JP4224677B2 - 光学式エンコーダの位置検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度の位置決めを行う光学式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
光学式エンコーダには、ロータリーエンコーダとリニアエンコーダとが存在するが、説明の具体化のためロータリーエンコーダの従来技術について説明する。図7は、従来技術のロータリエンコーダの光学系のブロック図である。このロータリエンコーダの検出原理は、A相,B相という2相の正弦波信号を逆正接演算し、位置検出を行うというものである。光学系は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの発光素子1、光を透過/遮光するスリット板2、スリット板2を透過した光を受光して電流に変換する受光素子3により構成される。
【0003】
受光素子3はスリット板2のパターンと組合わせて、スリット板2が回転すると、位相の90度ずれたA相,B相という2相の正弦波電流が出力されるように構成されている。なお、正弦波電流の波形がより正弦波に近づくように、スリット板2と受光素子3との間隔は、特に、厳密に規定される。
【0004】
受光素子3から出力された電流は、電子回路である下位信号変換&波形調整手段4に入力される。下位信号変換&波形調整手段4は、電流/電圧変換を行うとともに、波形のオフセットが所定の値(例えば0)になり、かつ、A相,B相の振幅が等しくなるように調整し、A/D変換を行ってアナログ信号からデジタル信号へ変換して出力する。
【0005】
ディジタル信号に変換された2相の信号(以降、A相信号、B相信号)は、例えば、次式で近似できる。なお、ディジタル信号であることから離散データとして式を表すこともできるが、説明の直感的理解を図るため、敢えてアナログ信号として説明されている。
【0006】
【数1】
A≒P・cosθL1
B≒P・sinθL1
ただし、
A :A相信号
B :B相信号
θL1:位置
P :振幅
【0007】
こうして得られたA相信号・B相信号は、逆正接演算手段(tan−1演算)5にて、次式の演算がなされ、位置検出値θL1が出力される。
【0008】
【数2】
θL1=tan−1(B/A)
【0009】
ここにθL1 は角度であって、相対的な位置を表すこととなる。
【0010】
このような光学式エンコーダでは、誤差の発生が補正するような各種の信号処理が行われている。例えば、エンコーダの出力信号処理回路(特許文献1参照)では、90゜の位相差があるA.B相の信号に対し、オフセットと振幅誤差とを除去する処理を行い、エンコーダの検出精度を向上させている。従来技術はこのようなものである。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−311741号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
逆正接演算を行う位置検出では、オフセットと振幅誤差のみならず、A相信号、B相信号が完全な正弦波でない場合にも、位置検出誤差が生じる。この点について図を参照しつつ説明する。図8は、逆正接演算による位置検出で発生する位置検出誤差の説明図である。
受光素子3から出力されるA相,B相の正弦波信号の電流波形は、図8で示すように、スリット板2と受光素子3との間隔に応じて変化するというものである。
【0013】
スリット板2と受光素子3との間隔がゼロであると仮定した場合、受光素子3から出力される電流波形は、理論上三角波になる。スリット板2と受光素子3との間隔が長くなるに従い、LEDの斜め方向の光成分と回折の影響により、波形が鈍って振幅は小さくなり、波形の形状は正弦波に近くなる。
A相信号とB相信号との波形を、正弦波に近づけるためには、スリット板2と受光素子3と間隔を広くするのが望ましいが、振幅が小さくなりS/N比が低下するために、たとえ正弦波が三角波に近くなったとしても、間隔を狭く設計することがある。なお、このようなA相信号,B相信号の波形は、完全な正弦波でなく、おおよその正弦波である正弦波状の信号となっている。
【0014】
また、加工や組立のばらつきにより、スリット板2と受光素子3との間隔は設計値通りにはならずに、結果として、A相信号とB相信号との波形が三角波に近かったり、正弦波に近かったりという信号になり、ロータリエンコーダによる個体差を生んでいる。すなわち、ロータリエンコーダの位置検出精度が、良いものと、悪いものを生じている。
【0015】
さらに、スリット板2が傾いたり、平坦でなくうねっていたりすると、1回転中において、A相信号とB相信号の波形のひずみ具合が異なっていることもある。このような場合、さらに厳密に見ると、A相信号とB相信号の間でも波形のひずみ具合が異なっている場合もある。これらも、また、位置検出誤差を大きくしている。
【0016】
本発明は上記したような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、A相信号・B相信号の波形が、正弦波ではなく、三角波に近いようなひずんだ波形であり、しかもそのひずみの度合に個体差があるような場合でも、正確な位置検出を行うようにする光学式エンコーダの位置検出方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅と3次高調波振幅とを演算し、
前記3次高調波振幅の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅、3次高調波振幅および5次高調波振幅を演算し、
前記5次高調波振幅から前記3次高調波振幅を減算した値の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅と3次高調波振幅とを演算し、 前記3次高調波振幅の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波と前記逆正接値の2倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅、3次高調波振幅および5次高調波振幅とを演算し、
