JP2009538366A - 液体ジメチルエーテルによる高度不飽和脂質の抽出 - Google Patents

液体ジメチルエーテルによる高度不飽和脂質の抽出 Download PDF

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Abstract

植物又は動物材料から高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を得る方法であって、該材料を液体ジメチルエーテルと接触させて、脂質を含有するジメチルエーテル溶液と植物又は動物材料の残渣を得る工程、該溶液を植物又は動物材料の残渣から分離する工程、並びに該溶液から脂質を回収する工程を含む方法。

Description

本発明は、分離技術に関する。特に、本発明は、液体ジメチルエーテル(DME)によって、さらに、場合によっては、近臨界二酸化炭素によって、例えば、乾燥した若しくは部分的に乾燥した植物若しくは種子(海洋若しくは陸生の種を包含する)又は動物物品(animal products)(海洋若しくは陸生の種を包含する)のような物質を抽出して、高度不飽和脂質、特に高度不飽和複合脂質に富んだ抽出物と、場合によっては、ニュートラシューティカル(nutraceutical)として有用である又は水溶性酵素及び/又はタンパク質の抽出のために有用である残渣を得ることに関する。
背景
高度不飽和脂質(脂肪酸鎖中に3つ以上の不飽和部位と18個以上の炭素を有する脂質)は、人体内で多様な代謝性役割を有する。これらは、新生児の脳及び視力の発達に重要であり、さらに、心臓血管系的健康、精神的健康、免疫状態及び炎症性状態のためにも有利でありうる。これらの脂質の生物学的性質は、存在する脂肪酸の種類に通常依存し、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質が最もバイオアクティブである。一般に、これらの高度不飽和脂肪酸は陸生植物及び動物では複合脂質中にのみ有意な量で見出されるが、海洋動物の中性脂質及び複合脂質中の両方にも出現する可能性がある。
リン脂質は、複合脂質のサブセットである。リン脂質は、あらゆる哺乳動物の細胞膜の必須成分であり、細胞膜の流動性及び該膜を通る分子の通過の維持に重要な役割を果たしている。高度不飽和アラキドン酸(C20:4.w−6)は動物由来の二次産物(例えば、非ヒト乳からのリン脂質)には存在しないか、又はごく低濃度で存在する。アラキドン酸は、新生児の発達のために極めて重要であり、そのため、非ヒト乳から製造された新生児用処方にはこの脂肪酸が補充される。それ故、この目的のためにこの脂肪酸の供給源を確保する必要性が存在する。多くの動物組織(特に、器官及び腺)の複合脂質は、卵と同様に、アラキドン酸に富んでいる。
苔とシダも、複合脂質形で高レベルのアラキドン酸を含有することが知られている。それ故、特に、該脂肪酸の複合脂質形は酸化に対する保護を与えるので、この高度不飽和脂肪酸(HUFA)を複合脂質形で回収することができる抽出技術を発見することが望ましい。
海洋生物(ミクロ及びマクロ藻類、魚の身、卵及び肝臓、軟体動物、無脊椎動物)は、中性及び/又は複合脂質形でのHUFAsエイコサペンタン酸(C20:5.w−3)及びドコサヘキサン酸(C20:6.w−3)の豊富な供給源である。これらの脂肪酸は、新生児処方の補充のために、並びに神経疾患、心臓血管系疾患、炎症、及び血液中の脂質含有量の制御に用いるためにも必要である。これらのポリ不飽和脂肪酸を回収することができる抽出技術を発見することも望ましい。
同様に、或る一定の植物からの種子、特に、黒松(pinus)及び槙(podocarp)の樹からの種子は、非メチレン中断(non-methylene interrupted)ポリ不飽和脂肪酸(C20:3とC20:4)に富んだ複合脂質を含有する。非メチレン中断脂肪酸は、満腹を制御するために(for controlling satiety)及び可能な抗炎症薬として用いられる。それ故、これらのポリ不飽和脂肪酸を回収することができる抽出技術を発見する必要性がある。
超臨界COを用いる中性脂質の抽出は、特に種子油の抽出において、周知である。これらの方法の欠点は、一般に、原材料を入れるために大型高圧容器(典型的に、300bar以上の圧力を用いる)が必要であることであり、このことが生産プラントを非常に費用のかかるものにする。さらに、該油は超臨界CO中に非常に低い溶解度(通常、溶媒100gにつき油1g)を有するので、高い流速度及び長い抽出時間も必要である。海洋種からの脂質の抽出に関する刊行物(publications)はごく僅かである。米国特許6,083,536は、炎症状態の治療に有用な非極性脂質画分を得るための、粗凍結乾燥イガイ類粉末からの非極性脂質の抽出方法を述べている。新鮮なイガイ類を、凍結乾燥及びCO抽出の前に、酒石酸で安定化させる。抽出物の組成データは記載されていず、複合脂質はCO中に不溶であるので、複合脂質は抽出されない。
米国特許4,367,178は、超臨界COを用いて、中性脂質を抽出し、不溶性リン脂質を残し、それによって、レシチン中のリン脂質を濃縮することによる粗大豆レシチンの精製方法を述べている。粗レシチンは、大豆油の慣用的なデガミング(degumming)によって生産されている。COの限界を克服するために、超臨界COの溶解力(solvent power)を高めるための例えばエタノールのような共溶媒の使用が提案されている。
EP1,004,245 A2は、乾燥した卵を最初に超臨界COによって抽出して、中性脂質を除去し、次に、超臨界COと室温において液体である有機共溶媒(エタノール)によって、又は有機溶媒(COなし)によってのいずれかで抽出して、リン脂質を抽出する方法を述べている。両方のオプションは、リン脂質の抽出が不完全だという欠点を有する。さらに、両方は、脱脂卵粉末中に溶媒残渣を残し、これはタンパク質の変性をもたらす。超臨界CO抽出によって得られる中性卵脂質は、実施例3に示すように、高度不飽和脂肪酸の無視できるほどのレベルを有する。
Arntfield et al.(JAOCS, 69, 1992, 823-825)は、卵タンパク質がCOと共溶媒としてのメタノールによる抽出後に実質的に変性することを示している。超臨界COと共にエタノールを用いると、リン脂質の不完全な抽出が生じる。ホスファチジルコリンは最も容易に抽出されるリン脂質であるが、他の全てのリン脂質は非常に低い溶解度を有するか若しくは溶解度を全く有さず、抽出されない(Teberliker et al., JAOCS, 78, 2002, 115-119)。Schriener et al.(Journal of Food Lipids, 13, 2006, 36-56)は、卵黄脂質中の高度不飽和脂肪酸の大部分が、この方法では抽出されないホスファチジルエタノールアミン中に存在することを示している。
PCT公開WO 02/092540は、HUFAsを含有する極性脂質の医療的使用と、極性脂質と他の油とのブレンドを開示している。該抽出方法は、アルコールと遠心分離を用いるものとして開示されているが、さらなる詳細は記載されていない。デガミングの工業的方法による食用種子油抽出の副産物として、極性脂質富化画分を得ることができることも開示されている。
湿ったリン脂質含有物質からのHUFA含有リン脂質の抽出方法は、PCT公開WO 2005/072477に開示されている。脂肪族アルコール、特に、イソプロパノール及び/又はn−プロパノールが用いられる。リン脂質を含有する物質を水溶性脂肪族アルコールと、該リン脂質が溶媒中に溶解するほど充分に高い温度において接触させる、この間に、変性するタンパク質は該溶液から沈殿する。
粗卵黄から(米国特許4,157,404)及び乾燥卵粉末から(米国特許4,234,619)の脂質の抽出には、これまではDMEが用いられていた。該方法は、脂質成分とタンパク質成分を別々の流れに分画させる。米国特許4,157,404は、粗卵黄(水分含量50〜55%)からの脂質の抽出を述べているが、この方法ではタンパク質は変性する。上記方法はまた、回収された脂質と水との混合物を20%以下の水分含量までに脱水して、その後に中性富化相と複合脂質/水富化相の相分離を生じさせることを必要とする。米国特許4,234,619は、卵が乾燥している場合にはタンパク質は変性しないが、この場合に、リン脂質は部分的にのみ抽出されうることを開示している。上記方法では、DMEを−30℃〜40℃の温度範囲内で用い、噴霧乾燥した全卵粉末を用いて、最大で70%収率のみのリン脂質が得られた。本発明の所望の生成物は、少なくとも30%のその本来のリン脂質含量を含有し、コレステロールを含有しない卵粉末であった。高度不飽和脂肪酸の回収及び濃縮の方法は開示されていない。さらに、用いた抽出及び分離温度が低いために、総脂質抽出物中の中性脂質と複合脂質を別々の画分に分離することは思い付かれなかった。
