JP2009545501A - エスカレータ - Google Patents

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Abstract

複数の踏板またはパレットと、踏板またはパレットを駆動するためのチェーン(1)と、チェーン(1)が部分的に回転する少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)であって、チェーン(1)がチェーンホイール(2,3)に基づいて上部車間(5)および下部車間(6)を形成する、チェーンホイール(2,3)と、少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)の運動の多角形補償のための手段とを含み、上部車間(5)での少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)におけるチェーン(1)の有効モーメントアーム(16,17)は、下部車間(6)での少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)におけるチェーン(1)の有効モーメントアーム(16’,17’)と実質的に同じであるエスカレータ。

Description

本発明は、請求項1の上位概念、または請求項2の上位概念に従ったエスカレータに関する。
定義
エスカレータとは、たとえば百貨店に見られるような踏板を有するエスカレータと、たとえば空港に見られるようなパレットを有する動く歩道をいう。
図1に、まずいくつかの概念を定義するために、ローラチェーンGとこれによって部分的に巻かれたチェーンホイールRとを概略的に図示する。ローラチェーンGは、互いに関節結合されるチェーン要素Kを有し、該チェーン要素Kは、回転ポイントPを介して互いに関節結合される。例示のチェーンホイールRは、8つの歯Zを有し、それらの間に歯間間隔が設けられ、該歯間間隔内に回転ポイントPが噛み合うことが可能である。2つの歯間または2つの歯間間隔間の角度ピッチτは、図示の例では、45°である。
さらにまた、図1において、チェーンホイールの下側に進入角φが示され、該進入角φは、たとえばローラチェーンGの方向を変えるべく案内されて生じる角度である。進入角φは、ローラチェーンGの実際の進行方向と、ローラチェーンGのチェーンホイールRからの分離ポイントAとチェーンホイールRの回転軸Dとの間の連結線に対する垂線Sとの間で測定される。進入角φは、図示の例では、約11°である。
図1において、湾曲角υが示されるが、該湾曲角υは、ローラチェーンGのチェーンホイールRからの2つの分離ポイントA間の角度に対応し、図示の場合180°である。チェーンホイールRからチェーン要素Kが離れると、そのときの湾曲角υが急激に小さくなる。たとえば上下の異なる進入角φの場合、上側では、チェーン要素Kが離れ、しかしながら同時に下側では、最も近いチェーン要素Kはまだ上に載っていないからである。したがって、以下においては、最小の湾曲角以上であって、最大の湾曲角以下である中間の湾曲角υを出発点とする。
さらにまた、チェーンホイールRの上側には、有効モーメントアームHeffが図示されているが、該モーメントアームHeffは、力、特にローラチェーンGの引張り力の作用線Wと、チェーンホイールRの回転軸Dとの間の垂直距離に対応する。瞬間湾曲角υと同様に、ローラチェーンの要素ごとの離間に基づき、特に、チェーンホイール回りのチェーンの多角形に基づき、ローラチェーンが動いている間有効モーメントアームHeffも変動する。チェーンホイールRの下側では、有効モーメントアームHeffは、幾分小さく、これは、ローラチェーンGの力の作用線Wが幾分傾斜しているために、有効モーメントアームHeff'は、もはや分離ポイントAを通過して進行しない。
エスカレータまたは動く歩道の場合、通常、踏板またはパレットは、いわゆる踏板チェーンまたはパレットチェーンとして図示される搬送チェーンによって、両側に駆動され、かつこれらに固定される。
通常、搬送チェーンは3または4つの部分を有し、踏板毎に3または4つの要素を有している。用いられているチェーンホイールは、約16から25の歯を有している。いわゆる多角形効果を小さくするために、このように比較的高い数が選択される。
