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抗IGF−1R抗体およびその使用
多数の疫学的研究により、正常血中濃度よりも高い濃度のIGF−1が、幾つかの一般的な癌、例えば乳癌(Hankinsonら、Lancet 1998.351:1393−6)、前立腺癌(Chanら、Science.1998.279:563−6)、肺癌(Yuら、J.Natl.Cancer Inst.1999.91:151−6)及び結腸直腸癌(Maら、J.Natl.Cancer Inst.1999.91:6
20−5)における危険性の増大と関連があることが明らかにされている。IGF−2の血中濃度の上昇も、子宮体癌の危険性の増大と関連があることが明らかにされている(Jonathanら、Cancer Biomarker & Prevention.2004.13:748−52)。それどころか、IGF結合性タンパク質の一つであるIGF−BP3の濃度上昇と、癌危険性に関して、逆相関が観察された。さらにまた、IGF類の濃度上昇も癌患者で認められている(Peyratら、Eur.J.Cancer.1993.351:1393−6;Jonathanら、Cancer Biomarker & Prevention.2004.13:748−52)。
IGF系は、細胞の増殖、分化、アポトーシス及び形質転換の調節において重要な役割を果たす(Jonesら、Endocrinology Rev.1995.16:3−34)。IGF系は、2種類の関連のない受容体について、インスリン様成長因子受容体1(IGF−1R;CD221)及びインスリン様成長因子受容体2(IGF−2R;CD222);2つのリガンド、インスリン様成長因子1(IGF−1及びIGF−2);数個のIGF結合性タンパク質(IGFBP−1〜IGFBP−6)を含有する。また、IGFBPプロテアーゼ(例えば:カスパーゼ類、メタロプロテイナーゼ類、前立腺特異抗原)の大きな群は、IGF結合IGFBPを加水分解して遊離のIGF類を放出し、次いで遊離のIGF類がIGF−1R及びIGF−2Rと相互作用する。IGF系はまた、インスリン及びインスリン受容体(InsR)と密接に関連する(Moschosら、Oncology 2002.63:317−32;Basergaら、Int J.Cancer.2003.107:873−77;Pollakら、Nature Reviews Cancer.2004.4:505−516)。
癌細胞において、受容体チロシンキナーゼ(TK)は、細胞外腫瘍微小環境を、多様な細胞機能、例えば、細胞分裂周期、生存、アポトーシス、遺伝子発現、細胞骨格構造、細胞接着、及び細胞移動を制御する細胞内シグナル伝達経路に結び付けることにおいて重要な役割を果たす。細胞シグナル伝達を制御するメカニズムはよく理解されているので、これらの細胞機能の1つ以上の崩壊の治療方法が、リガンド結合、受容体の発現/リサイクリング、受容体活性化のレベル及びシグナル伝達事象に関与するタンパク質を標的とすることによって開発できるであろう(Hanahan及びWeinberg、Cell 2000.100:57−70)。
I型インスリン様成長因子受容体(IGF−1R、CD221)は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーに属する(Ullrichら、Cell.1990.,61:203−12)。IGF−1Rは広く発現され、そのリガンド、IGF−I及びIGF−2は、生前及び生後発育、成長ホルモン応答、細胞形質転換、生存に重要な役割を果たし、浸潤性及び転移性腫瘍表現型の獲得に関与している(Baserga、Cell.1994.79:927−30;Basergaら、Exp.Cell Res.1999.253:1−6、Basergaら、Int J.Cancer.2003.107:873−77)。免疫組織化学研究により、多数のヒト腫瘍が、より高い濃度のIGF−1Rを発現することが明らかにされている。
IGF−1Rの分子構造は、2つの細胞外αサブユニット(130−135KD)と、細胞質触媒キナーゼドメインを含有する2つの膜貫通βサブユニット(95KD)とを含む。IGF−1Rは、インスリン受容体(InsR)のように、共有結合二量体(α2β2)構造を有することによって他のRTKファミリーメンバーと異なる。構造的に、IGF−1Rは、InsRと極めて関連がある(Pierre De Meyts及びWhittaker、Nature Reviews Drug Discovery.2002,1:769−83)。IGF−1Rは、キナーゼドメインにおいてInsRに対して84%の配列同一性を有し、これに対して膜近傍領域及びC末端領域は、それぞれ61%
及び44%の配列同一性を共有する(Ulrichら、EMBO J.,1986,5:2503−12;Blakesleyら、Cytokine Growth Factor Rev.,1996.7:153−56)。
IGF−1及びIGF−2は、IGF−1Rの2つの活性化リガンドである。α鎖に対するIGF−1及びIGF−2の結合は、特定のチロシン残基でそれぞれのβ鎖の自己リン酸化をもたらし、受容体を非リン酸化状態から活性状態へ変える立体構造の変化を誘発する。キナーゼドメインの活性化ループ中の3個のチロシン残基(1131、1135及び1136のTyr残基)の活性化は、IRS−1及びShcアダプタータンパク質などの基質のドッキングとリン酸化を引き起こす触媒活性の増大を招く。これらの基質の活性化は、生存(PI3K、AKT、TOR、S6)及び/又は増殖(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、p42/p44)のシグナル伝達カスケードに関与する別のタンパク質のリン酸化を招く(Pollakら、Nature Reviews Cancer.2004.4:505−516;Basergaら、Biochem Biophys Act.1997.1332:F105−F126;Basergaら、Int.J.Cancer.2003.107:873−77)。
IGF−1RとInsRとの間の高度な相同性にもかかわらず、証拠は、上記2つの受容体が異なる生物学的役割を有すること;すなわちInsRが、グルコース輸送並びにグリコーゲン及び脂肪の生合成などの生理学的機能の重要な調節剤であり、これに対してIGF−1Rが、細胞の増殖及び分化の強力な調節剤であることを示唆している。InsRと異なり、IGF−1Rは、組織増殖において役割を果たす組織において、IGF−1を調節する成長ホルモン(GH)の制御下で普遍的に発現される。IGF−1R活性化は、正常な細胞増殖を促進することが明らかにされているが、実験的証拠はIGF−1Rが絶対要件ではないことを示唆している(Basergaら、Exp Cell Res.1999.253:1−6;Basergaら、Int.J.Cancer.2003.107:873−77)。
IGF類は、細胞の増殖、分化及びアポトーシスの調節に重要な役割を果たす。IGF−1R介在シグナル伝達の阻害が、腫瘍の増殖速度を低下させ、アポトーシスを高め、化学療法及びその他の分子標的療法による腫瘍の殺滅を高めることが明らかにされている(Pollakら、Nature Reviews Cancer.2004.4:505−516;Zhangら、Breast Cancer Res.2000.2:170−75;Chakravartiら、Cancer Res.2002.62:200−07に概説されている)。
腫瘍においてIGF−1R機能を阻害するために着手された実験的アプローチは、有望であるが制限のある成果を提供しており、その癌治療における有効性は、さらに臨床で調べられるべきである。実験的アプローチは、IGF−1Rに対する抗体(Kullら、J.Biol.Chem.1983,258:6561−66;Kalebicら、Cancer Res.1994.54:5531−4)、IGF−1又はIGF−2に対する中和抗体(Fangら、Mol.Cancer Therapy.2006.5:114−20;Miyamotoら、Clin.Cancer Res.2005,11:3494−502)、小分子チロシンキナーゼ阻害剤(Garcia−Escheverriaら、Cancer Cell.2004.5:231−9;Scotlandiら、Cancer Res.2005.65:3868−76)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(Shapiroら、J.Clin.Invest.1994.94:1235−42;Wraightら、Nature Biotech.2000.18:521−26;Scotlandiら、Cancer Gene Therapy.2002.9:296−07)、IGF−1Rのドミナントネガティブ変異体(Pragerら、Proc
.Natl.Acad.Sci.1994,91:2181−85;Kalebicら、Int.J.Cancer 1998.76:223−7;Scotlandiら、Int.J.Cancer.2002:101:11−6)、IGFリガンドの類縁体(Pietrzkowskiら、Mol.Cell.Biol.1992.12:3883−89)、組換えIGF結合タンパク質(Yeeら、Cell growth Differ.1994.5:73−77;Van Den Bergら、Eur.J.Cancer.1997,33:1108−1113;Jeromeら、AACR 2004,Abstract#5334)、GH−放出ホルモンであるGHRHのアンタゴニスト(Szeredayら、Cancer Res.2003.63:7913−19;Letshら、Proc Natl.Acad.Sci.USA.2003.100:1250−55)及びGH(Kopchickら、2002.Endocr.Rev.23,623−46)を包含する。
抗体がIGF−1R機能を阻害する能力は、IGF−1Rのαサブユニットの未知エピトープを標的とするマウスモノクロナール抗体(α−IR3)を用いて初めて実証された(Kullら、J.Biol.Chem.1983,258:6561−66)。その後に、IGF−1Rのαサブユニットに対して発生させた別の抗体が、IGF−1R機能を種々の実験癌モデルで様々な程度まで阻害することが明らかにされている(Maloneyら、Cancer Res.2003.63:5073−83;Burtrumら、Cancer Res.2003.63:8912−21;Sachdev Dら、Cancer Res.2003.63,627−35;Cohenら、Clin.Cancer Res.2005.11:3065−74;Goetschら、Intl.J.Cancer.2005.113:316−28.Luら、J.Biol.Chem.2004.280:19665−72)。
癌細胞において、生存促進(pro−survival)及び増殖シグナル伝達の他に、IGF−1Rの活性化が運動性及び浸潤に関与することも明らかにされている(Ressら、Oncogene 2001.20:490−00,Nolanら、Int.J.Cancer.1997.72:828−34,Strackeら、J.Biol.Chem.1989.264:21544−49;Jacksonら、Oncogene,2001.20:7318−25)。
腫瘍細胞が、IGF系の成分(IGF−1、IGF−2、IGF−1R、IGF−2R及びIGF−BP)の1つ以上を産生することが明らかにされている。インビトロ(in
vitro)研究により腫瘍がIGF−1又はIGF−2を産生できることが示されているが、翻訳研究(translational study)は、IGF−2が腫瘍においてより関連があり、且つ一般的に発現されるIGFであることを示す。これは、IGF−2遺伝子の両アレル発現を招くエピジェネティックな変化による腫瘍中のサイレンシングIGF−2対立遺伝子の刷り込みの消失(LOI)によるものである(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。これは、順番に、癌細胞に及び腫瘍増殖を支持する微小環境に対する高められたIGF−2供給をもたらす。
IGF−1R感受性腫瘍は、血液循環(肝臓で生成)からIGF−1の受容体活性化シグナル及び腫瘍からIGF−2の受容体活性化シグナルを受け取り、このようにしてIGF−1及びIGF−2の両方が介在する生物活性を崩壊させることをを目的としたアプローチが、よりよい抗腫瘍反応を提供するであろう。従って、IGF−1及びIGF−2の両方が介在する生物学的機能を効果的に妨害する抗−IGF−1R抗体法が、腫瘍微小環境においてIGF−1及びIGF−2の両方が介在するIGF−1Rシグナル伝達の生物学的機能を効果的に妨害しない他のアプローチよりも向上した効果を提供し得る。
安全性に関して、IGF−1Rは普遍的に発現され、従ってIGF−1Rを標的とする抗体は、正常組織においてADCC活性及びCDC活性に起因する毒性を避けるためにエフェクター機能を最小限有するか又は全く有さないであろう。このような抗体を発現させる(developping)1つの可能性は、ADCC機能又はCDC機能に介在しないヒトγ4Fc領域の非グリコシル化体を有することにある。
IGF−1Rは、癌遺伝子介在性細胞形質転換に関与する。
IGF/IGF−1R活性化は、癌細胞において分裂誘発及び生存促進シグナル伝達に介在する。
IGF−1R活性化はまた、細胞運動性及び転移を促進する。
IGF−1Rは、多数の癌において過剰発現される。
正常な血中IGF濃度よりも高い血中IGF濃度を有する個人は、癌を患う危険性が高い。
IGF1及び2の血漿濃度の上昇が、多数の癌患者で認められた。
ヒト腫瘍は、自己分泌成長因子としてIGF−2を産生する。
腫瘍増殖の阻止は、単一薬剤として及び化学療法剤と生物剤の組み合わせとして実証されている。
種々の新生物疾患、例えば癌及びその転移の治療のための種々の又は改良された結合特性、有効特性及び安全特性を有するIGF−1R抗体に対して当技術分野において要求が相変わらず存在する。
Fienbergら、Nat.Rev.Cancer 2004.4:143−53 Giovannucciら、Horm.Metab.Res.2003.35:694−04 De Souzaら、FASEB J.ら、1997.11:60−7
発明の簡単な要約
本発明は、細胞の増殖、分化、アポトーシス及び形質転換の調節におけるIGF系の重要な役割に基づく。特に、I型インスリン様成長因子受容体(IGF−1R)及びそのリガンド、すなわちIGF−1及びIGF−2は、生前及び生後発育、成長ホルモン応答性、細胞形質転換、生存に重要な役割を果たし、浸潤性及び転移性腫瘍表現型の獲得に関与している。本発明は、一般的に、IGF−1R抗体、その抗原結合性フラグメント又は誘導体に関する。ある種のIGF−1R抗体及び抗原結合性フラグメントは、IGF−1R機能を阻害するか又はIGF−1及びIGF−2介在性IGF−1Rシグナル伝達の生物学的機能を妨害する。さらに、本発明は、一般に、種々の新生物疾患、例えば癌及び転移、並びにIGF−1Rシグナル伝達に関連する種々の過剰増殖性疾患、障害又は損傷を治療する方法に関する。
幾つかの実施形態において、本発明は、M13−C06、M14−G11、M14−C
03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントであって、前記抗体又はフラグメントが、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体のIGF−R1への結合を競合的に阻害する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントが、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体の抗原結合性ドメインと同じ抗原結合性ドメインを含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、GF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントの重鎖可変領域(VH)が、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントの軽鎖可変領域(VL)が、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVH及びVLが、それぞれ、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVH及びVLが、それぞれ、20個以下の保存アミノ酸置換それぞれを除いて、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVH及びVLが、それぞれ、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:5
3及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、2個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、及び配列番号:64よりなる群から選択される基準重鎖相補性決定領域−1(VH−CDR1)アミノ酸配列と同一のKabat VH−CDR1アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。別の実施形態において、前記VH−CDR1アミノ酸配列は、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、及び配列番号:64よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、及び配列番号:65よりなる群から選択される基準重鎖相補性決定領域−2(VH−CDR2)アミノ酸配列と同一のKabat VH−CDR2アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。別の実施形態において、前記VH−CDR2アミノ酸配列は、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、及び配列番号:65よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、及び配列番号:66よりなる群から選択される基準重鎖相補性決定領域−3(VH−CDR3)アミノ酸配列と同一のKabat VH−CDR3アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。別の実施形態において、前記VH−CDR3アミノ酸配列は、配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、及び配列番号:66よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、及び配列番号:119よりなる群から選択される基準軽鎖相補性決定領域−1(VL−CDR1)アミノ酸配列と同一のKabat VL−CDR1アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。別の実施形態において、前記VL−CDR1アミノ酸配列は、配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、及び配列
番号:119よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、2個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、及び配列番号:120よりなる群から選択される基準軽鎖相補性決定領域−2(VL−CDR2)アミノ酸配列と同一のKabat VL−CDR2アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。別の実施形態において、前記VL−CDR2アミノ酸配列は、配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、及び配列番号:120よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、及び配列番号:121よりなる群から選択される基準軽鎖相補性決定領域−3(VL−CDR3)アミノ酸配列と同一のKabat VL−CDR3アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。別の実施形態において、前記VL−CDR3アミノ酸配列は、配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、及び配列番号:121よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;並びに配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有する(但し、前記VH−CDR類の少なくとも1つにおける1個、2個、3個又は4個のアミノ酸置換を除く)、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;及び配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;
配列番号:84、85、及び86;配列番号:89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列を含有する(但し、前記VH−CDR類の少なくとも1つにおける1個、2個、3個又は4個のアミノ酸置換を除く)、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;配列番号:84、85、及び86;配列番号:89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有する、IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントを提供する。
前記抗体又はそのフラグメントの種々の実施形態において、VHフレームワーク領域及び/又はVLフレームワーク領域は、ヒト由来のものである(但し、5個以下のアミノ酸置換を除く)。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、線状エピトープ又は非線状立体配置エピトープに結合する。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、多価であり且つ少なくとも2個の重鎖と少なくとも2個の軽鎖を含む。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは多特異性である。別の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、二重特異性である。
前記抗体又はそのフラグメントの種々の実施形態において、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が完全にヒト由来のものである。別の実施形態において、前記の重鎖変領域及び軽鎖可変領域は、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメントに由来する。
前記抗体又はそのフラグメントの種々の実施形態において、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、マウス由来のものである。別の実施形態において、前記の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体に由来する。
種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、ヒト化される。
種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、キメラである。
種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、霊長類化される。
種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、完全にヒト由来のもので
ある。
ある実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、又はFvフラグメントである。
ある実施形態において、前記抗体は一本鎖抗体である。
ある実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、ヒトκ定常領域及びヒトλ定常領域よりなる群から選択される軽鎖定常領域を含有する。
ある実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、重鎖定常領域又はそのフラグメントを含有する。別の実施形態において、重鎖定常領域又はそのフラグメントは、ヒトIgG4である。ある別の実施形態において、前記IgG4は、グリコシル化部位を除去するために変異を誘発する。別の実施形態において、IgG4変異は、Kabatナンバリング方式を使用する、S241P及びT318Aを含有する。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−R1変異ポリペプチドに、前記基準モノクロナール抗体の解離定数(K)よりも小さい解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的に結合する。別の実施形態において、解離定数(K)は、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下である。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、マウスIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントあるいは非ヒト霊長類IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントと比べて、ヒトIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントに優先的に結合する。
ある他の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、ヒトIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントに結合し、且つ非ヒト霊長類IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントにも結合する。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、細胞の表面で発現されるIGF−R1に結合する。別の実施形態において、細胞は、悪性細胞、新生物細胞、腫瘍細胞、又は転移性細胞である。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、インスリン成長因子をIGF−R1に結合させないようにブロックする。別の実施形態において、インスリン成長因子は、インスリン成長因子−1(IGF−1)又はインスリン成長因子−2(IGF−2)である。ある実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGF−1及びIGF−2の両方をIGF−R1に結合させないようにブロックする。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGF−R1−介在性細胞増殖、IGF−1又はIGF−2−介在性IGF−R1リン酸化、腫瘍細胞の増殖、又はIGF−R1内部化を阻害する。
さらなる実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、さらに、それに融合した異種ポリペプチドを含有する。
幾つかの実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、細胞害性薬物、治療剤、細胞増殖抑制剤、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的反応調節剤、医薬品、リンホカイン、異種抗体又はそのフラグメント、検出可能標識、ポリエチレングリコール(PEG)、及び前記薬剤の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される薬剤に結合体化される。別の実施形態において、前記細胞害性薬物は、放射線核種、生体毒素、酵素活性毒素、細胞増殖抑制又は細胞害性治療剤、プロドラッグ、免疫活性リガンド、生物学的反応調節剤、あるいは前記細胞害性薬物の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。別の実施形態において、前記検出可能標識は、酵素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、あるいは前記検出可能な標識の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
別の実施形態において、本発明は、前記の抗体又はそのフラグメントと、担体とを含む組成物を包含する。
本発明のある実施形態は、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VHポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であり;且つ前記VHポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドを包含する。別の実施形態において、前記VHポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される。
ある実施形態において、前記VHポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、前記VHポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなく発現を高めるために最適化される。別の実施形態において、前記最適化は、スプライス供与部位及びスプライス受容部位の識別及び/又は前記ポリヌクレオチドを発現する細胞のためのコドン使用頻度の最適化を含む。別の実施形態において、前記核酸は、配列番号:3、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:42、配列番号:47、配列番号:52、配列番号:57、及び配列番号:62よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含有する。
幾つかの実施形態において、本発明は、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VLポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であり;且つ前記VLポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VLポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される。
ある実施形態において、前記VLポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、前記VLポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることなく発現を高めるために最適化される。別の実施形態において、前記最適化は、スプライス供与部位及びスプライス受容部位の識別及び除去及び/又は前記ポリヌクレオチドを発現する細胞のためのコドン使用頻度の最適化を含む。別の実施形態において、前記核酸は、配列番号:67、配列番号:72、配列番号:77、配列番号:82、配列番号:87、配列番号:92、配列番号:97、配列番号:102、配列番号:107、配列番号:112、及び配列番号:117よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含有する。
ある他の実施形態において、本発明は、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VHポリペプチドのアミノ酸配列が、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一であり;且つ前記VHポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VLポリペプチドのアミノ酸配列が、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一であり;且つ前記VLポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、2個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、及び配列番号:64よりなる群から選択される基準VH−CDR1アミノ酸配列と同一のVH−CDR1アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDR1を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VH−CDR1アミノ酸配列は、配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、及び配列番号:64よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、及び配列番号:65よりなる群から選択される基準VH−CDR2アミノ酸配列と同一のVH−CDR2アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDR2を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VH−CDR2アミノ酸配列は、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、及び配列番号:65よりなる群から
選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、及び配列番号:66よりなる群から選択される基準VH−CDR3アミノ酸配列と同一のVH−CDR3アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VH−CDR3アミノ酸配列は、配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、及び配列番号:66よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、及び配列番号:119よりなる群から選択される基準VL−CDR1アミノ酸配列と同一のVL−CDR1アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDRL1を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VL−CDR1アミノ酸配列が、配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、及び配列番号:119よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、2個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、及び配列番号:120よりなる群から選択される基準VL−CDR2アミノ酸配列と同一のVL−CDR2アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDRL2を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VL−CDR2アミノ酸配列は、配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、及び配列番号:120よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、4個以下のアミノ酸置換を除いて、配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、及び配列番号:121よりなる群から選択される基準VL−CDR3アミノ酸配列と同一のVL−CDR3アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、単離ポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、前記VL−CDR3アミノ酸配列は、配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、及び配列番号:121よりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VHポリペプチドが、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;並びに配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有し;且つ前記VH−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VLポリペプチドが、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;配列番号:84、85、及び86;配列番号:89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有し;且つ前記VH−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−R1に特異的に結合する、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドを提供する。
幾つかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、さらに、前記抗体VHポリペプチド又は前記抗体VLポリペプチドに融合したシグナルペプチドをコードする核酸を含有する。
ある別の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、さらに、前記VHポリペプチドに融合した重鎖定常領域CH1ドメインをコードする核酸を含有するか、前記VHポリペプチドに融合した重鎖定常領域CH2ドメインをコードする核酸を含有するか、前記VHポリペプチドに融合した重鎖定常領域CH3ドメインをコードする核酸を含有するか、又は前記VHポリペプチドに融合した重鎖ヒンジ領域をコードする核酸を含有する。別の実施形態において、前記重鎖定常領域はヒトIgG4である。ある他の実施形態において、前記IgG4は、グリコシル化部位を除去するために変異を誘発する。別の実施形態において、IgG4変異は、Kabatナンバリング方式を使用するS241P及びT318Aを含有する。
幾つかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、前記VLポリペプチドに融合した軽鎖定常領域ドメインをコードする核酸を含有する。別の実施形態において、前記軽鎖定常領域はヒトκ軽鎖定常領域である。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープを特異的に結合する。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−
G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体を競合的に阻害する。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記VHポリペプチド又は前記VLポリペプチドのフレームワーク領域は、ヒト由来のものである(但し、5個以下のアミノ酸置換を除く)。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、本発明は、線状エピトープ又は非線状立体配置エピトープに結合する、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントを提供する。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、多価であり、且つ少なくとも2個の重鎖と少なくとも2個の軽鎖を含有する。
前記ポリヌクレオチドのある実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは多特異性である。前記ポリヌクレオチドの別の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、二重特異性である。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、完全にヒトに由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含有する。別の実施形態において、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメントの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域と同一である。
前記ポリヌクレオチドのある他の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、マウスに由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含有する。別の実施形態において、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域と同一である。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、ヒト化される。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、霊長類化される。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、キメラである。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、完全にヒト由来のものである。
前記ポリヌクレオチドの種々の実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、又はFvフラグメントである。前記ポリヌクレオチドのある実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、一本鎖抗体である。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−R1変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的に結合する。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、マウスIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントあるいは非ヒト霊長類IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントと比べて、ヒトIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントに優先的に結合する。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、ヒトIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントに結合し、且つ非ヒト霊長類IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントにも結合する。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、細胞の表面で発現されるIGF−R1に結合する。別の実施形態において、細胞は、悪性細胞、新生物細胞、腫瘍細胞、又は転移性細胞である。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、インスリン成長因子をIGF−R1に結合させないようにブロックする。別の実施形態において、前記インスリン成長因子は、インスリン成長因子−1(IGF−1)又はインスリン成長因子−2(IGF−2)である。前記ポリヌクレオチドのある別の実施形態において、前記抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−I及びIGF−2の両方をIGF−R1に結合させないようにブロックする。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−R1−介在性細胞増殖を阻害するか、IGF−1又はIGF−2−介在性IGF−R1リン酸化を阻害するか、腫瘍細胞の増殖を阻害するか、又はIGF−R1内部化を阻害する。
幾つかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、さらに、異種ポリペプチドをコードする核酸を含有する。
前記ポリヌクレオチドの幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポ
リペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、細胞害性薬物、治療剤、細胞増殖抑制剤、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的反応調節剤、医薬品、リンホカイン、異種抗体又はそのフラグメント、検出可能標識、ポリエチレングリコール(PEG)、及び前記薬剤の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される薬剤に結合体化される。別の実施形態において、前記細胞害性薬物は、放射線核種、生体毒素、酵素活性毒素、細胞増殖抑制又は細胞害性治療剤、プロドラッグ、免疫活性リガンド、生物学的反応調節剤、あるいは前記細胞害性薬物の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。ある別の実施形態において、前記検出可能な標識は、酵素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、あるいは前記検出可能な標識の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、本発明は、前記ポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。
ある他の実施形態において、本発明は、前記ポリヌクレオチドを含有するベクターを提供する。別の実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、プロモーターと操作可能に結合される。さらに別の実施形態において、本発明は、このようなベクターを含有する宿主細胞を提供する。別の実施形態において、本発明は、前記ポリヌクレオチドがプロモーターと操作可能に結合されているベクターを提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントを製造する方法であって、前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含有する宿主細胞を培養し、前記抗体又はそのフラグメントを回収することを含む、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントを製造する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、前記方法によって製造される単離ポリペプチドを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、前記ポリヌクレオチドによってコードされる単離ポリペプチドを提供する。
前記ポリペプチドの別の実施形態において、前記ポリペプチドを含有する抗体又はそのフラグメントは、IGF−1Rに特異的に結合する。他の実施形態は、前記ポリペプチドを含有する単離抗体又はそのフラグメントを包含する。
幾つかの実施形態において、本発明は、単離VHコード化ポリヌクレオチド及び単離VLコード化ポリヌクレオチドを含む組成物であって、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドのそれぞれが、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントがIGF−R1を特異的に結合する、単離VHコード化ポリヌクレオチド及び単離VLコード化ポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。別の実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:
108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸を含有する。
ある他の実施形態において、本発明は、単離VHコード化ポリヌクレオチド及び単離VLコード化ポリヌクレオチドを含む組成物であって、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドは、それぞれ、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントがIGF−R1を特異的に結合する、単離VHコード化ポリヌクレオチド及び単離VLコード化ポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。別の実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチドは、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;並びに配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有するVHポリペプチドをコードし;前記VLコード化ポリヌクレオチドは、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;配列番号:84、85、及び86;配列番号:89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列を含有するVLポリペプチドをコードし;且つ前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントはIGF−R1を特異的に結合する。
前記組成物の種々に実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチドは、さらに、前記抗体VHポリペプチドに融合したシグナルペプチドをコードする核酸を含有する。
前記組成物の種々に実施形態において、前記VLコード化ポリヌクレオチドは、さらに、前記抗体VLポリペプチドに融合したシグナルペプチドをコードする核酸を含有する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチドは、前記VHポリペプチドに融合した重鎖定常領域CH1ドメインをコードする核酸をさらに含有するか、前記VHポリペプチドに融合した重鎖定常領域CH2ドメインをコードする核酸をさらに含有するか、前記VHポリペプチドに融合した重鎖定常領域CH3ドメインをコードする核酸をさらに含有するか、又は前記VHポリペプチドに融合した重鎖ヒンジ領域をコードする核酸をさらに含有する。別の実施形態において、前記重鎖定常領域はヒトIgG4である。ある他の実施形態において、前記IgG4は、グリコシル化部位を除去するために変異を誘発する。別の実施形態において、前記IgG4変異は、Kabatナンバリング方式を使用するS241P及びT318Aを含有する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記VLコード化ポリヌクレオチドは、さら
に、前記VLポリペプチドに融合した軽鎖定常領域ドメインをコードする核酸を含有する。別の実施形態において、前記軽鎖定常領域はヒトκ軽鎖定常領域である。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープを特異的に結合する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体をIGF−R1に結合させないように競合的に阻害する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記VHポリペプチド及びVLポリペプチドのフレームワーク領域は、ヒト由来のものである(但し、5個以下のアミノ酸置換を除く)。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、線状エピトープ又は非線状立体配置エピトープに結合する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、多価であり、且つ少なくとも2個の重鎖と少なくとも2個の軽鎖を含有する。
前記組成物の幾つかの別の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、多特異性である。別の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、二重特異性である。
前記組成物の幾つかの別の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、完全にヒトに由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含有する。別の実施形態において、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメントの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域と同一である。
前記組成物の幾つかの別の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、マウスに由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含有する。別の実施形態において、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.
2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域と同一である。
前記組成物の種々の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、ヒト化される。
前記組成物の種々の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、霊長類化される。
前記組成物の種々の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、キメラである。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、完全にヒト由来のものである。
前記組成物の種々の実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、又はFvフラグメントである。前記組成物のある実施形態において、前記のVHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドによってコードされる抗体又はそのフラグメントは、一本鎖抗体である。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−R1変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的に結合する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、マウスIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントあるいは非ヒト霊長類IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントと比べて、ヒトIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントに優先的に結合する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、ヒトIGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントに結合し、且つ非ヒト霊長類IGF−R1ポリペプチド又はそのフラグメントにも結合する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、細胞の表面で発現されるIGF
−R1に結合する。別の実施形態において、前記細胞は、悪性細胞、新生物細胞、腫瘍細胞、又は転移性細胞である。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、インスリン成長因子をIGF−R1に結合させないようにブロックする。別の実施形態において、前記インスリン成長因子は、インスリン成長因子−1(IGF−1)又はインスリン成長因子−2(IGF−2)である。前記組成物のある他の実施形態において、前記抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−I及びIGF−2の両方をIGF−R1に結合させないようにブロックする。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−R1−介在性細胞増殖を阻害するか、IGF−1又はIGF−2−介在性IGF−R1リン酸化を阻害するか、腫瘍細胞の増殖を阻害するか又はIGF−R1内部化を阻害する。
幾つかの実施形態において、前記組成物、前記VHコード化ポリヌクレオチド、前記VLコード化ポリヌクレオチド、又は前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドポリヌクレオチドの両方は、さらに、異種ポリペプチドをコードする核酸を含有する。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記核酸によってコードされるポリヌクレオチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントは、細胞害性薬物、治療剤、細胞増殖抑制剤、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的反応調節剤、医薬品、リンホカイン、異種抗体又はそのフラグメント、検出可能標識、ポリエチレングリコール(PEG)、及び前記薬剤の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される薬剤に結合体化される。別の実施形態において、前記細胞害性薬物は、放射線核種、生体毒素、酵素活性毒素、細胞増殖抑制又は細胞害性治療剤、プロドラッグ、免疫活性リガンド、生物学的反応調節剤、あるいは前記細胞害性薬物の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。ある他の実施形態において、前記検出可能標識は、酵素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、あるいは前記検出可能な標識の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
前記組成物の幾つかの実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチドは、第1のベクター上に含有され且つ前記VLコード化ポリヌクレオチドは、第2のベクター上に含有される。別の実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチドは、第1のプロモーターに操作可能に結合され且つ前記VLコード化ポリヌクレオチドは、第2のプロモーターに操作可能に結合される。ある他の実施形態において、前記第1及び第2のプロモーターは、同じプロモーターのコピーである。別の実施形態において、前記第1及び第2のプロモーターが異なるものである。
前記組成物の種々の実施形態において、前記第1のベクター及び前記第2のベクターは単一の宿主細胞に含まれる。
前記組成物のある他の実施形態において、前記第1のベクター及び前記第2のベクターは、別々の宿主細胞に含まれる。
幾つかの実施形態において、本発明は、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法であって、前記宿主細胞を培養し、前記抗体又はそのフラグメントを回収することを含む、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの
製造方法を提供する。
他の実施形態において、本発明は、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法であって、別々の宿主細胞を同時に培養し、前記抗体又はそのフラグメントを回収することを含む、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法を提供する。前記方法の別の実施形態において、本発明は、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法であって、前記VHコード化ポリヌクレオチド及びVLコード化ポリヌクレオチドを一緒にし、前記抗体又はそのフラグメントを回収することを含む、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、前記の方法で製造されるIGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドが同じベクター上に存在する組成物及びその中のベクターを提供する。
前記ベクターの種々の実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドは、それぞれプロモーターに操作可能に結合される。
前記ベクターの種々の実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドは、フレーム内に融合され、それと操作可能に結合された単一のプロモーターから同時転写され、一本鎖抗体又はその抗原結合性フラグメントに同時翻訳される。
前記ベクターの種々の実施形態において、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドは、それと操作可能に結合された単一のプロモーターから同時転写されるが、別々に翻訳される。別の実施形態において、前記ベクターは、前記VHコード化ポリヌクレオチド及び前記VLコード化ポリヌクレオチドの間に配置されたIRES配列をさらに含有する。ある他の実施形態において、前記のVHをコードするポリヌクレオチド及び前記のVLをコードするポリヌクレオチドは、別々に転写され、それぞれが別々のプロモーターに操作可能に結合される。別の実施形態において、前記別々のプロモーターは、同じプロモーターのコピーであるか、又は前記別々のプロモーターは異なるものである。
幾つかの実施形態において、本発明は、前記ベクターを含有する宿主細胞を提供する。
他の実施形態において、本発明は、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法であって、前記宿主細胞を培養し、前記抗体又はそのフラグメントを回収することを含む、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントの製造方法を提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、前記の方法によって製造される、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントを提供する。
幾つかの実施形態において、本発明は、動物の過剰増殖性疾患を治療する方法であって、治療を必要とする動物に、a)前記の単離抗体又はそのフラグメント;及びb)製薬学的に許容し得る担体を含む組成物を投与することを含む、動物の過剰増殖性疾患を治療する方法を提供する。別の実施形態において、前記過剰増殖性疾患又は障害は、癌、新生物
、腫瘍、悪性腫瘍、又はこれらの転移よりなる群から選択される。
前記方法の種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、悪性細胞の表面で発現されるIGF−1Rに特異的に結合する。別の実施形態において、悪性細胞に対する前記抗体又はそのフラグメントの結合は、悪性細胞の成長阻害をもたらす。
前記方法の種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGFを前記悪性細胞に結合させないように阻害する。別の実施形態において、前記IGFは、IGF−1又はIGF−2である。
前記方法の種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGF−1を悪性細胞に結合させないように阻害するが、IGF−2を阻害しない。ある他の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGF−2を悪性細胞に結合させないように阻害するが、IGF−1を阻害しない。
前記方法の種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、悪性細胞内へのIGF−1Rの内部化を促進する。
前記方法の種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、IGF−1Rリン酸化を阻害するか、又は腫瘍細胞の増殖を阻害する。別の実施形態において、腫瘍細胞の増殖は、転移成長の阻止又は遅延によって阻害される。
前記方法の種々の実施形態において、前記抗体又はそのフラグメントは、腫瘍細胞遊走を阻害する。別の実施形態において、腫瘍細胞の増殖は、隣接組織に広がる腫瘍の阻止又は遅延によって阻害される。
前記方法の種々の実施形態において、前記過剰増殖性疾患又は障害は、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、副腎腺、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺、眼、頭部、頸部、中枢神経系、末梢神経系、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、又は生殖器系にある新生物である。
前記方法の種々の実施形態において、前記過剰増殖性疾患は、扁平上皮細胞癌、黒色腫、白血病、骨髄腫、胃癌、脳腫瘍、肺癌、膵癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、腎臓癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、並びに頭頸部癌よりなる群から選択される癌である。別の実施形態において、癌は、胃癌、腎臓癌、脳腫瘍、膀胱癌、大腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、卵巣癌、及び前立腺癌よりなる群から選択される。
前記方法の種々の実施形態において、動物は哺乳動物である。別の実施形態において、動物はヒトである。
発明の詳細な説明
I.定義
“ある1つ(a又はan)”の実体(entity)という用語は、1つ以上のその実体を指すことが認められるべきでである;例えば、“ある1つのIGF−1R抗体”は、1つ以上のIGF−1R抗体を表すと解釈される。このように、“ある1つ(a又はan)”、“1つ以上”及び“少なくとも1つ”という用語は、本明細書において同じ意味で使用できる。
本明細書で使用されるように、“ポリペプチド”という用語は、単数形“ポリペプチド
”及び複数形“ポリペプチド”を包含することを意図し、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)で線状に連結されたモノマー(アミノ酸類)を含む分子を指す。“ポリペプチド”という用語は2個以上のアミノ酸の任意の1つ以上の鎖を指し、生成物の特定の長さを指さない。従って、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、“タンパク質”、“アミノ酸鎖”、あるいは2個以上のアミノ酸の1つ以上の鎖を指すのに使用されるその他の用語は、“ポリペプチド”の定義の範囲に含まれ、また“ポリペプチド”という用語は、これらの用語のいずれの代わりに使用し得るし又はこれらの用語と同じ意味で使用し得る。“ポリペプチド”という用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば限定なしにグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/封鎖基による誘導体化、タンパク分解切断、又は非天然アミノ酸による修飾の生成物を指すことを意図する。ポリペプチドは、天然生物学的起源から誘導し得るか又は組換え技術で製造し得るが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるとは限らない。ポリペプチドは、任意の方法で、例えば化学合成で生成し得る。
本発明のポリペプチドは、約3個以上、5個以上、10個以上、20個以上、25個以上、50個以上、75個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1,000個以上、あるいは2,000個以上のアミノ酸の大きさからなり得る。ポリペプチドは、定義された3次元構造を有し得るが、必ずしもこのような構造を有するとは限らない。定義された3次元構造を有するポリペプチドは、折りたたまれていると呼ばれ、また定義された3次元構造をもたないが、むしろ多数の種々の立体配座を取ることができるポリペプチドは、折りたたまれていないと呼ばれる。本明細書で使用されるように、糖タンパク質という用語は、アミノ酸残基、例えばセリン残基又はアスパラギン残基の酸素含有側鎖又は窒素含有側鎖によってタンパク質に結合される少なくとも1個の糖質部分に連結されたタンパク質を指す。
“単離”ポリペプチドあるいはそのフラグメント、変異体、又は誘導体とは、その自
然環境にあるポリペプチドではないポリペプチドを意図する。特定のレベルの精製は、必要とされない。例えば、単離ポリペプチドは、その固有の環境又は自然環境から取り出すことができる。宿主細胞中で発現される組換え技術によって産生されたポリペプチド及びタンパク質は、適当な方法で分離され、分別され、あるいは部分的に又は実質的に精製されている天然又は組換えポリペプチドであるように、本発明の目的に単離されているとみなされる。
また、本発明のポリペプチドとして、前記ポリペプチドのフラグメント、誘導体、類似体、又は変異体、及びこれらの組み合わせも包含される。“フラグメント”、“変異体”、“誘導体”及び“類似体”は、本発明のIGF−1R抗体又は抗体ポリペプチドを指す場合には、対応する天然抗体又はポリペプチドの抗原結合特性の少なくとも幾つかを保持する任意のポリペプチドを包含する。本発明のポリペプチドのフラグメントとしては、本明細書の他の個所で論じる特異抗体フラグメントの他に、タンパク分解フラグメント、及び欠失フラグメントが挙げられる。本発明のIGF−1R抗体及び抗体ポリペプチドの変異体としては、前記のフラグメント、及びアミノ酸の置換、欠失又は挿入による改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。変異体は、天然に生じ得るか又は非天然産であり得る。非天然変異体は、当技術分野で公知の変異誘発技術を使用して産生させ得る。変異ポリペプチドは、保存又は非保存アミノ酸置換、欠失又は付加を含有し得る。本発明のIGF−1R抗体及び抗体ポリペプチドの誘導体は、天然ポリペプチドについて認められない別の特徴を示すように変性されているポリペプチドである。例としては、融合タンパク質が挙げられる。変異ポリペプチドはまた、本明細書において“ポリペプチド類似体”とも呼び得る。本明細書で使用されるように、IGF−1R抗体又は抗体ポリペプチドの“誘導体”とは、官能側基の反応によって化学的に誘導体化された1個以上の残基を有する主題のポリペプチドを指す。“誘導体”としては、20個の標準アミノ酸の
1個以上の天然アミノ酸誘導体を含有するペプチドも包含される。例えば、4−ヒドロキシプロリンが、プロリンの代わりに使用し得;5−ヒドロキシリシンがリシンの代わりに使用し得;3−メチルヒスチジンがヒスチジンの代わりに使用し得;ホモセリンがセリンの代わりに使用し得;及びオルニチンがリシンの代わりに使用し得る。
“ポリヌクレオチド”という用語は、単一の核酸及び複数の核酸を包含することを意図し、単離核酸分子又は組立て体、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)又はプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、慣用のホスホジエステル結合又は非慣用結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見出されるようなアミド結合)を含有し得る。“核酸“という用語は、ポリヌクレオチド中に存在する、任意の1個以上の核酸セグメント、例えば、DNA又はRNAフラグメントを指す。“単離”核酸又はポリヌクレオチドとは、その固有の環境から取り出された核酸分子、DNA又はRNAを意図する。例えば、ベクター中に含有されるIGF−1R抗体をコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されるとみなされる。単離ポリヌクレオチドの別の例としては、異種宿主細胞中に保持された組換えポリヌクレオチド又は溶液中の精製された(部分的に又は実質的に)ポリヌクレオチドが挙げられる。単離RNA分子としては、本発明のポリヌクレオチドのインビボ又はインビトロRNA転写物が挙げられる。本発明の単離ポリヌクレオチド又は核酸としては、さらに合成的に製造されたこのような分子が挙げられる。また、ポリヌクレオチド又は核酸は、調節因子、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、又は転写ターミネーターであってもよいし又はこれらを含有していてもよい。
本明細書で使用されるように、“コード領域”とは、アミノ酸に翻訳されるコドンを含む核酸の一部分である。“停止コドン”(TAG、TGA、又はTAA)は、アミノ酸に翻訳されないが、コード領域の部分であるとみなしてよい。しかし、任意のフランキング配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の部分ではない。本発明の2つ以上のコード領域は、単一のポリヌクレオチド組立て体中に、例えば1個のベクター上に、又は別個のポリヌクレオチド組立て体中に、例えば別個の(異なる)ベクター上に存在することができる。また、任意のベクターは、1つのコード領域を含有していてもよいし、あるいは2つ以上のコード領域を含有していてもよく、例えば、1個のベクターは、免疫グロブリン重鎖可変領域及び免疫グロブリン軽鎖可変領域を別々にコードしていてもよい。また、本発明のベクター、ポリヌクレオチド、核酸は、IGF−1R抗体あるいはそのフラグメント、変異体、又は誘導体をコードする核酸に融合されているか又は融合されていない異種コード領域をコードし得る。異種コード領域としては、限定されることなく、特殊な要素又はモチーフ、例えば分泌シグナルペプチド又は異種機能ドメインが挙げられる。
ある実施形態において、ポリヌクレオチド又は核酸はDNAである。DNAの場合は、ポリペプチドをコードする核酸を含有するポリヌクレオチドは、標準的に、プロモーター及び/又は1つ以上のコード領域と操作可能に結合されたその他の転写又は翻訳調節因子を含有し得る。操作可能な結合は、遺伝子産物、例えばポリペプチドのコード領域が、1つ以上の調節配列と、該調節配列(1つ以上)の影響又は制御下で遺伝子産物の発現を行うような方法で結合される場合である。、2つのDNAフラグメント(例えば、ポリペプチドコード領域及びそれと結合されたプロモーター)は、プロモーター機能の導入が、所定の遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合に及び前記2つのDNAフラグメントの間の結合の性質が、遺伝子産物の発現を指示する発現調節配列の能力を妨害しないか又は転写されるべきDNA鋳型の能力を妨害しない場合に、“操作可能に結合される”。従って、プロモーター領域は、プロモーターがその核酸の転写に影響を及ぼすことができる場合には、ポリペプチドをコードする核酸と操作可能に結合されるであろう。プロモーターは、所定の細胞内のDNAのみの実質的な転写を指示する細胞特異的プロモーターであり得る。その他の転写調節因子、プロモーターの他に、例えば、エンハンサー、
オペレーター、リプレッサー、及び転写終結シグナルは、細胞特異的転写を指示するためにポリヌクレオチドと操作可能に結合することができる。適当なプロモーター及び他の転写調節領域が、本明細書に開示される。
様々な転写調節領域が、当業者に知られている。これらの転写調節領域としては、限定されることなく、脊椎動物細胞において機能する転写調節領域、例えば、以下に限定されないが、サイトメガロウイルス(即時型プロモーター、イントロン−Aと併用して)、シミアンウイルス40(初期プロモーター)、及びレトロウイルス(例えばラウスラウス肉腫ウイルス)由来のプロモーター及びエンハンサーセグメントが挙げられる。他の転写調節領域としては、脊椎動物遺伝子、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモン及びウサギβ−グロビンから誘導される転写調節領域、並びに真核細胞において遺伝子発現を調節できる他の配列が挙げられる。別の適当な転写調節領域としては、組織特異的プロモーター及びエンハンサー並びにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、インターフェロン類又はインターロイキン類によって誘導できるプロモーター)が挙げられる。
同様に、様々な翻訳調節因子が当業者に知られている。これらの翻訳調節因子としては、以下に限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始及び終止コドン、並びにピコルナウイルスから誘導される要素(特に、内部リボソーム侵入部位、すなわちIRES(CITE配列とも呼ばれる))が挙げられる。
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、RNA、例えばメッセンジャーンRNA(mRNA)の形である。
本発明のポリヌクレオチド及び核酸コード領域は、分泌又はシグナルペプチドをコードし、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指示するする別のコード領域と結合させ得る。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、いったん粗面小胞体を横切る成長タンパク質鎖の輸出が開始されると、成熟タンパク質から切断されるシグナルペプチド又は分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されるポリペプチドが、一般に、分泌型又は“成熟”型のポリペプチドを産生するために完全又は“全長”ポリペプチドから切断されるポリペプチドのN末端に融合されたシグナルペプチドを有することを知っている。ある実施形態において、天然シグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖又は軽鎖シグナルペプチドが使用されるか、あるいはそれに操作可能に結合されるポリペプチドの分泌を指示する能力を保持するその配列の機能性誘導体が使用される。あるいはまた、異種哺乳動物シグナルペプチド、又はその機能性誘導体を使用し得る。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)又はマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置換されていてもよい。
本発明は、ある種のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体に関する。具体的に自然発生抗体などのフルサイズの抗体に言及しない限りは、“IGF−1R抗体”という用語は、フルサイズの抗体及びこのような抗体の抗原結合性フラグメント、変異体、類似体、又は誘導体、例えば自然発生抗体又は免疫グロブリン分子、あるいは抗体分子に似た方法で抗原を結合する操作された抗体分子又はフラグメントを包含する。
“抗体”及び“免疫グロブリン”という用語は、本明細書において同じ意味で使用される。抗体又は免疫グロブリンは、少なくとも重鎖の可変領域を含有し、及び普通は少なくとも重鎖及び軽鎖の可変領域を含有する。脊椎動物系の基本的な免疫グロブリン構造は、比較的によく理解される。例えば、Harlowら、Antibodies:A Lab
oratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)を参照。
以下でさらに詳しく論じるように、“免疫グロブリン”という用語は、生化学的に区別することができる種々の広範な種類のポリペプチドを含有する。当業者は、重鎖がガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロン(γ、μ、α、δ、又はε)として分類され、これらの間に幾つかのサブクラスを有する(例えば、γ1〜γ4)ことが分かるであろう。抗体の“クラス”をIgG、IgM、IgA、IgG、又はIgEそれぞれとして決定することがこの鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などが十分に特定されており、機能特化を与えることが知られている。これらのクラス及びアイソタイプのそれぞれの修飾バージョンは、当業者にはこの開示を考慮して容易に認識でき、従って、本発明の範囲内にある。全ての免疫グロブリンクラスは、明らかに本発明の範囲内にあり、以下の論議は、一般的に免疫グロブリン分子のIgGクラスに関するであろう。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、分子量約23,000ダルトンの2つの同じ軽鎖ポリペプチドと、分子量53,000〜70,000の2つの同じ重鎖ポリペプチドを含む。この4つの鎖は、典型的には、軽鎖が“Y”の口元で始まり且つ可変領域を通って続く重鎖を支えている“Y”立体配置でジスルフィド結合によって接続される。
軽鎖は、カッパ又はラムダ(κ、λ)として分類される、各重鎖クラスは、カッパ又はラムダ軽鎖と結合され得る。一般に、軽鎖と重鎖は、相互に共有結合され、2つの重鎖の“尾部”部分は、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞又は遺伝子操作宿主細胞によって生じる場合には、ジスルフィド結合又は非共有結合によって相互に結合される。重鎖において、アミノ酸配列は、Y立体配置のフォーク状末端でのN−末端から、それぞれの鎖の下部のC−末端まで続く。
軽鎖及び重鎖の両方は、構造的及び機能的相同性の領域に分けられる。定常”及び“可変”という用語は、機能的に使用される。これに関して、L(VL)鎖部分及びH(VH)鎖部分の可変領域は、抗原認識及び特異性を決定することが理解されるであろう。反対に、軽鎖の定常領域(CL)及び重鎖の定常領域(CH1、CH2又はCH3)は、重要な生物学的性質、例えば分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などを与える。転化によって、定常領域ドメインのナンバリングは、抗原結合部位又は抗体のアミノ末端からより末端になるにつれて増大する。N末端部分は、可変領域であり、C−末端部分では定常領域である;CH3及びCLドメインは、実際に重鎖及び軽鎖それぞれのカルボキシ末端を含有する。
上記に示したように、可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体のVLドメイン及びVHドメイン、又は相補性決定領域(CDR)のサブセットは、結合して3次元抗原結合部位を規定する可変領域を形成する。この四級抗体構造は、Yの各アームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。さらに詳しくは、抗原結合部位は、V重鎖及びV軽鎖のそれぞれの3つのCDRによって規定される。ある場合には、例えば、ラクダ科動物種から誘導されるか又はラクダ科動物免疫グロブリンに基づいて操作されたある種の免疫グロブリン分子、完全免疫グロブリン分子は、重鎖のみからなり、軽鎖を有していない。例えば、Hamers−Castermanら、Nature 363:446−448(1993)参照。
自然発生抗体において、各抗原結合性ドメインに存在する6個の“相補性決定領域”すなわち“CDR”は、抗体が水性環境においてその3次元立体配置をとると考えられることから、抗原結合性ドメインを形成するために特異的に配置される短い隣接しないアミノ酸である。抗原結合性ドメインのアミノ酸の残部(“フレームワーク”領域と呼ばれる)
は、少ない分子内変動性を示す。フレームワーク領域は、主としてβ−シート立体配置をとり、CDRは、β−シート構造を連結し且つある場合にはβ−シート構造の一部を形成するループを形成する。従って、フレームワーク領域は、鎖内非共有相互作用によって正しい配向でCDRの配置を提供する足場(scaffold)を形成するために働く。配置されたCDRによって形成された抗原結合性ドメインは、免疫活性抗原上のエピトープに相補的な表面を規定する。この相補的表面は、その同種エピトープに対する抗体の非共有結合を促進する。CDR及びフレームワーク領域を含有するアミノ酸は、それぞれ、これらが正確に定義されていることから、当業者によって所定の重鎖又は軽鎖可変領域について容易に確認されることができる(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,Kabat,E.ら、U.S.Department of Health and Human Services,(1983);及びChothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)参照、これらはその全てが参照として本明細書に組み込まれる)。
当技術分野内で使用される及び/又は許容される用語について2つ以上の定義が存在する場合には、本明細書で使用されるようにその用語の定義は、それとは反対に明記しない限りは全てのこのような意味を含むことを意図する。具体例は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの可変領域の中に認められる隣接しない抗原結合部位を説明するための用語“相補性決定領域”(CDR)の使用である。この特定の領域は、Kabat,E.ら、U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”(1983);及びChothiaら、J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)に記載されており(これらは参照として本明細書に組み込まれる)、この場合に、定義は、相互に比較される場合にはアミノ酸残基の重複又はサブセットを包含する。それにもかかわらず、抗体又はその変異体のCDRを指すいずれかの定義の適用は、本明細書において定義され且つ使用される用語の範囲内にあることを意図する。上記で引用された参考文献のいずれかによって定義されるようなCDRを包含する適切なアミノ酸残基を、以下に比較として表1に示す。特定のCDRを包含する正確な残基の数は、CDRの配列及び大きさに応じて変化するであろう。当業者は、どの残基が抗体の可変領域アミノ酸配列を与える特定のCDRを含有するかを日常的に決定できる。
表1のCDRの定義全てのナンバリングは、Kabatらによって示されたナンバリング規則に従う(以下、参照)
Kabatらはまた、任意の抗体に適用できる可変領域配列についてのナンバリング方式も定義した。当業者は、配列それ自体を超える実験データに依存することなく、任意の可変領域配列に対して“Kabatナンバリング”のこの体系を明確に割り当てることができる。本明細書で使用されるように、“Kabat ナンバリング”とは、Kabatら、U.S.Dept.of Health and Human Services,
“Sequences of Proteins of Immunological Interest”(1983)に示されたナンバリング方式を指す。特に明記しない限りは、本発明のIGF−1R抗体あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体の特定のアミノ酸残基部分のナンバリングに対する言及は、Kabatナンバリング方式に従う。
ラクダ科動物種において、重鎖可変領域(VHHという)は、完全抗原結合性ドメインを形成する。ラクダ科動物VHH可変領域及び従来抗体から誘導される可変領域(VH)の間の主な相違としては、(a)VHHの対応領域と比べてVHの軽鎖接触表面のより疎水性のアミノ酸、(b)VHHのより長いCDR3、及び(c)VHHのCDR1とCDR3の間のジスルフィド結合の出現頻度が挙げられる。
本発明の抗体あるいはその抗原結合フラグメント、変異体、又は誘導体としては、以下に限定されないが、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、多特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、又はキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合フラグメント、例えば、Fab、Fab’及びF(ab’)、Fd、Fvs、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VL又はVHドメインのいずれかを含有するフラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、及び抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本明細書に開示のIGF−1R抗体に対する抗−Id抗体を含む)が挙げられる。ScFv分子は、当技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,892,019号に記載されている。本発明の免疫グロブリン又は抗体分子は、免疫グロブリン分子任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスであり得る。
