JP2009286972A - 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型ハードコート剤、これらを用いた硬化被膜および硬化被膜を有する物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
分子中にエポキシ基を有するビニル化合物を含有する重合成分(a1)を重合してえられた重合体にカルボキシル基含有(メタ)アクリル化合物を付加反応させてなる反応生成物(A)とコロイダルシリカ(B)、特定のリン酸化合物(C)および多官能(メタ)アクリル化合物(D)を必須成分として含有し、コロイダルシリカ(B)に対する反応生成物(A)の使用割合((A)/(B))を0.25〜1.75とし、樹脂組成物全体の(メタ)アクリル当量を320〜550の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物とする。
【選択図】なし
Description
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に用いられる反応生成物(A)(以下、(A)成分という)は、分子中にエポキシ基を有するビニル化合物(a1)を含有する重合成分を重合して得られた重合体にカルボキシル基含有(メタ)アクリル化合物(a2)を付加反応させてなるものである。(a1)成分としては、ラジカル重合性ビニル単量体であってエポキシ基およびビニル基をそれぞれ1つ有するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、得られる硬化膜のハードコート性の点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明に用いられるコロイダルシリカ(B)(以下、(B)成分という)としては、特に限定されず有機溶剤等を分散媒とした市販品を使用することができる。(B)成分の平均一次粒子径は、6〜100nm程度であることが好ましく、20〜80nmであることがより好ましい。平均一次粒子径が6nmを下回る場合、表面硬度が不足し耐擦傷性が低下する傾向があり、100nmを超えると貯蔵安定性が不十分となり、密着性および透明性も悪くなる傾向がある。なお、平均一次粒子径は、動的光散乱法により決定された値である。なお、(B)成分の具体例としては、例えば、スノーテックス(日産化学工業(株)製)、クォートロン(扶桑化学工業(株)製)、アエロジル(日本アエロジル(株)製)、シルデックス(旭硝子(株)製)、およびシリシア470(富士シリシア化学(株)製)などを挙げることができる。また、製造の簡便化のため、あらかじめ有機溶媒に分散されたオルガノシリカゾルを用いることが好ましく、例えばIPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL(以上は、それぞれ日産化学工業(株)製 イソプロパノール分散体)、MA−ST−M(日産化学工業(株)製 メタノール分散体)、クォートロンPL−2−IPA(扶桑化学工業(株)製 イソプロパノール分散体)などが挙げられる。
本発明に用いられる分子中に1個または2個のビニル基を含有するリン酸化合物(C)(以下、(C)成分という)としては、分子中に1個または2個のビニル基を有するリン酸化合物であれば特に限定せずに使用することができる。例えば、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(商品名
ライトエステルP−1M、ライトエステルP−2M 共栄社化学(株)製)、燐酸含有エポキシメタクリレート(商品名
ニューフロンティアS−23A 第一工業製薬(株)製)などのリン酸(メタ)アクリレート類、ビニルホスホン酸(商品名VPA−90,VPA−100 BASF社製)などのリン酸ビニル化合物が挙げられる。
また、(C)成分の使用量としては、特に限定されないが、通常、樹脂組成物の構成成分全量((A)〜(D)成分の合計量)に対して、0.01〜5重量%程度が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリル化合物(D)(以下(D)成分という)としては、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、(C)成分以外のものであれば特に限定せずに使用することができる。具体的には、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマーと1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物とを反応させることにより得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート等も挙げられる。これら多官能(メタ)アクリレートは、1種または2種以上を混合して使用できる。これらの中では、得られる硬化被膜の硬度、耐擦傷性の観点から、3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。(D)成分の使用量としては、特に限定されないが、通常、樹脂組成物の構成成分全量((A)〜(D)成分の合計量)に対して、20〜40重量%程度が好ましく、より好ましくは25〜35重量%である。
なお、本発明において(メタ)アクリル当量とは、(メタ)アクリロイル基1モル当たりの重さであり、組成物においては、(メタ)アクリロイル基濃度(mol/g)の逆数で表される値である。
光重合開始剤(E)(以下、(E)成分という)としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、(E)成分は、紫外線硬化を行なう場合に使用するが、電子線硬化をする場合には、必ずしも必要ではない。(E)成分を使用する場合の使用量は特に限定されないが、通常、(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対し、1〜10重量部程度とすることが好ましい。
なお、本実施例において、重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZ2000」、「TSKgel superHZM−M」により測定した値を示す。
攪拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、グリシジルメタクリレート(以下、GMAという)250部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)7.5部、ラウリルメルカプタン1.3部および酢酸ブチル1000部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA750部、ラウリルメルカプタン3.7部及びAIBN22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を約2時間要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。その後、反応系を60℃まで冷却した後、窒素導入管を空気導入管につけ替え、アクリル酸507部、メトキノン2.3部及びトリフェニルフォスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。次いで、同温度にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるように酢酸エチルを加え、反応生成物(A1)を得た。得られた反応生成物(A1)の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は35,000、エポキシ当量142、(メタ)アクリル当量214であった。
