JP2009528516A - 高速走査型プローブ顕微鏡要素の動的減衰 - Google Patents

高速走査型プローブ顕微鏡要素の動的減衰 Download PDF

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Abstract

走査型プローブ顕微鏡内の振動を積極的に減衰させる技術が開示される。SPMの機械アセンブリにおいて、共振を含むさまざまな機械的移動が起きると、特に高速用途に対して悪い影響を及ぼす。この移動を補償すべくアクチュエータが用いられる。アクチュエータは、z方向にのみ動作しても、あるいは、他の方向に動作してもよい。アクチュエータは、アンチノードの位置に配置される。
【選択図】図3

Description

関連出願
本出願は、2006年2月23日に出願された米国特許仮出願第60/776、385号の優先権を主張する、2007年2月22日に出願された米国実用特許出願第11/678,018号の優先権を主張し、その開示内容を本出願の一部とみなし、(参照により本出願に)組み込む。
原子間力顕微鏡は、サンプル表面に関し、カンチレバー端部の尖ったプローブをラスタ走査することにより得られる情報に基づき表面微細形状(および他のサンプル特徴)の画像を生成すべく用いられるデバイスである。カンチレバーの偏向、または、ラスタ走査の間に検出されるその振動の変化は、サンプルの形状的(または他の)特徴に対応する。偏向、または、振動の変化は、一般的に光学レバー処置によって検出され、それによって、光ビームは、光学レバーと同じ基準フレーム内のカンチレバーに導かれる。カンチレバーから反射されたビームは、位置敏感検出器(PSD)を照明する。カンチレバーの偏向または振動が変化すると、PSDにおける反射スポットの位置も変化し、PSDからの出力に変化をもたらす。カンチレバーの偏向または振動を一定の予め設定された値に維持すべく、偏向または振動における変化は、一般的に、サンプルに対してカンチレバーのベースの垂直位置における変化を誘発する。このフィードバックが、AFM画像と呼ばれる、原子間力顕微鏡からの画像を生成する。
原子間力顕微鏡は、多数の異なるイメージングモードで操作されうる。接触モードでは、カンチレバーのチップは、サンプル表面と接触している。振動モードでは、チップは、サンプル表面と接触しないか、時々接触するだけである。
図1は、原子間力顕微鏡におけるアクチュエータの使用への1つの従来技術のアプローチを示す。サンプル1は、zアクチュエータ2に取り付けられる。可撓性カンチレバー6のベース7は、xyアクチュエータ8に取り付けられ、xyアクチュエータ8は、ヘッドフレーム9に取り付けられる(「xy」は、アクチュエータの水平のXY平面における移動を示し、「z」は、アクチュエータの垂直方向における移動を示し、「X」、「Y」および「Z」は、互いに直交する方向である)。zアクチュエータ2と結合されたxyアクチュエータ8は、プローブ5とサンプル1との間における3次元すべての方向での相対移動を提供する。zアクチュエータ2は、計測器のフレーム4に取り付けられた構造3により支持される。カンチレバー6は、プローブ5とサンプル1との間の相互作用に応じて偏向する。この偏向は、PSD10によって測定される。PSD10の出力は、コントローラ11によって収集される。一般的には、コントローラ11は、信号の処理や、カンチレバーの偏向、増幅、位相などの量、または他のパラメータの抽出を行う。これらの値は、多くの場合、ディスプレイデバイス12に表示される。さらに、コントローラ11は、その後、サンプル特性に応じてカンチレバー6のベース7とサンプル1との相対位置を変化させるフィードバックループを操作しうる。
原子間力顕微鏡によるサンプルの正確なキャラクタリゼーションは、XまたはY方向のいずれかに走査する一方で、サンプル表面に対してカンチレバーのベースを、サンプルを正確に特徴付けるのに十分な速度で動かす原子間力顕微鏡の能力によってしばしば制限される。
この動作速度は、しばしばバンド幅という言い方で表現される。要求されるバンド幅は、望ましい画像サイズ(画素での)、および、各画素の獲得率に基づく。以下の表1は、さまざまなイメージング態様に必要なバンド幅を示す。例えば、一秒に256×256画素の画像を完成するのに必要なバンド幅は、131kHzである。
表1:高速原子間力顕微鏡に要求される閉ループバンド幅(BW)
サンプル表面における大きいものも小さいものも、すべての特徴の高さを正確に測定すべく、zアクチュエータは、カンチレバーのベースと、サンプル表面との間に高さが大きい範囲をカバーする相対移動を提供できる能力を有していなくてはならない。すなわち、縦に大きく移動できなければならない。zアクチュエータは、多くの従来の原子間力顕微鏡における走査管でありうる。例えば、Asylum Research MFP−3D原子間力顕微鏡などの他の顕微鏡では、zアクチュエータは屈曲部である。そのパーツは、最大表面特徴さえも測定できるほどにカンチレバーを上下に移動させるのに十分な大きさでなければならない。
多くのアクチュエータの動作範囲は、デバイスの物理的寸法と共通の尺度を持つ。もちろんこれは圧電アクチュエータに関する場合である。例えば、トーキン社から購入できる圧電スタックアクチュエータの場合、最大移動範囲は、名目上、スタックの長さが5mmでは4.6um、10mmでは9.1um、20mmでは17.4umである。したがって、移動範囲が大きくなると、アクチュエータも大きくなってしまう。アクチュエータが大きくなれば動きも遅くなる。
アクチュエータの動作速度を特徴付ける1つの方法は、アクチュエータの共振周波数である。上記の圧電スタックは、それぞれ、およそ261kHz、138kHz、69kHzの共振周波数を有する。ただし、これらの3つのスタックに用いられる圧電材料は、同じであるとする。共振周波数の変化は、主に、サイズの違いによって質量が異なることによる。
見積もられた共振周波数は、空のスタックに対するものである。これら空のスタックを支持構造に取り付けるか、または、屈曲部に組み込むことは、実質的に、共振周波数をさらに低下させることになる。さらに、任意の質量を圧電スタックに取り付けることにより、共振周波数はさらに低下するであろう。
実際には、これは、アクチュエータが、表面を正確に観測するのに十分な速度でサンプルまたはカンチレバーのベースのいずれかを動かすことができない可能性があることを意味する。これによって、サンプルおよび/またはプローブのいずれかが損傷するか、または、面微細形状の正確性が損なわれることになる。このような結果をもたらさないようにすべく、原子間力顕微鏡は、一般的に、zアクチュエータがサンプルの面微細形状変化に対応できるようになるまでは、XおよびY方向の走査速度を減少させることになる。
一般的に、原子間力顕微鏡の操作者は、フィードバックループゲインを増大させてzアクチュエータの応答を増加させることによって操作を開始する。しかしながら、zアクチュエータは、ある時点で共振し始め、その共振動作がアクチュエータ支持構造内に寄生振動を生成し、アクチュエータの応答の位相を入力に変化させてしまう。これらの寄生振動および位相変化は、計測器の能力を低下させ、また、画像および生成された他のデータの品質も損なう。