前記5次高調波振幅から前記3次高調波振幅を減算した値の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波と前記逆正接値の2倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
請求項1または請求項3に記載の光学式エンコーダの位置検出方法において、
電気的に書換え可能な不揮発性メモリを備え、前記3次高調波振幅の前記基本波振幅に対する比率に基づいて求めた誤差補正ゲインを不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする。
【0022】
また、請求項6に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
請求項2または請求項4に記載の光学式エンコーダの位置検出方法において、電気的に書換え可能な不揮発性メモリを備え、前記5次高調波振幅から前記3次高調波振幅を減算した値の前記基本波振幅に対する比率に基づいて求めた誤差補正ゲインを不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする。
【0023】
また、請求項7に記載の光学式エンコーダの位置検出方法によれば、
請求項5または請求項6に記載の光学式エンコーダの位置検出方法において、A相,B相の正弦波状信号から上位の絶対位置検出値を出力する上位位置検出出力手段を有し、上位の絶対位置を所定角度間隔にn分割し、前記不揮発性メモリに書き込む誤差補正ゲインをn分割された上位の絶対位置に応じて読み出されるn個のテーブルデータとすることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図を参照しつつ説明する。まず、本実施形態における位置検出誤差の低減原理を、式を用いて説明する。
正弦波がひずんだ波形(正弦波状波形)には、高調波成分が重畳されている。高調波成分を含んだA相信号、B相信号は次式で表すことができる。
【0025】
【数3】
A=PA1cos(θ)+PA2cos(2θ)+PA3cos(3θ)+・・・+PAncos(nθ)+・・・
B=PB1sin(θ)+PB2sin(2θ)+PB3sin(3θ)+・・・+PBnsin(nθ)+・・・
ここで、
θ:位置
PA1:A相信号基本波振幅
PAn:A相信号n次高調波振幅(n=2,3,・・・)
PB1:B相信号基本波振幅
PBn:B相信号n次高調波振幅(n=2,3,・・・)
【0026】
正弦波がひずんで、三角波に近くなっているということは、特に3次高調波成分が支配的であると言うことができ、A相信号、B相信号は、次式で近似できる。
【0027】
【数4】
A≒PA1cos(θ)+PA3cos(3θ)
B≒PB1sin(θ)+PB3sin(3θ)
【0028】
ここでA相信号基本波の振幅とB相信号基本波の振幅、さらにA相信号の3次高調波振幅とB相信号の3次高調波振幅が等しいとした場合(PA1=PB1=P1,PA3=PB3=P3の場合)には、A相信号とB相信号とを逆正接演算した結果は、次式数5で近似できる。
【0029】
【数5】
tan−1(B/A)≒θ−(P3/P1)sin(4θ)
【0030】
ここで、第2項の“−(P3/P1)sin(4θ)”が誤差となる。すなわち、4倍周波数の正弦波に、3次高調波振幅の基本波振幅に対する比率をゲインとして乗算した値である。なお誤差の符号は、座標軸の取り方にもよるが、この説明の場合は負となる。
また、ここでθは位置の真値であるが、実際には得られないので、本発明は逆正接演算結果を、“θ≒(tan−1(B/A))”として用いる。結果として、本実施形態の発明では、位置検出を行うために次式の演算を行う。
【0031】
【数6】
θL1=tan−1(B/A)−(−(P3/P1)sin(4・tan−1(B/A)))
【0032】
光学式エンコーダはこのようにして位置検出値θL1 を算出することで、位置検出誤差を低減する。
【0033】
続いて、この検出原理を採用する本発明の第一実施形態の光学式エンコーダの構成について図を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
光学式エンコーダは、発光素子1、スリット板2、受光素子3、下位信号変換&波形調整手段4、逆正接演算手段5、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7を少なくとも備えている。ここに従来技術と同じ構成の発光素子1、スリット板2、受光素子3、下位信号変換&波形調整手段4、逆正接演算手段5については同一の符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0034】
この光学式エンコーダのスリット板2はモータ8の回転軸に取り付け固定されているものである。モータ8はドライバ9に接続されている。これらモータ8とドライバ9とは、スリット板2を回転させる装置の一具体例であり、他の回転手段への置き換えも可能である。スリット板2が一定速度で回転すると、逆正接演算手段5に入力するA相信号、B相信号は、一定周波数の正弦波状波形になる。
【0035】
続いて、この光学式エンコーダの個々の構成及び機能について、信号処理とともに一括して説明する。なお実際はディジタルデータを用いて信号処理されるのであるが、説明を容易にするためアナログ信号を処理するものとして説明されている。
【0036】
例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子1から光が出射されており、受光素子3はその光を受光したときに電流を出力するようになされている。モータ8が回転駆動すると、同時にスリット板2が回転し、スリット(図示せず)により発光素子1からの光を透過/遮光を交互に繰り返す。これによりスリット板2の回転時には、受光素子3は2相の正弦波状信号であるA相信号・B相信号を出力する。
【0037】
