JP2009289585A - 負極および二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイクル特性を向上させることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】正極21および負極22と共に電解液を備え、正極21と負極22との間に設けられたセパレータ23に電解液が含浸されている。負極22は、負極集電体上に負極活物質層を有している。負極活物質層は、負極活物質としてケイ素およびケイ素化合物のうちの少なくとも一方、ならびにポリマーからなる結着材を含み、かつ、以下の条件式(1)を満足する。Aは負極活物質層における負極集電体側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比であり、Bは負極活物質層における負極集電体と反対側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比である。
0.7≦B<A≦1.5 ……(1)
【選択図】図2

Description

本発明は、負極集電体上に負極活物質層を有する負極、およびそれを備えた二次電池に関する。
近年、ビデオカメラ、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及している。そのようなポータブル電子機器の電源としては、一般に、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)が使用されている。
最近では、ポータブル電子機器の小型化、軽量化および長寿命化が強く求められていることから、リチウムイオン二次電池についての高エネルギー密度化や長寿命化に関する開発が活発に進められている。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えている。負極は、負極集電体上に負極活物質層を有しており、その負極活物質層は、充放電反応に寄与する負極活物質を含んでいる。
負極活物質としては、炭素材料が広く用いられている。しかしながら、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に伴って電池容量のさらなる向上が求められていることから、炭素材料に代えてケイ素を用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上が期待されるからである。
ところが、ケイ素を含む負極活物質は、充放電に伴い、炭素材料と比べて大きな膨張および収縮(体積変化)を発現する。このため、負極活物質が微粉化し、集電性の劣化や負極集電体との密着性の低下などにより、良好なサイクル特性が得られにくい傾向にあった。
こうした状況下、負極活物質層における負極集電体近傍において、ケイ素やケイ素合金などの負極活物質粒子に対する結着材の混合割合を高め、負極集電体と負極活物質層との密着性を向上させる試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−200686号公報
しかしながら、上記特許文献1では、結着材の量に関する規定はなされているものの、場合によっては十分なサイクル特性が得られない可能性があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、より大きな容量を有すると共に優れた充放電効率を有する二次電池を提供することにある。さらに、本発明の目的は、そのような二次電池に好適な負極を提供することにある。
本発明の負極は、負極集電体に設けられた負極活物質層を有し、その負極活物質層が、ポリマーからなる結着材と共に負極活物質としてケイ素およびケイ素化合物のうちの少なくとも一方を含み、かつ、以下の条件式(1)を満足するようにしたものである。但し、Aは負極活物質層における負極集電体側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比であり、Bは負極活物質層における負極集電体と反対側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比である。ここで、「負極活物質層における負極集電体側の面近傍」とは、負極活物質層の負極集電体側の表面から、負極活物質層全体の厚みの1/4に至るまでの厚み範囲をいう。同様に、「負極活物質層における負極集電体と反対側の面近傍」とは、負極活物質層における負極集電体と反対側の表面から、負極活物質層全体の厚みの1/4に至るまでの厚み範囲をいう。
0.7≦B<A≦1.5 ……(1)
本発明の二次電池は、正極および上記本発明の負極と共に、電解質を備えるようにしたものである。
本発明の負極および二次電池では、負極活物質層のうちの負極集電体側の面近傍において、負極集電体と反対側の面近傍よりも結着材に起因する炭素原子数の割合が高くなっているので、負極集電体と負極活物質層との界面近傍において、充放電時の負極活物質の膨張および収縮に伴う応力変動が緩和される。よって、負極活物質層の剥離強度の向上や、充放電効率の向上を図るうえで有利である。その一方で、負極活物質層全体の、結着材に起因する炭素原子数の割合を大きくした場合よりも、高容量化に有利となる。
本発明の負極によれば、ケイ素およびケイ素化合物などを含む負極活物質層のうちの負極集電体側の面近傍において、負極集電体と反対側の面近傍よりも結着材に起因する炭素原子数の割合を高くするようにしたので、高容量化を図りつつ、充放電時の負極活物質の膨張および収縮に伴う応力変動を緩和することができる。したがって、この負極を電解質と共に本発明の電池などの電気化学デバイスに用いた場合には、高容量でありながら優れた充放電特性を発揮することとなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る負極の断面構成を表している。この負極は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、一対の面を有する負極集電体1と、それに設けられた負極活物質層2とを有している。さらに、この負極は、満充電状態における単位面積当たりのリチウムの吸蔵量をCとし、単位面積当たりの、電気化学的に吸蔵可能なリチウムの量をDとしたとき、以下の条件式(3)を満足するものであるとよい。
0.1≦C/D≦0.8 ……(3)
負極集電体1は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料によって構成されているのが好ましい。このような金属材料としては、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどが挙げられ、中でも、銅が好ましい。高い電気伝導性が得られるからである。
特に、金属材料は、電極反応物質と金属間化合物を形成しない1種あるいは2種以上の金属元素を構成元素として有しているのが好ましい。電極反応物質と金属間化合物を形成すると、電気化学デバイスの動作時(例えば二次電池の充放電時)に、負極活物質層2の膨張および収縮による応力の影響を受けて、集電性が低下したり、負極活物質層2が負極集電体1から剥離したりする可能性があるからである。このような金属元素としては、例えば、銅、ニッケル、チタン、鉄あるいはクロムなどが挙げられる。
また、金属材料は、負極活物質層2と合金化する1種あるいは2種以上の金属元素を構成元素として有しているのが好ましい。負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するため、その負極活物質層2が負極集電体1から剥離しにくくなるからである。電極反応物質と金属間化合物を形成せず、しかも負極活物質層2と合金化する金属元素としては、例えば、負極活物質層2が負極活物質としてケイ素を含む場合には、銅、ニッケルあるいは鉄などが挙げられる。これらの金属元素は、強度および導電性の観点からも好ましい。
なお、負極集電体1は、単層構造あるいは多層構造のいずれを有していてもよい。負極集電体1が多層構造を有する場合には、例えば、負極活物質層2と隣接する層がそれと合金化する金属材料によって構成され、隣接しない層が他の金属材料によって構成されるのが好ましい。
負極集電体1の表面は、粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層2と対向する負極集電体1の表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体1の表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法を使用して作製された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。この他、粗面化の方法としては、例えば、圧延銅箔をサンドブラスト処理する方法なども挙げられる。
この負極集電体1の表面の十点平均粗さRzは、1.5μm以上であるのが好ましく、1.5μm以上40μm以下であるのがより好ましく、3μm以上30μm以下であるのがさらに好ましい。負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性がより高くなるからである。詳細には、十点平均粗さRzが1.5μmよりも小さいと、十分な密着性が得られない可能性がある。また、十点平均粗さRzが40μmよりも大きいと、かえって密着性が低下する可能性がある。