抗体フラグメント(一本鎖抗体を含む)は、可変領域(1つ以上)を、単独で又は下記:ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインの全体又は一部と組み合わせて含有し得る。また、本発明には、可変領域(1つ以上)とヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインとの任意の組み合わせを含有する抗原結合フラグメントも含まれる。本発明の抗体又はその免疫特異的フラグメントは、任意の動物起源、例えば鳥類及び哺乳動物に由来するものであり得る。好ましくは、抗体は、ヒト抗体、マウス抗体、ロバ抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、モルモット抗体、ラクダ抗体、ラマ抗体、ウマ抗体、又はニワトリ抗体である。別の実施形態において、可変領域は、起源においてコンドリクトイド(condricthoid)(例えば、サメ由来のもの)であり得る。本明細書で使用されるように、“ヒト”抗体としては、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が挙げられ且つヒト免疫グロブリンライブラリーから単離される抗体、あるいは1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物から単離される抗体並びに以下に記載の及び例えばKucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載の内因性免疫グロブリンを発現しない抗体が挙げられる。
本明細書で使用されるように、“重鎖部分”という用語は、免疫グロブリン重鎖から誘導されるアミノ酸配列を包含する。重鎖部分を含有するポリペプチドは、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば、上部、中間部、及び/又は下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、あるいはこれらの変異体又はフラグメントの少なくとも1つを含有する。例えば、本発明で使用する結合性ポリペプチドは、CH1ドメインを含有するポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部分、及びCH2ドメインを含有するポリペプチド鎖;CH1ドメイン及びCH3ドメインを含有するポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部分、及びCH3ドメインを含有するポリペプチド鎖、あるいはCH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部分、CH
2ドメイン、及びCH3ドメインを含有するポリペプチド鎖を含有し得る。別の実施形態において、本発明のポリペプチドは、CH3ドメインを含有するポリペプチド鎖を含有する。また、本発明で使用する結合性ポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部分(例えば、CH2ドメインの全部又は一部)を欠いていてもよい。上記のように、これらのドメイン(例えば、重鎖部分)が自然発生免疫グロブリン分子由来のアミノ酸配列において異なるように修飾し得ることは、当業者には理解されるであろう。
本明細書に記載のある種のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体において、多量体の1個のポリペプチド鎖の重鎖部分は、多量体の第2のポリペプチド鎖の重鎖部分と同じである。あるいは、本発明の重鎖部分含有単量体同士は同じではない。例えば、各単量体は、例えば二重特異性抗体を形成する異なる標的結合部位を含有し得る。
本明細書に開示された診断及び治療方法で使用する結合性ポリペプチドの重鎖部分は、種々の免疫グロブリン分子から誘導し得る。例えば、ポリペプチドの重鎖部分は、IgG1分子から誘導されるCH1ドメイン及びIgG3分子から誘導されるヒンジ領域を含有し得る。別の例において、重鎖部分は、一部分はIgG1分子から及び一部分はIgG3分子から誘導されるヒンジ領域を含有することができる。別の例において、重鎖部分は、一部分はIgG1分子から及び一部分はIgG4分子から誘導されるキメラヒンジを含有することができる。
本明細書で使用されるように、“軽鎖部分”という用語は、免疫グロブリン軽鎖から誘導されるアミノ酸配列を包含する。好ましくは、軽鎖部分は、VL又はCLドメインの少なくとも1つを含有する。
本明細書に開示されたIGF−1R抗体、あるいは抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、抗原のエピトープ(1つ以上)又は部分(1つ以上)、例えば、認識するか又は特異的に結合する標的ポリペプチド(IGF−1R)に関して記載又は特定され得る。抗体の抗原結合性ドメインと特異的に相互作用する標的ポリペプチドの部分は、“エピトープ”又は“抗原決定基”である。標的ポリペプチドは、単一のエピトープを含有し得るが、典型的には少なくとも2個のエピトープを含有し、抗原の大きさ、立体配置及び種類に応じて多数のエピトープを含有することができる。また、標的ポリペプチド上の“エピトープ”が非ポリペプチド要素であってもよいし又は非ポリペプチド要素を含有していてもよいこと、例えば“エピトープ”が炭水化物側鎖を含有していてもよいことが認められるべきである。
抗体のペプチド又はポリペプチドエピトープの最小サイズは、約4個〜5個のアミノ酸であると考えられる。ペプチド又はポリペプチドエピトープは、好ましくは少なくとも7個、さらに好ましくは少なくとも9個、最も好ましくは少なくとも約15個〜約30個のアミノ酸を含有する。CDRが抗原性ペプチド又はポリペプチドをその三元体(tertiary form)で認識できることから、エピトープを含有するアミノ酸は、隣接している必要がないし、及びある場合には、同じペプチド鎖上に存在していなくてもよい。本発明において、本発明のIGF−1R抗体によって認識されるペプチド又はポリペプチドエピトープは、IGF−1Rの少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、さらに好ましくは少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、又は約15個〜約20個の連続又は不連続アミノ酸を含有する。
“特異的に結合する”とは、一般に、抗体がその抗原結合性ドメインを介してエピトープに結合すること、及び結合が抗原結合性ドメインとエピトープの間である相補性を必要
とすることを意味する。この定義によれば、抗体がそのエピトープに、その抗原結合性ドメインを介して、任意の非関連エピトープに結合するよりも容易に結合する場合には、抗体はエピトープに“特異的に結合する”と言う。“特異性”という用語は、本明細書において、ある抗体があるエピトープに結合する相対親和性をいうのに使用される。例えば、抗体“A”は、所定のエピトープについて抗体“B”よりも高い特異性を有するとみなしてよいし又は抗体“A”は、関連エピトープ“D”について有するよりも高い特異性でエピトープ“C”に結合すると言い得る。
“優先的に結合する”とは、抗体が関連エピトープ、同様のエピトープ、同種エピトープ、又は類似エピトープに結合するよりもより容易にエピトープに特異的に結合することを意味する。従って、所定のエピトープに“優先的に結合する”抗体は、例えこのような抗体が関連エピトープと交差反応し得るとしても、関連エピトープに結合するよりもそのエピトープに結合するであろう。
非限定的な例として、抗体は、第2のエピトープに対する抗体の解離定数(K)よりも小さいKで第1のエピトープを結合する場合には、第1のエピトープを優先的に結合するとみなしてよい。別の非限定的な例において、抗体は、第2のエピトープに対する抗体のKよりも少なくとも一桁小さい親和性で第1のエピトープを結合する場合には、第1のエピトープを優先的に結合するとみなしてよい。別の非限定的な例において、抗体は、第2のエピトープに対する抗体のKよりも少なくとも二桁小さい親和性で第1のエピトープを結合する場合には、第1のエピトープを優先的に結合するとみなしてよい。
別の非限定的な例において、抗体は、第2のエピトープに対する抗体の解離速度(off rate)(k(off))よりも小さいk(off)で第1のエピトープを結合する場合には、第1のエピトープを優先的に結合するとみなしてよい。別の非限定的な例において、抗体は、第2のエピトープに対する抗体のk(off)よりも少なくとも一桁小さい親和性で第1のエピトープを結合する場合には、第1のエピトープを優先的に結合するとみなしてよい。別の非限定的な例において、抗体は、第2のエピトープに対する抗体のk(off)よりも少なくとも二桁小さい親和性で第1のエピトープを結合する場合には、第1のエピトープを優先的に結合するとみなしてよい。
本明細書に開示の抗体あるいは抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、本明細書に開示の標的ポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、5×10−2sec−1、10−2sec−1、5×10−3sec−1、又は10−3sec−1以下の解離速度(k(off))で結合すると言い得る。さらに好ましくは、本発明の抗体は、本明細書に開示の標的ポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、5×10−4sec−1、10−4sec−1、5×10−5sec−1、又は10−5sec−1、5×10−6sec−1、10−6sec−1、5×10−7sec−1、又は10−7sec−1以下の解離速度(k(off))で結合すると言い得る。
本明細書に開示の抗体あるいは抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、本明細書に開示の標的ポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、10−1sec−1、5×10−1sec−1、10−1sec−1又は5×10−1sec−1以上の結合速度(k(on))で結合すると言い得る。さらに好ましくは、本発明の抗体は、本明細書に開示の標的ポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、10−1sec−1、5×10−1sec−1、10−1sec−1又は5×10−1sec−1、又は10sec−1以上の結合速度(k(on))で結合すると言い得る。
抗体は、エピトープに対する基準抗体の結合をある程度までブロックするという程度ま
でそのエピトープに優先的に結合する場合には、所定のエピトープに対する基準抗体の結合を競合的に阻害すると言い得る。競合阻害は、当技術分野において公知の方法、例えば競合ELISAアッセイで調べ得る。抗体は、所定のエピトープに対する基準抗体の結合を少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、又は少なくとも50%まで競合的に阻害すると言い得る。
本明細書で使用されるように、“親和性”という用語は、個々のエピトープの免疫グロブリン分子のCDRとの結合の強さの尺度を指す。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、第27−28頁参照。本明細書で使用されるように、“結合活性”という用語は、1群の免疫グロブリンと抗原の間の結合体の全般的安定性、すなわち免疫グロブリン混合物と抗原の機能的結合強度を指す。例えば、Harlowの第29−34頁参照。結合活性は、集団内の個々の免疫グロブリン分子と特異的エピトープとの親和性、及び免疫グロブリン及び抗原の結合価の両方に関連する。例えば、二価モノクロナール抗体と、重合体のような高反復エピトープ構造を有する抗原との間の相互作用は、高結合活性の1つであろう。
本発明のIGF−1R抗体あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体はまた、その交差反応性に関して記載又は特定され得る。本明細書で使用されるように、“交差反応性”という用語は、ある抗原に特異的な抗体の第2の抗原に反応する能力;2つの異なる抗原性物質の間の関連性の尺度を指す。従って、抗体は、その形成を誘導したエピトープ以外のエピトープに結合する場合には交差反応性である。交差反応性エピトープは、一般に、誘導性エピトープと同じ相補的構造特性の多くを有し、ある場合には実際には現物よりも適合し得る。
例えば、ある抗体は、関連するが同じでないエピトープ、例えば基準エピトープに対して少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、及び少なくとも50%同一性(当技術分野で公知の方法及び本明細書に記載の方法を使用して算出される)を有するエピトープを結合するという点である程度の交差反応性を有する。抗体は、参照エピトープに対して95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、及び50%未満の同一性(当技術分野で公知の方法及び本明細書に記載の方法を使用して算出される)を有するエピトープを結合しない場合には、交差反応性は、ほとんどない又は全く有していないと言い得る。抗体は、あるエピトープについて、そのエピトープの他のアナローグ、オルソログ、又はホモローグを結合しない場合には“高特異性”であるとみなしてよい。
本発明のIGF−1R抗体あるいは抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体は、本発明のポリペプチドに対するその結合親和性に関して記載又は特定され得る。好ましい結合親和性としては、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M未満の解離定数すなわちKを有する結合親和性が挙げられる。
本発明のIGF−1R抗体あるいは抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体は、“多特異性”、例えば、二重特異性、三重特異性又はそれよりも大きい多特異性であり、1つ以上の異なる抗原(例えば、タンパク質)上に存在する2つ以上の異なるエピトープを
認識し、同時に結合することを意味する。従って、IGF−1R抗体が“単一特異性”であるか又は“多特異性”、例えば“二重特異性”であるかは、結合性ポリペプチドが反応する多数の異なるエピトープを指す。多特異性抗体は、本明細書に記載の標的ポリペプチド種々のエピトープに特異的であり得るか、又は標的ポリペプチド及び異種エピトープ、例えば異種ポリペプチド又は固体支持材料に特異的であり得る。
本明細書で使用されるように、“結合価”という用語は、IGF−1R抗体、結合性ポリペプチド又は抗体中に存在する可能な結合ドメイン、例えば抗原結合ドメインの数を指す。それぞれの結合ドメインは、1つのエピトープを特異的に結合する。IGF−1R抗体、結合性ポリペプチド又は抗体が2つ以上の結合ドメインを含有する場合には、それぞれの結合ドメインは、2つの結合ドメインを有する抗体について同じエピトープを特異的に結合し得る(“二価単一特異的”と呼ばれる)か又は2つの結合ドメインを有する抗体について異なるエピトープに特異的に結合し得る(“二価二重特異的”と呼ばれる)。抗体はまた、二重特異性であり且つそれぞれの特異性について二価であり得る(“二重特異性四価抗体”と呼ばれる)。別の実施形態において、四価ミニボディー(minibody)又はドメイン欠失抗体が調製され得る。
二重特異性二価抗体及びその調製方法は、例えば米国特許第5,731,168号;第5,807,706号;第5,821,333号;及び米国特許出願公開第2003/020734号及び第2002/0155537号に記載されており、これら全ての開示は、本明細書に参照として組み込まれる。二重特異性四価抗体及びその調製方法は、例えば、国際出願公開WO02/096948号及びWO00/44788号に記載されている。この両方の開示は、本明細書に参照として組み込まれる。一般的には、PCT公開WO93/17715号;WO92/08802号;WO91/00360号;WO92/05793号;Tuttら、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら、J.Immunol.148:1547−1553(1992)参照。
前記に示したように、種々の免疫グロブリンクラスの定常領域のサブユニット構造及び3次元立体配置は周知である。本明細書で使用されるように、“VHドメイン”という用語は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変領域を包含し、また“CH1ドメイン”という用語は、免疫グロブリン重鎖の最初の(最もアミノ末端)定常領域ドメインを包含する。CH1ドメインは、VHドメインに隣り合っており且つ免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対してアミノ末端である。
本明細書で使用されるように、“CH2ドメイン”という用語は、慣用のナンバリングスキームを使用して例えば、抗体の約残基244個から残基360個まで伸びる重鎖分子の部分を包含する(残基244−360、Kabatナンバリング方式;及び残基231−340、EUナンバリング方式;Kabat EAら、op.cit.参照)。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対をなさないという点で独特である。むしろ、2つのN−結合分岐炭水化物鎖が、無傷の天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に挿入される。CH3ドメインがCH2ドメインからIgG分子のC末端まで伸び且つ約108個の残基を含有することも十分に文書で証明されている。
本明細書で使用されるように、“ヒンジ領域”という用語は、CH1ドメインをCH2ドメインに結合する重鎖分子の部分を包含する。このヒンジ領域は、約25個の残基を含有する及び柔軟性があり、従って2個のN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの別個のドメイン:上部ヒンジドメイン、中間ヒンジドメイン、及び下部ヒンジドメインに細分化し得る(Rouxら、J.Immunol.161:
4083(1998))。
本明細書で使用されるように、“ジスルフィド結合”という用語は、2個の硫黄原子の間で形成される共有結合を包含する。アミノ酸システインは、ジスルフィド結合を形成するか又は第2のチオール基と架橋することができるチオール基を含有する。大部分の天然IgG分子において、CH1領域とCL領域は、スルフィド結合によって連結され、また2つの重鎖は、Kabatナンバリング方式を使用する239及び242に対応する位置(位置226又は229、EUナンバリング方式)での2つのジスルフィド結合によって連結される。
本明細書で使用されるように、“キメラ抗体”という用語は、免疫活性領域又は部位が第1の種から得られるか又は誘導され且つ定常領域(これは、無傷であってもよいし、部分であってもよいし又は本発明に従って修飾されていてもよい)が第2の種から得られる抗体を意味することを含むであろう。好ましい実施形態において、標的結合領域又は部位は、非ヒト起源(例えば、マウス又は霊長類)に由来するであろうし、定常領域はヒト由来のものである。
本明細書で使用されるように、“操作された抗体”という用語は、抗体であって、重鎖及び軽鎖又はその両方のいずれかの可変領域が公知の特異性をもつ抗体由来の1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置換によって及び必要ならば、部分的フレームワーク領域の置換及び配列変化によって変えられる抗体を指す。CDRは、フレームワーク領域が誘導される抗体と同じクラス又は場合によっては同じサブクラスの抗体から誘導し得るが、CDRが異なるクラスの抗体から、好ましくは異なる種由来の抗体から誘導されることが予想される。公知の特異性をもつ非ヒト抗体由来の1つ以上の“ドナー”CDRがヒト重鎖又は軽鎖フレームワーク領域にグラフトされている操作された抗体は、本明細書において“ヒト化抗体”という。CDRの全てをドナー可変領域由来の完全CDRで置換して一方の可変領域の抗原結合能を他方の可変領域の抗原結合能に移動させることは必ずしも必要でないかもしれない。むしろ、標的結合部位の活性を維持することが必要である残基を移動させることが必要であるだけであり得る。例えば米国特許第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、及び第6,180,370号に記載の説明を考慮に入れると、日常実験を行うことによって又は試行錯誤試験によって機能的な操作された又はヒト化された抗体を得ることは、当業者の能力の範囲内に十分にあるであろう。
本明細書で使用されるように、“適切に折り畳まれたポリペプチド”という用語は、ポリペプチドを含有する機能ドメインの全部が明らかに活性であるポリペプチド(例えば、IGF−1R抗体)を包含する。本明細書で使用されるように、“不適切に折り畳まれたポリペプチド”という用語は、ポリペプチドの機能ドメインの少なくとも1つが活性ではないポリペプチドを包含する。一つの実施形態において、適切に折り畳まれたポリペプチドは、少なくとも1個のジスルフィド結合によって連結されたポリペプチド鎖を含有し、また反対に、不適切に折り畳まれたポリペプチドは、少なくとも1個のジスルフィド結合によって連結されていないポリペプチド鎖を含有する。
本明細書で使用されるように、“操作された”という用語は、合成手段による(例えば、組換え技術、インビトロペプチド合成によるか、ペプチドの酵素的又は化学的結合によるか、あるいはこれらの方法の幾つかの組み合わせによる)核酸又はポリペプチド分子の操作を包含する。
本明細書で使用されるように、“連結された”、“融合された”又は“融合”という用語は、同じ意味で使用される。これらの用語は、化学的結合又は組換え手段を含めたいず
れかの手段による2つよりも多い要素又は成分の一緒の結合を包含する。“枠内融合”とは、元のORFの正確な翻訳読み取り枠を維持する方法で、連続するより長いORFを形成するための2つ以上のポリヌクレオチド読み取り枠(ORF)の結合を指す。従って、組換え融合タンパク質は、元のORF(このセグメントは、通常は全くそのように結合されていない)によってコードされたポリペプチドに対応する2つ以上のセグメントを含有する単一のタンパク質である。従って、読み取り枠は融合セグメント全体を通じて連続するが、セグメントは、例えば枠内リンカー配列によって物理的に又は空間的に分離されていてもよい。例えば、免疫グロブリン可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドは、枠内で融合されていてもよいが、“融合”CDRが連続ポリペプチドの一部として同時翻訳される限りは、少なくとも1つの免疫グロブリンフレームワーク領域又は別のCDR領域をコードするポリヌクレオチドによって分離されていてもよい。
ポリペプチドとの関連で、“線状配列”又は“配列”とは、配列内の互いに隣り合っている残基がポリペプチドの一次構造において連続しているアミノ末端からカルボキシル末端方向へのポリペプチド内のアミノ酸の整列である。
本明細書で使用されるように“発現”という用語は、遺伝子が生化学物質、例えば、RNA又はポリペプチドを産生するプロセスを指す。このプロセスとしては、細胞内の遺伝子の機能的な存在の発現、例えば、限定されることなく、遺伝子ノックダウン並びに一時的な発現及び安定な発現が挙げられる。このプロセスとしては、限定されることなく、遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)又は他のRNA産物への転写、及びこのようなmRNAのポリペプチド(1つ以上)の翻訳が挙げられる。最終的な所望の産物が生化学物質である場合には、発現は、その生化学物質及び任意の前駆物質の作成を含む。遺伝子の発現は、“遺伝子産物”を産生する。本明細書で使用されるように、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNA、又は転写物から翻訳されるポリペプチドであり得る。本明細書に記載の遺伝子産物としては、さらに転写後修飾、例えばポリアデニル化を有する核酸、又は翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの結合、タンパク分解切断などを有するポリペプチが挙げられる。
本明細書で使用されるように、“治療する”又は“治療”という用語は、目的は、好ましくない生理学的変化又は疾患、例えば癌の進行又は拡大を防止又は遅らせる(小さくする)べきである治療処置及び予防的又は予防措置の両方を指す。有益な又は望ましい臨床結果としては、以下に限定されないが、検出できるものであれ、検出できないものであれ症状の緩和、疾患の範囲の縮小、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、病気の進行の遅延又は減速、疾患の改善又は軽減、及び寛解(部分的又は全体的)が挙げられる。“治療”とは、治療を受けない場合に予期される生存と比べて延長する生存を意味することもできる。治療を必要としている人としては、病気又は疾患を既に有している人及び病気又は疾患を患う傾向がある人、あるいは病気又は疾患が予防されるべき人が挙げられる。
“対象(subject)”又は“個体”又は“動物”又は“患者”又は“哺乳動物”とは、診断、予後、又は治療を望む任意の対象、特に哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象としては、ヒト、家畜(domestic animal)、家畜(arm animal)、及び動物園、運動又は愛玩動物、例えば犬、猫、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、馬、ウシ、乳牛などが挙げられる。
本明細書で使用されるように、“結合性分子の投与により恩恵を受ける対象”及び“治療を必要とする動物”などの語句は、対象、例えば結合性分子によって認識される抗原の
検出のため(例えば、診断方法のため)に使用される結合性分子の投与により及び/又は所定の標的タンパク質を特異的に結合する結合性分子を用いた癌などの病気の治療、すなわち、軽減又は予防により恩恵を受ける哺乳動物対象を包含する。本明細書においてさらに詳しく説明するように、結合性分子は、結合体化されていない形で使用できるし又は薬物、プロドラッグ、又は同位体に結合体化させることができる。
“過剰増殖性疾患又は障害”とは、全ての新生細胞の成長及び増殖、悪性であろうと良性であろうと、例えば全ての形質転換細胞及び組織並びに全ての癌性細胞及び組織を意味する。過剰増殖性疾患又は障害としては、以下に限定されないが、前癌病変、異常細胞増殖、良性腫瘍、悪性腫瘍、及び“癌”が挙げられる。本発明のある実施形態において、過剰増殖性疾患又は障害、例えば、前癌病変、異常細胞増殖、良性腫瘍、悪性腫瘍、又は“癌”は、IGF−1Rを発現するか、過剰発現するか又は異常発現する細胞を含有する。
過剰増殖性疾患、障害及び/又は状態の別の例としては、以下に限定されないが、悪性であろうと良性であろうと、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎腺、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頸部、神経(中枢及び末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、及び生殖器系にある新生物が挙げられる。このような新生物は、ある実施形態において、IGF−1Rを発現するか、過剰発現するか又は異常発現する。
別の過剰増殖性疾患としては、以下に限定されないが、高γグロブリン血症、リンパ球増殖性疾患、異常タンパク血症、紫斑病、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンストローム型マクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球増殖症、及びその他の過剰増殖性疾患、さらには前記の器官系にある新形成が挙げられる。本発明のある実施形態において、前記疾患は、IGF−1Rを発現するか、過剰発現するか又は異常発現する細胞を含む。
本明細書で使用されるように、“腫瘍”又は“腫瘍組織”という用語は、過剰細胞分裂に起因する組織、ある場合にはIGF−1Rを発現するか、過剰発現するか又は異常発現する細胞を含有する組織の異常塊を指す。腫瘍又は腫瘍組織は、異常成長特性を有し且つ有用な身体機能を有していない新生細胞である“腫瘍細胞”を含有する。腫瘍、腫瘍組織及び腫瘍細胞は、良性であってもよいし又は悪性であってもよい。腫瘍又は腫瘍組織はまた、“腫瘍関連非腫瘍細胞”、例えば腫瘍又は腫瘍組織を提供するために血管を形成する血管細胞も含有し得る。非腫瘍細胞は、腫瘍細胞によって、例えば腫瘍又は腫瘍組織における血管新生の誘導によって複製及び成長するために誘導され得る。
本明細書で使用されるように、“悪性腫瘍”という用語は、非良性腫瘍又は癌を指す。本明細書で使用されるように、“癌”という用語は、無秩序の細胞増殖又は制御されない細胞増殖に特徴がある悪性腫瘍を含むある種の過剰増殖性疾患を意味する。癌の例としては、以下に限定されないが、癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性悪性腫瘍が挙げられる。このような癌のさらに具体的な例は、以下に記載され且つその例としては、扁平上皮細胞癌(例えば、上皮性扁平上皮細胞癌)、肺癌、例えば小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌及び肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌、例えば消化管癌、膵癌、グリア芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌、並びに頭頸部癌が挙げられる。“癌”という用語は、原発性悪性細胞又は腫瘍(例えば、元の悪性腫瘍又は腫瘍の部位以外患者の体の部位に移動していない悪性細胞又は腫瘍)及び続発性悪性細胞又は腫瘍(例えば、転移、すなわち元の腫瘍の部位と異なる二次的部位への悪性細胞又は腫瘍細胞の移動により生じる悪性細胞又は腫瘍)を包含する。本発明の治療方法に役立つ癌は、IGF−1Rを発現するか、過剰
発現するか又は異常発現する細胞を含む。
癌又は悪性腫瘍の別の例としては、以下に限定されないが、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ球性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨肉腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂癌及び尿管癌、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸癌、小児(原発性)肝細胞癌、小児(原発性)肝臓癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部及び視覚路神経膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体及びテント上原始外胚葉腫瘍、小児原発性肝臓癌、小児横紋筋肉腫、小児軟組織肉腫、小児視覚路及び視床下部神経膠腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞癌、子宮体癌、上衣細胞腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫及び関連腫瘍、膵外分泌癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性の乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸腫瘍、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、毛髪細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高γグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼内黒色腫、島細胞癌、島細胞膵癌、カポジ肉腫、腎癌、喉頭癌、口唇及び口腔癌、肝癌、肺癌、リンパ球増殖性疾患、マクログロブリン血症、男性の乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、黒色腫、中皮腫、転移性原発不明頸部扁平上皮癌、転移性原発性頸部扁平上皮癌、転移性頸部扁平上皮癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫、脊髄形成異常症候群、骨髄性白血病(Myelogenous Leukemia)、骨髄性白血病(Myeloid Leukemia)、骨髄増殖性疾患、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、妊娠中非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌、原発不明転移性頸部扁平上皮癌、口腔咽頭癌、骨/悪性繊維性肉腫、骨肉腫/悪性繊維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性繊維性組織球腫、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵癌、異常タンパク血症、紫斑病、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂及び尿管癌、網膜細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、頸部扁平上皮癌、胃癌、テント上原始外胚葉及び松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、移行腎盂及び尿管癌、栄養膜腫瘍、尿管及び腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視覚路及び視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンストローム型マクログロブリン血症、ウィルム腫瘍、及びその他の過剰増殖性疾患、さらには上記の器官系にある新生物が挙げられる。
本発明の方法は、前記の疾患に限定されないが前記疾患を含め、前癌状態を治療し且つ新生物又は悪性状態への進行を防止するに使用し得る。このような使用は、特に、過形成、化成、又は特に異形成症を含む非新生細胞増殖が生じた場合に、異常増殖又は癌への先立つ進行について知られるか又は疑われる状態において必要とされる(このような異常増殖状態の概説につていは、Robbins及びAngell、Basic Pathology,2d Ed.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia、pp.68−79(1976)参照)。細胞がIGF−1Rを発現し始めるか、過剰発現し始めるか、又は異常発現し始めるこのような状態は、本発明の方法で特に治療できる。
過形成は、構造又は機能の有意な変化なしに組織又は器官の細胞の数の増大を伴う制御
された細胞増殖の1つの形である。本発明の方法で治療することができる過形成疾患としては、以下に限定されないが、脈管濾胞性縦隔リンパ節増殖症、好酸球性増加随伴性血管類リンパ組織増殖症、非定型メラニン細胞過形成、基底基底細胞過形成、良性巨大リンパ節増殖症、セメント質過形成、先天性副腎過形成、先天性脂腺過形成、嚢胞性過形成、乳房の嚢胞性過形成、義歯性繊維症、導管過形成、子宮内膜増殖症、繊維筋性過形成、局所性上皮肥厚、歯肉増殖症、炎症性繊維性過形成症、炎症性乳頭状過形成症、血管内乳頭状内皮過形成、結節性前立腺過形成、結節性再生性過形成、偽上皮腫性増殖、老人性脂腺増生症、及び疣贅性肥厚が挙げられる。
化成は、ある種の成熟又は完全分化細胞が別種の成熟細胞に置き換わる制御された細胞増殖の1つの形である。本発明の方法で治療できる化生性疾患としては、以下に限定されないが、原因不明骨髄様化生、アポクリン化生、異型化生、自己実質化生、結合組織化生、上皮化生、腸上皮化生、化生性貧血、変形骨化、化生性ポリープ、骨髄様化生、原発性骨髄様化生、続発性骨髄様化生、扁平上皮化生、羊膜扁平上皮化生、及び症候性骨髄化生が挙げられる。
異形成症は、癌の前触れである場合が多く、主として上皮に認められる;異形成症は、非新生細胞増殖の最も無秩序な形態であり、個々の細胞の均一性及び細胞の構造配向の喪失を含む。異形成細胞は、異常に大きく、濃く染色される核を有する場合が多く、多形性を示す。異形成症は、慢性的な刺激又は炎症が存在する場合に特徴的に生じる。本発明の方法で治療できる異形成疾患としては、以下に限定されないが、無汗性外胚葉性異形成症、前後形成異常症、窒息性胸部形成異常、心房指状異形成症、気管支肺異形成症、脳異形成症、頸部異形成症、軟骨外胚葉性異形成症、鎖骨頭蓋異形成症、先天性外胚葉性異形成症、頭蓋骨幹異形成症、頭蓋手根骨足根骨異形成症、頭蓋骨幹端異形成症、象牙質異形成症、骨幹異形成症、外胚葉異形成、エナメル質異形成症、脳眼異形成症、片肢性骨端異形成症、多発性骨端形成異常、点状骨端形成異常、上皮形成異常、顔面指趾生殖器形成異常、顎の家族性繊維性異形成症、家族性白色屈曲異形成症、繊維筋性異形成症、繊維性骨異形成症、開花性骨異形成症、遺伝性腎網膜形成異常、発汗性外胚葉形成異常、無汗性外胚葉形成異常症、リンパ球減少胸腺形成異常、乳腺異形成症、下顎顔面異形成、骨幹端異形成、モンディーニ型内耳形成異常、単発性繊維性骨異形成、粘膜上皮形成異常、多発性骨端形成異常、眼耳脊椎形成異常、眼歯指形成異常、眼脊椎形成異常、歯牙形成不全、眼下顎四肢形成不全、根尖セメント質異形成症、多発性繊維性骨異形成異常、偽軟骨発育不全脊椎骨端形成異常、網膜形成異常、中隔視覚異形成症、脊柱骨端異形成症及び心室橈骨形成異常が挙げられる。
本発明の方法で治療できる別の新生物発生前疾患としては、以下に限定されないが、良性の異常増殖性疾患(例えば、良性腫瘍、線維嚢胞性疾患、組織肥大、腸ポリープ、結腸ポリープ、及び食道異形成症)、白斑症、角化症、ボーエン病、農夫皮膚、日光口唇炎、及び日光性角化症が挙げられる。
好ましい実施形態において、本発明の方法は、癌、特に上記に挙げた癌の増殖、進行及び/又は転移を阻止するのに使用できる。
別の過剰増殖性疾患、障害、及び/又は状態としては、以下に限定されないが、悪性腫瘍及び関連疾患、例えば白血病(例えば、急性白血病(例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(例えば、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、及び赤白血病))及び慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病及び慢性リンパ球性白血病))、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病及び非−ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症、重鎖病、及び固体腫瘍、例えば、以下に限定されないが、肉腫及び癌、例えば線維肉腫、粘液肉腫、
脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨液肉腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルム腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴覚経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜細胞腫の進行及び/又は転移が挙げられる
II.IGF−1R
自然発生インスリン様成長因子受容体−1(IGF−1R)IGF−1Rは、ジスルフィド結合によって連結された2つのα−サブユニット(それぞれ130 KDa)と2つのβ−サブユニット(それぞれ90 KDa)を含むヘテロ四量体形質膜糖タンパク質である。Massague,J.及びCzech、M.P.J.Biol.Chem.257:5038−5045(1992)。IGF−1Rはまた、当技術分野においてCD221及びJTK13という名前でも知られている。ヒトIGF−1R mRNAの核酸配列は、GenBank Accession Number NM_000875として入手でき、本明細書に配列番号:1として示す。
前駆物質ポリペプチド配列は、GenBank Accession Number NP_000866として入手でき、本明細書に配列番号:2として示す。
配列番号:2のアミノ酸1−30は、IGF−1Rシグナルペプチドをコードすることが報告されており、配列番号:2のアミノ酸31−740は、IGF−1R α−サブユニットをコードすることが報告されており、及び配列番号:2のアミノ酸741−1367は、IGF−1R β−サブユニットをコードすることが報告されている。NP_000866 GenBank entryに報告されているヒトIGF−1Rのこれらの特徴及びその他の特徴を表2に示す。
本発明はまた、非ヒトIGF−1Rタンパク質、例えば、げっ歯類又は非ヒト霊長類由来のIGF−1Rに特異的に、優先的に又は競合的に結合するIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体に関する。
IGF−1Rは、多数の腫瘍細胞、例えば、以下のあるものに限定されないが、膀胱腫瘍(Hum.Pathol.34:803(2003));脳腫瘍(Clinical Cancer Res.8:1822(2002));乳房腫瘍(Eur.J.Cancer 30:307(1994)及びHum Pathol.36:448−449(2005));結腸腫瘍、例えば、腺癌、転移、及び腺腫(Human Pathol.30:1128(1999)、Virchows.Arc.443:139(2003)、及びClinical Cancer Res.10:843(2004));胃腫瘍(Clin.Exp.Metastasis 21:755(2004));腎臓腫瘍、例えば、明細胞、嫌色素性及び乳頭状RCC(Am.J.Clin.Pathol.122:931−937(2004));肺腫瘍(Hum.Pathol.34:803−808(2003)及びJ.Cancer Res.Clinical Oncol.119:665−668(1993));卵巣腫瘍(Hum.Pathol.34:803−808(2003));膵臓腫瘍、例えば、導管腺癌(Digestive Diseases.Sci.48:1972−1978(2003)及びClinical Cancer Res.11:3233−3242(2005));及び前立腺腫瘍(Cancer Res.62:2942−2950(2002))において発現される。
III.IGF−1R抗体
1つの実施形態において、本発明は、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体に関する。例えば、本発明は、表3及び4に示すある種のモノクロナール抗体、並びにそのフラグメント、変異体、及び誘導体の少なくとも抗原結合性ドメインを包含する。表3は、実施例にさらに詳しく記載した、ファージディスプレイライブラリー及び抗体の種々の結合特性から確認されるヒト抗−ヒトIGF−1R Fab領域を記載する。表4は、実施例にさらに詳しく記載した、ハイブリドーマ技術、及び抗体の種々の結合特性によって確認されたマウス抗−ヒトIGF−1Rモノクロナール抗体を記載する。
M13−C06及びM14−C03の完全長抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞系は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(“ATCC”)に2006年3月28日付で寄託し、ATCC寄託番号PTA−7444及びPTA−7445それぞれを得た。Fab抗体フラグメントM14−G11を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞系は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(“ATCC”)に2006年8月29日付で寄託し、ATCC寄託番号PTA−7855を得た。
完全長ヒト抗体P2A7.3E11、20C8.3B8、及びP1A2.2B11を発現するハイブリドーマ細胞系は、ATCCにそれぞれ2006年3月28日、2006年6月13日及び2006年3月28日付けで寄託し、ATCC寄託番号PTA−7458、PTA−7732、及びPTA−7457、それぞれを得た。完全長ヒト抗体20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8を発現するハイブリドーマ細胞系は、それぞれ2006年3月28日、2006年7月11日及び2006年7月11日付けで寄託し、ATCC寄託番号PTA−7456、PTA−7730、及びPTA−7731それぞれを得た。抗体及び寄託細胞系の相互関係についてはATCC寄託表(以下)を参照。
ATCCは、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209,USAに置かれている。ATCC寄託は、特許手続
上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条項に従ってなされた。
本発明のある実施形態は、以下の表(“ATCC寄託表”)に示すアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に寄託した。
本明細書で使用されるように、“抗原結合性ドメイン”という用語は、抗原(例えばIGF−1Rのエピトープ)上のエピトープを特異的に結合する部位を包含する。抗体の抗原結合性ドメインは、典型的には免疫グロブリン重鎖可変領域の少なくとも一部及び免疫グロブリン軽鎖可変領域の少なくとも一部を含有する。これらの可変領域によって形成される結合部位は、抗体の特異性を決定する。
本発明は、さらに詳しくは、IGF−1R抗体あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体であって、IGF−1R抗体が、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−BO1、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に結合する、IGF−1R抗体あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体に関する。
本発明は、さらに、IGF−R1抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体であって、IGF−R1抗体が、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体をIGF−R1に結合させないように競合的に阻害する、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体に関する。
本発明はまた、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体であって、IGF−1R抗体が、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体の抗原結合性ドメインと同じ抗原結合性ドメインを含有する、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体又は誘導体に関する。
抗体の調製方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載される。一度、種々のフラグメントに対する抗体、又はシグナル配列を有していない完全長IGF−1Rに対する抗体が産生されると、抗体又は抗原結合性フラグメントがIGF−1Rのどのアミノ酸又はエピトープに結合するかを調べることは、本明細書に記載のエピトープマッピングプロトコル及び当技術分野で公知の方法で調べることができる(例えば、“Chapter 11−Immunology”,Current Protocols in Molecular Biology,Ed.Ausubeら,v.2,John Wiley & Sons,Inc.(1996)に記載のような二重抗体サンドイッチELISA)。別のエピトープマッピングプロトコルは、Morris,G.Epitope Mapping Protocols,New Jersey:Humana Press(1996)に見出し得る。上記の両方は、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。エピトープマッピングはまた、市販の手段で行うこともできる(すなわち、ProtoPROBE、Inc.(Milwaukee、Wisconsin))。
さらに、IGF−1Rの任意の部分に結合する産生された抗体は、次いで、例えば、IGF−1Rに対するインスリン成長因子、例えばIGF−1、IGF−2、又はIGF−1及びIGF−2の両方の結合を阻害するために、IGF−1Rの内部化を促進するために、IGF−1Rのリン酸化を阻害するために、下流のリン酸化、例えば、Akt又はp42/44MAPKの下流のリン酸化を阻害するために、あるいは腫瘍細胞の増殖、運動性又は転移を阻害するために、IGF−1Rのアンタゴニストとして作用するその能力について選別することができる。抗体は、これらの特性及びその他の特性について実施例に詳しく記載した方法に従って選別することができる。本発明の抗体の他の機能は、本明細書に記載の他のアッセイを使用して試験することができる。
他の実施形態において、本発明は、エピトープが配列番号:2の少なくとも約4個〜5個のアミノ酸、配列番号:2の少なくとも7個、少なくとも9個、又は少なくとも約15個〜約30個のアミノ酸を含むなるか、該アミノ酸のみから本質的になるか又は該アミノ酸のみからなる、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に又は優先的に結合する抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を包含する。前記の配列番号:2の所定のエピトープのアミノ酸は、連続しているか又は線状であってもよいが、連続しているか又は線状である必要はない。ある実施形態において、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープは、細胞の表面で発現されるか又は例えばIgG Fc領域に融合された可溶性フラグメントとして発現されるようなIGF−1Rの細胞外ドメインによって形成される非線状ドメインを含むか、該非線状ドメインのみから本質的になるか又は該非線状ドメインのみからなる。従って、ある実施形態において、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープは、配列番号:2の少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15個〜約30個、あるいは少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、又は100個の連続又は不連続アミノ酸を含むか、該アミノ酸のみから本質的になるか、又は
該アミノ酸のみからなり、この場合の不連続アミノ酸は、タンパク質折り畳みによってエピトープを形成する。
他の実施形態において、本発明は、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に又は優先的に結合する抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、誘導体であって、エピトープが、前記の配列番号:2の1個、2個、3個、4個、5個、6個以上の連続又は不連続アミノ酸の他に、タンパク質を修飾する別の部分、例えば炭水化物部分は、IGF−1R抗体が、修飾された標的タンパク質を、該タンパク質の未修飾バージョンに結合するよりも高い親和性で結合するように含まれていてもよい糖質部分を含むか、該糖質部分のみから本質的になるか、又は糖質部分のみからかる、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に又は優先的に結合する抗体を包含する。あるいは、IGF−1R抗体は、標的タンパク質の未修飾バージョンを全く結合しない。
ある態様において、本発明は、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異体ポリペプチドに、所定の基準モノクロナール抗体についての解離定数(K)よりも小さいKによって特徴付けられる親和性で、特異的に結合する抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体に関する。
ある実施形態において、本発明の抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、誘導体は、前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、すなわちこのようなエピトープに非関連又はランダムエピトープに結合するよりも容易に結合するか;前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体の少なくとも1つのエピトープに優先的に結合する、すなわち、このようなエピトープに、関連の、同様の、同種の、類似のエピトープに結合するよりも容易に結合するか;それ自体が前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体のあるエピトープに特異的に又は優先的に結合する基準抗体の結合を競合的に阻害するか;あるいは前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体の少なくとも1つのエピトープに、約5×10−2M、約10−2M、約5×10−3M、約10−3M、約5×10−4M、約10−4M、約5×10−5M、約10−5M、約5×10−6M、約10−6M、約5×10−7M、約10−7M、約5×10−8M、約10−8M、約5×10−9M、約10−9M、約5×10−10M、約10−10M、約5×10−11M、約10−11M、約5×10−12M、約10−12M、約5×10−13M、約10−13M、約5×10−14M、約10−14M、約5×10−15M、又は約10−15M未満の解離定数Kによって特徴づけられる親和性で、特異的に結合する。具体的な態様において、前記抗体又はそのフラグメントは、マウスIGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメントに比べて、ヒトIGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメントに優先的に結合する。別の具体的態様において、前記抗体又はそのフラグメントは、1つ以上のIGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、例えば、1つ以上の哺乳動物IGF−1Rポリペプチドに優先的に結合するが、インスリン受容体(InsR)ポリペプチドには結合しない。理論に束縛されるものではないが、インスリン受容体ポリペプチドは、IGF−1Rポリペプチドと幾つかの配列類似性を有することが知られており、InsRと交差反応する抗体は、インビボで望まれていない副作用、例えばグルコース代謝の妨害を生じ得る。
抗体結合解離定数との関連で使用されるように、“約”という用語は、抗体親和性を測定するのに利用される方法に固有の変化の程度を考慮に入れる。例えば、使用する装置の精度の程度、測定される試料の数に基づく標準誤差、及び丸め誤差に応じて、“約10−2M”という用語は、例えば0.05Mから0.005Mまでを含み得る。
特定の実施形態において、本発明の抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、
5×10−2sec−1、10−2sec−1、5×10−3sec−1、又は10−3sec−1以下の解離速度(k(off))で結合する。あるいは、本発明の抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、5×10−4sec−1、10−4sec−1、5×10−5sec−1、又は10−5sec−1、5×10−6sec−1、10−6sec−1、5×10−7sec−1、又は10−7sec−1以下の解離速度(k(off))で結合する。
他の実施形態において、本発明の抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、10−1sec−1、5×10−1sec−1、10−1sec−1又は5×10−1sec−1以上の結合速度(k(on))で結合する。あるいは、本発明の抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、10−1sec−1、5×10−1sec−1、10−1sec−1又は5×10−1sec−1あるいは10−1sec−1以上の結合速度(k(on))で結合する。
種々の実施形態において、本明細書に記載のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、IGF−1R活性をもつアンタゴニストである。ある実施形態において、例えば、腫瘍細胞上で発現されるIGF−1Rに対するアンタゴニストIGF−1R抗体の結合は、IGF−1Rに対するインスリン成長因子、例えば、IGF−1、IGF−2、又はIGF−1及びIGF−2の両方の結合を阻害するか、IGF−1Rの内部化を促進し、それによってそのシグナル伝達能を阻害するか、IGF−1Rのリン酸化を阻害するか、シグナル伝達経路の下流の分子、例えば、Akt又はp42/44 MAPKのリン酸化を阻害するか、あるいは腫瘍細胞の増殖、運動性又は転移を阻害する。
明記しない限りは、本明細書で使用されるように、抗体に関連して“そのフラグメント“とは、抗原結合性フラグメント、すなわち、抗原に特異的に結合する抗体の部分を指す。1つの実施形態において、IGF−1R抗体、例えば、本発明の抗体は、二重特異性IGF−1R抗体、例えば、二重特異性抗体、ミニボディー、ドメイン欠失抗体、又は2つ以上のエピトープ、例えば、2つ以上の抗原又は同一抗原上の2つ以上のエピトープについて結合特異性を有する融合タンパク質である。1つの実施形態において、二重特異性IGF−1R抗体は、本明細書に開示の標的ポリペプチド、例えばIGF−1R上の少なくとも1つのエピトープに特異的な少なくとも1つの結合ドメインを有する。別の実施形態において、二重特異性IGF−1R抗体は、標的ポリペプチド上のエピトープに特異的な少なくとも1つの結合ドメイン及び薬物又は毒素に特異的な少なくとも1つの標的結合ドメインを有する。さらに別の実施形態において、二重特異性IGF−1R抗体は、本明細書に開示の標的ポリペプチド上のエピトープに特異的な少なくとも1つの結合ドメイン及びプロドラッグに特異的な少なくとも1つの結合ドメインを有する。二重特異性IGF−1R抗体は、本明細書に開示の標的ポリペプチドのエピトープに特異的な2つの標的結合ドメイン及び第2の標的に特異的な2つの標的結合ドメインを有する4価抗体であり得る。従って、4価二重特異性IGF−1R抗体は、それぞれの特異性について2価であり得る。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、当業者に公知であるように、1つ以上のエフェクター機能を媒介する定常領域を含有することができる。例えば、抗体定常領域に対する補体のC1要素の結合は、補体系を活性化し得る。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン作用及び溶解に重要である。補体の活性化はまた、炎症反応を刺激し、自己免疫過敏にも関与し得る。また、抗体は、Fc領域を介して種々の細胞上の受容体に結合し、抗体Fc領域のFc受容体結合部位は細
胞上のFc受容体(FcR)に結合する。種々のクラスの抗体、例えばIgG(γ受容体)、IgE(ε受容体)、IgA(α受容体)及びIgM(μ受容体)に特異的な多くのFc受容体が存在する。細胞表面のFc受容体に対する抗体の結合は、多数の重要且つ多様な生物学的反応、例えば抗体被覆粒子の取込及び破壊、免疫結合体体の浄化、キラー細胞による抗体被覆標的細胞の溶解(抗体依存性細胞介在性細胞障害、すなわちADCCと呼ばれる)、炎症性メディエータの放出、胎盤通過及び免疫グロブリン産生の制御を誘発する。
従って、本発明のある実施形態は、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体であって、1つ以上の定常領域ドメインの少なくとも1つの画分が、欠失しているか、又は所望の生化学的性質、例えばほぼ同じ免疫原性をもつ完全な変化のない抗体と比べた場合に、エフェクター機能の低下、非共有的に二量化する能力、腫瘍の部位で局限する能力の上昇、血清半減期の低下、又は血清半減期の増大を提供するように変化されている、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を包含する。例えば、本明細書に記載の診断及び治療方法で使用されるある抗体は、免疫グロブリン重鎖に類似したポリペプチド鎖を含有するが、1つ以上の重鎖ドメインの少なくとも一部を欠いているドメイン欠失抗体である。例えば、ある抗体においては、修飾された抗体の定常領域の1つのドメイン全体が欠失しているであろう、例えば、CH2ドメインの全部又は一部が欠失しているであろう。他の実施形態において、本明細書に記載の診断及び治療方法で使用されるある抗体は、本明細書の他の個所で“agly”抗体と呼ばれる、グリコシル化を除外するために変化させた定常領域、例えばIgG4重鎖定常領域を有する。理論に束縛されるものではないが、“agly”抗体は向上したインビボ安全性及び安定性プロフィルを有し得ると考えられる。
本明細書に記載の、あるIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体において、そのFc部分は、当技術分野において公知の方法を使用してエフェクター機能を低下させるために変異させ得る。例えば、定常領域ドメインの欠失又は不活性化(点変異又は他の手段による)は、血中修飾抗体のFc受容体結合を抑制し、それによって腫瘍局在を増加させ得る。別の場合に、それは、本発明と一致する定常領域の修飾は、補体結合を緩和し、従って血清半減期及び結合体化細胞毒の非特異的結合を軽減することであり得る。定常領域のさらに別の修飾は、増大した抗原特異性又は抗体柔軟性により高められた局在を可能にさせるジスルフィド結合又はオリゴ糖部分を修飾するのに使用し得る。得られる生理学的プロフィル、生体利用性及び修飾の他の生化学的効果、例えば腫瘍局在、体内分布及び血清半減期は、過度の実験を行うことなく周知の免疫学的方法を使用して容易に測定及び定量し得る。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体の修飾体は、全前駆物質又は親抗体から、当技術分野で公知の方法を使用して調製できる。典型的な方法は、本明細書でさらに詳しく論じる。
ある実施形態において、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体の可変領域及び定常領域の両方は、完全にヒト由来のものである。完全ヒト抗体は、当技術分野において公知の方法及び本明細書に記載の方法を使用して調製できる。例えば、特異抗原に対する完全ヒト抗体は、抗原投与に反応してこのような抗体を産生するために修飾されているが、その内在性遺伝子座(loci)が機能不能にされているトランスジェニック動物に、前記抗原を投与することによって調製できる。このような抗体を調製するのに使用できる典型的な方法は、米国特許:第6,150,584号;第6,458,592号;第6,420,140号に記載されている。他の方法は、当技術分野において知られている。完全ヒト抗体は、同様に、本明細書の他の個所でさらに詳しく説明するように、種々のディスプレイ技術、例えば、ファージディスプレイ又は他の
ウイルスディスプレイ系で産生させることができる。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、当技術分野において公知の方法を使用して調製又は製造できる。ある実施形態において、抗体分子又はそのフラグメントは、“組み換えにより産生される”、すなわち組換えDNA技術を使用して産生される。抗体分子又はそのフラグメントを調製するための典型的な方法は、本明細書の他の個所でさらに詳しく論じる。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体はまた、例えば、共有結合が、抗体がその同種エピトープに特異的に結合するのを妨害しないように、抗体に対する任意の種類の分子の共有結合によって修飾される誘導体を包含する。例えば、限定の目的ではないが、抗体誘導体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/封鎖基による誘導体化、タンパク分解切断、細胞リガンド又は他のタンパク質に対する連結などによって修飾されている抗体が挙げられる。多数の化学修飾のいずれかを、公知の方法、例えば、以下に限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などによって行い得る。さらに、誘導体は、1個以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
ある実施形態において、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、治療すべき動物において、例えばヒトにおいて、有害な免疫応答を誘発しないであろう。1つの実施形態において、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、当技術分野で認められている方法を使用してその免疫原性を低下させるために修飾される。例えば、抗体は、ヒト化、霊長類化、脱免疫することができるし、又はキメラ抗体が調製できる。これらの種類の抗体は、親抗体の抗原結合特性を保持するか又は実質的に保持するが、ヒトにおいて低免疫原性である非ヒト抗体、典型的にはマウス又は霊長類抗体から誘導される。これは、種々の方法で、例えば(a)非ヒト可変領域全体をヒト定常領域にグラフトしてキメラ抗体を生成させることによって;(b)非ヒト相補性決定領域(CDR)の1つ以上の少なくとも一部をヒトフレームワーク及び定常領域に、フレームワーク残基を保持しながら又は保持することなくグラフトすることによって;又は(c)非ヒト可変領域全体を移植するが、これらを表面残基の置換によるヒト様セクション(section)で“覆う”ことによって達成し得る。このような方法は、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sd.81:6851−6855(1984);Morrisonら、Adv.Immunol.44:65−92(1988);Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988);Padlan、Molec.Immun.28:489−498(1991);Padlan、Molec.Immun.31:169−217(1994)、並びに米国特許第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、及び第6,190,370号に開示されている。これらは全部、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
脱免疫はまた、抗体の免疫原性を低下させるのに使用できる。本明細書で使用されるように、“脱免疫”という用語は、はT細胞エピトープを修飾するための抗体の改変を包含する(例えば、国際出願公開WO9852976A1号、WO0034317A2号参照)。例えば、出発抗体由来のVH及びVL配列が分析され、それぞれのV領域からのヒトT細胞エピトープ“マップ”は、配列内の相補性決定領域(CDR)及びその他のキー残基に関連してエピトープの配置を示す。T細胞エピトープマップからの個々のT細胞エピトープが、最終抗体の活性を変化させる低い危険性で、別のアミノ酸置換を確認するために分析される。アミノ酸置換の組み合わせを含有する一連の代替VH及びVL配列が設計され、これらの配列は、その後に一連の結合性ポリペプチド、例えば本明細書に開示の診断及び治療方法で使用されるIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントに
組み込まれ、次いで機能について試験される。典型的には、12〜24個の変異体抗体が作成され、試験される。修飾されたV領域及びヒトC領域を含有する完全な重鎖及び軽鎖遺伝子は、次いで発現ベクターにクローン化され、その結果生じたプラスミドが全抗体の産生のために細胞系に導入される。次いで、抗体は、適切な生化学的及び生物学的アッセイにおいて比較され、最適変異体が確認される。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、当技術分野において公知の適当な方法で生じさせ得る。興味ある抗原に対するポリクロナール抗体は、当技術分野において周知の種々の方法で産生させ得る。例えば、IGF−1R抗体、例えば、結合性ポリペプチド、例えば、IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、抗原に特異的なポリクロナール抗体を含有する血清の産生を誘導するために、種々の宿主動物、例えば、以下に限定されないが、ウサギ、マウス、ラット、ニワトリ、ハムスター、ヒツジ、ロバなどに投与することができる。種々のアジュバントが、宿主の種に応じて免疫反応を高めるために使用し、該アジュバントとしては、以下に限定されないが、フロイント(完全及び不完全)アジュバント、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、界面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホール・リンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、及び潜在的に有用なヒトアジュバント、例えばBCG(bacille Calmette−Guerin)及びコリネバクテリウム・パルヴァム(Corynebacterium parvum)が挙げられる。このようなアジュバントもまた当技術分野において周知である。
モノクロナール抗体は、当技術分野において公知の様々な方法を使用して、例えばハイブリドーマ、組換え体の使用、及びファージディスプレイ法、あるいはこれらの組み合わせを使用して調製できる。例えば、モノクロナール抗体は、ハイブリドーマ法、例えば当技術分野において公知であり且つ例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.(1988);Hammerlingら、:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas Elsevier,N.Y.,563−681(1981)に教示されているハイブリドーマ法を使用して産生できる(前記の参考文献は、その全てが参照として組み込まれる)。本明細書で使用されるように“モノクロナール抗体”という用語は、ハイブリドーマ法によって産生される抗体に限定されない。“モノクロナール抗体”という用語は、単一クローン、例えば真核生物クローン、原核生物クローン、又はファージクローンから誘導され且つそれが産生される方法ではないクローンを指す。従って、“モノクロナール抗体”という用語は、ハイブリドーマ法によって産生される抗体に限定されない。モノクロナール抗体は、エピトープ認識の領域を増加させるためにIGF−1Rノックアウトマウスを使用して調製できる。モノクロナール抗体は、当技術分野において公知の様々な方法、例えば本明細書の他の個所に記載のようなハイブリドーマ及び組換え体の使用並びにファージディスプレイ法を使用して調製できる。
当技術分野で認められているプロトコルを使用して、1つの例において、抗体は、哺乳動物中で関連抗原(例えば、精製IGF−1RあるいはIGF−1Rを含有する細胞又は細胞抽出物)及びアジュバントの頻回皮下又は腹腔内注射によって上昇される。この免疫化は、典型的には、活性化脾臓細胞又はリンパ球から抗原反応性抗体の産生を含む免疫応答を誘発する。生じた抗体はポリクロナール調剤を提供するために動物の血清から採取し得るが、多くの場合にモノクロナール抗体(MAb)の均質調剤を提供するために脾臓、リンパ節又は末梢血から個々のリンパ球を単離することが望ましい。好ましくは、リンパ球は脾臓から得られる。
この周知の方法(Kohlerら、Nature 256:495(1975))では、抗原を注射されている哺乳動物に由来する比較的短命であるか又は死ぬべき運命のリンパ球が不死腫瘍細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)と融合され、このようにして不死であり且つB細胞の遺伝子コード化抗体を産生できるハイブリッド細胞すなわち“ハイブリドーマ”を産生する。得られるハイブリッドは、選別、希釈、及び再増殖によって単一の遺伝子株に分離され、それぞれ個々の株は単一抗体の形成に特異的な遺伝子を含有する。これらは、産所望の抗原に対して同質である抗体を産生し、その純粋な遺伝起源に関連して、“モノクロナール”と呼ばれる。
このようにして調製されるハイブリドーマ細胞は、未融合の親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1つ以上の物質を含有することが好ましい適当な培地に種され、増殖される。当業者には、ハイブリドーマの形成、選別及び増殖用の試薬、細胞系及び培地は多数の供給源から商業的に入手でき且つ標準化されたプロトコルが十分に確立されていることが認められるであろう。一般に、ハイブリドーマ細胞が増殖する培地が、所望の抗原に対するモノクロナール抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクロナール抗体の結合特異性は、インビトロアッセイ、例えば免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)で決定される。ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性及び/又は活性をもつ抗体を産生することが確認された後に、クローンは限界希釈法によってサブクローン化し、標準法で増殖させ得る(Goding、Monoclonlal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,pp59−103(1986))。また、サブクローンによって分泌されるモノクロナール抗体は、培地、腹水又は血清から、慣用の精製法で、例えばプロテイン−A、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーで分離し得ることが認められるであろう。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の方法で生じさせ得る。例えば、Fab及びF(ab’)フラグメントは、組換え技術によって産生させ得るか、あるいは酵素、例えばパパイン(Fabフラグメントを産生させるため)又はペプシン(F(ab’)フラグメントを産生させるために)を使用して免疫グロブリン分子のタンパク分解切断によって産生させ得る。F(ab’)フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域及び重鎖のCH1ドメインを含有する。
また、当業者には、抗体又は抗体フラグメント(例えば、抗原結合部位)をコードするDNAもまた、抗体ライブラリー、例えばファージディスプレイライブラリーから誘導し得ることが認められるであろう。特に、このようなファージは、レパートリー又は組み合わせ抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウス)から発現される抗原結合性ドメインを表示するのに利用できる。興味のある抗原を結合する抗原結合性ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば、標識抗原を使用するか、あるいは固体表面に又はビーズに固定又は捕捉された抗原を使用して、選択又は確認することができる。これらの方法で使用されるファージは、典型的には、Fab、Fv OE DAB(軽鎖又は重鎖由来の個々のFv領域)を有するファージから発現されたfd及びM13結合ドメインを含有するか、あるいはファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIタンパク質に組換えによって融合されたジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを含有する線状ファージである。典型的な方法は、例えば、欧州特許公告第EP368 684B1号;米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,H.R.及びChames、Immunol.Today 21:371(2000);Nagyら、Nat.Med.8:801(2002);Huieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA98:2682(2001);Luiら、J.Mol.Biol.315:1063(2002)に示されている。これらはそれぞれ、参照として本明細書に組み込まれる。幾つかかの刊行物(例えば、
Marksら、Bio/Technology 10:779−783(1992))は、鎖シャフリング、並びに大きなファージライブラリーを構築するための方法として組み合わせ感染及びインビボ組換えによる高親和性ヒト抗体の産生を記載している。別の実施形態において、リボソームディスプレイ法が、ディスプレイプラットホームとしてバクテリオファージを置換するのに使用できる(例えば、Hanesら、Nat.Biotechnol.18:1287(2000);Wilsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750(2001);又はIrvingら、J.Immunol.Methods 248:31(2001)参照)。さらに別の実施形態において、細胞表面ライブラリーが、抗体について選別できる(Boderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701(2000);Daughertyら、J.Immunol.Methods 243:211(2000))。このような方法は、モノクロナール抗体の単離及びその後のクローニングのための伝統的なハイブリドーマ法の代替を提供する。
ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、これらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子に表面に表示される。例えば、VH及びVL領域をコードするDNA配列が、動物cDNAライブラリー(例えば、リンパ組織のヒト又はマウスcDNライブラリー)又は合成cDNAライブラリーから増幅されるか、あるいは単離される。ある実施形態において、VH及びVL領域をコードするDNAは、PCRでscFVLリンカーにより一緒に結合され、ファージミドベクター(例えば、pCANTAB6又はpComb3HSS)にクローン化される。ベクターは、大腸菌に電気穿孔され、この大腸菌にヘルパーファージを感染させる。これらの方法で使用されるファージは、典型的にはfd及びM13を含有する線状ファージであり、VH又はVL領域は、通常はファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIいずれかに組換えにより融合される。興味のある抗原(すなわち、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント)に結合する抗原結合性ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば固体表面又はビーズに固定又は捕捉された標識抗原又は抗原を使用して選択又は同定できる。
抗体を調製するのに使用できるファージディスプレイ法の別の例としては、Brinkmanら、J.Immunol.Methods 182:41−50(1995);Amesら、J.Immunol.Methods 184:177−186(1995);Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−958(1994);Persicら、Gene 187:9−18(1997);Burtonら、Advances in Immunology 57:191−280(1994);PCT出願第PCT/GB91/01134号;PCT公開WO90/02809号;WO91/10737号;WO92/01047号;WO92/18619号;WO93/11236号;WO95/15982号;WO95/20401号;並びに米国特許第5,698,426号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,580,717号;第5,427,908号;第5,750,753号;第5,821,047号;第5,571,698号;第5,427,908号;第5,516,637号;第5,780,225号;第5,658,727号;第5,733,743号及び5,969,108号に記載の方法が挙げられる;これらのそれぞれは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
前記参考文献に記載のように、ファージ選別後に、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、完全抗体、例えばヒト抗体、又は任意の他の所望の抗原結合性フラグメントを生成させるのに使用し、任意の所望の宿主、例えば哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌において発現させる。例えば、Fab、Fab’及びF(ab’)フラグメントを組換え産生させる方法もまた、当技術分野において公知の方法、例えばPCT公開WO92/22324号;Mullinaxら、BioTechniques 12(6
):864−869(1992);及びSawaiら、AJRI 34:26−34(1995);並びにBetterら、Science 240:1041−1043(1988)(前記の参考文献は、その全てが参照として本明細書に組み込まれる)に記載の方法を使用して用いることもできる。
一本鎖Fvs及び抗体を産生させるのに使用できる方法の例としては、米国特許第4,946,778号及び第5,258,498号;Hustonら、Methods in
Enzymology 203:46−88(1991);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);及びSkerraら、Science 240:1038−1040(1988)に記載の方法が挙げられる。ヒトでの抗体のインビボ使用及びインビトロ検出アッセイを含め幾つかの用途については、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体を使用することが好ましいものであり得る。キメラ抗体は、抗体の種々の部分が種々の動物種から誘導される分子、例えばマウスモノクロナール抗体及びヒト免疫グロブリン定常領域から誘導される可変領域を有する抗体である。キメラ抗体を産生させる方法は、当技術分野において公知である。例えば、Morrison、Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら、J.Immunol.Methods 125:191−202(1989);米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;及び第4,816,397号参照。これらは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを有する所望の抗原を結合する非ヒト種抗体である。多くの場合、ヒトフレームワーク領域内のフレームワーク残基は、抗原結合を改変させるために、好ましくは向上させるためにCDR供与抗体由来の対応残基で置換されるであろう。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を確認するためにCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデル化及び特定の位置での異常なフレームワーク残基を確認するための配列比較によって確認される。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature 332:323(1988)参照、これはその全てが参照として本明細書に組み込まれる)。抗体は、当技術分野において公知の様々な方法、例えば、CDRグラフティング(欧州特許EP239,400号;PCT公開WO91/09967号;米国特許第5,225,539号;第5,530,101号;及び第5,585,089号参照)、ベニアリング(veneering)又はリサーフェシング(resurfacing)(EP592,106号;EP519,596号;Padlan、Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−913(1994))、及び鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号)を使用してヒト化することができる。
完全ヒト抗体が、ヒト患者の治療に特に望ましい。ヒト抗体は、当技術分野において公知の様々な方法、例えばヒト免疫グロブリン配列から誘導される抗体ライブラリーを使用する前記のファージディスプレイ法で調製することができる。米国特許第4,444,887号及び第4,716,111号;並びにPCT公開WO98/46645号、WO98/50433号、WO98/24893号、WO98/16654号、WO96/34096号、WO96/33735号、及びWO91/10741号も参照;これらのそれぞれは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
また、ヒト抗体は、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生させることができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子結合体体は、無作為
に又は相同的組換えによってマウス胚幹細胞に導入し得る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、及び多様性領域は、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子の他に、マウス胚幹細胞に導入し得る。マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同的組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別個に又は同時に非機能的にされ得る。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体産生を阻止する。修飾された胚幹細胞は、拡大され、未分化胚細胞に微量注入されて、キメラマウスを産生する。次いで、キメラマウスは、飼育されてヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を産生する。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば所望の標的ポリペプチドの全体又は部分を用いて通常の方法で免疫される。抗原に対するモノクロナール抗体は、慣用のハイブリドーマ法を使用して免疫化トランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスによって含有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞の分化中に再配置され、その後にクラススイッチンング及び体細胞変異を行う。従って、このような方法を使用して、治療に有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を産生させることができる。ヒト抗体を産生させるためのこの方法の概説に関しては、Lonberg及びHuszar、Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)が参照される。ヒト抗体及びヒトモノクロナール抗体を産生させるためのこの方法及びこのような抗体を産生させるためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、PCT公開WO98/24893号;WO96/34096号;WO96/33735号;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;及び第5,939,598号が参照される。これらは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。また、Abgenix,Inc.(Freemont、Calif.)及びGenPharm(San Jose、Calif.)などの会社が、前記の方法と同様の方法を使用して選択された抗原に対するヒト抗体を提供するのに関与し得る。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、“ガイディッド・セレクション(guided selection)”と呼ばれる技術を使用して生成させることができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体が、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を導くのに使用される(Jespersら、Bio/technology,12:899−903(1988)。米国特許第5,565,332号も参照)。
