JP2009535062A - 4炭素アルコールの発酵生成 - Google Patents

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Abstract

4炭素アルコールを発酵生成するための方法が提供される。詳細には、ブタノール、好ましくは2−ブタノールが2−ブタノール生合成経路を発現する組換え細菌の発酵成長により生成される。本発明の組換え微生物および方法はまた、本明細書で開示される2−ブタノール生合成経路内での中間体である2−ブタノンの生成に適合しうる。

Description

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条の下で2006年5月2日出願の米国仮特許出願第60/796816号明細書および2006年12月21日出願の米国仮特許出願第60/871156号明細書の優先権を主張するものである。
本発明は、産業微生物学およびアルコールの生成の分野に関する。より詳細には、2−ブタノールが組換え微生物の工業用発酵を介して生成される。組換え微生物および本発明の方法はまた、本明細書で開示される2−ブタノール生合成経路における中間体である2−ブタノンの生成に適合しうる。
ブタノールは、燃料添加剤として、プラスチック産業における化学物質原料として、さらに食品および香料産業における食品等級の抽出剤として有用な重要な産業化学物質である。毎年、100〜120億ポンドのブタノールが石油化学的手段により生産され、この汎用化学製品に対する需要は高まる可能性が高い。メチルエチルケトン(MEK)とも称される2−ブタノンは汎用の溶媒であり、アセトンに次いで最も重要な商業生産されるケトンである。それは塗料、樹脂、および接着剤における溶媒とともに選択的抽出剤および酸化反応の活性化物質として使用される。
2−ブタノンの化学合成における方法については、例えば、2−ブタノールの脱水素によるもの、または液体ブタンの触媒的酸化によって2−ブタノンおよび酢酸が得られる場合のプロセスにおけるものが既知である(「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」、第6版、2003年、ワイリーVCHフェアラーク(Wiley−VCH Verlag GmbH and Co.)、ドイツのバインハイム(Weinheim)、第5巻、727−732頁)。2−ブタノンはまた水素化により化学的に2−ブタノールに変換されうる(ブリーン(Breen)ら、J. or Catalysis 236:270−281頁(2005年))。2−ブタノールの化学合成方法については、例えばn−ブテンの水和などが既知である(「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」、第6版、2003年、ワイリーVCHフェアラーク(Wiley−VCH Verlag GmbH and Co.)、ドイツのバインハイム(Weinheim)、第5巻、716−719頁)。これらのプロセスでは、石油化学製品に由来する出発原料が使用され、それは一般に高価であり、環境に優しいものではない。植物由来の原料からの2−ブタノンおよび2−ブタノールの生成の場合、温暖化ガスの排出が最小になり、それは当該技術分野でものとなる。
他の有機化学物質の生物変換によって2−ブタノールを生成するための方法も既知である。例えば、スタンファー(Stampfer)ら(国際公開第03/078615号パンフレット)が、ロドコッカス・ルバー(Rhodococcus ruber)から得られるアルコール脱水素酵素によって触媒されるケトンの還元による、第2級アルコール、例えば2−ブタノールの生成について記載している。同様に、コジマ(Kojima)ら(欧州特許第0645453号明細書)が、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)から得られる第2級アルコール脱水素酵素によって触媒されるケトンの還元による、第2級アルコール、例えば2−ブタノールを調製するための方法について記載している。さらに、キンリー(Kuehnle)ら(欧州特許第1149918号明細書)が、ロドコッカス・ルバーの様々な株による炭化水素の酸化によって1−ブタノールおよび2−ブタノールの双方を生成するプロセスについて記載している。同プロセスでは、93.8%の選択性での1−ブタノールの生成が好ましかった。
乳酸桿菌(Lactobacilli)の特定株による2−ブタノールの生成も既知である(スペランザ(Speranza)ら、J.Agric.Food Chem.(1997年) 45:3476−3480頁)。2−ブタノールは、メソ−2,3−ブタンジオールの形質転換により生成される。これらの乳酸桿菌株によるアセト乳酸塩およびアセトインからの2−ブタノールの生成についても実証された。しかし、2−ブタノールを生成するように設計された組換え微生物についての報告は全くなされていない。
したがって、2−ブタノールおよび2−ブタノンの生成において環境的責任を担う費用効果的なプロセスが必要とされる。本発明は、2−ブタノールおよび2−ブタノンの生合成経路を発現する組換え微生物の生成宿主の発見を通じてこの需要に対処している。
本発明は、設計された2−ブタノール生合成経路を有する組換え微生物を提供する。最終ステップが除かれた2−ブタノール生合成経路と同様の、設計された2−ブタノン生合成経路を有する組換え微生物も提供される。設計された微生物は、2−ブタノールまたは2−ブタノンの商用生産のために用いられうる。したがって、本発明は、
i)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ、
ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩へ、
v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩から2−ブタノンへ、および
vi)2−ブタノンから2−ブタノールへ、
からなる群から選択される生成物の変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞であって、ここで少なくとも1個のDNA分子が前記微生物の宿主細胞に対して異種であり、かつ前記微生物の宿主細胞が2−ブタノールを生成する、組換え微生物の宿主細胞を提供する。
同様に、本発明は、
i)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ、
ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩へ、
v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩から2−ブタノンへ、
からなる群から選択される生成物の変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞であって、ここで少なくとも1個のDNA分子が前記微生物の宿主細胞に対して異種であり、かつ前記微生物の宿主細胞が2−ブタノンを生成する、組換え微生物の宿主細胞を提供する。
別の実施形態では、本発明は、2−ブタノールを生成するための方法であって、
1)i)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ、
ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩へ、
v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩から2−ブタノンへ、および
vi)2−ブタノンから2−ブタノールへ、
からなる群から選択される生成物の変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞を提供するステップと、ここで少なくとも1個のDNA分子が前記微生物の宿主細胞に対して異種であり、
2)(1)の宿主細胞を2−ブタノールが生成される条件下の発酵培地内で発酵性炭素(fermentable carbon)基質と接触させるステップと、
を含む、方法を提供する。
同様に、本発明は、2−ブタノンを生成するための方法であって、
1)i)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ、
ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩へ、および
v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩から2−ブタノンへ、
からなる群から選択される生成物の変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞を提供するステップと、ここで少なくとも1個のDNA分子が前記微生物の宿主細胞に対して異種であり、
2)(1)の宿主細胞を2−ブタノンが生成される条件下の発酵培地内で発酵性炭素基質(fermentable carbon)と接触させるステップと、
を含む、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって生成される、2−ブタノールまたは2−ブタノンを含有する発酵生成物培地(fermentation product medium)を提供する。
本発明は、本願の一部を形成する、以下の詳細な説明、図面、および添付の配列記述からより十分に理解可能である。
以下の配列は、米国特許施行規則第1.821−1.825条(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を有する特許出願の要件−配列の規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に従い、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)(WIPO)基準ST.25(1998年)、ならびにEPOおよびPCTの配列表の要件(規則5.2および49.5(aの2)、ならびに実施細則の第208節および付録C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データにおいて用いられる記号および形式は、米国特許施行規則第1.822条に示される規則に従う。
Figure 2009535062
Figure 2009535062
Figure 2009535062
配列番号15〜65は、実施例において用いられるオリゴヌクレオチドPCR、クローニング、スクリーニング、および配列決定プライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号66は、実施例11に記載の大腸菌株MG1655 ΔyqhCD内のyqhD遺伝子の除去された領域のヌクレオチド配列である。
配列番号67は、グルコースイソメラーゼプロモーター1.6GIの変異体のヌクレオチド配列である。
配列番号68は1.5GIプロモーターのヌクレオチド配列である。
配列番号69は、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)由来のジオールデヒドラターゼオペロンのヌクレオチド配列である。
配列番号70は、クレブシエラ・オキシトカ由来のジオールデヒドラターゼ再活性化因子オペロンのヌクレオチド配列である。
配列番号73は、実施例9に記載のpDCQ2のヌクレオチド配列である。
配列番号127〜132は、実施例にて用いられる追加的なオリゴヌクレオチドPCRおよびクローニングプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号155は、エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカ(Erwinia carotovora subsp. atroseptica)のアミノアルコールキナーゼにおけるコドンが最適化されたコード領域である。
配列番号156は、エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカのアミノアルコールO−リン酸リアーゼにおけるコドンが最適化されたコード領域である。
配列番号157〜163は、実施例にて用いられる追加的なオリゴヌクレオチドPCRおよびクローニングプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号164は、エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカのオペロンのヌクレオチド配列である。
Figure 2009535062
本発明は、組換え微生物を用いて2−ブタノールを生成するための方法に関する。本発明は多数の商業的かつ産業的な需要を満たす。ブタノールは、種々の用途を有する重要な産業用商品の化学物質であり、その場合、燃料または燃料添加剤としてのその可能性は特に有意である。ブタノールは、4炭素アルコールにすぎなくても、ガソリンの含量に類似のエネルギー含量を有し、任意の化石燃料と混和されうる。ブタノールは、標準の内燃エンジン内で燃焼される場合にCOのみを生成し、SOまたはNOをほとんど生成しないことから燃料または燃料添加剤として好まれる。さらにブタノールは、今日まで最も好ましい燃料添加剤であるエタノールよりも腐食性が少ない。
ブタノールは、生物燃料または燃料添加剤としてのその有用性に加え、新興の燃料電池産業における水素配給の問題に影響を与える可能性を有する。今日、燃料電池では水素の輸送および配給に関連した安全性の懸念が悩みの種となっている。ブタノールは、その水素含量において容易に改善可能であり、かつ、既存のガソリンスタンドによる、車両内の燃料電池または燃焼機関のいずれかで要求される純度での配給が可能である。
本発明は、最終的に、植物由来の炭素源から2−ブタノールを生成するものであり、ブタノール生成における標準の石油化学プロセスに伴う環境への負の影響を回避する。
本発明は、本明細書中に開示される2−ブタノール生合成経路内での中間体である2−ブタノンを生成するための組換え微生物および方法も提供する。メチルエチルケトン(MEK)としても知られる2−ブタノンは、塗料および他のコーティングにおける溶媒として有用である。それは合成ゴム産業およびパラフィンろうの生成においても用いられる。
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および明細書の解釈において用いられるものとする。
本明細書で用いられる「発明(invention)」または「本発明(present invention)」という用語は非限定的用語であり、特定の発明の任意の単一の実施形態を示すように意図されていないが、明細書および特許請求の範囲に記載の考えられるあらゆる実施形態を包含する。
「2−ブタノール生合成経路」という用語は、ピルビン酸塩から2−ブタノールを生成するための酵素経路を示す。
「2−ブタノン生合成経路」という用語は、ピルビン酸塩から2−ブタノンを生成するための酵素経路を示す。
「アセトヒドロキシ酸シンターゼ」としても知られる「アセト乳酸シンターゼ」という用語は、ピルビン酸2分子からα−アセト乳酸1分子への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アセト乳酸シンターゼ(EC2.2.1.6[従来は4.1.3.18]として知られる)(「Enzyme Nomenclature」 1992年、サンディエゴ(San Diego)のアカデミック・プレス(Academic Press))は、その活性については共同因子のチアミンピロリン酸に依存しうる。適切なアセト乳酸シンターゼ酵素は、多数の供給源、例えば枯草菌(Bacillus subtilis)[GenBank番号:AAA22222 NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information))アミノ酸配列(配列番号77)、L04470 NCBIヌクレオチド配列(配列番号76)]、クレブシエラ・テリゲナ(Klebsiella terrigena)[GenBank番号:AAA25055(配列番号79)、L04507(配列番号78)]、およびクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)[GenBank番号:AAA25079(配列番号4)、M73842(配列番号3)]から入手可能である。
「アセト乳酸デカルボキシラーゼ」という用語は、α−アセト乳酸からアセトインへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アセト乳酸デカルボキシラーゼは、EC4.1.1.5として知られ、例えば枯草菌[GenBank番号:AAA22223(配列番号81)、L04470(配列番号80)]、クレブシエラ・テリゲナ[GenBank番号:AAA25054(配列番号83)、L04507(配列番号82)]およびクレブシエラ・ニューモニエ[GenBank番号:AAU43774(配列番号2)、AY722056(配列番号1)]から入手可能である。
「アセトインアミナーゼ」または「アセトイントランスアミナーゼ」という用語は、アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アセトインアミナーゼでは、共同因子のピリドキサル5’−リン酸またはNADH(還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)またはNADPH(還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)が用いられうる。得られた生成物は3位で(R)または(S)の立体化学を有しうる。ピリドキサルリン酸依存性酵素では、アミノドナーとしてアラニンまたはグルタミン酸塩などのアミノ酸が用いられうる。NADH−およびNADPH依存性酵素では、第2の基質としてアンモニアが用いられうる。アミノアルコール脱水素酵素としても知られるNADH依存性のアセトインアミナーゼの適例が、イトウ(Ito)ら(米国特許第6,432,688号明細書)で記載されている。ピリドキサル依存性のアセトインアミナーゼの例が、シン(Shin)およびキム(Kim)(J.Org.Chem.67:2848−2853頁(2002年))で記載のアミン:ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(アミン:ピルビン酸トランスアミナーゼとも称される)である。
「ブタノール脱水素酵素」という用語は、2−ブタノンおよび2−ブタノールの相互変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。ブタノール脱水素酵素はアルコール脱水素酵素の広範なファミリーのサブセットである。ブタノール脱水素酵素はNAD−またはNADP依存性でありうる。NAD依存性酵素は、EC1.1.1.1として知られ、例えばロドコッカス・ルバー[GenBank番号:CAD36475(配列番号14)、AJ491307(配列番号13)]から入手可能である。NADP依存性酵素は、EC1.1.1.2として知られ、例えばピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)[GenBank番号:AAC25556(配列番号91)、AF013169(配列番号90)]から入手可能である。さらに、ブタノール脱水素酵素が大腸菌(Escherichia coli)[GenBank番号:NP_417484(配列番号75)、NC_000913(配列番号74)]から入手可能であり、シクロヘキサノール脱水素酵素がアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)[GenBank番号:AAG10026(配列番号72)、AF282240(配列番号71)]から入手可能である。
「アセトインキナーゼ」という用語は、アセトインからホスホアセトイン(phosphoacetoin)への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アセトインキナーゼでは、反応におけるリン酸供与体としてATP(アデノシン3リン酸)またはホスホエノールピルビン酸が用いられうる。アセトインに対してこの反応を触媒する酵素についての報告は全くないが、類似の基質であるジヒドロキシアセトンに対する類似反応を触媒する酵素、例えばEC2.7.1.29として知られる酵素(ガルシア−アレス(Garcia−Alles)ら、(2004年) Biochemistry 43:13037−13046頁)が存在する。
「アセトインリン酸アミナーゼ」という用語は、ホスホアセトインから3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アセトインリン酸アミナーゼでは、共同因子のピリドキサル5’−リン酸、NADHまたはNADPHが用いられうる。得られた生成物は、3位で(R)または(S)の立体化学を有しうる。ピリドキサルリン酸依存性酵素では、アラニンまたはグルタミン酸塩などのアミノ酸が用いられうる。NADH−およびNADPH依存性酵素では、第2の基質としてアンモニアが用いられうる。ホスホアセトインに対してこの反応を触媒する酵素についての報告は全くないが、類似の基質であるセリノールリン酸塩(serinol phosphate))に対する類似反応を行うものとして提示されているピリドキサルリン酸依存性酵素が存在する(ヤスタ(Yasuta)ら、(2001年) Appl.Environ.Microbiol. 67:4999−5009頁)。
「アミノアルコールO−リン酸リアーゼ」とも称される「アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ」という用語は、3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸から2−ブタノンへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼでは共同因子のピリドキサル5’−リン酸が用いられうる。アミノブタノールリン酸塩に対してこの反応を触媒する酵素についての報告は過去にないが、類似の基質である1−アミノ−2−プロパノールリン酸塩に対する類似反応を触媒する酵素についていくつかの報告がある(ジョーンズ(Jones)ら、(1973年) Biochem J.134:167−182頁)。本発明は、生物のエルウィニア・カロトボラ由来の、本明細書中の実施例15に示される活性を有する新規に同定されたアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ(配列番号126)について記載する。
「アミノブタノールキナーゼ」という用語は、3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アミノブタノールキナーゼでは、リン酸供与体としてATPが用いられうる。3−アミノ−2−ブタノールに対してこの反応を触媒する酵素についての報告は全くないが、類似の基質であるエタノールアミンおよび1−アミノ−2−プロパノールに対する類似反応を触媒する酵素についていくつかの報告がある(ジョーンズ(Jones)ら、上記)。本発明では、実施例14において、エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカのアミノアルコールキナーゼ(配列番号124)が記載される。「アセトインレダクターゼ」としても知られる「ブタンジオール脱水素酵素」という用語は、アセトインから2,3−ブタンジオールへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。ブタンジオール脱水素酵素はアルコール脱水素酵素の広範なファミリーのサブセットである。ブタンジオール脱水素酵素は、アルコール生成物中で(R)または(S)の立体化学の生成に対して特異性を有しうる。(S)に特異的なブタンジオール脱水素酵素は、EC1.1.1.76として知られ、例えばクレブシエラ・ニューモニエ(GenBank番号:BBA13085(配列番号6)、D86412(配列番号5))から入手可能である。(R)に特異的なブタンジオール脱水素酵素は、EC1.1.1.4として知られ、例えばセレウス菌(Bacillus cereus)[GenBank番号:NP_830481(配列番号85)、NC_004722(配列番号84);AAP07682(配列番号87)、AE017000(配列番号86)]、およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)[GenBank番号:AAK04995(配列番号89)、AE006323(配列番号88)]から入手可能である。
「ジオールデヒドラターゼ」または「プロパンジオールデヒドラターゼ」としても知られる「ブタンジオールデヒドラターゼ」という用語は、2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。ブタンジオールデヒドラターゼでは共同因子のアデノシルコバラミン(ビタミンB12)が用いられうる。アデノシルコバラミン依存性酵素は、EC4.2.1.28として知られ、例えばクレブシエラ・オキシトカ[GenBank番号:BAA08099(αサブユニット)(配列番号8)、D45071(配列番号7);BAA08100(βサブユニット)(配列番号10)、D45071(配列番号9);およびBBA08101(γサブユニット)(配列番号12)、D45071(配列番号11)(3つの全サブユニットは活性に必要とされることに注意のこと)]、ならびにクレブシエラ・ニューモニエ[GenBank番号:AAC98384(αサブユニット)(配列番号105)、AF102064(配列番号104);GenBank番号:AAC98385(βサブユニット)(配列番号107)、AF102064(配列番号106)、GenBank番号:AAC98386(γサブユニット)配列番号109]]、AF102064(配列番号108)]から入手可能である。他の適切なジオールデヒドラターゼが、限定はされないが、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)[GenBank番号:AAB84102(大型サブユニット)(配列番号93)、AF026270(配列番号92);GenBank番号:AAB84103(中型サブユニット)(配列番号95)、AF026270(配列番号94);GenBank番号:AAB84104(小型サブユニット)(配列番号97)、AF026270(配列番号96)];およびラクトバチルス・コリノイデス(Lactobacillus collinoides)[GenBank番号CAC82541(大型サブユニット)(配列番号99)、AJ297723(配列番号98);GenBank番号CAC82542(中型サブユニット)(配列番号101);AJ297723(配列番号100);GenBank番号:CAD01091(小型サブユニット)(配列番号103)、AJ297723(配列番号102)]から入手可能なB12依存性のジオールデヒドラターゼ;ならびにブレビス乳酸菌(Lactobacillus brevis)(特にCNRZ734株およびCNRZ735株、スペランツァ(Speranza)ら、上記)由来の酵素、ならびに対応する酵素をコードするヌクレオチド配列を含む。ジオールデヒドラターゼの遺伝子単離の方法は当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第5,686,276号明細書)。
