JP2009270646A - 変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルブボディへの異物の流入が抑制された、信頼性の高い変速機を提供する。
【解決手段】変速機は、可動シーブと、可動シーブに嵌合されるピストンと、可動シーブとピストンとの間に形成される油圧室と、油圧室に作動油を供給するバルブボディ600と、バルブボディ600から油圧室Cに通じる油路127と、油路127上に設けられた弁900とを備える。弁900は、バルブボディ600と油圧室143C側との間に所定の圧力差がある場合には開き、該圧力差が無い場合には閉じる。
【選択図】図5
【解決手段】変速機は、可動シーブと、可動シーブに嵌合されるピストンと、可動シーブとピストンとの間に形成される油圧室と、油圧室に作動油を供給するバルブボディ600と、バルブボディ600から油圧室Cに通じる油路127と、油路127上に設けられた弁900とを備える。弁900は、バルブボディ600と油圧室143C側との間に所定の圧力差がある場合には開き、該圧力差が無い場合には閉じる。
【選択図】図5
Description
本発明は、変速機に関し、特に、ピストンとシリンダとの間に形成される油圧室に作動油を供給する変速比制御部を有する変速機に関する。
特開2001−221309号公報(特許文献1)には、油圧シリンダの油室内で流動する作動油に、該油室の内周摺動面における遠心力による異物の堆積を抑制するための乱流を発生させる乱流発生装置を設けた車両用無段変速機が記載されている。
特開2001−221309号公報
特許文献1のように、油室内で乱流を発生させることにより、油室内の異物が変速比制御部にまで逆流すると、変速比制御部の正常な動作が阻害される場合がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、信頼性の高い変速機を提供することにある。
本発明に係る変速機は、回転軸まわりに回転するシリンダと、シリンダに嵌合されるピストンと、シリンダとピストンとの間に形成される油圧室と、油圧室に作動油を供給する変速比制御部と、変速比制御部から油圧室に通じる油路と、油路上に設けられた弁とを備える。
1つの局面では、上記弁は、変速比制御部側と油圧室側との間に所定の圧力差がある場合には開き、該圧力差が無い場合には閉じる。
他の局面では、上記弁は、シリンダおよびピストンが回転軸まわりに回転している場合には開き、該回転軸まわりに回転していない場合には閉じる。
上記構成によれば、上記のような条件下で開閉する弁を油路上に設けることにより、変速比制御部から油圧室に向かう作動油の流れを阻害することなく、作動油に含まれる異物が変速比制御部に流入することを抑制することができる。この結果、信頼性の高い変速機が得られる。
好ましくは、上記変速機は、ピストンとの間でV形の溝部を形成する回転体と、V形の溝部に巻き掛けられる伝動ベルトとをさらに備え、V形の溝部の幅を変更することで、変速比を連続的に変更可能である。
これにより、変速比制御部への異物の流入が抑制された、信頼性の高い無段変速機が得られる。
好ましくは、上記変速機は、油圧室側の油路を形成する第1筒状部材と、変速比制御部側の油路を形成する第2筒状部材とをさらに備える。第1筒状部材に第2筒状部材を挿入することによって第1筒状部材と第2筒状部材とが連結される。
1つの局面では、第1筒状部材と第2筒状部材の連結部において、第2筒状部材の先端の外周径は、変速比制御部に近い側に位置する第2筒状部材の外周径よりも小さい。
他の局面では、第1筒状部材と第2筒状部材の連結部において、第2筒状部材の先端は、該第2筒状部材の先端に向かって外周径が小さくなるテーパ形状を有する。
上記構成によれば、変速機の動作時において、第2筒状部材の回転に伴なう遠心力により、油路内の異物が第2筒状部材の先端面に沿って径方向外方に導かれ、第2筒状部材内に流入することが抑制される。したがって、油路内の異物が変速比制御部内に流入することが抑制される。この結果、信頼性の高い変速機が得られる。
本発明によれば、変速比制御部への異物の流入を抑制することにより、信頼性の高い変速機を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組合わせることは、当初から予定されている。
図1は、本発明の1つの実施の形態に係る変速機を示す断面図である。図1を参照して、ベルト式の無段変速機1は、車両に搭載される。無段変速機1は、変速機構部100を含む。
変速機構部100は、エンジンから回転力が入力される駆動側のプライマリシャフト110と、回転力を出力する従動側のセカンダリシャフト120と、プライマリシャフト110に設けられたプライマリプーリ130と、セカンダリシャフト120に設けられたセカンダリプーリ140と、ベルト150とを含む。プライマリシャフト110とセカンダリシャフト120とは、互いに間隔を隔てて平行に配置されている。変速機構部100は、プライマリシャフト110の回転数とセカンダリシャフト120の回転数との比率、すなわち変速比を無段階に(連続的に)変化させる。
