JP2006117945A - ポリイミド樹脂の製造方法及び半導体素子接着用の接着フィルム - Google Patents

ポリイミド樹脂の製造方法及び半導体素子接着用の接着フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】低温貼付性及び低吸湿性等に優れ、さらに熱時において高い接着力を有し、耐PCT性に優れる接着フィルムに用いるポリイミド樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物と、一般式(2)
Figure 2006117945

(式中、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキレン基などを示し、Q、Q、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキル基などを示し、pは1〜50の整数を示す)で表されるシロキサンジアミンと、他の酸無水物及び/又は他のジアミンとを原料としたポリイミド樹脂の製造方法であって、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物及び上記シロキサンジアミンを反応させた後に、他の酸無水物及び/又は他のジアミンを反応させることを特徴とするポリイミド樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、IC、LSI等の半導体素子とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材の接合材料、すなわちダイボンディング用材料として用いられる接着フィルム、その製造法、接着法、接着フィルム付き支持部材及び半導体装置に関する。
従来、ICやLSIとリードフレームの接合にはAu−Si共晶合金、半田あるいは銀ペースト等が用いられている。Au−Si共晶合金は、耐熱性及び耐湿性は高いが、弾性率が大きいため大型チップへ適用した場合に割れやすいほか、高価である難点がある。半田は安価であるものの、耐熱性が劣り、更に弾性率はAu−Si共晶合金と同様に高く、大型チップへ適用が困難である。いっぽう、銀ペーストは安価で、耐湿性が高く、弾性率も上記三者の中では最も低く、350℃の熱圧着型ワイヤボンダーに適用できる耐熱性も有するので、現在はICやLSIとリードフレームの接着用材料の主流である。しかし、近年ICやLSIの高集積化が進み、それに伴ってチップが大型化しているなかで、ICやLSIとリードフレームを銀ペーストで接合しようとする場合、銀ペーストをチップ全面に広げ塗布するには困難を伴う。
マイクロエレクトロニック マニュファクチャリング アンド テスティング(MICROELECTRONIC MANUFACTURING AND TESTING 1985年10月)に、導電性フィラーを熱可塑性樹脂に充填したダイボンド用の接着フィルムが報告された。これは熱可塑性樹脂の融点付近まで温度を上げ、加圧接着するものである。
前記マイクロエレクトロニック マニュファクチャリング アンド テスティングで報告された接着フィルムは、融点の低い熱可塑性樹脂を選んで用いると接着温度を低くすることができ、リードフレームの酸化等、チップに与えるダメージは少なくてすむが、熱時接着力が低いのでダイボンド後の熱処理(例えばワイヤボンド、封止工程等)に耐えられない。熱処理に耐えられる融点の高い熱可塑性樹脂を用いると、接着温度が高くなり、リードフレームが酸化等のダメージを受けやすい。
また、特定のポリイミド樹脂を用いた接着フィルム、及びこれに導電性フィラーもしくは無機フィラーを含有するダイボンド用接着フィルム(特開平6−145639号公報、特開平7−228697号公報他)は比較的低温で接着でき、かつ良好な熱時接着力をもっているのでダイボンド用として42アロイリードフレーム等に好適に使用できる。しかしながら、近年使われ始めている銅リードフレームは酸化を受けやすく、酸化によるダメージを避けるために上記接着フィルムよりも更に低い温度で接着できる接着フィルムが望まれている。
熱伝導性の低い絶縁性支持基板は熱膨張率が大きいため加熱接合時に反りやすく、吸水性も高いので、その水分を接着フィルムが吸収すると半導体パッケージの熱時信頼性が損なわれる。また、接着フィルムの一部が完全に封止材に被われず、露出しているパッケージの検討も始められている。これらのような場合には接着フィルムが厳しい条件に曝されるため、低温接着性、熱時における高接着力といった特性に加え、これまでよりも優れた低吸湿性、耐PCT性を有する接着フィルムが望まれている。
低吸湿、低温接着性の接着フィルムを作製する手段の一つとしてシロキサンジアミンを反応させて得られるポリイミド樹脂を含有してなる接着フィルムが提案されている。しかし、より低吸湿化及び低温接着性を有する接着フィルムを得る目的で、シロキサンジアミンの比率を上げたポリイミド樹脂を得ようとした場合、シロキサンジアミンとテトラカルボン酸二無水物の縮重合に用いる有機溶媒のうち両者を共によく溶解させる有機溶媒がなく、樹脂の特性が安定しないという問題があった。また、シロキサンジアミンは他の一般的なジアミンに比べ、ポリイミド合成時の反応性に劣るため、その含有比率をあげることは容易ではなかった。
