JP6624446B2 - 内挿方法及び内挿装置 - Google Patents

内挿方法及び内挿装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6624446B2
JP6624446B2 JP2016036287A JP2016036287A JP6624446B2 JP 6624446 B2 JP6624446 B2 JP 6624446B2 JP 2016036287 A JP2016036287 A JP 2016036287A JP 2016036287 A JP2016036287 A JP 2016036287A JP 6624446 B2 JP6624446 B2 JP 6624446B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
correction
amplitude
error
phase angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016036287A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017151061A (ja
Inventor
利光 小松
利光 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Seimitsu Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Seimitsu Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Seimitsu Co Ltd filed Critical Tokyo Seimitsu Co Ltd
Priority to JP2016036287A priority Critical patent/JP6624446B2/ja
Publication of JP2017151061A publication Critical patent/JP2017151061A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6624446B2 publication Critical patent/JP6624446B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)

Description

本発明は、エンコーダから出力された2相の出力信号に対して内挿処理を行う内挿方法及び内挿装置に関する。
3次元測定器、真円度測定器、及び角度測定器等の各種の測定器には、ロータリーエンコーダ及びリニアエンコーダ等のエンコーダが設けられている。このエンコーダは、位相差が90°ずれた2相の正弦波信号を内挿装置(内挿回路)に出力する。内挿装置は、エンコーダから出力された2相の正弦波信号の位相変化の空間周期を更に細分して内挿するものであり、2相の正弦波信号から位相角を求め、求めた位相角を基に測定器の被測定体の変位量、変位方向、及び変位速度等を示す位置データを演算する。
この際に、エンコーダから出力される2相の正弦波信号は、オフセットがとれており(中心電圧がゼロ)、互いに振幅が等しく、かつ2つの信号間の位相差が90°である必要がある。しかし、これらオフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差を完全に除去するのは極めて困難で、これが位置データの測定精度向上の障害となっている。
そこで、内挿装置では、エンコーダから出力される2相の正弦波信号のオフセットを補正するオフセット補正と、2相の正弦波信号の振幅を揃える振幅補正とを行う。さらに、特許文献1に記載の内挿装置では、上述のオフセット補正及び振幅補正に加えて、2相の正弦波信号の位相差の誤差を補正する位相差補正を行う。
特許文献1に記載の内挿装置による位相差補正では、2相の正弦波信号により表されるリサージュ波形の座標値を45°反時計回りに回転させた座標値に座標変換することで、45°反時計回りに回転させたリサージュ波形を描く2相の補正信号を生成する。この座標変換は加算演算と減算演算とにより実行可能であるので、2相の補正信号は、2相の正弦波信号を加算した加算信号と、2相の正弦波信号の一方から他方を減算した減算信号とにより構成される。
ここで、位相差の誤差が補正された2相の補正信号には振幅ずれが発生するため、特許文献1では、2相の補正信号に対して振幅補正を再度行う。これにより、2相の補正信号により表されるリサージュ波形が真円となる、すなわちオフセット補正、振幅補正、及び位相差補正された2相の補正信号が得られる。その結果、各補正が施された2相の補正信号から位相角を求め、求めた位相角を基に測定器の被測定体の位置データを求めることができ、各補正を行う前よりも位置データの測定精度を向上させることができる。
特開2003−149003号公報
図15は、上記特許文献1に記載の位相差補正を行った場合に生じる課題を説明するための説明図である。なお、図15では、位相差の誤差の大きさが異なる2組の2相の正弦波信号に対してそれぞれ位相差補正及び振幅補正を行った場合に得られる信号を、リサージュ波形(実線で表示)で表している。なお、符号100Aは位相差の誤差が<誤差1>である場合のリサージュ波形であり、符号100Bは位相差の誤差が誤差1とは異なる<誤差2>である場合のリサージュ波形である。また、符号104は、オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差がない理想的な2相の正弦波信号が表すリサージュ波形(点線で表示)である。
図15において、上記特許文献1に記載の位相差補正と同様に、図中の上段に示すリサージュ波形101A,101Bを形成する2相の正弦波信号に対して加算演算及び減算演算(リサージュ波形の45°回転)を行うことにより、図中の中段に示すリサージュ波形102A,102Bを形成する2相の補正信号が得られる。そして、図中の下段に示すように、2相の補正信号に対して振幅補正を行った場合、振幅補正後の2相の補正信号が形成するリサージュ波形103A、103Bは真円になる。
しかしながら、図中上段において、リサージュ波形104上のある一点P0(位相差の誤差がない場合の真値)に注目した場合、この一点P0に対応するリサージュ波形101A上の対応点P1Aの位置と、リサージュ波形101B上の対応点P1Bの位置とが、位相差の誤差の大きさに応じて変わってしまう。すなわち、リサージュ波形101A上に一点P0(真値)が投影される位置と、リサージュ波形101B上に一点P0(真値)が投影される位置とが異なってしまう。その結果、図中の中段及び下段において、リサージュ波形102A,103A上での対応点P1Aの位置と、リサージュ波形102B,103B上での対応点P1Bの位置とが位相差の誤差の大きさに応じて変わってしまう。
