JP2009300486A - 光学機器及び光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学機器内の光束の発散角を検知でき、正確な焦点位置を簡易に検出することができる光学機器を提供する。
【解決手段】入射光に螺旋状の位相を付加する位相素子と、位相素子により螺旋状の位相が付加された光を集光する集光手段と、集光手段により集光された光を検出する検出手段とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】入射光に螺旋状の位相を付加する位相素子と、位相素子により螺旋状の位相が付加された光を集光する集光手段と、集光手段により集光された光を検出する検出手段とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、光の位相を制御する位相変調素子を有する光学機器及び光学装置に関する。
顕微鏡や光ディスク駆動装置等に代表される光学装置では、被照射物面と焦点面との間に共役の位置関係が成り立つように、精密に位置合わせをするための技術的手段が提案されている。
例えば、代表的な顕微鏡としてレーザ走査型顕微鏡について説明する。図18に、レーザ走査型顕微鏡の構成図を示す。レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光を発生する光源1と、コリメート光学系2と、ダイクロイックミラー3と、スキャンミラー4と、中間結像レンズ5と、対物レンズ6と、試料7を置くためのステージ8と、結像レンズ10と、吸収フィルタ11と、ピンホール12と、フォトディテクタ13と、制御部14とを備える。
コリメート光学系2は、光源1から発するレーザ光の光路上に備えられ、光源1から発せられたレーザ光を平行光にする。ダイクロイックミラー3は、コリメート光学系の出力側に備えられ、レーザ光を反射し、試料7から蛍光する特定の光を透過する役割をもつ。
ダイクロイックミラーは、試料7から発せられる光の蛍光画像を得る場合に用いられるが、試料7から反射する光の反射像を得る場合にはハーフミラーが用いられる。
スキャンミラー4は、光源1から発したレーザ光のダイクロイックミラー3による反射光路上に備えられ、試料7上に集光されるレーザ光を2次元方向に走査する。
中間結像レンズ5及び対物レンズ6は、スキャンミラー4によって2次元走査されたレーザ光の光路上に備えられ、レーザ光を試料7の焦点位置に集光される。ステージ8上には試料7が置かれ、制御部14によって試料7の観察する部位にレーザ光が照射されるように自動制御される。試料7から発せられる光は上記と逆の光路をたどり、ダイクロイックミラー3まで戻る。
試料7から発せられダイクロイックミラー3まで戻った光は、ダイクロイックミラー3を透過する。結像レンズ10、吸収フィルタ11、ピンホール12、フォトディテクタ13は、それぞれ該透過光路上に備えられる。吸収フィルタ11は、試料7から発せられた光において検出を行う波長を選択する。ピンホール12は、対物レンズ6の焦点と光学的に共役の位置に備えられ、試料7から発した光のうちの合焦した成分を通過させ、非合焦の成分を遮断するため、高い空間分解能を得られるようにする。フォトディテクタ13は、ピンホール12を通過した光の強度を検出し、電気信号に変換出力する。
制御部14は、ピンホール12を透過する光の強度が最大、すなわち、試料7が合焦位置となるように、フォトディテクタ13から出力された電気信号の値をもとに、対物レンズ6に取り付けられた静電駆動型の自動ステージを動作させる。
図19(a)は、試料7が合焦位置に配置されているとき、一方、図19(b)は、試料7が非合焦位置に配置されたときのレーザ光の光路図を示す。
試料7が非合焦位置にある場合には、図19(b)で示すようにレーザ光はある発散角度をもって結像レンズ10に入射するため、ピンホール12上で合焦にはならない。一方、試料7が合焦位置にある場合には、レーザ光の発散角度は、限りなくゼロに近くなる。すなわち、発散角が最小の時にはレーザ光は限りなく平行光に近くなり、図19(a)で示すようにピンホール12上で合焦となる。
上記のようなレーザ走査型顕微鏡では、レーザ光の強度分布はエルミートガウシアンであるため、非合焦位置における光の強度変化が緩やかであり、精度良く合焦位置を合わせるのが難しいといった課題がある。また、精度良く合焦位置を合わせるためにピンホールを用いると、試料からの蛍光や反射光が微弱であるときには、フォトディテクタでの光の検出が難しいといった課題がある。