低吸湿、低温接着性の接着フィルムを作製する別の手段として炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)を反応させて得られるポリイミド樹脂を含有してなる接着フィルムも提案されている。このポリイミド樹脂を用いたフィルムでは炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)の比率を上げても室温の弾性率の低下が少なく、熱硬化性樹脂との相溶性も良好で接着力の高いフィルムが得られる。しかし、炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)を用いた場合、シロキサンジアミンを反応させて得られるポリイミド樹脂を含有してなる接着フィルムと比較して吸湿率がわずかに高くなり、室温弾性率の低下による応力緩和の効果も望めないことから、パッケージの薄型化や絶縁性支持基板を用いたパッケージのように水分がダイボンド層まで達しやすいパッケージでさらに信頼性を向上させることは困難であった。
請求項1〜6記載の発明は、低温貼付性及び低吸湿性等に優れ、さらに熱時において高い接着力を有し、耐PCT性に優れる接着フィルムを提供するものである。請求項7記載の発明は、未反応成分をなくし、膜厚及び特性のばらつきの少なくすることができ、さらに生産性よく製造できる接着フィルムの製造法を提供するものである。
請求項8記載の発明は、上記接着フィルムを、その特性である低温貼付性、低吸湿性を充分活かし、半導体素子及び支持部材を簡便に作業性よく接着できる半導体素子と支持部材の接着法を提供するものである。請求項9記載の発明は、42アロイ、銅リードフレーム等を用いた半導体パッケージ又は絶縁性支持基板を用いた半導体パッケージに使用するのに好適な接着フィルム付き支持部材を提供するものである。請求項10記載の発明は、高温高湿条件下における高い信頼性を確保する半導体装置を提供するものである。
本発明は、炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)及び芳香環を1〜4個有し、芳香環を2つ以上有する場合はその間が単結合又は1つの原子を介して結合する構造を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)を含有してなるテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミン(C)を含有してなるジアミンとを反応させて得られるポリイミド樹脂(D)を含有してなる接着フィルムに関する。
また本発明は、上記ポリイミド樹脂(D)が、テトラカルボン酸二無水物(A)を10〜50モル%及び芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)を50〜90モル%含有してなるテトラカルボン酸二無水物と、シロキサンジアミン(C)を50〜90モル%含有してなるジアミンとを反応させて得られるものである上記接着フィルムに関する。
また本発明は、炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)が、下記一般式(1)
Figure 2006117945
(式中、nは2〜20の整数を示す)
で表されるテトラカルボン酸二無水物である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)が、ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物からなる郡より単数又は二種類以上選択されるものである上記接着フィルムに関する。
また本発明は、シロキサンジアミン(C)が、下記一般式(2)
Figure 2006117945
(式中、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキレン基又はフェニレン基を示し、Q、Q、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、pは1〜50の整数を示す)
で表されるものである上記接着フィルムに関する。
また本発明は、ポリイミド樹脂(D)100重量部に対して、熱硬化性樹脂(E)0〜200重量部及びフィラー(F)0〜8000重量部を含有してなる上記接着フィルムに関する。
また本発明は、(i)芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)及びシロキサンジアミン(C)を反応させる工程、(ii)この反応生成物にテトラカルボン酸二無水物(A)、及びその他のジアミンを加え反応をさせ、ポリイミド樹脂(D)を製造する工程、(iii)ポリイミド樹脂(D)を含有してなる組成物をベースフィルム上に塗布する工程、(iv)加熱、乾燥する工程、を含むことを特徴とする接着フィルムの製造法に関する。
また本発明は、上記接着フィルム又は上記製造法により得られる接着フィルムを半導体素子と支持部材の間に挾み、加熱圧着することを特徴とする半導体素子と支持部材との接着法に関する。
また本発明は、支持部材に上記接着フィルム又は上記製造法により得られる接着フィルムを接着させた接着フィルム付き支持部材に関する。また本発明は、上記着フィルム又は上記製造法により得られる接着フィルムを用いて、半導体素子を支持部材に接着させてなる半導体装置に関する。
請求項1〜6記載の接着フィルムは、低温貼付性及び低吸湿性等に優れ、さらに熱時において高い接着力を有し、耐PCT性に優れるものである。請求項7記載の接着フィルムの製造法は、未反応成分をなくし、膜厚及び特性のばらつきの少なくすることができ、さらに生産性よく製造できるものである。
請求項8記載の半導体素子と支持部材の接着法は、上記接着フィルムを、その特性である低温貼付性、低吸湿性を充分活かし、半導体素子及び支持部材を簡便に作業性よく接着できるものである。請求項9記載の接着フィルム付き支持部材は、42アロイ、銅リードフレーム等を用いた半導体パッケージ又は絶縁性支持基板を用いた半導体パッケージに使用するのに好適なものである。請求項10記載の半導体装置は、高温高湿条件下における高い信頼性を確保するものである。