また、本発明の標的ポリペプチドに対する抗体は、当業者に周知の方法を使用して標的ポリペプチドを“模倣する(mimic)”抗イディオタイプ抗体を作り出すのに次々に利用できる。(例えば、Greenspan & Bona、FASEB J.7(5):437−444(1989)及びNissinoff、J.Immunol.147(8):2429−2438(1991)参照)。例えば、本発明のポリペプチドに結合し、ポリペプチド多量体化及び/又はリガンドに対する本発明のポリペプチドの結合を競合的に阻害する抗体は、ポリペプチド多量体化及び/又は結合ドメインを“模倣する(mimic)”抗イディオタイプを作り出すのに使用でき、結果としてポリペプチド及び/又はそのリガンドに結合し、これらを中和することができる。このような中和抗イディオタイプ又はこのような抗イディオタイプのFabフラグメントは、治療計画においてポリペプチドリガンドを中和するのに使用できる。例えば、このような抗イディオタイプ抗体は、所望の標的ポリペプチドを結合し及び/又はそのリガンド/受容体を結合し、それによってその生物活性を妨害するのに使用できる。
別の実施形態において、所望のモノクロナール抗体をコードするDNAは、慣用の方法を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離し、配列決定し得る。単離され、サブクローン化されたハイブリドーマ細胞は、このようなDNA
の好ましい供給源として働く。一度単離されると、DNAは、発現ベクター中に配置され、次いで原核生物又は真核宿主細胞、例えば以下に限定されないが、別の方法で免疫グロブリンを産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞に移入され得る。さらに詳しくは、単離DNA(これは本明細書に記載のようにして合成し得る)は、1995年1月25日に出願されたNewmanらの米国特許第5,658,570号(これは、本明細書に参照として組み込まれる)に記載のような抗体を製造するためのクローン定常領域及び可変領域配列に使用し得る。本質的に、これは、選択した細胞からのRNAの抽出、cDNAの転化、及びIg特異的プライマーを使用するPCRによる増幅を伴う。この目的に適したプライマーもまた米国特許第5,658,570号に記載されている。以下でさらに詳しく論じるように、所望の抗体を発現する形質転換細胞は、免疫グロブリの臨床及び商用供給量を提供するために比較的多量に増殖させ得る。
1つの実施形態において、本発明のIGF−1R抗体は、抗体分子の少なくとも1つの重鎖又は軽鎖CDRを含有する。別の実施形態において、本発明のIGF−1R抗体は、1つ以上の抗体分子由来の少なくとも2つのCDRを含有する。別の実施形態において、本発明のIGF−1R抗体は、1つ以上の抗体分子由来の少なくとも3つのCDRを含有する。別の実施形態において、本発明のIGF−1R抗体は、1つ以上の抗体分子由来の少なくとも4つのCDRを含有する。別の実施形態において、本発明のIGF−1R抗体は、1つ以上の抗体分子由来の少なくとも5つのCDRを含有する。別の実施形態において、本発明のIGF−1R抗体は、1つ以上の抗体分子由来の少なくとも6つのCDRを含有する。対象IGF−1R抗体に含有され得る少なくとも1つのCDRを含有する典型的な抗体分子は、本明細書に記載される。
具体的な実施形態において、重鎖及び/又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、相補性決定領域(CDR)の配列を確認するために、当技術分野において周知の方法で、例えば配列超可変性の領域を調べるために他の重鎖及び軽鎖可変領域の既知アミノ酸配列と比較することによって詳しく調べ得る。常用の組換えDNA法を使用して、1つ以上のCDRを、非ヒト抗体をヒト化するためにフレームワーク領域内に、例えばヒトフレームワーク領域内に挿入し得る。フレームワーク領域は、天然又は共通フレームワーク領域、好ましくはヒトフレームワーク領域であり得る(ヒトフレームワーク領域のリストについては、例えば、Chothiaら、J.Mol.Biol.278:457−479(1998)参照)。好ましくは、フレームワーク領域とCDRの組み合わせによって生じるポリヌクレオチドは、所望のポリペプチド、例えばIGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体をコードする。好ましく、1つ以上のアミノ酸置換は、フレームワーク領域内で行い、好ましくは、アミノ酸置換は、抗体のその抗原に対する結合を向上させる。さらに、このような方法は、1個以上の鎖中ジスルフィド結合を欠く抗体分子を生成するために鎖中ジスルフィド結合に関与する1個以上の可変領域システイン残基のアミノ酸置換又は欠失を行うのに使用し得る。ポリヌクレオチドの別の改変は、本発明によって包含され且つ当技術分野範囲に包含される。
また、適切な抗原特異性をもつマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物活性をもつヒト抗体分子由来の遺伝子と一緒にスプライシングによって“キメラ抗体”を産生させるために開発された技法(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:851−855(1984);Neubergerら、Nature 312:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:452−454(1985))が使用できる。本明細書で使用されるように、キメラ抗体は、種々の部分が種々の動物種から誘導される分子、例えばマウスモノクロナール抗体から誘導される可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子、例えばヒト化抗体である。
あるいは、一本鎖抗体の産生のための記載されている方法(米国特許第4,694,778号;Bird、Science 242:423−442(1988);Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988);及びWardら、Nature 354:544−554(1989))が、一本鎖抗体を作成するのに適合させることができる。一本鎖抗体は、Fv領域の重鎖及び軽鎖フラグメントをアミノ酸架橋によって連結し、一本鎖抗体を得ることによって形成される。大腸菌中で機能的Fvフラグメントを組立てる方法もまた、使用し得る(Skerraら、Science 242:1038−1041(1988))。
本発明のさらに別の実施形態は、内因性免疫グロブリンを産生できないトランスジェニック動物(例えば、マウス)(例えば、米国特許第6,075,181号、第5,939,598号、第5,591,669号及び第5,589,369号参照、これらのそれぞれは、参照として本明細書に組み込まれる)においてヒト抗体又は実質的にヒト抗体を作成することを含む。例えば、キメラ及び生殖細胞系変異マウスにおける抗体重鎖結合性領域のホモ接合性欠失が内因性抗体産生の完全阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖細胞系変異マウスに対するヒト免疫グロブリン遺伝子アレイの移動(transfer)は、抗原投与と同時にヒト抗体の産生をもたらすであろう。SCIDマウスを使用してヒト抗体を作り出す別の好ましい手段は、米国特許第5,811,524号(これは、参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらのヒト抗体に関連する遺伝物質もまた本明細書に記載のようにして単離し、操作し得ることが認められるであろう。
組換え抗体を生じさせるためのさらに別の高効率手段は、Newman、Biotechnology 10:1455−1460(1992)に開示されている。具体的には、この方法は、サル可変領域及びヒト定常領域配列を含有する霊長類化抗体の作成をもたらす。この参考文献は、その全体を本明細書に参照として組み込まれる。さらに、この方法は、同一出願人による米国特許第5,658,570号、第5,693,780号及び第5,756,096号(これらのそれぞれは、参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
別の実施形態において、リンパ球は顕微操作によって選択し、可変領域遺伝子群を単離し得る。例えば、末梢血単核細胞は、免疫哺乳動物から単離し、インビトロで約7日間培養し得る。培養物は、選別基準を満たす特定のIgGについて選別できる。陽性ウエルから細胞を単離できる。個々のIg産生B細胞は、FACSで単離できるし又はこれらを補体介在溶血プラークアッセイで確認することによって単離できる。Ig産生B細胞は、管内に顕微操作することができ、VH及びVL遺伝子は、例えば、RT−PCRを使用して増幅することができる。VH及びVL遺伝子は、抗体発現ベクター中にクローン化し、発現用の細胞(例えば、真核又は原核生物細胞)に移入することができる。
あるいは、抗体産生細胞系を、選択し、当業者に周知の方法を使用して培養し得る。このような方法は、様々な実験室マニュアル及び一次刊行物に記載されている。この点で、以下に記載のように本発明において使用するのに適当な方法は、Current Protocols in Immunology,Coliganら、Eds.,Green
Publishing Associates及びWiley−Interscience,John Wiley and Sons,New York(1991)に記載されている(これは、補足を含めその全てが参照として本明細書に組み込まれる)。
本発明の抗体は、抗体の合成について当技術分野において公知の任意の方法で、特に化学合成によって又は好ましくは本明細書に記載のような組換え発現法で産生させることができる。
1つの実施形態において、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、1つ以上のドメインが部分的に又は完全に欠失している(“ドメイン欠失抗体”である)合成定常領域を含有する。ある実施形態において、適合した修飾抗体は、CH2ドメイン全体が除去されているドメイン欠失組立て体又は変異体(ΔCH2組立て体)を含有するであろう。別の実施形態について、短い連結ペプチドが、可変領域について柔軟性及び移動の自由を提供するために欠失ドメインの代わりに使用され得る。当業者には、このような組立て体が、抗体の異化速度に対するCH2ドメインの調節特性により特に好ましいことが認められるであろう。ドメイン欠失組立て体は、IgGヒト定常領域をコードするベクターを使用して誘導することができる(例えば、国際出願公開WO02/060955A2号及びWO02/096948A2号参照)。このベクターは、操作されてCH2ドメインを欠失し、ドメイン欠失IgGヒト定常領域を発現する合成ベクターを提供する。
ある実施形態において、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、ミニボディーである。ミニボディーは、当技術分野に記載の方法を使用して調製できる(例えば、米国特許第5,837,821号又は国際公開WO94/09817A1号参照)。
1つの実施形態において、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、単量体サブユニット同士の間で結合を可能にする限りは、数個又は場合によっては1個のアミノ酸の欠失又は置換を有する免疫グロブリン重鎖を含有する。例えば、CH2ドメインの選択された領域の1個のアミノ酸の変異は、実質的にFcが結合するのを抑制するのに十分であり、それによって腫瘍の局在を高め得る。同様に、調節されるべきエフェクター機能(例えば、補体結合)を制御する1つ以上の定常領域ドメインのその部分を簡単に欠失することが望ましいものであり得る。定常領域のこのような部分欠失は、対象の定常領域ドメインに関連する他の望ましい機能を無傷の状態にしながら、抗体(血清半減期)の選択された特性を向上させ得る。また、上記で言及したように、開示の抗体の定常領域は、得られる組立て体のプロフィルを高める1個以上のアミノ酸の変異又は置換による合成物質であり得る。この点で、修飾抗体の立体配置及び免疫原性プロフィルを実質的に維持しながら、保存された結合部位(例えば、Fc結合)によって提供される活性を妨害することが可能であり得る。さらに別の実施形態は、エフェクター機能などの望ましい特性を高めるか又はより多くの細胞毒又は糖質の結合を提供するために1個以上のアミノ酸の付加を含有する。このような実施形態において、選択された定常領域ドメインから誘導される特定の配列を挿入又は複製することが望ましいものであり得る。
本発明はまた、本明細書に記載の抗体分子(例えば、VH領域及び/又はVL領域)の変異体(誘導体を含む)を含むか、該変異体から本質的になるか、又は該変異体のみからなる抗体を提供し、抗体又はそのフラグメントは、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体に免疫特異的に結合する。当業者に公知の標準方法が、IGF−1R抗体をコードするヌクレオチド配列の変異、例えば、以下に限定されないが、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発及びPCR介在変異誘発を誘導するのに使用できる。好ましくは、前記変異体(誘導体を含む)は、基準VH領域、VH−CDRl、VH−CDR2、VH−CDR3、VL領域、VL−CDRl、VL−CDR2、又はVL−CDR3に対して、50個未満のアミノ酸置換、40個未満のアミノ酸置換、30個未満のアミノ酸置換、25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、又は2個未満のアミノ酸置換をコードする。“保存アミノ酸置換”は、アミノ酸残基が同様の電荷をもつ側鎖を有するアミノ酸残基で置換され
る置換である。同様の電荷をもつ側鎖を有するアミノ酸残基の群は、当技術分野で定義されている。これらの群としては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。あるいは、変異は、コード化配列の全体又は部分に沿って、例えば飽和変異誘発によって、無作為に誘導することができ、得られる変異体は、活性(例えば、IGF−1Rポリペプチドを結合能)を保持する変異体を確認するために生物活性について選別することができる。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域にのみ又はCDR領域にのみ変異を導入することができる。導入された変異は、サイレント変異又は中立ミスセンス変異であり得る、すなわち、抗体の抗原結合能に全く又はほとんど影響を及ぼさない、実際に、幾つかのこのような変異はアミノ酸配列を何であれ変化させない。これらの型の変異は、コドン使用頻度を最適化するか、又はハイブリドーマの抗体産生を向上させるのに有用であり得る。本発明のIGF−1R抗体をコードするコドン最適化コード領域は、本明細書の他のどこかに開示される。あるいは、非中立ミスセンス変異は、抗体の抗原結合能を変化させ得る。大部分のサイレント変異及び中立ミスセンス然変異の位置は、おそらくはフレームワーク領域内に存在するように思われ、これに対して大部分の非中立ミスセンス変異の位置はおそらくはCDR内にあるように思われる。しかし、これは絶対条件ではない。当業者は、所望の性質、例えば抗原結合活性の未変化又は結合活性の変化(例えば、抗原結合活性の向上又は抗体特異性の変化)を有する変異体分子を設計し、試験することができるであろう。変異誘発後に、コード化タンパク質は、日常的に発現させ、コード化タンパク質の機能活性及び/又は生物活性(例えば、IGF−1Rポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを免疫特異的に結合する能力)を、本明細書に記載の方法を使用して又は当技術分野において公知の修飾方法で調べることができる。
IV.IGF−1R抗体をコードするポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードする核酸分子を提供する。
1つの実施形態において、本発明は、重鎖可変領域のCDRの少なくとも1つ又は重鎖可変領域のVH−CDRの少なくとも2つが、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体由来の基準重鎖VH−CDR1、VH−CDR2、又はVH−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを提供する。あるいは、前記VHのVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3領域は、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体由来の参照重鎖VH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である。従って、この実施形態によれば、本発明の重鎖可変領域は、表5に示すポリペプチド配列に関連したVH−CDR1、VH−CDR2、又はVH−CDR3ポリペプチド配列を有する。
Kabat体系(上記参照)によって調べた
N=ヌクレオチド配列、P=ポリペプチド配列。
当技術分野で公知のように、2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチド同士の間の“配列同一性”は、1つのポリペプチド又はポリヌクレオチドのアミノ酸又は核酸配列を、第2のポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列と比較することによって決定される。本明細書で論じる場合に、特定のポリペプチドが、別のポリペプチドと少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%同一であるか否かは、当技術分野で公知の方法及びコンピュータープログラム/ソフトウエア、例えば、以下に限定されないが、BESTFITプログラム (Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group、University Research Park,575 Science
Drive,Madison,WI 53711)を使用して決定できる。BESTFITは、Smith及びWaterman、Advances in Applied Mathematics 2:482−489(1981)の局部相同性アルゴリズムを使用して、2つの配列の相同性の最もよいセグメントを見つけ出す。BESTFIT又は任意の他の配列アラインメントプログラムを使用して、特定の配列が、例えば、本発明の基準配列と95%同一であるか否かを決定する場合には、そのパラメーターは、もちろん、参照ポリペプチド配列の完全長にわたって算出されるように及び参照配列中のアミノ酸の総数の最大5%までの相同性のギャップが許されるように設定される。
ある実施形態において、ポリヌクレオチドによってコードされるVHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。ある実施形態において、VHポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、それによってコードされるアミノ酸配列を変化させることなく改変される。例えば、配列は、スプライス部位
を除去するか、又は制限酵素部位を除去するために、所定の種における改良されたコドン使用頻度について改変され得る。これらのような配列最適化は、実施例に記載され、当業者によって日常的に行われる。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、VH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3領域が、表5に示されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3群と同一のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを提供する。ある実施形態において、ポリヌクレオチドによってコードされるVHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
ある実施形態において、前記のポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVHを含むか、該VHから本質的になるか、又は該VHのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に又は優先的に結合するか、あるいはこのようなモノクロナール抗体又はフラグメントをIGF−1Rに結合させないように競合的に阻害するであろう。
ある実施形態において、前記のポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVHを含むか、該VHから本質的になるか、又は該VHのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(KD)によって特徴づけられる親和性で、特異的又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドであって、軽鎖可変領域のCDRの少なくとも1つ又は軽鎖可変領域のVL−CDRの少なくとも2つが、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体由来の基準軽鎖VL−CDR1、VL−CDR2、又はVL−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを提供する。あるいは、VLのVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3領域は、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体由来の基準軽鎖VL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である。従って、この実施形態によれば、本発明の軽鎖可変領域は、表6に示すポリペプチド配列に関連したVL−CDR1、VL−CDR2、又はVL−CDR3ポリペプチド配列を有する。
Kabat体系(上記参照)によって調べた
PN=ヌクレオチド配列、PP=ポリペプチド配列。
ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドによってコードされるVLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドであって、VL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3領域が、表6に示されるVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3群と同じポリペプチド配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを提供する。ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドによってコードされるVLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の態様において、本発明は、VL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3領域が、表6に示されるVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3群をコードするヌクレオチド配列と同じヌクレオチド配列によってコードされる、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを提供する。ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドによってコードされるVLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVLを含むか、該VLから本質的になるか、又は該VLのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に又は優先的に結合するか、あるいはこのようなモノクロナール抗体又はフラグメントをIGF−1Rに結合させないように競合的に阻害するであろう。
ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVLを含むか、該VLから本質的になるか、又は該VLのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、配列番号:4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58、及び63よりなる群から選択される基準VHポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%95%又は100%同一のVHをコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドによってコードされるVHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の態様において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、配列番号:4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58、及び63よりなる群から選択されるポリペプチド配列を有するVHをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドによってコードされるVHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、配列番号:3、8、13、18、19、24、25、30、31、36、37、42、47、52、57、及び62よりなる群から選択される基準核酸配列と少なくとも80%、85%、90%95%又は100%同一のVHコード核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。ある実施形態において、前記ポリヌクレオチドによってコードされるVHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の態様において、本発明は、本発明のVHをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドであって、前記VHのアミノ酸配列が配列番号:4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58、及び63よりなる群から選択される、本発明のVHをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。本発明はまた、本発明のVHをコードする核酸配列を含むか、該核酸
配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドであって、前記核酸の配列が配列番号:3、8、13、18、19、24、25、30、31、36、37、42、47、52、57、及び62よりなる群から選択される、本発明のVHをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。ある実施形態において、このようなポリヌクレオチドによってコードされるVHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
ある実施形態において、前記のポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVHを含むか、該VHから本質的になるか、又は該VHのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に又は優先的に結合するか、あるいはこのようなモノクロナール抗体又はフラグメントをIGF−1Rに結合させないように競合的に阻害するか、あるいは、このようなモノクロナール抗体をIGF−1Rに結合させないように競合的に阻害するであろう。
ある実施形態において、前記のポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVHを含むか、該VHから本質的になるか、又は該VHのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、離ポリヌクレオチドであって、配列番号:68、73、78、83、88、93、98、103、108、113、及び118よりなる群から選択されるアミノ酸を有する基準VLポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%95%又は100%同一のVLをコードする核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。別の実施形態において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、配列番号:67、72、77、82、87、92、97、102、107、112、及び117よりなる群から選択される参照核酸配列と少なくとも80%、85%、90%95%又は100%同一のVLコード化核酸を含むか、該核酸から本質的になるか、又は該核酸のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。ある実施形態において、このようなポリヌクレオチドによってコードされるVLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の態様において、本発明は、単離ポリヌクレオチドであって、配列番号:68、73、78、83、88、93、98、103、108、113、及び118よりなる群から選択されるポリペプチド配列を有するVLをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。本発明はまた、本発明のVLをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドであって、前記核酸の配列が配列番
号:67、72、77、82、87、92、97、102、107、112、及び117よりなる群から選択される、本発明のVLをコードする核酸配列を含むか、該核酸配列から本質的になるか、又は該核酸配列のみからなる単離ポリヌクレオチドを包含する。ある実施形態において、このようなポリヌクレオチドによってコードされるVLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
ある実施形態において、前記のポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVLを含むか、該VLから本質的になるか、又は該VLのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に又は優先的に結合するか、あるいはこのようなモノクロナール抗体又はフラグメントをGF−1Rに結合させないないように競合的に阻害するであろう。
ある実施形態において、前記のポリヌクレオチドの1つ以上によってコードされるVLを含むか、該VLから本質的になるか、又は該VLのみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的又は優先的に結合する。
前記のポリヌクレオチドのいずれかは、さらに、別の核酸であって、例えば、コード化ポリペプチドの分泌を指示するシグナルペプチド、本明細書に記載のような抗体定常領域、又は本明細書に記載のような他の異種ポリペプチドをコードする別の核酸を包含する。
また、本明細書に他の個所でさらに詳しく記載するように、本発明は、前記のポリヌクレオチドの1つ以上を含有するポリヌクレオチドを含む組成物を包含する。1つの実施形態において、本発明は、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとを含む組成物であって、前記第1のポリヌクレオチドが本明細書に記載のVHポリペプチドをコードし及び前記第2のポリヌクレオチドが本明細書に記載のVLポリペプチドをコードする、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとを含む組成物を包含する。具体的には、組成物は、VHポリヌクレオチド及びVLポリヌクレオチドを含むか、VHポリヌクレオチド及びVLポリヌクレオチドから本質的になるか、又はVHポリヌクレオチド及びVLポリヌクレオチドのみからなり、この場合に前記VHポリヌクレオチド及び前記VLポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号:4及び68、8及び73、14及び78、20及び83、26及び88、32及び93、38及び98、43及び103、48及び108、53及び103、58及び113、及び63及び118よりなる群から選択される基準VL及びVLポリペプチドアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は100%同一のポリペプチドをコードする。あるいは、組成物は、配列番号:3及び67、8及び72、13及び77、18及び77、19及び82、24及び82、25及び87、30及び87、31及び92、36及び92、37及び97、42及び102、47及び107、58及び102、57及び112、及び62及び117よりなる群から選択される基準VL及びVL核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は100%同一のVHポリヌクレオチド及びVLポリヌクレオチドを含むか、該VHポリ
ヌクレオチド及びVLポリヌクレオチから本質的になるか、又は該VHポリヌクレオチド及びVLポリヌクレオチドのみからなる。ある実施形態において、このような組成物中のポリヌクレオチドによってコードされるVH及びVLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
本発明はまた、本明細書の他の個所に記載のようなポリヌクレオチドのフラグメントを包含する。本明細書に記載のように、融合ポリヌクレオチド、Fabフラグメント、及び他の誘導体をコードする別のポリヌクレオチドも本発明によって意図される。
前記ポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の方法で産生又は製造し得る。例えば、抗体のヌクレオチド配列が公知である場合には、抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、Kutmeierら、BioTechniques 17:242(1994)に記載されている)から組立て、これは、手短に言えば、抗体をコードする配列の部分を含有するオーバーラップオリゴヌクレオチドの合成、これらオリゴヌクレオチドのアニーリング及び連結、次いで連結されたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を伴う。
あるいは、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードするポリヌクレオチドは、適当な供給源由来の核酸から作り出し得る。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手できないが、抗体分子の配列が公知である場合には、該抗体をコードする核酸は、化学的に合成し得るし、あるいは適当な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、又は抗体又は他のIGF−1R抗体を発現する任意の組織又は細胞、例えば抗体を発現させるために選択されるハイブリドーマ細胞から単離される核酸、好ましくはポリA+RNA、から作り出されるcDNAライブラリー)から、3’末端及び5’末端にハイブリダイズできる合成プライマーを使用してPCRによって得てもよいし、あるいは例えば、抗体又は他のIGF−1R抗体をコードするcDNAライブラリー由来のcDNAクローンを同定する特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって得てもよい。PCRによって生成された増幅核酸は、次いで当技術分野で周知の方法を使用して複製可能なクローニングベクターにクローン化させ得る。
IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体のヌクレオチド配列及び対応アミノ酸配列が一度決定されると、そのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作のための当技術分野において周知の方法、例えば、組換えDNA法、部位特異的変異誘発法、PCR法など(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)及びAusubelら、eds.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1998)に記載の方法を参照、これらは両方共に本明細書においてその全てが参照として組み込まれる)を使用して操作して、異なるアミノ酸配列を有する抗体を作り出し得る、例えば、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を作り出し得る。
IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードするポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドからなり、これは未修飾RNA又はDNAあるいは修飾RNA又はDNAであってもよい。例えば、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードするポリヌクレオチドは、一本鎖及び二本鎖DNAからなることができるし、一本鎖及び二本鎖領域の混和物であるDNAからなることができるし、一本鎖及び二本鎖R
NAからなることができるし、並びに一本鎖及び二本鎖領域の混和物であるRNAを含むことできるし、一本鎖であり得るか又はさらに典型的には二本鎖であり得るか、あるいは一本鎖及び二本鎖領域の混合物であり得るDNA及びRNAを含有するハイブリッド分子を含むことができる。また、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードするポリヌクレオチドは、RNA又はDNAを含有するか、あるいはRNA及びDNAの両方を含有する三重鎖領域を含むことができる。IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードするポリヌクレオチドはまた、1つ以上の修飾された塩基又は安定性の理由から又は他の理由から修飾されたDNA又はRNA主鎖を含有していてもよい。“修飾された”塩基としては、例えば、トリチル化塩基及びイノシンなどの独特な塩基が挙げられる。様々な修飾をDNA及びRNAに対して行い得る;従って“ポリヌクレオチド”は、化学修飾体、酵素修飾体、又は代謝修飾体を包含する。
免疫グロブリン(例えば、免疫グロブリン重鎖部分又は軽鎖部分)から誘導されるポリペプチドの非天然変異体をコードする単離ポリヌクレオチドは、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失がコード化タンパク質に導入されるように、1つ以上のヌクレオチドの置換、付加又は欠失を、免疫グロブリンのヌクレオチド配列に導入することによって作成することができる。変異は、標準方法で、例えば部位特異的変異誘発及びPCR介在変異誘発によって導入し得る。好ましくは、保存アミノ酸置換は、1つ以上の非必須アミノ酸残基で行われる。
V.IGF−1R抗体ポリペプチド
本発明はまた、IGF−1R抗体を構成する単離ポリペプチド、及びこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明のIGF−1R抗体は、ポリペプチド、例えば、免疫グロブリン分子から誘導されるIGF−1R−特異的抗原結合領域をコードするアミノ酸配列を含有する。指定されたタンパク質“から誘導される”ポリペプチド又はアミノ酸配列とは、あるアミノ酸配列を有するポリペプチドの起源を指す。ある場合には、特定の出発ポリペプチド又はアミノ酸配列から誘導されるポリペプチド又はアミノ酸配列は、出発配列のアミノ酸配列、又はその部分と本質的に同じアミノ酸配列を有し、この場合の前記部分は、少なくとも10−20個のアミノ酸からなるか、少なくとも20−30個のアミノ酸からなるか、少なくとも30−50個のアミノ酸からなるか、又は別の方法で当業者に出発配列中にその起源を有すると識別可能である。
1つの実施形態において、本発明は、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドであって、前記重鎖可変領域のVH−CDRの少なくとも1つ又は前記重鎖可変領域のVH−CDRの少なくとも2つが、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体に由来する基準重鎖VH−CDR1、VH−CDR2、又はVH−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドを提供する。あるいは、前記VHのVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3領域は、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体に由来する基準重鎖VH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である。従って、この実施形態によれば、本発明の重鎖可変領域は、上記の表5に示す群に関連したVH−CDR1、VH−CDR2、又はVH−CDR3ポリペプチド配列を有する。表5は、Kabat体系によって定義されるVH−CDRを示すが、他のCDR定義、例えば、Chothia体系によって定義されるVH−CDRも本発明に包含される。ある実施形態において、前記VHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリペプチドであって、VH−CDR1、VH−CDR2及びVH−CDR3領域が、表5に示すVH−CDR1、VH−CDR2及びVH−CDR3群と同一のポリペプチド配列を有する免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドを提供する。ある実施形態において、前記VHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリペプチドであって、VH−CDR1、VH−CDR2及びVH−CDR3領域が、表5に示すVH−CDR1、VH−CDR2及びVH−CDR3群と同一のポリペプチド配列を有する(但し、任意の1つのVH−CDR中の1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のアミノ酸置換を除く)、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドを提供する。大きいCDR、例えば、VH−CDR−3において、VH−CDRを含有するVHがIGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する限りは、CDRにおいてさらなる置換を行い得る。ある実施形態において、アミノ酸置換は、保存的である。ある実施形態において、前記VHを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリペプチドであって、配列番号:配列番号:4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58、及び63よりなる群から選択される基準VHポリペプチドアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は100%同一のVHポリペプチドを含むか、該VHポリペプチドから本質的になるか、又は該VHポリペプチドのみからなる単離ポリペプチドを包含する。ある実施形態において、前記VHポリペプチドを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の態様において、本発明は、単離ポリペプチドであって、配列番号:配列番号:4、9、14、20、26、32、38、43、48、53、58、及び63よりなる群から選択されるVHポリペプチドを含むか、該VHポリペプチドから本質的になるか、又は該VHポリペプチドのみからなる単離ポリペプチドを包含する。ある実施形態において、前記VHポリペプチドを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
ある実施形態において、前記のVHポリペプチドの1つ以上を含むか、該VHポリペプチドの1つ以上から本質的になるか、又は該VHポリペプチドの1つ以上のみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に又は優先的に結合するか、あるいはこのようなモノクロナール抗体又はフラグメントをIGF−1Rに結合させないように競合的に阻害するであろう。
ある実施形態において、前記VHポリペプチドの1つ以上を含むか、該VHポリペプチドの1つ以上から本質的になるか、又は該VHポリペプチドの1つ以上のみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×
10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドであって、前記軽鎖可変領域のVL−CDRの少なくとも1つ又は前記重鎖可変領域のVL−CDRの少なくとも2つが、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体に由来する基準重鎖VL−CDR1、VL−CDR2、又はVL−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である、免疫グロブリン重鎖可変領域(VL)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドを提供する。あるいは、前記VLのVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3領域は、本明細書に開示のモノクロナールIGF−1R抗体に由来する基準重鎖VL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である。従って、この実施形態によれば、本発明の軽鎖可変領域は、上記の表6に示すポリペチド群に関連したVL−CDR1、VL−CDR2、又はVL−CDR3ポリペプチド配列を有する。表6は、Kabat体系によって定義されるVL−CDRを示すが、他のCDR定義、例えば、Chothia体系によって定義されるVL−CDRも本発明に包含される。ある実施形態において、前記VLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリペプチドであって、VL−CDR1、VL−CDR2及びVL−CDR3領域が、表6に示すVL−CDR1、VL−CDR2及びVL−CDR3群と同一のポリペプチド配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリヌクレオチドを提供する。ある実施形態において、前記VLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリペプチドであって、VL−CDR1、VL−CDR2及びVL−CDR3領域が、表6に示すVL−CDR1、VL−CDR2及びVL−CDR3群と同一のポリペプチド配列を有する(但し、任意の1個のVL−CDRの1個、2個、3個、4個、5個又は6個のアミノ酸置換を除く)、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含むか、それから本質的になるか、又はそれのみからなる単離ポリペプチドを提供する。大きいCDRにおいて、VL−CDRを含有するVLがIGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する限りは、VL−CDRにおいてさらなる置換が行われ得る。ある実施形態において、アミノ酸置換は、保存的である。ある実施形態において、前記VLを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の実施形態において、本発明は、単離ポリペプチドであって、配列番号:68、73、78、83、88、93、98、103、108、113、及び118よりなる群から選択される基準VLポリペプチドアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は100%と同一のVLポリペプチドを含むか、該VLポリペプチドから本質的になるか、又は該VLポリペプチドのみからなる単離ポリペプチドを包含する。ある実施形態において、前記VLポリペプチドを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
別の態様において、本発明は、単離ポリペプチドであって、配列番号:68、73、78、83、88、93、98、103、108、113、及び118よりなる群から選択
されるVLポリペプチドを含むか、該VLポリペプチドから本質的になるか、又は該VLポリペプチドのみからなる単離ポリペプチドを包含する。ある実施形態において、前記VLポリペプチドを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
ある実施形態において、前記のVLポリペプチドの1つ以上を含むか、該VLポリペプチドの1つ以上から本質的になるか、又は該VLポリペプチドの1つ以上のみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に又は優先的に結合するか、あるいはこのようなモノクロナール抗体又はフラグメントをIGF−1Rに結合させないように競合的に阻害するであろう。
ある実施形態において、前記のVLポリペプチドの1つ以上を含むか、該VLポリペプチドの1つ以上から本質的になるか、又は該VLポリペプチドの1つ以上のみからなる抗体又はその抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(K)によって特徴づけられる親和性で、特異的又は優先的に結合する。
他の実施形態において、抗体又はその抗原結合性フラグメントは、VHポリペプチド及びVLポリペプチドを含むか、VHポリペプチド及びVLポリペプチドのみから本質的になるか、又はVHポリペプチド及びVLポリペプチドのみからなり、この場合に、前記VHポリペプチド及び前記VLポリペプチドは、それぞれ、配列番号:4及び68、8及び73、14及び78、20及び83、26及び88、32及び93、38及び98、43及び103、48及び108、53及び103、58及び113、及び63及び118よりなる群から選択される基準VL及びVLポリペプチドアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は100%同一である。ある実施形態において、これらのVH及びVLポリペプチドを含有する抗体又は抗原結合性フラグメントは、IGF−1Rに特異的に又は優先的に結合する。
前記のポリペプチドのいずれかは、さらに別のポリペプチド、例えばコードされたポリペプチドの分泌を指示するシグナルペプチド、本明細書に記載のような抗体定常領域、又は本明細書に記載のような他の異種ポリペプチドを包含する。また、本発明のポリペプチドは、他の個所に記載のようなポリペプチドフラグメントを包含する。さらに、本発明のポリペプチドは、本明細書に記載のような、融合ポリペプチド、Fabフラグメント、及び他の誘導体を包含する。
また、本明細書の他の個所にさらに詳しく記載するように、本発明は、前記のポリペプチドを含む組成物を包含する。
また、当業者には、本明細書に開示のIGF−1R抗体ポリペプチドは、これらが誘導される天然の結合性ポリペプチドに由来するアミノ酸配列において変化するように修飾さ
れていてもよいことが理解されるであろう。例えば、指定されたタンパク質から誘導されるポリペプチド又はアミノ酸配列は、出発配列と類似していてもよく、例えば該出発配列とある一定の%の同一性を有していてもよく、例えば出発配列と60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%同一であってもよい。
さらにまた、“非必須”アミノ酸領域において同類置換又は変化を招くヌクレオチド又はアミノ酸の置換、欠失、又は挿入が行われていてもよい。例えば、指定されたタンパク質から誘導されるポリペプチド又はアミノ酸配列は、1個以上の個々のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個以上の個々のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を除いて、出発配列と同一であってもよい。指定されたタンパク質から誘導されるポリペプチド又はアミノ酸配列は、1個以上の個々のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個以上の個々のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を除いて、出発配列と同一であってもよい。他の実施形態において、指定されたタンパク質から誘導されるポリペプチド又はアミノ酸配列は、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、15個以下、20個以下の個々のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を除いて、出発配列と同一であってもよい。ある実施形態において、指定されたタンパク質から誘導されるポリペプチド又はアミノ酸配列は、出発配列と比べて1〜5個、1〜10個、1〜15個、又は1〜20個の個々のアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を有する。
本発明のあるIGF−1R抗体ポリペプチドは、ヒトアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列からなるか、該アミノ酸配列から本質的になるか、該アミノ酸配列のみからなる。しかし、あるIGF−1R抗体ポリペプチドは、別の哺乳動物種から誘導される1個以上の連続するアミノ酸を含有する。例えば、本発明のIGF−1R抗体は、霊長類重鎖部分、ヒンジ部分、又は抗原結合部分を含有し得る。別の例において、1個以上のマウス由来のアミノ酸は、非マウス抗体ポリペプチド、例えば、IGF−1R抗体の抗原結合部位に存在し得る。別の例において、IGF−1R抗体の抗原結合部位は、完全にマウス由来のものである。ある治療用途において、IGF−1R特異抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は類似物質は、抗体が投与される動物において免疫原性であるように設計される。
ある実施形態において、IGF−1R抗体ポリペプチドは、抗体と正常に結合しないアミノ酸配列あるいは1つ以上の部分を含有する。典型的な修飾を、以下でさらに詳しく説明する。例えば、本発明の一本鎖fv抗体フラグメントは、フレキシブルリンカー配列を含有してもよいし、又は機能性部分(例えば、PEG、薬物、毒素、又は標識)を付加するために修飾されていていもよい。
本発明のIGF−1R抗体ポリペプチドは、融合タンパク質からなるか、該融合タンパク質から本質的になるか、又は該融合タンパク質のみからなる。融合タンパク質は、キメラ分子であって、例えば、少なくとも1つの標的結合部位と、少なくとも1つの異種部分、すなわち性質においてそれと自然に連結されない部分を有する免疫グロブリン抗原結合性ドメインを含有するキメラ分子である。アミノ酸配列は、通常は、融合ポリペプチド中に一緒にもたらされる別個のタンパク質中に存在していてもよいし又は該アミノ酸配列は、通常は、同じタンパク質中に存在していてもよいが、融合ポリペプチド中に新たな配置で配置される。融合タンパク質は、例えば、化学合成によって作り出し得るか、又はペプチド領域が所望の関係でコードされているポリヌクレオチドを作成し、翻訳することによって作り出し得る。
ポリヌクレオチド又はポリペプチドに適用される“異種”という用語は、ポリヌクレオ
チド又はポリペプチドが比較される要素の残部の要素と異なる要素から誘導されることを意味する。例えば、本明細書で使用されるように、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は類似物質に融合されるべき“異種ポリペプチド”は、同じ種の非免疫グロブリンポリペプチド、あるいは異なる種の免疫グロブリン又は非免疫グロブリンポリペプチドから誘導される。
“保存アミノ酸置換”とは、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているアミノ酸置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基の群、例えば、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非帯電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)は、当技術分野において定義されている。従って、免疫グロブリンポリペプチドの非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖の群に由来する別のアミノ酸残基で置換されることが好ましい。別の実施形態において、一連のアミノ酸は、側鎖群の構成メンバーの順序及び/又は組成において異なる構造上類似の一連のアミノ酸で置換することができる。
あるいは、別の実施形態において、突然変異は、例えば飽和突然変異誘発によって、免疫グロブリンコード化配列の全体又は部分に沿ってランダムに導入されていてもよく、得られる突然変異体は、本明細書に開示の診断及び治療方法で使用されるIGF−1R抗体に組み込まれ、その所望の抗原、例えばIGF−1Rに対する結合能について選別できる。
VI.融合タンパク質及び抗体結合体
本明細書の他の個所でさらに詳しく論じるように、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、さらに異種ポリペプチドにN−又はC−末端で組換えにより融合させ得るか、あるいはポリペプチド又は他の組成物に化学的に結合体化(例えば、共有結合又は非共有結合による結合体化)させ得る。例えば、IGF−1R−特異的IGF−1R抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子に及びエフェクター分子、例えば異種ポリペプチド、薬物、腫放射性核種、又は毒素に組換えにより融合又は結合体化させ得る。例えば、PCT公開WO92/08495号;WO91/14438号;WO89/12624号;米国特許第5,314,995号;及び欧州特許第396,387号参照。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体としては、すなわち、共有結合が、抗体がIGF−1Rに結合することを妨害しないように、抗体に対する任意の種類の分子の共有結合によって修飾されている誘導体が挙げられる。例えば、限定の目的ではないが、抗体誘導体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、ホスフィレーション(phosphylation)、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク分解切断、細胞リガンド又は他のタンパク質に対する連結などによって修飾されている抗体が挙げられる。多数の化学修飾が、公知の方法によって、例えば、以下に限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などによって実施し得る。さらに、前記誘導体は、1個又それ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合、すなわちアイソスターによって相互に結合されたアミノ酸から構成され、また20個の遺伝子コード化アミノ酸以外のアミノ酸を含有
し得る。IGF−1R−特異抗体は、ナチュラルプロセス、例えば翻訳後プロセシングによって、又は当技術分野において周知の化学修飾法によって修飾し得る。このような修飾は、基本的な教科書、より詳細なモノグラフ、並びに多数の研究文献に記載されている。修飾は、IGF−1R−特異抗体のどこかで、例えばペプチド主鎖、アミノ酸側鎖及びアミノ又はカルボキシル末端で、あるいは糖質などの部分で生じ得る。同じ種類の修飾が所定のIGF−1R−特異抗体の幾つかの部位に同程度で又は種々の程度で存在し得ることが認められるであろう。また、所定のIGF−1R−特異抗体は、多数の種類の修飾を含有し得る。IGF−1R−特異抗体は、ユビキチン化の結果として分岐していてもよいし、分岐を有するか又は有せずに環状であってもよい。環状、分岐、及び分岐環状IGF−1R−特異抗体は、翻訳後ナチュラスプロセスの結果として生じ得るか又は合成法によって作り得る。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、PEG化、タンパク分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレン化、硫酸化、タンパク質に対するアミノ酸の転写RNA介在付加、例えばアルギニン化、及びユビキチン化が挙げられる。(例えば、Proteins−Structure And Molecular
Properties,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York 2nd Ed.,(1993);Posttranslational Covalent Modification Of Proteins,B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New
York,pgs.1−12(1983);Seifterら、Meth Enzymol 182:626−646(1990);Rattanら、Ann NY Acad
Sci 663:48−62(1992)参照)。
本発明はまた、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体と、異種ポリペプチドとを含有する融合タンパク質を提供する。抗体が融合する異種ポリペプチドは、機能的に有用であり得るし又はIGF−1Rポリペプチドを発現する細胞を標的とするのに有用である。1つの実施形態において、本発明の融合タンパク質は、本発明の抗体の1つ以上のVH領域のアミノ酸配列又は本発明の抗体あるいはそのフラグメント又は変異体の1つ以上のVL領域のアミノ酸配列と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含む、該ポリペプチドから本質的になるか、又は該ポリペプチドのみからなる。別の実施形態において、本明細書に開示の診断及び治療方法で使用される融合タンパク質は、IGF−1R−特異抗体、あるいはそのフラグメント、変異体、又は誘導体の1個、2個又は3個のVH−CDRのアミノ酸配列、あるいはIGF−1R−特異抗体、あるいはそのフラグメント、変異体、又は誘導体の1個、2個又は3個のVH−CDRのアミノ酸配列と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含むか、該ポリペプチドから本質的になるか、又は該ポリペプチドのみからなる。1つの実施形態において、融合タンパク質は、本発明のIGF−1R−特異抗体、あるいはそのフラグメント、誘導体、又は変異体のVH−CDR3のアミノ酸配列と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含有してなり、該融合タンパク質は、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。別の実施形態において、融合タンパク質は、本発明のIGF−1R−特異抗体の少なく1つのVH領域のアミノ酸配列と、本発明のIGF−1R−特異抗体あるいはそのフラグメント、誘導体又は変異体の少なく1つのVL領域のアミノ酸配列と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含む。融合タンパク質のVH領域及びVL領域は、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する単一起源の抗体(あるいはscFv又はFabフラグメント)に相当することが好ましい。さらに別の実施形態において、本明細書に開示の診断及び治療方法で使用される融合
タンパク質は、IGF−1R−特異抗体の任意の1個、2個又は3個のVH CDRのアミノ酸配列と、IGF−1R−特異抗体、あるいはそのフラグメント又は変異体の任意の1個、2個又は3個のVL CDRのアミノ酸配列と、異種ポリペプチド配列とを有するポリペプチドを含む。2個、3個、4個、5個、6個、又はそれ以上のVH−CDR又はVL−CDRは、本発明の単一起源の抗体(あるいはscFv又はFabフラグメント)に相当することが好ましい。これらの融合タンパク質をコードする核酸分子もまた、本発明に包含される。
文献に報告された典型的な融合タンパク質としては、T細胞受容体(Gascoigneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936−2940(1987));CD4(Caponら、Nature 337:525−531(1989);Trauneckerら、Nature 339:68−70(1989);Zettmeisslら、DNA Cell Biol.USA 9:347−353(1990);及びByrnら、Nature 344:667−670(1990));L−セレクチン(ホーミング受容体)(Watsonら、J.Cell.Biol.110:2221−2229(1990);及びWatsonら、Nature 349:164−167(1991));CD44(Aruffoら、Cell 61:1303−1313(1990));CD28及びB7(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721−730(1991));CTLA−4(Lisleyら、J.Exp.Med.174:561−569(1991));CD22(Stamenkovicら、Cell 66:1133−1144(1991));TNF受容体(Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Lesslauerら、Eur.J.Immunol.27:2883−2886(1991);及びPeppelら、J.Exp.Med.174:1483−1489(1991));及びIgE受容体a(Ridgway及びGorman、J.Cell.Biol.Vol.115、Abstract No.1448(1991))の融合体が挙げられる。
本明細書の他の個所で論じるように、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、ポリペプチドのインビボ半減期を増大させために又は免疫測定法で使用するために、当技術分野において公知の方法を使用して異種ポリペプチドに融合し得る。例えば、1つの実施形態において、PEGを、本発明のIGF−1R抗体にそのインビボ半減期を増大させるために結合体化させ得る。Leong、S.R.ら、Cytokine 16:106(2001);Adv.in Drug Deliv.Rev.54:531(2002);又はWeirら、Biochem.Soc.Transactions 30:512(2002)。
また、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、これらの精製又は検出を促進するためにペプチドなどの標識配列に融合させることができる。好ましい実施形態において、標識アミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジンペプチド、例えばpQEベクター中に提供される標識(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif,91311)、であり、特に、その多くは商業的に入手できる。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)で論じられているように、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合のよい精製を提供する。精製に有用な他のペプチド標識としては、以下に限定されないが、“HA”標識(これは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質から誘導されるエピトープに対応する)(Wilsonら、Cell 37:767(1984))及び“flag”標識が挙げられる。
融合タンパク質は、当技術分野において周知の方法を使用して調製できる(例えば、米
国特許第5,116,964号及び第5,225,538号参照)。融合が行われる正確な部位は、融合タンパク質の分泌及び結合特性を最適化するために実験的に選択し得る。次いで、融合タンパク質をコードするDNAは、発現用の宿主細胞に移入しる。
本発明のIGF−1R抗体は、結合体化されていない形で使用し得るし、又は様々な分子の少なくとも1つに、例えば、該分子の得る治療特性を向上させるために、標的検出を促進するために、あるいは患者の画像化又は治療のために結合体化し得る。本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、精製を行う場合には、精製の前に又は後に、標識するか又は結合体化し得る。
特に、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、治療剤、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的反応調節剤、医薬品、又はPEGに結合体化させ得る。
当業者には、結合体はまた、結合体化させるべき選択された薬剤に応じて様々な方法を使用して組み立て得る。例えば、ビオチンとの結合体は、例えば結合性ポリペプチドを、ビオチンの活性化エステル、例えばビオチンN−ヒドロキシコハク酸イミドエステルと反応させることによって調製される。同様に、蛍光標識との結合体は、カップリング剤、例えば本明細書に記載のカップリング剤の存在下で又はイソチオシアネート、好ましくはフルオレセイン−イソチオシアネートとの反応で調製し得る。本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体の結合体は、同様の方法で調製される。
本発明はまた、診断又は治療剤に結合体化させた本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を包含する。IGF−1R抗体は、例えば、所定の治療及び/又は予防計画の有効性を調べるための臨床試験手順の一部として、例えば神経疾患の発生又は進行を監視するのに診断使用できる。検出は、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を検出可能な物質に連結することによって促進できる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々のポジトロン放出断層撮影法を使用するポジトロン放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。例えば、本発明の診断法として使用される抗体に結合体化させることができる金属イオンについては、米国特許第4,741,900号参照。適当な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適当な補欠族結合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられる;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル又はフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられる;並びに適当な放射性物質の例としては、125I、131I、111In又は99Tcが挙げられる。
IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体はまた、それを化学発光化合物に連結することによって検出可能に標識できる。この場合に、化学発光標識されたIGF−1R抗体の存在は、化学反応の経過中に生じる発光の存在を検出することによって調べられる。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エステルが挙げられる。
IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を検出
可能に標識できる方法の一つは、これらを酵素に連結し、得られた連結生成物を酵素免疫測定法(EIA)で使用することによる(Voller,A.,“The Enzyme
Linked Immunosorbent Assay(ELISA)”Microbiological Associates Quarterly Publication,Walkersville,Md.,Diagnostic Horizons
2:1−7(1978));Vollerら、J.Clin.Pathol.31:507−520(1978);Butler,J.E.,Meth.Enzymol.73:482−523(1981);Maggio,E.(ed.),Enzyme Immunoassay,CRC Press,Boca Raton,Fla.,(1980);Ishikawa,E.ら、(eds.),酵素免疫測定法(Enzyme Immunoassay)、化学書院、東京(1981)。IGF−1R抗体に結合される酵素は、適当な基質、好ましくは色素形成基質と、例えば分光光度手段、蛍光光度手段又は視覚手段で検出できる化学部分を生成するような方法で反応するであろう。抗体を検出可能に標識するのに使用できる酵素としては、以下に限定されないが、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。また、検出は、酵素用の色素形成基質を用いる比色法で達成できる。検出はまた、同様に調製された標準と比較して基質の酵素反応の程度を目視比較することによっても達成し得る。
検出はまた、他の様々な免疫検定法を使用して達成し得る。例えば、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を放射活性標識することによって、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用により抗体を検出することができる(例えば、Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,(March,1986)参照。これらは参照として本明細書に組み込まれる)。放射性同位元素は、手段、例えば、以下に限定されないが、ガンマカウンター、シンチレーションカウンター、又はオートラジオグラフィーで検出できる。
IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体はまた、蛍光放射金属、例えば152Eu、又はランタニド系列の金属を使用して検出可能に標識できる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート基を使用して、抗体に結合することができる。
々の部分を、IGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体に結合体化させるための方法は、周知である。例えば、Arnonら、“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,in Monoclonal
Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeldら(eds.),pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.(1985);Hellstromら、“Antibodies For Drug Delivery”,in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinsonら(eds.),Marcel Dekker,Inc.,pp.623−53(1987);Thorpe,“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Revi
ew”,in Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pincheraら(eds.),pp.475−506(1985);“Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Andibody In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwinら(eds.),Academic Press pp.303−16(1985)、及びThorpeら、“The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.62:119−58(1982)参照。
特に、本明細書に開示の診断及び治療方法で使用される結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、細胞毒(例えば、放射性同位元素、細胞害性薬剤、又は毒素)、治療剤、細胞増殖抑制剤、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的反応調節剤、医薬品、免疫活性リガンド(例えば、調節性分子が新生細胞及びエフェクター細胞、例えばT細胞の両方に結合するリンホカイン又は他の抗体)、又はPEGに結合体化させ得る。別の実施形態において、本明細書に開示の診断及び治療方法で使用する結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、腫瘍の血管新生を減少させる分子に結合体化させることができる。他の実施形態において、開示の組成物は、薬物又はプロドラッグに連結させた結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを含有し得る。本発明のさらに別の実施形態は、特定の生体毒素又はその細胞害性フラグメント、例えばリシン、ゲロニン、緑膿菌外毒素又はジフテリア毒素に結合体化された結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントの使用を含む。使用すべき結合体化又は非結合体化結合性分子の選択は、癌の種類及び病期、補助的治療(例えば、化学療法又は外部放射)の使用並びに患者の状態に依存するであろう。当業者がこのような選択を本明細書の教示を考慮して容易になし得ることが認められるであろう。
過去の研究において、同位体で標識された抗腫瘍抗体が、動物モデルにおいて、及びある場合にはヒトにおいて固形腫瘍及びリンパ腫/白血病の細胞を破壊するのに首尾よく使用されてきたことが認められるであろう。典型的な放射性同位元素としては、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re及び188Reが挙げられる。放射性核種は、核DNAにおいて多数の鎖切断を引きこし、細胞死を招く電離放射線を生じることによって作用する。治療用結合体を製造するのに使用される同位体は、典型的には、短いパス長を有する高エネルギーα又はβ粒子を生成する。このような放射性核種は、これらが極めて接近している細胞、例えば、前記結合体が結合しているか又は入っている新生細胞を殺す。これら放射性核種は、非局在細胞に対してはほとんど又は全く影響を及ぼさない。放射性核種は、本質的に非免疫原性である。
本発明に関連して放射性標識結合体の使用に関して、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、直接に標識し得てもよいし(例えば、ヨウ素化によって)又はキレート化剤の使用によって間接的に標識してもよい。本明細書で使用されるように、“直接標識”及び“間接標識アプローチ”という語句は、両方共に、キレート化剤が結合性分子に共有結合される及び少なくとも1つの放射線核種がキレート化剤と結合されることを意味する。このようなキレート化剤は、典型的には、ポリペプチド及び放射性同位元素の両方を結合することから、二価キレ
ート化剤と呼ばれる。特に好ましいキレート化剤は、1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン四酢酸(“MX−DTPA”)及びシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸(“CHX−DTPA”)誘導体である。他のキレート化剤は、P−DOTA及びEDTA誘導体を含む。間接標識に特に好ましい放射性核種としては、111In及び90Yが挙げられる。
本明細書で使用されるように、“直接標識”及び“間接標識アプローチ”という語句は共に、放射線核種がポリペプチドに(典型的にはアミノ酸残基)によって共有結合されることを意味する。さらに詳しくは、これらの連結法としては、ランダム標識化及び部位特異的標識化が挙げられる。後者の場合には、標識化は、ポリペプチド上の特定部位、例えば結合体のFc部分上にのみ存在するN−結合糖残基に対して行われる。また、種々の直接標識法及びプロトコルが本発明に適合する。例えば、テクネチウム−99標識ポリペプチドは、リガンド交換法によって調製し得るし、スズイオン溶液を用いて過テクネチウム酸(TcO )を還元し、還元されたテクネチウムをセファデックス(Sephadex)カラム上でキレート化し、このカラムに結合性ポリペプチドを適用することによって調製し得るし、又はバッチ標識法によって、例えば過テクネチウム酸、SnClのような還元剤、フタル酸ナトリウム・カリウム溶液のような緩衝液、及び抗体をインキュベートすることによって調製し得る。いずれにしても、抗体を直接標識するのに好ましい放射性核種は、当技術分野において周知であり、直接標識するのに好ましい放射性核種は、チロシン残基を介して共有結合された131Iである。本明細書に開示の診断及び治療方法で使用される結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、例えば、放射性ヨウ化ナトリウム又はカリウム及び化学酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム、クロラミンTなど、又は酵素酸化剤、例えばラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、及びグルコースを用いて誘導し得る。
キレート剤及びキレート剤結合体に関する特許は、当技術分野において公知である。例えば、Gansowの米国特許第4,831,175号は、多置換ジエチレントリアミン五酢酸キレート及びそれを含有するタンパク質結合体、並びにこれらの製造方法に関する。Gansowの米国特許第5,099,069号、第5,246,692号、第5,286,850号、第5,434,287号及び第5,124,471号もまた、多置換DTPAキレートに関する。これらの特許明細書は、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。適合する金属キレート剤の別の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン−1,4,8、11−四酢酸、1−オキサ−4,7,12,15−テトラアザヘプタデカン−4,7,12,15−四酢酸などである。シクロヘキシル−DTPA又はCHX−DTPAが、特に好ましく、以下に広範囲にわたって例示する。さらに別の適合するキレート剤、例えばこれから発見されるべきキレート剤は、当業者には容易に識別し、明らかに本発明の範囲内にある。
適合するキレート剤、例えば米国特許第6,682,134号、第6,399,061号及び第5,843,439号(これらの全体は、参照として本明細書に組み込まれる)のキレート化を促進するのに使用される特定の二価キレート剤は、三価金属に対する高親和性を提供するために、高められた腫瘍−対−非腫瘍の比及び減少した骨吸収並びに標的部位、すなわちB−細胞リンパ腫腫瘍部位での放射線核種のより大きいインビボ保持を示すために選択されることが好ましい。しかし、これらの特性の全部を有していてもよいし又は有していなくてもよい他の二価キレート剤は、当技術分野において公知であり、及び腫瘍治療にも役立ち得る。
本明細書の教示に従って、結合性分子が診断及び治療目的に種々の放射性標識に結合体化させ得ることも認められるであろう。このために、前記の米国特許第6,682,13
4号、第6,399,061号及び第5,843,439号は、治療用抗体の投与前の腫瘍の診断“画像化”用の放射性標識治療用結合体を開示している。“In2B8”結合体は、二価キレート剤、すなわちMX−DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)(これは、1−イソチオシアナトベンジル−3−メチル−DTPAと1−メチル−3−イソチオシアナトベンジル−DTPAとの1:1混合物を含む)によって111Inに結合される、ヒトCD20抗原に特異的なマウスモノクロナール抗体、2B8を含む。111Inは、その約1〜約10mCiが検出可能な毒性なしに安全に投与できることから、診断放射線核種として特に好ましい;及び画像化データは、一般にその後の90Y−標識抗体分布を予測する。大部分の画像化研究は、5mCiの111In標識抗体を利用している。その理由は、この用量は安全であり且つ及びより低い用量と比べて画像化効率を高めており、最適画像化が抗体投与後3〜6日目に生じるからである。例えば、Murray,J.Nuc.Med.26:3328(1985)及びCarraguilloら、J.Nuc.Med.26:67(1985)参照。
上記で示したように、様々な放射性核種が本発明に適用でき、当業者は、どの放射線核種が種々の環境下で最も適しているかを容易に決定できる。例えば、131Iは、標的免疫療法に使用される周知の放射線核種である。しかし、131Iの臨床有用性は、幾つかの因子、例えば8日の物理的半減期;血中及び腫瘍部位の両方でのヨウ素化抗体の脱ハロゲン化;及び腫瘍の局在用量析出に最適以下であり得る放出放射特性(例えば、大きなγ成分)によって制限され得る。優れたキレート化剤の出現により、キレート基をタンパク質に結合するための機会が、他の放射性核種、例えば111In及び90Yを利用する機会を高めた。90Yは、放射免疫治療用途での利用について幾つかの利点を提供する:90Yの64時間の半減期は、腫瘍による抗体蓄積を可能にするのに十分に長く、例えば131Iと異なり、90Yはその崩壊においてγ線を伴わず、100〜1,000細胞直径の組織内範囲を有する高エネルギーの純粋なβ放射体である。また、透過性放射線の最小量が、90Y標識抗体の外来患者投与を可能にする。さらに、標識抗体の内部化は、細胞の殺滅に必要とされず、及び電離放射線の局部放射は標的分子を欠く隣接腫瘍細胞に死をもたらすであろう。
結合性分子、例えば、結合性ポリペプチド、例えば、IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントに対する結合体化用の別の好ましい薬剤は、細胞害性薬剤、特に癌療法に使用される細胞害性薬剤である。本明細書で使用されるように、“細胞毒又は細胞害性薬剤”は、細胞の成長及び増殖に有害であり、細胞又は悪性腫瘍を抑制、阻害又は破壊するために作用し得る薬剤を意味する。典型的な細胞毒としては、以下に限定されないが、放射性核種、生体毒素、酵素活性毒素、細胞増殖抑制又は細胞害性治療剤、プロドラッグ、免疫活性リガンド及び生物学的反応調節剤、例えばサイトカインが挙げられる。免疫活性細胞又は悪性細胞の成長を遅らせるか遅くするために作用する細胞毒は、本発明の範囲内にある。
典型的な細胞毒としては、一般的に、細胞増殖抑制剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗増殖剤、チューブリン結合剤、ホルモン類及びホルモン拮抗物質、などが挙げられる。本発明に適合する典型的な細胞増殖抑制剤としては、アルキル化物質、例えばメクロレタミン、トリエチレンホスホロアミド、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン又はトリアジクォン、あるいはニトロソ尿素化合物、例えばカルムスチン、ロムスチン、又はセムスチンが挙げられる。別の好ましいクラスの細胞害性薬剤としては、例えば、メイタンシノイドファミリーの薬剤が挙げられる。別の好ましいクラスの細胞害性薬剤としては、例えば、アントラサイクリンファミリーの薬剤、ビンカファミリーの薬剤、マイトマイシン類、ブレオマイシン類、細胞害性ヌクレオシド、プテリジンファミリーの薬剤、ジイネン類、及びポドフィロトキシンが挙げられる。これらのクラスの特に有用なメンバーとしては、例えば、アドリアマイシン、カル
ミノマイシン、ダウノルビシン(ダウノマシン)、ドキソルビシン、アミノプテリン、メトトレキセート、メトプテリン、ミトラマイシン、ストレプトニギリン、ジクロロメトトレキセート、マイトマイシンC、アクチノマイシン−D、ポルフィロマシン、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、フトラフール、6−メルカプトプリン、シタラビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、又はポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド又はリン酸エトポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン(leurosidine)、ビンデシン、ロイロシン(leurosine)などが挙げられる。本明細書の教示に適合するさらに別の細胞毒としては、タキソール、タキサン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン並びにこれらの類似化合物又は同族化合物が挙げられる。ホルモン類及びホルモン拮抗物質、例えばコルチコステロイド類、例えばプレドニゾン、プロゲスチン類、例えばヒドロキシプロゲステロン又はメドロプロゲステロン、エストロゲン類、例えばジエチルスチルベストロール、抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、アンドロゲン類、例えばテストステロン、及びアロマターゼ阻害剤が挙げられ、例えばアミノグルテチミドもまた本明細書の教示と適合する。当業者は、所望の化合物に化学修飾を行い、本発明の結合体を調製するために該化合物の反応をより都合よくし得る。
