JP5278457B2 - エポキシ樹脂組成物、それを用いたダイアタッチ方法及び該組成物の硬化物を有する半導体装置 - Google Patents
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Description
(A)軟化点が40℃以上110℃以下である室温で固体状のエポキシ樹脂、
(B)軟化点が40℃以上110℃以下である室温で固体状の硬化剤
成分(A)中のエポキシ基1当量に対し、該成分(B)中の、エポキシ基と反応性を有する基が0.8〜1.25当量となる量、
(C)硬化促進剤
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部、
(D)質量平均粒径が0.05〜5μmである無機フィラー
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜200質量部、
(E)希釈剤
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜400質量部、および
(F)一般式(1)で示されるジメチルシリコーン
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.01〜2質量部
(i)上記エポキシ樹脂組成物をシリコンウエハーの片面に塗布し、該エポキシ樹脂組成物からなる接着層を形成させる工程、
(ii)60℃〜200℃で、1分間〜3時間加熱することにより、前記接着層中の前記エポキシ樹脂組成物をBステージ化する工程、
(iii)Bステージ化した前記エポキシ樹脂組成物からなる接着層を介して前記シリコンウエハーをダイシングテープに貼り付ける工程、
(iv)工程(iii)の接着層及びシリコンウエハーを切断して、切断された接着層と、切断されたシリコンウエハーからなるシリコンチップとを含み、該接着層が該シリコンチップの片面に付着している個片を複数個得る工程、
(v)前記個片をダイシングテープからピックアップし、該個片中の前記エポキシ樹脂組成物を介して、基体上に搭載する工程、そして
(vi)前記基体上に搭載された前記個片中の前記エポキシ樹脂組成物を硬化させる工程。
(A)成分のエポキシ樹脂は、室温で固体状であり、軟化点が40℃以上110℃以下、好ましくは45℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上90℃以下の樹脂である。これにより、ダイシング時に、ダイシングテープにシリコンウエハーをしっかり固定することができ、チップ割れおよびチップ飛びを防ぐことができる。軟化点が前記下限値未満では、ダイシングテープとシリコンウエハーの密着性が高くなりすぎるため、チップがピックアップ出来ずチップ割れを生じる原因となるため好ましくない。また、前記上限値超では、チップをピックアップした後のダイアタッチ時に該樹脂組成物の粘度が高くなり、基板との接着不良が発生するおそれがある。なお、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234規定の環球法で得られた値である。(A)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
で表されるグリシジル基であり、Xは水素原子又は臭素原子であり、nは0以上の整数、好ましくは0〜50、より好ましくは1〜20の整数である。mは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1である。ただし、シリコーン変性エポキシ樹脂が室温で固体であるためには、m/(m+n)が好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.02〜0.2を満たす数である。
Ha(R2)bSiO (4-a-b)/2 (4)
(R2は上述の通りであり、好ましくはメチル基或いはフェニル基である。pは0〜1000の整数、好ましくは3〜400の整数であり、qは0〜20の整数、好ましくは0〜5の整数であり、1≦p+q≦1000、好ましくは2≦p+q≦400、さらに好ましくは5≦p+q≦200を満たす整数である。)
(B)成分の硬化剤は、室温で固体状であり、軟化点が40℃以上110℃以下、好ましくは45℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上90℃以下である。これにより、ダイシング時に、ダイシングテープにシリコンウエハーをしっかり固定することができ、チップ割れおよびチップ飛びを防ぐことができる。軟化点が前記下限値未満では、ダイシングテープとシリコンウエハーの密着性が高くなりすぎるため、チップがピックアップ出来ずチップ割れを生じる原因となるため好ましくない。また、前記上限値超では、チップをピックアップした後のダイアタッチ時に該樹脂組成物の粘度が高くなり、基板との接着不良が発生するおそれがある。なお、硬化剤の軟化点はJIS K 7234規定の環球法で得られた値である。(B)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(C)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の反応を促進するものであれば特に制限されない。(C)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。(C)成分としては、例えば、有機リン、イミダゾール、3級アミン等の塩基性有機化合物を使用することができる。有機リンとしては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート誘導体、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体等が挙げられる。イミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。3級アミンとしては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
(D)成分は、質量平均粒径が0.05〜5μmである無機フィラーであり、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。(D)成分の無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、酸化チタン、シリカチタニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート、タルク、マイカ等を挙げることができ、これらは1種単独あるいは2種類以上組み合せて使用することができる。特に、シリカ、アルミナ、タルクを1種単独あるいは2種類以上組み合せて使用することが好ましい。