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号・B相信号は、逆正接演算手段5と誤差補正ゲイン演算手段7へ出力される。
ここで、本実施形態では、誤差補正ゲイン演算手段7は、エンコーダ内に設けられた構成としているが、誤差補正ゲイン演算手段7をエンコーダとは別の外部装置とし、エンコーダの実動作とはオフラインで動作させることもできる。すなわち、モータ8、ドライバ9、エンコーダ、誤差補正ゲイン演算手段7(外部装置)からなるシステムで、まず、後述するように誤差補正ゲインΔgを求める。このとき誤差補正ゲイン演算手段7への入力はA,B相の正弦波信号のみであり、エンコーダはA,B相の正弦波信号(デジタル量でも、A/D変換前のアナログ量であってもよい)を出力するものであればよい。次に、誤差補正ゲイン演算手段7で求めた誤差補正ゲインΔgをエンコーダ搭載のROMなどに格納され、工場出荷されるエンコーダが完成する。まず、誤差補正ゲイン演算手段7での演算について説明する。
【0038】
この誤差補正ゲイン演算手段7は、基本波振幅演算手段701、3次高調波振幅演算手段702、除算手段703,704、平均手段705、ゲイン乗算手段713,714を備えている。
【0039】
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、基本波振幅演算手段701および3次高調波振幅演算手段702へ入力される。
この基本波振幅演算手段701は基本波振幅PA1、PB1を、また、3次高調波振幅演算手段702は3次高調波振幅PA3、PB3を、例えばFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)などを用いてそれぞれ求めて出力する。
基本波振幅PA1および3次高調波振幅PA3は、除算手段703へ入力され、また、基本波振幅PB1および3次高調波振幅PB3は、除算手段704へ入力される。
【0040】
除算手段703はA相信号の3次高調波振幅PA3を、基本波振幅PA1で除算し、基本波振幅に対する3次高調波振幅の比を求める。B相についても同様に、除算手段704はB相信号の3次高調波振幅PB3を基本波振幅PB1で除算し、基本波振幅に対する3次高調波振幅の比を求める。
【0041】
A相の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比と、B相の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比とを、それぞれゲイン乗算手段713,714に入力して符号反転させ、その後段の平均手段705により平均し、誤差補正ゲインΔgが求まる。
ここで、ゲイン乗算手段713,714にて符号反転しているが、座標の取り方によっては、このゲイン乗算手段713,714は不要となる。
また、本発明では、A相信号の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比率と、B相信号の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比率を、平均手段705にて平均化し誤差補正ゲインΔgとしているが、平均手段705を削除し、どちらか一方の比率を誤差補正ゲインΔgとすることも可能である。
【0042】
続いて、逆正接演算手段5および誤差補正演算手段6について説明する。
誤差補正演算手段6は、増幅手段601、正弦波演算手段602、乗算手段603、減算手段604を備えている。
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、逆正接演算手段5に入力される。
逆正接演算手段5では、入力されたA相信号・B相信号の逆正接値を出力する。
【0043】
誤差補正演算手段6では、逆正接演算手段5の演算結果である逆正接値θL1を増幅手段601で4倍し、これを基に正弦波演算手段602により4倍周波数の正弦波を生成する。乗算手段603にて、この正弦波に誤差補正ゲインΔgを乗算して補正値を算出する。減算手段604は、この補正値を、逆正接演算手段5の出力である逆正接値θL1から減算する。減算結果を最終的な位置検出値θLとする。
【0044】
これにより、先の数6で示したような誤差が除去されることとなり、正確な位置検出が可能となる。
ここで、本実施形態では、減算手段604を用いるものとして説明したが、座標の取り方や誤差補正ゲインΔgの極性によって、加算手段とする場合もある。
【0045】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態における位置検出誤差の低減原理を、式を用いて説明する。
第1実施形態では3次高調波までしか考慮しなかったが、この第2実施形態では5次高調波成分の影響を考慮した。3次高調波成分と5次高調波成分を考慮して、A相信号とB相信号を、次式のように近似する。
【0046】
【数7】
A≒PA1cos(θ)+PA3cos(3θ)+PA5cos(5θ)
B≒PB1sin(θ)+PB3sin(3θ)+PB5sin(5θ)
【0047】
ここで、A相信号の基本波の振幅とB相信号の基本波の振幅、A相信号の3次高調波振幅とB相信号の3次高調波振幅、A相信号の5次高調波振幅とB相信号の5次高調波振幅がそれぞれ等しいとした場合(PA1=PB1=P1,PA3=PB3=P3,PA5=PB5=P5の場合)には、A相信号とB相信号を逆正接演算した結果は、次式で近似できる。
【0048】
【数8】
tan−1(B/A)≒θ+((P5−P3)/P1)sin(4θ)
【0049】
ここで、第2項の((P5−P3)/P1)sin(4θ)が、誤差となる。すなわち、4倍周波数の正弦波に、5次高調波振幅から3次高調波振幅を減算した結果の、基本波振幅に対する比率が乗算された値である。誤差の符号は、座標軸の取り方にもよるが、この場合は、5次高調波から3次高調波を減算するものとなる。5次高調波の影響は、3次高調波より小さいが、式より、3次高調波と同じ4倍周波数でかつ同じ位相の誤差を持つため、容易に補正できることが分かる。本実施形態では、結果として、位置検出を行うために次式の演算を行う。
