凹部(若しくは凸部)を設け、ステータ基部51aにこれに嵌合する凸部(若しくは凹部)を設け、両者を嵌合した状態で接着剤等の適宜の方法を用いて接合してもよい。また、コイルボビン70を縦に分割しておき、ステータポール52を両者の間に挿嵌した状態で、両者を挟着し、巻線81を直巻きするように構成してもよい。
【0024】
また、上記の説明ではコイルボビン70に突起部20cを設ける構成を例示したが、コイルボビン70の樹脂の弾力性により緩みを防止できれば、突起部20cを省略してもよい。また、位置調整のしやすさ、取り付け精度の向上、巻線の損傷防止のためにはコイルボビン70を介するのが好ましいが、絶縁材等を介して巻線をステータポール52に直接巻回する場合や、絶縁材を介して型巻きコイルを挿入する場合にも、本発明を適用することができる。
【0025】
図4は相対位置検出用レゾルバ60の断面図である。同図に示すように、レゾルバステータ61の内径中心Oはレゾルバロータ64の内径中心Oと一致しており、レゾルバステータ61とレゾルバロータ64との間隙のリラクタンスがレゾルバロータ64の回転角度位置により変化し、レゾルバロータ64の1回転でリラクタンス変化の基本波成分が複数周期となる構造を備えている。レゾルバステータ61の外周面にはA相、B相及びC相が120°の電気角でずれるようにステータポール62が交互して等間隔に、この例では計18個配置されている。ステータポール62はステータ基部61aの外周面に対して垂直に凸設された角柱体であり、くびれのないストレート形状をなしている点は上述したステータポール52の構成と同様である。各々のステータポール62には巻線82が巻回されたコイルボビン70が装着固定されており、その上端部にはコイルボビン70の脱落防止用のつば63が溶接等の接合手段で接合されている。ステータポール62に装着されるコイルボビン70の具体的構成は上述した通りであり、ステータポール62上での巻線82の位置を微調整できるように構成されている。
【0026】
尚、ステータポール62の数は相数(この例では3)の倍数であればよく、18個に限定されるものではない。また、この例では、レゾルバロータ64の内周面には所定のピッチで形成された突極状の極歯が24個形成されているが、この極歯の数はモータロータ15の歯数の整数分の1に設定されていればよく、24に限定されるものではない。また、上記極歯をさらに電気的に細分割することにより、相対位置検出用レゾルバ60の分解能をさらに向上させることもできる。巻線82の共通線に励磁信号が供給されると、レゾルバロータ64が1回転する間に各相毎に24サイクルの交流信号が多極レゾルバ信号として出力される。
【0027】
図8はレゾルバ信号の伝達経路を中心とする電気系統の概略構成図である。ここでは、説明の便宜上、絶対位置検出用レゾルバの電気系統を示すが、相対位置検出用レゾルバの電気系統も同様の構成となっている。レゾルバ用信号ケーブル41には、A相、B相及びC相を構成する各巻線81に励磁信号を伝達するための励磁信号線(共通線)COMと、A相のレゾルバ信号φAを伝達するための検出信号線41aと、B相のレゾルバ信号φBを伝達するための検出信号線41bと、C相のレゾルバ信号φCを伝達するための検出信号線41cとが各々螺旋状に配線されている。ドライブユニット20に内蔵されているコントローラ回路21は、励磁信号線COMに励磁信号を供給するための励磁信号源21aと、各相のレゾルバ信号を検出するためのセンス抵抗R1,R2,R3を含んで構成されている。
【0028】