「グリセロールデヒドラターゼ」という用語は、グリセロールから3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アデノシルコバラミン依存性のグリセロールデヒドラターゼはEC4.2.1.30として知られる。EC4.2.1.30のグリセロールデヒドラターゼは、配列や3つのサブユニットを有することにおいてジオールデヒドラターゼと類似性がある。グリセロールデヒドラターゼを用い、2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換も可能である。EC4.2.1.30のグリセロールデヒドラターゼのいくつかの例が、クレブシエラ・ニューモニエ(αサブユニット、配列番号145、コード領域および配列番号146、タンパク質;βサブユニット、配列番号147、コード領域および配列番号148、タンパク質;およびγサブユニット配列番号149、コード領域および配列番号150、タンパク質);クロストリジウム・パスツーリアナム(Clostridium pasteurianum)[GenBank番号3360389(αサブユニット、配列番号135)、3360390(βサブユニット、配列番号136)、および3360391(γサブユニット、配列番号137)];エシェリヒア・ブラッタエ(Escherichia blattae)[GenBank番号60099613(αサブユニット、配列番号138)、57340191(βサブユニット、配列番号139)、および57340192(γサブユニット、配列番号140)];ならびにシトロバクター・フロインディイ(Citrobacter freundii)[GenBank番号1169287(αサブユニット、配列番号141)、1229154(βサブユニット、配列番号142)、および1229155(γサブユニット、配列番号143)]に由来するものを含む。3つの全サブユニットは活性に必要とされることに注意のこと。さらなるグリセロールデヒドラターゼが表2に挙げられる。
ジオールおよびグリセロールデヒドラターゼは触媒作用の間に自殺反応による不活化を経る場合がある。本明細書中で「レアクティバーゼ(reactivase)」とも称される再活性化因子タンパク質を用いると、不活性酵素の再活性化が可能である(モリ(Mori)ら、J.Biol.Chem.272:32034頁(1997年))。好ましくは、再活性化因子は用いられるジオールまたはグリセロールデヒドラターゼと同様の供給源から入手される。例えば、適切なジオールデヒドラターゼ再活性化因子が、クレブシエラ・オキシトカ[GenBank番号:AAC15871(大型サブユニット)(配列番号111)、AF017781(配列番号110);GenBank番号:AAC15872(小型サブユニット)(配列番号113)、AF017781(配列番号112)];ネズミチフス菌[GenBank番号:AAB84105(大型サブユニット)(配列番号115)、AF026270(配列番号114)、GenBank番号:AAD39008(小型サブユニット)(配列番号117)、AF026270(配列番号116)];およびラクトバチルス・コリノイデス[GenBank番号:CAD01092(大型サブユニット)(配列番号119)、AJ297723(配列番号118);GenBank番号:CAD01093(小型サブユニット)(配列番号121)、AJ297723(配列番号120)]から入手可能である。大型および小型サブユニットの双方が活性に必要とされる。例えば、適切なグリセロールデヒドラターゼ再活性化因子がクレブシエラ・ニューモニエ(大型サブユニット、配列番号151、コード領域および配列番号152、タンパク質;および小型サブユニット、配列番号153、コード領域および配列番号154、タンパク質)から入手可能である。
「通性嫌気性生物」という用語は、好気性および嫌気性環境の双方で成長しうる微生物を示す。
「炭素基質」または「発酵性炭素基質」という用語は、本発明の宿主生物によって代謝可能な炭素源ならびに特に単糖、オリゴ糖、多糖、およびそれらの1炭素基質または混合物からなる群から選択される炭素源を示す。
「遺伝子」という用語は、場合によりコード配列の上流(5’非コード配列)および下流(3’非コード配列)の調節配列を含む、特定のタンパク質として発現可能な核酸断片を示す。「天然遺伝子」は、それ自体の調節配列を有する天然に見出される遺伝子を示す。「キメラ遺伝子」は、天然遺伝子でない任意の遺伝子を示し、天然に見出されることのない調節およびコード配列を含む。したがって、キメラ遺伝子は、異なる供給源に由来する調節配列およびコード配列または同じ供給源に由来する調節配列およびコード配列を含みうるが、天然に見出されるものとは異なる様式で配列されている。「内因性遺伝子」は、生物のゲノム内のその天然の位置における天然遺伝子を示す。「外来」または「異種」遺伝子は、通常は宿主生物内に見出されることはないが宿主生物に遺伝子導入によって導入される遺伝子を示す。外来遺伝子は、非天然の生物に導入される天然遺伝子またはキメラ遺伝子を含みうる。「トランス遺伝子」は、形質転換手順によりゲノムに導入されている遺伝子である。
本明細書で用いられる「単離核酸断片」または「単離核酸分子」または「遺伝子コンストラクト」は同義に用いられ、かつ一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAの高分子を意味し、場合により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を有することになる。DNAの高分子の形態の単離核酸断片については、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAのうちの1つもしくは複数のセグメントから構成されうる。
核酸断片については、ある一本鎖形態の核酸断片が温度および溶液のイオン強度の適切な条件下で他方の核酸断片にアニール可能である場合、別の核酸断片、例えばcDNA、ゲノムDNA、またはRNA分子に対して「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件については周知であり、サムブルック J.(Sambrook J.)、フリッツ E.F.(Fritsch E.F.)およびマニアティス T.(Maniatis T.)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)(1989年)、特に第11章およびその中の表11.1(全体として参照により本明細書中に援用される)に例示されている。温度およびイオン強度の条件はハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件は、中程度に類似の断片(遠縁の生物由来の相同配列など)から高度に類似の断片(近縁の生物由来の機能酵素を複製する遺伝子など)にかけてスクリーニングするように調整されうる。ハイブリダイゼーション後の洗浄がストリンジェンシー条件を決定する。1つの好ましい条件のセットでは、室温で15分間の6×SSC、0.5% SDSの場合から開始し、次いで45℃で30分間の2×SSC、0.5% SDSの場合を繰り返し、次いで50℃で30分間の0.2×SSC、0.5% SDSの場合を2回繰り返すという一連の洗浄が用いられる。より好ましいストリンジェントな条件のセットではより高温が用いられ、ここでの洗浄は終わりの2回の0.2×SSC、0.5% SDSにおける30分の洗浄で温度が60℃に高められた点を除いて上記の洗浄と同一である。別の好ましい高度にストリンジェントな条件のセットでは、65℃での0.1×SSC、0.1% SDSにおける2回の最終の洗浄が用いられる。さらなるストリンジェントな条件のセットでは、例えば0.1×SSC、0.1% SDS、65℃でのハイブリダイゼーションおよび2×SSC、0.1% SDSとそれに続く0.1×SSC、0.1% SDSの場合での洗浄が含まれる。
ハイブリダイゼーションでは、塩基間の不一致がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーによりありうるとしても2つの核酸が相補配列を有することが必要である。核酸をハイブリダイズするのに適するストリンジェンシーは、当該技術分野での周知の変数である核酸の長さおよび相補性の程度に依存している。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きくなると、それらの配列を有する核酸のハイブリッドにおけるTmの値が増加する。核酸ハイブリダイゼーションの(より高いTmに対応する)相対的安定性は、以下の順、すなわちRNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAで低下する。100ヌクレオチド長を超えるハイブリッドにおいては、Tmを計算するための方程式が導かれている(サムブルック(Sambrook)ら、上記、9.50〜9.51を参照)。より短い核酸すなわちオリゴヌクレオチドの場合のハイブリダイゼーションにおいては、不一致の位置がより重要になり、オリゴヌクレオチド長がその特異性を決定する(サムブルック(Sambrook)ら、上記、11.7〜11.8を参照)。一実施形態では、ハイブリダイズ可能な核酸における長さは少なくとも約10ヌクレオチド長である。好ましくは、ハイブリダイズ可能な核酸における最小の長さは少なくとも約15ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長、および最も好ましくは長さは少なくとも約30ヌクレオチド長である。さらに、当業者は、温度および洗浄溶液の塩濃度がプローブ長などの要素による必要性に応じて調整可能であることを理解するであろう。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的部分」は、当業者による配列のマニュアル評価またはコンピュータによる自動配列比較およびBLAST(アルシュール S.F.(Altschul S.F.)ら、J.Mol.Biol.、215:403−410頁(1993年))などのアルゴリズムを用いる同定のいずれかによってポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するのに十分なポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含む部分である。一般に、ポリペプチドまたは核酸配列を既知のタンパク質または遺伝子に対して相同性のあるものとして推定的に同定するのに、10以上の隣接アミノ酸または30以上のヌクレオチドの配列が必要である。さらに、ヌクレオチド配列に関しては、遺伝子同定の配列依存性の方法(例えばサザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのインサイチュ・ハイブリダイゼーション)では20〜30の隣接ヌクレオチドを含む遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプローブが用いられうる。さらに、プライマーを含む特定の核酸断片を得るため、12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドがPCRにおける増幅プライマーとして用いられうる。したがって、ヌクレオチド配列の「実質的部分」は、同配列を含む核酸断片を特異的に同定するかつ/または単離するのに十分な配列を含む。本明細書では、特定の真菌タンパク質をコードする完全なアミノ酸およびヌクレオチド配列について教示される。本明細書中で報告される配列において利益を有する当業者は、ここでは開示される配列の全部または実質的部分を当業者に既知の目的のために使用できる。したがって、本発明は、添付の配列表にて報告される完全な配列、ならびに上で定義された配列の実質的部分を含む。
「相補的」という用語は、互いにハイブリダイズ可能なヌクレオチド塩基間の関係性を記述するのに用いられる。例えばDNAに関しては、アデノシンがチミンに対して相補的でありかつシトシンがグアニンに対して相補的である。
「相同性」および「相同性のある」という用語は、本明細書中で同義的に用いられる。それらは、1つもしくは複数のヌクレオチド塩基における変化が核酸断片の遺伝子発現を媒介するかまたは特定の表現型を生成する能力に作用することのない場合の核酸断片を示す。これらの用語は、初期の未修飾断片に対し、得られる核酸断片の機能的特性を実質的に改変することのない、1つもしくは複数のヌクレオチドの欠失または挿入などの本発明の核酸断片の修飾も示す。したがって、当業者が理解するように、本発明が特定の模範的な配列を超えるものを包含することが理解される。
さらに当業者は、本発明で包含される相同性のある核酸配列が中程度にストリンジェントな条件(例えば、0.5×SSC、0.1% SDS、60℃)下で、本明細書中で例示される配列あるいは本明細書で開示されるヌクレオチド配列および本明細書で開示される核酸配列のいずれかに対して機能的に等価なヌクレオチド配列の任意の部分とハイブリダイズするその能力によっても定義されることを理解している。
「コドン縮重」は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に作用することなくヌクレオチド配列の変異を可能にする遺伝子コードにおける性質を示す。当業者は、所定のアミノ酸を特定するためのヌクレオチドコドンの使用における特定の宿主細胞により示される「コドンバイアス」について十分理解している。したがって、宿主細胞内での改善された発現を意図して遺伝子を合成する場合、遺伝子をそのコドン使用の頻度が宿主細胞の好ましいコドン使用の頻度に近づくように設計することが望ましい。
当該技術分野で既知のように、「同一性(%)」という用語は、配列の比較による判定からの、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係性である。当該技術分野では、「同一性」は、場合によっては、かかる配列の文字列の間の一致による判定からの、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の配列の関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、限定はされないが、1.)「Computational Molecular Biology」(レスク A.M.(Lesk A.M.)編) ニューヨーク州のオックスフォード大学(Oxford University)(1988年);2.)「Biocomputing:Informatics and Genome Projects」(スミス D.W.(Smith D.W.)編) ニューヨーク州のアカデミック(Academic)(1993年);3.)「Computer Analysis of Sequence Data、Part I」(グリフィン A.M.(Griffin A.M.)およびグリフィン H.G.(Griffin H.G.)編) ニュージャージー州のヒューマニア(Humania)(1994年);4.)「Sequence Analysis in Molecular Biology」(フォン・ハインヘ G.(von Heinje G.)編) アカデミック(Academic)(1987年);ならびに5.)「Sequence Analysis Primer」(グリブスコフ M.(Gribskov M.)およびデベルクス J.(Devereux J.)編) ニューヨーク州のストックトン(Stockton)(1991年)に記載の方法を含む既知の方法により容易に計算されうる。
同一性を判定するための好ましい方法が試験される配列間に最適な一致を与えるように設計される。同一性および類似性を判定するため方法は、公的に利用可能なコンピュータープログラム内にコード化される。配列アラインメントおよび同一性パーセントの計算は、LASERGENEバイオインフォマティクス・コンピューティング・スイート(bioinformatics computing suite)のMegAlign(商標)プログラム(ウィスコンシン州マディソン(Madison)のディーエヌエースター(DNASTAR Inc.))を用いて行われうる。配列の複数のアラインメントが、Clustal Vと称されるアラインメント法に対応する「アラインメントのClustal V法」を含む数種類のアルゴリズムを包含する「アラインメントのClustal法」を用いて行われ(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)、CABIOS.5:151−153頁(1989年);ヒギンズ D.G.(Higgins D.G.)ら、Comput.Appl.Biosci.、8:189−191頁(1992年)で記載)、かつLASERGENEバイオインフォマティクス・コンピューティング・スイートのMegAlign(商標)プログラム(ディーエヌエースター(DNASTAR Inc.)において見出される。複数のアラインメントにおいては、デフォルト値はギャップペナルティ=10およびギャップ長ペナルティ=10に対応する。Clustal法を用いる、タンパク質配列のペアワイズアラインメントおよび同一性パーセントの計算におけるデフォルトパラメータが、KTUPLE=1、ギャップペナルティ=3、ウインドウ(WINDOW)=5およびダイアゴナルズセイブド(DIAGONALS SAVED)=5である。核酸においては、これらのパラメータはKTUPLE=2、ギャップペナルティ=5、ウインドウ=4およびダイアゴナルズセイブド=4である。Clustal Vプログラムを用いての配列のアラインメント後、同じプログラム内の「配列距離(sequence distances)」表を見ることにより「同一性パーセント」を得ることが可能である。さらに、「Clustal Wのアラインメント法」が利用可能あり、Clustal Wと称されるアラインメント法に対応し(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)、CABIOS.5:151−153頁(1989年);ヒギンズ D.G.(Higgins D.G.)ら、Comput.Appl.Biosci.8:189−191頁(1992年)で記載)、LASERGENEバイオインフォマティクス・コンピューティング・スイートのMegAlign(商標)v6.1プログラム(DNASTAR Inc.)において見出される。複数のアラインメントにおけるデフォルトパラメータ(ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.2、ディレイ・ディバージェン配列(Delay Divergen Seqs)(%)=30、DNAトランジション・ウェイト(Transition Weight)=0.5、タンパク質重み行列(Protein Weight Matrix)=Gonnetシリーズ(Series)、DNA重み行列(Weight Matrix)=IUB)。Clustal Wプログラムを用いての配列のアラインメント後、同じプログラム内の「配列距離」表を見ることにより「同一性パーセント」を得ることが可能である。
配列同一性の多数のレベルが、同一または類似の機能または活性を有するポリペプチドを他の種から同定するのに有用であることが当業者により十分に理解されている。同一性パーセントの有用な例が、限定はされないが、24%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含むか、あるいは24%〜100%の任意の整数の百分率、例えば、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%が、本発明を記載する上で有用でありうる。適切な核酸断片が、上記の相同性を有するだけでなく、典型的には少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも150個のアミノ酸、さらにより好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、および最も好ましくは少なくとも250個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析にとって有用な任意のコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを示す。「配列分析ソフトウェア」は商業的に利用可能であるかまたは個別に開発される場合がある。典型的な配列分析ソフトウェアは、限定はされないが、1.)プログラムのGCGスイート(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)バージョン9.0、ウィスコンシン州マディソン(Madison)のジェネティック・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)(GCG));2.)BLASTP、BLASTN、BLASTX(アルシュール(Altschul)ら、J.Mol.Biol.、215:403−410頁(1990年));3.)DNASTAR(ウィスコンシン州マディソン(Madison)のディーエヌエースター(DNASTAR Inc.));4.)Sequencher(ミシガン州アナーバー(Ann Arbor)のジーン・コード・コーポレーション(Gene Codes Corporation));および5.)Smith−Watermanアルゴリズム(W.R.ピアソン(W.R.Pearson)、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994年)、会合日1992年、111−20頁.スナイ(Suhai)編、ニューヨーク州ニューヨーク(New York)のサンダー・プレナム(Sandor.Plenum))を組み入れたFASTAプログラムを含むことになる。本願における文脈の中で、配列分析ソフトウェアが分析に用いられる場合、分析の結果が、他に規定がない限り、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解されるであろう。本明細書で用いられる「デフォルト値」は、最初に初期化される際に最初にソフトウェアが読み込む任意の値またはパラメータのセットを意味することになる。
本明細書で用いられる「コード配列」または「CDS」という用語は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を示す。「適切な調節配列」は、上流(5’非コード配列)またはコード配列の下流(3’非コード配列)内に位置するヌクレオチド配列を示し、関連のコード配列の転写、RNAのプロセシングまたは安定性あるいは翻訳に作用する。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含みうる。
「プロモーター」という用語は、コード配列または機能RNAの発現を制御可能なDNA配列を示す。一般に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、その全体として天然遺伝子に由来するか、または天然に見出される異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されるか、またはさらに合成DNAセグメントを含む場合がある。異なるプロモーターが異なる組織または細胞種における、あるいは発生の異なる段階で、あるいは異なる環境または生理的状態に応答して遺伝子の発現を誘導可能であることが当業者により理解されている。遺伝子における大部分の細胞種内でほぼ常に発現を誘導するプロモーターが一般に「構成プロモーター」と称される。さらに、ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全に規定されていないことから、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有しうると理解されている。
「作動可能に連結される」という用語は、一方の機能が他方により影響を受けるような核酸配列の単一の核酸断片上への結合を示す。例えば、プロモーターが、そのコード配列の発現に効果を及ぼすことが可能である(すなわちコード配列がプロモーターの転写調節下にある)場合、コード配列に作動可能に連結されている。コード配列は調節配列にセンスまたはアンチセンス方向に作動可能に連結されうる。
本明細書で用いられる「発現」という用語は、本発明の核酸断片に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を示す。発現はmRNAのポリペプチドへの翻訳も示しうる。
本明細書で用いられる「形質転換」という用語は、核酸断片の宿主生物への転移を示し、遺伝的に安定な遺伝的形質をもたらす。形質転換された核酸断片を有する宿主生物は、「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換された」生物と称される。
「プラスミド」および「ベクター」という用語は、細胞の中央代謝の一部でない、遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA断片の形態である余分な染色体要素を示す。かかる要素は、任意の供給源に由来する線状または環状の一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAにおける自己複製配列、ゲノム結合(integrating)配列、ファージまたはヌクレオチド配列である場合があり、ここでは多数のヌクレオチド配列が適切な3’未翻訳配列を有する選択された遺伝子産物におけるプロモーター断片およびDNA配列を細胞に導入可能な固有の作成物に連結されるかまたは組換えられている。「形質転換ベクター」は、外来遺伝子を有し、かつ特定の宿主細胞の形質転換を促進する、外来遺伝子に加わる要素を有する特定のベクターを示す。
本明細書で用いられる「コドン縮重」という用語は、コードされたポリペプチドのアミノ酸配列に作用することなくヌクレオチド配列の変異を可能にする遺伝子コードにおける性質を示す。当業者は、所定のアミノ酸を特定するための、ヌクレオチドコドンの使用時に特定の宿主細胞により示される「コドンバイアス」について十分に理解している。したがって、宿主細胞内での改善された発現のために遺伝子を合成する場合、遺伝子をそのコドン使用の頻度が宿主細胞での好ましいコドンの使用の頻度に近づくように設計することが望ましい。
「コドンが最適化された」という用語は、様々な宿主の形質転換における核酸分子の遺伝子またはコード領域を示すとき、DNAによってコードされるポリペプチドを改変することなく宿主生物の典型的なコドンの使用を反映するための核酸分子の遺伝子またはコード領域におけるコドンの改変を示す。
「発酵生成物培地」という用語は、生成物が培地内に存在するように発酵が生じている培地を示す。
ここで用いられる標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サムブルック J.(Sambrook J.)、フリッツ E.F.(Fritsch E.F.)およびマニアティス T.(Maniatis T.)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1989年)(以後「マニアティス(Maniatis)」);シルハヴィ T.J.(Silhavy T.J.)、ベナン M.L.(Bennan M.L.)、およびエンキスト L.W.(Enquist L.W.)、Experiments with Gene Fusions、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1984年);ならびにアウスベル F.M.(Ausubel F.M.)ら、Current Protocols in Molecular Biology、グリーン・パブリッシング・アソシエーション・アンド・ウィレイ・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience)発行(1987年)に記載されている。
2−ブタノールおよび2−ブタノンの生合成経路