合成例1と同様の反応容器に、GMA125部、メチルメタクリレート125部(以下、MMAという)、AIBN7.5部、ラウリルメルカプタン1.3部およびメチルイソブチルケトン1000部(以下、MIBKという)を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約120℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA375部、MMA375部、ラウリルメルカプタン3.7部及びAIBN22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を約2時間要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。その後、反応系を60℃まで冷却した後、窒素導入管を空気導入管につけ替え、アクリル酸(以下、AAという)254部、メトキノン2.3部及びトリフェニルフォスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。次いで、同温度にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるようにMIBKを加え、反応生成物(A2)を得た。得られた反応生成物(A2)の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は24,000、エポキシ当量284、(メタ)アクリル当量355であった。
攪拌装置、滴下ロートを備えた反応容器に、イソホロンジイソシアネート189部、ペンタエリスリトールトリアクリレート812部、オクチル酸スズ0.6部、メトキノン1部を仕込んだ後、系内温度が80℃になるまで昇温し、3時間保温した。赤外分光法(IR)でイソシアネートピークが消失した時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(D1)を得た。
(A)成分として合成例1で得た反応生成物(A1)を33部、(B)成分としてイソプロパノール分散コロイダルシリカ(SiO2 不揮発分30% 商品名IPA−ST 日産化学工業(株)製)を100部(固形分換算)、(C)成分として、2−メタクリロキシエチルアシッドホスフェート(商品名 ライトエステルP−2M、共栄社化学(株)製)1部、(D)成分としてペンタエリスリトールトリアクリレート33部、(E)成分としてとして1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名 イルガキュアー184、チバ・ジャパン(株)製)5部を配合し、不揮発分が30%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PMという)で希釈し、(メタ)アクリル当量380g/eqの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例2〜7および比較例1〜10
実施例1における各成分の種類と使用量を表1または表2記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
なお、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の(メタ)アクリル当量は、樹脂組成物の全固形分重量に対し、使用した各成分中に存在するアクリル酸のモル数で除することによって求めた。
厚さ2mmのアルミ板上に、各実施例・比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をバーコーター#16を用いて塗布し、80℃で1分乾燥させた。次いで、得られた塗工フィルムを大気中で、高圧水銀灯(紫外線照射量400mJ/cm2)の下を通過させて(搬送速度10m/分)、塗工面を硬化させることにより、硬化被膜を作製した。得られた硬化被膜について、以下の方法で評価を行った。なお、比較例8は、被膜にクラックが発生したため、評価を行わなかった。
硬化被膜をJIS K 5600に従い荷重500gの鉛筆引っかき試験によって評価した。JIS K 5600に準拠して鉛筆硬度を測定した。
硬化被膜を、底部に10mm×10mmの範囲でスチールウールを貼り付けた300gのおもりで30回擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:変化無し。
△:細かいキズ有り。
×:大きなキズ有り。
JIS K
5600に記載された方法で碁盤目セロハンテープ剥離試験を行った。結果は、全100マスの碁盤目セロハンテープ(分母)に対して剥離しなかった数(分子)で評価した。さらに、銀メッキ処理した金属板に硬化被膜を形成させ、同様に密着性を評価した。
リン酸メタクリレート(ビニル基数2):ライトエステルP−2M 共栄社化学株式会社
リン酸メタクリレート(ビニル基数1):ライトエステルP−1M 共栄社化学株式会社
リン酸メタクリレート(ビニル基数3):ビスコート3PA 大阪有機化学工業株式会社
PET3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート
Claims (8)
- 分子中にエポキシ基を有するビニル化合物を含有する重合成分(a1)を重合して得られた重合体にカルボキシル基含有(メタ)アクリル化合物(a2)を付加反応させてなる反応生成物(A)、コロイダルシリカ(B)、分子中に1または2個のビニル基を含有するリン酸化合物(C)、および多官能(メタ)アクリル化合物(D)を含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、コロイダルシリカ(B)に対する反応生成物(A)の使用割合((A)/(B))が重量比で0.25〜1.75、当該樹脂組成物全体の(メタ)(メタ)アクリル当量が320〜550であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- コロイダルシリカ(B)に対する反応生成物(A)の使用割合((A)/(B))が重量比で0.30〜1.00である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- コロイダルシリカ(B)の平均一次粒子径が6〜100nmである請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- さらに、光重合開始剤(E)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有するハードコート剤。
- 請求項5記載のハードコート剤を硬化してなる硬化被膜。
- 請求項6記載の硬化被膜を表面に有する物品。
- 表面が金属面である請求項7記載の物品。
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