【0050】
【数9】
θL1=tan−1(B/A)−((P5−P3)/P1)sin(4・tan−1(B/A)))
【0051】
光学式エンコーダはこのようなθL1 を算出することで、位置検出誤差を低減する。
【0052】
続いて、この検出原理を採用する本発明の第2実施形態の光学式エンコーダの構成について図を参照しつつ説明する。図2は、本実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
本実施形態の光学式エンコーダも、第1実施形態と同様に、発光素子1、スリット板2、受光素子3、下位信号変換&波形調整手段4、逆正接演算手段5、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7を少なくとも備えているが、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7が、上記原理に対応している点が相違する。
ここで、本実施形態においても、誤差補正ゲイン演算手段7は、エンコーダ内に設けられた構成としているが、第1実施形態と同様に、誤差補正ゲイン演算手段7をエンコーダとは別の外部装置とし、この誤差補正ゲイン演算手段7で求めた誤差補正ゲインΔgをエンコーダ搭載のROMなどに格納してもよい。
【0053】
続いて、誤差補正ゲイン演算手段7の内部の構成・動作のみ説明する。
本実施形態の誤差補正ゲイン演算手段7は、基本波振幅演算手段701、3次高調波振幅演算手段702、5次高調波振幅演算手段707、除算手段703,704、平均手段705、減算手段708,709を備えている。
【0054】
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、基本波振幅演算手段701、3次高調波振幅演算手段702および5次高調波振幅演算手段707へ入力される。
この基本波振幅演算手段701は基本波振幅PA1、PB1を、3次高調波振幅演算手段702は3次高調波振幅PA3、PB3を、5次高調波振幅演算手段707は5次高調波振幅PA5、PB5を、例えばFFTなどを用いてそれぞれ演算して出力する。
【0055】
3次高調波振幅PA3および5次高調波振幅PA5は、減算手段708へ入力され、また、3次高調波振幅PB3および5次高調波振幅PB5は、減算手段709へ入力される。
減算手段708は、A相5次高調波振幅PA5からA相3次高調波振幅PA3を減算した差を除算手段703へ出力する。同様に、減算手段709は、B相5次高調波振幅PB5からB相3次高調波振幅PB3を減算した差を除算手段704へ出力する。ここで、座標軸の取り方によっては、A相、B相ともに、3次高調波振幅から5次高調波振幅を減算する構成とすることもある。
【0056】
除算手段703は、このA相の差(PA5−PA3)をA相基本波振幅PA1で除算する。同様に、除算手段704は、B相の差(PB5−PB3)をB相の基本波振幅PB1で除算する。
A相とB相との除算結果は平均手段705で平均され、誤差補正ゲインΔgとして出力される。
ここで、第1実施形態と同様に、平均手段705にて平均値を誤差補正ゲインΔgとしているが、平均手段705を削除し、A相またはB相どちらか一方の比率をゲインΔgとすることも可能である。
【0057】
誤差補正演算手段6では、逆正接演算手段5から出力された逆正接値θL1を増幅手段601で4倍し、これを基に正弦波演算手段602により4倍周波数の正弦波を生成する。乗算手段603にて、この正弦波に誤差補正ゲインΔgを乗算して補正値を求め、この補正値を減算手段604にて逆正接値θL1から減算する。減算結果を最終的な位置検出値θLとする。
これにより先の数9で示したように誤差が除去されることとなり、正確な位置検出が可能となる。
【0058】
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態における位置検出誤差の低減原理を、式を用いて説明する。
本実施形態では、A相信号とB相信号との3次高調波振幅が異なる場合についても考慮し、誤差補正を行っている。A相信号とB相信号を、次式で近似する。
【0059】
【数10】
A≒PA1cos(θ)+PA3cos(3θ)
B≒PB1sin(θ)+PB3sin(3θ)
【0060】
このA相信号とB相信号とを、逆正接演算した結果は、次式で近似できる。
【0061】
【数11】
tan−1(B/A)≒θ+((−PA3/PA1)+(−PB3/PB1))/2・sin(4θ)+((−PA3/PA1)+(−PB3/PB1))sin(2θ)
【0062】
ここで、第2項と、第3項が誤差の項である。すなわち、第2項では、A相信号の3次高調波振幅の基本波振幅に対する比率と、B相信号の3次高調波振幅の基本波振幅に対する比率との平均値をとり、A相信号及びB相信号の4倍周波数の正弦波に乗算している。
また、第3項では、A相信号の3次高調波振幅の基本波振幅に対する比率と、B相信号の3次高調波振幅の基本波振幅に対する比率との差をとり、これをA相信号及びB相信号の2倍周波数の正弦波に乗算している。
結果として、本実施形態では、位置検出を行うために次式の演算を行う。
【0063】
【数12】
θL1=tan−1(B/A)−((−PA3/PA1)+(−PB3/PB1))/2・sin(4・tan−1(B/A))−((−PA3/PA1)+(−PB3/PB1))sin(2・tan−1(B/A))
【0064】
光学式エンコーダはこのようなθL1 を算出することで、位置検出誤差を低減する。
【0065】
続いて、この検出原理を採用する本発明の第3実施形態の光学式エンコーダの構成について図を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
本実施形態の光学式エンコーダも、第1,第2実施形態と同様に、発光素子1、スリット板2、受光素子3、下位信号変換&波形調整手段4、逆正接演算手段5、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7を少なくとも備えているが、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7が、上記原理に対応している点が相違する。