負極活物質層2は、塗布法あるいは焼成法を用いて形成されたものであり、負極活物質と共にポリマーからなる負極結着材を含んでいる。負極活物質層2は、さらに、必要に応じて導電材などの他の材料を含んでいてもよい。負極活物質は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含むものである。負極結着材は、負極活物質同士を結着すると共に負極集電体1と負極活物質とを結着するものである。また、負極結着材は、電極反応時において負極活物質が膨張および収縮した場合の逃げ場(緩衝材)として機能するので、負極活物質層2の膨張および収縮による体積変化が緩和される。具体的には、負極活物質層2は、負極活物質層2における負極集電体1側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比をA、負極集電体1と反対側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比をBとしたとき、以下の条件式(1)を満足するように構成されている。さらに、以下の条件式(2)を満足していることが望ましい。ここで、負極活物質層2における負極集電体1側の面近傍とは、負極活物質層2の負極集電体1側の表面から、負極活物質層2全体の厚みの1/4に至るまでの厚み範囲をいう。同様に、負極活物質層2における負極集電体1と反対側の面近傍とは、負極活物質層2における負極集電体1と反対側の表面から、負極活物質層2全体の厚みの1/4に至るまでの厚み範囲をいう。
0.7≦B<A≦1.5 ……(1)
1.5≦A/B ……(2)
負極活物質層2は、上記の条件式(1)を満足するように、例えば負極活物質と負極結着材との混合比が互いに異なった複数層からなる多層構造を有している。あるいは、その負極結着材の種類が互いに異なった複数層からなる多層構造を有している。また、それらを組み合わせた多層構造、すなわち、負極結着材の含有率および種類のうちの少なくとも一方が互いに異なった複数層からなる多層構造であってもよい。また、負極活物質層2は、その負極結着材の含有率が厚み方向に連続的に傾斜した分布を有するものであってもよい。
この負極活物質層2は、例えば、負極集電体1の両面に設けられている。ただし、負極活物質層2は、負極集電体1の片面だけに設けられていてもよい。
負極活物質は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極材料として、ケイ素を構成元素として有する材料を含有している。電極反応物質を吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。このような材料は、ケイ素の単体、合金あるいは化合物のいずれであってもよく、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有するものであってもよい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
上記した条件式(1)において、Bが0.7を下回る場合には、炭素原子数が不足し、すなわち負極結着材が不足し、負極集電体1と負極活物質層2との接着強度が不十分となる。一方、Aが1.5を上回る場合には、負極結着材が過剰に存在することとなり、負極活物質における電極反応物質の吸蔵および放出の妨げとなる。
なお、本発明における合金には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。もちろん、本発明における合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらの2種以上が共存するものもある。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン(Mn)、亜鉛、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を有するものなどが挙げられる。
ケイ素の化合物としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、酸素および炭素(C)を有するものなどが挙げられる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金について説明した一連の元素の1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。
また、負極活物質は、鉄、ニッケル、モリブデン、チタン、クロム、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、銀、スズ、アンチモンおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を構成元素として有しているのが好ましい。負極活物質の結着性が向上し、負極活物質層2の膨張および収縮が抑制され、負極活物質の抵抗が低下するからである。負極活物質中における金属元素の含有量は、任意に設定可能である。ただし、負極が二次電池に用いられる場合には、金属元素の含有量が多くなりすぎると、所望の電池容量を得るために負極活物質層2を厚くしなければならないため、負極活物質層2が負極集電体1から剥がれたり、割れたりする可能性がある。
導電材としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。
負極結着材としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはアクリロニトリルの共重合体が50%以上(特に80%以上)であるアクリロニトリル系重合体、芳香族ポリアミド、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリレートもしくはメタクリレートの単独重合体または共重合体よりなるアクリル系重合体、アクリルアミド系重合体、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素ポリマー、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース類、およびポリビニルアルコールなどが挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。
この負極は、例えば負極集電体1の両面に、塗布法あるいは焼成法を用いて負極活物質層2を形成することで製造される。
具体的には、負極活物質層2を塗布法によって形成する場合には、例えば負極活物質の粒子(特に1μm以上20μm以下のものが好ましい)と、導電材と、結着材とを混合した負極合剤を溶剤に分散させたペースト状の負極合剤スラリーを作製し、それをドクタブレードあるいはバーコータなどを用いて負極集電体1に塗布して乾燥させたのち、圧縮成型する。焼成法による場合には、さらに所定温度で所定時間に亘って加熱処理する。ここで、負極活物質層2を多層構造とする場合には、例えば、まず、負極活物質の粒子に対する結着材の含有率を比較的高くした負極合剤スラリーを用いて第1の層を形成して圧縮成型する。次いで、その上に、上記結着材の含有率を比較的低くした負極合剤スラリーを用いて第2の層を形成し、圧縮成型したのち、必要に応じて加熱処理すればよい。こうすることで、負極活物質層2のうちの負極集電体1側の面近傍において、負極集電体1と反対側の表面近傍よりも結着材に起因する炭素原子数の割合を高くすることができる。
このように、本実施の形態の負極およびその製造方法によれば、条件式(1)を満足するように、ケイ素などを含む負極活物質層2のうちの負極集電体1側の面近傍において、負極集電体1と反対側の面近傍よりも結着材に起因する炭素原子数の割合を高くするようにしたので、高容量化を図りつつ、充放電時の負極活物質の膨張および収縮に伴う応力変動を緩和することができる。このため、負極集電体1に対する負極活物質層2の剥離強度の向上や、充放電効率の向上を図るうえで有利となっている。その一方で、負極活物質層全体の炭素原子数の割合を高くした場合よりも、高容量化に有利となっている。したがって、この負極を電解質と共に二次電池などの電気化学デバイスに用いた場合には、高容量でありながらサイクル特性の向上に寄与することができる。
次に、上記した負極の使用例について説明する。ここで、電気化学デバイスの一例として二次電池を例に挙げると、上記した負極は、以下のようにして二次電池に用いられる。
(第1の二次電池)
図2および図3は第1の二次電池の断面構成を表しており、図3では図2に示したIII−III線に沿った断面を示している。ここで説明する二次電池は、例えば、負極22の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、電池缶11の内部に、扁平な巻回構造を有する電池素子20が収納されたものである。
電池缶11は、例えば、角型の外装部材である。この角型の外装部材とは、図3に示したように、長手方向における断面が矩形型あるいは略矩形型(一部に曲線を含む)の形状を有するものであり、矩形状の角型電池だけでなくオーバル形状の角型電池も構成するものである。すなわち、角型の外装部材とは、矩形状あるいは円弧を直線で結んだ略矩形状(長円形状)の開口部を有する有底矩形型あるいは有底長円形状型の器状部材である。なお、図3では、電池缶11が矩形型の断面形状を有する場合を示している。この電池缶11を含む電池構造は、いわゆる角型と呼ばれている。
この電池缶11は、例えば、鉄、アルミニウムあるいはそれらの合金などの金属材料によって構成されており、電極端子としての機能を有している場合もある。この場合には、充放電時に電池缶11の固さ(変形しにくさ)を利用して二次電池の膨れを抑えるために、アルミニウムよりも固い鉄が好ましい。電池缶11が鉄によって構成される場合には、例えば、ニッケルなどの鍍金が施されていてもよい。
また、電池缶11は、一端部および他端部がそれぞれ閉鎖および開放された中空構造を有しており、その開放端部に絶縁板12および電池蓋13が取り付けられて密閉されている。絶縁板12は、電池素子20と電池蓋13との間に、その電池素子20の巻回周面に対して垂直に配置されており、例えば、ポリプロピレンなどによって構成されている。電池蓋13は、例えば、電池缶11と同様の材料によって構成されており、それと同様に電極端子としての機能を有していてもよい。
電池蓋13の外側には、正極端子となる端子板14が設けられており、その端子板14は、絶縁ケース16を介して電池蓋13から電気的に絶縁されている。この絶縁ケース16は、例えば、ポリブチレンテレフタレートなどによって構成されている。また、電池蓋13のほぼ中央には貫通孔が設けられており、その貫通孔には、端子板14と電気的に接続されると共にガスケット17を介して電池蓋13から電気的に絶縁されるように正極ピン15が挿入されている。このガスケット17は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