PCT公開WO2004/066744は、DMEが溶媒である場合に近臨界抽出を用いて、水性乳流(aqueous dairy stream)から脂質を抽出することを述べている。この公開はさらに、超臨界CO2も液体DMEも乾燥ホウェイタンパク質濃縮物(WPC)乳粉末から有用な収率で脂質を抽出することができないことも開示している。該方法は、乾燥した動物又は植物組織からHUFA極性脂質を抽出する方法を開示していない。ホウェイタンパク質は動物又は植物組織中に見出されず、得られた脂質は高度不飽和脂肪酸を含有しない。
NZ535894は、脱脂乳粉末の製造から生じる乳リポタンパク質/ラクトース混合物である乳脂球状膜タンパク質を含有する噴霧乾燥酪農産物からの脂質の抽出を開示している。このタンパク質は、乳のクリーム画分に付随しており、動物又は植物の組織には見出さない。液体DMEを用いた抽出によって、高ラクトース含量(この場合、高ラクトース含量は総粉末の少なくとも30質量%を意味する)を有するこの乳粉末流から脂質を抽出する試みは不成功であり、粉末の製造の前にラクトース含量を減ずることが必要であった。該脂質はHUFAsを含有しないので、乾燥した動物又は植物の組織からHUFA脂質を抽出する方法の開示は存在しない。抽出後の残留粉末は約6〜8%の複合脂質をなおも含有する。
PCT公開WO2006/058382は、液体DMEを用いて、或る範囲の物質から抽出物を得る方法を大ざっぱに述べている。しかし、HUFAsの抽出は記載されていず、中性脂質からの複合脂質の分離も記載されていない。記載されている方法は、液体DMEを用いる、簡単な慣用的方法である。実際に、幾らか詳細に記載されている唯一の方法は、HUFAsを含有しないホホバ種子から抽出物を得るための、液体DMEを用いる方法である。
動物及び植物材料に由来する産物中に存在するタンパク質及び他の複合炭水化物の種類(及び該材料を乾燥させる方法)が、脂質を上首尾に抽出することができるか否かを決定することは、明らかである。植物又は動物組織中に存在するタンパク質及び複合炭水化物は、例えば乳のような、動物に由来する二次産物中に見出されるものとは実質的に異なる。それ故、脂質の抽出、特に、高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質の抽出が、細胞及び組織に関連してタンパク質及び複合炭水化物を含有する植物又は動物組織から、ジメチルエーテルを用いて可能であるかどうかを、何らかの確実性で予測することは一般に不可能である。
意外にも、本出願人は、液体DMEを植物又は動物材料からHUFAsを得るための効果的な抽出剤として用いることができること、及び特に、中性脂質及び複合脂質から成る液体抽出物中の残留DMEが複合脂質を含有するガム状相の形成を可能にし、該ガム状相はその後容易に中性脂質から分離されることを発見している。
高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を得るための方法を提供すること、又は少なくとも、他の方法の有用な代替手段を提供することが、本発明の目的である。
発明の説明
本発明は、第1態様では、植物又は動物材料から高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を得る方法であって、(i)該材料を液体ジメチルエーテルと接触させて、脂質を含有するジメチルエーテル溶液と、植物又は動物材料の残渣を得る工程;(ii)該溶液を植物又は動物材料の該残渣から分離する工程;及び(iii)該溶液から脂質を回収する工程を含む方法を提供する。
本発明の或る一定の好ましい実施態様では、工程(i)で該材料との接触後に形成される該溶液は、中性脂質と複合脂質を含有する。
好ましくは、中性脂質を該溶液から、複合脂質と一緒に回収する。その後に、好ましくは、中性脂質を複合脂質から分離する。
該複合脂質は、回収工程(iii)中に溶解ジメチルエーテルとガム相を形成することができる。好ましくは、複合脂質を含有するガム相を、中性脂質を含有する溶液から分離する。
好ましくは、中性脂質を複合脂質から、相分離によって分離する。分離を助けるために、遠心分離を用いることもできる。遠心分離の前に、加熱を利用することもできる。次に、好ましくは、複合脂質を真空乾燥によって乾燥させる。
本発明の方法は、好ましくは、工程(iii)において溶液から回収された脂質を超臨界COによって、下記工程:(iv)工程(iii)において溶液から回収した脂質を超臨界COと接触させて、中性脂質を含有するCO溶液と、複合脂質の残渣を得る工程;(v)中性脂質を含有する該CO2溶液を複合脂質の該残渣から分離する工程;及び(vi)該CO溶液から該中性脂質を回収する工程に従って処理することをさらに含む。
本発明の或る一定の実施態様では、工程(i)において液体ジメチルエーテルと接触させるべき植物又は動物材料を最初に、近臨界COによって、下記工程:a.該材料を近臨界COと接触させて、中性脂質を含有するCO溶液と植物又は動物材料の残渣を得る工程;b.該CO溶液を植物又は動物材料の該残渣から分離する工程;及びc.該中性脂質を該CO溶液から回収する工程に従って処理する。
本発明の好ましい方法では、該植物又は動物材料を、使用前に、乾燥させる又は部分的に乾燥させる。好ましくは、該植物又は動物材料を、該材料中の水分が30重量%未満になるまで、より好ましくは、該材料中の水分が5重量%以上であるように、乾燥させる。好ましくは、該植物又は動物材料を凍結乾燥によって又は噴霧乾燥によって乾燥させる。
本発明の或る一定の実施態様では、該植物又は動物材料が、凍結されている湿潤バイオマスである。典型的には、凍結した湿潤バイオマスを抽出の前に摩砕する。
好ましくは、複合脂質の1種類以上が、リン脂質、ガングリオシド、糖脂質、セレブロシド、又はスフィンゴ脂質であり、典型的にはリン脂質である。該リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、プラズマローゲン、アルキルアシルリン脂質、ホスホノ脂質、リゾリン脂質、セラミド・アミノエチルホスホネート、及びホスファチジン酸のいずれか1つ以上を含むことができる。該糖脂質は、ガラクト脂質、ガングリオ脂質、スルホキノボイスルジアシルグリセリド(sulphoquinovoysldiacylglycerides)、タウロ糖脂質、グリコスフィンゴリン脂質、及びマンノシル脂質を包含することができる。
該複合脂質中に含有される高度不飽和脂肪酸は、好ましくは、非限定的に、アラキドン酸(AA)、α−及びγ−リノレン酸、ピノレン酸、シアドン酸、コランビン酸(columbinic acid)、ジホモリノレン酸、エイコサテトラエン酸、ジュニペロン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)のいずれか1つ以上を含む。
さらに、該植物又は動物材料を、動物の器官、動物の腺、海洋マクロ−及びミクロ−藻類、発酵によって培養される脂質含有微生物(特に、糸状菌、藻類、酵母及び細菌)、貝類、魚類、海洋無脊椎動物、卵、植物の種子、植物の葉、植物の針、シダの葉、苔、及び地衣類から成る群のいずれか1種類から得ることも好ましい。
本発明の好ましい実施態様では、該液体ジメチルエーテルは近臨界ジメチルエーテルである。
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって得られる、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を提供する。
