JP2014240490A - 熱硬化性樹脂組成物及び半導体部品実装基板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及び半導体部品実装基板 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐落下衝撃性を維持しつつ、再リフローにより半導体部品を回路基板に実装する場合であっても、はんだフラッシュを起こり難くすることができる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】SnとBiを含む合金からなるはんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー、シリコーン樹脂化合物、及びフラックス成分が含有されている。はんだ粒子100質量部に対して、シリコーン樹脂化合物が1〜30質量部含有されている。熱硬化性樹脂バインダーが連続相(海成分)となり、シリコーン樹脂化合物が分散相(島成分)となってミクロドメイン構造(海島構造)を形成している。加熱することにより、はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部と、はんだ部の周囲を被覆する樹脂硬化部とが形成される。【選択図】なし

Description

本発明は、部品実装のための導電ペースト、特に熱硬化性樹脂バインダーを含有するはんだペーストとして用いられる熱硬化性樹脂組成物、及びこの熱硬化性樹脂組成物を用いて部品実装した半導体部品実装基板に関するものである。
近年、半導体パッケージ等の半導体部品の高密度化・多ピン化に伴い、従来のQFP(QuadFlat Package)のようにリードを用いてはんだ付けにより回路基板に実装する方法に代わって、BGA(BallGrid Array)やCSP(Chip Size Package)等のはんだボール(はんだバンプ)を用いて回路基板に実装する方法が急増してきている(例えば、特許文献1参照)。
BGAやCSPは、携帯電話などのモバイル機器に用いられることが多い。そのため、BGAやCSPの実装構造には耐落下衝撃性が求められるが、はんだボールのみでの接合でははんだの脆弱性により耐落下衝撃性が低下する。
そこで、本発明者は、特願2009−77666において、はんだ粒子を含有する熱硬化性樹脂組成物を用い、はんだ部とはんだ部の周囲を被覆する樹脂硬化部とで接合部を形成するようにして、耐落下衝撃性の低下の問題を解決した。
特開2004−185884号公報
ところで、半導体部品2の高密度化と薄型化の進展に伴い、回路基板3に対する半導体部品2の実装としては両面実装が行われている。例えば、図2に示すように、CSP等の実装において、上述のはんだ粒子を含有する熱硬化性樹脂組成物1を用い、はんだ部4とはんだ部4の周囲を被覆する樹脂硬化部5とで接合部6を形成する方法は非常に有効である。
しかし、両面実装は、図2に示すように半導体部品2を回路基板3に片面ずつ実装して行われる。すなわち、図2(a)のようにリフロー炉による1回目の加熱により、先に回路基板3の一方の面に半導体部品2を実装した後、回路基板3を裏返して、図2(b)のようにリフロー炉による2回目の加熱により、他方の面に半導体部品2を実装するようにしている。そのため、回路基板3がリフロー炉による高温に2回曝されることとなるが、この場合、図2(b)に示す回路基板3の下面側の最初に形成された接合部6のはんだ部4が再溶融し、はんだが接合部6から飛び出して、半導体部品2と回路基板3との電気的接続が途切れてしまう場合が見られる。また、はんだ部4の周囲を樹脂硬化部5で被覆していても、再リフローにより再溶融して液状化したはんだは膨張するため、このはんだが樹脂硬化部5と回路基板3との隙間等に流れ込んで広がることで、隣り合う電極と短絡(フラッシュ)するという不良が起こり易い。
上述の特願2009−77666では、はんだ部4の周囲を樹脂硬化部5が被覆して補強しているので耐落下衝撃性には有効であるが、再リフロー時におけるはんだフラッシュを防止するにはなお改良の余地がある。これは、はんだ部4の周囲を被覆する樹脂硬化部5は硬いものであるが、はんだ部4は再リフローにより体積膨張することにより、その結果、はんだが樹脂硬化部5と回路基板3との隙間等から飛び出すためであると考えられる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、優れた耐落下衝撃性を維持しつつ、再リフローにより半導体部品を回路基板に実装する場合であっても、はんだフラッシュを起こり難くすることができる熱硬化性樹脂組成物及び半導体部品実装基板を提供することを目的とするものである。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、SnとBiを含む合金からなるはんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー、シリコーン樹脂化合物、及びフラックス成分が含有され、前記はんだ粒子100質量部に対して、前記シリコーン樹脂化合物が1〜30質量部含有され、前記熱硬化性樹脂バインダーが連続相(海成分)となり、前記シリコーン樹脂化合物が分散相(島成分)となってミクロドメイン構造(海島構造)を形成し、加熱することにより、前記はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部と、前記はんだ部の周囲を被覆する樹脂硬化部とが形成されるものであることを特徴とする。
