JP2001072693A - 精製卵黄レシチンの製造法 - Google Patents

精製卵黄レシチンの製造法

Info

Publication number
JP2001072693A
JP2001072693A JP24945999A JP24945999A JP2001072693A JP 2001072693 A JP2001072693 A JP 2001072693A JP 24945999 A JP24945999 A JP 24945999A JP 24945999 A JP24945999 A JP 24945999A JP 2001072693 A JP2001072693 A JP 2001072693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lecithin
ultrafiltration membrane
membrane
micelle
micelles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP24945999A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunari Miyata
和成 宮田
Hiroaki Matsumoto
博明 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP24945999A priority Critical patent/JP2001072693A/ja
Publication of JP2001072693A publication Critical patent/JP2001072693A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アセトンを使用しないで、経済的な方法で、
安全性の高い精製卵黄レシチンを製造する。 【解決手段】 精製卵黄レシチンを製造するにあたり、
限外ろ過膜で中性脂質のろ過除去とレシチンの濃縮を行
う操作と、レシチンを限外ろ過膜でろ過することによ
り、細菌、エンドトキシン、高分子タンパクを除去する
操作を、組み合わせ行う方法。 【効果】 本発明により得られる精製卵黄レシチンは、
アセトンを使用しないためアセトンの残留がなく、アセ
トン縮合体による異臭の恐れも全くない。また、精製手
段として限外ろ過膜を使用するのみであるため、設備コ
スト、メインテナンスコストが安価である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精製卵黄レシチン
を製造するにあたって、限外ろ過膜を効果的に使用する
ことにより、医薬、食品、化粧品素材に適した精製卵黄
レシチンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レシチンはその界面活性機能から、食品
分野、化粧品分野、医薬品分野に利用されている。特
に、リン脂質含量が90%以上に精製された精製卵黄レ
シチンは、乳化特性、安全性に優れていることから、脂
肪輸液、リポ乳剤、人工血液など医薬品分野での利用・
開発が行われている。よって、これまでにも、安価に安
全性の高い精製卵黄レシチンを製造する方法に関する検
討が進められてきた。卵黄レシチンとしては、割卵分離
して得られた卵黄液を一旦乾燥して乾燥卵黄としたもの
に、例えば、アルコールを作用させてアルコール可溶性
成分を抽出した後、該アルコールを除去して得られたも
のがよく知られている。精製卵黄レシチンを得る方法と
しては、こうして得られた卵黄レシチンを原料として、
レシチンはアセトンに不溶であるが、中性脂質はアセト
ンに可溶であるとの性質を利用する方法がよく知られて
いる(アセトン分別法)。
【0003】しかし、アセトンを使用することにより、
アセトンの残留を減らすことが容易でないだけでなく、
さらに、その縮合体で特有の臭いを有するメシチルオキ
サイドやイソホロンなどの有害物が生成することが、ア
セトン分別法の欠点として挙げられる。一方、アセトン
を使用しない方法として、エタノール分別法が知られて
いる。アセトン分別法と異なり各リン脂質成分のエタノ
ールへの溶解度が大きく異なるため、リン脂質成分の分
画には有効であるが、レシチンを中性脂質から分離して
精製する目的に対しては適さない。この欠点を回避する
手段として、限外ろ過膜で中性脂質をろ過除去しレシチ
ンを濃縮精製する方法(特開昭62−263192)、
また、酢酸エステルにより中性脂質を可溶画分に、レシ
チンを不溶画分として精製する方法(特開平1−197
492)が挙げられる。ただし、これらの方法も、それ
ぞれ以下に述べる欠点を有している。