図1に示された作動スキームは、チップとサンプルとの間の相対移動を提供するのに共通してに用いられる数多くの動作スキームの代表例である。この例は、原子間力顕微鏡の操作者がフィードバックループゲインを増大させてzアクチュエータの応答を増加させるときに起きることを分析するための有益なモデルを提供しうる。フィードバックループゲインを増大させることにより、zアクチュエータ2は垂直方向またはz方向にさらに拡張される。しかしながら、このさらなる拡張は、支持構造3における反力を増大させることになる。
図2は、図1の左下の部分をさらに詳細に示す。図2では、図1に示すように、サンプル1は、zアクチュエータ2により支持される。図2では、zアクチュエータ2が拡張してサンプル1を距離ΔZsamだけ移動させる反力が示されている。この移動は、サンプルから発せられる力Fsamを必要とし、それによってサンプルは加速する。ニュートンの第二法則は、支持構造3から発せられる対応する反力が存在することを暗示している。この反力により、支持構造にはいくらかの偏向ΔZsupが生ずることになる。支持構造が撓曲することにより環状となり、サンプルの運動(ΔZsam)は小さくなり、サンプルの差動バンド幅も概ね縮小する。
画像獲得のスピードアップの結果を獲得するための1つのアプローチでは、カンチレバーのエラー信号がスキャン範囲全体で変化するのを許容してきたが、平均値は、セットポイントに維持している(AlbrechtおよびQuateによる)。このアプローチによって、フィードバックループの役目は格段に簡単になり、走査の高速化を実現する。しかしながら、この技術を用いたエラーパラメータにおける大きな変化は、チップを鈍らせるまたは損傷させる、および、サンプルを損傷させるなど、これらに限定されないが、有害な効果を伴う。
他のアプローチは、「入れ子状」アクチュエータを用いることであった。大きな、比較的長い低速アクチュエータが、小さくて短く、高速のアクチュエータと共に使用される。これによって、これによって、小さく高速のアクチュエータは小さい表面変化に対応し、大きいアクチュエータは、大きくて高さのある変化に対応するので、XY走査範囲全体での高速の画像獲得が実現する。このアプローチの1つの例は、Sulchek他、および、Rogers他によるカンチレバーに内蔵される酸化亜鉛圧電アクチュエータである。これらの差動カンチレバーは、カンチレバーのベースとサンプル表面との間の距離を制御する一般的なアクチュエータと共に、カンチレバーのベースと一定に維持されるべきサンプル表面との間の有効距離を、カンチレバーのプローブがサンプルを特徴付けるのと同時に実現する。これらのカンチレバーを用いて38kHzのバンド幅が実証されている。
起動されたカンチレバーのアプローチは、いくつかの問題点も生じる。高速と低速のフィードバックループを組み合わせることは必ずしも簡単なことであるとはいえない。2つのフィードバックループを調整することは、単一のループを調整するよりはるかに時間がかかり、やっかいなことである。操作者に求められる複雑さを考慮すれば、多くの場合、走査速度のゲインはむしろゆるやかである。サンプルの正確な特徴づけを得るための最終データを組み合わせることは、さらに複雑で、計装エラーやアーチファクトを起こしやすい。起動されたカンチレバーは、必然的にかなり硬直し、ソフトなサンプルのイメージングを難しくする。原子間力顕微鏡の強みの1つである、流体におけるイメージングは、カンチレバーとの直接的な電気的接続を必要条件とするので、起動されたカンチレバーと一緒に実装することは難しい。サンプルの質量が、起動されたカンチレバーの設計値と異なる質量を有するものに変化すると、高速画像獲得の効果を得る能力は著しく低下しうる。最終的には、起動されたカンチレバーが共振しても、その性質が当然寄生振動および位相のずれを引き起こし、その結果、データの品質が低下し、カンチレバーおよび/またはサンプルの損傷を招く。
原子間力顕微鏡の画像獲得を高速化しつつも寄生振動および位相のずれを最小限にとどめる他のアプローチは、反動が最小限のアクチュエータを平衡型構成で作製することであり、この場合、計測器のフレームに移動する運動量は本質的に存在しない。一般的に、この構成は、平衡型アクチュエータの設計、構造、および、材料特性におけるいかなるささいな不具合も補正する追加の制振材の使用を含む。平衡型アクチュエータによるアプローチは、Cleveland他、Ando他、および、Massieによって用いられている。1つの弱点は、このシステムは、開ループシステムであるということである。例えば、起動された質量が通常サンプルに見られるように変化する場合、あるいは、圧電感度がよくあるように経年変化する場合、バランスは悪くなり、効果は薄れてくる。
図3は、バランスアクチュエータのアプローチを示す。図1と同様に、サンプル1は、zアクチュエータ2に取り付けられ、zアクチュエータ2は、計測器4のフレームに取り付けられた支持構造3によって支持される。ただし、この場合、支持構造3の下には二次zアクチュエータ13が配置され、この二次zアクチュエータ13には任意の質量14が取り付けられる。さらに、二次アクチュエータのための可変ゲインドライブ15が存在してもよい。zアクチュエータ2も可変ゲインドライブ15を有する二次zアクチュエータ13と同様の(または同じ)フィードバック信号により駆動される。可変ゲインドライブ15および質量14によりもたらされるゲインは、支持構造3へと移動する運動量が実質的に0であるように選定される。具体的には、zアクチュエータ2のベースにより支持構造3にかけられる力は、二次zアクチュエータ13のベースによりかけられる力と大きさが等しく、反対方向になる。
類似した動作は、平衡型屈曲部を含む多くの他の方法において実現されうる。同様に支持体へ移動する運動量を実質的に0まで減少させることを目的とした多くの方法を知るためには、米国特許6、459,088 B1、および、6,323,483 B1を参照されたい。この方法では、アンドーらによる多くの変形例も用いられている。
図3の平衡型アクチュエータのアプローチは、開ループシステムであり、均衡を保っている対向するアクチュエータに焦点を合わせて注意深く設計されているので、支持構造内で共振が起きることは回避される。しかしながら、開ループシステムは、不利な点もある。図3に示すようなシステムの実験結果では、通常原子間力顕微鏡で起きるようにサンプル1の質量が変化すると、バランス条件をもはや満たさなくなり、運動量は、アクチュエータ2および13の移動によって支持構造3へと移動する。その結果、このアプローチが回避しようとするまさに共振を誘発してしまう。さらに、アクチュエータの感度は、経時変化または環境条件に応じて変化することがありえ、それによっても上記問題は引き起こされる。最終的に、開ループの平衡型アプローチは、極めて徹底的な製造管理を必要とする。