電池蓋13の周縁付近には、開裂弁18および注入孔19が設けられている。開裂弁18は、電池蓋13と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などに起因して電池の内圧が一定以上となった場合に、電池蓋13から切り離されて内圧を開放するようになっている。注入孔19は、例えば、ステンレス鋼球からなる封止部材19Aにより塞がれている。
電池素子20は、セパレータ23を介して正極21および負極22が積層および巻回されたものであり、電池缶11の形状に応じて扁平状になっている。正極21の端部(例えば内終端部)にはアルミニウムなどの金属材料によって構成された正極リード24が取り付けられており、負極22の端部(例えば外終端部)にはニッケルなどの金属材料によって構成された負極リード25が取り付けられている。正極リード24は、正極ピン15の一端に溶接されて端子板14と電気的に接続されており、負極リード25は、電池缶11に溶接されて電気的に接続されている。
正極21は、例えば、一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて、正極結着材や正極導電材などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw 2 (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
正極結着材としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
正極導電材としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックあるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、正極導電材は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
負極22は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成は、それぞれ上記した負極における負極集電体1および負極活物質層2の構成と同様である。この負極22では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量が、正極21の放電容量よりも大きくなっているのが好ましい。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながら電極反応物質のイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。
このセパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒の1種あるいは2種以上を含有している。以下で説明する一連の溶媒は、任意に組み合わされてもよい。
非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、あるいはジメチルスルホキシドなどが挙げられる。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。この場合には、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、化1で表されるハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルおよび化2で表されるハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含有しているのが好ましい。充放電時において負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。
Figure 2009289585
(R11〜R16は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
Figure 2009289585
(R17〜R20は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
化1中のR11〜R16は、同一でもよいし、異なってもよい。すなわち、R11〜R16の種類については、上記した一連の基の範囲内において個別に設定可能である。化2中のR17〜R20についても、同様である。
ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素、塩素あるいは臭素が好ましく、フッ素がより好ましい。高い効果が得られるからである。他のハロゲンと比較して、高い効果が得られるからである。
ただし、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上であってもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
化1に示したハロゲンを有する鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、炭酸ビス(フルオロメチル)が好ましい。高い効果が得られるからである。
化2に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルとしては、例えば、化3および化4で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、化3に示した(1)の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(2)の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(3)の4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(4)のテトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(5)の4−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(6)の4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(7)のテトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(8)の4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(9)の4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(10)の4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(11)の4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(12)の4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。また、化4に示した(1)の4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(2)の4−メチル−5−トリフルオロ−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(3)の4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(4)の5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(5)の4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(6)の4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(7)の4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(8)の4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(9)の4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2009289585
Figure 2009289585
中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがより好ましい。特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
また、溶媒は、化5〜化7で表される不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含有しているのが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2009289585
(R21およびR22は水素基あるいはアルキル基である。)
Figure 2009289585
(R23〜R26は水素基、アルキル基、ビニル基あるいはアリル基であり、それらのうちの少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。)
Figure 2009289585
(R27はアルキレン基である。)
化5に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン系化合物である。この炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、あるいは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどが挙げられ、中でも、炭酸ビニレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