無段変速機1は、ディファレンシャル部200を含む。ディファレンシャル部200は、変速機構部100に対して相互に動力伝達可能に設けられている。ディファレンシャル部200は、リングギヤ210を含み、リングギヤ210は、ギヤ300,400を介してセカンダリシャフト120に連結されている。変速機構部100から動力伝達を受けたディファレンシャル部200は、車両旋回時の左右車輪の回転速度を変えながら、両輪に均等な駆動力を伝達する。
無段変速機1は、ケース体500を含む。ケース体500は、変速機構部100およびディファレンシャル部200を収容し、無段変速機1の外形をなす。ケース体500は、トランスアクスルハウジング510と、トランスアクスルケース520と、トランスアクスルリヤカバー530とを含む。トランスアクスルケース520に対してエンジン側にトランスアクスルハウジング510が配置され、その反対側にトランスアクスルリヤカバー530が配置されている。
ケース体500は、変速機構室540を規定する。変速機構室540は、トランスアクスルケース520およびトランスアクスルリヤカバー530により規定されている。変速機構室540には、変速機構部100が収容されている。
プライマリプーリ130は、プライマリシャフト110とともに、仮想軸であるプライマリシャフト110の中心軸を中心に回転する。プライマリプーリ130は、固定シーブ131と、可動シーブ132と、可動シーブ132を固定シーブ131に対して進退可能に駆動する油圧アクチュエータ133とを含む。
固定シーブ131は、プライマリシャフト110に固定されており、プライマリシャフト110に対して周方向および軸方向に移動しないように固定されている。
固定シーブ131は、プライマリシャフト110の径方向外方に向けて張り出す円板状の鍔部を含む。鍔部のうち、可動シーブ132と対向する部分は、ベルト150と接触する動力伝達面131Aとされている。動力伝達面131Aは、プライマリシャフト110の径方向外方に向かうにしたがって、可動シーブ132から離れるように傾斜している。
可動シーブ132は、内部にプライマリシャフト110が挿入される筒部と、この筒部に形成され、プライマリシャフト110の径方向外方側に向けて張り出す鍔部とを含む。
そして、可動シーブ132の鍔部のうち、固定シーブ131と対向する部分は、ベルト150と接触する動力伝達面132Aとされている。動力伝達面132Aは、プライマリシャフト110から径方向外方に向かうにしたがって、固定シーブ131から離れるように傾斜している。
そして、固定シーブ131の動力伝達面131Aと、可動シーブ132の動力伝達面132Aとによって、ベルト150がはめ込まれるプーリ溝134が規定されている。
油圧アクチュエータ133は、可動シーブ132を固定シーブ131に対して近接させたり、離間させたりすることで、プーリ溝134の溝幅を変化させる。
セカンダリプーリ140は、セカンダリシャフト120とともに、仮想軸であるセカンダリシャフト120の中心軸を中心に回転する。セカンダリプーリ140は、固定シーブ141と、可動シーブ142と、可動シーブ142を固定シーブ141に対して進退可能に駆動する油圧アクチュエータ143とを含む。
図2は、セカンダリプーリ140の構成を示す断面図である。なお、この図2において、中心軸Aより上側は、最増速比の時のセカンダリプーリ140を示し、中心軸Aより下側は、最減速比の時のセカンダリプーリ140を示す。図2を参照して、セカンダリシャフト120の一方の端部1201は、軸受1201Aによって、トランスアクスルリヤカバー530に回転可能に支持されている。そして、セカンダリシャフト120の他方の端部1202は、軸受1202Aによって、トランスアクスルハウジング510に回転可能に支持されている。
セカンダリシャフト120は、一方の端部1201から他方の端部1202に向けて延びる大径部121と、大径部121よりも小径とされ、大径部121に対して端部1202側に隣り合う中径部122と、中径部122よりも小径に形成され、中径部122に対して、端部1202側に隣り合う小径部123とを含む。
そして、大径部121と中径部122との境界位置には、段差部124が形成されており、中径部122と小径部123との境界位置には、段差部125が形成されている。
中径部122の外表面には、中心軸A方向に向けて延び、中径部122の周方向に間隔を隔てて形成されたスプライン(係合部)126が形成されている。
セカンダリシャフト120の内部には、中心軸A方向に延びる油路127が形成されている。