好ましくは、前記熱硬化性樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂が用いられている。
好ましくは、前記シリコーン樹脂化合物が、シリコーンオイル、シリコーンゲル、シリコーンパウダーのうちの少なくとも1種類以上である。
好ましくは、前記熱硬化性樹脂バインダーに対して、前記フラックス成分が1〜50PHR含有されている。
好ましくは、前記はんだ粒子の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物全量に対して、50〜97質量%である。
本発明に係る半導体部品実装基板は、前記熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体部品が回路基板に実装されていることを特徴とする。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物によれば、はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部と、はんだ部の周囲を被覆する樹脂硬化部とで、半導体部品と回路基板とを接合する接合部を形成することができるものであり、樹脂硬化部によって優れた耐落下衝撃性を維持することができると共に、再リフローにより半導体部品を回路基板に実装する場合であっても、樹脂硬化部中のシリコーン樹脂化合物によってはんだフラッシュを起こり難くすることができるものである。
本発明に係る半導体部品実装基板の一例を示すものであり、(a)(b)は概略断面図である。 従来の半導体部品実装基板の一例を示すものであり、(a)(b)は概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物1には、SnとBiを含む合金からなるはんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー、シリコーン樹脂化合物、及びフラックス成分が含有されているものである。
好ましくは、フラックス成分として下記構造式(1)又は(2)で示される化合物のうちの少なくとも一方が含有されている。
Figure 2014240490
フラックス成分である上記構造式(1)及び(2)で示される化合物は、末端にカルボキシル基及び各種の官能基を有しており、室温でのフラックス活性はさほど大きくないが、これらの化合物が100℃以上の温度に加熱されると、下記構造式(16)及び(17)に示すようなキレートを形成してはんだ粒子(M)表面に局在化し、優れた活性力(還元力)が顕在化して、効率よくカルボキシル基とはんだ粒子表面の金属酸化物の膜(酸化膜)との反応が促進され、はんだ粒子から酸化膜を効果的に除去することができるようになる。
Figure 2014240490
ここで、上記構造式(1)及び(2)中のXは、金属が配位可能な孤立電子対又は二重結合性π電子を有する原子団を示すが、具体的には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の孤立電子対を持ちキレートの形成が可能な基、カルボニル基、カルボキシル基、チオカルボニル基、イミノ基等の炭素/ヘテロ原子間二重結合性π電子を持つ有機基、フェニル基、ピリジル基、イミダゾイル基等の芳香族基、さらには炭素−炭素二重結合を有するビニル基、共役二重結合を有する有機基などを例示することができる。
特に、上記構造式(1)又は(2)中のXは、下記構造式(3)〜(8)で示される原子団のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、Xが他の原子団である場合に比べて、効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
Figure 2014240490
また、上記構造式(1)及び(2)中のYは、主鎖骨格を形成する原子又は原子団を示すが、下記構造式(9)〜(12)で示される原子又は原子団のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、Yが他の原子又は原子団である場合に比べて、はんだ粒子の酸化膜を十分に除去することができるものである。
Figure 2014240490
そして具体的には、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物は、レブリン酸、グルタル酸、ジメチルグルタル酸、コハク酸、リンゴ酸、5−ケトヘキサン酸、4−アミノ酪酸、3−フェニルプロピオン酸、4−フェニル酪酸のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、他のフラックス成分に比べて、一層効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
なお、カルボキシル基を両末端に有する化合物としては、一般的には脂肪族骨格を有するアジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、コルク酸等が挙げられる。しかし、これらは金属表面の酸化膜に対する十分な還元作用を期待することができず、その還元力は、上記構造式(1)及び(2)で示される化合物に比べて、十分に満足できるレベルではない。これは、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、コルク酸等の分子量が大きいことによって、上記構造式(16)及び(17)に示すようなキレートを形成する能力に劣っているためである、と推察される。