多角形効果は、変動する有効モーメントアームHeffによって生じる(図1参照)。チェーンホイールは、通常、一定の角速度で駆動される。変動する有効モーメントアームによって、踏板チェーンの速度が変動し、移動する質量体(チェーン、軸、踏板)が連続して加速および減速することによって慣性力が生じ、かかる慣性力は、反対の力として、または回転モーメントとして、踏板チェーン/パレットチェーンに、または駆動部に導入され、そしてそれは一部短命化につながり、または特に駆動要素の設計に際して考慮すべき大きさでもありえる。特に、エスカレータの移動部分は、囲んでいるスチール構造体と共に、この、振動可能なばね−質量系を示す。特に、ここにおいて、チェーンはばねとして、踏板、軸(あれば)、ローラ、(踏板またはパレット上の)搬送される人、および再びチェーンは、質量体としてみなされる。このばね−質量系は、パラメータ次第で、チェーンホイールの歯数、走行速度および負荷に依存した非常に好ましくない動作点を有しうる。
実際のところ、一般には、チェーン部分を低減し歯数を増加させることによって、このようなことに出くわす。チェーン部分を低減し、歯数を増加させることによって、多角形効果が小さくなり、最終的には、多角形効果が実際のところ非常に小さく、したがってチェーン/踏板/プレートの移動が、多角形効果があるにせよ実際のところ妨害することはないほど均一となる。
また、チェーンホイール上へのチェーンの接線方向の進入に作用する案内部が、チェーンホイール領域内に設けられる。この手段の主たる目的は、チェーンホイール上にチェーンが進入するときの雑音を低下させることである。多角形効果もこの場合低下されるが、補償されていない。
しかしながら、比較的小さいチェーン部分と比較的大きな数のチェーンホイールの歯とを有する従来の構成は、決定的な欠点を有している。
まず、踏板チェ−ン/パレットチェーンのコストが高いということがある。チェーン部分が多いほど、踏板あたり、またはメートルあたりの要素が増え、コストが上昇する。特に、摩耗を受ける部分の踏板/パレットあたりの数がより多くある。エスカレータの稼働時間については、踏板間および/またはパレット間の最大許容隙間をできる限り長く遵守することが非常に重要な基準である。
チェーンホイールの歯数が多いことによって、結果として、比較的大きな直径となり、特に駆動ステーションのために構成スペースが必要になる。したがって、建物内が、コストのかかる空間に占領されることになる。大きな直径が必要である結果として、高い駆動モーメントが必要となり、駆動のための相応のコストをもたらすことになる。
冒頭で述べたタイプのエスカレータは、欧州特許出願公開第1344740号明細書から知られている。そこに記載されたエスカレータは、回りに部分的にローラチェーンが巻かれる、上部車間にわたって多角形補償して駆動されるチェーンホイールを有している。このチェーンホイールは、奇数の歯を有している。歯数を奇数とすることによって、上部車間は多角形補償ではなく、反対に極度に不均一に進行する。上部車間には、たとえば、チェーン、ローラ、軸および踏板またはプレートなどの質量体が設けられるので、この不均一性から、上部車間の踏板またはプレート上に負荷される力が生じる。この種のエスカレータは、下部車間における質量体に対する上部車間における質量体間の比率が大きいために、高い負荷がかかった状態では、比較的ゆっくりと走行する。負荷がかかっていない状態、または乗っている人が少しの状態では、上部車間においても非常に静かでない走行となる。
本発明が基礎とする課題は、冒頭で述べたタイプの装置であって、少なくとも1つのチェーンホイールの歯数が比較的少なくとも、比較的静かに走行する装置を提供することである。
このことは、本発明に従えば、請求項1または2または3のいずれか1つの特徴を有する冒頭で述べたタイプのエスカレータによって達成される。下位の請求項は、本発明の好ましい実施形態に関連する。
請求項1に従えば、上部車間における少なくとも1つのチェーンホイールのチェーンの有効モーメントアームは、下部車間における少なくとも1つのチェーンホイールのチェーンの有効モーメントアームと同じであるように構成されてなる。この結果、たとえば上部車間に指定された多角形補償の場合、上部車間が一定の速度で走行するだけでなく、下部車間も一定の速度で走行するようになる。本発明に従った手段によって、実質的に大きな部分を有する、たとえばチェーン部分を有する踏板チェーンおよび/またはパレットチェーンについてを、半分の大きさの踏板部分またはチェーン部分とすること、および/または必要な空間を小さくすることを可能とする。
請求項2に従えば、第1のチェーンホイールおよび第2のチェーンホイールは、第1のチェーンホイールでの最小有効モーメントアームにおいて、同じ車間内で、第2のチェーンホイールでの有効モーメントアームは最小とはならないように、好ましくは、多くとも、最大値と最小値との間の差の±20%だけ最大値から異なるように、特に最大となるように、互いに動作されて設けられる。そのために、たとえば、第1のチェーンホイールの第2のチェーンホイールとの角度位置は、少なくとも、角度ピッチの±30%、好ましくは±40%、特に角度ピッチの半分だけ異ならせてもよい。2つのチェーンホイールをこのように逆位相とすることによって、たとえば、回転方向転換ホイールとして実施された第2のチェーンホイールの揺動が小さくなる。