炭水化物を使用する微生物が、中央代謝経路としてエムデン・マイヤーホフ・ パルナス(EMP)経路、エントナー−ドドロフ経路およびペントースリン酸回路を用い、成長および維持のためにエネルギーおよび細胞前駆体を生成する。これらの経路は、共通に中間体のグリセルアルデヒド−3−リン酸を有し、最終的にピルビン酸塩が直接にかまたはEMP経路と相まって形成される。糖のピルビン酸塩への変換の組み合わされた反応により、エネルギー(例えばアデノシン−5’−3リン酸、ATP)および還元等価物(例えば還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、NADH、および還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、NADPH)が生成される。NADHおよびNADPHはそれらの酸化形態(各々、NADおよびNADP)に再循環されなければならない。無機の電子受容体(例えばO、NO およびSO 2−)の存在下で還元等価物を用いるとエネルギープールが増大しうるか、あるいは還元された炭素副産物が形成されうる。
本発明は、組換え微生物を用い、ピルビン酸塩から2−ブタノンまたは2−ブタノールへの完全な生合成経路を提供することにより、炭水化物源からの2−ブタノンまたは2−ブタノールの生成を可能にする。3つの追加の経路が記載される。2−ブタノールが任意の細菌発酵の主要な生成物であることは知られていないが、既知の生化学的反応タイプを介する2−ブタノールの生成については多数の有望な経路が存在する。これらの経路は図1に示される。下記の文字およびローマ数字は、図1中の文字およびローマ数字(各々、変換ステップおよび生成物を表すために用いられる)に対応する。下記のように、2−ブタノンはこれらの2−ブタノール生合成経路のすべてにおける中間体である。
経路のすべてが、図1中の生成物の変換(a)に対する基質として示されるα−アセト乳酸(I)を生成する、2個のピルビン酸塩分子の初期反応から始まる。α−アセト乳酸からは、2−ブタノン(V)に向けて、本明細書中で2−ブタノン生合成経路と称される4つの有望な経路が存在する。
経路1)I−−−>II−−−>III−−−>IV−−−>V(生成物の変換b、c、d、eに対する基質)これは本発明の経路である。
2)I−−−>II−−−>VII−−−>IV−−−>V(生成物の変換b、g、h、eに対する基質)
3)I−−−>II−−−>VIII−−−>V(生成物の変換b、i、jに対する基質):
4)I−−−>IX−−−>X−−−>V(生成物の変換k、l、mに対する基質)
2−ブタノール生合成経路は2−ブタノン(V)から2−ブタノール(VI)への変換で完了する。各経路内での生成物の変換に対する基質に関する詳細な考察については下記に示される。
経路1:
(a)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ
経路1における初期ステップは、ピルビン酸塩の2分子のα−アセト乳酸の1分子への変換(図1における化合物I)およびチアミンピロリン酸依存性酵素によって触媒される二酸化炭素の1分子への変換である。生成物の変換に対してこの基質を触媒する酵素(一般にアセト乳酸シンターゼまたはアセトヒドロキシ酸シンターゼのいずれかで称される;EC2.2.1.6[2002年における4.1.3.18から変更])が周知であり、それらはタンパク質新生(proteinogenic)アミノ酸であるロイシンおよびバリンにおける生合成経路ならびに多数の生物における2,3−ブタンジオールおよびアセトインの発酵生成における経路に関与する。
当業者は、種々の供給源から単離されるアセト乳酸シンターゼ活性を有するポリペプチドが本発明において配列相同性とは無関係に有用になることを理解するであろう。適切なアセト乳酸シンターゼ酵素のいくつかの例が、多数の供給源、例えば枯草菌[GenBank番号:AAA22222 NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information))アミノ酸配列(配列番号77)、L04470 NCBIのヌクレオチド配列(配列番号76)]、クレブシエラ・テリゲナ[GenBank番号:AAA25055(配列番号79)、L04507(配列番号78)]、およびクレブシエラ・ニューモニエ[GenBank番号:AAA25079(配列番号4)、M73842(配列番号3)]から入手可能である。好ましいアセト乳酸シンターゼ酵素は、配列番号4、77、および79に対して少なくとも80%〜85%の同一性を有するものであり、ここでは少なくとも85%〜90%の同一性がより好ましく、かつギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づくと少なくとも95%の同一性が最も好ましい。
(b)α−アセト乳酸からアセトインへ
α−アセト乳酸(I)が、アセト乳酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.5)などの酵素の作用によってアセトイン(II)に変換される。アセト乳酸シンターゼのように、この酵素はチアミンピロリン酸依存性であり、多数の生物による2,3−ブタンジオールおよびアセトインの生成にも関与する。異なる供給源由来の酵素は、大きさ(25〜50キロダルトン)、オリゴマー化(2量体〜6量体)、局在化(細胞外または細胞内)、およびアロステリック調節(例えば分岐鎖アミノ酸による活性化)においてかなり広範に変化する。本発明の目的としては、細胞内位置が細胞外位置よりも好ましいが、他の変化は一般に許容可能である。
当業者は、種々の供給源から単離されるアセト乳酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドが本発明において配列相同性とは無関係に有用になることを理解するであろう。適切なアセト乳酸デカルボキシラーゼ酵素のいくつかの例が、多数の供給源、例えば枯草菌[GenBank番号:AAA22223(配列番号81)、L04470(配列番号80)]、クレブシエラ・テリゲナ[GenBank番号:AAA25054(配列番号83)、L04507(配列番号82)]およびクレブシエラ・ニューモニエ[GenBank番号:AAU43774(配列番号2)、AY722056(配列番号1)]から入手可能である。
好ましいアセト乳酸デカルボキシラーゼ酵素は、配列番号2、81および83に対して少なくとも80%〜85%の同一性を有するものであり、ここでは少なくとも85%〜90%の同一性がより好ましく、かつギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づくと少なくとも95%の同一性が最も好ましい。
(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ
アセトイン(II)から3−アミノ−2−ブタノール(III)への生成物の変換に対して基質に効果をもたらしうる生化学的反応には、特に2つの既知のタイプ、すなわち付随するアミノ供与体を用いるピリドキサルリン酸依存性のアミノ基転移およびアンモニアを用いる直接還元的アミノ化(direct reductive amination)が存在する。後者では、還元等価物が還元されたニコチンアミド共同因子(NADHまたはNADPHのいずれか)の形態で供給される。基質としてのアセトインでこの反応を触媒するNADH依存性酵素の例が、イトウ(Ito)ら(米国特許第6,432,688号明細書)によって報告されている。この酵素の任意の立体特異性については評価がなされていない。アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換を触媒するピリドキサルリン酸依存性のトランスアミナーゼの例が、シン(Shin)およびキム(Kim)(上記)によって報告されている。この酵素は、本明細書中の実施例13で、アセトインの(R)異性体を3−アミノ−2−ブタノールの(2R、3S)異性体に変換しかつアセトインの(S)異性体を3−アミノ−2−ブタノールの(2S、3S)異性体に変換することが示された。酵素のいずれかのタイプ(すなわちトランスアミナーゼまたは還元性アミナーゼ)がアセトインアミナーゼであると考えられ、かつ2−ブタノールの生成において用いられうる。この群における他の酵素については異なる立体特異性を有しうる。
当業者は、種々の供給源から単離されるアセトインアミナーゼ活性を有するポリペプチドが本発明において配列相同性とは無関係に有用になることを理解するであろう。この活性の一例が本明細書中に記載され、配列番号122であることが同定されている。したがって、好ましいアセトインアミナーゼ酵素は、配列番号122に対して少なくとも80%〜85%の同一性を有するものであり、ここでは少なくとも85%〜90%の同一性がより好ましく、かつギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づくと少なくとも95%の同一性が最も好ましい。
(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸へ
3−アミノ−2−ブタノール(III)から3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩(IV)への生成物の変換に対して基質を触媒する当該技術分野で既知の酵素は全く存在しない。しかし、数種のシュードモナス(Pseudomonas)種およびエルウィニア種が、窒素源としてのエタノールアミンまたは1−アミノ−2−プロパノールの利用を可能にするATP依存性のエタノールアミンキナーゼ(EC2.7.1.82)を発現することが示されている(ジョーンズ(Jones)ら (1973年) Biochem.J. 134:167−182頁)。この酵素が3−アミノ−2−ブタノールに対する活性も有するかまたは同活性を有するように設計可能であることから、アミノブタノールキナーゼがもたらされる可能性が高い。本発明では、実施例14でタンパク質(配列番号24)をコードするエルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカの遺伝子(配列番号123)が記載される。これは、アミノアルコールキナーゼとして同定されている。この酵素を用い、3−アミノ−2−ブタノールを3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸に変換することが可能である。
当業者は、種々の供給源から単離されるアミノブタノールキナーゼ活性を有するポリペプチドが本発明において配列相同性とは無関係に有用になることを理解するであろう。この活性の一例が本明細書中に記載され、配列番号124であることが同定されている。したがって、好ましいアミノブタノールキナーゼ酵素は、配列番号124に対して少なくとも80%〜85%の同一性を有するものであり、ここでは、少なくとも85%〜90%の同一性がより好ましく、かつギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づくと少なくとも95%の同一性が最も好ましい。
(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩から2−ブタノンへ
3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩(IV)の2−ブタノン(V)への生成物の変換に対する基質を触媒することが報告されている酵素は全く存在しないが、基質は少数のシュードモナス種およびエルウィニア種において見出されている、ピリドキサルリン酸依存性のホスホエタノールアミンホスホ−リアーゼ酵素によって用いられるものに酷似している。これらの酵素は、ホスホエタノールアミンおよび2−ホスホ−1−アミノプロパンの両鏡像異性体に対する活性を有し(ジョーンズ(Jones)ら (1973年) Biochem.J. 134:167−182頁)、かつ3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸に対する活性も有しうる。本明細書では、クラスIIIアミノトランスフェラーゼに対して相同性を有するタンパク質(配列番号126)をコードするエルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカの遺伝子(配列番号125)が同定される。実施例15は、この酵素がアミノプロパノールリン酸塩およびアミノブタノールリン酸塩の基質の双方において活性があることを示す。新規に同定され特徴づけられた酵素は、(R)−3−アミノ−(S)−2−ブタノールと(S)−3−アミノ−(R)-2−ブタノールO−リン酸の混合物、および(R)−3−アミノ−(R)−2−ブタノールと(S)−3−アミノ−(S)−2−ブタノールO−リン酸の混合物の2−ブタノンへの変換を触媒することができた。新規に同定され特徴づけられた酵素は、(R)−2−アミノ−1−プロパノールリン酸塩および(S)−2−アミノ−1−プロパノールリン酸塩の双方((S)−2−アミノ−1−プロパノールリン酸塩の方が好ましい)のプロパノンへの変換も触媒することができた。最も高い活性が提示された天然基質のDL−1−アミノ−2−プロパノールリン酸塩の場合に観察され、それはプロピオンアルデヒドに変換された。
当業者は、種々の供給源から単離されるアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ活性を有するポリペプチドが本発明において配列相同性とは無関係に有用になることを理解するであろう。アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ酵素の一例が、本明細書中で配列番号126として記載される。したがって、好ましいアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ酵素は、配列番号126に対して少なくとも80%〜85%の同一性を有するものであり、ここでは少なくとも85%〜90%の同一性がより好ましく、かつギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づくと少なくとも95%の同一性が最も好ましい。
(f)2−ブタノンから2−ブタノールへ
ピルビン酸から2−ブタノールを生成するための全経路における最終ステップが2−ブタノン(V)から2−ブタノール(VI)への還元である。生成物の変換に対するこの基質は、ブタノール脱水素酵素と称されうるアルコール脱水素酵素(酵素に応じ、水素化物の供給源としてNADHまたはNADPHのいずれかを利用するタイプ)の広範なクラスの一部のメンバーによって触媒される。2−ブタノンの還元を触媒する各タイプの酵素は、上記のブタノール脱水素酵素における定義において周知である。
当業者は、種々の供給源から単離されるブタノール脱水素酵素活性を有するポリペプチドが本発明において配列相同性とは無関係に有用になることを理解するであろう。適切なブタノール脱水素酵素のいくつかの例が、多数の供給源、例えばロドコッカス・ルバー[GenBank番号:CAD36475(配列番号14)、AJ491307(配列番号13)]から入手可能である。NADP依存性酵素はEC1.1.1.2として既知であり、例えばピロコッカス・フリオサス[GenBank番号:AAC25556(配列番号91)、AF013169(配列番号90)]から入手可能である。さらに、ブタノール脱水素酵素が大腸菌(Escherichia coli)[GenBank番号:NP_417484(配列番号75)、NC_000913(配列番号74)]から入手可能であり、シクロヘキサノール脱水素酵素がアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)[GenBank番号:AAG10026(配列番号72)、AF282240(配列番号71)]から入手可能である。好ましいブタノール脱水素酵素は、配列番号14、91、75、および72に対して少なくとも80%〜85%の同一性を有するものであり、ここでは少なくとも85%〜90%の同一性がより好ましく、かつギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づくと少なくとも95%の同一性が最も好ましい。
経路2:
(a)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
(b)α−アセト乳酸からアセトインへ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
(g)アセトインからホスホアセトインへ
アセトイン(II)のホスホアセトイン(VII)への生成物の変換に対して基質を触媒する酵素が記載されていないが、基質であるアセトインの構造はジヒドロキシアセトンの構造に酷似していることから、アセトインはジヒドロキシアセトンのリン酸化を触媒する酵素であるジヒドロキシアセトンキナーゼ(EC2.7.1.29)に対して許容できる基質でありうる。酵素の基質特異性の改変におけるタンパク質工学技術は周知であり(アンチカイネン(Antikainen)およびマーチン(Martin)(2005年) Bioorg.Med.Chem. 13:2701−2716頁)、それを用い、要求される特異性を有する酵素の生成が可能である。この変換では、リン酸塩部分は任意の高エネルギーの生物学的リン酸供与体により供給可能であり、ここでの共通の基質はホスホエノールピルビン酸(大腸菌のジヒドロキシアセトンキナーゼなどの場合)およびATP(シトロバクター・フロインディイのジヒドロキシアセトンキナーゼなどの場合)である(ガルシア−アレス(Garcia−Alles)ら(2004年) Biochemistry 43:13037−13045頁)。
(h)ホスホアセトインから3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸へ
ホスホアセトイン(VII)から3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸(IV)への生成物の変換に対して基質を触媒する酵素についての記載がなされていないが、基質の構造は、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)の一部の種におけるrtxA遺伝子の5’部分によってコードされる提示されたセリノールリン酸アミノトランスフェラーゼにおける基質であるジヒドロキシアセトンリン酸の構造に酷似している(ヤスタ(Yasuta)ら、上記)。したがって、セリノールリン酸アミノトランスフェラーゼはこのステップにおいて機能的でありうる。
(e)3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸から2−ブタノンへ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
(f)2−ブタノンから2−ブタノールへ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
経路3:
(a)ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
(b)α−アセト乳酸からアセトインへ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
(i)アセトインから2,3−ブタンジオールへ
アセトイン(II)から2,3−ブタンジオール(VIII)への生成物の変換に対する基質は、還元時に還元等価物の供給源としてNADHまたはNADPHのいずれかを用いうるブタンジオール脱水素酵素により触媒されうる。アセトインに対する活性を有する酵素が、2,3−ブタンジオールを生成する、生物内の同化合物の生成のための経路に関与する。報告された酵素(例えば、クレブシエラ・ニューモニエ由来のBudC(ウイ(Ui)ら(2004年) Letters in Applied Microbiology 39:533−537頁))は一般にNADHを用いる。いずれかの共同因子がこの経路による2−ブタノールの生成における使用として許容できる。
(j)2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへ
2,3−ブタンジオール(VIII)から2−ブタノン(V)への生成物の変換に対する基質は、ジオールデヒドラターゼ酵素(EC4.2.1.28)およびグリセロールデヒドラターゼ酵素(EC4.2.1.30)により触媒されうる。最もよく特徴づけられたジオールデヒドラターゼは補酵素であるB12依存性のクレブシエラ・オキシトカの酵素であるが、類似の酵素が多数の腸内細菌内に見出される。クレブシエラ・オキシトカの酵素は、基質としてメソ−2,3−ブタンジオールを許容し(バチョブチン(Bachovchin)ら(1977年) Biochemistry 16:1082−1092頁)、所望の生成物である2−ブタノンを生成することが示されている。実施例17は、クレブシエラ・ニューモニエのグリセロールデヒドラターゼによりメソ−2,3−ブタンジオールを2−ブタノンに変換できたことを示している。クレブシエラ・ニューモニエのグリセロールデヒドラターゼの3つのサブユニット(α:配列番号145(コード領域)および146(タンパク質);β:配列番号147(コード領域)および148(タンパク質);ならびにγ:配列番号149(コード領域)および150(タンパク質))を、クレブシエラ・ニューモニエのグリセロールデヒドラターゼのレアクティバーゼ(reactivase)の2つのサブユニット(大型サブユニット、配列番号151(コード領域)および152(タンパク質);ならびに小型サブユニット、配列番号153(コード領域)および154(タンパク質))と併せて発現させることで活性がもたらされた。
クロストリジウム・グリコリカム(Clostridium glycolicum)由来のB12に独立性のジオールデヒドラターゼに関する文献においてもいくつかの報告がある(ハートマニス(Hartmanis)ら、(1986年) Arch.Biochem.Biophys. 245:144−152頁)。この酵素は2,3−ブタンジオールに対する活性を有し、この活性はエタンジオールに対する活性の1%未満であるが、酵素をその活性の改善を意図して設計することが可能である。より十分に特徴づけられたB12に独立性のデヒドラクターゼがクロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)由来のグリセロールデヒドラターゼであり(オブライエン(O’Brien)ら、(2004年) Biochemistry 43:4635−4645頁)、それは1,2−プロパンジオールおよびグリセロールに対して高い活性を有する。この酵素はアデノシル基の供給源としてS−アデノシルメチオニンを用いている。2,3−ブタンジオールに対する活性についての報告は全くないが、かかる活性は既存でない場合に設計可能であると思われる。
(f)2−ブタノンから2−ブタノールへ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
経路4:
(a) ピルビン酸塩からα−アセト乳酸へ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
(k)α−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシ−2−メチル酪酸へ
アセト乳酸塩(I)から2,3−ジヒドロキシ−2−メチル酪酸(IX)への生成物の変換に対する基質は当該技術分野で未知である。しかし、この変換の生成物は発酵液の成分として報告されているが(ジアディ(Ziadi)ら、(1973年)「Comptes Rendus des Seances de l’Academie des Sciences,Serie D:Sciences Naturelles」 276:965−8頁)、形成の機序は未知である。有望な形成の機序は、アセト乳酸塩の電子供与体としてのNADHまたはNADPHによる還元である。2−ブタノールの生成におけるこの経路を用いるため、この反応を触媒する酵素が同定または設計される必要がある。しかし、ケトンからアルコールへの酵素還元における先行技術は十分に確立されている。
(l)2,3−ジヒドロキシ−2−メチル酪酸から2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ホスホブタン酸(phosphobutanoic acid)へ
2,3−ジヒドロキシ−2−メチル酪酸(IX)から2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ホスホブタン酸(X)への生成物の変換に対して基質を触媒する既知の酵素は全く存在しない。しかし、天然には様々な特異性を有する多数のキナーゼが存在する。したがって、酵素がこの活性を用いて単離または設計されうる可能性が高い。
(m)2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ホスホブタン酸から2−ブタノンへ
2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ホスホブタン酸(X)から2−ブタノン(V)への生成物の変換に対して基質を触媒する既知の酵素は全く存在しない。この反応と先の反応との組み合わせはメバロン酸5−ピロリン酸(M5PP)デカルボキシラーゼにより触媒される多段階ステップの反応に酷似し、それはM5PPから3−ホスホメバロン酸5−PPへの初期リン酸化と、それに続くリン酸塩の脱炭酸化依存性の除去からなる(アルベア(Alvear)ら、(1982年) Biochemistry 21:4646−4650頁)。
(f)2−ブタノンから2−ブタノールへ
生成物の変換に対するこの基質は経路1における上記のものと同様である。
したがって、ピルビン酸塩から2−ブタノールへの複数の組換え経路を提供する上で個々の変換ステップを実行するための多数の選択肢が存在し、当業者は公的に使用可能な配列および本明細書中に開示される配列を使用して関連経路を構築することができるであろう。当該技術分野で既知でありかつ2−ブタノール生合成経路の構築において有用な遺伝子の代表的番号のリストが上記の表1および2に示される。
2−ブタノールおよび2−ブタノンの生成における微生物宿主
2−ブタノールまたは2−ブタノンの生成における微生物宿主が、細菌、シアノバクテリア(cyanobacteria)、糸状菌および酵母から選択されうる。2−ブタノールまたは2−ブタノンの生成において用いられる微生物宿主は、収量が生成される生成物の宿主に対する毒性により制限されないように、生成物に対して耐性を有する必要がある。2−ブタノールの生成における微生物宿主の選択が下記に詳細に記載される。同様の基準が、2−ブタノンの生成における宿主の選択に適用される。
2−ブタノールの高い滴定レベルで代謝活性のある微生物については当該技術分野で周知である。ブタノールに耐性がある突然変異体がソルベントジェニック(solventogenic)のクロストリジア(Clostridia)から単離されているが、他の潜在的に有用な細菌株のブタノール耐性に関して入手可能な情報はほとんどない。細菌におけるアルコール耐性の比較についての大部分の研究によると、ブタノールがエタノールよりも毒性が高いことが示唆されている(デ・カバリョ(de Cavalho)ら、Microsc.Res.Tech. 64:215−22頁(2004年)およびカベリッツ(Kabelitz)ら、FEMS Microbiol.Lett. 220:223−227頁(2003年))。トマス(Tomas)ら(J.Bacteriol.186:2006−2018頁(2004年))は、クロストリジウム・アセトバティリカム(Clostridium acetobutylicum)における発酵の間での1−ブタノールの収量がブタノール毒性により制限されうることを報告している。クロストリジウム・アセトバティリカムに対する1−ブタノールの主な効果は膜機能の破壊である(ヘルマン(Hermann)ら、Appl.Environ.Microbiol. 50:1238−1243頁(1985年))。
2−ブタノールの生成において選択される微生物宿主は、2−ブタノールに対して耐性があり、かつ導入された生合成経路を用いて炭水化物を2−ブタノールに変換可能である必要がある。適切な微生物宿主の選択における基準は、2−ブタノールに対する本質的な耐性、高率の炭水化物の利用、遺伝子操作における遺伝子ツールの利用可能性、および安定な染色体改変をもたらす能力を含む。
