JP5184590B2 - 回転検出器およびその位相誤差補正方法 - Google Patents
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Description
検出対象物の回転に応じて発生する位相が相互に90度異なるA相センサ信号Va0およびB相センサ信号Vb0を用いて前記検出対象物の回転角度θを算出するに当たり、前記A相センサ信号Va0、前記B相センサ信号Vb0の位相誤差φに起因する回転角度算出誤差を除去する回転検出器の位相誤差補正方法であって、
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から前記位相誤差φを測定し、
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から、オフセット補正が施された振幅AのA相信号Va(=Asinθ)および振幅BのB相信号Vb(=Bcos(θ−φ))を生成するために用いる前記振幅A、Bと、前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbにゲイン補正を施して、A相補正信号Va1(=r1・Asinθ、r1:調整ゲイン)およびB相補正信号Vb1(=r2・Bcos(θ−φ)、r2:調整ゲイン)を生成するために用いる前記調整ゲインr1、r2とが、
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1、および、(r2・B)/A=1
を共に満足するように、これらの値を調整し、
値Vb2を、
Vb2=Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}
により算出し、
前記回転角度θを、
θ=tan−1(Va1/Vb2)
により算出することを特徴としている。
検出対象物の回転に応じて、位相が相互に90度異なるA相センサ信号Va0およびB相センサ信号Vb0を出力する磁気式センサと、
前記磁気式センサから出力される前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0に補正を施してA相補正信号Va1およびB相補正信号Vb1を生成して出力する信号補正回路と、
前記信号補正回路から出力される前記A相補正信号Va1および前記B相補正信号Vb1に基づき前記検出対象物の回転角度θを演算する角度演算回路とを有し、
前記信号補正回路は、
前記センサ部から出力される前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から、オフセット補正が施された振幅AのA相信号Vaおよび振幅BのB相信号Vbを生成する振幅補正部と、
前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbにゲイン補正を施して、A相信号r1・Va(r1:調整ゲイン)およびB相信号r2・Vb(r2:調整ゲイン)を、それぞれ、前記A相補正信号Va1および前記B相補正信号Vb1として生成するゲイン補正部とを備え、
前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbは
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0を測定することにより得られるこれらの信号の位相誤差をφとすると、前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbは次式により規定され、
Va=Asinθ
Vb=Bcos(θ−φ)
前記振幅A、Bと前記調整ゲインr1、r2は次の条件式の双方を満たすように設定されており、
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1
(r2・B)/A=1
前記角度演算回路は、
次式により値Vb2を演算する第1演算部と、
Vb2=Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}
次式により前記回転角度θを演算する第2演算部とを備えていることを特徴としている。
θ=tan−1(Va1/Vb2)
r3=√{1/(r1) 2 −1}
Vb2=Vb1−Va1・r3
このようにすれば、角度演算回路における第1演算部を省略できる。
図1は本発明の実施の形態に係る回転検出器の制御系を示す概略ブロック図である。回転検出器1は、検出対象物、例えばモータ2のモータ軸2aの回転に応じて、位相が相互に90度異なるA相センサ信号Va0およびB相センサ信号Vb0を出力する磁気式センサ3を備えている。磁気式センサ3は、モータ軸2aに同軸状に取り付けた多極マグネットリング3aの回転磁界を検出する少なくとも2個のホール素子Ha、Hbを備えた磁気式センサである。
Va=Asinθ
Vb=Bcos(θ−φ)
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1
(r2・B)/A=1
Vb2=Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}
また、次式により回転角度θを演算する第2演算部6bを備えている。
θ=tan−1(Va1/Vb2)
r3=√{1/(r1)2−1}
Vb2=Vb1−Va1・r3