ここで、本実施形態においても、誤差補正ゲイン演算手段7は、エンコーダ内に設けられた構成としているが、第1、第2実施形態と同様に、誤差補正ゲイン演算手段7をエンコーダとは別の外部装置とし、誤差補正ゲイン演算手段7で求めた後述する誤差補正ゲインΔg,Δhをエンコーダ搭載のROMなどに格納してもよい。
【0066】
続いて、誤差補正演算手段6および誤差補正ゲイン演算手段7の内部の構成・動作のみ説明する。
誤差補正演算手段6は、ゲイン乗算手段601,605、正弦波演算手段602,606、乗算手段603,607、減算手段604,608を備えている。
誤差補正ゲイン演算手段7は、基本波振幅演算手段701、3次高調波振幅演算手段702、除算手段703,704、平均手段705、減算手段710を備えている。
【0067】
以下、変更点を重点的に説明する。
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、、逆正接演算手段5・誤差補正演算手段6、および、誤差補正ゲイン演算手段7へ同時に出力される。この後、逆正接演算手段5・誤差補正演算手段6と、誤差補正ゲイン演算手段7と、で並列して信号処理がなされる。
【0068】
まず、誤差補正ゲイン演算手段7においては、基本波振幅演算手段701が基本波振幅PA1、PB1を、また、3次高調波振幅演算手段702が3次高調波振幅PA3、PB3を、例えばFFTなどを用いてそれぞれ演算・出力する。
基本波振幅PA1および3次高調波振幅PA3は、除算手段703へ入力され、また、基本波振幅PB1および3次高調波振幅PB3は、除算手段704へ入力される。
【0069】
除算手段703はA相信号の3次高調波振幅PA3を基本波振幅PA1で除算し、基本波振幅に対する3次高調波振幅の比を求める。同様に、除算手段704はB相信号の3次高調波振幅PB3を基本波振幅PB1で除算し、基本波振幅に対する3次高調波振幅の比を求める。
【0070】
減算手段710ではA相の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比(除算手段703からの出力値)から、B相の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比(除算手段704からの出力値)を減算し、誤差補正ゲインΔhを出力する。
また、A相の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比と、B相の基本波振幅に対する3次高調波振幅の比とを、平均手段705により平均し、誤差補正ゲインΔgを出力する。
ここで、第1,第2実施形態と同様に、平均手段705にて平均値を誤差補正ゲインΔgとしているが、平均手段705を削除し、A相またはB相どちらか一方の比率をゲインΔgとすることも可能である。
【0071】
続いて、誤差補正ゲイン演算手段7とで同時に信号処理がなされている逆正接演算手段5および誤差補正演算手段6における信号処理について説明する。
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、逆正接演算手段5に入力される。
逆正接演算手段5では、入力されたA相信号・B相信号の逆正接値を誤差補正演算手段6へ出力する。
【0072】
誤差補正演算手段6内において、逆正接演算手段5から出力された逆正接値θL1を、乗算手段601で4倍し、正弦波演算手段602にて4倍周波数の正弦波を作成する。
同様に、逆正接演算手段5の演算結果θL1を、乗算手段605で2倍し、正弦波演算手段606にて2倍周波数の正弦波を作成する。
【0073】
そして、正弦波演算手段602から出力された4倍周波数の正弦波に、乗算手段603にて誤差補正ゲインΔgを乗算して第一補正値を生成し、この第一補正値を減算手段604へ出力する。
同様に、正弦波演算手段606から出力された2倍周波数の正弦波に、乗算手段607にて誤差補正ゲインΔhを乗算して第二補正値を生成し、この第二補正値を減算手段608へ出力する。
【0074】
そして、減算手段604にて逆生成値θL1から第一補正値が減算され、さらに減算手段608にて第二補正値が減算され、最終的な位置検出値θLが生成される。
これにより先の数12で示したような誤差が除去されることとなり、正確な位置検出が可能となる。
ここで、本実施形態では、減算手段604,608を用いたが、座標の取り方や誤差補正ゲインの極性によって、加算手段とする場合もある。
【0075】
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態における位置検出誤差の低減原理を、式を用いて説明する。
本実施形態では、A相信号とB相信号の3次高調波振幅と5次高調波振幅がそれぞれ異なる場合についても考慮し、誤差補正を行っている。A相信号とB相信号を、3次高調波と、5次高調波までを考慮し、次式で近似する。
【0076】
【数13】
A≒PA1cos(θ)+PA3cos(3θ)+PA5cos(5θ)
B≒PB1sin(θ)+PB3sin(3θ)+PB5sin(5θ)
【0077】
このA相信号とB相信号とを、逆正接演算した結果は、次式で近似できる。
【0078】
【数14】
tan−1(B/A)=θ+((−PA3+PA5)/PA1)+(−PB3+PB5)/PB1))/2・sin(4θ)+((−PA3+PA5)/PA1)+(−PB3+PB5)/PB1))sin(2θ)
【0079】
この式の、第2項と、第3項が誤差になる。第2項は、すなわち、A相信号の5次高調波振幅から3次高調波振幅を減算した結果の基本波振幅に対する比率と、B相信号の5次高調波振幅から3次高調波振幅を減算した結果の基本波振幅に対する比率を平均し、この平均値を、A相信号およびB相信号の4倍周波数の正弦波に乗算している。
