JP2009519971A - スキンケア組成物及び治療法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、皮膚からの培養細胞から合成された増殖物質を含有する組成物に関する。ケラチン合成細胞や真皮線維芽細胞などの皮膚細胞が細胞培地中でインビトロ培養され、培養の過程で、培養された細胞が物質を合成しこれを前記細胞培地中に分泌する。物質を含有するこの培地が回収され、個体を治療するための医薬製剤又は美容製剤中に組み込まれる。前記製剤は、塗布され、細胞及び組織を若返らせる効果を有する。

Description

本発明の分野は、細胞培養及び医療バイオテクノロジー、詳細には皮膚からの培養細胞から合成された培養皮膚物質を含有する組成物である。ケラチン合成細胞及び真皮線維芽細胞などの皮膚細胞がインビトロで細胞培地内で培養され、培養の過程で、培養された細胞が物質を合成し前記細胞培地中に分泌する。物質を含有したこの培地が回収され、個体を治療するための局所用製剤中に組み込まれる。前記製剤は、個体の皮膚に塗布され、細胞及び組織を若返らせて小皺や皺の出現を抑制する効果を有する。
皮膚の老化に伴い、乾燥や弾力性の喪失が顕著となる。加えて、日光、風、汚染物質及びその他の外的な刺激物質や環境ストレスへの曝露が、皮膚の老化を加速させる要因となりうる。長期にわたって紫外線に曝されたことによる皮膚成分の構造的及び機能的変性は、総称して光加齢又は光損傷と呼ばれる。光加齢の臨床的な特徴の殆どは、加齢とともに現れるもの、即ち老化斑(光線性のほくろ)及び皺であると考えられてきた。近年の生活様式の変化によって、皮膚を日光や人工的な紫外線源に曝す機会が増えたことから、皮膚に及ぼされる紫外線の作用が蓄積され、この結果、障害を生じた皮膚の治療を必要とする光加齢患者が増加することが予想される。
一般に、光加齢には(例えば、色白の皮膚は色黒の皮膚よりも光加齢しやすいなど)皮膚のタイプによって差がある。また、早期老化した皮膚に皺よりもより特徴的に現れるのが、色素沈着性の変性である。これらの差異は、個体が日光に曝露される度合いに加えて、長期にわたる日光への曝露に対する天然の防御機構が生来異なることが原因であろう。
紫外線への長期にわたる曝露は、皮膚細胞成分を変質させる。小皺及び大皺、色素沈着性の変性、きめの粗さ、たるみ、血色の悪さ及び毛細管拡張症(毛細血管の隆起)を含めた臨床徴候の中には、早期老化を招き、生活の質に重大な影響を及ぼすものがある。組織学的には、表皮の萎縮及び形成異常、真皮の弾力線維症並びにメラニン細胞の活性の増加が観察される。光線性の角化症並びに基底及び扁平上皮細胞癌などの形成異常性の及び腫瘍性の変性も、光加齢した皮膚の極度な特徴である。
老化は不可逆性のものであると考えられてきたが、この10年の間になされた研究により、幾つかの局所用の化合物及び外科的処置で加齢による皮膚損傷を改善できることが示されている。外科的介入による治療には、美容整形、皮膚剥離法、レーザーリサーフェシング、ボツリヌス菌毒素注入及びコラーゲン注入が含まれる。これらの外科的治療は、光加齢した皮膚を、リスクを冒すことなく、また予防的な要素を含むことなく、臨床的及び組織学的に改善させる。
皮膚の外観を向上させるために、数多くのスキンケア製品及びスキンケア治療剤が開発されてきた。加えて、座瘡、前癌性病変、瘢痕、色素沈着異常、皺などの慢性の皮膚障害を治療するための様々な治療剤が開発されてきた。
現在使用されている、又は研究中の局所用のスキンケア製品及びスキンケア治療剤が幾つかある。例えば、ビタミンA(レチノール)及びレチノイドと呼ばれるビタミンA誘導体は、皮膚上層を弛緩させて細胞の交代を促進する効果を有すると考えられている局所用の治療剤である。フリーラジカルを中和するビタミンC(アスコルビン酸)は、皮膚を健康な状態に回復させて、小皺や皺の出現を抑制するために局所投与される。ビタミンKは、損傷した血管、クモの巣状静脈瘤、打撲傷、目の下の隈及びまだら状に赤くなった皮膚を治癒するために局所塗布される。α−ハイドロキシ酸(AHA類)及びβ−ハイドロキシ酸(BHA類)は、皮膚の活性を高めて座瘡の予防を助ける局所的な剥離剤である。外皮成長因子(EGF)を局所塗布することで、皮膚機能を改善し、外観全体を若返らせることが可能である。老化の原因となる皮膚特性の研究が、研究者らによって続けられている。
老化の研究において着目される皮膚特性の一つが、新生コラーゲン層である。新生コラーゲン層は、表皮直下の真皮内に存在する均質な物質の層であり、オキシタラン線維(即ちエラスチン線維)を含有しない。新生コラーゲン層は、好酸性であり、即ちヘマトキシリン・エオシン染色剤で染色すると、ピンク色に染まる。新生コラーゲン層と真皮乳頭とは同意義であるとする説があるが、これは事実ではない。新生コラーゲン層は真皮乳頭を様々な割合で構成するが、新生コラーゲン層は真皮乳頭とは全く異なる染色特性を有し、真皮乳頭と同意義ではない。新生コラーゲン層は、新たなコラーゲンの沈着(I型及びIII型)の結果生じたものであり、最近の研究によって、コラーゲンmRNAの合成が増加すると新生コラーゲン層が肥厚することが示されている。この数年間に発表された文献では、新生コラーゲン層内(基底膜直下)に新たなエラスチンが沈着する可能性があることが述べられている。紫外線性の光損傷及び加齢による変性に関しては、弾性線維物質(即ち、壊れた古いエラスチン)の真皮乳頭への蓄積が光加齢につながることから、新たなコラーゲンを沈着させて新生コラーゲン層を肥厚させることによって、この組織の柔軟性の喪失を補うことが可能である。
皮膚の外観を若返らせるための形成外科手術又は美顔外科手術に代わるものとして、多くの人が外科的処置ほどには観血的でないスキンリサーフェシング治療を選択している。そのような治療には、レーザーピール、ケミカルピール、皮膚剥離法及び皮膚プレーニング法が含まれる。全てのスキンリサーフェシング治療は、基本的に同じ方法で行われる。最初に、損傷した皮膚の表面の層を、皺や瘢痕が周辺の皮膚と同じ深さとなる程度にまで剥がす。表層部のみ又は中程度のリサーフェシングの場合には、除去する皮膚組織の層を、表皮及び真皮乳頭に限定してもよい。より深いリサーフェシングの場合には、網状真皮の上層部も除去してもよい。リサーフェシングの深さを変化させることで、特定のしみや皺を治療することが可能である。治療後の治癒過程の間に、新たな細胞が増殖してリサーフェシングされた箇所内へと拡散するので、より滑らかで、引き締まり、若々しい外観の皮膚表面が生じる。前記治癒過程の間に、皮膚の治癒を促進及び加速するために、スキンケア製品が治療箇所に塗布される。
光加齢した皮膚を改善させるための様々な美容製剤が広範に入手可能であるが、これらの効能は明らかではない。このように、効能の不明な治療剤が数多く存在するという状況から、光加齢に対処するための有効で安全な治療剤を特定することが不可欠である。従って、皮膚の外観を改善させると共に損傷を受けた皮膚の治癒過程を向上させるスキンケア製品及びスキンケア治療剤を開発することが、美容及び製薬の双方の業界に共通する課題である。
発明の概要
本発明は、馴化された細胞培地から、皮膚の局所的治療のための組成物又は製剤を作製可能であるという発見に基づいている。本発明の前記組成物は、培養された皮膚細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する、医薬製剤又はスキンケア製品として使用される馴化培地である。
馴化細胞培地を含有する前記製品が医薬製剤である場合には、前記製品は、例えば外傷の治癒を促進するなど、皮膚の状態を治療するために局所的に塗布される。前記局所用組成物が、任意の適切な薬学上許容可能な担体を含有してもよい。
馴化細胞培地を含有する前記製品がスキンケア製品又はスキンケア治療剤である場合には、細胞の増殖及び発生を促進すると共に細胞の老化を減少させるのに十分な量の前記製品が、皮膚の外観を向上させるために前記皮膚に局所的に塗布される。
本発明は、培養皮膚細胞から生成された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を含有する組成物又は製剤を製造する方法にも関する。本方法には、ケラチン合成細胞又は線維芽細胞のいずれか、又は双方の細胞型を一緒に、これらの皮膚細胞を成長させる培地を含有する栄養剤中で培養し、次にこれらの細胞に1つ又は複数のサイトカインを合成させて前記培地内に分泌させることが含まれる。このように作製され、1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を前記培養皮膚細胞から分離し、皮膚に局所的に塗布される組成物又は製剤の製造に使用する。
発明の詳細な説明
本発明は、真皮線維芽細胞及び表皮細胞などの培養皮膚細胞から生成された培養皮膚物質を含有する馴化培地組成物に関する。前記馴化培地中の前記培養皮膚物質は、医薬製剤、美容製剤及び外傷治癒製剤の調剤に用いられる生物活性分子である。
前記細胞からの培養皮膚物質を美容製剤の分野で用いる場合には、前記培養皮膚物質は、消費者に対し、皮膚の外観をよりしなやかで、柔軟及び弾力性のあるものにすること、皺を減らすこと、老化の形跡を目立たなくすること及び皮膚を修復することを含めた、皮膚を全体的に若返らせる恩恵をもたらす。前記培養皮膚物質は、例えば毎日など規則的及び定期的に用いると、皮膚に吸収されて、皮膚内の主要な細胞型であるケラチン合成細胞及び線維芽細胞の増殖及び発生を開始させ、細胞の老化を抑制し、皮膚細胞によるエラスチン及びコラーゲンのデノボ合成などの細胞外基質成分の合成並びに線維芽細胞によるこれらの成分の新生コラーゲン層への沈着を助け、前記新生コラーゲン層を肥厚させることで、皮膚に皺が寄ることを遅延、停止又は逆行させて皺の出現を抑制する。皮膚の色素沈着もより均一となる。
前記馴化培地中の前記培養皮膚物質は、医薬製剤として用いる場合には、第二度火傷後の治癒プロセスの促進、皮膚の治療、保湿、痛みの緩和、鎮静並びに、皮膚剥離法、皮膚プレーニング法、剥離、ケミカルピール、レーザー治療、日焼け、風焼け、照射による火傷、皮膚治療、水疱、スパトリートメント及びその他の皮膚への後遺症を引き起こす施術又は事象の後に新たな皮膚による治癒をより完全かつ迅速に行わせるために使用され、セルライト、脱毛症、神経疾患、妊娠線(線条痕としても知られる)の治療にも使用可能である。
線条痕は、皮膚が急速に伸びることで起こりうる伸展線である。妊娠によって腹部が大きくなるのに伴って現れることが多い。急速に肥満した子どもに見受けられる場合もある。思春期の男性及び女性が急速に成長する際に起こることもある。線条痕が最も多く生じる箇所は、胸部、腰部、大腿部、臀部、腹部及び脚部である。線条痕は、皮膚に赤く細い光沢のある縞模様として現れ、時間が経つとともに白っぽい瘢痕状となる。線条痕は、正常な皮膚と比較すると僅かに凹んでおり、質感が異なる。線条痕は、コラーゲンの異常な産生の結果として、或いはコラーゲン産生を妨げる療法又は化学物質を原因としても起こりうる。線条痕は、コルチゾン化合物の長期にわたる投与、真性糖尿病、クッシング症候群に伴って、及び妊娠後にも起こりうる。
培養皮膚物質を含有する製剤を、組織内の血管新生の促進に用いてもよい。これらのサイトカインを含有する医療製剤を、外科手術又は負傷後の粘膜表面を治療するために同様に用いてもよい。
創傷治癒製剤においては、馴化培地から培養された皮膚物質が、前記製剤を創床に直接に塗布することによって、又は創傷包帯に組み込むことによって使用される。前記製剤を、自家移植片(患者から切り離され、同じ患者の別の部位に再移植される皮膚)又は培養皮膚構成体などの移植片と共に、移植片表面、移植片全体又は前記創床を被覆する添加剤として用いてもよい。創傷治癒における添加剤として用いる場合には、前記創傷治癒製剤に含有される前記培養皮膚物質は通常、ケラチン合成細胞及び線維芽細胞を増殖及び発生させ、肉芽組織及び血管を形成させることで、創傷の閉合を促進する。
馴化培地は、組織培養物と接触した培地であって、前記組織培養物によって、栄養、ビタミン、ホルモン、無機化合物及び無機塩の源として使用され、前記組織培養物と接触したことによって、サイトカイン、タンパク質、細胞外基質成分またはこれらの任意の組み合わせなどの、細胞によって合成されて前記培地内へと分泌された細胞産生物又は「培養皮膚物質」が加わった培地を意味する。馴化は、前記細胞と前記培地との間の、好適には6時間乃至3日間、より好適には12時間乃至2日間にわたる接触、曝露、交換及び相互作用の際に、前記細胞がサイトカイン、タンパク質及び細胞外基質成分を合成して新鮮な培地内へと分泌することによって、前記培地を馴化する活動である。こうして馴化された培地は、培養下で前記皮膚構成体を収容した培養装置から取り出され、前記培養皮膚物質の精製のために回収されるか、医薬組成物、美容組成物又は創傷治癒組成物としてその全体又は一部が使用されるか、或いはインビトロでの細胞培養のために使用される。
サイトカインは、細胞の分化、増殖、分泌又は運動性などの機能又は活性に変化をもたらすタンパク質である。成長因子とは、細胞の成長、増殖、体内移行又はその他の関連する細胞事象を促進又は阻害する、機能又は活動を変化させるサイトカインタンパク質群である。ケモカインは、T細胞、B細胞及びその他のケモカイン応答性細胞を体内の特定の組織へと遊走させる別のサイトカイン群である。リンフォカインは、免疫応答に関わる更に別のサイトカイン群である。ここで使用される「サイトカイン」という用語には、成長因子、ケモカイン及びリンフォカインを含めたサイトカインが包含され、これらの正常な構造及び機能に限定されず、これらの天然に発生するバリアント及びハイブリッドが包含されてもよい。本発明の培養皮膚物質は、サイトカインを含有する。
培養皮膚構成体は、その作製の過程を通して、及び完全に作製された時点で、様々なサイトカイン及びその他の物質を合成して、これらを前記構成体の基質中及び前記構成体が浸されている培地中に分泌する生細胞を含有する。前記培養皮膚構成体中の培養細胞は、典型的には真皮線維芽細胞及び表皮細胞である。表皮細胞はケラチン合成細胞とも呼ばれる。二層構造の皮膚構成体を作製及び培養する過程で、前記表皮細胞層及び真皮組織層は、天然の哺乳類及びヒトの皮膚内で起こるのと同様の細胞間の及び細胞基質間の相互作用のための、細胞外基質を組み込んだ組織化された共培養物という組織様の環境を提供する。形成中の前記構成体におけるこれらの相互作用が、サイトカインの発現特性及び培地への分泌特性を多様化し、培地中の他の細胞に、細胞外基質の産生、基底膜の形成並びに細胞の増殖及び分化などの様々な機能を発揮させる。
本発明の特徴である、培養皮膚構成体によって産生されたサイトカイン及び成長因子には、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、表皮成長因子(EGF)、ケラチン合成細胞成長因子(KGF)、形質転換成長因子アルファ(TGFα)、形質転換成長因子ベータ−1(TGFβ1)及び形質転換成長因子ベータ−2(TGFβ2)を含む形質転換成長因子ベータ(TGFβ)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)及び腫瘍壊死因子(TNF)が含まれるが、これらに限定されることはない。ケモカイン群の中では、インターロイキンが細胞のアポトーシスを抑制する。インターロイキン−1、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−11を含めた数多くのインターロイキン類も、形成途上の皮膚構成体によって合成され、本発明の特徴の一つである。括弧で示されたこれらの用語は広く知られている略語であり、当業において優先的な正式名称として使用されていることに留意すべきである。