このように特許文献1に記載の位相差補正では、リサージュ波形103A,103B上での対応点P1A,P1Bの位置が異なってしまうが、元々の一点P0(真値)の位置は同じである。このため、位相差の誤差の大きさに関係なく、リサージュ波形103A,103B上での対応点P1A,P1Bの位置が同じ位置にならないと真の補正とはいえない。従って、上記特許文献1の位相差補正後の2相の補正信号から得られる位相角には、エンコーダから出力される2相の正弦波信号の位相差の誤差の大きさに応じた位相角誤差Δθが含まれてしまう。その結果、この位相角を基に求められる位置データにも誤差が生じてしまうため、位置データの測定精度が低下してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、位相差の誤差により生じる位相角の誤差を補正することができる内挿方法及び内挿装置を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための内挿方法は、エンコーダより出力された90°の位相差を有する2相の周期的な出力信号から、位相差の誤差が補正された2相の補正信号を生成する位相差補正を行う位相差補正ステップと、位相差補正ステップにて生成された2相の補正信号の振幅を揃える振幅補正を行う補正信号振幅補正ステップと、補正信号振幅補正ステップで振幅補正された2相の補正信号を内挿処理して位相角を得る位相角取得ステップと、補正信号振幅補正ステップにて振幅補正される前の2相の補正信号の振幅から、位相差の誤差により位相角に生じる誤差である位相角誤差を決定する誤差決定ステップと、位相角取得ステップで取得した位相角を、誤差決定ステップで決定した位相角誤差で補正する位相角補正ステップと、を有する。
この内挿方法によれば、エンコーダより出力された2相の周期的な出力信号の位相差の誤差により位相角に生じる位相角誤差を補正することができるので、被測定体の位置データの測定精度を向上させることができる。
本発明の他の態様に係る内挿方法において、振幅補正される前の2相の補正信号の一方の振幅値をVAとし、他方の振幅値をVBとし、位相角誤差をθとした場合、誤差決定ステップは、位相角誤差を下記の式、θ=tan−1(VB/VA)を用いて決定する。振幅補正の際に求める2相の補正信号の振幅値から位相角誤差を決定することができる。
本発明の他の態様に係る内挿方法において、位相差は90°であり、位相差補正ステップでは、2相の周期的な出力信号を加算した加算信号と、2相の周期的な出力信号の一方から他方を減算した減算信号とを、2相の補正信号として生成する。これにより、位相差の誤差が補正された2相の補正信号を生成することができる。
本発明の他の態様に係る内挿方法において、位相差補正ステップの前に、2相の周期的な出力信号の振幅を揃える振幅補正を行う出力信号振幅補正ステップを有し、位相差補正ステップは、出力信号振幅補正ステップにて振幅補正された2相の周期的な出力信号の入力を受けて、位相差補正を行う。これにより、位相差補正ステップの前に2相の周期的な出力信号の振幅を揃えることができるので、これら2相の周期的な出力信号により形成されるリサージュ波形を長軸が座標軸に対して45°傾いた楕円にすることができる。その結果、位相差補正ステップでは加算演算及び減算演算により簡単に位相差補正を行うことができる。
本発明の他の態様に係る内挿方法において、位相差補正ステップの前に、2相の周期的な出力信号のオフセット値を求め、オフセット値に基づき2相の周期的な出力信号に対してオフセット補正を行うオフセット補正ステップを有し、位相差補正ステップは、オフセット補正ステップにてオフセット補正された2相の周期的な出力信号の入力を受けて、位相差補正を行う。これにより、位相差補正ステップの前に2相の周期的な出力信号のオフセットを補正することができる。
本発明の目的を達成するための内挿装置は、エンコーダより出力された90°の位相差を有する2相の周期的な出力信号から、位相差の誤差が補正された2相の補正信号を生成する位相差補正を行う位相差補正部と、位相差補正部から出力された2相の補正信号の振幅を揃える振幅補正を行う補正信号振幅補正部と、補正信号振幅補正部が振幅補正した2相の補正信号を内挿処理して位相角を得る位相角取得部と、補正信号振幅補正部により振幅補正される前の2相の補正信号の振幅から、位相差の誤差により位相角に生じる誤差である位相角誤差を決定する誤差決定部と、位相角取得部が取得した位相角を、位相角誤差決定部が決定した位相角誤差で補正する位相角補正部と、を備える。
本発明の内挿方法及び内挿装置は、位相差の誤差により生じる位相角の誤差を補正することができる。
エンコーダの内挿装置の電気的構成を示すブロック図である。 エンコーダから出力される2相の正弦波信号の一例を説明するための説明図である。 オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差をそれぞれ含む2相の正弦波信号により形成されるリサージュ波形を説明するための説明図である。 オフセット補正された2相の正弦波信号により形成されるリサージュ波形と、振幅補正された2相の正弦波信号により形成されるリサージュ波形とを説明するための説明図である。 位相差補正後の2相の補正信号により形成されるリサージュ波形を説明するための説明図である。 振幅補正された2相の補正信号により形成されるリサージュ波形を説明するための説明図である。 位相差の誤差を含む振幅補正前の2相の正弦波信号により形成されるリサージュ波形R3と、位相差の誤差がない理想的な2相の正弦波信号により形成されるリサージュ波形とを説明するための説明図である。 図7に示したリサージュ波形の位相差補正後のリサージュ波形を説明するための説明図である。 図8に示したリサージュ波形の振幅補正後のリサージュ波形を説明するための説明図である。 位相角誤差Δθから位相差補正による45°(π/4)回転分を引いた角度ψの算出を説明するための説明図である。 内挿装置による位置データの演算までの流れを示したフローチャートである。 位相差の誤差が時間と共に大きくなる場合の本実施形態の効果を説明するための説明図である。 位相差の誤差が時間と共に増減する場合の本実施形態の効果を説明するための説明図である。 他実施形態の内挿装置の電気的構成を示すブロック図である。 上記特許文献1に記載の位相差補正を行った場合に生じる課題を説明するための説明図である。
[内挿装置の構成]
図1は、エンコーダ9の内挿装置10の電気的構成を示すブロック図である。図1に示すように、エンコーダ9は、例えば、3次元測定器、真円度測定器、及び角度測定器等の各種の測定器(図示は省略)に搭載されるリニアエンコーダ又はロータリーエンコーダであり、2相の正弦波信号A1,B1を出力する。なお、エンコーダ9の構造は周知技術であるので具体的な説明は省略する。
図2は、エンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の一例を説明するための説明図である。図2に示すように、エンコーダ9は、90°[π/2(rad)]の位相差を有する2相の正弦波信号A1,B1を出力する。これら2相の正弦波信号A1,B1は、本発明の2相の周期的な出力信号に相当する。
ここで、オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差がない理想的な2相の正弦波信号A1,B1であれば、これら2相の正弦波信号A1,B1により形成されるリサージュ波形R1は真円となる。しかし、既述の通り、エンコーダ9から出力される実際の2相の正弦波信号A1,B1から、オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差の全てを取り除くことは困難であるため、リサージュ波形R1は真円にならない。