【0004】精製卵黄レシチンを注射剤の添加剤として
使用する場合、発熱性試験、抗原性試験が陰性である必
要がある。例えば、抗原性及び赤血球凝集能を除去する
手段として、アルコール不溶分を除去する方法(特開昭
62−246525)が挙げられる。この抗原性及び赤
血球凝集能の原因物質は不純タンパク質であり、アルコ
ールにより不溶性となり除去されているものと推定され
る。アセトンを使用しない経済的で安全性の高い精製レ
シチンの製造法を考察する場合、限外ろ過膜で卵黄レシ
チンを濃縮精製する方法では、抗原性等の原因となるタ
ンパク等が濃縮される欠点を有する。また、酢酸エステ
ルにより精製する方法では、抗原性及び赤血球凝集能の
除去が達成されていないばかりでなく、レシチンの乾燥
時に酢酸エステルが分解することによる酢酸の残留及び
pHの低下が危惧される。アルコール不溶分を除去し可
溶分を回収する方法では、レシチンの一部が不溶分とな
り回収率の点でロスが大きいのみでなく、リン脂質成分
の組成が処理により変わってしまう欠点を有する。
【0005】水溶液中で抗原性の原因となるタンパク質
及びエンドトキシン等の高分子物質を除去する手段とし
て、限外ろ過膜によりろ過処理する方法が一般に実施さ
れている。しかし、有機溶媒中でタンパク質及びエンド
トキシン等の除去を目的に限外ろ過膜が使用された例は
ない。限外ろ過膜によりレシチンをろ過回収した例とし
て、大豆レシチンの精製においてホスファチジルコリン
に富んだレシチン画分を得る方法(特表昭59−500
497)が挙げられている。しかし、この方法は、実質
的にリン脂質成分の分画を目的としており、膜を通過し
たリン脂質画分のリン脂質組成比は、原料の組成比と著
しく変化しており、原料と同等の組成比のものは得られ
ていない。さらに、膜を通過したリン脂質画分の抗原性
及び発熱性等の安全性についても明らかにされていな
い。したがって、これまで知られているアセトンを使用
しない方法は、不純物の残存や、大きなロスが発生する
等、まだ改善の余地があるといえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、これ
までに開発されたアセトンを使用しない精製技術では、
溶剤の残留、リン脂質成分の組成変化、タンパク質やエ
ンドトキシン等の高分子不純物残留の問題が残されてい
る。本発明は、アセトンを使用せず、妥当なコストで、
安全性の高い、精製卵黄レシチンを得るための製造法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に即して鋭意検討を重ねた結果、レシチンがミセルを
形成した状態では、レシチンが限外ろ過膜に不通過とな
り、膜を通過する中性脂質と分離され、リン脂質純度が
向上すること、また、レシチンがミセルを形成していな
い状態では、レシチンが限外ろ過膜を通過し、さらに、
この膜を通過したレシチンからエンドトキシン、高分子
の抗原性タンパク質が除去されていることを見出し、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、精製卵
黄レシチンの製造法において、以下の操作を組み合わせ
て行う方法である。 (1)レシチンがミセルを形成した状態で、限外ろ過膜
(限外ろ過膜膜1)によりろ過処理して、レシチンミセ
ルを膜不透過の濃縮液として回収する操作、(2)レシ
チンがミセルを形成していない状態で、限外ろ過膜(限
外ろ過膜2)によりろ過処理して、レシチンを膜通過液
として回収する操作。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
出発原料は、卵黄から抽出されたレシチンであり、特に
その取得方法は限定されない。レシチンの取得方法とし
ては、例えば、生卵黄から液体ジメチルエーテルを用い
て抽出処理することで30〜85%リン脂質含量のレシ
チンを得る方法(特開昭53−12898)、また、乾
燥卵黄から含水エタノールで抽出処理することで30〜
85%リン脂質含量のレシチンを得る方法(特開昭54
−61200)が挙げられる。生卵黄から液体ジメチル
エーテルを用いて抽出した場合、中性脂質中にレシチン
は含水ミセルを形成しており、そのまま次工程を実施で
きる。レシチンが水分をほとんど含んでいない場合、水
を添加してミセルを形成する必要がある。この時の水の
添加量は、レシチン100重量部に対して10〜50重
量部で十分である。さらに、均一なミセルを形成するた
めに、ホモジナイザー等の高撹拌で混合分散できる装置
で処理する。また、リン脂質含量が50%以下のレシチ
ンのミセルに対しては、リン脂質成分が凝集しているの
で遠心分離等の分離処理をすれば、リン脂質含量を50