平衡型アクチュエータのアプローチにおける変形例は、近年アンドーらによって提案されており、ドライブのモデル、さもなければ開ループアクチュエータ2および13のドライブにおける「ダミー」アクチュエータ(役割上そう呼ばれる)を含むことによってそれらの欠点を克服しようと試みられている。しかしながら、この解決策は、アクチュエータのどちらかが「ダミー」アクチュエータから逸れ始めるときにその欠点が露呈する。アンドーの変形例は、新規のアクチュエータ動作を補償するシステムの運動を測定および自動的に補正するメカニズムを何ら提供しない。
寄生振動および位相のずれを誘発せずに画像獲得を高速化する課題に対する最近のアプローチは、コデラ他によるものである。彼らは、Q制御のアイデアに基づき、平衡型スキャナの共振を減衰させる方法を提案している。彼らの方法は、「偽スキャナ」をzアクチュエータの駆動回路に導入することにより、ドライブの位相が調整されることによってアクチュエータの共振の振幅を減少させている。このアプローチは、アクチュエータの動作が予めプログラム化されていなければならず、たとえそうであったとしても、その特性が変化すると、減衰効果はもはや最適に機能しなくなる。
カンチレバー型計測器の動作において高速アクチュエータを用いることにより生成される計測器内部への惰性力の効果を積極的に減衰させる装置、および、該装置を用いる方法が開示される。
本願明細書中に開示されるシステムおよび技術は、カンチレバー型計測器、特に、プローブが微細表面形状の高さを測定できるようにする原子間力顕微鏡のための新規なサンプルおよび/またはプローブホルダを提供する。
本願明細書中に提供されるシステムおよび技術は、アクチュエータにより生成される計測器内部への惰性力の効果を減衰させることができ、それは、操作者の目にはなるべく見えないような、そして製造がより簡単なシームレスな方法で行われる。減衰は、アクチュエータにより生成された力に対する装置の反応を測定する知的解釈と、それらの測定された力の補償に基づく妥当な方法で達成される。
一側面では、これらの技術を実装する技術およびシステムは、高速走査で表面形状をより正確にイメージングできる新規なカンチレバー型計測器を提供する。
他の側面では、これらの技術成果は、計測器の内部構造における寄生振動を減少させることにより、高速走査でサンプルパターンを測定できるカンチレバー型計測器を提供する。
他の側面では、本願明細書中に記載される技術成果は、カンチレバー型計測器において、高速zアクチュエータにより生成された寄生振動が減衰されるようにし、より優れたパフォーマンスを可能にする。
本願明細書中に記載される動作モードおよび計装のさらなる側面は、カンチレバー型計測器における圧電チューブの下端での使用を可能とすべく、十分低質量および/または小さい寄生振動の高速アクチュエータを提供することができる。
本願明細書中で実証されるアプローチは、高速起動、および、入れ子状または平行なフィードバックループにおける動作によってカンチレバー型計測器を改良することができる。
他の側面では、本願明細書中に記載されたスキームは、計測器の内部動作により、または、外部ソース、衝撃、外乱、または、ノイズから生じた振動を無効にする能力を有するカンチレバー型計測器を提供する。
本願明細書中に記載される技術成果のさらなる特徴は、カンチレバー型計測器内の1つ以上の位置における振動を検知でき、計測器内に設計されたアクチュエータにより積極的に減衰できることである。
本願明細書中に記載される技術および物理的な実装の特徴は、検知および起動のどちらも単一のデバイスに組み込まれることにより、積極的な減衰の設計および実装がシンプルになり、コストおよび複雑さが低減されることである。
本技術は、計測器の異なるポイント間の相対的な振動を減衰させるのに役立つ。
本願明細書中に記載される計装および技術の利点は、減衰の積極的な制御によって、起動される対象の質量とは実質的に関係なく性能を向上させることである。
さらなる利点は、振動の積極的な制御がどのようにうまく実行されているかの情報が操作者に提供され、それによって、操作者は、計測器の環境または動作パラメータを修正してパフォーマンスを最適化できることである。
起動されたサンプル−従来技術の単一のz軸アクチュエータを示す。
反力−z軸アクチュエータの動作およびその支持構造を示す。
平衡型起動サンプル−従来技術の平衡型アクチュエータを示す。
減衰された起動サンプル−本発明の一実施形態を示す。
補償力−寄生振動を積極的に減衰するフィードバック手順を示す。
応答スペクトル−積極的な減衰方法および装置を従来技術と比較した測定値を示す。
自己検知−二次アクチュエータが自己検知する一実施例を示す。
より高いモード−支持構造において基本モードより高いモードが励起されている状況を示す。
より高いモードの減衰−支持構造において基本的なモードおよびより高次なモードを励起する技術を示す。
より高いモードの減衰−支持構造において直交するモードを積極的に減衰する技術を示す。
屈曲部の実装1−サンプルが着脱可能なパックまたはホルダに支持される一実施形態を示す。
ディメンションタイプのAFMの補償Z−原子間力顕微鏡のスキャンチップバージョンと互換性のある実装を示す。
カンチレバー型計測器は、原子間力顕微鏡、分子間力プローブ計測器(一次元または三次元)、高解像度粗面計、および、化学または生体検出プローブなどの計測器を含む。本実施形態では、原子間力顕微鏡(AFM)を説明する。複数の実施形態は、これらのデバイスはもとより、ナノスケール用途に用いられうる他の計測器をも含む。
一実施形態によれば、原子間力顕微鏡の支持構造における任意の機械的振動が測定される。寄生振動によってパフォーマンスが低下するのを防ぐべく、減衰力が印加される。従来のアクチュエータであれば、表面形状がとても小さかったり、走査が高速であるとパフォーマンスは低下したが、そのような条件であっても支持構造の積極的な減衰により、著しく正確な走査を実現しうる。
複数の実施形態がカンチレバー型計測器、すなわち、サンプルを特徴付けるプローブを有する装置に用いられうる。装置は、原子間力顕微鏡において見られるようなxアクチュエータ、yアクチュエータ、zアクチュエータを有しうる。アクチュエータは、原子間力顕微鏡に共通して用いられ、例えば、プローブのラスタ走査、または、サンプル表面に対してカンチレバーのベースの位置を変更する。アクチュエータは、プローブとサンプルとの間の相互移動を提供する。異なる目的および異なる結果のためには、サンプルを起動させるか、または、チップを起動させるか、あるいは、両方を組み合わせて起動させることが有益でありうる。
センサも原子間力顕微鏡で共通して使用される。センサは、アクチュエータによる移動を含む、原子間力顕微鏡のさまざまな構成要素の移動を検出するのに用いられる。
