JP2005060417A - スクリーン印刷用接着剤ワニス及び接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、半導体ウエハ、並びにそれを使った半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】管理、保存が比較的容易であり、スクリーン印刷した接着剤の接着時のはみ出しが少なく、凹凸のある基板に対しても追随して、充填不良部が生じにくい、半導体素子のダイアタッチ用に用いられるスクリーン印刷用接着剤ワニス、およびそれをスクリーン印刷で付着させた接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、半導体ウエハ、並びにそれを使った半導体装置を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷用接着剤ワニスは、(A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、特定構造のシリコーンジアミンと、特定構造の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂100重量部、(B)エポキシ樹脂5〜200重量部、(C)エポキシ樹脂硬化剤0.1〜100重量部、(D)無機フィラー0〜300重量部、(E)有機溶剤100〜500重量部よりなる。
【選択図】 なし
【解決手段】スクリーン印刷用接着剤ワニスは、(A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、特定構造のシリコーンジアミンと、特定構造の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂100重量部、(B)エポキシ樹脂5〜200重量部、(C)エポキシ樹脂硬化剤0.1〜100重量部、(D)無機フィラー0〜300重量部、(E)有機溶剤100〜500重量部よりなる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷用接着剤ワニスに関する。さらに詳しくは、半導体素子の支持体にスクリーン印刷で付着させるダイアッタチ用接着剤として好適な接着剤ワニス、並びにそのようにして得られる半導体素子実装時の支持体である、接着剤付きのリードフレーム、樹脂基板、或いは半導体ウエハにかかわるものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の支持体への実装方法には、ペースト状の接着剤を基板側にディスペンスし、その上に素子をマウントする方法、或いはフィルム状接着剤を素子側か基板側にあらかじめ貼りつけておき、そのフィルム状接着剤を介してマウントする方法(特開平7−235555号公報など)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ペースト状の接着剤の場合、冷凍保存が必要で、常温への戻しや粘度管理が必要であること、貼り付け時に接着剤のはみ出しが大きいこと、接着剤の未充填部が出来ることがあることなどの欠点がある。また、フィルム状接着剤の場合、一定の厚みを有するので、凹凸のある基板に対しては、接着剤が基板の凹凸に追随し難く、充填不良部が生じ得るという欠点があった。
【0004】
本発明の課題は、これらの従来の接着剤の問題点に鑑み、管理、保存が比較的容易であり、スクリーン印刷した接着剤の接着時のはみ出しが少なく、凹凸のある基板に対しても追随して、充填不良部が生じにくい、半導体素子のダイアタッチ用に用いられるスクリーン印刷用接着剤ワニス、およびそれをスクリーン印刷で付着させた接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、半導体ウエハ、並びにそれを使った半導体装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
半導体素子のダイアタッチ用に用いられる特定の接着剤をワニスとし、基板の半導体素子搭載部に表面凹凸を埋めこんだ状態にスクリーン印刷し、乾燥することで、フィルム状接着剤の欠点である埋めこみ不良を改善でき、また、この接着剤ワニスはワニスとしても、また印刷乾燥後の固形接着剤としても常温保存安定性をよくすることができ、さらにダイアタッチ時の加熱条件での接着剤の溶融特性を調節することで、チップ下部よりの接着剤はみ出し量も調整できるので、ペースト状接着剤の欠点も克服できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の項目記載のように示される。
(I)(A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、下記式1のシリコーンジアミンと、下記式2の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂100重量部、(B)エポキシ樹脂5〜200重量部、(C)エポキシ樹脂硬化剤0.1〜100重量部、(D)無機フィラー0〜300重量部、(E)有機溶剤100〜500重量部よりなるスクリーン印刷用接着剤ワニス。
【0007】
【化4】
(式中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を、nは0〜20の整数である。)
【0008】
【化5】
(式中、Yは直接結合、O、CH2、C(CH3)2を表わし、Yが複数のとき、それらは同じでも異なっていてもよく、mは0〜2の整数である。)
【0009】
(II)前記式2の芳香族ジアミンが、下記式3〜6からなる群より選ばれる1種または2種以上の芳香族ジアミンである前記(I)に記載のスクリーン印刷用接着剤ワニス。
【化6】
【0010】
(III)半導体素子の搭載部分に前記(I)または(II)に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付きリードフレーム。
【0011】
(IV)半導体素子の搭載部分に前記(I)または(II)に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付き樹脂基板。
【0012】
(V)半導体素子の搭載部分に前記(I)または(II)に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付き半導体ウエハ。
【0013】
(VI)前記(III)〜(V)のいずれかに記載の接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、または半導体ウエハからなる半導体素子用支持体を用いて作成された半導体装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスは、(A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、前記式1のシリコーンジアミン、及び、前記式2の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂硬化剤、必要に応じて(D)無機フィラーからなる樹脂組成物を、(E)有機溶剤に溶解させてなる。
