JP4656378B2 - レゾルバ及びそのステータの軸芯位置調整方法、スタータコイルの位置調整方法、及び絶対精度測定方法 - Google Patents

レゾルバ及びそのステータの軸芯位置調整方法、スタータコイルの位置調整方法、及び絶対精度測定方法 Download PDF

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Description

本発明はレゾルバの調整方法に関し、特に、レゾルバステータの軸芯位置調整方法、ステータコイルの位置調整方法、及びレゾルバの絶対精度測定方法に関する。
減速器を介さずに負荷を直接駆動するDDモータ(ダイレクトドライブモータ)はバックラッシュ、ロストモーションのない高精度な位置決めが可能であるため、NC工作機などのインデックステーブル、搬送装置、組み立て装置のロボットアームなどの各種の用途に用いられており、より小型で高精度な位置決めを可能とするDDモータの開発が検討されている。DDモータの角度位置を高精度に検出するための手段として、例えば、特開2000−81344号公報には、ステータコイルが巻回されたステータポールを円周等分に固定して成る環状のステータと、ステータポールに対向して円周方向に形成された歯を有してステータと同芯配置された環状のロータを備えた高精度VR型レゾルバが開示されている。この種のレゾルバを高精度な互換仕様として製作するにはレゾルバ側と位置検出回路側のそれぞれについて誤差を低減する必要がある。レゾルバの絶対精度を測定する手段として、従来では高精度・高分解能のロータリーエンコーダを用いる手法や、レゾルバから出力されるレゾルバ信号を2相信号(sin信号,cos信号)に変換してこれをオシロスコープに取り込み、X=cos信号,Y=sin信号としてX−Y波形を観察する手法などが知られている。
特開2000−81344号公報
しかし、レゾルバを高精度な互換仕様として製作する場合、ステータの軸芯が僅かにでもずれていると、レゾルバの絶対精度が低下する。特に、絶対位置検出用の単極レゾルバは相対位置検出用の多極レゾルバよりも軸芯ずれが絶対精度に与える影響は非常に大きいことが知られている。多極レゾルバではロータ1回転につき複数サイクルのレゾルバ信号を検出できるため、このレゾルバ信号を用いて軸芯ずれを補正することが可能であるが、単極レゾルバではロータ1回転につき1周期のレゾルバ信号しか出力されないため、レゾルバ信号の観測が困難であり、軸芯ずれを補正するためにレゾルバ信号を観測するにはロータを高速回転させる必要がある。このため、従来では10μmオーダーでの精度で軸芯ずれを補正するのは困難であった。
また、レゾルバの生産工程ではステータとロータはそれぞれ別工程で製造され、レゾルバの検査(ステータコイルの位置調整など)は両者を組み合わせた半完成品の状態でステータコイルに励磁信号を供給するとともにロータを回転させた状態でレゾルバ信号を検出することにより行われる。つまり、ロータとステータを組み合わせて半完成品とした上でロータを回転させないと、レゾルバ信号が得られないため、ステータコイルの位置調整ができず、高精度かつ互換性を備えたレゾルバを製作できない。特に、絶対位置検出用の単極レゾルバではロータ1回転につき1周期のレゾルバ信号しか出力されないため、ステータコイルの位置調整が更に困難であった。このため、予めスタータ単体で検査を済まし、ロータへの組み込みのみで互換性のある高精度のレゾルバを完成させる方法の実現が望まれていた。