本発明の培養皮膚物質を含有するその他のサイトカイン及び成長因子には、アンフィレギュリン、アンギオゲニン、アンギオポエチン−2、DTK、EGF−R、ENA−78、FAS、FGF−1、FGF−2、FGF−6、FGF−7、FGF−9、FIT−3リガンド、GCP−2、G−CSF、GM−CSF、GRO−アルファ、HGF、IGF−1、IGF−2、IGFBP−2、IL−11、IL−1アルファ、IL−1ベータ、L−1RA、IL−6、IL−6R、IL−8、レプチン、MCP−1、MCP−2、M−CSF、オステオプロテグリン、PDGF、PIGF,RANTES、幹細胞因子、TGFアルファ、TGFベータ1、TGFベータ2、TGFベータ3、TIMP−1、TIMP−2、TRAIL、UPAR及びVEGFが含まれる。これらの用語は、当業で広く知られ、使用されている略語であり、各用語の長い形の正式名称は、引用をもってここに援用されていることに留意すべきである。
好適には、本発明の馴化培地は、皮膚細胞の培養細胞と、ケラチン合成細胞又は真皮線維芽細胞又はこれらの双方とによって、より好適には、ケラチン合成細胞と真皮線維芽細胞との共培養物の形でこれらの細胞を同時に培養することによって作製される。本発明の馴化培地は、最も好適には、前記共培養物が、天然の皮膚と同じ方向に配置された、少なくとも真皮層と表皮層とを有する培養皮膚構成体である場合に作製される。真皮層には、好適には真皮を起源とする線維芽細胞と、主にコラーゲンからなる細胞外基質とが含まれる。培養皮膚構成体に、意図的に添加された、又は当初の源から維持された線維芽細胞の培養物による、皮膚内に見受けられる細胞及びその他の細胞外基質成分が含有されてもよいことが、当業者に理解されよう。
本発明で使用される好適な細胞型は、間葉に由来する。より好適な細胞型は、線維芽細胞、間質細胞及びその他の支持結合組織細胞又は、最も好適な実施例においては、ヒトの真皮線維芽細胞である。ヒトの線維芽細胞株が、新生男児の包皮、真皮、腱、肺、臍帯、軟骨、尿道、角膜支質、口腔粘膜及び腸を含むがこれらに限定されることはない数多くの源に由来してもよい。ヒトの細胞が、線維芽細胞、平滑筋細胞、軟骨細胞及びその他の、間葉由来の結合組織細胞を包含してもよいが、これらに限定される必要はない。組織構成体の作製に用いられる基質形成細胞が、本発明の培養法を実施した後に前記組織構成体が類似又は近似すべき組織型に由来していることが、必要ではないが望ましい。例えば、薄い多層状の構造体が線維芽細胞から培養されて、生結合組織構成体を形成してもよいし、又は筋芽細胞から培養されて骨格筋構成体を形成してもよい。複数の細胞型を用いて組織構成体を作製してもよい。細胞が、様々な発育段階及び年齢のドナーから提供されてもよい。細胞が、胎児、新生児又は成人を含めたより高齢の個体に由来してもよい。間葉系幹細胞などの胎児始原細胞を、本発明で使用して、所望の組織へと成長するように分化させてもよい。
本発明での使用にはヒトの細胞が好適であるが、本方法で用いられる細胞がヒト由来の細胞に限定されることはない。ウマ、イヌ、ブタ、ウシ、ネコ、ヤギ及びヒツジが含まれるがこれらに限定されることはないその他の哺乳類に由来の細胞を用いてもよい。ネズミ及びその他の齧歯類に由来の細胞を用いてもよい。加えて、自然発生的、化学的に又はウィルスによってトランスフェクトされた遺伝子操作細胞を本発明で用いてもよい。複数の細胞型を組み込んだ実施例においては、正常な細胞と遺伝子組み換えされた又はトランスフェクトされた細胞との組み合わせを用いてもよいし、2つ又は3つの種の又は組織由来の細胞の組み合わせを用いてもよいし、或いはこれらの双方を用いてもよい。
遺伝子組み換え又は遺伝子操作された細胞を用いて組織構成体を形成して、より高レベルの天然の細胞産生物又は治療用物質を用いた治療を必要としている患者のための薬剤送達グラフトとして機能する組織構成体を作製してもよい。前記細胞が、遺伝子組み換え細胞産生物、成長因子、ホルモン、ペプチド又はタンパク質を、連続した一定時間の間、又は培養物の状態により、生体シグナル、化学シグナル又は熱シグナルに基づいて必要となった時に産生してもよい。細胞が、「正常」であるが高レベルで発現されているか、又は何らかの方法で改変されたサイトカイン、タンパク質又は異なる複数の種類の細胞外基質成分を発現するように遺伝子操作されていることにより、創傷の治癒を促し、血管をより容易に又は方向性をもって新生させるために治療上有用な細胞産生物を産生してもよい。これらの手法は当業で周知であり、本願中に引用をもって援用された、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーのコールドスプリングハーバー社より1989年に出版された、Sambrook他著、Molecular Cloning,A Laboratory Manualに記載されている。上述の細胞型は全て、サイトカインを含有する馴化培地を合成する培養皮膚構成体を作製するために本発明で用いてもよい。培養皮膚構成体中の細胞は、正常な皮膚に見受けられる構成及び成分に近似した構成及び成分を有する細胞支持基質中で培養される。
コラーゲンは、培養皮膚等価物に共通の好適な成分である。コラーゲンは、培地を馴化するためのサイトカイン及びその他の培養皮膚物質を産生及び分泌する皮膚等価物の作製に使用するのに最も好適な細胞外基質成分であるが、別の細胞外基質成分を用いてもよい。これらの細胞外基質成分を、単独で用いてもよいし、又は、コラーゲンに含有させて天然の真皮基質を模倣してもよい。これらの細胞外基質成分に、II型、III型、IV型、V型、VI型、VII型、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、XVIII型、XIX型コラーゲンなどのコラーゲンファミリーからの、線維性及び非線維性のその他のコラーゲン、エラスチン、デコリン又はビグリカンなどのプロテオグリカン類又はテネイシン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジンIなどの糖タンパク質類を含んでもよいがこれらに限定されることはないその他の基質タンパク質並びに、ヒアルロン酸(HA)などのグリコサミノグリカン(GAG)類が含まれてもよい。前記真皮基質が、コラーゲンスポンジ、生体適合性の、生体リモデリング可能な、脱細胞化された真皮又はコラーゲンゲルなどの様々な組成及び構造を有してもよい。真皮細胞に細胞外基質成分を供給するのではなく、細胞外基質成分を、培養支持体となる(ナイロン又はポリガラクチン(PGA)などの)生分解性の網状材上で培養して細胞外基質を形成し、細胞及びその基質が前記支持体を包囲するようにしてもよい。この好適な実施例における前記真皮層は、本願中に引用をもって援用された、Bellによる米国特許第4,485,096号に記載の線維芽細胞によって収縮された収縮コラーゲンゲルである。より好適な一実施例においては、前記収縮コラーゲンゲルは、有孔の膜上の大きな無細胞性のコラーゲン層の上に配置されており、前記ゲルが前記膜上に固定されて、放射状に収縮し過ぎないようになっている。大きな無細胞性のコラーゲン層を組み込む方法は、その内容が本願中に引用をもって援用された、Kemp他による米国特許第5,536,656号、1994年にBiotechnology and Bioengineering社から発行されたWilkins,L.M.他著のDevelopment of a Bilayered Living Skin Construct for Clinical Applications、第43版の747乃至756ページ及び、1994年にロンドンのCambridge University Press社から発行されたI.Leigh及びF.Watt編のThe Keratinocyte Handbook中のParenteau,N.L.著のSkin equivalentsに記載されている。
本発明に基づく組織等価物及び無細胞性の水和コラーゲンゲルの双方を、ラットの尾の腱、子ウシの皮のコラーゲン及び子ウシの伸筋の腱を含めた皮膚及び腱に由来のコラーゲンを用いて作製してもよい。その他のコラーゲン源も好適であろう。子ウシの総指伸筋に由来の特に好適なコラーゲン成分及びそのようなコラーゲン成分を得る方法が、本願中にその開示が引用をもって援用された、Kempによる米国特許第5,106,949号に開示されている。
図1を参照すると、本発明の一方法においては、無細胞性の水和コラーゲンゲル25を、約0.5乃至2.0mg/ml、好適には約0.9乃至1.1mg/mlのコラーゲンと栄養培地とを含むコラーゲン成分から作製する。このコラーゲン成分を、内容器20に入れ、前記コラーゲン成分が凝固して、典型的には厚さ約1乃至5mm、好適な厚さが約2乃至3mmの適切な大きさの無細胞性の水和コラーゲンゲルを形成することが可能な条件下で保持する。無細胞性の水和コラーゲンゲル25は、細胞が組織等価物から無細胞性の水和コラーゲンゲル中に移行する際に無細胞性であり続ける程度に厚く、かつ前記組織等価物が外容器10に入れられた栄養源から離れてしまわない程度に薄いことが望ましい。
次に、真皮等価物が、上述の特許に基づく、及び以下に記載の手法を用いて、無細胞性の水和コラーゲンゲル上に成形される。コラーゲンと線維芽細胞とを含有する成形混合物を、内容器20内の無細胞性の水和コラーゲンゲル25上に入れ、前記組織等価物を形成可能な条件下で保持する。前記組織等価物は、無細胞性の水和コラーゲンゲル25上に形成されるのに伴って放射状に収縮する。
典型的には、真皮層26の両側は、水和コラーゲンゲル25の外周に向かって傾斜し、図1の52に示す台地型部分をなす。ここで真皮層26に表皮細胞が播種されて、表皮層28を形成する。表皮細胞は、約0.3×10乃至約30×10細胞個/mlの密度で培地中に播種される。播種された表皮細胞の体積は、前記台地型部分の大きさによって異なる。
コラーゲンの濃度、細胞の数及び成形混合物の体積を、前記生組織等価物の直径と厚さとが最適化されるように調節してもよい。前記成形混合物は、密度約1.25×10乃至約5×10細胞個/mlの細胞と、約0.5乃至約2.0mg/mlのコラーゲンとを栄養培地中に含有している。好適な細胞密度は、約2.5×10細胞個/mlである。前記無細胞性の水和コラーゲンゲルを成形するための成形混合物の体積に対する前記組織等価物を成形するための成形混合物の体積が、細胞の成育能力と分化とに影響を及ぼすことが判明している。コラーゲンゲル成形混合物に対する組織等価物成形混合物の有用な体積比(v/v)は、約3:1乃至1:3である。コラーゲン格子中の細胞密度が約2.5×10細胞個/mlである場合の好適な比は、3:1である。
培養物をインキュベータ内に保持して、細胞の培養に適した温度、湿度及び混合気が保たれた十分な環境条件を確保する。好適な条件は、温度約34℃乃至約38℃、より好適には37±1℃、CO濃度約5乃至10±1%、相対湿度(Rh)約80乃至90%である。
表皮を分化及び角化させて分化ケラチン合成細胞層を形成することを含めた、表皮細胞を真皮基質へと供給するための方法及びその培養方法は、当業で周知であり、その教示が本願中に引用をもって援用された、Parenteau他による米国特許第5,712,163号、Kemp他による米国特許第5,536,656号、上述のWilkins(1994)及び上述のParenteau(1994)に記載されている。典型的には、前記細胞−基質構成体を表皮化させるために、ケラチン合成細胞を前記細胞−基質構成体上に播種し、前記層が約1乃至3細胞層の厚さとなるまで、ここで培養する。次に、前記ケラチン合成細胞を分化させて多層表皮を形成させ、次にこれを角化させて角質層を形成させる。
分化表皮層を形成する方法において、継代培養されたケラチン合成細胞を細胞ストックから取り出し、これらの細胞数を増加させる。必要な数の細胞が得られたら、これらを培養基から取り外し、懸濁し、計数し、希釈し、前記細胞−基質構成体の表面上に、密度約4.5×10細胞個/cm乃至約5.0×10細胞個/cm、より好適には約1.0×10細胞個/cm乃至約1.0×10細胞個/cm、最も好適には約4.5×10細胞個/cmで播種する。次にこの構成体を37±1℃、CO10%で約60乃至約90分間インキュベートして、ケラチン合成細胞を付着させる。インキュベーション後に、構成体を表皮化培地中に浸す。十分な時間の培養後、ケラチン合成細胞は増殖し広がって、前記細胞−基質構成体全体にわたってコンフレントな単一層を形成する。コンフレントとなった後に、前記細胞培地調合物を、細胞を分化させるための分化培地に替える。多層上皮が形成されると、角化培地を使用して、培養物を気液界面に配置する。ケラチン合成細胞の分化及び角化のために、前記細胞を乾燥した又は低湿度の気液界面に配置する。乾燥した又は低湿度の界面が、皮膚の低湿度レベルを再現しようとする特性を有してもよい。時間の経過と共に、ケラチン合成細胞は、これらの条件下に置かれた天然の皮膚に見受けられる殆どの又は全てのケラチン及びその他の特徴を発現する。
完全に形成された表皮層は、基底層、基底上層、顆粒層及び角質層に分化された多層状のケラチン合成細胞である。基底膜の原基又は完全な基底膜が、真皮と表皮との接合部に位置し、半接着斑周辺で最も厚く、VII型コラーゲンからなる固定化線維によって標識されていることが、透過電子顕微鏡(TEM)による映像で確認される。前記固定化線維は、基底膜形成領域から出て、真皮層内のコラーゲン線維を捕捉している。これらの固定化線維は、他の基底膜成分と同様に、ケラチン合成細胞によって分泌される。ケラチン合成細胞自身が基底膜成分を分泌可能であるが、確認可能な基底膜は線維芽細胞がない状態では形成されないことが知られている。本発明の皮膚構成体を免疫組織化学的に染色すると、基底膜タンパク質であるラミニンの存在が示される。
前記培養皮膚構成体は、その形成の過程で、前記皮膚構成体中の細胞によって馴化される培地と接触することによって、培地からの成分を代謝して、サイトカイン及びその他のタンパク質を前記培地中に分泌することで、栄養分を得る。組成の明らかな培地とは、化学的組成の明らかな成分を含有し、例えば血清、下垂体エキス、視床下部エキス、胎盤エキス又は胎児エキス或いはタンパク質及びフィーダー細胞によって分泌される因子などの、組成の明らかでない動物の臓器又は組織のエキスを含有しない、細胞培養に用いられる培地を意味する。最も好適な一実施例においては、前記培地は、組成の明らかでない成分及びヒト以外の源に由来する組成の明らかな生体成分を含有しない。組成の明らかでない成分を添加することは、望ましくはないが、組織構成体の作製を成功させるために、そのような成分を、ここに開示する方法に従って培養のいずれかの時点で用いてもよい。ヒト以外の源に由来しない生体成分に由来する化学的組成の明らかな成分を用いて培養された、選別されたヒト細胞を利用して本発明を実施した場合に得られる組織構成体は、組成の明らかなヒト組織構成体である。そのような構成体を用いて本発明の馴化培地を作製することには、組織構成体又は馴化培地内に、動物又は交雑種のウィルスによる汚染及び感染が存在する懸念がないという利点がある。