【0015】
以下に、各成分について説明する。
【0016】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスには、特定構造のポリイミド樹脂(A)が用いられる。その特徴としては、モノマーのジアミン成分に、接着性に寄与するメタ位エーテル結合で結ばれたベンゼン環構造を有する前記式2の芳香族ジアミン、好ましくは前記式3〜6からなる群より選ばれる1種または2種以上の芳香族ジアミン、および、ポリイミドの溶剤溶解性、溶剤乾燥性、低温接着性、低応力化に寄与する前記式1のシリコーンジアミンを含有することを特徴とする。
【0017】
前記式1のシリコーンジアミンにおいて、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基であり、具体的には炭素数3の脂肪族基や−Bz−O−(Bzはベンゼン環)構造が挙げられる。また、前記式1のR2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基であり、具体的にはメチル基、フェニル基が挙げられる。
【0018】
シリコーンジアミンは得られるポリイミドを低Tg化して低温での接着性(低温接着性)を向上させるのに有効であり、その鎖長や添加量で制御することができる。nは0〜20の整数であることが好ましいが、接着性の点でnは1〜10の整数がより好ましい。
【0019】
シリコーンジアミンの具体例としては、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン等があげられるが、これらには限定されない。
【0020】
前記式2の芳香族ジアミンにおいて、Yは直接結合、O、CH2、C(CH3)2を表わし、Yが複数のとき、それらは同じでも異なっていてもよく、mは0〜2の整数である。この芳香族ジアミンの好ましい例としては、前記式3〜6の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0021】
上記芳香族ジアミンとシリコーンジアミンを含むジアミン成分中のシリコーンジアミンの割合は、全ジアミン成分中1〜90mol%であることが好ましい。特に低温接着性を重視する点で、20〜90mol%がさらに好ましい。芳香族ジアミンの割合は、全ジアミン成分中99〜10mol%であることが好ましく、80〜10mol%であることがより好ましい。
【0022】
シリコーンジアミンを用いて得られるポリイミド樹脂は、溶剤溶解性が良くなる、吸湿性が低くなる、ガラス、シリコンへの接着強度が強くなる、Tgが低くなる、溶剤乾燥性がよくなるなどの改良点が認められる。そして、あわせて芳香族ジアミンを用いることで、ガラス、シリコン以外のものに対しても接着強度を向上させることができる。
【0023】
本発明においては、必要に応じて前記式1〜6以外のジアミンを加えることも出来る。そのジアミンは特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族系のジアミン、
【0024】
o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフエノキシ)フエニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、o−トリジンスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン等の芳香族系のジアミンを挙げることができる。
【0025】
酸二無水物成分としては、テトラカルボン酸二無水物であれば特に限定されないが、使用可能なものの具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フエナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸二無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸二無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、下記構造のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0026】
【化7】
(上式中、Xは三価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を表わし、Rは一価の脂肪族基または芳香族基を表わし、nは0〜20の整数である。)
これらは、1種類単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0027】
これらのなかでも4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる1種類以上のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0028】
特にポリイミド樹脂単独で耐熱性架橋構造を構築するためには、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が有効であり、酸二無水物成分中10〜100mol%の範囲で含有させることが好ましい。一方、低温接着性の向上を目的にTgを低下させるためには、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物が好ましい。樹脂基板との接着性をあげるためには、4,4’−オキシジフタル酸二無水物を主成分とすることが好ましい。
【0029】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの縮合反応によるポリイミド樹脂の合成は公知の方法で、有機溶媒中で行うことができる。この場合、テトラカルボン酸二無水物とジアミンは等モルもしくは略等モル、具体的にはテトラカルボン酸二無水物/ジアミンのモル比が0.9〜1.1、より好ましくは0.95〜1.05で用いるのが好ましく、各成分の添加順序は任意である。用い得る有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、m−クレゾール、o−クロルフェノール、テトラヒドラフラン等があげられる。
【0030】