セカンダリシャフト120の端部1201には、ナット160が螺着されている。セカンダリシャフト120のうち、ナット160に対して端部1202側に隣り合う部分には、軸受1201Aが圧入されている。
固定シーブ141は、セカンダリシャフト120のうち、軸受1201Aに対して、端部1202側に隣り合う位置に形成されおり、大径部121に一体成形されている。
固定シーブ141は、セカンダリシャフト120の外周面から径方向外方側に向けて延びており、円板状に形成されている。
可動シーブ142は、固定シーブ141に対して、軸受1201Aと反対側に、セカンダリシャフト120の仮想の中心軸A方向に間隔を隔てて、セカンダリシャフト120に設けられている。
可動シーブ142は、セカンダリシャフト120が内部に挿入される筒状の筒部1421と、筒部1421のうち、固定シーブ141側の端部に連設された円板状の鍔部1422とを備えている。
鍔部1422は、円環状に形成されており、鍔部1422の内径は、筒部1421の内径より大きくなるように形成されている。このため、鍔部1422の内表面と、筒部1421の内表面との境界部分には、段差部1423が形成されている。
筒部1421は、円筒状に形成されており、中心軸A方向に向けて延びている。筒部1421の内表面には、スプライン126に対応するスプライン(係合部)が中心軸A方向に沿って形成されている。このため、可動シーブ142は、中心軸A方向に移動可能に設けられている一方で、セカンダリシャフト120の周方向に回転できないようになっている。
可動シーブ142の外周面のうち、鍔部1422の筒部1421側における外径は、筒部1421の鍔部1422側の端部の外径よりも大きくなっている。このため、可動シーブ142の外周面において、筒部1421と、鍔部1422との境界部分には、段差部1423が形成されている。
鍔部1422の表面のうち、固定シーブ141と対向する部分は、セカンダリシャフト120の径方向外方に向かうにしたがって、固定シーブ141から離れるように傾斜する動力伝達面142Aとされている。
また、可動シーブ142の表面のうち、動力伝達面142Aと反対側に位置する側面には、円筒状のシリンダ部1424が形成されている。このシリンダ部1424は、中心軸A方向に突出している。
固定シーブ141の表面のうち、可動シーブ142と対向する部分は、セカンダリシャフト120の径方向外方に向かうにしたがって、可動シーブ142から離れるように傾斜する動力伝達面141Aとされている。動力伝達面141Aと動力伝達面142Aとによって、プーリ溝144が規定されている。
ベルト150は、たとえば、可撓性を有する帯状のスチールリングと、スチールリングの長手方向に配列され、スチールリングに嵌め合わされる複数のエレメントとから構成されている。
ベルト150は、プライマリプーリ130のプーリ溝134の内周面と、セカンダリプーリ140のプーリ溝144の内周面とに摩擦接触する動力伝達部材として機能する。これにより、ベルト150は、プライマリプーリ130と、セカンダリプーリ140との間で動力を伝達する。
油圧アクチュエータ143は、可動シーブ142に対して、固定シーブ141と反対側に設けられている。
油圧アクチュエータ143は、ピストン143Aと、弾性部材143Bと、油圧室143Cと、防護部材143Dとを含む。ピストン(油圧室規定部材)143Aは、可動シーブ142に対して、固定シーブ141と反対側に位置し、可動シーブ142と協働して、油圧室143Cを規定する。弾性部材143Bは、コイルバネなどからなり、ピストン143Aおよび可動シーブ142を互いに離間するように付勢する。防護部材143Dは、油圧室143C内に配置される。
ピストン143Aの端部1202側の端部は、段差部125に係止されており、油圧アクチュエータ143に加えられる油圧反力は、ストッパ143Eおよびギヤ400を介して、ストッパ143Fによって支持されている。なお、ストッパ143Eは、油圧アクチュエータ143に対して、可動シーブ142と反対側に設けられており、ギヤ400は、ストッパ143Eに対して、隣り合う位置に設けられている。ストッパ143Fは、セカンダリシャフト120の表面に螺着されている。
油圧室143Cは、鍔部1422と、シリンダ部1424と、ピストン143Aとによって規定されている。油圧室143C内にオイルが供給されたり、油圧室143C内のオイルが排出されることで、可動シーブ142が中心軸A方向に移動し、油圧室143Cの容積が変動する。
防護部材143Dは、ピストン143Aの表面のうち、油圧室143Cを規定する内表面に装着されている。また、防護部材143Dは、弾性部材143Bに対して、セカンダリシャフト120の径方向外方側に配置され、弾性部材143Bの周囲を覆うように設けられている。防護部材143Dは、弾性部材143Bによって、ピストン143Aの底部に押圧固定されている。