請求項3に従えば、エスカレータは少なくとも1つの案内部を有し、該案内部は、第1のチェーンホイールおよび/または第2のチェーンホイールへのチェーンの進入角に影響することが可能であって、該少なくとも1つの案内部は、有効モーメントアームが最小の場合の進入角が、有効モーメントアームが最大の場合よりも小さくなるように設けられる。案内部をこのように設けることによって、エスカレータが走行している場合、モーメントアームの振動運動をおおよそ零とすることができ、走行の静粛性に関しては、プラスに働く。特に、少なくとも1つの案内部をこのように設けた場合、案内ローラにかかる負荷は非常にわずかになる。コストの面においても比較的有利な案内ローラの利用が可能となる。
本発明の特徴と利点が、添付の図を参照した、好ましい実施形態の以下の説明によって明らかになる。
適用される概念を明らかにするための、チェーンホイールとローラチェーンとの概略図である。 本発明に従った、リバースチェーンホイールを有するエスカレータの概略側面図である。 本発明に従った、リバースチェーンホイールの代わりに、リバース湾曲部を有するエスカレータの概略側面図である。 図2に従ったエスカレータの機能にとって本質的ないくつかの要素の概略拡大図である。
図2に示すエスカレータは、ローラチェーンとして実施されるチェーン1を有し、該チェーン1は、第1の動力チェーンホイール2と、リバースホイールとして働く第2のチェーンホイール3との周りを回転する。各チェーンホイール2,3は、6つの、概略的に図示された歯を有する。チェーン1とエスカレータの踏板またはパレット(図示せず)が結合される。図2および図3においては、回転するハンドレールだけが示されるが、該ハンドレールは、エスカレータが動いている間利用者が握ることができる。チェーン1は、チェーンホイール2,3間において、図2〜図4の上部の上部車間5と、図2〜図4の下部の下部車間6を形成する。
第1のチェーンホイール2は、駆動モータ7によって駆動チェーン8を介して、多角形効果または多角形補償を受けずに駆動される。これは、たとえば、図示された実施形態においては、駆動チェーン8内に食い込む非円形ホイール9によって達成することが可能である。多角形補償駆動のさらなる可能性は、国際公開第03/036/129号明細書から知られ、該公開公報の一部に説明されている。多角形補償駆動によって、第1のチェーンホイール2を、変動する角速度で駆動することが可能となり、従動チェーン1が一定またはほぼ一定の速度で走行することを可能とする。
ハンドレール4は、駆動モータ7によって駆動され、ハンドレール4は、一定の角速度で駆動される。第2のチェーンホイール3は可動固定要素10を介して移動可能に支持される。
図4に示されるチェーン1は、短く描かれている。図4は、第1のチェーンホイール2に対する第2のチェーンホイール3は、角度位置については、ずらされている。たとえば、チェーン1の乗載ポイント11を通過する半径線12は、第1のチェーンホイール2における図4の水平線13と角度αをなし、これは約60°である。それに対して、チェーン1の対応する乗載ポイント14を通過する半径線15は、第2のチェーンホイール3において図4の水平線13と角度βをなし、この角はおよそ30°である。チェーンホイール2,3の角度位置は30°ずつ異なり、これは、チェーンホイール2,3の6つの歯の角度ピッチの半分に相当する。角度ピッチは360°を歯数で割った値であるからである。
チェーンホイール2,3の角度位置のこのような違いによって、第1のチェーンホイール2において、チェーン1が最小有効モーメントアーム16,16’によって捕捉されるとき、第2のチェーンホイール3におけるチェーン1は最大有効モーメントアーム17,17’で捕捉されることになる(図4参照)。反対に、第1のチェーンホイール2において、チェーン1が最大有効モーメントアームで捕捉されるときには、第2のチェーンホイール3において、チェーン1は、最小有効モーメントアームで捕捉されることになる(図示せず)。
さらにまた、図4から明らかなように、第1のチェーンホイール2において、上部車間5における有効モーメントアーム16は、下部車間6における有効モーメントアーム16’と同じである。さらにまた、図から明らかなように、第2のチェーンホイール3では、上部車間5における有効モーメントアーム17は、下部車間6における有効モーメントアーム17’と同じである。