本発明は、炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)及び芳香環を1〜4個有し、芳香環を2つ以上有する場合はその間が単結合又は1つの原子を介して結合する構造を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)を含有してなるテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミン(C)を含有してなるジアミンとを反応させて得られるポリイミド樹脂(D)を必須成分とする。
本発明の接着フィルムに含まれるポリイミド樹脂(D)の重量平均分子量は、特に制限はないが、10000〜200000であることが好ましく、20000〜100000がより好ましい。重量平均分子量が10000以下であると成膜性が悪くなる傾向があり、200000以上であると接着性が悪くなる傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算することにより求めることができる。
炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸無水物(A)は、ポリイミド樹脂(D)と熱硬化性樹脂との相溶性を良くし、ポリイミド樹脂(D)を含有してなる接着フィルムに、ウェハ又は半導体素子との密着性を損なうことなく低温接着性を付与する効果がある。
上記テトラカルボン酸二無水物(A)としては、特に制限はないが、下記一般式(1)
Figure 2006117945
(式中、nは2〜20の整数を示す)
で示されるテトラカルボン酸二無水物が、合成が容易な点で好ましい。
具体的には、例えば、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビストリメリテート二無水物、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合せて使用することができる。
上記テトラカルボン酸二無水物(A)は、無水トリメリット酸モノクロライド及び対応するジオールから、公知の方法を用いて合成することができる。
上記テトラカルボン酸二無水物(A)の使用量は、全テトラカルボン酸二無水物に対して、10〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、10〜30モル%が特に好ましい。使用量が10%未満であると、低温接着性とフィルムの接着力の保持との両立が困難になる傾向があり、50%を超えると耐PCT性、低応力化が不充分になる傾向がある。
本発明において、もう一方のテトラカルボン酸二無水物としては、芳香環を1〜4個有し、芳香環を2つ以上有する場合はその間が単結合又は1つの原子を介して結合する構造を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)を用いる。この芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)を使用することによって、他のジアミンに比べて反応性の劣るシロキサン系ジアミンを効率的にポリイミド中に導入することができ、得られた接着フィルムの特性を安定化する。
このような芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フエナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物等が挙げられ、中でも、ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が好ましく、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が特に好ましい。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)の使用量は、全テトラカルボン酸二無水物に対して50〜90モル%が好ましく、60〜90モル%がより好ましく、70〜90モル%が特に好ましい。50%未満であると、シロキサン系ジアミンとの反応性が低下する傾向があり、90%を超えると低温接着性と熱時信頼性の両立が困難になる傾向がある。
本発明の接着フィルムに係るポリイミド樹脂(D)の製造原料の一つであるシロキサンジアミン(C)としては、特に制限はないが、下記一般式(2)
Figure 2006117945
(式中、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキレン基又はフェニレン基を示し、Q、Q、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、pは1〜50の整数を示す)
で表されるシロキサン系ジアミンが好ましい。中でも接着力が優れる点で、p=1〜30のシロキサンジアミンがより好ましく、p=1〜20のシロキサンジアミンが特に好ましい。
上記一般式(2)で表されるシロキサン系ジアミンの具体例としては、pが1のとき、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等が挙げられ、pが2のとき、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン及び下記式で表されるシロキサンジアミン等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2006117945
シロキサンジアミンの使用量は、全ジアミンに対して50〜90モル%が好ましく、作業性の観点から50〜80モル%がより好ましく、優れた低温接着性と優れた耐PCT性を両立できる点で50〜70モル%が特に好ましい。50%未満であると、低温接着性と耐PCT性の両立が困難になる傾向があり、90%を超えると未反応のシロキサンジアミンが残りやすくなる傾向がある。