反応は、まずポリイミド系樹脂の前駆体であるポリアミド酸を合成する。ポリアミド酸合成の反応温度は、通常、80℃以下、好ましくは0〜60℃で行う。次いで、この反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させてポリイミド樹脂を得ることができる。脱水閉環は、120℃〜250℃で熱処理する方法や、その他の化学的方法を用いて行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。その際、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を用いて水を共沸除去することが好ましい。
また、ポリアミド酸重合過程を経由せずに、モノマーを溶剤中で溶解、加熱し、重合及び脱水閉環工程を一度に行うことも可能である。
【0031】
化学的方法で脱水閉環させるには、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いて行うことができる。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒を用いてもよい。閉環剤又は閉環触媒は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で使用するのが好ましい。反応温度は熱イミド化の方法に比べ低温で実施できる。ポリイミド樹脂合成後、貧溶媒に投入して樹脂を析出させ、触媒などと分離することができる。
【0032】
本発明において、ポリイミド樹脂という表現は、100%イミド化したポリイミド以外に、その前駆体であるポリアミド酸が一部残っている樹脂をも含んでおり、ポリイミド樹脂の好ましいイミド化率は90%以上、より好ましくは95%以上である。
【0033】
また、ポリイミド末端の一部をエンドキャップすることにより、エポキシ樹脂との反応性を押え、保存安定性を改善することが出来る。
【0034】
本発明の接着剤ワニスに加えられるエポキシ樹脂(B)としては、ポリイミド樹脂(A)と適度に相溶し、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むものであれば特に限定されない。架橋密度を上げるうえでは、3官能以上の多官能エポキシがより好ましい。エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールFもしくはハロゲン化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変成フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテルや、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。シリコーン骨格を有するポリイミドとの相溶性という点では、グリシジル変成シリコーンも用いることが出来る。
【0035】
エポキシ樹脂は、ポリイミド樹脂のポリイミド末端にある酸やアミン、完全にイミド化していないアミド酸などの官能基と反応性をもつので、ポリイミド樹脂のみでは困難な耐湿熱性のある架橋構造を接着剤に付与することができる。また、適度にポリイミドとの相溶性があれば、樹脂同士が相互に混じりあっていわゆるIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造をとり、耐湿熱性のある架橋構造を形成できる。エポキシ樹脂は、未硬化状態にある接着時には、接着剤に可塑性を付与し、樹脂の溶融粘度を低下させ、樹脂の被着体への濡れ性を改善するとともに、低温接着性にも寄与する。
【0036】
エポキシ樹脂の添加量は、ポリイミド樹脂(A)100質量部に対して、5〜200重量部、好ましくは5〜100質量部の範囲である。この範囲で用いると、耐熱性に優れ、接着時の流動性も適切で、樹脂のはみだし、硬化時の溶融粘度低下、周辺材料の吸湿水の蒸気圧上昇に伴なうボイドの発生を抑えることが出来、半導体装置の有する耐熱性の範囲内の温度条件で適度な硬化を実現できる。
【0037】
本発明の接着剤ワニスには、さらに、エポキシ樹脂硬化剤(C)を用いる。エポキシ樹脂硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応性を有し、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物であれば特に限定されるものではない。代表例として、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール類などが挙げられる。また、必要により、硬化促進剤を用いることも出来る。これらの中ではイミダゾール類やフェノール系硬化剤が保存安定性の面で好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、未反応物として残るエポキシ樹脂硬化剤が吸湿特性に悪影響を及ぼすため、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などでは、硬化促進剤も含めて、エポキシ樹脂に対する当量で、同じ当量か、もしくはそれよりも少ないことが好ましい。エポキシ樹脂を触媒的に硬化させるイミダゾール類などでは、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜10重量部添加することが好ましい。
【0039】
本発明の接着剤ワニスには、必要に応じて、無機フィラーを配合することが好ましい。無機フィラーは、接着剤に低熱膨張性、低吸湿性、高弾性、高熱伝導性、高温時強度向上などを付与する。また、溶融粘度調整の役割も果たす。そのため最大粒子径が10μm以下、より好ましくは5μm以下のものを添加することが好ましい。また、乾燥後厚みを10〜50μmと想定すると、最大粒径3μm程度の粒子であることがさらに好ましい。
【0040】
無機フィラーとしては、絶縁性が要求される場合には、例えば酸化物、窒化物系のシリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、その他のセラミック等の無機絶縁体を用いることが出来る。これらは、単独又は2種以上混合して用いことができる。
【0041】
これらの無機物質フィラーの中では、半導体素子、特に放射線起因のソフトエラーに弱いメモリー類に用いられることを考慮すると、半導体封止材同様に、0.1ppb以下のウラニウム濃度の高純度溶融シリカを使用することが好ましい。
【0042】
無機物質フィラー(C)の配合量は、ポリイミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、エポキシ樹脂硬化剤(C)などを加えた樹脂成分とフィラーとを含めた全体積に対して、好ましくは0〜70体積%、より好ましくは0〜30体積%の範囲である。この範囲内であれば、接着性が良好に保たれ、また、電気伝導性を付与するために、金属などの導電性粒子や、異方導電粒子を添加することも可能である。
【0043】
