[0005]本開示の幾つかの実施形態は、電池の薄膜スタックの製造中に、基板と電流コレクタのうちの1つの表面をレーザプロセスによって三次元的に再構築した後に、カソード/アノードと電解質との間のインターフェースのコンタクトエリアが、基板/電流コレクタの三次元的に再構築された表面とおおよそ一致した三次元表面となるように次の層を堆積させた薄膜電池(TFB)に関する。一又は複数のカソード/アノード層と電解質層との間に結果的に得られる三次元構造化されたインターフェースにより、TFB機能(例:速度能力及び生産能力利用)が向上し、TFBスタック内の層間の接着強度が剥離/デラミネーションが低減するほど十分に高まることが期待される。
[0006]幾つかの実施形態によれば、薄膜電池は、基板表面を含む基板と、基板表面に形成された第1の電流コレクタ(FCC)層であって、基板との接点がある第1のFCC表面と、第1の三次元表面である第2のFCC表面とを有するFCC層と、第1の電流コレクタに堆積された第1の電極層と、第1の電極層に堆積された電解質層とを備えていてよく、第1の電極層と電解質層との間のインターフェースは、第1の三次元表面とおおよそ一致する第2の三次元表面である。更に、実施形態において、基板表面は第3の三次元表面であり、前記第1の三次元表面は前記第3の三次元表面とおおよそ一致する。
[0007]幾つかの実施形態によれば、薄膜電池を製造する方法は、基板を提供することと、再構築された基板表面を形成するために、基板の表面を三次元的に再構築することと、再構築された基板表面に第1の電流コレクタ(FCC)層を堆積させることと、FCC層に電極層を堆積させることと、電極層に電解質層を堆積させることとを含むことができ、電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。
[0008]幾つかの別の実施形態によれば、薄膜電池を製造する方法は、基板を提供することと、基板の表面に第1の電流コレクタ(FCC)層を堆積させることと、再構築されたFCC表面を形成するために、FCC層の表面を三次元的に再構築することと、再構築されたFCC表面に第1の電極層を堆積させることと、第1の電極層に電解質層を堆積させることとを含むことができ、第1の電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築されたFCC表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。
[0009]幾つかの実施形態によれば、幾つかの実施形態に従ってTFBを製造する装置は、再構築された基板表面を形成するために、基板の表面を三次元的に再構築する第1のシステムと、再構築された基板表面に第1の電流コレクタ(FCC)層を堆積させる第2のシステムと、FCC層に電極層を堆積させる第3のシステムと、電極層に電解質層を堆積させる第4のシステムとを含むことができ、電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。第1のシステムは例えば、レーザアブレーションパターニングシステムと、実施形態においてイオンスパッタリングシステム、及び実施形態において機械的粗面化システム(例:ビードブラスタ)を備えうる。
[0010]幾つかの別の実施形態によれば、幾つかの実施形態に従ってTFBを製造する装置は、基板を提供することと、基板の表面に第1の電流コレクタ(FCC)層を堆積させる第1のシステムと、再構築されたFCC表面を形成するために、FCC層の表面を三次元的に再構築する第2のシステムと、再構築されたFCC表面に第1の電極層を堆積させる第3のシステムと、第1の電極層に電解質層を堆積させる第4のシステムとを含むことができ、第1の電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築されたFCC表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。第2のシステムは例えば、レーザアブレーションパターニングシステムと、実施形態においてイオンスパッタリングシステム、及び実施形態において機械的粗面化システム(例:ビードブラスタ)を備えうる。
[0011]本開示のこれらの及びその他の態様と特徴は、添付の図と併せて特定の実施形態の下記の説明を読むことで、当業者には明らかになるであろう。