新鮮な未使用の培地は、通常は他の成分が添加された栄養源を含有する。当業者は、本発明の組織構成体及び馴化培地の作製が成功することが相当に期待される適切な栄養源を、動物の細胞培養の分野で特定することが可能である。多くの一般に入手可能な栄養源は、本発明の方法で有用である。そのような栄養源には、無機塩、エネルギー源、アミノ酸及びBビタミンを供給する、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)、Minimal Essential Medium(MEM)、M199、RPMI1640、Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium(EDMEM)などの一般に入手可能な栄養源が含まれる。Minimal Essential Medium(MEM)及びM199は、リン脂質前駆体及び可欠アミノ酸の添加を必要とする。更なるアミノ酸、核酸、酵素補助因子、リン脂質前駆体及び無機塩を供給する、ビタミンを豊富に含有する一般に入手可能な混合物には、Ham‘s F−12、Ham’s F−10、NCTC109及びNCTC135が含まれる。濃度は様々であるが、全ての基礎培地は、細胞の基礎的な栄養源を、グルコース、アミノ酸、ビタミン及び無機イオンの形で、他の基礎培地成分と共に供給する。本発明の最も好適な基礎培地は、カルシウムを含有しないか又は低カルシウムの栄養源である、グルコースを4.5g/L、マグネシウム及びL−グルタミンを7.25mM含有し、ピルビン酸ナトリウムを含有しない、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)とHam’s F−12とを3:1の割合で混合したものを含有する。
前記基礎培地には、アミノ酸、成長因子及びホルモンなどの成分が添加されている。本発明の細胞培養のための組成の明らかな培地は、その開示が本願中に引用をもって援用された、Parenteauによる米国特許第5,712,163号及び、PCT国際公開公報WO95/31473号に記載されている。Ham及びMcKeehan著、Methods in Enzymology、58:44−93(1979)に開示されたその他の培地や、その他の適切な化学的組成の明らかな培地としては、Bottenstein他著、Methods in Enzymology、58:94−109(1979)に開示された培地も当業で公知である。好適な一実施例においては、前記基礎培地に、動物細胞培養の分野で当業者に公知の以下の成分:インスリン、トランスフェリン、トリヨードサイロニン(T3)並びに、エタノールアミン及びo−ホスホリルーエタノールアミンのいずれか又は双方が添加されている。これらの添加成分の濃度及び代替物を、当業者が決定してもよい。
インスリンは、グルコース及びアミノ酸の吸収を促進して、複数の継代にわたって長期間の恩恵をもたらすポリペプチドホルモンである。長期培養においては、細胞のグルコース及びアミノ酸吸収能力が次第に衰えて細胞の表現型が劣化するおそれがあることから、インスリン又はインスリン様成長因子(IGF)の添加が必要である。インスリンの添加は、継代培養において有利であり、培地への添加濃度は、好適には約0.5μg/ml乃至約50μg/ml、より好適には約5μg/mlである。IGF−1又はIGF−2などのインスリン様成長因子の適切な添加濃度は、選択された培養細胞の種類に応じ、当業者によって容易に決定可能であろう。
トランスフェリンは、鉄の運搬を調整するために培地に含有される。鉄は、血清中の必須微量元素である。鉄は、遊離状態では細胞に対して毒性であるが、血清中ではトランスフェリンと結合して、好適には約0.05μg/ml乃至約50μg/ml、より好適には約5μg/mlの濃度で細胞に供給される。
トリヨードサイロニン(T3)は、甲状腺ホルモンが活性となった形の塩基性の成分であり、細胞の代謝率を維持するために培地に含有される。トリヨードサイロニンは、約0乃至約400ρM、より好適には約2乃至約200ρM、最も好適には約20ρMの濃度で培地に添加される。
リン脂質であり、イノシトール経路及び脂肪酸の代謝において重要な前駆体として機能するエタノールアミン及びo−ホスホリル−エタノールアミンのいずれか又は双方を添加する。無血清培地に、通常血清中に存在する脂質を添加することが必要である。エタノールアミン及びo−ホスホリル−エタノールアミンは、約10−6乃至約10−2M、より好適には約1×10−4Mの濃度で培地に添加される。
培養期間を通じ、合成又は分化を誘起する、又は細胞の成長を促進する、ヒドロコルチゾン、セレン及びL−グルタミンなどのその他の成分が、基礎培地に更に添加される。
ヒドロコルチゾンは、ケラチン合成細胞培養において、ケラチン合成細胞の表現型を助長することによって、インボルクリンやケラチン合成細胞のトランスグルタミナーゼ含有率などの分化特性を促進することが示されている(Rubin他、J.Cell Physiol.、138:208−214(1986))。従って、ヒドロコルチゾンは、これらの特性が、例えばケラチン合成細胞のシートグラフト又は皮膚構成体の作製などにおいて有益である場合に望ましい添加物である。ヒドロコルチゾンを、約0.04μg/ml乃至約4.0μg/ml、最も好適には約0.4μg/mlの濃度で添加してもよい。
セレンは、血清中に通常存在するセレン微量元素を補うために、無血清培地に添加される。セレンを、約10−9M乃至約10−7M、より好適には約5.3×10−8Mの濃度で添加してもよい。
アミノ酸L−グルタミンは、一部の栄養源中に存在し、不在又は量が不足している場合には添加してもよい。L−グルタミンを、商標名GlutaMAX−1(登録商標)(ニューヨーク州グランドアイランドのGibco BRL社)で販売されているものなどの安定した形で添加してもよい。GlutaMAX−1(登録商標)は、L−アラニル−L−グルタミンの安定なジペプチド形であり、L−グルタミンと交換可能に使用可能であり、L−グルタミンの代わりに等モル濃縮物として添加される。ジペプチドは、L−グルタミンに安定性を付与することで、保管中及びインキュベーション中の経時的な劣化によって培地中のL−グルタミンの有効濃度が不確実となることを防止する。典型的には、前記基礎培地に、好適には約1mM乃至約6mM、より好適には約2mM乃至約5mM、最も好適には4mMのL−グルタミン又はGlutaMAX−1(登録商標)を添加する。
表皮成長因子(EGF)などの成長因子を前記培地に添加して、細胞のスケールアップ及び播種による培養物の作製を補助してもよい。EGFを天然の形で用いてもよいし、遺伝子組み換えした形で用いてもよい。非ヒト生体成分を含有しない皮膚等価物を作製する場合には、ヒトの天然の又は遺伝子組み換え型のEGFを培地中で用いることが望ましい。EGFは任意に添加される成分であり、約1乃至約15ng/mL、より好適には約5乃至約10ng/mLの濃度で添加してもよい。
上述の培地は、典型的には以下のように作製される。しかし、本発明の成分を、その物理的特性に適合した従来の方法を用いて作製及び組み合わせてもよいことを理解されたい。幾つかの成分を、入手の容易さ又は経済性を考慮して適切な類似物又は機能上等価な作用物質と置き換えても同様の結果が得られることは、当業で公知である。天然発生型の成長因子の代わりに、本発明の実施に用いた場合に同様の質及び結果を発揮する組み換え型の又は合成された成長因子を用いてもよい。
本発明に基づく培地は無菌である。無菌の成分を購入するか、又は例えばろ過などの従来の方法で、作製後に無菌化する。以下の実施例全体を通じ、適切な無菌的手順を用いる。DMEMとF−12とを混合し、次に個々の成分を添加して前記培地を完成させる。4℃で保存可能な栄養源を除き、全ての成分の原液は−20℃で保存可能である。全ての原液は、上に挙げた最終濃度の500倍で作製される。インスリン、トランスフェリン及びトリヨードサイロニン(全てSigma社から入手)を、以下の方法で作製する。最初にトリヨードサイロニンを2:1の割合の無水エタノールと1Nの塩酸(HCl)とに溶解する。インスリンを、希釈したHCl(約0.1N)に溶解し、トランスフェリンを水に溶解する。これら3つを次に混合し、濃度500倍となるように水で希釈する。エタノールアミン及びo−ホスホリル−エタノールアミンを濃度500倍となるように水で希釈し、滅菌ろ過する。プロゲステロンを無水エタノールに溶解して、水で希釈する。ヒドロコルチゾンを無水エタノールに溶解し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈する。セレンを濃度500倍となるように水で希釈し、滅菌ろ過する。無菌のEGFを入手し、PBSで希釈する。アデニンは溶解が困難であるが、当業で公知の数多くの方法のいずれかによって溶解可能である。ヒト血清アルブミン(HSA)又はウシの血清アルブミン(BSA)を添加して、保存期間を長くし、プロゲステロン及びEGFの原液の活性を維持してもよい。前記培地を、作製後すぐに使用してもよいし、4℃で保存してもよい。EGFを保存する場合には、使用時まで添加すべきではない。
新鮮な培地の供給は、ピペッティング、デカンテーション又はポンピングによって前記培地を培養装置に入れることで行われる。前記培地の馴化は、前記培地を培養皮膚構成体と通常は約6時間乃至3日間又はそれ以上の、前記構成体が栄養素等を前記新鮮な培地から吸収又は摂取し、前記培地内にサイトカインを分泌可能な十分な時間の間接触させることで行われる。前記培養皮膚構成体が一定の代謝状態にあるので、前記培地の馴化に要する時間は僅かである。前記構成体と前記培地とが、前記交流の間、前記栄養素が前記新鮮な培地から殆ど枯渇するまで互いに接触していることが望ましい。
前記馴化培地と新鮮な培地との交流の度に、馴化培地を前記培養物からピペッティング、アスピレーション、デカンテーション、ドレイニング、サイフォニング又はポンピングによって除去及び回収する。培養皮膚等価物の作製においては、真皮線維芽細胞と表皮細胞との双方が前記構成体中に共在する時に、前記構成体を収容した装置から馴化培地を回収することが望ましい。複数の馴化培地回収物を個々の回収物として個別に用いてもよいし、一緒にプールしてもよい。培養皮膚構成体の形成が、回収時点ごとにサイトカイン特性が異なる馴化培地を形成する数多くの事象を特徴としていてもよい。回収物を個別に用いる場合には、特定の処方又は製品に適したサイトカインが前記馴化培地に含有されることになろう。複数の回収物を混合させてプールした場合には、前記馴化培地に含有されるサイトカインは、より幅広い種類の処方又は製品に適したものとなろう。
本発明の別の一方法では、前記皮膚構成体がその上に形成される膜の下に敷かれた吸収パッドからサイトカインが回収される。前記パッドは前記膜の直下に配置され、ケラチン合成細胞層の角質化を促進するために前記培養物が気液界面に配置された時に、培地をエアリフト方式で前記膜に吸い取らせる。前記パッドは、いかなる吸収材料から形成されていてもよいが、好適には非毒性及び細胞培養物と親和性の、例えば綿などである。図1を参照すると、前記パッドは、膜24の底面に沿って、膜24と外箱60の底部との間に配置されている。前記パッドは、幾つかのサイトカインを高濃度で含有する。理論に拘束されることを望むわけではないが、前記パッドは、形成中の皮膚構成体と近接していることから、前記構成体によって分泌されるサイトカインの多くを吸収する。前記パッドを絆創膏として又は絆創膏の一部分として用いる場合には、これらのサイトカインを前記パッドに吸収されたままの状態で利用してもよいし、又はこれらのサイトカインを前記パッドから抽出又は排出させてもよい。
回収後は、前記馴化培地は即座に使用されるか、或いは、精製のため又は取り扱いの容易化を図るため又は使用時までの保管のために、前記培地に対して更なる処理が行われる。前記馴化培地を凍結乾燥又は脱水して、液体、水分又は前記成分の一部を除去してもよい。水分を除去すると、前記培養皮膚物質即ちサイトカイン、タンパク質及び細胞外基質成分を含有する前記馴化培地が、体積のより小さい結晶化粉末の形で残る。この形とすることで、前記培養皮膚物質をより大量に含有する製品を、希釈せずに作製することが可能であり、その体積の小ささから保管がより容易である。
前記馴化培地を、ろ過法、特に分子量をカットオフする方法又は一連の分子量フィルタを用いて濃縮してもよい。分子量フィルタを用いることで、培地中に存在する、例えばアルブミンなどの主成分、血清中に存在する幾つかの分子量の大きな成分、細胞及び細胞破片などが除去される。必要とされているわけではないが、前記馴化培地を予めろ過して、より小さな孔のフィルタでろ過する前にこれらの比較的大きな成分を除去することにより、以降に用いるフィルタの目詰まり及びろ過性能の低下を防止することが望ましいであろう。その他のろ過及び透析法を用いて、前記細胞産生物構成体から塩分を除去してもよい。例えば、接線流ろ過によって前記馴化培地中の培養皮膚物質の濃度を高めてもよい。加えて、接線流ろ過によって前記馴化培地中の塩分濃度を低くしてもよい。前記馴化培地中の水和成分の除去に伴って、塩分濃度を低下させるために、塩分を水分に置き換える。実際には、前記培養皮膚物質の濃縮と前記塩分濃度の低減とを少なくとも一度繰り返して、前記複数の培養皮膚物質から塩分を実質上洗い流す。前記複数の培養皮膚物質を更に精製、分画又は複合させて、純粋なサイトカイン、タンパク質又は細胞外基質構成体を形成してもよいし、又は特定の組織、組織構造又は細胞型への局所的な送達を促進してもよい。前記培養皮膚物質を精製及び脱塩することで、前記複数の培養皮膚物質はより親和性を高め、この結果、本発明の局所用製品の作製に適したものとなる。
本発明の皮膚構成体によって産生されたサイトカインを含有する馴化培地又は本発明のサイトカイン自体が、細胞培養で有用である。サイトカインを含有する馴化培地は、新たな生体皮膚細胞の細胞増殖及び発生を促進することによって細胞系を増殖及び維持させ、幹細胞及び始原細胞の増殖及び分化並びに(間充織細胞の筋細胞への分化などの)間充織分化を制御するために用いられる。前記馴化培地は、その他の組織構成体に対して、細胞の成長を特定の層及び方向で阻害又は促進する目的でも用いられる。前記馴化培地は、より高い濃度ではより低い濃度よりも大きな効果が発揮される、濃度依存性の効果を有する。
本発明の培養皮膚物質組成物は、皮膚の治療に用いられる製剤において特に有用である。従って、本発明の好適な一実施例は、培養皮膚細胞から合成及び分泌され、医薬製剤又はスキンケア製品として用いられるサイトカイン、タンパク質及び細胞外基質成分のうちの1つ又は複数を含有する馴化細胞培地を備えている。別の好適な一実施例においては、本発明は、培養皮膚細胞から合成及び分泌された培養皮膚物質及び担体物質を含有するスキンケア組成物である。前記培養皮膚物質を含有する前記調合対象の組成物の種類は、前記物質の形態及びその意図された用途によって異なるであろう。表皮組織の治療に熟練した者が、医薬製剤又は美容製剤中に調合される培養皮膚物質の有効量を決定してもよい。好適な一実施例においては、本発明は、皮膚に局所投与され、皮膚を治療してその外観を向上させる馴化培地成分を含有する美容製剤である。前記美容製剤を、保湿剤、ナイトクリーム、ファンデーションクリーム、日焼けローション、日焼け止め剤、ハンドローション、メーキャップ及びメーキャップ下地、美顔パック又は軟膏などが例として挙げられるがこれらに限定されることはない製品として、又はこれらの材料として用いてもよい。
本発明の際立った利点は、ヒトの皮膚細胞、ケラチン合成細胞及び線維芽細胞の発生及び増殖を促進し、表皮細胞の老衰を抑制し、皮膚細胞による細胞外基質成分の合成を補助する簡易な方法にある。本方法では、細胞の増殖を促進するために無傷の皮膚に前処理を施す必要がないので、無傷の皮膚を形成外科術によって剥がしたり、何らかの方法で傷つけたりする必要なく、容易に皮膚への局所投与が行われる。しかしながら、本発明の一実施例においては、皮膚に対し、角質層の全て又は一部の層を除去する前処理を施す。この前処理が、例えば粒状のスクラブ又はヘチマなどによる研磨などの機械的前処理であってもよいし、或いはアルファ−ヒドロキシ酸又はルチン−Aなどの表皮剥奪剤を用いた、又は美容上容認可能な油を用いた治療などの、生化学的なものを含めた化学的前処理であってもよい。機械的、化学的又はレーザー手段を用いた外科的研磨を行ってもよい。
本発明の方法で用いられる培養皮膚物質は、最も好適には、馴化培地からの培養皮膚物質と担体物質とを含有する適切な組成物の形で使用される。前記担体は、前記培養皮膚物質と反応してその活性を弱めることのないように、実質上不活性であるべきである。前記担体が、サイトカインの皮膚内への浸透を促進及び向上させて、その効力を高めることが望ましい。好適な不活性担体には、水、アルコール、ポリエチレングリコール、鉱物油又は石油ゲル、プロピレングリコール及びその他の当業で公知の担体が含まれる。