%以上にでき、次工程での処理が効率的になる。
【0009】レシチンのミセルを、ミセルを破壊しない
溶媒に分散し、限外ろ過膜を用いてろ過処理することに
より、中性脂質がろ過除去され、中性脂質の除去された
レシチンミセルを濃縮回収できる。限外ろ過の処理方法
としては、定容ろ過でもバッチろ過でもかまわない。医
薬用途として必要なレシチン純度90%以上を得るため
には、5倍以上に濃縮する必要がある。好ましくは5〜
10倍の範囲に濃縮することが、経済的に選択される。
より具体的には、レシチン1重量部に対して20〜10
0倍量の溶媒を用いて、2〜10倍量になるまで濃縮す
る。また、このレシチンミセル溶液を限外ろ過膜でろ過
処理する前に、レシチン中の水溶性不純物を除去する目
的で、水とアルコールにより洗浄しておくことも可能で
ある。
【0010】濃縮回収されたレシチンミセル溶液を濃縮
して溶媒を除去した後、ミセルを形成しない溶媒に溶解
し、再度限外ろ過膜でろ過処理することにより、リン脂
質組成を変化させることなく、レシチンを膜通過液とし
て得られる。ミセルを形成しない溶媒とは、例えば、ヘ
キサンとアルコールの混合液が挙げられる。ヘキサンと
アルコールの混合比は、95:5〜50:50が良い。
アルコールが多いとアルコール不溶性のリン脂質成分が
析出し、レシチンの回収率を低減するのみでなく、リン
脂質組成に変化を生じることになる。レシチンを溶解す
る溶媒量は、レシチン1重量部に対して1.5倍以上で
あれば、限外ろ過膜でろ過処理するのに粘度の問題もな
く、実施できる。また、濃縮回収されたレシチンミセル
溶液の溶媒がヘキサンのようにアルコールの添加により
ミセルが破壊される場合は、濃縮して溶媒除去を実施す
る必要はない。すなわち、濃縮回収されたレシチンミセ
ルの溶液にアルコールを添加してミセルを破壊し、再度
限外ろ過膜でろ過処理することにより、リン脂質組成を
変化させることなく、レシチンを膜通過液として得られ
る。アルコールの添加量は、ミセルを破壊するのに十分
な量、溶液量に対して5〜50%である。
【0011】こうして得られたレシチン溶液から、エバ
ポレータ等の濃縮機や凍結真空乾燥機、噴霧乾燥機等を
用いて溶媒を除去することにより、精製卵黄レシチンが
得られる。また、上記で説明した操作とは逆に、レシチ
ンがミセルを形成していない状態で、限外ろ過膜による
処理を先に実施する方法も選択できる。すなわち、卵黄
より抽出されたレシチンを、ミセルを形成しない溶媒に
溶解し、限外ろ過膜を用いてろ過処理することにより、
レシチンが膜を通過し、エンドトキシン、抗原性タンパ
ク等の高分子物質が除去されたレシチンが得られる。ミ
セルを形成しない溶媒とは、例えば、ヘキサンとアルコ
ールの混合液が挙げられる。ヘキサンとアルコールの混
合比は、95:5〜50:50が良い。アルコールが多
いとアルコール不溶性のリン脂質成分が析出し、レシチ
ンの回収率を低減するのみでなく、リン脂質組成に変化
を生じることになる。レシチンを溶解する溶媒量は、レ
シチン1重量部に対して1.5倍以上であれば、限外ろ
過膜でろ過処理するのに粘度の問題もなく、実施でき
る。
【0012】引き続き、膜を通過したレシチン溶液を濃
縮乾固して溶媒を除去した後、水を添加してミセルを形
成する。この時の水の添加量は、レシチン100重量部
に対して10〜50重量部で十分である。さらに、均一
なミセルを形成するために、ホモジナイザー等の高撹拌
で混合分散できる装置で処理する。また、リン脂質含量
が50%以下のレシチンのミセルに対しては、リン脂質
成分が凝集しているので遠心分離等の分離処理をすれ
ば、リン脂質含量を50%以上にでき、限外ろ過膜によ
る処理が効率的になる。また、膜を通過したレシチン溶
液が、ヘキサンとアルコールの混合液のように、水を添
加して水層とレシチン層に分離する場合は、水を添加し
て、ホモミキサー等の高撹拌の装置でレシチンミセルを
形成した後、水−アルコール層を分別し、レシチンミセ
ルの溶液を得る。得られたレシチンミセルの溶液を限外
ろ過膜でろ過処理することにより、中性脂質が膜を通過
し、中性脂質の除去されたレシチンミセルを濃縮回収で
きる。限外ろ過の処理方法としては、定容ろ過でもバッ
チろ過でもかまわない。医薬用途として必要なレシチン
純度90%以上を得るためには、5倍以上に濃縮する必
要がある。好ましくは5〜10倍の範囲に濃縮すること
が、経済的に選択される。より具体的には、レシチン1
重量部に対して20〜100倍量の溶液量になるようミ
セルを破壊しない溶媒を添加して、2〜10倍量になる
まで濃縮する。
【0013】こうして得られたレシチン溶液から、エバ
ポレータ等の濃縮機や凍結真空乾燥機、噴霧乾燥機等を