[0020]以下、本開示の実施形態について、当業者が本開示を実施できるように本開示の実施例に係る図面を参照して、詳細に説明する。とりわけ、図及び以下の例は、本開示の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではなく、説明又は図示する要素の一部又は全てを入れ替えることによって、他の実施形態も可能になる。更に、既知の構成要素を使用して、本開示のある要素を部分的に又は完全に実装可能である場合、かかる既知の構成要素のうちの、本開示の理解に必要な部分のみを説明し、かかる既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本開示を曖昧にしないように省略する。本明細書では、単数の構成要素を示す実施形態を限定的と見なすべきではなく、むしろ、本開示は、本書に別段の明示的な記載がない限り、複数の同一の構成要素を含む他の実施形態を包含することが意図されており、その逆も同様である。更に出願人は、本明細書または特許請求の範囲内のいかなる用語も、そのような明示的な記載がない限り、一般的でない、あるいは特殊な意味を有すると見なされるようには意図していない。更に、本開示は、本書で例示のために言及される既知の構成要素の、現在既知の均等物及び将来知られることになる均等物も包含する。
[0021]本開示の幾つかの実施形態は、電池の薄膜スタックの製造中にレーザプロセスによって三次元的に再構築された後に、カソードと電解質との間のインターフェースのコンタクトエリアが、基板/CCCの三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面となるように次の層を堆積させた基板とカソード電流コレクタ(CCC)のうちの1つの表面を有する薄膜電池(TFB)に関する。更に、幾つかの実施形態では、電解質−アノード及びアノード−ACCのインターフェースはまた、再構築された基板/CCCの三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面でもありうる。カソード層と電解質層、及び電解質層とアノード層との間の三次元的に再構築されたインターフェースにより、平面的なインターフェースの層を有するTFBスタックと比べて、TFB性能(例えば、特に充電/放電の速度がより高い場合の速度能力及び生産能力利用)が向上し、TFBスタック内の層のインターフェースの接着が剥離/デラミネーションが低減するほど十分に改善されることが期待される。(層間のインターフェースの粗面化により、インターフェースにおいて「機械的ラッピング」が引き起こされ、接着強度が高まる)更に、カソード層と電解質層との間の三次元的に構築されたインターフェースにより、インターフェースにおいてLiCoO2カソード層の多結晶粒状構造の(003)平面へのアクセスが拡大し、電池の使用中の、リチウムのインターカレーション/デインターカレーションに対する抵抗が弱まることが期待される。
[0022]図1A&1Bに、三次元的に再構築された基板表面を有する、本開示の実施形態に従って製造された垂直スタックを有するTFBの一例を示す。図1Aにおいて、垂直スタックは、再構築された基板110と、レーザプロセスによって三次元的に再構築された基板表面と、再構築された基板の表面に堆積されたカソード電流コレクタ120と、カソード電流コレクタに堆積されたカソード層130と、カソード層に堆積された電解質層140と、電解質層に堆積されたアノード層150と、アノード層に堆積されたアノード電流コレクタ(ACC)160とを含む。ここで注記すべきは、CCCとカソード層との間、及びカソード層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板の三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面であることである。本書における「おおよそ一致する」という語は、三次元的に再構築された表面と問題の表面との間の一又は複数の層は各々完璧なカバレージを提供するが、元の表面とフィールドエリアの残った部分をカバーする層の厚みよりも三次元的に再構築された表面の特徴の側壁及び底面をカバーする層の厚みの方が薄くなっているために、堆積された層の表面が三次元的に再構築された表面の全体的な形を再現することを規定するのに使用される。更に、幾つかの実施形態では、電解質−アノード及びアノード−ACCのインターフェースはまた、図1Aに示すように、再構築された基板の三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面でもありうる。TFBはまた、例えば一又は複数の保護コーティング及び電気接点も含みうる。図1Aの斜視図に、基板110の再構築された表面に円錐形の特徴115(例えば円錐台)のアレイを示したが、再構築された基板表面の特徴は、図示したものとは異なるサイズ、形状、間隔及び構成であってよい。特徴は例えば、円筒形の特徴、台形の特徴、球形の特徴、ビア、トレンチ、及び円形のくぼみを含むことができ、ビア及びトレンチにおける良好なステップカバレッジを達成するために、(特徴の上部の幅又は直径が底部の幅又は直径よりも大きい)正に凹である形状が用いられうる。(元の基板表面に平行する平面において決定される)特徴のサイズは、数ミクロンから数十ミクロンであってよい。更に、これらの特徴は規則正しいアレイ(例えば正方格子)に位置決めされていてよく、実施形態においてはこれらの特徴はランダムに位置決めされていてよい。特徴の密度は広範囲に変化し、最も高い密度は密集したアレイに相当しうる。実施形態では、50%を超える基板又はCC表面が、本書に記載される特徴を形成することによって再構築される。特徴の(基板の元の表面に対して垂直の方向に測定された)深さは基板の厚みによって制限され、基板の厚みの75%の限界が妥当な上限であるが、これは基板の機械的完全性を維持する必要に応じて変化しうる。更に、実施形態では、特徴の深さは基板の厚みの25%以上である。更に、実施形態では、特徴の深さは5ミクロン以上である。例えば、20ミクロンの厚さの基板は実施形態において、5ミクロン以上で15ミクロン未満の範囲内の深さの特徴を有しうる。