図4に、チェーン1のチェーンホイールへの進入角φ1,φ2を定めることが可能である案内部18,19が示されている。この場合、特に、案内部18は図4においてはなるべく下に、または案内部19は、図4においてなるべく上に設けられ、最小有効モーメントアーム16,16’の場合の進入角φ1(図4の第1のチェーンホイール2参照)は、最大有効モーメントアーム17,17’の場合の進入角φ2(図4の第2のチェーンホイール3参照)よりも明らかに小さい。
図3に従った実施形態の場合、第2のチェーンホイール3に代わってリバース湾曲部20が設けられる。このリバース湾曲部20の場合、その半径は、リバース湾曲部20においても、上部車間5における有効モーメントアーム(図示せず)と下部車間6における有効モーメントアームが同じになるように選択される。さらにまた、図3に従った実施形態においても、案内部18,19は、チェーン1をリバース湾曲部に、最小有効モーメントアームの場合の進入角が、最大有効モーメントアームの場合の進入角よりも小さくなるように導く。さらにまた、リバース湾曲部20、第1のチェーンホイール2、およびチェーン1は、第1のチェーンホイール2ではチェーン1が最小有効モーメントアーム16,16’で捕捉されるときは、リバース湾曲部20におけるチェーン1は最大有効モーメントアームで捕捉されるように、またその逆となるように配置される。
これらの実施形態のさらなる機能についての以下に説明する。
用いられているチェーンホイール2,3の歯数は、偶数である。これは、チェーン1の湾曲角が180°になる場合であって、正常な場合のエスカレータ/動く歩道の場合である。決定的なのは、上部車間側での有効モーメントアームは、常に実質的には、下部車間側での有効モーメントアームと同じであるということである。この結果、上部車間に指定される多角形補償の場合、上部車間が一定の速度で走行するだけでなく、下部車間もそうである(180°の湾曲角の場合の奇数の歯においては、下部車間は、従来の多角形補償ではない駆動のおよそ2倍の不均一性で走行する)。
湾曲角は、有効モーメントアームが、上部車間と下部車間とで同じである場合には、180°偏向させて実施してもよい。つまり、これらの場合の歯数と湾曲角とは、合わせる必要がある。この条件に注意すれば、上部車間および下部車間において、静かなエスカレータ/動く歩道の走行にとって必須である、均一なチェーン速度が達成される。
従動チェーンホイール2の場合と同様な法則性が、従動されないリバースステーション(エスカレータの場合は通常は下部の地上ステーション)にも当てはまる。同一の有効モーメントアームであることに注意することがこの場合も重要である。このことは、逆転(リバース)のためにチェーンホイール3が適用されるのではなく、歯が切られていない、固定されて取り付けられた、またはばねおよび/または弾性的に取り付けられたリバース湾曲部20が適用される場合にも当てはまる。すなわち、リバース湾曲部の半径または直径は、チェーン1の方向転換手段ポイントは、対応する歯数を有するチェーンホイールのそれに対応する、対応の円弧上にあるように設定する。
チェーンホイール2,3は、一定でない角速度で走行し、この効果は、歯数が少なくなるほど大きくなるので、このようなことはできる限り軽く、また、わずかの慣性モーメントで実施して、そこからチェーン/踏板/パレットに及ぼされる妨害力ができるだけ小さくなるように注意することが必要である。特に、回転ポイントからさらに離れて位置するポイントにおける重量の最適化に注意することが必要であり、場合によっては、適切な軽量化−スペースなどの余裕を残すなどの措置が講じられる。
チェーンホイール2,3への特に大きな構成のチェーン1の多角形適合によって、通常、噛合いから次の噛合いまでの、チェーンホイール2,3間の軸間距離は変動する。チェーン1は、弾性伸びを別とすれば、常に一定の長さを有している。駆動装置−チェーンホイールは、通常、目的の場所に固定して取り付けられ、リバース部−チェーンホイールは固定部10にばね弾性によって、および線形運動可能に取り付けられる。これが大きくなればなるほどチェーン部分は大きくなり、チェーンホイール−歯数は小さくなる。
比較的チェーン部分が小さく、歯数が比較的多い従来のエスカレータの場合、このようなことは反対に注意する必要がない。