特に好ましい細胞毒の1つの例は、エンジインファミリーの抗腫瘍抗生物質のメンバー又は誘導体、例えばカリケアマイシン、エスペラマイシン類又はダイネミシン類を含む。これらの毒素は、極めて強力であり、核DNAを切断し、細胞死を招くことによって作用する。インビボで切断されて多数の不活性であるが免疫原性のポリペプチドフラグメントを与えることができるタンパク質毒素と異なり、毒素、例えばカリケアマイシン、エスペラマイシンル及び他のエンジイン類は、本質的に非免疫原性である小分子である。これらの非ペプチド毒素は、2量体又は4量体に、モノクロナール抗体及びその他の分子を標識するのに従来使用されている方法で化学的に連結される。これらの連結方法としては、前記組立て体のFc部分にのみ存在するN−連結糖残基による部位特異的結合が挙げられる。このような部位特異的連結方法は、組立て体の結合特性に対して結合の可能な影響を減少させる利点を有する。
先に言及したように、結合体の調製に適合する細胞毒は、プロドラッグからなり得る。本明細書で使用されるように、“プロドラッグ”という用語は、腫瘍細胞に対して親薬物に比べて細胞害性が低く且つより活性な親型に酵素活性化又は転換することができる医薬活性物質の前駆物質又は誘導体を指す。本発明に適合するプロドラッグとしては、以下に限定されないが、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されていてもよフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は場合により置換されていてもよいフェニルアセタミド含有プロドラッグ、より活性な細胞害性遊離薬物に転化させることができる5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられる。本発明で使用するプロドラッグ体に誘導し得る細胞害性遊離薬物の別の例は、前記の化学療法剤を含む。
他の細胞毒の中で、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えば本明細書に開示のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントもまた、生体毒素、例えばリシンサブユニットA、アブリン、ジフテリア毒素、ボツリヌス、シアンジノシン類、サキシトキシン、シガトキシン、破傷風、テトロドトキシン、トリコテセン、ベルコロゲン又は毒性酵素に結合又は結合体化させることができる。好ましくは、このような組立て体は、抗体−毒素組立て体の特異的発現を可能にする遺伝子工学技術を使用して調製されるであろう。結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えば本明細書に開示のIGF−1R−
特異抗体又はその免疫特異的フラグメントに結合され得る別の生物学的反応調節剤は、サイトカイン類、例えばリンホカイン類及びインターフェロン類を含む。この開示を考慮して、当業者は慣用の方法を使用してこのような組立て体を容易に形成できると言える。
開示された結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントと共に使用し得るか又はこれらに結合体化させ得る適合細胞毒の別のクラスは、腫瘍又は免疫活性細胞に効果的に指向され得る放射線増感薬である。このような薬剤は、電離放射線に対する感受性を高め、それによって放射線治療の効果を増大する。腫瘍細胞によって取り込まれる抗体結合体は、放射線増感剤を放射線増感が最大であろう核のより近くに送達するであろう。本発明の結合性分子を連結した非結合放射線増感剤は、血中から急速に除去され、標的腫瘍中に残る放射線増感剤を局部に留め且つ正常組織において最小限の吸収を提供する。血中から迅速除去後に、補助放射線治療が、3通りの方法:1.)腫瘍に特異的に向けられる外部照射、2.)腫瘍中に直接に埋め込まれた放射能又は3.)同じ標的化抗体を用いた全身放射免疫治療の1つで施されるであろう。このアプローチの潜在的に魅力ある変型は、放射線増感免疫結合体に対する治療用放射性同位元素の結合であり、それによって患者に単一の薬物を投与する便宜を提供するであろう。
ある実施形態において、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントの安定性又は効果を高める部分が結合体化され得る。例えば、1つの実施形態において、PEGは、本発明の結合性分子にそのインビボ半減期を増大させるために結合体化させることができる。Leong、S.R.ら、Cytokine 16:106(2001);Adv.in Drug Deliv.Rev.54:531(2002);又はWeirら、Biochem.Soc.Transactions 30:512(2002)。
本発明は、さらに、診断又は治療剤に結合体化させた結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又は免疫特異的フラグメントの使用を包含する。結合性分子は、例えば、所定の及び/又は予防計画の有効性を調べるために臨床試験手順の部分として、例えば腫瘍の発生又は進行を監視するために診断的に使用できる。検出は、結合性分子、例えば、結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを検出可能な物質に結合することによって促進することができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々のポジトロン放出断層撮影法を使用するポジトロン放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。例えば、本発明の診断法として使用される抗体に結合体化させることができる金属イオンについては、米国特許第4,741,900号参照。適当な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適当な補欠族結合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられる;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル又はフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられる;並びに適当な放射性物質の例としては、125I、131I、111In又は99Tcが挙げられる。
結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントはまた、それを化学発光化合物に連結することによって検出可能に標識できる。この場合に、化学発光標識された結合性分子の存在は、化学反応の経過中に生じる発光の存在を検出することによって調べられる。特に有用な化学発光標識化合物の例
は、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エステルが挙げられる。
結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを検出可能に標識できる方法の一つは、これらを酵素に連結し、得られた連結生成物を酵素免疫測定法(EIA)で使用することによる(Voller,A.,“The Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)”Microbiological Associates Quarterly Publication,Walkersville,Md.,Diagnostic Horizons 2:1−7(1978));Vollerら、J.Clin.Pathol.31:507−520(1978);Butler,J.E.,Meth.Enzymol.73:482−523(1981);Maggio,E.(ed.),Enzyme Immunoassay,CRC Press,Boca Raton,Fla.,(1980);Ishikawa,E.ら、(eds.),酵素免疫測定法、化学書院、東京(1981)。結合性分子に結合される酵素は、適当な基質、好ましくは色素形成基質と、例えば分光光度手段、蛍光光度手段又は視覚手段で検出できる化学部分を生成するような方法で反応するであろう。抗体を検出可能に標識するのに使用できる酵素としては、以下に限定されないが、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。また、検出は、酵素用の色素形成基質を用いる比色法で達成できる。検出はまた、同様に調製された標準と比較して基質の酵素反応の程度を目視比較することによっても達成し得る。
検出はまた、他の様々な免疫検定法を使用して達成し得る。例えば、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R特異抗体、あるいはその免疫特異的フラグメントを放射活性標識することによって、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用により癌抗原を検出することができる(例えば、Weintraub,B.,Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques,The Endocrine Society,(March,1986)参照、これらは本明細書に参照として組み込まれる)。放射性同位元素は、手段、例えば、以下に限定されないが、ガンマカウンター、シンチレーションカウンター、又はオートラジオグラフィーで検出できる。
結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R特異抗体、あるいはその免疫特異的フラグメントはまた、蛍光放射金属、例えば152Eu、又はランタニド系列の金属を使用して検出可能に標識できる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート基を使用して、抗体に結合することができる。
種々の部分を、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R特異抗体、あるいはその免疫特異的フラグメントに結合体化させるための方法は、周知である。例えば、Arnonら、“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeldら(eds.),pp.243−56(Alan R.Li
ss,Inc.(1985);Hellstromら、“Antibodies For
Drug Delivery”,in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinsonら(eds.),Marcel Dekker,Inc.,pp.623−53(1987);Thorpe,“Antibody
Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,in Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pincheraら(eds.),pp.475−506(1985);“Analysis,Results,And Future Prospective Of
The Therapeutic Use Of Radiolabeled Andibody In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwinら(eds.),Academic Press pp.303−16(1985)、及びThorpeら、“The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.62:119−58(1982)参照。
VII.抗体ポリペプチドの発現
周知のように、RNAは、元のハイブリドーマ細胞から又は他の形質転換細胞から、標準方法、例えばグアニジウムイソチオシアネート抽出及び沈降、次いで遠心分離又はクロマトグラフィーで単離し得る。望ましい場合には、mRNAは、全RNAから、標準方法、例えばオリゴdTセルロースを用いたクロマトグラフィーで単離し得る。適当な方法は、当技術分野において周知である。
1つの実施形態において、抗体の軽鎖及び重鎖をコードするcDNAは、周知の方法に従って、逆転写酵素及びDNAポリメラーゼを使用して同時に又は別々に調製し得る。PCRは、共通定常領域プライマーで又は公表された重鎖及び軽鎖DNA及びアミノ酸配列に基づいてより特異的なプライマーで開始し得る。上記で論じたように、PCRはまた、抗体軽鎖及び重鎖をコードするDNAクローンを単離するのに使用し得る。この場合に、ライブラリーは、共通プライマー又は大きな異種プローブ、例えばマウス定常領域プローブで選別し得る。
DNAは、典型的にはプラスミドDNAは、細胞から当技術分野において公知の方法を使用して単離し、制限地図化し、例えば、組換えDNA技術に関して前記の参考文献に詳しく示される標準の周知の方法に従って配列決定し得る。もちろん、DNAは、単離プロセス又はその後の分析中の任意の時点で本発明に従って合成し得る。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体を提供するために単離された遺伝物質の操作の後に、IGF−1R抗体をコードするポリヌクレオチドは、典型的には、所定量のIGF−1R抗体を産生させるのに使用し得る宿主細胞に導入するための発現ベクターに挿入される。
抗体、あるいはそのフラグメント、誘導体又は類似物質、例えば、本明細書に記載の標的分子、例えば、IGF−1Rに結合する抗体の重鎖又は軽鎖の組換え発現は、該抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの組み立てを必要とする。抗体分子あるいは本発明の抗体、又はその部分(好ましくは、重鎖又は軽鎖可変領域を含有する)の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生用のベクターは、当技術分野において周知の方法を使用して組換えDNA技術で産生し得る。従って、ヌクレオチド配列をコードする抗体を含有するポリヌクレオチドを発現することによっ
てタンパク質を調製する方法は、本明細書に記載されている。当業者に周知の方法が、抗体コード化配列及び適切な転写及び翻訳調節シグナルを含有する発現ベクターを組み立てるのに使用できる。これらの方法としては、例えば、インビトロ(in vitro)組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。従って、本発明は、本発明の抗体分子、あるいはその重鎖又は軽鎖をコードするヌクレオチド配列、あるいはプロモーターに操作可能に連結された重鎖又は軽鎖可変領域を含有する複製可能なベクターを提供する。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含有し得(例えば、PCT公開WO86/05807号;PCT公開WO89/01036号;及び米国特許第5,122,464号参照)、抗体の可変領域は、完全な重鎖又は軽鎖の発現のためにこのようなベクターにクローン化し得る。
宿主細胞に、本発明の2つの発現ベクター、すなわち重鎖由来のポリペプチドをコードする第一のベクターと、軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二のベクターとを同時に移入し得る。上記2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同じ選択可能なマーカーを含有し得る。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターを使用し得る。このような状況において、軽鎖は、過剰の毒性のない重鎖を避けるために重鎖の前に配置されることが都合がよい(Proudfoot,Nature 322:52(1986);Kohler,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))。重鎖及び軽鎖のコード化配列は、cDNA又はゲノムDNAを含有し得る。
“ベクター”又は“発現ベクター”という用語は、本明細書において、宿主細胞中の所望の遺伝子に導入し、発現させるためのビヒクルとして本発明に従って使用されるベクターを意味するのに使用される。当業者には公知のように、このようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルス及びレトロウイルスよりなる群から容易に選択し得る。一般的に、本発明に適合するベクターは、選択マーカー、所望の遺伝子のクローニング並びに真核又は原核生物細胞に入る及び/又は複製する能力を促進させるのに適切な制限部位を含有するであろう。
本発明のために、多数の発現ベクター系が使用し得る。例えば、1つのクラスのベクターは、動物ウイルス、例えばウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTV又はMOMLV)又はSV40ウイルスから誘導されるDNA要素を利用する。他のベクターは、内部リボソーム結合部位を有するポリシストロニック系の使用を伴う。また、染色体にDNAを組み込んでいる細胞は、形質移入された宿主細胞の選択を可能にする1個以上のマーカーを導入することによって選択し得る。マーカーは、栄養要求性宿主に対する原栄養性、耐殺生物剤性(例えば、抗生物質)又は銅などの重金属に対する耐性を提供し得る。選択可能な標識遺伝子は、発現させるべきDNA配列に直接に連結できるか、又は同じ細胞に同時形質転換によって導入できる。別の要素もまた、mRNAの最適合成に必要とし得る。これらの要素は、シグナル配列、スプライスシグナル、並びに転写プロモーター、エンハンサー、及び終結シグナルを含有し得る。
特に好ましい実施形態において、クローン化可変領域遺伝子が、前記で論じたように合成の重鎖及び軽鎖定常領域遺伝子(好ましくはヒト)に沿って発現ベクターに挿入される。1つの実施形態において、これは、NEOSPLA(米国特許第6,159,730号に開示されている)と呼ばれるBiogen IDEC,Inc.の所有の発現ベクターを使用して行われる。このベクターは、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー、マウスベータグロビン主プロモーター、SV40複製起点、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼエキソン1及びエキソン2、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子及びリーダー配列を含有する。このベクターは、可変領域及び定
常領域遺伝子の組み込み、CHO細胞におけるトランスフェクション、次いでG418含有培地における選別及びメトトレキセート増幅で抗体の極めて高レベルの発現をもたらすことが見出された。勿論、真核細胞において発現を誘発することができる任意の発現ベクターが本発明において使用し得る。適当なベクターの例としては、以下に限定されないが、プラスミドpcDNA3、pHCMV/Zeo、pCR3.1、pEF1/His、pIND/GS、pRc/HCMV2、pSV40/Zeo2、pTRACER−HCMV、pUB6/V5−His、pVAX1、及びpZeoSV2(Invitrogen、San Diego、CAから入手できる)、及びプラスミドpCI(Promega、Madison WIから入手できる)が挙げられる。一般的に、高レベルの免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を適切に発現する細胞について多数の形質転換細胞を選別することは、例えば、ロボットシステムで実施できる日常実験である。ベクター系はまた、米国特許第5,736,137号及び第5,658,570号に教示されている。これらのそれぞれは、本明細書においてその全てが参照として組み込まれる。この系は、高、例えば、>30pg/細胞/日を提供する。他の典型的なベクター系は、例えば、米国特許第6,413,777号に開示されている。
他の好ましい実施形態において、本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体は、ポリシストロニック組立て体、例えば2002年11月18日付けで出願され且つその全てが本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003−0157641A1号に開示されたポリシストロニック組立て体を使用して発現させ得る。これらの新規な発現系において、興味ある多数の遺伝子産物、例えば抗体の重鎖及び軽鎖は、単一のポリシストロニック組立て体から産生し得る。これらの系は、真核宿主細胞中で比較的高レベルのIGF−1R抗体、例えば、結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを提供するために内部リボソーム侵入部位(IRES)を都合よく使用する。適合するIRES配列は、米国特許第6,193,980号(これもまた、本明細書において援用される)に開示されている。当業者には、このような発現系が本明細書に開示されるIGF−1R抗体の完全な範囲を効果的に産生するのに使用し得ることが認められるであろう。
さらに一般的には、いったんIGF−1R抗体の単量体サブユニットをコードするベクター又はDNA配列が調製される、発現ベクターは、適切な宿主細胞に導入し得る。宿主細胞へのプラスミドの導入は、当業者に周知の種々の方法で達成できる。これらの方法としては、以下に限定されないが、トランスフェクション法(例えば、電気泳動法及び電気穿孔法)、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム沈降法、包膜DNAを用いた細胞融合法、顕微注射法、及び無傷ウイルスによる感染法が挙げられる。Ridgway,A.A.G.“Manmmalian Expression Vectors”Vectors,Rodriguez and Denhardt,Eds.,Butterworths、Boston、Mass.、Chapter 24.2,pp.470−472(1988)参照。典型的には、プラスミドの宿主への導入は、電気穿孔法による。発現組立て体を含む宿主細胞は、軽鎖及び重鎖の産生に適切な条件下で増殖され、重鎖及び/又は軽鎖タンパク質合成についてアッセイされる。典型的なアッセイ法としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、又は蛍光活性化細胞選別分析法(FACS)、免疫組織化学などが挙げられる。
発現ベクターは、宿主細胞に慣用の方法で移入され、次いで移入細胞は慣用の方法で培養されて、本明細書に記載の方法で使用される抗体を産生する。従って、本発明は、本発明の抗体、又はその重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含有し、異種プロモーターに操作可能に連結された宿主細胞を包含する。好ましい実施形態において、二重鎖抗体の発現のために、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターが、以下に詳述するように、全免疫グロブリン分子の発現用の宿主細胞に同時発現され得る。
本明細書で使用されるように、“宿主細胞”とは、組換えDNA技術を使用して組立てられ且つ少なくとも1つの異種遺伝子をコードするベクターを含む細胞を指す。組換え体宿主から抗体を単離する方法の記載において、“細胞”及び“細胞培養”という用語は、特に明記しない限りは、抗体の起源を表すのに同じ意味で使用される。言い換えれば、“細胞”からのポリペプチドの回収とは、全細胞の遠心分離から又は培地と懸濁細胞の両方を含有する細胞培養からの回収を意味する。
様々な宿主−発現ベクター系が、本明細書に記載の方法で使用される抗体分子を発現するのに利用し得る。このような宿主−発現系は、興味のあるコード配列を産生し、その後に精製されるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列を用いて形質転換又は移入される場合には、本発明の抗体分子をその場で発現し得る細胞も表す。これら発現系としては、以下に限定されないが、微生物、例えば抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌(例えば、大腸菌、枯草菌);抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターを用いて形質転換された酵母〔例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)菌、ピキア属(Pichia)菌〕;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を用いて感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、すなわちCaMV;タバコモザイクウイルス、すなわちTMV)を感染させた植物細胞系又は抗体コード配列を含有する組組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)を用いて形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノムから誘導されるプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)又は哺乳動物ウイルスから誘導されるプロモーター(例えば、アデノウイルスレートプロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現組立て体を含む哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BLK、293、3T3細胞)が挙げられる。組換え抗体分子の発現のために、好ましくは、細菌細胞、例えば大腸菌が使用され、さらに好ましくは、特に全組換え抗体分子の発現のために真核細胞が使用される。例えば、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)が、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間体初期遺伝子プロモーター要素などのベクターと共に、抗体の効果的な発現系である(Foeckingら、Gene
45:101(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(1990))。
タンパク質の発現に使用される宿主細胞系は、哺乳動物起源のものである場合が多い;当業者は、その中で発現させるべき所望の遺伝子産物に最も適している特定の宿主細胞系を優先的に調べることができると考えられる。典型的な宿主細胞系としては、以下に限定されないが、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、DG44及びDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣細胞系、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頸癌細胞)、CVI(サル腎臓細胞系)、COS(CVIのSV40T抗原との誘導体)、VERY、BHK(ベビーハムスター腎臓)、MDCK、293、WD8、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓系)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3x63−Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)及び293(ヒト腎臓)が挙げられる。CHO細胞が特に好ましい。宿主細胞系は、典型的には商業サービス、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)から又は観光された文献から入手できる。
また、挿入された配列の発現を調節するか、又は所望される特定の方法で遺伝子産物を修飾し、処理する宿主細胞系を選択し得る。タンパク質産物のこのような修飾(例えば、
グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。種々の宿主細胞が、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾に特徴的及び特定のメカニズムを有する。適切な細胞系又は宿主系が、発現される異種タンパク質の正確な修飾及びプロセシングを確実にするために選択できる。この目的に、一次転写産物の適切なプロセシング、グリコシル化、及び遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞を使用し得る。
組換えタンパク質の長期の高収率産生のために、安定な発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞系が、操作され得る。ウイルス複製基点を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞は、適切な発現調節因子(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、及び選択可能な標識によって調節されるDNAを用いて形質転換することができる。異種DNAの導入後に、操作された細胞は、強化培地で1〜2日間増殖させ、次いで選択培地に代え得る。組換えプラスミドにおける選択可能な標識は、選択に対する耐性を与え、細胞がその染色体にプラスミドを安定的に組み込み、順番にクローン化され、細胞系に広がり得る病巣(foci)を形成するために増殖することを可能にする。この方法は、抗体分子を安定的に発現する細胞系を操作するに都合よく使用し得る。
多数の選択系、例えば、以下に限定されないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202(1992))、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22:817 1980)を使用し、遺伝子はtk−、hgprt−又はaprt−細胞それぞれにおいて使用できる。また、代謝拮抗物質抵抗性は、 次の遺伝子:dhfr〔これは、メトトレキセートに対する抵抗性を与える(Wiglerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980);O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981))〕;gpt〔これは、ミコフェノール酸に対する抵抗性を与える(Mulligan & Berg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981))〕;neo〔これは、アミノグリコシドG−418に対する抵抗性を与える;Clinical Pharmacy 12:488−505;Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−596(1993);Mulligan、Science 260:926−932(1993);及びMorgan and Anderson、Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1993);TIB TECH 11(5):155−215(May,1993)〕;及びhygro〔これは、ハイグロマイシンに対する抵抗性を与える(Santerreら、Gene 30:147(1984))〕についての選択の基準として使用できる。使用できる組換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、Ausubelら(eds.)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);及びChapters 12及び13,Dracopoliら(eds),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colberre−Garapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)に記載されており、これらは明細書においてその全てが参照として組み込まれる。
抗体分子の発現レベルは、ベクターの増幅によって高めることができる(概説について
は、Bebbington and Hentschel,The use of Vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Academic Press,New York,Vol.3(1987)参照)。抗体を発現するベクター系の標識が増幅可能である場合には、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤の濃度の上昇は、標識遺伝子のコピーの数を増大させるであろう。増幅領域が抗体遺伝子に結合されることから、抗体の産生も増大するであろう(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
インビトロでの産生は、スケールアップが大量の所望のポリペプチドを得ることを可能にする。組織培養条件下で哺乳動物細胞を培養する方法は、当技術分野において公知であり、該方法としては、例えばエアリフト式反応器又は連続攪拌式反応器での均質懸濁培養、あるいは、例えば、中空繊維、マイクロカプセル中で、アガロースミクロビーズ又はセラミックカートリッジ上での固定化又は封入細胞培養が挙げられる。必要ならば及び/又は所望ならば、ポリペプチドの溶液は、例えば、合成ヒンジ領域ポリペプチドの選択的生合成後にあるいは本明細書に記載のHICクロマトグラフィー工程の前に又は後に、慣用のクロマトグラフィー法で、例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロース上でのクロマトグラフィー又は(イムノ−)アフィニティークロマトグラフィーで精製できる。
本発明のIGF−1R抗体、あるいはその抗原結合性フラグメント、変異体、又は誘導体をコードする遺伝子もまた、非哺乳動物細胞、例えば細菌細胞又は昆虫細胞又は酵母細胞又は植物細胞中で発現させることができる。核酸を容易に受け入れる細菌としては、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)のメンバー、例えば大腸菌又はサルモネラ菌;バシラス科(Bacillaceae)のメンバー、例えば枯草菌(Bacillus subtilis);肺炎球菌(Pneumococcus);連鎖球菌(Streptococcus)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)が挙げられる。細菌中で発現される場合には、異種ポリペプチドは、典型的に、融合体の一部になることがさらに認められるであろう。異種ポリペプチドは、単離され、精製され、次いで機能分子に組み立てられなければならない。抗体の四価体が望まれる場合には、サブユニットが四価抗体中に自己組み立てられるであろう(国際公開WO02/096948A2号)。
細菌系において、多数の発現ベクターが、発現される抗体分子について意図される用途に応じて都合よく選択し得る。例えば、抗体分子の医薬組成物の製造のために多量のこのようなタンパク質が産生されるべきである場合には、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指示するベクターが望ましいものであり得る。このようなベクターとしては、以下に限定されないが、抗体コード配列が、融合タンパク質が産生されるように、lacZコード領域を有する枠内のベクターに個々に連結され得る大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(1983));pINベクター(Inouye & Inouye,Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.24:5503−5509(1989))などが挙げられる。pGEXベクターもまた、グルタチオン S−トランスフェラーゼ(GST)を用いて融合タンパク質として異種ポリペプチドを発現させるのに使用し得る。一般的に、このような融合タンパク質は、可溶性であり、溶解細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズに吸着及び結合させ、次いで遊離グルタチオンの存在下で溶出することによって容易に精製できる。pGEXベクターは、クローン化標的遺伝子産物がGST部分から放出されることができるように、又は因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計され
る。
原核生物の他に、真核生物細菌も使用し得る。多数の他の菌株、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)が一般的に利用できるが、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、すなわち一般的なパン酵母が、真核微生物の中で最も一般的に使用される。
サッカロミセス属(Saccharomyces)菌における発現のために、プラスミドYRp7、例えば、(Stinchcombら、Nature 282:39(1979);Kingsmanら、Gene 7:141(1979);Tschemperら、Gene 10:157(1980))が一般的に使用される。このプラスミドは、トリプトファン中で増殖する能力を欠いている酵母の変異株、例えば、ATCC No.44076又はPEP4−1(Jones、Genetics 85:12(1977))用の選択マーカーを提供するTRP1遺伝子をすでに含有している。酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてのtrp1病変の存在は、この場合にはトリプトファンの存在下での増殖による形質転換を検出する亜目の効果的な環境を提供する。
昆虫系において、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多核体病ウイルス(AcNPV)が、典型的には、異種遺伝子を発現するベクターとして使用される。前記ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローン化され、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれる。
本発明の抗体分子は、いったん組換えにより発現されると、免疫グロブリン分子の精製の用の当技術分野において公知の方法で、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインタンパクAの後の特異抗原に対する親和性による、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度で、あるいはタンパク質精製用の他の標準方法で精製し得る。あるいは、本発明の抗体の親和性を高める好ましい方法は、米国特許出願公開第20020123057A1号に記載されている。
VIII.治療用IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを使用する治療方法
本発明の1つの実施形態は、過剰増殖性疾患又は障害、例えば、癌、悪性腫瘍、腫瘍、又はこれらの転移を、このような疾患を患うか又はこのような疾患にかかる傾向がある動物において治療する方法であって、前記動物に、IGF−1R又はIGF−1Rの変異体に結合する抗体又はその免疫特異的フラグメントの有効量を投与することを含むか、投与することから本質的になるか、又は投与することのみからなる、過剰増殖性疾患又は障害、例えば、癌、悪性腫瘍、腫瘍、又はこれらの転移を治療する方法を提供する。適当な抗体としては、本明細書に記載の抗体及びその抗原特異的フラグメントが挙げられる。例として、以下に限定されないが、単離抗体又はその抗原結合性フラグメントであって、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じIGF−R1エピトープに特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメント;IGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントが、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメン
ト、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体をIGF−R1に結合させないように競合的に阻害するものである単離抗体又はその抗原結合性フラグメント;あるいはIGF−R1に特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントが、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体の抗原結合性ドメインと同一の抗原結合性ドメインを含有するものである単離抗体又はその抗原結合性フラグメントが挙げられる。
ある実施形態において、IGF−1R又はその変異体に特異的に結合する本発明の抗体は、1つ以上のインスリン成長因子、例えば、IGF−1、IGF−2又はIGF−1及びIGF−1の両方がIGF−1Rに結合するのを阻害する。他の実施形態において、IGF−1R又はその変異体に特異的に結合する本発明の抗体は、1つ以上のインスリン成長因子の結合に際してIGF−1Rのリン酸化を阻害する。別の実施形態において、細胞、特に、腫瘍細胞上で発現されるIGF−1R又はその変異体に特異的に結合する本発明の抗体は、細胞の増殖、運動性及び/又は転移に関与する下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害する。このような分子としては、以下に限定されないが、Akt及びp42/44MAPKが挙げられる。別の実施形態において、細胞上で発現されるIGF−1R又はその変異体に特異的に結合する本発明の抗体は、表面で発現されるIGF−1Rの内部化を促進し、IGFと相互作用するためにその利用可能性を制限する。さらに別の実施形態において、細胞、特に腫瘍細胞上で発現されるIGF−1R又はその変異体に特異的に結合する本発明の抗体は、細胞の増殖、運動性及び/又は転移を阻害する。
本明細書に開示の治療方法で使用されるべきIGF−1R又はその変異体に特異的に結合する本発明の抗体は、細胞過剰増殖に関与する細胞活性、例えば、多くの場合に過剰増殖性疾患又は障害に関連する血管新生の変化した又は異常なパターンを引き起こす細胞活性を停止させるか、抑制するか、防止するか、又は阻害する治療剤を調製でき、治療剤として使用できる。
本発明の抗体又はその免疫特異的フラグメントとしては、以下に限定されないが、IGF−1Rなどの腫瘍関連タンパク質に特異的に結合する抗体のモノクロナール抗体、キメラ又はヒト化抗体、及びフラグメントが挙げられる。前記抗体は、一価、二価、多価、又は二官能の抗体であり、抗体フラグメントとしてはFab、F(ab’)、及びFvが挙げられる。
本発明の治療用抗体は、未標識の形又は結合体化されていない形で使用できるし、あるいは治療効果を発揮する薬物を製造するために、細胞害性部分、例えば放射性標識及び生化学的細胞毒に結合又は連結することができる。
ある実施形態において、本発明の抗体、又はその免疫特異的フラグメントは、抗原結合性ドメインを含有する。抗原結合性ドメインは、一方の抗体から他方の抗体に変化する抗体可変領域によって形成される。天然抗体は、少なくとも2つの抗原結合性ドメインを含有し、すなわち、天然抗体は、少なくとも二価である。本明細書で使用されるように、“抗原結合性ドメイン”という用語は、抗原(例えば、細胞表面又は可溶性抗原)上のエピトープを特異的に結合する部位を包含する。抗体の抗原結合性ドメインは、典型的には、免疫グロブリン重鎖可変領域の少なくとも一部分と、免疫グロブリン軽鎖可変領域の少な
くとも一部分とを含有する。これらの可変領域によって形成される結合部位は、抗体の特異性を決定する。
本発明は、哺乳動物において、例えば腫瘍増殖を阻止することによって種々の過剰増殖性疾患を治療する方法であって、前記哺乳動物に、IGF−R1、例えばヒトIGF−R1に特異的に又は優先的に結合する抗体又はその抗原結合性フラグメントの有効量を投与することを含むか、投与することから本質的になるか、又は投与することのみからなる、種々の過剰増殖性疾患を治療する方法を提供する。
本発明は、さらに具体的には、過剰増殖疾患を治療する方法、例えば動物、例えば哺乳動物、例えばヒトにおいて、腫瘍形成、腫瘍増殖、腫瘍の侵入、及び/又は転移形成を阻止又は防止する方法であって、その治療を必要とする動物に、IGF−1Rの1つ以上のエピトープに特異的に又は優先的に結合する抗体又はその免疫特異的フラグメントの有効量を投与することを含むか、投与することから本質的になるか、又は投与することのみからなる、過剰増殖疾患を治療する方法、例えば動物、例えば哺乳動物、例えばヒトにおいて、腫瘍形成、腫瘍増殖、腫瘍の侵入、及び/又は転移形成を阻止又は防止する方法を提供する。
他の実施形態において、本発明は、過剰増殖性疾患を治療する方法、例えば、動物、例えばヒト患者において、腫瘍形成、腫瘍増殖、腫瘍の侵入、及び/又は転移形成を阻止する方法であって、このような治療を必要とする動物に、製薬学的に許容し得る担体の他に、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体、又はその免疫特異的フラグメントを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらのみからなる組成物の有効量を投与することからなり、前記エピトープが、配列番号:2の少なくとも約4個〜5個のアミノ酸アミノ酸、配列番号:2の少なくとも7個、少なくとも9個、又は少なくとも約15個〜約30個のアミノ酸を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらのみからなるものである、過剰増殖性疾患を治療する方法、例えば、動物、例えばヒト患者において、腫瘍形成、腫瘍増殖、腫瘍の侵入、及び/又は転移形成を阻止する方法を包含する。記載のような配列番号:2の所定のエピトープのアミノ酸は、連続的であってもよいが、連続的である必要はない。ある実施形態において、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープは、細胞の表面で発現されるようにIGF−1Rの細胞外ドメインによって形成される非線状エピトープからなるか、該非線状エピトープから本質的になるか又は該非線状エピトープのみからなる。従って、ある実施形態において、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープは、非連続アミノ酸がタンパク質折り畳みによってエピトープを形成する場合には、配列番号:2の少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個、あるいは少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個又は100個の連続又は不連続アミノ酸を含むか、該アミノ酸から本質的になるか又は該アミノ酸のみからなる。
他の実施形態において、本発明は、過剰増殖性疾患を治療する方法、例えば、動物、例えばヒト患者において、腫瘍形成、腫瘍増殖、腫瘍侵入、及び/又は転移形成を阻止する方法であって、このような治療を必要とする動物に、製薬学的に許容し得る担体の他に、IGF−1Rの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体、又はその免疫特異的フラグメントからなるか、これらから本質的になるか、又はこれらのみからなる組成物の有効量を投与することからなり、前記エピトープが、前記の配列番号:2の1個、2個、3個、4個、5個、6個以上の連続又は不連続アミノ酸と、タンパク質を修飾する別の部分を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらのみからなるものであり、例えば、炭水化物部分が、結合性分子が修飾される標的タンパク質に、タンパク質の未修飾バー
ジョンに結合するよりも高親和性で結合するように含有され得るものである、過剰増殖性疾患を治療する方法、例えば、動物、例えばヒト患者において、腫瘍形成、腫瘍増殖、腫瘍の侵入、及び/又は転移形成を阻止する方法を包含する。あるいは、結合性分子は、タンパク質の未修飾バージョンには全く結合しない。
さらに詳しくは、本発明は、ヒトにおいて癌を治療する方法であって、治療を必要とするヒトに、有効量のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントと、製薬学的に許容し得る担体とを含む組成物を投与することからなる、ヒトにおいて癌を治療する方法を提供する。治療すべき癌の種類としては、以下に限定されないが、胃癌、腎臓癌、脳腫瘍、膀胱癌、結腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、卵巣癌、及び前立腺癌が挙げられる。
ある実施形態において、抗体又はそのフラグメントは、前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、すなわち、このようなエピトープに、非関連又はランダムエピトープに結合するよりも容易に結合するか;前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体の少なくとも1つのエピトープに優先的に結合する、すなわち、このようなエピトープに、非関連、同様、異種又は類似のエピトープに結合するよりも容易に結合するか;前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体のある種のエピトープにそれ自体特異的に又は優先的に結合する基準抗体の結合を競合的に阻害するか;あるいは、前記のIGF−1Rあるいはフラグメント又は変異体の少なくとも1つのエピトープに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M未満の解離定数Kによって特徴づけられる親和性で結合する。抗体結合解離定数との関連で使用されるように、“約”という用語は、抗体親和性を測定するのに利用する方法に固有の変数の程度を考慮する。例えば、使用される計測の精度のレベル、測定される試料の数に基づく標準誤差、及び丸め誤差に応じて、“約10−2M”という用語は、例えば、0.05M〜0.005Mを含み得る。ある実施形態において、本発明の抗体及びそのフラグメントは、IGF−1Rタンパク質がもたらされる他の種のIGF−1Rタンパク質と交差反応する、例えば、ヒトIGF−1Rに特異的に結合するし、また霊長類IGF−1R及び/又はマウスIGF−1Rにも特異的に結合する抗体又はそのフラグメントと交差反応する。本発明の他の適当な抗体又はそのフラグメントとしては、高度に種特異的であるものが挙げられる。
特定の実施形態において、本明細書に開示の抗体又はその免疫特異的フラグメントは、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、5×10−2sec−1、10−2sec−1、5×10−3sec−1、又は10−3sec−1以下の解離速度(k(off))で結合する。本明細書に開示の別の抗体又はその免疫特異的フラグメントは、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、5×10−4sec−1、10−4sec−1、5×10−5sec−1、又は10−5sec−1、5×10−6sec−1、10−6sec−1、5×10−7sec−1、又は10−7sec−1以下の解離速度(k(off))で結合する。
本明細書に開示の診断及び治療方法で使用される別の抗体又はその免疫特異的フラグメントは、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、10−1sec−1、5×10−1sec−1、10−1sec−1、又は5×10−1sec−1以上の結合速度(k(on))で結合する。本明細書に開示の診断及び治療方法に使用する別の抗体又はその免疫特異的フラグメントは、IGF−1Rポリペプチドあるいはそのフラグメント又は変異体を、10−1sec−1、5×10
sec−1、10−1sec−1、又は5×10−1sec−1、あるいは10−1sec−1以上の結合速度(k(on))で結合する。
種々の実施形態において、前記の1つ以上の結合性分子は、IGF−1R活性のアンタゴニストであり、例えば腫瘍細胞上で発現されるようなIGF−1Rに対するアンタゴニストIGF−1R抗体の結合は、IGF−1Rに対するインスリン成長因子、例えばIGF−1、IGF−2、又はIGF−1及びIGF−2の両方の結合を阻害するか、IGF−1Rの内部化を促進し、それによってそのシグナル伝達能を阻害するか、IGF−1Rのリン酸化を阻害するか、シグナル伝達経路の下流の分子、例えば、Akt又はp42/44MAPKのリン酸化を阻害するか、あるいは腫瘍細胞の増殖、運動性又は転移を阻害する。
IX.IGF−1R−特異的結合性分子及び核酸増幅アッセイを使用する診断又は予後方法
IGF−1R−特異抗体、あるいはそのフラグメント、誘導体、又は類似体は、IGF−1Rの異常な発現及び/又は活性に関連する疾患、障害及び/又は状態を発見、診断又は監視する診断目的に使用できる。IGF−1Rの発現は、腫瘍組織及び他の新生物状態において高められる。
IGF−1R−特異抗体又はそのフラグメントは、哺乳動物、好ましくはヒトの過剰増殖性疾患の診断、治療、予防及び/又は予後に有用である。このような疾患としては、以下に限定されないが、癌、新生物、腫瘍及び/又は本明細書の他の個所に記載のような癌、新生物、腫瘍、特にIGF−1R−関連の癌、例えば胃癌、腎臓癌、脳腫瘍、膀胱癌、結腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、卵巣癌、及び前立腺癌が挙げられる。
例えば、本明細書に開示のように、IGF−1Rの発現は、少なくとも胃、腎臓、脳、膀胱、結腸、肺、乳房、膵臓、卵巣、及び前立腺の腫瘍組織に関連する。従って、IGF−1Rに対する抗体(及び抗体フラグメント)は、高められた量のIGF−1Rを発現する特定の組織を発見するのに使用し得る。これらの診断アッセイは、インビボ又はインビトロで、例えば例えば、血液試料、生検組織又は剖検組織で行い得る。
従って、本発明は、癌及びその他の過剰増殖性疾患の診断中に有用な診断方法であって、個体に由来する組織又はその他の細胞あるいは体液中のIGF−1Rタンパク質又は転写物の発現量を測定し、測定された発現量を正常な組織又は体液の標準IGF−1R発現量と比較することを伴い、それによって標準と比べた発現量の増加が疾患を示す診断方法を提供する。
1つの実施形態は、体液又は組織試料中の異常な過剰増殖細胞、例えば、前癌細胞又は癌細胞の存在を発見する方法であって、個体の組織又は体液試料中のIGF−1Rの発現をアッセイし、試料中のIGF−1R発現の存在又は量を、標準組織又は体液試料のパネル(panel)のIGF−1R発現の存在又は量と比較することからなり、IGF−1R発現の検出又は標準に対するIGF−1R発現の増大が異常な過剰増殖細胞の増殖を示す、体液又は組織試料中の異常な過剰増殖細胞、例えば、前癌細胞又は癌細胞の存在を発見する方法を提供する。
さらに詳しくは、本発明は、体液又は組織試料中の異常な過剰増殖細胞の存在を発見する方法であって、(a)本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを使用して個体(an individual)の組織又は体液試料中のIGF−1Rの発現をアッセイし、(b)試料中のIGF−1R発現の存在又は量を、標準組織又は体液試料のパネル(panel)のIGF−1R発現の存在又は量と比較し、それによって
IGF−1R発現の検出又は標準に対するIGF−1R発現の増大が異常な過剰増殖細胞の増殖を示すことを含む、体液又は組織試料中の異常な過剰増殖細胞の存在を発見する方法を提供する。
癌に関して、個体に由来する生検組織中のIGF−1Rタンパク質の比較的多い量は、腫瘍又はその他の悪性増殖の存在を示し得るか、このような悪性腫瘍又は腫瘍の発生の素因を示し得るか、又は実際の臨床症状の出現の前に病気を発見する手段を提供し得る。この種のより信頼のおける診断は、医療専門家がより早く予防措置又は積極的な治療を採用することを可能し、それによって癌の発生又はさらなる進行を防止し得る。
本発明のIGF−1R−特異抗体は、当業者に公知の古典的免疫組織学的方法を使用して生物学的試料中のタンパク質の量をアッセイするのに使用できる(例えば、Jalkanenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987)参照)。タンパク質の発現を検出するのに有用な他の抗体による方法としては、イムノアッセイ、例えば酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)及びラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。適当な抗体アッセイ標識は、当技術分野において公知であり、酵素標識、例えばグルコースオキシダーゼ;放射性同位元素、例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(112In)、及びテクネチウム(99Tc);発光標識、例えばルミノール;及び蛍光標識、例えばフルオレセイン及びローダミン、並びにビオチンが挙げられる。適当なアッセイは、本明細書の他の個所で詳細に記載する。
本発明の1つの態様は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトのIGF−1Rの異常な発現に関連する過剰増殖性疾患又は障害のインビボ発見又は診断方法である。1つの実施形態において、診断は、a)対象に、IGF−1Rに特異的に結合する本発明の標識抗体又はそのフラグメントの有効量を投与し(例えば、非経口的に、皮下に、又は腹腔内に);b)投与後のある時間間隔で、標識された結合性分子をIGF−1Rが発現される対象の部位に優先的に集中させる(且つ未固定の標識分子がバックグラウンドレベルまで消失させる)のを待ち;c)バックグラウンドレベルを測定し;且つd)バックラウンドレベルを超える前記標識分子の検出が、前記対象がIGF−1Rの異常発現に関連する特定の疾患又は障害を有することを示すように、前記対象の標識分子を検出することを含む。バックグラウンドレベルは、検出された標識分子の量を、特定の系について予め測定された標準値と比較することを含む種々の方法で測定できる。
当業者には、前記対象の大きさ及び使用した画像化装置が診断画像を作成するのに必要とされる画像部分の量を決定することが理解されるであろう。放射性同位元素部分の場合には、ヒト対象については、注入される放射能の量は、標準的には、例えば99Tcについては約5〜20ミリキューリーの範囲にあるであろう。次いで、標識された結合性分子、例えば、抗体又は抗体フラグメントは、特異的タンパク質を含有する細胞の位置で優先的に蓄積するであろう。インビボ腫瘍画像化は、S.W.Burchielら、“Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antobodies and Their Fragments”(Chapter 13 in Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer,S.W.Burchiel and B.A.Rhodes,eds.,Masson Publishing Inc.(1982)に記載されている。
幾つかの変数、例えば使用する標識の種類及び投与の方式に応じて、標識分子を前記対象の部位に優先的に集中させるため及び未固定の標識分子をバックグラウンドレベルまで
消失させるための投与後の時間間隔は、6〜48時間又は6〜24時間あるいは6〜12時間である。別の実施形態において、投与後の時間間隔は、5〜20日又は7〜10日である。
標識分子の存在は、インビボスキャン技術について公知の方法を使用して患者において検出できる。これらの方法は、使用した標識の種類に左右される。当業者は、特定の標識を検出する適当な方法を決定することができるであろう。本発明の診断方法で使用し得る方法及びデバイスはとして、以下に限定されないが、コンピュータ断層撮影法(CT)、全身スキャン法、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)、磁気共鳴影像法(MRI)、及び超音波検査法が挙げられる。
具体的な実施形態において、前記結合性分子は、放射性同位元素で標識され、患者において放射線反応外科機器を使用して検出される(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)。別の実施形態において、前記結合性分子は、蛍光化合物で標識され、患者において蛍光反応走査装置を使用して検出される。別の実施形態において、前記結合性分子は、陽電子放射金属で標識され、患者において陽電子放射断層撮影法を使用して検出される。さらに別の実施形態において、前記結合性分子は、常磁性標識で標識され、患者において磁気共鳴影像法(MRI)を使用して検出される。
IGF−1R発現のインビボ画像化用の抗体標識又はマーカーとしては、X線撮影法、核磁気共鳴画像法(NMR)、MRI、CAT−スキャン又はデンシスピン共鳴画像法(ESR)で検出できる抗体標識又はマーカーが挙げられる。X線撮影法については、適当な標識としては、放射性同位元素、例えばバリウム又はセシウムが挙げられ、これらは検出可能な放射線を放出するが、対象に対して明らかに有害でない。NMR及びESRに適したマーカーとしては、検出可能な特徴的スピンを有するマーカー、例えば重水素が挙げられ、これは、関連のあるハイブリドーマ用の栄養素の標識によって抗体中に取り込まれ得る。インビボ画像化を使用して、ヒトにおいて診断のためのIGF−1Rの高められたレベルの発現を検出する場合には、本明細書の他の個所に記載のようにヒト抗体又は”ヒト化”キメラモノクロナール抗体を使用することが好ましいものであり得る。
前記に関連した実施形態において、すでに診断された疾患又は障害の監視は、例えば最初の診断後1ヶ月目、最初の診断後6ヶ月目、最初の診断後1年目などに、疾患又は障害を診断する方法にいずれか1つを繰り返すことによって行われる。
疾患の診断、例えば腫瘍の診断が、これまでに慣用の方法に従って行われている場合には、本明細書に開示の発見方法は、予後指標として有用であり、それによって高められたIGF−1R発現を示し続ける患者は、が標準レベルにより近く低下する患者に比べて悪い臨床結果を経験するであろう。
“腫瘍関連IGF−1Rポリペプチドをアッセイする”とは、第1の生物学的試料中のIGF−1Rポリペプチドの量を、直接的に(例えば、絶対タンパク質量を測定又は推定することによって)又は相対的に(例えば、第2の生物学的試料中の癌関連ポリペプチド量と比較することによって)測定又は評価することを意図する。第1の生物学的試料中のIGF−1Rポリペプチド発現量は、測定又は評価され、標準IGF−1Rポリペプチド量と比較すされることが好ましい。前記標準は、疾患をもたない個体から得られる第2の生物学的試料から採取されるか又は疾患をもたない個体群からの平均量によって決定される。当技術分野において認められているように、“標準”IGF−1Rポリペプチド量が分かると、それは比較のため標準として繰り返し使用できる。
“生物学的試料”とは、個体、細胞系、組織培養物、又はIGF−1Rを発現する可能
性のある他の細胞供給源から得られる生物学的試料を意図する。示されるように、生物学的試料としては、体液(例えば、血漿、尿、滑液及び髄液)、及びIGF−1Rを発現する可能性のある細胞を含有するその他の組織供給源が挙げられる。哺乳動物から組織生体検査及び体液を得る方法は、当技術分野において周知である。
さらなる実施形態において、IGF−1Rの立体配置エピトープに向けられる抗体、又は抗体の免疫特異的フラグメントが、IGF−1R遺伝子産物又は保存変異体又はそのペプチドラグメントの存在を定性的に又は定量的に検出するのに使用され得る。これは、例えば、光学顕微鏡検出、フローサイトメトリー検出、又は蛍光検出と一緒に、蛍光標識抗体を用いる免疫蛍光法によって達成できる。
前記の方法を使用して診断、及び/又は予知し得る癌としては、以下に限定されないが、胃癌、腎臓癌、脳腫瘍、膀胱癌、結腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、卵巣癌、及び前立腺癌が挙げられる。
X.イムノアッセイ
本明細書に開示のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、免疫特異的結合について当技術分野において公知の方法でアッセイし得る。使用できるイムノアッセイとしては、以下に限定されないが、数例を挙げると、ウェスタンブロットなどの方法を使用する競合的及び非競合的アッセイ系、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、“サンドイッチ”イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集反応アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラヂジオメトリックアッセイ、蛍光免疫測定法、プロテインAイッムノアッセイが挙げられる。このようなアッセイは、日常的であり、当技術分野において周知である(例えば、Ausubelら、eds,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York,Vol.1(1994)参照、これは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。典型的なイッムノアッセイは、以下に手短に説明する(しかし、限定を意図するものではない)。
免疫沈降プロトコルは、一般に、溶解緩衝液、例えばタンパク質ホスファターゼ及び/又はプロテアーゼ阻害剤(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)を補足したRIPA緩衝液(1%NP−40又はトリトンX−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、pH7.2の0.01Mリン酸ナトリウム、1%Trasylol)中で細胞の集団を溶解し、得られる細胞溶菌液に興味のある抗体を加え、4℃である時間(例えば、1〜4時間)インキュベートし、前記細胞溶菌液にプロテインA及び/又はプロテインGセファロースビーズを加え、4℃で1時間又はそれ以上インキュベートし、前記ビーズを溶解緩衝液中で洗浄し、該ビーズをSDS/試料緩衝液に再懸濁することを含む。興味のある抗体が特定の抗原を免疫沈降させる能力は、例えば、ウェスタンブロット分析で評価することができる。当業者は、抗原に対する抗体の結合を増加させるために及びバックグラウンドを低下させるために修飾することができるパラメーターについて精通しているであろう(例えば、細胞溶菌液をセファロースビーズで予備洗浄)。免疫沈降プロトコルに関する別の考察については、例えば、Ausubelら、eds,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York,Vol.1(1994) at 10.16.1参照。
ウェスタンブロット分析は、一般に、タンパク質試料を調製し、該タンパク質試料をポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に応じて8%〜20%SDS−PAGE)中で電気泳動を行い、該タンパク質試料をポリアクリルアミドゲルから、ニトロセルロー
ス膜、PVD膜F又はナイロン膜などの膜に移し、得られた膜をブロック溶液(例えば、3%BSA又は脱脂乳を有するPBS)でブロックし、前記膜を洗浄用緩衝液(例えば、PBS−Tween 20)中で洗浄し、この膜をブロック用緩衝液で希釈した一次抗体(興味のある抗体)を用いてブロックし、この膜を洗浄用緩衝液中で洗浄し、この膜を、ブロック用緩衝液中で希釈した酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)又は放射性分子(例えば、32P又は125I)に結合体化させた二次抗体(これは、一次抗体、例えば、抗ヒト抗体を認識する)で洗浄し、この膜を洗浄用緩衝液中で洗浄し、且つ抗原の存在を検出することを含む。当業者は、検出されるシグナルを増大させるために及びバックグラウンドノイズを低下させるために修飾することができるパラメーターについて精通しているであろう。ウェスタンブロットプロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら、eds,Current
Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York,Vol.1(1994)at 10.8.1参照。
ELISAは、抗原を調製し、96ウエルマイクロタイタープレートのウエルに抗原を塗布し、検出可能な化合物、例えば酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)に結合体化させた興味ある抗体を、前記ウエルに加え、ある時間インキュベートし、且つ抗元の存在を検出することを含む。ELISAにおいて、前記の興味ある抗体は、検出可能な化合物に結合体化させるべきではなく;その代わりに、検出可能な化合物に結合体化させた第2の抗体(これは、前記の興味ある抗体を認識する)を前記ウエルに添加し得る。また、抗原を塗布する代わりに、抗体をウエルに塗布し得る。この場合に、検出可能な化合物に結合体化させた第2の抗体は、塗布されたウエルに興味ある抗原を加えた後に、添加し得る。当業者は、検出されるシグナルを増大させるために修飾することができるパラメーター及び当技術分野において公知のELISAのその他の変化について精通しているであろう。ELISAに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら、eds,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、Vol.1(1994)at 11.2.1参照。
抗体と抗原の結合親和性及び抗体−抗原相互作用の解離速度(off−rate)は、競合結合アッセイによって測定できる。競合結合アッセイの1つの例は、増加量の非標識抗原の存在下で標識抗原(例えば、H又は125I)と、興味ある抗体とをインキュベートし、標識抗原に結合された抗体を検出することを含むラジオイムノアッセイである。特定の抗原に対する興味ある抗体のの親和性及び結合解離速度は、スカッチャードプロット分析によってデータから測定できる。第2の抗体との競合もまた、ラジオイムノアッセイを使用して測定できる。この場合に、抗原は、標識化合物(例えば、H又は125I)に結合体化させた興味ある結合体と共に、増量の未標識の第2の抗体の存在下でインキュベートされる。
IGF−1R−特異抗体は、さらに、免疫蛍光法、免疫電子顕微鏡法又は非免疫アッセイにおけるように、癌抗原遺伝子産物あるいはその保存変異体又はペプチドフラグメントのその場(in situ)での検出のために、組織学的に使用し得る。その場(in situ)での検出は、患者から組織学的検体を取り出し、それに標識IGF−1R−特異抗体又はそのフラグメントを適用することによって達成し、好ましくは該標識抗体(又はフラグメント)を生物学的試料上に置くことによって達成し得る。このような方法の使用によって、IGF−1Rタンパク質、又は保存変異体又はペプチドフラグメントの存在ばかりではなく、検査した組織中のその分布も調べることができる。本発明を使用して、当業者は、様々な組織学的方法(例えば染色法)のいずれかをこのようなその場(in situ)での検出を達成するために部分的に変更できると容易に理解するであろう。
IGF−1R遺伝子産物又は保存変異体又はそのペプチドフラグメントのイムノアッセイ及び非イムノアッセイは、典型的には、試料、例えば生体液、組織抽出物、新鮮な採取細胞、又は細胞培養中にインキュベートされている細胞の溶解液を、IGF−1R又は保存変異体又はそのペプチドフラグメントに結合することができる検出可能に標識された抗体の存在下でインキュベートし、結合された抗体を、当技術分野おいにて周知の多数の方法のいずれかの方法で検出することを含む。
生物学的試料は、固相支持体又は担体、例えばニトロセルロース、あるいは細胞、細胞粒子又は可溶性タンパク質を固体化できる他の固体支持体と接触させ、その表面に固定化し得る。次いで、支持体を、適当な緩衝液で洗浄し、次いで検出可能に標識された抗体IGF−1R−特異抗体を用いて処理し得る。次いで、固相支持体を適当な緩衝液で2回洗浄して非固定化抗体を除去し得る。場合により、抗体はその後に標識される。次いで、固体支持体上に固体された標識の量を慣用の手段で検出し得る。
“固相支持体又は担体”とは、抗原又は抗体を結合することができる任意の支持体を意図する。周知の支持体又は担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、及び磁鉄鉱が挙げられる。担体の性質は、本発明の目的のためにある程度可溶性であるか又は不溶性であり得る。支持材料は、結合された分子が抗原又は抗体に結合できる限りは、任意の可能な構造形状を実質的に有し得る。従って、支持体形状は、ビーズのように球状であってもよいし、あるいは試験管内面又は棒の外面のように円筒状であってもよい。あるいは、支持体表面は、シート、試験紙などのように平面であってもよい。好ましい支持体としては、ポリスチレンビーズが挙げられる。当業者には、抗体又は抗原を結合するのに適した多数の他の担体がわかるであろうし、又は日常実験を使用することによってこれらを確認できるであろう。
所定のロットのIGF−1R−特異抗体の結合活性は、周知の方法に従って測定し得る。当業者は、日常実験を使用することによってそれぞれの測定のための操作及び最適アッセイ条件を決定できるであろう。
抗体−抗原相互作用の親和性を測定するのに利用できる種々の方法があるが、速度定数を測定するための方法は比較的少ない。大部分の方法は、必然的に日常測定を困難にし及び測定量の不確実性を導入する、抗体又は抗原を標識することに依存する。
BIAcoreを用いて行われるような表面プラズモン共鳴(SPR)は、抗体−抗原相互作用の親和性を測定する慣用の方法よりも多数の利点:すなわち(i)抗体又は抗原のいずれかを標識する必要がない;(ii)抗体を予め精製する必要がなく、細胞培養上清を直接に使用できる;(iii)種々のモノクロナール抗体相互作用の迅速半定量的比較を可能にするリアルタイム測定が可能であり、多数の評価目的に十分である;(iv)生体特異表面が、一連の種々のモノクロナール抗体が同一条件下で容易に比較できるように再生できる;(v)分析操作が完全に自動化され、及び多数の測定をユーザーが操作しなくても行うことができる;という利点を提供する。BIAapplications Handbook,version AB(reprinted 1998),BIACORE code No.BR−1001−86;BIAtechnology Handbook,version AB(reprinted 1998),BIACORE
code No.BR−1001−84。
SPRに基づいた結合の研究は、結合対の一方をセンサー表面に固定化することを必要とする。固体化される結合パートナーは、リガントと呼ばれる。溶液中の結合パートナー
は、検体と呼ばれる。いくつかの場合において、リガンドは、表面に、他方の固定化分子(これは、捕捉分子と呼ばれる)に結合することによって間接的に結合される。SPR応答は、検体が結合するか又は解離するのにつれて検出器表面での質量濃度の変化を表す。
SPRに基づいて、リアルタイムBIAcore測定は、相互作用を、それが生じるにつれて直接的に監視する。この方法は、速度パラメーターの測定によく適している。比較親和性の順位付けは極めて簡単に行われ、速度定数及び親和性定数の両方は、センサーグラムデータから誘導することができる。
検体がリガンド表面全体を横切って不連続パルスで注入されると、得られるセンサーグラムは、3つの本質的な相(phase):すなわち(i)試料注入中の検体とリガンドの結合;(ii)検体結合の速度が結合体から解離することによってバランスのとれる、試料注入中の平衡状態又は定常状態;(iii)緩衝液が流れる間の前記表面から検体の解離;に分けることができる。
結合相及び解離相は、検体−リガンド相互作用(k及びk、すなわち結合体の形成の速度及び解離速度、k/k=K)の速度論に関する情報を提供する。平衡相は、検体−リガンド相互作用(K)の親和性に関する情報を提供する。
BIA評価ソフトウエアは、数値積分法及びグローバルフィッティング(global
fitting)アルゴリズムを使用して曲線適合のための総合的な機能を提供する。データの適当な分析に関して、相互作用について別の速度定数及び親和性定数を、簡単なBIAcore調査から得ることができる。この方法によって測定できる親和性の範囲は、mMからpMまでの極めて広い範囲に及ぶ。
エピトープ特異性は、モノクロナール抗体の重要な特徴である。BIAcoreによるエピトープマッピングは、ラジオイムノアッセイ、ELISA又は他の表面吸着法を使用する慣用の方法と比べて、抗体の標識及び精製を必要とせず、しかも一連の数種のモノクロナール抗体を使用して多部位特異性試験を可能にする。さらに、多数の検体を自動的に処理できる。
ペアワイズ(Pair−wise)結合実験は、2つのMAbが同じ抗原に同時に結合することができる能力を試験する。別個のエピトープに対する複数のMAbは、独立して結合するであろう。これに対して同一エピトープ又は密接に関連したエピトープに対する複数のMAbは、互いの結合を妨害するであろう。BIAcoreを用いたこれらの結合実験は、実施することが簡単である。
例えば、第1のMabを結合するのに捕捉分子を使用し、次いで、抗原を加え、第2のMAbを連続的に加えることができる。センサーグラムは、1.どの位の抗原が第1のMabを結合するか、2.どの程度まで第2のMAbが表面に結合された抗原に結合するか、3.第2のMAbが結合しない場合には、ペアワイズ(Pair−wise)試験の順序を逆転させると結果が変わるか否かを明らかにするであろう。
ペプチド阻害は、エピトープマッピングに使用される別の方法である。この方法は、補体ペアワイズ抗体結合研究を補足することができ且つ抗原の一次配列が公知である場合には、機能性エピトープを構造的特徴に関連付けることができる。ペプチド又は抗原フラグメントは、固定化抗原に対する種々のMAbの結合の阻害について試験される。所定のMAbの結合を妨害するペプチドは、そのMAbによって規定されるエピトープに構造的に関連すると考えられる。
XI.医薬組成物及び投与方法
IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントの調製方法及びIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントをそれを必要とする対象(subject)に投与する方法は、当業者には周知であるか又は容易に決定されるであろう。結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントの投与の経路は、例えば、経口、非経口、吸入又は局所によるものであり得る。本明細書で使用される非経口という用語は、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸又は膣投与を包含する。これらの投与形態の全ては本発明の範囲内にあると明らかに考えられるが、投与のための形態は、注射用、特に静脈内又は動脈内注射又は点滴用の溶液である。通常は、注射に適した医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、又はクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、場合によっては安定剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含有し得る。しかし、本明細書の記載に適合した他の方法においては、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、有害細胞文群の部位に直接に送達させ、それによって治療剤に対する罹患組織の暴露を高めることができる。
非経口投与用製剤としては、滅菌水溶液又は非水溶液、懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル類である。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液、例えば食塩水及び緩衝媒体が挙げられる。主題発明において、製薬学的に許容し得る担体としては、以下に限定されないが、0.01〜0.1M及び好ましくは0.05Mリン酸緩衝液又は0.8%食塩水が挙げられる。他の一般的な非経口ビヒクルとしては、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、液体及び栄養補充物、電解質補充物、例えばリンゲルデキストロースを基材とする補充物などが挙げられる。防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート化剤、及び不活性ガスもまた存在させ得る。
さらに詳しくは、注射剤用途に適した医薬組成物としては、滅菌水(水溶性である場合)又は分散液、及び滅菌注射剤溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。このような場合に、前記組成物は、滅菌されなければならず、また易注射針通過性が存在する程度まで液体であるべきである。前記組成物は、製造及び貯蔵条件下で安定であるべきであり、及び微生物、例えば細菌及び真菌の汚染作用から保護されることが好ましい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの適当な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散物の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。本明細書に開示の治療方法で使用する適当な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.,16th ed.(1980)に記載されている。
微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどで達成できる。多くの場合に、等張剤、例えば、糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物に含有させることが好ましいであろう。注射剤組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含有させることによってもたらし得る。
いずれの場合でも、滅菌注射剤溶液は、適切な溶媒に、所定量の活性化合物(例えば、
結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントをそれ自体で又はその他の活性剤と組み合わせて)を、本明細書に列挙した成分の一つ又は組み合わせと共に含有させ、必要ならば、次いで濾過滅菌によって調製することができる。一般に、分散物は、塩基性分散媒及び前記に列挙した成分から必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を含有させることによって調製される。滅菌注射剤溶液の調製用の滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これは、有効成分と、追加の所望の成分との粉末を、これらの予め滅菌濾過した溶液から生成する。注射剤用の調剤は、加工され、容器、例えばアンプル、バッグ、瓶、注射器又はバイアルに詰められ、当技術分野において公知の方法に従って無菌条件下で密封される。また、製剤は、包装され、同時出願中の米国特許出願第09/259,337号(米国特許出願公開第2002−0102208A1号)明細書(これは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる)に記載のキットのようなキットの形で販売し得る。このような製造物品は、関連組成物が自己免疫又は新生物疾患を患うか又は患いやすい対象を治療するのに有用であることを示す標識又は包装挿入物を有することが好ましいであろう。
本明細書に記載の過剰増殖性疾患の治療のための本発明の組成物の有効量は、多数の種々の因子、例えば投与、標的部位、患者がヒトであるか又は動物であるかにかかわらず、患者の生理学的状態、投与される他の医薬品、及び治療が予防的であるか又は治療的であるかに応じて変化する。通常、患者はヒトであるが、非ヒト哺乳動物、例えばトランスジェニック哺乳動物もまた治療できる。治療用量は、安全性及び効果を最適化するために当業者に公知の常用の方法を使用して測定し得る。
抗体又はそのフラグメントを用いた過剰増殖性疾患の治療について、その用量は、例えば、約0.0001〜100mg/kg、さらに通常的には0.01〜5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、など)宿主体重の範囲にあり得る。例えば、用量は、1mg/kg体重又は10mg/kg体重であるか、あるいは1〜10mg/kgの範囲内、好ましくは少なくとも1mg/kgであり得る。上記の範囲の中間の用量もまた、本発明の範囲内にあることが意図される。対象には、このような用量を、毎日、隔日、毎週又は実験分析によって決定される他のスケジュールに従って投与し得る。典型的な治療は、長期間、例えば少なくとも6ヶ月の長期間にわたる多重投薬における投与を伴う。別の典型的な治療計画は、2週間毎に1回又は1ヶ月に1回あるいは3〜6ヶ月毎に1回の投与を伴う。典型的な投薬計画は、連日1〜10mg/kg又は15mg/kg、隔日30mg/kg又は毎週60mg/kgを含む。幾つかの方法において、種々の結合特異性を有する2種又はそれ以上のモノクロナール抗体が、同時に投与され、この場合には投与されるそれぞれの抗体の用量は前記に示した範囲内にある。
本明細書に開示のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、多数の場合に投与できる。単回投与の間隔は、毎週、毎月、毎年であり得る。間隔はまた、患者の標的ポリペプチド又は標的分子の血中濃度を測定することによって示されるように不規則であり得る。幾つかの方法において、投薬量は、1〜1000μg/ml、幾つかの方法では25〜300μg/mlの血漿ポリペプチド濃度を達成するために調節される。あるいは、結合性分子は、徐放性製剤として投与でき、その場合には頻回投与をあまり必要としない。投薬量及び頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。結合性分子の半減期はまた、安定なポリペプチド又は部分、例えばアルブミン又はPEGに対する融合によって延ばすこともできる。一般に、ヒト化抗体は、最も長い半減期を示し、その後にキメラ抗体及び非ヒト抗体が続く。1つの実施形態において、本発明の結合性分子は、結合体化されていない形で投与できる。別の実施形態において、本明細書に開示の方法で使用する結合性分子、例えば、結合性ポリペプチド、例えば、IGF−1R−特異抗体又
はその免疫特異的フラグメントは、結合体化させた形で多数回投与できる。さらに別の実施形態において、本発明の結合性分子は、結合体化されていない形で投与し、次いで結合体化させた形で投与することができ、あるいはその逆もできる。
投薬量及び投与の頻度は、治療が予防的であるか又は治療的であるかに応じて変化させることができる。予防用途において、抗体又はその混合物を含有する組成物は、未だ疾患状態にないか又は疾患にかかる前の状態の患者に患者の抵抗性を高めるために投与できる。このような量は、“予防有効量”と定義される。この使用において、正確な量はまた、患者の健康状態及び全身免疫に応じるが、一般に投与当たり0.1〜25mg、特に用量当たりに0.5〜2.5mgの範囲にある。比較的少ない投薬量が、長期間にわたって比較的まれな間隔で投与される。ある患者は、その生存中、治療を受け続ける。
治療用途においては、比較的多い用量(例えば、投与当たり約1〜400mg/kg結合性分子、例えば抗体、5〜25mgの用量が放射免疫結合体についてより一般的に使用され、場合によっては細胞毒−薬物結合体分子についてより多い用量が、使用される)が比較的短い間隔で、疾患の進行が抑えられるか又は止まるまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで必要とされる要とされる。その後に、患者には予防的計画を施し得る。
1つの実施形態において、対象を、IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントをコードする核酸分子(例えば、ベクター中の)を用いて治療できる。ポリペプチドをコードする核酸の用量は、患者当たり約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、又は30〜300μgDNAの範囲にわたる。伝染性ウイルスベクターについての用量は、投与当たり10〜100又はそれ以上のビリオンで変化する。
治療剤は、予防及び/又は治療処置のために非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内又は筋肉内手段で投与できる。幾つかの方法において、薬剤は、IGF−1R−を発現する細胞が蓄積している特定の組織に直接に注射される、例えば頭蓋内注射される。筋肉内注射又は静脈内注射が、抗体の投与について好ましい。幾つかの方法において、特定の治療用抗体は、直接に頭蓋に注射される。幾つかの方法において、抗体は、徐放性組成物又はデバイス、例えばMedipadTMデバイスとして投与される。
本発明のIGF−1R抗体又はそのフラグメントは、場合により、処置(予防処置又は治療処置)を必要とする疾患又は状態を治療するのに有効なその他の薬剤と組み合わせて投与できる。