そこで例えば特許文献1では、高さ測定の分解能の向上とともに、良質なコントラストの画像を得るために、レーザ光の光路を第2のビームスプリッタによって分割し、それぞれの反射光を互いに干渉させ、干渉パターンをピンホールを介して検出を行っている。
また、他の光学装置として光ディスクの駆動装置について説明する。図20は、光ディスクの駆動装置における構成図である。光ディスクの駆動装置は、レーザ光を射出する光源20と、コリメートレンズ21と、偏光ビームスプリッタ22と、λ/4波長板23と、対物レンズ24と、集光レンズ26と、シリンドリカルレンズ27と、フォトディテクタ28と、制御部29とを備える。
コリメートレンズ21は、光源20から出射されたレーザ光を平行光とし、平行光とされた光路上には、偏光ビームスプリッタ22、λ/4波長板23、対物レンズ24、及び光ディスク25が備えられる。偏光ビームスプリッタ22は、ある直線方向(X方向とする)は透過し、X方向に直交する方向(Y方向とする)は、反射するビームスプリッタであり、コリメートレンズ21にて平行光とされたレーザ光(X方向に直線偏光)には透過するように設定されている。
λ/4波長板23は、偏光ビームスプリッタ22を透過したレーザ光をX方向の直線偏光から円偏光へと偏光変換する。対物レンズ24は、円偏光されたレーザ光を光ディスク25上に集光し、読み書きを行なう。
光ディスク25から反射されたレーザ光は、上記と逆の光路をたどってλ/4波長板23を透過する。この時、円偏光からY方向の直線偏光へと偏光変換され、偏光ビームスプリッタ22で反射される。
偏光ビームスプリッタ22で反射されたレーザ光は、集光レンズ26とシリンドリカルレンズ27によって集光される。フォトディテクタ28は、集光された光を検出し、電気信号へと変換する。シリンドリカルレンズ27は、一次元方向にのみ集光するレンズであり、レーザ光が集光レンズ26とシリンドリカルレンズ27を透過すると、X方向とY方向で合焦位置が異なることになる。
フォトディテクタ28の表面は、正方形が4分割されており、受光面には4分割にするための十字状の境界線がある。図21(a)、(b)、及び(c)は、フォトディテクタ28の表面上における4分割受光面31にレーザ光32を受光させたときの模式図である。図中の実線がX方向の直線偏光であり、点線がY方向の直線偏光である。4分割受光面31はX方向に対して45°傾けて配置される。
シリンドリカルレンズ27は、Y方向のみを集光させ、4分割受光面31aが検出する光強度をA、31bが検出する光強度をB、31cが検出する光強度をC、31dが検出する光強度をDとすると、制御部29は(A+C)−(B+D)で表される信号強度を焦点検出の判定に用いる。
すなわち、図21(a)のように、集光レンズ26に入射するレーザ光が平行光のときには、(A+C)−(B+D)=0となる。一方、図21(b)及び(c)のように、光ディスクから反射したレーザ光がある発散角量をもっていると、(A+C)−(B+D)≠0となる。そこで、制御部29は(A+C)−(B+D)=0となるように対物レンズ24の位置を調節することで、光ディスクの合焦位置の検出を行っている。
しかしながら、4分割受光素子を用いた入射光の発散角の検出では、受光素子の中心を光軸中心に調節する必要があると共に、各受光素子の受光感度を調整する必要があるといった課題がある。
そこで例えば特許文献2では、被照射物からの反射光における像に非点収差を発生させ、該像における非円形性から被照射物の合焦位置を検出している。
特開2007−219239号公報
特開2001−74446号公報
Optical processing with vortex-producing lenses (Applied optics/Vol43,No6/20 February 2004)
上記で説明したようなレーザ走査型顕微鏡、及び光ディスクの駆動装置などの光学装置において、レーザ光の強度分布はエルミートガウシアンである。そのため、特許文献1においては、非合焦位置における光の強度変化は緩やかであり、合焦位置を合わせるためにピンホールを用いた場合には、試料からの蛍光や反射光が微弱であると光の検出が難しいといった課題がある。
また、特許文献2では、最も強度が高いのはビームプロファイルの中心であるが、受光面の中心が境界線であるため受光することができなく、光量を効率的に利用できないといった課題がある。
そこで本発明は、光学機器内の光束の発散角を検知でき、正確な焦点位置を簡易に検出することが可能な光学機器を提供する。
上記課題を解決するため、本発明における光学機器は、入射光に螺旋状の位相を付加する位相素子と、位相素子により螺旋状の位相が付加された光を集光する集光手段と、集光手段により集光された光を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
