JP4367404B2 - ダイボンディング材 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接着材料、すなわちダイボンド用に好適なフィルム状のダイボンディング材及びフィルム状のダイボンディング材を使用した半導体装置に関する。
半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接着材料としては、従来、Au-Si共晶合金、半田、銀ペースト、接着フィルム等が知られている。これらの中で、Au-Si共晶合金は高価かつ弾性率が高いという問題があり、半田は融点以上の温度に耐えられず、かつ弾性率が高いという問題があるため、近年は、安価で弾性率が低い銀ペーストや接着フィルムが主に使用されている。
銀ペーストは耐熱信頼性の点から熱硬化性樹脂を主成分としたものが主流であり、接着フィルムはフィルム形成性の点から熱可塑性樹脂を主成分としたものが主流である(特許文献1、2参照。)。
特開2004−277572公報 特開2000−178519公報
電子機器の小型・薄型化による高密度実装の要求が急激に増加してきており、半導体装置(半導体パッケージ)は、従来のピン挿入型に代わり、高密度実装に適した表面実装型が主流になってきた。
この表面実装型パッケージは、リードあるいはバンプをプリント基板等に直接はんだ付けするために、赤外線リフローやベーパーフェーズリフロー、はんだディップ等により、パッケージ全体を加熱して実装される。この際、パッケージ全体が240℃前後の高温にさらされるため、パッケージ内部に吸湿水分が存在すると、水分の爆発的な気化により、パッケージクラック(以下リフロークラックという)が発生する。
このリフロークラックは、半導体パッケージの信頼性を著しく低下させるため、深刻な問題・技術課題となっている。
ダイボンディング材に起因するリフロークラックの発生メカニズムは、次の通りである。半導体パッケージは保管されている間に(1)ダイボンディング材が吸湿し、(2)この吸湿水分がリフローはんだ付けの実装時に、加熱によって水蒸気化し、(3)この蒸気圧によってダイボンディング層の破壊やはく離が起こり、(4)リフロークラックが発生する。
封止部材の耐リフロークラック性が向上してきている中で、ダイボンディング材に起因するリフロークラックは、特に薄型パッケージにおいて、重大な問題となっている。
さらに、近年になって地球規模での環境保全対策に伴い、欧州などを中心に、鉛に関する法的規制がますます強化されてきており、それに伴って、実装半田の鉛フリー化が推進され、高信頼性が求められる分野では、現行のSn-Pb系からより融点の高いSn-Ag系半田に切り替わるといわれている。
実装半田が上記のSn-Ag系に切り替わると、融点が高くなるため、リフロー炉の最高温度は現行よりも20℃〜30℃高くなる。従って、ダイボンド用の接着材料には、リフロー温度の上昇に耐え、これまで以上に信頼性を向上させた材料が求められるようになる。
従来最も一般的に使用されている銀ペーストでは、チップの大型化により、銀ペーストを塗布部全面に均一に塗布することが困難になってきていること、ペースト状であるため接着層にボイドが発生し易いこと等によりリフロークラックが発生し易い。
上記の問題を解決するため、銀ペーストをフィルム化した接着フィルムが提案されている。フィルム状にすることにより、均一な接着面積が確保でき、またボイドを大きく減らすこともできるため、ペースト状よりも良好な耐リフロークラック性を確保することができる。
一方、近年使われ始めている銅リードフレーム(熱により酸化を受けやすい)や絶縁性支持基板(熱伝導性が低い)は、共に熱膨張係数が大きいため、加熱接合時に反り易く、このような支持基板への接合に接着フィルムを適用する場合、低応力で、かつ低温で接着できる材料が強く望まれる。
接着フィルムは、熱可塑性樹脂を主成分としたものが主流であり、融点が低い熱可塑性樹脂を選んで用いると、接着温度を低くすることができ、リードフレームの酸化等、チップに与えるダメージを少なくすることができる。しかし、融点の低い熱可塑性樹脂を用いた樹脂フィルムは、熱時の接着力が低いので、ダイボンド後の熱処理(ワイヤボンド工程、実装工程等)に耐えられない。
本発明の目的は、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板とを接着させるフィルム状のダイボンディング材であって、実装時の高温半田付け熱履歴にも耐え、かつ、銅リードフレームまたは絶縁性支持基板にも好適に使用できる低応力・低温接着性を兼ね備えるダイボンディング材を提供することである。
本発明者らは、低応力かつ低温接着性を有し、さらに実装時の高温半田付け熱履歴における高い信頼性を有するダイボンディング材を得るためには、熱時の物性制御が重要である。フィルム状のダイボンディング材の物性、特性と低応力性、低温接着性及び実装時の高温半田付け熱履歴における耐リフロークラック性との関係を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、Tgが200℃以下の熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、フィラーとを含有し、接着前の段階において250℃以上の温度における弾性率が0.1MPa未満であり、加熱硬化後の250℃における弾性率が1MPaを超え8MPa以下である、半導体素子を接着するためのフィルム状のダイボンディング材であって、
前記熱可塑性樹脂は、テトラカルボン酸二無水物と、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサンを全ジアミンの3モル%以上含むジアミンとを反応させて得られるポリイミド樹脂であり、
前記熱硬化性樹脂は、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂であり、かつ前記熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜100重量部の範囲で含まれ、
前記フィラーは、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック及び銅粉から選択される1種または2種以上であり、熱可塑性樹脂100重量部に対して4000重量部以下含まれるダイボンディング材を提供する。
本発明のフィルム状ダイボンディング材は、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材の接着材料として、良好な熱時接着力及び実装時の高温半田付け熱履歴に耐える優れた信頼性を有し、かつ、低応力性、低温接着性にも優れる。従って、銅リードフレーム及び絶縁性支持基板のダイボンド材として好適に使用できる。
本発明のダイボンディング材においては、表面実装型の半導体装置のリフロー温度は240〜270℃程度であり、また、ダイボンディング時の接着温度は250℃以下が望ましいことから、接着前の250℃以上における弾性率が0.1MPa未満であり、加熱硬化後の250℃における弾性率が0.5〜20MPaとなる必要があり、低温接着性、低応力及び耐リフロー性を、同時にかつ高いレベルで発揮できる点で0.5〜10MPaが好ましい。接着前の250℃以上における弾性率が0.1MPa以上であると、接着温度が250℃より高くなる、または接着荷重が大きくなる、という問題がある。また、加熱硬化後の250℃における弾性率が0.5MPa未満であると熱時の接着強度が弱く、20MPaを超えると応力が高くなり熱時の接着強度が弱くなる。
