JP2010001330A - 樹脂バンプ用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】B−ステージ化の制御が容易で、且つ、耐熱衝撃性に優れたバンプを形成することができる樹脂バンプ形成用の組成物を提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂 100質量部 (B)硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対する該成分(B)中の、エポキシ基と反応性の基の量が0.8〜1.25当量となる量 (C)硬化促進剤 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部 (D)導電性フィラー 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して400〜2000質量部、及び(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜50質量部、を含み、成分(A)及び成分(B)の少なくともいずれかが、シリコーン変性樹脂を含む、樹脂バンプ用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フリップチップ実装法で使用される樹脂バンプ用の組成物に関し、詳細には、所定の熱可塑性樹脂粒子とシリコーン変性樹脂を含有し、印刷性が良く、安定なBステージ状態を形成し、且つ、低弾性率の硬化物を与える樹脂組成物に関する。
フリップチップ実装法は、半導体チップを、該チップ上の電極パッド上に形成された半田バンプ等を介して、基板上の電極に接続する方法であり、回路を小型化するために多用されている。該接続された半導体チップと配線基板との隙間にアンダーフィルを充填することにより、半田バンプと配線基板に設けられた電極パッドとの接続信頼性の向上を達成することができる(特許文献1)。
半田バンプに代えて、導電性樹脂バンプを回路に印刷し、仮硬化させたものを用いることが知られている(特許文献2)。導電性樹脂としては、エポキシ樹脂等のバインダ中に平均粒子径10μm以下のAg粉末等の金属粒子が配合されたものが使用される。
特開2005−353672号公報 特開2004−95832号公報
しかし、エポキシ樹脂組成物の仮硬化の度合いを制御するのは容易ではない。硬化が進みすぎると、フリップチップ接続を形成することができなくなる。また、エポキシ樹脂硬化物は、一般に、半田バンプよりも熱衝撃に弱く、例えば回路からの熱、ワイヤボンディング、樹脂封止工程等での加熱によりクラック等を生じ易い。特に、半導体チップが層間低誘電率膜(以下「Low−k膜」という)を有する場合には、半導体チップと基板上の電極パッドとの双方に対して信頼性の高い接続を形成するのは困難である。アンダーフィル剤をバンプ間に充填することによって、クラック等をある程度抑制することはできるが、十分とは言えない。そこで、本発明は、B−ステージ化の制御が容易で、且つ、耐熱衝撃性に優れたバンプを形成することができる樹脂バンプ形成用の組成物を提供することを目的とする。
即ち本発明は、下記のものである。
(A)エポキシ樹脂 100質量部
(B)硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対する該成分(B)中の、エポキシ基と反応性の基の量が0.8〜1.25当量となる量
(C)硬化促進剤 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部
(D)導電性フィラー 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して400〜2000質量部、及び
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜50質量部、
を含み、成分(A)及び成分(B)の少なくともいずれかが、シリコーン変性樹脂を含む、樹脂バンプ用組成物。
上記本発明の組成物は、スクリーン印刷性に優れ、ウエハーもしくは基板上にバンプを形成することができる。印刷されたバンプは、再現性よくBステージ化できる。さらに、加熱硬化後は、導電性に優れ、Low−k膜を備える半導体チップとの間においても、耐熱衝撃性に優れた接続を形成する。
以下、本発明の組成物を成分ごとに説明する。
(A)エポキシ樹脂
本発明において、(A)エポキシ樹脂としては、例えばノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型、フェノールアラルキル型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン型、アミノ基含有型、後述するシリコーン変性エポキシ樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型エポキシ樹脂及びシリコーン変性エポキシ樹脂が好ましい。シリコーン変性エポキシ樹脂については、シリコーン変性フェノール樹脂と共に、下記(B)硬化剤の項で述べる。
(B)硬化剤
硬化剤としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知のものを使用することができ、例えばフェノール樹脂(後述するシリコーン変性フェノール樹脂を含む)、酸無水物、及びアミン類が挙げられる。この中でも硬化性とBステージ状態の安定性のバランスを考慮すると、フェノール樹脂及びシリコーン変性フェノール樹脂が好ましい。該フェノール樹脂としては、ノボラック型、ビスフェノール型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、ナフタレン型、シクロペンタジエン型、フェノールアラルキル型等が挙げられ、これらを単独、あるいは2種類以上を混合して用いても良い。なかでもノボラック型、ビスフェノール型が好ましい。
