JP4858837B2 - 回転角度検出装置 - Google Patents
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Description
このような回転角度検出装置では、2個の磁気検出素子は正弦波形である出力信号(図3参照)を電圧として出力する。そして、出力信号から三角関数演算により、検出対象の回転角度に対して180°周期で1対1に変化する鋸歯状の演算角度(図4参照)を算出する。そして、出力信号の符号から、0°〜360°の範囲において検出対象の回転角度位置を識別し、演算角度に回転角度位置に応じたオフセット角度を加えて演算角度を結合することにより、検出対象の回転角度に対して360°周期で1対1に変化する出力角度を算出する。これにより、0°〜360°の範囲において、検出対象の回転角度を検出できる。
そこで、回転角度検出装置の製品出荷前の工程において、専用の測定装置を用いて磁気検出素子の出力信号のアナログ波形を測定することにより、上述した位相差のばらつきを検出している。そして、検出した位相差のばらつきに応じて、回転角度検出装置の出力を補正している。このような方法によれば、磁気検出素子の製造時に発生したり、回転角度検出装置の組付時に発生する位相差のばらつきに起因する回転角度の検出誤差を低減することができる。
しかしながら、上述した方法では、製品出荷後の経時劣化や環境温度の変化により発生する位相差のばらつきに起因する回転角度の検出誤差を低減することができないという問題がある。
このような補正によって出力信号を理想的な正弦波形に近づけ、補正後の出力信号の大きさから出力信号の位相差を算出することにより、正確な位相差を求めることができる。したがって、算出した出力信号の位相差から検出対象の回転角度を検出することにより、回転角度検出装置の検出誤差を低減することができる。
このようなタイミングで検出対象の回転角度の検出に用いる位相差を更新することにより、1つの回転角度を検出する処理につき出力信号の位相差を1回算出する場合と比較して、位相差の算出回数を削減することができる。
(第1実施形態)
1.回転角度検出装置の構成
本発明の第1実施形態による回転角速度検出装置を図2に示す。回転角速度検出装置10は、例えばクランクシャフトや車輪等の検出対象の回転角速度を検出する装置である。回転角速度検出装置10は、永久磁石12、14、ホール素子21、22および電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)30を有している。回転角速度検出装置10では、ホール素子21、22とECU30とを別部品にしてもよいし、1個の半導体素子として1部品で構成してもよい。
磁気検出手段を構成する磁気検出素子としてのホール素子21、22は、交差角度αをなして設置されている。また、ホール素子21、22には定電流が供給されている。検出対象とともに永久磁石12、14が回転することにより、図3に示すように、ホール素子21、22はそれぞれ正弦波の出力信号100、102を電圧として出力する。出力信号100と出力信号102とは位相がα異なる。検出対象の回転角度をθ、出力信号100をVa、出力信号102をVb、ホール素子21、22の感度で決定される係数をk、出力信号100、102の初期位相をそれぞれβ、γ、永久磁石12、14が形成する磁界の磁束密度をB、定電流をIとすると、Va、Vb、αは次式(1)、(2)、(3)で示される。
Vb=kBI・sin(θ+γ) ・・・(2)
α=γ−β ・・・(3)
θ’=arctan(cot(α/2)×(Va−Vb)/(Va+Vb))
・・・(4)
ECU30は、図示しないCPUと検出対象の回転角度を算出するプログラムを格納したメモリを有している。CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、ECU30は請求項に記載の「角度検出手段」として機能する。
以下に、回転角度検出装置10による回転角度検出処理を図1に基づいて説明する。
はじめに、回転角度検出装置10は、オフセット補正処理および振幅補正処理の要否を判別する。この処理において、ECU30は以下の処理を実行する。すなわち、ECU30は、ホール素子21の出力信号Vaとホール素子22の出力信号Vbを読み込む(図1に示すS100参照)。次に、ECU30は、出力信号Va又は出力信号Vbがそれぞれの最大値Vamax、Vbmaxよりも大きくなっているか否かを判別し(図1に示すS102参照)、出力信号Va又は出力信号Vbがそれぞれの最小値Vamin、Vbminよりも小さくなっているか否かを判別する(図1に示すS104参照)。そしてECU30は、出力信号Va、Vbがそれぞれの最大値Vamax、Vbmax以下であり、かつ出力信号Va、Vbがそれぞれの最小値Vamin、Vbmin以上であると判別すると、後述するオフセット補正処理や振幅補正処理における補正量を更新することなく、出力信号に各補正を施す(図1に示すS114、S116参照)。すなわち、ECU30は、出力信号のオフセットや振幅に変化がないと認識すると補正量の更新を省略する。
Vaoff=(Vamax+Vamin)/2 ・・・(5)
Vboff=(Vbmax+Vbmin)/2 ・・・(6)
Vagain=Vamax−Vaoff ・・・(7)
Vbgain=Vbmax−Vboff ・・・(8)
Va’=Va−Vaoff ・・・(9)
Vb’=Vb−Vboff ・・・(10)
Va”=Va’ ・・・(11)
Vb”=Vb’×Vagain/Vbgain ・・・(12)
Vb”=k”・sin(θ+γ”) ・・・(14)
α”=γ”−β” ・・・(15)
θ’=arctan(cot(α”/2)×(Va”−Vb”)/(Va”+Vb”))
・・・(16)
θ+β”=0 ・・・(17)
θ+β”=180 ・・・(18)
Vb”/k”=sin(θ+γ”)
=sin(γ”−β”)
=sin(α”) ・・・(19)
α”=asin(Vb”/k”) ・・・(20)
Vb”/k”=sin(180−(θ+γ”))