図3は、オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差をそれぞれ含む2相の正弦波信号A1,B1により形成されるリサージュ波形R1を説明するための説明図である。図3において、オフセットのみが発生している場合、矢印AR1に示すようにリサージュ波形R1の中心が座標軸の座標原点からずれる。また、振幅の誤差のみが発生している場合(振幅が揃っていない場合)、矢印AR2に示すようにリサージュ波形R1が楕円となる。また、位相差の誤差のみが発生している場合、矢印AR3に示すようにリサージュ波形R1は座標軸に対して長軸が+45°又は−45°傾いた楕円となる。
なお、振幅の誤差と位相差の誤差とが両方発生している場合、リサージュ波形R1は、座標軸に対する長軸の傾き角度が+45°又は−45°からずれた楕円となる(図4参照)。
図1に戻って、エンコーダ9から出力された2相の正弦波信号A1,B1はそれぞれ図中「A/D」(Analog/Digital)で示すA/D変換回路19A,19Bに入力される。A/D変換回路19Aは、エンコーダ9から出力された正弦波信号A1をデジタル信号A1aに変換した後、このデジタル信号A1aを内挿装置10のオフセット補正回路20Aへ出力する。また、A/D変換回路19Bは、エンコーダ9から出力された正弦波信号B1をデジタル信号B1aに変換した後、このデジタル信号B1aを内挿装置10のオフセット補正回路20Bへ出力する。
内挿装置10は、前述の測定器に搭載、或いはこの測定器に接続された測定器の制御装置(図示せず)に搭載されており、A/D変換回路19Aから出力された2相のデジタル信号A1a,B1a(エンコーダ9から出力された2相の正弦波信号A1,B1)を内挿処理して測定器の被測定体の変位量、変位方向、及び変位速度等を示す位置データ40を出力する。
内挿装置10は、オフセット補正回路20A,20Bと、振幅補正回路21A,21Bと、位相差補正回路22と、図中「ATAN」で示す位相角取得部23と、位相角補正部24と、図中「CPU」で示す演算処理回路25と、を備える。
オフセット補正回路20Aは、A/D変換回路19Aから出力されたデジタル信号A1aのオフセット補正(オフセット調整ともいう)を行う。例えば、オフセット補正回路20Aは、デジタル信号A1aの最大値A1MAXと最小値A1MINとを検出し、(A1MAX+A1MIN)/2を計算してデジタル信号A1aのオフセット値を取得する。そして、オフセット補正回路20Aは、デジタル信号A1aのオフセット値に基づき、デジタル信号A1aをオフセット補正、例えばデジタル信号A1aからオフセット値を減算して、オフセット補正済みのデジタル信号A2を出力する。
オフセット補正回路20Bは、A/D変換回路19Bから出力されたデジタル信号B1aのオフセット補正を行う。オフセット補正回路20Bは、上述のオフセット補正回路20Aと同様に、デジタル信号B1aの最大値B1MAXと最小値B1MINとを検出し、(B1MAX+B1MIN)/2を計算して取得したデジタル信号B1aのオフセット値を基に、デジタル信号B1aをオフセット補正する。そして、オフセット補正回路20Bは、オフセット補正済みのデジタル信号B2を出力する。なお、エンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1のオフセットが十分に調整されている場合には、オフセット補正回路20A,20Bは省略してもよい。
振幅補正回路21A,21Bは、オフセット補正回路20A,20Bから出力された2相のデジタル信号A2,B2の振幅を揃える振幅補正を行う。振幅補正回路21Aは、デジタル信号A2の最大値A2MAXと最小値A2MINとを検出し、A2MAX−A2MINを計算してデジタル信号A2の振幅値VAを得る。また、振幅補正回路21Bは、デジタル信号A2の最大値B2MAXと最小値B2MINとを検出し、B2MAX−B2MINを計算してデジタル信号B2の振幅値VBを得る。
次いで、振幅補正回路21A,21Bは、振幅値VAと振幅値VBとから振幅比を演算し、この振幅比から求めた乗算係数を2相のデジタル信号A2,B2の少なくとも一方に乗算して2相のデジタル信号A2,B2の振幅を揃える。具体的には、デジタル信号A2及びデジタル信号B2の一方が他方よりも振幅が大きい場合、一方に対してその振幅を減少させる乗算係数の乗算を行う方法と、他方に対してその振幅を増加させる乗算係数の乗算を行う方法と、前者の2つの方法を組み合わせる方法とのいずれを採用してもよい。そして、振幅補正回路21A,21Bは、振幅補正された2相のデジタル信号A3,B3をそれぞれ出力する。なお、エンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の位相が十分に揃っている場合には、振幅補正回路21A,21Bは省略してもよい。
図4は、オフセット補正された2相のデジタル信号A2,B2により形成されるリサージュ波形R2と、振幅補正された2相のデジタル信号A3,B3により形成されるリサージュ波形R3とを説明するための説明図である。図4の上段に示すように、オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差をそれぞれ含む2相の正弦波信号A1,B1により形成されるリサージュ波形R1は、長軸が座標軸に対して+45°又は−45°からずれた角度で傾き、且つ回転中心が座標原点からずれた楕円となる。そして、図4の中段に示すように、オフセット補正された2相のデジタル信号A2,B2をD/A(Digital / Analog)変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R2は、楕円の中心が座標原点と一致する。
図4の下段に示すように、振幅補正された2相のデジタル信号A3,B3には位相差の誤差(理想値90°からの誤差)が含まれているため、2相のデジタル信号A3,B3をD/A変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R3は真円とはならず、座標軸に対して長軸が+45°又は−45°傾き、且つ回転中心が座標原点上に位置する楕円となる。
図1に戻って、位相差補正回路22は、2相のデジタル信号A3,B3から位相差の誤差が補正された2相の補正信号A4,B4を生成すると共に、生成した2相の補正信号A4,B4の振幅補正を行う。また、位相差補正回路22は、後述の位相角取得部23で得られる位相角PHに生じる位相角誤差Δθを決定する。この位相差補正回路22は、位相差補正部30と、補正信号振幅補正部31と、誤差決定部32とを有している。
位相差補正部30は、加算器35と減算器36とを備えている。加算器35は、2相のデジタル信号A3,B3を加算した加算信号を生成し、この加算信号を補正信号A4として補正信号振幅補正部31へ出力する。減算器36は、2相のデジタル信号A3,B3の一方から他方を減算した減算信号を生成し、この減算信号を補正信号B4として補正信号振幅補正部31へ出力する。