本発明の医薬組成物を作製するために、有効量の前記特定の培養皮膚物質を、活性成分として薬学上容認可能な担体との均質な混合物に混合する。この担体は、投与に適した剤形により様々な形をとってもよい。これらの医薬組成物は、特に局所的又は経皮的な投与に適した単一投与形であることが望ましい。使用直前に液剤へと転換されることを意図された固形の製剤も含まれる。経皮投与の場合には、前記担体には、浸透促進剤及び/又は適切な湿潤剤が任意に含有され、皮膚に重大な害を及ぼすことのない何らかの性質の適切な添加剤が微量に混合されている。
本発明の培養皮膚物質が一般には大きな分子であるために、本発明のスキンケア組成物は、前記培養皮膚物質が角質層を通過するのを助ける、「透過促進剤」とも呼ばれる「浸透促進剤」も含有している。浸透促進剤は、皮膚がそのバリア機能を発揮する能力を減退させる物質である。多くの物質は、何らかの補助なしには、治療上有意な速度及び量で皮膚内に拡散しない。浸透促進剤は、皮膚の透過性を高めることにより、物質をより速く、より高濃度に皮膚内に浸透させる。ある物質に固有の浸透経路は、皮膚の状態と、浸透の促進を必要としている前記物質の物理化学的特性とによって異なることに留意すべきである。
ヒトの皮膚の浸透性は、人により、また体の部位により異なる。浸透性には個人差がある。ある対象の年齢は、物質の皮膚への浸透性に影響を及ぼす。新生児及び老人の皮膚は、他の年齢群の皮膚よりも浸透性が高い。理論に拘束されることを望むわけではないが、人種も皮膚の浸透性を左右する一因であり、例えば、白色人種の皮膚は、アフリカ系アメリカ人の皮膚よりも浸透性が高い。浸透性は、体の部位によっても異なる。最も浸透性の高い部位は、粘膜、陰嚢皮膚及び眼瞼である。浸透性が中程度である部位には、顔、頭、胸、背中、尻、腹、上腕部及び脚が含まれる。最も浸透性の低い部位は、手掌、足底及び爪である。浸透性は、皮膚の状態によっても異なる。水分を含んだ皮膚は、乾燥した皮膚よりも浸透性が高い。例えば、水は浸透促進剤である。角質層の含水性を高めることで、皮膚のバリア機能が弱まり、皮膚の透過性が高まる。閉塞作用のある物質は、正常な経表皮の水分蒸発を妨げ、皮膚の含水性を高める。閉塞性の物質を用いることで、天然の皮膚の水和作用が天然の浸透促進作用となる。損傷した又は炎症を起こした皮膚では、物質はより容易に角質層を通過するので、透過性が高まる。暖かい皮膚は透過性が高い。日焼けした皮膚は、最初は透過性が低いが、剥離が起こると透過性が高くなる。熱傷を起こした皮膚は透過性が高い。湿疹を起こした皮膚部分は、高い浸透性を示す。乾癬を起こした皮膚は、厚くなり、浸透性が低くなる。ケミカルピールは、角質層を除去するので、皮膚の浸透性を高くする。浸透促進剤の有効性が皮膚の種類と皮膚の状態とによって異なるだけではなく、浸透経路も、浸透促進剤と、浸透性の促進を必要とする物質とによって異なるであろう。
物質が皮膚の損傷を受けていない角質層を透過して体循環へと到達する主な経路には、幾つかの種類がある。直接的な経路は、細胞透過経路として知られており、物質が、角質層を構成する死んだケラチン合成細胞のリン脂質膜と細胞質との双方を直接に通過することで、皮膚を透過する。これは、最も近距離の経路ではあるが、薬剤が各細胞の親油性の膜を透過し、次にケラチンを含有する疎水性の細胞含有物を透過し、次に前記細胞の前記リン脂質二重層を再び透過しなければならないことから、物質が透過に対する大きな抵抗に遭遇するおそれがある。角質層を構成する数多くの細胞を通過しなければならないということは、この抵抗の可能性が高い場合があることを意味する。浸透促進剤の中には、皮膚から脂質を除去することにより、皮膚のバリア機能を一時的に破壊させるものがある。別の化学物質は、角質層の形成を妨げるか、又はその分解を促進するなどのより複雑な方法で皮膚のバリア機能を弱めることにより、浸透性を高めうる。
皮膚を透過する別の経路は、細胞間を通過するものであり、この経路で皮膚を通過する物質は、皮膚細胞間の狭い間隙を通過しなければならないので、経路がより蛇行したものとなる。角質層の厚さは僅か20μm程度であるが、皮膚を透過する殆どの分子の実際の透過経路は、およそ400μmである。透過分子の実際の経路が20倍となることから、浸透性は大幅に低下する。
更に別の透過経路は、毛嚢を経由する経路である。毛嚢は、角質を貫通して真皮に至っているので、真皮基質内の細胞へのより直接的な到達を可能にする。毛嚢浸透促進剤は、毛穴へと集中して皮膚を通過することで、物質を角質下の皮膚細胞へと到達させることによる毛嚢送達を目的とする。この毛嚢経路は、皮膚に毛嚢が存在することを前提とする。
浸透促進剤が、「毛嚢浸透促進剤」、「化学的浸透促進剤」及び「能動的浸透促進剤」などの複数のカテゴリーに分類されてもよい。
毛嚢浸透促進剤の例には、ホスホリパーゼA2及びホスファチジルコリン依存性のホスホリパーゼCが含まれる。
化学的浸透促進剤の例には、エタノール、メタノール及びイソプロパノールなどのアルコール類、クロロホルム、メントール、テルペン類、アセトン、洗剤、塩基類、プロピレングリコール、ピリオリドン(原語pyrriolidone)類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルキルスルホキシド、ホスフィンオキシド、界面活性剤、アゾンなどのカプロラクタム類、アミン類及びアミド類、アルキルN,N−分散アミノアセテート類、デシルメチルスルホキシド、ピロリドン類、ピロチオデカン(HPE−101)、ベンジルアルコニウム、塩化ベンジルアルコニウムポリマー類、シリコーンベースのポリマー類、脂肪酸類、環状尿素類、テルペン類及びシクロデキストリン類並びに、サリチル酸尿素などのケラチン分解物質が含まれる。好適なシリコーンベースの浸透促進剤には、シクロメチコン及びジメチコンポリオール(PEG/PPG−18/18、ジメチコン社)が含まれる。
能動的浸透促進剤の例には、リポソーム、フラーレン及び、Waughによる米国特許出願第20040220100号に記載のリン脂質などのリン脂質が含まれる。
本発明のスキンケア剤の浸透を促進するために更に使用可能な物理的技術には、イオン浸透療法、超音波、電気穿孔法、テープストリッピング法、遺伝子銃又はその他の推進装置を用いた方法、穿孔式ツベルクリンテストなどに用いられる穿孔法、皮膚の外表面に貫入する顕微針又は皮膚の外層を除去する研磨法などが含まれる。
好適な化学的浸透促進剤は、シリコーンベースのポリマーである。本発明で使用する好適なシリコーンベースのポリマーは、シクロメチコンとジメチコンコポリオール(PEG/PPG−18/18、ジメチコン社)とからなる群から選択される。その他のシリコーンベースのポリマーを特定し、培養皮膚物質と共に製剤に組み入れて、前記培養皮膚物質が個体の皮膚内に浸透するのを補助してもよい。理論に拘束されることを望むわけではないが、シリコーンを利用した浸透は、前記シリコーンベースのポリマーが欠如した状態におけるよりも皮膚が潤っているように、前記シリコーンベースのポリマーが皮膚上に保湿バリアを形成するという機序で作用する。上述のように、水分を含んだ皮膚は乾燥した皮膚よりも浸透性が高く、また角質層の含水性を高めることによって皮膚のバリア機能が弱まるので、皮膚の浸透性を高めることで、培養皮膚物質が皮膚層内へと透過することが可能となる。
前記培養皮膚物質製剤を直接に局所塗布することに加えて、本発明の組成物を、例えば温度及び/又は圧力感受性の基質或いは体液に溶解可能な薄膜形の又は固形の担体などに封入して、後に前記活性成分を好適には持続的に放出させるなどの別の方法で、局所投与してもよい。
局所塗布に適した組成物として、局所投与治療に通常用いられる、クリーム剤、ゼリー剤、包帯、シャンプー、チンキ剤、ペースト剤、軟膏、膏薬、粉末剤、乳剤、液状の又は半液状の調合物などの全ての組成物が挙げられる。前記組成物を、空気、窒素、二酸化炭素、フロンなどの推進剤を用いたエアロゾルによって、或いは推進剤を用いないポンプスプレー、アトマイザ、滴下、ローション剤又はスワブ塗布可能なゲル化組成物などの半固体によって塗布してもよい。特に、膏薬、クリーム剤、ペースト剤、ゼリー剤、軟膏などの半固体の組成物が、使用に便利であろう。
本発明の培養皮膚物質は、上述のように、皮膚を若々しい外観に保つなどのスキンケア用と考えられる数多くの用途に使用可能である。そのような外観を保つための一方法に、皮膚細胞内の細胞の老化を停止又は逆行させることがある。多くの研究によって、正常な二倍体細胞には、インビトロでの継代培養の間に、多くの細胞レベルの、生理学的な、生化学的な及び分子レベルの変化が起こることが示されている。これらの変化の殆どは、漸進的及び蓄積性であり、不可逆性の増殖停止につながり、最終的には細胞死に至る。これらの変化は、インビトロでは細胞の老化を表すものと考えられてきた。即ち、インビボ及びインビトロでの老化は、細胞死に至る修復不全であると要約できる。これらの事象は、インビボでも同様に起こり、皮膚上で視覚的に確認される。多くの研究者らが、老化を停止又は逆行させて、患者の組織内の若く健康な合成細胞及び増殖細胞を維持することを目指している。本発明の培養皮膚物質を用いて皮膚細胞を治療することで、細胞が細胞外基質成分を合成し、この結果、細胞を包囲しこれを支持している細胞外基質が維持及び修復される。細胞外基質の維持及び修復の結果、小皺及び大皺の出現を含めた老化の兆候が停止及び逆転する。
当業で公知の皮膚に局所使用される、特に低アレルギー性でありpH調整されていることが望ましいスキンケア組成物には、化粧水、パック、ローション、スキンミルク又は乳液が含まれる。これらの調合物には、前記培養皮膚物質以外に、これらのような調合物中に通常用いられる、培養されたサイトカインの担体として機能する成分が含有される。そのような担体成分の例には、油、脂肪、ワックス、界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、抗酸化剤、粘性安定化剤、キレート剤、緩衝剤、防腐剤、香料、染料、低級アルカノール類などが含まれる。所望の場合には、例えば抗炎症剤、抗細菌剤、抗真菌剤、殺菌剤、ビタミン類、日焼け止め剤、抗生物質、皮膚漂白剤、治癒促進/線維芽細胞増殖化合物、神経筋遮断剤、日焼け止め剤又はその他の抗座瘡剤などの更なる成分が、前記組成物中に組み込まれてもよい。
担体物質としての油の例には、オリーブ油及び硬化油などの油脂類、蜜蝋及びラノリンなどのワックス類、流動パラフィン、セレシン及びスクアレンなどの炭化水素類、ステアリン酸及びオレフィン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール及びヘキサデカノールなどのアルコール類並びに、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル及びステアリン酸ブチルなどのエステル類が含まれる。担体物質としての界面活性剤の例に、ステアリン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、N−アシルグルタミン酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム及び塩化ステアリルトリメチルベンジルアンモニウムなどのカチオン界面活性剤、塩酸アルキルアミノエチルグリシン溶液及びレシチンなどの両性界面活性剤並びに、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、スクロース脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンココナッツ脂肪酸モノエタノールアルニド、(商標名「Pluronic」(登録商標)で販売されているものなどの)ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。担体としての湿潤剤の例には、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールが含まれる。低級アルコールの例には、エタノール及びイソプロパノールが含まれる。増粘剤の例には、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。抗酸化剤の例には、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸、エトキシキン、アルファリポ酸、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ−10及びイデベノンが含まれる。植物性の抗酸化剤の例には、リコピンなどのカロチノイド類、シリマリン(オオアザミ)、シリビン、シリジアニン、シリクリスチンなどのフラボノイド類、大豆(イソフラビン)、ぶどう種子抽出物、緑茶抽出物、ロズマリン酸(ローズマリー)、ヒペルシン(西洋オトギリ草)、オレウロペイン(オリーブ葉)、クルクミン(ウコン)、テトラヒドロクルクミン及びピクノジェノール(フランス海岸松)などのポリフェノール類が含まれる。抗炎症剤の例には、アラントイン、アロエベラ、イチョウ、緑茶(抗酸化剤としても認められる)などの抗炎症植物が含まれる。皮膚漂白剤の例には、ヒドロキノン又はコウジ酸が含まれる。治癒促進/線維芽細胞増殖化合物の例には、銅ペプチド又はパルミトイルペンタペプチド(pal−KTTKS)が含まれる。神経筋遮断剤の例には、アセチルヘキサペプチド3(アルジルリン)又はジメチルアミノエタノールが含まれる。キレート剤の例には、エデト酸二ナトリウム及びエタンヒドロキシ二リン酸が含まれる。担体としての緩衝剤の例には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、硼酸、硼砂、リン酸水素二ナトリウムが含まれる。防腐剤の例には、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロ酢酸、サリチル酸、安息香酸が含まれる。
軟膏、クリーム、化粧水、乳液などを作製するために、例えば前記培養サイトカインなどの活性成分の、典型的には約0.01乃至約90%、詳細には約0.1乃至約20%、より詳細には約0.2乃至約25%が前記組成物中に組み込まれる。軟膏又はクリームの場合には、前記担体が、例えば1乃至20%、詳細には5乃至15%の湿潤剤と、0.1乃至10%、詳細には0.5乃至5%の増粘剤と水、或いは70乃至99%、詳細には20乃至95%の界面活性剤と、0乃至20%、詳細には2.5乃至15%の脂肪、或いは80乃至99.9%、詳細には90乃至99%の増粘剤、或いは5乃至15%の界面活性剤と、2乃至15%の湿潤剤と、0乃至80%の油と、非常に僅かな(2%未満)量の防腐剤、着色料及び/又は香料と、水とから構成されている。化粧水の場合には、前記担体が、例えば2乃至10%の低級アルコール、0.1乃至10%、詳細には0.5乃至1%の界面活性剤、1乃至20%、詳細には3乃至7%の湿潤剤、0乃至5%の緩衝剤、水、非常に僅かな(2%未満)防腐剤、染料及び/又は香料から構成されている。乳液の場合には、前記担体は、典型的には10−50%の油、1乃至10%の界面活性剤、50乃至80%の水、0乃至3%の防腐剤及び/又は香料から構成されている。これらの製剤において、%記号は全て、重量パーセントを表す。