また、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物は、下記構造式(13)で示される化合物(ジグリコール酸)、下記構造式(14)で示される化合物(チオジグリコール酸)、下記構造式(15)で示される化合物(ジチオジグリコール酸)のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。下記構造式(13)〜(15)で示されるように、主骨格に酸素原子又は1個若しくは2個の硫黄原子が結合した構造の化合物は、脂肪族骨格の化合物と比べて、優れた還元力を発揮することができる。その理由は、主骨格の酸素原子及び硫黄原子が電子供与性の原子であるため、金属との配位結合性が高くなり、その結果、脂肪族骨格の化合物と比べて優れた還元力を発揮することができるからである、と推察される。よって、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物が、下記構造式(13)〜(15)で示される化合物のうちの少なくとも1種類以上であることによって、他のフラックス成分に比べて、優れた還元力を発揮することができ、一層効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
Figure 2014240490
なお、本発明においては、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物のうちの少なくとも一方を用いているが、これ以外に一般に用いられている他のフラックス成分を併用しても差し支えない。
そして、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物1にはシリコーン樹脂化合物が含有されている。エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂バインダーには硬さという欠点があるが、この欠点をシリコーン樹脂化合物の利点である柔らかさで補うことができる。そうすると、このような熱硬化性樹脂組成物1を半導体部品2の端子と回路基板3の電極との間でリフロー等により加熱する場合、はんだ粒子の溶融一体化により、半導体部品2と回路基板3とを電気的に接続するはんだ部4を形成することができる。これと同時にはんだ部4の周囲には膨張性を有する樹脂硬化部5を形成することができる。そのため、はんだ部4が再リフロー等により再溶融して膨張したとしても、その周囲の樹脂硬化部5も膨張するので、はんだが樹脂硬化部5の隙間等から染み出すのを抑制し、はんだフラッシュを起こり難くすることができるものである。しかも樹脂硬化部5は、膨張性を有するのみならず、硬さもある程度残しているので、優れた耐落下衝撃性を維持しているものである。
特に、熱硬化性樹脂組成物1は、熱硬化性樹脂バインダーが連続相(海成分)となり、シリコーン樹脂化合物が分散相(島成分)となってミクロドメイン構造(海島構造)を形成することが好ましい。これにより、樹脂硬化部5の低弾性化を図り、クラック等の隙間の発生を抑制し、はんだフラッシュをさらに起こり難くすることができるものである。ここで、ミクロドメイン構造(海島構造)が形成されるか否かは、熱硬化性樹脂バインダーとシリコーン樹脂化合物との相溶性や比率が関係する。例えば、熱硬化性樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂、シリコーン樹脂化合物としてジメチルシロキサン単体を用いる場合、通常この両者の相溶性は悪いので二層分離するが、ジメチルシロキサンがエポキシ基を持っていると、完全相溶しない程度にエポキシ樹脂との相溶性が向上してミクロドメイン構造(海島構造)が形成される。また、比率の多い方が連続相(海成分)、比率の少ない方が分散相(島成分)となるが、熱硬化性樹脂バインダーが連続相(海成分)となる必要があるため、熱硬化性樹脂バインダー:シリコーン樹脂化合物(質量比)=60:40〜90:10であることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂バインダーには、硬化剤や硬化促進剤も含まれる。
また、シリコーン樹脂化合物は、シリコーンオイル、シリコーンゲル、シリコーンパウダーのうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、他のシリコーン樹脂化合物を用いる場合に比べて、はんだフラッシュを起こり難くすることができるものである。
ここで、熱硬化性樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂を用いる場合には、シリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂の側鎖又は末端にエポキシ基を持つタイプのものを用いることが好ましい。本来、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂化合物とは二層分離し易く相溶性が悪いが、側鎖又は末端にエポキシ基を持つシリコーンオイルを用いることで、エポキシ樹脂との相溶性が向上し、ミクロドメイン構造(海島構造)を形成することが可能となる。シリコーンオイルの具体例としては、東レ・ダウコーニング株式会社製の品番「BY16−855」、「SF8411」及び「SF8421」並びに信越化学工業株式会社製の品番「X22−163」及び「KF−105」等を挙げることができる。