図5は、位相差補正後の2相の補正信号A4,B4により形成されるリサージュ波形R4を説明するための説明図である。図5に示すように、2相の補正信号A4,B4を生成する加算演算及び減算演算は、位相差補正前の2相のデジタル信号A3,B3をD/A変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R3の各座標値を45°反時計回りに回転させた座標値に変換する演算に相当する。ただし、この場合には変換後の座標の原点からの距離が、変換前の距離と比較して√2倍となる。このため、2相の補正信号A4,B4により形成されるリサージュ波形R4は、長軸が座標軸に平行な楕円となり、且つ大きさも√2倍になる。
なお、本実施形態では回転角度を45度としたが、これに限らず、(2N+1)π/4[rad](N=0,1,2,3・・・)、すなわち135°、225°、315°の回転角度としてもよい。また、√2倍する代わりにゼロ以外の任意の実数を掛けても良い(上記特許文献1参照)。
2相の補正信号A4,B4は位相差補正部30により位相差が所望の90°に補正されるが、2相の補正信号A4,B4の振幅にはずれが生じている。このため、2相の補正信号A4,B4は、補正信号振幅補正部31にて振幅を揃える振幅補正が施される。
図1に戻って、補正信号振幅補正部31は、振幅補正回路38Aと振幅補正回路38Bとを有している。振幅補正回路38A,38Bは、前述の振幅補正回路21A,21Bと基本的に同じものである。従って、振幅補正回路38Aは、補正信号A4の最大値A4MAXと最小値A4MINとを検出し、A4MAX−A4MINを計算して補正信号A4の振幅値VA(図6参照)を得る。また、振幅補正回路38Bは、補正信号B4の最大値B4MAXと最小値B4MINとを検出し、B4MAX−B4MINを計算して補正信号B4の振幅値VB(図6参照)を得る。
次いで、振幅補正回路38A,38Bは、振幅値VAと振幅値VBとから振幅比を演算し、この振幅比を基に決定した乗算係数を2相の補正信号A4,B4の少なくとも一方に乗算して2相の補正信号A4,B4の振幅を揃える振幅補正を行う。そして、振幅補正回路38A,38Bは、振幅補正後の2相の補正信号A5,B5をそれぞれ位相角取得部23へ出力する。
図6は、振幅補正された2相の補正信号A5,B5をD/A変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R5を説明するための説明図である。図6に示すように、楕円のリサージュ波形R4を形成する振幅補正前の2相の補正信号A4,B4の振幅を揃えることにより、振幅補正後の2相の補正信号A5,B5をD/A変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R5は、回転中心が座標原点に一致した真円となる。すなわち、オフセット、振幅の誤差、及び位相差の誤差がそれぞれ補正された2相の補正信号A5,B5が得られる。
図1に戻って、振幅補正回路38A,38Bは、振幅補正後の2相の補正信号A5,B5をそれぞれ位相角取得部23へ出力すると共に、振幅補正の際に求めた2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBをそれぞれ誤差決定部32へ出力する。
図中「ATAN」で示す誤差決定部32は、詳しくは後述するが、振幅補正回路38A,38Bから入力された2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBに基づき、後述の位相角取得部23で得られる位相角PHに生じる位相角誤差Δθを決定する。
位相角取得部23は、振幅補正回路38A,38Bから出力された2相の補正信号A5,B5から、2相の補正信号A5,B5の位相角PH(内挿データ又は内挿値ともいう)を得る内挿処理を行う。この位相角PHは、上述の測定器の被測定体の位置データ40を示すものである。
位相角取得部23は、予め必要な内挿数の位相角PHが、2相の補正信号A5,B5の振幅比(正接関数)の逆正接関数(ATAN:arctangent)として記憶されたルックアップテーブルを備えている。そして、位相角取得部23は、振幅補正回路38A,38Bから入力された2相の補正信号A5,B5の振幅比を算出し、この振幅比をインデックスとしてルックアップテーブルを参照することにより、逆正接、すなわち、内挿された位相角PHを取得する。位相角取得部23は、取得した位相角PHを位相角補正部24へ出力する。
位相角補正部24は、位相角取得部23から出力された位相角PHを、誤差決定部32が決定した位相角誤差Δθで補正する。この位相角誤差Δθは、エンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の位相差の誤差(理想値90°からの誤差)により位相角PHに生じる誤差である。以下、位相角誤差Δθについて図7〜図10により説明を行う。
[位相角誤差Δθの説明]
図7は、位相差の誤差を含む振幅補正前の2相のデジタル信号A3,B3をD/A変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R3(実線で表示)と、位相差の誤差がない理想的な2相のデジタル信号A3,B3をD/A変換した正弦波信号により形成されるリサージュ波形R0(点線で表示)とを説明するための説明図である。ここではリサージュ波形R3を実線で表示し、リサージュ波形R0を点線で表示している。
図7に示すように、リサージュ波形R0の半径を1とし、このリサージュ波形R0上の任意の座標(x,y)に対応する位相角をθとした場合、座標(x,y)は下記の[数1]式で表される。
一方、2相のデジタル信号A3,B3の間に位相差の誤差φ(0<φ<π/2)が発生している場合、リサージュ波形R3は図中に示したように楕円となる。そして、リサージュ波形R0の座標(x,y)に対応する(x座標が同一座標となる)リサージュ波形R3上の座標(x1,y1)は下記の[数2]式で表される。また、リサージュ波形R3上の座標(x1,y1)に対応する位相角をθ1とすると、このθ1は下記の[数3]式に示すように「θ」と「φ」で表される。
図8は、図7に示したリサージュ波形R3の位相差補正後のリサージュ波形R4を説明するための説明図である。図8に示すように、位相差補正(45°回転)によって図7に示したリサージュ波形R3上の座標(x1,y1)は、リサージュ波形R4上の座標(x2,y2)に移動する。なお、図中の符号「θ2」は、リサージュ波形R4上の座標(x2,y2)に対応する位相角であり、θ1+45°(π/4)で表される。
座標(x2,y2)は、下記の[数4]式で表される。そして、下記の[数4]式の計算結果は、下記の[数5]式に示すような合成公式を用いると、下記の[数6]式で表すことができる。なお、[数5]式中のα及びβは任意の定数である。
図9は、図8に示したリサージュ波形R4の振幅補正後のリサージュ波形R5を説明するための説明図である。なお、図中ではリサージュ波形R4を点線で表示し、リサージュ波形R5を実線で表示している。図9に示すように、振幅補正により図8に示したリサージュ波形R4上の座標(x2,y2)は、リサージュ波形R5上の座標(x3,y3)に移動する。この座標(x3,y3)は、下記の[数7]式で表される。また、図中の符号「θ3」は、リサージュ波形R5上の座標(x3,y3)に対応する位相角(すなわち、前述の位相角PH)である。