図9はA相のレゾルバ信号波形図である。励磁信号源21aの発信角周波数をωとし、高次成分を無視すると、各相のレゾルバ信号は下記の(1)式〜(3)式に示す通りとなる。ここでは、説明の便宜上、A相を基準としてB相及びC相の位相がそれぞれ120度遅れる場合を例示する。同図において、λは絶対位置検出用のレゾルバロータ54が一回転するときに検出される一周期分のレゾルバ信号である。相対位置検出用のレゾルバロータ64が一歯分回転するときも同様の波形パターンとなる。コントローラ回路21はこれら3相のレゾルバ信号を2相信号(SIN信号,COS信号)に変換する。2相変換後のSIN信号及びCOS信号を下記の(4)式〜(5)式に示す。(5)式において、sqr(x)は引数xの平方根を返す関数とする。これらの2相信号をR/D変換することで、デジタル位置信号が得られる。2相信号をR/D変換する際に、レゾルバの形式、仕様等に応じて固有の高次成分誤差を補正するための補正データを加味すると、デジタル位置信号の精度向上に好適である。
φA=(A1+A2SINθ)・SINωt …(1)
φB={B1+B2SIN(θ−2π/3)}・SINωt …(2)
φC={C1+C2SIN(θ−4π/3)}・SINωt …(3)
SIN信号=φA−(φB+φC)/2 …(4)
COS信号=sqr(3/4)・(φB−φC) …(5)
巻線81の巻数の相違やレゾルバの形状の微小な誤差のバラツキにより、(1)式〜(3)式の包絡線の直流成分(A1,B1,C1)にバラツキが生じる。直流成分(A1,B1,C1)のバラツキは上述した補正ROM22を用いた補正では不十分であるが、巻線81が巻回されているコイルボビン70のステータポール52上での装着位置を微調整することで、直流成分(A1,B1,C1)のバラツキを効果的に改善できることが本発明者の実験により明らかとなった。以下に絶対位置検出用レゾルバ50におけるコイルボビン70の装着位置を調整するための具体的な手法について説明するが、相対位置検出用レゾルバ60についても同様にステータポール62上でのコイルボビン70の装着位置を微調整することで、相対位置検出用レゾルバ60から出力されるレゾルバ信号の包絡線の直流成分のバラツキを補正できる。そのためには、ハウジング12及び回転軸11に絶対位置検出用レゾルバ50を組み込んだ状態でレゾルバロータ54を手動、或いはモータにより回転させ、「所定の信号」を観察しながら手動でコイルボビン70の装着位置を微調整する。「所定の信号」として、上述の2相信号、当該2相信号が入力されるR/D変換のための回路に含まれる同期整流部での発振角周波数ωによる同期整流処理後の速度信号、R/D変換後のデジタル位置信号などが好適である。
【0029】
第1の調整手法として、2相信号を観察しながらコイルボビン70の位置調整を行うには、上述のSIN信号及びCOS信号をオシロスコープに取り込み、X=COS信号,Y=SIN信号として、リサージュ図形を観察しながら観察波形が略円形となるように、コイルボビン70の装着位置を微調整する。図10は直流成分(A1,B1,C1)のバランスがとれた状態で観察されるリサージュ図形である。同図において、リサージュ図形が真円とならないのは、レゾルバ固有の高次成分の影響があるためである。直流成分(A1,B1,C1)のバランスがとれた状態では2つの略円形状の包絡線が略同心円となるように表示される。これに対し、直流成分(A1,B1,C1)にバラツキが生じると、リサージュ図形が変形する。リサージュ図形の変形は各々の直流成分のバラツキに固有の特徴的な変化となって現れる。
【0030】
例えば、A1のみがB1及びC1と比較してバラツキがあるとき、つまり、A1:B1:C1=k:1:1(k≠1)のときは、包絡線のずれがX軸方向に拡大(k>1)又は縮小(0<k<1)する。同様に、B1のみがC1及びA1と比較してバラツキがあるとき、つまり、A1:B1:C1=1:n:1(n≠1)のときは、包絡線のずれがX軸に対して120度の方向に拡大(n>1)又は縮小(0<n<1)する。また、C1のみがA1及びB1と比較してバラツキがあるとき、つまり、A1:B1:C1=1:1:m(m≠1)のときは、包絡線のずれがX軸に対して240度の方向に拡大(m>1)又は縮小(0<m<1)することが本発明者の実験で確認されている。図11は、A1のみがB1及びC1と比較して1%のバラツキがあるとき、つまり、A1:B1:C1=101:100:100のときのリサージュ図形である。このように、包絡線のずれの方向とずれの大きさを観察することにより、どのコイルボビン70をどの程度に位置調整すればよいか簡単に判断できる。