また、第3項は、A相信号の5次高調波振幅から3次高調波振幅を減算した結果の基本波振幅に対する比率と、B相信号の5次高調波振幅から3次高調波振幅を減算した結果の基本波振幅に対する比率との差を求め、この差をA相信号およびB相信号の2倍周波数の正弦波に乗算している。
【0080】
結果として、本実施形態の発明では、位置検出を行うために次式の演算を行う。
【0081】
【数15】
θL1=tan−1(B/A)−((−PA3+PA5)/PA1)+(−PB3+PB5)/PB1))/2・sin(4・tan−1(B/A))−((−PA3+PA5)/PA1)+(−PB3+PB5)/PB1))sin(2・tan−1(B/A))
【0082】
続いて、この検出原理を採用する本発明の第4実施形態の光学式エンコーダの構成について図を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
本実施形態の光学式エンコーダも、第1〜第3実施形態と同様に、発光素子1、スリット板2、受光素子3、下位信号変換&波形調整手段4、逆正接演算手段5、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7を少なくとも備えているが、誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7が、上記原理に対応している点が相違する。
【0083】
本実施形態の誤差補正ゲイン演算手段7は、基本波振幅演算手段701、3次高調波振幅演算手段702、5次高調波振幅演算手段707、除算手段703,704、平均手段705、減算手段708,709,710を備えている。
【0084】
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、逆正接演算手段5・誤差補正演算手段6、誤差補正ゲイン演算手段7へ入力される。
誤差補正ゲイン演算手段7において、基本波振幅演算手段701は基本波振幅PA1、PB1を、また、3次高調波振幅演算手段702は3次高調波振幅PA 3、PB3を、5次高調波振幅演算手段707は5次高調波振幅PA5、PB5を、例えばFFTなどを用いてそれぞれ演算・出力する。
【0085】
3次高調波振幅PA3および5次高調波振幅PA5は、減算手段708へ入力され、また、3次高調波振幅PB3および5次高調波振幅PB5は、減算手段709へ入力される。
減算手段708は、A相5次高調波振幅PA5からA相3次高調波振幅PA3を減算して差を出力する。同様に、減算手段709は、B相5次高調波振幅PB5からB相3次高調波振幅PB3を減算して差を出力する。ここで、座標軸の取り方によっては、A相、B相ともに、3次高調波振幅から5次高調波振幅を減算する構成とすることもある。
【0086】
除算手段703は、このA相の差(PA5−PA3)をA相基本波振幅PA1で除算する。同様に、除算手段704は、B相の差(PB5−PB3)をB相の基本波振幅PB1で除算する。
平均手段705は、A相とB相の除算結果を平均して誤差補正ゲインΔgを出力する。
ここで、第1実施形態と同様に、平均手段705にて平均値を誤差補正ゲインΔgとしているが、平均手段705を削除し、A相またはB相どちらか一方の比率をゲインΔgとすることも可能である。
減算手段710は、除算手段703の出力値から、除算手段704の出力値を減算し、誤差補正ゲインΔhを出力する。
【0087】
続いて、誤差補正ゲイン演算手段7と同時に信号処理がなされる逆正接演算手段5および誤差補正演算手段6における信号処理について説明する。
下位信号変換&波形調整手段4から出力されたA相信号、B相信号は、逆正接演算手段5に入力される。
逆正接演算手段5は、入力されたA相信号・B相信号の逆正接値を演算し、誤差補正演算手段6へ出力する。
【0088】
誤差補正演算手段6内において、逆正接演算手段5から出力された逆正接値θL1を、乗算手段601で4倍し、正弦波演算手段602にて4倍周波数の正弦波を作成する。
同様に、逆正接演算手段5の演算結果θL1を、乗算手段605で2倍し、正弦波演算手段606にて2倍周波数の正弦波を作成する。
【0089】
そして、正弦波演算手段602から出力された4倍周波数の正弦波に、乗算手段603にて誤差補正ゲインΔgを乗算して第一補正値を生成し、この第一補正値を減算手段604へ出力する。
同様に、正弦波演算手段606から出力された2倍周波数の正弦波に、乗算手段607にて誤差補正ゲインΔhを乗算して第二補正値を生成し、この第二補正値を減算手段608へ出力する。
【0090】
そして、減算手段604にて逆生成値θL1から第一補正値が減算され、さらに減算手段608にて第に補正値が減算され、最終的な位置検出値θLが生成される。
これにより先の数15で示したように誤差が除去されることとなり、正確な位置検出が可能となる。
ここで、本実施形態では、減算手段604,608を用いたが、座標の取り方や誤差補正ゲインの極性によって、加算手段とする場合もある。
【0091】
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態では、第1〜第4実施形態において、メモリ書き込み手段706と不揮発メモリの一具体例であって電気的に書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)609を搭載し、このEEPROM609が、誤差補正ゲインでΔg,Δh(第1,第2実施形態ではΔgのみ)を、格納するようにした点が相違する。
【0092】
このような発明を第4実施形態に適用した例について図を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
図5で示すように、EEPROM609は誤差補正演算手段6に、また、メモリ書込手段706は誤差補正ゲイン演算手段7にそれぞれ搭載されている。
【0093】
このように誤差補正ゲイン演算手段7内に、メモリ書込手段706を設けることで、オンボードでEEPROM609に書換え可能とした。従って、最初に誤差補正ゲイン演算手段7を取り付けて誤差補正ゲインΔg,Δhを算出し、メモリ書込手段706によりEEPROM609に誤差補正ゲインΔg,Δhを登録してから、誤差補正ゲイン演算手段7を取り外して使用する。この場合、誤差補正ゲイン演算手段7は工場における製造装置に該当することとなる。