座標(x3,y3)は座標(x,y)とは一致せず、θ3とθとの間には位相角誤差Δθ(Δθ=θ3−θ)が生じる。この位相角誤差Δθを求める場合には、数式を簡略化するため、θ=0となるように座標系を回転したモデルで計算を行う。具体的には、上記[数7式]においてθ=0を代入することで得られる座標(x3,y3)を(Δx,Δy)として下記[数8]式で表した場合、位相角誤差Δθは下記[数9]式で表される。
上記[数9]式に示すように、位相角誤差Δθは、位相差の誤差φの大きさに応じて変化する値である。この位相角誤差Δθは、上記[数9]式以外に、位相差補正による回転分[45°(π/4)]を含んだ式によっても表すことができる。
図10は、位相角誤差Δθから位相差補正による45°(π/4)回転分を引いた角度である角度ψ(ψ=Δθ−π/4)の算出を説明するための説明図であり、より具体的には上記[数9]式が示す三角関数tanΔθを図面化したものである。なお、角度ψは位相補正時に生じる位相角PHのオフセットであるともいえる。
図10に示すように、cosφ=aとし、sinφ=bとすると、角度ψをなす斜辺hy1及び斜辺hy2のそれぞれの長さと、角度ψに対向する対辺oppの長さとは、下記の[数10]式で表される。
上記[数10]式に示した斜辺hy1の長さ、斜辺hy2の長さ、及び対辺oppの長さと、角度ψとの間には、余弦定理により下記[数11]式を満たす関係が成り立つ。
上記[数11]式は、「a+b=cosφ+sinφ=1」の関係により式中の「a+(1+b)」が「2(1+b)」となるので、下記[数12]式に変形(簡略化)することができる。そして、この[数12]式を2乗すると下記[数13]式が得られる。
上記[数13]式は、いわゆる半角の公式であるので、角度ψはψ=φ/2より算出される。従って、2相のデジタル信号A3,B3[x=cosθ、y=sin(θ+φ)]を位相差補正及び振幅補正することによる楕円のリサージュ波形R3から真円のリサージュ波形R5への写像において、写像後の位相角θ3と、位相差の誤差がない真の位相角θとの間には、下記[数14]に示す位相角誤差Δθが生じる。
上記[数14]式における「π/4」は位相差補正の座標回転により生じるものであり、「φ/2」は上記の写像により生じる写像誤差である。この写像誤差φ/2を補償しないと、位相角PHが位相差の誤差φの大きさに応じて変わってしまう。そこで、本実施形態では、上述の補正信号振幅補正部31による振幅補正時に得た2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBから位相差の誤差φを推定して補償、より具体的には、位相差の誤差φを含む位相角誤差Δθを推定して位相角PHを位相角誤差Δθで補正する。以下、2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBから位相差の誤差φが推定できる理由について説明する。
上記[数6]式を簡略化すると下記の[数15]式のように表すことができる。ここで、[数15]式中の「Ax」は前述の振幅値VAに相当し、[数15]式中の「Ay」は前述の振幅値VBに相当する。
次いで、r=Ay/Axとした場合、このrは下記の[数16]式で表される。
ここで、上記[数16]式中の右辺の「(1+sinφ)/cosφ」の逆正接を算出すると、上記[数9]式に示したようにΔθとなる。従って、上記[数16]式は下記の[数17]式のように表される。これにより、位相角誤差Δθを下記の[数18]式から求めることができる。
上記[数18]式に示すように、位相角誤差Δθは、2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBの振幅比の逆正接より算出することができる。従って、図1に「ATAN」で示した誤差決定部32は、上記[数18]式に基づき、前述の位相角取得部23と同様の逆正接関数ルックアップテーブルを用いて、上述の補正信号振幅補正部31が振幅補正時に取得した2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBから位相角誤差Δθを決定し、決定した位相角誤差Δθを位相角補正部24へ出力する。
[位相角補正]
図1に戻って、位相角補正部24は、位相角取得部23から出力された位相角PHを、誤差決定部32が決定した位相角誤差Δθで補正、具体的には位相角PHから位相角誤差Δθを減算した補正位相角PHCを求め、この補正位相角PHCを演算処理回路25へ出力する。
演算処理回路25は、CPU(Central Processing Unit)或いはFPGA(field-programmable gate array)を含む各種の演算部及び処理部及び記憶部により構成されている。この演算処理回路25は、位相角PH及び補正位相角PHCなどの位相角と、前述の被測定体の位置データ40との関係を示すルックアップテーブル又は演算式等を有しており、位相角補正部24から入力された補正位相角PHCを基に被測定体の位置データ40を演算する。そして、演算処理回路25は、位置データ40を図示しない測定器の制御装置へ出力する。
[内挿装置の作用]
次に、図11を用いて上記構成の内挿装置10の作用(本発明の内挿方法)について説明する。図11は、内挿装置10による位置データ40の演算までの流れを示したフローチャートである。
測定器の被測定体の変位に伴い、エンコーダ9から内挿装置10に向けて2相の正弦波信号A1,B1が出力される。これら2相の正弦波信号A1,B1は、A/D変換回路19A,19Bによりそれぞれデジタル信号A1a,B1aに変換された後、それぞれ内挿装置10のオフセット補正回路20A,20Bに入力される(ステップS1)。
デジタル信号A1aの入力を受けたオフセット補正回路20Aは、デジタル信号A1aの最大値A1MAXと最小値A1MINとを検出することによりデジタル信号A1aのオフセット値を取得し、このオフセット値に基づきデジタル信号A1aをオフセット補正してデジタル信号A2を出力する。また、オフセット補正回路20Bは、デジタル信号B1aの最大値B1MAXと最小値B1MINとを検出することによりデジタル信号B1aのオフセット値を取得し、このオフセット値に基づきデジタル信号B1aをオフセット補正してデジタル信号B2を出力する。これにより、オフセット補正済みの2相のデジタル信号A2,B2がそれぞれ振幅補正回路21A,21Bに入力される(ステップS2、本発明のオフセット補正ステップに相当)。
デジタル信号A2の入力を受けた振幅補正回路21Aは、デジタル信号A2の最大値A2MAXと最小値A2MINとを検出することによりデジタル信号A2の振幅値VAを求める。また、デジタル信号B2の入力を受けた振幅補正回路21Bは、デジタル信号B2の最大値B2MAXと最小値B2MINとを検出することによりデジタル信号B2の振幅値VBを求める。
次いで、振幅補正回路21A,21Bは、振幅値VAと振幅値VBとから振幅比を演算し、この振幅比から求めた乗算係数を2相のデジタル信号A2,B2の少なくとも一方に乗算して2相のデジタル信号A2,B2の振幅を揃える振幅補正を行う(ステップS3、本発明の出力信号振幅補正ステップに相当)。そして、振幅補正済みの2相のデジタル信号A3,B3が位相差補正回路22の位相差補正部30を構成する加算器35及び減算器36にそれぞれ入力される。