説明を明確にすべく、特に明記しない限り、用語「アクチュエータ」は、入力信号を物理的運動に変換する広範囲のデバイスのことを指し、圧電起動屈曲部、圧電チューブ、圧電スタック、ブロック、バイモルフ、ユニモルフ、リニアモータ、電歪アクチュエータ、静電モータ、容量モータ、ボイスコイルアクチュエータ、および、磁歪アクチュエータを含む。用語「位置センサ」または「センサ」は、変位、速度、または、加速度を電気信号に変換するデバイスのことを指し、容量センサ、誘導センサ(渦電流センサを含む)、差動変圧器、可変インダクタンス、光干渉計、光偏向検出器(上記のようにPSDともいう)、歪ゲージ、圧電センサ、磁歪および電歪センサを含む。
装置は、粗面計またはアサイラムリサーチ社により製造されたMolecular Force Probe−1Dなどにおいてzアクチュエータのみを有してもよい。これらのカンチレバー型計測器では、これらおよび他の目的は、高速フィードバックループで動作する高速アクチュエータアセンブリを含み、また、アセンブリ内の寄生振動を減衰するアクティブフィードバックループの二次アクチュエータも含むプローブ(またはサンプル)ホルダにより達成される。
高速アクチュエータアセンブリが低質量を有し、その結果プローブをより速く移動させることができ、より大きくて高い質量の従来のアクチュエータに装着される場合、従来のアクチュエータのフィードバックループと入れ子になっているか、または、平行なフィードバックループのいずれかの高速フィードバックループで動作しうる。
高速アクチュエータアセンブリは、本願明細書中ではzアクチュエータおよび二次(または補償または減衰)zアクチュエータとも称される第1および第2の高速アクチュエータを備える。あるいは、追加のアクチュエータも存在しうる。アクチュエータは、固定端が共通支持体に接続されるよう配置されうる。それらが支持体の逆側、例えば、上下に取り付けられている場合、上のアクチュエータの長端部、および、下のアクチュエータの底端部は、どちらも自由に移動できる。一実施形態では、原子間力顕微鏡のカンチレバーのプローブなどの測定プローブは、サンプルに近接して配置される下のアクチュエータの底端部に直接または中間取付を介し取り付けられる。上のアクチュエータの頂端部には拮抗する質量が取り付けられても取り付けられなくてもよい。アクチュエータの一方または両方は、屈曲部に予め搭載され、加動力に応じて屈曲部を屈曲させるよう配置されうる。このような幾何配置およびフィードバックループにより、上下のアクチュエータは、反対方向に移動するよう配置される。フィードバックループは、支持構造における運動が上の(二次)アクチュエータにより減衰されるようにする。
他の実施形態では、サンプルは、上のアクチュエータにより運ばれ、下のアクチュエータが二次アクチュエータとして機能する。しかしながら、原理は同じである。フィードバックループは、下の(二次)アクチュエータによる支持構造体における振動の減衰を可能にする。
減衰の実施形態を例示する目的で、プローブが下のアクチュエータであるzアクチュエータにより移動される単一軸のシステムが考慮されうる。原子間力顕微鏡は、プローブとサンプルとの間の相互作用を有する。フィードバックループは、この相互作用を予め設定されたレベルで維持するよう用いられうる。このフィードバックループは、zアクチュエータを制御し、次に、相互作用を予め設定されたバンド幅を含む予め設定されたレベルで維持するようプローブとサンプルとの間隔を調整する。または、プローブ位置は、フィードバックループとは無関係に、または、離散的事象で誘発されるフィードバックにより制御されうる。前者の例は、プローブの力−距離の曲線、および、振動駆動を含む。後者の例は、誘発される力−距離曲線、および、プローブの位置がフィードバックループにより測定されるサンプルの微細構成に対する距離に設定される測定モードを含む。
zアクチュエータが起動されると、プローブは、望ましい位置に対し垂直に移動する。この動作は、必然的に支持構造体に反力をかけ、これは、ニュートンの第二法則により、支持構造内での運動を誘発することになる。この動作は、二次アクチュエータを制御するフィードバックループを起動する他のセンサにより検出される。フィードバックループは、支持構造内におけるこの測定された運動を減衰するよう動作し、それによって、寄生振動は減少する。
一実施形態が図4に示される。サンプル1は、支持構造3により支持されるzアクチュエータ2に取り付けられ、支持構造3は、計測器4のフレームに取り付けられる。支持構造3に取り付けられたセンサ16は、支持構造3における力に対応する信号をコントローラ111に出力する。支持構造における力は、例えば、移動、加速度、位置および/または速度などでありうる。コントローラ111は、フィードバックループにおける、二次zアクチュエータ13を駆動する上記信号を用いて支持構造3の振動を積極的に減衰する。
一実施形態では、二次zアクチュエータ13は、「テスト質量」としての役目を果たす、その一端に取り付けられた小さい質量14を有することにより、支持構造3内の反力に対するセンサ16の感度を向上させる。
センサ16が支持構造3内の移動を測定する場合、コントローラ111は、支持構造3内の移動を減衰させるよう、二次アクチュエータ13を移動させるフィードバック電子部品として動作する。
図5は、支持構造13における移動を検知することから始まり、その移動を減衰させることで終る一連のイベント示すフローチャートである。このフローチャートは、コントローラ111により、または、専用の制御回路を介し実行されうる。
図5は、510において分析されるセンサ16からの入力500を示す。520では、センサ値が運動の存在を示しているかどうかを決定する。もし示していなければ、何の措置も取らずに次に進む。しかし、520で運動が発見されれば、530において補償計算が実行され、二次zアクチュエータ13への出力540が生成される。この補償は、運動を減衰させるアクチュエータ13に対する値を生成する。
本実施形態の積極的な減衰のアプローチは、支持構造の誘発された運動を測定する段階と、その運動を積極的に減衰する段階とを含む米国特許第6、459、088 B1および6、323、483 B1に記載された「平衡型」アクチュエータよりかなり難しい。従来技術の平衡型アクチュエータは、支持構造への運動量移動が「実質的に0」であるように設計されている。本実施形態では、運動量の移動自体をなくしている。支持構造において運動が実質的に0である場合、センサは、いかなる運動も測定せず、フィードバックループは、第2の補償用zアクチュエータを起動しない。
図6は、図1、図3、および、図4で示されたアプローチ間の典型的な測定差を示す。これらの測定では、カンチレバープローブ5は、新たに切断されたマイカであるサンプル1と接触する。zアクチュエータ2が周波数範囲で励起される(またはチャープされる)ときに偏向信号が監視される。図6における曲線は、チャープされたzアクチュエータ2により励起されるプローブ5の周波数依存応答を示す。特に、曲線17は、プローブ5がサンプル1と接触状態にあり、zアクチュエータ2が励起したときのPSD10の応答である。図6は、支持構造3における共振に対応する応答の振幅における大きなピークを示す。これらの共振は、支持構造3とzアクチュエータ2のベースとの間の反力により駆動されている。原子間力顕微鏡によるこのようなタスクを含む多くの位置決めタスクにとって、支持構造におけるこの共振運動は非常に不都合である。