さらなる態様では、本発明は、本発明の方法によって得られる複合脂質を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって得られる中性脂質を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質が本発明の方法によって抽出されている植物又は動物材料を提供する。
本発明はさらに、高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質が本発明の方法によって抽出されている植物又は動物材料の、ニュートラシューティカル(nutraceutical)、食品サプルメントとして、又は酵素供給源としての使用を提供する。
詳細な説明
定義
脂肪酸とは、典型的に炭素原子6個以上の炭化水素鎖を有する、任意の飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸を意味する。脂肪酸は、炭素原子数(例えば、C20)、不飽和結合部位の数(例えば、C20:4)、脂肪酸のメチル末端からの第1不飽和結合部位の位置(例えば、C20:4 w−3)、及び不飽和結合部位を分離する炭素数に従って分類される。通常は、1個の炭素が不飽和結合部位を分離する(“メチレン中断型(methylene interrupted)”として知られる)、そして共役している(不飽和結合部位を分離する炭素が存在しない)場合のみ、短縮命名法で略称される、又は2個以上の炭素(more than one carbon)によって分離されている場合(“非メチレン中断型(non-methylene interrupted)”として知られる)には、脂肪酸のメチル末端からの該炭素の位置が記録される(例えば、5、11、14 C20:3)。脂肪酸は、中性脂質と複合脂質の両方の構成要素である。中性脂質では、脂肪酸のみがエステル結合又はエーテル結合を介してグリセロールに結合する。脂肪酸は、非結合状態で存在することもでき、その場合には、“遊離脂肪酸”と呼ばれる。複合脂質では、脂肪酸とその他の(極性)構成要素がグリセロールに結合する。
多不飽和脂肪酸(PUFA)は、2個以上の不飽和結合部位を有する脂肪酸を意味する。
高度不飽和脂肪酸(HUFA)は、脂肪酸鎖中に3個以上の不飽和結合部位と、18個以上の炭素原子を有する脂肪酸を意味する。例には、アラキドン酸(AA)、α−(ALA)とγ−リノレン酸(GLA)、ピノレン酸、シアドン酸、コランビン酸、ジホモリノレン酸、ジホモピノレン酸、ジュニペロン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)が包含される。
複合脂質は、脂肪酸(及び密接に関連したエーテル、アミン及び炭化水素誘導体);極性リン基(通常、リン酸エステル若しくはリン酸)、及び/又はアミノアルコール、及び/又は炭水化物;並びにグリセロールを含めた、少なくとも3種類の構築ブロックから成る脂質である。複合脂質は、リン脂質、ガングリオシド、糖脂質、セレブロシド、及びスフィンゴリン脂質を包含するが、これらに限定される訳ではない。リン脂質の例は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、スフィンゴミエリン(SM)、カルジオリピン(CL)、プラズマローゲン、リゾリン脂質、及びホスファチジン酸を包含する。
中性脂質は、1個若しくは2個の構築ブロック(いずれも極性リン基も炭水化物も含有しない)から成る脂質である。該構築ブロックは、脂肪酸、グリセロール、ステロール、脂肪アルコール、アミン、カロテノイド、及び自然発生炭水化物を包含する。中性脂質は、非限定的に、脂肪酸、モノ−、ジ−及びトリアシルグリセリド、セラミド、N−アシルエタノールアミン、ステロールとステロールエステル、カロテノイドとカロテノイドエステルを包含する。
DME水和複合脂質とは、水分子で水和された脂質に類似して、DMEとの弱い結合を形成している複合脂質を意味する。
臨界点とは、物質の液体と水蒸気の状態が同一になる点を意味する。
超臨界とは、物質の臨界点を超える圧力−温度領域を意味する。物質の臨界点を超えると(但し、臨界点に近接して(but close to the critical point))、該物質は、液体と気体の両方の性質を有する流体状態になる。該流体は、液体に類似した密度と、気体に類似した粘度及び拡散率(diffusivity)を有する。
臨界未満とは、物質の蒸気圧に等しいか又は蒸気圧を超える圧力−温度領域(但し、臨界温度未満である)を意味する。“液化ガス”及び“圧縮液化ガス”なる用語は、該ガスの蒸気圧が抽出温度(extraction temperature)において少なくとも3barである、同一の領域を表すために用いることができる。
近臨界とは、物質の臨界点に近接した圧力−温度領域を意味する、したがって、臨界未満と超臨界の両方を包含する。近臨界は、換算温度範囲0.70≦T≦1.25(この場合、Tは、DMEの臨界温度Tによって割った温度である);及びT<Tに対する圧力範囲P>P(この場合、Pは蒸気圧である)とT≧Tに対する圧力範囲P>P(この場合、Pは臨界圧である)を包含する。
ニュートラシューティカルとは、食物から単離若しくは精製され、通常、食物とは関係しない医薬品形態で販売され、生理的利益を有し、慢性疾患に対する保護を与えることが実証された製品を意味する。
本発明
本発明は、植物又は動物材料から高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を得る方法であって、(i)該材料を液体ジメチルエーテルと接触させて、脂質を含有するジメチルエーテル溶液と、植物又は動物材料の残渣を得る工程;(ii)該溶液を植物又は動物材料の該残渣から分離する工程;及び(iii)該溶液から脂質を回収する工程を含む方法を提供する。
該植物又は動物材料は、HUFAsを有する脂質を含有する、任意の動物組織又は植物組織であることができる。特に、該方法は、動物の器官及び腺、海洋マクロ−及びミクロ−藻類、発酵によって培養される脂質含有微生物、特に、糸状菌、藻類、酵母及び細菌;小海洋動物(貝類及び無脊椎動物)、卵、並びに植物の種子に関する。該植物又は動物組織は、細胞に関する物質(cellular materials)、タンパク質、脂質及び炭水化物を含めた、植物又は動物の部分又は全体物質を包含しうるが、植物又は動物に由来する二次産物(例えば、乳)を包含しない。
DMEは、標準室温及び圧において気体であるが、液体形では、自然産物から物質を抽出するための有効な溶媒であることが知られている。本発明の方法に用いる液体DMEは、典型的に、近臨界DMEである。好ましくは、液体DMEの圧力は、少なくとも、抽出の温度における蒸気圧に等しく、より好ましくは、該蒸気圧よりも少なくとも10bar高い。温度は、好ましくは、273〜373Kの範囲内であり、より好ましくは、313〜353Kの範囲内である。抽出温度が高ければ高いほど、高度不飽和脂肪酸に富む複合脂質の収率が高くなる。典型的な抽出温度は約333Kである。この温度における典型的な抽出圧力は40barであり、この圧力はDMEの蒸気圧を充分に超える圧力であり、バイオマスが湿潤している場合に水分の最大の抽出を保証する。
該方法によって得られる脂質は、一般に、或る範囲の結合HUFAsを有する複合脂質の混合物である。該混合物の組成は、用いた植物又は動物材料の供給源に大きく依存するであろう。該植物又は動物材料が中性脂質をも含有する場合には、該中性脂質も該方法において抽出されるであろう。
出願人は、中性脂質と複合脂質から成る脂質抽出物中の残留DMEが、複合脂質含有ガム状相と中性脂質含有液体相の形成を生じる(但し、該中性脂質が高濃度(5質量%を超える)の遊離脂肪酸及び/又は部分的グリセリドを含有しない場合には)ことを発見している。該ガム相は、該中性脂質含有液体相よりも高い密度の半固溶体(semi-solid liquid)である。DMEが、水とリン脂質との間に形成される結合と同様に、複合脂質(特に、リン脂質)との弱い結合を形成しうることが前提とされる。ガム状相中のいわゆるDME水和複合脂質(DME-hydrated complex lipids)は、中性脂質から容易に分離することができる。