【0031】
第2の調整手法として、速度信号の大きさの変動(いわゆる速度脈動)を観察しながらコイルボビン70の位置調整を行うには、速度信号の脈動が略一直線状(すなわち、ほぼ速度脈動がない状態)となるように調整する。図12は、直流成分(A1,B1,C1)のバランスがとれた状態で観察される速度信号の波形である。同図において、横軸は絶対位置検出用のレゾルバロータ54の回転角度を示し、縦軸は信号レベル(速度脈動の大きさ)を示している。レゾルバロータ54が一回転すると、相数分(ここでは、3相レゾルバのため、3周期分)の速度信号が観察される。相対位置検出用のレゾルバロータ64が一歯分だけ回転した場合も、同様の波形パターンとなる。レゾルバ固有の高次成分の影響があるため、速度信号は一直線とはならず、略正弦波状にわずかに屈曲する。これに対し、直流成分(A1,B1,C1)にバラツキが生じると、速度信号の波形が変形する。速度信号波形の変形は各々の直流成分のバラツキに固有の特徴的な変化となって現れ、相数分の周期波形とはならない。図13は、A1のみがB1及びC1と比較して1%のバラツキがあるとき、つまり、A1:B1:C1=101:100:100のときの速度信号の波形図である。同図に示すように、回転角が90度のときと270度のときの速度信号のレベルが大きく変化している。このように、速度信号が変形するレゾルバロータ54の回転角度とその大きさを観察することで、どのコイルボビン70をどの程度に位置調整すればよいか簡単に判断できる。もとより、本調整手法において、速度信号をA/D変換して得られるデジタル信号を基にコイルボビン70の位置調整を行ってもよい。
【0032】
第3の調整手法として、R/D変換後のデジタル位置信号を観察しながらコイルボビン70の位置調整を行うには、角度位置検出の基準となる位置検出器(例えば、高分解能のロータリエンコーダ)を組み立て完成後のダイレクトドライブモータ10に連結し、位置検出器の出力信号(基準信号)と絶対位置検出用レゾルバ50から得られるデジタル位置信号を比較する。具体的には、基準となる位置検出器の角度位置を横軸に設定し、偏差を縦軸に設定してデジタル位置信号と基準信号の偏差をみると、バランスがとれた状態では常に縦軸の値は0となるのに対し、直流成分(A1,B1,C1)にバラツキがあると、上述の第2の調整手法と同様の波形パターンの変化を観察できるため、レゾルバロータ54を回転させながら両者の偏差が小さくなるようにコイルボビン70の位置調整を行う。
【0033】
尚、上述の調整手法と併用して、図8に示すように、各相の巻線81に可変抵抗RX,RY,RZを追加し、これらの抵抗値を微調整することで、レゾルバ信号の包絡線の直流成分(A1,B1,C1)のバランス調整をすることも可能である。可変抵抗RX,RY,RZを追加するだけで精度よく直流成分(A1,B1,C1)のバランス調整が可能となるため、バランス調整の自由度が向上する。さらに、コイルボビン70の装着位置が経時的に微小変化した場合でも、ダイレクトドライブモータ10を分解等することなく、直流成分(A1,B1,C1)を簡便に再調整できる。
【0034】
但し、本発明は上述の構成に限られるものではなく、例えば、絶対位置検出用レゾルバ50及び相対位置検出用レゾルバ60のステータポール数は任意である。また、ステータポール52,62はステータ基部51a,61aに対して外歯となる構成を例示したが、内歯となる構成であってもよい。レゾルバ信号の相数についても、3相レゾルバに限らず、例えば、2相レゾルバ、4相レゾルバ、6相(差動)レゾルバなどを用いることができる。6相レゾルバでは、上述の(1)式〜(3)式のレゾルバ信号に対して−180度電気角が遅れた相信号が存在し、差動アンプを通して3相信号に変換される。また、レゾルバ信号を相変換回路、R/D変換回路により処理し、デジタル位置信号を得る代わりにレゾルバ信号をA/D変換し、これらの回路と同等の処理を演算装置を用いてソフトウエアにより行うようにしてもよい。その場合、上述の第1の調整手法又は第2の調整手法を適用する場合には、途中で得られるSIN信号、COS信号、速度信号に相当する演算結果をD/A変換して得られる信号を用いればよい。