希釈剤は樹脂組成物の粘度を調整する目的で添加する。(E)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(F)成分のジメチルシリコーン(即ち、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖の直鎖状ジメチルポリシロキサン)は、表面張力が低く、スクリーン印刷後のメッシュ跡を速やかにレベリングさせる効果と、印刷後のボイドを消泡する効果がある。(F)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明の組成物には、上述した成分の他に用途に応じて、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の絶縁性充填材、シランカップリング剤、難燃剤、イオントラップ剤、ワックス、着色剤、及び接着助剤等のその他の成分を、本発明の目的を阻害しない量で添加することができる。その他の成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上述した各成分を公知の方法、例えば、ミキサー、ロールミル等を用いて混合することによって製造することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、5μm〜200μmのいずれか1点の厚さにおいて、60℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃で1分間〜3時間、好ましくは10分間〜1時間加熱することによりBステージ化することが可能な組成物であることが好ましい。また、Bステージ状態で本発明のエポキシ樹脂組成物の表面の算術平均粗さは、好ましくは2μm以下(0〜2μm)、より好ましくは1μm以下である。なお、算術平均粗さはJIS B 0601に準じ測定することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記工程(i)〜(vi)を含むシリコンチップのダイアタッチ方法に用いることができる。
本発明の半導体装置におけるシリコンチップとしては、例えば、上記工程(iv)においてシリコンウエハーを切断して得られたシリコンチップが挙げられる。また、本発明の半導体装置における基体としては、例えば、上記工程(v)において個片が搭載される、基板もしくは他のチップ等の基体が挙げられる。更に、本発明の半導体装置における硬化物としては、例えば、上記工程(vi)においてエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物が挙げられる。本発明の半導体装置は、例えば、上記工程(i)〜(vi)を含むシリコンチップのダイアタッチ方法を行い、更に、樹脂封止工程等を経ることにより得ることができる。
攪拌羽、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと還流管を取り付けたフラスコに、下記式(8)で示されるエポキシ樹脂(重量平均分子量(ポリスチレン換算)2500)149gとトルエン298gを入れ、130℃、2時間で共沸脱水を行った後、100℃に冷却し、触媒(信越化学製CAT−PL−50T)1gを滴下した後、直ちに下記式(9)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン68g(0.023mol)とトルエン136gの混合物を30分間かけて滴下し、100℃で6時間熟成した。得られた反応混合物よりトルエンを減圧除去し、下記式(10)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂を得た。該化合物の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は20000、オルガノポリシロキサン骨格含有量は31.2質量%であった。
以下に示す各成分を、表1に示す配合量でプラネタリーミキサーを用いて混合し、3本ロールミルを通過させた後、25℃において再度プラネタリーミキサーで混合して、実施例1〜3及び比較例1〜5のエポキシ樹脂組成物を製造した。
(1)エポキシ樹脂(a1):合成例1で製造したシリコーン変性エポキシ樹脂(エポキシ当量291、軟化点70℃)
(2)エポキシ樹脂(a2):o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EOCN1020−55(日本化薬社製)、エポキシ当量200、軟化点57℃)
(3)エポキシ樹脂(a3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE310S(日本化薬社製)、エポキシ当量180、室温(25℃)で液状(粘度15Pa・s))
<(B)硬化剤>
(1)硬化剤(b1):アラルキル型フェノール樹脂(MEHC−7800H(明和化成製)、フェノール当量175、軟化点85℃)
(2)硬化剤(b2):ジアリールビスフェノールA(BPA−CA(小西化学社製)、フェノール当量154、室温(25℃)で液状(粘度16Pa・s))
<(C)硬化促進剤>
2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成製 2P4MHZ-PW)
<(D)無機フィラー>
シリカ(SE-2030、球状、質量平均粒径0.6μm、アドマテックス社製)
<(E)希釈剤>
カルビトールアセテート、沸点は217.4℃
<(F)ジメチルシリコーン>
KF−96-100cs(信越化学工業(株)製 分子量6000 25℃での粘度97mPa・s)
<その他の成分:シランカップリング剤>
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM403、信越化学工業製)
各組成物について、JIS Z−8803に準じ、E型粘度計(HBDV−III、ブルックフィールド社製)を用いて、測定温度25℃、ずり速度2.00(sec−1)で、回転開始後2分における粘度を測定した。
120℃/15分の条件下でBステージ化した各エポキシ樹脂組成物について上記条件(ただし、測定温度は120度に変更)で粘度を測定した。