90Y標識した結合性ポリペプチドの有効単一治療投薬量(すなわち、治療有効量)は、約5〜約75mCi、さらに好ましくは約10〜約40mCiの範囲内にある。131I標識抗体の有効単一治療投薬量は、約5〜約70mCi、さらに好ましくは約5〜約40mCiの範囲内にある。131I標識抗体の有効単一治療切除投薬量(すなわち、自己骨髄移植を必要とし得る)は、約30〜約600mCi、さらに好ましくは約50〜約500mCi未満の範囲内にある。キメラ抗体と併用して、マウス抗体に対する長い血中半減期に起因して、131I標識キメラ抗体の有効単一治療非骨髄切除投薬量は、約5〜約40mCi、さらに好ましくは約30mCi未満の範囲内にある。例えば111Inについての画像化基準は、典型的には約5mCi未満である。
多くの臨床経験が131I及び90Yを用いて得られているが、その他の放射性標識は、当技術分野において公知であり、同様の目的に使用されている。さらに別の放射性同位元素が画像化用に使用される。例えば、本発明の範囲に適合する別の放射性同位元素とし
ては、以下に限定されないが、123I、125I、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Br、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、203Pb、206Bi、177Lu、186Re、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、153Sm、188Re、199Au、225Ac、211At、及び213Biが挙げられる。この点においてα、γ及びβ放射体は全て、本発明において適合する。また、本明細書の開示を考慮して、当業者はどの放射性核種が過度の実験を行うことなく選択された治療経路に適合するかを容易に決定できると思われる。この目的に、臨床診断ですでに使用されている別の放射性核種としては、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Ga、及び111Inが挙げられる。抗体はまた、目標とされた免疫療法において可能性のある使用のために種々の放射性核種で標識されている(Peirerszら、Immunol.Cell Biol.65:111−125(1987))。これらの放射性核種としては、それほどではないにせよ188Re及び186Re並びに199Au及び67Cuが挙げられる。米国特許第5,460,785号は、のような放射性同位元素に関する更なるデータを提供し且つ参照として本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントが結合体化された形又は結合体化されていない形で使用されるか否かに関わらず、本発明の主な利点は、骨髄抑制患者、特に補助療法、例えば放射線療法又は化学療法を受けつつあるか又は受けた骨髄抑制患者においてこれらの分子を使用できることであることが認められるであろう。すなわち、これらの分子の有益な送達プロフィル(すなわち、比較的短い血清滞留時間、比較的結合性親和性及び高められた局在性)は、これらの分子を、低下した予備赤色骨髄を有し及び骨髄毒性に感受性である患者を治療するのに特に有用にする。これに関して、前記分子の独特な送達プロフィルは、これらの分子を骨髄抑制癌患者に対する放射性標識結合体の投与に極めて有効にする。それ自体、本明細書に開示のIGF−1R− 特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、結合体化された形又は結合体化されていない形で、補助療法、例えば遠隔照射療法又は化学療法をすでに受けている患者において有用である。別の好ましい実施形態において、結合性分子、例えば結合性ポリペプチド、例えばIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメント(これらもまた結合体化された形又は結合体化されていない形で)は、化学療法剤を用いた併用治療計画において使用し得る。当業者には、このような治療計画は、前記開示の抗体又は他の結合性分子及び1つ以上の化学療法剤の連続投与、同時投与、併用投与又は同一投与からなり得ることが認められるであろう。本発明のこの態様の特に好ましい実施形態は、放射性標識結合性ポリペプチドの投与を含む。
IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、すぐ上に記載のようにして投与し得るが、他の実施形態において、結合体化された形又は結合体化されていない結合性分子は、最初の治療剤として他に異常にない患者に投与し得ることが強調されねばならない。このような実施形態において、結合性分子は、標準又は平均患者及び/又は補助療法、例えば遠隔照射療法又は化学療法を受けていなかった及び受けていない患者に投与し得る。
しかし、前記で論じたように、選択された実施形態において、本発明は、骨髄抑制患者に、IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを投与するか、あるいは1つ以上の補助療法、例えば遠隔照射療法又は化学療法を(すなわち、併用治療計画)と組み合わせて又はと共に投与することを含む。本明細書で使用されるように、IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントを補助療法と共に又は組み合わせた投与は、連続投与、同時(simultaneous)投与、併用投与、同一(coextensive)投与、同時(concomitant)投与又は同時(contemporaneous)投与、あるいは治療及び開示の結合分子の施用を意味する。当業者には、併用
治療計画の種々の成分の投与又は施用が、治療の全般的な有効性を高めるために時期を選び得ることが認められるであろう。例えば、化学療法剤は、標準的な、周知の一連の治療において投与でき、次いで数週間以内に本明細書に記載の放射性免疫結合体を投与できる。反対に、細胞毒結合体結合性分子は、静脈内に投与され、次いで限局性腫瘍遠隔照射療法が施され得る。さらに別の実施形態において、結合性分子は、1回の外来診療において1種以上の選択された化学療法剤と同時に投与され得る。当業者(例えば、経験のある癌専門医)は、選択された補助療法及び本明細書の教示に基づいて、過度の実験を行うことなく有効な併用治療計画を容易に見分けることができるであろう。
この点で、結合性分子(細胞毒を有する又は有していない)と化学療法剤の組み合わせは、任意の順序で及び治療的恩恵を患者に提供する時間枠内で投与し得ることが認められるであろう。すなわち、化学療法剤とIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、任意の順序で投与し得るし又は同時に投与し得る。選択された実施形態において、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、化学療法をすでに受けている患者に投与されるであろう。さらに別の実施形態において、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、化学療法と実質的に同時に又は共に投与されるであろう。例えば、患者は、一連の化学療法を受けながら、結合性分子を投与されてもよい。好ましい実施形態において、前記結合性分子は、任意の化学療法剤又は治療の1年以内に投与されるであろう。別の好ましい実施形態において、前記ポリペプチドは、任意の化学療法剤又は治療の10ヶ月以内、8ヶ月以内、6ヶ月以内、4ヶ月以内、又は2ヶ月以内に投与されるであろう。さらに別の好ましい実施形態において、前記結合性分子は、任意の化学療法剤又は治療の4週以内、3週以内、2週以内又は1週以内に投与されるであろう。さらに別の実施形態において、前記結合性分子は、選択された化学療法剤又は治療の5日以内、4日以内、3日以内、2日以内又は1日以内に投与されるであろう。2つの薬剤又は治療が数時間又は数分以内に(すなわち、実質的に同時に)に患者に投与又は施用し得ることがさらに認められるであろう。
また、本発明に従って、骨髄抑制患者は、血球数の低下を示す患者を意味することを含むであろう。当業者には、骨髄抑制の臨床指標として慣用されるいくつかの血球値パラメーターがあること及び骨髄抑制が患者で生じる程度を容易に測定できることが認められるであろう。当技術分野で受け入れられている骨髄抑制測定値の例は、絶対好中球数(ANC)又は血小板数である。このような骨髄抑制又は部分的骨髄破壊は、種々の生化学的障害又は疾患の結果であるか、おそらくは前の化学療法又は放射線治療の結果としてあり得る。この点において、当業者には、伝統的な化学療法を受けた患者が典型的には低下した予備赤色骨髄を示すことが認められるであろう。前記のように、このような患者は、死亡率又は罹患率の上昇をもたらす容認できない副作用、例えば貧血又は免疫抑制のせいで、多くの場合、最適レベルの細胞毒(すなわち、放射性核種)を使用して治療することができない。
さらに具体的には、本発明の結合体化されているか又は結合体化されていないIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、約2000/mmよりも低いANC又は約150,000/mよりも低い血小板数を有する患者を効果的に治療するのに使用し得る。さらに好ましくは、本発明IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、約1500/mmよりも低いANC、約1000/mmよりも低いANC、又はさらに好ましくは約500/mよりも低い血小板数を有する患者を効果的に治療するのに使用し得る。同様に、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、約75,000/mよりも低い血小板数、約50,000/mよりも低い血小板数、又はさらに約10,000/mよりも低い血小板数を有する患者を効果的に治療するのに使用し得る。より一般的な意味で、当業者は、政府実施(government implemented)ガイドライン及び手順を使用して患者が骨髄抑制さ
れる場合に容易に決定できるであろう。
上記に示したように、多くの骨髄抑制患者が、一連の治療、例えば化学療法、移植放射線治療又は遠隔照射療法を受けている。後者の場合には、遠隔照射源は悪性腫瘍の局所照射用である。放射線治療実施方法について、放射性試薬は、悪性腫瘍内に外科的に配置され、それによって選択的に疾患の部位を照射する。いずれにしても、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、原因に関わらず骨髄抑制を示す患者の疾患を治療するのに使用し得る。
この点で、さらに本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントが、インビボで新生細胞の増殖をなくすか、抑制するか又は調節する化学療法剤又は薬剤(例えば、併用治療計画を提供するあめに)と共に又は組み合わせて使用し得ることが認識されるであろう。論じたように、このような薬剤は、多くの場合、予備赤色骨髄の低下をもたらす。この低下は、このような患者の腫瘍形成の積極的な治療を都合よく可能にする本発明の化合物の低下した骨髄毒性によって、全体的に又は部分的に、相殺し得る。別の実施形態において、本明細書に開示の放射性標識免疫結合体は、新生細胞の放射性核種に対する感受性を高める放射線増感剤と共に効果的に使用し得る。例えば、放射線増感化合物は、放射性標識結合性分子が血流から多量に除去されているが、さらに1つ以上の腫瘍の部位に治療有効量で残っている後に、投与し得る。
本発明のこれらの態様に関して、本発明に適合する典型的な化学療法剤としては、アルキル化剤、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)、プロカルバジン、メトトレキセート及びプレドニゾンが挙げられる。4種類の薬物の組み合わせMOPP(mechlethamine(窒素マスタード)、ビンクリスチン(Oncovin)、プロカルバジン及びプレドニゾン)は、種々のタイプのリンパ腫を治療するのに極めて有効であり、本発明の好ましい実施形態を包含する。MOPP耐性患者では、ABVD(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン及びダカルバジン)、ChlVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン及びプレドニゾン)、CABS(ロムスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン及びストレプトゾトシン)、MOPPとABVD、MOPPとABV(ドキソルビシン、ブレオマイシン及びビンブラスチン)又はBCVPP(カルムスチン、シクロホスファミド、ビンブラスチン、プロカルバジン及びプレドニゾン)の組み合わせを使用できる。Arnold S.Freedman及びLee M.Nadler、Malignant in Harrison’s Principles of Internal Medicine 1774−1788(Kurt J.Isselbacherら、eds.,13th ed.1994)及びV.T.DeVitaら(1997)並びに標準投薬及びスケジューリングのためにその中に挙げられた参考文献。これらの療法は、個々の患者に必要なように変化させずに又は変化させて、本発明の1つ以上のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントと組み合わせて使用できる。
本発明との関連で有用な別の治療計画としては、単一のアルキル化剤、例えばシクロホスファミド又はクロラムブシルの使用、あるいは組み合わせ、例えばCVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、CHOP(CVP及びドキソルビシン)、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン及びプロカルバジン)、CAP−BOP(CHOPと、プロカルバジン及びブレオマイシン)、m−BACOD(CHOPと、メトトレキセート、ブレオマイシン及びロイコボリン)、ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド及びロイコボリンと、標準MOPP)、ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、メトトレキセート及びロイコボリン)及びMACOP−B
(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、固定用量プレドニゾン、ブレオマイシン及びロイコボリン)の使用が挙げられる。当業者は、これらの治療計画のそれぞれについて標準用量及びスケジュールを容易に決定できるであろう。CHOPはまた、ブレオマイシン、メトトレキセート、プロカルバジン、窒素マスタード、シトシンアラビノシド及びエトポシドとも併用されている。その他の適合性化学療法剤としては、以下に限定されないが、2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)、2’−デオキシコホルマイシン及びフルダラビンが挙げられる。
中悪性度及び高悪性度の悪性腫瘍をもつ、寛解又は再発を達成できない患者については、サルベージ療法が使用される。サルベージ療法は、シトシンアラビノシド、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド及びイホスファミドなどの薬剤を単独で使用するか又は組み合わせて使用する。再発した形又は進行する形のある種の新生物疾患において、以下のプロトコルが多くの場合に使用される:IMVP−16(イホスファミド、メトトレキセート及びエトポシド)、MIME(メチル−gag、イホスファミド、メトトレキセート及びエトポシド)、DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビン及びシスプラチン)、ESHAP(エトポシド、メチルプレドニゾロン、HDシタラビン、シスプラチン)、CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾン及びブレオマイシン)及びCAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビン及びプレドニゾン)(それぞれ周知の用量及びスケジュールを有する)。
本発明IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントと併用される化学療法剤の量は、患者によって変化し又は当技術分野において公知の量に従って投与し得る。例えば、Bruce A Chabnerら、Antineoplastic Agents,in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 1233−1287(Joel
G.Hardmanら、eds.,9th ed.(1996))参照。
別の実施形態において、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、生物学的製剤と共に投与される。癌の治療に有用な生物学的製剤は、当技術分野において公知であり、本発明の結合性分子は、例えばこのような公知の生物学的製剤と共に投与し得る。
例えば、FDA(食品医薬品局)は、乳癌の治療に以下の生物学的製剤を承認している:ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ、Genentech Inc.,South San Francisco,CA;HER2−陽性乳癌において抗腫瘍活性を有するヒト化モノクロナール抗体);ファスロデックス(登録商標)(フルベストラント、AstraZeneca Pharmaceuticals,LP,Wilmington,DE;乳癌を治療するのに使用されるエストロゲン−受容体拮抗薬);アリミデックス(登録商標)(アナストゾール、AstraZeneca Pharmaceuticals、LP;アロマターゼ、すなわちエストロゲンを調製するのに必要とされる酵素をブロックする非ステロイド性アロマターゼ阻害剤);アロマシン(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer Inc.,New York,NY;乳癌の治療に使用される不可逆性、ステロイド性アロマターゼ不活性化剤);フェマーラ(登録商標)(レトロゾール、Novartis Pharmaceuticals,East Hanover,NJ;乳癌を治療するのにFDAによって承認された非ステロイド性アロマターゼ阻害剤);及びノルバデックス(登録商標)(タモキシフェン、AstraZeneca Pharmaceuticals,LP;乳癌を治療するのにFDAによって承認された非ステロイド性抗エストロゲン)。本発明の結合性分子と併用し得るその他の生物学的製剤としては、:アバスチンTM(ベバシズマブ、Genentech Inc.;血管新生を阻害するために設計された最初のFDA承認治療剤);及びZevalin(登録商標)
(イブリツモマブチウキセタン、Biogen Idec,Cambridge,MA;B細胞リンパ腫の治療用に現在承認されている放射性標識モノクロナール抗体)が挙げられる。
また、FDAは、結腸直腸癌の治療用の以下の生物学的製剤:アバスチンTM;エルビタックスTM(セツキシマブ、ImClone Systems Inc.,New York,NY,及びBristol−Myers Squibb,New York,NY;は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対するモノクロナール抗体である); グリベック(登録商標)(イマチニブメシレート;プロテインキナーゼ阻害剤);及びエルガミゾール(登録商標)(塩酸レバミゾール、Janssen Pharmaceutica Products,LP,Titusville,NJ;ジュークスのステージCの結腸癌を有する患者において外科切除後の5−フルオロウラシルとの併用した補助治療剤として1990年にFDAによって承認された免疫調節剤)を承認している。
非ホジキンリンパ腫の治療における使用について、現在承認されている治療剤としては、ベクザー(登録商標)(トシツモマブ及びヨウ素I−131トシツモマブ、GlaxoSmithKline,Research Triangle Park,NC;放射性分子(ヨウ素I−131)に連結されたマウスモノクロナール抗体(トシツモマブ)を含む多段治療剤);イントロン(登録商標)A(インターフェロンα−2b、Schering Corporation,Kenilworth,NJ;アントラサイクリン含有併用化学療剤(例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン[CHOP])と共に濾胞性非ホジキンリンパ腫の治療用に承認されたインターフェロンの一つのタイプ);リツキサン(登録商標)(リツキシマブ、Genentech Inc.,South San Francisco,CA,及びBiogen Idec,Cambridge、MA;非ホジキンリンパ腫の治療用に承認されたモノクロナール抗体;オンタック(登録商標)(デニロイキンジフチトクス、Ligand Pharmaceuticals Inc.,San Diego,CA;インターロイキン−2に遺伝子組み換え融合させたジフテリア毒素のフラグメント融合を含むタンパク質);及びゼバリン(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen Idec;B細胞非ホジキンリンパ腫の治療用にFDAによって承認された放射性標識 モノクロナール抗体)が挙げられる。
白血病の治療については、本発明の結合性分子と併用し得る典型的な生物学的製剤としては、グリベック(登録商標);キャンパス(登録商標)−1H(アレムツズマブ、Berlex Laboratories,Richmond,CA;慢性リンパ球性白血病の治療に使用されるモノクロナール抗体の1つのタイプ)が挙げられる。また、ジェナセンス(オブリメルセン、Genta Corporation,Berkley Heights,NJ;白血病を治療するために開発中のBCL−2アンチセンス療法を使用し得る(例えば、単独であるいは化学療法剤、例えばフルダラビン及びシクロホスファミドと組み合わせて))は、本願の結合性分子と共に投与し得る。
肺癌の治療については、典型的な生物学的製剤としては、タルセバTM(エルロチニブHCL、OSI Pharmaceuticals Inc.,Melville,NY;ヒト上皮成長因子受容体1(HER1)経路を標的とするために設計された小分子)が挙げられる。
多発性骨髄腫の治療については、典型的な生物学的製剤としては、ベルケイド(登録商標)ベルケイド(ボルテゾミブ、Millennium Pharmaceuticals,Cambridge MA;プロテアソーム阻害剤)が挙げられる。別の生物学的製剤としては、タリドミド(登録商標)(サリドマイド、Clegene Corpora
tion,Warren,NJ;免疫調節及び多数の作用、例えば骨髄腫細胞の増殖及び生存並びに抗血管新生を阻害する能力を有すると思われる)が挙げられる。
その他の典型的な生物学的製剤としては、ImClone Systems,Inc.,New York,NY.によって開発されたMOAB IMC−C225が挙げられる。
先に論じたように、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメント、あるいはこれらの変異体、哺乳動物の過剰増殖性疾患のインビボ治療のために医薬有効量で投与し得る。この点について、開示の抗体は活性剤の投与を容易にし且つ安定性を促進するように製剤化されることが認められるであろう。好ましくは、本発明の医薬組成物は、製薬学的に許容し得る無毒性の滅菌担体、例えば生理学的食塩水、無毒性緩衝液、防腐剤などを含む。本発明の目的に、治療剤に結合体化された形又は結合体化されていない本発明IGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメント、あるいはその組換え体の医薬有効量とは、標的に対する効果的な結合を達成するのに十分な量及び例えば、疾患又は障害の症状を改善するか又は物質又は細胞を検出する利点を達成するのに十分な量を意味するであろう。腫瘍細胞の場合には、前記結合性分子は、好ましくは、新生物又は免疫活性細胞、あるいは非新生細胞、例えば、新生細胞に関連する血管細胞上の選択された免疫活性抗原と相互作用することができるであろうし、またこれらの細胞の死亡率の増加を提供するであろう。勿論、本発明の医薬組成物は、医薬有効量の結合性分子を提供するために1回以上投与し得る。
この開示の範囲と一致して、本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、ヒト又はその他の動物に、前記の治療方法に従って、治療又は予防効果を生じるのに十分な量で投与し得る。本発明のIGF−1R−特異抗体又はその免疫特異的フラグメントは、このようなヒト又はその他の動物に、公知の方法に従って、本発明の抗体を慣用の製薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と組み合わせることによって調製した慣用の剤形で投与し得る。当業者には、製薬学的に許容し得る担体又は希釈剤の形状及び特性は、併用されるべき有効成分の量、投与の経路及びその他の周知の変数によって規定されることが認められるであろう。また、当業者には、本発明の1種以上の結合性分子を含有する混合物が特に効果的であり得ることが認められるであろう。
本発明の実施は、特に示されない限りは、当業者の範囲内にある細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の慣用の方法を用いるであろう。このような方法は、文献に詳しく十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,Sambrookら、ed.,Cold Spring Harbor
Laboratory Press:(1989);Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、ed.,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1992),DNA Cloning,D.N.Glover ed.,Volumes I及びII(1985);Oligonucleotide Synthesis,M.J.Gait ed.,(1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization,B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984);Transcription And Translation,B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984);Culture Of Animal Cell,R.I.Freshney、Alan R.Liss,Inc.,(1987);Immobilized Cells And Enzymes,IRL Press,(1986);B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Clonin
g(1984);論文、Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.,N.Y.;Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,J.H.Miller及びM.P.Calos eds.,Cold Spring Harbor Laboratory(1987);Methods In Enzymology,Vols.154及び155(Wuら,eds.);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology,Mayer及びWalker,eds.,Academic Press,London(1987);Handbook Of
Experimental Immunology,Volumes I−IV,D.M.Weir及びC.C.Blackwell,eds.,(1986);Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986);並びにAusubelら、Current Protocols
in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)参照。
抗体工学の一般原理は、Antibody Engineering,2nd edition,C.A.K.Borrebaeck,Ed.,Oxford Univ.Press(1995)に説明されている。タンパク質工学の一般原理は、Protein Engineering,A Practical Approach,Rickwood,D.ら、Eds.,IRL Press at Oxford Univ.Press,Oxford,Eng.(1995)に説明されている。抗体及び抗体−ハプテン結合の一般原理は:Nisonoff、A.,Molecular Immunology,2nd ed.,Sinauer Associates,Sunderland,MA(1984);及びSteward,M.W.,Antibodies,Their Structure and Function,Chapman及びHall、New
York、NY(1984)に説明されている。また、当技術分野において公知であり且つ具体的に記載されていない免疫学の標準法は、一般に、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New
York;Stitesら(eds)、Basic and Clinical−Immunology(8th ed.),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994)並びにMishell及びShiigi(eds),Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)に記載のように従う。
免疫学の一般原理を説明する標準参考文献としては、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York;Klein,J.,Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination,John Wiley & Sons,New York(1982);Kennett,R.ら、eds.,Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,New York(1980);Campbell,A.,“Monoclonal Antibody Technology”in Burden,R.ら、eds.,Laboratory Techniques in Biochemistry and
Molecular Biology,Vol.13,Elsevere,Amsterdam(1984),Kuby Immunology 4th ed.Ed.Richard A.Goldsby,Thomas J.Kindt及びBarbara A.Osborne,H.Freemand & Co.(2000);Roitt,L,Brostoff,J.及びMale D.,Immunology 6th ed.L
ondon:Mosby(2001);Abbas A.,Abul,A.及びLichtman,A.,Cellular and Molecular Immunology Ed.5,Elsevier Health Sciences Division(2005);Kontermann及びDubel,Antobody Engineering,Springer Verlan(2001);Sambrook及びRussell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Press(2001);Lewin,Genes VIII,Prentice Hall(2003);Harlow及びLane,Antobodies:A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Press(1988);Dieffenbach及びDveksler,PCR Primer Cold Spring Harbor Press(2003)が挙げられる。
上記に挙げた参考文献及び本明細書で引用した参考文献はすべて、その全体を参照することにより、本明細書において援用される。
実施例1
ファージライブラリーからのIGF−1R特異Fabの選別
組換えヒトIGF−1R外部ドメインを使用して、3.5×1010個のユニーククローンを含有するヒト未変性ファージミドFabライブラリーを選別した(Hoet,R.M.ら、Nat Biotechnol.23(3):344−8(2005),(“Hoetら”)、これは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる)。2つの異なるパニングアームを、ビオチン化IGF1R−his及びIGF1R−Fcタンパク質を使用して生じさせた。タンパク質は、ファージライブラリーとのインキュベートの前に、ストレプトアビジンで被覆した磁性ビーズ上に捕捉し。IGF1R−Fcの場合には、ビオチン化抗Fc抗体は、磁ビーズ上に捕捉し、次いでFc融合タンパク質を捕捉した。選別は、Hoetらの論文に記載のようにして行った。3回のパニング後に、479bpの遺伝子III基部(stump)を、MluI消化によって除去し、TG1細胞中の可溶性Fab発現のためにベクターを再連結した。ビオチン化IGF1R−hisアーム由来の920個のクローンのELISA分析により、33個のユニーク配列を含有する593個の陽性クローンを得た。IGF1R−hisアーム由来の920個のクローンのELISA分析により、12個のユニーク配列を含有する163個の陽性クローンを得た。全てのクローンの配列分析により、パニング法の両方のアームにおいて単離された12個のクローンを決定した。ユニーククローンを精製し、結合を、ELISAによ組換えヒトIGF−1R外部ドメインに対し及び完全長ヒトIGF−1Rに安定的に移入された3T3細胞に対して再確認した(図IA及びIB)。結合データに基づいて、両方のアームの単離された12個のユニーククローンのうちの6個を、さらに分析するために選別した。
実施例2
腫瘍細胞で発現されたIGF−1Rに対するFabの結合活性
Fabの野生型IGF−1Rに対する結合能を、MCF−7腫瘍細胞系を使用してフローサイトメトリーで調べた。
MCF−7細胞(NCIから得たヒト乳腺癌細胞)を、アッセイのセットアップの前に24時間分裂させ、70%密集単層を得た。日常的に、MCF−7細胞系は、20継以内に維持した。細胞を、細胞解離用緩衝液(Gibcoカタログ#13151−014)を用いて引き上げ、算定し、洗浄し、細胞1×10個/mlに調整し、次いで1mlの細胞を、それぞれの試験管(12×75mm管 Falconカタログ#352054)に加えた。細胞をペレット化し、1200rpmで5分間遠心分離することにより上清を
除去し、次いで得られた細胞ペレットに100μlの希釈抗体を加えた。精製Fabを、FACS緩衝液中で1:3希釈液を用いて210μg/ml又は60μg/mの開始濃度から0.001μg/mlまで下げて試験した。アッセイ全体を通じて使用したFACS緩衝液は、1%BSA(Sigmaカタログ#A−7906)及び0.1%アジ化ナトリウム(Sigmaカタログ#S2002)を含有するPBS(Ca++/Mg++を含有していない)であった。陽性対照として、IR3マウス抗体(Ab−1;Calbiochem #GR11L)を使用した。試料を氷の上で1時間15分インキュベートし、次いで2mlのFACS緩衝液で洗浄し、4℃で、1200rpmで5分間遠心分離した。上清をアスピレーターで吸引し、FACS緩衝液を入れたそれぞれの対応試験管に100μlの第2の検出抗体を加えた。次いで、試料を氷の上で、暗中で30分間インキュベートした。細胞を前記のように洗浄し、次いで、試験管/試料当たり250μlのFACS緩衝液に再懸濁した。
細胞結合Fabを、FITC−結合体化親和性精製F(ab’)フラグメント特異的ヤギ抗−ヒト−IgG(Jackson ImmunoResearch Labカタログ#109−096−006;5μg/mlで使用する)を使用して検出し、一方、陽性マウス対照抗体を、F(ab’)FITC結合体化ヤギ抗−マウスIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch、カタログ#115−096−062;5μg/mlで使用した)を使用して検出した。細胞を、生存細胞を調べるためにヨウ化プロピジウム染色溶液(死滅細胞除外用のPI;BD Pharmingen カタログ#51−6621 IE又は556463;FACS緩衝液中で、最終1:500で使用)を用いて染色した。試料を、FACSCalibur装置(Becton Dickinson)で泳動し、試料当たり10,000の有効事象(live event)を集めた。GraphPad Prismバージョン4.0ソフトウエア(www.graphpad.com)(GraphPad Software、Inc.,11452 E1 Camino Real,#215,San Diego,CA 92130 USA)を使用して、データ解析を行った。
試料を泳動し、幾何平均が決定されると、抗体濃度(X軸)対幾何平均(Y軸)を、Graphpad Prism(Prism Graph)グラフ作成プログラムを使用してlog10にグラフ化した。次いで、データセットを、X=Log(X)に変換し(X値データセット=抗体濃度)、非直線回帰曲線適合、シグモイド用量応答を使用してグラフ化した。Prism Graphソフトウエアを使用してEC50値及びR値を得た。
6個のFab全部が、MCF−7腫瘍細胞で発現される野生型IGF−1Rに対して良好な結合活性を示した(図2)。結合のEC50は、9〜42nMの範囲にあった(表3)。
実施例3
FabによるIGF−1Rに対するリガンドの結合の阻害
FabがIGF−1Rに対するIGF−1及びIGF−2リガンドの結合をブロックする能力を、ラジオイムノアッセイ(RIA)を使用して調べた。
リガンドブロッキングアッセイ(RIA)。組換えヒトIGF−1(Cat#291−G1)、IGF−2(Cat#292−G2)、インスリン(Cat#Custom02)ヒトインスリン受容体(Cat#1544−1R)は、R&D Systems,Inc.,Minneapolis,MNから購入した。インスリン(Arg−インスリン、Cat#01−207)は、Upstate Cell Signaling Solutions(Lake Placid,NY(現在は、Millipore、Conco
rd、MA(USA)の一部門)から購入した。125I−rhIGF−1(Cat#IM172)、125I−rhIGF−2(Cat#IM238)及びl25I−rhInsulin(Cat#IM166)は、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)から購入した。AffiPureヤギ抗−ヒトIgG、Fcγフラグメント特異抗体(Cat#109−005−098、Jackson IrnmunoResearch,West Grove,PA)を、IGF−1R−Fcの捕捉に使用した。検出抗体として、ヤギ抗−マウスIgG HRP(Cat#1030−05、Southern Biotech Birmingham,AL)を使用した。
IGF−1及びIGF−2ブロッキング用の陽性対照として、IR3(Ab−1、Cat.#GR11LSP5、Calbiochem,La Jolla,CA)及び1H7(IGF−1Rα−鎖に特異的なマウスモノクロナール、sc−461、IgG Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)を、それぞれ使用した。ヒトインスリン受容体α−サブユニット特異抗体、クローン83−14(Cat#AHR0221、Biosource International,Inc.,Camarillo,CA)及びクローン47−9(Cat#E55502M、Biodesign International,Inc.,Saco,ME)を、インスリン−インスリン受容体結合実験のブロッキングの陽性対照として使用した。組換えIGF−1R−Fc融合タンパク質は、Biogen Idec(Cambridge,MA)で製造された。
アイソタイプを一致させたマウス陰性対照抗体として、2B8(マウスα−CD20.IgG)及び2B8 mkm.G2(マウスα−CD20 MAb、IgG2a、Biogen Idec,Lot#NB3304−87,San Diego,CA)を使用した。Fabについての陰性対照は、Christilyn Graff(Biogen Idec,Cambridge,MA)によって提供されたR001−1Bであった。緩衝液に使用したPBSは、BioWhittaker(Cat.#17−513F、Walkersville,MD)から入手した。
組換えヒトIGF−1R(ヒスチジン標識バージョン)又はIGF−1R−Fcを、炭酸塩コーティング緩衝液(pH9.5)で250ng/ウエルの濃度に希釈したIMMULON2 HB(高結合性)Removawell strips(Dynex Technologies,Inc.,cat.#6302)を被覆した。4℃で一夜インキュベートした後に、ウエルを、洗浄用緩衝液(0.05%Tween 20/PBS)で3回洗浄し、次いでブロック用緩衝液(3%BSA/PBS)を用いて室温で1時間ブロックした。ブロック用緩衝液を除去し、ウエルを3回以上洗浄した。抗体、Fab、又はリガンド調剤を、希釈用緩衝液(1%BSA/0.05%Tween 20/PBS)で所定の濃度に希釈し、二重反復で、ウエル当たり50μlを入れた。室温で45分後に、50μlの希釈用緩衝液中の[125I]rhIGF−1又は[125I]rhIGF−2いずれかの100,000cpmを、ウエル当たりに加えた。これを、室温で1時間以上インキュベートした。ウエルを再度3回以上洗浄し、最後の洗浄後に放置して液体をなくした。風乾したウエルを、Isodataガンマカウンターを用いて算定した。
あるいは、IGF−1R−Fcをプレートに固定化した抗−ヒトIgGを使用して捕捉する改変捕捉アッセイにより、Fabを評価した。固定化は、ヤギ抗−ヒトIgG、Fcγフラグメント特異抗体(200ng/ウエル)を炭酸塩コーティング緩衝液中で一夜インキュベートすることによって行った。ウエルを洗浄し、ブロックし、250ngのIGF−1R−Fcをウエル当たりにつき加えた。
6種類の異なるFabのIGF−1又はIGF−2、あるいは両方のリガンドの結合を
ブロックする能力を、表3に示す。異なるブロッキング活性を有する上位6個のFabを、さらに分析するために選択した。
実施例4
FabはIGF−1及びIGF−2介在IGF−1Rリン酸化を阻害した
細胞系:ヒト乳癌細胞系MCF−7(NCI)を発現するIGF1Rを、10%FBS、1X非必須アミノ酸、2mMのL−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム及び1000U/mlペニシリン及びストレプトマイシンを含有するMEMイーグル(ATCC)中に、37℃及び5%COで保持した。細胞を、維持及びアッセイのために週に2回継培養し、最大12継で使用した。
MCF−7細胞を、ポリ−D−リシン被覆12ウエルプレート(BD Biosciences、#35−6470)の2ml増殖培地に細胞2×10〜4.0×10個/ウエルでプレートにまき、37℃、5%COで培養した。48時間で、培地を除去し、細胞血清を37℃、5%COで一夜枯渇させた(starved)。血清無含有培地を除去し、対照抗体又は試験抗体を、示した濃度で、350μlの新しい血清無含有培地血清に加え、室温又は7℃で1時間インキュベートした。Fabを、200nM、20nM及び2nMの濃度で試験し、mAbを67nM、6.7nM及び0.67nMで試験した。使用した市販抗−IGF−1R対照抗体は、αIR3(EMD biosciences、Oncogene Research products、#D27249)であった。13nMのヒト組換えIGF−1又は27nMのIGF−2(R & D Systems、#291−G1、#292−G2)を、35μl血清無含有培地を入れたウエルに加え、37℃で15分間インキュベートした。リガンドを、37℃抗体実験のために室温でインキュベートした。細胞を、1×細胞溶解用緩衝液(Cell Signal technologies、#9803)中で1mMのPMSFを用いて室温で1時間溶解した。
細胞溶解液を、IGF−1Rβ抗体(クローン1−2、Biosource International、#AHR0361)で予め被覆したELISAプレートに加え、2時間インキュベートした。その後にプレートを洗浄し、プレートに結合されたリン酸化受容体を、ビオチン標識抗−ホスホチロシン抗体4G10(カタログ#16−103、Upstate Cell Signaling Solutions(Lake Placid,NY(現在はMillipore,Concord,MA(USA)の一部門)及びストレプトアビジン−HRP(BD Pharmingen、#554066)を用いて検出した。アッセイは、TMB基質(KIERKEGAARD & PERRY、#50−76−00)を加えることによって展開し、4NのHSO(LabChem,Cat#LC25830−1)を加えることによって発色を停止させた。光学濃度を、Molecular Devicesプレートリーダーを使用して450nmで測定し、及びリガンド対照に対する阻害%を、それぞれの抗体−リガンド試料について算出した。
表3に、FabによるMCF−7細胞におけるIGF−1RのIGF−1及びIGF−2介在IGF−1Rリン酸化の阻害を要約する。合計16個のIGF−1RFabを、ELISAで受容体リン酸化の阻害について選別した。9個の抗体が、IGF−1、IGF−2又はその両方に対して200nMの濃度で“+”又はそれよりもよい陽性反応を示した。
これらの抗体を、量のスケールアップのために選別し、再び用量依存阻害反応について試験した。リガンド結合及び受容体リン酸化を阻害する能力に基づいて、4つのFabを、完全長抗体転換のリード候補として選択した(実施例6参照)。
図3(A及びB)は、上部の6個のIGF−1R Fabのスケールアップ物質のIGF−1Rリン酸化阻害を表す。
実施例5
INSRと対比したIGF−1Rに対する抗体結合特異性及び親和性
パートI:酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を使用する可溶性INSRと対比した可溶性IGF−1に結合する抗体の分析
ELISAアッセイを行い、インスリン受容体と対比した可溶性IGF−1RへのFabフラグメント抗体の特異結合を調べた。プレートを、10μg/mlのrh−IGF−1R(R & D Systems、#305−GR)又はrh−INSR(R & D
Systems、#1544−IR)で一夜被覆し、5%ミルクを用いてブロックした。抗体を、Fabについては2μM〜0.2nMの範囲で又はマウスMAbについては667〜0.067nMの範囲で、1:10連続希釈で加え、室温で1時間インキュベートした。結合された抗体を、FabについてはHRPO標識ヤギα−ヒトκ(Southern Biotechnology Associates、#2060−05)を用いて検出し、マウスMAbについてはヤギα−マウスIgG Fcγ(Jackson Immunoresearch、#115−035−164)を用いて検出した。発色を4NのHSOを加えることによって停止させ、光学濃度をMolecular Devicesプレートリーダーを使用して450nmで測定し、結合曲線を作成した。
IGF−1R Fabは、任意の濃度で可溶性インスリン受容体に特異的結合を示さなかった(表3)が、予測されたようにIGF−1R−Fcに対して良好な結合を示した。
図4(A及びB)は、Fab類、すなわちM14−B01、M14−C03及びM12−G04を用いて得られた代表的な結合曲線を例証する。同様の結合パターンが、M13−C06、M14−G11及びM12−E01について観察された(データは示さなかった)。
パートII:表面プラズモン共鳴(SPR)及び時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(tr−FRET)を使用する可溶性INSRと対比した可溶性IGF−1Rに結合する抗体の分析
可溶性ヒトIGF−1R及びインスリン受容体外部ドメインに対するM13−C06、M14−C03、及びM14−G11抗体の結合親和性を、表面プラズモン共鳴(Biacore)及び時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(tr−FRET)を使用して比較し;またM13−C06抗体が、インスリン受容体、マウスIGF−1R、又はヒトIGF−1R短縮型バージョン(すなわち、第1及び第2のロイシンに富む反復ドメイン並びにシステインに富む反復ドメインのみを含有するが、IGF−1Rの3つのフィブロネクチンIII形ドメインを欠くhIGF−1Rアミノ酸残基1−462)との優位な交差反応性を示さないことを実証した。
表面プラズモン共鳴(SPR)分析
SPR分析を、Biacore3000を使用して行った。この装置を25℃に設定し、アッセイを、Biacoreから購入したランニング緩衝液HBS−EP(pH7.2)(Biacore、Cat.No.BR−1001−88)を用いて行った。完全ヒト抗体M13−C06、M14−C03、及びM14−G11を、Biacore CM5
Research Gradeセンサーチップ表面に、Biacoreから提供されるプロトコルに従って標準NHS/EDC−アミン反応化学を使用して10,000RUに固定化した。固定化のために、抗体を、10mM酢酸塩pH4.0緩衝液に40μg/mLに希釈した。前記ヒト抗体のそれぞれに対するヒトIGF−1R(1−902)−His10(hIGF−1R−His10(R&D systems))及びヒトINSR
(28−956)−His10(INSR(R&D systems))の完全長の外部ドメインの結合及び解離の相対速度を調べるために、IGF−1R−His10又はINSRの濃度を上昇させながらセンサーチップ表面に注入した。hIGF−1R−His10濃度系列は、1.0nMから250nMまでの範囲にわたり、これに対してINSR濃度は、1.0nMから250μMまでの範囲にわたった。全ての抗体表面を、100mMグリシン(pH2.0)で確実に再生させた。反復された再生は、抗体表面のいずれにも活性喪失を招かなかった。流は、20μl/分であった。(“His10”は、組立て体のC末端の10−残基ヒスチジン標識を表す。)
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(tr−FRET)アッセイ
MGF−1R−His10及びM13−C06を、色素製造業者のプロトコルに従って標準NHS化学を使用して、Cy5及びユーロピウムキレートそれぞれに共有的に結合体化させた。数種の非標識可溶性外部ドメイン受容体競合剤、(1)hIGF−1R−His10、(2)ヒトIGF−1R(1−903)−FlagHis10(hIGF−1R−FlagHis10、Biogen Idec)、(3)ヒトIGF−1R(1−903)−Fc(hIGF−1R−Fc、Biogen Idec)、(4)ヒトIGF−1R(1−462)−Fc(hIGF−1R(1−462)−Fc、Biogen Idec)、(5)マウスIGF−1R(1−903)−Fc(mIGF−1R−Fc、Biogen Idec)又は(6)INSRの6.25μg(50μlの125μg/ml原液)で開始する連続希釈液を、96−ウエルマイクロタイタープレート(Costarからのblack)中で0.1μgのhIGF1R−His10−Cy5(25μlの4μg/ml原液)及び0.075μgのEu−C06(3μg/ml原液の25μl)と混合した。タンパク質濃度に関して各色素の吸光度で測定されるように、hIGF−1R−His10−Cy5についての複合濃度は6.8:1(Cy5:IGF−1R−His10)であり、Eu−C06については10.3:1(Eu:C06)であった。全容量は、各試料について100μlであった。プレートを、プレート攪拌機で、室温で1時間インキュベートした。蛍光測定は、Wallac Victor蛍光プレートリーダー(Perkin Elmer)で、LANCEプロトコルを使用して、340nmの励起波長及び665nmの発光波長を用いて行った。全ての組立て体は、少なくとも二重反復で試料採取した。
全てのBiogen Idecで誘導された可溶性IGF−1R受容体外部ドメイン組立て体を、CHO発現用のBiogen Idec PV−90ベクターに記載の方法(Brezinskyら、2003)を使用してサブクローン化した。C末端IgG−Fc標識を含有する各受容体は、前記のようにして単一のプロテインASEPHAROSE FFTM(GE Heathcare)工程を使用して親和性精製した。hIGF−1R−FlagHis10は、前記(Demarestら、2006)のようにしてNi2+−アガロース(Qiagen)を使用して精製した。
結果
完全ヒト抗−IGF−1R抗体、M13−C06、M14−C03、及びM14−G11を、可溶性IGF−1R及びINSR外部ドメイン組立て体に対するこれらの競合結合活性について、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して評価した。hIGF−1R−His10及びINSRを、固定化抗体表面に同じプロトコルを使用して注入した。hIGF−1R−His10は、最も低い濃度0.5nMでも3つの抗−IGF−1R抗体全部に結合することを実証した(データは示さない:濃度は1〜250nMにわたり、及び受容体注入相(phase)は、400−2200秒であり、次いで緩衝液解離相及びその後のグリシンpH2.0による再生であった)。hIGF−1R−His10結合は、M13−C06表面に対して最も強かった。それに対し、INSRは、2μMほどの高い濃度の受容体でさえもM13−C06表面に対してほとんど活性を実証しなかった(IGF−1R結合について観察されたよりも>10000高い(データは示さない:濃度は1.0nM〜2μMにわたり及び受容体注入相は、500−1000秒であり、次いで緩衝液
解離相であった)。M14−C03及びM14−G11表面もまた、INSRに対してほとんど結合活性を実証しなかった。
次に、M13−C06に対する種々の組換えIGF−1R及びINSR組立て体の親和性を、競合系tr−FRETアッセイを使用して調べた。全ての組換え受容体組立て体(以下に記載)について最も適合した結合曲線を調べた(データは示さない)。全てのデータが、対応IC50値を測定した1つの部位結合モデルに適合した。3つの完全長ヒトIGF−1R外部ドメイン組立て体(hIGF−1R−Fc、hIGF−1R−His10、及びhIGF−1R−FlagHis10)全部が、2.9μg/ml、2.0μg/ml、5.2μg/mlのIC50値それぞれと濃度に依存した様式で競合した。短縮型ヒトIGF−1R(1−462)−Fc組立て体、完全長マウスIGF−1R−Fc組立て体、及び完全長ヒトINSR−His10組立て体は、Cy5−標識hIGF−1R−His10を、組換え完全長ヒトIGF−1R組立て体のIC50よりも100倍高い濃度で阻害せず、これら前者の組立て体が、後者の完全長ヒトIGF−1Rと比べてM13−C06に対して顕著な結合反応性を示さないことを示唆した。
パートIII:可溶性ヒト対マウスIGF−1Rに対するM13−C06抗体の相対結合親和性
マウスIGF−1Rと対比したヒトIGF−1Rに対するM13−C06の相対結合親和性を比較した。表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、マウスIGF−1RFc及びヒトIGF−1RFcに対するM13−C06の親和性を調べた。実験は、25℃に設定したBiacore 3000で、HBS−EP(Biacore、Cat.No.BR−1001−88)をランニング緩衝液として使用して行った。抗−ヒトIgG−Fc抗体(Biogenesisからの2C11、Cat.No.5218−9850)を、Biacore CM5チップ(Cat.No.BR−1000−14)表面にHBS−EP緩衝液中500nMで注入することによって固定化させ飽和させた。mIGF−1R−Fc又はhIGF−1R−Fcを、チップ表面に40μLの20nM受容体を3μL/分で注入することによって捕捉させた。受容体の捕捉後に、40μLのM13−C06Fabを3μL/分で注入した。Fabの解離を、27分間測定した。Fabを25nMから0.4nMまで連続希釈して、濃度依存速度結合曲線を得た。それぞれの注入系列の間の表面チップの再生を、100mMグリシンpH2.0の60μL/分で3×10μLの注入を使用して行った。それぞれの曲線を、(1)抗−IgG抗体2C11を欠いたCM5チップ表面から得たデータ及び(2)受容体の1次注入、次いでHBS−EP緩衝液の2次注入から得たデータを使用して、二重に参照した。各受容体についてのM13−C06Fabの濃度系列は、製造業者のBiaEvaluationソフトウエア内に提供された1:1結合モデルに適合させた。mIGF−1R−Fcに結合するM13−C06のkを得るために、実験を、M13−C06Fabを25nMで用い及びmIGF−1R−Fcを20nMで用いて反復した。元のプロトコルの唯一の変化は、3時間までの解離時間の延長であった。
結果
M13−C06Fabを、MGF−1R−Fc又はmIGF−1R−Fcを含有するBiacore表面に加えて、前記2種類の受容体に対する抗体の相対親和性を調べた。C末端IgG1−Fc標識の存在は、IGF−1R−Fc受容体組立て体のさらなる多量体化をもたらす(データは示さない);従って、結合モデルの適合は、各受容体に対するM13−C06の相対親和性又は見かけ親和性の尺度を提供する。ヒト及びマウスIGF−1R Fcに対するM13−C06Fabの親和性が、0.978nM及び89.1nMそれぞれであることが認められた。マウスIGF−1Rに対する結合の100倍の低下は、結合曲線及び解離曲線、速度定数、及び平衡解離定数を示す図27AとBを比較した場合に容易に明らかである。図27Aは、ヒトIGF−1Rに対するM13−C06Fabの濃度依存結合特性を表す(k(1/Ms)=8.52e5M−1−1;k(1/
s)=8.33e−4s−1;及び、K=9.78e−10M)。図27Bは、mIGF−1R−Fcに対するM13−C06Fabの遅い結合及び解離結合特性を表す(k(1/Ms)=471M−1−1;k(1/s)=4.20e−5s−1;K=8.91e−8M)。mIGF−1R−FcからM13−C06Fの極めて遅い解離により、動力学的解離速度定数、k、は、最初のデータセットを使用して測定することができなかった。第2の実験は、3時間の解離時間を使用して行って解離速度定数、4.20e−5s−1のkを、これを使用して元のデータセットから平衡解離定数、K、(上記)を得た。C末端IgG1−Fcタグの存在は、IGF−1R−Fc受容体組立て体のさらなる多量体化をもたらす(データは示さない);従って、各受容体に対するM13−C06の相対親和性又は見かけ親和性の尺度を提供する。
パートIV:M13−C06完全長抗体は、哺乳動物細胞中で発現されるIGF−1Rを特異的に結合するが、INSR結合しない。
組換えIGF−1R及びインスリン受容体(IR)を、独立して哺乳動物細胞(3T3又はCHO)中で発現させた。細胞を、1%トリトンX−100を用いて溶解し、受容体を、陰性対照抗体(IDEC−151)、M13.C06.G4.P.agly抗体(C06)、M14−G11.G4.P.agly抗体(G11)、又はINSR抗体(α−IR)に結合させたプロテインA/Gビーズを用いて免疫沈降させた。抗体/抗原結合体を、酸処理によってビーズから放出させ、トリス−グリシンSDS−PAGEゲルに加え、ニトロセルロース膜にブロットした。検出を、マウス抗−ヒト1R(図26A)又はマウス抗−ヒトIGF−1R(図26B)及びヤギα−マウスIgGを使用して行った。結果:M13.C06.G4.P.agly抗体は、哺乳動物細胞中で発現されるIGF−1Rを特異的に結合するが、INSRを結合しない。
実施例6
完全長の抗−IGF−1RIgGの組み立て
4つのFabを、IgG4.P.aglyバージョンに変え、CHO細胞中で発現させた。4種類の抗−IGF−1R Fabs−M13−C06(図5(A)−(D))、M14−C03(図5(E)−(H))、M14−G11(図5(I)−(L))、及びM14−B01(図5(M)−(P))をコードするDNA配列を、ヒト抗体ファージライブラリー(Dyax Corp)から、組換えヒトIGF−1R外部ドメイン−Fc融合タンパク質に対するバイオパニングによって選択した。4種類の抗−IGF−1R Fabのそれぞれは、V3−23ヒト重鎖生殖系列フレームワークを含有し、κ軽鎖であった。Fab遺伝子配列を使用して、哺乳動物細胞中で抗体産生用のpV90AS発現ベクター系を使用して完全長の抗−IGF−R1抗体をコードする発現プラスミドを組み立てた。pV90ASは、一次転写産物の交互スプライシングによって単一のプロモーターから2個の転写物を生成させるために設計された部分改変pV90発現ベクターである(参照:USPTO出願WO2005/089285号)。天然CMVスプライス供与体を、抗体軽鎖コード化転写物を生成させるために部分損傷スプライス受容体に、又は抗体重鎖コード化転写物を生成させるために天然CMVスプライス受容体にいずれかにプライシングする。部分損傷スプライス受容体は、類似量の重鎖及び軽鎖転写物の両方をもたらすために操作されている。それぞれの抗−IGF−1R Fab(M13−C06;M14−C03;M14−G11及びM14−B01)の軽鎖可変領域(VL)及び定常領域(CL)(配列番号:153及び154、図5(Y)−(Z))を、PCRで増幅した(表7)。5’軽鎖PCRプライマーIGF1R−FKは、Nakamura Tら、Int
J Immunopharmacol.22:131−41(2000)(これは、その全てが参照として本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って、VL領域のアミノ末端に対応する配列に対して枠内に、Sfi I制限エンドヌクレアーゼ部位、その後に免疫グロブリン軽鎖シグナルペプチドをコードする配列MDMRVPAQLLGLLLL
WLPGARC(配列番号:157)を含有していた。4つの成熟IGFlR軽鎖配列は全て同一のアミノ末端を有していた。3’軽鎖PCRプライマーIGF1R−RKは、CL領域のカルボキシル末端に対応する配列とAsc I部位とを含有していた。PCR生成物を、アガロースゲルQIAquick GelExtrationキットプロトコル(QIAGEN CA)を使用する電気泳動と抽出とによって精製し、制限エンドヌクレアーゼSfi I及びAsc Iを用いて消化し、Sfi I/Asc I消化pHLP025ベクター(Holly Prentice)と連結した。pHLP025ベクターは、天然CMVスプライス供与部位配列、部分損傷スプライス受容部位配列、及びポリAシグナル配列の他に、Sfi I/Asc I消化PCRフラグメントとして、抗体軽鎖(シグナルペプチド−VL−CL)受け入れるためのSfi I/Asc I制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する(参照:USPTO出願WO2005/089285号)。
それぞれの抗−IGF−1R Fab(M13−C06;M14−C03;M14−G11及びM14−B01)の重鎖可変領域(VY)を、PCRで増幅した。5’重鎖PCRプライマーIGF1R−FHは、前記のようなVH領域のアミノ末端に対応する配列に対して枠内に、Nco I制限エンドヌクレアーゼ部位、その後に合成重鎖シグナルペプチドをコードする配列MGWSLILLFLVAVATRVLS(配列番号:122))を含有していた。3’重鎖PCRプライマーIGF1R−RHは、VH領域のカルボキシル末端に対応する配列とSfi I部位とを含有していた。PCR生成物を、QIAquick GelExtrationキットプロトコル(QIAGEN CA)を使用するアガロースゲル電気泳動と抽出とによって精製し、制限エンドヌクレアーゼNco I及びSfi Iを用いて消化し、Nco I/Sfi I消化pHLP029ベクター(Holly Prentice)と連結した。pHLP025ベクターは、上流ポリAシグナル配列、天然CMVスプライス受容部位配列、及び下流ポリAシグナル配列の他に、Nco I/Sfi I消化PCRフラグメントとして、抗体シグナルペプチド−VH配列受け入れるためのNco I/Sfi I部位を含有する(参照:USPTO出願WO2005/089285号)。
pHLP025中の(Sfi I部位−軽鎖シグナルペプチド−抗−IGF−1R VL及びCL)をコードする配列及びpHLP029中の(重鎖シグナルペプチド−抗−IGF−1R VH−Sfi I部位)をコードする配列を、単一のDNAフラグメント中に、PCR増幅によって、前記の5’軽鎖IGF1R−FK PCRプライマー及び3’重鎖VH IGF1R−RH PCRプライマーを使用して両方のベクター中に存在する共通重複配列を介して、組み立てた。得られたPCR生成物を、QIAquick GelExtrationキットプロトコル(QIAGEN CA)を使用するアガロースゲル電気泳動と抽出とによって精製し、制限エンドヌクレアーゼSfi Iを用いて消化し、Dra III消化pXWU007ベクターと連結した。手短に言えば、pXWU007は、最初にIgG4ヒンジ領域にS228P変異を含有し且つC2ドメインにT299A突然変異を含有するAge I/BamHIヒトIgG4定常領域フラグメント、EUナンバリング方式(Kabat,E,Wu,TT,Perry,HM,Gottesman,KS,Foeller,C:Sequences of Proteins of
Immunological Interest.Bethesda,US Department of Health and Human Services,NIH、1991)(配列番号:155及び156、図5(AA)−(BB))を、プラスミドpEAG1808(Ellen Garberから提供された)からAge I/BamHI消化pHLP028ベクターにサブクローニングすることによって組み立てた。pHLP028は、前記の単一のSfi I−消化PCR生成物を受け入れるためのDra III部位を含有するために変性されたV90 IgG4ベクターである(参照:USPTO出願WO2005/089285号)。
得られたプラスミドは、交互スプライシングの際に翻訳的に活性な抗体重鎖及び軽鎖mRNAをほぼ化学量論的な量で生じる2シストロン転写物を産生する。完全長アグリコシル化ヒト抗−IGF−1R IgG4.P抗体を産生するための中間体及び発現ベクターを、表8に示す。正確な配列を、DNA配列分析によって確認した。哺乳動物細胞でのプラスミドpXWU020、pXWU022、pXWU024、及びpXWU025から完全長抗体の発現は、安定なアグリコシル化ヒトIgG4.P抗体の産生をもたらす。
表7.ヒト抗体ドメインのPCR増幅用のオリゴヌクレオチド
フォワード5’軽鎖PCRプライマーは、Sfi I制限エンドヌクレアーゼ部位(下線を付した)及び軽鎖シグナルペプチドをコードする配列を含む;
リバース3’軽鎖PCRプライマーは、Asc I部位(下線を付した)を含む。
フォワード5’重鎖可変PCRプライマーは、Nco I制限エンドヌクレアーゼ部位(下線を付した)及び重鎖シグナルペプチドをコードする配列を含む。
リバース3’重鎖可変PCRプライマーは、Sfi I部位(下線を付した)を含む。
実施例7
哺乳動物細胞において向上した発現のための完全長抗−IGF−1Rの組立て
抗体発現収率及び生成物の品質を向上させるために、抗−IGF−1R Fab、すなわちM13−C06、M14−C03、M14−G11、及びM14−B01から元のVH遺伝子配列を修飾した。最初に、抗−IGF−1R VH配列を、公表配列認識プログ
ラム(www.tigr.org/tdb/GeneSplicer/gene_spl.html(The Institute for Genopmic Research、9712 Medical Center Drive,Rockville,MD
20850)、www.fruitfly.org/seq_tools/splice.html)(Martin G.Reese及びFrank H.Eeckman,Lawrence Berkeley National Laboratory,Genome Informatics Group,1 Cyclotron Road、Berkeley、CA、94720;また、Reese MG,Eeckman,FH,Kulp,D,Haussler,D,1997.“Improved Splice
Site Detection in Genie”.J Comp Biol 4(3),311−23.も参照)を用いて推定スプライス部位を含有する配列について分析した。次に、抗−IGF−1R Fabの重鎖可変領域のコドンを、元の抗−IGF−1R VHポリペプチド配列の変化に何ら遭遇することなくCHO細胞で首尾よく発現されている抗体からの同じKabat位置に対応するコドンで置換した。この第2の工程は、主に推定スプライス部位を除去するが、別のスプライス部位分析、次いで同義語コドン交換が行われて推定スプライス部位が存在するという予測された可能性を減少させる。
抗−IGF−1R Fab − M13−C06(配列番号:18、図5(Q))、M14−C03(配列番号:30、図5(S))、M14−G11(配列番号:36、図5(U))、及びM14−B01(配列番号:24、図5(W))の配列最適化VH配列を有する枠内の合成重鎖リーダーをコードするDNAフラグメントを、商業プロバイダー(Blue Heron Biotechnology,Inc.Bothell WA)から化学合成二本鎖DNA配列として得た。5’及び3’におけるNco I及びSfi
I制限エンドヌクレアーゼ部位は、前記合成フラグメント内に含有されていた。前記リーダー及び抗−IGF1R配列最適化VH領域フラグメントを、実施例6に記載のようにしてNco I/Sfi I消化pHLP029ベクター内にクローン化した。pHLP025中の適切な対応軽鎖を用いた組み換え、その後の及び単一フラグメントのpXWU007へのクローニングは、上記の実施例6に記載の通りである。配列最適化完全長アグリコシル化ヒト抗−IGF−1R IgG4.P抗体を産生する発現組立て体を、表9に示す。正確な配列は、DNA配列分析で確認した。哺乳動物細胞におけるプラスミド系列pXWU029−pXWU032由来の完全長抗体の発現は、安定なアグリコシル化ヒトIgG4.P抗体の産生をもたらす。
実施例8
IGF−1R抗体の一時的発現及び特性決定
プラスミドDNAを使用して、抗体タンパク質の一時的な産生のためのCHO DG44細胞を形質転換させた。20μgのプラスミドDNAを、4×10個の細胞と、0.
4mLの容量の1×PBS中で一緒にした。この混合物を、0.4cmキュベット(BioRad)に加え、氷の上に15分間置いた。細胞を、ジーン・パルサー・エレクトロポレーター(Gene Pulser electroporator)(BioRad)を用いて600uF及び350ボルトで電気穿孔した。細胞を、CHO−SSFM II培地と100uMヒポキサンチン及び16uMチミジンを入れたT−25フラスコに入れ、37℃で4日間インキュベートした。上清を、収集し、ウェスタンブロットで生化学的に特性を決定し、抗原結合についてELISAで試験した。
あるいは、選択したFabを完全長ヒトIgG4.Pバージョンに変換し、異なるベクター系を使用して以下に記載の方法で発現させた。5種類の異なる抗−IGF1R Fab抗体、すなわちM12−E01、M12−G04、M13−C06、M14−C03、及びM14−G11をコードするDNA配列を、完全長ヒトIgG4.Pの発現のためのベクターに移した。5種類の抗体全てはVH3−23ヒト重鎖生殖系列フラグメントを使用する。可変重鎖を、可溶性Fab発現ベクターから制限酵素Mfel及びBstEIIで消化することによって取り出した。得られたフラグメントを、QIAquick GelExtrationキット(QIAGEN CA)を使用するアガロースゲル電気泳動によって精製し、Mfel/BstEII消化pRR253ベクター(Rachel Rennard)に連結した。得られたプラスミドは、重鎖シグナルペプチド(MGWSCIILFLV AT ATGAHS、配列番号:127)、その後にヒト用の抗−IGFIR VH及びIgG4.P定常領域を含有する。
5種類の抗体のうち4つの抗体M12−G04、M13−C06、M14−C03、及びM14−G11は、κ軽鎖を含有する。可変軽鎖を、プライマーを用いてPCRで増幅して、可変領域のEcoRV部位5’及びBsgl部位3’に導入した。得られたPCRフラグメントを、QIAquick GelExtrationキット(QIAGEN CA)を使用するアガロースゲル電気泳動によって精製し、TOPO2.1 TAベクター(Invitrogen、CA)に連結した。可変κ軽鎖を、TOPOベクターから制限酵素EcoRV及びBsglで消化することによって取り出し、精製した。フラグメントを、免疫グロブリン軽鎖シグナルペプチド(MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC、配列番号:128)及び定常領域κドメインを含有するEcoRV/BsgI消化pRR237ベクターに連結した。得られたベクターを、BamHI及びNotIで消化し、発現カセット全体(シグナル配列、可変領域及び定常領域κドメイン)、を精製し、BamHI/NotI消化pRR223に連結した。
M12−E01抗体は、λ軽鎖を含有する。可変軽鎖を、PCRで増幅して、可変領域のAgel部位5’に導入した。得られたPCRフラグメントを、QIAquick GelExtrationキット(QIAGEN CA)を使用するアガロースゲル電気泳動によって精製し、TOPO2.1 TAベクター(Invitrogen、CA)に連結した。可変λ軽鎖を、TOPOベクターから制限酵素AgeI及びAvrIIで消化することによって取り出し、精製した。フラグメントを、免疫グロブリン軽鎖シグナルペプチド(METDTLLLWVLLLWVPGSTG、配列番号:129)及び定常領域λドメインを含有するAgeI/AvrII消化pXW347ベクター(Xin Wang)に連結した。得られたベクターを、NotIで消化し、発現カセット全体(シグナル配列、可変領域及び定常領域λドメイン)、を精製し、NotI消化pRR223に連結した。
プラスミドDNAを使用して、抗体タンパク質の一時的発現のための293E細胞に移入した。1.2μgのそれぞれ(重鎖及び軽鎖)プラスミドDNAを、2×10個の細胞に、QiagenのEffectene Transfection Protocol(Qiagen、CA)を用いて移入した。細胞を37℃で3日間インキュベートした
。上清を収集し及び完全長抗体をウェスタンブロット法及びELISA法で確認した。完全IgG4.PのIGF−1Rを結合する能力を、ELISAで確認した。
実施例9
抗−IGF−1R抗体産生CHO細胞系の発生
本実施例は、完全長ヒンジd−修飾aglyガンマ4、κ(本明細書において“agly.IgG4.P”又は”G4.P.agly”という)抗体としてFabM13−C06の結合ドメインを含有する抗−IGF−lR抗体の発現の詳細な説明を提供する。本明細書に記載の別のFab、すなわち表3に記載のFabを同様の方法で発現させた。M13−C06の可変領域及び定常領域は、ヒトは配列起源のものである。軽鎖及び重鎖可変領域全体は、DYAXファージディスプレイ法でヒトIGF−1Rに対して生じたFabから誘導される。可変領域及び軽鎖定常領域を、交互(alternate)スプライス発現ベクターにサブクローンした。交互スプライス立体配置は、1つのスプライスを、それぞれのスプライス受容体が前記2つの鎖の1つをコードする転写物を生じる2つのスプライス受容体と共に使用することによって、軽鎖及び重鎖を連結する。免疫グロブリン遺伝子をコードする発現ベクターDNAを、インスリン依存性チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO DG44i)に電気穿孔した。CHOトランスフェクトーマ(細胞系40B5)を産生用に選択した。
pXWU007−“空(empty)”発現ベクターは、哺乳動物細胞において遺伝子発現のためのヒトγ4定常領域(重鎖)並びに別個のプロモーター−エンハンサー及びポリアデニル化領域を有するが、可変領域を含有していない。発現され、翻訳された場合には、重鎖ポリペプチドは、2個のアミノ酸置換、S228P及びT299Aを含有し、それぞれ“半抗体”の形成を抑制し且つN−結合グリコシル化を除外する。
M13−C06の軽鎖遺伝子の対応する可変領域(VL)及び定常領域(CL)並びにM13−C06の重鎖遺伝子の可変領域(VH)由来の相補的DNAを、発現ベクターpXWU007中にクローン化した。前記pXWU007ベクターは、ヒト重鎖定常領域のすぐ上流の全軽鎖及び可変重鎖cDNAを挿入するためのクローン部位を含有する。Ig遺伝子の他に、この発現ベクターは、哺乳動物細胞において選別のために使用できるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子を含有する。
次いで、得られた発現ベクターを、CHO細胞に移入して抗−IGF−1R分泌CHO細胞系(40B5)の生成を開始させた。
PXWU022をCHO細胞中に電気穿孔した。免疫グロブリン軽鎖特異的PCRプライマーを使用して、Fab軽鎖cDNAをPCR増幅した。5’特異的オリゴ配列は、Biogen Idec抗−CD23分子の軽鎖由来の天然シグナルペプチドを含有していた。5’及び3’オリゴ配列は、中間体ベクター(pHLP025)中にサブクローンニングするために、Sfi I及びAsc I制限エンドヌクレアーゼ認識配列それぞれを含有していた。VH cDNAを、合成重鎖シグナルペプチドを含有していた5’オリゴ配列を使用してPCR増幅した。5’及び3’オリゴ配列は、中間体ベクター(pHLP029)中にサブクローンニングするために、Nco I及びSfi I制限エンドヌクレアーゼ認識配列それぞれを含有する。
軽鎖5’及びVH3’オリゴ及びpHLP025及びpHLP029を鋳型として使用して重複PCRを、軽鎖及びVH領域を一つのcDNAセグメントとして組み合わせるために用いた。得られた産物を、pXWU007のDra HI部位にサブクローン化し、このようにして最終的交互スプライス発現ベクターpXWU022を作製した。交互スプライス立体配置は、一次転写産物の交互スプライシングによって単一のプロモーターから
2つの転写物を生成する。天然CMVスプライス供与体は、軽鎖コード転写物を生成するために次善のスプライス受容体か、又は重鎖コード転写物を生成するために天然CMVスプライス受容体か、いずれかにスプライスされる。前記次善のスプライス受容体は、両方の転写物を同様の量で生成するために設計されている。
DNAベクター(pXWU022)は、CHO細胞への電気穿孔に先立ってHEBS緩衝液中で700ng/μLの濃度で調製した。5回の電気穿孔を、種々の濃度のDNA(15、20、30、40、及び45μg)を使用して行った。それぞれの電気穿孔は、0.7ml滅菌HEBS緩衝液中の4×10対数期CHO細胞及び0.1mLのHEBS中のDNA(0.8mL全容量)を入れた廃棄可能な0.4cmキュベット(Invitrogen)で行った。細胞に、290ボルト、950マイクロファラデーに設定したBio−Rad Gene Pulser XCELLを使用してショックを与えた。次いで、ショックを受けた細胞を、室温で10分間放置し、次いで10mLの室温のインスリン無含有CHOM16倍地と混合し、遠心分離し(3’1000rpmで)、アスピレーターで吸引した。次いで、細胞を、12mL(室温)のインスリン無含有CHOM16倍地に再懸濁し、T−75組織培養フラスコに移した。
細胞及び培地:電気穿孔に先立って、前記CHO細胞を、1Xヌクレオシドを添加した血清無含有培地(CHOM24)中で増殖させた。CHOM24は、動物成分を何ら含有さない自家製合成培地製剤である。メトトレキセート選別を、ヌクレオシド無含有CHOM16及びCHOM24合成培地中で行った。
電気穿孔の後に、4×10個のCHO細胞を、T−75フラスコにプールした。DHFR発現について選別を、ヌクレオシド無含有培地に種するにつれて直ちに開始した。細胞を、最終的にCHOM24中で125mL振盪フラスコに増やした(3週間)。クローン細胞系を単離するために、前記の移入した安定なプールを希釈し、4つの96ウエルプレートの200μLのCHOM16に1細胞/ウエルで種した。プレートを、抗体力価について選別するまで、36℃で維持した。
CHOクローンを、免疫グロブリン産生について、細胞上清をヒトκ鎖に特異的なELISAを使用してアッセイすることによって選別した(種後21〜28日目)。ELISAで使用した捕捉抗体は、ポリクロナールヤギ抗−ヒトIgG(SouthernBiotech)であり、検出抗体は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(SouthernBiotech)に結合体化させたポリクロナールヤギ抗−ヒトκであった。最も多い量の免疫グロブリンを分泌するクローンを増殖させた。
種した1920ウエルの合計381個のほぼ密集したウエルを、アッセイした。381ウエルのうち、60ウエルは、さらに調べるために増殖させ、これら60ウエルのうち、4ウエルを増幅のために選択した(15A7、40B3、40B5、40F6)。
実施例10
完全ヒト抗−IGF−1R IgG4.P.agly抗体の精製及び特性決定:
CHO細胞中で産生した抗体を、以下に記載の方法で精製し、特性決定した。
プロテインA捕捉:プロテインAカラムを1X PBS(平衡用緩衝液)を、3カラム容量について100〜150cm/時間で用いて予め平衡化した。上清を、樹脂ミリリットル当たり最大10mgのαIGF−1Rを用いて150cm/時間で充填した。充填後に、カラムを、5カラム容量の平衡用緩衝液で洗浄した。次いで、100mMグリシン(pH3.0)を用いて上向き方向で段階的に溶出した。所望の画分を採取し、2Mトリス塩基で中性pHに滴定した。採取した画分を1XPBSに対して透析し、サイズ排除工程
用に調製するために物質を濃縮した。
SUPERDEXTM200(サイズ排除)凝集物除去工程は、SUPERDEXTM200の1.5カラム容量の1X PBSを36cm/時間の流での平衡、次いでタンパク質の装填及び所望の画分の採取を含んでいた。
同一性試験は、以下の通りに行った:
1)分子量測定をエレクトロスプレー質量分析計(ESI−MSD)で行う質量分析による完全(intact)質量分析。分析に先立って、試料を還元してジスルフィド結合を除去した。デコンボリューション処理質量スペクトルは、重鎖及び軽鎖の質量を表す。
2)N末端配列分析は、オンラインPTHアナライザーを備えたABIタンパク質配列決定装置を使用してエドマン分解により行った。軽鎖及び重鎖の初期アミノ酸について配列を確認した。
3)質量分光分析によるペプチドマッピング:トリプシン分解及び/又はEndoLysCペプチドマップ作成を行って、各ペプチドから得られたLC/MSデータの分析によって完全配列範囲を得た。さらに、酸化及び脱アミド化の部位及び量の決定を検出した。
純度試験は、以下によって行った:1)SDS−Page又はCE−SDS:還元及び非還元試料、この方法を使用して、抗体フラグメンテーション、凝集及び不純物を測定した、2)LS及びRI法を用いたSEC−HPLCを使用して、凝集及びフラグメンテーションを測定し、及び光散乱は試料成分の分子量を測定する。3)SDSゲル又はキャピラリーEEF方法を使用して、C−及びN−末端異質性及び/又は脱アミド化から得ることができる帯電イソ型の等電位点電気泳動パターン及びpi分布を測定した。
最後に、内毒素濃度を、カブトガニ変形細胞溶菌液(LAL)動態比濁法で測定した。
図6は、完全ヒトM13−C06及びM14−C03抗体のG4.P.aglyバージョンの非還元及び還元SDS PAGE分析を表す。抗体M13−C06、M14−C03、M14−B01、及びM14−G11のG4.P及びG4.P.aglyバージョンの両方が、産生された。M12−E01及びM12−G04がG4.Pバージョンとして産生された。
実施例11
完全ヒト抗−IGF−lR抗体の結合活性
抗体のG4.P.agly及びG4.Pバージョンの可溶性IGF−1Rに対する結合活性を、ELISAで試験した。0.025M炭酸塩緩衝液pH9.6中の2.5μg/mlの可溶性IGF−1受容体融合タンパク質(Biogen Idec)を、96ウエル(IMMUL0N2 HB、Dynex Technologies,Inc.,Cat.#3455)プレートに50μl/ウエルで塗布し、4℃で一夜インキュベートした。プレートを、Skan Washer 300(Skatron Instruments)中0.025%Tween 20を加えたリン酸緩衝食塩水(PBS、Irvine Scientific,Cat#9240)(pH7.4)で洗浄し、1%脱脂乳、PBS中0.05%Tween 20を含有する緩衝液(pH7.4)でブロックし、次いで室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを、Skan
Washer 300中0.025% Tween 20を加えたPBSで洗浄した。アッセイのために、可溶性IGF−1受容体塗布プレートを、次いで、種々の濃度の対照及び試験抗体と共にインキュベートし、1%脱脂乳、PBS中0.05%Tween 20に50μl/ウエルで希釈した。室温で1時間インキュベーションの後に、プレートを、Skan Washer 300中0.025% Tween 20を加えたPBSで
洗浄した。ヤギ抗−ヒトκ−HRP(Southern Biotech Cat#2060−05)の、1%脱脂乳、PBS中0.05%Tween 20の200倍希釈液を、結合抗体を検出するために50μl/ウエルを加えた。室温で1時間インキュベートしたプレートを、Skan Washer 300中0.025%Tween 20を加えたPBSで洗浄した。TMB溶液(KIRKEGAARD & PERRY LABS,INC.cat:50−76−00)を100μl/ウエルの量で加え、2分後に50ul/ウエルの4NのHSO(LabChem,Cat#LC25830−1)を用いて反応を停止させた。吸光度を、Molecular Devicesプレートリーダーを使用してTMBについて450nm、バックグラウンド540nmで測定した。データを、SOFTMAX PROソフトウエア・パッケージ・バージョン4.3LS(Molecular Devices Corp.)を使用して解析した。
図7(A)は、M13−C06、M14−C03、M14−G11、M12−E01及びM12−G04のG4バージョンの濃度依存性結合を表し、これに対して対照抗体IDEC−151(G4.P)は、IGF−1R.Fcに対して何ら結合を示さなかった。
図7(B)は、ELISAによる可溶性IGF−1R.Fcに対するM13−C06、M14−C03及びM14−B01のG4.P.aglyバージョンの濃度依存性結合を表す。陰性対照として使用した無関連特異性をもつG4.P抗体(IDEC−151)は、IGF−1R.Fcに対して何ら結合を示さなかった。
腫瘍細胞で発現される野生型IGF−1Rに対するヒト抗体の結合活性を、フローサイトメトリーで測定した。腫瘍細胞系MCF−7及びCalu−6を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Irvine Scientific、Cat#3000A)及び50μ/mlのゲンタマイシン(Gibco Invitrogen、Cat#15750−060)を補足したイーグルの最少必須培地(ATCC、Cat#30−2003)で培養した。Panc−1、Colo−205、NCI−H23及びZR−75を、10%FBS及び50μg/mlのゲンタマイシンをしたRPMI−1640(ATCC、Cat#30−2001)で培養した。トリプシン−EDTA(Sigma、Cat#T4049)溶液を。培養容器から付着細胞を取り出すのに使用した。
細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)(Irvine Scientific、Cat#9240)(pH7.4)で2回洗浄し、トリプシン処理し、PBS及び10%FBSで1回洗浄した。細胞を、FACS緩衝液(PBS中0.05%アジ化ナトリウム、2%FBS、10%正常ヤギ血清及び100μg/ml正常ヤギIgG)中に細胞10個/mlに調整し、氷の上に少なくとも15分間置いた。対照及び試験抗体を、Corning 3790プレートに分別した。細胞を50μl/ウエルで、Corning 3799プレートに加えた。Corning 3790プレートから一次抗体を50μl/ウエルで、Corning 3799プレートのそれぞれのウエルに加えた。次に、細胞(細胞0.5×10個/試料)を氷の上で45分インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを、1500rpmで4分間遠心分離し、次いで上清をアスピレーターで吸引した。細胞を、150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。プレートを、1500rpmで4分間遠心分離し、次いで上清をアスピレーターで吸引した。ヤギ抗−ヒトIgG−RPE(Southern Biotech Cat#2040−09)のFACS緩衝液への750倍希釈液を、100μ/ウエルで加えた。次に、細胞(細胞0.5×10個/二次抗体)を、氷の上で45分インキュベートした。7AAD(Molecular
Porbes、Cat#A1310)のFACS緩衝液への500倍希釈液を50μ/ウエルで加え、氷の上で5分間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを1500rpmで4分間遠心分離し、次いで上清をアスピレーターで吸引した。細胞を
150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。プレートを、1500rpmで4分間遠心分離し、次いで上清をアスピレーターで吸引した。細胞を、100μl/ウエルのFACS緩衝液に再懸濁した。細胞を、200μlのFACS緩衝液を入れた12×75mmのFACS管に移した。最後に、細胞を、FACSCaliburでCellQuestソフトウエア(両方共にBecton Dickinson製)を使用して蛍光強度について調べた。
図8は、MCF−7細胞で発現されたIGF−1Rに対するM13−C06.G4.P.agly、M14−C03.G4.P.agly及びM14−G11.G4.Pの濃度依存性結合を表す(図8(A))。抗体の細胞−表面結合特異性を、IGF−1R/3T3形質転換体及び3T3親細胞に対する結合を試験することによって確認した。リード抗体の全部が、IGF−1R発現3T3に特異反応性を示したが、3T3細胞には示さなかった。(図8(B))。