図3は、無段変速機1の最減速比時の状態が示されている。図4は、図1中の無段変速機の最増速比時の状態を示す図である。図3および図4を参照して、油圧アクチュエータ133,143の作動に伴って、プーリ溝134および144の溝幅が可変制御される。これにより、プライマリプーリ130およびセカンダリプーリ140に対するベルト150の巻き掛け半径(有効係り径)が大小に変化し、変速が実行される。
図5は、無段変速機1における作動油の供給部の構造を示す図である。図5を参照して、無段変速機1における作動油の供給部は、バルブボディ600と、パイプ部700と、シール部800とを含む。パイプ部700は、第1パイプ710と、第2パイプ720とを含む。第1パイプ710は、油路127に挿入されている。バルブボディ600から供給された作動油は、パイプ部700を介して油路127に導かれる。パイプ部700と油路127との間には、シール部800が設けられている。また、第1パイプ710と第2パイプ720との間には、弁900が設けられている。
図6は、シール部800の作用について説明する図であり、図6(a)は、無段変速機1の動作時など、油圧室143Cに所定の油圧が作用している状態を示し、図6(b)は、無段変速機1の停止時など、油圧室143Cの油圧が低い状態を示す。図6を参照して、シール部800は、パイプ部700の第1パイプ710とセカンダリシャフト120との間で、若干の遊びを持って支持されている。
図6(a)に示すように、油圧室143C内の圧力が所定の圧力(たとえば、1MPa〜3MPa程度)に達すると、シール部800は外側に押し付けられ、この結果、第1パイプ710とセカンダリシャフト120との間がシールされ、油圧室143C側の作動油が外部に漏出することが防止される。
図6(b)に示すように、油圧室143C側の圧力が低下すると、シール部800によるシールは解かれ、第1パイプ710とセカンダリシャフト120との間に若干の隙間が形成される。この結果、油圧室143C側の作動油が外部に漏出することになる。漏出した作動油は、オイルパン(図示せず)に導かれる。オイルパンに流下した作動油は、オイルストレーナ(図示せず)を介して、再度、バルブボディ600に導かれる。このようにして、作動油は、繰り返し用いられる。
無段変速機1の動作時に、セカンダリシャフト120は高速(たとえば、10000rpm〜12000rpm程度)で回転する。この高速回転に伴なう金属の磨耗等により、油圧室143Cや油路127内において、金属粉などの異物が発生する。このような異物がパイプ部700を伝ってバルブボディ600に流入すると、バルブボディ600の正常な動作が阻害されることが懸念される。本実施の形態では、パイプ部700の回転による遠心力を利用して、上記異物のバルブボディ600への流入を抑制している。
図7は、パイプ部700の先端部の構造を示す図である。図7を参照して、本実施の形態に係る無段変速機1では、第1パイプ710の先端にテーパ面711が形成されている。このようにすることで、パイプ部700が回転した際、第1パイプ710の先端部において、局所的に、作動油を径方向外方に向かわせる流れ(図5中の矢印DR2方向)が生じる。この結果、無断変速機1の動作時において、油路127内の異物がバルブボディ600に流入することが抑制される。無段変速機1の動作時にテーパ面711の外側に溜められた異物は、たとえば、無断変速機1の停止後、シール部800によるシールが解かれるのに伴なって、作動油とともに、オイルパン(図示せず)に流出する。オイルパンからバルブボディ600に至る経路には、フィルタが設けられており、このフィルタによって異物が捕捉されるため、この経路からバルブボディ600に異物が流入することはない。
上記のように、無段変速機1の動作時には、テーパ面711の作用により、バルブボディ600への異物の流入が抑制されている。しかし、たとえば、無段変速機1を停止させた場合には、上記の作用が生じないため、テーパ面711の外側に一旦捕捉した異物が、パイプ部700を介してバルブボディ600内に流入することが懸念される。また、無段変速機1の動作時であっても、バルブボディ600への異物の流入を確実に防止することが望まれる。
本実施の形態に係る無段変速機1では、パイプ部700内に弁900を設けることにより、バルブボディ600への異物の流入を確実に防止している。図8,図9を参照して、弁900は、放射状の切れ目910を有し、バルブボディ600から作動油が供給される際には、矢印DR1方向(図5参照)の作動油の流れによって開弁する(図9中の矢印DR3を参照)。このとき、仮に、パイプ部700内に異物が流入していても、バルブボディ600側と油圧室143Cとの間の圧力差に起因して生じる矢印DR1方向の作動油の流れによって、当該異物がバルブボディ600内に流入することが抑制される。