本発明に従ったエスカレータ(または動く歩道)の場合、チェーン部分は非常に大きくすることができるので、すなわち、踏板部分/パレット部分の1/1または1/2、および歯数は非常に小さく、すなわち6または4までとすることができるので、リバースホイールとして働く第2のチェーンホイール3の、またはリバース湾曲部20の線形運動を、エスカレータ/動く歩道の走行の静粛性にとって妨害となる要素となるほど、大きくすることが可能である。リバースステーションのこのような大きな線形運動から、妨害となる慣性力が生じ、これがノイズを発生させる。特に、好ましくないのは、駆動ホイールおよびリバースチェーンホイールが、同じ(たとえば、水平に対する、チェーンホイールエッジの角αまたはβによって測定される)湾曲角を有している場合の位置関係である。
したがって、チェーンホイール2,3の相対角α,βに注意が必要であり、すなわち、これらは逆位相でなければならない。第1のチェーンホイール2の角と第2のチェーンホイール3の角との間には、およそ半分の角度ピッチ(±20%)がなければならない(角度ピッチ=360°/歯数)。すなわち、チェーンの軸間距離、巻き上げ高さ、および長さは、互いに一致させねばならない。
さらにまた、第1および第2のチェーンホイール2,3は、できる限り同じ歯数を有するべきである。同じ歯数から±30%の範囲の偏差は許容される。
さらにまた、チェーンの案内が重要である。本発明に従ったエスカレータの実施形態において適用される案内部18,19は、最小有効モーメントアームの少し上でチェーンホイール2,3上へのチェーン1の進入を生じさせる。さらにまた、その端部での湾曲は任意であり、端部での湾曲によって、チェーン1には、チェーンホイール2,3上に来る少し前に、またはチェーンホイール2,3から案内部に移った後に、半径方向に速度成分が生じることになる。チェーンホイールの歯間間隔への、または案内部上へのチェーンリバースポイントの衝突成分も、明らかに小さくなり、これによって、ノイズが実質的に少なくなり、好ましい走行特性が得られる。
チェーンホイール上へのチェーンの接線方向における進入をもたらし、したがって進入ノイズ(チェーン−チェーンホイール)を低下させる、チェーン案内部は、本発明に従ったエスカレータの場合、適用することができない。ここで実現されるチェーンホイールの歯数がわずかの場合には、そしてそこから生じる角度比の場合には、ローラに対する負荷があまりにも大きくなる、またはこれらの負荷に対するローラの大きさを定めなければならないからであり、これらのことはコストを増加させる。特に、案内部をこのように設ける場合には、リバースステーションの大きな振動をもたらし、上述のようにそれ相応の短所をもたらす。
本発明に従ったエスカレータの場合、最小有効モーメントアームと最大有効モーメントアーム間の案内部の垂直高さは、最小モーメントアーム近くにある。案内部を垂直高さ内に設ければ、エスカレータ装置の走行中、リバースステーションの振動運動が、およそ零となり、この結果、走行の静粛性にプラスに作用する。特に、案内部をこのように設ける場合、ローラには、非常にわずかの負荷がかかるだけである。コスト面においても比較的好ましいローラを利用することが可能である。
チェーン案内部の最適高さは、以下のように算出される。チェーン要素は、案内部18,19を離れるとき、一定の角度だけ折れる。そこで、斜辺がここで問題となっているチェーン要素であり、直角を挟む辺の1つが水平である、小さな直角三角形を描くことができる、または想像する。三角関数を用いて、すべての長さを計算する。ここで、水平な辺の合計を求める。これを、角度ピッチ内のチェーンホイールの各角度位置毎に求める。再び、チェーンがさらにわずかに走行し、チェーンホイールが角度ピッチ分までさらに回転することを想像する。たとえば60°の角度ピッチは、たとえば3°ずつ20のステップに分けられる。そこで、案内部の高さは、各角度ピッチ毎の水平な辺の合計ができる限り一定値をもたらすまで変えられる。そこで、この変動が最小値に達した場合、リバースチェーンホイール/リバースステーションの線形運動も最小となる。
実際のエスカレータでは、場合によっては、チェーン案内部をチェーンが通過する場合、移行部分において水平/立上り部分(リバース半径)が生じる多角形の影響をまだ考慮すべきであるかもしれない。

Claims (16)

  1. 複数の踏板またはパレットと、
    踏板またはパレットを駆動するための少なくとも1つのチェーン(1)と、
    チェーン(1)が部分的に回転する少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)であって、チェーン(1)がチェーンホイール(2,3)に基づいて上部車間(5)および下部車間(6)を形成する、チェーンホイール(2,3)と、
    少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)の運動の多角形補償のための手段と、を含むエスカレータにおいて、