検出手段の光の入射方向における検出面手前に開口手段を備えることを特徴とする。
集光手段は、位相素子に備えられることを特徴とする。
位相素子は、片面に螺旋構造を有し、片面又は裏面に反射膜を有することを特徴とする。
位相素子は、空間位相変調器であることを特徴とする。
位相素子は、入射光の波長の整数倍の最大位相差を付加することを特徴とする。
また、本発明における光学装置は、上記いずれかに記載の光学機器と、光源と、被照射物を置くためのステージと、光源から発生した光を被照射物上に集光する第2の集光手段と、被照射物から反射した光を位相素子に出射する光学系とを備えることを特徴とする。
検出手段にて検出した光量から被照射物の焦点位置を検出し、焦点位置に合うようにステージを制御する制御手段を備えることを特徴とする。
本発明により、ラゲールガウシアン光を検出することで、入射光の発散角を高精度に測定でき正確な焦点位置を簡易に検出することが可能となる。
図1は、本発明の実施形態における光学機器の構成図である。本実施形態における光学機器は、入射光101に螺旋状の位相を付加する位相素子102と、集光手段103と、検出手段104と、外部接続機器105とを備える。
入射光101は、ヘリウムネオンレーザ光であって、光学機器に入射する手前でコリメートされている。また、入射光101はエルミートガウシアン光となっており、図4(a)に示すように丸型の強度分布を有する。図4(b)は、入射光101の位相を示しており、エルミートガウシアン光は位相がそろって伝播するため、等位相面110は光軸111に対して垂直の平面となる。
入射光に螺旋状の位相を付加する位相素子102は、原点を中心とし、偏角を関数にして入射光に位相分布をもたせる素子で、光渦発生素子として知られ、原点(光軸に相当)を中心にして、位相を螺旋状に連続的に変化させる。
集光手段103は、位相素子102の出射側に備えられ、入射光101を集光する。集光手段としては、レンズや凹面ミラー等が用いられるが、本実施形態ではレンズを用いる。光学機器の小型化のためには、位相素子102と集光手段103の距離はできるだけ近い方がよい。また、光学機器の光感度を上げるためにレンズの口径は入射光101の口径よりも大きい方が望ましい。さらに同理由により、レンズの開口数はできるだけ高い方が望ましい。
検出手段104は、集光手段103の出射側に備えられ、集光された光の検出を行う。検出手段としては、フォトディテクタやCCD、CMOS等が用いられるが、実施形態においてはフォトディテクタを用いる。光学機器の光検出の感度を高めるためには、フォトディテクタの検出面の大きさhは、集光面での入射光の口径と同値であることが望ましく、入射光101が回折限界まで集光できるならば、入射光101の波長λ、入射光の口径をd、レンズの焦点距離をfとすると、次式を満たすhが好ましい。
しかしながら、フォトディテクタの検出面の大きさは、メーカーにより規格が決まっているため、安価で標準的なフォトディテクタを用いることを前提に考えれば、最適なhに近い大きさのフォトディテクタを選択すれば良い。
フォトディテクタの検出面の大きさが、集光位置でのビームの口径よりもはるかに大きくなるような、さらに安価なフォトディテクタを用いるのであれば、図2で示すようにフォトディテクタの検出面手前にピンホール106を置くと良い。ピンホール106は、数1を満たす大きさh’とすることで、安価なフォトディテクタを用いて高精度な検出を行うことが可能となる。
外部接続機器105は、検出手段104からの光信号に対応する電気信号を可視化するための機器であり、オシロスコープやパーソナルコンピュータが一般的に用いられる。本実施形態ではオシロスコープを用いており、入射光101の光強度がオシロスコープによって電圧値として出力される。
図3は、位相素子102及び集光手段103の替わりに、入射光に螺旋状の位相を付加する位相素子に集光レンズの機能を持たせた集光光渦発生素子107を備える光学機器の構成図である。集光光渦発生素子107は、集光の位相変化量φ1、螺旋状の位相変化量φ2として、φ1+φ2の位相変化量を入射光に与える素子であり、素子数の減少により光学機器の小型化を実現することが可能である。
上記の主な素子構造としては、非文献文献1に詳しく述べられている。
図5(a)は、光渦発生素子の入射面の模式図である。白色が最も位相変調量が大きい領域(該位相変調量をφmaxとする)、黒色が最も位相変調量が低い領域であり(該位相変調量をφminとする)、黒色から白色へのグラデーションによって、位相の連続的変化を表現している。