加算器35は、2相のデジタル信号A3,B3を加算した加算信号を生成し、この加算信号を補正信号A4として補正信号振幅補正部31の振幅補正回路38Aへ出力する。また、減算器36は、2相のデジタル信号A3,B3の一方から他方を減算した減算信号を生成し、この減算信号を補正信号B4として補正信号振幅補正部31の振幅補正回路38Bへ出力する。加算器35による加算演算と減算器36による減算演算とを行うことで、位相差の誤差が補正され、既述の図5に示したリサージュ波形R4を形成する2相の補正信号A4,B4が得られる(ステップS4、本発明の位相差補正ステップに相当)。
補正信号A4の入力を受けた振幅補正回路38Aは、補正信号A4の最大値A4MAXと最小値A4MINとを検出することにより補正信号A4の振幅値VAを求める。また、補正信号B4の入力を受けた振幅補正回路38Bは、補正信号B4の最大値B4MAXと最小値B4MINとを検出することにより補正信号B4の振幅値VBを求める。
次いで、振幅補正回路38A,38Bは、振幅値VAと振幅値VBとから振幅比を演算し、この振幅比から求めた乗算係数を2相の補正信号A4,B4の少なくとも一方に乗算して2相の補正信号A4,B4の振幅を揃える振幅補正を行う(ステップS5、本発明の補正信号振幅補正ステップに相当)。そして、振幅補正済みの2相の補正信号A5,B5が位相角取得部23に入力される。
また、振幅補正回路38A,38Bは、振幅補正の際に求めた補正信号A4の振幅値VAと補正信号B4の振幅値VBとを誤差決定部32へ出力する。これにより、誤差決定部32は、振幅値VA,VBの振幅比を算出し、この振幅比をインデックスとしてルックアップテーブルを参照することで位相角誤差Δθを決定する(ステップS6、本発明の誤差決定ステップに相当)。そして、誤差決定部32は、決定した位相角誤差Δθを位相角補正部24へ出力する。
一方、振幅補正回路38A,38Bから2相の補正信号A5,B5の入力を受けた位相角取得部23は、2相の補正信号A5,B5の振幅比を算出し、この振幅比をインデックスとしてルックアップテーブルを参照することで、位相角PHを取得する(ステップS7、本発明の位相角取得ステップに相当)。そして、位相角取得部23は、取得した位相角PHを位相角補正部24へ出力する。
位相角PH及び位相角誤差Δθの入力を受けた位相角補正部24は、位相角PHから位相角誤差Δθを減算して位相角PHの補正を行う(ステップS8、本発明の位相角補正ステップに相当)。これにより、エンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の位相差の誤差に起因する位相角誤差Δθを補正することができる。そして、位相角補正部24は、補正した補正位相角PHCを演算処理回路25へ出力する。
補正位相角PHCの入力を受けた演算処理回路25は、この補正位相角PHCを基に測定器の被測定体の位置データ40を演算して、この位置データ40を図示しない測定器の制御装置に出力する(ステップS9)。これにより、制御装置にて位置データ40が表示及び記憶される。
[本実施形態の内挿装置の効果]
以上のように、内挿装置10では、位相差補正後の振幅補正の際に求めた2相の補正信号A4,B4の振幅値VA,VBから位相角誤差Δθを決定することにより、エンコーダ9から出力された2相の正弦波信号A1,B1を内挿処理して求めた位相角PHを位相角誤差Δθで補正することができる。すなわち、2相の正弦波信号A1,B1の位相差の誤差φにより位相角PHに生じる位相角誤差Δθであって且つ誤差φの大きさに依存する位相角誤差Δθを補正することができる。これにより、位相差の誤差φの大きさに応じて位相角PHの値が変化したとしても、位相差の誤差φを補償した補正位相角PHCが得られる。その結果、位置データ40の誤差を減らすことができるので、位置データ40の測定精度を向上させることができる。
図12(A),(B)は、位相差の誤差φが時間と共に大きくなる場合の本実施形態の効果を説明するための説明図である。図12(A)は、時間(ここではscale signal phaseとして表示)の経過と共に位相差の誤差φ(phase error)が大きくなる場合を表した説明図である。図12(B)は、図12(A)に示した位相差の誤差φが発生した場合において、位相角PHの補正を行う場合と行わない場合の位置データ40の誤差(error)の大きさを比較した比較図である。図12(A),(B)に示すように、位相角補正を行うことで位置データ40の測定精度を向上させることができる。
図13(A),(B)は、位相差の誤差φが時間と共に増減する場合の本実施形態の効果を説明するための説明図である。図13(A)は、時間(ここではエンコーダサイクル数として表示)の経過に応じて位相差の誤差φが増減する場合を表した説明図である。図13(B)は、図13(A)に示した位相差の誤差φが発生した場合において、位相差補正を行わなかった場合(位相差補正なし)と、上記特許文献1の位相差補正を行った場合(従来手法)と、本実施形態の位相角PHの補正を行った場合(提案する方法)とにおける位置データ40の誤差を比較した比較図である。図13(A),(B)に示すように、位相角PHの補正を行うことにより、単に位相差補正を行った場合と比較して位置データ40の測定精度をより向上させることができる。
[その他]
図14は、他実施形態の内挿装置10の電気的構成を示すブロック図である。上記実施形態では、位相角取得部23及び誤差決定部32が個別に設けられているが、位相角取得部23及び誤差決定部32は、共に振幅比をインデックスとして逆正接関数ルックアップテーブルを参照することで逆正接(位相角PH、位相角誤差Δθ)を取得している。このため、位相角取得部23及び誤差決定部32を同一の回路で共用してもよい。
具体的には、図14に示すように、内挿装置10の位相差補正回路22(補正信号振幅補正部31)の後段に、タイマーモジュール199と、セレクタ200A,200Bと、前述の位相角取得部23及び誤差決定部32として機能する逆正接部201と、セレクタ202と、フリップフロップ回路203A,203Bと、前述の位相角補正部24と、を設ける。
タイマーモジュール199は、セレクタ200A,200Bとセレクタ202とに対して切換クロックを出力する。また、タイマーモジュール199は、フリップフロップ回路203A,203Bに対してラッチクロックを出力する。
セレクタ200Aは、補正信号振幅補正部32の振幅補正回路38A(図1参照)に接続しており、タイマーモジュール199から入力される切換クロックに応じて、前述の補正信号A5と振幅値VAとを交互に逆正接部201へ出力する。また、セレクタ200Bは、補正信号振幅補正部32の振幅補正回路38B(図1参照)に接続しており、タイマーモジュール199から入力される切換クロックに応じて、前述の補正信号B5と振幅値VBとを交互に逆正接部201へ出力する。これにより、切換クロックに応じて、2相の補正信号A5,B5と振幅値VA,VBとが交互に(時分割で)逆正接部201に入力される。
逆正接部201は、2相の補正信号A5,B5が入力された場合は前述の位相角取得部23として機能し、2相の補正信号A5,B5の振幅比をインデックスとしてルックアップテーブルを参照することで、位相角PHを取得及び出力する。また、逆正接部201は、振幅値VA,VBが入力された場合は前述の誤差決定部32として機能し、振幅値VA,VBの振幅比をインデックスとしてルックアップテーブルを参照することで、位相角誤差Δθを取得及び出力する。