=sin(180−(180−β”+γ”))
=sin(β”−γ”)
=sin(−α”) ・・・(21)
α”=−asin(Vb”/k”) ・・・(22)
α”=|asin(Vb”/k”)| ・・・(23)
α”=|asin(Va”/k”)| ・・・(24)
このようにして算出した位相差により、ECU30は検出対象の回転角度の算出に用いる位相差を更新する(図1に示すS120参照)。
本発明の第2実施形態による回転角度検出装置を図7に示す。回転角度検出装置210は、第1実施形態の回転角度検出装置10と同様に、例えばクランクシャフトや車輪等の検出対象の回転角度を検出する装置である。回転角度検出装置210は、円板状の永久磁石212、ホールIC220、及びECU30からなる。磁界発生手段としての永久磁石212は、回転軸250を中心として検出対象と連動して回転する。永久磁石212は円板状に形成されており、径方向に向けて着磁されている。
したがって、回転角度検出装置210では、第1実施形態と同様の回転角度検出処理(図1参照)により、検出対象の回転角度を検出することができる。尚、回転角度検出装置210では、ホール素子221、222とECU30とを別部品にしてもよいし、1個の半導体として1チップで構成してもよい。
第2実施形態の回転角度検出装置210では、ホールIC220を永久磁石212の回転方向の1箇所に設置した。この結果、ホール素子221、222は互いの近傍に配置されている。しかしながら、2個のホール素子を永久磁石の回転方向に離間させて配置してもよい。
図8に示す本発明の第3実施形態による回転角度検出装置310では、ホール素子321、322が永久磁石212の回転方向に離間して配置されている。ホール素子321、322の配置は、永久磁石212の回転方向の距離を除き、第2実施形態のホール素子221、222と実質的に同一である。
上記複数の実施形態では、出力信号が所定の大きさになる毎に出力信号の位相差を算出し、算出した位相差で検出対象の回転角度の検出に用いる位相差を更新した。しかしながら、出力信号が所定の大きさであることを複数回検出した後に位相差を更新する処理を実行してもよいし、所定時間経過後に位相差を更新する処理を実行してもよい。
第五実施形態による回転角度検出装置の各構成要素は、第1実施形態による回転角度検出装置10の対応する構成要素と実質的に同一である。また、第五実施形態の回転角度検出処理は、位相差を算出する処理を除き、第1実施形態の回転角度検出処理と実質的に同一である。
第五実施形態の回転角度検出処理では、以下に説明するように位相差を算出する。
すなわち、はじめに、2個のホール素子の出力信号の大きさをそれぞれ式(13)、(14)に直接代入することにより、出力信号の位相θ+β”および位相θ+γ”を算出する。そして、次式(40)に示すように、これらの位相の差から出力信号の位相差α”を算出する。
(θ+γ”)−(θ+β”)=γ”−β”=α”・・・(40)
このような位相差の算出処理は、第2実施形態や第3実施形態による回転角度検出装置にも適用可能である。
また、上記複数の実施形態では、所定のタイミングで位相差を更新することにより、1つの回転角度を検出する処理につき1回の位相差更新処理を実行する場合と比較して、位相差の算出回数を削減することができる。
以上説明した複数の上記複数の実施形態では、0°〜360°の範囲の回転角度を検出する回転角度検出装置について説明した。しかしながら、本発明は、所望の範囲の回転角度を検出する回転角度検出装置にも適用可能である。
また、上記複数の実施形態では、磁気検出素子としてホール素子を例示したが、磁気検出素子は磁気抵抗素子などでもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (5)
- 検出対象の回転角度を検出する回転角度検出装置において、
前記検出対象の回転に伴い、磁界発生手段に対して相対回転することにより生じる磁界の変化に応じて互いに位相の異なる出力信号を出力する第1磁気検出素子および第2磁気検出素子を有する磁気検出手段と、
前記第1磁気検出素子の出力信号および前記第2磁気検出素子の出力信号から前記検出対象の回転角度を検出する角度検出手段と、
を備え、
前記角度検出手段は、前記第1磁気検出素子の出力信号の位相が既知である前記第1磁気検出素子の出力信号の大きさが0であることを検出すると、前記第2磁気検出素子の出力信号の大きさから前記第1磁気検出素子の出力信号と前記第2磁気検出素子の出力信号との位相差を算出し、算出した前記位相差に基づいて前記検出対象の回転角度を検出する、
ことを特徴とする回転角度検出装置。 - 前記角度検出手段は、前記第1磁気検出素子の出力信号および前記第2磁気検出素子の出力信号のオフセットをそれぞれ補正し、オフセット補正後の前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の出力信号から前記位相差を算出する、請求項1に記載の回転角度検出装置。
- 前記角度検出手段は、前記第1磁気検出素子の出力信号および前記第2磁気検出素子の出力信号の振幅を略同一の大きさに補正し、振幅補正後の前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の出力信号から前記位相差を算出する、請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
- 前記角度検出手段は、前記第1磁気検出素子または前記第2磁気検出素子の出力信号が所定の大きさであることを複数回検出した後に前記位相差を算出し、算出した前記位相差で前記検出対象の回転角度の検出に用いる位相差を更新する、請求項1から3のいずれか一項に記載の回転角度検出装置。
- 前記角度検出手段は、所定時間経過後に前記位相差を算出し、算出した前記位相差で前記検出対象の回転角度の検出に用いる位相差を更新する、請求項1から4のいずれか一項に記載の回転角度検出装置。
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