    上部車間(5)での少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)におけるチェーン(1)の有効モーメントアーム(16,17)は、下部車間(6)での少なくとも1つのチェーンホイール(2,3)におけるチェーン(1)の有効モーメントアーム(16’,17’)と実質的に同じであることを特徴とするエスカレータ。
  2. エスカレータは、チェーン(1)が部分的に回転する第2のチェーンホイール(3)を有し、第1のチェーンホイール(2)および第2のチェーンホイール(3)は、第1のチェーンホイール(2)での最小有効モーメントアーム(16,16’)において、同じ車間(5,6)内で、第2のチェーンホイール(3)での有効モーメントアーム(17,17’)は最小とはならないように、好ましくは、多くとも、最大値と最小値との間の差の±20%だけ最大値から異なるように、特に最大となるように、互いに動作されて設けられることを特徴とする請求項1または請求項1の前提部分に記載のエスカレータ。
  3. エスカレータは、少なくとも1つの案内部(18,19)を有し、該案内部は、第1および/または第2のチェーンホイール(2,3)へのチェーン(1)の進入角(φ1,φ2)に影響することが可能であって、該少なくとも1つの案内部(18,19)は、有効モーメントアーム(16,16’)が最小の場合の進入角(φ1,φ2)が、有効モーメントアーム(17,17’)が最大の場合よりも小さくなるように設けられることを特徴とする請求項1または2もしくは請求項2の前提部分に記載のエスカレータ。
  4. 第1のチェーンホイール(2)は動力チェーンホイールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  5. 第2のチェーンホイール(3)はリバースホイールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  6. 第1および/または第2のチェーンホイール(2,3)の歯数は偶数であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  7. 第1のチェーンホイール(2)の歯数は、12以下、特に4または6であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  8. 第2のチェーンホイール(3)の歯数は、12以下、特に4または6であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  9. 第1のチェーンホイール(2)の歯数は、第2のチェーンホイール(3)の歯数と異なる、または略等しい、もしくは等しいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  10. 第1および/または第2のチェーンホイール(2,3)の中間湾曲角(υ)は、角度ピッチ(τ)の整数倍から多くとも角度ピッチ(τ)の±20%だけ異なることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  11. 第1および/または第2のチェーンホイール(2,3)の中間湾曲角(υ)は、角度ピッチ(τ)の整数倍であることを特徴とする請求項10記載のエスカレータ。
  12. 第1のチェーンホイール(2)の角度位置は、第2のチェーンホイール(3)の角度位置から少なくとも角度ピッチ(τ)の±30%だけ異なることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  13. 第1のチェーンホイール(2)の角度位置は、第2のチェーンホイール(3)の角度位置から少なくとも角度ピッチ(τ)の±40%、特に角度ピッチ(τ)の半分だけ異なることを特徴とする請求項12記載のエスカレータ。
  14. エスカレータは、リバースホイールとしての第2のチェーンホイール(3)に代えて、リバース湾曲部(20)を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のエスカレータ。
  15. リバース湾曲部(20)の中間湾曲角(υ)は、角度ピッチ(τ)の整数倍から多くとも角度ピッチ(τ)の±20%だけ異なることを特徴とする請求項14記載のエスカレータ。
  16. リバース湾曲部(20)の中間湾曲角(υ)は、角度ピッチ(τ)の整数倍であることを特徴とする請求項15記載のエスカレータ。
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