図5(b)は、光渦発生素子の一例を示す。光渦発生素子120は、合成石英などの透明部材から成り、光渦発生素子120の片面に螺旋構造を有する。XY平面に置かれる光渦発生素子120に対して、−Z方向から入射光121が入射する。入射光121は、光渦発生素子120を透過することで、螺旋状の位相が付加される。そのため、螺旋構造面は入射光の口径よりも大きく作製し、入射面全体を透過させるのが望ましい。
透明部材表面の螺旋構造の作製手法は、フォトリソグラフィが主流である。また、容易、且つ安価に光学素子を作製する手法の一つとして、マスクレスリソグラフィを利用することもできる。マスクレスリソグラフィでは、マスクに空間光変調器を用いるため、マスクを作製する必要が無い。マスクレスリソグラフィの空間光変調器に、図5(a)に示すような光渦発生素子の入射面に対応するグレースケール画像を表示させ、リソグラフィを行うことで、透明部材になだらかな螺旋構造を容易、且つ安価に作製可能である。
図5(b)で示す螺旋構造面は、連続的なスロープにて一周する面構造を有しているが、図5(c)で示すように階段形状にして螺旋構造面を作製しても良い。連続的な螺旋形状面と比較すれば、階段形状面の方が作製は容易であるため、大量生産を考慮すれば階段形状の方が好ましい。
しかしながら、階段形状では、階段の段差から入射光に位相の飛びが生じるため、出射光は段差部分から不要な回折光が生じてしまう。そのため、光利用効率の観点からすれば、連続的な螺旋形状の方が好ましい。階段形状を作製するのであれば、階段の段差を小さくし、不要な回折光を軽減するために少なくとも4段以上の階段数を有することが望ましい。
また、光渦発生素子の片面に反射膜を成膜し、光渦発生素子を反射型で使用することも可能である。図6は、反射型光渦発生素子における構成図を示す。
図6(a)において、光渦発生素子は透明部材122から成り、表面には螺旋構造123が形成される。透明部材122における螺旋構造123の対面側には、反射膜124が成膜され、透明部材122を透過した光を反射膜124で反射させる。反射膜124は、アルミや銀、金等などの金属であって、入射波長に対して反射率の高い金属である。成膜は、スパッタや蒸着などの一般的な手法を用いれば良い。
図6(a)で示す反射型光渦発生素子は、螺旋構造の一周の段差は入射光の往路と復路を考慮すれば、透過型光渦発生素子の螺旋構造の一周の段差の半分で良いため、透過型光渦発生素子に比べて作製が簡易である。
また、図6(b)で示すように螺旋構造123上に反射膜124を成膜させることも可能である。
図7は、本発明の実施形態における反射型光渦発生素子を用いた光学機器の構成図である。本光学機器は、偏光ビームスプリッタ125と、λ/4波長板126と、反射型光渦発生素子127と、集光レンズ128と、フォトディテクタ129とを備える。
先ず、Z方向から入射する入射光は、光路上に備えられた偏光ビームスプリッタ125を透過する。その際、入射光の偏光方向を、偏光ビームスプリッタを透過する偏光方向に設定しておくと望ましい(図ではX方向の直線偏光とする)。λ/4波長板126、及び反射型光渦発生素子127は、偏光ビームスプリッタ125の透過側に備えられ、λ/4波長板126は、X方向の直線偏光から円偏光に変える。反射型光渦発生素子127は、円偏光に変えられた入射光に螺旋状の位相を付加し、反射する。
反射光は上記と逆の光路をたどり、λ/4波長板126にて円偏光からY方向の直線偏光に変えられ、偏光ビームスプリッタ125にて−X方向に反射される。集光レンズ128は、該反射光を集光し、フォトディテクタ129にて検出が行われる。
反射型光渦発生素子を用いた光学機器は、透過型光渦発生素子に比べて、光学機器の筐体のアスペクト比を1:1に作りやすいため、容積を小さく設計することが可能となる。
次に、光渦発生素子を透過したエルミートガウシアン光について詳細に説明する。
図5(b)の光渦発生素子において、透明部材の屈折率n、螺旋構造の一周した段差をdとすると、次式が成り立つ。
入射光であるエルミートガウシアン光が螺旋状の位相を付加する位相素子を透過すると、図8(a)に示すようなドーナツ状の強度分布となり、図8(b)に示すように、等位相面111は螺旋状となる。このように等位相面が螺旋状の光は、ラゲールガウシアン光として知られている。
ラゲールガウシアン光の波動関数Ψは、円筒座標系(ρ,φ,z)におけるヘルムホルツ方程式の解として、以下のように記述される。
ここで、ωはzにおける光の口径、Rは波面の曲率、kは波数、Lρ|m|はラゲール関数、mはモードの次数である。
図9に示すように、ラゲールガウシアン光はmの次数が大きくなるにつれて、ドーナツ状の口径が大きくなることが知られている。図10は、m=0からm=3のラゲールガウシアン光が80m伝播したときの強度分布の計算結果を示す図である。縦軸は強度、横軸は位置を示す。図10による結果からも次数mが大きくなるにつれて、ドーナツ状の口径が大きくなることが分かる。