2−ブタノールに対する耐性を有する適切な宿主株が、株の本質的耐性に基づくスクリーニングにより同定されうる。2−ブタノールに対する微生物の本質的耐性は、最少培地内で成長する場合、成長率の50%の阻害(IC50)を担う2−ブタノールの濃度を判定することにより測定されうる。IC50値は当該技術分野で既知の方法を用いて判定可能である。例えば、目的の微生物は様々な量の2−ブタノールの存在下で成長可能であり、成長率が600ナノメーターでの光学密度の測定により監視可能である。倍加時間は、成長曲線の対数部分から計算可能であり、成長率の測定値として使用可能である。成長の50%の阻害をもたらす2−ブタノールの濃度は、成長の阻害率パーセント対2−ブタノール濃度のグラフから判定可能である。好ましくは、宿主株は約0.5%を超える2−ブタノールにおいてIC50を有する必要がある。約1.5%を超える2−ブタノールにおけるIC50を有する宿主株がより適切である。約2.5%を超える2−ブタノールにおけるIC50を有する宿主株が特に適切である。
2−ブタノールの生成における微生物宿主は、グルコースおよび/または他の炭水化物も高率で利用する必要がある。大部分の微生物が炭水化物を使用可能である。しかし、特定の環境微生物については炭水化物を効率的に使用できず、それ故に適切な宿主にならないことになる。
宿主を遺伝的に改良する能力は組換え微生物の生成にとって必須である。利用可能な遺伝子導入技術は、エレクトロポレーション、複合、形質導入または自然形質転換を含む。広範囲の宿主との複合プラスミドおよび薬剤耐性マーカーが使用可能である。生物で用いられるクローニングベクターは、宿主生物内で機能しうる抗生物質耐性マーカーの性質に基づいて宿主生物に適合される。
微生物宿主はまた、様々な遺伝子の不活性化により炭素フローにおける競合経路を不活性化するように操作されうる。これには不活化を誘導するためのトランスポゾンまたは染色体組込みベクターのいずれかが使用できることが求められる。さらに、化学的突然変異誘発に従順な生成宿主が、化学的突然変異誘発および突然変異体のスクリーニングを通じて本質的な2−ブタノールの耐性における改善を受ける可能性がある。
上記の基準に基づき、2−ブタノールおよび2−ブタノンの生成に適する微生物宿主は、限定はされないが、クロストリジウム属、ザイモモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、ロドコッカス属、シュードモナス属、バチルス属、乳酸桿菌属、腸球菌属、ペディオコッカス属、アルカリゲネス属、クレブシエラ属、パエニバチルス属、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、ピキア属、カンジダ属、ハンセヌラ属およびサッカロミセス属のメンバーを含む。好ましい宿主は、大腸菌、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、プランタラム菌(Lactobacillus plantarum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ガリナリウム(Enterococcus gallinarium)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、枯草菌およびサッカロミケスセレビシエを含む。
生成宿主の作成
2−ブタノールまたは2−ブタノンに対する発酵性炭素基質の変換における酵素経路をコードする必須遺伝子を有する組換え生物が、当該技術分野で周知の技術を用いて作成可能である。本発明では、2−ブタノール生合成経路1:アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、アセトインアミナーゼ(またはアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ、およびブタノール脱水素酵素;またはブタノール脱水素酵素を除外した2−ブタノン生合成経路1における酵素をコードする遺伝子が、上記の様々な供給源から単離されうる。
細菌ゲノムから所望の遺伝子を得る方法については一般的であり、かつ分子生物学の技術分野で周知である。例えば、遺伝子の配列が既知である場合、プライマーを設計し、所望の配列をポリメラーゼ連鎖反応などの標準のプライマー特異的増幅方法(米国特許第4,683,202号明細書)を用いて増幅することで、発現ベクターへのクローニングに対して適量のDNAを得ることが可能である。既知の配列に対して異種の遺伝子が単離されることになる場合、適切なゲノムライブラリーが制限エンドヌクレアーゼ消化により生成され、所望の遺伝子配列に対して相補配列を有するプローブを用いてスクリーニングされうる。一旦配列が単離されると、DNAをポリメラーゼ連鎖反応などの標準のプライマー特異的増幅方法(米国特許第4,683,202号明細書)を用いて増幅することで発現ベクターへのクローニングに対して適量のDNAを得ることが可能であり、それは次いで適切な宿主細胞に形質転換される。
さらに、所望の酵素活性を有するタンパク質のアミノ酸配列を仮定すると、コード配列はタンパク質配列を逆翻訳することにより確認されうる。コード配列を有するDNA断片が、合成的に調製され、発現ベクターにクローニングされ、次いで所望の宿主細胞に形質転換されうる。
コード配列を有する合成DNA断片の調製においては、この配列は標的の宿主細胞内での発現において最適化されうる。異種宿主内での発現におけるコドン最適化のためのツールは容易に利用可能である。利用可能なコドン最適化のためのツールには、宿主生物のGC含量に基づくものもある。一部の典型的な微生物宿主のGC含量が表3に示される。
Figure 2009535062
一旦、関連経路の遺伝子が同定されかつ単離されると、それらは当該技術分野で周知の手段により適切な発現宿主に形質転換されうる。種々の宿主細胞の形質転換にとって有用なベクターについては一般的であり、EPICENTRE(登録商標)(ウィスコンシン州マディソン(Madison))、インビトロジェン(Invitrogen Corp.)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))、ストラタジーン(Stratagene)(カリフォルニア州ラホヤ(La Jolla))、およびニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs,Inc.)(マサチューセッツ州ベバリー(Beverly))などの企業から市販されている。典型的には、ベクターは、選択可能マーカーおよび所望の宿主内での自己複製または染色体組込みを可能にする配列を有する。さらに、適切なベクターは転写開始制御を内在するプロモーター領域および転写終結制御領域を含み、それらの間にコード領域のDNA断片が挿入されることで挿入されたコード領域の発現がもたらされうる。両方の制御領域は形質転換された宿主細胞に対して相同な遺伝子から誘導されうるが、かかる制御領域が生成宿主として選択される特定の種に対して天然でない遺伝子からも誘導されることが理解されるべきである。
所望の宿主細胞内でのコード領域の関連経路の発現を駆動するのに有用な開始制御領域またはプロモーターについては極めて多数存在し、当業者には知られている。限定はされないが、以下の遺伝子、すなわちCYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI、CUP1、FBA、GPD、およびGPM(サッカロミセスにおける発現に有用);AOX1(ピキアにおける発現に有用)から誘導されるプロモーター;ならびにlac、ara、tet、trp、IPL、IPR、T7、tac、およびtrcプロモーター(大腸菌(Escherichia coli)、アルカリゲネス、およびシュードモナスにおける発現に有用);amy、apr、およびnprプロモーター、ならびに枯草菌、バチルス・リケニフォルミス、およびパエニバチルス・マセランスにおける発現に有用な様々なファージプロモーター;nisA(グラム陽性菌における発現に有用、エイケンバウム(Eichenbaum)ら、Appl.Environ.Microbiol. 64(8):2763−2769頁(1998年));ならびに合成P11プロモーター(プランタラム菌における発現に有用、ルド(Rud)ら、Microbiology 152:1011−1019頁(2006年))を含む、これらの遺伝的因子を駆動可能な事実上任意のプロモーターが本発明にとって適切である。
終結制御領域についても好ましい宿主に対して天然の様々な遺伝子から誘導されうる。場合により終結部位は不要でありうるが、含められる場合が最も好ましい。
特定のベクターが広範囲の宿主細菌内で複製可能であり、かつ複合により導入可能である。pRK404および3つの関連ベクター:pRK437、pRK442、およびpRK442(H)の完全でかつアノテートされた配列が利用可能である。これらの誘導体はグラム陰性菌における遺伝子操作にとって有用なツールであることが判明している(スコット(Scott)ら、Plasmid 50(1):74−79頁(2003年))。広範な宿主範囲のInc P4プラスミドRSF1010における数種のプラスミド誘導体についても、グラム陰性菌の範囲内で機能しうるプロモーターとともに利用可能である。プラスミドpAYC36およびpAYC37が複数のクローニング部位とともに活性プロモーターを有し、グラム陰性菌内での異種の遺伝子発現が可能である。
染色体遺伝子の置換ツールもまた幅広く利用可能である。例えば、広範な宿主範囲のレプリコンpWV101の感熱性の変異体を改良し、遺伝子置換をグラム陽性菌の範囲内で有効にするのに用いられうるプラスミドpVE6002が作成されている(マグイン(Maguin)ら、J.Bacteriol. 174(17):5633−5638頁(1992年))。さらに、インビトロではトランスポゾンがEPICENTRE(登録商標)などの商業的供給元から入手可能であり、それから種々のゲノム内でランダム変異体が生成される。
様々な好ましい微生物宿主内での2−ブタノール生合成経路の発現は下記により詳細に記載される。2−ブタノン生合成経路の発現においては同様の記載が適用されるが、2−ブタノンから2−ブタノールへの生成物の変換における最終の基質は除かれる。
大腸菌内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
大腸菌の形質転換にとって有用なベクターについては一般的であり、先に挙げた企業から市販されている。例えば、2−ブタノール生合成経路の遺伝子は、実施例6および7に記載のように、上記の様々な供給源から単離され、改良されたpUC19ベクター上にクローニングされ、かつ大腸菌NM522に形質転換されうる。あるいは、2−ブタノール生合成経路をコードする遺伝子は、実施例9、10、および11に記載のように、複数のオペロンに分けられ、発現ベクター上にクローニングされ、かつ様々な大腸菌株に形質転換されうる。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
ロドコッカス・エリスロポリス内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
限定はされないがpRhBR17およびpDA71を含むロドコッカス・エリスロポリス(R.erythropolis)内での発現においては、一連の大腸菌−ロドコッカスのシャトルベクターが使用可能である(コスティッカ(Kostichka)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol. 62:61−68頁(2003年))。さらにロドコッカス・エリスロポリス内での異種の遺伝子発現においては、一連のプロモーターが使用可能である(例えば、ナカシマ(Nakashima)ら、Appl.Environ.Microbiol. 70:5557−5568頁(2004年)、およびタオ(Tao)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol. 2005年、DOI10.1007/s00253−005−0064を参照)。ロドコッカス・エリスロポリスの染色体遺伝子における標的遺伝子の破壊が、タオ(Tao)ら、上記、およびブランズ(Brans)ら(Appl.Envion.Microbiol. 66:2029−2036頁(2000年))で記載の方法を用いてもたらされうる。
上記の2−ブタノールの生成において必要とされる異種遺伝子は、最初にpDA71またはpRhBR71にクローニングされ、大腸菌に形質転換されうる。次いでベクターは、コスティッカ(Kostichka)ら、上記に記載のようにエレクトロポレーションによりロドコッカス・エリスロポリスに形質転換されうる。組換え体は、グルコースを含有する合成培地内で成長され、それに続いて2−ブタノールの生成が当該技術分野で既知の発酵方法を用いて行われうる。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
枯草菌内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
枯草菌内での遺伝子発現および変異体の生成のための方法もまた当該技術分野で周知である。例えば、2−ブタノール生合成経路の遺伝子は、実施例8に記載のように、上記の様々な供給源から単離され、改良された大腸菌−バチルスのシャトルベクターにクローニングされ、かつ枯草菌BE1010に形質転換されうる。所望の遺伝子は、バチルスの発現ベクターにクローニングされ、株に形質転換されることで生成宿主が作製されうる。あるいは、遺伝子は、当業者に既知の条件付きのレプリコンまたは自殺ベクターを用いてバチルスの染色体に組み込まれうる。例えば、バチルス・ジェネティック・ストック・センター(Bacillus Genetic Stock Center)は極めて多数の組込みベクターを有している。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
枯草菌内で複製するプラスミドおよびシャトルベクターの大部分を用い、プロトプラスト形質転換またはエレクトロポレーションのいずれかによりバチルス・リケニフォルミスの形質転換が可能である。2−ブタノールの生成において必要とされる遺伝子をプラスミドのpBE20またはpBE60誘導体にクローニング可能である(ナガラジャン(Nagarajan)ら、Gene 114:121−126頁(1992年))。バチルス・リケニフォルミスを形質転換するための方法が当該技術分野で既知である(例えばフレミング(Fleming)ら、Appl.Environ.Microbiol.、61(11):3775−3780頁(1995年)を参照)。枯草菌内での発現のために作製されたプラスミドをバチルス・リケニフォルミスに形質転換することで、2−ブタノールを生成する組換え微生物宿主の生成が可能である。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
パエニバチルス・マセランス内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
プラスミドを、枯草菌(B.subtilis)内での発現にて記載のように作製し、それを用いてパエニバチルス・マセランスをプロトプラスト形質転換により形質転換し、2−ブタノールを生成する組換え微生物宿主を生成することが可能である。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
アルカリゲネス(Alcaligenes)(ラルストニア(Ralstonia))ユートロファス(eutrophus)内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
アルカリゲネス・ユートロファス内での遺伝子発現および変異体の生成のための方法は当該技術分野で既知である(例えばタガビ(Taghavi)ら、Appl.Environ.Microbiol.、60(10):3585−3591頁(1994年)を参照)。2−ブタノール生合成経路における遺伝子を、上記の広範な宿主範囲のベクターのいずれかにクローニングし、アルカリゲネス・ユートロファスにエレクトロポレートすることで2−ブタノールを生成する組換え体を生成することが可能である。アルカリゲネス内でのポリ(ヒドロキシ酪酸)経路は詳細な記載がなされており、アルカリゲネス・ユートロファスのゲノムを改良するための種々の遺伝子技術が既知であり、それらのツールは2−ブタノール生合成経路の設計において適用されうる。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
シュードモナス・プチダ内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
シュードモナス・プチダ内での遺伝子発現のための方法は当該技術分野で既知である(例えば、参照により本明細書中に援用されるベン−バサット(Ben−Bassat)ら、米国特許第6,586,229号明細書を参照)。2−ブタノール生合成経路の遺伝子をpPCU18に挿入し、このライゲートされたDNAをエレクトロコンピテントなシュードモナス・プチダのDOT−T1 C5aAR1細胞にエレクトロポレートすることで2−ブタノールを生成する組換え体を生成することが可能である。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
プランタラム菌内での2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
乳酸桿菌(Lactobacillus)属はラクトバチルス目(Lactobacillales)の科に属し、かつ枯草菌および連鎖球菌の形質転換で用いられる多数のプラスミドおよびベクターが乳酸桿菌において用いられうる。適切なベクターの非限定例には、pAMβ1およびその誘導体(ルノー(Renault)ら、Gene 183:175−182頁(1996年);およびオサリバン(O’Sullivan)ら、Gene 137:227−231頁(1993年));pMBB1およびpHW800、pMBB1の誘導体(ウィコッフ(Wyckoff)ら、Appl.Environ.Microbiol. 62:1481−1486頁(1996年));pMG1、複合プラスミド(タニモト(Tanimoto)ら、J.Bacteriol. 184:5800−5804頁(2002年));pNZ9520(クレールベゼム(Kleerebezem)ら、Appl.Environ.Microbiol. 63:4581−4584頁(1997年));pAM401(フジモト(Fujimoto)ら、Appl.Environ.Microbiol.67:1262−1267頁(2001年));ならびにpAT392(アーサー(Arthur)ら、Antimicrob.Agents Chemother. 38:1899−1903頁(1994年))が含まれる。プランタラム菌由来の数種のプラスミドが報告されている(ヴァン・クラネンバーグ(van Kranenburg)ら、Appl.Environ.Microbiol. 71(3):1223−1230頁(2005年))。
2−ブタノール生合成経路における様々な遺伝子は、上記のベクターなどの任意の適切なベクターに構築可能である。コドンは、プランタラム菌またはラクトバチルス・アリゾネンシス(Lactobacillus arizonensis)のゲノム配列から推定されるコドンインデックス(codon index)に基づいて発現のために最適化されうる。プラスミドは、当該技術分野で既知の方法、例えばエレクトロポレーション(クルス−ロッズ(Cruz−Rodz)ら、Molecular Genetics and Genomics 224:1252−154頁(1990年)、ブリンゲル(Bringel)ら、Appl.Microbiol.Biotechnol. 33:664−670頁(1990年)、アレグレ(Alegre)ら、FEMS Microbiology letters 241:73−77頁(2004年))、および複合(シュラゴ(Shrago)ら、Appl.Environ.Microbiol. 52:574−576(1986年))を用いて宿主細胞に導入可能である。2−ブタノール生合成経路の遺伝子はまた、組込みベクターを用いて乳酸桿菌の染色体に組込み可能である(ホルス(Hols)ら、Appl.Environ.Microbiol. 60:1401−1403頁(1990年)、ジャン(Jang)ら、Micro.Lett. 24:191−195(2003年))。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・ガリナリウム、およびエンテロコッカス・フェカーリスにおける2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
腸球菌属はラクトバチルス目の科に属し、かつ上記の乳酸桿菌、枯草菌、および連鎖球菌の形質転換において用いられる多数のプラスミドおよびベクターが腸球菌において用いられうる。ラクトコッカス(Lactococcus)由来のnisA遺伝子を用いたエンテロコッカス・フェカーリス(E.faecalis)における発現ベクターも用いられうる(エイケンバウム(Eichenbaum)ら、Appl.Environ.Microbiol. 64:2763−2769頁(1998年))。さらに、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)の染色体における遺伝子置換用のベクターが用いられうる(ナラーパレディ(Nallaapareddy)ら、Appl.Environ.Microbiol. 72:334−345頁(2006年))。
2−ブタノール生合成経路における様々な遺伝子は、上記のベクターなどの任意の適切なベクターに構築可能である。コドンは、エンテロコッカス・フェカーリスまたはエンテロコッカス・フェシウムのゲノム配列から推定されるコドンインデックスに基づいて発現のために最適化されうる。プラスミドは、当該技術分野で既知の方法、例えばクルス−ロッズ(Cruz−Rodz)ら(Molecular Genetics and Genomics 224:1252−154頁(1990年))に記載のエレクトロポレーションまたはタニモト(Tanimoto)ら(J.Bacteriol. 184:5800−5804頁(2002年))およびグローマン(Grohmann)ら(Microbiol.Mol.Biol.Rev. 67:277−301頁(2003年))に記載の複合を用いて宿主細胞に導入可能である。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
ペディオコッカス・ペントサセウスおよびペディオコッカス・アシディラクティシにおける2−ブタノールまたは2−ブタノン生合成経路の発現
ペディオコッカス属はラクトバチルス目の科に属し、かつ上記の枯草菌および連鎖球菌の形質転換で用いられる多数のプラスミドおよびベクターがペディオコッカスにおいて用いられうる。適切なベクターの非限定例には、pHPS9(バクチヤロヴァ(Bukhtiyarova)ら、Appl.Environ.Microbiol. 60:3405−3408頁(1994年))が含まれる。ペディオコッカス由来の数種のプラスミドが報告されている(アレグレ(Alegre)ら、FEMS Microbiol.Lett. 250:151−156頁(2005年);シャレック(Shareck)ら、Crit.Rev Biotechnol. 24:155−208頁(2004年))。
2−ブタノール生合成経路における遺伝子は、上記のベクターなどの任意の適切なベクターに構築可能である。コドンは、ペディオコッカス・ペントサセウスのゲノム配列から推定されるコドンインデックスに基づいて発現のために最適化されうる。プラスミドは、当該技術分野で既知の方法、例えばエレクトロポレーション(例えばオスマナガオグル(Osmanagaoglu)ら、J.Basic Microbiol. 40:233−241頁(2000年);アレグレ(Alegre)ら、FEMS Microbiol.Lett. 250:151−156頁(2005年)を参照)ならびに複合(ゴンザレス(Gonzalez)およびクンカ(Kunka)、Appl.Environ.Microbiol. 46:81−89頁(1983年))を用いて宿主細胞に導入可能である。2−ブタノール生合成経路の遺伝子はまた、組込みベクターを用いてペディオコッカスの染色体に組込み可能である(ダヴィッドソン(Davidson)ら、Antonie van Leeuwenhoek 70:161−183頁(1996年))。2−ブタノン生合成経路は同様に発現可能であり、ブタノール脱水素酵素は除かれる。
発酵培地
本発明における発酵培地は、適切な炭素基質を含有する必要がある。適切な基質が、限定はされないが、グルコースおよびフルクトースなどの単糖、乳糖またはスクロースなどのオリゴ糖、デンプンまたはセルロースなどの多糖、あるいはそれらの混合物、ならびに乳清透過液、コーンスティープリカー(cornsteep liquor)、砂糖液(sugar beet molasses)、および大麦モルト(barley malt)などの再生可能な原料由来の未精製混合物を含みうる。さらに、炭素基質はまた二酸化炭素または主要な生化学的中間体への代謝変換が実証されているメタノールなどの1炭素基質でありうる。メチロトローフ(methylotrophic)生物が、1炭素基質および2炭素基質に加え、メチルアミン、グルコサミンおよび代謝活性における種々のアミノ酸などの化合物を含有する他の多数の炭素を用いることでも知られている。例えば、メチロトローフ酵母がメチルアミン由来の炭素を用いてトレハロースまたはグリセロールを形成することで知られている(ベリオン(Bellion)ら、Microb.Growth C1 Compd.、[Int.Symp.]、7th(1993年)、415−32頁、マレル J.コリン(Murrell J.Collin);ケリー・ドン P.(Kelly,Don P.)編、英国アンドーバー(Andover)のインターセプト(Intercept)発行)。同様に、カンジダの様々な種がアラニンまたはオレイン酸を代謝することになる(サルター(Sulter)ら、Arch.Microbiol. 153:485−489頁(1990年))。それ故、本発明で用いられる炭素源が基質を有する多種多様な炭素を包含する場合があり、生物の選択によってのみ限定されうると考えられる。
上記の炭素基質およびそれらの混合物のすべてが本発明において適切であると考えられるが、好ましい炭素基質は、グルコース、フルクトース、およびスクロース、ならびにこれらの糖類のいずれかの混合物である。スクロースは、サトウキビ、甜菜、キャッサバ、およびさとうもろこし(Sweet sorghum)などの原料から得られうる。グルコースおよびデキストロースは、とうもろこし、小麦、ライムギ、大麦、およびオートなどのデンプンベースの穀物を含む原料の糖化を通じて得られうる。
さらに、発酵性糖が、セルロース系およびリグノセルロース系のバイオマスから、例えば共同所有および同時係属の米国特許出願第20070031918A1号明細書(参照により本明細書中に援用される)中に記載の前処理および糖化のプロセスを通じて得られうる。バイオマスは、任意のセルロース系またはリグノセルロース系の原料を示し、セルロースを含有し、かつ場合により、ヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖および/または単糖をさらに含有する原料を含む。バイオマスは、追加成分、例えばタンパク質および/または脂質も含有しうる。バイオマスは単一の供給源から誘導されうるか、またはバイオマスは2つ以上の供給源から誘導される混合物を含有しうる。バイオマスは、例えばトウモロコシ穂軸(corn cob)およびコーンストーバーの混合物または草および葉の混合物を含有しうる。バイオマスは、限定はされないが、バイオエネルギー作物、農業残渣、地方自治体の固体廃棄物、産業固体廃棄物、製紙から排出される汚泥、庭ごみ、廃材および林業廃棄物を含む。バイオマスの例として、限定はされないが、トウモロコシ粒、トウモロコシ穂軸、トウモロコシの皮などのトウモロコシ残渣、コーンストーバー、草、小麦、麦かん(wheat straw)、大麦、麦かん(barley straw)、干し草、稲わら、スイッチグラス、紙くず、サトウキビバガス、サトウモロコシ、大豆、穀物、木、枝、根、葉、木片、おがくず、シュラブおよびブッシュのミリングから得られる成分、野菜、果物、花ならびに家畜糞尿が挙げられる。