化6に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニルエチレン系化合物である。炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも、炭酸ビニルエチレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。もちろん、R23〜R26としては、全てがビニル基でもよいし、全てがアリル基でもよいし、ビニル基とアリル基とが混在していてもよい。
化7に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸メチレンエチレン系化合物である。炭酸メチレンエチレン系化合物としては、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。この炭酸メチレンエチレン系化合物としては、1つのメチレン基を有するもの(化7に示した化合物)の他、2つのメチレン基を有するものであってもよい。
なお、不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、化5〜化7に示したものの他、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などであってもよい。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)や酸無水物を含有しているのが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。
スルトンとしては、例えば、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどが挙げられ、中でも、プロペンスルトンが好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物あるいはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物や、エタンジスルホン酸無水物あるいはプロパンジスルホン酸無水物などのジスルホン酸無水物や、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物あるいはスルホ酪酸無水物などのカルボン酸とスルホン酸との無水物などが挙げられ、中でも、コハク酸無水物あるいはスルホ安息香酸無水物が好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種あるいは2種以上を含有している。以下で説明する一連の電解質塩は、任意に組み合わせてもよい。
リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)、あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。電気化学デバイスにおいて、優れた電気的性能が得られるからである。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
特に、電解質塩は、化8〜化10で表される化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有しているのが好ましい。上記した六フッ化リン酸リチウム等と一緒に用いられた場合に、より高い効果が得られるからである。なお、化8中のR31およびR33は、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、化9中のR41〜R43および化10中のR51およびR52についても同様である。
Figure 2009289585
(X31は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素、またはアルミニウムである。M31は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。R31はハロゲン基である。Y31は−(O=)C−R32−C(=O)−、−(O=)C−C(R33)2 −あるいは−(O=)C−C(=O)−である。ただし、R32はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基あるいはハロゲン化アリーレン基である。R33はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基あるいはハロゲン化アリール基である。なお、a3は1〜4の整数であり、b3は0、2あるいは4であり、c3、d3、m3およびn3は1〜3の整数である。)
Figure 2009289585
(X41は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M41は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Y41は−(O=)C−(C(R41)2 b4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(R43)2 −、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −である。ただし、R41およびR43は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それぞれのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R42は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a4、e4およびn4は1あるいは2であり、b4およびd4は1〜4の整数であり、c4は0〜4の整数であり、f4およびm4は1〜3の整数である。)
Figure 2009289585
(X51は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M51は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Rfはフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基であり、いずれの炭素数も1〜10である。Y51は−(O=)C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(R52)2 −、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −である。ただし、R51は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R52は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、そのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a5、f5およびn5は1あるいは2であり、b5、c5およびe5は1〜4の整数であり、d5は0〜4の整数であり、g5およびm5は1〜3の整数である。)
なお、長周期型周期表とは、IUPAC(国際純正・応用化学連合)が提唱する無機化学命名法改訂版によって表されるものである。具体的には、1族元素とは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムである。2族元素とは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびラジウムである。13族元素とは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウムである。14族元素とは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズおよび鉛である。15族元素とは、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスである。
化8に示した化合物としては、例えば、化11の(1)〜(6)で表される化合物などが挙げられる。化9に示した化合物としては、例えば、化12の(1)〜(8)で表される化合物などが挙げられる。化10に示した化合物としては、例えば、化13で表される化合物などが挙げられる。なお、化8〜化10に示した構造を有する化合物であれば、化11〜化13に示した化合物に限定されないことは言うまでもない。
Figure 2009289585
Figure 2009289585
Figure 2009289585
また、電解質塩は、化14〜化16で表される化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有していてもよい。上記した六フッ化リン酸リチウム等と一緒に用いられた場合に、より高い効果が得られるからである。なお、化14中のmおよびnは、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、化16中のp、qおよびrについても同様である。
Figure 2009289585
(mおよびnは1以上の整数である。)
Figure 2009289585
(R61は炭素数が2以上4以下の直鎖状あるいは分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
Figure 2009289585
(p、qおよびrは1以上の整数である。)