さらに、本発明でワニスとして用いる接着性の樹脂組成物には、必要に応じ、本発明の目的を損ねない範囲で、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤を適宜添加してもよい。カップリング剤は被着体やフィラーとの接着界面における接着強度の向上に寄与する。また、マイグレーション防止の為のイオントラップ剤などを適量添加してもよい。
【0044】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスの製造には、まず、前記ポリイミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、エポキシ樹脂硬化剤からなる樹脂組成物を有機溶剤(E)に溶解撹拌する。ここで用いられる有機溶媒(E)としては、上記材料を均一に溶解又は混練できるものであって、スクリーン印刷に適する常温で蒸気圧が低い点で、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどが好ましい。
【0045】
次いで、必要に応じ、無機フィラー及びその他の添加物等を加え混合して本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスが得られる。有機溶剤の添加量はスクリーン印刷に好適な粘度である数万cpになるように適宜調整される。この場合、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、超音波分散機、超高圧対向衝突流方式などの分散機を適宜組み合せて、混合を行ってもよい。
【0046】
このようにして調製したスクリーン印刷用接着剤ワニスを用いて、チップ支持体(リードフレーム、樹脂基板、半導体ウエハなど)の半導体素子が搭載される部分に、接着剤を定法に従ってスクリーン印刷し、60〜200℃程度の温度で、1〜30分間加熱し溶剤を揮発させることにより、接着剤付きリードフレーム、接着剤付き樹脂基板、接着剤付き半導体ウエハが得られる。
【0047】
これらの接着剤付き半導体素子用支持体の接着剤が印刷された部分に、ダイボンダーを用いて半導体素子を搭載することにより、高い実装信頼性を持つ半導体装置が得られる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
<ポリイミド樹脂の合成>
温度計、攪拌機、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)を満たしたディーンスターク管、窒素吹き込み管を備えた300mlの五つ口フラスコに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)8.303g、シリコーンジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)、アミン価460)36.586g、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)16.852g、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物(EGTA)7.430g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)91g、メシチレン39gをとり、窒素ガスを吹き込みながら系を油浴で170〜180℃に加熱し、水を共沸除去しながら14時間保持した。その間、3時間おきにディーンスターク管のメシチレンを新しいものと置換して(トータルで130g置換)、シリコーンジアミンの不純物である環状シリコーンを低減させた。最後にディーンスターク管から系内のメシチレンを蒸発させて除き、系内の溶剤をほぼNMPのみとした。
【0050】
続いて、60℃まで冷却後、APB0.830gと、固形分が35%となるようにNMPを加え、窒素フロー下3時間撹拌を続け、熱重合した酸末端ポリイミドをアミド酸でつなぎ高分子量化させてポリイミド樹脂1を得た。
【0051】
同様に表1の原料割合(単位:モル)で重合し、ポリイミド樹脂2、ポリイミド樹脂3を得た。
【0052】
【表1】
(表1中、APPBは前記式2のジアミン、mBPは前記式3のジアミン、酸/アミンモル比は、合成に用いた酸二無水物成分とジアミン成分とのモル比を表す。また、芳香族ジアミンの欄の40+4は、1段目熱重合時に40モル加え、アミド酸重合時に4モル加えることを表す。)
【0053】
<ワニスの調製>
ポリイミド樹脂1、2、3にエポキシ樹脂(三井化学(株)製エポキシ樹脂VG3101L)、エポキシ樹脂硬化剤(四国化成工業(株)製キュアゾール(登録商標)2MAOK−PW)、無機フィラー((株)龍森製球状溶融合成シリカ1−FX)を、固形分として表2の割合(重量部)になるように配合し、撹拌機で撹拌後、ビーズミルでフィラーを分散し、さらに真空撹拌機で脱泡したあと、溶剤(NMP)を添加して粘度2万cpに調整し、配合ワニス1、2,3を得た。
【0054】
【表2】
【0055】
<スクリーン印刷と乾燥>
樹脂基板(ガラスBT基板にソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製ソルダーレジストPSR4000−AUS5)をコートした0.2mm厚のもの)上の8.6mm×8.6mmのパターンに、配合ワニス1、2、3を乾燥後厚みが25μmとなるようにスクリーン印刷し、すみやかに熱風乾燥機にて110℃10分間乾燥した。
【0056】
また、銅製リードフレーム上の8.6mm×8.6mmのパターンに配合ワニス1、2、3を乾燥後厚みが25μmとなるようにスクリーン印刷し、すみやかに熱風乾燥機にて110℃10分間乾燥した。
【0057】
ポリイミド保護膜付きシリコンウエハ上の8.6mm×8.6mmのパターンに配合ワニス1、2、3を乾燥後厚みが25μmとなるようにスクリーン印刷し、すみやかに熱風乾燥機にて110℃10分間乾燥した。
【0058】
<接着及び接着強度測定>
8.5mm×8.6mmのシリコンチップを、上記のようにスクリーン印刷した接着剤部分に位置合わせして、160℃、0.1MPa荷重、1秒間の条件にてマウントし、ワイヤボンディング相当の熱履歴(180℃、30分間)を加えた後、モールド相当の荷重10MPaで175℃、1分間加熱プレスし、さらにモールド後加熱相当の180℃、3時間の熱履歴を加えた。
【0059】
これらの試験片を乾燥状態及びJEDECレベルII(加速、温度85℃、相対湿度85%)相当の加湿後、260℃のせん断強度(ダイシア強度、単位:MPa)をダイシアテスター(西進商事(株)製SS−30WD)にて測定した。測定条件は熱板に保持後30秒後である。結果を表3にまとめた。
【0060】
【表3】
【0061】