上記ダイボンディング材は、Tgが200℃以下の熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂とを含有するのが好ましく、さらに好ましくはシランカップリング剤を含有してなる。
本発明のフィルム状ダイボンディング材に含まれる熱可塑性樹脂は、Tgが200℃以下であれば限定されるものではなく、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂又はポリイミド樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂のTgが200℃を超えると、ダイボンディング材が接着に要する温度が高くなる。
使用できるフェノキシ樹脂とは、高速液体クロマトグラフィー(HLC)から求められた平均分子量が5,000以上の高分子量エポキシ樹脂に相当し、エポキシ樹脂と同様に、ビスフェノールA型、F型、AD型、AF共重合型、S型等の種類がある。分子量が大きいほどフィルム形成性が容易に得られる。平均分子量としては、5,000〜150,000のものがあり、10,000〜80,000程度のものが溶融粘度や他の樹脂との相溶性等の点からより好ましい。
使用できるポリイミド樹脂は、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて製造できる。使用できるテトラカルボン酸二無水物としては、以下のものが例示される。
ピロメリット酸二無水物、
3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
ビス(3,4-ジルボキシフェニル)メタン二無水物、
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物
3,4,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,2’,3-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,4,5-ナフタレン-テトラカルボン酸二無水物、
1,4,5,8-ナフタレン-テトラカルボン酸二無水物、
2,6-ジクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、
2,7-ジクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7-テトラクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、
フナンスレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無水物、
ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、
チオフェニン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,2’,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、
1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、
1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、
p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、
エチレンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、
デカヒドロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、
4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、
シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、
ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
ビス(エキソービシクロ〔2,2,1〕ヘプタン-2,3-ジカルボン酸二無水物)スルホン、
ビシクロ-(2,2,2)-オクト(7)−エン2,3,5-テトラカルボン酸二無水物、
2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、
2,2-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、
4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無水物、
1,4-ビス(2-ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸二無水物)、
1,3-ビス(2-ヒドロシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸二無水物)、
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、
テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物等のほか、
次の式(I)
Figure 0004367404
(ただし、n=2〜20の整数を示す。)で表されるテトラカルボン酸二無水物、
次の式(II)
Figure 0004367404
で表されるテトラカルボン酸二無水物があり、これら2種以上を併用してもよい。
特に好ましいテトラカルボン酸二無水物は、前記の式(I)の酸二無水物および前記の式(II)の酸二無水物である。式(I)および式(II)のテトラカルボン酸二無水物のうち少なくとも一方の含量が全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以上であるのがさらに好ましい。
前記式(I)のテトラカルボン酸二無水物としては、nが2〜5のとき、
1,2-(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,3-(トリメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,4-(テトラメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,5-(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
nが6〜20のとき、
1,6-(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,7-(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテートニ無水物)、
1,8-(オクタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,9-(ノナメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,10-(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,12-(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、