実施例12
完全ヒト抗体によるIGF−1Rに対するリガンド結合の阻害
ヒト抗体のG4.P.agly及びG4.Pバージョンが可溶性IGF−1R−Fcに対するIGF−1及びIGF−2の結合をブロックする能力を調べた。M13−C06、M14−G11、M14−B01、M12−E01及びM12−G04のIgG4バージョンは、IGF−1Rに対するIGF−I及びIGF−2の両方の結合をブロックしたが、これに対してM14−C03はIGF−2をブロックしただけであった(図9(A)及び(B))。
抗−IGF−1R抗体のリガンドブロック能を、実施例3に記載のようにして固相RIA捕捉法で調べた。手短に言えば、種々の濃度(100nM〜0.01nM)の抗体を、ヒトIGF−1R−Fcを予め固定化した(200ng/ウエル)96ウエルIMMULON2プレートのウエル中で100,000cpmの125I−標識IGF−1又は125I−標識IGF−2と同時にインキュベートした。室温で1時間のインキュベーション後に、ウエルを洗浄し、ガンマカウンターで結合放射能を計数した。アイソタイプ整合陰性抗体対照、IDEC−151(ヒトG4)を使用した。パーセント(%)阻害を、=[1−(Abの平均CPM)/(緩衝液の平均CPM)]×100%として算出した。
得られた結果は、完全ヒト抗体M13−C06.G4.P、M13−C06.G4.P.agly、M14−G11.G4.P、M14−G11.G4.P.agly、M14−B01.G4.P.agly、M12−E01.G4.P、及びM12−G04.G4.Pが、IGF−1Rに対するIGF−I及びIGF−2の両方の結合をブロックするが、これに対して抗体M14−C03.G4.P及びM14−C03.G4.P.aglyは、IGF−1Rに対するIGF−2をブロックするだけであることを実証する(図9(A)−(B))。
実施例13
完全ヒト抗体による腫瘍細胞増殖の阻止
抗体がIGF−I及びIGF−2駆動腫瘍細胞増殖をブロックする能力を、細胞生存性アッセイを使用して試験した。
NCI−H23、Calu−6、Colo−205、Panc−1、BxPC−3(ATCC)腫瘍細胞系は、ATCCから購入した。細胞系は、RPMI−1640(ATCC)、10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific Inc.)及び50μg/mlのゲンタマイシン(Gibco、Invitrogen)を含有する完全増殖培地で増殖させた。トリプシン−EDTA溶液(Sigma)を、培養容器から付着細胞
を除去するのに使用した。リン酸緩衝食塩水(pH7.2)は、MediaTech Incから購入した。発光アッセイ用の96ウエル透明ボトムプレートは、Wallac Incから購入した。
80%単層まで増殖させた細胞を、トリプシン処理し、洗浄し、再懸濁し、200μlの2%増殖培地を入れた96ウエルプレートに、NCI−H23及びColo−205細胞については細胞8×10個/ウエルで;及びCalu−6、Panc−1及びBxPC−3細胞については細胞5×10個/ウエルで種した。24時間後に、培地を100μlの血清無含有培地(SFM)に置き換え、50μlの4×濃度の連続希釈抗体を加えた。37℃でさらに1時間のインキュベーション後に、50μlの4×濃度のIGF−I又はIGF−2を加え、細胞増殖を測定するために48時間まで37℃でインキュベートした。処理は全て三重反復で行った。細胞の増殖を、CELL TITER−GLOTM発光細胞生存性アッセイ(Promega,Madison,WI)を使用して測定した。試薬とSFMとの1:1混合物を、200μl/ウエルで加えた。発光は、Wallac(Boston、MA)プレートリーダーで検出した。
抗−IGF−1R抗体の種々のヒトIgG4バージョンは、H−23(IGF−1及びIGF−2)細胞、Calu−6(IGF−2)細胞におけるIGF−1及びIGF−2駆動細胞増殖の阻害を示した(図10(A)−(C))。その他の細胞系は、同程度の傾向を示した(例えば、実施例20参照)。
実施例14
完全ヒト抗−IGF−1R抗体によるIGF−1Rの内部化
MCF−7細胞を、染色操作の48時間前に、8ウエルチャンースライド(Becton Dickinson Collagenc Type 1塗布培養スライド、BD
BioCoatTM#354630)に、ウエル当たり50,000細胞で種した。細胞は、通常、20継体以下に維持した。染色操作の日に、培地をそれぞれのウエルから廃棄し、500μlコールドインキュベーション緩衝液(MEMイーグル ATCC#30−2003+1%BSA)に置換した。細胞をこの緩衝液で、各洗浄を3分間、2回洗浄した。次いで、試験すべき各mAb又はヒトG4.P.agly抗体250μlを、適切なウエルに10μg/mlの濃度で加え、インキュベーション培地に希釈し、氷の上で1時間インキュベートした。マウス抗−ヒト−IGF−1R抗体(Lab Vision/NeoMarkers、クローン24−31 cat#MS−641)を、陽性対照抗体として使用して内部化の程度を比較した。氷上で1時間のインキュベーション後に、時間0(t=0)のスライドを、500μlの冷洗浄用緩衝液(PBS+1%BSA+2%ヤギ血清)で、各洗浄を3分間、3回洗浄した(スライドは常に氷の上に保持した)。次いで、t=0のスライドを、500μlの4%パラホルムアルデヒド(16%ストックからPBSで希釈した;EMS#15710)を用いて室温で15分間固定した。次いで、t=0のスライドを、再度、冷洗浄用緩衝液で、各洗浄を3分間、3回洗浄し、次いで氷の上に放置した。しばらくして、残りのスライドを、その指定された時間点の間(15及び60分)37℃のインキュベーターに入れた。そのインキュベーション時間の最後に、各スライドを、上記と同じ操作、すなわち洗浄及び固定化を行い、氷の上に置いた。次いで、スライド全てを、200μlの冷透過用緩衝液(洗浄用緩衝液+0.5%トリトン−X)を用いて氷上で10分間透過処理した。次いで、スライド全てを、500μlの冷洗浄用緩衝液で、各洗浄を3分間、3回洗浄した。二次抗体を、ストックバイアルの10,000rpmで、4℃で10分間の初期遠心分離後に、洗浄用緩衝液中に1:1000希釈で調製した(mAbについてはAlexaFluor 488 ヤギ−抗−マウスIgG(H+L)、Molecular Probes#A11029、及びG4抗体についてはAlexaFluor 488 ヤギ−抗−ヒトIgG(H+L)、Molecular Probes#A11013)。250μlの希釈二次抗体を、各ウエルに加え、
室温で40分間、暗中で(覆いをして)インキュベートした。スライドを、再度、500μlの冷洗浄用緩衝液で3回洗浄した。最終洗浄時に、緩衝液を廃棄し、全部のウエルを空にした。次いで、チャンバーを、スライドから、提供された取り外しツールを使用して取り外し、DAPIを含有するVectashield封入剤(Vactor#H−1500、Hard SetTM)を用いてカバースリップをのせた。スライドを、4℃で、暗中で一夜保存して、封入剤を乾燥させた。
スライドの像を、LaserSharp2000プログラム(BioRad v5.2)を使用して共焦点顕微鏡で撮り、Kalman 10 averageから青及び緑成分の組み合わせ(merge)として表した。
M13−C06.G4.P.aglyは、図13Aに示すように、60分でIGF−1Rの急速な内部化を示した。M14−C03.G4.P.agly及びM14−G11.4.Pの両方は全て、M13−C06.G4.P.agly抗体と同様の内部化特性を示した(データは示さない)。予測されるように、陽性対照、クローン24−31も、受容体を内部化し、これに対してアイソタイプを一致させた陰性対照は(マウス7F2及びヒトG4、IDEC−152.G.P(霊長類化抗体))結合も内部化もしなかった(図13(B)−(C))。
また、受容体内部化の割合を、FACSに基づいた方法でマウスモノクロナール抗体のある種の抗体について調べた。70%密集単層に増殖したMCF−7細胞を、細胞解離用緩衝液(Gibcoカタログ#13151−014)を用いてフラスコから引き上げた。培地に再懸濁された細胞及び5×10個の細胞を、12×75mmの試験管(Falconカタログ#352054)に加えた。この場合の各試験管は、試験すべき異なるmAbを表す。10μg/mlのmAbを、アジ化物を含有していない0.5mlのFACS緩衝液(PBS+1%BSA)を入れたその対応試験管、及び実験内部化誤差を測定するための抗体を含有していない対照試験管に加えた。試験管を、氷の上で1時間15分インキュベートし、次いで洗浄し、1mlのFACS緩衝液に再構成した。100μlの各試料を、内部化を防止するために氷の上に保持した96ウエルu−ボトムプレート(NUNC#163320)の1つのウエルに取り出し、時間0(t=0)と命名した。これを、100%Ab結合対照として使用した。次いで、試験管を37℃の水浴に移し、100μlの試料を時間(t)=5分、10分、20分、40分、及び60分(後に5分、10分、15分、30分、及び60分に変えた)で取り出し、氷の上の96ウエルu−ボトムプレートの別々のウエルに入れた。試料全部を採取したら、プレートを4℃の遠心分離機で、1200rpmで遠心分離して、細胞をペレット化した。受容体の内部化を検出するために加えた抗体は、細胞表面に残る受容体を検出するための抗−CD221−PE(BD
Pharmingen cat#555999−抗−IGF−1R;10μ/100μl試料) であるか、又は細胞表面に残る受容体を検出するためのヤギ−抗−マウス−PE(Jackson ImmunoResearch Lab cat#115−116−146;5μg/ml)であった。試料を、0.1%アジ化ナトリウムを含有するFACS緩衝液中で1時間インキュベートし、1回洗浄し、アジ化物を含有するFACS緩衝液に最終容量200μlにした。次いで、試料を試験し、FACSArray(BD)を使用して採取し、幾何平均を測定した。また、PE−標識Quantibriteビーズ(BD#340495)も試験して、細胞表面に結合されたPE分子の数を定量した。この場合に、前記Quantibriteビーズを、試料と同じFL2設定で試験した。ビーズに結合されたPE分子の数はそのパッキングで提供され、試料及びビーズの幾何平均を使用して細胞表面に結合されたPE分子の数の定量を可能にする。FACSアッセイは、試験したマウスモノクロナール抗体がIGF−1Rの内部化を促進することを示した(データは示さない)。
実施例15
完全ヒト抗体によるIGF−1R介在シグナル伝達の阻害
パートI:I: MCF−7細胞でのシグナル伝達の阻害
ヒト抗−IGF−1R抗体のIGF−1Rシグナル伝達に対する影響を、MCF−7細胞(ヒト乳腺癌細胞)を使用して評価した。抗体がIGF−1及びIGF−2介在IGF−1R受容体リン酸化をブロックする能力を、実施例4に記載のようにして調べた。完全ヒト抗体のIgG4バージョンの全部が、良好な阻害(EC50<1nM)を示し、IGF−1Rのリン酸化を阻止した(図11(A及びB)。
下流のシグナル伝達に対する影響を検出するために、細胞溶解液を、実施例4に記載のようにして生じさせた。シグナル伝達実験について、対照及び試験抗体を、血清飢餓後に100nM、15nM、5nM及び1nMで350μlの新しい血清無含有培地中に加え、37℃で1時間インキュベートした。13nMのヒト組換えIGF−1又は27nMのIGF−II(R & D Systems、#291−G1及び#292−G2)を、35μl血清無含有培地を入れたウエルに加え、室温で15分間インキュベートした。細胞を、溶解し、4〜12%ビス−トリスゲルを使用して分離した試料を回収し、ニトロセルロース(Invitrogen Corp.)に固定化した。IGF−1Rシグナル伝達経路を、部位Thr308でホスホ−Akt(Cell signaling Technologies、#4056)を用いて及びThr202/Tyr204部位でホスホ−p44/42MAPK(Cell signaling Technologies、#9101)を用いて並びに抗−ウサギIgG−HRP(Cell Signaling Technologies、#7071)を用いて検出した。バンドを、ECLルミノール試薬(Amersham Biosciences、#RPN2109)とオートラジオグラフィーを使用して可視化した。各ブロットを、抗体から取り(strip)、それぞれ総Akt(Cell signaling Technologies、#9272)又は総p44/42MAPK(Cell signaling Technologies、#9102)及び抗−ウサギIgG−HRPについて再探査した。バンドを、ECLルミノール試薬とびオートラジオグラフィーを使用して可視化した。
下流のシグナル伝達イベント、例えばAkt及びMAPKリン酸化に対する抗体の影響を調べた。自己リン酸化からの細胞溶解液を、ポリクロナールIGF−1Rβ抗体−アガロース結合体(Santa Cruz Biotechnology、#SC−713)で免疫沈降させた。回収した受容体タンパク質を、4〜12%トリス−グリシンゲルを使用して分離し、ニトロセルロース(Invitrogen Corp.)に固定化した。受容体を、抗−ホスホ−IGF−1R部位Tyr1131(Cell Signaling Technologies、#3021)又は抗−IGF−1Rβ(Santa Cruz Biotechnology、#SC−9038)及び抗−ウサギIgG−HRP(Cell Signaling Technologies、#7071)を用いて検出した。バンドを、ECLルミノール試薬(Amersham Biosciences、#RPN2109)とオートラジオグラフィーを使用して可視化した(図12A及び12B)。
図12A及びBは、M13−C06.G4.P.aglyがAkt及びp42/44MAPKのIGF−1及びIGF−2介在リン酸化を量に依存した方法で阻止したことを示す。特に、M13−C06.G4.P.aglyIGF−1R抗体は、アミノ酸残基Ser473でAktのIGF−I及びIGF−2誘発リン酸化の阻害によって実証されるように、MCF7細胞のリガンド誘発Aktシグナル伝達を試験した全ての濃度(すなわち、1〜100nM)で阻害した(図19)。対照抗体は100nMで試験し、これに対してM13−C06.G4.p.aglyは、100nM、15nM、5nM及び1nMで試験した。抗体IDEC−152、すなわち無関連特異性の抗体のヒトG4バージョン
を、陰性対照として使用した。抗体IR3、すなわちIGF−1Rに対するマウスモノクロナール抗体を、陽性対照として使用した。また、M14−C03.G4.P.agly及びM14.G11.G4.P完全長抗体もまた、Akt及びp42/44MAPK活性化のIGF−1及びIGF−2駆動シグナル伝達を阻害した(データは示さない)。
パートII:A549、CaIu−6、及びHI299細胞でのシグナル伝達の阻害
M13−C06.G4.P.aglyがインスリン受容体基質(IRS−I)とp85すなわちホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)の調節サブユニットとの会合を分離させる能力を、腫瘍細胞系で同時免疫沈降アッセイで調べた。特に、IRS−1は、PI3Kサブユニットp85に、M13−C06.G4.P.agly抗体に感受性のNSCLC細胞系でIGF−1R−に依存した方法で結合する。従って、2つの非小細胞肺癌細胞系(NSCLC)A549及びH1299(M13−C06.G4.P.aglyに応答する)及び1つのNSCLC細胞系、Calu−6(M13−C06.G4.P.aglyにあまり応答しない)を、M13−C06.G4.P.agly又は対照抗体(IDEC−151)の存在下で24時間増殖させた。細胞溶解液を、抗−p85抗体を用いて免疫沈降させ、抗−IRS−1(上部ブロット)及び抗−p85(下部ブロット)抗体を用いてウェスタンブロット分析に供した(図25)。
このアッセイについて、ヒト肺腫瘍細胞系A549、Calu−6、及びNCI−1299細胞を、ATCCから購入し、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するRPMI培地1640中で維持した。細胞を、100mmペトリ皿に皿当たり3×10細胞で種し、24時間培養し、次いで100nMのM13−C06.G4.P.agly又はBDEC−151(ヒトG4.Pアイソタイプを一致させた陰性対照抗体)で5%FBSの存在下で、24時間処理した。細胞溶解液を、Cell Signaling Technology,Inc.(Danvers,MA USA)製の1%トリトンX−100溶解用緩衝液中で調製した。免疫沈降については、抗−p85抗体(Cat#06−649、Upstate Cell Signaling Solution(現在、Millipore,Concord,MA(USA)の一部門)を、前記溶解液に加え(1〜2mgの溶解液当たり4ugの抗体)、4℃で一夜インキュベートした。次いで、免疫合体を、プロテインGアガロースビーズと、4℃で2時間混合することによって捕捉した。免疫沈降物を、氷冷溶解用緩衝液で洗浄し、2×LDS(ドデシル硫酸リチウム)試料緩衝液中で煮沸し、その後にNuPAGE(登録商標)Novex 4〜12%ビス−トリスゲル電気泳動(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA(USA))で分離し、ニトロセルロース膜に移した。IRS−1(Cat#06−248、Upstate)及びp85(Cat#06−649、Upstate)抗体は、Milliporeから購入し、免疫ブロッティングを、製造業者のプロトコルに従って行った。
結果:
M13−C06.G4.P.aglyは、A549及びH1299細胞系において血清の存在下でIRS−IとPI3Kのp85調節サブユニットとの結合を阻害したが、Calu−6細胞系においては阻害しなかった(図25)。
実施例16
非ヒト霊長類IGF−1Rに対する抗体交差反応性
抗−ヒトIGF−1R抗体が非ヒト霊長類IGF−1R由来のIGF−1Rを認識する能力を試験した。最初に、アカゲザル及びカニクイザルのIGF−1Rを、クローン化し、CHO細胞中で発現させた。全ての抗体の結合を、フローサイトメトリーで調べ、共焦点顕微鏡で確認した。M13−C06.G4.P.agly、M14.C03.G4.P.agly及びM14.G11.G4.Pは全て、アカゲザル及びカニクイザルの両方のIGF−1Rに対して特異的な結合活性を示した(データは示さない)。別の種の交差反応性研究は、マウスIGF−1R発現CHO細胞に対するM14.G11.G4.P及び
M14.C03.G4.P.aglyの結合を示た(データは示さない)。
CHO細胞で発現されるカニクイザルIGF−1Rの他に、M13−C06.G4.P.agly抗体もまた、この種由来の顆粒球及び単球で発現されるカニクイザルIGF−1Rと交差反応する(結合の特異性は、可溶性組換えヒトIGF−1RがM13−C06.G4.P.agly抗体結合をブロックする能力によって実証された(データは示さない))。同様に、M13−C06.G4.P.agly抗体もまた、確立されたカニクイザル線維芽細胞系に結合する(実施例26、図23参照)。これらの結果は、カニクイザルが、毒性試験理想的な非げっ歯類種でることを示している。
霊長類でIGF−1R受容体を用いた結果と異なって、M13−C06.G4.P.aglyは、FACS分析で評価されるように免疫細胞(顆粒球、単球、リンパ球)で発現されるラット又はマウスIGF−1Rに対して交差反応性を示さなかった。
実施例17
IGF−1R特異的マウスMabの生成
ヒトIGF−1Rに特異的なマウスモノクロナール抗体を、標準ハイブリドーマ法で生成させた。Balb/cマウス由来の脾臓細胞を、IGF−1Rを発現するNIH 3T3線維芽細胞を用いて免疫し、及びIGF−1R.Ig融合タンパク質を、PEG誘発体細胞融合に使用した。表4に、抗−IGF−1Rマウスモノクロナール抗体の特性を要約する。
数種のヒト腫瘍株(肺、H−23、Calu−6;膵臓、BxPc−3、Panc−1、MiaPaCa及び結腸 Colo205)のIGF/IGF−1R依存インビトロ増殖を阻止する、選択したマウス抗体の能力を、実施例13に記載のようにして増殖によって測定した。図14(A)−(F)は、100ng/mlのIGF−1存在下の腫瘍細胞増殖に対する8種のマウス抗体の抗体濃度依存性阻止効果を示す。
抗体がIGF−I及びIGF−2駆動腫瘍細胞増殖をブロックする能力を、NCI−H23肺腫瘍細胞系を使用して比較した。図15は、3種類のマウスMAb(P2A7−3E11、20C8−3E8、P1A2−2B11)及び完全ヒト抗体の1つであるM13−C06.G4.P.aglyを用いて認められた増殖阻止効果の例を示す。前記抗体の全部が、IGF−1及びIGF−2駆動腫瘍増殖の阻害を示した。陽性対照IR3として、商業的に入手できる抗−IGF−1R抗体を使用した。マウスIgG(抗−Dectin、IgGl)及び関連のない特異性のIDEC−152抗体のヒトγ4バージョンを、実験用のアイソタイプを一致させた対照として使用した。
実施例18
マウス抗−ヒトIGF−1RmAbのクローニング
抗−IGF−1RマウスハイブリドーマP2A7.3E11免疫グロブリン可変領域のクローニング
マウスハイブリドーマ細胞由来の全細胞RNAを、Qiagen RNeasyミニキットを使用し、製造業者の推奨プロトコルに従って調製した。重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするcDNAを、全細胞RNAからPharmacia Biotech First STRAND cDNA合成キットを使用し、プライミング用にランダムヘキサマーを使用する製造業者の推奨プロトコルに従って、RT−PCRでクローン化した。
P2A7.3E11可変領域のクローニング及びキメラ化を、例として詳細に説明する(他のmA可変領域は、同様の方法でクローン化し、キメラ化するが、簡潔さのために詳細に説明しない。その理由は、抗体組換え操作の当業者に周知の標準分子生物学法を使用
したからである)。完全シグナル配列を有するマウス免疫グロブリン可変領域のPCR増幅について、Current Protocols in Immunology(Wiley and Sons、1999)に記載のような多マウス免疫グロブリン遺伝子ファミリーシグナル配列にハイブリダイズする縮重フォワードプライマーとマウス定常領域の5’末端に特異的な単一のリバースプライマーとを生成する混合物を使用した。Clontech’s Advantage Taqポリメラーゼを使用するPCR条件は:94で2分の初期変性、次いで94で1分の変性、45で1分のアニール及び72で1分の鎖伸張の30サイクルであった。P2A7重鎖可変領域は、次のプライマー:5’GGG
GAT ATC CAC CAT GGR ATG SAG CTG KGT MAT
SCT CTT 3’(M=A/C、K=G/T、R=A/G、及びS=C/G)(配列番号:130)及び5’AGG TCT AGA AYC TCC ACA CAC AGG RRC CAG TGG ATA GAC 3’(R=A/G、及びY=C/T)(配列番号:131)を用いて増幅した。そのシグナル配列を有するP2A7軽鎖可変領域は、次のプライマー:5’GGG GAT ATC CAC CAT GGA TTT TCA GGT GCA GAT TTT CAG 3’(配列番号:132)及び5’GCG TCT AGA ACT GGA TGG TGG GAG ATG GA
3’(配列番号:133)を用いて増幅した。PCR産物は、Qiagen Qiaquickゲル抽出キットを使用し、製造業者の推奨プロトコルに従ってゲル精製した。精製したPCR産物は、Invitrogen’s pCR2.1TOPOベクターに、そのTOPOクローニングキットを使用して、製造業者の推奨プロトコルに従ってサブクローン化した。多独立サブクローン由来のインサートをPCRエラーから保護するために配列決定した。
前記可変領域配列のBlast分析は、これらの免疫グロブリンの同一性を確認した。P2A7重鎖可変領域は、マウス亜群II(A)のメンバーである。P2A7成熟重鎖可変領域の配列(そのCDSに下線を付した)(Kabatの指定に基づき、CDR、すなわち相補性決定領域を有する)を以下に示す:
P2A7軽鎖可変領域は、マウスκ亜群IVのメンバーである。P2A7成熟軽鎖可変領域の配列(そのCDRに下線を付した)を以下に示す:
chP2A7の組立て及び発現
重鎖及び軽鎖のマウスP2A7可変領域をコードするcDNAを使用して、muP2A7可変領域がヒトIgG4及びκ定常領域に連結されているマウスヒトキメラ(chP2A7)の発現用ベクターを組み立てた。前記重鎖キメラの組み立てのために、P2A7重
鎖サブクローンpCN363由来の0.47kbのNotI−BsmBIフラグメントと、pEAG1995(遺伝子組み換え的に取り出されたIgG4のC末端リシン残基を有する配列確認されたアグリコシル化S228P/T299A(Kabat EU命名法)変異huIgG4重鎖定常領域cDNAを含有するプラスミド)由来の1.0kbのBsmBI−NotIフラグメントとを、pV90(異種遺伝子発現をCMV−IEプロモーターとヒト成長ホルモンポリアデニル化シグナルにより調節するSV40早期プロモーター駆動dhfr選択可能マーカーを含有する配列確認されたpUC−に基づくBiogen Idec専有発現ベクター)のホスファターゼ処理した6.1kbのNotI−線状化ベクター主鎖にサブクローン化した。
得られたプラスミドpEAG2045の重鎖cDNA配列を、DNA配列決定により確認した。キメラP2A7重鎖cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:134として示す:
予測された成熟chP2A7重鎖タンパク質配列を、以下に配列番号:135として示す:
マウス可変領域は残基1−122であり、ヒトIgG4重鎖定常領域は、残基123−459である。Kabat EU−指定S228Pヒンジ置換(IgG4の傾向を是正して半抗体を形成するために)は、上記残基231であり、これに対して、N−結合グリコシル化を組換えにより除去するためにCH2におけるT299A置換は、上記配列の残基302である。
前記鎖キメラの組み立てのために、PCR増幅P2A7 軽鎖を、STRATAGENE(登録商標)Quick−Change突然変異誘発キットを使用して、製造業者の推奨プロトコルに従って、変異原性プライマー5’CGC CAG TGT GCG GCC GCT GGA ATT CGC CCT TG 3’(配列番号:136)及びその逆相補鎖(これは、重鎖シグナル配列の5’ユニークNotI部位を誘導した)と、5’GGA CCA AGC TGG AGC TGA AGC GTA CGG ATG CTG CAC CAA CTG TAT CC 3’(配列番号:137)及びその逆相補鎖(これは、軽鎖可変領域/κ定常領域接合点のすぐ下流のユニークBsiWI部位を誘導した)を用いて、部位特異的突然変異誘発に供した。突然変異プラスミドは、導入したNotI及びBsiWI部位の変化について選別することにより同定した。軽鎖
配列は、DNA配列決定により確認した。前記のようにして産生された0.42kbのNotI−BsiWI軽鎖可変領域フラグメント、及び配列確認されたヒト化抗−LTbR
κ軽鎖定常領域cDNAを含有するプラスミドpEAG1572由来の0.34kbのBsiWI−NotIフラグメントを、発現ベクターpEAG1256(異種遺伝子発現をCMV−IEプロモーター及びヒト成長ホルモンポリアデニル化シグナルによって調節するホスホグリセロキナーゼプロモーター駆動ネオ選択可能マーカーを含有する配列確認されたpUCに基づいた発現ベクター)のNotI部位にサブクローン化した。得られたプラスミドの軽鎖cDNA配列は、DNA配列決定により確認した。キメラP2A7軽鎖cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を以下に示す(配列番号:138):
予測された成熟chP2A7軽鎖タンパク質配列を以下に示す(配列番号:139):
マウス可変領域は、上記の残基1−108の領域であり、これに対してヒトκ定常領域は上記配列の残基109−215である。
chP2A7重鎖発現ベクター及びchP2A7軽鎖発現ベクターを、293−EBNA細胞に同時に移入し、移入細胞を抗体分泌及び特異性について試験した。空ベクター−及びhu5c8−S228P/T299A IgG4(分子クローン化CD40L−特異的mAb)−移入細胞を、対照として役立てた。馴化培地のウェスタンブロット分析(抗−ヒト重鎖及び軽鎖抗体を用いて展開した)は、chP2A7−移入細胞が重鎖及び軽鎖を合成し、効率的に分泌したことを示した。移入細胞由来の馴化培地を用いて染色されたIGF−1R−発現MCF7ヒト哺乳動物腺癌細胞のFACS分析は、chP2A7抗体が結合し、muP2A7の染色パターンと同様の染色パターンを生じ、これに対してmock−及びhu5c8−移入細胞由来の馴化培地は、MCF7細胞を染色することができなかった(PE−結合体化抗−ヒト重鎖及び軽鎖抗体を用いて検出した)ことを示した。希釈滴定は、chP2A7mAbを含有する馴化培地を用いた特異染色が用量応答を実証することを示した。CHO細胞を、chP2A7重鎖発現ベクター及びchP2A7軽鎖発現ベクター同時に移入して、キメラP2A7−アグリコシル化huIgG4、κmAbを発現する安定な株を産生させた。
抗−IGF−1Rマウスハイブリドーマ20C8.3B8免疫グロブリン可変領域のクローニング
その他の抗−IGF−1R mAbの可変領域を、クローン化し、P2A7 mAbについて記載の標準組換えDNA法と同様の標準組換えDNA法でキメラ化した。
マウス亜群I(A)に属する20C8.3B8 mAb 重鎖可変領域の予測された成熟配列を、以下に示し、そのCDRに下線を付した:
マウスκ亜群IIIに属する20C8 軽鎖可変領域の予測された成熟配列を、以下に示す:
キメラ20C8 重鎖及び軽鎖cDNA用の発現ベクターを、上記のようにして組み立てた。プラスミドのインサートの免疫グロブリンcDNA配列を、DNA配列決定により確認した。キメラ20C8重鎖cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:140として示す:
予測された成熟ch20C8重鎖タンパク質配列を、以下に配列番号:141として示す:
マウス可変領域は、残基1−122であり、ヒトIgG4重鎖定常領域は、残基123−459である。
キメラ20C8軽鎖cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:142として示す:
予測された成熟ch20C8軽鎖タンパク質配列を、以下に配列番号:143として示す:
マウス可変領域は、残基1−111であり、ヒトκ定常領域は、上記の配列の残基112−218である。
ch20C8 重鎖発現ベクター及びch20C8軽鎖発現ベクターを293−EBNA細胞に同時移入し、移入細胞を抗体分泌及び特異性について試験した。空ベクター−及びhu5c8−S228P/T299A IgG4(分子クローン化CD40L特異的mAb)−移入細胞は、対照として役立てた。馴化培地のウェスタンブロット分析(抗−ヒト重鎖及び軽鎖抗体を用いて展開した)は、ch20C8−移入細胞が重鎖及び軽鎖を合成し、効率的に分泌したことを示した。移入細胞由来の馴化培地を用いて染色されたIGF−1R−発現MCF7ヒト哺乳動物腺癌細胞のFACS分析は、ch20C8抗体が力価測定可能な用量応答で結合し、これに対してmock−及びhu5c8−移入細胞由来の馴化培地は、MCF7細胞を染色することができなかった(PE−結合体化抗−ヒト重鎖及び軽鎖抗体を用いて検出した)ことを示した。CHO細胞を、ch20C8 重鎖発現ベクター及びch20C8 軽鎖発現ベクターに同時に移入して、キメラ20C8−アグリコシル化huIgG4、κmAbを発現する安定な株を産生させた。
抗−IGF−1R mAb 208.24B11免疫グロブリン可変領域のクローニング
前記mAb 20D8.24B11は、20C8.3B8(いずれも融合7から誘導され)のシスタークローンのようであり、共通軽鎖を共有し且つFR4の単一残基によって20C8の重鎖と異なる重鎖を有する。マウス亜群I(A)に属する20D8.24B11 mAb重鎖可変領域の予測された成熟配列を、以下に示し、そのCDRに下線を付した:
FR4 Kabat残基109に対応する単一の保存的相違(以下の残基118)を強調する20D8(上部)及び20C8(下部)重鎖可変領域のアラインメントを以下に示す:
キメラ20D8 重鎖cDNA用の発現ベクターを組み立て、プラスミドpCN380の重鎖CDNAインサートを、DNA配列決定により確認した。キメラ20D8 重鎖cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:144として示す:
上記の配列によってコードされる予測された成熟ch20D8 重鎖タンパク質配列を、以下に配列番号:145として示す:
マウス可変領域は、残基1−122であり、ヒトS228P/T299A IgG4 重鎖定常領域は、残基123−458である。
20D8 軽鎖可変配列は、20C8の軽鎖可変配列と同一である:20C8に関して先に記載の情報を参照。
抗−IGF−1R mAb P1G10.2B8免疫グロブリン可変領域のクローニング
成熟P1G10 重鎖可変領域の予測された配列を、以下に配列番号:58として示し、そのCDRに下線を付した:
1G10は、マウス重鎖可変領域亜群II(A)に属するようであるが、重鎖II(A)共通配列とわずか55%の同一性を有する。
キメラP1G10 重鎖cDNA用の発現ベクターを組立て、そのcDNAインサートを配列決定により確認した。キメラP1G10 重鎖 cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:146として示す:
上記の配列をコードする予測された成熟chP1G10 重鎖タンパク質配列を、以下に配列番号:147として示す:
マウス可変領域は、残基1−121であり、ヒトS228P/T299A IgG4重鎖定常領域は、残基122−457である。
マウスκ亜群Vに属する成熟P1G10 軽鎖可変領域の予測された配列を、以下に配列番号:113として示し、そのCDRに下線を付す:
キメラP1G10 軽鎖cDNA用の発現ベクターを組立て、そのcDNAインサートを配列決定により確認した。キメラP1G10 軽鎖cDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:148として示す:
上記の配列をコードする予測された成熟chP1G10の軽鎖タンパク質の配列を、以下に配列番号:149として示す:
マウス可変領域は、上記の残基1−107であり、これに対してヒトκ定常領域は、上記の配列の残基108−214である。
1G10の重鎖発現ベクター及びchP1G10の軽鎖発現ベクターを293−EBNA細胞に同時に移入し、移入細胞を抗体分泌及び特異性について試験した(空ベクター−及びhu5c8−S228P/T299A IgG4(分子クローン化CD40L特異的mAb)−移入細胞は、対照として役立てた)。馴化培地のウェスタンブロット分析(抗−ヒト重鎖及び軽鎖抗体を用いて展開した)は、chP1G10−移入細胞が重鎖及び軽鎖を合成し、効率的に分泌したことを示した。移入細胞由来の馴化培地を用いて染色されたIGF−1R−発現MCF7ヒト哺乳動物腺癌細胞のFACS分析は、chP1G10抗体が力価測定可能な用量応答で結合し、これに対してmock−及びhu5c8−移入細胞由来の馴化培地は、MCF7細胞を染色することができなかった(PE−結合体化抗−ヒト重鎖及び軽鎖抗体を用いて検出した)ことを示した。CHO細胞を、chP1G10の重鎖発現ベクター及びchP1G10の軽鎖発現ベクターに同時に移入して、キメラchP1G10−アグリコシル化huIgG4、κmAbを発現する安定な株を産生さ
せた。
抗−IGF−1R mAb P1A2.2B11免疫グロブリン可変領域のクローニング
マウス亜群II(A)に属する成熟P1A2の重鎖可変領域の予測された配列を、以下に配列番号:48として示す:
P1A2の重鎖は、P1G10の重鎖(いずれも融合5から誘導され)と92.6%同一であり、1個のFR1、1個のFR2、2個のCDR2、2個のFR3、2個のCDR3、及び1個のFR4の相違を有する。P1A2(上部の行)及びP1G10(下部の行)重鎖の可変領域のアラインメントを以下に示す:
キメラP1A2の重鎖用の発現ベクターを上記の方法で組み立てた。そのプラスミドによってコードされるchP1A2の重鎖の予測された配列(配列番号:150)は、次の通りである:
マウス可変領域は、上記の残基1−120であり、ヒトS228P/T299AのIgG4重鎖 定常領域は、残基121−456である。
マウスκ亜群Vに属する成熟P1A2の軽鎖可変領域の予測された配列を、以下に配列
番号:108として示し、そのCDRに下線を付す:
P1A2の鎖は、P1G10の軽鎖(いずれも融合5から誘導され)と97.2%同一であり、2個のFR2及び1個のFR3の相違を有するが、同一のCDRを有する。P1A2(上部の行)及びP1G10(下部の行)の軽鎖の可変領域のアラインメントを以下に示す:
キメラP1A2の軽鎖cDNA用の発現ベクターを上記の方法で組み立て、cDNAインサートを配列決定により確認した。キメラP1A2の軽鎖のcDNAインサート(イニシエーターATGからターミネーターTGAまでのシグナル配列に由来)の配列を、以下に配列番号:151として示す:
pCN379によってコードされる予測された成熟chP1A2の軽鎖タンパク質配列を、以下に配列番号:152として示す:
マウス可変領域は、上記の残基1−107であり、これに対してヒトκ定常領域は、上記の配列の残基108−214である。
−IGF−1R mAb P1E2.3B12免疫グロブリン可変領域のクローニング
P1E2可変領域のクローニングを前記の方法で行った。
実施例19
IGF−1RFab抗体は高親和性で可溶性IGF−1Rに結合する
方法: 可溶性のIGF−1Rに対するM13−C06、M14−C03、及びM14−G11 Fabの結合活性を表面プラズモン共鳴を用いて測定した。ビオチニル化したPENTA−His抗体(Qiagen、Inc.)を、ストレプトアビジンで被覆したセンサーチップの上に固定化した。可溶性/二量体のIGF−1R−His外部ドメイン(R&D systems、Inc.)が、PENTA−His抗体によって表面に捕捉
された。M13−C06、M14−C03、又はM14−G11 Fab(0.5nM〜1000nM)の副次注射を実施した。表面はpH4.0の3つの短い酢酸塩注射で再生された。
結果:M13−C06Fabは、KD=1.3nMのもと、最高の親和性で、組換え体IGF−1Rに結合し、これに対しM14−G11 FabはKD=4.0nMで結合し、M14−C03 FabはKD=4.9nMで結合した(データは示さない)。
実施例20
完全ヒトIGF−1R抗体による、IGF−I及びIGF−2に刺激された腫瘍細胞の増殖の抑制
方法:インビトロでの腫瘍増殖に及ぼす抗体の影響を、CELL TITER−GLOTMアッセイ(Promega Corporation、2800 Woods Hollow Rd.,Madison、WI53711 USA)を用いて測定した。10%FBSを含むRPMI培地内のBxPC3細胞を、Wallac 96−ウエル透明ボトムTC処理プレート(8000細胞/ウエル)で培養した。24時間後、培養培地を血清無含有条件に変え、種々の濃度(100nM、10nM、1nM、及び0.1nM)の抗体を添加した。30分培養後に、100ng/mlのIGF−I又はIGF−2を添加した。細胞を、CELL TITER−GLOTM試薬を用いてATPの存在量を算出するために溶解されるまでさらに48時間培養した。抑制は、[1−(Ab−SFM)/(IGF−SFM)]×100%として算出した。アイソタイプを一致させた抗体、IDEC−151(ヒトG4)抗体を、陰性対照として用いた。
結果:完全ヒト抗体M13−C06.G4.P.agly、M14−G11.G4.P及びM14−C03、G4.P.aglyは、組換えヒトIGF−1及びIGF−2によって駆動されたBxPC3(ヒト膵臓腺癌)細胞の増殖を抑制した(図16)。同様の増殖抑制結果が、ヒトの肺癌細胞系NCI−H23(図17;M13−C06.G4.P.agly抗体)及びヒトの肺癌細胞系A549(図18;M13−C06.G4.P.agly抗体)において組換えヒトIGF−1及びIGF−2によって駆動された細胞増殖に対してこれらの抗体で得られた。全て3つの細胞系において、M14−G11.G4.P.aglyは、M14.G11.G4.Pバージョンと同様な結果を示した(データは示さない)。
実施例21
完全ヒトIGF−1R抗体によるインビトロでの腫瘍細胞増殖の細胞周期の停止
方法: 完全ヒトIGF−1R抗体が細胞周期の進行を停止させる能力を、培養したBxPC3細胞でのヨウ化プロピジウムの取り込みを監視するFACS分析で評価した。BxPC3細胞(4×10細胞/ウエル)を6ウエルプレートに移植した。24時間後に、細胞を、血清無含有培地(SFM)に変え、引き続き24時間培養した。次に、最終的に濃度133.3nM(20μg/ml)でIGF−1R抗体、そして200ng/mlの濃度でIGF−1を培地に添加した。24時間後に、細胞をトリプシン処理し、エタノールで固定した。DNA含量は、FACS分析に先立ちヨウ化プロピジウム(PI)で染色した。アイソタイプを一致させた抗体、IDEC−151(ヒトG4)を陰性対照として使用した。
結果: 完全ヒト抗体であるM13−C06.G4.P.agly(表11)、M14−G11.G4.P.agly及びM14−C03.G4.P.aglyは、細胞周期のG0/G1相でBxPC3腫瘍細胞を停止させた
表11:
実施例22
膵癌モデルでの腫瘍増殖のインビボ抑制
方法: M13.C06.G4.P.agly抗体の単剤インビボ効力を、BxPC3(膵癌)細胞を用いて、異種移植膵癌モデル系で評価した。CB17 SCIDマウスに、2×10細胞を接種し、腫瘍増殖について監視した。治療開始時の平均腫瘍容積は、200mmであった。M13.C06.G4.P.agly抗体を、週1回、5週間にわたって、60mg/kg、30mg/kg及び15mg/kgを腹腔内(i.p.)に投与した。アイソタイプの適合抗体であるDEC−151(ヒトG4)を陰性対照として週1回、5週間にわたって60mg/kg投与した。腫瘍は、接種後、指示された間隔(図20)で取り出し、全腫瘍容積を測定した。
結果: 完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体は、用量に依存した方法で腫瘍の増殖を抑制した(図20)。抗体は、60、30及び15mg/kgを1週に1回、5週間にわたる投与で、統計学的に有意な単剤効果を実証した。なお、抗体は週1回、15mg/kg投与程度の低い量で有効であった(図20)。
実施例23
肺癌モデルでの腫瘍増殖のインビボ抑制
方法: M13.C06.G4.P.agly抗体のインビボ単剤効力を、A549(肺癌)細胞を用いて、異種移植肺癌モデル系で評価した。CB17 SCIDマウスに3〜5×10細胞を接種し、腫瘍増殖を監視した。治療開始時の平均腫瘍容積は、150mmであった。M13.C06.G4.P.agly抗体を、週2回、4週間にわたって、30mg/kg及び15mg/kg腹腔内(i.p.)に投与した。アイソタイプの適合抗体であるIDEC−151(ヒトG4)を陰性対照として30mg/kg投与した。腫瘍を接種後に指示された間隔で取り出し(図21)全腫瘍量を測定した。
結果: 完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体は、用量に依存した方法で腫瘍の増殖を抑制した(図21)。抗体は、4週間にわたって30mg/kg及び15mg/kgの用量の投与で統計学的に有意な単剤効力を示した(図21)。このモデルで行った付加実験では、C06は週に7.5mg/kg程度の低い用量で有効であることを示した(データは示さない)。
実施例24
併用療法を用いた腫瘍増殖のインビボ抑制
方法: ゲムシタビン(非小細胞肺癌、膵臓癌、膀胱癌及び乳癌を治療するのに一般的に用いられている薬剤)と組み合わせた腫瘍増殖の抑制におけるM13.C06.G4.P.agly抗体の効果を、BxPC3異種移植モデルで試験した。週2回、30mg/kgで7週間(データは示さない)あるいは週1回60mg/kgで5週間(図22)腹腔内に投与したM13.C06.G4.P.agly抗体の効力を、現行の標準的な治療(すなわち、4週間にわたって、3日毎に80mg/kg)に従って投与したゲムシタビンとの併用で評価した。ゲムシタビン単独、M13.C06.G4.P.agly抗体単独、及び送達用ビヒクル単独の偽注射を、陰性対照として投与した。治療開始時の腫瘍
は、おおよそ約200mmであった。
結果: 単剤としての(すなわち、単独投与)M13−C06.G4.P.agly抗体とゲムシタビンは、同様の効力を示した。ゲムシタビンと組み合わせた、1週間で2回30mg/kgのスケジュール(データは示さない)あるいは毎週60mg/kgのスケジュール(図22)のM13−C06.G4.P.agly抗体は、単剤処置に比べ付加効力を示した。さらに、15mg/kgとの併用もまた、付加効力を示した(データは示さない)。
実施例25
完全ヒトIGF−1R抗体はカニクイザルの線維芽細胞系に結合する
方法: M13.C06.G4.P.agly抗体はカニクイザル由来の確立された線維芽細胞系に結合する。線維芽細胞は、皮膚生検に由来するものであった。抗体結合を、維芽細胞を細胞解離緩衝液でリフトし、ビオチン化したM13.C06.G4.P.aglyと共に4℃で45分間インキュベートすることによって評価した。細胞を洗浄した後に、ストレプトアビジン−PEを添加し、暗中で、4℃でさらに30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、200ul冷却PBSを加え、次いで1%ホルムアルデヒドを加え、穏やかにボルテックスして固定した。抗体結合を、FACS分析で評価した。
結果: M13−C06.G4.P.agly抗体は、濃度に依存した様式でカニクイザルの線維芽細胞系で発現されたIGF−1Rに結合する(図23)。
実施例26
パートI:完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体の生物学的特性の要約
完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体について評価した生物学的特性を表11及び12に示す。これら諸特性は、本明細書に記載の方法、実験、及び実施例によって確証されている及び/又は
当業者によって知られ、実施されている方法及び実験によって日常的に決定し得る。
M13.C06.G4.P.agly抗体血清半減期
腫瘍をもたないマウスでの薬物動態(PK)研究を、SCIDマウスにおいて3mg/
kgのM13.C06.G4.P.agly抗体(1回投与量、腹腔内注射)を使用して実施した。SCIDマウス血清中のM13.C06.G4.P.agly抗体を、IgGに特異的なELISA法を用いて検出した。ヤギ抗−ヒトIgG(100ng/ウエル)をimmulonプレート上に固定した。血清は、1:25から開始し、2倍連続希釈法で、3重反復で滴定した。結合は、ヤギ抗−ヒトκ−HRPを用いて調べた。この研究の結果は、このマウスのモデル実験系では、血清半減期が11.5であることを示す(データは示さない)。
M13.C06.G4.P.aglyの血清濃度を、MCF−7腫瘍を有する動物(30ug/kgの抗体)及びBxPC3腫瘍を有する動物(15ug/kgの抗体)に腹腔内注射をした後に測定した。96ウエル(IMMULON2 HB、Dynax Technologies,Inc.,Cat.#3455)に固定したヤギ抗−ヒトIgG(100ng/ウエル)に対するM13.C06.G4.P.agly抗体の結合を、ELISA法で測定した。3倍連続希釈で10ug/mlから始めることで、標準曲線による滴定した。血清は、2倍連続希釈で1:25で開始して力価測定した。M13.C06.G4.P.agly抗体は、ヤギ抗−ヒトκ−HRPを用いて検出した。SOFTMAX
PROソフトウエアパッケージバージョン4.3 LS(Molecular Devices Corp.)を使用して抗体濃度を調べた。
平均血清濃度を以下に示すとおり観察した。
M13.C06.G4.P.agly抗体の薬物動態もまた、10mg/kg及び25mg/kgの用量の注射後に、カニクイザルで研究されており、血清半減期が10−12日(データはを示さない)であると認められ
表12及び13は、M13−C06.G4.P.agly抗体をIGF−1又はIGF−2を補足した細胞培養培地(表12)あるいは10%ウシ胎児血清(FCS)やウシ血清(FBS)を補足した細胞培養培地(表13)に添加した場合に、種々の肺、膵臓及び結腸の腫瘍細胞系に対して認められるインビボ細胞増殖の用量依存性阻害(%阻害)を示
す。
パートII:抗体親和性測定
目的
目的は、IGF−1R抗体の結合親和性を測定することにあった。
方法:
M13−C06、M14−C03、及びM14−G11 Fabの調製
M13−C06、M14−C03、及びM14−G11 Fab抗体は、固定化パパイン(Pierce Cat.No.20341)で消化することによって調製した。パパイン樹脂を、pH7.0の20mMリン酸ナトリウム;10mMのEDTA;20mMの
システインで洗浄した。抗体を、500mMのEDTA、100mMのシステイン(pH7.0)中でパパイン樹脂と混合し、37℃の水浴中で3時間消化し、次いで反転振盪器で室温で一夜混合した。各消化の完了は、分析的サイズ除外クロマトグラフィー(SEC)で決定した。焼結ガラスロートフィルターで、消化したタンパク質から樹脂を除去し、pH5.0の20mM酢酸塩で洗浄した。濾液を集めて、pH5.0の20mM酢酸塩で10倍希釈した。Fabフラグメントを、塩の直線勾配を用いたS−SEPHAROSETM陽イオン交換クロマトグラフィーで精製した。溶出画分について分析SECを行い、所望の画分をプールし、PBSに透析した。続いて、Fabをアルキル化して、は(Fab)産生をもたらすヒンジジスルフィドの再成を阻止した。アルキル化は、1Mトリス200mMヨード酢酸塩(pH8.5)をFab溶液に10倍希釈することにより行った。混合物を、反転振盪器で、室温で20分間インキュベートし、次いで1xPBSに完全に透析した。各Fabの最終精製を、分取サイズ除外クロマトグラフィーを用いて行った。
表面プラズモン共鳴(SPR)親和性測定
全ての表面プラズモン共鳴(SPR)実験を、操作用緩衝剤としてHBS−EP(Biacore、Cat.No.BR−1001−88)を使用して25℃に設定したBiacore 3000で実施した。ビオチン標識抗−HisTag抗体(ビオチン−PENTA−His、Qiagen Cat.No.34440)を、HBS−EP緩衝液中で、500nMで注入することよってBiacore SA片(Cat.No.BR−1000−32)表面に飽和して固定化した。組換えヒトIGF−1R−10His(R&D
Systems、Cat.No.305−GR−050)を、20μLの40nMタンパク質を2μL/分で注入することによってビオチン−PENTA−His表面に捕捉した。IGF−1R注入に続いて、流を20μL/分まで増やした。次に、抗−IGF−1R抗体又はFabの130μLの注入を受容体との相互作用を調べるために行った。それぞれの抗体及びFabを、64nMから0.5nMに連続的に希釈して、濃度依存速度論的結合曲線を得た。各注入系列は、pH4.0の10mM酢酸塩を20μL/分で3×10μLの注入を使用してすることで再生した。それぞれの曲線は、(1)IGF−1Rを欠いたストレプトアビジン表面から得られたデータ及び(2)IGF−1Rの一次注入、次いでHBS−EP緩衝液の二次注入で得られたデータを使用して、二重に参照した。それぞれの抗体及びFabの濃度系列は、製造業者のBiaEvaluationソフトウエア内に備えられた1:1結合モデルに適合していた。
結果
3つの組換え抗−IGF−lR抗体、M13−C06、M14−C03、及びM14−G11を、IGF−1Rに対する結合について、上記のようにして表面プラズモン共鳴を用いて試験した。3つの抗体全てが、受容体に対して強い結合を実証した。固定化組換えヒトIGF−1Rに対するそれぞれの抗体(64nMから0.5nMまで連続希釈された)の濃度に依存した結合が観察された(データは示さない)。抗体が種々の濃度で適用した場合にIGF−1R塗布表面に蓄積する速度及び純粋な緩衝液の適用中に解離する速度を、データを1:1結合モデルに適合させることにより調べた。おおよその反応速度定数及び平衡解離定数を算出した(表14)。
別個の親和性を得るために、それぞれの抗体のFabフラグメントを、上記のようにしてパパイン消化を使用して生成させた。単一の抗原結合部位の存在により、Fabは、完全長抗体に関して述べたのと同じ方法でIGF−1R受容体に適用すると、一様に単相結合並びに解離曲線を実証した(データは示さない)。IGF−1に対するそれぞれのFabの親和性を、表15に示す。
実施例27
パートI: M13.C06.G4.P.agly抗体は、他のIGF−1R抗体に比べ特異なエピトープ結合特性を有する。
交差競合抗体結合の研究を行い、M13.C06.G4.P.aglyと他のIGF−1R抗体のIGF−IR抗体結合エピトープを比較した。図24参照。非標識競合抗体を、これらが可溶性IGF−1Rに結合するための5種類の標識抗体と交差競合する能力について分析した。用いた5つの標識抗体は、ビオチン標識M13.C06.G4.P.agly(“ビオチン−C06”)、ビオチン標識M14−G11(“ビオチン−G11”)、zenon標識P1B10−1A10(“Zenon−O”)、zenon標識20C8−3B4(“Zenon−M”)又はzenon標識IR3抗体(“Zenon−IR3”)であった。図24参照。
抗体を、Pierce Chemical(#21335)製のビオチン化キットを用いてビオチン標識した。
Zenon標識は、Molecular Probes(Z25000)製のZenonマウスIgG標識キットを用いて行った。
+++++=それ自体と比較した抗体結合競合(90〜100%)
++++=70〜90%競合
+++=50〜70%競合
++=30〜50%競合
+=10〜30%競合
+/−=0〜10%競合
N/A=結果が得られない。
この分析の結果は、M13.C06.G4.P.agly及びM14.C03.G4.P.agly抗体がIGF−1Rの同じ領域か又は類似領域に結合することを示し、それは試験した他の全ての抗体と異なる。特に、ビオチン標識M13.C06.G4.P.agly抗体のみが、非標識M13.C06.G4.P.agly又は非標識M14.C03.G4.P.aglyによるIGF−1R結合とは効果的に競合した。M13.C06.G4.P.aglyがよく研究されたIR3抗体と交差競合しないことも注目に値する。従って、これら2つの抗体は、特に、異なるIGF−1Rエピトープに結合する。
パートII: M13−C06は、FnIII−IドメインのN末端領域に結合する抗体によってIGF−1Rに対するIGF−1の結合親和性をアロステリックに低下させる。
目的
目的は、IGF−1R上でのM13−C06抗体の結合エピトープ及びIGF−1Rに結合するIGF−1/IGF−2の阻止を支持する(behind)メカニズムを明らかにすることであった。
背景
IGF−1Rは6つのドメインからなる(図29A)。L1(ロイシンに富む反復ドメイン1)、CR(システイン富む反復ドメイン)及びL2と表されるIGF−1Rの最初3つのドメインの突然変異並びにドメイン5(FnIII−2、フィブロネクチンタイプIIIドメイン2)におけるペプチドループ領域の突然変異は、IGF−1結合及びIGF−2結合に対して負の影響を及ぼすことが公表されている(Whittaker 2001; Sorensen 2004)。ここで、本発明者らは、M13−C06抗体は、成因子結合部位と競合的に相互作用することによってIGF−1Rに対するIGF−1及びIGF−2の結合を妨害するのではなく、代わりにFnIII−Iに結合し且つIGF−1/IGF−2のシグナル伝達をアロステックに阻害することを実証する。FnIII−Iは、IGF−1R及びINSR(McKern 2006)の両方の受容体のホモ二量体化を促進し且つリガンドを結合する際に、四次構造変化によりC末端チロシンキナーゼドメインに膜貫通領域を通して活性化信号を伝えると考えられる。この実施例からのデータは、M13−C06抗体が下流受容体シグナル伝達を導くIGF−1/IGF−2によって誘発される立体構造変化を阻害することを示唆している。
方法:
M13−C06抗体の存在下又は存在下のIGF−1/IGF−1R結合実験
幾つかの組立て体を使用して、IGF−1R受容体又はインスリン受容体:すなわち、ヒトIGF−1R(1−902)−His10(hIGF−1R−His10と表す、R&D systemsより)、ヒトINSR(28−956)−His10(INSRと表す、R&D systemsより)、ヒトIGF−1R(1−903)−Fc(hIGF−1R−Fcと表す、Biogen Ideeによって製造)、ヒトIGF−1R(1−462)−Fc(hIGF−1R(1−462)−Fcと表わす、Biogen Ideeによって製造)及びマウスIGF−1R(1−903)−Fc(mIGF−1R−Fcと表わす、Biogen Idec製造)にする抗体/IGF−1の結合を調べた。“His10”とは、組立て体のC−末端の10−ヒスチジン残基タグを表す。“Fc”とは、C末端ヒトIgG1−Fcタグを表す。
ヒトIGF−1は、ミリポア社から入手した。IGF−1のhIGF−1R−His10に対する親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)で測定した。ビオチン標識抗−Hi
sTag抗体(ビオチン−PENTA−His、Qiagen Cat.No.34440)を、HBS−EP緩衝液500nM注入することによってBiacore SAチップ(Cat.No.BR−1000−32)表面に飽和させて固定化した。各センサーグラムについて、hIGF−1R−His10(実施例5(パートII)に記載)を、μL/分で40nMタンパク質の20μLを注入することによってビオチン−PENTA−His表面に捕捉した。hIGF−1R−His10の注入に続いて、流を20μL/分に増やした。次に、IGF−1を含有する130μLの注入を行って、成長ホルモンとその受容体との相互作用を調べた。IGF−1を、64nMから0.125nMまで連続的に希釈して濃度依存反応結合曲線を得た。各注入系列は、pH4.0の10mM酢酸塩の20μL/分で3×10μLの注入を使用して再生した。各曲線は、(1)ペンタ−His抗体を欠くストレプトアビジン表面から得たデータ及び(2)hIGF−1R−His10の一次注入、次いでHBS−EP緩衝液の二次注入から得たデータを用いて二重に参照した。IGF−1に対する濃度系列は、製造業者のBiaEvaluationソフトウエア内に備えられた1:1結合モデルに適合していた。2組のデータが得られた、すなわち一方は操作緩衝液、hIGF−1R−His10注入緩衝液及びIGF−1注入緩衝液中の400nMのM13−C06の存在下のデータと、他方は操作緩衝液、hIGF−1R−His10注入緩衝液及びIGF−1注入緩衝液中の400nMのM13−C06の存在下のデータが得られた。
IGF−1/IGF−1R/M13−C06抗体の3元結合体のプルダウン(Pull−down)及びウェスタンブロット分析
再懸濁したプロテインA/Gビーズ(300μl、Pierce Cat.No.20422)を、1xPBSで洗浄し、1.5mlのエッペンドルフ管内の1.0mgのM13−C06と、回転振盪器で、室温で2時間混合した。別の管では、12μgのhIGF−1R−His10(R&D systems)及び460ngのヒトIGF−1(Chemicon International Cat.No.GF006)を、室温で1時間(1:1のプロテイン:プロテイン比)混合した。結合したM13−C06を有するプロテインA/GをPBSで洗浄し、hIGF−1R−His10/IGF−1混合物と室温で30分間インキュベートした。結合したタンパク質を有するロテインA/Gを、PBSで洗浄し、次いで結合タンパク質をpH3.0の100mMグリシン300μLで溶出した。陰性対照として、12μgのヒトIGF−1R(1−902)−His10の添加を省いた。溶出したタンパク質は、一次抗体として抗−ヒトIGF−1抗体(ウサギ抗−ヒトIGF−1ビオチン、USBiological Cat.No.I7661−01B)及び抗−ヒトIGF−1R抗体(IGF−lRα 1H7、Santa Cruz
Biotechnology Cat.No.sc−461)を用い、次いで二次抗体としてHRP−標識ストレプトアビジン(Southern Biotech Cat.No.7100−05)及びHRP−標識ヤギ抗−マウスIgG(USBiological Cat. No.11904−40J)を用いてウェスタンブロット法で検出した。IGF−1/IGF−1R/M13−C06が3元複合体を形成する能力を実証するために、この実験で使用したIGF−1及びIGF−1Rの濃度は、これらタンパク質(特に血清中のIGF−1)の通常の生理学的濃度及びIGF−1R/IGF−1について測定した平衡解離定数を十分に上回っていた(15倍を超える)。例えば、Hankinsonら、1997年参照。
IGF−1R(l−462)−Fcの組み立て及び完全長受容体外部ドメインに対する抗体結合の比較研究
ヒトIGF−1のIGF−1/IGF−2結合ドメイン、すなわちL1−CR−L2(残基1−462)の組み立ては、既に公表されている(McKern 1997)。この情報を利用して、本発明者らは、ヒトIGF−1R残基1−462(N末端シグナル配列とともに)を完全長ヒト外部ドメイン(残基1−903、hIGF−IR−Fc)を産
生させるのに使用されているものと同じ自家製PV90ベクターにサブクローン化した。CHOでの発現は、すでに報告されている方法(Brezinsky 2003)を用いて促進させた。タンパク質をCHO上清から、他のFc−融合タンパク質についで既に報告されている(Demarest 2006)プロテインA親和性カラムに通すことによって精製した。タンパク質組み立て体は、hIGF−1R(1−462)−Fcと表す。
M13−C06、M14−C03、及びM14−G11抗体がhIGF−1R(I−462)−Fc及び完全長外部ドメイン組立て体、hIGF−1R−Fcに結合する能力を、Biacore 3000を使用してSPRで調べた。前記装置を25℃に設定した、また操作緩衝液は、HBS−EP、pH7.2(Biacore、Cat.No.BR−1001−88)であった。完全ヒト抗体、M13−C06、M14−C03、及びM14−G11を、Biacoreによって提供されたプロトコルに従って標準NHS/EDC−アミン反応化学を使用して、Biacore CM5 Research Grade SensorChip(Cat.No.BR−1000−14)表面上に10,000RUになるまで固定化した。固定化のために、抗体を、pH4.0の10mM酢酸塩緩衝液に40μg/mLに希釈した。hIGF−1R−Fc及びhIGF−1R(1−462)−Fcのヒト抗体それぞれとの結合及び解離の相対速度(kinetics)を調べるために、それぞれの受容体組立て体の濃度を上昇させながら、センサーチップ表面全体に注入した。hIGF−1R−Fc濃度系列は、1.0nMから100nMまでに及び、一方hIGF−1R(1−462)−Fc濃度系列は、1.0nMから2μMまでに及んだ。全ての抗体表面は、確実にpH2.0の100mMグリシンで再生した。反復再生は、抗体表面のいずれに対しても活性喪失をもたらさなかった。流は20μl/分であった。
エピトープマッピング突然変異
IGF−1R上のM13−C06抗体のエピトープを探査するための変異体の選択は、マウスIGF−1Rに対するM13−C06の結合親和性が著しく低下しているか又は検出できないという、Biacore及びFRET結合実験(実施例5(パートIII))での観察に基づいていた。マウス及びヒトIGF−1Rは、95%の一次アミノ酸配列同一性を共有する。ヒトIGF−1R及びヒトINSRは、57%の同一性(73%の類似性)を共有する。本発明者らは、外部ドメインにおいてマウス及びヒトIGF−1Rの間で異なる33個の残基を同定した(表16)。INSR外部ドメイン内の相同的位置は最近のINSR結晶構造(pdb code 2DTG、McKern 2006)に基づいて溶媒に暴露されているから、これらの残基のうち20個が突然変異の標的とされた。接近可能な表面積は、1.4Åのプローブ半径を用いStrucTools(http://molbio.info.nih.gov/structbio/basic.html)を使用して算出した。INSRの構造の中にはない4つの付加残基もまた、IGF−1/IGF−2結合に重要であることが実証されているFnIII−2ドメインの非構造ループ領域の中に存在していたことから、突然変異誘発のために選択された(Whittaker 2001; Sorensen 2004)。エピトープマッピングの研究に選択された24個の変異体のリストを、表17に示す。
表16:ヒトIGF−1RとマウスIGF−1Rのアミノ酸の相違
それぞれの残基の位置の溶媒接近性を、同種INSR外部ドメインの公に入手可能な構造に基づいて決定した。ボールド体/イタリック体で示した残基は、溶媒に対してその表面積の30%を超えて暴露され、M13−C06のIGF−1Rエピトープを選別するために突然変異が誘発された。
24変異体エピトープマッピングライブラリーを、製造業者のプロトコルに従ってStratagene部位特異的突然変異誘発キットを使用して野生型hIGF−1R−Fc
PV−90プラスミドを突然変異誘発させることによって構築した。各変異体(又はSD004、SD001、SD014、SD016、及びSD019ライブラリーメンバーの場合には二重変異体)のPV−90ベクターへの取り込みを、本発明物らの自家製DNA配列決定施設で確認した。プラスミドを、Qiagen Miniprep Kit及びQiagen Endotoxin−Free Mazikitsそれぞれを用いてミニプレップ及びマックスプレップした。各変異体プラスミド200μgを、培地中に可溶性タンパク質分泌のためのPolyFect トランスフェクションキット(Qiagen)を使用して、100mLのHEK293 T細胞2×10細胞/mLで一時的に移入した。細胞を、DMEM(IvrineScientific)、10%FBS(低IgGウシ血清、Invitrogen − 20mLプロテインAカラムに通すことによってウシIgGをさらに減らしたもの)中で、CO2インキュベーター中で、37℃で培養した。7日後、各IGF−1R−Fc変異体を含んだ上清を1200rpmで遠心分離し、0.2μmフィルターで濾過することによって回収した。各変異体を、上清をIXPBSで予め平衡させた1.2mLプロテインAセファロースFFカラムに上清を通す
ことによってアフィイニティー精製した。変異体はpH3.0の0.1Mグリシンを用いてカラムから溶出し、pH8.5の1Mトリス、0.1%Tween−80で中和し、VivaSpin 6 MWCO 30,000遠心分離濃縮装置(Sartorius、Cat.No.VS0621)を用いて300μLに濃縮した。
IGF−1変異体のウェスタンブロット分析
hIGF−1R−Fcの変異体試料を、Xcell SureLock Mini Cell(Invitrogen Cat.No.EI0001)を使用して標準的な製造業者のプロトコルに従って4〜20%トリス−グリシンゲル(Invitrogen Cat.No.EC6028)上で泳動した。試料は、標準的な製造業者のプロトコルに従い、iBlot Dry Blotting System(Invitrogen Cat.No.IB1001)及びTransfer Stacks(Invitrogen Cat.No.IB3010−01又は3010−02)を用いてニトロセルロースに移した。膜を25mlのPBST;5mg/mlの脱脂乾燥乳中で4℃で一夜ブロックした。ブロック後に、膜を25mlのPBSTで1回、室温で5分間洗浄した。膜を10mlのPBSTに1:100の状態にした一次抗−IGF−lRβ抗体(Santa Cruz Biotechnology Cat.No.sc−9038)と共に、室温で1時間インキュベートした。その後、膜を、5分間、25mlのPBSTで3回洗浄した。検出のために、膜を、10mlのPBSTで1,000倍希釈した二次HRP−結合ヤギ抗−ウサギIgG−Fc抗体(US Biological Cat.No.I1904−40J)と共に室温で1時間インキュベートした。膜を、分間、25mlのPBSTで回洗浄し、次いで20分間、25mlのPBSTで回洗浄した。タンパク質のバンドを、標準的な製造業者のプロトコルに従い、Amersham ECL Weatern Blotting Analysis System(GE Healthcare Cat.No.RPN2108)を用いて検出した。
IGF−1R−Fc変異体ライブラリーのBiacore分析
2つの別個の同種二量体領域(IGF−1R及びIgG1−Fc)の取り込みによって誘導された高度多価性によって、mIGF−1R−Fc及びhIGF−1R−Fcは共に、上記のM13−C06、M14−C03、及びM14−G11のセンサーチップ表面に高い見かけの親和性で結合する。M13−C06に対する実際の高親和性結合mIGF−1R−FcとM13−C06に対するmIGF−1R−Fcの低親和結合の間を区別するために、受容体−Fc融合体を、M13−C06センサーチップ表面に捕捉、次いで可溶性M13−C06Fab結合事象を付加した。受容体−Fc組立て体を、60μLのアフィニティー精製され、濃縮された物質を1μ/分の流で注入することによってM13−C06チップ表面(上記のようにして調製した)に捕捉した。受容体−Fcの装填工程の完了後に、流を5μl/分に上げた。10nM、3nM、及び1nMのM13−C06Fab濃縮物を、それぞれの受容体−Fc組立て体の装填に引き続いて注入した(50μL)。それぞれのンサーグラムの終わりに、流を30μl/分に上げ、チップ表面をpH2の0.1Mグリシン2×10μLの注入により再生させた。
IGF−1R−Fc変異体スクリーンニングのための時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(tr−FRET)アッセイ
0.25−0.5μg(25μl)で開始する変異受容体の連続希釈液を、384ウエルマイクロタイタープレート(white from Costar)で0.05μgのIGF1R−His10−Cy5(12.5μl)及び0.00375μgのEu:C06(12.5μl)と混合した。IGF1R−His10−Cy5についての結合レベルは、Cy5:IGFlR−His10が6.8:1であり、Eu−C06についてはEu:C06が10.3:1であった。総量は各試料当たり50μlであった。プレートを、プレート撹拌器上で、室温で1時間インキュベートした。蛍光測定を、Wallac V
ictor蛍光プレートリーダー(Perkin Elmer)で、LANCEプロトコルを使用して340nmの励起波長及び665nmの放射波長を用いて実施した。あらゆるデータが、対応IC50値を測定した1−部位結合モデルと一致していた。
結果
M13−C06によるhIGF−1R−Fcに対するIGF−1及び/又はIGF−2の結合阻害は、実施例3に既に記載のようにして実証された。たとえ飽和状態であっても、ほとんどの抗体が、hIGF−1R−Fcに対するIGF−I又はIGF−2の結合を十分に抑制するとは限らない。特に、M13−C06については、本発明者らはリガンド結合の阻害が非競合的であるか又はアロステリックであるかも知れないと仮説した。この仮説を試験するために、本発明者らは、400nMのM13−C06抗体の存在下および非存在下でhIGF−1R−His10に対するIGF−1の親和性を調べた(hIGF−1R−His10に対する抗体の親和性の4000倍を超える)。SPRを使用して、hIGF−1R−His10を、抗−Histag抗体を使用し、次いで濃度を上昇させ(64nMにまで高めた)IGF−1を注入してチップ表面固定した。hIGF−1R−His10に対するIGF−1の結合は、400nMのM13−C06の存在下及び存在下で明らかであった(データは示さない:表面プラズモン共鳴は、400nMのM13−C06の存在下及び存在下でhIGF−1R−His10に対するIGF−1の結合を実証する。SPRの会合相は、1400−1800秒の間にあるが、解離相は1800−3000秒の間にあった。M13−C06の存在下では、IGF−1はK=17nM(k=2.4×10−5/Ms)でhIGF−1R−His10に結合した。400nMのM13−C06存在下では、IGF−1はK=59nM(k=7.1×10−4/Ms)でhIGF−1R−His10に結合した)。hIGF−1R−His10に結合するIGF−1の反応結合速度定数はM13−C06の存在下では約3倍低下し、M13−C06が受容体に対するリガンドの親和性をアロステリックに低下させるということを示唆する。
M13−C06がhIGF−1R−His10に対する結合についてIGF−1と直接競合しないことを裏付ける証拠が、M13−C06をhIGF−1R−His10対するIGF−1及びM13−C06両方の見掛の(apprent)親和性を十分に越える濃度で使用して、hIGF−1R−His10とIGF−1の同時免疫沈降を行うことによって得られた。ウェスタンブロット分析は、hIGF−1R−His10と混合したIGF−1物質の70−100%がM13−C06と共にプルダウンし、それによって3元の複合体を形成するためにhIGF−1R−His10とM13−C06及びIGF−1との同時関与が可能であることが実証することを実証した(データは示さない)。これらの結果は、普通のIGF−1血清濃度でIGF−1結合のM13−C06阻害のアロステリックな性質を実証し且つM13−C06の結合部位がIGF−1のリガンド結合ポケットと重複しないことを示唆している。
次に、本発明者らは、M13−C06がIGF−1Rの推定上のリガンド結合ドメン(L1−CR−L2)結合するのか否かを調べた。本発明者らは、IgG1−Fcに融合したN末端の3つのドメイン(残基1−462)を含む受容体の短縮型バージョンを作成し、そのM13−C06、M14−C03、及びM14−G11を結合する能力を、完全長受容体外部ドメイン組立て体hIGH−1R−Fcの能力と、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて比較した。M14−G11は、受容体の短縮型バージョンに対して同等の結合を実証し、一方、M13−C06及びM14−C03の結合は劇的に低下した。(データは示さない:表面固定化M13−C06、M14−C03、及びM14−G11抗体を、2μM、100nM、30nM、10nM、5nM及び1nMにわたる濃度でhIGF−1R(1−903)Fc及び短縮型hIGF−1R(1−462)Fcに対する結合について試験した。SPR結合相は480−960秒の間にあり、一方、解離相は960
−1170秒の間にあった。)残存する結合は、M13−C06及びM14−C03の両者について明らかであった;しかし、データは、少なくともこれら抗体のエピトープの良好な部分がリガンド結合ドメイン外のIGF−1R領域に存在することを示唆している。
本発明者らは、マウスIGF−1Rが、IGF−1R上のM13−C06結合部位の位置を評価すべくhIGF−1R−Fc内のマウス変異体のライブラリーを設計するためには、M13−C06抗体には結合しないという事実を利用した。試験したhIGF−1Rにおける種々の変異体を、表17に示した。ウェスタンブロット分析を使用して、それぞれのhIGF−1R−Fc変異体の発現を確認し且つ精製hIGF−1R−Fcを陽性対照として使用して、それぞれの変異タンパク質の相対的濃度に近似させるための標準曲線を作成した(データは示さない)。
表17:IGF−1RのM13−C06への結合に及ぼす変異の影響。SD015は、2つのアッセイフォーマットにおいてM13−C06に対する結合がほとんどない〜全くないことを実証する唯一の残基である場合にボールド体である。ND=測定されなかった
SPR及びtr−FRETを使用して、M13−C06に対するIGF−1R−Fcの結合を阻害する変異体について選別した。SD015変異体を除いて、全ての変異IGF−1R組立て体が、SPR実験でM13−C06結合活性又はM13−C06Fab結合活性を実証した。図28及び表17参照。データは示さない(競合阻害分析を使用して、非標識hIGF1R−Fc(SDWT)、マウスIGF1R−Fc(mIGF1R−Fc)及び変異hIGF1R−Fc組立て体の濃度を上昇させることによってCy5−標識IGF1Rに結合されたEu−M13−C06の置換についての結合曲線を確立した)
tr−FRETを使用して測定されたIC50値と、SPRを使用して測定された相対結合強度において、発現における天然のバリエーション及びウェスタンブロットによる定
量に起因してある偏りがあった;しかし。SD015は両方のアッセイでM13−C06に対して実質的に結合活性がないことを実証し且つmIGF−1R−Fc対照について測定された結果に匹敵する唯一の変異体であった。His464は、hIGF−1R−Fc組立て体の短縮型バージョン(すなわち、hIGF−lR(1−462)−Fc)のC末端に向かって1次アミノ酸配列の2つのアミノ酸C末端に配置される。短縮型hIGF−1R(1−462)に対するM13−C06の残存結合活性は、M13−C06の結合エピトープがVal462−His464残基を最少限度に包含していることを示唆している。証拠がM13−C06のエピトープが立体配置に依存することを示しているように、別の残基が抗体とエピトープの結合の相互作用に関与していると思われる。しかし、明白に残基Val462及びHis464はFnIII−Iドメインの外面にあると予測される(図29)。
M13−C06エピトープ(すなわち、462−464に対するどんな周囲の残基が抗体結合及び活性に重要なのか)の範囲を特定する試みにおいて、本発明者らは、ある構造モデル化アプローチを取り入れた。ヒトIGF−1R及びヒトINSRは、57%の同一性(73%類似性)及び同様の3次構造を共有している。先のX線結晶構造タンパク質抗原:抗体結合表面の解析は、結合エピトープの中心から半径約14Åを有する700Å (オングストローム平方)の平均結合表面を示唆した(Davies 1996)。INSRの同種外部ドメインのX線結晶構造(pdbコード2DTG(McKern 2006))を用いて、本発明者らは、V462からH464を通ってINSR残基L472及びK474までのIGF−1R残基をマッピングすることで462−464残基の半径14Åの範囲内でFnIII−ドメインの表面上の残基を計算した。距カットオフ、14Åの範囲内の任意の原子―原子間距離にも適用され、一方、表面パッチ内のそれぞれの残基について、平均距離はL472及びK474のCαからCαまでの距離から計算した。計算された平均距離は、CαからCαまでの距離が14Åより大きいが、その中の側鎖が14Åカットオフ以内でる残基に対しては14Åと記載する。M13−C06結合及び活性について重要と思われる残基を表18に記載する。
表18.M13−C06結合及び活性に重要と予測されるIGF−1R内の残基。残基462及び464を、これらがIGF−1Rの結合エピトープの予測された中心を表すので、イタリック体で表し、また実験データはM13−C03結合におけるこれら残基の重要性を実証する。
発表された研究は、残基440−586を認識する抗体がIGF−1結合に対しては抑制性及び作動性であり得ることを示している(Soos 1992;Keynhanfar 2007)。440−586は、L2の全てと抗−IGF−1R抗体に接近しやすい多くの潜在的で重なり合うことのない表面を持つFnIII−Iに相当する。本発明者らの研究は、IGF−1Rの阻害性エピトープが特定の残基にマッピングされる場所を知った最初の研究である。INSRの最近の構造は、インスリンがその受容体に結合することを阻害すると知られている抗−INSR抗体と共に同時結晶化され(Soos 198
6; McKern 2006)。IGF−1RのHis464に対する同種残基(INSRのK474)はINSRとのこの抗体の結合表面の部分である。M13−C06は、アンタゴニスト抗−INSR抗体と類似したIGF−1がIGF−1Rに結合するのを阻害するための阻害メカニズム共有している可能性がある。
実施例28
M13−C06.G4.P.agly抗体は、腫瘍細胞に対してインビボで効果的に局在し、Ki67発現を阻害し、IGF−1Rの発現をダウンレギュレートする。
M13−C06.G4.P.agly抗体は、インビボで腫瘍細胞に局在する
方法: SCID Beigeマウスに、エストロゲン(0.36mgペレット、90日放出(Innovative Research of America))の存在下でMCF−7細胞2×10個(マトリゲル中で)を注射した。腫瘍を300〜500mmまで増殖させ、次いでマウスに30mg/kgのM13−C06.G4.P.agly抗体を腹腔内注射した。マウスを犠牲、注射後2、6、12、24、及び48時間で腫瘍を取り出し、OCT中で凍結し、免疫組織化学分析(IHC)用に6μmに切片化した。抗体注射を受けていない腫瘍を、対照として切除した。腫瘍をOCT中で凍結し、IHC用に、6μmに切片化した。基質は、ベクターVIP(紫色に染まる)である。結合抗体を、ヤギ抗−ヒトIgG H+L(Human Elite ABCキット、Vector Labs)を使用して、M13−C06.G4.P.agly又はIDEC151(陰性対照抗体)処理腫瘍について検出した。IGF−1R発現を、α−IGF−1R
Mab(クローン24−31、NeoMarkers/Lab Vision)を使用して、M13−C06.G4.P.agly又はIDEC151処理腫瘍について検出した。同様の研究をBxPC3膵癌異種移植片モデルで行った。
結果(データは示さない):マウスMCF−7乳房腫瘍又はBxPC3膵臓腫瘍異種移植片モデルを使用するインビボ効果実験は、M13.C06.G4.P.aglyの腹腔内注射が腫瘍細胞増殖の阻止において30及び15mg/kgで有効でることを明らかにした。経時実験を行って、MCF−7又はBX−Pc3腫瘍を有するマウスそれぞれにおけるM13.C06.G4.P.aglyの30mg/kg又は15mg/kgの1回投与の薬物動態を研究した。M13.C06.G4.P.aglyは、処理後6時間程度の速さで腫瘍に局在し、免疫組織化学分析(IHC)に調べられるように、48時間で局在が最大であった。ウエスタン及びIHC分析で調べたようにIGF−1Rの発現は、処理後6時間でM13.C06.G4.P.agly処理腫瘍においてIGF−1Rの顕著な喪失を示し、24時間でGF−1Rのほぼ完全な喪失を示した。アイソタイプを一致させた対照抗体を用いて処理した腫瘍では、変化が認められなかった。シグナル伝達経路についての腫瘍溶解液の分析は、2〜12時間でリン酸化Erk及びAktの一時的な低下を明らかにした。
M13.C06.G4.P.agly抗体はKi67発現を阻害する
M13.C06.G4.P.agly処理腫瘍のKi67染色もまた、対照抗体処理腫瘍に比べて増殖細胞の減少を示した(データは示さない)。これらのデータは、M13.C06.G4.P.aglyがインビボ腫瘍に効果的に局在し、IGF−1Rのダウンレギュレーション及びIGF−1R介在シグナル伝達の阻害によって腫瘍の増殖を阻止することを示した。
M13.C06.G4.P.aglyは腫瘍中のIGF−1Rをダウンレギュレートし、分解する
IGF−1Rを、ヒト膵臓細胞(BxPC3;図30(A))及び乳癌細胞(MCF−
7;図30(B))を用いて生じさせたSCIDマウス腫瘍の溶解液から免疫ブロットした。M13.C06.G4.P.agly又はIDEC−151陰性対照抗体を用いた処理後の指定した時間点で、腫瘍を切した。腫瘍をスナップ(snap)凍結し、粉し、溶解した。腫瘍細胞溶解液のタンパク質濃度を正規化し、4−12%NuPAGE(登録商標)ゲル(Invitrogen Inc.,SD、CA)で分離した。ゲルをニトロセルロース濾紙にブロットし、ポリクロナール抗−IGF−1Rβを用いてプローブし、抗−ウサギ−セイヨウワサビペルオキシダーゼ抗体を用いた酵素反応により検出した。結果は、M13.C06.G4.P.aglyが陰性対照抗体と比べてIGF−1のダウンレギュレーション及び分解をもたらしたことを示す。
実施例29
M13.C06.G4.P.agly抗体は、種々の腫瘍モデル系で体内抗腫瘍活性を実証する
先の実施例に記載のように肺及び膵臓のモデル系においてM13.C06.G4.P.aglyについて実証した腫瘍増殖のインビボ阻止のほかに、以下の実験により、M13.C06.G4.P.aglyが活性を示す多様な腫瘍細胞モデルをさらに実証する。
MiaPaCa2膵癌細胞を用いて生じさせた腫瘍におけるM13.C06.G4.P.aglyの抗腫瘍活性
雌性SCIDマウスに、50%Matrigel(BD Biosciences)/PBS中の2×10個のMiaPaCa2膵癌細胞を右脇腹に接種した。腫瘍を150mm(L×W2/2)の大きさまで到達させ、マウスを区分けし、単一薬剤(抗体単独)及び併用処理(M13.C06.G4.P.agly抗体及びゲムシタビン)を腹腔内投与した。ゲムシタビン単独(20mg/kg、Q4D×3)及びM13.C06.G4.P.agly(30mg/kg)との併用並びにM13.C06.G4.P.agly単独(共に15mg/kg及び30mg/kg;1×週×6)は腫瘍増殖を阻止した。
ゲムシタビンの他に、その他の多数の併用療法も試験でき、本発明の抗体と併用することができる。例えば、以下のカテゴリーの化合物併用療法が、小さな典型的な見本を示すが、本発明の抗体と共に利用できる:
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、例えば:
タルセバ(エルロチニブ)
イレッサ(ゲフィニチブ)
EGFR抗体、例えば:
エルビタックス(セツキシマブ)
ベクチビックス(パニツムマブ)
mTOR阻害剤、例えば:
テムシロリムス
ラパマイシン
及びその他の抗癌化合物、例えば:
グリベック(イマチニブ)
スーテント(スニチニブ)
ソラフェニブ(Bay−439006)
SAHA(HDAC阻害剤)
HSP90阻害剤
M200(Volociximab)。
原発性ヒト結腸腺癌から誘導される細胞を用いて生じさせた腫瘍でのM13.C06.G4.P.aglyの抗腫瘍活性
雌性SCIDマウスに、1mmの結腸腫瘍断片を右脇腹に接種した。腫瘍断片は、結
腸腺癌を有す患者から腫瘍を外科切除した後に得られた結腸腫瘍組織を継代する(5回)ことによって誘導した。腫瘍を150mm(L×W2/2)の大きさまで到達させ、マウスを区分けし、示した処理(n=6)を用いて投与した(図31)。15mg/kg又は30mg/kgの抗体を週に1回腹腔投与した。
結果: M13.C06.G4.P.aglyは、SCIDマウスにおいて原発性結腸腫瘍(CT3)の増殖を効果的に阻止した(図31)。
MCF−7乳癌細胞を用いて生じさせた腫瘍でのM13.C06.G4.P.aglyの抗腫瘍活性
雌性SCID Beigeマウスに、50%Matrigel/PBS中の2×10個のMCF−7細胞(エストロゲン依存性)を右脇腹に接種した。細胞接種の24時間前に、エストラジオールペレットを、左脇腹に埋め込んだ(0.36mgペレットエストラジオール、90日放出(Innovative Research of America))。腫瘍を150mm(L×W2/2)の大きさまで到達させ、マウスを区分けし、示した処理(n=10)を用いて投与した(図32)。抗体を1回/週、腹腔内投与し、一方、落花生油中のクエン酸タモキシフェン(Sigma Inc.)をそれぞれの治療計画について週に5回皮下投与した。統計分析を、対にしたスチューデントのt検定を使用して行った。
結果: M13.C06.G4.P.aglyは、MCF−7乳癌腫瘍の増殖を効果的に阻止した(図32)。
もちろん、本発明の抗体の腫瘍阻止効果もまた、その他の多数の癌細胞種(少ない典型的な見本を挙げると、例えば:肺癌細胞系H−1299、H−460、H−23;結腸癌細胞系Colo205及びHT−29;膵癌細胞系、例えばPanc−1;及び前立腺癌細胞系、例えばPC−3)で容易に試験できる。
実施例30
M13.C06.G4.P.agly抗体はインビトロADCC活性を示さない。
方法
ヒト末梢血単核細胞を、ヘパリン化した全血から標準フィコールパーク分離法で精製した。細胞を、10%FBS及び200U/mlのヒトIL−2を含有するGIBCOTM
RPMI1640培地に再懸濁し、37℃で一夜インキュベートした。翌日に、細胞を採取し、培養培地中で1回洗浄し、1×10細胞/mlで再懸濁した。
標的細胞(MCF−7、乳癌細胞)を、100μCiの51Crと共に37℃で1時間インキュベートした。標的細胞を1回洗浄して、取り込まれなかった51Crを除去し、1×10細胞/ウエルの容量でプレートにまいた。標的細胞を、50μlのエフェクター細胞及び50μlの抗体と共にインキュベートした。1:50の標的とエフェクターの比を実験全体を通じて使用した。含有させた対照を、抗体と共に又は抗体を存在させずにインキュベートし、これらは、M13.C06.G4.P.agly、ハーセプチン(陽性対照)及びIDEC−151(陰性対照− CD4に特異的なアカゲザル/ヒトキメラIgG1モノクロナール抗体)を含む。37℃で4時間インキュベートした後に、上清を採取し、ガンマカウンター(Isodata Gamma Counter、Packard Instruments)を使用して数えた。%溶解を、次式を用いて調べた:
%溶解=[試料放出(CPM)−自然放出(CPM)]/[最大放出(CPM)−自然放出(CPM)]×100%
結果
ハーセプチン抗体陽性対照と比べて、M13−C06又はIDEC−151抗体のいずれもADCC活性を示さず、それによってこれら後者の抗体についてエフェクター機能の欠如を示す(図33)。
実施例31
抗−IGF−1R抗体を使用するヒトの癌の治療
本実施例は、悪性細胞、例えばIGF−1Rの発現が検出された過剰増殖細胞を標的としてIGF−1Rに対する抗体を使用して癌を治療する方法を説明する。
ある実施形態において、M13.C06.G4.P.agly抗体(又は本発明の他の抗体)は精製され、注射剤用の適当な製薬ビヒクルを用いて製剤される。過剰増殖性疾患を有するヒト患者に、M13.C06.G4.P.agly抗体(又は本発明の他の抗体)を、約1mg/kg体重〜約100mg/kg体重で、例えば、2週毎に1回又は月に1回、少なくとも6ヶ月間、静脈内注入によって複数回投与する。間隔は、患者の予後徴候の指標を測定することによって示されるように不規則であり得る。
抗体は、本明細書に記載のような標準的な放射線治療計画の前に、同時に又は後に投与することができる。患者は、例えば、腫瘍退縮、新たな腫瘍の発生の減少、より少ない腫瘍抗原発現、又は病気予後を評価するその他の手段に基づいて、治療が抗腫瘍反応をもたらしたか否かを調べるために監視される。
(オーストラリア)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addressee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国特許法施行規則第3.25(3)号規規則)。