【0094】
したがって工場出荷される光学式エンコーダは個体差に応じた最適な誤差補正を行うように構成されているため、それぞれ精度を向上させることができる。また、校正を行う必要が生じた場合に誤差補正ゲイン演算手段7を組み付けて誤差補正ゲインΔg、Δhを書き換えるようにしても良い。
ここで、電気的に書換え可能な不揮発メモリを、EEPROMとしているが、他にフラッシュROMへの置換えも可能である。
【0095】
このように誤差補正ゲイン演算手段7を、ロータリエンコーダの外部に増設するような構成を採用した。しかしながら、誤差補正ゲイン演算手段を取外すことなく一体に内蔵した構成を採用しても、本発明の実施は可能である。これら構成は適宜選択される。
【0096】
続いて、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態では、第5実施形態に加え、A相,B相の正弦波状信号から上位の絶対位置検出値を出力する上位位置出力手段と、上位の位置検出値に対し、前記誤差補正演算手段の出力である補正した位置検出値を下位の検出値としてつなぐ上位下位つなぎ処理手段と、を備え、上位の絶対位置を所定角度間隔にn分割し、不揮発メモリに書き込む誤差補正ゲインをΔgおよびΔhを、n分割された上位の絶対位置に応じて読み出されるn個のテーブルデータとし、これらn個の誤差補正ゲインΔgおよびΔhを用いて、n分割された上位の絶対位置毎に下位の検出値を補正するようにしたものである。
【0097】
続いて、本実施形態について図を参照しつつ説明する。図6は本実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
本実施形態の光学式エンコーダにおける上位位置検出手段は、上位信号変換手段10、1回転上位絶対位置検出手段11、コンパレータ12、カウンタ13、スイッチ14、加算手段15を備えている。この上位位置検出手段から上位信号(例えば上位16ビットの信号)が、また、誤差補正演算手段6から下位信号(例えば下位4ビットの信号)が、それぞれ上位下位つなぎ処理手段16へ出力され、最終的な信号(例えば上位16ビットに下位4ビットをつなげた20ビットの信号)が出力されるというものである。
【0098】
受光素子3には、A相信号・B相信号を出力するセルと、その上位の絶対位置を検出するためのセルが設けられている。上位の絶対位置を検出するための信号としては、M系列、グレーコード等がある。
【0099】
受光素子3からは、上位信号を形成する電流パターンが出力され、これを上位信号変換手段10にて、電圧に変換する。この電圧信号は、1回転上位絶対位置検出手段11にてデコードされ、1回転絶対位置θHABSを出力する。一方、正弦波状のA相信号、B相信号は、逆正接演算とは別に、コンパレータ12にて、振幅の中心値と比較され、Aパルス、Bパルスが生成される。これらのパルスは、90度位相のずれた2相のパルスであり、カウンタ13にて1逓倍カウントされθHINCが出力される。
【0100】
エンコーダの電源を投入すると、まず1回転上位絶対位置検出手段11にて、1回転上位絶対位置が演算される。演算終了とともに“1回転上位絶対位置検出確率”フラグが出力され、スイッチ14にて値がホールドされるとともに、カウンタ13が動作開始する。カウンタの出力は、すなわち絶対位置が確立してからの移動量をあらわし、加算手段15にて、θHABSと、このθHINCを加算することにより、常に絶対位置検出を可能とする構成になっている。
【0101】
上位下位つなぎ処理手段16にて、下位の位置検出値θLと、この上位の絶対位置検出値θHとをつなぎ合わせて、高分解能の位置検出を行っている。
EEPROM609に格納されたデータテーブルは、1回転中の上位の絶対位置をn分割し、この分割範囲内のゲインを、設定したものである。分割された上位位置検出値の範囲によって、対応したデータが読み出される。
【0102】
上位絶対位置0〜2πはn分割により、0〜θH(1),θH(1)〜θH(2),・・・,θH(n−1)〜2πという角度間隔に分割される。そしてこの角度間隔に対応して、誤差補正ゲインΔgとしてそれぞれΔg1、Δg2、・・・Δgn が設定され、また、誤差補正ゲインΔhとしてそれぞれΔh1、Δh2、・・・Δhn が設定される。
なお、誤差補正ゲイン演算手段7は、スイッチ711をON/OFFすることにより、上位位置検出を順次行って誤差補正ゲインΔg,Δhを求めることとなる。
【0103】
誤差補正演算手段6は、上位位置検出値のある角度範囲に対応して登録されている誤差補正ゲインΔg1、Δg2、・・・Δgn およびΔh1、Δh2、・・・Δhn を順次読み出して誤差補正を行うこととなる。そしてこのような読み出しはスリット2が1回転する度に繰り返される。
【0104】
以上説明した本実施形態でも誤差補正ゲイン演算手段7を、ロータリエンコーダの外部に増設するような構成としたり、また、誤差補正ゲイン演算手段を取外すことなく一体に内蔵した構成を採用しても、本発明の実施は可能である。これら構成は適宜選択される。
【0105】
以上本発明の第1〜第6実施形態について説明した。なお、これら実施形態では光学式エンコーダの具体例としてロータリーエンコーダを想定して図・説明が記載されているが、スリットが直線状に配置された以外に検出原理が同じであるリニアエンコーダに適用することも可能である。
【0106】
【発明の効果】
位置検出に用いる2相正弦波が三角波状であっても、3倍高調波による誤差を補正することにより、高度な加工精度や組立精度を必要とせずにエンコーダを構成し、2相正弦波状信号のSNを確保しつつ、エンコーダの位置検出誤差を低減することが可能である。
【0107】
さらに、請求項2に係る発明では3倍高調波に加え5倍高調波による誤差を補正するので、より位置検出精度を向上できる。
【0108】
さらに請求項3,4に係る発明では2相正弦波のA相とB相の高調波成分の違いによる誤差を補正するので、さらに位置検出精度を向上できる。