発酵培地は、適切な炭素源に加え、2−ブタノールまたは2−ブタノンの生成に必要な培養物の成長および酵素経路の促進に適する、当業者に既知の、適切なミネラル、塩、共同因子、緩衝液および他の成分を含有する必要がある。
培養条件
典型的には細胞が、適切な培地内、約25℃〜約40℃の範囲内の温度で成長される。本発明における適切な成長培地は、ルリア・ベルターニ(Luria Bertani)(LB)培養液、サブロー・デキストロース(Sabouraud Dextrose)(SD)培養液または酵母培地(YM)の培養液などの一般的な商業的に調製された培地である。他の限定または合成された成長培地が用いられる場合があり、かつ特定の微生物の成長に適した培地について微生物学または発酵科学に関する当業者は知っているであろう。異化代謝産物抑制を直接的または間接的に調節することで知られる作用物質、例えば環状アデノシン2’:3’一リン酸の使用についても発酵培地内に取り込まれうる。
発酵に適するpH範囲はpH5.0〜pH9.0であり、初期条件としてはpH6.0〜pH8.0が好ましい。
発酵は好気性または嫌気性条件下で実施可能であり、嫌気性または微好気性条件が好ましい。
工業用バッチおよび連続発酵
本プロセスには、発酵のバッチ方法が用いられる。従来のバッチ発酵は、培地の組成物が発酵開始時に設定され、発酵の間に人工的な改変が施されることがない閉鎖系である。したがって、発酵開始時に培地に望ましい生物が接種され、系に何も添加しなくても発酵の生成が可能である。しかし、典型的には「バッチ」発酵は炭素源の添加に関連したバッチであり、pHおよび酸素濃度などの要素を制御する試みがなされることが多い。バッチシステムでは、システムの代謝産物およびバイオマス組成物は、最大で発酵が停止する時間まで常時変化する。バッチ培養物内では、細胞が、変化のない誘導期(lag phase)から高成長の対数期(log phase)、最終的に成長率が減少または停止する定常期(stationay phase)にかけて抑制される。定常期における細胞が、未処理の場合、最終的に死滅することになる。対数期における細胞が、一般に最終生成物または中間体の生成の大部分に関与する。
標準のバッチシステムに対する変形がフェドバッチシステムである。フェドバッチ発酵プロセスは本発明においても適切であり、基質が発酵プロセスごとに添加されること以外では典型的なバッチシステムを含む。フェドバッチシステムは、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向がある場合や培地内に限られた量の基質を有することが望ましい場合に有用である。フェドバッチシステム内での実際の基質濃度の測定は困難であることから、それはpH、溶解酸素およびCOなどの排ガスの分圧などの測定可能な要素の変化に基づいて評価される。バッチおよびフェドバッチ発酵は一般的で、当該技術分野で周知であり、例がトーマス D.(Thomas D.)「Brockin Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版(1989年) マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland)のシナウアー・アソシエーツ(Sinauer Associates,Inc.)またはデシュパンデ・ムクンド V.(Deshpande,Mukund V.)、Appl.Biochem.Biotechnol.、36:227頁(1992年)(参照により本明細書中に援用される)において見出されうる。
本発明はバッチモードで実施されるが、本方法は連続発酵方法に適合可能であろうことが考えられる。連続発酵は、限定された発酵培地がバイオリアクターに連続的に添加されかつ等量の条件培地が処理と同時に除去される場合の開放系である。連続発酵では、一般に一定の高密度で培養物が維持される。
連続発酵では、細胞成長または最終生成物濃度に作用する1つの要素またはいくつかの要素の調節が可能になる。例えば、1つの方法では、炭素源などの限られた栄養素または一定速度での窒素レベルが維持され、あらゆる他のパラメータの抑制が可能になる。他のシステムでは、培地の濁度により測定される細胞濃度が一定に保持される間、成長に作用する多数の要素を連続的に改変することが可能である。連続システムでは、恒常的成長条件を維持するように試みることで、培地の除去(drawn off)に起因する細胞欠損を発酵における細胞成長率に対して均衡させなければならない。連続発酵プロセス用の栄養素および成長因子を調節する方法ならびに生成物形成の速度を最大化するための技術については産業微生物学における当該技術分野で周知であり、かつ種々の方法がBrock、上記で詳述されている。
本発明がバッチ、フェドバッチまたは連続プロセスのいずれかを用いて実施可能であり、かつ発酵における既知のモードであればいずれであっても適することが考えられる。さらに、細胞が細胞触媒全体として基質上に固定化され、かつ2−ブタノールまたは2−ブタノンの生成における発酵条件に従いうることが考えられる。
2−ブタノールおよび2−ブタノンを発酵培地から単離するための方法
生物学的に生成された2−ブタノールは、ABE発酵における当該技術分野で既知の方法を用いて発酵培地から単離されうる(例えば、デュレ(Durre)、Appl.Microbiol.Biotechnol.49:639−648頁(1998年)、グルート(Groot)ら、Process Biochem.27:61−75頁(1992年)、およびその中の参考文献を参照)。例えば、固体が遠心分離、濾過、デカンテーション、または同様のものにより発酵培地から除去されうる。次いで、2−ブタノールは、蒸留、共沸蒸留、液体−液体抽出、吸着、ガスストリッピング、膜蒸発、または浸透気化法などの方法を用いて発酵培地から単離されうる。これらの同じ方法は、生物学的に生成された2−ブタノンの発酵培地からの単離に適合しうる。
本発明はさらに以下の実施例にて定義される。これらの実施例が本発明の好ましい実施形態を示す一方であくまで例示目的で与えられることは理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴により、その趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に対して様々な変更および改良を行うことで、本発明の様々な利用および条件への適合が可能であることが確認できる。
一般的方法
実施例に記載の標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野で周知であり、サムブルック J.(Sambrook,J.)、フリッツ E.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティス T.(Maniatis,T.)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」;ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1989年)(マニアティス(Maniatis))、T.J.シルハヴィ(T.J.Silhavy)、M.L.ベナン(M.L.Bennan)、およびL.W.エンキスト(L.W.Enquist)、「Experiments with Gene Fusions」、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1984年)、ならびにアウスベル F.M.(Ausubel,F.M.)ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、グリーン・パブリッシング・アソシエーション・アンド・ウィレイ−インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience)発行(1987年)により記載されている。
細菌培養物の維持および成長に適する材料および方法については当該技術分野で周知である。以下の実施例における使用に適する技術が、「Manual of Methods for General Bacteriology」(フィリップ・ゲアハート(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレイ(R.G.E.Murray)、ラルフ N.コスチロウ(Ralph N.Costilow)、ユージン W.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス A.ウッド(Willis A.Wood)、ノエル R.クリーグ(Noel R.Krieg)およびG.ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編)、ワシントンDC(Washington,DC.)のアメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)(1994年))またはトーマス D.(Thomas D.)「Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland)のシナウアー・アソシエーツ(Sinauer Associates,Inc.)(1989年)に示されるように見出されうる。細菌細胞の成長および維持について記載のすべての試薬、制限酵素および材料は、他に特に規定がなければ、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))、BDダイアグノスティック・システムズ(BD Diagnostic Systems)(メリーランド州スパークス(Sparks))、ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)(メリーランド州ロックヴィル(Rockville))、またはシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis))から入手した。細菌株は、他に特に規定がなければ、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC、バージニア州マナサス(Manassas))から入手した。
以下の実施例で記載のオリゴヌクレオチドプライマーを表4に示す。すべてのオリゴヌクレオチドプライマーがシグマ−ジェノシス(Sigma−Genosys)(テキサス州ウッドランズ(Woodlands))によって合成された。
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培地内の2−ブタノールおよび2−ブタノンの濃度を判定するための方法
培地内の2−ブタノールおよび2−ブタノンの濃度は、当該技術分野で既知の多数の方法により判定可能である。例えば、特定の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法では、屈折率(RI)の検出を伴い、ショーデックス(Shodex)のSH−Gガードカラムとともにショーデックス(Shodex)のSH−1011カラム(双方ともウォーターズ・コーポレーション(Waters Corporation)(マサチューセッツ州ミルフォード(Milford))から購入)を用いた。クロマトグラフ分離を、移動相として0.01M HSOを用い、0.5mL/分の流速および50℃のカラム温度で行った。使用条件下で、2−ブタノンおよび2−ブタノールにおける保持時間は各々39.5分および44.3分であった。あるいは、ガスクロマトグラフィー(GC)法の使用が可能である。例えば、特定のGC法では、炎イオン化検出器(FID)を伴い、HP−INNOWaxカラム(30m×0.53mmの内径、1μmの膜厚、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のアジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies))を用いた。キャリアガスは、一定の上部圧力下、150℃での測定によると4.5mL/分の流速でのヘリウムであり、インジェクタースプリットは200℃で1:25であり、オーブン温度は1分間で45℃、10℃/分で45〜220℃、および5分間で220℃であり、FID検出を、26mL/分のヘリウム補給気体(makeup gas)を用い、240℃で用いた。2−ブタノンおよび2−ブタノールの保持時間は各々3.61分および5.03分であった。
2−ブタノンは3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)を用いる誘導体化によっても検出可能である。2−ブタノンを含有する水溶液を375mMグリシン−HCl(pH2.7)中の等容量の6mg/mL MBTHの水溶液と混合し、100℃で3分間インキュベートする。得られたMBTHで誘導体化された試料を、水中の55%アセトニトリルの1mL/分の流速での移動相を用い、25cm×4.6mm(内径)のSupelosil LC−18−D5の5μmカラム(スペルコ(Supelco))上で分析する。2−ブタノン誘導体は、約12.3分および13.3分の保持時間および最大で230nmおよび307nmの吸光度での2つのピーク(シスおよびトランス異性体)として見られる。
略語の意味は以下の通りである。「s」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「psi」はポンド毎平方インチ意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「d」は日を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「PCR」はポリメラーゼ連鎖反応を意味し、「OD」は光学密度を意味し、「OD600」は600nmの波長で測定された光学密度を意味し、「kDa」はキロダルトンを意味し、「g」は重力定数を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kbp」はキロ塩基対を意味し、「%w/v」は重量/容量パーセントを意味し、「%v/v」は容量/容量パーセントを意味し、「wt%」は重量パーセントを意味し、「HPLC」は高性能液体クロマトグラフィーを意味し、「GC」はガスクロマトグラフィーを意味する。「モル選択性」という用語は、消費される糖基質の1モル当たりに生成される生成物のモル数であり、パーセントとして報告される。
実施例1
アセト乳酸シンターゼのクローニングおよび発現
この実施例の目的は、大腸菌内でアセト乳酸シンターゼ酵素をコードするbudB遺伝子のクローニングおよび発現を行うことであった。PCRを用い、budB遺伝子をクレブシエラ・ニューモニエ株ATCC25955のゲノムDNAから増幅した。
アセト乳酸シンターゼをコードするbudB配列を、プライマー対のB1(配列番号15)およびB2(配列番号16)を用いるPCRにより、クレブシエラ・ニューモニエ(ATCC25955)のゲノムDNAから増幅した。他のPCR増幅試薬(例えばKod HiFi DNAポリメラーゼ(ウィスコンシン州マディソン(Madison)のノヴァゲン(Novagen Inc.);カタログ番号71805−3))は製造業者のキットで供給されたものであり、それらを製造業者のプロトコルに準じて使用した。クレブシエラ・ニューモニエのゲノムDNAをGentra Puregene Puregeneキット(ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)のジェントラ・システムズ(Gentra Systems,Inc.);カタログ番号D−5000A)を用いて調製した。増幅をDNA Thermocycler GeneAmp 9700(カリフォルニア州フォスターシティ(Foster city)のPEアプライド・バイオシステムズ(PE Applied Biosystems))で行った。酵素のオープンリーディングフレーム(ORF)のヌクレオチド配列および予測されたアミノ酸配列は各々、配列番号3および配列番号4として示される。
発現試験においては、Gatewayクローニング技術(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad)のインビトロジェン(Invitrogen Corp.))を用いた。エントリーベクターpENTR/SD/D−TOPOは定方向クローニングを可能にし、目的の遺伝子に対してShine−Dalgarno配列を提供した。デスティネーションベクターpDEST14では、タグを全く有しない遺伝子の発現のためにT7プロモーターを用いた。翻訳開始コドンに隣接する4つの塩基(CACC)を組み込んだフォワードプライマーにより、budBアセト乳酸シンターゼのコード領域のPCR産物のpENTR/SD/D−TOPO(インビトロジェン(Invitrogen))への定方向クローニングが可能になり、プラスミドpENTRSDD−TOPObudBが生成された。pENTRコンストラクトを大腸菌Top10(インビトロジェン(Invitrogen))細胞に形質転換し、製造業者の推奨に準じてプレーティングした。形質転換体を一晩成長させ、プラスミドDNAをQIAprep Spin Miniprepキット(カリフォルニア州バレンシア(Valencia)のキアゲン(Qiagen);カタログ番号27106)を用い、製造業者の推奨に準じて調製した。発現クローンを作製するため、pENTRSDD−TOPObudBからのbudBコード領域を、LR Clonaseミックス(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad)のインビトロジェン(Invitrogen,Corp.))を用いるインビトロでの組換えによりpDEST14ベクターに導入した。得られたベクターpDEST14budBをBL−21−AI細胞(インビトロジェン(Invitrogen Corp.))に形質転換した。BL−21−AI細胞は、アラビノース誘導性のaraBADプロモーターの制御下でT7 RNAポリメラーゼの染色体コピーを保有する。
形質転換体を50μg/mLのアンピシリンが補充されたLB培地に接種し、一晩成長させる。一定分量の一晩培養物を用い、50μg/mLのアンピシリンが補充されたLB培地50mLに接種する。培養物を振とう下、37℃でOD600が0.6〜0.8に達するまでインキュベートする。培養物を25mLの分量ずつ2つに分離し、アラビノースをフラスコの一方に添加し、最終濃度を0.2% w/vにする。負の対照フラスコはアラビノースで誘導されない。フラスコを振とう下、37℃で4時間インキュベートする。細胞を遠心分離により収集し、細胞ペレットを50mM MOPS、pH7.0緩衝液中に再懸濁する。細胞を超音波処理またはフレンチプレッシャーセル(French Pressure Cell)の通過のいずれかにより破壊する。各細胞溶解液を遠心分離することで、上清およびペレットまたは不溶性画分を生成する。一定分量の各画分(誘導細胞および対照細胞由来の全細胞溶解液)をSDS(MES)負荷緩衝液(インビトロジェン(Invitrogen))中に再懸濁し、85℃に10分間加熱し、SDS−PAGE分析(NuPAGE 4〜12% ビス−トリスゲル、カタログ番号NP0322Box、インビトロジェン(Invitrogen))を施した。核酸配列から推定した予想分子量のタンパク質については誘導された培養物中に存在するが、誘導されなかった対照の中には存在しない。
細胞を含有しない抽出物中でのアセト乳酸シンターゼ活性をバウエール(Bauerle)ら(バウエール(Bauerle)ら、(1964年) Biochim.Biophys.Acta 92:142−149頁)で記載の方法を用いて測定する。タンパク質濃度を、標準としてウシ血清アルブミン(BSA)(カリフォルニア州ハーキュリーズ(Hercules)のバイオ−ラッド(Bio−Rad))を用い、ブラッドフォード法またはBicinchoninic Kit(ミズーリ州セントルイス(St.Louis)のシグマ(Sigma)、カタログ番号BCA−1)のいずれかにより測定する。
実施例2
アセト乳酸デカルボキシラーゼのクローニングおよび発現
この実施例の目的は、大腸菌内でアセト乳酸デカルボキシラーゼ酵素をコードするbudA遺伝子のクローニングおよび発現を行うことであった。PCRを用い、budA遺伝子をクレブシエラ・ニューモニエ株ATCC25955のゲノムDNAから増幅した。
アセト乳酸デカルボキシラーゼをコードするbudA配列を、PCR増幅に用いられるプライマーがB3(配列番号17)およびB4(配列番号18)であること以外では、実施例1でのbudBにおける記載と同様にクローニングした。酵素のオープンリーディングフレーム(ORF)のヌクレオチド配列および予測されるアミノ酸配列は各々、配列番号1および配列番号2として示される。得られたプラスミドはpENTRSDD−TOPObudAと称されるものであった。
細胞を含有しない抽出物中でのアセト乳酸デカルボキシラーゼ活性をバウエール(Bauerle)ら、上記で記載の方法を用いて測定する。
実施例3(予想)
ブタンジオール脱水素酵素のクローニングおよび発現
この予想実施例の目的は、大腸菌内でブタンジオール脱水素酵素をコードするbudC遺伝子のクローニングおよび発現を行う方法を記載することである。PCRを用い、budC遺伝子をクレブシエラ・ニューモニエ株IAM1063のゲノムDNAから増幅する。
ブタンジオール脱水素酵素をコードするbudC配列を、PCR増幅に用いられるプライマーがB5(配列番号19)およびB6(配列番号20)であること以外では、実施例1でのbudAにおける記載と同様にクローニングし発現し、ゲノム鋳型DNAは(日本国東京の東京大学分子細胞生物学研究所(Institute of Applied Microbiology Culture Collection)から入手される)クレブシエラ・ニューモニエのIAM1063から得られる。クレブシエラ・ニューモニエIAM1063のゲノムDNAをGentra Puregene Puregeneキット(ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)のジェントラ・システムズ(Gentra Systems,Inc.);カタログ番号D−5000A)を用いて調製する。酵素のオープンリーディングフレーム(ORF)のヌクレオチド配列および予測されるアミノ酸配列は各々、配列番号5および配列番号6として示される。
細胞を含有しない抽出物中でのブタンジオール脱水素酵素活性を以下の340nmの吸光度でのNADHの消費により分光学的に測定する。
実施例4(予想)
ブタンジオールデヒドラターゼのクローニングおよび発現
この予想実施例の目的は、大腸菌内でブタンジオールデヒドラターゼをコードするpddA、pddBおよびpddC遺伝子のクローニングおよび発現を行う方法を記載することである。PCRを用い、pddA、pddBおよびpddC遺伝子をクレブシエラ・オキシトカATCC8724のゲノムDNAから増幅する。
ブタンジオールデヒドラターゼをコードするpddA、pddBおよびpddC配列を、ゲノム鋳型DNAがクレブシエラ・オキシトカATCC8724から得られかつプライマーがB7(配列番号21)およびB8(配列番号22)であること以外では、実施例1でのbudAにおける記載と同様にクローニングし発現する。クレブシエラ・オキシトカのゲノムDNAをGentra Puregene Puregeneキット(ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)のジェントラ・システムズ(Gentra Systems,Inc.);カタログ番号D−5000A)を用いて調製する。全3つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む単一のPCR産物を、3つすべてのコード領域が発現プラスミド上の単一のプロモーター由来のオペロンとして発現されるようにクローニングする。3つのサブユニットにおけるオープンリーディングフレーム(ORF)のヌクレオチド配列は各々、配列番号7、9、および11で与えられ、3つの酵素サブユニットの予測されるアミノ酸配列は各々、配列番号8、10、および12として示される。
細胞を含有しない抽出物中でのブタンジオールデヒドラターゼ活性を、ケトン生成物を2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)で誘導体化することにより測定する。つまり、反応混合物100μL、約0.0005単位の酵素を含有する細胞抽出物、40mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、2μgのアデノシルコバラミン、5μgの2,3−ブタンジオール、および1μgのウシ血清アルブミンを1.0N HCl中の等容量の0.05wt% DNPHの添加により急冷する。室温で15分後、4N NaOH100μLの添加により発色させる。生成物の量を、最終溶液の550nmでの吸光度から2−ブタノンで調製された標準曲線と比較して判定する。すべての反応を暗赤色光下、37℃で行う。
実施例5(予想)
ブタノール脱水素酵素のクローニングおよび発現
この予想実施例の目的は、大腸菌内でブタノール脱水素酵素をコードするsadh遺伝子のクローニングおよび発現を行う方法を記載することである。PCRを用い、sadh遺伝子をロドコッカス・ルバー株219のゲノムDNAから増幅する。
ブタノール脱水素酵素をコードするsadh配列を、ゲノム鋳型DNAがロドコッカス・ルバー株219(ミーンズ、インスティトゥート・フュア・マイクロバイオロギー(Meens,Institut fuer Mikrobiologie)、ドイツ、ハノーバー(Hannover)のハノーバー大学(Universitaet Hannover))から得られかつプライマーがB9(配列番号23)およびB10(配列番号24)であること以外では、実施例1でのbudAにおける記載と同様にクローニングし発現する。ロドコッカス・ルバーのゲノムDNAを、UltraClean(商標) Microbial DNA Isolation Kit(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad)のエムオー・バイオ・ラボラトリーズ(MO BIO Laboratories Inc.))を用い、製造業者のプロトコルに準じて調製する。酵素のオープンリーディングフレーム(ORF)のヌクレオチド配列および予測されるアミノ酸配列は各々、配列番号13および配列番号14として示される。
細胞を含有しない抽出物中でのブタノール脱水素酵素活性を、酵素をNADおよび2−ブタノールとともにインキュベートする際でのNADからNADHへの変換に起因する340nmでの吸光度の増加を追跡することにより測定する。
実施例6(予想)
2−ブタノール生合成経路内での遺伝子における形質転換ベクターの作成