白抜きの四角を伴う曲線18aは、図6に示される、米国特許第6、459、088 B1または6、323、483 B1に記載されるような平衡型アクチュエータの応答の振幅を示す。これらの特許に記載された結果から予想されるように、共振ピークの応答の振幅18aは、著しく減少しており、支持構造3への運動量移動は、ゼロとはいかないまでも減少していることを暗示している。ゼロに近い曲線を得るためには、より高い許容度を有する平衡型アクチュエータを製造して、それらの位置、質量、および、運動を互いに完全に相殺する必要がある。この許容度の条件が、従来技術の平衡型アクチュエータのアプローチの不利な点である。そうではあるものの、曲線18aは、支持構造の運動が減少している点が望ましい。
この従来技術のアプローチの不利な点は、3グラムの質量がサンプル位置に導入されるときに明らかになる。結果として生じた応答の振幅曲線18b(黒塗りの四角を伴う)に示されるように、周波数応答は著しく変化する。この曲線は、かなり大きい応答を示し、現在の不平衡型アクチュエータ2および13は、支持構造3を駆動して共振の振幅をより高くする。この動作は、望ましくない意味合いで重要である。異なる質量を処理するサンプル(またはプローブ)の一方のサンプル(またはプローブ)から他方へのスイッチングは、原子間力顕微鏡により共通して行われる。
曲線19aおよび19bで示される一実施形態では、異なるサンプルを有する支持構造3の検知された運動を積極的に減衰する。曲線19aは、平衡型アクチュエータの曲線である曲線18aと同じサンプルによる応答の振幅を示す。見てのとおり、応答の振幅は、平衡型アクチュエータのアプローチから導かれるものよりいくらか大きめである。これは、本実施形態がセンサ16を用いて、補償用フィードバックループが起動される前に支持構造3のいくらかの動作を測定するからである。そうはいっても、振幅は、単一のアクチュエータのアプローチ(曲線17)よりまだかなり小さい。3グラムの質量が追加されると、結果として生じた曲線19bは、オリジナルの曲線19aとはほとんど見分けつかないようになり、同等な平衡型アクチュエータ曲線(曲線18b)よりも良くなる。
このことは、積極的な減衰アプローチが起動された質量における変化をうまく扱うことができたことを実証している。同様に、本願明細書中に記載される積極的な方法は、アクチュエータの感度の経時変化を自動的に把握する。
圧電アクチュエータの課題は、それらの感度が時間、温度、および、他の環境要因に依存しうることである。支持構造の運動の積極的な測定およびフィードバック補償は、アクチュエータの動作を自動的に把握し、非常に強力なシステムをもたらす。
センサノイズは、積極的な減衰アプローチの効率に影響を及ぼす。平衡型アクチュエータの製造に多大な注意を払ったとしても、要所に置かれた低ノイズセンサまたは多重センサの方が、平衡型アクチュエータのアプローチより優れたパフォーマンスをもたらしうる。この種のデバイスの製造においては、たいてい実用的で実際的な効果が存在し、そのことが、すべての環境においてアクチュエータが精密であることを難しくさせる。しかしながら、このことは、積極的な減衰の設計の強みでもある。製造公差は、厳しいものとされる必要はない。構造における非対称は、1つ以上のセンサによって測定されるだろう。フィードバックループ/二次アクチュエータの組み合わせが欠点を補償するだろう。
いくつかの目的のために、積極的な減衰アプローチを用いる計測器の設計は、シンプルにするのが望ましい。一実施形態では、図7に示されるような自己検知アクチュエータを用いる。なお、図4のセンサ16、および、二次zアクチュエータ13は、単一の二重目的デバイス20に置き換えられる。このデバイス20は、センサおよび二次zアクチュエータを兼ねる。デバイス20は、例えば、圧電スタックであってよく、圧電スタックは、該圧電スタックの運動を検出し、かつ、その運動を制御することにより応答する外部回路を有する。この目的のために他の技術を用いてもよいことは、当業者にはよく知られていることである。
二重目的デバイス20により検知される支持構造3内の振動、および、適切な応答は、補償用電子部品21により制御されてよい。補償用電子部品21は、コントローラ111の外部にあっても内部にあってもよいが、ここでは外部にあるように示されている。
他の実施形態では、コントローラ111を用いてフィードバックループを制御し、振動を補償する。
小さい質量114が「テスト質量」として二重目的デバイス20の端部にオプションで取り付けられることにより、支持構造3における反力に対するデバイスの感度を向上させうる。
二重目的デバイス20における屈曲部または固定端の使用は、二重デバイス20のパフォーマンスを向上させる。発明者が圧電スタックをセンサとして用い、小さい質量を「テスト質量」として端部に取り付けることにより支持構造3における反力に対するスタックの感度を向上させた場合、8kHzの支持構造の共振の1つにおけるピーク信号は20mVであった。その代わりに同じ圧電スタックが支持構造に固定および予め搭載された場合、ピーク信号は130mVを超えるまでに増大し、6xを上回る進歩が得られた。より正確で強いフィードバックループを形成するには、信号は大きい方が有利であることは、当業者にはよく知られている。
フィードバックループのバンド幅を制御することは、安定性および選択性の理由から有益であろう。例えば、主な目的が特定の支持構造の共振、または、共振範囲を制御することである場合、それらの共振を囲む狭帯域幅のフィードバックループは、広帯域フィードバックループであることが好ましいだろう。また、支持構造およびセンサの力学応答と、センサ調整の電子応答とによる、広帯域フィードバックを困難にまたは不可能にする周波数依存の位相のずれがシステム内に存在しうる。この場合、バンド幅を選択することにより計測器のパフォーマンスを向上させうる。特定の周波数で補償することにより、フィードバックループは単純化し、より強固になる。フィードバックの補償を、アナログおよび/またはデジタルハイパス、ローパス、または、バンドパスフィルタの使用を含む特定の周波数範囲に限定する手段は数多く存在する。フィードバックループの数を複数にすることも有益であり、この場合、第1のループを特定の範囲における共振を減衰するために最適化し、第2のループは、別の範囲の共振を減衰するために最適化する。異なる周波数範囲に特定されるさらなるフィードバックループを用いてもよい。
センサとアクチュエータとの組み合わせのそれぞれに個別のフィードバックループを用いることも有益であること言えよう。この場合、フィードバックループの周波数範囲は、重複してもしなくてもよい。しかしながら、所与のフィードバックループの主な役目は、所与のセンサとアクチュエータとの組み合わせを操作することである。さまざまなセンサとアクチュエータとの間には機械的結合が存在する可能性があるので、他のセンサまたはアクチュエータからの情報も同様に、それらの特定のフィードバックループの実装に用いられうる。