化14に示した鎖状の化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 5 SO2 2 )、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 5 SO2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 7 SO2 ))、あるいは(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 9 SO2 ))などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
化15に示した環状の化合物としては、例えば、化17で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、化17に示した(1)の1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウム、(2)の1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム、(3)の1,3−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウム、(4)の1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウムが好ましい。高い効果が得られるからである。
Figure 2009289585
化16に示した鎖状の化合物としては、例えば、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などが挙げられる。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であるのが好ましい。この範囲外では、イオン伝導性が極端に低下する可能性があるからである。
この二次電池は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、正極結着材と、正極導電材とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードあるいはバーコータなどを用いて正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて塗膜を圧縮成型して正極活物質層21Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
次に、上記した負極の作製手順と同様の手順により、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成して負極22を作製する。
次に、正極21および負極22を用いて電池素子20を作製する。最初に、正極集電体21Aに正極リード24を溶接などして取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード25を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層させたのち、長手方向において巻回させる。最後に、扁平な形状となるように巻回体を成型する。
二次電池の組み立ては、以下のようにして行う。最初に、電池缶11の内部に電池素子20を収納したのち、その電池素子20上に絶縁板12を配置する。続いて、正極リード24を正極ピン15に溶接などして接続させると共に、負極リード25を電池缶11に溶接などして接続させたのち、レーザ溶接などによって電池缶11の開放端部に電池蓋13を固定する。最後に、注入孔19から電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させたのち、その注入孔19を封止部材19Aで塞ぐ。これにより、図2および図3に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この角型の二次電池によれば、負極22が上記した負極と同様の構成を有しているので、高容量を確保しつつ、サイクル特性を向上させることができる。
特に、電解液の溶媒が、化1に示したハロゲンを有する鎖状炭酸エステルおよび化2に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種や、化5〜化7に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種や、スルトンや、酸無水物を含有していれば、より高い効果を得ることができる。
また、電解質塩の電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種や、化8〜化10に示した化合物からなる群のうちの少なくとも1種や、化14〜化16に示した化合物からなる群のうちの少なくも1種を含有していれば、より高い効果を得ることができる。
また、電池缶11が固い金属製であれば、柔らかいフィルム製である場合と比較して、負極活物質層22Bが膨張および収縮した際に負極22が破損しにくくなる。したがって、サイクル特性をより向上させることができる。この場合には、電池缶11がアルミニウムよりも固い鉄製であれば、より高い効果を得ることができる。
この二次電池に関する上記以外の効果は、上記した負極と同様である。
(第2の二次電池)
図4および図5は第2の二次電池の断面構成を表しており、図5では図4に示した巻回電極体40の一部を拡大して示している。第2の二次電池は、例えば、上記した第1の二次電池と同様に、リチウムイオン二次電池である。この第2の二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶31の内部に、セパレータ43を介して正極41と負極42とが積層および巻回された巻回電極体40と、一対の絶縁板32,33とが収納されたものである。この電池缶31を含む電池構造は、いわゆる円筒型と呼ばれている。
電池缶31は、例えば、上記した第1の二次電池における電池缶11と同様の金属材料によって構成されており、その一端部および他端部はそれぞれ閉鎖および開放されている。一対の絶縁板32,33は、巻回電極体40を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶31の開放端部には、電池蓋34と、その内側に設けられた安全弁機構35および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)36とが、ガスケット37を介してかしめられることによって取り付けられている。これにより、電池缶31の内部は密閉されている。電池蓋34は、例えば、電池缶31と同様の金属材料によって構成されている。安全弁機構35は、熱感抵抗素子36を介して電池蓋34と電気的に接続されている。この安全弁機構35では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板35Aが反転して電池蓋34と巻回電極体40との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子36は、温度の上昇に応じて抵抗が増大することによって電流を制限し、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット37は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体40の中心には、センターピン44が挿入されていてもよい。この巻回電極体40では、アルミニウムなどの金属材料によって構成された正極リード45が正極41に接続されていると共に、ニッケルなどの金属材料によって構成された負極リード46が負極42に接続されている。正極リード45は、安全弁機構35に溶接などされて電池蓋34と電気的に接続されており、負極リード46は、電池缶31に溶接などされて電気的に接続されている。
正極41は、例えば、一対の面を有する正極集電体41Aの両面に正極活物質層41Bが設けられたものである。負極42は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体42Aの両面に負極活物質層42Bが設けられたものである。正極集電体41A、正極活物質層41B、負極集電体42A、負極活物質層42Bおよびセパレータ43の構成、ならびに電解液の組成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成、ならびに電解液の組成と同様である。
この二次電池は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、例えば、上記した第1の二次電池における正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体41Aの両面に正極活物質層41Bを形成して正極41を作製すると共に、負極集電体42Aの両面に負極活物質層42Bを形成して負極42を作製する。続いて、正極41に正極リード45を溶接などして取り付けると共に、負極42に負極リード46を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ43を介して正極41と負極42とを積層および巻回させて巻回電極体40を作製したのち、その巻回中心にセンターピン44を挿入する。続いて、一対の絶縁板32,33で挟みながら巻回電極体40を電池缶31の内部に収納すると共に、正極リード45の先端部を安全弁機構35に溶接し、負極リード46の先端部を電池缶31に溶接する。続いて、電池缶31の内部に電解液を注入してセパレータ43に含浸させる。最後に、電池缶31の開口端部に電池蓋34、安全弁機構35および熱感抵抗素子36をガスケット37を介してかしめて固定する。これにより、図4および図5に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極41からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極42に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極42からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極41に吸蔵される。