またシリコーンゲルは、ビニル基を持つシリコーン樹脂:−SiCH=CHと、水素を持つシリコーン樹脂:−SiHとを白金触媒を用いて反応させたゼリー状のシリコーン樹脂硬化物の総称である。そして上記の反応をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂バインダー中で行うことで、シリコーンゲルが分散相(島成分)となったミクロドメイン構造(海島構造)を形成することが可能となる。シリコーンゲルの具体例としては、信越化学工業株式会社製の品番「KE−1056」、「KE−1151」及び「FE−57」等を挙げることができる。
またシリコーンパウダーは、3次元架橋したシリコーンゴムを数ミクロンのサイズまで微粉砕したものである。形状のコントロールや表面処理を施すことで、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂バインダーとの馴染みを良くして、熱硬化性樹脂バインダー中に均一に分散させてミクロドメイン構造(海島構造)を形成することが可能となる。シリコーンパウダーの具体例としては、東レ・ダウコーニング株式会社製の品番「トレフィルシリーズ」等を挙げることができる。
また、シリコーン樹脂化合物は、はんだ粒子100質量部に対して、1〜30質量部含有されているのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂バインダーの硬化物の硬さを緩和することができる。この緩和効果によって、はんだ部4の周囲に形成される樹脂硬化部5を柔らかくすることができ、再リフロー時において、はんだ部4が溶融・膨張して樹脂硬化部5の隙間等に染み込んで広がろうとするのを抑制し、はんだフラッシュを起こり難くすることができる。しかし、シリコーン樹脂化合物の含有量が1質量部より少ないと、はんだフラッシュの防止効果を十分に得ることができないおそれがある。逆に、シリコーン樹脂化合物の含有量が30質量部より多いと、樹脂硬化部5による半導体部品2と回路基板3との接続強度が低下するおそれがある。
またはんだ粒子は、好ましくは、融点が240℃以下のものである。はんだ粒子の融点の下限は特に限定されないが、80℃以上であることが好ましい。このような条件を満たす限り、はんだ粒子の組成は特に限定されないが、例えば、SnをベースとするBi、Zn、In等の金属との合金を挙げることができる。具体的には、Sn42Bi58(融点139℃)やSn96.5Ag3.0Cu0.5(融点218℃)を例示することができる。
また、はんだ粒子の含有量は、熱硬化性樹脂組成物1全量に対して、50〜97質量%であることが好ましい。はんだ粒子の含有量が50質量%未満であると、はんだ粒子が溶融一体化して形成された接合部分(はんだ部4)が小さくなりすぎ、導通性が悪くなるおそれがある。逆に、はんだ粒子の含有量が97質量%を超えると、熱硬化性樹脂バインダーによる補強効果が低下するおそれがある。
また、熱硬化性樹脂バインダーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリエステル樹脂等の適宜の熱硬化性樹脂を用いることができる。このうち、特に熱硬化性樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。エポキシ樹脂は比較的低温で硬化すると共に接着性が高いため、従来のはんだリフロー処理の温度(240℃程度)より低い温度でも十分な硬化性を発揮して部品実装を可能とすると共に、十分な補強効果を発揮することができるものである。
また、熱硬化性樹脂バインダーとして液状等のエポキシ樹脂を用いる場合には、必要に応じて熱硬化性樹脂組成物1中に硬化剤や硬化促進剤を含有させる。
硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、ナフタレン骨格含有フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等を用いることができる。硬化剤の含有量は適宜に設定することができるが、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する硬化剤の化学量論上の当量比が0.8〜1.2の範囲となるように硬化剤を含有させるのが好ましい。また、硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機リン化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類等を用いることができる。
また、熱硬化性樹脂バインダーに対して、フラックス成分は1〜50PHR含有されているのが好ましい。これにより、フラックス成分の作用を十分に発揮させることができると共に、熱硬化性樹脂組成物1の硬化後における補強性を高く得ることができるものである。しかし、フラックス成分の含有量が1PHR未満であると、濃度が薄すぎてフラックス成分として十分な作用を発揮させることができない場合があり、そのためはんだ粒子の溶融一体化が阻害され、接続抵抗が高くなってしまうおそれがある。逆に、フラックス成分の含有量が50PHRを超えると、熱硬化性樹脂組成物1の硬化後においてタック性が残ったり、補強性を十分に高く得ることができなくなったりするおそれがある。なお、フラックス成分(PHR)は、{(フラックス成分の質量/熱硬化性樹脂バインダーの質量)×100}によって算出することができる。この場合、熱硬化性樹脂バインダーには、硬化剤や硬化促進剤も含まれる。