このように、ゲイン補正部4bにおいて、調整ゲインr1、r2とゲインr3を算出して、値Va1、Vb1、Vb2を出力すれば、角度演算回路6の第1演算部6aを省略することができる。
ここで、位相誤差が補正された回転角度θを算出するための式の導出方法を説明する。まず、各記号の定義を以下に纏めて列記しておく。
Va:A相信号(オフセット・振幅補正後のA相センサ信号)
Vb:B相信号(オフセット・振幅補正後のB相センサ信号)
θ :回転角度(モータ軸角度)
φ :ホール素子Ha、Hbのピッチ誤差(位相誤差)
A :A相振幅
B :B相振幅
r1:A相調整ゲイン
r2:B相調整ゲイン
A、B相信号Va、Vb、A、B相補正信号Va1、Vb1は次のように表される。
Va=Asinθ (1)
Vb=Bcos(θ−φ) (2)
Va1=r1・Va (3)
Vb1=r2・Vb (4)
加法定理より次式が得られる。
cos(θ−φ)=cosθcosφ+sinθsinφ (5)
Vb1=r2・Bcosθcosφ+r2・Bsinθsinφ (6)
式(3)を式(6)で割ることにより次式が得られる。
Va1/Vb1
=r1・Asinθ/(r2・Bcosθcosφ+r2・Bsinθsinφ) (7)
式(7)を整理して次式が得られる。
sinθ/cosθ
=[{(r2・B)/(r1・A)}Va1cosφ]/[Vb1−{(r2・B)/(r1・A)}Va1sinφ] (8)
ここで、A、B、r1、r2を次の条件式の双方を満たすものとする。
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1,(r2・B)/A=1 (9)
このように仮定すると、次式(10)の関係が得られる。
cosφ=r1 (10)
sin2φ=1−cos2φより、次式が得られる。
sinφ=√{1−(r1)2} (11)
式(8)に、式(9)、(10)、(11)を代入して整理すると、次式が得られる。
sinθ/cosθ
=Va1/[Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}] (12)
ここで、
Vb2=Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}とすると、式(12)は次のようになる。
sinθ/cosθ=Va1/Vb2
したがって、回転角度θの算出式は次のようになる。
θ=tan−1(Va1/Vb2) (13)
図2は上記構成の回転検出器1をモータ軸2aに実装した後の製造段階における調整作業を示すフローチャートである。磁気式センサ3をモータ軸2aに組み付けた後(ST1)に、信号補正回路4において、モータ軸2aのホール素子Ha、Hbの出力(A相センサ信号Va0、B相センサ信号Vb0)のオフセット調整を行うと共に、これらの振幅比A/Bが適切な値となるように、振幅調整を行う(ST2)。次に、オフセット補正後のA相信号Va、B相信号Vbに基づき、これらの信号に含まれているホール素子ピッチ誤差などに起因する位相誤差φを測定する(ST3)。位相誤差φをセンサ出力Va0、Vb0から測定してもよい。この後は、上記の条件式(9)を満足するように、ゲイン調整を行う(ST4)。これにより信号補正回路4の調整ゲインr1、r2が設定される。
図3は回転検出器1によるモータ軸2aの回転角度θの検出動作を示すフローチャートである。モータ軸2aの回転に伴って磁気式センサ3のホール素子Ha、HbからA相センサ信号Va0、Vb0が出力する(ST11)。これらの信号は、信号補正回路4に供給されてオフセット補正が施され、A相信号Va、B相信号Vbが生成される(ST12)。さらに、ゲイン調整が施されて、A相補正信号Va1、B相補正信号Vb1が生成される(ST13)。振幅およびゲイン調整によって2相信号の位相誤差が補正される。
2 モータ
2a モータ軸
3 磁気式センサ
4 信号補正回路
4a 振幅補正部
4b ゲイン補正部
5a、5b AD変換器
6 角度演算回路
6a 第1演算部
6b 第2演算部
7 モータ制御回路
Ha、Hb ホール素子
Claims (5)
- 検出対象物の回転に応じて発生する位相が相互に90度異なるA相センサ信号Va0およびB相センサ信号Vb0を用いて前記検出対象物の回転角度θを算出するに当たり、前記A相センサ信号Va0、前記B相センサ信号Vb0の位相誤差φに起因する回転角度算出誤差を除去する回転検出器の位相誤差補正方法であって、
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から前記位相誤差φを測定し、
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から、オフセット補正が施された振幅AのA相信号Va(=Asinθ)および振幅BのB相信号Vb(=Bcos(θ−φ))を生成するために用いる前記振幅A、Bと、前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbにゲイン補正を施して、A相補正信号Va1(=r1・Asinθ、r1:調整ゲイン)およびB相補正信号Vb1(=r2・Bcos(θ−φ)、r2:調整ゲイン)を生成するために用いる前記調整ゲインr1、r2とが、
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1、および、(r2・B)/A=1