本発明の方法で用いられる各組成物は、培養皮膚物質が、前記培養皮膚物質の機能的担体物質であるリポソーム含有組成物中に調合された組成物である。リポソームは、例えばホスファチジルコリン、エタノールアミン及びセリン、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、プラズマローゲン、ホスファチジン酸及びセレビオシド(原語cerebioside)などの極性脂質などの両親媒性の分子によって形成された人工の小胞である。リポソームは、適切な両親媒性の分子を水又は水溶液中で膨張させて、水性の物質によって互いに隔てられ、多くの二重層からなる、通常は多層構造を有する液晶を形成させた時に形成される。水性物質を内包した単一の二重層からなることが知られている別の種類のリポソームは、一枚膜小胞と呼ばれる。前記脂質が膨張している間に前記水性相中に水溶性物質が含有されていると、前記物質は、前記脂質二重層間の前記水性層内に封入される。
例えば様々な塩の形をとった培養皮膚物質などの水溶性の活性成分は、前記分子層間の前記水性の間隙内に封入されている。生体ミメティックなどの培養サイトカインの脂質可溶性の活性成分は、殆どが前記脂質層内に包含されているが、そのうち極性の頭部を持つ基のみが前記層から前記水性の間隙内へと突出している。これらの化合物のこのような封入は、多くの方法で達成される。最もよく用いられる方法では、リン脂質の薄膜を、有機溶媒からの気化によってフラスコの壁にキャスティング成形する。この薄膜が適切な水溶媒中に分散されると、多重層膜リポソームが形成される。適切な音波破砕によって、きめの粗いこれらのリポソームが、より小さく均一な小胞となる。
水溶性の活性成分は、通常、前記キャスティング成形された薄膜を前記化合物の水溶液中に分散させることで包含される。次に、包含されなかった前記化合物が、遠心分離、クロマトグラフィー、透析又はその他の当業で公知の適切な方法によって除去される。前記脂質可溶性の活性成分は、通常、前記薄膜のキャスティング成形に先立ち、前記成分を前記リン脂質と共に前記有機溶媒中に溶解させることで包含される。前記物質の前記脂質相中への可溶性が限界に達していないか、又は存在する量が前記脂質に結合可能な量を超えていない場合には、上述の方法で作製されたリポソームは通常、前記脂質二重層内に結合した前記物質の殆どを含有しているので、包含されなかった物質から前記リポソームを分離する必要はない。
培養皮膚物質を含有するリポソーム治療製剤を作製するための特に簡便な方法は、本願中に引用をもって援用された、EP−A−253,169号に記載の方法である。この方法では、前記脂質成分を有機培地中に溶解させ、この脂質成分の有機溶解物を圧力下で水性成分内に注入すると同時に、前記有機成分と前記水性成分とを高速ホモジナイザ又は混合手段を用いて混合させ、この結果前記リポソームを自発的に形成させることにより、培養皮膚物質が封入された単一二重層リポソームが作製される。
前記培養皮膚物質が封入された前記単一二重層リポソームを、直接に用いてもよいし、又はこれらを局所投与用の適切な薬学上許容可能な担体中に用いてもよい。前記リポソームの粘度を、例えばキサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びこれらの混合物などの1つ又は複数の適切な増粘剤を添加することで増加させてもよい。前記水性成分が、水のみからなっていてもよいし、又は電解質、緩衝系及びその他の、例えば防腐剤などの成分を含有していてもよい。使用可能な好適な電解質には、アルカリ金属塩類及びアルカリ土類金属塩類などの金属塩類が含まれる。好適な金属塩類は、塩化カルシウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムである。前記電解質の濃度は、0乃至260mMであってもよく、好適には5mM乃至160mMである。前記水性成分を、前記有機成分を注入している間に大きな乱流を起こさせることによって均質化を図るのに使用可能な適切な容器に入れる。これら2つの成分の均質化を、前記容器内で行ってもよいし、又は前記水性成分と前記有機成分とを、前記容器の外部に配置された混合手段に別々に注入してもよい。後者の場合には、リポソームは前記混合手段内で形成され、その後回収のために別の容器へと移される。
前記有機担体成分は、例えばエタノール、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどの適切な非毒性の薬学上許容可能な溶媒と、前記溶媒に溶解可能な適切なリン脂質とからなる。使用可能な適切なリン脂質類の例には、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルコリン及びホスファチジルグリセロールなどが含まれる。その他の親油性の添加剤を、前記リポソームの特性を選択的に変化させるために用いてもよい。そのようなその他の添加剤の例には、ステアリルアミン、ホスファチジン酸、トコフェロール、コレステロール及びラノリン抽出物が含まれる。
加えて、前記リン酸類の酸化を防止することの可能なその他の成分を、前記有機成分に添加してもよい。そのようなその他の成分の例には、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸パルミチン酸エステル及びアスコルビン酸オレイン酸エステルが含まれる。安息香酸、メチルパラベン及びプロピルパラベンなどの防腐剤も添加してもよい。
上述の組成物に加えて、適切な量の培養皮膚組成物を含有した本発明の組成物を含有した、例えば絆創膏、包帯、外傷用医薬材料、ガーゼパッドなどの被覆物を用いてもよい。幾つかの場合においては、前記治療用製剤を含有した局所用製剤に含浸された、絆創膏、包帯、外傷用材料、ガーゼパッドなどを使用してもよい。外傷の閉合を補助する外科用接着剤などの組織接合剤に、培養皮膚物質が含有されていてもよい。組織接合剤の好適な一例は、細胞との生物学的親和性を利点とするフィブリングルーである。これらの接合剤は、前記培養皮膚物質組成物の添加及び混合に適した液状である。本発明の培養皮膚物質を前記接合剤に添加して、この組成物を外傷の閉合を補助するために前記外傷に塗布すると、前記接合剤を塗布した範囲内の細胞ごとに、サイトカインが外傷の治癒を促進する。
培養皮膚物質組成物を用いて皮膚を治療するための好適な一方法においては、前記培養皮膚物質組成物は、化学的浸透促進剤の一例である、例えばシリコーンなどの浸透促進剤を含有する担体と混合されて、スキンケア組成物を形成する。前記スキンケア組成物は、皺が出現している皮膚部分に局所塗布されて、皺の出現を抑制するように前記皮膚を治療する。局所塗布は、少なくとも一日1回、好適には一日2回、繰り返し行うことが望ましい。本発明の前記組成物は、局所塗布すると、皮膚内に存在する線維芽細胞にエラスチンをデノボ合成させて、皮膚の新生コラーゲン層内のコラーゲンを、組織学上実証されるように増加させる。皺の出現の抑制は、写真によって実証される。従って、本発明の一方法は、皺が出現している皮膚部分に前記組成物を塗布して、前記組成物がエラスチンのデノボ合成を誘発し、前記部分の新生コラーゲン層内の皮膚細胞ごとにコラーゲンを増加させることによって、皮膚の皺の出現を抑制する方法である。
培養皮膚物質組成物で皮膚を治療するための別の好適な一方法においては、前記皮膚は、最初にリサーフェシング治療を受ける。全てのスキンリサーフェシング治療は、基本的に同じように作用する。最初に、損傷した皮膚の表面の層を剥がす。次に、治癒過程の間に、新たな細胞が増殖してリサーフェシングされた箇所内へと拡散するので、より滑らかで、引き締まり、若々しい外観の皮膚表面が生じる。治癒過程の間に、馴化培地に由来する培養皮膚物質組成物が前記治療箇所へと塗布されて、皮膚の治癒及び色素再沈着が促進及び加速される。表層部のみの又は中程度のリサーフェシングの場合には、除去する皮膚組織の層を、表皮及び真皮乳頭に限定してもよい。より深いリサーフェシングの場合には、網状真皮の上層部も除去してもよい。リサーフェシングの深さを変化させることで、特定のしみや皺を治療することが可能である。
「レーザーピール」とも呼ばれるレーザーリサーフェシングでは、二酸化炭素(CO)レーザーを用いて、損傷した又は皺の寄った皮膚部分を、層ごとに除去する。レーザーリサーフェシングは、損傷した皮膚の上層部を、レーザーエネルギー光線を用いて、特定の制御された深度レベルまで蒸発させる。この方法は、特に口及び目の周りの小皺の出現を最小限にするために、最も広く用いられているが、顔面の瘢痕又は不均一に色素沈着した部分の治療にも有効である。レーザーリサーフェシングを、顔面全体に施してもよいし、又は特定の部分に施してもよい。多くの場合、この方法は、フェイスリフト又は瞼の外科手術などの別の美容術と組み合わせて行われる。
「皮膚剥離法」及び「皮膚プレーニング法」は、皮膚の上層部の補修を補助する、外科的切削方法である。これらの治療法では、表面の凹凸のはっきりした縁を緩やかにして、皮膚の外観をより滑らかにする。皮膚剥離法は、事故又は以前に受けた外科手術のために瘢痕が残った顔面の皮膚の外観を改善するため、又は例えば口の周りなどの顔面の小皺を伸ばすために最も多く用いられるが、角化症と呼ばれる前癌性の増殖を除去するためにも時々用いられる。皮膚剥離法では、外科医が皮膚の最上層を粗いワイヤブラシ又はモータ付きの取っ手に取り付けられたダイヤモンドバーで削り取る。切削は、瘢痕又は皺が目立ちにくくなる最も安全なレベルに外科医が到達するまで続けられる。皮膚プレーニング法は、深い座瘡痕を治療するために広く用いられている。皮膚プレーニング法では、外科医はデルマトームと呼ばれるハンドヘルド型の器具を用いる。電気かみそりに似たこのデルマトームは、クレーター又はその他の顔面の瑕疵を取り囲む皮膚の表層を平らに削り取る、前後に振動する刃を有する。切削は、座瘡痕又は皺の最も深い点が周囲の皮膚とより近い高さになるまで続けられる。皮膚剥離法と皮膚プレーニング法とは、双方ともに、皮膚の小さな部分に対して施されてもよいし、又は顔面全体に施されてもよい。これらの方法を、単独で用いてもよいし、フェイスリフト、瘢痕の除去又は修正、ケミカルピール法などの他の方法と組み合わせて用いてもよい。
ケミカルピール法では、化学溶液を用いて、顔面の皮膚の質感を、その損傷した上層部を除去することによって改善し滑らかにする。フェノール、トリクロロ酢酸(TCA)及びアルファヒドロキシ酸(AHA)類が、この目的で用いられる。ケミカルピールをフェイスリフトと組み合わせて行ってもよいが、ケミカルピールはフェイスリフトに代わるものではなく、また老化プロセスを予防したり遅延させたりするものでもない。グリコール酸、乳酸又はフルーツ酸などのアルファヒドロキシ酸(AHA)類は、ピーリング剤の中でも最も緩やかであり、軽度の剥離を起こさせる。AHAピーリング剤を、小皺、乾燥した部分、不均一な色素沈着及び座瘡の治療に用いてもよい。最良の結果を得るために、様々な濃度のAHAを、週に一度、又はより長い間隔で塗布してもよい。グリコール酸などのアルファヒドロキシ酸を、より低濃度で洗顔料又はクリームと混合して、サイトカインを毎日のスキンケアの一部として組み込むことにより、皮膚の質感を向上させてもよい。トリクロロ酢酸(TCA)は、様々な濃度で用いてもよいが、最も一般的には中程度の深さのピーリングに用いられる。顔面の小皺、表皮汚点及び色素沈着異常は、一般に1回又は複数回のTCA治療によって治療される。フェノールは、化学溶液の中でも最も強く、深い剥離を起こさせ、場合によっては治療対象の部分の色を薄くし、皮膚の色素沈着に速やかに影響を及ぼす。フェノールは主に、顔面に大皺が現れたり、日焼けにより皮膚にしみや損傷が生じたり、前癌性の細胞増殖が認められる患者の治療に用いられる。
スキンリサーフェシング施術後の皮膚は、かなり赤く腫れ、多少の刺痛、熱感又は疼痛を伴う。これらの痛みを薬剤で制御してもよい。腫れは数日間から1週間で収まり、治療を受けた部分が治癒し始めるのに伴って、痂皮又はかさぶたが形成される。これは、張りのあるピンク色の新たな皮膚がその下に形成されるのに伴って剥落する。施術が終わった時に、前記培養皮膚物質組成物を含有する保護クリーム又は軟膏を治癒が完了するまで塗布することを外科医が選択してもよい。軟膏を手術直後に塗布すると、かさぶたは殆ど又は全く形成されない。治療を受けた部分に、治癒途上の皮膚を最初の5乃至10日間被覆及び保護する包帯を巻くことを外科医が選択してもよい。前記培養皮膚物質組成物を含有する、前記リサーフェシング部分に塗布される軟膏は、若い皮膚細胞の増殖を補助する増殖因子を供給して、治癒を早め、美容上の効果を高めることによって、患者に利益をもたらす。
以下の実施例は、本発明の実施をより分かりやすく説明することを目的としており、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものと理解されるべきではない。ここに記載の方法に、本発明の精神と範囲とから逸脱することなく数多くの変更を加えてもよいことが、当業者に理解されよう。
実施例
実施例1:二重層皮膚構成体の培養による馴化培地の作製
ヒトの新生児の包皮線維芽細胞(マサチューセッツ州カントンのOrganogenesis社から入手)を、5×10細胞個/162cmで組織培養処理されたフラスコ(マサチューセッツ州ケンブリッジのCoster社、カタログ番号3150)に播種し、増殖培地にて増殖させた。前記増殖培地は、新生子ウシの血清(NBCS)(ユタ州ローガンのHyClone Laboratories社)を10%及びL−グルタミン(メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社)を4mM添加したDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)(メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社、L−グルタミンを含有しない高グルコース製剤)から構成された。前記細胞を、37±1℃、COを10±1%含有する空気中で、インキュベータ内で維持した。前記培地を、2乃至3日毎に、新たに作成した培地と交換した。8日間の培養後、前記細胞は、コンフレントな状態となるまで、即ち前記組織培養フラスコの底部に沿って密集した単一層を形成するまで増殖した。前記培地を前記培養フラスコから吸引した。前記単一層を洗滌するために、滅菌ろ過されたリン酸緩衝生理食塩水を、各培養フラスコの底部に加え、次に前記フラスコから吸引した。5mLのトリプシン−ベルセン(原語versene)グルタミン((メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社)を各フラスコに加えて静かに揺らし、前記単一層を完全に被覆させることで、細胞をフラスコから剥離させた。培養物をインキュベータに戻した。細胞が剥離した直後に、5mLのSBTI(大豆トリプシンインヒビター)を各フラスコに加え、懸濁液と混合させて、トリプシン−ベルセンの作用を停止させた。前記細胞懸濁液をフラスコから取り出し、複数の円錐形の滅菌遠心分離管に均等に分配した。細胞を、約800乃至1000×gで5分間遠心分離することで回収した。
図1に示したのと同様の装置を用いて、以下に記載の作業を実施した。カバーを、作業実施時には取り除いたが、それ以外の時には、無菌を維持するため所定の位置に保持した。前記装置に関する情報を列挙すると、外容器10は直径38mm、容積35mlであり、内容器20は直径24mm、容積4mlである。透過性の膜24は、孔の大きさが約3μm(ミクロン)及び厚さが5μm(ミクロン)のポリカーボネート膜である。
前記透過性の膜24上に、無細胞の水和コラーゲンゲル25を以下のように形成した。10倍Minimum Essential Medium(MEM)を16.2ml、200mMのL−グルタミンを1.6ml、50mg/mlのゲンタマイシンを0.2ml、ウシ胎児の血清を18.0ml、71.2mg/mlの重炭酸ナトリウムを5.0mlからなる「予混合」溶液を作製した。この原液を、上述の順序で無菌混合し、50mlの滅菌試験管内に、4℃で約30分間保管した。0.05%のv/v酢酸に溶解させた1mg/mlコラーゲン溶液(子ウシの総指伸筋腱から酸を用いて抽出)約27.8gを計量して50ml試験管に入れ、4℃で約30分間保管した。上述の予混合溶液8.2mlとDMEM完全培地(10%FBS、L−グルタミン4mM及び50μg/mlのゲンタマイシンを含有)を加え、1mlのアリコートを内容器20の膜上に分注し、室温でゲル化させた。