また、熱硬化性樹脂組成物1全量に対して、熱硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3〜50質量%であることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂バインダーには、硬化剤や硬化促進剤も含まれる。これにより、流動可能な熱硬化性樹脂組成物1を得ることができるものである。また、はんだ粒子が溶融一体化して形成されたはんだ部4の周囲に、ボイドが存在しない熱硬化性樹脂バインダーの硬化物からなる樹脂硬化部5が形成され、この樹脂硬化部5によって十分な補強性を得ることができるものである。さらに、はんだ粒子の溶融一体化が阻害されるのを防止することができ、十分に低い接続抵抗を得ることができるものである。しかし、熱硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3質量%未満であると、パテ状又は粉状となって、流動可能な熱硬化性樹脂組成物1を得ることができないおそれがある。また、はんだ粒子が溶融一体化した後、このはんだ部4の周囲には熱硬化性樹脂バインダーの硬化物からなる樹脂硬化部5が形成されるが、この樹脂硬化部5にボイドが多く含まれることとなり、このような樹脂硬化部5によっては十分な補強性を得ることができなくなるおそれがある。逆に、熱硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が50質量%を超えると、はんだ粒子の割合が少なすぎてこれらの溶融一体化が阻害されたり、十分に低い接続抵抗を得ることができなくなったりするおそれがある。
なお、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物1には、上記必須成分のほか、通常用いられる改質剤、添加剤等が含有されていてもよい。また、熱硬化性樹脂組成物1の粘度を低減し、流動性を付与する目的で、低沸点の溶剤や可塑剤を加えることもできる。さらに、印刷形状を保持するためのチクソ性付与剤として、硬化ヒマシ油やステアリン酸アミド等を添加することも有効である。
そして、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物1は、融点が240℃以下のはんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー、シリコーン樹脂化合物、フラックス成分、必要に応じてその他の成分をディスパー等を用いて均一に混合・混練することによって製造することができる。
次に本発明に係る半導体部品実装基板について説明する。半導体部品実装基板は、図1に示すように、熱硬化性樹脂組成物1を用いて半導体部品2を回路基板3に実装して形成されたものである。なお、半導体部品2としては、BGAやCSP等のみならず、QFP等も用いることができる。
図1に示す半導体部品実装基板は、BGAやCSP等の半導体部品2を熱硬化性樹脂組成物1を用いてFR−4等の回路基板3の両面に実装して形成されたものであり、次のようにして製造することができる。まず回路基板3の一方の面に設けられた電極ごとに熱硬化性樹脂組成物1を塗布し、さらにこの上に半導体部品2を載せた後、図1(a)のようにリフロー炉による1回目の加熱により、先に回路基板3の一方の面に半導体部品2を実装する。このとき熱硬化性樹脂組成物1が硬化し、半導体部品2の端子と回路基板3の電極とを接合する接合部6が形成される。この接合部6は、はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部4と、このはんだ部4の周囲を被覆する樹脂硬化部5とで形成されている。次に、この回路基板3を裏返して、回路基板3の他方の面に設けられた電極ごとに熱硬化性樹脂組成物1を塗布し、さらにこの上に半導体部品2を載せた後、図2(b)のようにリフロー炉による2回目の加熱により、回路基板3の他方の面に半導体部品2を実装するようにしている。このとき上記と同様に熱硬化性樹脂組成物1が硬化し、半導体部品2の端子と回路基板3の電極とを接合する接合部6が形成される。この接合部6も、はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部4と、このはんだ部4の周囲を被覆する樹脂硬化部5とで形成されている。
従来は上記の2回目の加熱(再リフロー)により、先に実装した半導体部品2と回路基板3との接合部6のはんだ部4が再溶融して膨張することによって、図2(b)に示すように、はんだが樹脂硬化部5と回路基板3との隙間や樹脂硬化部5に発生したクラック等から染み出すおそれがあった。そのため、半導体部品2と回路基板3との電気的接続が途切れてしまったり、はんだが樹脂硬化部5と回路基板3との隙間等に流れ込んで広がることで、隣り合う電極と短絡(フラッシュ)するという不良が起こり易かった。