1,16-(ヘキサデカメチレン)ビストリメリテート二無水物、
1,18-(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)等があり、これら2種以上を併用してもよい。
上記式(I)のテトラカルボン酸二無水物は、無水トリメリット酸モノクロライド及び対応するジオールから合成することができる。
また、全テトラカルボン酸二無水物に対して上記テトラカルボン酸二無水物の含まれる量を好ましくは30モル%以上とするのは、接着フィルムの低温接着性を保つためである。
また、前記式(II)のテトラカルボン酸二無水物は、全テトラカルボン酸二無水物に対して好ましくは30モル%以上とするのは、接着フィルムの耐湿信頼性を保つためである。
前記ポリイミド樹脂の他の原料の一つであるジアミンとしては、
1,2-ジアミノエタン、
1,3-ジアミノプロパン、
1,4-ジアミノブタン、
1,5-ジアミノペンタン、
1,6-ジアミノヘキサン、
1,7-ジアミノヘプタン、
1,8-ジアミノオクタン、
1,9-ジアミノノナン、
1,10-ジアミノデカン、
1,11-ジアミノウンデカン、
1,12-ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、
o-フェニレンジアミン、
m-フェニレンジアミン、
p-フェニレンジアミン、
3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、
3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’-ジアミノジフェニルメタン、
3,4’-ジアミノジフェニルメタン、
4,4’-ジアミノジフェニルメタン、
3,3’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、
3,4’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、
4,4’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、
3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、
3,3’-ジアミノジフェニルスルフイド、
3,4’-ジアミノジフェニルスルフイド、
4,4’-ジアミノジフェニルスルフイド、
3,3’-ジアミノジフェニルケトン、
3,4’-ジアミノジフェニルケトン、
4,4’-ジアミノジフェニルケトン、
2,2-ビス(3−アミノフェニル)プロパン、
2,2’-(3,4’-ジアミノジフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-(3,4’-ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,3-ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4-ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
3,3’-(1−フェニレンビス(1−メチルエチレリデン))ビスアニリン、
3,4’-(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、
4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、
2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−(4−アミノフェニキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、
ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、
ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、
ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等の芳香族ジアミンのほか、
次式(III)
Figure 0004367404
(式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に炭素数が1〜5のアルキレン基、又はフェニレン基を示し、Q3、Q4、Q5及びQ6はそれぞれ独立に炭素数が1〜5のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、mは1〜50の整数を示す。)で表されるシロキサン系ジアミン等があり、これら2種以上を併用してもよい。
前記式(III)のシロキサン系ジアミンとしては、mが1のとき、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、
1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、
1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、
1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、
1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等があり、
mが2のとき、
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、
1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、
1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、
1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、
1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、
1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、
1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、
1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、
1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等があり、
さらに、mが3〜50のとき、次式(III−a)、次式(III−b)、次式(III−c)等が挙げられる。
Figure 0004367404
Figure 0004367404
Figure 0004367404
これらシロキサン系ジアミンは2種以上を併用してもよい。好ましいシロキサン系ジアミンは、式(III)のシロキサン系ジアミンである。ジアミンは、式(III)のシロキサン系ジアミンが、全ジアミンに対して3モル%以上含まれるのがさらに好ましい。より好ましい式(III)のシロキサン系ジアミンの含量は、5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上である。3モル%未満では、低応力性、低温接着性、低吸湿性の特性を発揮できない。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの縮合反応は、有機溶媒中で行う。この場合、テトラカルボン酸二無水物とジアミンは等モル又はほぼ等モルで用いるのが好ましく、各成分の添加順序は任意である。用いる有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、m−クレゾール、o−クロルフェノール等がある。