いずれの結果も乾燥状態および吸湿後で強い接着強度を保っており、耐吸湿リフロー性にも優れていることがわかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスをもちいて、リードフレーム、樹脂基板、或いは半導体ウエハ等の半導体素子実装用素子にスクリーン印刷して塗布した接着剤を介して半導体素子を接着した半導体装置は、強い接着強度を保っており、耐吸湿リフロー性にも優れていることがわかった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷用接着剤ワニスに関する。さらに詳しくは、半導体素子の支持体にスクリーン印刷で付着させるダイアッタチ用接着剤として好適な接着剤ワニス、並びにそのようにして得られる半導体素子実装時の支持体である、接着剤付きのリードフレーム、樹脂基板、或いは半導体ウエハにかかわるものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の支持体への実装方法には、ペースト状の接着剤を基板側にディスペンスし、その上に素子をマウントする方法、或いはフィルム状接着剤を素子側か基板側にあらかじめ貼りつけておき、そのフィルム状接着剤を介してマウントする方法(特開平7−235555号公報など)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ペースト状の接着剤の場合、冷凍保存が必要で、常温への戻しや粘度管理が必要であること、貼り付け時に接着剤のはみ出しが大きいこと、接着剤の未充填部が出来ることがあることなどの欠点がある。また、フィルム状接着剤の場合、一定の厚みを有するので、凹凸のある基板に対しては、接着剤が基板の凹凸に追随し難く、充填不良部が生じ得るという欠点があった。
【0004】
本発明の課題は、これらの従来の接着剤の問題点に鑑み、管理、保存が比較的容易であり、スクリーン印刷した接着剤の接着時のはみ出しが少なく、凹凸のある基板に対しても追随して、充填不良部が生じにくい、半導体素子のダイアタッチ用に用いられるスクリーン印刷用接着剤ワニス、およびそれをスクリーン印刷で付着させた接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、半導体ウエハ、並びにそれを使った半導体装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
半導体素子のダイアタッチ用に用いられる特定の接着剤をワニスとし、基板の半導体素子搭載部に表面凹凸を埋めこんだ状態にスクリーン印刷し、乾燥することで、フィルム状接着剤の欠点である埋めこみ不良を改善でき、また、この接着剤ワニスはワニスとしても、また印刷乾燥後の固形接着剤としても常温保存安定性をよくすることができ、さらにダイアタッチ時の加熱条件での接着剤の溶融特性を調節することで、チップ下部よりの接着剤はみ出し量も調整できるので、ペースト状接着剤の欠点も克服できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の項目記載のように示される。
(I)(A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、下記式1のシリコーンジアミンと、下記式2の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂100重量部、(B)エポキシ樹脂5〜200重量部、(C)エポキシ樹脂硬化剤0.1〜100重量部、(D)無機フィラー0〜300重量部、(E)有機溶剤100〜500重量部よりなるスクリーン印刷用接着剤ワニス。
【0007】
【化4】
(式中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を、nは0〜20の整数である。)
【0008】
【化5】
(式中、Yは直接結合、O、CH2、C(CH3)2を表わし、Yが複数のとき、それらは同じでも異なっていてもよく、mは0〜2の整数である。)
【0009】
(II)前記式2の芳香族ジアミンが、下記式3〜6からなる群より選ばれる1種または2種以上の芳香族ジアミンである前記(I)に記載のスクリーン印刷用接着剤ワニス。
【化6】
【0010】
(III)半導体素子の搭載部分に前記(I)または(II)に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付きリードフレーム。
【0011】
(IV)半導体素子の搭載部分に前記(I)または(II)に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付き樹脂基板。
【0012】
(V)半導体素子の搭載部分に前記(I)または(II)に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付き半導体ウエハ。
【0013】
(VI)前記(III)〜(V)のいずれかに記載の接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、または半導体ウエハからなる半導体素子用支持体を用いて作成された半導体装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスは、(A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、前記式1のシリコーンジアミン、及び、前記式2の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂硬化剤、必要に応じて(D)無機フィラーからなる樹脂組成物を、(E)有機溶剤に溶解させてなる。
【0015】
以下に、各成分について説明する。
【0016】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスには、特定構造のポリイミド樹脂(A)が用いられる。その特徴としては、モノマーのジアミン成分に、接着性に寄与するメタ位エーテル結合で結ばれたベンゼン環構造を有する前記式2の芳香族ジアミン、好ましくは前記式3〜6からなる群より選ばれる1種または2種以上の芳香族ジアミン、および、ポリイミドの溶剤溶解性、溶剤乾燥性、低温接着性、低応力化に寄与する前記式1のシリコーンジアミンを含有することを特徴とする。
【0017】
前記式1のシリコーンジアミンにおいて、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基であり、具体的には炭素数3の脂肪族基や−Bz−O−(Bzはベンゼン環)構造が挙げられる。また、前記式1のR2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基であり、具体的にはメチル基、フェニル基が挙げられる。
【0018】
シリコーンジアミンは得られるポリイミドを低Tg化して低温での接着性(低温接着性)を向上させるのに有効であり、その鎖長や添加量で制御することができる。nは0〜20の整数であることが好ましいが、接着性の点でnは1〜10の整数がより好ましい。
【0019】