しかし、図1に示す半導体部品実装基板においては、先に実装した半導体部品2と回路基板3との接合部6のはんだ部4が2回目の加熱により再溶融して膨張しても、そのはんだ部4の周囲は、膨張性を有する樹脂硬化部5が取り囲んでおり、この樹脂硬化部5も膨張して隙間を形成しないので、はんだは接合部6から染み出すことがなく、はんだフラッシュは起こり難いものである。すなわち、樹脂硬化部5にはシリコーン樹脂化合物が含有されているので、このシリコーン樹脂化合物の利点である柔らかさがエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂バインダーの欠点である硬さを補うことができる。そのため、このような樹脂硬化部5によりはんだ部4の補強と、はんだ部4の再溶融時におけるフラッシュの防止とを両立させることが可能となる。
このように、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物1にあっては、はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部4と、はんだ部4の周囲を被覆する樹脂硬化部5とで、半導体部品2と回路基板3とを接合する接合部6を形成することができるものである。そして、はんだ部4を補強する樹脂硬化部5によって優れた耐落下衝撃性を維持することができるものである。さらに、再リフローにより半導体部品2を回路基板3に実装する場合であっても、樹脂硬化部5中のシリコーン樹脂化合物によってはんだフラッシュを起こり難くすることができるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を11質量部、シリコーン樹脂化合物としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、品番「X22−163C」)を3質量部、硬化促進剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品番「アミキュアPN23」)を2質量部、フラックス成分としてレブリン酸を2質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例2)
フラックス成分としてグルタル酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例3)
フラックス成分として2,2−ジメチルグルタル酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例4)
フラックス成分としてコハク酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例5)
フラックス成分としてリンゴ酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例6)
フラックス成分として4−フェニル酪酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例7)
フラックス成分としてジグリコール酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例8)
シリコーン樹脂化合物としてシリコーンパウダー(東レ・ダウコーニング株式会社製、品番「トレフィル601」)を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例9)
シリコーン樹脂化合物としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、品番「X22−163C」)を6質量部用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例10)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、熱硬化性樹脂バインダーとしてシアン酸エステル樹脂(Lonza社製、品番「L−10」)を13質量部、シリコーン樹脂化合物としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、品番「X22−163C」)を3質量部、硬化促進剤としてFeアセチルアセトナートを0.1質量部、フラックス成分としてレブリン酸を2質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
(参考例)
はんだ粒子として、Sn96.5Ag3.0Cu0.5(Sn96.5質量%、Ag3.0質量%、Cu0.5質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は218℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を11質量部、シリコーン樹脂化合物としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、品番「X22−163C」)を3質量部、硬化促進剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品番「アミキュアPN23」)を2質量部、フラックス成分としてグルタル酸を2質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1〜10及び参考例の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂バインダーが連続相(海成分)となり、シリコーン樹脂化合物が分散相(島成分)となったミクロドメイン構造(海島構造)を形成していた。なお、ミクロドメイン構造(海島構造)を形成しているか否かは、熱硬化性樹脂組成物だけを硬化させ、これを顕微鏡により観察して確認した。