この円筒型の二次電池によれば、負極42が上記した負極と同様の構成を有しているので、高容量を確保しつつ、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
(第3の二次電池)
図6は第3の二次電池の分解斜視構成を表しており、図7は図6に示したVII−VII線に沿った断面を拡大して示している。第3の二次電池は、例えば、上記した第1の二次電池と同様に、リチウムイオン二次電池である。この第3の二次電池は、主に、フィルム状の外装部材60の内部に、正極リード51および負極リード52が取り付けられた巻回電極体50が収納されたものである。この外装部材60を含む電池構造は、いわゆるラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード51および負極リード52は、例えば、外装部材60の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード51は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されており、負極リード52は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材60は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材60は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体50と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着あるいは接着剤によって互いに接着された構造を有している。
外装部材60と正極リード51および負極リード52との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム61が挿入されている。この密着フィルム61は、正極リード51および負極リード52に対して密着性を有する材料によって構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材60は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムによって構成されていてもよい。
巻回電極体50は、セパレータ55および電解質56を介して正極53と負極54とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ57によって保護されている。
正極53は、例えば、一対の面を有する正極集電体53Aの両面に正極活物質層53Bが設けられたものである。負極54は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体54Aの両面に負極活物質層54Bが設けられたものである。正極集電体53A、正極活物質層53B、負極集電体54A、負極活物質層54Bおよびセパレータ55の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
電解質56は、電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、あるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質56において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質56に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ55に含浸される。
このゲル状の電解質56を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順によって製造される。
第1の製造方法では、最初に、例えば、上記した第1の二次電池における正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体53Aの両面に正極活物質層53Bを形成して正極53を作製すると共に、負極集電体54Aの両面に負極活物質層54Bを形成して負極54を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極53および負極54に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質56を形成する。続いて、正極集電体53Aに正極リード51を取り付けると共に、負極集電体54Aに負極リード52を取り付ける。続いて、電解質56が形成された正極53と負極54とをセパレータ55を介して積層および巻回したのち、その最外周部に保護テープ57を接着させて巻回電極体50を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材60の間に巻回電極体50を挟み込んだのち、その外装部材60の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体50を封入する。この際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間に、密着フィルム61を挿入する。これにより、図6および図7に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極53に正極リード51を取り付けると共に、負極54に負極リード52を取り付ける。続いて、セパレータ55を介して正極53と負極54とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ57を接着させて、巻回電極体50の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材60の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材60の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材60の内部に注入したのち、外装部材60の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質56を形成する。これにより、図6および図7に示した二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ55を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材60の内部に収納する。このセパレータ55に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体あるいは多元共重合体などが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種あるいは2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材60の内部に注入したのち、その外装部材60の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材60に加重をかけながら加熱し、高分子化合物を介してセパレータ55を正極53および負極54に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質56が形成されるため、図6および図7に示した二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法と比較して、二次電池の膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法と比較して、高分子化合物の原料であるモノマーや溶媒などが電解質56中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御されるため、正極53、負極54およびセパレータ55と電解質56との間において十分な密着性が得られる。
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、負極54が上記した負極と同様の構成を有しているので、高容量を確保しつつ、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
(第4の二次電池)
図8は、第4の二次電池の断面構成を表している。この二次電池は、正極71を外装缶74に貼り付けると共に負極72を外装カップ75に収容し、それらを電解液が含浸されたセパレータ73を介して積層したのちにガスケット76を介してかしめたものである。この外装缶74および外装カップ75を用いた電池構造は、いわゆるコイン型と呼ばれている。
正極71は、正極集電体71Aの一面に正極活物質層71Bが設けられたものである。負極72は、正極集電体72Aの一面に負極活物質層72Bが設けられたものである。正極集電体71A、正極活物質層71B、負極集電体72A、負極活物質層72Bおよびセパレータ73の構成は、それぞれ上記した第1の電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
この二次電池では、上記した第1の電池の同様に、正極71と負極72との間でリチウムイオンが吸蔵および放出される。すなわち、充電を行うと、例えば、正極71からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極72に吸蔵される。一方、放電を行うと、負極72からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極71に吸蔵される。
このコイン型の二次電池によれば、負極72が上記した負極と同様の構成を有しているので、高容量を確保しつつ、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