細胞を含有する水和コラーゲンゲルである前記真皮層を、以下のようにヒトの真皮線維芽細胞で成形し、ヒトの表皮(真皮)細胞を播種した。Bellによる米国特許第4,485,096号、Kempによる米国特許第5,536,656号及びParenteauによる米国特許第5,712,163号にも、一般的な手順及び試薬についての記載がなされている。前記真皮層を作製するための成形混合物は、上述の予混合溶液約8.2mlに、上述の0.05%のv/v酢酸に溶解させた1mg/mlコラーゲン溶液27.8gと、濃度2.5×10細胞個/mlのヒト真皮線維芽細胞4mlとを加えたものを含有した。約3mlのアリコートを、容器20内の、上記のように作製された無細胞水和コラーゲンゲル25上に分注し、ゲル化させた。Dulbecco’s Minimum Essential Medium(DMEM)完全培地約4.5mlを外容器20に加えた後に、36℃、二酸化炭素10%で4乃至8日間インキュベートし、細胞にコラーゲンを収縮させ、真皮層52として機能する収縮コラーゲン格子を形成させた。
以下の培地を、真皮層52の表面に表皮細胞を付与する、表皮化と呼ばれるプロセスのために作製した。表皮細胞の単一層培養物を培養し、上述の真皮線維芽細胞と同様の方法で採取した。Calcium Free DMEMとHam’s F−12とを体積比3:1で混合した基礎混合物からなる前記表皮化培地調合物に、以下の成分:ヒドロコルチゾン1.1mM、インスリン5μg/ml、トランスフェリン5μg/ml、トリヨードサイロニン(T3)20pM、エタノールアミン1×10−4M、o−ホスホリルエタノールアミン1×10−4M、アデニン0.18mM、プロゲステロン2×10−9M、セレン5.26×10−8M、0.3%の新生子ウシ血清及び表皮増殖因子(EGF)10ng/mlを加えた。
前記組織等価物の成形後6日目に、表皮化が開始した。上述の表皮構成体が浸漬している前記培地を、内容器20と外容器10との双方から除去した。ヒト表皮細胞の懸濁液50μl(約3.33×10細胞個/ml)を前記表皮構成体上に注いだ。次にこの容器を36℃、二酸化炭素10%で4時間インキュベートした後、表皮化培地12.0mlを外箱に、4mlをウェルに加えた。次に、これらの培養物を同じインキュベータ内に戻した。
表皮化後2日目に、前記表皮化培地調合物中にカルシウムを加えることで、表皮層の分化が起こった。この馴化表皮化培地を培養ディッシュから除去し、分化培地と交換した。Calcium Free DMEMとHam’s F−12とを体積比3:1で混合した基礎混合物からなる分化培地に、以下の成分::ヒドロコルチゾン1.1mM、インスリン5μg/ml、トランスフェリン5μg/ml、トリヨードサイロニン(T3)20pM、エタノールアミン1×10−4M、o−ホスホリルエタノールアミン1×10−4M、アデニン0.18mM、プロゲステロン2×10−9M、セレン5.26×10−8M、0.3%の新生子ウシ血清、表皮増殖因子(EGF)10ng/ml及び塩化カルシウム1.8mMを加えた。次に、この培養物を同じインキュベータ内に戻した。
表皮化後5日目に、この培養された皮膚構成体の形成中の表皮層の表面を、エアリフト方式により気液界面に配置した。即ち、表皮表面を空気と接触させた。前記馴化された分化培地を、ディッシュの内箱と外箱との双方から除去し、内容器を除去し、綿パッドを外箱10の底部の内側に配置し、角質化培地を下箱に加えて前記パッドを洗滌した。洗滌した綿パッド上に、内容器20を、前記容器と前記パッドとの間に気泡が入らないように注意深く置いた。Calcium Free DMEMとHam’s F−12とを体積比1:1で混合した基礎混合物からなる角質化培地に、以下の成分::ヒドロコルチゾン1.1mM、インスリン5μg/ml、トランスフェリン5μg/ml、トリヨードサイロニン(T3)20pM、エタノールアミン1×10−4M、o−ホスホリルエタノールアミン1×10−4M、アデニン0.18mM、セレン5.26×10−8M、2.0%の新生子ウシ血清及びアスコルビン酸ナトリウム2mMを加えた。この培養皮膚構成体をインキュベータ内に戻し、35.5℃、二酸化炭素10%で培養した。
4日ごとにこの馴化培地を除去し、新鮮な維持培地にカルシウムを添加したものと交換した。Calcium Free DMEMとHam’s F−12とを体積比1:1で混合した基礎混合物からなる角質化培地に、以下の成分::ヒドロコルチゾン1.1mM、インスリン5μg/ml、トランスフェリン5μg/ml、トリヨードサイロニン(T3)20pM、エタノールアミン1×10−4M、o−ホスホリルエタノールアミン1×10−4M、アデニン0.18mM、セレン5.26×10−8M、1.0%の新生子ウシ血清を加えた。この時点で、良好に層状化し、正常な天然の皮膚の形態学的及び生化学的特質の多くを備えた表皮層28が、真皮層52の表面上に形成されていた。
培養皮膚構成体を作製する過程で回収された、馴化された表皮化、分化、角質化及び維持培地を、細胞増殖アッセイ、細胞遊走アッセイ及びELIZAアッセイにてテストした。
実施例2:内生コラーゲン基質から形成された皮膚構成体のヒト新生児包皮線維芽細胞によるインビトロ作製
馴化培地を、その開示が本願中に援用された、MurphyによるPCT国際特許出願公開No.WO00/29553に記載の真皮線維芽細胞によって内生的に生成された基質を有する二重層皮膚構成体を用いて作製した。
ヒト新生児の包皮線維芽細胞を培養し、数を増やし、その基材から剥離させ、計数し、濃縮し、濃度3×10細胞個/mlとなるまで再懸濁させ、6ウェルトレイに入れた孔径0.4ミクロン、直径24ミリの組織培養処理済みの膜インサート上に、密度3.0×10細胞個/TW(6.6×10細胞個/cm)で播種した。次に、これらの細胞を、2乃至3日ごとに新鮮な培地との交換を行いながら25日間保持した。より詳細には、前記培地は、DMEMとHams F−12培地との3:1基礎混合物(メリーランド州ゲーサーズバーグのQuality Biologies社)及びGlutaMAX(ニューヨーク州グランドアイランドのGibco BRL社)4mMに、添加剤として、ヒト組換え表皮増殖因子(ニューヨーク州レークプラシッドのUpstate Biotechnology社)5ng/ml、ヒドロコルチゾン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)0.4μg/ml、エタノールアミン(ニューヨーク州ロンコンコマのFluka社、カタログ番号02400 ACSグレード)1×10−4M、o−ホスホリル−エタノールアミン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)1×10−4M、インスリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5μg/ml、トランスフェリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5μg/ml、トリヨードサイロニン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)20ρM、セレン(ワイオミング州ミルウォーキーのSigma Aldrich Fine Chemicals社)6.78ng/ml、L−アスコルビン酸(WAKO Chemicals USA社)50ng/ml、L−プロリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)0.2μg/ml、グリシン0.1μg/ml(ミズーリ州セントルイスのSigma社)及びポリエチレングリコール(PEG)(ミズーリ州セントルイスのSigma社)0.05%を含有した。
上述のように形成された25日目の真皮構成体を用いて、正常なヒト新生児包皮の表皮ケラチン合成細胞を、前記細胞基質構成体の表面上に播種し、前記皮膚構成体の表皮層を形成した。前記培地を前記培養インサート及びその周囲から無菌除去した。冷凍された継代培養細胞株から継代数4でコンフレントな状態にまで増殖された、正常なヒト表皮ケラチン合成細胞を使用した。次に、細胞を、培養ディッシュからトリプシン−ベルセンを用いて剥離させ、プールし、遠心分離して細胞ペレットを形成し、表皮化培地中に再懸濁させ、計数し、前記膜上に密度4.5×10細胞個/cmで播種した。次に、これらの構成体を、37±1℃、二酸化炭素10%で90分間インキュベートし、ケラチン合成細胞を付着させた。インキュベーション後に、これらの構成体を表皮化培地中に浸漬させた。前記表皮化培地は、Dulbecco‘s Modified Eagle’s Medium(DMEM)(グルコース及びカルシウム無含有、メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社)と、Ham’s F−12培地(メリーランド州ゲーサーズバーグのQuality Biologies社)を3:1で混合した基礎混合物に、ヒドロコルチゾン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)0.4μg/ml、エタノールアミン(ニューヨーク州ロンコンコマのFluka社)1×10−4M、o−ホスホリル−エタノールアミン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)1×10−4M、インスリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5μg/ml、トランスフェリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5μg/ml、トリヨードサイロニン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)20ρM、セレン(Aldrich社)6.78ng/ml、アデニン(ワイオミング州ミルウォーキーのSigma Aldrich Fine Chemicals社)24.4μg/ml、L−グルタミン(メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社)4mM、L−アスコルビン酸塩(ワイオミング州ミルウォーキーのSigma Aldrich Fine Chemicals社)50ng/ml、リノール酸(ミズーリ州セントルイスのSigma社)16μM、トコフェロール酢酸塩(ミズーリ州セントルイスのSigma社)1μM及びゲンタマイシン硫酸塩(イリノイ州アーリントンハイツのAmersham社)50μg/mlを添加したものから構成された。これらの構成体を、表皮化培地中で、37±1℃、二酸化炭素10±1%にて2日間培養した。
2日後に、前記培地を上述のように構成された新鮮な培地と交換し、37±1℃、二酸化炭素10±1%に設定したインキュベータ内に戻し、2日間培養した。2日後に、前記構成体を含有する担体を、液面が前記担体膜の表面と同じ高さとなるように十分な培地を入れた新たな培養トレイに無菌的に移し、前記形成中の構成体を気液界面に保持した。前記形成中の表皮層の表面に接している空気が、前記表皮層を層状化させた。前記構成体を、培地中で、37±1℃、二酸化炭素10%、低湿度で、培地を2乃至3日ごとに交換しながら7日間インキュベートした。この培地は、Dulbecco‘s Modified Eagle’s Medium(DMEM)(グルコース及びカルシウム無含有、メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社)と、Ham’s F−12培地(メリーランド州ゲーサーズバーグのQuality Biologies社)を1:1で混合した混合物に、ヒドロコルチゾン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)0.4μg/ml、エタノールアミン(ニューヨーク州ロンコンコマのFluka社)5×10−4M、o−ホスホリル−エタノールアミン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5×10−4M、インスリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5μg/ml、トランスフェリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)5μg/ml、トリヨードサイロニン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)20ρM、セレン(ワイオミング州ミルウォーキーのSigma Aldrich Fine Chemicals社)6.78ng/ml、アデニン(ワイオミング州ミルウォーキーのSigma Aldrich Fine Chemicals社)24.4μg/ml、L−グルタミン(メリーランド州ウォーカーズヴィルのBioWhittaker社)4mM、塩化カルシウム(ミルウォーキー州チェスターフィールドのMallineckrodt社)2.65μg/ml、リノール酸(ミズーリ州セントルイスのSigma社)16μM、トコフェロール酢酸塩(ミズーリ州セントルイスのSigma社)1μM、セリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)1.25mM、塩化コリン(ミズーリ州セントルイスのSigma社)0.64mM及びゲンタマイシン硫酸塩(イリノイ州アーリントンハイツのAmersham社)50μg/mlを添加したものから構成された。この培養物を、2乃至3日毎に14日間供給した。
前記真皮構成体に表皮細胞を付着させた後に、前記形成中の皮膚構成体を含有する培養トレイから馴化培地を吸引し、前記細胞生成皮膚物質を、使用時まで凍結させるか、濃縮又は精製処理を行った。
実施例3:培養皮膚物質を含有する組成物の個体への投与
実施例1の馴化培地を含有する局所用クリームが皮膚の老化に対して及ぼす効果を調べるために、試験組成物を、馴化組織培養培地からの培養皮膚物質を含有しない対照組成物と比較する研究に、複数の対象を登録した。これらのボランティアの対象を、異なる2種類のクリーム製剤で局所的に治療した。試験領域を、各前腕部の肘前窩から2センチメートル遠位及び各腕部の肘前窩から2センチメートル近位の4領域に分割した。
各試験領域を、一日に2回ずつ、60日間にわたって治療した。投薬中に、各試験領域に1ミリリットルの各クリームを塗布した。60日の期間終了時に、各対象の各試験部位の写真を撮影した。更に、各試験領域から2mmのパンチ生検材料を採取した。これらの生検材料をトリプシン溶液中で12時間インキュベートし、真皮から表皮を分離させた。分離後の表皮のフローサイトメトリー分析を行い、S期のケラチン合成細胞のパーセンテージを求めた。
試験製剤の細胞分裂率が対照を大きく上回ったこの結果から、馴化組織培養培地からの培養皮膚物質が、表皮細胞の老化サイクルを逆転又は停止させる役割を果たす分裂促進効果を発揮することが示唆される。
前記馴化培地組成物の強い中胚葉効果によって真皮への悪影響が生じるのか否かを調べるために、更にヒドロキシプロリン含有率を分析することで、前記真皮の細胞活性を間接的に測定した。ヒドロキシプロリンアッセイのデータは、対照製剤には真皮への統計学的な効果が見出されなかった一方で、培養皮膚構成体から作製された培養皮膚物質製剤を含有する試験クリームは、ヒドロキシプロリン含有率を増加させることを示した。
実施例4:ケラチン合成細胞のクローン密度培養:コロニーサイズの評価