シリコーン変性フェノール樹脂としては、芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体が挙げられる。該芳香族重合体としては、下式(3)或いは(4)の化合物が例示される。

Figure 2010001330

Figure 2010001330
但し、R1は水素原子であり、R2は水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子又は臭素原子であり、nは0以上の整数、好ましくは0〜50、より好ましくは1〜20の整数である。
他の芳香族重合体としては、下式(5)〜(8)のアルケニル基含有化合物が挙げられ る。
Figure 2010001330
Figure 2010001330
Figure 2010001330
Figure 2010001330
但し、R1、R2、X及びnについては上で述べた通りであり、mは0以上の整数、好ましくは0〜5の整数、より好ましくは0又は1である。
既に(A)エポキシ樹脂において例示した、シリコーン変性エポキシ樹脂は、上記式(3)〜(8)において、R11が下記式で表されるオキシラン基含有基のものと、オルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体が挙げられる。
Figure 2010001330
上記芳香族重合体と反応させるオルガノポリシロキサンは式(9)で示される。
(R3a(R4bSiO (4-a-b)/2 (9)
但し、R3は水素原子、或いは、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基もしくはカルボキシ基を含有する有機基、或いはアルコキシ基であり、R4は置換、或いは非置換の1価炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、或いはアルケニルオキシ基であり、a、bは0.001≦a≦1、1≦b≦3、1≦a+b≦4を満足する数である。1分子中のケイ素原子数は1〜1000であり、1分子中のケイ素原子に直結したR3は1以上含まれる。
ここでR3のアミノ基含有有機基としては、下記のものが例示され、ここで、cは1、2、又は3である。
Figure 2010001330
エポキシ基含有有機基としては、下記のものが例示され、ここでcは1、2、又は3である。
Figure 2010001330
ヒドロキシ基含有有機基としては、下記のものが例示され、ここで、dは0、1、2、又は3であり、eは1、2又は3である。
Figure 2010001330
カルボキシ基含有有機基としては、下記が例示され、ここで、fは1〜10の整数である。
Figure 2010001330
またアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基等の炭素数1〜4のものが挙げられる。
また、R4の置換または非置換の1価炭化水素基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基や、これらの炭化水素基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子等で置換したハロゲン置換1価炭化水素基が挙げられる。
更にa、bは上述した値であるが、好ましくは0.01≦a≦0.1、1.8≦b≦2、1.85≦a+b≦2.1、ケイ素原子数は2〜400であることが望ましく、特に5〜200であることが望ましい。該オルガノポリシロキサンとしては、式(10)或いは(11)の化合物が挙げられる。
Figure 2010001330
Figure 2010001330
但し、R6はアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、又はカルボキシ基含有の1価炭化水素基であり、R5は置換、或いは非置換の1価炭化水素基、好ましくはメチル基或いはフェニル基であり、pは0〜1000の整数、好ましくは3〜400の整数であり、qは0〜20の整数、好ましくは0〜5の整数である。
斯かるオルガノポリシロキサンの例としては下記を挙げることができる。
Figure 2010001330

Figure 2010001330
式(10)のオルガノポリシロキサンの分子量は、100〜100,000が望ましい。オルガノポリシロキサンの分子量が前記範囲内である場合、該オルガノポリシロキサンと反応させる芳香族重合体の構造或いは分子量により、オルガノポリシロキサンがマトリクスに均一に分散した均一構造、或いはオルガノポリシロキサンがマトリクスに微細な層分離を形成する海島構造が出現する。
オルガノポリシロキサンの分子量が比較的小さい場合、特に100〜10,000である場合は均一構造、一方、オルガノポリシロキサンの分子量が比較的大きい場合、特に10,000〜100,000である場合は海島構造が形成される。均一構造と海島構造の何れが選択されるかは用途に応じて選択される。ここでオルガノポリシロキサンの分子量が100未満であれば硬化物は剛直で脆くなり、一方分子量が100,000より大きければ、海島が大きくなり、局所的な応力が発生し、何れの場合でもシリコーン骨格をエポキシ樹脂或いは硬化剤分子中に導入する主旨に沿うものではない。