この予想実施例の目的は、2−ブタノール生合成経路(すなわち上記の経路3)内での遺伝子における形質転換ベクターの調製について記載することである。大腸菌は、大部分の生物のようにグルコースを最初にピルビン酸に変換する。酵素は経路3に従ってピルビン酸を2−ブタノールに変換する必要があった、すなわち、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、ブタンジオール脱水素酵素、ブタンジオールデヒドラターゼ、およびブタノール脱水素酵素は、budA、budB、budC、pddA、pddB、pddCおよびsadh遺伝子によってコードされる。組換え生物内での2−ブタノール生合成経路の構築を簡素化するため、経路内での5ステップをコードする遺伝子は2つのオペロンに分かれる。上流経路は、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、およびブタンジオール脱水素酵素により触媒される最初の3つのステップを含む。下流経路は、ブタンジオールデヒドラターゼおよびブタノール脱水素酵素により触媒される最後の2つのステップを含む。
コード配列は後のクローニング用の制限部位を組み込むプライマーによるPCRにより増幅され、かつフォワードプライマーは最適化された大腸菌のリボソーム結合部位(AAAGGAGG)を有する。PCR産物が、pCR4Blunt−TOPOベクターにTOPOクローニングされかつTop10細胞(インビトロジェン(Invitrogen))に形質転換される。プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、クローン化PCR断片の配列を検証する。制限酵素およびT4 DNAリガーゼ(マサチューセッツ州ベバリー(Beverly)のニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs))を製造業者の推奨に準じて用いる。クローニング実験においては、制限断片をQIAquick Gel Extractionキット(キアゲン(Qiagen))を用いてゲル精製する。
配列の確認後、コード領域をクローニングプラットフォームとして修飾されたpUC19ベクターにサブクローニングする。pUC19ベクターをHindIII/SapI消化により修飾した後、Klenow DNAポリメラーゼで処理して末端を埋める。2.4kBベクター断片をゲル精製し、再ライゲートしてpUC19dHSを生成する。あるいは、pUC19ベクターをSphI/SapI消化により修飾した後、Klenow DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化する。2.4kBベクター断片をゲル精製し、再ライゲートしてpUC19dSSを生成する。消化物はMCS(複数のクローニング部位)に隣接するlacプロモーターを除去し、オペロンのベクターからの転写が阻止される。
上流経路
budABCコード領域を、プライマー対のB11およびB12(各々、配列番号25および26として与えられる)(表4)を用いるPCRにより、クレブシエラ・ニューモニエのゲノムDNAから増幅する。フォワードプライマーにはEcoRI制限部位およびリボソーム結合部位(RBS)を組み込む。リバースプライマーにはSphI制限部位を組み込む。PCR産物をpCR4 Blunt−TOPOにクローニングし、pCR4 Blunt−TOPO−budABCが生成される。
上流経路を作成するため、オペロンpCR4 Blunt−TOPO−budABCをEcoRIおよびSphIで消化することで3.2kbpのbudABC断片が放出される。pUC19dSSベクターもまた、EcoRIおよびSphIで消化することで2.0kbpのベクター断片が放出される。budABC断片およびベクター断片をT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs))を用いて共にライゲートし、pUC19dSS−budABCが形成される。
下流経路
pddABCコード領域を、プライマーのB13およびB14(各々、配列番号27および28として与えられる)(表4)を用いるPCRによりクレブシエラ・オキシトカATCC8724のゲノムDNAから増幅し、2.9kbpの産物が生成される。フォワードプライマーにはEcoRIおよびPmeI制限部位およびRBSを組み込む。リバースプライマーにはBamHI制限部位を組み込む。PCR産物をpCRBlunt II−TOPOにクローニングし、pCRBluntII−pddが生成される。
sadh遺伝子を、プライマーB15およびB16(各々、配列番号29および30として与えられる)(表4)を用いるPCRによりロドコッカス・ルバー株の219ゲノムDNAから増幅し、1.0kbpの産物が生成される。フォワードプライマーにはBamHI制限部位およびRBSを組み込む。リバースプライマーにはXbaI制限部位を組み込む。PCR産物をpCRBlunt II−TOPOにクローニングし、pCRBluntII−sadhが生成される。
下流経路のオペロンを作成するため、pCRBluntII−pdd由来の2.9kbpのEcoRIおよびBamHI断片、pCRBluntII−sadh由来の1.0kbpのBamHIおよびXbaI断片、ならびにpUC19dHSのEcoRIおよびXbaI消化物由来の大きい断片を共にライゲートする。三者のライゲーションによりpUC19dHS−pdd−sadhが生成される。
pUC19dSS−budABCベクターをPmeIおよびHindIIIで消化し、大腸菌−枯草菌のシャトルベクターのpBenBPにクローニングされた3.2kbp断片が放出される。プラスミドpBenBPがpBE93ベクターの修飾により生成され、それはナガラジャン(Nagarajan)(国際公開第93/2463号パンフレット、実施例4)により記載されている。pBenBPを生成するため、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)の中性プロテアーゼプロモーター(NPR)のシグナル配列およびphoA遺伝子をNcoI/HindIII消化物を用いてpBE93から除去する。NPRプロモーターをプライマーのBenFおよびBenBPR(各々、配列番号31および32で示される)によりpBE93からPCR増幅する。プライマーBenBPRにはプロモーターの下流にBstEII、PmeIおよびHindIII部位を組み込む。PCR産物をNcoIおよびHindIIIで消化し、断片をベクターpBE93における対応する部位にクローニングすることでpBenBPが生成される。上流のオペロン断片をpBenBPにおけるPmeIおよびHindIII部位にサブクローニングし、pBen−budABCが生成される。
pUC19dHS−pdd−sadhベクターをPmeIおよびHindIIIで消化することで、pBenBPのPmeIおよびHindIII部位にクローニングされた3.9kbp断片が放出され、pBen−pdd−sadhが生成される。
実施例7(予想)
大腸菌内での2−ブタノール生合成経路の発現
この予想実施例の目的は、大腸菌内で2−ブタノール生合成経路の発現を行う方法を記載することである。
実施例6に記載のように調製したプラスミドpBen−budABCおよびpBen−pdd−sadhを別々に大腸菌NM522(ATCC番号47000)に形質転換し、各オペロンにおける遺伝子の発現をSDS−PAGE分析および酵素アッセイにより監視する。すべての遺伝子の発現の確認後、pBen−budABCをEcoRIおよびHindIIIで消化し、NPRプロモーター−budABC断片が放出される。断片を、DNAポリメラーゼのKlenow断片(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)、カタログ番号M0210S)を用いて平滑末端化する。プラスミドpBen−pdd−sadhをEcoRIで消化し、同様に平滑化することで、線状化、平滑末端化されたベクター断片が生成される。ベクターおよびNPR−budABC断片をライゲートし、p2BOHが生成される。このプラスミドを大腸菌NM522に形質転換することで大腸菌NM522/p2BOHが得られ、遺伝子の発現を上記のように監視する。
大腸菌NM522/p2BOHを培地50mLを含有する250mLの振とうフラスコに接種し、250rpmおよび35℃で振とうする。培地は、デキストロース、5g/L;MOPS、0.05M;硫酸アンモニウム、0.01M;第一リン酸カリウム、0.005M;S10金属混合物、1%(v/v);酵母抽出物、0.1%(w/v);カザミノ酸、0.1%(w/v);チアミン、0.1mg/L;プロリン、0.05mg/L;およびビオチン0.002mg/Lから構成され、KOHでpH7.0に滴定される。S10金属混合物は、MgCl、200mM;CaCl、70mM;MnCl、5mM;FeCl、0.1mM;ZnCl、0.1mM;塩酸チアミン、0.2mM;CuSO、172μM;CoCl、253μM;およびNaMoO、242μMを含有する。18時間後、2−ブタノールを、例えば上記の一般的方法の項に記載の当該技術分野で周知の方法を用いてHPLCまたはGC分析により検出する。
実施例8(予想)
枯草菌内での2−ブタノール生合成経路の発現
この予想実施例の目的は、枯草菌内で2−ブタノール生合成経路の発現を行う方法を記載することである。
実施例6に記載のように調整したプラスミドpBen−budABCおよびpBen−pdd−sadhを別々に枯草菌BE1010(「J.Bacteriol.」173:2278−2282頁(1991年))に形質転換し、各オペロンにおける遺伝子の発現を実施例7に記載のように監視する。プラスミドpBen−budABCをEcoRIおよびHindIIIで消化し、NPRプロモーター−budABC断片が放出される。断片を、DNAポリメラーゼのKlenow断片(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)、カタログ番号M0210S)を用いて平滑末端化する。プラスミドpBen−pdd−sadhをEcoRIで消化し、同様に平滑化することで、線状化され平滑末端化されたベクター断片が生成される。ベクターおよびNPR−budABC断片をライゲートし、p2BOHが生成される。このプラスミドを枯草菌BE1010に形質転換することで枯草菌BE1010/p2BOHが得られ、遺伝子の発現を上記のように監視する。
枯草菌BE1010/p2BOHを培地50mLを含有する250mLの振とうフラスコに接種し、250rpmおよび35℃で18時間振とうする。培地は、デキストロース、5g/L;MOPS、0.05M;グルタミン酸、0.02M;硫酸アンモニウム、0.01M;第一リン酸カリウム緩衝液、0.005M;S10金属混合物(実施例7に記載のもの)、1%(v/v);酵母抽出物、0.1%(w/v);カザミノ酸、0.1%(w/v);トリプトファン、50mg/L;メチオニン、50mg/L;およびリジン、50mg/Lから構成され、KOHでpH7.0に滴定される。18時間後、2−ブタノールを、例えば上記の一般的方法の項に記載の当該技術分野で周知の方法を用いてHPLCまたはGC分析により検出する。
実施例9
2−ブタノール生合成経路内での遺伝子における形質転換ベクターの作成
この実施例の目的は、2−ブタノール生合成経路(すなわち上記の経路3)内で遺伝子を保有する組換え大腸菌宿主を調製することであった。大腸菌は、大部分の生物のようにグルコースを最初にピルビン酸に変換する。酵素は経路3においてピルビン酸を2−ブタノンに変換する必要があった、すなわち、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、ブタンジオール脱水素酵素、およびブタンジオールデヒドラターゼは、budA、budB、budC、pddA、pddB、およびpddC遺伝子によってコードされる。経路の最終ステップでは、ブタノール脱水素酵素は2−ブタノンを2−ブタノールに変換する。この最終ステップを行う脱水素酵素は不定(promiscuous)であり、多数の生物内に見出されうる。組換え生物内での2−ブタノール生合成経路の構築を簡素化するため、経路内での5ステップをコードする遺伝子は複数のオペロンに分かれた。上流経路のオペロンは、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、およびブタンジオール脱水素酵素により触媒される最初の3つのステップを含み、それを発現ベクター上にクローニングした。下流経路は、再活性化因子(モリ(Mori)ら、J.Biol.Chem.272:32034頁(1997年))を含むブタンジオールデヒドラターゼおよびブタノール脱水素酵素により触媒される最後の2つのステップを含んだ。ジオールデヒドラターゼは触媒反応中に自殺による不活化を被る可能性がある。ddrAおよびddrBによってコードされる再活性化因子タンパク質(GenBank AF017781、配列番号70)は不活性酵素を再活性化する。ddrAおよびddrB遺伝子はジオールデヒドラターゼのオペロンに隣接する。デヒドラターゼ/再活性化因子およびブタノール脱水素酵素に対するオペロンのいずれかを別の発現ベクター上にクローニングするか、またはデヒドラターゼ/再活性化因子のオペロンを別の発現ベクター上に単独にクローニングし、かつ最終ステップをデモンストレーションとしての宿主内での内因性の活性により提供した。
ベクターpTrc99a−budABCの作成
budABコード領域を、プライマー対のBABC FおよびBAB R(各々、配列番号33および34として与えられる)(表4を参照)を用いるPCRによりK.ニューモニエ(K.pneumoniae)ATCC25955のゲノムDNAから増幅し、2.5kbpの産物が生成された。フォワードプライマーにはSacIおよびEcoRI制限部位ならびにリボソーム結合部位(RBS)を組み込んだ。リバースプライマーにはSpeI制限部位を組み込んだ。PCR産物をpCR4 Blunt−TOPOにクローニングし、pCR4Blunt−TOPO−budABが生成された。プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、遺伝子の配列をプライマーのM13 Forward(配列番号35)、M13 Reverse(配列番号36)、N83 SeqF2(配列番号37)、N83 SeqF3(配列番号38)およびN84 SeqR4(配列番号39)を用いて検証した(表5を参照)。
budCコード領域をプライマー対のBC SpeFおよびBC Xba R(各々、配列番号40および41として与えられる)を用いるPCRによりK.ニューモニエ(K.pneumoniae)ATCC25955のゲノムDNAから増幅し、0.8kbpの産物が生成された。フォワードプライマーにはSpeI制限部位、RBSを組み込み、AAAからAAGへ第2および第3のコドンを変更することによりCDSが修飾された。リバースプライマーにはXbaI制限部位を組み込んだ。PCR産物をpCR4 Blunt−TOPOにクローニングし、pCR4 Blunt−TOPO−budCが生成された。プラスミドDNAをTOPOクローンから調製し、遺伝子の配列をプライマーM13 Forward(配列番号35)およびM13 Reverse(配列番号36)を用いて検証した。
budABCオペロンを作成するため、pCR4 Blunt−TOPO−budCをSnaBIおよびXbaIで消化することで1.0kbpのbudC断片が放出された。ベクターpTrc99a(アマン(Amann)ら、Gene 69(2):301−315頁(1988年))をSmaIおよびXbaIで消化し、4.2kbpの線状化ベクター断片が生成された。ベクターおよびbudC断片をライゲートすることでpTrc99a−budCが生成され、大腸菌Top10細胞(インビトロジェン(Invitrogen))に形質転換した。形質転換体における1.2kbpの産物を、プライマーのTrcF(配列番号42)およびTrcR(配列番号43)を用いるPCR増幅により分析し、budC挿入物の存在を確認した。budAB遺伝子を2.5kbpのEcoRI/SpeI断片としてpCR4 Blunt−TOPO−budABからサブクローニングした。ベクターpTrc99a−budCをEcoRIおよびSpeIで消化し、得られた5.0kbpのベクター断片をゲル精製した。精製したベクターおよびbudAB挿入物をライゲートし、大腸菌Top10細胞に形質転換した。形質転換体を、プライマーのTrc F(配列番号42)およびN84 Seq R2(配列番号65)を用いるPCR増幅によりスクリーニングし、pTrc99a−budABCの生成を確認した。このプラスミドでは、budA、B、およびCのコード領域は、TrcプロモーターとrrnB終結配列との間で、この順に互いに隣接する。
結果
大腸菌Top10/pTrc99a−budABCの3種の独立の単離物におけるブタンジオールの生成について負の対照として大腸菌Top10/pCL1925−Kodd−ddr(下記)を用いて試験した。株を、100μg/mLのカルベニシリンを含有するLB培地内で成長させた。得られた細胞を用い、100μg/mLのカルベニシリンを有するTM3a/グルコース培地125mLを含有する振とうフラスコ(約175mLの全容量)に接種した。さらに、pTrc99a−budABCを保有する株が接種されたフラスコは0.4mMイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を含有した。TM3a/グルコース培地は、(1リットル当たり)10gグルコース、13.6g KHPO、2.0gクエン酸一水和物、3.0g (NHSO、2.0g MgSO・7HO、0.2g CaCl・2HO、0.33gクエン酸鉄アンモニウム、1.0mgチアミン・HCl、0.50g酵母抽出物、および微量元素溶液10mLを含有し、NHOHでpH6.8に調整されている。微量元素の溶液は、クエン酸・HO(4.0g/L)、MnSO・HO(3.0g/L)、NaCl(1.0g/L)、FeSO・7HO(0.10g/L)、CoCl・6HO(0.10g/L)、ZnSO・7HO(0.10g/L)、CuSO・5HO(0.010g/L)、HBO(0.010g/L)、およびNaMoO・2HO(0.010g/L)を含有した。空気抜きキャップで覆ったフラスコに約0.03単位の初期OD600で接種し、300rpmの振とう下、34℃でインキュベートした。
誘導の約23時間後、一定分量の培養液を、2−ブタノールおよび2−ブタノンについての一般的方法の項に記載された同様の方法を用い、HPLC(ショーデックス(Shodex) Sugar SH1011カラム)およびGC(HP−INNOWax)により分析した。分析の結果を表6に示す。3つの大腸菌クローンにより、グルコースが所望の経路の中間体であるアセトインおよびメソ−2,3−ブタンジオールに14%のモル選択性で変換された。この選択性は、budABCを有しない大腸菌の対照株で観察される場合よりも約35倍高かった。
Figure 2009535062
ベクターpCL1925−KoDD−ddrの作成
ジオールデヒドラターゼ(GenBank D45071、配列番号69)および再活性化因子(GenBank AF017781、配列番号70)オペロンを、プライマーDDo For(配列番号44)およびDDo Rev(配列番号45)を用い、単一の単位としてクレブシエラ・オキシトカATCC8724からPCR増幅した。フォワードプライマーには最適化された大腸菌RBSおよびHindIII制限部位を組み込んだ。リバースプライマーにはXbaI制限部位を組み込んだ。5318bpのPCR産物をpCR4Blunt−TOPOにクローニングし、得られたpCR4Blunt−TOPO−Kodd−ddrのクローンを、プライマーのM13 Forward(配列番号35)、M13 Reverse(配列番号36)、DDko seq F2(配列番号46)、DDko seq F5(配列番号47)、DDko seq F7(配列番号48)、DDko seq F9(配列番号49)、DDko seq R1(配列番号50)、DDko seq R3(配列番号51)、DDko seq R7(配列番号52)、およびDDko seq R10(配列番号53)を用いて配列決定した。予想配列を有する挿入物を有するクローンを同定した。
発現においては、ジオールデヒドラターゼ/再活性化因子遺伝子を、ストレプトマイセス(Streptomyces)由来のグルコースイソメラーゼプロモーターを保有するローコピープラスミドpCL1925(米国特許第7,074,608号明細書)にサブクローニングした。pCR4Blunt−TOPO−Kodd−ddrをHindIIIおよびXbaIで消化し、得られた5.3kbpのKodd−ddr断片をゲル精製した。ベクターpCL1925をHindIIIおよびXbaIで消化し、得られた4539bpのベクター断片をゲル精製した。ベクターおよびKodd−ddr断片をライゲートし、大腸菌Top10に形質転換した。形質転換体を、プライマーDDko SeqF7(配列番号48)およびDDko SeqR7(配列番号52)を用いるPCRによりスクリーニングした。挿入物を保有するプラスミド(pCL1925−Kodd−ddr)の増幅の結果、約797bpの産物が得られた。
メソ−2,3−ブタンジオールに対するジオールデヒドラターゼの活性を、細胞抽出物(タンパク質全体が約0.8mg/mL)を80mMヘペス(pH8.2)中の10mMブタンジオールおよび12mM補酵素B12と室温で17時間インキュベートすることにより測定した。予想産物である2−ブタノンの形成について、一般的方法に記載のHPLCにより判定した。
ベクターpCL1925−KoDD−ddr::T5 chnA terの作成
異種のアルコール脱水素酵素活性をもたらすため、アシネトバクター・エスピー由来のシクロヘキサノール脱水素酵素をコードするchnA遺伝子(チャン(Cheng)ら、J.Bacteriol.182:4744−4751頁(2000年))を、ジオールデヒドラターゼオペロン、pCL1925−Kodd−ddrを用いてpCL1925ベクターにクローニングした。配列番号71(Genbank番号:AF282240、配列番号73)として与えられるchnA遺伝子を、プライマーのChnAF(配列番号54)およびChnAR(配列番号55)を用い、アシネトバクター(Acinetobacter)に由来するシクロヘキサノールの遺伝子クラスターを保有するコスミドpDCQ2、から増幅した。得られた828bpのPCR産物をpCR4Blunt−TOPOにクローニングすることでpCR4Blunt−TOPO−chnAが生成され、形質転換体を、プライマーのM13 Forward(配列番号35)およびM13 Reverse(配列番号36)を用いるコロニーPCRによりスクリーニングした。正確なクローニングにより約1kbpのPCR産物が生成され、プライマーのM13 Forward(配列番号35)およびM13 Reverse(配列番号36)を用いる配列決定を行った。
pCR4Blunt−TOPO−chnAの配列決定を行って正確な配列を確認してから、chnA遺伝子を813bpのMfeI/SmaI断片としてプラスミドからサブクローニングした。発現ベクターpQE30(キアゲン(Qiagen))をMfeIおよびSmaIで消化し、得られた3350bpのベクター断片をゲル精製した。chnA断片および精製したベクターをライゲートし、大腸菌Top10細胞に形質転換した。494bpのPCR産物については、形質転換体を、プライマーのchnSeqF1(配列番号56)およびchnseqR1(配列番号57)を用いてコロニーPCRによりスクリーニングした。このクローニングでは、chnA遺伝子をプラスミドpQE30−chnA内でT5プロモーターの制御下に置いた。
2つのオペロンを保有するpCL1925ベクターを調製するため、ターミネーターをベクターに付加した。tonBターミネーター−mcs−trpAターミネーター断片を、オリゴヌクレオチドとプライマーのTop ter F1(配列番号58)、Top ter F2(配列番号59)、Bot ter R1(配列番号60)およびBot ter R2(配列番号61)とのアニーリングにより調製した。アニールされたDNAを6% PAGEゲル(カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)のエンビ−テック(Embi−tec))上でゲル精製した。ベクターpCL1925をSacIおよびXbaIで消化し、ゲル精製した。アニールされたDNAおよびベクター断片をライゲートし、pCL1925−terが生成された。約400bpのPCR産物の存在については、形質転換体を、プライマーのpCL1925 vec F(配列番号62)およびpCL1925 vec R1(配列番号63)を用いるコロニーPCR増幅によりスクリーニングした。PCRスクリーニングから得られた陽性クローンを同じプライマーを用いて配列決定した。
ベクターpCL1925−terをXhoIおよびPmeIで消化し、得られた4622bpの断片をゲル精製した。pQE30−chnAをNcoIで消化し、DNAをKlenow DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化した。次いで、pQE30−chnAをXhoIで消化し、得られた1.2kbpのT5プロモーター−chnA断片をゲル精製した。pCL1925−terベクターおよびchnAオペロンの断片を共にライゲートすることでpCL1925−ter−T5chnAが得られ、大腸菌Top10に形質転換した。約1kbpの産物については、形質転換体を、プライマーのpCL1925 vec F(配列番号64)およびchnseq R1(配列番号59)を用いるコロニーPCR増幅によりスクリーニングした。
経路ベクターの構築を完了するため、pCL1925−KoDD−ddrプラスミドをXbaIおよびSacIで消化し、得られた9504bpのベクター断片をゲル精製した。pCL1925−ter−T5chnAからの、chnAコード配列の3’側のtrpAターミネーター(コイチ(Koichi)ら、(1997年) 第272巻、第51号、32034−32041頁)とともにターミネーターに隣接するchnAオペロンを、1271bpのXbaI/SacI断片としてゲル精製した。断片のライゲーションおよび大腸菌Top10への形質転換の後、形質転換体をコロニーPCRによりスクリーニングした。プライマーのchnSeq F1(配列番号58)およびpCL1925 vec R2(配列番号64)により、1107bpの予想PCR産物が得られたプラスミドpCL1925−KoDD−ddr::ter−T5chnAにおいて増幅された。
実施例10
過剰発現された内因性アルコール脱水素酵素を用いる大腸菌内での2−ブタノール生合成経路の発現
この実施例の目的は、数種の大腸菌株内で2−ブタノール生合成経路を発現させることであった。
yqhDを構成的に発現する大腸菌株の作成
大腸菌は、1,3−プロパンジオール脱水素酵素として同定された天然遺伝子(yqhD)を有する(米国特許第6,514,733号明細書)。配列番号74で与えられるyqhD遺伝子は、NADH依存性のブタノール脱水素酵素であり得るクロストリジウム内の遺伝子adhBに対して40%の同一性を有する。yqhD遺伝子を、λRed技術(ダツェンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.97:6640頁(2000年))を用い、大腸菌株MG16551.6yqhD::Cm(国際公開第2004/033646号パンフレット)内のグルコースイソメラーゼのプロモーター1.6GI(配列番号67)の変異体の構成的発現下に置いた。同様に、天然プロモーターを1.5GIプロモーター(国際公開第2003/089621号パンフレット)(配列番号68)と置換することでMG16551.5yqhD::Cm株が生成されたことから、MG1655 1.6yqhD::Cmの1.6GIプロモーターが1.5GIプロモーターと置換された。1.5GIおよび1.6GIのプロモーターが−35領域内で1bpだけ異なることにより、プロモーターの強度が改変される(国際公開第2004/033646号パンフレット)。天然yqhDプロモーターを1.5GIまたは1.6GIのいずれかのプロモーターと置換する間、yqhオペロンにおける推定上の転写調節因子をコードするyqhC遺伝子が除去された。ブタノール脱水素酵素活性を当該技術分野で周知の方法を用いる酵素アッセイにより確認した。
大腸菌株の形質転換