[0023]図2は、三次元的に再構築された基板表面を含む、図1A及び1Bに示すような、TFBの製造の、幾つかの実施形態に係るプロセスフローを提供するものである。TFBを製造するプロセスフローは、基板を提供すること(201)と、再構築された基板を形成するために、レーザプロセスによって基板表面を三次元的に再構築すること(202)と、再構築された基板にカソード電流コレクタを堆積させること(203)と、カソード電流コレクタにカソード層を堆積させること(204)と、カソード層に電解質層を堆積させること(205)とを含むことができ、カソード層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板の三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面である。電池の製造は、例えばアノード、アノード電流コレクタ(ACC)、保護コーティング及び電気接点を堆積させて終了しうる(206)。図1Aを参照しながら上述したように、電解質及びアノードの堆積が、これらが堆積される層に対するものである場合、電解質−アノード及びアノード−ACCのインターフェースもまた、再構築された基板の三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面である。
[0024]レーザエネルギーを強く吸収する基板材料は、図2を参照しながら上述したプロセスに好適であり、幾つかの基板材料の例にはSi、Al、ステンレス鋼等が挙げられる。これらの基板においては、表面に三次元的特徴を形成するために、名目上平面の基板表面を再構築するのにレーザエネルギー源が使用される。材料のアブレーション閾値よりも低いが、材料の融解閾値よりも高いレーザプロセスフルエンス(CCC材料によっては通常<2J/cm2)が使用され、Ti及びAuに対しては0.4J/cm2未満の典型的なフルエンスが使用される。上記フルエンスレベルでの基板表面へのレーザ照射により、円錐形の表面構造等の三次元特徴が形成されるが、これらの三次元特徴の形状、高さ、及び密度は、波長、フルエンス、パルス周波数、発射回数等のレーザプロセスパラメータを調節することによって調節可能である。高出力(例えば>100W)ナノ秒パルスレーザ、又はマイクロ秒パルスレーザですらも、この表面再構築プロセスに通常使用される。このプロセスのためのレーザシステムは、通常エキシマレーザ用に設計されたビームホモジナイザーを有するレーザ投影システムであってよい。他の実施形態では、レーザシステムは、サンプル表面にレーザエネルギーを均一に当てるように構成されたビームシェーパーを有するレーザスキャンシステムであってよい。幾つかの実施形態によれば、広範囲の種類及び動作波長(例えばIR(赤外線)、緑色及びUV等)のレーザが使用可能である。好適なレーザ波長及び動作パラメータは、とりわけレーザによる表面再構築を行う材料の光学特性(吸収率対波長)によって変化する。例えば、緑色レーザは、セラミック基板、金属、マイカ、Si等を切断/成形するのに使用することができ、CO2レーザは、ガラス基板に刻み目をつけるのに使用することができ、UVレーザでもこれらの基板にマークをつける/成形することができうると期待される。
[0025]図3に、三次元的に再構築されたCCC表面を有する本開示の実施形態に従って製造された垂直スタックを有するTFBの一例を示す。図3において、垂直スタックは、基板310と、基板の表面に形成され、CCCの表面が三次元的に再構築された再構築されたCCC320と、再構築されたCCCに堆積されたカソード層330と、カソード層に堆積された電解質層340と、電解質層に堆積されたアノード層350と、アノード層に堆積されたACC360とを含む。カソード層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板の三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面であることを注記したい。更に、幾つかの実施形態では、電解質−アノードとアノード−ACCのインターフェースは、三次元的に再構築されたCCC表面とおおよそ一致する三次元表面であってもよい。TFBはまた、例えば一又は複数の保護コーティング及び電気接点も含みうる。上述した図1Aの斜視図は、CCCの三次元的に再構築された表面を示すものであり、CCCの再構築された表面の特徴は、図3において円錐形の特徴として示されているが、再構築された基板表面の特徴は、図示したものと異なるサイズ、形状、間隔、及び構成であってよく、例えば円筒形の特徴、台形の特徴、球形の特徴及びランダム配置の特徴を含みうる。