前記シロキサンジアミン(C)とともに、他のジアミンを併用することができる。併用できる他のジアミンとしては、特に制限はなく、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフイド、3,4′−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフイド、3,3′−ジアミノジフェニルケトン、3,4′−ジアミノジフェニルケトン、4,4′−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2′−(3,4′−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4′−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスアニリン、3,4′−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスアニリン、4,4′−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスアニリン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの縮合反応は、有機溶媒中で行う。この場合、全テトラカルボン酸二無水物量と全ジアミン量のモル比は、酸:アミン=1.2:1.0〜0.8:1.0の範囲が好ましい。
縮合反応は、先にシロキサンジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させた後に残りのジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させることが好ましい。こうすることによって、反応性の悪いシロキサンジアミンを充分反応させることができ、得られたフィルムに、低温貼付性等の特性を付与することができる。
縮合反応の際に用いる有機溶媒としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、m−クレゾール、o−クロルフェノール等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
反応温度は80℃以下が好ましく、0〜50℃がより好ましい。反応時間は用いる原料によっても変化するが、通常10分〜24時間である。反応が進行するにつれポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成し、反応液の粘度が徐々に上昇する。
ポリイミドは、生成したポリアミド酸を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環させる方法としては、120℃〜250℃で熱処理する方法、化学的方法等が挙げられる。
なお、本発明においてポリイミド樹脂とは、ポリイミド及びその前駆体を総称する。ポリイミドの前駆体には、ポリアミド酸、ポリアミド酸が部分的にイミド化したもの等が挙げられる。
120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去してもよい。また、熱処理時間は通常10分〜24時間程度である。
化学的方法で脱水閉環させる場合は、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いることが好ましい。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒などを用いてもよい。
上記閉環剤及び上記閉環触媒は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、各々1〜8モルが好ましい。また、接着力を向上させるため、ポリイミド樹脂にシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等を適宜加えてもよい。
本発明の接着フィルムは、上記ポリイミド樹脂に熱硬化性樹脂(E)を含有させてもよい。
上記熱硬化性樹脂を使用する場合、その使用量は、ポリイミド樹脂100重量部に対し、200重量部以下が好ましく、100重量部以下がより好ましく、30重量部以下が特に好ましい。200重量部を超えるとフィルム形成性が悪くなる傾向がある。下限は特に制限されないが、0.1重量部が好ましく、3重量部がより好ましい。
本発明において熱硬化性樹脂とは、熱により架橋反応を起こしうる反応性化合物をいう。このような化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含有する樹脂、トリアリルトリメリタートを含有する樹脂、シクロペンタジエンから合成された熱硬化性樹脂、芳香族ジシアナミドの三量化による熱硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、高温において優れた接着力を持たせることができる点で、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びビスマレイミド樹脂が好ましい。なお、これら熱硬化性樹脂は単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい熱硬化性樹脂の一つである上記エポキシ樹脂としては、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むものがより好ましく、硬化性や硬化物特性の点からフェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が極めて好ましい。このような樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型(又はAD型、S型、F型)のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジェンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型(又は4官能型)のグリシジルアミン、ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