各組成物を用いて、シリコンウエハー(6インチ径、0.2mm厚)の片面に開口部140mmφ、50μm厚、#325のスクリーンマスクにより、印圧10psi、ウレタンスキージ速度25mm/sでスクリーン印刷を行い、ウエハー全面に薄くエポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布直後と25℃/50%RHの環境下で30分間静置した後のボイド数を下記の様に評価した。
○・・・ボイドが10個以下
△・・・ボイドが11〜50個
×・・・ボイドが51個以上
上記でシリコンウエハー上に塗布したエポキシ樹脂組成物を120℃/15分間/窒素通気の条件下でBステージ化し、エポキシ樹脂組成物が塗布されたシリコンウエハーを得た。該Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物の表面の算術平均粗さをJIS B 0601に準じレーザー顕微鏡(型番、VK−8510 株式会社キーエンス社製)で測定した。
上記シリコンウエハーを、前記Bステージ化後のエポキシ樹脂組成物を介して、ダイシングテープ(T−80MW、トーヨーアドテック社製)に貼り付け、ダイシング速度50mm/s で5mm×5mmに個片化して、ダイシング性を評価した。チップ飛びおよびチップ割れのいずれもが発生しなかった場合を良(○)、少なくとも一方が一個以上の個片について発生した場合を不良(×)と評価した。
前記切断されたシリコンウエハー及びエポキシ組成物よりなる個片をダイシングテープからピックアップし、エポキシ組成物を介して表面にソルダーレジスト(30ミクロン厚)を塗布したBT基板(200ミクロン厚、35mm×35mm)上にダイアタッチした。ダイアタッチ時の条件は2MPa/0.5秒/チップ及び基板の温度150℃である。その後、BT基板上のエポキシ樹脂組成物を125℃/1時間、さらに165℃/2時間で硬化した。得られたデバイスについて、超音波索傷装置(型番、Quantam350 SONIX社製)を用いてボイド及び剥離の有無を観察した。剥離およびボイドの少なくとも一方が認められた領域が、チップ面積の5%以上のものは不良(×)、5%未満であるものは良(○)とした。
硬化させた20mm×5mm×200μmの試験片に関して動的粘弾性率を測定した。測定には動的粘弾性測定装置を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定周波数30Hzの条件で、25℃におけるヤング率を測定した。
前記でダイアタッチ性評価のために作成されたデバイスを、さらにKMC−2520(信越化学工業製エポキシ封止材)で封止した。成型条件は金型温度175℃、注入時間10秒、注入圧70KPa、成型時間90秒、後硬化条件は180℃/2時間であり、成型後の試験片全体は1000ミクロン厚、35mm×35mmである。
得られた試験片を、85℃/85%RHの恒温恒湿器に168時間放置して、更に最高温度が260℃であるIRリフローオーブン中を3回通過させた後に、超音波索傷装置で、チップ面積の20%以上の領域での剥離やSiチップのクラック等の不良の有無を観測し、不良が見られる試験片数/総試験片数(20個)を数えた。
上記耐湿耐半田試験を行なった後に、クラック等の不良が無かった試験片を温度サイクル試験機に投入した。ここでの試験条件は−55℃/30分+(−55℃→125℃)/5分+125℃/30分+(125℃→−55℃)/5分を1サイクルとし、1000サイクルを施した後に、超音波索傷装置で剥離、クラック等の不良の有無を観測し、不良が見られる試験片数/総試験片数を数えた。
Claims (6)
- (A)軟化点が40℃以上110℃以下である室温で固体状のエポキシ樹脂、
(B)軟化点が40℃以上110℃以下である室温で固体状の硬化剤
成分(A)中のエポキシ基1当量に対し、該成分(B)中の、エポキシ基と反応性を有する基が0.8〜1.25当量となる量、
(C)硬化促進剤
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部、
(D)質量平均粒径が0.05〜5μmである無機フィラー
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜200質量部、
(E)希釈剤
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して5〜400質量部、および
(F)一般式(1)で示されるジメチルシリコーン
成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.01〜2質量部
(上記式中、nは、0〜2000の整数)
を含み、成分(A)及び成分(B)の少なくともいずれかがシリコーン変性されているエポキシ樹脂組成物。 - (1)5μm〜200μmのいずれか1点の厚さにおいて、60℃〜200℃で1分間〜3時間加熱することによりBステージ化することが可能であり、
(2)Bステージ状態でエポキシ樹脂組成物の表面の算術平均粗さが2μm以下である
請求項1に係るエポキシ樹脂組成物。 - (E)希釈剤が、沸点が150℃以上の溶剤である請求項1または2に係るエポキシ樹脂組成物。
- E型粘度計により120℃において測定される、Bステージ状態での粘度が1〜1000Pa・sである、請求項1〜3のいずれか1項に係るエポキシ樹脂組成物。
- 下記工程(i)〜(vi)を含むシリコンチップのダイアタッチ方法
(i)請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物をシリコンウエハーの片面に塗布し、該エポキシ樹脂組成物からなる接着層を形成させる工程、
(ii)60℃〜200℃で、1分間〜3時間加熱することにより、前記接着層中の前記エポキシ樹脂組成物をBステージ化する工程、
(iii)Bステージ化した前記エポキシ樹脂組成物からなる接着層を介して前記シリコンウエハーをダイシングテープに貼り付ける工程、
(iv)工程(iii)の接着層及びシリコンウエハーを切断して、切断された接着層と、切断されたシリコンウエハーからなるシリコンチップとを含み、該接着層が該シリコンチップの片面に付着している個片を複数個得る工程、
(v)前記個片をダイシングテープからピックアップし、該個片中の前記エポキシ樹脂組成物を介して、基体上に搭載する工程、そして
(vi)前記基体上に搭載された前記個片中の前記エポキシ樹脂組成物を硬化させる工程。 - シリコンチップと、基体と、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物とを有し、該硬化物を介して該シリコンチップが該基体に接着されている半導体装置。
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