[0026]図4は、三次元的に再構築されたCCC表面を含む、図3に示すようなTFBの製造の、幾つかの実施形態に係るプロセスフローを提供するものである。TFBを製造するプロセスフローは、基板を提供すること(401)と、再構築された基板にCCCを堆積させること(402)と、再構築されたCCCを形成するために、CCCの表面を三次元的に再構築すること(403)と、再構築されたCCCにカソード層を堆積させること(404)と、カソード層に電解質層を堆積させること(405)とを含んでいてよく、カソード層と電解質層との間のインターフェースは、再構築されたCCCの三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面である。電池の製造は、例えばアノード、アノード電流コレクタ(ACC)、保護コーティング及び電気接点を堆積させて終了しうる(406)。図3を参照しながら上述したように、電解質−アノード及びアノード−ACCインターフェースもまた、再構築されたCCCの三次元的に再構築された表面とおおよそ一致する三次元表面である。
[0027]CCCの表面を、本書に更に詳しく記載したように、レーザプロセスによって再構築することができる、あるいは、例えば機械的粗面化(例:ビードブラスト)、プラズマ処理及びイオン衝撃等の別のプロセスを使用することができる。ここで注記すべきは、非熱的なこれらの他のプロセスの幾つかは、カソード及び/又は電解質の位相及び結晶化度を保つ必要がある、カソード及び/又は電解質表面の三次元的再構築に好適でありうることである。
[0028]カソード電流コレクタは通常、約0.5ミクロン以上の厚さに堆積させた金属層で形成され、レーザエネルギーを強く吸収し、図4を参照しながら上述したプロセスに好適であり、ある例示のCCC材料は、幾つかの接着層等を有するAu又はPtである。これらの基板には、名目上平面のCCC表面を再構築して表面に三次元特徴を形成するためにレーザエネルギー源が使用される。材料のアブレーション閾値よりも低いが、材料の融解閾値よりも高いレーザプロセスフルエンス(CCC材料によっては通常<2J/cm2)が使用され、Ti及びAuに対しては2J/cm2未満の典型的なフルエンスが使用される。上記フルエンスレベルの基板表面のレーザ照射により、円錐形の表面構造等の三次元特徴が形成されるが、これらの三次元特徴の形状、高さ、及び密度は、波長、フルエンス、パルス周波数、発射回数等のレーザプロセスパラメータを調節することによって調節可能である。高出力(例えば>100W)ナノ秒パルスレーザ、又はマイクロ秒パルスレーザですらも、この表面再構築プロセスに通常使用される。注記すべきは、この実施形態は、例えばガラス、石英、マイカ等の透明基板に形成されたTFBに好適であるが、この実施形態がこれらの基板での使用に限定されるものではなく、例えば不透明基板にも同じようにうまく機能することである。
[0029]基板とCCC表面は、従来のマスクイメージングを使用した後に、湿式エッチ及び/又はプラズマエッチを行うことによって再構築することができることに留意すべきである。しかしながらこの方法は、限られた数の材料、例えばシリコンでの使用においてのみ容易に利用可能で、複数のステップを伴うものであり、本書に開示された実施形態のプロセスに比べて、TFB製品の製造コストを大幅に増加させる。更に、発明者によって、電解質の堆積の前のLiCoO2カソード層のレーザによる再構築が評価され、LiCoO2カソード層のレーザによる再構築の結果、LiCoO2層が全体的に電池性能に悪影響を及ばす高温(HT)LCO及びCo3O4に相分離したことがわかり、これは薄膜カソードTFBにとって非常に好ましくないことである(不純物相Co3O4は、電池の電荷容量、またサイクル寿命にも弊害をもたらす)。
[0030]カソード層の例はLiCoO2層であり、アノード層の例はLi金属層であり、電解質層の例はLiPON層である。しかしながら、例えばNMC(NiMnCo酸化物)、NCA(NiCoAl酸化物)、LMO(LixMnO2)、LFP(LixFePO4)、LiMnスピネル等の広範囲のカソード材料が使用され得、例えばSi、Sn、C等の広範囲のアノード材料が使用され得、例えばLLZO(Li7La3Zr2O12等のLiLaZr酸化物)、LiSiCON、Ta2O5等の広範囲のリチウム含有電極材料が使用され得ることが期待される。これらの相の堆積技法は、所望の組成、位相、及び結晶性を提供することができるいかなる堆積技法であってもよく、PVD(物理気相堆積)、反応性スパッタリング、非反応性スパッタリング、RF(高周波)スパッタリング、マルチ周波数スパッタリング、蒸発、CVD(化学気相堆積)、ALD(原子層堆積)等の堆積技法を含んでいてよく、非真空技法が適用可能である場合、スロットダイコーティング、プラズマスプレー、スプレー熱分解、電気めっき、スラリーベースのスクリーニング等を含みうる。