そのため、光渦発生素子に液晶などの空間位相変調器を利用すると、外部入力による電気信号によって液晶表示部での位相変調を自在に行うことができ、ラゲールガウシアン光の口径を可変することができる。すなわち、入射光のラゲールガウシアン光に変換後の開口数を自在に変えることができ、入射光の特性に依存しない汎用性に富んだ光学機器を提供することが可能となる。
また、光のエネルギーは等位相面に垂直に進むので、ラゲールガウシアン光の光エネルギーは渦状に光軸を進むことになり、螺旋状の位相が付加されたラゲールガウシアン光は光渦(optical vortex)と呼ばれる。
光渦の特徴として、数3よりexp(imφ)という位相因子から、光渦の中心は位相が不確定となるために位相特異点が表れる。そのため、光渦発生素子からの出射光の強度分布は中心がゼロとなり、その結果ドーナツ状の強度分布となる。また、光の波面を回すことで、光に軌道角運動量を持たせることができる。その応用として、光渦内に微粒子をトラップし、空間的に制御するといった光ピンセットが知られている。(特表2005−528194)
図11は、最大位相差Φmax(数2のφmax−φmin、数3のmφに相当)を変えた時のラゲールガウシアン光の強度分布を示す。なお、本強度分布は波動光学シミュレーションソフトを用いて算出している。
図11において(a)はΦmax=0、(b)はΦmax=π、(c)はΦmax=3π/2、(d)はΦmax=2π、(e)はΦmax=5π/2の時の強度分布をそれぞれ示している。上記結果から分かるように、最大位相差が2πとなったときが最も正対称なドーナツ型の強度分布となる。
図11における結果と、図9の結果とを合わせると、入射光の波長の整数倍の最大位相差を与える光渦発生素子が、本発明の実施形態における光学機器にとって最も良好な素子となる。
図12(a)及び(b)は、発散角度を持った入射光101が光学機器に入射したときの模式図である。集光手段103を通過した光の焦点位置は、検出手段104であるフォトディテクタの前後にシフトする。そのため、フォトディテクタの検出面では入射光の口径が大きく、検出面から入射光が外れることになり、外部接続機器105への信号出力が弱くなる。このとき、信号強度は発散角の関数として表されるため、入射光の発散角を検出することが可能である。
発散角検出における主な利用法として、光源から出たレーザ光をコリメートレンズによって最も平行にする(以下、平行光)ための光学系の調節に用いることができる。図13は、光源108から発するレーザ光をコリメートレンズ109によって平行光としたときの模式図である。
コリメートレンズ109を通過したレーザ光101が、光学機器に入射したら、まずはレーザ光101の光軸と光学機器の光軸が合うように、入射光の入射面(XY面)を調節し、外部接続機器105の信号出力が最大となるように、光学機器の位置を調節する。そして、レーザ光101が平行光となるようにコリメートレンズ109を光軸方向(Z方向)に調節する。
図14にエルミートガウシアン光とラゲールガウシアン光との比較図を示す。図14(a)〜(d)は、入射光130がフォトディテクタの検出面131に照射された時の模式図を示し、図14(a)及び(b)の入射光130は、エルミートガウシアン光であり、(a)は、平行光である。(b)は、入射光130が非平行光であるため、検出面131から外れて、検出できる光量が落ちてしまっている。
図14(c)及び(d)の入射光132は、ラゲールガウシアン光であり、(c)は、平行光である。このとき、検出面131内に入射光の口径が収まるため、検出できる光量は図14(a)の場合と同等である。しかし、(d)のように、入射光132が非平行光で検出面131から外れると、図14(b)に比べ相対的な光量のロスが大きくなる。そのため、ラゲールガウシアン光の方が発散角度の変化量を感度良く検出することができる。そこで、本発明の実施形態における光学機器は、入射光をラゲールガウシアン光に変換して光検出を行うことを特徴とする。
図15は、図13で示す光学機器において検出手段104の検出位置を光軸方向にシフトさせたときの光量の測定結果を示す図である。光学系の詳細は、入射光はHe−Neレーザで波長632.8nm、レーザ口径2mm、レンズNA0.28、フォトディテクタの検出面の大きさ1mm2である。また、光渦発生素子には、透明部材に合成石英(屈折率1.457)を用いて、数2より螺旋構造面の高さ1384nmを目標に光渦発生素子を作製し、m=1のラゲールガウシアン光を発生させている。