例えば、DDモータに使用する高分解能高精度レゾルバの分解能は60万分割〜260万分割を超える製品もあり、最大回転数も180rpmから600rpm等の高速回転に対応している。それら高分解能品の検査基準器として対応できる光学式エンコーダになると、一般的には、最大回転数でも12rpm等の大変低速に抑えられてしまっている。また、レゾルバの絶対精度を測定するには、高精度であるほど超高性能基準器を基に測定検査を要するが、このような基準器として例えば光学式エンコーダを用いると、光学式エンコーダは高速回転ができないため、絶対精度の検査測定には多大な時間を要する。また、高性能・高分解能であるほど基準器の管理が困難である。これに対し、レゾルバ信号を2相信号に変換してオシロスコープのX−Y波形を観測する手法では、大まかな精度測定は可能であるが、高精度な精度測定は不可能である。
そこで、本発明はレゾルバステータの軸芯ずれを高精度に補正するための方法及びこの方法によって軸芯ずれが補正された単極レゾルバを提案することを課題とする。また、本発明はレゾルバステータのコイル位置を高精度に補正するための方法及びこの方法によって軸芯ずれが補正されたレゾルバを提案することを課題とする。また、本発明は簡素な手法によりレゾルバの絶対精度を高精度に測定するための方法及びこの方法によって軸芯ずれが補正されたレゾルバを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の軸芯位置調整方法は、ロータとステータの間隙のリラクタンスの基本波成分がロータの1回転により1周期となる単極レゾルバのステータの軸芯位置を調整する方法であって、複数の歯が円周等分に配された軸芯調整用ロータを前記ロータに替えてステータと同芯配置し、軸芯調整用ロータを回転させることによりステータに巻回されたステータコイルから出力されるレゾルバ信号を2相信号に変換し、2相信号をオシロスコープに入力して得られる波形を基に前記ステータの軸芯位置を調整する。複数の歯を備えた軸芯調整用ロータをステータに組み込んで回転させることにより軸芯調整用ロータの1回転につき複数サイクルのレゾルバ信号が検出できるため、ステータの軸芯位置調整に好適である。また、オシロスコープに表示される波形を観測することによりステータの軸芯ずれ方向を容易に判別できる。
軸芯調整用ロータの歯数をN、ステータのステータポール数をK、Xを1以上の整数、Mを相数(3以上の整数)としたとき、N=K×(X±1/M)の関係を満たすように軸芯調整用ロータを形成するのが望ましい。これにより、軸芯調整用ロータの1回転につき複数サイクルのレゾルバ信号を検出できる。
本発明の軸芯位置調整方法は、ロータとステータの間隙のリラクタンスの基本波成分がロータの1回転により1周期となる単極レゾルバのステータの軸芯位置を調整する方法であって、前記ロータに替えて軸芯調整用ロータをステータと同芯配置することにより軸芯調整用ロータとステータの間隙を略一定にし、ステータに巻回されたステータコイルから出力されるレゾルバ信号を2相信号に変換し、2相信号をオシロスコープに入力して得られる波形を基に前記ステータの軸芯位置を調整する。この方法によれば、オシロスコープに表示される波形を観測することで、ステータの軸芯ずれ方向を容易に判別できるため、ステータの軸芯調整に好適である。
本発明によれば、ステータの軸芯調整及びステーコイルの位置調整を高精度に調整することができる。また、レゾルバの絶対精度を高精度かつ容易に測定できる。
以下、各図を参照して本発明の本実施例について説明する。各実施例は本発明の例示であり、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々な形態で実施できる。
図2は絶対位置検出用の単極レゾルバの断面図である。単極レゾルバ30はレゾルバロータ31とレゾルバステータ32との間隙(エアギャップ)のリラクタンスがレゾルバロータ31の回転角度位置により変化し、レゾルバロータ31の1回転でリラクタンス変化の基本波成分が1周期となるように構成された3相VR型レゾルバである。レゾルバステータ32の外径中心、内径中心、及びレゾルバロータ31の外径中心はDDモータ19の回転中心O1と一致するが、レゾルバロータ31の内径中心O2は回転中心O1に対してΔxだけ偏心するようにレゾルバロータ31の径方向の肉厚を連続的に変化させている。レゾルバステータ32の外周には120°間隔でA相、B相、及びC相を構成する計18個のステータポール33が等間隔(円周等分)に外歯状に凸設されている。各々のステータポール33にはステータコイルC1〜C18を巻回したコイルボビン34が装着されている。コイルボビン34の材質として、適度な弾力性のある非磁性体であれば、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの可塑性樹脂が好適である。