(カナダ)
出願人は、本出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは本出願が拒絶または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料のサンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければならない。

(クロアチア)
出願人はここにおいて、本願において言及された寄託された生物学的材料のサンプルが、無関係の専門家に対して、本願の公開と特許査定との間に入手可能とされる旨を、請求する。サンプルは、本特許の権利存続中に、本特許の出願人または適用可能な場合にはその権利者がはっきりと以下のような保証を放棄しない限りは、サンプルの請求人が、このようなサンプルまたはこれらに由来するあらゆる材料を第三者に対して入手可能としないこと、ならびに、実験または研究の目的を除いて、このようなサンプルまたはこれらに由来するあらゆる材料を使用しないことに同意する場合にのみ、入手可能とされる。

(デンマーク)
出願人はここにおいて、本出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとする。第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。

(フィンランド)
出願人はここにおいて、本出願が(特許および統制委員会(National Board of Patents and Regulations)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、特許および統制委員会により作成された公認専門家のリストに記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。

(ドイツ)
出願人は、ここにおいて、生物学的試料は、特許の付与、またはこの出願が拒絶され、取り下げられる場合は、出願日から20年間、出願人により指名された独立の専門家にのみ試料が分譲されることを請求する。

(アイスランド)
出願人はここにおいて、特許が付与されるか、または特許が付与されない、この出願に関するアイスランド特許庁による最終的な決定がなされるまでは、この出願で言及される寄託された生物学的材料の試料の供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。