縮合反応温度は好ましくは80℃以下、より好ましくは0〜50℃である。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇する。この場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
ポリイミドは、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は120℃〜250℃で熱処理する方法や化学的方法を用いて行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去してもよい。なお、本発明においてポリイミド樹脂とは、ポリイミド及びその前駆体を総称する。ポリイミドの前駆体には、ポリアミド酸のほか、ポリアミド酸が部分的にイミド化したものがある。
化学的方法で脱水閉環させる場合は、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いる。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒を用いてもよい。閉環剤又は閉環触媒は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で使用するのが好ましい。
本発明のフィルム状ダイボンディング材に含まれる熱硬化性樹脂は、熱により橋かけ反応を起こす反応性化合物である。このような化合物としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、トリアリルトリメリタートを含む樹脂、シクロペンタジエンからの熱硬化性樹脂、芳香族ジシアナミドの3量化による熱硬化性樹脂等がある。なお、これら熱硬化性樹脂は2種以上を用いてもよい。
硬化のために、硬化剤及び硬化促進剤(触媒)を適宜、使用することができる。例えば、エポキシ樹脂を使用する場合には、硬化剤としてはフェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン等が挙げられる。硬化促進剤(触媒)としては、熱硬化性樹脂を硬化させるものであれば特に制限はない。シアネート樹脂を使用する場合には、コバルト、亜鉛、銅等の金属塩や金属錯体を触媒とし、アルキルフェノール、ビスフェノール化合物、フェノールノボラック等のフェノール系化合物を助触媒とすることができる。
エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むもので、硬化性や硬化物特性の点からフェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が好ましい。このような樹脂としては、
ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、
ビスフェノールAD型のグリシジルエーテル、
ビスフェノールS型のグリシジルエーテル、
ビスフェノールF型のグリシジルエーテル、
水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、
エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、
プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、
フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、
クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、
ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、
ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、
3官能型のグリシジルエーテル、
4官能型のグリシジルエーテル、
ジシクロペンタジェンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、
ダイマー酸のグリシジルエステル、
3官能型のグリシジルアミン、
4官能型のグリシジルアミン、
ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限されるものではない。例えば、前記のフェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン等が挙げられるが、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物が好ましい。このようなものとしては、
フェノールノボラック樹脂、
クレゾールノボラック樹脂、
t−ブチルフェノールノボラック樹脂、
ジシクロペンタジェンクレゾールノボラック樹脂、
ジシクロペンタジェンフェノールノボラック樹脂、
キシリレン変性フェノールノボラック樹脂、
ナフトールノボラック樹脂、
トリスフェノールノボラック樹脂、
テトラキスフェノールノボラック樹脂、
ビスフェノールAノボラック樹脂、
ポリ−p−ビニルフェノール樹脂、
フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。
シアネート樹脂としては、例えば、
2,2’-ビス(4-シアネートフェニル)イソプロピリデン
1,1’-ビス(4-シアネートフェニル)エタン
ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン
1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(1-メチルエチリデン))ベンゼン
シアネーテッドフェノール-ジシクロペンタンジエンアダクト
シアネーテッドノボラック
ビス(4-シアナートフェニル)チオエーテル
ビス(4-シアナートフェニル)エーテル
レゾルシノールジシアネート
1,1,1-トリス(4-シアネートフェニル)エタン
2-フェニル-2-(4-シアネートフェニル)イソプロピリデン等があり、これらを2種以上用いてもよい。
ビスマレイミド基を有する化合物(ビスマレイミド樹脂)としては、
オルトビスマレイミドベンゼン、
メタビスマレイミドベンゼン、
パラビスマレイミドベンゼン、
1,4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、
1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼンのほか、次式(IV)〜(VII)で表されるイミド化合物等がある。
Figure 0004367404
(式中、XはO、CH2、CF2、SO2、S、CO、C(CH32 又はC(CF32を示し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。)
Figure 0004367404
(式中、YはO、CH2、CF2、SO2、S、CO、C(CH32又はC(CF32を示し、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示する。)
Figure 0004367404