培養二重層皮膚構成体の培養物からの馴化培地がケラチン合成細胞の移動に及ぼす効果を、本願中にその教示が本願中に引用をもって援用された、全米科学学術会議議事録76:5665−5668(1979)Green H、Kchinde O、Thomas J著「ヒト表皮細胞のグラフティングに適した多層上皮への成長」に教示されている方法を用いて評価した。馴化された維持培地を、エアリフト後(PAL)10乃至12日の間に、培養皮膚構成体から除去した。対照培地は、新鮮なFAD培地と1:1の割合で混合された新鮮な未馴化の維持培地と、新鮮なFAD培地(100%)であった。試験培地は、新鮮なFAD培地と1:1の割合で混合された馴化培地であった。100mm又は60mmのペトリ皿を、I型コラーゲンで被覆した。前記コラーゲン被覆されたディッシュに、フィーダー層として用いられる、1.5乃至5.0×10個のマイトマイシンCで処理された3T3細胞を播種した。前記3T3細胞は、FCSを10%含有し、EGFを含有しないFAD培地中の培養物であった。ケラチン合成細胞を、100mmディッシュ当たり100細胞個または60mmディッシュ当たり50細胞個播種した。2乃至3日ごとに培地を交換し、培養12日目に培養物を固定した。細胞をAcid Fucsin染色にてディッシュ上で見えるようにし、細胞数及びケラチン合成細胞コロニーの面積を測定した。データを、表1及び図2に示す。
Figure 2009519971
これらの結果は、馴化培地がケラチン合成細胞のコロニーの大きさ及び数に大きく影響し、前記馴化培地が、ケラチン合成細胞の移動性を新鮮な対照培地と比較して高める生物活性成分を含有することを示している。
実施例5:ケラチン合成細胞の増殖の測定
培養皮膚構成体からの馴化培地がケラチン合成細胞の増殖に及ぼす効果を調べるために、実施例1に記載の3T3培養システムを使用した。この増殖アッセイを、コラーゲンで被覆された24ウェルプレートで実施した。3T3フィーダー細胞を、FAD培地を入れた前記プレートに播種した。ケラチン合成細胞を、前記フィーダー層に1×10細胞個/ウェルで播種し、2乃至3日毎に培地を交換しながら9日間培養した。試験対象の培地条件は、A.未馴化の維持培地100%
B.未馴化の維持培地100%+10ng/mlのEGF
C.未馴化の維持培地90%/エアリフト後10乃至12日目の培養皮膚構成体からの馴化維持培地10%
D.未馴化の維持培地50%/エアリフト後10乃至12日目の培養皮膚構成体からの馴化維持培地50%
E.エアリフト後10乃至12日目の培養皮膚構成体からの馴化維持培地100%
であった。
増殖アッセイの結果、図3に示すように、条件Eの培地は、条件BのEGFを含有した未馴化の培地よりも高い増殖効果を有した。更に、未馴化の培地と馴化培地とを1:1の割合で混合した条件Dの培地は、未馴化の培地と馴化培地とを9:1の割合で混合した条件Cの培地よりもケラチン合成細胞の増殖効果が高く、一方、条件Cの培地は、条件Aの未馴化の培地100%よりも高い増殖効果を有した。これらの結果は、前記馴化培地が、ケラチン合成細胞の増殖を促進するEGF以外のサイトカインを含有することを示唆している。
実施例6:馴化培地がフィブリン基材上での細胞移動に及ぼす効果
細胞移動アッセイを、本願中に引用を持って援用された、V.Ronfard及びY.BarrandonによるPCT国際特許出願第WO97/25617号に開示されたケラチン合成細胞の移動方法を用いて実施した。この方法に従って、フィブリンゲル基材を各ディッシュの底に作製した。
前記フィブリン基材上で、DMEM50%+ウシ胎児血清10%/試験培地50%に含有させた1×10個のケラチン合成細胞を平板培養した。試験培地は、EGFを含有しない対照培地と、EGFを含有する対照培地と、馴化培地であった。培養物を、37℃で20乃至24時間インキュベートし、固定し、移動細胞の数と、これらの細胞がフィブリンゲル基材内に移動するのに伴って描くらせん回転の数とを計数した。細胞移動データを図4及び5に示す。図4は、粘着細胞の数を、移動しない細胞と、フィブリン基材上をらせん状のパターンを描きながら移動する移動細胞との双方について示している。図5は、前記移動細胞がフィブリン基材上で行ったらせん回転の平均数を示している。馴化培地(ACM)中の細胞が、EGFを含有する新鮮な対照培地中の細胞とほぼ同じ数の回転を行ったことは、細胞を移動させる増殖因子効果が存在することを示し、馴化培地(ACM)にも増殖因子が含有されることを示唆している。
実施例7:他の細胞の細胞増殖
内皮細胞、平滑筋細胞及び真皮線維芽細胞の細胞増殖アッセイを、その教示が本願中に引用をもって援用された、Kratz及びHaegerstrandによる、Conditioned Medium from Cultured Human Kerationocytes Has Growth Stimulatory Properties on Different Human Cell Types. Journal of Investigative Darmatology,97:1039−1043(1991)に記載の方法を用いて実施した。
培養皮膚構成体から作製した馴化培地を用いて培養した内皮細胞は、対照培地で培養された内皮細胞と比較して、より高い増殖能力を発揮した。内皮細胞の増殖に関するデータを、図6に示す。
平滑筋細胞及び真皮線維芽細胞の増殖能力を、それぞれ以下の培地条件にて試験した。
A.未馴化の維持培地100%
B.未馴化の維持培地100%+10ng/mlのEGF
C.未馴化の維持培地90%/エアリフト後10乃至12日目の培養皮膚構成体からの馴化維持培地10%
D.未馴化の維持培地50%/エアリフト後10乃至12日目の培養皮膚構成体からの馴化維持培地50%
E.エアリフト後10乃至12日目の培養皮膚構成体からの馴化維持培地100%
平滑筋細胞の増殖アッセイの結果を図7に、真皮線維芽細胞の増殖アッセイの結果を図8に示す。試験対象のこれら2つの細胞型について、培養皮膚構成体からの馴化維持培地は、未馴化の培地よりも高レベルに細胞増殖を刺激し、またより高濃度に馴化培地を含有する培養物ではより高い増殖効果が観察された。これらの結果は、培養皮膚構成体が、高い細胞増殖効果を有する、生物学的に活性のサイトカインを生成することを示唆している。
実施例8:ELIZA
馴化培地、未馴化の対照培地、エアリフトで培養物を気液界面に配置するために使用した綿パッド及び培養皮膚構成体から抽出された細胞抽出物中のサイトカインの特性を、ELIZAを用いて調べた。詳細には、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、ケラチン合成細胞増殖因子(KGF)、形質転換増殖因子アルファ(TGFα)を、対照群のサイトカイン:KGF(R&D Systems社、カタログ番号DKG00)、bFGF(R&D Systems社、カタログ番号DFB00)及びTGFα(アルファ)(Oncogene Research Products社、カタログ番号QIA61)と比較した。
図9に示す結果は、新鮮な未馴化の培地には少量のTGFαが存在し、一方、馴化培地はKGF、bFGF及び対照よりも高レベルのTGFαを含有することを示している。このことは、培養皮膚構成体の細胞がこれらのサイトカインを生成し、これらを馴化中の培地に付着させることを示唆している。圧搾することで馴化培地が搾り出される綿パッドは、より高い濃度のbFGF及びKGF並びにほぼ同量のTGFαを含有した。これらの結果は、培養皮膚構成体からの細胞抽出物は、これら3つの成分全てを対照培地よりも高レベルに含有し、培養皮膚構成体を使用した創傷治癒プロセスの刺激効果を高めることを示している。
実施例9:精製/濃縮
実施例1の馴化培地を、限外ろ過細胞フィルタを用いてろ過し、前記培地から分子量の大きな成分を除去した。前記限外ろ過を、分子量カットオフフィルタで隔てられた上部チャンバと下部チャンバとを有するAmicon 8050 Ultrafiltration Cell製品を用いて実施した。馴化培地を複数の限外ろ過装置の上部チャンバ内に配置し、加圧窒素ガスを用いて前記ろ過膜を通過させた。この馴化培地濃縮液を、新鮮な未馴化の培地とケラチン合成細胞培養物とに加えて、前記濃縮液を含有しない新鮮な培地と比較した増殖能力を試験した。前記馴化培地ろ過液を含有する新鮮な培地中で培養された細胞は、対照培養物よりも高い増殖能力を発揮した。
実施例10:ヒトケラチン合成細胞の移動に対する馴化培地(ACM)の効果はEGF受容体経路とは無関係である
ケラチン合成細胞培養物に対して馴化培地が及ぼす移動効果がEGFによるものであるか否かを試験するために、以下の実験を実施した。新鮮な維持培地は当初EGFを含有しないため、実施例1の維持培地を回収し、個別に使用した。ヒトケラチン合成細胞を100mmプレート内でコンフレントとなるまで増殖させた後に、トリプシン処理し、細胞懸濁液を得た。これらの細胞を、抗体10μg/10細胞個/培地mlの濃度の中和抗EGF受容体抗体(Upstate Biotechnology、カタログ番号05−101)を含有する(GSR又はACM1R)か、或いは含有しない(GS又はACM1)培地1ml中で、室温で30分間インキュベートした。次に、これらの細胞をフィブリン基材上で平板培養し、これらの細胞の移動能力を、実施例6で述べたように試験した。未馴化の培地(GS)又は馴化培地(ACM)を、EGF(10ng/ml)の存在又は不在下で試験した。図10に示す結果は、3つの実験を表す。
図示した結果は、培養されたヒトケラチン合成細胞は、培養されたヒト細胞の移動を刺激する1つ又は複数の因子を生成し、その効果はEGFの効果に匹敵することを示している。しかし、EGF抗体の添加によってEGFの効果は阻害されたがACMの効果は損なわれなかったことは、EGFは馴化培地の効果には関与しないことを示唆している。これらの結果は、ACMが、インビボの皮膚治療で必要とされるケラチン合成細胞の移動を強力に誘発する、EGF以外の1つ又は複数の因子を生成する事実を強調するものである。
実施例11:培養皮膚物質を含有するスキンケア組成物の作製及びスキンリサーフェシング後の患者の治療
実施例1の培養皮膚物質を含有する局所用製剤を、レーザーリサーフェシング後の赤みと不快感の程度を抑えることによって患者の回復を早めるためのスキンケア製品として開発した。前記局所用製剤は、試験の結果、以下の成分:FGF−1(線維芽細胞増殖因子)、IL−1α(インターロイキン)、IL−6(インターロイキン)、IL−8(インターロイキン)、IL−11(インターロイキン)、TGF−β1(形質転換増殖因子)、TGF−β3(形質転換増殖因子)、GMCSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)を含有することが判明した。
無菌条件下で、体積比40%に濃縮された培養皮膚物質を、カルボキシメチルセルロースナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、氷酢酸、メチルパラベン、プロピルパラベンからなるゲル状のスキンケアベース(担体)に加え、m−クレゾールを保存剤、L−リジン塩酸塩を安定化剤として、試験製剤を作製した。
前記試験皮膚製品がレーザーリサーフェシング後に塗布された場合に美容上の成果を向上させる能力を、10名の健康な対象で評価した。この試験は、米国内の3箇所の臨床施設で行われた、二重盲検方式の多施設試験であった。最初に、10名の対象全員が、Coherent Ultrapulse 5000C 二酸化炭素レーザーを用いて、六角スポット径2、密度6、出力300ミリジュール、ワンパス、最初の層の後ワイピングにて、レーザーリサーフェシング処置を受けた。それぞれが、顔の両側の下瞼に治療を受けた。それぞれの側に、いずれかの試験製品(担体に含有されたスキンケア物質)又は担体のみをランダムに割り当て、術後14日間投与した。従って、各対象が、自身の対照としての役割を果たした。レーザーリサーフェシング後最初の4日間、両側の下瞼を、それぞれの側に割り当てられた試験製品又は対照を塗布後、Flexzan Topical Wound Dressing(テキサス州シュガーランドのDow B.Hickam社)で被覆した。その後、対象に再び試験製品又は対照を試験14日目までに塗布し、これを試験90日目まで続けた。
赤み、浮腫、上皮化、患者の不快感、患者の満足感及び全体的な美容上の成果についての臨床評価を、試験2日目、4日目、10日目、14日目、30日目及び90日目に行った。主要評価項目は、治療部位における紅斑の程度であった。二次評価項目は、浮腫、上皮化、患者の不快感、患者の満足感及び全体的な美容上の成果であった。治療の判定を、対象と調査者とによって行った。試験の最後に、レーザーリサーフェシングにおる患者の治療に関する専門知識と経験とを有する医師が、写真を盲検下で精査した。紅斑を(1)無し(2)弱(2)中(3)強の4段階で評価した。安全性を、臨床観察及び対象への質問によって評価した。
全ての患者が、レーザーリサーフェシング後の複数日にわたり、中程度から強度の紅斑及び赤みを経験し、様々な量の痂皮を生じた。術後10日目までは、(写真の評価による)平均紅斑スコアは、対照と比較して試験製品の側が低く、これが試験終了時まで続いた。6回の診察の平均累積紅斑スコアは、試験製品で治療した側が1.85であったのに対し、対照で治療した側は1.91であった。全ての対象は、術後90日目までに評価ベースラインに戻った。片側t検定統計分析法を用いると、この差は統計上有意ではないが、試料規模が小さいという固有の限界は、別の試験製品剤型を使用し、プロトコルを改良し、試料規模をより大きくすることで克服されることが期待される。
実施例12:接線流ろ過を用いた濃縮及び脱塩
実施例1の皮膚培養物から回収された馴化培地を、ろ過法を用いて濃縮した。
馴化培地を、最初に細孔膜でろ過し、細胞及び細胞片などの大きな粒子を除去した。馴化培地から大きな成分を除去することで、下流方向へのろ過がより効率的となる。
回収された馴化培地の濃縮に使用された接線流ろ過システムは、供給タンクを備えた閉ループシステムであり、前記供給タンクの出口は蠕動式の供給ポンプに直列に接続されており、前記供給ポンプは、ろ過モジュールに直列に接続されており、前記ろ過モジュールは弁に直列に接続されており、前記弁は前記供給タンクの入口に直列に接続されていた。前記供給タンクは、ろ過液の除去に伴う継続的な供給により、システムの体積を維持した。これらの要素は、医療用チューブによって相互に接続されていた。複数の圧力弁が、前記ろ過モジュールの両側に直列に接続されていた。前記ろ過モジュールは、前記ろ過ループと直列な入口と出口とを備えていた。フィルタと対向する側で、第2の出口がろ過液を前記閉ループシステムから除去した。
馴化培地を入れた保存容器を、冷蔵庫(約4℃)から取り出し、馴化培地を、前記保存容器から前記ろ過システムの供給タンクにデカンテーション又はポンピングによって移した。前記供給タンクに十分な量の馴化培地が入ると、前記ポンプの電源を入れた。前記培地が循環している時に、前記培地を前記膜の表面に沿って接線方向にポンプで汲み上げた。印加された圧力が、前記培地の一部を前記膜を透過してろ過側へと移動させる一方で、前記膜の孔を通過できない大きさの粒子や大きな分子は、上流側に留まり、前記接線流によって押し流されるので、前記膜の表面に蓄積することなく循環し続けた。
前記ポンプは、前記ろ過循環路に沿って馴化培地を循環させ続けた。培地が前記膜の表面を通過する度に、印加された圧力によって前記流体の一部が膜を透過して、ろ過流に合流し、この結果、膜を透過できない大きな分子量の成分が前記培地に占める濃度が増加した。馴化培地の濃度が約20倍、即ち未ろ過の馴化培地濃度(1倍)の約20倍となった後に、前記ポンプの電源を切った。