好ましい熱硬化性樹脂の一つである上記シアネート樹脂としては、例えば、2,2′−ビス(4−シアネートフェニル)イソプロピリデン、1,1′−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス〔4−シアネートフェニル−1−(1−メチルエチリデン)〕ベンゼン、シアネーテッドフェノール−ジシクロペンタンジエンアダクト、シアネーテッドノボラック、ビス(4−シアナートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナートフェニル)エーテル、レゾルシノールジシアネート、1,1,1−トリス(4−シアネートフェニル)エタン、2−フェニル−2−(4−シアネートフェニル)イソプロピリデン等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
好ましい熱硬化性樹脂の一つである、上記ビスマレイミド樹脂としては、例えば、o−(又はm−、p−)ビスマレイミドベンゼン、4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼン及び下記一般式(3)〜(6)で表されるマレイミド化合物等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2006117945
(式中、XはO、CH、CF、SO、S、CO、C(CH又はC(CFを示し、四つのRは各々独立に、水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、二つのDは各々独立にエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す)
Figure 2006117945
(式中、YはO、CH、CF、SO、S、CO、C(CH又はC(CFを示し、四つのRは各々独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、二つのDは各々独立にエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す)
Figure 2006117945
(式中、qは0〜4の整数を示し、複数のDは各々独立にエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す)
Figure 2006117945
(式中、二つのRは各々独立に二価の炭化水素基、四つのRは各々独立に一価の炭化水素基を示し、二つのDは各々独立にエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示し、rは1以上の整数を表す)
なお、上記各構造式において、Dで示されるエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基としては、マレイン酸残基、シトラコン酸残基等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるビスマレイミド樹脂としては、例えば、4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミド−3,3′−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、2′−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン等が挙げられる。
上記一般式(4)で表されるビスマレイミド樹脂としては、例えば、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕フルオロメタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ケトン、2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂を硬化させるために、適宜添加剤を加えることができる。このような添加剤としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、触媒等が挙げられ、触媒を添加する場合は助触媒を必要に応じて使用することができる。
上記熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂硬化剤又は硬化促進剤を使用することが好ましく、これらを併用することがより好ましい。硬化剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物等が挙げられ、中でも分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物が好ましい。
