JP2009502379A - 手術用照明ランプ - Google Patents

Abstract

ランプ本体に配置された少なくとも１つの光源と、光源からの可視光放射を手術領域に向かう主放射方向に向ける光学的手段と、を備える外科手術用照明ランプが、光源と独立して切り換え可能な付加的な照明手段を有する。

Description

本発明は、ランプ本体に設置された少なくともｌつの光源と、主放射方向における光源からの可視光放射を手術領域に向ける光学的手段と、を有する外科手術用照明ランプに関する。

この種の外科手術用照明ランプは周知であり、光源としてハロゲンランプないし放電ランプが、また、光学的手段として反射鏡が用いられる。ここで、光源からの可視光放射は、照明の対象である手術領域の方向に向けられる。以下、この方向を主放射方向と呼ぶ。

本発明の目的は、外科チームの遂行能力を高めることができる外科手術用照明ランプを提供することである。

この目的は、請求項１の特徴で満足される。

本発明によると、外科手術用照明ランプが、少なくとも１つの付加的な発光体、例えば、最大強度が約４５０ｎｍの範囲にある１つまたは複数の発光ダイオードを有しており、この付加的な発光体を光源、即ち例えば別の発光ダイオード、ハロゲンランプないし放電ランプと独立して制御可能な制御装置が設けられる。ここで、光が観測者に心理的効果を与えるという認識を活用している。視索の第２の部分は、青色スペクトルにおける特定の波長の光によって活性化され、これによってエネルギの側面では、新陳代謝および内分泌腺を活性化して律動的活動をもたらす。メラトニンが昼／夜のリズム（日周期）を調整するので、ホルモン（メラトニン）の放出は日光によって抑制され、これによって血液の循環を活性化することはよく知られている。夜間におけるメラトニンの分泌は、網膜にわたって均一に分配され、解像機能を持たない人間の眼の光センサが検出する青色光によって生じる。外科医チームは、長時間に亘って、かつ夜間に度々非常に集中しながらストレスの下で働かねばならないことが多いので、夜間の困難な緊急手術中でも最大の集中力で働くことができるように、適正な光のスペクトルの選択によって業務中の外科医を支援することができる。夜間、または日中の数時間に亘って手術しなければならないとしても、外科医チームの遂行能力を高めるように、最大強度が約４５０ｎｍの範囲にある付加的な照明によってメラトニンの分泌抑制を促すことができる。

本発明の有用な実施例は、明細書、図面および従属請求項で述べられる。

最初の有利な実施例によると、付加的な発光体が、特定のパラメータに応じて制御装置によって自動的に切り換えられる。このようなパラメータは、例えば、現在時刻（一日の時刻）や経過した手術時間を導き出せる現時点までの光源の使用継続時間である。現在の時刻が経過する場合、つまり次第に夜へと移行する場合には、例えば、発光体の放射を増加させることが可能である。光源がスイッチオンを継続している場合、即ち手術が数時間も継続している場合にも増加が生じ得る。これによって、一方において、疲労が防止され、他方において、遂行能力が向上する。

他の実施例によると、外科手術用照明ランプの色スペクトルは、約４５０ｎｍの所望の波長範囲が高強度で放射されるか、または次第に強度を上げるように付加的に制御される。

メラトニンを抑制する付加的な発光体は、必ずしも手術領域の方向における主放射方向に放射されなくてもよい。むしろ、横方向か上方向に、即ち間接的に放射される方がよい。さらに、発光体は個別のランプ本体に配置することもできる。付加的な発光体が、手術領域の方向ではない二次的な放射方向に放射される場合に、約４５０ｎｍの範囲の放射が付加的な光源によって外科医の目に直接向けられ、手術領域での反射による光の減衰がないので、外科医に対する所望の効果が最適化される。付加的な発光体が、主放射方向に対して約４５〜１３５°の角度に延びる二次的な放射方向に放射する場合、特によい結果が達成される。

さらに有利な実施例によると、付加的な発光体は、光源がスイッチオフされる時にスイッチオンできる。手術前に外科医が準備をしている時に、既に所望の効果を達成することができる。付加的な発光体の効果は、内視鏡手術の場合でも得られる。光源のスイッチオンによって付加的な発光体をスイッチオフできれば、例えば短時間であっても、効果を必要としない場合には付加的な発光体を節約することができる。

さらに有利な実施例によると、付加的な発光体を外科手術用照明ランプのハンドルに組み込むことができる。この実施例において、付加的な発光体を取り付けるためにランプ本体を変更する必要はない。さらに、外科医の目の方向に放射するように簡単にハンドル内に付加的な発光体を配置することができる。付加的な発光体がディフューザを備えれば、付加的な発光体からの放射が手術室内で可能な限り分散され、外科医の目に容易に到達できるようになるので特に有利である。