すでに構築されているプロトタイプにおいては、支持体動作の検知構造の共振周波数は、支持構造自体の共振周波数を上回ることが利点であった。これによって、支持体の振動を減衰するためのよりシンプルなフィードバックループを使用できるようになる。そうでない場合、H無限技術などのより複雑なフィードバックスキームが実装されることにより、センサ構造の1つ以上の共振を介してさえも支持体の運動を制御する。
典型的な支持構造は、図4および図7に示されるシンプルな幾何配置より複雑である場合が多い。本願明細書中で考慮されるタイプの精密な計装を設計する場合に評価される必要があるパフォーマンス、製造可能性、および、品質に影響を与える多くの工学条件が存在する。さらに、計測器の振動特性を理解するのは難しいだろう。したがって、どんな支持構造にとっても、計測器のパフォーマンスを損なうさまざまな振動モードを評価し、それを制御するためにさまざまな位置に積極的な減衰を加えることが有益である。
設計段階において計測器の不要な振動モードを評価する技術は多数存在する。これらは、構造のコンピュータモデリング、および、レーザ振動計または他の計測器による移動の測定を含む。このような評価の後、本発明の積極的な減衰アプローチは、それらの振動を積極的に減衰すべく用いられうる。このような振動に対処する本発明のアプローチを用いた一実施形態が図8に示されている。図8の実施形態は、サンプルの変わりにペイロード22を用いる。ペイロードは、zアクチュエータ2により垂直方向に移動される。図1に示された実施形態とは異なり、本実施形態は、計測器4のフレームに88および89の2箇所で取り付けられた支持構造23を有する。支持構造23に取り付けられた運動センサ816は、支持構造23の上下運動を検出し、コントローラ811に信号を送信する。次に、コントローラ811は、補償用zアクチュエータ813を用いて検出された運動を減衰するよう信号を送信する。すると、補償用zアクチュエータ813では、「テスト質量」として機能する追加の質量814がその端部に取り付けられることにより、支持構造23における反力に対する運動センサ816の感度が向上することが見られる。しかしながら、ペイロード22は、縦軸24に関し対称でない場合もある。補償用zアクチュエータ813が移動すると、横方向の(ねじれの)反力(トルク)が支持構造23にかけられる。この力が破線の構造25で示される第2のモードの振動を励起する。支持構造25の第2のモードの振動は、2つの特定の位置26および27にアンチノードを有する。
アンチノードは、第2のモードの運動を減衰するよう補償用zアクチュエータを配置するために最適な場所にあってよい。図9は、この種の減衰を用いた一実施形態を示す。図8と同様に、縦軸24に沿った支持構造23の寄生振動は、補償用zアクチュエータ13により減衰される。さらに、図9の実施形態は、図8の位置26および27に示される第2モードの振動のそれぞれの位置における運動を測定する追加のセンサ28および29を含む。これらの運動に対応する信号は、補償用zアクチュエータ30および32を制御すべくこの情報を用いるコントローラ911に出力される。補償用zアクチュエータ30および32のそれぞれは、任意の追加質量31および33を有することにより、支持構造23における反力に対する運動センサ16、28、および、29の感度を向上させる。
図9に示されるコントローラ11は、中央装置であるが、センサ/補償用zアクチュエータの組み合わせの1つ以上をそれぞれ制御する分散型コントローラによっても同じ機能が得られる。補償用zアクチュエータ30および32の運動を制御することにより、より高いモードの振動が減衰されうる。アンチノード26および27に配置される二重目的自己検知アクチュエータを用いることにより、同様のパフォーマンスが得られる。このアプローチは、支持構造23のいかなる数の振動モードにも拡張されうる。
他のモードを減衰する別の実施形態が図10に示される。この実施形態では、図8に示される揺動またはねじれ運動は、主軸1024と直交する構成要素と共に配置されるセンサ34およびアクチュエータ35により補償されうる。この図では、アクチュエータ34および追加の質量35により補償がなされうる。追加のセンサ/アクチュエータの組み合わせは、軸1024と平行および/または垂直に展開されうる。
図11は、サンプル1が着脱可能なパックまたホルダ1101上に保持されている一実施形態を示す。このホルダ1101は、マグネット1102、および、当業者にはよく知られているタイプの走査型電子顕微鏡のサンプルスタブに用いられるタイプのスタブクランプのような他の機構を用いて、サンプルに任意で固定される。サンプルパックは、上記のタイプと同様の一次アクチュエータ1104を含む屈曲部アセンブリ1103に固定される。制御電子11に導かれると、この一次アクチュエータは、屈曲部アセンブリの一部に力をかけて屈曲部材1105を偏向させることにより、サンプルを力の軸に沿って移動させる。センサ1106Aは、一次アクチュエータ1104のベース付近に固定される。このセンサの出力は、一次アクチュエータ1104が取り付けられる1108屈曲部アセンブリ1103の一部の変位、速度、および、加速度を測定する。他の実施形態では、別のセンサ1106Bが屈曲部アセンブリ1103と、取付領域1108との間で誘発されるひずみを測定する。そして、このセンサ信号が制御電子部品11に用いられることにより、補償または二次アクチュエータ1107を駆動する。このアクチュエータの役目は、センサ1106Aまたは1106Bが屈曲部アセンブリ1103のベース固定具で測定する振動を減衰させることである。他の実施例と同様に、センサ1106Aまたは1106Bは、実際には多重センサでありうる。二次または補償用アクチュエータ1107は、単独で圧電要素にもなりえ、あるいは、本願明細書中のほかの場所で取り上げられたタイプの予備の質量を有することもありうる。アクチュエータ1107は、予め搭載されたネジ1109または他のデバイスと共に実装される固定のまたは調整可能な力により予め搭載されうる。
二次アクチュエータ1107は、非圧電アクチュエータであってもよい。センサ1106Aおよび/または1106Bにより測定される運動を減衰できるいかなるアクチュエータも用いることができる。一実施形態では、屈曲部アセンブリ1103乃至1109全体でサンプルを縦またはz方向に動かす役割を果たす。続くアクチュエータ8への結合1110がサンプル1とプローブチップ5との間の相対運動をもたらす。