該抽出物の回収中の熱の使用、該脂質混合物中の中性脂質対複合脂質の比率、及び該中性脂質の組成が、DME水和複合脂質の形成を促進するための重要な要因である。総脂質混合物が、高レベルの遊離脂肪酸及び/又は部分的グリコシドを有さない中性脂質約50〜90%を含有し、該脂質混合物が室温において液体である場合には、該抽出物の回収方法と、その後の圧力損失及び/又は加熱による該抽出物からのDMEの脱ガスが、該複合体の形成を招来することができる。該ガム状相と液体相との分離は、加熱及び/又は遠心分離の使用によって促進される。このようにして得られたDME水和複合脂質相は、若干の中性脂質をまだ含有するが、該中性脂質相は複合脂質を全く有さない。この発見は、卵脂質及び魚頭部脂質に特に該当する。
液体DMEを用いて、湿潤バイオマスと乾燥バイオマスの両方から中性脂質と複合脂質の両方を抽出して、DMEからの分離後に混合抽出物を得ることができる。バイオマスが湿潤している場合には、水分も抽出され、例えば、真空下での蒸発、膜分離、又は特に遠心分離による相分離のような、慣用的な手段によって脂質から分離される。次に、近臨界二酸化炭素を用いて該混合抽出物をさらに抽出して、中性脂質を分離及び回収して、HUFAsを含有する複合脂質にさらに富んだ抽出物を得るという選択肢がある。該複合脂質は水和されていず、水又はDMEを除去するためにさらに処理することを必要としない。
植物又は動物材料を、液体DMEによる抽出の前に、近臨界二酸化炭素によって抽出して、中性脂質を取り出すことができる。処理工程のこの順序は、複合脂質に富んだ抽出物を得ることも可能にする。
好ましくは、該近臨界二酸化炭素の圧力は少なくとも73.2barであり、温度は304.2〜373Kの範囲(超臨界領域)内である;又は該近臨界二酸化炭素の圧力は蒸気圧以上であり、温度は273〜304.1Kの範囲(臨界未満領域)内である。より好ましくは、該二酸化炭素の圧力は少なくとも250barであり、温度は313〜353Kの範囲内である。
本発明の或る一定の実施態様の重要な要素は、液体DMEによる抽出前に植物又は動物材料の乾燥若しくは部分的乾燥である。植物及び動物材料は、典型的に、材料全体の60〜80重量%の水分含量を有する。抽出前に該水分の少なくとも一部を除去することは、一定量の材料に関して、水分の量が減少しているので、脂質の収率が大きくなるという実用面での利点を有する。それ故、大容量の処理装置の必要性は減少する、又は一定容量の処理プラントに関してスループット及び脂質収率は大きくなる。しかし、この方法は湿潤バイオマスにも適用可能であり、このことは、乾燥費用を回避する点と、脂質を分解する可能性があるか、又は脂質の抽出を妨げる乾燥バイオマス・マトリックス内への脂質封入を生じる可能性がある酵素を不活性化する点で有利でありうる。
出願人はさらに、重要なことには、植物又は動物材料を乾燥させるが、水分を完全には除去しないことが有利であることも発見している。抽出されるべき材料の水分含量を材料全体の30重量%レベルまでに減ずる場合には、本発明の方法を、該材料中に存在する酵素及び他のタンパク質を有意に分解も変性もさせずに行うことができる。それ故、抽出後の植物又は動物材料の残渣は、種々な用途(例えば、タンパク質に富み、脂肪の少ない栄養サプルメント、例えば脱脂ウシ肝臓のような身体構成製品(body building products))に、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、トランスグルタミナーゼのような酵素の供給源として、特に有用でありうる。これらの酵素の分解は、該残渣の有用性を制限すると考えられる。
複合脂質類は、それらの極性において、広範囲に変化するので、植物又は動物の組織中に存在するリン脂質の大部分を抽出することができる溶媒又は溶媒混合物を見出すことは困難である。脱脂残留物質を用いて、例えば酵素のような非脂質成分を抽出して、脱脂残留物質をニュートラシューティカルとして用いることができるように、抽出プロセス中に残留タンパク質及び/又は複合非脂質分子を変性させない溶媒系を見出すことは、さらにいっそう困難である。意外にも、少なくとも40℃の温度において用いられた液体DMEを用いて、該物質を抽出前に乾燥させた場合には該残留脱脂物質を変性させることなく、複合脂質と中性脂質の全ての高収率を得ることができることを、出願人は発見している。
一般的手段
下記の4つの非限定的な一般的手段は、本発明の方法をどのように実施することができるかを示す。
1.DME抽出
a.植物又は動物組織を30%以下の水分含量にまで乾燥させる、水分含量は、必要に応じてDMEが水も含有することを保証するように選択する。
b.該植物材料を、2mm以下の粒度にまで摩砕する。
c.該植物又は動物材料を特定の条件において液体DMEと接触させる。
d.該植物又は動物材料から負荷DME(laden DME)を分離する。
e.該DMEからHUFA富化脂質抽出物を回収する。
該脂質抽出物が中性脂質をも含有する場合には、次の追加工程を行うこともできる:
f.中性脂質から相分離によってDME水和複合脂質を分離する。
g.水和複合脂質からDMEを除去する。
場合によっては、該残留脱脂動物材料をさらに水溶液によって抽出して、酵素を得ることができる。
2.DME抽出後のCO抽出
a.該植物又は動物組織を10%以下の水分含量にまで乾燥させる。
b.該植物材料を、2mm以下の粒度にまで摩砕する。
c.該植物又は動物材料を特定の条件において液体DMEと接触させる。
d.該植物又は動物材料から負荷DMEを分離する。
e.該DMEからHUFA富化複合及び中性脂質抽出物を回収する。
f.HUFA富化複合脂質抽出物を超臨界COと接触させる。
g.超臨界COと溶解中性脂質から中性脂質減損HUFA富化複合脂質を分離し、回収する。
h.該COから中性脂質を回収する。
3.CO抽出後のDME抽出
a.該植物又は動物組織を10%以下の水分含量にまで乾燥させる。
b.該植物材料を、2mm以下の粒度にまで摩砕する。
c.該植物又は動物材料を特定の条件において超臨界COと接触させる。
d.該中性脂質減損植物又は動物材料から超臨界COを分離する。
e.該COから中性脂質を回収する。
f.植物又は動物材料を液体DMEと特定の条件において接触させる。
g.該植物又は動物材料から負荷DMEを分離する。
h.該DMEからHUFA富化複合脂質抽出物を回収する。
4.湿潤バイオマスのDME抽出
a.該バイオマスを必要に応じて凍結する。
b.凍結した植物又は動物材料を、必要に応じて、5mm以下の粒度にまで摩砕する。
c.該植物又は動物材料を特定の条件において液体DMEと接触させる。
d.該植物又は動物材料から負荷DMEを分離する。
e.該DMEからHUFA富化脂質抽出物と水分を回収する。
f.該脂質から水分を分離する。
該脂質抽出物が中性脂質をも含有する場合には、次の追加工程を行うこともできる:
g.HUFA富化脂質物質を特定の条件において超臨界COと接触させる。
h.超臨界COと溶解中性脂質から、該中性脂質減損HUFA富化複合脂質(neutral-lipid depleted HUFA-rich complex lipid )を分離し、回収する。
i.該COから該中性脂質を回収する。
上記一般的手段において、一般的手段1〜3において工程bが不必要になるように、工程aから得られる噴霧乾燥粉末(例えば、卵黄粉末)を用いることができる。
実施例1:乾燥ウシ肝臓の抽出
新鮮なウシ肝臓全体約8kgを地元の食肉加工プラントから入手した。該肝臓から、皮膚脂肪沈着物(cutaneous fat deposits)、軟骨及び皮膚を除去して、次に、該肝臓を複数の大きなチャンク(chunks)に切断した。これらのチャンクをミンチング・デバイス(mincing device)に通して、チャンキー・ペーストを得た。次に、肝臓ミンチ(minced liver)7913.5gを凍結乾燥トレーに載せて、これらのトレーを次に、固体が完全に凍結するまで、フリーザーに入れた。該トレーを次に凍結乾燥器に入れて、約2〜5%の水分含量になるまで乾燥させた。31.9%の固体収率が得られ、抽出前の摩砕のための材料2526.7gが得られた。トレーからの固体を、〜1mmのホールサイズを有するシーブ・プレートを備えたナイフミルで摩砕した。細かく摩砕した固体を次に、近臨界DMEによって40bar及び313Kにおいて抽出した。近臨界DME29.316kgを該固体(2472.6g)に一定の流速で90分間、連続的に通した。該DMEを、固体に通した後に、減圧バルブ及び熱交換器に連続的に通して、分離容器に入れた、ここで直ちにDMEはガスに転化した。脂質が該ガスから沈殿し、該分離容器から回収された。該DMEは、コンデンサー/サブクーラー熱交換器とポンプを介して該抽出容器に再循環させた。脂質363.69gが13.96%の収率で得られた。該脂質はリン脂質53%を含有し、該リン脂質のうち、46.2%はホスファチジルコリン(PC)であり、10.2%は. ホスファチジルイノシトール(PI)であり、2.3%はホスファチジルセリン(PS)であり、16.6%はホスファチジルエタノールアミン(PE)であり、3.9%はスフィンゴミエリン(SM)であり、6.6%はカルディオリピン(CL)であり、そして8%は同定されなかった。全脂質はアラキドン酸(AA)4.5%、ドコサペンタエン酸(DPA)7.4%、エイコサペンタエン酸(EPA)2.1%、及びα−リノレン酸(AA)5.9%を含有した。該脱脂肝臓は、スポーツ栄養サプルメントとして使用可能である。