さらに有利な実施例によると、制御装置が外付けの付加的な発光体を制御する制御出力を備えることができる。これにより、外科手術用照明ランプに組み込まれない付加的な発光体を付加的に設ける、または代替的に設けることができる。この場合、個別の光学モジュールを外付けの付加的な発光体として設けることができるか、または外付けの付加的な発光体を手術室における据え付けの照明に組み込むことができる。

本発明の更なる実施例によると、手術室の照明方法によっては、少なくとも１つの付加的な発光体の放射を外科医の目の方向に、少なくとも一時的に直接向けることができる。

本発明を有利な実施例を参照して以下に説明する。

図１に示される外科手術用照明ランプが、フード（ｈｏｏｄ）状に形成され、かつレール１２によって外周を囲まれるランプ本体１０を有する。このレールは、支持要素１４によってランプ本体１０の外側に固定される。

光源が、放物線状反射鏡２０によって手術領域を照明する２つの交換可能なハロゲンランプ１６，１８の形態でランプ本体１０の内部に配置される。反射鏡２０は、ここでは、手術領域に向かう矢印Ｈで示される主放射方向の影の無い光を出力するように形成される。

図１に示される実施例では、付加的な発光体２６が、最大強度が約４５０ｎｍの範囲にある複数の発光ダイオードの形態でハンドル３２内に設けられる。付加的な発光体によって放射されるスペクトル帯域幅は、約３８０〜５２０ｎｍの範囲である。付加的な発光体１６は、主放射方向Ｈと交叉状に延びるＮで示される二次的な放射方向に放射する。図１に示される実施例では、この角度は約７０°である。付加的な発光体２６からの放射は、ハンドル３２の全外周に亘って分配される。付加的な発光体の拡散放射を生成させる光学ディフューザが、光の分配を向上させるために設けられる。

図１に示すように、付加的な発光体２６の放射は、放射方向Ｎにおける外科医の目２２に直接向かって移動する。

付加的な発光体を光源１６，１８と独立してスイッチオン・オフできる制御装置（図示せず）が、付加的な発光体２６を制御するために設けられる。このことは、付加的な発光体２６は、光源１６，１８がスイッチオフしている時にスイッチオンでき、光源１６，１８がスイッチオンしている時にスイッチオフできることを意味する。

図３は、図１の外科手術用照明ランプにおけるハンドルの拡大図を示す。ハンドルのシャフト４０内に配置されたＣＣＤカメラ４２に加えて、ハンドル３２は、その下側にシャフト４０が固定されるビーカ状のマウント３４を有する。マウント３４は上側が開いており、交換可能な発光体１６，１８が固定されるランプホルダ４４がこれらの発光体の上側から突出している。ハンドルは、既知の方法で光照射領域の直径を設定する。

図３に示すように、複数の発光ダイオード４６が、ビーカ状のマウント３４内に設けられ、このマウントの外周にわたって分配されるとともに、付加的な発光体２６を形成する。拡散放射を生成するために、発光ダイオード４６の前にそれぞれの拡散レンズ４８が配置される。

透明な端部プレート３０が、外科手術用照明ランプの下側に設けられており、ハンドル３２が、端部プレートの中央に配置される。外科手術用照明ランプ自体は、図示されていないジョイントアームによってスタンド即ち掛け具に固定される。

図２は、外科手術用照明ランプの他の実施例を示す。ここで、同一の構成要素について同一の参照番号が使用される。

図２に示される外科手術用照明ランプでは、付加的な発光体２６が、ハンドル３２ではなく、ランプ本体１０に組み込まれる。ここで、発光ダイオードが、外科手術用照明ランプの外周の下側に分配されて配置されており、この実施例において、付加的な発光体による第２の放射方向Ｎは、主放射方向Ｈに対して約９０°の方向に延びる。また、本実施例では、ディフューザが、発光ダイオードの前に配置される。

別の実施例では、図示されていないが、ハロゲンランプ１６，１８の代わりに複数の発光ダイオードが設けられ、所望の混色を実現するために異なる波長で放射する。

制御装置（図示せず）が、上記の外科手術用照明ランプの発光体を制御し、付加的な発光体２６は、発光体１６，１８と独立してスイッチオン・オフできる。

４５０ｎｍの放射が要求される発光ダイオードが高光度で放射する場合でも、通常の手術室灯は変化しないようにこの制御は構成される。４５０ｎｍの範囲での放射の増加（以下、励起照射（ｅｘｃｉｔａｔｉｏｎ ｒａｄｉａｔｉｏｎ）と呼ぶ）は、押しボタンによって常時切り換えることができる。あるいは、現在時刻および／または外科手術用照明ランプの現在までの稼動期間に応じて、事前に設定されたプログラムに従って励起照射を自動的に切り換える別の押しボタンを利用して、自動運転を開始することができる。この結果、励起照射は、一回の手術における外科手術用照明ランプの運転時間が長くなるにつれ、さらに、一日の時刻が進むにつれて一定の割合で増える。この目的で、手術の継続時間がわかるように、制御装置は内臓の時計と、外科用照明ランプがスイッチオンされると作動する時間計測ユニットと、を有する。