図3は本実施形態のドライブユニットの回路構成を示している。ドライブユニット10は、数kHz程度の励磁信号(正弦波信号)を出力する発信器11と、励磁信号を適度な信号レベルに増幅して単極レゾルバ30に供給する増幅器12と、単極レゾルバ30から出力される電流信号を電圧信号(3相信号)に変換する電流/電圧変換器13と、3相信号を2相信号(sin信号,cos信号)に変換する3相/2相変換器14と、発信器11から出力される励磁信号の位相を遅らせて2相信号のキャリア信号の位相と同期させたRef信号(sinωt)を生成する移相器15と、2相信号をデジタル角度信号φに変換するとともに発信器11の発振角周波数による同期整流後のアナログ速度信号を生成するR/D変換器(レゾルバ・デジタル・コンバータ)16と、デジタル角度信号φからDDモータ19の回転角度位置を演算してその回転角度位置信号を出力するCPU17と、CPU17からの回転角度位置信号(指令信号)を受けてDDモータ19を駆動するパワーアンプ18を備えて構成されている。ここで、電流/電圧変換器13はA相、B相、及びC相のレゾルバ信号を検出するためのセンス抵抗器R1〜R3を備えている。上述した電流/電圧変換器13、3相/2相変換器14、移相器15、及びR/D変換器16によって角度位置検出回路20が構成されている。更に、発信器11、増幅器12、及び角度位置検出回路20によってサーボドライバ21が構成されている。単極レゾルバ30はDDモータ19の絶対角度位置を検出するための検出器である。
上述した単極レゾルバ30ではレゾルバロータ31が一回転する毎に1サイクルのレゾルバ信号しか出力されないため、レゾルバ信号の観測が困難である。そこで、図1に示すようにレゾルバロータ31に替えて軸芯調整用ロータ(ダミーロータ)35をレゾルバステータ32に組み込み、軸芯調整用ロータ35を回転させてレゾルバステータ32の軸芯位置を調整する。レゾルバステータ32と軸芯調整用ロータ35のそれぞれの外径中心及び内径中心は全てDDモータ19の回転中心Oと一致している。軸芯調整用ロータ35の内周にはステータポール33と対向する向きに複数の歯36が円周方向に沿って等間隔(円周等分)に内歯状に凸設されている。歯36の歯数は単極レゾルバ30の相数やレゾルバステータ32のステータポール数によって条件付けられる離散的な数値となる。例えば、同図に示す3相レゾルバの場合、歯36の歯数をN、レゾルバステータ32のステータポール数をK、Xを1以上の整数としたとき、N=K×(X±1/3)の関係を満たすことが必要である。例えば、K=18、X=1とすると、N=12又は24となる。このような条件を満たす軸芯調整用ロータ35を回転させると、電流/電圧変換器13では軸芯調整用ロータ35の一回転につき複数サイクル(Nサイクル)のレゾルバ信号φA〜φCが検出される。レゾルバ信号φA〜φCは(1)式〜(3)式のように記述できる。このレゾルバ信号φA〜φCは(4)式〜(5)式に示すように3相/2相変換器14にて2相信号(sin信号,cos信号)に変換される。
φA=(Adc+AacsinNθ)sinωt …(1)
φB=(Bdc+BacsinN(θ−120))sinωt …(2)
φC=(Cdc+CacsinN(θ−240))sinωt …(3)
sin信号=φA−(φB+φC)/2 …(4)
cos信号=√3(φB−φA)/2 …(5)