他方、バルブボディ600からの作動油の供給が停止されたとき(たとえば、無段変速機1の停止時)には、作動油の流れによってバルブボディ600への異物の流入を抑制することが難しくなる。しかしながら、この場合、弁900が閉弁することにより、油圧室143C側の異物がバルブボディ600側に流れ込むことを抑制可能である。
図10は、無断変速機1の変形例における作動油の供給部の構造を示す図である。図10を参照して、本変形例に係る無段変速機1は、弁900の開閉を制御する電子制御部1000をさらに含む。電子制御部1000には、バルブボディ600側の油圧と油圧室143C側の油圧との圧力差を検知した検知結果に基づいて、上記圧力差が所定値以上である場合には開弁し、上記圧力差が所定値未満である場合には閉弁するように、弁900の開閉を制御する。なお、電子制御部1000は、たとえば、無断変速機1の動作時には弁900を開弁し、無段変速機1の停止時には弁900を閉弁するように構成されてもよい。
本実施の形態によれば、上述したように、バルブボディ600側と油圧室143C側との間に所定の圧力差がある場合には開き、該圧力差が無い場合には閉じる弁900を油路127上に設けることにより、バルブボディ600から油圧室143Cに向かう作動油の流れを阻害することなく、作動油に含まれる異物がバルブボディ600に流入することを抑制することができる。また、無段変速機1の動作時において、パイプ部700の回転に伴なう遠心力により、油路内の異物が第1パイプ710の先端に位置するテーパ面711に沿って径方向外方に導かれ、パイプ部700内に流入することが抑制される。したがって、油路127内の異物がバルブボディ600内に流入することが抑制される。以上の結果として、信頼性の高い無段変速機1が得られる。
無段変速機1において、第1パイプ710は、セカンダリシャフト120と摺動するため、鉄製の部材から構成され、第2パイプ720は、軽量化を図るため、アルミニウム製の部材から構成される。すなわち、パイプ部700は複数の部材(第1パイプ710および第2パイプ720)から構成され、パイプ部700を構成する第1パイプ710および第2パイプ720は、互いに異なる素材から構成される。したがって、無段変速機1では、第1パイプ710と第2パイプ720との間にシール部材を設けることが必要である。本実施の形態では、上記シール部材に代えて(上記シール部材と兼用して)、弁900を第1パイプ710と第2パイプ720との間に設けているため、部品点数の増大や製造工程の複雑化を防ぎながら、無段変速機1の信頼性を向上させることができる。
上述した内容について要約すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係る無段変速機1は、「回転軸」としての中心軸Aまわりに回転する「シリンダ」としての可動シーブ142と、可動シーブ142に嵌合されるピストン143Aと、可動シーブ142とピストン143Aとの間に形成される油圧室143Cと、油圧室143Cに作動油を供給する「変速比制御部」としてのバルブボディ600と、バルブボディ600から油圧室143Cに通じる油路127と、油路127上に設けられた弁900とを備える。弁900は、バルブボディ600と油圧室143C側との間に所定の圧力差がある場合には開き、該圧力差が無い場合には閉じる。また、弁900は、可動シーブ142およびピストン143Aが中心軸Aまわりに回転している場合には開き、中心軸Aまわりに回転していない場合には閉じる場合もある。
より具体的には、無段変速機1は、ピストン143Aとの間でV形の「溝部」としてのプーリ溝144を形成する「回転体」としての固定シーブ141と、プーリ溝144に巻き掛けられる「伝動ベルト」としてのベルト150とをさらに備える。そして、プーリ溝144の幅を変更することで、変速比を連続的に変更可能である。
また、無段変速機1は、油圧室143C側の油路を形成する「第1筒状部材」としてのセカンダリシャフト120と、バルブボディ600側の油路を形成する「第2筒状部材」としてのパイプ部700とを備える。セカンダリシャフト120にパイプ部700を挿入することによってセカンダリシャフト120とパイプ部700とが連結されている。セカンダリシャフト120とパイプ部700の連結部において、パイプ部700の先端の外周径は、バルブボディ600に近い側に位置するパイプ部700の外周径よりも小さい。換言すれば、セカンダリシャフト120とパイプ部700の連結部において、パイプ部700の先端は、パイプ部700の先端に向かって外周径が小さくなるテーパ形状を有する。