(比較例1)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を12質量部、シリコーン樹脂化合物としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、品番「X22−163C」)を3質量部、硬化促進剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品番「アミキュアPN23」)を3質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例2)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を14質量部、硬化促進剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品番「アミキュアPN23」)を3質量部、フラックス成分としてレブリン酸を3質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例3)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を85質量部、シリコーン樹脂化合物としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、品番「X22−163C」)を3質量部、フラックス成分としてレブリン酸を5質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の組成物を得た。
(比較例4)
はんだ粒子の代わりに融点950℃の銀粉末を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を得た。
(評価試験)
実施例1〜10、参考例、比較例1〜4で得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、次のような評価試験を行った。なお、比較例3の組成物は熱硬化性樹脂組成物の代わりに用いた。
1.部品シェア強度評価
配線板(FR−4グレード)の表面にAuメッキが施された端子(パッド)を形成し、前記パッドの表面に、通常の方法に従い、熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法で塗布した。塗布後の熱硬化性樹脂組成物の厚みは、約70μmであった。このように、配線板のパッドに熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、このパッド上に0Ωの1608チップ抵抗器をマウントした。この部品が搭載された配線板をリフロー炉で、実施例1〜10及び比較例1〜4については150℃で10分間、参考例については240℃で10分間加熱することによって、熱硬化性樹脂組成物を硬化させた。そしてこの硬化後のチップ抵抗器の部品シェア強度(接続強度)をシェアテスターにて測定した。
2.耐フラッシュ性評価
上記の「1.部品シェア強度評価」の場合と同様にして配線板に部品を搭載し、この部品を液状封止材(パナソニック電工株式会社製、品番「CV5420」)で封止し、さらにこれを60℃、90%RH、168時間の条件で吸湿処理した後、240℃のピーク温度で6分間のリフローを行った。その後、軟X線透過装置にてはんだフラッシュの有無を確認した。
以上の評価試験による評価結果を下記表1及び表2に示す。
Figure 2014240490
Figure 2014240490
1 熱硬化性樹脂組成物
2 半導体部品
3 回路基板

Claims (6)

  1. SnとBiを含む合金からなるはんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー、シリコーン樹脂化合物、及びフラックス成分が含有され、前記はんだ粒子100質量部に対して、前記シリコーン樹脂化合物が1〜30質量部含有され、前記熱硬化性樹脂バインダーが連続相(海成分)となり、前記シリコーン樹脂化合物が分散相(島成分)となってミクロドメイン構造(海島構造)を形成し、加熱することにより、前記はんだ粒子が溶融一体化したはんだ部と、前記はんだ部の周囲を被覆する樹脂硬化部とが形成されるものであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記熱硬化性樹脂バインダーとしてエポキシ樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記シリコーン樹脂化合物が、シリコーンオイル、シリコーンゲル、シリコーンパウダーのうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記熱硬化性樹脂バインダーに対して、前記フラックス成分が1〜50PHR含有されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記はんだ粒子の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物全量に対して、50〜97質量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体部品が回路基板に実装されていることを特徴とする半導体部品実装基板。
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