前記接線流ろ過システムは、濃縮された馴化培地成分からの脱塩のためのシステム及び手段も提供した。前記ろ過システムの供給タンクに、滅菌ろ過水を加えて、馴化培地中の水溶性の塩と分子量の大きな成分とを希釈した。ポンプの電源を入れて、液体に前記システム内を循環させ、馴化培地を再び濃縮すると同時に、水溶性の塩を除去した。馴化培地中の分子量の大きな成分がシステム内に残り、可溶化した前記塩を含む水性の部分は前記フィルタを透過して、ろ過液として廃棄された。再び、馴化培地の濃度が約20倍、即ち未ろ過の馴化培地濃度(1倍)の約20倍となった後に、前記ポンプの電源を切った。この結果、ろ過されて濃縮された馴化培地成分からなる濃縮水の塩濃度が低下した。
実施例13:培養皮膚物質及び光加齢した皮膚への浸透促進剤を含有するスキンケア組成物の作製及び試験
培養皮膚物質を含有する試験製剤が光加齢した皮膚の外観を改善させる能力を判定するために、単施設の二重盲検対照パイロット試験を、35歳以上で、光加齢の兆候が見られる以外は健康な10名の試験対象に対して実施した。この試験における光加齢は、両手及び両腕の皮膚が、光加齢総合評価値2又はそれ以上(添付の評価段階を参照のこと)の光損傷を受けていることを意味する。
培養皮膚物質を含有する試験製剤を、濃縮された培養皮膚物質(体積比20%)を、美容製品に広く使用されている成分と浸透促進剤とからなるスキンケアベース(担体)に加えることによって作製した。前記試験製剤のベース成分には、精製水、ポリグリセリルメタクリレート(及び)プロピレングリコール、ペトロラタム、ジカブリリルエーテル、PEG−5ステアリン酸グリセリル、グリセリン、ジメチコン(及び)ジメチコノール、セチルアルコール、スイートアーモンドオイル、アクリル酸塩類/C10−30アクリル酸アルキルクロスポリマー、酢酸トコフェロール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸が含まれた。
これは、試験製品と対照(プラセボとしての担体のみ)との二重盲検対照パイロット試験である。各対象は、内部対照(両手足)と既存対照(ベースライン)とを持つ。試験製品の効果を、各試験対象からの試験範囲のベースライン前処理評価及びこれらの両手足と比較した。皮膚の色素沈着、脈管の変性、萎縮及び弛緩並びに半定量分析の結果の評価を根拠として光加齢の兆候が見られると判断された10名の試験対象が試験に参加した。試験対象に、試験前2週間は治療部位への全ての局所用薬剤の使用を中断するよう依頼した。腕の予め特定された治療及び対照部位からの標準的な4乃至6mmの皮膚生体組織検査を、ベースライン及び12週目の診察時に行う。0日目に、各試験対象に、「左」及び「右」とラベル付けされた、試験クリームのチューブを入れた治療パッケージを渡した。各治療パッケージ内のチューブに貼り付けられたこの「左」及び「右」ラベルを用いた割り当ては、ランダムに行われたが、特定の治療パッケージ内のチューブのどちらに試験製品が含有され、どちらに担体のみが含有されているかを、文書に記録した。このコードは、試験終了及びデータ分析時まで、試験対象にも試験官にも知らされなかった。右又は左の腕/手が、各対象の治療側又は対照側となった。治療パッケージの順次リストを保持し、試験官は、新たな試験対象が試験へ参加する度に、前記治療パッケージを順次割り当てた。試験対象に、試験期間を通して使用するのに十分な量の試験製品と担体クリーム(プラセボ)とを渡した。試験対象に、試験製品と担体クリームとを、前腕、手首及び手の甲に1日2回塗布し、これを14週間継続するように依頼した。試験対象に、低刺激性の石けんと保湿剤とを治療部位に毎日使用するように依頼した。
試験対象の治療部位を、14日前、0日目、4週目、8週目、12週目及び14週目の治療前に評価した。診療の度に、小皺及び大皺の出現、斑状の色素沈着過度、ほくろ、異常な色素脱失、触知できるきめの粗さ、毛細管拡張症、弾力線維症に関する評価並びに全体的な総合評価を、各対象について行った。これらのパラメータのそれぞれを6段階に等級付けした。診療の度に、治療への全体的な応答を、試験対象の状態をベースラインにおける状態と比較して評価し、7段階に分けて表した。更に、非観血的な測定を試験官が行い、治療部位及び対照部位を評価した。これらの測定には、写真(デジタル、交差偏波、紫外線)、分光法及びサイトメトリーが含まれた。分光法及びサイトメトリーは、治療部位の皮膚にプローブを接触させる、非観血的な測定である。蛍光励起分光法は、光源と光電子増倍管とを用いて、コラーゲン、エラスチン及び細胞増殖マーカーなどの発色団の内生蛍光の変化を検出する。サイトメトリーでは、小さなプローブの端部で生じる吸引によって、皮膚の弾力性を測定する。試験対象を、孔径及び光加齢に関連した損傷(即ち光線性角化症)についても評価し、試験官は、これらの損傷が存在する場合及びこれらの損傷が試験クリームによって変化した場合に、これを図表に書き込んだ。14週目に、試験対象は、自身の皮膚の美容上の外観をベースライン時の状態と比較した評価及び試験クリームに関する自身の意見をアンケートへ記入した。診療の度に、試験対象に、試験開始後に発現した可能性のある副作用、薬物療法の変更又は処置方法の変更があったか否かについて質問した。
以上、本発明を、明瞭化及び理解を目的として、図及び実施例を用いて詳細に説明したが、添付の請求項から逸脱することなく何らかの修正及び変更を行ってもよいことが、当業者に明らかとなろう。
サイトカイン類を生成し、これらを周囲の培地に付着させて前記培地を馴化させる皮膚構成体を形成するための装置を図示したものである。 馴化培地(ACM)がケラチン合成細胞のコロニー面積に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)がケラチン合成細胞の増殖に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)がケラチン合成細胞のフィブリン上での移動に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)がケラチン合成細胞のフィブリン基材上での移動におけるらせん回転に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)が内皮細胞の増殖に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)が平滑筋細胞の増殖に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)が線維芽細胞の増殖に及ぼす効果を示すグラフである。 馴化培地(ACM)、綿パッド及び皮膚構成細胞抽出物中の馴化培地サイトカイン類の特性を示すグラフである。 馴化培地(ACM)の効果がEGF受容体経路とは無関係であることを示すグラフである。

Claims (42)

  1. 医薬製剤又はスキンケア製品として用いられる、以下を備えた組成物:
    (a)担体基材と;
    (b)培養されたケラチン合成細胞及び線維芽細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する、馴化細胞培地と;
    (c)浸透促進剤。
  2. 医薬製剤又はスキンケア製品として用いられる、以下を備えた組成物:
    (a)担体基材と;
    (b)培養されたケラチン合成細胞及び線維芽細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する、馴化細胞培地と;
    (c)浸透促進剤と;
    (d)酸化防止剤。
  3. 前記ケラチン合成細胞と前記線維芽細胞とが、天然の皮膚構造に類似した二重層構造中の共培養物である、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記共培養物が、収縮コラーゲン格子中の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記共培養物が、内生的に生成された基質中の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項3に記載の組成物。
  6. 前記共培養物が、コラーゲンスポンジ中の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項3に記載の組成物。
  7. 前記スポンジが、グリコサミノグリカン類を更に含有する、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記共培養物が、網状の材料上の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項3に記載の組成物。
  9. 前記浸透促進剤が、化学的浸透促進剤、能動的浸透促進剤又は毛嚢浸透促進剤である、請求項1に記載の組成物。
  10. 培養皮膚細胞によって生成された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を含有する製剤を作製するための、以下のステップを含む方法:
    (a)皮膚細胞を栄養培地中で培養して、前記皮膚細胞を増殖させ、前記皮膚細胞に1つ又は複数の培養皮膚物質を合成させて前記培地中に分泌させるステップと;
    (b)1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する前記馴化培地を、前記培養皮膚細胞から分離するステップと;
    (c)1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する前記馴化培地を含有する製剤を作製するステップ。
  11. 培養皮膚細胞によって生成された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を含有する製剤を作製するための、以下のステップを含む方法:
    (a)皮膚細胞を栄養培地中で培養して、前記皮膚細胞を増殖させ、前記皮膚細胞に1つ又は複数の培養皮膚物質を合成させて前記培地中に分泌させるステップと;
    (b)1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する前記馴化培地を、前記培養皮膚細胞から分離するステップと;
    (c)前記馴化細胞培地中の前記培養皮膚物質の濃度を上昇させるステップと;
    (d)前記馴化培地中の塩濃度を低下させるステップと;
    (e)1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する前記馴化培地を含有する製剤を作製するステップ。
  12. 前記皮膚細胞が、天然の皮膚構造に類似した二重層構造中で共培養されたケラチン合成細胞及び線維芽細胞である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記二重層構造が、収縮コラーゲン格子中の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記二重層構造が、内生的に生成された基質中の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項12に記載の方法。
  15. 前記二重層構造が、コラーゲンスポンジ中の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項12に記載の方法。
  16. 前記スポンジにグリコサミノグリカン類が更に含有される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記二重層構造が、網状の部材上の線維芽細胞と、その上に配置されたケラチン合成細胞とを含有する、請求項12に記載の方法。
  18. 前記培養皮膚物質の前記濃度が5乃至30倍に増加する、請求項11に記載の方法。
  19. 前記培養皮膚物質の前記濃度が10乃至25倍に増加する、請求項11に記載の方法。
  20. 前記培養皮膚物質の前記濃度が15乃至20倍に増加する、請求項11に記載の方法。
  21. ステップ(c)及び(d)を同時に実施する、請求項11に記載の方法。
  22. ステップ(c)及び(d)を繰り返す、請求項11に記載の方法。
  23. ステップ(c)及び(d)を、接線流ろ過を用いて実施する、請求項11に記載の方法。
  24. ステップ(c)を接線流ろ過を用いて実施する、請求項11に記載の方法。
  25. ステップ(d)を接線流ろ過を用いて実施する、請求項11に記載の方法。
  26. 馴化細胞培地を、細胞及び細胞破片を除去するために濃縮前に前ろ過する、請求項11に記載の方法。
  27. 培養皮膚細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地の、医薬製剤の作製への使用。
  28. 個体の皮膚を治療するための、以下のステップを含む方法:
    培養皮膚細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を含有する組成物を、前記皮膚に局所的に塗布するステップ。
  29. 前記個体の前記皮膚が、細胞の増殖及び生成を促進するように治療される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記個体の前記皮膚が、前記皮膚における細胞の老化速度を減少させるように治療される、請求項28に記載の方法。
  31. 前記個体の前記皮膚が、前記皮膚における皺及び小皺を減少させるように治療される、請求項28に記載の方法。
  32. 前記個体の前記皮膚が、セルライトを減少させるように治療される、請求項28に記載の方法。
  33. 前記個体の前記皮膚が、血管新生を促進するように治療される、請求項28に記載の方法。
  34. 前記個体の前記皮膚が、神経疾患を治療するように治療される、請求項28に記載の方法。
  35. 前記個体の前記皮膚が、瘢痕の形成を抑制させるように治療される、請求項28に記載の方法。
  36. 前記個体の前記皮膚が、瘢痕を目立ちにくくさせるように治療される、請求項28に記載の方法。
  37. 前記個体の前記皮膚が、毛髪の成長を促進するように治療される、請求項28に記載の方法。
  38. 細胞の増殖及び生成を促進するため、及び細胞の老化を抑制するための、培養皮膚細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を用いて作製された局所塗布組成物を含む、皮膚治療薬。
  39. 医薬製剤又はスキンケア製品として使用される、以下を含有する組成物:
    (a)担体基材と;
    (b)培養されたケラチン合成細胞及び線維芽細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する、馴化細胞培地と;
    (c)シリコーンベースの浸透促進剤。
  40. 前記シリコーンベースの浸透促進剤が、シクロメチコン及びジメチコンコポリオールからなる群から選択される、請求項39に記載の組成物。
  41. 前記培養皮膚物質が、濃縮及び脱塩されており、概ね中性のpHを示す、請求項39に記載の組成物。
  42. 皺が出現している皮膚部位を治療するための方法であって:
    前記皺が出現している皮膚部位に、培養皮膚細胞から合成及び分泌された1つ又は複数の培養皮膚物質を含有する馴化細胞培地を含有する組成物を局所的に塗布するステップが含まれ;
    前記皮膚部位を治療するための局所塗布が、前記皮膚内の線維芽細胞に、前記皮膚の新生コラーゲン層内のエラスチンをデノボ合成させて前記新生コラーゲン層を肥厚させるように、少なくとも一日に一度行われる;
    方法。
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