上記分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンクレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンフェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、トリスフェノールノボラック樹脂、テトラキスフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂を硬化させるものであれば特に制限はなく、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0〜200重量部が好ましく、上記硬化促進剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0〜50重量部が好ましい。
上記熱硬化性樹脂にシアネート樹脂を使用する場合、触媒及び必要に応じて助触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えば、コバルト、亜鉛、銅等の金属塩や金属錯体などが挙げられ、助触媒としてはアルキルフェノール、ビスフェノール化合物、フェノールノボラック等のフェノール系化合物などを助触媒とすることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂に上記マレイミド化合物を使用する場合、ラジカル重合剤を使用することが好ましい。ラジカル重合剤としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。このとき、ラジカル重合剤の使用量は、ビスマレイミド樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部が好ましい。
本発明の接着フィルムは、接着強度を上げる等の目的で、適宜カップリング剤を含有させてもよい。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤等が挙げられるが、中でもシランカップリング剤が接着フィルムに高い接着力を付与できる点で好ましい。
カップリング剤を含有させる場合、その使用量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、0〜50重量部が好ましく、0〜20重量部がより好ましい。50重量部を超えるとフィルムの保存安定性が悪くなる傾向がある。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3―ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N′―ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の接着フィルムは、適宜フィラー(F)を含有してもよい。フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉等の金属フィラー、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の非金属無機フィラー、カーボン、ゴム系フィラー等の有機フィラーなどが挙げられる。
上記フィラーは所望する機能に応じて使い分けることができる。例えば、金属フィラーは、接着フィルムに導電性又はチキソ性を付与する目的で添加され、非金属無機フィラーは、接着フィルムに低熱膨張性、低吸湿性を付与する目的で添加され、有機フィラーは接着フィルムに靭性を付与する目的で添加される。これら金属フィラー、非金属無機フィラー又は有機フィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。フィラーを用いた場合の混合、混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
フィラーを含有させる場合、その使用量は、ポリイミド樹脂100重量部に対し、8000重量部以下が好ましく、4000重量部以下がより好ましい。下限は特に制限はないが、一般に5重量部である。8000重量部を超えると接着性が低下する傾向がある。
次に本発明の接着フィルムの製造法について説明する。本発明の接着フィルムは、フィルム単独自己支持性のフィルムとして又は基材の片面若しくは両面に、直接若しくは他の層を介して上記接着フィルムが積層されてなる基材付き接着フィルムとして使用することができる。
接着フィルムの製造時に使用する基材は、接着フィルム製造時の加熱、乾燥条件に耐えるものであれば特に限定するものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等がある。これらのフィルムは2種以上組み合わせて多層フィルムとしてもよい。また、これらのフィルムは、シリコーン系やシリカ系の離型剤で処理されたものであってもよい。
基材付き接着フィルムをそのまま半導体装置の接着剤として用いる場合、上記基材は耐熱性のフィルムであることが好ましい。上記耐熱性のフィルムとしては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、メチルペンテンフィルム及びポリエーテルナフタレートフィルム等が挙げられる。
本発明の接着フィルムは、(i)芳香環を1〜4個有し、芳香環を2つ以上有する場合はその間が単結合又は1つの原子を介して結合する構造を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物(B)及びシロキサンジアミン(C)を反応させ、(ii)この反応生成物に炭素数が2〜20のアルキレン鎖を有するテトラカルボン酸二無水物(A)及びその他のジアミンを加えて反応させ、ポリイミド樹脂(D)を製造し、(iii)ポリイミド樹脂(D)、並びに必要に応じて熱硬化性樹脂、カップリング剤、フィラー及びその他の添加剤を有機溶媒中で混合して混合物を得、(iv)基材上に前記混合物の層を形成させ、(v)加熱、乾燥することにより製造することができる。