図12A乃至12Eは、原子間力顕微鏡のスキャンチップバージョンと互換性のある実装を示す。これは、Veeco instruments社(ニューヨーク州、ウッドベリー)から販売されている「Dimension」シリーズ、Dimension VXシリーズ、および、「Metrology」シリーズの顕微鏡を含む。この顕微鏡は、着脱可能なプローブホルダを有し、例えば、米国特許5、714、682、6、861、649、他に記載されている。図12A乃至12Eに記載されている補償型プローブホルダは、上記特許に記載されるプローブホルダに変わるものとして設計され、Dimension、Dimension VX、および、Veeco Instruments社からの同様の商品名で市場に出されている。
図12Aは、カンチレバー612が実質的に紙面の外に向けられたプローブホルダサブアセンブリの図を示す。図12Bは、サブアセンブリのz軸1208に関し90度回転した同じサブアセンブリを示す。チップ7に取り付けられたプローブ512は、ポケット1203に装着される。次にこのポケットは、主アクチュエータ1204に取り付けられる。そして主アクチュエータ1204は、主中心支持体1205に取り付けられる。
図1201および1210では、主アクチュエータ1204の運動に応じた中心支持体1205の減衰は、上記タイプの検出器/アクチュエータ1206の組み合わせ1026により実現する。このアクチュエータは、それに取り付けられる任意の反応質量1207を有する。反応質量の代わりに、補償型サブアセンブリに関する上記実施形態と同様の屈曲部設計を用いることが可能であり、場合によっては望ましい。本実施形態では、同じ要素1206が中心支持体の運動の検出とその運動の補償とのどちらのためにも用いられる。図12Cは、測定センサ1221および補償用アクチュエータ1222が個別の物体である、異なる実施形態を示す。上記実施形態と同様に、1206または1221のいずれかに測定される信号が、補償用アクチュエータ1206または1222いずれかの運動を制御するようフィードバックループ内で用いられる。
図12Dおよび12Eは、アセンブリ全体がDimensionまたは同系統のzアクチュエータに有効に接続されるように設計された複数のソケット、アパーチャ、または、ピン1232を定義するベースまたはホルダ1231に取り付けられたサブアセンブリ1201および1220を示す。
上記したように、米国特許6、459、088 B1および6、323、483 B1は、支持体へと移動する運動量を実質的に0に減らすことを最大の目的とする多数の方法を示す。この方法は、アンドーらによる多数の変形例と共にも用いられてきた。本願明細書中に記載される複数の実施形態は、実施形態がフィードバック減衰機能のパフォーマンスを測定するための追加のセンサを必要としうることを主な例外として、それらの引例に記載された一般的な構造を用いてもよい。自己検知アクチュエータが用いられる場合、本願明細書中に記載される起動アセンブリは、上記引例において説明されたアセンブリとかなり似ているように見えることもある。しかしながら、パフォーマンスが実現される方法および機能はかなり異なる。
補償用zアクチュエータおよびセンサを位置決めするための1つのアプローチでは、位置は計測器内に「設計」される。他のアプローチでは、まず計測器が設計され、その後、レーザ振動計などの運動測定デバイス、または、本発明で用いられうるタイプのセンサにより、モードが実験的に測定される。振動モードが測定された後、アクティブ減衰センサおよびアクチュエータは、デバイス性能を高めるかまたは最適化する位置に置かれる。この種の用途にとっては、自己検知アクチュエータが特に有益でありうる。
上記ではほんの少数の実施形態しか説明しなかったが、他の実施形態も可能であり、発明者は、それら他の実施形態も本明細書の範囲内であることを意図する。明細書では、他の方法でも達成しうるさらに一般的な目的を達成する特定の例を記載する。本開示は、例示的であることを意図し、請求項は、当業者には予測可能であろうあらゆる修正または変形例を含むと意図されている。例えば、測定の分野を超えた他の用途も考えられる。
また、発明者は、「ための手段」という言葉を使用する請求項のみが米国特許法第112条第6項に基づき解釈されることを意図している。さらに、明細書からの限定が請求項に明白に含まれていないかぎり、それらは、いかなる請求項も限定しないものとされる。本願明細書中に記載されるコンピュータは、汎用、または、ワークステーションなど何らかの特定のコンピュータのいずれの、どんな種類のコンピュータであってもよい。本願明細書中に記載されるコントローラは、Windows XP(登録商標)またはLinux(登録商標)を動かすPentiumクラスのコンピュータ、または、Macintosh(登録商標)のコンピュータであってよい。コンピュータは、また、PDA、携帯電話、または、ラップトップなどのハンドヘルドコンピュータであってよい。
プログラムは、C、Java、Brew、または、他のいかなるプログラミング言語で記述されてもよい。プログラムは、例えば、磁気または光、などの記憶媒体、例えば、コンピュータハードドライブ、メモリスティックまたはSD媒体などのリムーバブルディスクまたは媒体、あるいは、他のリムーバブル媒体に存在してよい。プログラムは、また、例えば、ローカルマシンに本願明細書中に記載される動作を実行させる信号を該ローカルマシンに送信するサーバまたは他のマシンを有するネットワーク上で走らせることもできる。
本願明細書中で言及される特定の数値は、20%までは上下しうる値であるが、いくらかの異なる範囲が特に言及されない限り、本出願の教示の範囲内にある値であることを理解されたい。

Claims (42)

  1. 支持体によって支持されるサンプルを押圧することに依存する検知システムにおいて、前記支持体における力を測定することと、
    アクチュエータを用いて運動を補償することにより、前記運動を減衰することと、
    を含む方法。
  2. 前記検知システムは、原子間力顕微鏡の複数の構成要素を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記検知システムは、測定用カンチレバーを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記測定することに基づき補償を決定し、前記補償を用いて前記アクチュエータへの出力を生成するようコントローラを用いることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記測定することと、前記用いることとは、別々の構造で実行される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記測定することと、前記用いることとは、その運動に基づき出力信号を生成し、印加される信号に基づき移動できる単一の構造で実行される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記測定することは、前記支持体による特定の移動の位置を決定することと、前記位置における移動を補償することとを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記特定の移動の位置は、アンチノードである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記アクチュエータを用いることは、運動方向に関し第1の方向に向けられた第1のアクチュエータを用いることと、前記第1のアクチュエータに対し直角に向けられた第2のアクチュエータを用いることとを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記サンプルを着脱可能なホルダに配置することをさらに含み、前記測定することは、前記着脱可能なホルダにおける運動を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記測定することは、常時接触型原子間力顕微鏡において測定することを含む、請求項2に記載の方法。