図3に示すようにレゾルバ信号φA〜φCを3相/2相変換器14にて2相信号(sin信号,cos信号)に変換した後、X=cos信号、Y=sin信号として、この2相信号をオシロスコープ22に入力し、X−Y波形を観測する。レゾルバステータ32の軸芯位置がずれてない場合にはAdc=Bdc=Cdcとなる。このときオシロスコープ22で観測されるX−Y波形は、図4(A)に示すように、2つの円が重なり合った状態になる。一方、レゾルバステータ32の軸芯位置が機械的にずれている場合には、レゾルバステータ32のA相、B相、及びC相のステータコイルC1〜C18は120度毎の機械角で配置されているため、各相のステータコイルC1〜C18と軸芯調整用ロータ35との間隙が不均一になり、直流成分(Adc,Bdc,Cdc)の値がばらつく。例えば、レゾルバステータ32の軸芯位置がA相方向にずれている場合には、図4(B)に示すように、2つの円がずれて観測される。同様に、レゾルバステータ32の軸芯位置がB相方向、C相方向にずれている場合には、それぞれ図4(C)、図4(D)に示すように2つの円がずれて観測される。レゾルバステータ32の軸芯ずれ方向と、オシロスコープ22に表示される2つの円のずれ方向には関連性があるので、X−Y波形を観測することで、レゾルバステータ32の軸芯ずれ方向を判別できる。
本実施例の方法によれば、レゾルバロータ31に替えて軸芯調整用ロータ35をレゾルバステータ32に組み込むことにより、軸芯調整用ロータ35の一回転につき複数サイクル(Nサイクル)のレゾルバ信号を検出することが可能になるため、レゾルバロータ31の一回転につき1サイクルのレゾルバ信号しか出力されない従来例と比較して軸芯調整が容易になる。また、オシロスコープ22に表示されるX−Y波形を観測することで、レゾルバステータ32の芯ずれ方向を即座に判別できる。また、X−Y波形を観測することにより10μmオーダーでの軸芯ずれを補正できるため、レゾルバステータ32の歯先を接触変位計などで計測することにより軸芯ずれを補正していた従来の手法よりも軸芯調整を迅速かつ容易に行える。
尚、上述の例では軸芯調整用ロータ35として、アウタロータタイプのものを使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、インナロータタイプのものでもよい。また、レゾルバステータ32のステータポール数や軸芯調整用ロータ35の歯数などは一例を示すものであり、上述の例に限られるものではない。
以上の説明はM=3(3相)の場合であり、それ以上の相数でも可能である。例えば4相レゾルバを用いると、N=K×(X±1/4)となり、各相のレゾルバ信号は下式のようになる。
φA=(Adc+AacsinNθ)sinωt …(6)
φB=(Bdc+BacsinN(θ−90))sinωt …(7)
φC=(Cdc+CacsinN(θ−180))sinωt …(8)
φD=(Ddc+DacsinN(θ−270))sinωt …(9)
sin信号=φA−φC …(10)
cos信号=φB−φD …(11)
X=cos信号、Y=sin信号として、この2相信号をオシロスコープ22に入力し、X−Y波形を観測すると、レゾルバステータの軸芯位置がずれてない場合にはAdc=Bdc=Cdc=Ddcとなる。このときオシロスコープ22で観測されるX−Y波形は図4(A)に示すように、2つの円が重なり合った状態になる。一方、レゾルバステータの軸芯位置が機械的にずれている場合には、レゾルバステータのA相、B相、C相、及びD相のステータコイルは90度(=360度/4)毎の機械角で配置されているため、各相のステータコイルと軸芯調整用ロータとの間隙が不均一になり、直流成分(Adc,Bdc,Cdc,Ddc)の値がばらつく。例えば、レゾルバステータの軸芯位置がA相方向又はC相方向にずれている場合には、図10(A)に示すように2つの円が0度方向(+X方向)又は180度方向(−X方向)にずれて観測される。同様にレゾルバステータの軸芯位置がB相方向又はD相方向にずれている場合には、図10(B)に示すように2つの円が90度方向(+Y方向)又は270度方向(−Y方向)にずれて観測される。