[0031]図5は、幾つかの実施形態によるTFBを製造する処理システム500の概略図である。処理システム500は、上述したプロセスステップで利用されうる、反応性プラズマ洗浄(RPC)チャンバ503及びプロセスチャンバC1〜C4(504、505、506及び507)を備えたクラスタツール502に対する標準の機械インターフェース(SMIF)501を含む。クラスタツールには、グローブボックス508を取り付けることもできる。グローブボックスは、不活性環境内で(例えばHe、Ne、またはArなどの希ガス下で)基板を保存することが可能であり、これは、アルカリ金属/アルカリ土類金属の堆積後に有用である。必要であれば、グローブボックスへのアンテチャンバ509が使用される。アンテチャンバは、グローブボックス内の不活性環境を汚染することなく、グローブボックスとの間で基板を出し入れすることを可能にする、ガス交換チャンバ(不活性ガスから空気へ、及びその逆)である。(グローブボックスは、リチウム箔の製造者によって使用されるのに十分なほど露点が低い乾燥室雰囲気に置換されることが可能であることに、留意されたい。)チャンバC1〜C4は、例えば基板にCCCを堆積させた後に、レーザプロセスによってCCCの表面を三次元的に再構築させ、次に再構築されたCCC表面にカソード層を堆積させ、次にカソード層に電解質層(例えばN2中でLi3PO4ターゲットにRFスパッタリングを行うことによりLiPON)を堆積させることを含みうる、TFBを製造するプロセスステップ用に構成することができる。(三次元的再構築が、本書に記載されるクラスタツールにおいて実施されうる、あるいは独立型ツールにおいて実施されうることに留意されたい)好適なクラスタツールプラットフォームの例には、ディスプレイクラスタツールが挙げられる。処理システム500に対するクラスタ構成が示されているが、基板が1つのチャンバから次のチャンバへ連続的に移動するように、処理チャンバが、移送チャンバなしで直線状に配設される、線形システムが利用されうることを、理解されたい。
[0032]図6に、幾つかの実施形態による、ツール630、640、650を含む、複数のインラインツール601〜699までを有するインライン製造システム600の図を示す。インラインツールは、TFBの全ての層を堆積させるツール、及び基板とCCCのうちの1つの表面を三次元的に再構築するツールを含みうる。さらに、インラインツールは、事前調整チャンバ及び事後調整チャンバを含みうる。例えば、ツール601は、基板が真空エアロック602を通って堆積ツール内へと移動することに先立って真空を確立するための、ポンプダウンチャンバでありうる。インラインツールの一部又は全ては、真空エアロックによって分離された真空ツールでありうる。プロセスライン内のプロセスツール及び特定のプロセスツールの順序は、上述したプロセスフローにおいて指定されるように、例えば使用されている特定のTFB製造方法によって決定されることに、留意されたい。さらに、基板は、水平または垂直のいずれかに配向されたインライン製造システムを通って移動させることができる。
[0033]図6及び図7に示すようなインライン製造システムを通る基板の移動を説明するために、所定の場所にインラインツール630を1つのみ有する基板コンベヤ701を示す。図のように、基板703を包含する基板ホルダ702(基板ホルダは、基板が見えるように部分的に切り取られて示されている)が、ホルダと基板がインラインツール630を通って移動するために、コンベヤ701、又は同等のデバイス上に装着される。処理ツール630のインラインプラットフォームは幾つかの実施形態では垂直基板用に構成され、幾つかの実施形態では水平基板用に構成されうる。
[0034]特定の実施形態に従ってTFBを製造する装置の幾つかの例を以下に示す。幾つかの実施形態に従ってTFBを製造する装置は、再構築された基板表面を形成するために、基板の表面を三次元的に再構築する第1のシステムと、再構築された基板表面に第1の電流コレクタ(FCC)層を堆積させる第2のシステムと、FCC層に電極層を堆積させる第3のシステムと、電極層に電解質層を堆積させる第4のシステムとを含むことができ、電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。第1のシステムは例えば、レーザアブレーションパターニングシステムと、実施形態においてイオンスパッタリングシステム、及び実施形態において機械的粗面化システム(例:ビードブラスタ)を備えうる。更に、実施形態では、装置は更に、電解質層に第2の電極層を堆積させる第5のシステムを備えていてよく、第4のシステムにより電解質層が堆積され、電解質層と第2の電極層との間のインターフェースは、再構築された基板表面とおおよそ一致する第2の三次元表面である。システムはクラスタツール、インラインツール、独立型ツール、又は一又は複数の前述したツールの組み合わせであってよい。更に、システムは、一又は複数の他のシステムに共通の、幾つかのツールを含みうる。