シリコーンジアミンの具体例としては、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン等があげられるが、これらには限定されない。
【0020】
前記式2の芳香族ジアミンにおいて、Yは直接結合、O、CH2、C(CH3)2を表わし、Yが複数のとき、それらは同じでも異なっていてもよく、mは0〜2の整数である。この芳香族ジアミンの好ましい例としては、前記式3〜6の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0021】
上記芳香族ジアミンとシリコーンジアミンを含むジアミン成分中のシリコーンジアミンの割合は、全ジアミン成分中1〜90mol%であることが好ましい。特に低温接着性を重視する点で、20〜90mol%がさらに好ましい。芳香族ジアミンの割合は、全ジアミン成分中99〜10mol%であることが好ましく、80〜10mol%であることがより好ましい。
【0022】
シリコーンジアミンを用いて得られるポリイミド樹脂は、溶剤溶解性が良くなる、吸湿性が低くなる、ガラス、シリコンへの接着強度が強くなる、Tgが低くなる、溶剤乾燥性がよくなるなどの改良点が認められる。そして、あわせて芳香族ジアミンを用いることで、ガラス、シリコン以外のものに対しても接着強度を向上させることができる。
【0023】
本発明においては、必要に応じて前記式1〜6以外のジアミンを加えることも出来る。そのジアミンは特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族系のジアミン、
【0024】
o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフエノキシ)フエニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、o−トリジンスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン等の芳香族系のジアミンを挙げることができる。
【0025】
酸二無水物成分としては、テトラカルボン酸二無水物であれば特に限定されないが、使用可能なものの具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フエナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸二無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸二無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、下記構造のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0026】
【化7】
(上式中、Xは三価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を表わし、Rは一価の脂肪族基または芳香族基を表わし、nは0〜20の整数である。)
これらは、1種類単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0027】
これらのなかでも4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる1種類以上のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0028】
特にポリイミド樹脂単独で耐熱性架橋構造を構築するためには、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が有効であり、酸二無水物成分中10〜100mol%の範囲で含有させることが好ましい。一方、低温接着性の向上を目的にTgを低下させるためには、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物が好ましい。樹脂基板との接着性をあげるためには、4,4’−オキシジフタル酸二無水物を主成分とすることが好ましい。
【0029】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの縮合反応によるポリイミド樹脂の合成は公知の方法で、有機溶媒中で行うことができる。この場合、テトラカルボン酸二無水物とジアミンは等モルもしくは略等モル、具体的にはテトラカルボン酸二無水物/ジアミンのモル比が0.9〜1.1、より好ましくは0.95〜1.05で用いるのが好ましく、各成分の添加順序は任意である。用い得る有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、m−クレゾール、o−クロルフェノール、テトラヒドラフラン等があげられる。
【0030】
反応は、まずポリイミド系樹脂の前駆体であるポリアミド酸を合成する。ポリアミド酸合成の反応温度は、通常、80℃以下、好ましくは0〜60℃で行う。次いで、この反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させてポリイミド樹脂を得ることができる。脱水閉環は、120℃〜250℃で熱処理する方法や、その他の化学的方法を用いて行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。その際、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を用いて水を共沸除去することが好ましい。
また、ポリアミド酸重合過程を経由せずに、モノマーを溶剤中で溶解、加熱し、重合及び脱水閉環工程を一度に行うことも可能である。
【0031】
化学的方法で脱水閉環させるには、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いて行うことができる。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒を用いてもよい。閉環剤又は閉環触媒は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で使用するのが好ましい。反応温度は熱イミド化の方法に比べ低温で実施できる。ポリイミド樹脂合成後、貧溶媒に投入して樹脂を析出させ、触媒などと分離することができる。
【0032】
本発明において、ポリイミド樹脂という表現は、100%イミド化したポリイミド以外に、その前駆体であるポリアミド酸が一部残っている樹脂をも含んでおり、ポリイミド樹脂の好ましいイミド化率は90%以上、より好ましくは95%以上である。
【0033】
また、ポリイミド末端の一部をエンドキャップすることにより、エポキシ樹脂との反応性を押え、保存安定性を改善することが出来る。
【0034】