上記の芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させる方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、白金系触媒の存在下で、芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを付加反応に付する。
本発明の組成物において、成分(A)と成分(B)の配合比は、エポキシ基の当量と硬化剤中のエポキシ基と反応性の基の当量比、(エポキシ基)/(硬化剤中の反応性基)が、0.8〜1.25であることが望ましく、特に0.9〜1.1であることが望ましい。当量比がこの範囲にない場合、一部未反応になり、硬化物の性能、更にはこれを用いる半導体装置の性能に支障をきたす恐れがある。
なお、成分(B)がシリコーン変性フェノール樹脂を含まない場合、成分(A)が、シリコーン変性エポキシ樹脂である。即ち、成分(A)と成分(B)の少なくとも一方が、シリコーン変性樹脂を含む。
(C)硬化促進剤
(C)硬化促進剤としては、例えば有機リン、イミダゾール、3級アミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。有機リンの例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート誘導体、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体等が挙げられる。イミダゾールの例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル-4-メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられ、3級アミンの例としてはトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
これらのなかでも、下記式(1)に表されるテトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体、又は下記式(2)で表されるメチロールイミダゾール誘導体が好ましく、より好ましくは、後述する(B)硬化剤のフェノール樹脂またはシリコーン変性フェノール樹脂と、これらを組合せて使用する。
Figure 2010001330
但し、R〜R14は夫々独立に水素原子又は或いは炭素数1〜10の炭化水素基、或いはハロゲン原子である。
Figure 2010001330
但し、R15はメチル基或いはメチロール基であり、R16は炭素数1〜10の炭化水素基である。
(C)硬化促進剤の添加量は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との合計の100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが望ましく、特に0.2〜5質量部であることが望ましい。硬化促進剤が前記下限値未満である場合は、接着剤組成物が硬化不十分になる恐れがあり、また前記上限値より多い場合は接着剤組成物の保存性、或いはBステージ状態の安定性に支障をきたす恐れがある。
(D)導電性フィラー
導電性フィラーとしては、金、銀、銅、錫、亜鉛、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の各種の金属及びこれらの合金が挙げられ、形状は、球状、粒状、鱗片状、及び針状等が挙げられる。またシリカ、アルミナ、有機樹脂、シリコーンゴム等の絶縁性粉末の表面を上記の各種の金属で蒸着、或いはメッキした粉末を用いても良い。平均粒径は0.1〜30μm、特に0.5〜10μmであることが望ましい。
(D)導電性フィラーの添加量は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との合計の100質量部に対して、300〜2000質量部、特に600〜1500質量部であることが望ましい。前記下限値未満である場合は導電性が不十分となり、前記上限値を超える場合は硬化物が剛直になり、柔軟性・耐熱衝撃性を損なう恐れがある。尚、硬化物の体積抵抗率は室温において10−2Ω・cm以下、特に10−3Ω・cm以下であることが望ましい。
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子
25℃で固体状の熱可塑性樹脂粒子としては、公知の樹脂の粒子であってよく、例えばAAS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、各種のフッ素樹脂、各種のシリコーン樹脂、ポリアセタール、各種のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポニフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でもメタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂もしくはこれらの共重合体が望ましい。或いは粒子の内核(コア)部と外皮(シェル)部で樹脂が異なるコア・シェル構造ものであっても良い。その場合コアはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はブタジエン樹脂等からなるゴム粒子であり、シェルは線形分子鎖からなる上記各種の熱可塑性樹脂であることが望ましい。
該熱可塑性樹脂粒子は略球状、円柱もしくは角柱状、不定形状、破砕状、及び燐片状等であってよく、ダイボンド剤用途には略球状、及び鋭角部を有しない不定形状が好ましい。
該熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、用途に応じて適宜選択されるが、通常は最大粒径が10μm以下、特に5μm以下であることが望ましく、平均粒径は0.1〜5μm、特に0.1〜2μmであることが望ましい。最大粒径が前記上限値より大きい、或いは平均粒径が5μmより大きい場合は、Bステージ化段階或いは硬化段階において、粒子熱可塑性樹脂の一部が十分に膨潤或いは溶解せずに残り、硬化後の組成物の特性を損なう恐れがある。一方、平均粒径が前記下限値よりも小さい場合、組成物の粘度が大きくなり、作業性が著しく悪くなる恐れがある。なお粒径の測定は、電子顕微鏡観察により行うことができる。
該熱可塑性樹脂粒子は架橋構造を有していてもよい。しかし熱可塑性樹脂(C)がエポキシ樹脂網目構造中に均一に分散された構造を形成することが好ましいと考えられることから、架橋度は低い方が好ましく、より好ましくは架橋の無い線状分子鎖である。
該熱可塑性樹脂粒子の分子量は、樹脂の種類に依存して適宜選択される。典型的には、ポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜10,000,000、好ましくは10,000〜100,000、重量平均分子量が10,000〜100,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000である。数平均分子量が上記下限値より小さい、或いは重量平均分子量が上記下限値より小さい場合は、膨潤する温度が低温になりすぎ、Bステージが早期に出現するためにAステージ状態が不安定になる恐れがある。また十分なBステージ状態の硬度が得られず、特にダイボンド材用途ではボイドや流出、或いはダイシフト等の不良が発生する恐れがある。一方、数平均分子量が上記上限値より大きい、或いは重量平均分子量が上記上限値より大きい場合は膨潤する温度が高くなって、Cステージの出現温度との差が小さくなり、Bステージ状態が不安定になる恐れがある。またBステージ化後、或いはCステージ化後に粒子熱可塑性樹脂の一部がエポキシ樹脂網目構造の形成を阻害する恐れがある。
熱可塑性樹脂粒子の含有量は、安定なBステージ状態を得るために、成分(A)と成分(B)との合計の100質量部に対して、好ましくは5質量部〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部である。含有量が前記下限値より少ない場合は、十分なBステージ状態の硬度が得られず、半導体チップの外側に樹脂が流れ出して、フィレットが発生する恐れがある。一方含有量が前記上限値よりも多い場合は、Bステージ状態が硬くなりすぎ、接着不足等の不良が発生する恐れがある。
(F)希釈剤
本発明の樹脂組成物で粘度を調整する目的で希釈剤を添加してよい。この希釈剤の種類は特に限定されるものではないが、成分(A)エポキシ樹脂(B)硬化剤は希釈剤に可溶であり、一方成分(C)の硬化促進剤は不溶であることが望ましい。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、カルビトールアセテート等のグリコールエステル等が挙げられる。更に後述する本発明の方法における印刷工程(工程(i)または工程(1))において作業性の良い粘度にする為に、希釈剤は、ある程度高沸点、例えば180℃〜230℃ものであることが望ましく、上述の希釈剤の中でも、該範囲に沸点を有するイソホロン、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート等が特に好ましい。
この希釈剤の含有量は特に制限されないが、(A)エポキシ樹脂(B)硬化剤の合計100質量部に対して40質量部以下とすることが望ましい。ここで希釈剤の含有量が40質量部より多い場合は、樹脂組成物が低粘度になりすぎて後述する(D)導電性フィラーが長期保存中に沈降する恐れがある。
上記成分の他、本発明の組成物には用途に応じて、絶縁性充填材、例えばシリカ、アルミナ、タルク、マイカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等、シランカップリング剤、難燃剤、イオントラップ剤、ワックス、着色剤、接着助剤等を、本発明の目的を阻害しない量で、添加することができる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。これらの中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましい。上記カップリング剤を用いる場合、その使用量は、上記(A)〜(F)成分100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.3〜3.0質量部である。
組成物の調製法
本発明の組成物は、上記各成分を、公知の混合方法、例えば、ミキサー、ロール等を用いて混合することによって、調製することができる。
組成物の使用方法
本発明の樹脂バンプ用組成物は、下記(i)〜(v)の工程、
(i)該樹脂バンプ用組成物を、シリコンウエハーの電極パッド上に印刷してバンプを形成する工程、
(ii)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記バンプをBステージ化する工程、
(iii)前記バンプを備えたシリコンウエハーを複数の個片に切断する工程、
(iv)前記個片を、前記バンプを介してフリップチップ接続する工程、及び
(v)前記バンプを熱硬化させる工程;
または、下記(1)〜(4)の工程、
(1)該樹脂バンプ用組成物を、基板上の電極パッド上に印刷してバンプを形成する工程、
(2)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記バンプをBステージ化する工程、
(3)前記バンプを備えた基板上に、前記バンプを介してシリコンチップをフリップチップ接続する工程、及び