【0035】
本実施形態によれば、複雑な構成を付加することなく、より高精度な絶対精度を確保した上で、製品の互換性を確保することが可能となる。また、メカ部であるシンクロレゾルバと、電気回路制御部である演算回路部とを個別に生産、管理することができるため、各々の製造工程においてシンクロレゾルバのバラツキ補正工程を不要とし、最終製品の製造工程まで独立に生産することが可能となる。また、本実施形態のシンクロレゾルバは互換性があるため、メンテナンス、修理等の保全においても有利である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、高精度な絶対精度を確保しつつ、製品間の互換性を実現するためのシンクロレゾルバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイレクトドライブモータシステムの構成図である。
【図2】ダイレクトドライブモータの断面構造図である。
【図3】絶対位置検出用レゾルバの断面構造図である。
【図4】相対位置検出用レゾルバの断面構造図である。
【図5】コイルボビンの説明図である。
【図6】コイルボビンの断面図である。
【図7】コイルボビンの透視図である。
【図8】レゾルバ信号の伝達経路を中心とする電気系統の概略構成図である。
【図9】A相レゾルバ信号の波形図である。
【図10】オシロスコープで観察されるリサージュ図形である。
【図11】オシロスコープで観察されるリサージュ図形である。
【図12】速度信号の波形図である。
【図13】速度信号の波形図である。
【符号の説明】
50…絶対位置検出用レゾルバ
60…相対位置検出用レゾルバ
51,61…レゾルバステータ
51a,61a…ステータ基部
52,62…ステータポール
54,64…レゾルバロータ
70…コイルボビン

Claims (5)

  1. 環状ステータ基部の円周方向にわたって等間隔に配されたステータポールを備えるステータと、前記ステータに対して相対的に角度変位し、前記ステータとの間隙中のリラクタンス成分を変化せしめるロータとを備えたシンクロレゾルバにおいて、
    前記ステータポールに巻回される各相の巻線の位置を調整するための位置調整手段を備え、前記位置調整手段は、前記ステータポールに挿嵌可能な形状を成すコイルボビンである、シンクロレゾルバ。
  2. 前記コイルボビンは、取り付け位置の緩み防止機構を備えている、請求項1に記載のシンクロレゾルバ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の位置調整手段の位置調整方法であって、
    前記巻線から出力されるレゾルバ信号を変換して得られる2相信号をオシロスコープに入力して得られるリサージュ図形が略真円となるように前記位置調整手段の位置調整を行う、位置調整方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の位置調整手段の位置調整方法であって、
    前記巻線から出力されるレゾルバ信号を変換して得られる速度信号が略一直線となるように前記位置調整手段の位置調整を行う、位置調整方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の位置調整手段の位置調整方法であって、
    前記巻線から出力されるレゾルバ信号を変換して得られるデジタル位置信号と、前記シンクロレゾルバの角度位置の基準を示す位置検出器が出力する位置信号との偏差が所定値以下となるように前記位置調整手段の位置調整を行う、位置調整方法。
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