セレクタ202は、前述の切換クロックに応じて、逆正接部201から入力された位相角PHをフリップフロップ回路203Aへ出力すると共に、逆正接部201から入力された位相角誤差Δθをフリップフロップ回路203Bへ出力する。
フリップフロップ回路203A,203Bは、それぞれタイマーモジュール199から入力されるラッチクロックに同期して、セレクタ202から入力される新たな位相角PHと位相角誤差Δθの保持記憶を行うと共に、先に保持記憶した位相角PHと位相角誤差Δθを位相角補正部24へ出力する。
位相角補正部24は、既述の通り、位相角PHから位相角誤差Δθを減算して位相角PHの補正を行い、補正位相角PHCを演算処理回路25へ出力する。
このように図14に示した他実施形態によれば、位相角取得部23及び誤差決定部32のモジュール(回路)を時分割で共用することができるので、内挿装置10の回路規模を縮小することができる。
上記実施形態では測定器に搭載されるエンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の内挿処理について説明したが、測定器以外に搭載されるエンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の内挿処理についても本発明を適用可能である。また、エンコーダ9には、インクリメンタルタイプ及びアブソリュートタイプなど各種タイプがあるが、エンコーダ9のタイプは特に限定されるものではない。
上記実施形態では、エンコーダ9から内挿装置10に対して2相の正弦波信号A1,B1が出力される場合について説明したが、エンコーダ9から正弦波信号以外の信号(例えば90°位相差の矩形波信号等)が出力される場合には、予め波形整形などを行って正弦波信号に変換してから内挿装置10へ出力する。また、上記実施形態では、エンコーダ9から出力される2相の正弦波信号A1,B1の位相差が90°である場合について説明したが、この位相差90°には略90°も含まれる。
上記実施形態では、位相差補正部30が加算減算を行うことにより2相のデジタル信号A3,B3の位相差誤差を補正しているが、位相差誤差の補正方法は公知の各種方法を採用可能である。
上記実施形態では、エンコーダ9から出力された2相の正弦波信号A1,B1をA/D変換回路19A,19Bによりそれぞれデジタル信号A1a,B1aに変換しているため、内挿装置10で行われる信号処理は全てデジタル信号処理になるが、例えば、位相角取得部23及び誤差決定部32で行われる以外の処理をアナログ信号処理してもよい。
上記実施形態では、補正位相角PHCを基に演算処理回路25が位置データ40を演算しているが、補正位相角PHCから位置データ40を求める方法は特に限定されるものではなく、例えば、補正位相角PHCを基に2相方形波を発生させ、この2相方形波のパルスをカウントして位置データ40を求めるなど公知の手法を採用してもよい。
上記実施形態の内挿装置10は、オフセット補正回路20A,20Bと、振幅補正回路21A,21Bと、位相差補正回路22と、位相角取得部23と、位相角補正部24と、演算処理回路25とを備えるが、これら各回路としてコンピュータ(演算装置)を機能させるプログラムをコンピュータに組み込むことにより、コンピュータを本発明の内挿装置として機能させることもできる。
9 エンコーダ,10 内挿装置,20A,20B オフセット補正回路,21A,21B 振幅補正回路,22 位相差補正回路,23 位相角取得部,24 位相角補正部,25 演算処理回路,30 位相差補正部,31 補正信号振幅補正部,32 誤差決定部

Claims (6)

  1. エンコーダより出力された90°の位相差を有する2相の周期的な出力信号から、前記位相差の誤差が補正された2相の補正信号を生成する位相差補正を行う位相差補正ステップと、
    前記位相差補正ステップにて生成された前記2相の補正信号の振幅を揃える振幅補正を行う補正信号振幅補正ステップと、
    前記補正信号振幅補正ステップで振幅補正された前記2相の補正信号を内挿処理して位相角を得る位相角取得ステップと、
    前記補正信号振幅補正ステップにて振幅補正される前の前記2相の補正信号の振幅から、前記位相差の誤差により前記位相角に生じる誤差である位相角誤差を決定する誤差決定ステップと、
    前記位相角取得ステップで取得した前記位相角を、前記誤差決定ステップで決定した前記位相角誤差で補正する位相角補正ステップと、
    を有する内挿方法。
  2. 前記振幅補正される前の前記2相の補正信号の一方の振幅値をVAとし、他方の振幅値をVBとし、前記位相角誤差をθとした場合、前記誤差決定ステップは、前記位相角誤差を下記の式、
    θ=tan−1(VB/VA)
    を用いて決定する請求項1に記載の内挿方法。
  3. 前記位相差補正ステップでは、前記2相の周期的な出力信号を加算した加算信号と、前記2相の周期的な出力信号の一方から他方を減算した減算信号とを、前記2相の補正信号として生成する請求項1又は2に記載の内挿方法。
  4. 前記位相差補正ステップの前に、前記2相の周期的な出力信号の振幅を揃える振幅補正を行う出力信号振幅補正ステップを有し、
    前記位相差補正ステップは、前記出力信号振幅補正ステップにて振幅補正された前記2相の周期的な出力信号の入力を受けて、前記位相差補正を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の内挿方法。
  5. 前記位相差補正ステップの前に、前記2相の周期的な出力信号のオフセット値を求め、前記オフセット値に基づき前記2相の周期的な出力信号に対してオフセット補正を行うオフセット補正ステップを有し、
    前記位相差補正ステップは、前記オフセット補正ステップにてオフセット補正された前記2相の周期的な出力信号の入力を受けて、前記位相差補正を行う請求項1から4のいずれか1項に記載の内挿方法。
  6. エンコーダより出力された90°の位相差を有する2相の周期的な出力信号から、前記位相差の誤差が補正された2相の補正信号を生成する位相差補正を行う位相差補正部と、
    前記位相差補正部から出力された前記2相の補正信号の振幅を揃える振幅補正を行う補正信号振幅補正部と、
    前記補正信号振幅補正部が振幅補正した前記2相の補正信号を内挿処理して位相角を得る位相角取得部と、
    前記補正信号振幅補正部により振幅補正される前の前記2相の補正信号の振幅から、前記位相差の誤差により前記位相角に生じる誤差である位相角誤差を決定する誤差決定部と、
    前記位相角取得部が取得した前記位相角を、前記誤差決定部が決定した前記位相角誤差で補正する位相角補正部と、
    を備える内挿装置。
JP2016036287A 2016-02-26 2016-02-26 内挿方法及び内挿装置 Active JP6624446B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036287A JP6624446B2 (ja) 2016-02-26 2016-02-26 内挿方法及び内挿装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036287A JP6624446B2 (ja) 2016-02-26 2016-02-26 内挿方法及び内挿装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017151061A JP2017151061A (ja) 2017-08-31