6相レゾルバを用いると、N=K×(X±1/6)となり、位相進角60度(=360度/6)の値が波形のずれ方向になる。
本実施例はレゾルバステータ32の軸芯調整を行うための他の実施例を提案するものである。本実施例では、図5に示すように、レゾルバロータ31に替えて軸芯調整用ロータ(ダミーロータ)37をレゾルバステータ32に組み込み、軸芯調整用ロータ37を回転させることなくレゾルバステータ32の軸芯位置を調整する。レゾルバステータ32と軸芯調整用ロータ37のそれぞれの外径中心及び内径中心は全てDDモータ19の回転中心Oと一致している。軸芯調整用ロータ37の内周には歯等の突起物は形成されておらず、凹凸のない内周面を形成している。軸芯調整用ロータ37の内周面とステータポール33との距離はどの角度位置においても略一定である。ステータコイルC1〜C18を励磁すると、下式に示すレゾルバ信号φA〜φCが検出される。
φA=Adcsinωt …(12)
φB=Bdcsinωt …(13)
φC=Cdcsinωt …(14)
実施例1と同様にレゾルバ信号φA〜φCを3相/2相変換器14にて2相信号(sin信号,cos信号)に変換した後、X=cos信号、Y=sin信号として、この2相信号をオシロスコープ22に入力し、X−Y波形を観測する。(12)式〜(14)式を2相信号に変換すると、sin信号=DCsinωt、cos信号=DCcosωtとなる。ここで、DCは一定値である。レゾルバステータ32の軸芯位置がずれてない場合には、Adc=Bdc=Cdcとなり、このときオシロスコープ22で観測されるX−Y波形は図6(A)に示すように2つの円が重なり合った状態になる。一方、レゾルバステータ32の軸芯位置が機械的にずれている場合には、レゾルバステータ32のA相、B相、及びC相のステータコイルC1〜C18は120度毎の機械角で配置されているため、各相のステータコイルC1〜C18と軸芯調整用ロータ37との間隙が不均一になり、直流成分(Adc,Bdc,Cdc)の値がばらつく。例えば、レゾルバステータ32の軸芯位置がA相方向にずれている場合には、図6(B)に示すようなX−Y波形が観測される。これは、レゾルバステータ32の軸芯位置がA相方向にずれることによりAdc≧Bdc=Cdcとなるので、ΔAdc=Adc−Bdcとすれば、cos信号=ΔAdcsinωt、sin信号=ΔAdcsinωtとなるためである。同様に、レゾルバステータ32の軸芯位置がB相方向、C相方向にずれている場合には、それぞれ図6(C)、図6(D)に示すようなX−Y波形が観測される。レゾルバステータ32の軸芯ずれ方向と、オシロスコープ22に表示されるX−Y波形には関連性があるので、X−Y波形を観測することで、レゾルバステータ32の軸芯ずれ方向を判別できる。
本実施例の方法によれば、接触変位計などを用いて機械的にレゾルバステータ32の軸芯ずれを補正する必要もなく、更に、軸芯調整用ロータ37を回転させる必要もなく、オシロスコープ22に表示されるX−Y波形を観測することで、レゾルバステータ32の芯ずれ方向を即座に判別できる。また、X−Y波形を観測することで、10μmオーダーでの軸芯ずれを補正できるため、軸芯調整を迅速かつ容易に行える。
尚、上述の例では軸芯調整用ロータ37として、アウタロータタイプのものを使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、インナロータタイプのものでもよい。また、レゾルバステータ32のステータポール数や相数などは一例を示すものであり、上述の例に限られるものではない。