用いて溶媒を除去することにより、精製卵黄レシチンが
得られる。上記で説明した2種類の順序により得られた
精製卵黄レシチンは、共に医薬品添加物として使用可能
な以下の品質を有する。リン含量3.5〜4.4%、窒
素含量1.4〜2.0%、酸価25以下、ホスファチジ
ルコリン(PC)60%以上、ホスファチジルエタノー
ルアミン(PE)10%以上、発熱性試験陰性、抗原性
試験陰性。
【0014】プロセス的に好ましくは、先にレシチンミ
セルを濃縮し、次にレシチンを膜通過液として回収する
順序が選択される。この順序を選択した場合、濃縮−ろ
過を同一の限外ろ過膜及び装置で実施できるため、設備
が単一となりコンパクトになる。このため設備費、設備
管理の点で有利であるだけでなく、レシチンの配管付着
ロス等も減少するため、回収率の点からも経済的である
といえる。また、医薬品製造を考えた場合、外部からの
異物汚染は最も警戒される問題であり、ろ過工程はでき
るだけ、後工程になるよう実施した方が効果的である。
【0015】使用される限外ろ過膜は、有機溶媒耐性の
ものならば特に限定されない。分画分子量としては、限
外ろ過膜として一般的な3000〜100000のもの
が使用できるが、分画分子量が小さいものはろ過処理に
時間がかかり、分画分子量の大きなものはレシチンミセ
ルのロスがあり、また、高分子タンパク質、エンドトキ
シンの除去に適さない。したがって、好ましくはレシチ
ンミセルの濃縮液を得るためには(限外ろ過膜1)、分
画分子量5000〜50000のものが選択される。高
分子の不純物が除去されたレシチンの膜通過液を得るた
めには(限外ろ過膜2)、分画分子量5000〜100
00のものが選択される。また、同一の限外ろ過膜を使
用してろ過処理する場合は、分画分子量5000〜10
000のものが適している。限外ろ過膜の素材として
は、例えば、ポリスルフォン、ポリエーテルサルホン、
ポリアクリルニトリル、ポリイミド、芳香族ポリアミ
ド、セラミックが挙げられる。膜の形式としては、中空
糸モジュール型、平板型モジュール型、平膜型のものが
挙げられるが、ろ過速度の点からモジュール型が選択さ
れる。装置としては、例えば、旭化成工業(株)製のS
IP−1013、SIP−3013(中空糸モジュー
ル、膜素材:ポリスルフォン、分画分子量:6000)
がある。
【0016】使用されるミセルを破壊しない溶媒として
は、限外ろ過膜に影響せず、膜を通過する溶媒であれば
特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メタン、エタ
ン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン
及びオクタン等の炭化水素類、酢酸エチル、プロピオン
酸エチル等の脂肪族エステル類、その他ジメチルエーテ
ル、エチルエーテル等のエーテル類等、また、これらの
混合液が挙げられる。特に、溶剤自体の安定性や人体へ
の安全性の点から、一般に油脂の製造に使用されるヘキ
サンが好ましい。使用されるアルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール
等が挙げられる。特に、人体への安全性の点から、食品
としても使用されるエタノールが好ましい。すなわち、
本発明は、精製手段として唯一限外ろ過膜を使用し、レ
シチンの中性脂質からの分離と高分子不純物の除去を実
施することで、安全性の高い、高品質の精製卵黄レシチ
ンを経済的に製造する方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、実施例によりさらに詳しく
本発明を説明するが、これら実施例は何ら本発明を限定
するものではない。
【実施例1】レシチン(旭化成工業(株)製、リン脂質
含量80%)100gに水20gを加え、ホモジナイザ
ーで均一に分散後、ヘキサン7Lを加え均一に分散させ
た。このヘキサン溶液を旭化成工業(株)製限外ろ過膜
SIP−1013(分画分子量6000)で1Lまで濃
縮した。この濃縮液にエタノール100mLを添加し、
再度同じ膜で処理した。ろ液を回収し、エバポレータで
濃縮乾固し、さらに凍結真空乾燥機で24時間乾燥し、
表1の品質を有する精製卵黄レシチン75gを得た。
【0018】
【実施例2】乾燥卵黄400gにエタノール(水分5
%)4Lを加え抽出、不溶物を分離後、得られた抽出ろ
液をエバポレータで濃縮し、リン脂質含量60%のレシ
チン120gを得た。得られたレシチン120gに水2
0gを加え、ホモジナイザーで均一に分散後、ヘキサン
10Lを加え均一に分散させた。このヘキサン溶液を旭
化成工業(株)製限外ろ過膜SIP−1013(分画分
子量6000)で1Lまで濃縮した。この濃縮液にエタ