(式中、qは0〜4の整数を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。)
Figure 0004367404
(式中、R10及びR11はそれぞれ二価の炭化水素基、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ一価の炭化水素基を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示し、lは1以上の整数を表す。)
式(IV)のイミド化合物としては、例えば、
4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、
4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、
4,4−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、
4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、
4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、
4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、
2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、
3,4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン等がある。
式(V)のイミド化合物としては、例えば、
ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)エーテル、
ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)メタン、
ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)フルオロメタン、
ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン、
ビス(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン、
ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルフィド、
ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ケトン、
1,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
これらイミド化合物の硬化を促進するため、ラジカル重合剤を使用してもよい。ラジカル重合剤としては、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等がある。このとき、ラジカル重合剤の使用量は、ビスマレイミド樹脂100重量部に対して概ね0.01〜1.0重量部が好ましい。
本発明のフィルム状ダイボンディング材に含まれる熱硬化性樹脂の含量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは0.1〜100重量部とする。200重量部を超えるとフィルム形成性が悪くなる。
また、本発明の接着剤組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。本発明のフィルム状ダイボンディング材に含まれるシランカップリング剤としては、例えば、
ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、
N-(1,3―ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N,N’−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、
ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、
ポリエトキシジメチルシロキサン等があり、これら2種以上を使用してもよい。
上記のカップリング剤の含量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.05重量部から20重量部である。50重量部を超えると保存安定性が悪くなる。
本発明のダイボンディング材には、接着性を損なわない範囲でフィラーを配合してもよい。このようなフィラーとしては、銀粉、金粉、銅粉等の金属フィラー、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機フィラー、カーボン、ゴム系の有機フィラー等がある。フィラーのうち、前記金属フィラーは、ダイボンディング材に導電性又はチキソ性を付与する目的で添加され、無機フィラーは、ダイボンディング材に低熱膨張性、低吸湿性を付与する目的で添加され、有機フィラーはダイボンディング材に靭性を付与する目的で添加される。これら金属フィラー、無機フィラー又は有機フィラーはそれぞれ2種以上を用いることもできる。フィラーを用いた場合の混合・混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
フィラーを含有させる場合、フィラーの量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0〜8000重量部、好ましくは0〜4000重量部とする。8000重量部を超えると接着性が低下する。
本発明のダイボンディング材は、熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂と、好ましくはカップリング剤及び/又はフィラーとを有機溶媒中で混合してワニスとし、基材上に前記ワニスの層を形成させ、加熱乾燥し、基材を除去してフィルム状の形状で得られる。
上記フィルム状ダイボンディング材の製造の際に用いる有機溶媒は、材料である熱可塑性樹脂等を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。
加熱乾燥は、使用した溶媒が十分に揮散する条件、詳しくは、200℃×2時間加熱前後の重量減少率(残存揮発分)が2重量%以下となる条件、すなわち、おおむね60℃〜200℃の範囲で、0.1〜90分間加熱して行う。その後、フィルム状ダイボンディング材は室温下で基材から剥がして使用する、あるいは、基材付きのまま使用することもできる。
基材は、上記のフィルム状ダイボンディング材製造時の加熱・乾燥条件に耐えるものであれば特に限定するものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等がある。これらのフィルムは2種以上組み合わせて多層フィルムとしてもよい。また、これらのフィルムは、シリコーン系やシリカ系の離型剤で処理されたものであってもよい。
得られたフィルム状ダイボンディング材を、IC、LSI等の半導体素子と、支持部材との接着に用いて、本発明の半導体装置が得られる。例えば、前記したような半導体素子と支持部材との間に本発明のダイボンディング材を挾み、加熱圧着して、両者を接着させる。加熱圧着は、通常、100〜300℃、0.1〜300秒間、0.005〜2MPaであるのが好ましい。その後、ワイヤボンディング工程、必要に応じて封止材による半導体素子の封止工程を経て、半導体装置とされる。
支持部材としては、