【0109】
請求項5,6に係る発明では、電気的に書換え可能な不揮発メモリをエンコーダに搭載したこれにより、誤差補正ゲイン演算手段で誤差補正ゲインを繰り返し算出する必要がなくなる。
【0110】
また、電気的に書換え可能な不揮発メモリをエンコーダに搭載し、エンコーダ個別に位置検出誤差の補正量を、調整することにより、エンコーダ個体差による位置検出精度のばらつきを低減するとともに、位置検出精度を向上できる。さらに、誤差補正ゲインを演算するための手段をエンコーダ内に備える必要がないので、光学式エンコーダの構成を簡素にすることができる。
【0111】
請求項7に係る発明では、不揮発メモリに書き込むデータを、2相正弦波より検出する上位絶対位置によって読み出されるテーブルデータとすることにより、例えばスリットにうねりがあってエンコーダ1回転中に正弦波のひずみが変化するような場合でも、位置検出精度を向上できる。
【0112】
総じて、本発明によれば、A相信号・B相信号の波形が、正弦波ではなく、三角波に近いようなひずんだ波形であり、しかもそのひずみの度合に個体差があるような場合でも、正確な位置検出を行うようにする光学式エンコーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
【図5】本発明の第5実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
【図6】本発明の第6実施形態の光学式エンコーダのブロック図である。
【図7】従来技術のロータリエンコーダの光学系のブロック図である。
【図8】逆正接演算による位置検出で発生する位置検出誤差の説明図である。
【符号の説明】
1 発光素子
2 スリット板
3 受光素子
4 下位信号変換&波形調整手段
5 逆正接演算手段
6 誤差補正演算手段
601 増幅手段
602 正弦波演算手段
603 乗算手段
604 減算手段
605 増幅手段
606 正弦波演算手段
607 乗算手段
608 減算手段
609 EEPROM
7 誤差補正ゲイン演算手段
701 基本波振幅演算手段
702 3次高調波振幅演算手段
703 除算手段
704 除算手段
705 平均手段
706 メモリ書込手段
707 5次高調波振幅演算手段
708 減算手段
709 減算手段
710 減算手段
711 スイッチ
713 ゲイン乗算手段
714 ゲイン乗算手段
8 モータ
9 ドライバ
10 上位信号変換手段
11 1回転上位絶対位置検出手段
12 コンパレータ
13 カウンタ
14 スイッチ
15 加算手段
16 上位下位つなぎ処理手段
Claims (7)
- 発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅と3次高調波振幅とを演算し、
前記3次高調波振幅の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする光学式エンコーダの値検出方法。 - 発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅、3次高調波振幅および5次高調波振幅を演算し、
前記5次高調波振幅から前記3次高調波振幅を減算した値の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする光学式エンコーダの位置検出方法。 - 発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅と3次高調波振幅とを演算し、 前記3次高調波振幅の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波と前記逆正接値の2倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする光学式エンコーダの位置検出方法。 - 発光素子と、光を透過/遮光するパターンを設けたスリット板と、スリット板から透過/遮光する光を受光して略90度の位相差を有するA,B相の正弦波状信号を出力する受光素子とを備えた光学式エンコーダの位置検出方法において、
A,B相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値を求め、
A,B相の正弦波状信号を用いて基本波振幅、3次高調波振幅および5次高調波振幅とを演算し、
前記5次高調波振幅から前記3次高調波振幅を減算した値の前記基本波振幅に対する比率と前記逆正接値の4倍を変数とした正弦波と前記逆正接値の2倍を変数とした正弦波とから補正値を算出し、
この補正値と前記逆正接値とから位置検出値を算出する
ことを特徴とする光学式エンコーダの位置検出方法。 - 請求項1または請求項3に記載の光学式エンコーダの位置検出方法において、電気的に書換え可能な不揮発性メモリを備え、前記3次高調波振幅の前記基本波振幅に対する比率に基づいて求めた誤差補正ゲインを不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする光学式エンコーダの位置検出方法。
- 請求項2または請求項4に記載の光学式エンコーダの位置検出方法において、電気的に書換え可能な不揮発性メモリを備え、前記5次高調波振幅から前記3次高調波振幅を減算した値の前記基本波振幅に対する比率に基づいて求めた誤差補正ゲインを不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする光学式エンコーダの位置検出方法。
- 請求項5または請求項6に記載の光学式エンコーダの位置検出方法において、A相,B相の正弦波状信号から上位の絶対位置検出値を出力する上位位置検出出力手段を有し、上位の絶対位置を所定角度間隔にn分割し、前記不揮発性メモリに書き込む誤差補正ゲインをn分割された上位の絶対位置に応じて読み出されるn個のテーブルデータとすることを特徴とする光学式エンコーダの位置検出方法。
Priority Applications (1)
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