得られたフィルムから基材を除去すれば、自己支持性のフィルムが得られる。また、基材を除去せずに片面に接着フィルムが積層されてなる基材付き接着フィルムとしてもよい。
両面に接着フィルム層が積層されてなる基材付き接着フィルムの製造は、上記(i)〜(iv)の工程を行った後、(v′)基材の接着フィルムが積層されていない面上に前記混合物の層を形成させ、(vi)加熱、乾燥して行うことができる。
上記基材付き接着フィルムは、作業性を上げる等の目的で、基材と接着フィルムの間に他の層を挟んでいてもよい。このような層としては、例えば、基材と接着フィルムの剥離性を上げるための剥離層及び基材と接着フィルムの付着強度を上げるための接着層等が挙げられる。
上記接着フィルムの製造の際に用いる有機溶媒は、材料を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。
上記接着フィルムの製造の際における加熱、乾燥条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であればよく、乾燥温度は60℃〜200℃が、乾燥時間は0.1〜90分間が好ましい。
本発明で得られた接着フィルムは、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂等のプラスチックフィルム、ガラス不織布等基材にエポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂等のプラスチックを含浸、硬化させたもの、アルミナ等のセラミックスなどの支持部材と、IC、LSI等の半導体素子との接合に用いることができる。
本発明の接着フィルムは、例えば、ICやLSI等の半導体素子とリードフレーム等の支持部材とを接着する場合、次の様な方法で接着することができる。
第一に、接着フィルムをテープリボン状に形成し、これを半導体素子の大きさに合わせて切断し、支持部材と半導体素子の間に挟み込んで、加熱接着させる方法がある。この方法で接着する場合には、例えば、半田リボン用のダイボンディング装置等を応用した装置などで接着させることができる。
第二に、接着フィルムをまず支持部材上に形成又は仮貼付しておき、次に半導体素子を加熱接着させる方法がある。支持部材上に接着フィルムを仮貼付するには、例えば、接着フィルムを半導体素子の大きさに合わせて切断し、加熱して貼り付ける方法あるいは溶媒を塗布して貼り付ける方法等が挙げられる。また、接着フィルムのワニスをリードフレーム上に印刷塗布する方法で形成させることもできる。支持部材上に接着フィルムを形成した後、半導体素子を接着するには、例えば、従来、銀ペーストで用いられていたダイボンディング装置等を応用した装置で接着させることができる。
第三に、接着フィルムをウェハ裏面に形成又は仮貼付しておき、次にダイシング工程でウェハ及び接着フィルムを切断し、支持部材に接着する方法がある。ウェハ裏面に接着フィルムを形成するには、例えば、接着フィルムを加熱して貼り付ける方法、溶媒を塗布して貼り付ける方法等が挙げられる。また、接着フィルムのワニスをウェハ裏面に印刷塗布あるいはスピンコートする方法で形成させることもできる。ウェハ裏面に接着フィルムを形成した後、半導体素子を接着するには、例えば、従来、銀ペーストで用いられていたダイボンディング装置等を応用した装置で接着させることができる。
上記の方法の他にも、例えば、ダイシング工程で用いられる粘着性のダイシングフィルムの上に、接着フィルムを形成させて一体型のフィルムにしておき、これをウェハに貼り付けた後、ダイシング工程で半導体素子と接着フィルムを切断し、リードフレームに貼り付ける方法等が挙げられるが、本発明の接着フィルムは、上記に例示したいずれの方法に限定されるものではない。
本発明の接着フィルムを用いて半導体素子と支持部材とを加熱圧着する際、加熱温度は、通常、80〜300℃、0.1〜300秒間である。
このポリイミド樹脂を含有してなる接着フィルムは、低温貼付性及び低吸湿性等に優れ、さらに熱時における高い接着力、優れた耐PCT性をも有することから、ダイボンド用として42アロイリードフレームに用いられるばかりでなく、銅リードフレームにも好適に使用でき、更に絶縁性支持基板に使用する接着フィルムとしても好適なものである。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1〜6
《ポリイミドの合成》
ポリイミド樹脂A:温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた5000mlの四つ口フラスコに下記一般式(7)で表されるジアミン(平均分子量880)
Figure 2006117945
348.5g(0.369モル)及びビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物171.0g(0.552モル)を秤取し、N−メチル−2−ピロリドン1800gを加え、撹拌し完全に溶解させた後、1時間撹拌し、N−メチル−2−ピロリドン1000g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン109.2g(0.266モル)、デカメチレンビストリメリテート二無水物71.5g(0.137モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、さらに室温で4時間反応させたのち、無水酢酸176.0g及びピリジン136.6gを加え、室温で2時間攪拌した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採取し、乾燥してポリイミド樹脂Aを得た。