42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム、
ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックフィルム、
ガラス不織布等基材にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックを含浸・硬化させたもの、
アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
下記A〜Dのポリイミドを用い、表1〜2の配合表に示す通り、No.1〜No.7のワニス(No.1〜4:本発明の実施例1〜4に関するもの、No.5〜7:比較例1〜3に関するもの)を調合した。
ポリイミドA:1,10-(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物):100モル%と2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:50モル%及び次式(VIII)で表されるジアミン:50モル%とから合成した。
Figure 0004367404
ポリイミドB:ビスフェノールAビストリメリテート二無水物:100モル%と2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:20モル%及び次式(III−a)で表されるジアミン:80モル%とから合成した。
Figure 0004367404
ポリイミドC: 1,10-(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物):100モル%と2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:100モル%とから合成した。
ポリイミドD:1,2-(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物):100モル%と4,4’-ジアミノジフェニルメタン:100モル%とから合成した。
なお、表1〜2において、種々の記号は下記のものを意味する。
ESCN195:住友化学、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200)
YH-434L:東都化成、4官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂(エポキシ当量116)
BEO-60E:新日本理化学、エチレンオキシド6モル付加体ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量373)
L-10:旭チバ、ビスフェノールF型シアネート樹脂
XU-366:旭チバ、フェニル-1-(1-メチルエチリデン)ベンゼン型シアネート樹脂
H-1:明和化成、フェノールノボラック(OH当量106)
TrisP-PA:本州化学、トリスフェノールノボラック(OH当量140)
XL-225:三井東圧化学、キシリレン変性フェノールノボラック(OH当量175)
A-1310:日本ユニカー、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
A-189:日本ユニカー、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
A-187:日本ユニカー、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
DMAc:ジメチルアセトアミド
DMF:ジメチルホルムアミド
NMP:N-メチルピロリドン
Figure 0004367404
Figure 0004367404
このワニスを30〜50μmの厚さに基材(ポリプロピレンフィルム)上に塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、その後、室温で基材から剥がして、フィルム状のダイボンディング材(以下、接着フィルムという)を得た。
(評価試験)
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたフィルム状の接着フィルムについて、ピール接着力を測定し、また、実施例1〜4、比較例1〜3で得られた接着フィルムを用いて、銅リードフレームにシリコンチップを接合させたときのチップ反りを測定した。測定結果を表3および表4に示す。
Figure 0004367404
Figure 0004367404
なお、弾性率、ピール接着力及びチップ反りの測定法は以下の通りである。
<フィルム弾性率測定法>
レオメトリックス製の粘弾性アナライザーRSA-2を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで、動的粘弾性を測定し、250℃における貯蔵弾性率E´を弾性率とした。
<ピール接着力の測定法>
接着フィルムを5mm×5mmの大きさに切断し、これを5×5mmのシリコンチップと銅リードフレームのダイパッドとの間に挟み、1000gの荷重をかけて、180℃又は250℃で5秒間圧着させたのち、180℃で、1時間加熱して接着フィルムを硬化させた。245℃又は275℃、20秒加熱時のシリコンチップの引き剥がし強さをプッシュプルゲージで測定した。
<チップ反りの測定法>
接着フィルムを10mm×10mmの大きさに切断し、これを銅リードフレームのダイパッドと10mm×10mmの大きさのシリコンチップとの間に挟み、1000gの荷重をかけて、250℃、20秒間圧着させた後、室温に戻し、これについて表面粗さ計を用い、チップ表面で対角線方向に10mmスキャンし、ベースラインからの最大高さ(μm)を求めて、チップ反りとした。

Claims (3)

  1. Tgが200℃以下の熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、フィラーとを含有し、接着前の段階において250℃の温度における弾性率が0.1MPa未満であり、加熱硬化後の250℃における弾性率が1MPaを超え8MPa以下である、半導体素子を接着するためのフィルム状のダイボンディング材であって、
    前記熱可塑性樹脂は、テトラカルボン酸二無水物と、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサンを全ジアミンの3モル%以上含むジアミンとを反応させて得られるポリイミド樹脂であり、
    前記熱硬化性樹脂は、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂であり、かつ前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部の範囲で含まれ、
    前記フィラーは、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック及び銅粉から選択される1種または2種以上であり、熱可塑性樹脂100重量部に対して4000重量部以下含まれるダイボンディング材。
  2. イミダゾール類の硬化剤を含有する請求項1記載のダイボンディング材。
  3. 前記ポリイミド樹脂が、1種類のテトラカルボン酸二無水物と、2種類のジアミンとを反応させて得られるポリイミド樹脂である請求項1または2記載のダイボンディング材。
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