図15の横軸はフォトディテクタの位置、縦軸は光量を表す。横軸の原点は、光量が最大となる位置、すなわち、入射光の焦点位置である。上述したように、フォトディテクタの位置を光軸方向にシフトさせることは、平行光から非平行光へと変化させたときと同等である。図15の結果から分かるように、エルミートガウシアン光よりもラゲールガウシアン光の方が、検出位置のシフトに対する光量の変化量が大きい。
図16は、本発明の実施形態における光学装置の構成図である。光学装置は、加工装置や光ディスク駆動装置、顕微鏡等に幅広く応用することが可能である。
本実施形態における光学装置は、光学機器210である光渦発生素子205と、集光レンズ206と、フォトディテクタ207と、光源200と、光源200から発生した光201を被照射物203上に集光する集光手段202と、被照射物203から反射された光を光学機器210に入射する光学系204と、ステージ208と、制御部209とを備える。
光源200は、加工装置であればエキシマレーザや水銀ランプ等、光ディスク駆動装置であれば半導体レーザ等、顕微鏡であればレーザやランプ等が用いられる。光源200から出射した照射光201を平行光にする必要がある場合には、光源200の直後にコリメートレンズが備えられる。
集光手段202は、主に対物レンズが用いられる。被照射物203から反射した反射光は、入射光と逆の光路をたどり、光学系204により光学機器210へと導かれる。光学系204は、加工装置や光ディスク駆動装置であればハーフミラーやλ/4波長板+偏光ビームスプリッタ等、顕微鏡であればダイクロイックミラーやハーフミラー等が用いられる。
図17は、他の実施形態における光学装置の構成図である。本装置は、光学系204の替わりに片面ミラー211を有する。すなわち、被照射物203からの反射光は、入射光と逆の光路をたどらずに、片面ミラー211によって光学機器210に導かれる。
一方、光学機器210は上述のとおり、光渦発生素子205と、集光レンズ206と、フォトディテクタ207とから構成され、反射光の発散角を検出することが可能である。
制御部209は、コンピュータ端末であり、フォトディテクタ207からの電気信号を出力し、フォトディテクタ207で検出した光量をモニタすることができる。また、被照射物203が置かれたステージ208は、光学機器210によって被照射物203の焦点位置を検出し、自動制御される。
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
101 入射光
102 光渦発生素子
103 集光手段
104 検出手段
105 外部接続機器
106 ピンホール
107 集光光渦発生素子
102 光渦発生素子
103 集光手段
104 検出手段
105 外部接続機器
106 ピンホール
107 集光光渦発生素子
Claims (8)
- 入射光に螺旋状の位相を付加する位相素子と、
前記位相素子により螺旋状の位相が付加された光を集光する集光手段と、
前記集光手段により集光された光を検出する検出手段とを備えることを特徴とする光学機器。 - 前記検出手段の光の入射方向における検出面手前に開口手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光学機器。
- 前記集光手段は、前記位相素子に備えられることを特徴とする請求項1又は2記載の光学機器。
- 前記位相素子は、片面に螺旋構造を有し、前記片面又は裏面に反射膜を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光学機器。
- 前記位相素子は、空間位相変調器であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学機器。
- 前記位相素子は、入射光の波長の整数倍の最大位相差を付加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学機器。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の光学機器と、
光源と、
被照射物を置くためのステージと、
前記光源から発生した光を前記被照射物上に集光する第2の集光手段と、
前記被照射物から反射した光を前記位相素子に出射する光学系とを備えることを特徴とする光学装置。 - 前記検出手段にて検出した光量から前記被照射物の焦点位置を検出し、前記焦点位置に合うように前記ステージを制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の光学装置。
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