ポリイミド樹脂B:温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた5000mlの四つ口フラスコに上記一般式(7)で表されるジアミン(平均分子量880)291.2g(0.331モル)及びビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物128.8g(0.415モル)を秤取し、N−メチル−2−ピロリドン1800gを加え、撹拌した。酸無水物の溶解後、1時間撹拌し、N−メチル−2−ピロリドン1000g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン137.2g(0.335モル)、デカメチレンビストリメリテート二無水物143.5g(0.275モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、さらに室温で4時間反応させたのち、無水酢酸176.0g及びピリジン136.6gを加え、室温で2時間攪拌した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採取し、乾燥してポリイミド樹脂Bを得た。
《ワニスの調合》
配合表(表1及び表2)に示す通り、実施例1〜6のワニスを調合した。なお、表1において、種々の記号は下記の意味である。
エピコート834:(株)油化シェルエポキシ製、ビスフェノール型エポキシ(エポキシ当量250)
YDCN−702:(株)東都化成製、クレゾールノボラック型エポキシ(エポキシ当量220)
BEO−60E:(株)新日本理化学製、エチレンオキサイド付加体ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量373)
Tris−P−TC:(株)本州化学製、トリスフェノールノボラック(OH当量160)
Tris−P−PA:(株)本州化学製、トリスフェノールノボラック(OH当量141)
TPPK:(株)東京化成製、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート
2P4MHZ:(株)四国化成製、キュアゾール2P4MHZ
DMAC:ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMF:ジメチルホルムアミド
TCG−1:徳力化学、銀粉(形状:鱗片状、平均粒子径:2μm)
Figure 2006117945
Figure 2006117945
《フィルムの作成》
調合した実施例1〜7のワニスを40μmの厚さにポリプロピレンフィルム(ベースフィルム)上に塗布し、80℃で10分、続いて120℃で30分加熱、乾燥し、その後、室温でベースフィルムを剥がして接着フィルムを得た。
《評価試験》
〈剪断接着力の測定方法〉
実施例1〜7で得られた接着フィルムを用いて剪断接着力測定用のサンプルを作成し、剪断接着力及び85℃、85%RH、24時間吸湿後の剪断接着力を測定した。サンプルは接着フィルムを5mm×5mmの大きさに切断し、これを5mm×5mmのシリコンチップと42アロイリードフレームのダイパッド部(8mm×10mm)との間に挟み、1000gの荷重をかけて、220℃、3秒間圧着させたのち、180℃で1時間加熱硬化して作成した。また、サンプルの一部を85℃、85%RHの条件下に24時間曝し、吸湿後の剪断接着力測定用サンプルとした。それぞれのサンプルについて、250℃加熱20秒後の熱時剪断接着力を、プッシュプルゲージを用いて測定した。
〈吸湿性の測定法〉
接着フィルムを200℃で1時間硬化させた後、50mm×50mmの大きさに切断し、これを減圧下、120℃で1時間加熱乾燥し、室温まで冷却した後重量(X)を測定する。その後、このフィルムを室温でイオン交換水中に24時間侵漬し、これを取り出して表面の水滴を濾紙で丁寧に拭き取り、その後再び重量(X)を測定する。次式により、吸湿性(吸湿率)を求める。
(数1)
吸湿率(%)=(X−X)/X×100
上記の評価試験の結果を表3に示す。
Figure 2006117945
上記のように、本発明の接着フィルムは低温における接着が可能であり、実装時の半田付け処理温度である250℃付近の接着力が高い。また、吸湿による接着力の低下が少なく、かつ吸湿性が低い。そのため、ダイボンド用として、絶縁性支持基板にも好適に使用できる。

Claims (2)

  1. ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物と、
    下記一般式(2)
    Figure 2006117945
    (式中、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキレン基又はフェニレン基を示し、Q、Q、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、pは1〜50の整数を示す)
    で表されるシロキサンジアミンと、
    他の酸無水物及び/又は他のジアミンとを原料としたポリイミド樹脂の製造方法であって、
    ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物及び上記シロキサンジアミンを反応させた後に、他の酸無水物及び/又は他のジアミンを反応させることを特徴とするポリイミド樹脂の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により製造されたポリイミド樹脂と、エポキシ樹脂と、イミダゾール類及びフィラーとを含有してなる、半導体素子接着用の接着フィルム。
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