実施例2:ウシ心臓の抽出
新鮮なウシ心臓全体約8kgを地元の食肉加工プラントから入手した。該心臓から、皮膚脂肪沈着物及び軟骨を除去して、次に、該肝臓を複数の大きなチャンクに切断した。これらのチャンクをミンチング・デバイスに通した。次に、心臓ミンチ(minced heart)を凍結乾燥トレーに載せて、これらのトレーを次に、固体が完全に凍結するまで、フリーザーに入れた。該トレーを次に凍結乾燥器に入れて、約2〜5%の水分含量になるまで乾燥させた。22.7%の固体収率が得られ、抽出前の摩砕のための材料1725.7gが得られた。トレーからの固体を、〜1mmのホールサイズを有するシーブ・プレートを備えたナイフミルで摩砕した。細かく摩砕した固体を次に、近臨界DMEによって40bar及び313Kにおいて抽出した。近臨界DME29.52kgを該固体に90分間の期間にわたって連続的に通した。該DMEを、固体に通した後に、減圧バルブ及び熱交換器に連続的に通して、分離容器に入れた、ここで直ちにDMEはガスに転化した。脂質が該ガスから沈殿し、該分離容器から回収された。該DMEは、コンデンサー/サブクーラー熱交換器とポンプを介して該抽出容器に再循環させた。脂質202.71gが12.3%の収率で得られた。該脂質はリン脂質30.0%を含有し、該リン脂質のうち、28.3%はホスファチジルコリン(PC)であり、4.4%はホスファチジルイノシトール(PI)であり、0%はホスファチジルセリン(PS)であり、13.7%はホスファチジルエタノールアミン(PE)であり、6.6%はスフィンゴミエリン(SM)であり、27.9%はカルディオリピン(CL)であり、そして12.2%は同定されなかった。全脂質はアラキドン酸(AA)5.6%、ドコサペンタエン酸(DPA)2.0%、エイコサペンタエン酸(EPA)2.8%、及びα−リノレン酸(AA)5.9%を含有した。
実施例3:COと、続いてのDMEとによる噴霧乾燥卵黄の抽出
この実施例は、固体原料物質から中性脂質を最初に抽出してから、DMEによって再抽出して、HUFAに富んだ複合脂質濃縮物を得ることができることを示す。この実施例はさらに、噴霧乾燥粉末からの複合脂質の高い収率を得るためには高い抽出温度を用いなければならないことも示す。噴霧乾燥卵黄粉末10.67kgを超臨界COによって300bar及び313Kにおいて抽出した。超臨界CO530.34kgを該固体に連続的に通して、次に続いて、2つの減圧段階に通して、圧力を最初に313Kにおいて90barに下げて、中性脂質のみを含有する卵油(4.26kg、収率40.0質量%)を回収し、次に323Kにおいて58barに下げて、少量の中性脂質画分(0.26kg、収率2.4質量%)を回収した。該中性脂質はアラキドン酸とドコサヘキサエン酸の各々1%未満を含有した。次に、実施例1及び2と同様に、中性脂質減損卵黄粉末2.98kgを液体DME16.24kgによって、293K、40barにおいて60分間抽出した。中性脂質を含まない複合脂質抽出物283.4gが、全脂卵黄粉末の6.8質量%の収率に相当して得られた。該粉末を液体DME13.1kgによって、313Kにおいて上記と同様に50分間再抽出した。中性脂質を含まない複合脂質抽出物さらに191.3gが、全脂卵黄粉末の4.6質量%の追加収率に相当して得られた。したがって、総脂質収率は53.8%であった。中性脂質を含まない複合脂質抽出物の高い収率を得るためには、該粉末を少なくとも313Kの温度で抽出することが必要である。この脱脂卵黄粉末は、低脂肪であることが要求されるベーキング用途に使用可能である。
実施例4:DMEによる噴霧乾燥卵黄の抽出
この実施例は、抽出物相中の少量のDMEを用いて、DME抽出後の複合脂質から中性脂質を分離できることを示す。噴霧乾燥卵黄粉末4.119kgを液体DMEによって、323K及び40barにおいて抽出した。近臨界DME8.517kgを該固体に連続的に通した。該固体に通した後に、該DMEを減圧バルブ及び熱交換器に連続的に通して、加熱分離容器に入れた、ここで直ちにDMEはガスに転化した。脂質が該ガスから沈殿し、該分離容器から加熱バルブを通して回収された。該DMEは、コンデンサー/サブクーラー熱交換器とポンプを介して該抽出容器に再循環させた。該分離容器から回収された液体(2197.86g、収率53.3%)を加熱して、残留DMEの大部分を駆除してから、該液体を遠心分離して、脂質を中性脂質富化相とDME水和複合脂質富化相に分けた。該中性脂質富化相は、総脂質の75.3%から成り、1質量%未満の複合脂質を含有するが、アラキドン酸又はDHAのいずれも含有しない。極性脂質富化相は、総脂質の24.7%から成り、95%を超える極性脂質を含有した。該極性脂質はアラキドン酸含量5.89%とDHA含量2.46%を含有した。
実施例5:凍結乾燥卵黄の抽出
この実施例は、卵黄を凍結乾燥すると、抽出に対する脂質のアベイラビリティ(availability)が改良されることを示す。新鮮な卵は、地元の商店から購入し、次に、手動で卵黄と卵白に分離した。卵白は廃棄した。卵黄は室温において混合してから、丸底真空フラスコに加えて、凍結し、次に凍結乾燥させた。次に、凍結乾燥卵黄73.05gを液体DME598.1gによって40bar及び333Kにおいて抽出した。アラキドン酸2%とDHA1%を含有する黄色液体抽出物47.01gが64質量%の収率で得られた、この収率は、卵黄粉末に対する理論的総脂質収率と同じである。残留卵黄粉末と非抽出凍結乾燥卵黄粉末の水溶性を噴霧乾燥卵黄粉末(脱脂卵黄粉末と非抽出卵黄粉末の両方)と比較した。新鮮噴霧乾燥卵黄粉末と抽出済み噴霧乾燥卵黄粉末の両方は水に不溶性であり、このことは、噴霧乾燥プロセスが変性を生じることを示唆した。凍結乾燥タンパク質(抽出前と後)は、水中で22%溶解性を有したが、新鮮な卵黄タンパク質は58%溶解性であった。該抽出済みタンパク質は低脂肪栄養サプルメントとして使用可能であった。
実施例6:DMEとCOを用いた凍結乾燥イガイ粉末の抽出
この実施例は、脱脂イガイ固体中の酵素活性が、脂質の抽出後も保持されることを示す
。凍結した緑イガイ(green-lipped mussel)スラリーを部分的に解凍して、デジューシング装置(dejuicing apparatus)に通して、大きいチャンク(固体)から微細な固体と液体(スラリージュース)を分離する。該スラリーの一部を、実施例12に記載するように加工するために取り分けた。残りのスラリージュースと固体とを別々に凍結乾燥して、次に、最初にDMEで抽出した。得られた粗抽出物を次に、超臨界COによって再抽出した。直接凍結させてから、凍結乾燥させたスラリー(表1における全粉末)に対しても、比較のためのDME抽出を行った。幾らかの酵素活性を生じた、磨耗工程及び脱水工程による収率には幾らかの変動性が存在した。乾燥粉末の質量%としての脂質収率、該抽出物複合脂質含量、及び最終生成物のEPAとDHA含量を表1に示す。
表1:緑イガイからのHUFA含有複合脂質の抽出
Figure 2009538366
該抽出物のリン脂質プロフィルは次のとおりである:ホスファチジルコリン31.9%、ホスファチジルエタノールアミン24.5%、ホスファチジルイノシトール3.9%、ホスファチジルセリン3.1%、ホスホノ脂質1.1%、セラミド2−アミノエチルホスホネート17.0%。ホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの数値はプラズマローゲンをも包含する。