本実施例はステータコイルC1〜C18の位置調整方法を提案するものである。本実施例では、図7に示すように、レゾルバステータ単体で、つまり、レゾルバステータ32にレゾルバロータ31が組み込まれる以前の段階(ロータ未実装)でステータコイルC1〜C18を励磁し、レゾルバ信号を検出することで、ステータコイルC1〜C18の位置調整を行う。レゾルバステータ単体から出力されるレゾルバ信号φA〜φCは下式のように記述できる。
φA=Adcsinωt …(15)
φB=Bdcsinωt …(16)
φC=Cdcsinωt …(17)
(15)式〜(17)式は上述した(12)式〜(14)式と同一である。実施例2と同様にこのレゾルバ信号を2相変換し、X=cos信号、Y=sin信号として、この2相信号をオシロスコープ22に入力し、X−Y波形を観測すると、図6に示したX−Y波形が観測される。2相信号を用いてステータコイルC1〜C18の位置ずれを検出する原理は実施例2と同様である。ステータコイルC1〜C18に位置ずれが生じてない場合には、図6(A)に示すように2つの円が重なり合った状態のX−Y波形が観測される。一方、A相のステータコイルC1〜C6に位置ずれが生じている場合には、図6(B)に示すようなX−Y波形が観測される。これは、A相のステータコイルC1〜C6の位置がずれることによりAdc≧Bdc=Cdcとなるので、ΔAdc=Adc−Bdcとすれば、cos信号=ΔAdcsinωt、sin信号=ΔAdcsinωtとなるためである。同様にB相のステータコイルC7〜C12、C相のステータコイルC8〜C18に位置ずれが生じている場合には、それぞれ図6(C)、図6(D)に示すようなX−Y波形が観測される。位置ずれが生じているステータコイルC1〜C18と、オシロスコープ22に表示されるX−Y波形には関連性があるので、X−Y波形を観測することで、どのステータコイルC1〜C18に位置ずれが生じているのかを判別できる。ステータコイルC1〜C18に位置ずれが生じている場合には、図6(A)に示すようなX−Y波形が得られるようにコイル位置を調整すればよい。
本実施例によれば、レゾルバステータ単体でステータコイルC1〜C18の位置調整が可能になるため、従来のようにレゾルバステータ32とレゾルバロータ31を組み合わせた半完成品の状態でレゾルバロータ31を回転させてステータコイルC1〜C18の位置調整を行う必要がなく、作業工数を削減できる。また、レゾルバステータ単体でステータコイルC1〜C18の位置調整が可能になるため、レゾルバステータ32にレゾルバロータ31を組み込むだけで高精度かつ互換性を備えたレゾルバを製作することが可能になり、量産化に好適である。
尚、本実施例のステータコイルの位置調整方法は、単極レゾルバのステータコイルだけでなく、多極レゾルバのステータコイルの位置調整にも適用できる。
本実施例はレゾルバの絶対精度の測定手法を提案するものである。図9はレゾルバの絶対精度と速度リップル幅の関係をグラフに表したものであり、絶対精度が速度リップル幅にほぼ比例する関係にあることを示している。このような関係を利用すれば、レゾルバの速度リップル幅を検出することで、絶対精度を高精度に求めることができる。本実施例の手法により絶対精度を測定する対象となるレゾルバとしては、例えば、実施例1に示したように、DDモータ19などのモータ部(駆動装置)によってレゾルバロータを直接回転させる手段を備え、更に、角度位置検出回路20にて速度信号を生成する機能を備えたものであれば特に限定されることなく、各種のレゾルバに適用できる。尚、図9の絶対精度の数値はメガトルクモータを用いた代表例であり、レゾルバの仕様によって、速度リップルに対する絶対精度の数値は変わる。しかし、機種・仕様が変わっても、絶対精度と速度リップル幅はほぼ比例関係にあるので、同様の効果を得ることができる。