を共に満足するように、これらの値を調整し、
値Vb2を、
Vb2=Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}
により算出し、
前記回転角度θを、
θ=tan−1(Va1/Vb2)
により算出することを特徴とする回転検出器の位相誤差補正方法。 - 請求項1において、
前記回転検出器は、前記検出対象物に取り付けた磁石の回転磁界を検出する少なくとも2個のホール素子を備えた磁気式センサを備えており、
前記位相誤差φには、前記ホール素子の組立ピッチ誤差に起因する位相誤差成分が含まれていることを特徴とする回転検出器の位相誤差補正方法。 - 検出対象物の回転に応じて、位相が相互に90度異なるA相センサ信号Va0およびB相センサ信号Vb0を出力する磁気式センサと、
前記磁気式センサから出力される前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0に補正を施してA相補正信号Va1およびB相補正信号Vb1を生成して出力する信号補正回路と、
前記信号補正回路から出力される前記A相補正信号Va1および前記B相補正信号Vb1に基づき前記検出対象物の回転角度θを演算する角度演算回路とを有し、
前記信号補正回路は、
前記センサ部から出力される前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から、オフセット補正が施された振幅AのA相信号Vaおよび振幅BのB相信号Vbを生成する振幅補正部と、
前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbにゲイン補正を施して、A相信号r1・Va(r1:調整ゲイン)およびB相信号r2・Vb(r2:調整ゲイン)を、それぞれ、前記A相補正信号Va1および前記B相補正信号Vb1として生成するゲイン補正部とを備え、
前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbは
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0を測定することにより得られるこれらの信号の位相誤差をφとすると、前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbは次式により規定され、
Va=Asinθ
Vb=Bcos(θ−φ)
前記振幅A、Bと前記調整ゲインr1、r2は次の条件式の双方を満たすように設定されており、
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1
(r2・B)/A=1
前記角度演算回路は、
次式により値Vb2を演算する第1演算部と、
Vb2=Vb1−Va1√{1/(r1)2−1}
次式により前記回転角度θを演算する第2演算部とを備えていることを特徴とする回転検出器。
θ=tan−1(Va1/Vb2) - 検出対象物の回転に応じて、位相が相互に90度異なるA相センサ信号Va0およびB相センサ信号Vb0を出力する磁気式センサと、
前記磁気式センサから出力される前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0に補正を施してA相補正信号Va1およびB相補正信号Vb1を生成して出力する信号補正回路と、
前記信号補正回路から出力される前記A相補正信号Va1および前記B相補正信号Vb1に基づき前記検出対象物の回転角度θを演算する角度演算回路とを有し、
前記信号補正回路は、
前記センサ部から出力される前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0から、オフセット補正が施された振幅AのA相信号Vaおよび振幅BのB相信号Vbを生成する振幅補正部と、
前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbにゲイン補正を施して、A相信号r1・Va(r1:調整ゲイン)およびB相信号r2・Vb(r2:調整ゲイン)を、それぞれ、前記A相補正信号Va1および前記B相補正信号Vb1として生成すると共に、次式により定数r3および値Vb2を算出するゲイン補正部とを備え、
r3=√{1/(r1) 2 −1}
Vb2=Vb1−Va1・r3
前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbは
前記A相センサ信号Va0および前記B相センサ信号Vb0を測定することにより得られるこれらの信号の位相誤差をφとすると、前記A相信号Vaおよび前記B相信号Vbは次式により規定され、
Va=Asinθ
Vb=Bcos(θ−φ)
前記振幅A、Bと前記調整ゲインr1、r2は次の条件式の双方を満たすように設定されており、
{(r2・B)/(r1・A)}cosφ=1
(r2・B)/A=1
前記角度演算回路は次式により前記回転角度θを演算することを特徴とする回転検出器。
θ=tan−1(Va1/Vb2) - 請求項3または4において、
前記磁気式センサは、前記検出対象物に取り付けた磁石の回転磁界を検出する少なくとも2個のホール素子を備えていることを特徴とする回転検出器。
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