本発明の実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1)
以下の手順により、図8に示したコイン型の二次電池を製造した。この際、負極72の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
最初に、正極71を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃で5時間焼成することにより、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物91質量部と、正極導電材としてグラファイト6質量部と、正極結着材としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。さらに、帯状のアルミニウム箔(厚さ=12μm)からなる正極集電体71Aの一面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、正極活物質層71Bを形成した。最後に、正極活物質層71Bが形成された正極集電体71Aを直径15.5mmのペレットとなるように打ち抜いた。
次に、負極72を作製した。まず、負極集電体72Aとして粗面化された電解銅箔(厚さ=15μm,十点平均粗さRz=3.6μm)と、負極活物質としてのケイ素粒子とを準備した。こののち、焼成法により、負極集電体72Aの一面に負極活物質層72Bを形成した。具体的には、負極活物質としての平均粒径4μmのケイ素粒子と、負極結着材としてのポリイミドを20重量%の濃度でN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比7:2の割合で混合して第1の負極合剤スラリーを作製した。この第1の負極合剤スラリーを負極集電体72Aの一面に均一に塗布して80℃で乾燥させたのち、圧縮成型することで約5μmの第1の負極活物質層を得た。続いて、負極活物質としての平均粒径4μmのケイ素粒子と、負極結着材としてのポリイミドを20重量%の濃度でN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比8:1の割合で混合して第2の負極合剤スラリーを作製した。そののち、この第2の負極合剤スラリーを第1の負極活物質層上に均一に塗布して80℃で乾燥させたのち、圧縮成型することで約5μmの第2の負極活物質層を得た。さらに、全体を、真空雰囲気下において700℃の温度で3時間に亘って加熱することで、厚さ10μmの負極活物質層72Bを得た。最後に、負極活物質層72Bが形成された負極集電体72Aを直径16mmのペレットとなるように打ち抜いた。
続いて、正極71、負極72、および微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータ73を、正極活物質層71Bと負極活物質層72Bとがセパレータ73を介して対向するように積層したのち、外装缶74に収容した。そののち、電解液を注入し、ガスケット76を介して外装カップ75を被せてかしめることにより、コイン型の二次電池を完成させた。
ここで、電解液については、溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)と炭酸ジエチル(DEC)とを混合したのち、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )を溶解させたものを用いた。この際、溶媒の組成(FEC:DEC)を重量比で50:50とし、LiPF6 の含有量を溶媒に対して1.0mol/kgとし、LiBF4 の含有量を溶媒に対して1.0mol/kgとした。
(実施例1−2)
ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比9:3の割合で混合して第1の負極合剤スラリーを作製したことを除き、他は実施例1−1と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(実施例1−3)
ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比8:2の割合で混合して第2の負極合剤スラリーを作製したことを除き、他は実施例1−2と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(実施例1−4)
ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比8:2の割合で混合して第2の負極合剤スラリーを作製したことを除き、他は実施例1−1と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例1−1)
ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比9:1の割合で混合して第2の負極合剤スラリーを作製したことを除き、他は実施例1−2と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例1−2)
ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比6:3の割合で混合して第1の負極合剤スラリーを作製したことを除き、他は実施例1−1と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例1−3)
ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比8:2の割合で混合して第1の負極合剤スラリーを作製すると共に、ケイ素粒子と、ポリイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させたものとを重量比7:2の割合で混合して第2の負極合剤スラリーを作製したことを除き、他は実施例1−1と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3の各二次電池における負極について、負極活物質層における負極集電体側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比Aと、負極活物質層における負極集電体と反対側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比Bとを以下のようにして調査した。具体的には、まず、ミクロトームによって負極の断面を切り出し、負極活物質層と負極集電体との界面近傍、および負極活物質層の表面近傍の双方についてエネルギー分散型X線分析装置を付帯した走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)によって観察像を得た。次いで、EDXによってその観察像上の元素分析を行い、負極活物質層における、負極集電体との界面から負極活物質層全体の厚みの1/4に至るまでの厚み範囲の原子数比Aと、負極集電体と反対側の表面から負極活物質層全体の厚みの1/4に至るまでの厚み範囲の原子数比Bとをそれぞれ算出した。それらの結果を表1に示す。
また、実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる際には、サイクル試験を行って放電容量維持率を求めた。具体的には、最初に、23℃の雰囲気中において充放電させて、1サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同雰囲気中において99サイクル充放電させて、100サイクル目の放電容量を測定した。最後に、放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を算出した。この際、充電条件としては、0.2Cの定電流で電池電圧が4.2Vに到達するまで充電したのち、引き続き4.2Vの定電圧で電流が0.05Cに到達するまで充電した。また、放電条件としては、0.2Cの定電流で電池電圧が2.5Vに到達するまで放電した。
なお、上記した原子数比A,B、およびサイクル特性を調べる際の手順および条件は、以降の一連の実施例および比較例に関する同特性の評価についても同様である。
Figure 2009289585
表1に示したように、実施例1−1〜1−4では、原子数比Aが原子数比Bよりも大きく、かつ、原子数比A,Bがいずれも0.7以上1.5以下であるので、比較例1−1〜1−3よりも高い放電容量維持率が得られた。
これらの結果は、負極活物質層のうち、負極集電体との界面近傍において結着材の含有率を高めたことにより、充放電時において負極活物質層の膨張および収縮が緩和されたことによるものと考えられる。
(実施例2−1〜2−4)
負極結着材として、ポリイミドに代えてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−4とそれぞれ同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例2−1〜2−3)
負極結着材として、ポリイミドに代えてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いたことを除き、他は比較例1−1〜1−3と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
これらの実施例2−1〜2−4および比較例2−1〜2−3の二次電池について原子数比A,Bおよびサイクル特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
Figure 2009289585
(実施例3−1〜3−4)
負極結着材として、ポリイミドに代えてポリアクリロニトリル(PAN)を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−4とそれぞれ同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例3−1〜3−3)