実施例9に記載の経路のプラスミドのpCL1925−Kodd−ddrおよびpTrc99a−budABCを大腸菌株MG1655のMG1655 1.6yqhDおよびMG1655 1.5yqhDに同時形質転換した。後者2つの株は、ブタノール脱水素酵素活性も有する1,3−プロパンジオール脱水素酵素YqhDを過剰発現する。本質的には上記のように、株における2−ブタノンおよび2−ブタノールの生成について試験した。細胞を、(0.1mg/LのビタミンB12、適切な抗生物質およびIPTGを有する)50mLもしくは150mLのいずれかのTM3a/グルコース培地(各々、中程度の酸素条件および低い酸素条件を表す)を有する振とうフラスコ(約175mLの全容量)に接種した。スペクチノマイシン(50μg/mL)およびカルベニシリン(100μg/mL)を各々、プラスミドのpCL1925−Kodd−ddrおよびpTrc99a−budABCに対して用いた。フラスコに0.04単位以下の初期OD600で接種し、フラスコを300rpmの振とう下、34℃でインキュベートした。培地50mLを有するフラスコを空気抜きキャップで覆う一方、培地150mLを有するフラスコを密封キャップで覆って換気を最小限にした。IPTGは時刻0では0mMもしくは0.04mMの濃度で存在した。2−ブタノンおよび2−ブタノールの生成における分析結果を表7に示す。2−ブタノール生合成経路を含むすべての大腸菌株が、低い酸素条件下および中程度の酸素条件下で2−ブタノンを生成し、低い酸素条件下で2−ブタノールを生成した。
Figure 2009535062
Figure 2009535062
実施例11
大腸菌内での異種のアルコール脱水素酵素による2−ブタノール生合成経路の発現
実施例9に記載のプラスミドのpCL1925−KoDD−ddr::ter−T5chnAおよびpTrc99a−budABCを、2−ブタノールの生成の実証のため、大腸菌株のMG1655およびMG1655 ΔyqhCDに形質転換した。
MG1655 ΔyqhCDは、ダツェンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)の方法(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.97(12):6640−6645頁(2000年))を用いて作製されたyqhCDの不活化を保有する。同領域とpKD3のFRT−CmR−FRTカセットとの置換後、クロラムフェニコール耐性マーカーをFLP組換え酵素を用いて除去した。欠失させた領域の配列は配列番号66として与えられる。
本質的には上記のように、MG1655/pTrc99a−budABC/pCL1925KoDD−ddr::ter−T5 chnA株およびMG1655 ΔyqhCD/pTrc99a−budABC/pCL1925KoDD−ddr::ter−T5 chnA株における2−ブタノンおよび2−ブタノールの生成について試験した。MG1655 ΔyqhCD/pCL1925株を負の対照として用いた。細胞を、(0.1mg/LビタミンB12および適切な抗生物質を有する)50mLもしくは150mLのTM3a/グルコース培地(各々、中程度の酸素条件および低い酸素条件を表す)を有する振とうフラスコ(約175mLの全容量)に接種した。スペクチノマイシン(50μg/mL)およびアンピシリン(100μg/mL)を各々、pCL1925に基づくプラスミドおよびpTrc99a−budABCに対して用いた。pTrc99a−budABCから誘導される酵素活性を、IPTG誘導物質の不在下(したがってIPTGは培地に添加されなかった)で酵素アッセイにより検出した。フラスコに0.01単位以下の初期OD600で接種し、300rpmの振とう下、34℃で24時間インキュベートした。培地50mLを有するフラスコを空気抜きキャップで覆う一方、培地150mLを有するフラスコを密封キャップで覆って換気を最小限にした。2−ブタノンおよび2−ブタノールの生成における分析結果を表8に示す。2−ブタノール生合成経路を含む両方の大腸菌株が低い酸素条件下および中程度の酸素条件下で2−ブタノンを生成し、低い酸素条件下で2−ブタノールを生成した一方、負の対照株は2−ブタノンまたは2−ブタノールのいずれにしても検出可能なレベルで生成することはなかった。
Figure 2009535062
実施例12
アミノ:ピルビン酸トランスアミナーゼ(APT)のクローニング
ビブリオ・フルビアリス(Vibrio Fluvialis)JS17由来のアミノ:ピルビン酸トランスアミナーゼ(APT)がシン(Shin)らにより同定された(Appl.Microbiol Biotechnol.(2003年)61:463−471頁)。アミノ酸配列(配列番号122)がω−アミノ酸:ピルビン酸トランスアミナーゼと有意な相同性を有することが見出された(シン(Shin)およびキム(Kim)(J.Org.Chem.67:2848−2853頁(2002年))。ビブリオ・フルビアリスAPTがアセトインに対するトランスアミナーゼ活性を有することが示された。
大腸菌内でのAPT酵素の発現においては、コドンが最適化されたAPTコード領域(配列番号144)を、コドンのバランスおよびmRNAの安定性などのさらなる検討を加えた好ましい大腸菌のコドンを用いて設計し、(DNA2.0;カリフォルニア州レッドウッド・シティ(Redwood City)により)合成した。コード領域DNA断片をpBAD.HisBベクター(インビトロジェン(Invitrogen))のNcoIおよびHindIII部位の間にサブクローニングし、得られたプラスミド(以下、pBAD.APT1と称される)をTOP10細胞に形質転換した。
実施例13
ビブリオ・フルビアリスAPTのアラニン:アセトインアミノトランスフェラーゼ活性の特徴づけ
容量5mLのLB培養液+100μg/mLのアンピシリンにTOP10/pBAD:APT1細胞の新しいコロニーを接種した。培養物を振とう下(225rpm)、37℃で約16時間インキュベートした。この培養物の一定分量300μLを用い、同じ培地300mLに接種し、それを振とう下(225rpm)、37℃でインキュベートした。培養物が0.8のOD600に達した際、L−アラビノースを添加して最終濃度を0.2%(w/v)にした。培養物をさらに16時間インキュベートし、次いで収集した。細胞を100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.8)で1回洗浄し、次いで−80℃で凍結保存した。
酵素を単離するため、細胞ペレットを解凍し、0.2mMのエチレンジアミン四酢酸塩、1mMのジチオトレイトールおよび1タブレットのプロテアーゼ阻害剤カクテル(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis)のロシュ(Roche))を含有する100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)8mL中に再懸濁した。細胞を900psiのフレンチプレッシャーセル(French pressure cell)に2回通過させることによって溶解し、得られた溶解液を17000×gでの30分間の遠心分離により清澄化した。硫酸アンモニウムを35%の飽和物に添加し、溶液を室温で30分間撹拌し、その時点で沈殿した固体を遠心分離(30分、17000×g)により除去した。さらに硫酸アンモニウムを上清に添加することで55%の飽和状態が得られ、溶液を再び室温で30分間撹拌した。沈殿した固体を遠心分離(30分、17000×g)により除去し、次いで10μMのピリドキサル5’−リン酸および1mMのジチオトレイトールを含有する100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)5mL中に再懸濁した。この溶液を、緩衝液A(10μMピリドキサル5’−リン酸および1mMジチオトレイトールを含有する50mMビス−トリスプロパン緩衝液(pH6))で平衡化したPD10カラムに通過させることによって脱塩した。次いで、脱塩抽出物を緩衝液Aで予め平衡化した20mL Q−Fast Flowカラム上に装填した。APTを緩衝液A中に線形勾配0〜0.1MのNaClで溶出した。酵素を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析時での約50kDの大きさのタンパク質バンドの存在および418nmでの特徴的な吸光度により、溶出画分中に検出した。酵素を含有する画分を約0.3M NaClで溶出させた。これらの画分をプールすることで5.45mg/mLの酵素溶液が全部で6mL生成され、それはSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による判断では90%を超えて純粋であった。
APTのアラニン:アセトインアミノトランスフェラーゼ活性を、乳酸脱水素酵素との共役アッセイを用いてアッセイした。反応混合物は、100mMのビス−トリスプロパン(pH9.0)、10μMのピリドキサル5’−リン酸、0〜50mMのアセトイン、0〜5mMのL−アラニン、0.14もしくは0.28mg/mLの精製酵素、200μMのNADHおよび20U/mLの乳酸脱水素酵素(ミズーリ州セントルイス(St.Louis)のシグマ(Sigma))を含有した。反応後、340nmでの吸光度における変化を測定し、それはNADHの酸化を示した。これらの条件下で、アセトインにおけるkcat/Kは10M−1−1であり、かつL−アラニンにおけるkcat/Kは400M−1−1であった。
予想される生成物3−アミノ−2−ブタノールの同一性を合成標準との比較により確認した。(R,R)−および(S,S)−3−アミノ−2−ブタノールの混合物をディッキー(Dickey)らの方法[J Amer Chem Soc 74:944(1952年)]により合成し、5gのトランス−2,3−エポキシブタンを冷温(4℃)のNHOH150mL中にゆっくり撹拌した。反応物を室温にゆっくり温め、密封し、室温でさらに10日間撹拌した。この時点で、過剰なアンモニア、水および残留エポキシブタンを、40℃、真空下で回転蒸発により除去した。得られた透明な油(2.9g)を水中に再懸濁して10%(w/v)の濃度にした。所望の生成物の生成を、NMR分析およびスペクトルのレヴィー(Levy)らによって報告されたもの[Org.Magnetic Resonance 14:214頁(1980年)]との比較により確認した。対応する(2R,3S)−および(2S,3R)−異性体の混合物を、出発原料が2,3−エポキシブタンのシス異性体であること以外では同一の方法を用いて生成した。
3−アミノ−2−ブタノールを検出するための分析方法を、ロス(Roth)により報告されたアミノ酸決定におけるo−フタルジアルデヒド誘導体化法[Anal.Chem.43:880頁(1971年)]に基づいて開発した。1mMの3−アミノ−2−ブタノール(異性体の混合物)の一定分量200μLをホウ酸塩の50mM溶液200μL(pH9.5)と混合し、それに対してエタノール中の5μL/mLの2−メルカプトエタノール10μLおよびエタノール中の10mg/mLのo−フタルジアルデヒド10μLを添加した。溶液を室温で10分間インキュベートし、その時点で誘導体をヘキサン200μLに抽出した。ヘキサンをデカンティングにより水溶液から分離し、10μLをChiracel OD HPLCカラム(ニュージャージー州フォートリー(Fort Lee)のダイセル・ケミカル・インダストリーズ(Daicel Chemical Industries))上に注入した。カラムは、90:10のヘキサン:イソプロパノールの移動相により1mL/分の速度で一定組成を維持しながら(isocratically)動かした。3−アミノ−2−ブタノールの誘導体化された異性体を、約15.7分および約16.8分[(2S,3S)および(2R,3R)]ならびに約18.4分および約21.9分[(2R,3S)および(2S,3R)]の保持時間で340nmの吸光度により検出した。第1の混合物中で鏡像異性体を区別するため、純粋な(2R,3R)異性体(ミシガン州ヴィクスバーグ(Vicksburg)のブリッジ・オーガニクス(Bridge Organics))についても同一の条件下で行い、16.8分でピークであることを見出した。第2の混合物中で鏡像異性体を区別するため、混合物をまず動力学的にアラニン:アセトインアミノトランスフェラーゼを用いて溶解し、0.28mgの精製酵素を100mMのビス−トリスプロパン1mL(pH9.0)中の10mMのピルビン酸塩および10mMの3−アミノ−2−ブタノール[(2R,3S)および(2S,3R)異性体の1:1混合物]とともにインキュベートした。室温で24時間後、一定分量を除去し、上記のように分析した。分析によると、18.4分のピークが95%損なわれる一方、21.9分のピークが90%超保持されることが示された。残留する反応混合物の一定分量100μLを、20mMのNADH50μLおよび実施例9に記載のTOP10/pTrc99a−BudC株からの抽出物10μLと混合した。BudC酵素は、(R)−アセトインをメソ−2,3−ブタンジオールに、かつ(S)−アセトインを(S,S)−2,3−ブタンジオールに還元することが知られている[ウイ(Ui)ら、(2004年) Letters in Applied Microbiology 39:533−537頁]。3時間後、試料を反応物から採取し、アセトインおよびブタンジオールについて上記のように分析した。分析によると、還元の一次生成物がメソ−2,3−ブタンジオールであることが示され、それはアミノトランスフェラーゼ反応の生成物が(R)−アセトインであることから、消費された3−アミノ−2−ブタノール異性体が(2R,3S)異性体であることが示された。したがって、保持時間では18.4分をこの異性体にかつ21.9分を(2S,3R)異性体に指定することが可能である。
APTで触媒されるアラニン:アセトインアミノトランスフェラーゼ反応の生成物が3−アミノ−2−ブタノールであることを確認するため、0.28mgの精製酵素を100mMビス−トリスプロパン1mL(pH9.0)中の10mMアセトイン、10mM L−アラニン、50U乳酸脱水素酵素および200μM NADHとともにインキュベートした。反応混合物を室温で20時間インキュベートした後、一定分量200μLを除去し、上記のように誘導体化した。誘導体化された生成物の保持時間は、15.8分(主な生成物)および18.5分(わずかな生成物)であり、(2S,3S)−および(2R,3S)−3−アミノ−2−ブタノールの標準の保持時間に一致した。
実施例14
エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカのアミノアルコールキナーゼおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼにおける同定およびクローニング
この実施例の目的は、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)細菌に由来するアミノアルコールキナーゼおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼをコードする配列の同定およびクローニングについて記載することである。これら2種の酵素は、図1に示される、3−アミノ−2−ブタノールから2−ブタノンへの中間体3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩を介する変換における経路1の一部である。
エルウィニアのアミノアルコールキナーゼおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼの予測
ATP依存性のアミノアルコールキナーゼおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼの活性が、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)P6(NCIB10431)、シュードモナス・プチダNCIB 10558(ジョーンズ(Jones)ら、(1973年) Biochem.J.134:167−182頁)、エルウィニア・カロトボーラ、エルウィニア・アマナス(Erwinia amanas)、エルウィニア・ミレティエ(Erwinia milletiae)、およびエルウィニア・アトロセプチカ(Erwinia atroseptica)(ジョーンズ(Jones)ら、(1973年) Biochem.J.134:959−968頁)を含むいくつかのシュードモナス種およびエルウィニア種において検出されている。これらの研究では、上記の種の抽出物が、アミノプロパノールO−リン酸からプロピオンアルデヒドを通じてのアミノプロパノールの酵素変換およびエタノールアミンO−リン酸からアセトアルデヒドを通じてのエタノールアミンの変換における活性を有することが示された。
これらの活性が存在することが報告されたエルウィニア・アトロセプチカ株のゲノム配列(現在、エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカ株SCRI1043(ATCC BAA−672)と表される)が、サンガー・インスティチュート(Sanger Institute)で決定されている(ベル(Bell)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(30):11105−11110頁)。エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカのゲノムにおける推定上のキナーゼの分析によると、オペロン配列(配列番号164)は、リゾビウムロティ(Rhizobium loti)のホモセリンキナーゼに対して39%同一である推定上のタンパク質(ECA2059;配列番号124)およびリゾビウムメリロティ(Rhizobium meliloti)由来の推定上のアミノトランスフェラーゼに対して58%同一である推定上のクラスIIIのピリドキサルリン酸(PLP)依存性のアミノトランスフェラーゼ(ECA2060;配列番号126)をコードすることが示された。上記に基づき、ECA2059がアミノアルコールキナーゼでありかつECA2060がPLPを共同因子として用いるアミノアルコールO−リン酸リアーゼであることが予想された。
エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカ由来の推定上のアミノアルコールキナーゼおよび推定上のアミノアルコールO−リン酸リアーゼのクローニング
エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカ(ATCC番号:BAA−672D)のゲノムDNAをアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から入手した。推定上のアミノアルコールキナーゼ(KA)およびアミノアルコールO−リン酸リアーゼ(AT)をコードするオペロン配列はKA−AT(配列番号164)と称された。このオペロンを、プライマーOT872(配列番号127)およびOT873(配列番号128)を用い、Phusion DNAポリメラーゼ(フィンザイム(Finnzymes);マサチューセッツ州イプスウィッチ(Ipswich)のニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)による)により、エルウィニアのゲノムDNAから増幅した。2.4kbのDNA断片をPCR反応により得て、それはKA−ATオペロンの大きさに対応する。PCR産物をEcoRIおよびPstI制限酵素で消化し、ベクターpKK223−3(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)のアマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences))にクローニングし、それを同じ制限酵素で消化した。これにより、tacプロモーターの制御下で推定上のエルウィニアアミノアルコールキナーゼ−リアーゼのオペロンを有するプラスミドpKK223.KA−ATが生成された。同様に、プラスミドのpKK223.KAおよびpKK223.ATを作製し、それら別々のベクター内に推定上のエルウィニアキナーゼおよび推定上のエルウィニアリアーゼのコード領域が各々tacプロモーターの制御下で配置された。KAコード領域(配列番号123)のPCRクローニングにおいてはプライマーのOT872(配列番号127)およびOT879(配列番号129)を用いる一方、ATコード領域(配列番号125)のPCRクローニングにおいてはプライマーのOT873(配列番号128)およびOT880(配列番号130)をPCR増幅において用い、それにより1.1kbおよび1.3kbのPCR産物が各々生成された。各PCR産物をEcoRIおよびPstIで消化し、ベクターpKK223−3にライゲートすることでpKK223.KAおよびpKK223.ATが生成された。
エルウィニア・カロトボーラ・サブエスピー・アトロセプチカ由来の推定上のアミノアルコールキナーゼおよび推定上のアミノアルコールO−リン酸リアーゼのインビボ活性
プラスミドのpKK223.KA−AT、pKK223.KA、pKK223.ATおよびpKK223−3を大腸菌MG1655株に形質転換した。形質転換体を、1%グルコース、単独の窒素源としての0.5%アミノプロパノール、1mMのIPTGおよび100μg/mLのアンピシリンを含有するMOPS最少培地プレート上に再ストリークした。KA−AT、KAおよびAT遺伝子の発現をIPTGにより誘導した。対照プレートにはIPTGが全く含まれなかった。プレートを37℃で7日間インキュベートした。IPTGを有するプレート上で、MG1655/pKK223.KA−AT株のみが成長した一方、他の3つの株全部が成長しなかった。IPTGの添加を伴わないプレート上で、MG1655/pKK223.KA−AT株が成長したが、コロニーはIPTGを有するプレート上でのコロニーよりも有意に小さく、それはKAおよびATにおける未誘導細胞内でのより低い発現レベルに対応する。他の3つの株の中でこのプレート上で成長したものは全くなかった。これは、推定上のエルウィニアのKAおよびAT遺伝子の同時発現により大腸菌株MG1655/pKK223.KA−ATにおける単独の窒素源としてのアミノプロパノールの利用を可能にする十分な酵素活性がもたらされたことを示す。KAまたはATのいずれかの各個別の酵素の発現が、インビボでかかる酵素活性をもたらすのに十分ではなかった。
実施例15
エルウィニアの推定上のアミノアルコールキナーゼおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼのインビトロ活性
エルウィニアのKA−ATオペロンのpBAD.HisBベクターへのサブクローニングおよびタンパク質発現の誘導
pKK223.KA−ATベクターからMG1655細胞内で発現されたエルウィニアの推定上のKAおよびAT酵素のタンパク質発現レベルをSDS−PAGE分析により分析した。エルウィニアのAT酵素の発現レベルは比較的低く、ここで新しいタンパク質バンドが細胞抽出物の可溶性画分中で46kDの正確な分子量で検出された一方、KA酵素において予測された大きさでは新しいタンパク質バンドが全く検出されなかった。
エルウィニアの推定上のKAおよびAT遺伝子の発現を改善する目的で、KA−ATオペロンをベクターpBAD.HisB−EcoRIのEcoRIおよびHindIII部位にサブクローニングした。プライマーのOT909(配列番号131)およびOT910(配列番号132)を用い、QuickChange部位に特異的な突然変異誘発(カリフォルニア州ラホヤ(La Jolla)のストラタジーン(Stratagene))を介してpBAD.HisB内のNcoI部位をEcoRI部位と置換することにより、pBAD.HisB−EcoRIをpBAD.HisBベクター(インビトロジェン(Invitrogen))から誘導した。作成されたプラスミドpBAD.KA−ATでは、KA−ATオペロンをaraBプロモーター(Hisタグを含まない)の制御下に直接配置した。
pBAD.KA−ATプラスミドを大腸菌TOP10株に形質転換した。TOP10/pBAD.KA−AT株の培養物50mLを、LBの100μg/mLのアンピシリン培地内で、250rpmの振とう下、37℃で対数期中期(OD600=0.6)まで成長させた。培養物をL−アラビノースの添加により誘導し、最終濃度を0.1%(w/v)にし、それを、遠心分離により収集する前に、さらに37℃で5時間インキュベートした。細胞ペレットをpH8.0の氷冷した50mMトリス−HCl中に再懸濁し、Fischer Sonic Model 300 Dismembrator(ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)のフィッシャー(Fischer))を50%出力で用いる超音波処理により氷上で破壊し、30秒の超音波処理で4サイクル分(各サイクル間に60秒の休止を伴う)繰り返した。超音波処理した各試料を遠心分離した(15,000×g、4分、4℃)。清澄化した細胞を含有しない抽出物におけるタンパク質発現レベルおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼ活性について分析した。
アミノブタノールO−リン酸およびアミノプロパノールO−リン酸の化学合成
(R,R)−3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸の基質をホスホエタノールアミンについてのフェラーリ(Ferrari)およびフェラーリ(Ferrari)によって報告された方法(米国特許第2730542号明細書[1956年])に基づく方法により合成した。すなわち、50%(w/v)水溶液中の10mmolのHPOを、 3−アミノ−2−ブタノール(約20:1(R,R):(S,S)異性体;(ミシガン州ヴィクスバーグ(Vicksburg)のブリッジ・オーガニクス(Bridge Organics))の50%(w/v)溶液と氷上で撹拌しながら混合させた。混合後、溶液を室温にゆっくりと温め、次いで真空下で撹拌し、70℃に加熱した。70℃で1時間後、温度を185℃にゆっくりと上昇させ、そこでさらに2時間維持した。その時点で反応物を室温まで冷却し、真空を開放した。残留原料を水中に溶解し、NMRによる分析によると、出発原料の80%が20%が未反応のままの生成物に変換させることが示された。さらに生成物が観察されることはなかった。
追加の基質として(2R,3S)−3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸および(2S,3R)−3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸を、出発原料として(実施例13に記載のように合成された)(2R,3S)−3−アミノ−2−ブタノールと(2S,3R)−3−アミノ−2−ブタノールの1:1混合物を用いる同じ手順により合成した。DL−1−アミノ−2−プロパノールO−リン酸、(S)−2−アミノ−1−プロパノールO−リン酸、および(R)−2−アミノ−1−プロパノールO−リン酸を、出発原料としてDL−1−アミノ−2−プロパノール、(R)−2−アミノ−1−プロパノール、または(S)−2−アミノ−1−プロパノールを用いる同じ手順により合成した。
推定上のエルウィニアのKA−ATオペロンによってコードされるアミノプロパノールO−リン酸リアーゼ活性の分析