脂質取り出し後の該イガイ粉末のホスホリパーゼ活性を次のように測定した:脱脂緑イガイ粉末(8g)固体に蒸留水40mlを混合して、次に遠心分離した。上清イガイ調製物のアリコート(20ml)をPC〜24%、PE34%及びPS12%を含有するリン脂質混合物モデル1gに加えて、40℃において乳化させてから、この温度に16時間維持した。該反応混合物のサンプル(0.2ml)を31P−NMRによってリン脂質組成に関して分析した。リン脂質の加水分解度を表2に示す、表2では、Lはリゾ−(親リン脂質から加水分解される、1つの脂肪酸)を意味し、Gはグリセロ−(親リン脂質から加水分解される、両方の脂肪酸)を意味し、totは総計の完全及び加水分解リン脂質を意味する。PCとPEに関しては、大きい加水分解度がはっきりと認められた。しかし、主要なクラスの総加水分解プラス完全リン脂質プロフィルは、出発物質の同プロフィルとはかなり変化しており、このことは、他の反応が行われたことを示唆した。31P NMRスペクトルには、ホスホリパーゼC活性を有する生成物を暗示することができる、幾つかの新しい同定されないピークが形成されており、この不一致を説明することができた。
表2:イガイ酵素抽出物を用いたリン脂質加水分解
Figure 2009538366
実施例7:DMEを用いたホキ頭部の抽出
この実施例は、DME抽出後にDMEとリン脂質との間に一時的な複合体が形成される(DME−水和)ために、海洋に基づく(marine-based)複合脂質から中性脂質が分離されうることを示す。凍結したホキ魚頭部をミンチング装置(mincer)に通した。この頭部ミンチ(minced heads)を次に、凍結乾燥機トレーに載せ、凍結させ、その後凍結乾燥させた。次に、乾燥した頭部ミンチをナイフミルでさらに摩砕して、粉末にしてから、DMEを用いて40bar及び333Kにおいて抽出した。実施例4に記載した一般的方法を用いて、粉末1970.6gをDME15.408kgによって抽出した。褐色液体の脂質富化抽出物が得られ、これは、放置すると(upon standing)、中性脂質富化相とリン脂質富化相とに分離し始めた。相分離を促進するために、該抽出物を遠心分離した。上部の中性脂質相は僅か2.5%のリン脂質を含有した。下部の“ガム”相はDME水和リン脂質を19.2質量%で含有した。次に、下部相中のDMEを真空下で取り出し、リン脂質33.2%とガングリオシド0.5%を含有する抽出物を得た。この複合脂質濃縮物はEPA5.8%、DHA12.7%及び他のHUFA3.6%を含有した。
実施例8:DMEを用いたレモン魚(lemon fish)肉の抽出
この実施例は、HUFAに非常に富んだ複合脂質が魚肉から抽出されうることを示す。新鮮なレモン魚肉を複数個のキューブにカットしてから、凍結乾燥させた。乾燥した魚肉キューブを次にナイフミルでさらに摩砕して、粉末にしてから、DMEを用いて40bar及び333Kにおいて抽出した。実施例1と2に記載した一般的方法を用いて、粉末135.95gをDME886.7gによって抽出した。リン脂質に非常に富んだ(64質量%)黄色半固体の抽出物が2.6%の収率で得られた。該抽出物のリン脂質画分は、PC46.2%、PI7.9%、PS3.5%、PE25.0%、SM5.2%及びCL7.9%を含有した。該抽出物は、特にDHAに富んでおり、DHAは総脂肪酸の24.9%であった。複合脂質抽出物はさらに、DPA4.5%、EPA5.3%及びAA6.7%をも含有した。非変性魚タンパク質は食品サプルメントとして使用可能である。
実施例9:DMEによるヒツジ及びブタ膵臓の抽出と、超臨界COによる該脂質抽出物の再抽出
この実施例は、超臨界COを用いて、粗DME抽出物から中性脂質を再抽出することができることと、残留固体から活性ホスホリパーゼ酵素とタンパク質分解酵素の両方を抽出することができることを示す。凍結乾燥したウシ及びブタ膵臓サンプルを液体DMEを用いて、40bar及び333Kにおいて抽出した。実施例1と2に記載した一般的方法を用いて、ウシ膵臓120.72gをDME1193.4gによって抽出した。中性脂質に非常に富んだ、黄色/緑色半固体の抽出物が44.8%の収率で得られた。該抽出物は僅か19%のリン脂質、AA0.7%及びDPA0.7%を含有した。実施例1と2に記載した一般的方法を用いて、ブタ膵臓120.18gをDME1240.2gによって抽出した。中性脂質に非常に富んだ、黄色半固体の抽出物が24.0%の収率で得られた。該抽出物は、僅か13%のリン脂質、AA1.5%を含有したが、EPA又はDPAのいずれも含有しなかった。次に、ウシ及びブタの粗膵臓抽出物を超臨界COによって300bar及び333Kにおいて、中性脂質が抽出物としてもはや回収されなくなるまで、再抽出した。その後に、該抽出物と残留複合脂質濃縮物とを再分析した。該ウシ複合脂質は、AA2.3%、EPA1.4%及びALA1.8%を含有した。ブタ複合脂質は、AA4.8%と、EPA及びDPA各1%未満を含有した。次に、ヒツジ及びブタの残留脱脂膵臓固体をそれらのタンパク質分解活性とホスホリパーゼ活性に関して試験した。
ホスホリパーゼ活性は、次のように測定した:脱脂ウシ膵臓(0.65g)と脱脂ブタ膵臓(0.98g)固体を蒸留水(20ml)中で混合してから、遠心分離した。上清膵臓調製物アリコート(2ml)を、水(10ml)中のPC〜24%、PE34%及びPS12%を含有するリン脂質混合物モデル(1g)のエマルジョンに加えて、40℃に16時間維持した。該反応混合物のサンプル(0.2ml)を31P−NMRによってリン脂質組成に関して分析した。リン脂質の加水分解度を表3に示す、表3では、Lはリゾ−(親リン脂質から加水分解される、1つの脂肪酸)を意味し、Gはグリセロ−(親リン脂質から加水分解される、両方の脂肪酸)を意味する。ブタ膵臓は、顕著なホスホリパーゼA2活性を示し、PE>PS>PCの優先的加水分解であった。ウシ膵臓は、ブタ膵臓に比べて非常に低い、PE及びPCに対するホスホリパーゼA2活性を示したが、PSの同様な加水分解レベルを示した。
表3:ホスホリパーゼA2活性
Figure 2009538366
DME抽出後に残留するプロテアーゼ活性を次のように測定した。DME抽出したブタ膵臓の凍結乾燥粉末(0.9834g)を100mMCaCl(39mg/ml)25mlによって抽出して、DME抽出したウシ膵臓(0.65g)を100mMCaCl(26mg/ml)25mlによって抽出した。該抽出物を酵素の自己活性化の前後に試験して、ブタ及びヒツジの凍結膵臓から調製した標準膵臓抽出物に比較した。収率は、DME抽出粉末に関しては表4に、凍結した基準サンプルに関しては表5に示す。
表4:DME抽出した凍結乾燥膵臓粉末からの膵臓プロテアーゼ収率
Figure 2009538366
表5:凍結したブタ及びヒツジ膵臓から抽出し、活性化した標準プロテアーゼレベル
Figure 2009538366
データは、標準条件を用いた、ヒツジ及びブタ膵臓25gの抽出に基づくものである。活性化が完了した後に酵素活性を測定した、該活性化完了は、トリプシン活性が最大レベルに達した後にトリプシン活性の僅かな低下によって判断した。エラスターゼII活性の検出に用いた基質SAAPLpNAは、エラスターゼI及びキモトリプシンによっても加水分解される。それ故、エラスターゼII活性はこの基質を用いて推定した。
DMEによる凍結乾燥膵臓の抽出は、ブタ膵臓の総プロテアーゼ含量を殆ど減少させていない。予めDMEによって抽出された凍結乾燥ウシ膵臓中で検出された低レベルの酵素活性は、膵臓を採取した動物の種変化(species variation)及び/又は年齢に帰することができる。pH調節によって誘導される酵素前駆体活性化の前に、比較的高いプロテアーゼレベルが最初に検出されたことで判断されるように、DME処理粉末ではかなりのレベルの自己活性化が観察された。検出された初期トリプシン活性は、抽出物pHを活性化により適した値(例えば、pH8.5)に調節すると、酵素前駆体の完全な活性化のために充分であった。対照的に、凍結膵臓からの膵臓酵素前駆体の活性化は、外因性トリプシンの添加を必要とする。