符号の説明

１０・・・ランプ本体
１２・・・レール
１４・・・支持要素
１６，１８・・・ハロゲンランプ
２０・・・反射鏡
２２・・・目
２６・・・付加的な発光体
３０・・・端部プレート
３２・・・ハンドル
３４・・・マウント
４０・・・シャフト
４２・・・ＣＣＤカメラ
４４・・・ランプホルダ
４６・・・発光ダイオード
４８・・・拡散レンズ

Ｈ・・・主放射方向
Ｎ・・・二次的な放射方向

外科手術用照明ランプの部分断面図。 外科手術用照明ランプの他の実施例の部分断面図。 図１の外科手術用照明ランプにおけるハンドルの拡大図。

Claims (16)

1. 外科手術用照明ランプであって、
   ランプ本体（１０）に配置された少なくとも１つの光源（１６，１８）と、
   前記光源の可視光放射を手術領域への主放射方向（Ｈ）へ向ける光学的手段（２０）と、
   を有し、
   最大強度が約４５０ｎｍの範囲にある少なくとも１つの付加的な発光体（２６）と、
   前記付加的な発光体（２６）を前記光源（１６，１８）と独立して切り換え可能な制御装置と、
   を設けることを特徴とする外科手術用照明ランプ。
2. 前記発光体（２６）が、現在時刻および前記外科手術用照明ランプの現時点での使用継続時間の群から選択される少なくとも１つのパラメータを参照して前記制御装置によって自動的に切り換え可能であることを特徴とする請求項１に記載の外科手術用照明ランプ。
3. 前記付加的な発光体（２６）の光束が、前記外科手術用照明ランプの現時点での使用継続時間に基づいて前記制御装置によって自動的に変更できることを特徴とする請求項１および２に記載の外科手術用照明ランプ。
4. 前記付加的な発光体が、手術領域の方向ではない二次的な放射方向に放射することを特徴とする請求項１〜３の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
5. 前記付加的な発光体が、前記主放射方向に対して約４５〜１３５°の角度に延びる二次的な放射方向に放射することを特徴とする請求項１〜４の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
6. 前記付加的な発光体（２６）が、前記光源（１６，１８）がスイッチオフしている時にスイッチオンできることを特徴とする請求項１〜５の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
7. 前記付加的な発光体（２６）が、前記光源（１６，１８）がスイッチオンしている時にスイッチオフできることを特徴とする請求項１〜６の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
8. 前記付加的な発光体（４６）が、前記外科手術用照明ランプのハンドルに組み込まれることを特徴とする請求項１〜７の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
9. 前記付加的な発光体（２６）が、前記ランプ本体（１０）に組み込まれることを特徴とする請求項１〜８の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
10. 前記付加的な発光体（２６）が、ディフューザ（４８）を有することを特徴とする請求項１〜９の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
11. 前記制御装置が、外付けの付加的な発光体を制御する制御出力を有することを特徴とする請求項１〜１０の少なくとも１つに記載の外科手術用照明ランプ。
12. 前記外付けの付加的な発光体が、個別の光学モジュールであるか、または手術室の据え付けの照明に組み込まれることを特徴とする請求項１１に記載の外科手術用照明ランプ。
13. ランプ本体に配置された少なくとも１つの光源と、光学的手段と、を有する外科手術用照明ランプを用いて、光源からの可視光放射が手術領域への主放射方向に向けられる、手術室の照明方法であって、
    最大強度が約４５０ｎｍの領域にある少なくとも１つの付加的な発光体の放射が、少なくとも一時的に外科医の目の方向に直接向けられることを特徴とする照明方法。
14. 請求項１〜１２のいずれかに記載の外科手術用照明ランプを使用することを特徴とする請求項１３に記載の照明方法。
15. 現在時刻および前記外科手術用照明ランプの現時点での使用継続時間の群から選択される少なくとも１つのパラメータを参照して前記付加的な発光体を自動的にスイッチオンすることを特徴とする請求項１３または１４に記載の照明方法。
16. 前記外科手術用照明ランプの現時点での使用継続時間に基づいて自動的に前記付加的な発光体の光束を変更することを特徴とする請求項１３〜１５の少なくとも１つに記載の照明方法。

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