  12. 前記測定することは、走査チップ原子間力顕微鏡において測定することを含む、請求項2に記載の方法。
  13. 前記アクチュエータを、重量を用いてさらに補償することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記コントローラは、運動がないことを決定し、運動がないことが検出された場合は何の措置も取らないよう動作する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記力は、移動、位置、速度、および/または、加速度のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
  16. 原子間力顕微鏡内でサンプルを保持する支持体の移動量を示す入力を受信することと、
    前記入力が移動はないことを表すかどうかを決定することと、
    前記入力が移動はないことを表す場合、何の措置も取らないことと、
    前記入力が、移動が検出されたことを表す場合、前記移動を補償する信号を生成することと、
    を含む方法。
  17. 前記信号を用いて前記移動を補償するようアクチュエータを駆動することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記アクチュエータは、前記入力も生成する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記入力は、前記アクチュエータとは別のセンサにより生成される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記支持体による特定の移動の位置を決定すべく測定することと、前記位置における移動を補償することと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  21. 前記特定の移動の位置は、アンチノードである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記アクチュエータを用いることは、運動方向に関し第1の方向に向けられた第1のアクチュエータを用いることと、前記第1のアクチュエータに対し直角に向けられた第2のアクチュエータを用いることとを含む、請求項17に記載の方法。
  23. 前記サンプルを着脱可能なホルダに配置することをさらに含み、前記測定することは、前記着脱可能なホルダにおける運動を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
  24. 前記測定することは、常時接触型原子間力顕微鏡において測定することを含む、請求項16に記載の方法。
  25. 前記測定することは、走査チップ原子間力顕微鏡において測定することを含む、請求項16に記載の方法。
  26. 前記アクチュエータを、重量を用いてさらに補償することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  27. 接触することにより測定されるべきサンプルのための支持体と、
    前記支持体の運動を測定し、測定された運動を示す出力を生成するセンサと、
    前記センサから前記出力を受信し、前記出力に基づく信号を生成するコントローラと、
    前記信号に基づき前記支持体の前記運動を減衰するように、前記コントローラからの前記信号により駆動されるアクチュエータと、
    を備える補償システム。
  28. 前記支持体のセンサは、原子間力顕微鏡の複数の構成要素を含む、請求項27に記載のシステム。
  29. 前記サンプルを測定する測定用カンチレバーをさらに備える、請求項27に記載のシステム。
  30. 前記測定に基づき補償を決定し、前記補償を用いて前記アクチュエータに対する出力を生成するようコントローラを用いることをさらに含む、請求項27に記載のシステム。
  31. 前記センサと前記アクチュエータとは別々の構造である、請求項27に記載のシステム。
  32. 前記センサと前記アクチュエータとは、その動きに基づき出力信号を生成する単一のデバイスであり、印加される信号に応じて移動できる、請求項27に記載のシステム。
  33. 前記単一のデバイスは、圧電スタックである、請求項32に記載のシステム。
  34. 前記センサは、前記支持体による特定の移動の位置を決定し、前記アクチュエータは、前記位置における移動を補償する、請求項27に記載のシステム。
  35. 前記特定の移動の位置は、アンチノードであり、前記アクチュエータは、前記アンチノードのそれぞれに、複数のアクチュエータ要素を1つずつ含む、請求項34に記載のシステム。
  36. 前記アクチュエータは、運動方向に関し第1の方向に向けられた第1のアクチュエータ部分と、前記第1のアクチュエータ部分に対し直角に向けられた第2のアクチュエータ部分とを含む、請求項27に記載のシステム。
  37. 前記サンプルを保持する着脱可能なホルダをさらに備え、前記センサは、前記着脱可能なホルダにおける運動を測定する、請求項27に記載のシステム。
  38. 前記複数の構成要素は、常時接触型原子間力顕微鏡の一部である、請求項28に記載のシステム。
  39. 前記複数の構成要素は、走査チップ原子間力顕微鏡の一部である、請求項28に記載のシステム。
  40. 前記アクチュエータに結合される質量要素をさらに備える、請求項27に記載のシステム。
  41. 原子間力顕微鏡を操作する方法であって、
    支持構造に結合され、サンプルをカンチレバーに関して移動させる第1のマイクロアクチュエータを作動させることと、
    前記支持構造における変化を測定することにより、前記支持構造へと移動する運動量を検知することと、
    前記支持構造の運動を減衰させる量だけ第2のマイクロアクチュエータを作動させることと、を含み、
    前記マイクロアクチュエータは、前記作動させることによって前記運動量を前記支持構造に移動させるよう結合される、
    方法。
  42. 前記第1および第2のマイクロアクチュエータは、圧電アクチュエータである、請求項41に記載の方法。
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