ノール100mLを添加し、再度同じ膜で処理した。ろ
液を回収し、エバポレータで濃縮乾固し、さらに凍結真
空乾燥機で24時間乾燥し、表1の品質を有する卵黄レ
シチン67gを得た。
【0019】
【実施例3】高圧ガス容器にて、生卵黄(水分50%)
800gにジメチルエーテル4.5Lを加え抽出、不溶
物を分離後、得られた抽出ろ液を水分7%までエバポレ
ータで濃縮し、抽出物290gを得た。さらに遠心分離
によりリン脂質含量66%、水分17%の含水レシチン
120gを得た。得られた含水レシチンにヘキサン7L
を加え均一に分散させた。このヘキサン溶液を旭化成工
業(株)製限外ろ過膜SIP−1013(分画分子量6
000)で1Lまで濃縮した。この濃縮液にエタノール
100mLを添加し、再度同じ膜で処理した。ろ液を回
収し、エバポレータで濃縮乾固し、さらに凍結真空乾燥
機で24時間乾燥し、表1の品質を有する精製卵黄レシ
チン72gを得た。
【0020】
【実施例4】レシチン(旭化成工業(株)製、リン脂質
含量80%)100gをヘキサン200mL、エタノー
ル20mLの混合溶液に溶解し、旭化成工業(株)製ペ
ンシル型モジュール(分画分子量6000)でろ過し
た。得られたろ過液に水40mLを加えホモミキサーで
撹拌混合した後、静置分離し、下層の水−アルコール層
を除去した。レシチン溶液に水20mLを加え、ホモジ
ナイザーで均一に分散後、ヘキサン6.8Lを加え均一
に分散させた。この溶液を旭化成工業(株)製限外ろ過
膜SIP−1013(分画分子量6000)で1Lまで
濃縮した。得られた濃縮液を、エバポレータで濃縮乾固
し、さらに凍結真空乾燥機で24時間乾燥し、表1の品
質を有する精製卵黄レシチン69gを得た。
【0021】
【比較例】常法であるアセトンによる晶析法にてレシチ
ンの精製を実施した。すなわち、レシチン(旭化成工業
(株)製、リン脂質含量80%)100gにヘキサン1
L及びエタノール100mLを加え溶解した。このヘキ
サン溶液を旭化成工業(株)製限外ろ過膜SIP−10
13(分画分子量6000)で処理し、ろ液を回収し
た。得られたろ液をエバポレータで200mLまで濃縮
し、アセトン1Lを加えレシチンを沈澱させた。この沈
澱を回収し、再度ヘキサン200mLに溶解し、アセト
ン1Lを加えレシチンを沈澱させ、得られた沈澱物を凍
結真空乾燥機で24時間乾燥した。この結果、表1の品
質を有する精製卵黄レシチン78gを得た。表1に示さ
れるように、実施例で取得された精製卵黄レシチンは、
比較例で取得された医薬用に共される精製卵黄レシチン
と同等の品質のものが得られている。さらに、実施例で
取得された精製レシチンは、アセトンを使用していない
ため、アセトン縮合体による特異臭の問題も発生しな
い。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明は、アセトンを使用しない経済的
で安全性の高い精製卵黄レシチンの製造法を提供する。
本発明により得られる精製卵黄レシチンは、アセトンを
使用しないためアセトンの残留がなく、アセトン縮合体
による異臭の恐れも全くない。また、精製手段として限
外ろ過膜を使用するのみであるため、設備コスト、メイ
ンテナンスコストが安価であり、経済的なプロセスを開
発するに至った。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA06 MB05 PB52 PC11 PC41 PC80 4H050 AB10 AB12 AB20 AD19 BB11 BB14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)(2)の操作を組み合わせて
    行うことを特徴とする精製卵黄レシチンの製造法: (1)レシチンがミセルを形成した状態で、限外ろ過膜
    (限外ろ過膜1)によりろ過処理して、レシチンミセル
    を膜不透過の濃縮液として回収する操作、(2)レシチ
    ンがミセルを形成していない状態で、限外ろ過膜(限外
    ろ過膜2)によりろ過処理して、レシチンを膜通過液と
    して回収する操作。
  2. 【請求項2】 レシチンがミセルを形成した状態が、ヘ
    キサン中である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 レシチンがミセルを形成していない状態
    が、ヘキサンとアルコールの混合溶媒中である請求項1
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 限外ろ過膜1と限外ろ過膜2が、同一の