活性化した凍結膵臓とDME抽出した凍結乾燥膵臓とから得られるタンパク質分解プロフィルの比較は、DME抽出後にかなりの酵素活性が保持されることを示す。凍結膵臓からのエラスターゼIの典型的な抽出効率は、0.67μmol/分/組織gの収量を生じたが、DME抽出した凍結乾燥ブタ膵臓から得たエラスターゼIの該抽出効率は67.4μmol/分/組織gの収量を生じた。トリプシン収量は、予想値より低いように思われるが、これは、トリプシン仲介加水分解を受ける他のプロテアーゼ(凍結膵臓からの抽出中にそれらの活性を低下させる)の予想よりも高い収量を説明することができる。
実施例10:DMEによるホキ肝臓の抽出
この実施例は、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質が湿潤バイオマスから直接抽出されうることを示す。商業的に入手した凍結全ホキ魚肝臓を、大きい全体サイズでUrschelグラインダーに通して、該肝臓を複数個のチャンクに切断した。次に、浸軟した肝臓をDMEによって、60℃及び40barにおいて2時間抽出した。DME31.996kgを湿潤肝臓6.7427kgに通した。水分と、高度不飽和脂肪酸含有脂質から成る抽出物2.234kgを入手した。部分的に抽出した残留固体を次に再混合して、DMEによって同じ条件において3時間再抽出した。DME48.46kgを該肝臓に通して、さらに抽出物1.834kgを回収した、これは殆ど水であった。水の蒸発後に、全体で2.3082kgの油が得られた。この油は、DHA9.35%、DPA1.43%、EPA4.91%、C20:4w−3 1.3%、AA0.6%及びC18:3とC18:4w−3 1.9%を含有した。残留固体をトランス−グルタミナーゼ活性に関して試験したが、該酵素はこの抽出プロセスによって不活性化されていた。
実施例11:非メチレン中断脂肪酸に富んだ脂質を得るためのDMEによる松の木種子の抽出
この実施例は、松種子をDMEで抽出して、非メチレン中断脂肪酸に富んだ脂質抽出物を得ることができることを示す。松種ビオタ・オリエンタルス(Biota Orientalis)の商業的に入手可能な種子を、DMEによる抽出前に部分的に低温圧縮した(cold-pressed)。残留した低温圧縮種子ケーキは約35質量%の中性油(プレ圧縮基準で(on a prepressed basis)26%)を含有した。圧縮種子ケーキをDMEによって、60℃及び40barにおいて150分間抽出した。DME37.06kgを部分的圧縮種子14.0385kgに通した。抽出物5.942kgが得られた、これは中性脂質、複合脂質及び水の混合物であった。該抽出物を遠心分離によって相に分離した。中性脂質油4.847kgが上部相として単離された。この油は、ジュニペロン酸(C20:4非メチレン中断脂肪酸)9.9%、シアドン酸(C20:3非メチレン中断脂肪酸)4.3%及びα−リノレン酸33.2%を含有した。同定されない複合脂質0.488gが中間相として単離された。これは、主要脂質生成物と同様な脂肪酸組成を有した。
実施例12:DMEによる緑イガイスラリーの抽出と、続いての超臨界CO抽出による中性脂質と複合脂質の分離
この実施例は、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を動物組織のスラリーから抽出することができることを示す。実施例6で製造された、緑イガイ固体のスラリーを乾燥させずに抽出した。この場合には、微細なイガイ固体(finely divided mussel solids)含有スラリーを高圧において抽出容器中に供給して、同時に該容器内側の縦型静的ミキサー中で40barの圧力及び60℃の抽出温度においてDMEと接触させた。抽出された固体は、該抽出容器の底部上に沈着した。DMEと、溶解した脂質及び水を該容器の頂部から出して、前記実施例に記載したように分離容器につながる、減圧バルブ及び熱交換器に通した。DME52.906kgを333K及び40barにおいて、イガイスラリー溶液6.1359kgと接触させて、真空下で水分の除去後に、HUFAに富んだ(C18:3とC18:4w−3 3.4%;EPA18.7%、DHA11.1%)複合脂質及び中性脂質を含有する抽出物80.4gを得た。残留固体を凍結乾燥させて、乾燥基準で脂質収率を測定して、9.0質量%であることを見出した。次に、凍結乾燥固体を摩砕して、実施例6と同じ方法によって再抽出したが、僅か0.3質量%のさらなる収率が得られたにすぎず、このことは、該スラリーからの抽出が殆ど完了していることを示す。次に、脂質抽出物49.74gを超臨界COによって333K及び300barにおいて再抽出して、29.10gの中性脂質を得た(総脂質基準で58.4%収率)。該抽出物はHUFAに富んでいた(C18:3とC18:4w−3 4.0%;EPA20.2%、DHA11.0%)。殆ど全てが実施例6に記載した種類の複合脂質である残渣も、HUFAに富んでいた(C18:3とC18:4w−3 2.4%;EPA17.2%、DHA12.6%)。
実施例13:超臨界COとその後のDMEによる凍結乾燥オキアミの抽出と、DME抽出に続いての超臨界CO再抽出による、HUFAに富んだ複合脂質からの中性脂質の分離
この実施例は、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質が凍結乾燥オキアミから、最初にCOによる抽出によって中性脂質を抽出し、次にDMEによる抽出によって、HUFAに富んだ複合脂質を抽出することによって、又はDMEを用いてオキアミから総脂質を抽出し、次に、総脂質抽出物を超臨界COによって再抽出して、中性脂質を取り出すことによって抽出されうることを示す。12.2%脂質を含有する凍結乾燥オキアミ粉末180.12gを超臨界COによって300bar及び314Kにおいて抽出して、脂質11.28gを得た。次に、残留オキアミ粉末をDMEによって40bar及び332Kにおいて抽出して、EPA20%、DHA15.6%及び総HUFA38%を含有する、リン脂質に富んだ脂質3.30gを得た。脂質21.4%を含有する第2オキアミ粉末3.0603kgをパイロット規模でDME17.271kgを用いて、40bar及び357Kにおいて抽出して、脂質富化抽出物652.1gを得た、これは、存在する総脂肪酸のうちEPA14.0%及びDHA9.0%を含有した。次に、この脂質富化抽出物100.32gを超臨界CO26.21kgを用いて300bar及び314Kにおいて再抽出して、リン脂質に非常に富んだ(76.6%)(EPA28.8%、DHA21.9%及び総HUFA55.6%を含有する)非抽出脂質残渣33.04gを得た。
実施例14:DMEを用いた、湿潤及び乾燥モルチエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)バイオマスからの脂質の抽出
この実施例では、微生物モルチエレラ・アルピナ(strain IRL176)を発酵させて、アラキドン酸に富んだ脂質を得た。次に、該バイオマスを湿潤バイオマスとして又は乾燥物質としてのいずれかで抽出して、アラキドン酸に非常に富んだ抽出物を得た。ポテト・デキストロース寒天(PDA)25mlによって、150mlルー・フラスコ(roux flask)を作製した。このルー・フラスコに胞子ストック(spore stock)0.1mlを接種して、室温において1ヶ月間インキュベートした。濃厚な胞子ストックをPDAルー・フラスコの表面からすくい取って、ポテト・デキストロース培地200mlを有する500mlバッフルなし振とうフラスコ中に接種した。シード振とうフラスコ(seed shake flask)を回転シェーカー(180rpm)上で25℃において96時間インキュベートした。該シード振とうフラスコの15mlサンプルを、グルコース40g/L及び酵母10g/Lを含有する、13x500ml(全体で2000ml)バッフルなし振とうフラスコ中に接種した。生産用振とうフラスコを回転シェーカー(180rpm)上で25℃において7日間インキュベートした。培養物を収穫して、バイオマスを濾過によって回収した(濾紙No.1)。回収した細胞を60℃水で1:1(vol/vol)の濃度において洗浄した。乾燥した細胞重量は12.2g/Lであった。新鮮な湿潤バイオマス218.85gをDMEによって抽出したが、低レベルの脂質を有する、僅か1.89gの抽出物が回収されたに過ぎなかった。このことは、細胞が破裂されなかったことを示唆した。次に、新鮮な湿潤バイオマスの第2バッチ150.14gを凍結させ、続いて摩砕してから、DME2.416kgによって333K及び40barにおいて抽出した。凍結と次の摩砕は細胞を破裂させて、油の抽出を可能にした。油(6.51g)と水(99.53g)の混合物が抽出された。該油は、アラキドン酸31.8%、GLA13.8%及び総PUFA55.9%を含有した。次に、抽出後の残留バイオマス(37.34g)を強制対流オーブン内で313Kにおいて一晩乾燥させて、最終乾燥質量30.02gを得た。次に、この乾燥バイオマスを乳鉢と乳棒で摩砕した。次に、この乾燥バイオマス27.61gをDME0.840kgによって333K及び40barにおいて抽出して、さらに3.87gの脂質を回収した、これはアラキドン酸33.2%、GLA14.1%及び総PUFA57.3%を含有した。