(4)前記バンプを熱硬化させる工程、
を含む方法で、半導体装置を製造するために使用される。
工程(1)又は(i)において直径数100μm〜数mmのバンプをスクリーン印刷により形成できる。
工程(2)又は(ii)では開閉式や連続式のオーブンで加熱によりBステージ、即ち、流動性の無い状態にし、工程(iii)ではダイサーを使用し、工程(3)又は(iv)ではダイボンダーで樹脂バンプを介してチップを搭載し、工程(4)又は(v)では開閉式や連続式のオーブンで接着剤組成物を硬化させる。以下、各工程について詳細に説明する。
個片化法
ウエハーの切断(ダイシング)は通常ダイヤモンドブレードを高速回転させることでウエハーを切削するダイシングと、レーザーによるレーザーダイシングがあり、用途に応じて適宜選択される。
フリップチップ接続条件
フリップチップ接続条件にはプレヒートの温度、時間、フリップチップ接続時のチップ及び基板の温度、時間、圧力等がある。プレヒートの目的はフリップチップ或いは基板に塗布された樹脂組成物と半導体チップの密着性向上である。プレヒートの温度は50℃〜150℃で10分〜2秒加熱することが望ましい。またフリップチップ接続の温度は半導体チップが25℃〜250℃、基板が25℃〜200℃、時間が0.1秒〜10秒、圧力が0.01MPa〜10MPaであることが望ましい。
硬化条件
樹脂組成物の典型的な硬化条件は、100℃〜200℃の温度で、8時間〜1時間である。後続の、半導体装置の封止工程において、硬化を同時に行ってもよい。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜5、比較例1及び2
表1に示す各成分を、25℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃の3本ロールを通過させた後、25℃においてプラネタリーミキサーで再度混合して、各組成物を調製した。各組成物について、後述の(a)〜(d)の諸試験を行った。結果を、表1に示す。なお、試験(b)〜(d)において、各組成物を、125℃で1時間加熱後165℃で2時間加熱して硬化させた。
使用樹脂等
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量180、日本化薬社製RE310S)
シリコーン変性エポキシ樹脂(合成例1)
(B)硬化剤
硬化剤(フェノールノボラック、当量110、明和化成製DL92)
シリコーン変性フェノール樹脂硬化剤(合成例2)
(C)硬化促進剤
硬化促進剤(テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート、北興化学製TPP-K)
(D)導電性フィラー
銀粉f(フレーク粉、平均粒径2.5μm、最大粒径14μm、福田金属箔粉工業製Ag C-239)
(E)熱可塑性樹脂粒子
粒子状熱可塑性樹脂(ポリメタクリル酸メチル製、数平均分子量50,000、重量平均分子量150,000、平均粒径1ミクロン、最大粒径3ミクロン)
(F)希釈剤
カルビトールアセテート
接着助剤 KBM−403(信越化学工業(株)製)
合成例1:シリコーン変性エポキシ樹脂の合成
攪拌羽、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと環流管を取り付けたフラスコに、式(12)のエポキシ樹脂42.0g(0.10mol)とトルエン168.0gを入れ、130℃/2時間で共沸脱水を行った。これを100℃に冷却し、触媒(信越化学製CAT−PL−50T)0.5gを滴下し、直ちに式(14)のオルガノポリシロキサン36.3g(0.05mol)とトルエン145.2gの混合物を30分程度で滴下し、更に100℃/6時間で熟成した。これからトルエンを除去し、黄色透明液体(η=5Pa・s/25℃、エポキシ当量400、オルガノポリシロキサン含有量46.4質量%)を得た。
合成例2:シリコーン変性フェノール樹脂の合成
攪拌羽、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと環流管を取り付けたフラスコに、式(13)のフェノール樹脂30.8g(0.10mol)とトルエン123.2gを入れ、130℃/2時間で共沸脱水を行った。これを100℃に冷却し、触媒(信越化学製CAT−PL−50T)0.5gを滴下し、直ちに式(14)のオルガノポリシロキサン36.3g(0.05mol)とトルエン145.2gの混合物を30分程度で滴下し、更に100℃/6時間で熟成した。これからトルエンを除去し、褐色透明液体(η=20Pa・s/25℃、フェノール当量340、オルガノポリシロキサン含有量54.1質量%)を得た。
Figure 2010001330
Figure 2010001330

Figure 2010001330
試験方法
(a)粘度
各組成物について、JIS Z−8803に準じ、E型粘度計(HBDV−III、ブルックフィールド社製)を用いて、測定温度25℃、ずり速度2.00(sec−1)、回転開始後2分における粘度を測定した。
(b)硬化物の体積抵抗率
日本ゴム協会標準規(SRIS) 2301に基づき、各組成物の硬化物について、測定温度25℃における、体積抵抗率を測定した。
(c)硬化物の引張弾性率
JIS K 7113に基づき、各組成物の硬化物について、測定温度25℃における引張弾性率を測定した。
(d)硬化物の引張破壊伸び
JIS K 7113に基づき、各組成物の硬化物について、測定温度25℃における引張破壊伸びを測定した。
(e)温度サイクル試験
実施例1の組成物と、比較例1の組成物を夫々用いて、図1に示すような試験片各20個を作成し、作成直後と、温度サイクル試験後に超音波観察(SAT)を行い、クラック等が見られた試験片の数を数えた。