本発明の接着剤ワニスに加えられるエポキシ樹脂(B)としては、ポリイミド樹脂(A)と適度に相溶し、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むものであれば特に限定されない。架橋密度を上げるうえでは、3官能以上の多官能エポキシがより好ましい。エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールFもしくはハロゲン化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変成フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテルや、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。シリコーン骨格を有するポリイミドとの相溶性という点では、グリシジル変成シリコーンも用いることが出来る。
【0035】
エポキシ樹脂は、ポリイミド樹脂のポリイミド末端にある酸やアミン、完全にイミド化していないアミド酸などの官能基と反応性をもつので、ポリイミド樹脂のみでは困難な耐湿熱性のある架橋構造を接着剤に付与することができる。また、適度にポリイミドとの相溶性があれば、樹脂同士が相互に混じりあっていわゆるIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造をとり、耐湿熱性のある架橋構造を形成できる。エポキシ樹脂は、未硬化状態にある接着時には、接着剤に可塑性を付与し、樹脂の溶融粘度を低下させ、樹脂の被着体への濡れ性を改善するとともに、低温接着性にも寄与する。
【0036】
エポキシ樹脂の添加量は、ポリイミド樹脂(A)100質量部に対して、5〜200重量部、好ましくは5〜100質量部の範囲である。この範囲で用いると、耐熱性に優れ、接着時の流動性も適切で、樹脂のはみだし、硬化時の溶融粘度低下、周辺材料の吸湿水の蒸気圧上昇に伴なうボイドの発生を抑えることが出来、半導体装置の有する耐熱性の範囲内の温度条件で適度な硬化を実現できる。
【0037】
本発明の接着剤ワニスには、さらに、エポキシ樹脂硬化剤(C)を用いる。エポキシ樹脂硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応性を有し、エポキシ樹脂を硬化させることができる化合物であれば特に限定されるものではない。代表例として、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール類などが挙げられる。また、必要により、硬化促進剤を用いることも出来る。これらの中ではイミダゾール類やフェノール系硬化剤が保存安定性の面で好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、未反応物として残るエポキシ樹脂硬化剤が吸湿特性に悪影響を及ぼすため、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などでは、硬化促進剤も含めて、エポキシ樹脂に対する当量で、同じ当量か、もしくはそれよりも少ないことが好ましい。エポキシ樹脂を触媒的に硬化させるイミダゾール類などでは、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜10重量部添加することが好ましい。
【0039】
本発明の接着剤ワニスには、必要に応じて、無機フィラーを配合することが好ましい。無機フィラーは、接着剤に低熱膨張性、低吸湿性、高弾性、高熱伝導性、高温時強度向上などを付与する。また、溶融粘度調整の役割も果たす。そのため最大粒子径が10μm以下、より好ましくは5μm以下のものを添加することが好ましい。また、乾燥後厚みを10〜50μmと想定すると、最大粒径3μm程度の粒子であることがさらに好ましい。
【0040】
無機フィラーとしては、絶縁性が要求される場合には、例えば酸化物、窒化物系のシリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、その他のセラミック等の無機絶縁体を用いることが出来る。これらは、単独又は2種以上混合して用いことができる。
【0041】
これらの無機物質フィラーの中では、半導体素子、特に放射線起因のソフトエラーに弱いメモリー類に用いられることを考慮すると、半導体封止材同様に、0.1ppb以下のウラニウム濃度の高純度溶融シリカを使用することが好ましい。
【0042】
無機物質フィラー(C)の配合量は、ポリイミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、エポキシ樹脂硬化剤(C)などを加えた樹脂成分とフィラーとを含めた全体積に対して、好ましくは0〜70体積%、より好ましくは0〜30体積%の範囲である。この範囲内であれば、接着性が良好に保たれ、また、電気伝導性を付与するために、金属などの導電性粒子や、異方導電粒子を添加することも可能である。
【0043】
さらに、本発明でワニスとして用いる接着性の樹脂組成物には、必要に応じ、本発明の目的を損ねない範囲で、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤を適宜添加してもよい。カップリング剤は被着体やフィラーとの接着界面における接着強度の向上に寄与する。また、マイグレーション防止の為のイオントラップ剤などを適量添加してもよい。
【0044】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスの製造には、まず、前記ポリイミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、エポキシ樹脂硬化剤からなる樹脂組成物を有機溶剤(E)に溶解撹拌する。ここで用いられる有機溶媒(E)としては、上記材料を均一に溶解又は混練できるものであって、スクリーン印刷に適する常温で蒸気圧が低い点で、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどが好ましい。
【0045】
次いで、必要に応じ、無機フィラー及びその他の添加物等を加え混合して本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスが得られる。有機溶剤の添加量はスクリーン印刷に好適な粘度である数万cpになるように適宜調整される。この場合、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、超音波分散機、超高圧対向衝突流方式などの分散機を適宜組み合せて、混合を行ってもよい。
【0046】
このようにして調製したスクリーン印刷用接着剤ワニスを用いて、チップ支持体(リードフレーム、樹脂基板、半導体ウエハなど)の半導体素子が搭載される部分に、接着剤を定法に従ってスクリーン印刷し、60〜200℃程度の温度で、1〜30分間加熱し溶剤を揮発させることにより、接着剤付きリードフレーム、接着剤付き樹脂基板、接着剤付き半導体ウエハが得られる。