実施例15:DMEを用いた、高度不飽和藻類脂質の抽出
ニツシア・レビス(Nitzschia Laevis)の混合栄養的及び有機栄養的発酵で得られた湿潤バイオマス58.29gを凍結させてから、DME1584gによって、40bar及び333Kにおいて抽出した。総抽出物53.10gが得られた、これは、水43.55gと、中性及び複合脂質(AA2.2%、EPA11.8%及びDHA2.8%を含有した)9.55gから成るものであった。該脂質混合物を真空下での蒸発によって該水から分離した。乾燥脂質混合物2.161gを、超臨界CO108gを用いて、300bar及び333Kにおいて抽出して、AA1.4%、EPA8.2%及びDHA2.2%のみを含有する中性脂質0.560gを得た。抽出後の残留複合脂質物質は、AA4.2%、EPA20.0%及びDHA3.4%を含有した。
産業上の利用可能性
本発明の方法は、例えば、乾燥した若しくは部分的に乾燥した植物若しくは種子(海洋種若しくは陸生種を包含する)或いは動物物品(海洋若しくは陸生種又は微生物を包含する)のような物質から高度不飽和脂質(脂肪酸)を抽出するために有用である。高度不飽和脂質は、幼児の脳及び視力の発達に極めて重要であり、心臓血管系健康、精神的健康、免疫及び炎症状態に対しても有益でありうる。

Claims (32)

  1. 植物又は動物材料から高度不飽和脂肪酸を含有する脂質を得る方法であって、
    (i)該材料を液体ジメチルエーテルと接触させて、脂質を含有するジメチルエーテル溶液と、植物又は動物材料の残渣を得る工程;
    (ii)該溶液を植物又は動物材料の該残渣から分離する工程;及び
    (iii)該溶液から脂質を回収する工程
    を含む方法。
  2. 工程(i)において該材料との接触後に形成された該溶液が、中性脂質及び複合脂質を含有する、請求項1記載の方法。
  3. 該中性脂質を該溶液から該複合脂質と共に回収する、請求項2記載の方法。
  4. 該中性脂質を該複合脂質から分離する、請求項3記載の方法。
  5. 該複合脂質が、回収工程(iii)中に溶解ジメチルエーテルと共にガム相を形成する、請求項2記載の方法。
  6. 複合脂質を含有する該ガム相を、中性脂質を含有する該溶液から分離する、請求項5記載の方法。
  7. 中性脂質を複合脂質から相分離によって分離する、請求項6記載の方法。
  8. 中性脂質を複合脂質から遠心分離によって分離する、請求項6記載の方法。
  9. 遠心分離の前に加熱を用いる、請求項8記載の方法。
  10. 複合脂質を真空乾燥によって乾燥させる、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
  11. 工程(iii)において該溶液から回収された脂質を近臨界COによって、下記工程:
    (iv)工程(iii)において溶液から回収した脂質を近臨界COと接触させて、中性脂質を含有するCO溶液と、複合脂質の残渣を得る工程;
    (v)中性脂質を含有する該CO溶液を複合脂質の該残渣から分離する工程;及び
    (vi)該CO溶液から該中性脂質を回収する工程
    に従って処理することをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 工程(i)において液体ジメチルエーテルと接触させるべき植物又は動物材料を、最初に、近臨界COによって、下記工程:
    a.該材料を近臨界COと接触させて、中性脂質を含有するCO溶液と植物又は動物材料の残渣を得る工程;
    b.該CO溶液を植物又は動物材料の該残渣から分離する工程;及び
    c.該CO溶液から中性脂質を回収する工程
    に従って処理する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 該植物又は動物材料を、使用前に、乾燥させる又は部分的に乾燥させる、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 該植物又は動物材料を、該材料中の水分が30重量%未満になるまで、乾燥させる、請求項13に記載の方法。
  15. 該植物又は動物材料を、該材料中の水分が5重量%以上であるように、乾燥させる、請求項14に記載の方法。
  16. 該植物又は動物材料を、凍結乾燥によって又は噴霧乾燥によって乾燥させる、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 該植物又は動物材料が、凍結されている湿潤バイオマスである、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  18. 凍結した湿潤バイオマスを工程(i)の前に摩砕する、請求項17記載の方法。
  19. 1種類以上の複合脂質が、リン脂質、ガングリオシド、糖脂質、セレブロシド、又はスフィンゴ脂質である、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 1種類以上の複合脂質がリン脂質である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 該リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、プラズマローゲン、アルキルアシル型リン脂質、ホスホノ脂質、リゾリン脂質、セラミド・アミノエチルホスホネート、及びホスファチジン酸のいずれか1つ以上を含む、請求項20記載の方法。
  22. 該糖脂質が、ガラクト脂質、ガングリオシド、スルホキノボイスルジアシルグリセリド、タウロ糖脂質、グリコスフィンゴリン脂質、及びマンノシル脂質を包含する、請求項19記載の方法。
  23. 該脂質中に含有される高度不飽和脂肪酸が、非限定的に、アラキドン酸、α−及びγ−リノレン酸、ピノレン酸、シアドン酸、コランビン酸、ジホモリノレン酸、エイコサテトラエン酸、ジュニペロン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸のいずれか1つ以上を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 該植物又は動物材料が、動物の器官、動物の腺、海洋マクロ−及びミクロ−藻類、糸状菌、細菌、酵母、貝類、魚類、海洋無脊椎動物、卵、植物の種子、植物の葉、植物の針、シダの葉、苔、及び地衣類から成る群のいずれか1種類から得られる、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 該液体ジメチルエーテルが近臨界ジメチルエーテルである、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 請求項1〜25のいずれかに記載の方法によって得られる、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質。
  27. 請求項1〜25のいずれかに記載の方法によって得られる複合脂質。
  28. 請求項1〜25のいずれかに記載の方法によって得られる中性脂質。
  29. 請求項1〜25のいずれかに記載の方法によって、高度不飽和脂肪酸含有脂質が抽出された植物又は動物材料。
  30. 請求項29記載の植物又は動物材料の、ニュートラシューティカルとしての使用。
  31. 請求項29記載の植物又は動物材料の、食品サプルメントとしての使用。
  32. 請求項29記載の植物又は動物材料の、酵素の供給材料としての使用。
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