なお、図5以降の例では、セカンダリシャフト120への作動油の供給部の例について説明したが、プライマリシャフト110への作動油の供給部についても、同様の思想を適用することが可能であることは、言うまでもない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 無段変速機、100 変速機構部、110 プライマリシャフト、120 セカンダリシャフト、121 大径部、122 中径部、123 小径部、124 段差部、125 段差部、126 スプライン、127 油路、130 プライマリプーリ、131 固定シーブ、131A 動力伝達面、132 可動シーブ、132A 動力伝達面、133 油圧アクチュエータ、134 プーリ溝、140 セカンダリプーリ、141 固定シーブ、141A 動力伝達面、142 可動シーブ、142A 動力伝達面、143 油圧アクチュエータ、143A ピストン、143B 弾性部材、143C 油圧室、143D 防護部材、143E,143F ストッパ、144 プーリ溝、150 ベルト、160 ナット、200 ディファレンシャル部、210 リングギヤ、300,400 ギヤ、500 ケース体、510 トランスアクスルハウジング、520 トランスアクスルケース、530 トランスアクスルリアカバー、540 変速機構室、600 バルブボディ、700 パイプ部、710 第1パイプ、711 テーパ面、720 第2パイプ、730 シール部、800 シール部、900 弁、910 切れ目、1000 電子制御部。
Claims (5)
- 回転軸まわりに回転するシリンダと、
前記シリンダに嵌合されるピストンと、
前記シリンダと前記ピストンとの間に形成される油圧室と、
前記油圧室に作動油を供給する変速比制御部と、
前記変速比制御部から前記油圧室に通じる油路と、
前記油路上に設けられ、前記変速比制御部側と前記油圧室側との間に所定の圧力差がある場合には開き、該圧力差が無い場合には閉じる弁とを備えた、変速機。 - 回転軸まわりに回転するシリンダと、
前記シリンダに嵌合されるピストンと、
前記シリンダと前記ピストンとの間に形成される油圧室と、
前記油圧室に作動油を供給する変速比制御部と、
前記変速比制御部から前記油圧室に通じる油路と、
前記油路上に設けられ、前記シリンダおよび前記ピストンが前記回転軸まわりに回転している場合には開き、該回転軸まわりに回転していない場合には閉じる弁とを備えた、変速機。 - 前記ピストンとの間でV形の溝部を形成する回転体と、
前記V形の溝部に巻き掛けられる伝動ベルトとをさらに備え、
前記V形の溝部の幅を変更することで、変速比を連続的に変更可能である、請求項1または請求項2に記載の変速機。 - 前記油圧室側の前記油路を形成する第1筒状部材と、
前記変速比制御部側の前記油路を形成する第2筒状部材とをさらに備え、
前記第1筒状部材に前記第2筒状部材を挿入することによって前記第1筒状部材と前記第2筒状部材とが連結され、
前記第1筒状部材と前記第2筒状部材の連結部において、前記第2筒状部材の先端の外周径は、前記変速比制御部に近い側に位置する前記第2筒状部材の外周径よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれかに記載の変速機。 - 前記油圧室側の前記油路を形成する第1筒状部材と、
前記変速比制御部側の前記油路を形成する第2筒状部材とをさらに備え、
前記第1筒状部材に前記第2筒状部材を挿入することによって前記第1筒状部材と前記第2筒状部材とが連結され、
前記第1筒状部材と前記第2筒状部材の連結部において、前記第2筒状部材の先端は、該第2筒状部材の先端に向かって外周径が小さくなるテーパ形状を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の変速機。
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JP2008122430A JP2009270646A (ja) | 2008-05-08 | 2008-05-08 | 変速機 |
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Family Applications (1)
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JP2008122430A Withdrawn JP2009270646A (ja) | 2008-05-08 | 2008-05-08 | 変速機 |
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-
2008
- 2008-05-08 JP JP2008122430A patent/JP2009270646A/ja not_active Withdrawn
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