試験片の作成方法は以下の通りである:
半導体ウェハー(200mmφ、200ミクロン厚)の電極パッド上に各組成物をスクリーン印刷して、樹脂バンプを形成した。該バンプを100℃、10分加熱して、B−ステージ化した。次いで、半導体ウェハーをダイサーにより、ダイシングし、バンプを1600個備えた15mm×15mmの半導体チップを得た。
得られたチップを、BT基板(200ミクロン厚、35mm×35mm)上に、150℃(チップ)/100℃(基板)/1Mpa/1秒でボンディングした。次いで、チップと基板の間にアンダーフィル剤(SMC378S(信越化学工業(株)製))をディスペンスし、150℃で2時間加熱して、樹脂バンプとアンダーフィル剤をCステージ化した。
得られたチップ各20個を温度サイクル試験機にて、−55℃/30分維持+(−55℃から125℃へ)/5分+125℃/30分維持+(125℃から−55℃へ)/5分を1サイクルとし、全部で1000サイクルの温度試験に付した。
Figure 2010001330
表1に示すように、本発明の実施例の組成物は、導電性に優れた接続を形成する。また、低弾性率で伸びも十分であることから耐熱衝撃性に強く、特に、アンダーフィル剤を併用することによって、耐熱衝撃性の優れた装置を構成することができる。比較例1の組成物は、シリコーン変性樹脂を欠くため、その硬化物の弾性率が高く、伸びも不十分である。また、比較例2は熱可塑性樹脂粒子を欠き、Bステージ化はエポキシ樹脂をある程度硬化させて行うが、硬化の程度を制御することが困難であった。
本発明の組成物は、B−ステージ化の制御が容易で、耐熱衝撃性に優れた導電性接続を形成することができるため、小型化が要求される半導体装置の製造に好適である。
実施例で作成した装置の断面図である。
符号の説明
1 半導体チップ
2 樹脂バンプ
3 アンダーフィル剤
4 基板

Claims (7)

  1. (A)エポキシ樹脂 100質量部
    (B)硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対する該成分(B)中の、エポキシ基と反応性の基の量が0.8〜1.25当量となる量
    (C)硬化促進剤 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部
    (D)導電性フィラー 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して400〜2000質量部、及び
    (E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子 成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜50質量部、
    を含み、成分(A)及び成分(B)の少なくともいずれかが、シリコーン変性樹脂を含む、樹脂バンプ用組成物。
  2. (E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子が、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂又はこれらの共重合体から選択される熱可塑性樹脂の粒子であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. (E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子が、ポリスチレン換算の数平均分子量10,000〜100,000及び重量平均分子量100,000〜1,000,000を有することを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
  4. イソホロン、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテートから選ばれる、(F)希釈剤を更に含む、請求項1〜3の何れか1項記載の組成物。
  5. 下記(i)〜(v)の工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂バンプ用組成物を用いて半導体装置を製造する方法。
    (i)該樹脂バンプ用組成物を、シリコンウエハーの電極パッド上に印刷してバンプを形成する工程、
    (ii)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記バンプをBステージ化する工程、
    (iii)前記バンプを備えたシリコンウエハーを複数の個片に切断する工程、
    (iv)前記個片を、前記バンプを介してフリップチップ接続する工程、及び
    (v)前記バンプを熱硬化させる工程。
  6. 下記(1)〜(4)の工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂バンプ用組成物を用いて半導体装置を製造する方法。
    (1)該樹脂バンプ用組成物を、基板上の電極パッド上に印刷してバンプを形成する工程、
    (2)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記バンプをBステージ化する工程、
    (3)前記バンプを備えた基板上に、前記バンプを介してシリコンチップをフリップチップ接続する工程、及び
    (4)前記バンプを熱硬化させる工程。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂バンプ用組成物からなるバンプを備えた半導体装置。
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