負極結着材として、ポリイミドに代えてポリアクリロニトリル(PAN)を用いたことを除き、他は比較例1−1〜1−3と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
これらの実施例3−1〜3−4および比較例3−1〜3−3の二次電池について原子数比A,Bおよびサイクル特性を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
Figure 2009289585
(実施例4−1〜4−4)
負極結着材としてポリイミドに代えてカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いると共に、N−メチル−2−ピロリドンに代えてイオン交換水を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−4とそれぞれ同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例4−1〜4−3)
負極結着材としてポリイミドに代えてカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いると共に、N−メチル−2−ピロリドンに代えてイオン交換水を用いたことを除き、他は比較例1−1〜1−3と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
これらの実施例4−1〜4−4および比較例4−1〜4−3の二次電池について原子数比A,Bおよびサイクル特性を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
Figure 2009289585
(実施例5−1〜5−4)
負極結着材としてポリイミドに代えてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いると共に、N−メチル−2−ピロリドンに代えてイオン交換水を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−4とそれぞれ同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例5−1〜5−3)
負極結着材としてポリイミドに代えてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いると共に、N−メチル−2−ピロリドンに代えてイオン交換水を用いたことを除き、他は比較例1−1〜1−3と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
これらの実施例5−1〜5−4および比較例5−1〜5−3の二次電池について原子数比A,Bおよびサイクル特性を調べたところ、表5に示した結果が得られた。
Figure 2009289585
(実施例6−1〜6−4)
負極結着材としてポリイミドに代えてポリビニルアルコール(PVA)を用いると共に、N−メチル−2−ピロリドンに代えてイオン交換水を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−4とそれぞれ同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
(比較例6−1〜6−3)
負極結着材としてポリイミドに代えてポリビニルアルコール(PVA)を用いると共に、N−メチル−2−ピロリドンに代えてイオン交換水を用いたことを除き、他は比較例1−1〜1−3と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
これらの実施例6−1〜6−4および比較例6−1〜6−3の二次電池について原子数比A,Bおよびサイクル特性を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
Figure 2009289585
表2〜表6に示したように、負極結着材としてポリイミド以外を用いた場合であっても同様の傾向が見られることがわかった。
(実施例7−1〜7−4)
平均粒径0.8μm,1μm,20μmまたは25μmのケイ素粒子をそれぞれ用いて負極活物質層を形成したことを除き、他は実施例1−1と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
これらの実施例7−1〜7−4の二次電池について原子数比A,Bおよびサイクル特性を調べたところ、表7に示した結果が得られた。
Figure 2009289585
表7に示したように、平均粒径が1μm以上20μm以下のケイ素粒子を用いた場合に特に良好なサイクル特性を示すことがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の負極の使用用途は、必ずしも二次電池に限らず、二次電池以外の他の電気化学デバイスであっても良い。他の用途としては、例えば、キャパシタなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、二次電池の種類として、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に伴う容量とリチウムの析出および溶解に伴う容量とを含み、かつ、それらの容量の和によって表される二次電池についても、同様に適用可能である。この二次電池では、負極活物質としてリチウムを吸蔵および放出することが可能な材料が用いられ、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1族元素や、マグネシウム(Mg)あるいはカルシウム(Ca)などの2族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属を用いてもよい。これらの場合においても、負極活物質として、上記した実施の形態で説明した負極材料を用いることが可能である。
本発明の一実施の形態に係る負極の構成を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図2に示した第1の二次電池のIII−III線に沿った断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第2の二次電池の構成を表す断面図である。 図4に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第3の二次電池の構成を表す断面図である。 図6に示した巻回電極体のVII−VII線に沿った断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第4の二次電池の構成を表す断面図である。
符号の説明
1,22A,42A,54A,72A…負極集電体、2,22B,42B,54B,72B…負極活物質層、11,31…電池缶、12,32,33…絶縁板、13,34…電池蓋、14…端子板、15…正極ピン、16…絶縁ケース、17,37…ガスケット、18…開裂弁、19…注入孔、19A…封止部材、20…電池素子、21,41,53,71…正極、21A,41A,53A,71A…正極集電体、21B,41B,53B,71B…正極活物質層、22,42,54,72…負極、23,43,55,73…セパレータ、24,45,51…正極リード、25,46,52…負極リード、35…安全弁機構、35A…ディスク板、36…熱感抵抗素子、40,50…巻回電極体、44…センターピン、56…電解質、57…保護テープ、61…密着フィルム、60…外装部材。

Claims (9)

  1. 負極集電体に設けられた負極活物質層を有し、
    前記負極活物質層が、ポリマーからなる結着材と共に負極活物質としてケイ素およびケイ素化合物のうちの少なくとも一方を含み、かつ、以下の条件式(1)を満足する負極。
    0.7≦B<A≦1.5 ……(1)
    但し、
    A;負極活物質層における負極集電体側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比。
    B;負極活物質層における負極集電体と反対側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比。
  2. さらに、以下の条件式(2)を満足するようにした請求項1記載の負極。
    1.5≦A/B ……(2)
  3. 前記結着材が、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種を含むようにした請求項1記載の負極。
  4. 前記負極活物質が、1μm以上20μm以下の平均粒径を有する粒子からなる請求項1記載の負極。
  5. 前記負極集電体が、銅を含有する材料からなる請求項1記載の負極。
  6. 前記負極集電体の表面粗さが、十点平均粗さRz値で3.0以上40以下である請求項1記載の負極。
  7. 正極および負極と共に電解質を備えた二次電池であって、
    前記負極は、負極集電体に設けられた負極活物質層を有し、
    前記負極活物質層が、ポリマーからなる結着材と共に負極活物質としてケイ素およびケイ素化合物のうちの少なくとも一方を含み、かつ、以下の条件式(1)を満足する二次電池。
    0.7≦B<A≦1.5 ……(1)
    但し、
    A;負極活物質層における負極集電体側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比。
    B;負極活物質層における負極集電体と反対側の面近傍でのケイ素原子数に対する炭素原子数の比。
  8. 前記電解質が、溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含んでいる請求項7記載の二次電池。
  9. 前記電解質は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )のうちの少なくとも1種を含有する電解質塩を含んでいる請求項7記載の二次電池。
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