    限外ろ過膜である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 レシチンミセル中の水分が、リン脂質1
    00重量部に対して10〜50重量部である請求項1に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 限外ろ過膜1の分画分子量が、5000
    〜50000である請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 限外ろ過膜2の分画分子量が、5000
    〜10000である請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 アルコールが、エタノールである請求項
    3に記載の方法。
JP24945999A 1999-09-03 1999-09-03 精製卵黄レシチンの製造法 Withdrawn JP2001072693A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24945999A JP2001072693A (ja) 1999-09-03 1999-09-03 精製卵黄レシチンの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24945999A JP2001072693A (ja) 1999-09-03 1999-09-03 精製卵黄レシチンの製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001072693A true JP2001072693A (ja) 2001-03-21

Family

ID=17193283

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24945999A Withdrawn JP2001072693A (ja) 1999-09-03 1999-09-03 精製卵黄レシチンの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001072693A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009538366A (ja) * 2006-05-24 2009-11-05 インダストリアル リサーチ リミテッド 液体ジメチルエーテルによる高度不飽和脂質の抽出
CN104059100A (zh) * 2014-05-14 2014-09-24 安徽林苑农副食品有限公司 一种利用蛋黄生产高纯度卵磷脂的方法
WO2016149704A1 (en) 2015-03-19 2016-09-22 Arctic Nutrition As Methods for obtaining phospholipids and compositions thereof
WO2016190748A1 (en) 2015-05-27 2016-12-01 Rimfrost As A flowable concentrated phospholipid krill oil composition
CN113214314A (zh) * 2021-04-30 2021-08-06 广州白云山汉方现代药业有限公司 一种长期稳定的蛋黄卵磷脂的制备方法
CN113717219A (zh) * 2021-09-28 2021-11-30 天津信诚康达药业有限公司 药用蛋黄卵磷脂的制备方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009538366A (ja) * 2006-05-24 2009-11-05 インダストリアル リサーチ リミテッド 液体ジメチルエーテルによる高度不飽和脂質の抽出
US8383845B2 (en) 2006-05-24 2013-02-26 Industrial Research Limited Extraction of highly unsaturated lipids with liquid dimethyl ether
CN104059100A (zh) * 2014-05-14 2014-09-24 安徽林苑农副食品有限公司 一种利用蛋黄生产高纯度卵磷脂的方法
WO2016149704A1 (en) 2015-03-19 2016-09-22 Arctic Nutrition As Methods for obtaining phospholipids and compositions thereof
EP3271054A4 (en) * 2015-03-19 2018-11-14 Arctic Nutrition AS Methods for obtaining phospholipids and compositions thereof