レゾルバの速度リップル幅を測定する場合、レゾルバロータを回転させる駆動系のリップルを十分に低減し、速度リップル幅を正確に測定できるように配慮する必要がある。レゾルバロータとモータ軸が結合しているDDモータによってレゾルバロータを回転させる場合、DDモータのリップルが最小になるように低いゲインで一定速度で回転させ、速度波形に現れる成分がほぼレゾルバの誤差になるように調整する。図8はこのようにして測定した速度信号を示している。速度リップル幅は22mVp-pであるため、絶対精度は約10秒と判断できる。
本実施例によれば、速度リップル幅から絶対精度を換算できるため、オシロスコープのX−Y波形(リサージュ図形など)の楕円さ加減などで絶対精度を測定していた従来の手法よりも明確な判断基準で絶対精度を測定することができる。また、高精度なレゾルバの組み立て及び調整が可能になるとともに、高精度基準器を使用して絶対精度を測定する検査作業が不要になる。また、速度リップル幅から絶対精度を換算できるため、熟練作業者でなくてもばらつきの少ない迅速な測定を可能にできる。また、レゾルバと一体的に構成されているDDモータの動力でレゾルバを回転させて速度信号を検出する構成であるため、絶対精度を測定する目的でレゾルバを回転させるための特有の手段を必要とせず、生産設備の省スペース化が可能になる。また、レゾルバの絶対精度を高めることによって、互換性に優れたレゾルバを製造することが可能となり、ドライブユニットが故障した場合でも、レゾルバの交換のみで済むため、メンテナンス性に優れている。
軸芯調整用ロータを組み込んだ単極レゾルバの断面図である。 従来の単極レゾルバの断面図である。 レゾルバを備えたドライブユニットの回路構成図である。 オシロスコープに表示されるX−Y波形の説明図である。 軸芯調整用ロータを組み込んだ単極レゾルバの断面図である。 オシロスコープに表示されるX−Y波形の説明図である。 ステータ単体の単極レゾルバの断面図である。 速度信号の波形図である。 絶対精度と速度リップル幅の関係を表したグラフである。 オシロスコープに表示されるX−Y波形の説明図である。
符号の説明
10…ドライブユニット 11…発信器 12…増幅器 13…電流/電圧変換器 14…3相/2相変換器 15…移相器 16…R/D変換器 17…CPU 18…パワーアンプ 19…DDモータ 20…角度位置検出回路 21…サーボドライバ 22…オシロスコープ 30…単極レゾルバ 31…レゾルバロータ 32…レゾルバステータ 33…ステータポール 34…コイルボビン 35…軸芯調整用ロータ 36…歯 37…軸芯調整用ロータ

Claims (3)

  1. ロータとステータの間隙のリラクタンスの基本波成分が前記ロータの1回転により1周期となる単極レゾルバのステータの軸芯位置を調整する方法であって、複数の歯が円周等分に配された軸芯調整用ロータを前記ロータに替えて前記ステータと同芯配置し、前記軸芯調整用ロータを回転させることにより前記ステータに巻回されたステータコイルから出力されるレゾルバ信号を2相信号に変換し、前記2相信号をオシロスコープに入力して得られる波形を基に前記ステータの軸芯位置を調整する、軸芯位置調整方法。
  2. 請求項1に記載の軸芯位置調整方法であって、前記軸芯調整用ロータの歯数をN、前記ステータのステータポール数をK、Xを1以上の整数、Mを相数(3以上の整数)としたとき、N=K×(X±1/M)である、軸芯位置調整方法。
  3. ロータとステータの間隙のリラクタンスの基本波成分が前記ロータの1回転により1周期となる単極レゾルバのステータの軸芯位置を調整する方法であって、前記ロータに替えて歯等の突起物は形成されていない軸芯調整用ロータを前記ステータと同芯配置することにより前記軸芯調整用ロータと前記ステータの間隙を略一定にし、前記ステータに巻回されたステータコイルから出力されるレゾルバ信号を2相信号に変換し、前記2相信号をオシロスコープに入力して得られる波形を基に前記ステータの軸芯位置を調整する、軸芯位置調整方法。
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