JP6624446B2 true JP6624446B2 (ja) 2019-12-25

Family

ID=59739772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016036287A Active JP6624446B2 (ja) 2016-02-26 2016-02-26 内挿方法及び内挿装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6624446B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH712932A2 (de) * 2016-09-16 2018-03-29 NM Numerical Modelling GmbH Verfahren zur Bestimmung der Position eines Positionsgebers eines Positionsmesssystems.
WO2019142875A1 (ja) * 2018-01-19 2019-07-25 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置、及び回転角検出方法
JP2019132603A (ja) * 2018-01-29 2019-08-08 旭化成エレクトロニクス株式会社 回転検出回路、回転検出装置、及び、回転検出方法
US11397098B2 (en) * 2018-10-15 2022-07-26 Integrated Device Technology, Inc. Method for detecting errors in a rotating position sensor system having sine and cosine signals
JP6854841B2 (ja) * 2019-04-19 2021-04-07 三菱電機株式会社 角度検出装置
JP2021047033A (ja) * 2019-09-17 2021-03-25 ファナック株式会社 エンコーダおよびエンコーダの制御方法
EP4198458B1 (en) 2021-12-20 2024-04-24 Melexis Technologies SA Device and method for determining an angular position of inductive position sensor

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08145719A (ja) * 1994-09-22 1996-06-07 Canon Inc 位置または角度の検出方法
JPH1021553A (ja) * 1996-07-03 1998-01-23 Nikon Corp 情報再生装置及び情報記録媒体
JP4202098B2 (ja) * 2001-11-21 2008-12-24 株式会社ミツトヨ 位相差誤差検出装置及びそれを用いた内挿誤差見積装置
DE102004024398B4 (de) * 2004-05-17 2008-05-15 Infineon Technologies Ag Verfahren und Vorrichtungen zum Einstellen einer Bestimmungsvorschrift eines Winkelsensors
US7852969B2 (en) * 2007-07-30 2010-12-14 Mitutoyo Corporation System and method for dynamic calibration of a quadrature encoder
JP5184590B2 (ja) * 2010-07-30 2013-04-17 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ 回転検出器およびその位相誤差補正方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017151061A (ja) 2017-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6624446B2 (ja) 内挿方法及び内挿装置
JP4138899B2 (ja) 位置検出のための位相差検出装置及び位置検出システム並びに方法
JP4768248B2 (ja) エンコーダ出力信号補正装置及び方法
JP3659976B2 (ja) エンコーダの内挿回路
TWI413780B (zh) The phase correction circuit of the encoder signal
JP6163874B2 (ja) 回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法
JP4713123B2 (ja) エンコーダ出力信号補正装置
US10393499B2 (en) Angle determinating method using encoder signal with noise suppression, adjusting method for output signal of encoder and absolute encoder
JP6005781B2 (ja) レゾルバ装置
JPH06167354A (ja) スケールの内挿処理装置
JP2010216961A (ja) エンコーダ出力信号補正装置及び方法
JP2014025871A (ja) エンコーダ出力信号補正装置
US20200003585A1 (en) Position detection device and position detection method
JP2003149003A (ja) エンコーダの位相差補正装置、位相差補正方法及び位相差補正プログラム
JP2011064459A (ja) エンコーダ信号の補正回路
JP2003222534A (ja) 位相差誤差検出装置及びそれを用いた内挿誤差見積装置
US10797624B2 (en) Rotation angle correction device and motor control system
JP2014013209A (ja) 角度検出装置
JP2012073053A (ja) 回転角度検出装置
JP5376338B2 (ja) 回転角検出装置
JP4713117B2 (ja) エンコーダの出力信号補正装置及び方法
JPH02251720A (ja) エンコーダの内挿方式
JP2009244022A (ja) 位相検出回路
JP6750857B2 (ja) 座標データ回転演算装置及び座標データ回転演算方法
JP3365913B2 (ja) 位置検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6624446

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250