【0047】
これらの接着剤付き半導体素子用支持体の接着剤が印刷された部分に、ダイボンダーを用いて半導体素子を搭載することにより、高い実装信頼性を持つ半導体装置が得られる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
<ポリイミド樹脂の合成>
温度計、攪拌機、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)を満たしたディーンスターク管、窒素吹き込み管を備えた300mlの五つ口フラスコに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)8.303g、シリコーンジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)、アミン価460)36.586g、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)16.852g、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物(EGTA)7.430g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)91g、メシチレン39gをとり、窒素ガスを吹き込みながら系を油浴で170〜180℃に加熱し、水を共沸除去しながら14時間保持した。その間、3時間おきにディーンスターク管のメシチレンを新しいものと置換して(トータルで130g置換)、シリコーンジアミンの不純物である環状シリコーンを低減させた。最後にディーンスターク管から系内のメシチレンを蒸発させて除き、系内の溶剤をほぼNMPのみとした。
【0050】
続いて、60℃まで冷却後、APB0.830gと、固形分が35%となるようにNMPを加え、窒素フロー下3時間撹拌を続け、熱重合した酸末端ポリイミドをアミド酸でつなぎ高分子量化させてポリイミド樹脂1を得た。
【0051】
同様に表1の原料割合(単位:モル)で重合し、ポリイミド樹脂2、ポリイミド樹脂3を得た。
【0052】
【表1】
(表1中、APPBは前記式2のジアミン、mBPは前記式3のジアミン、酸/アミンモル比は、合成に用いた酸二無水物成分とジアミン成分とのモル比を表す。また、芳香族ジアミンの欄の40+4は、1段目熱重合時に40モル加え、アミド酸重合時に4モル加えることを表す。)
【0053】
<ワニスの調製>
ポリイミド樹脂1、2、3にエポキシ樹脂(三井化学(株)製エポキシ樹脂VG3101L)、エポキシ樹脂硬化剤(四国化成工業(株)製キュアゾール(登録商標)2MAOK−PW)、無機フィラー((株)龍森製球状溶融合成シリカ1−FX)を、固形分として表2の割合(重量部)になるように配合し、撹拌機で撹拌後、ビーズミルでフィラーを分散し、さらに真空撹拌機で脱泡したあと、溶剤(NMP)を添加して粘度2万cpに調整し、配合ワニス1、2,3を得た。
【0054】
【表2】
【0055】
<スクリーン印刷と乾燥>
樹脂基板(ガラスBT基板にソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製ソルダーレジストPSR4000−AUS5)をコートした0.2mm厚のもの)上の8.6mm×8.6mmのパターンに、配合ワニス1、2、3を乾燥後厚みが25μmとなるようにスクリーン印刷し、すみやかに熱風乾燥機にて110℃10分間乾燥した。
【0056】
また、銅製リードフレーム上の8.6mm×8.6mmのパターンに配合ワニス1、2、3を乾燥後厚みが25μmとなるようにスクリーン印刷し、すみやかに熱風乾燥機にて110℃10分間乾燥した。
【0057】
ポリイミド保護膜付きシリコンウエハ上の8.6mm×8.6mmのパターンに配合ワニス1、2、3を乾燥後厚みが25μmとなるようにスクリーン印刷し、すみやかに熱風乾燥機にて110℃10分間乾燥した。
【0058】
<接着及び接着強度測定>
8.5mm×8.6mmのシリコンチップを、上記のようにスクリーン印刷した接着剤部分に位置合わせして、160℃、0.1MPa荷重、1秒間の条件にてマウントし、ワイヤボンディング相当の熱履歴(180℃、30分間)を加えた後、モールド相当の荷重10MPaで175℃、1分間加熱プレスし、さらにモールド後加熱相当の180℃、3時間の熱履歴を加えた。
【0059】
これらの試験片を乾燥状態及びJEDECレベルII(加速、温度85℃、相対湿度85%)相当の加湿後、260℃のせん断強度(ダイシア強度、単位:MPa)をダイシアテスター(西進商事(株)製SS−30WD)にて測定した。測定条件は熱板に保持後30秒後である。結果を表3にまとめた。
【0060】
【表3】
【0061】
いずれの結果も乾燥状態および吸湿後で強い接着強度を保っており、耐吸湿リフロー性にも優れていることがわかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明のスクリーン印刷用接着剤ワニスをもちいて、リードフレーム、樹脂基板、或いは半導体ウエハ等の半導体素子実装用素子にスクリーン印刷して塗布した接着剤を介して半導体素子を接着した半導体装置は、強い接着強度を保っており、耐吸湿リフロー性にも優れていることがわかった。
Claims (6)
- (A)テトラカルボン酸二無水物からなる酸二無水物成分、及び、下記式1のシリコーンジアミンと、下記式2の芳香族ジアミンを主たる成分として含有するジアミン成分より重合されたポリイミド樹脂100重量部、(B)エポキシ樹脂5〜200重量部、(C)エポキシ樹脂硬化剤0.1〜100重量部、(D)無機フィラー0〜300重量部、(E)有機溶剤100〜500重量部よりなるスクリーン印刷用接着剤ワニス。
- 半導体素子の搭載部分に請求項1または2に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付きリードフレーム。
- 半導体素子の搭載部分に請求項1または2に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付き樹脂基板。
- 半導体素子の搭載部分に請求項1または2に記載の接着剤ワニスをスクリーン印刷し、溶剤を乾燥してなる接着剤付き半導体ウエハ。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の接着剤付きリードフレーム、樹脂基板、または半導体ウエハからなる半導体素子用支持体を用いて作成された半導体装置。
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-
2003
- 2003-08-11 JP JP2003207064A patent/JP2005060417A/ja active Pending
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