[0035]幾つかの実施形態に従ってTFBを製造する別の装置は、基板を提供することと、基板の表面に第1の電流コレクタ(FCC)層を堆積させる第1のシステムと、再構築されたFCC表面を形成するために、FCC層の表面を三次元的に再構築する第2のシステムと、再構築されたFCC表面に第1の電極層を堆積させる第3のシステムと、第1の電極層に電解質層を堆積させる第4のシステムとを含むことができ、第1の電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築されたFCC表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。第2のシステムは例えば、レーザアブレーションパターニングシステムと、実施形態においてイオンスパッタリングシステム、及び実施形態において機械的粗面化システム(例:ビードブラスタ)を備えうる。更に、実施形態では、装置は更に、電解質層に第2の電極層を堆積させる第5のシステムを備えていてよく、電解質層と第2の電極層との間のインターフェースは、再構築されたFCC表面とおおよそ一致する第2の三次元表面である。システムはクラスタツール、インラインツール、独立型ツール、又は一又は複数の前述したツールの組み合わせであってよい。更に、システムは、一又は複数の他のシステムに共通の、幾つかのツールを含みうる。
[0036]基板又はCCC表面のいずれかの再構築を参照しながら本開示の実施形態を具体的に説明してきたが、別の実施形態は、電解質の堆積後に、一又は複数の異なるインターフェースをTFBのアノード側に直接再構築するために同じ方法を適用することを含む。(このプロセスは、基板又はCCC表面の再構築と組み合わせて行うことも可能である。)例えば、電解質層の表面を三次元的に再構築することができ、このプロセスは例えばLLZO等の結晶性電解質材料に好適でありうる。
[0037]基板にCCCが堆積された後に、続いてカソード、電解質、アノード、そしてACCが堆積されたTFBスタックを参照しながら本開示の実施形態を具体的に説明してきたが、別の実施形態は、TFBスタックに対して、基板にACCが堆積された後に続いてアノード、電解質、カソード及びCCCが堆積される同じ方法を使用することを含み、基板及び/又はACCは上述したように三次元的に再構築され、続いて堆積された一又は複数の層の表面もまた、三次元的に再構築された基板及び/又はCCC表面とおおよそ一致する三次元表面である。
[0038]TFBを参照しながら本開示の実施形態を具体的に説明してきたが、本開示の原理及び教示を、一般的なエネルギー蓄積装置、及びエレクトロクロミック素子をも含む他の電気化学的装置に適用可能である。エレクトロクロミック素子の場合、インターフェースの粗面化は、好ましくない散漫散乱、及び好ましくない「曖昧な」外観を有する素子につながる可能性があるが、粗面化されたインターフェースにより素子の速度が改善する可能性があり、特定の用途においては、光学的品質と素子の速度との間のトレードオフに価値を見出せる場合があり、更に光学的外観を極端に落とさずに、速度の改善が得られるようにインターフェースの粗面化を設計することができることに留意すべきである。
[0039]基板の表面上に第1の電流コレクタ層を有するTFBを参照しながら本開示の実施形態を具体的に説明してきたが、本開示の原理及び教示を、基板の表面上に電流コレクタ層を有さない特定のTFB、例えば導電基板を有するTFBに適用可能である。実施形態では、薄膜電池は、第1の三次元表面である基板表面を備える基板と、基板に堆積された第1の電極層と、第1の電極層に堆積された電解質層とを備えていてよく、第1の電極層と電解質層との間のインターフェースは、第1の三次元表面とおおよそ一致する第2の三次元表面である。幾つかの実施形態によれば、薄膜電池を製造する方法は、基板を提供することと、再構築された基板表面を形成するために、基板の表面を三次元的に再構築することと、再構築された基板表面に電極層を堆積させることと、電極層に電解質層を堆積させることとを含むことができ、電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。幾つかの実施形態によれば、幾つかの実施形態に従ってTFBを製造する装置は、再構築された基板表面を形成するために、基板の表面を三次元的に再構築する第1のシステムと、再構築された基板表面に電極層を堆積させる第2のシステムと、電極層に電解質層を堆積させる第3のシステムとを含むことができ、電極層と電解質層との間のインターフェースは、再構築された基板表面とおおよそ一致する第1の三次元表面である。
[0040]本開示の実施形態は、本開示のある実施形態を参照して特に説明されているが、本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更及び修正を加えうることは、当業者には容易に明らかになるはずである。