アミノプロパノールO−リン酸リアーゼのアッセイをジョーンズ(Jones)ら(1973年、Biochem.J. 134:167−182頁)およびG.ゴリ(G.Gori)ら(1995年、Chromatographia 40:336頁)で記載のように実施した。アミノプロパノールO−リン酸からのプロピオンアルデヒドの形成をMBTHを用いて比色分析でアッセイした。それによりアルデヒド形成の検出が可能である。反応を以下のように行った。反応物1mL中で、大腸菌TOP10/pBAD.KA−ATの100μgの細胞を含有しない抽出物を、0.1mM PLPとともにpH7.8の100mMトリス−HCl中の10mM DL−1−アミノ−2−プロパノールO−リン酸に添加した。反応物を37℃で10分間および30分間インキュベートするとともに、反応混合物の一定分量100μLを各時点で除去し、375mMグリシン−HCl、pH2.7中の6mg/mLのMBTH100μLと混合した。この混合物を100℃で3分間インキュベートし、氷上で15〜30秒間冷却し、3.3mg/mL FeCl.6HO1mL(10mM HCl中)を添加した後、室温で30分間インキュベートした。アルデヒド−MBTH付加体を含有する反応混合物の吸光度を670nmで測定した。アッセイの結果を表9に挙げる。アミノプロパノールリン酸塩基質、PLPおよび細胞を含有しない抽出物の存在下で、0.3以下の対照のバックグラウンドよりも高いAbs670により示されるようにアルデヒドの形成を検出した。基質または細胞を含有しない抽出物のいずれかの不在下で、アルデヒドの形成が全く検出されなかった。添加されたPLPの不在下で、おそらくは細胞を含有しない抽出物中でのPLPの存在に起因し、やや少量のアルデヒドが検出された。未誘導のTOP10/pBAD.KA−AT−培養物の細胞を含有しない抽出物から、反応物中で任意の検出可能なアルデヒドが生成されなかった。これらの結果によると、推定上のエルウィニアアミノアルコールO−リン酸リアーゼがアミノプロパノールO−リン酸からプロピオンアルデヒドへの変換を触媒しないことが示された。
Figure 2009535062
アミノブタノールO−リン酸基質に対するエルウィニアのアミノアルコールO−リン酸リアーゼの活性の分析
アミノブタノールO−リン酸基質に対するアミノアルコールO−リン酸リアーゼの活性を、上記と同じ条件下で試験した。反応を、大腸菌TOP10/pBAD.KA−ATの100μgの細胞を含有しない抽出物、0.1mM PLPとともにpH7.8の100mMトリス−HCl中の10mMのアミノブタノールO−リン酸(実施例15に記載の(R,R)+(S,S)の混合物または(R,S)+(S,R)異性体の混合物のいずれか)を含有する反応物1mL中で37℃で一晩行った。反応混合物の一定分量100μLを除去し、2−ブタノン生成物を一般的方法に記載のMBTH誘導体化方法を用いて検出した。誘導体化された2−ブタノン異性体を表す2つのピークが観察された。したがって、エルウィニアのアミノアルコールO−リン酸リアーゼは、アミノプロパノールリン酸ホスホリアーゼに加えてアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼである。
アミノプロパノールO−リン酸およびアミノブタノールO−リン酸の立体異性体に対するエルウィニアのアミノアルコールO−リン酸リアーゼの活性の分析
アミノプロパノールO−リン酸およびアミノブタノールO−リン酸の様々な立体異性体に対するエルウィニアのアミノアルコールO−リン酸リアーゼの活性を上記と同じ条件下で試験した。エルウィニアのアミノアルコールO−リン酸リアーゼの存在下で、(R)および(S)−2−アミノ−1−プロパノールO−リン酸の双方を酵素によりプロパノンに変換したが、生成物収量は(S)異性体の場合に著しく多かった。酵素は3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸異性体の両混合物からブタノンも生成し、より多量の生成物収量が(R,S)および(S,R)基質異性体を有する反応物中に見出された。プロパノンおよびブタノン生成物の双方を、一般的方法に記載のようにMBTHにより誘導体化してHPLCにより検出した。
エルウィニアのアミノアルコールキナーゼおよびアミノアルコールO−リン酸リアーゼにおける遺伝子発現レベルの最適化
エルウィニアのアミノアルコールキナーゼおよび大腸菌内でのアミノアルコールO−リン酸リアーゼにおける発現レベルを改善するため、両酵素(各々、EKA:配列番号155およびEAT:配列番号156と称される)におけるコドンが最適化されたコード領域をDNA2.0(カリフォルニア州レッドウッド・シティ(Redwood City))により合成した。各コード領域をクローニングにおける制限部位(EKAは5’BbsIおよび3’EcoRIを有する)、HindIII部位(EATは5’EcoRIを有する)および3’HindIII部位を含む5’および3’テール(tails)とともに合成した。EKAおよびEATのコード領域は、DNA2.0のpJ51ベクター内に存在するプラスミドのpEKAおよびpEATとしてDNA2.0から提供された。EKAの最適化されたコード領域をpEKAのBbsIおよびHindIIIで消化された断片をNcoIおよびHindIII部位の間のpBAD.HisBベクターにライゲートすることによりサブクローニングすることで、プラスミドpBAD.EKAが生成された。得られたプラスミドでは、コード領域がHisタグの5’側であることから、エルウィニアのアミノアルコールキナーゼに融合されたN末端Hisタグにおけるコード領域を、プライマー配列番号157および配列番号158を用いるQuickChange部位特異的突然変異誘発反応を行うことにより作成し、ベクターpBAD.His−EKAが生成された。
pBAD.His−EKAを大腸菌株BL21−AI(F−ompT hsdSB(rBmB)gal dcm araB::T7RNAP−tetA;インビトロジェン(Invitrogen))に形質転換し、BL21−AI/pBAD.HisA−EKA株を生成した。BL21−AI/pBAD.HisA−EKAの培養物50mLを対数増殖期中期(OD600=0.6)まで成長させ、0.1%アラビノースで誘導し、さらに30℃で一晩インキュベートした。細胞を含有しない抽出物を超音波処理により調製した。エルウィニアのアミノアルコールキナーゼのHisで標識された融合タンパク質を、非変性の精製条件下でProBond(商標)Purification System(インビトロジェン(Invitrogen))を用い、製造業者の使用説明書に準じて精製した。
予想結果
Hisで標識されたエルウィニアのアミノアルコールキナーゼのキナーゼ活性を、ADP Questアッセイ(カリフォルニア州フレモント(Fremont)のディスカバーエックス(DiscoveRx))により製造業者の使用説明書に準じて分析する。これは基質としてアミノプロパノールまたはアミノブタノールのいずれかを用いるアミノアルコールキナーゼ反応の生成物であるADPの蓄積を測定する生化学的アッセイである。10mMの基質を、反応物0.2mL中で、100mMトリス−HCl、pH7.8、10mM MgCl、2mM KCl、0.1mM ATPの中でHisで標識されたエルウィニアのアミノアルコールキナーゼと混合し、37℃で1時間インキュベートする。ADP試薬A(100μL)およびADP試薬B(200μL)を添加し、混合物を室温で30分間インキュベートする。活性を示す蛍光シグナルを530nmの励起波長および590nmの放射波長で測定する。
実施例16
経路3全体の発現
ベクターpCLBudAB−ter−T5chnAの作成
ベクターpTrc99a::BudABC(実施例9に記載)をEcoRIで消化し、DNAをKlenow DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化する。次いで、平滑化されたベクターをSpeIで消化することでbudAおよびbudB遺伝子を有する2.5kbの断片が生成される。ベクターpCL1925−ter−T5chnA(実施例9に記載)をHindIIIで消化し、DNAをKlenow DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化する。次いで、平滑化されたベクターをXbaIで消化することで4.6kbの断片が生成され、次いでそれをpTrc99a::BudABC由来のbudAB断片にライゲートする。pCLBudAB−ter−T5chnAと称される得られたプラスミドを用いて大腸菌Top10細胞を形質転換し、単一のコロニーにおける適切なプラスミド構造について、プライマーのpCL1925vecF(配列番号62)およびN84seqR3(配列番号159)を用いるPCRによりスクリーニングする。プラスミドを、1.4kbの予想サイズのPCR産物を生成する単一のコロニーから調製する。
ベクターpKK223.KA−AT−APTの作成
APT遺伝子を、プライマーのAPTfor(配列番号162;5’がRBSおよびSmaI部位を含む)およびAPTrev(配列番号163;3’にSmaI部位が付加)を用いるPCRによりベクターpBAD.APT(実施例12に記載)から増幅する。1.7kbpの予想サイズの産物をゲル精製し、SmaIで消化し、平滑末端を生成する。ベクターpKK223.KA−AT(実施例14に記載)をPstIで消化し、DNAをKlenow DNAポリメラーゼで処理して末端を平滑化する。得られたDNA断片をSmaIで消化したPCR産物とライゲートし、ライゲーション産物を用いて大腸菌Top10細胞を形質転換する。アンピシリンに耐性がある各コロニーをプライマーのOT872(配列番号127)およびAPTrev(配列番号163)を用いるPCRによりスクリーニングする。4.1kbpの予想サイズのPCR産物の存在が、APTをコードする遺伝子が存在しかつKAおよびATをコードする遺伝子と同じ方向に方向付けられていることを示す。挿入物の配列をプライマーのAPTseqRev(配列番号160)およびAPTseqFor(配列番号161)を用いて検証する。このプラスミドはpKK223.KA−AT−APTと称される。全部で3つの遺伝子の適切な発現について、LB+100μg/mLのアンピシリン内のTop10/pKK223.KA−AT−APTの培養物5mLを振とう下、37℃で成長させることにより検証する。OD600が約0.8に達する場合、プラスミド上での遺伝子の発現が、IPTGの添加で0.4mMにすることにより誘導される。発現を上記のSDS PAGEおよび活性についてのアッセイにより評価する。
2−ブタノール生成株の作成および2−ブタノンおよび2−ブタノールの生成
大腸菌株MG1655をpKK223.KA−AT−APTおよびpCLBudAB−ter−T5chnAの双方を用いて形質転換し、形質転換体を、プラスミドの存在を示すアンピシリンおよびスペクチノマイシン耐性に対して選択する。細胞を、(適切な抗生物質を有する)50mLもしくは150mLのTM3a/グルコース培地(各々、中程度の酸素条件および低い酸素条件を表す)を有する振とうフラスコ(約175mLの全容量)に接種する。IPTGを0.4mMに添加し、pKK223.KA−AT−APTからの遺伝子の発現を誘発する。負の対照としてMG1655細胞を抗生物質を含有しない同じ培地内で成長させる。フラスコに0.01以下の初期OD600で接種し、フラスコを300rpmの振とう下、34℃で24時間インキュベートする。培地50mLを有するフラスコを空気抜きキャップで覆う一方、培地150mLを有するフラスコを密封キャップで覆って換気を最小限にする。2−ブタノール生合成経路を含むMG1655/pKK223.KA−AT−APT/pCLBudAB−ter−T5chnA株が低い酸素条件下および中程度の酸素条件下で2−ブタノンおよび2−ブタノールの双方を生成する一方、負の対照株は2−ブタノンまたは2−ブタノールのいずれにしても検出可能なレベルで生成することはない。
実施例17
グリセロールデヒドラターゼおよびブタンジオールデヒドラターゼ活性の特徴づけ
グリセロールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.30)およびジオールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.28)は構造的に関連性がある一方、当該技術分野では基質特異性を含む様々な差異に基づいて区別されることが多い。この実施例では、グリセロールデヒドラターゼがメソ−2,3−ブタンジオールを2−ブタノンに変換することを示す。グリセロールデヒドラターゼの複数のサブユニット(α:配列番号145(コード領域)および146(タンパク質);β:配列番号147(コード領域)および148(タンパク質);およびγ:配列番号149(コード領域)および150(タンパク質))をコードするクレブシエラ・ニューモニエ遺伝子、ならびにグリセロールデヒドラターゼレアクティバーゼの複数のサブユニット(大型サブユニット、配列番号151(コード領域)および152(タンパク質);および小型サブユニット、配列番号153(コード領域)および154(タンパク質))をコードするクレブシエラ・ニューモニエ遺伝子を含む組換え大腸菌株KLP23/pSYCO12が、エムプテージ(Emptage)ら、米国特許第6,514,733号明細書および国際公開第2003089621号パンフレット(これらは参照により本明細書中に援用される)にて記載されている。KLP23/pSYCO12の細胞を含有しない粗抽出物を当業者に既知の方法により調製した。酵素アッセイを、光の不在下、12μMの補酵素B12および10mMのメソ−2,3−ブタンジオールを有するpH8.2の80mMヘペス緩衝液中、37℃で行った。2−ブタノンの形成をHPLC(屈折率検出を有するショーデックス(Shodex) SH−1011カラムおよびSH−Gガードカラム;0.5mL/分の流速および50℃のカラム温度での移動相として0.01M HSO;2−ブタノンの保持時間=40.2分)により監視した。グリセロールデヒドラターゼの調製による2−ブタノン形成の速度が粗タンパク質に対して0.4nmol/min/mgであると判断した。
2−ブタノンおよび2−ブタノールの生合成における4つの異なる経路を示す。

Claims (35)

  1. i)ピルビン酸からα−アセト乳酸へ、
    ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
    iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
    iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸へ、
    v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへ、および
    vi)2−ブタノンから2−ブタノールへ、
    からなる群から選択される生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞であって、ここで少なくとも1個のDNA分子が該微生物の宿主細胞に対して異種であり、かつ該微生物の宿主細胞が2−ブタノールを生産する、組換え微生物の宿主細胞。
  2. i)ピルビン酸からα−アセト乳酸へ、
    ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
    iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
    iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸へ、および
    v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへ、
    からなる群から選択される生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞であって、ここで少なくとも1個のDNA分子が該微生物の宿主細胞に対して異種であり、かつ該微生物の宿主細胞が2−ブタノンを生産する、組換え微生物の宿主細胞。
  3. ピルビン酸からα−アセト乳酸への生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアセト乳酸シンターゼである、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  4. α−アセト乳酸からアセトインへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアセト乳酸デカルボキシラーゼである、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  5. アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアセトインアミナーゼである、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  6. 3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩への生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアミノブタノールキナーゼである、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  7. 3−アミノ−2−ブタノールリン酸塩から2−ブタノンへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼである、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  8. 2−ブタノンから2−ブタノールへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがブタノール脱水素酵素である、請求項1に記載の宿主細胞。
  9. 細胞が、細菌、シアノバクテリア、糸状菌および酵母からなる群から選択される、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  10. 細胞が、クロストリジウム属、ザイモモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、ロドコッカス属、シュードモナス属、バチルス属、ラクトバチルス属、腸球菌属、ペディオコッカス属、アルカリゲネス属、クレブシエラ属、パエニバチルス属、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、ピキア属、カンジダ属、ハンセヌラ属およびサッカロミセス属からなる群から選択される属のメンバーである、請求項8に記載の宿主細胞。
  11. アセト乳酸シンターゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号4、配列番号77、および配列番号79からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項3に記載の宿主細胞。
  12. アセト乳酸デカルボキシラーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号2、配列番号81、および配列番号83からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項4に記載の宿主細胞。
  13. アセトインアミナーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250のシリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号122で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項5に記載の宿主細胞。
  14. アミノブタノールキナーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250のシリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号124で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の宿主細胞。
  15. アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250のシリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号126で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項7に記載の宿主細胞。
  16. ブタノール脱水素酵素が、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号14、配列番号72、配列番号75、および配列番号91からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の宿主細胞。
  17. 2−ブタノールを生産させるための方法であって、
    1)i)ピルビン酸からα−アセト乳酸へ、
    ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
    iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
    iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸へ、
    v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへ、および
    vi)2−ブタノンから2−ブタノールへ、
    からなる群から選択される生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞を提供し、ここで少なくとも1個のDNA分子が該微生物宿主細胞に対して異種であり、そして
    2)(1)の宿主細胞を2−ブタノールが生産される条件下の発酵培地内で発酵可能な炭素基質と接触させる、
    ことを含む、上記方法。
  18. 2−ブタノンを生産させるための方法であって、
    1)i)ピルビン酸からα−アセト乳酸へ、
    ii)α−アセト乳酸からアセトインへ、
    iii)アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへ、
    iv)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸へ、および
    v)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへ、
    からなる群から選択される生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1個のDNA分子を含む組換え微生物の宿主細胞を提供し、ここで少なくとも1個のDNA分子が該微生物宿主細胞に対して異種であり、そして
    2)(1)の宿主細胞を2−ブタノンが生産させる条件下の発酵培地内で発酵可能な炭素基質と接触させる、
    ことを含む、上記方法。
  19. 発酵可能な炭素基質が単糖、オリゴ糖、および多糖からなる群から選択される、請求項17または18に記載の方法。
  20. ピルビン酸からα−アセト乳酸への生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアセト乳酸シンターゼである、請求項17または18に記載の方法。
  21. α−アセト乳酸からアセトインへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアセト乳酸デカルボキシラーゼである、請求項17または18に記載の方法。
  22. アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアセトインアミナーゼである、請求項17または18に記載の方法。
  23. 3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸への生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアミノブタノールキナーゼである、請求項17または18に記載の方法。
  24. 3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノンへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼである、請求項17または18に記載の方法。
  25. 2−ブタノンから2−ブタノールへの生成物変換に対して基質を触媒するポリペプチドがブタノール脱水素酵素である、請求項17に記載の方法。
  26. 細胞が細菌、シアノバクテリア、糸状菌、および酵母からなる群から選択される、請求項17または18に記載の方法。
  27. 細胞が、クロストリジウム属、ザイモモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、ロドコッカス属、シュードモナス属、バチルス属、ラクトバチルス属、腸球菌属、ペディオコッカス属、アルカリゲネス属、クレブシエラ属、パエニバチルス属、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、ピキア属、カンジダ属、ハンセヌラ属およびサッカロミセス属からなる群から選択される属のメンバーである、請求項26に記載の方法。
  28. アセト乳酸シンターゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号4、配列番号77、および配列番号79からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項20に記載の方法。
  29. アセト乳酸デカルボキシラーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号2、配列番号81、および配列番号83からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項21に記載の方法。
  30. アセトインアミナーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250のシリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号122で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項22に記載の方法。
  31. アミノブタノールキナーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250のシリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号124で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項23に記載の方法。
  32. アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼが、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250のシリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号126で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項24に記載の方法。
  33. ブタノール脱水素酵素が、ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重み行列のデフォルトパラメータを用いるClustal Wのアラインメント法に基づき、配列番号14、配列番号72、配列番号75、および配列番号91からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項25に記載の方法。
  34. 請求項17に記載の方法により生産される、2−ブタノールを含有する発酵生産物培地。
  35. 請求項18に記載の方法により生産される、2−ブタノンを含有する発酵生産物培地。
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