WO2016190748A1 (en) 2015-05-27 2016-12-01 Rimfrost As A flowable concentrated phospholipid krill oil composition
US10328105B2 (en) 2015-05-27 2019-06-25 Rimfrost Technologies As Flowable concentrated phospholipid krill oil composition
US10525087B2 (en) 2015-05-27 2020-01-07 Rimfrost Technologies As Flowable concentrated phospholipid krill oil composition
CN113214314A (zh) * 2021-04-30 2021-08-06 广州白云山汉方现代药业有限公司 一种长期稳定的蛋黄卵磷脂的制备方法
CN113214314B (zh) * 2021-04-30 2024-02-20 广州白云山汉方现代药业有限公司 一种长期稳定的蛋黄卵磷脂的制备方法
CN113717219A (zh) * 2021-09-28 2021-11-30 天津信诚康达药业有限公司 药用蛋黄卵磷脂的制备方法
CN113717219B (zh) * 2021-09-28 2023-11-17 天津信诚康达药业有限公司 药用蛋黄卵磷脂的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4680989B2 (ja) タンパク質単離処理におけるフィチン酸の低減
KR100933766B1 (ko) 기름 종자 단백질 분리물의 연속 제조 방법
EP2452567B1 (en) Powder being rich in milk-origin complex lipids
JP2003530448A (ja) 油と極性脂質を含有する天然物質の分画方法
BRPI0612565A2 (pt) método para produção de um isolado de proteìna de canola consistido predominantemente de proteìna de canola 2s
BR122014002952B1 (pt) processo para a recuperação de 1,3-propanodiol de um caldo de fermentação
US4465693A (en) Intravenously administered emulsion from a lecithin base and method of preparation
JPS5828246A (ja) ステビオサイドの製造方法
BRPI0311991B1 (pt) Processo de preparação de um isolado de proteína de canola
JP2013537888A5 (ja)
JP2987682B2 (ja) 酸性リン脂質の濃縮法
JP2017525378A (ja) 大豆タンパク質生成物(「s810」)の調製
US4863609A (en) Process for the fractional separation of protein mixtures by means of membranes
US5077441A (en) Selective gossypol abatement process from oil extraction of cottonseed
JP2001072693A (ja) 精製卵黄レシチンの製造法
KR100649462B1 (ko) 탈유 처리된 포스파티드의 제조 방법
JP2008545420A (ja) ホスファチドの調製および単離方法
KR101724118B1 (ko) 고순도 미강 단백질 추출물 제조방법
JP3592163B2 (ja) ゲル濾過法による高純度シルクペプチドの製造方法
JP2002193850A (ja) 高純度リコペンの製造方法及び用途
JP2005336230A (ja) 脂肪球皮膜物質中の脂質の分離回収方法
JPH05132490A (ja) リン脂質画分の分画精製方法
JPS6245592A (ja) 高純度リン脂質の製造方法
JPS62263192A (ja) 卵黄レシチンの製造方法
JPH01304101A (ja) 複合多糖類の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20061107