(ノルウェー)
出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリストに記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。

(シンガポール)
出願人はここにおいて、微生物の試料の供与は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。

(スペイン)
出願人は、ここにおいて、生物学的材料は、スペイン特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられる場合は、出願日から20年間、Article 45 SPLで示されるように独立の専門家にこの出願で言及される寄託された生物学的材料の試料を分譲することによってのみ入手可能となされることを請求する。

(スウェーデン)
出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、出願日から20年以内に拒絶または取り下げられた出願に対しても適用される。

(スイス)
出願人はここにおいて、第三者に対するサンプルの供与は、その第三者が、寄託者への
通知のために氏名および住所を寄託機関に知らせ、そして、(a)寄託された培養物またはこれに由来する培養物を第三者に対して入手可能としないこと;(b)法律の権限外でこの培養物を使用しないこと;ならびに、(c)係争中の場合には、項目(a)および(b)の下の義務違反がない旨の証書を発行することに同意する、という条件でなされ得る旨を、請求する。

(マケドニア共和国(旧ユーゴスラビア連邦))
出願人はここにおいて、第三者に対するサンプルの供与は、その第三者が、(a)生存可能な生物学的材料または微生物材料のサンプルが入手可能とされることを要求する権利を有し;そして(b)特許の効力の存続期間の満了前に、出願人は、その寄託された生存可能な生物学的材料または微生物材料のサンプルを任意の第三者に対して入手可能とする権限を与えられていないことに同意している、という条件でなされ得る旨を、請求する。
(英国)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。

(欧州特許庁)
出願人はここにおいて、欧州特許を付与する旨の告示が公表されるまで、または特許出願が拒絶され、取り下げられる場合は、出願日から20年間、生物学的材料は、EPC施行規則の規則28(3)に定められるように、サンプルの請求人により指名された専門家にサンプルを分譲することによってのみ入手可能となされる旨を、請求する(EPC規則28(4))。
IGF−1R特異的Fab類の結合活性を表す。(a)は、ELISAによる組換えIGF1R−his及びIGF1R−Fcタンパク質に対する精製抗IGF1RFab抗体の結合を表す。(b)は、フローサイトメトリーによる3T3上で発現されたヒトIGF1Rに対する精製抗−IGF1RFab抗体の結合を表す。 MCF−7細胞上で発現されたIGF−1Rに対するFab類の結合活性を表す。 抗−IGF−1R Fab類が、MCF7細胞において(a)IGF−I及び(b)IGF−2誘発リン酸化を阻害したことを表す。 ELISAによる可溶性IGF−1R(a)及びINSR(b)に対するIGF−1R Fabフラグメント抗体の結合を表す。 M13−C06、M14−G11、M14−C03及びM14−B01のV重鎖及びV軽鎖のオリジナルバージョンと修飾バージョンのヌクレオチド及びアミノ酸配列を表す。(a)(配列番号:13)は、重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(b)(配列番号:77)は、軽鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(c)(配列番号:14)は、重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(d)(配列番号:78)は、軽鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(e)(配列番号:25)は、重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(f)(配列番号:87)は、軽鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(g)(配列番号:26)は、重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(h)(配列番号:88)は、軽鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(i)(配列番号:31)は、重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(j)(配列番号:92)は、軽鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(k)(配列番号:32)は、重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(l)(配列番号:93)は、軽鎖M14−G11アミノ酸配列を表す。(m)(配列番号:19)は、重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(n)(配列番号:82)は、軽鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(o)(配列番号:20)は、重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(p)(配列番号:83)は、軽鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(q)(配列番号:18)は、配列最適化重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(r)(配列番号:14)は、配列最適化重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(s)(配列番号:30)は、配列最適化重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(t)(配列番号:26)は、配列最適化重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(u)(配列番号:36)は、配列最適化重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(v)(配列番号:32)は、配列最適化重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(w)(配列番号:24)は、配列最適化重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(x)(配列番号:20)は、配列最適化重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(y)(配列番号:153)は、軽鎖定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(z)(配列番号:154)は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列を表す。(aa)(配列番号:155)は、重鎖agly.IgG4.P定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(bb)(配列番号:156)は、重鎖aglyIgG4.P定常領域のアミノ酸配列を表す。 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M13−C06、M14−G11、M14−C03及びM14−B01のV重鎖及びV軽鎖のオリジナルバージョンと修飾バージョンのヌクレオチド及びアミノ酸配列を表す。(a)(配列番号:13)は、重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(b)(配列番号:77)は、軽鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(c)(配列番号:14)は、重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(d)(配列番号:78)は、軽鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(e)(配列番号:25)は、重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(f)(配列番号:87)は、軽鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(g)(配列番号:26)は、重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(h)(配列番号:88)は、軽鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(i)(配列番号:31)は、重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(j)(配列番号:92)は、軽鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(k)(配列番号:32)は、重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(l)(配列番号:93)は、軽鎖M14−G11アミノ酸配列を表す。(m)(配列番号:19)は、重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(n)(配列番号:82)は、軽鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(o)(配列番号:20)は、重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(p)(配列番号:83)は、軽鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(q)(配列番号:18)は、配列最適化重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(r)(配列番号:14)は、配列最適化重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(s)(配列番号:30)は、配列最適化重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(t)(配列番号:26)は、配列最適化重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(u)(配列番号:36)は、配列最適化重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(v)(配列番号:32)は、配列最適化重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(w)(配列番号:24)は、配列最適化重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(x)(配列番号:20)は、配列最適化重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(y)(配列番号:153)は、軽鎖定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(z)(配列番号:154)は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列を表す。(aa)(配列番号:155)は、重鎖agly.IgG4.P定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(bb)(配列番号:156)は、重鎖aglyIgG4.P定常領域のアミノ酸配列を表す。 M13−C06、M14−G11、M14−C03及びM14−B01のV重鎖及びV軽鎖のオリジナルバージョンと修飾バージョンのヌクレオチド及びアミノ酸配列を表す。(a)(配列番号:13)は、重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(b)(配列番号:77)は、軽鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(c)(配列番号:14)は、重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(d)(配列番号:78)は、軽鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(e)(配列番号:25)は、重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(f)(配列番号:87)は、軽鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(g)(配列番号:26)は、重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(h)(配列番号:88)は、軽鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(i)(配列番号:31)は、重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(j)(配列番号:92)は、軽鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(k)(配列番号:32)は、重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(l)(配列番号:93)は、軽鎖M14−G11アミノ酸配列を表す。(m)(配列番号:19)は、重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(n)(配列番号:82)は、軽鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(o)(配列番号:20)は、重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(p)(配列番号:83)は、軽鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(q)(配列番号:18)は、配列最適化重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(r)(配列番号:14)は、配列最適化重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(s)(配列番号:30)は、配列最適化重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(t)(配列番号:26)は、配列最適化重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(u)(配列番号:36)は、配列最適化重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(v)(配列番号:32)は、配列最適化重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(w)(配列番号:24)は、配列最適化重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(x)(配列番号:20)は、配列最適化重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(y)(配列番号:153)は、軽鎖定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(z)(配列番号:154)は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列を表す。(aa)(配列番号:155)は、重鎖agly.IgG4.P定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(bb)(配列番号:156)は、重鎖aglyIgG4.P定常領域のアミノ酸配列を表す。 M13−C06、M14−G11、M14−C03及びM14−B01のV重鎖及びV軽鎖のオリジナルバージョンと修飾バージョンのヌクレオチド及びアミノ酸配列を表す。(a)(配列番号:13)は、重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(b)(配列番号:77)は、軽鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(c)(配列番号:14)は、重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(d)(配列番号:78)は、軽鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(e)(配列番号:25)は、重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(f)(配列番号:87)は、軽鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(g)(配列番号:26)は、重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(h)(配列番号:88)は、軽鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(i)(配列番号:31)は、重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(j)(配列番号:92)は、軽鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(k)(配列番号:32)は、重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(l)(配列番号:93)は、軽鎖M14−G11アミノ酸配列を表す。(m)(配列番号:19)は、重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(n)(配列番号:82)は、軽鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(o)(配列番号:20)は、重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(p)(配列番号:83)は、軽鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(q)(配列番号:18)は、配列最適化重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(r)(配列番号:14)は、配列最適化重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(s)(配列番号:30)は、配列最適化重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(t)(配列番号:26)は、配列最適化重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(u)(配列番号:36)は、配列最適化重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(v)(配列番号:32)は、配列最適化重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(w)(配列番号:24)は、配列最適化重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(x)(配列番号:20)は、配列最適化重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(y)(配列番号:153)は、軽鎖定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(z)(配列番号:154)は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列を表す。(aa)(配列番号:155)は、重鎖agly.IgG4.P定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(bb)(配列番号:156)は、重鎖aglyIgG4.P定常領域のアミノ酸配列を表す。 M13−C06、M14−G11、M14−C03及びM14−B01のV重鎖及びV軽鎖のオリジナルバージョンと修飾バージョンのヌクレオチド及びアミノ酸配列を表す。(a)(配列番号:13)は、重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(b)(配列番号:77)は、軽鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(c)(配列番号:14)は、重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(d)(配列番号:78)は、軽鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(e)(配列番号:25)は、重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(f)(配列番号:87)は、軽鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(g)(配列番号:26)は、重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(h)(配列番号:88)は、軽鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(i)(配列番号:31)は、重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(j)(配列番号:92)は、軽鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(k)(配列番号:32)は、重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(l)(配列番号:93)は、軽鎖M14−G11アミノ酸配列を表す。(m)(配列番号:19)は、重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(n)(配列番号:82)は、軽鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(o)(配列番号:20)は、重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(p)(配列番号:83)は、軽鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(q)(配列番号:18)は、配列最適化重鎖M13−C06の一本鎖DNA配列を表す。(r)(配列番号:14)は、配列最適化重鎖M13−C06のアミノ酸配列を表す。(s)(配列番号:30)は、配列最適化重鎖M14−C03の一本鎖DNA配列を表す。(t)(配列番号:26)は、配列最適化重鎖M14−C03のアミノ酸配列を表す。(u)(配列番号:36)は、配列最適化重鎖M14−G11の一本鎖DNA配列を表す。(v)(配列番号:32)は、配列最適化重鎖M14−G11のアミノ酸配列を表す。(w)(配列番号:24)は、配列最適化重鎖M14−B01の一本鎖DNA配列を表す。(x)(配列番号:20)は、配列最適化重鎖M14−B01のアミノ酸配列を表す。(y)(配列番号:153)は、軽鎖定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(z)(配列番号:154)は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列を表す。(aa)(配列番号:155)は、重鎖agly.IgG4.P定常領域の一本鎖DNA配列を表す。(bb)(配列番号:156)は、重鎖aglyIgG4.P定常領域のアミノ酸配列を表す。 完全ヒトM13−C06及びM14−C03抗体のG4.P.aglyバージョンの非還元及び還元SDA PAGE分析を表す。 ELISAで測定される完全ヒトG4.P(a)及びG4.P.agly(b)バージョンの結合活性を表す。 MCF−7(8.a)、IGF−1R/3T3(8.b)細胞上で発現されたIGF−1Rに対する完全ヒト抗体の結合を、フローサイトメトリーで調べらた。MCF−7上の結合EC50は、2.7−12×10−10nMの範囲にあった。 IGF−1Rに結合するIGF−1(a)及びIGF−2(b)をブロックする完全ヒト抗体のG4バージョンの能力を、RIAで調べた。 (a)は、完全ヒト抗体のG4バージョンによるIGF−1に応答するH−23腫瘍細胞の増殖の阻害を表し;(b)は、完全ヒト抗体のG4バージョンによるIGF−2に応答するH−23腫瘍細胞の増殖の阻害を表す。 (c)は、完全ヒト抗体のG4バージョンによるIGF−1に応答するCalu−6腫瘍細胞の増殖を表す。 M13.C06.G4.P.agly抗体、M14.C03.G4.P.agly抗体及びM14.G11.P抗体によるIGF−1(a)及びIGF−2(b)駆動受容体リン酸化の阻害を表す。 M13.C06.G4.P.aglyによる下流シグナル伝達の阻害を表す。(a)は、Phospho Akt(Thr308)及び全Aktを、上段及び下段それぞれに示す。(b)は、上部ホスホp44/42MAPK及び全p44/42MAPKを、上段及び下段それぞれに示する。 M13.C06.G4.P.aglyによる下流シグナル伝達の阻害を表す。(a)は、Phospho Akt(Thr308)及び全Aktを、上段及び下段それぞれに示す。(b)は、上部ホスホp44/42MAPK及び全p44/42MAPKを、上段及び下段それぞれに示する。 ヒト抗−IGF−1R抗体によるIGF−1Rの内部化を表す。M13−C06.G4.P.agly抗体によるIGF−1Rの内部化(a)が、共焦点顕微鏡で時間0分、15分及び60分で観察された。抗−マウスIGF−1R抗体クローン24−31は、陽性対照(b)であり、マウス7F2抗体及びヒトG4.P抗体IDEC−151.G4.Pは、実験のアイソタイプを一致させた陰性対照(c)であった。 ヒト抗−IGF−1R抗体によるIGF−1Rの内部化を表す。M13−C06.G4.P.agly抗体によるIGF−1Rの内部化(a)が、共焦点顕微鏡で時間0分、15分及び60分で観察された。抗−マウスIGF−1R抗体クローン24−31は、陽性対照(b)であり、マウス7F2抗体及びヒトG4.P抗体IDEC−151.G4.Pは、実験のアイソタイプを一致させた陰性対照(c)であった。 ヒト抗−IGF−1R抗体によるIGF−1Rの内部化を表す。M13−C06.G4.P.agly抗体によるIGF−1Rの内部化(a)が、共焦点顕微鏡で時間0分、15分及び60分で観察された。抗−マウスIGF−1R抗体クローン24−31は、陽性対照(b)であり、マウス7F2抗体及びヒトG4.P抗体IDEC−151.G4.Pは、実験のアイソタイプを一致させた陰性対照(c)であった。 選択されたIGF−1RmAb類によるIGF−1介在腫瘍細胞増殖の阻害を表す。(a)はH23について表し;(b)はCalu−6について表し;(c)はPanc−1について表し;(d)はBxPC3について表し;(e)はMaPaCaについて表し;及び(f)、Colo205について表す。バーは、平均及びSDを表す。 抗−IGF−1R抗体によるH−23細胞のIGF−1及びIGF−2駆動増殖の阻害を表す。 M13−C06.G4.P.agly抗体によるBxPC3細胞増殖(組換えヒトIGF−1及びIGF−2により駆動される)の阻害を表す。 M13−C06.G4.P.agly抗体によるNCI−H23細胞増殖(組換えヒトIGF−1及びIGF−2により駆動される)の阻害を表す。 M13−C06.G4.P.agly抗体によるA549細胞増殖(組換えヒトIGF−1及びIGF−2により駆動される)の阻害を表す。 完全ヒトIGF−1R抗体によるアミノ酸残基Ser473でのAktのIGF−1及びIGF−2誘発リン酸化の阻害を表す。 完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体が、膵癌モデルにおいて腫瘍増殖のインビボ用量依存阻害を示すことを表す。 完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体が、肺癌モデルにおいて腫瘍増殖のインビボ用量依存性阻害を示すことを表す。 ゲムシタビンと組み合わせて投与された完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体が、腫瘍増殖の阻害において高められた効果を示すことを表す。 完全ヒトM13.C06.G4.P.agly抗体が、確立されたカニクイザル線維芽細胞系で発現されたIGF−1Rに結合することを表す。 IGF−1R抗体結合性エピトープの交差競合結合分析を表す。 IRS−1及びp85(PBKの調節サブユニット)の同時免疫沈降が、IGF−1Rシグナル伝達のM13−C06.G4.P.agly介在阻害を実証することを表す。 哺乳動物細胞におけるIGF−1R及びINSRの免疫沈降が、IGF−1Rに結合するがインスリン受容体に結合しないM13.C06.G4.P.agly抗体を実証することを表す。IGF−1R及びINSRタンパク質は、マウス抗−ヒトIR(A)又はマウス抗−ヒトIGF−1R(B)を用いた免疫ブロット(ウェスタンブロット)によって検出された。 (A)hIGF−IR−Fc及び(B)mIGF−1R−Fcに対するM13−C06Fabの相対結合親和性測定を表す。x軸及びy軸の目盛りは、(A)及び(B)について同じである。結合フィットに関する残余(Residuals)を、各受容体に対するM13−C06の相対親和性の測定における1:1結合モデルの適用性を示すために各パネルの下部に示す。 IGF−1R変異タンパク質SD006(結合陽性)及びSD015(結合陰性)に結合する抗体と比較したSPRアッセイにおけるhIGF−1R−Fc及びmIGF−1R−Fc対照に結合するM13.C06抗体の例を表す。 IGF−1R及びINSRの構造を表す。A)は、IGF−1Rの構造の概略図を表す。A)FnIII−2は、図に示すようなインビボでタンパク質分解処理されるループ構造を含む。膜貫通領域は、リン脂質二重層の概略図を横断するヘリカルループとして示す。IGF−1R内のIGF−1/IGF−2結合部位の位置は、星印で示す。1個のIGF−1/IGF−2分子のみが各IGF−1Rヘテロ二量体分子に結合することが実証されている。B及びC)は、相同INSRの構造の表面に地図化されたM13−C06 IGF−1R結合性エピトープを表す。M13−C06 IGF−1R結合性エピトープは、高相同性INSR結晶構造に基づいてモデル化された。B)IGF−1RのV462−H464(すなわち、EsfSRのL472−K474)の相同的位置に対応するアミノ酸残基位置を有するINSRの構造の表面に、黒く陰影を付す。IGF−1R(すなわち、L1−CR−L2)(例えば、本明細書に記載の切断IGF−1R(1−462)−Fc組立て体に含まれる)に対応する最初の3つのドメインに、灰色に陰影を付ける。C)溶媒に表面積を暴露し且つIGF−1Rの462−464(すなわち、INSRの472−474)に対応する残基の14Å(オングストローム)の半径(すなわち28Åの直径)内にある残基を有するINSRの表示を、黒く陰影を付す。IGF−1Rアミノ酸462−464に対応する残基に、提案されたエピトープの実験的に確認された表面積を示すために灰色の陰影を付す。 M13.C06.G4.P.agly抗体を用いて処置されたマウス腫瘍におけるインビボIGF−1R発現の免疫ブロット(ウェスタンブロット)分析を表す。 原発性ヒト結腸腫瘍から生じた腫瘍におけるM13−C06.G4.P.aglyのインビボ抗腫瘍活性を表す。 乳癌(MCF−7)細胞から生じた腫瘍におけるM13−C06.G4.P.aglyのインビボ抗腫瘍活性を表す。 M13−C06抗体が、インビトロ(in vitro)ADCC活性を示さないことを表す。

Claims (60)

  1. M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体と同じ1型インシュリン様成長因子受容体(IGF−1R)エピトープに特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメント。
  2. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択される基準モノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生される基準モノクロナール抗体のIGF−1Rへの結合を競合的に阻害する単離抗体又はそのフラグメント。
  3. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントは、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメント、又はP2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体の抗原結合ドメインと同一の抗原結合ドメインを含む単離抗体又はそのフラグメント。
  4. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントの重鎖可変領域(VH)が、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  5. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントの軽鎖可変領域(VL)が、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  6. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  7. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  8. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  9. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  10. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVH及びVLが、それぞれ、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  11. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVH及びVLが、それぞれ、20個以下の保存アミノ酸置換それぞれを除いて、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及
    び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  12. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVH及びVLが、それぞれ、配列番号:4及び配列番号:68;配列番号:8及び配列番号:73;配列番号:14及び配列番号:78;配列番号:20及び配列番号:83;配列番号:26及び配列番号:88;配列番号:32及び配列番号:93;配列番号:38及び配列番号:98;配列番号:43及び配列番号:103;配列番号:48及び配列番号:108;配列番号:53及び配列番号:103;配列番号:58及び配列番号:113;並びに配列番号:63及び118よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  13. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、2個以下のアミノ酸置換を除いて、基準重鎖相補性決定領域−1、−2または−3(VH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3アミノ酸配列と同一のKabat VH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3アミノ酸配列を含有し、前記基準VH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3アミノ酸配列は、
    a)配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、または配列番号:64の基準VH−CDR1アミノ酸配列;
    b)配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、または配列番号:65の基準VH−CDR2アミノ酸配列;ならびに
    c)配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、または配列番号:66の基準VH−CDR3アミノ酸配列
    からなる群より選択される、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  14. 請求項13に記載の単離抗体またはそのフラグメントであって、前記VH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3アミノ酸配列は、
    a)配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、または配列番号:64のVH−CDR1アミノ酸配列;
    b)配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、または配列番号:65のVH−CDR2アミノ酸配列;ならびに
    c)配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、または配列番号:66のVH−CDR3アミノ酸配列
    からなる群より選択される、単離抗体またはそのフラグメント。
  15. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、4個以下のアミノ酸置換を除いて、基準軽鎖相補性決定領
    域−1、−2または−3(VL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3)アミノ酸配列と同一のKabat VL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3アミノ酸配列を含有し、前記基準VL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3アミノ酸配列が、
    a)配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、または配列番号:119の基準VL−CDR1アミノ酸配列;
    b)配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、または配列番号:120の基準VL−CDR2アミノ酸配列;および
    c)配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、または配列番号:121の基準VL−CDR3アミノ酸配列
    からなる群より選択される、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  16. 請求項15に記載の単離抗体またはそのフラグメントであって、前記VL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3アミノ酸配列が、
    a)配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、または配列番号:119のVL−CDR1アミノ酸配列;
    b)配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、または配列番号:120のVL−CDR2アミノ酸配列;および
    c)配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、または配列番号:121のVL−CDR3アミノ酸配列
    からなる群より選択される、単離抗体またはそのフラグメント。
  17. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;並びに配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有する(但し、前記VH−CDR類の少なくとも1つにおける1個、2個、3個又は4個のアミノ酸置換を除く)、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  18. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVHが、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;並びに配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  19. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;配列番号:84、85、及び86;配列番号:89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列を含有する(但し、前記VL−CDR類の少なくとも1つにおける1個、2個、3個又は4個のアミノ酸置換を除く)、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  20. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体又はそのフラグメントのVLが、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;配列番号:84、85、及び86;配列番号:89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列を含有する、IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメント。
  21. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体またはそのフラグメントのVHおよびVLは、
    配列番号5、6、7、69、70、及び71;
    配列番号10、11、12、74、75、及び76;
    配列番号15、16、17、79、80、及び81;
    配列番号21、22、23、84、85、及び86;
    配列番号27、28、29、89、90、及び91;
    配列番号33、34、35、94、95、及び96;
    配列番号39、40、41、99、100、及び101;
    配列番号44、45、46、104、105、及び106;
    配列番号49、50、51、109、110、及び111;
    配列番号54、55、56、104、105、及び106;
    配列番号59、60、61、114、115、及び116;
    配列番号64、65、66、119、120、及び121
    からなる群より選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、VH−CDR3、VL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列を含む(但し、前記VHまたはVL−CDR類の少なくとも1つにおける1個、2個、3個又は4個のアミノ酸置換を除く)、単離抗体またはそのフラグメント。
  22. IGF−1Rに特異的に結合する単離抗体又はそのフラグメントであって、前記抗体またはそのフラグメントのVHおよびVLは、
    配列番号5、6、7、69、70、及び71;
    配列番号10、11、12、74、75、及び76;
    配列番号15、16、17、79、80、及び81;
    配列番号21、22、23、84、85、及び86;
    配列番号27、28、29、89、90、及び91;
    配列番号33、34、35、94、95、及び96;
    配列番号39、40、41、99、100、及び101;
    配列番号44、45、46、104、105、及び106;
    配列番号49、50、51、109、110、及び111;
    配列番号54、55、56、104、105、及び106;
    配列番号59、60、61、114、115、及び116;ならびに
    配列番号64、65、66、119、120、及び121
    からなる群より選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、VH−CDR3、VL−CDR1、VL−CDR2、及びVL−CDR3アミノ酸配列を含む、単離抗体またはそのフラグメント。
  23. VHフレームワーク領域がヒト由来のものである(但し、5個以下のアミノ酸置換を除く)、請求項1〜2のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  24. VLフレームワーク領域がヒト由来のものである(但し、5個以下のアミノ酸置換を除く)、請求項1〜2のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  25. 以下:
    a)バリン−462
    b)ヒスチジン−464ならびに
    c)バリン−462及びヒスチジン−464
    からなる群より選択されるアミノ酸残基を含有するIGF−1Rエピトープに特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメント。
  26. 以下:
    a)バリン−462
    b)ヒスチジン−464ならびに
    c)バリン−462及びヒスチジン−464
    からなる群より選択される残基から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14オングストロームの溶媒接触表面半径を有するIGF−1Rエピトープに特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合性フラグメント。
  27. 重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が完全にヒト由来のものである、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  28. 記重鎖変領域及び軽鎖可変領域が、M13−C06、M14−G11、M14−C03、M14−B01、M12−E01、及びM12−G04よりなる群から選択されるモノクロナールFab抗体フラグメントに由来する、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  29. 前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域がマウス由来のものである、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  30. 記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、P2A7.3E11、20C8.3B8、P1A2.2B11、20D8.24B11、P1E2.3B12、及びP1G10.2B8よりなる群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクロナール抗体に由来する、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  31. キメラであるか、霊長類化されているか、ヒト化されているか、または完全にヒト由来である、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  32. Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖抗体からなる群より選択される、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  33. IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R改変ポリペプチドに、前記基準モノクロナール抗体の解離定数(KD)よりも小さい解離定数(KD)によって特徴づけられる親和性で、特異的に結合する、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  34. IGF−1Rポリペプチド又はそのフラグメント、あるいはIGF−1R変異ポリペプチドに、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、又は10−15M以下の解離定数(KD)によって特徴づけられる親和性で、特異的に結合する、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  35. 前記親和性が、約1×10−10〜約5×10−9Mの範囲内の解離定数(KD)によって特徴づけられる、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  36. 前記親和性が、
    (a)約1.1×10−10M;
    (b)約1.3×10−10M;
    (c)約3.6×10−10M;
    (d)約1.3×10−9M;
    (e)約4.0×10−9M;及び
    (f)約4.9×10−9M;
    よりなる群から選択される解離定数(KD)によって特徴づけられる、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  37. さらにそれに融合した異種ポリペプチドを含有する、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  38. 前記抗体が、細胞害性薬物、治療剤、細胞増殖抑制薬物、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的反応調節剤、医薬品、リンホカイン、異種抗体又はそのフラグメント、検出可能標識、ポリエチレングリコール(PEG)、及び前記薬剤の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される薬剤に結合体化される、請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  39. 前記細胞害性薬物が、放射線核種、生体毒素、酵素活性毒素、細胞増殖抑制又は細胞害性治療剤、プロドラッグ、免疫活性リガンド、生物学的反応調節剤、あるいは前記細胞害性薬物の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される、請求項38に記載の抗体又はそのフラグメント。
  40. 前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、あるいは前記検出可能な標識の2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される、請求項
    に記載の抗体又はそのフラグメント。
  41. 請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の抗体を製造する方法であって、前記抗体を発現する宿主細胞を培養し、前記抗体またはそのフラグメントを回収することを含む、方法。
  42. 請求項1〜40のいずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメントと、担体とを含む組成物。
  43. 抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VHポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であり;且つ前記VHポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチド。
  44. 前記核酸が、配列番号:3、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:42、配列番号:47、配列番号:52、配列番号:57、及び配列番号:62よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含有する、請求項43に記載のポリヌクレオチド。
  45. 抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VLポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と少なくとも90%同一であり;且つ前記VLポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチド。
  46. 前記核酸が、配列番号:67、配列番号:72、配列番号:77、配列番号:82、配列番号:87、配列番号:92、配列番号:97、配列番号:102、配列番号:107、配列番号:112、及び配列番号:117よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含有する、請求項45に記載のポリヌクレオチド。
  47. 抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VHポリペプチドのアミノ酸配列が、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:14、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:32、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:48、配列番号:53、配列番号:58、及び配列番号:63よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一であり;且つ前記VHポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチド。
  48. 抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VLポリペプチドのアミノ酸配列が、20個以下の保存アミノ酸置換を除いて、配列番号:68、配列番号:73、配列番号:78、配列番号:83、配列番号:88、配列番号:93、配列番号:98、配列番号:103、配列番号:108、配列番号:113、及び配列番号:118よりなる群から選択される基準アミノ酸配列と同一であり;且つ前
    記VLポリペプチドを含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチド。
  49. 単離ポリヌクレオチドであって、2個以下のアミノ酸置換を除いて、
    a)配列番号:5、配列番号:10、配列番号:15、配列番号:21、配列番号:27、配列番号:33、配列番号:39、配列番号:44、配列番号:49、配列番号:54、配列番号:59、または配列番号:64基準VH−CDR1アミノ酸配列
    b)配列番号:6、配列番号:11、配列番号:16、配列番号:22、配列番号:28、配列番号:34、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:50、配列番号:55、配列番号:60、または配列番号:65の基準VH−CDR2アミノ酸配列;および
    c)配列番号:7、配列番号:12、配列番号:17、配列番号:23、配列番号:29、配列番号:35、配列番号:41、配列番号:46、配列番号:51、配列番号:56、配列番号:61、または配列番号:66の基準VH−CDR3アミノ酸配列
    からなる群より選択されるVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3と同一のVH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VH−CDR1、VH−CDR2またはVH−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、単離ポリヌクレオチド。
  50. 単離ポリヌクレオチドであって、4個以下のアミノ酸置換を除いて、
    a)配列番号:69、配列番号:74、配列番号:79、配列番号:84、配列番号:89、配列番号:94、配列番号:99、配列番号:104、配列番号:109、配列番号:114、または配列番号:119基準VL−CDR1アミノ酸配列
    b)配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:100、配列番号:105、配列番号:110、配列番号:115、または配列番号:120の基準VL−CDR2アミノ酸配列;および
    c)配列番号:71、配列番号:76、配列番号:81、配列番号:86、配列番号:91、配列番号:96、配列番号:101、配列番号:106、配列番号:111、配列番号:116、または配列番号:121の基準VL−CDR3アミノ酸配列
    からなる群より選択されるVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3と同一のVL−CDR1、VL−CDR2またはVL−CDR3アミノ酸配列をコードする核酸を含有し;且つ前記VL−CDRL1、VL−CDR2またはVL−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、単離ポリヌクレオチド。
  51. 抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VHポリペプチドが、配列番号:5、6、及び7;配列番号:10、11、及び12;配列番号:15、16、及び17;配列番号:21、22、及び23;配列番号:27、28、及び29;配列番号:33、34、及び35;配列番号:39、40、及び41;配列番号:44、45、及び46;配列番号:49、50、及び51;配列番号:54、55、及び56;配列番号:59、60、及び61;並びに配列番号:64、65、及び66よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有し;且つ前記VL−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、抗体VHポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチド。
  52. 抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチドであって、前記VLポリペプチドが、配列番号:69、70、及び71;配列番号:74、75、及び76;配列番号:79、80、及び81;配列番号:84、85、及び86;配列番号:
    89、90、及び91;配列番号:94、95、及び96;配列番号:99、100、及び101;配列番号:104、105、及び106;配列番号:109、110、及び111;配列番号:114、115、及び116;並びに配列番号:119、120、及び121よりなる群から選択されるVH−CDR1、VH−CDR2、及びVH−CDR3アミノ酸配列を含有し;且つ前記VH−CDR3を含有する抗体又はその抗原結合性フラグメントがIGF−1Rに特異的に結合する、抗体VLポリペプチドをコードする核酸を含有する単離ポリヌクレオチド。
  53. 請求項4352のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドと担体とを含む組成物。
  54. 請求項4352のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
  55. 請求項54に記載のベクターを含有する宿主細胞。
  56. IGF−1R特異的に結合する抗体又はそのフラグメントを製造する方法であって、請求項5に記載の宿主細胞を培養し、前記抗体又はそのフラグメントを回収することを含む、IGF−1Rを特異的に結合する抗体又はそのフラグメントを製造する方法。
  57. 動物の過剰増殖性疾患を治療するための組成物であって
    a)請求項1〜22または25〜26のいずれか1項に記載の単離抗体又はそのフラグメント;及び
    b)製薬学的に許容し得る担体
    を含む組成物。
  58. 前記過剰増殖性疾患又は障害が、癌、新生物、腫瘍、悪性腫瘍、又はこれらの転移よりなる群から選択される、請求項57に記載の組成物
  59. 前記過剰増殖性疾患又は障害が、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、副腎腺、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺、眼、頭部、頸部、中枢神経系、末梢神経系、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、又は生殖器系にある新生物である、請求項58に記載の組成物
  60. 前記過剰増殖性疾患が、扁平上皮細胞癌、黒色腫、白血病、骨髄腫、胃癌、脳腫瘍、肺癌、膵癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、腎臓癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、並びに頭頸部癌よりなる群から選択される癌である、請求項58に記載の組成物
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