JP5141699B2 - 潤滑油供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑油供給装置に関する。
従来、オイル受け部から被潤滑部に潤滑油が供給される動力伝達装置において、ギアの回転によって鉛直方向上側のオイル受け部に潤滑油を送る技術が知られている。例えば、特許文献1には、回転部材により掻き上げられたオイルを、オイル受け部に供給するオイル供給装置において、掻き上げられたオイルの移動方向を回転部材の回転速度に応じて異なる方向に分岐させる分岐機構を備える技術が開示されている。
特開2003−336729号公報
しかしながら、回転部材の回転によって潤滑油を上方に送る場合、低車速時や、回転部材からオイル受け部までの高さが大きい場合などにオイル受け部まで潤滑油が届かないことがある。これに対して、オイルポンプの追加あるいは強化により対応しようとすると、コストアップや引き摺りトルクの増加などの問題がある。
本発明の目的は、オイル受け部に潤滑油を送る能力の向上を図ることができる潤滑油供給装置を提供することである。
本発明の潤滑油供給装置は、オイル受け部から被潤滑部に潤滑油が供給される車両の動力伝達装置に設けられ、前記オイル受け部に潤滑油を供給する潤滑油供給装置であって、前記オイル受け部よりも鉛直方向下方に配置されて互いに噛み合っており、潤滑油の供給を受ける一対のギアと、前記一対のギアの噛合い部と前記オイル受け部とを連通する誘導通路と、を備え、前記誘導通路は、前記噛合い部における前記一対のギアに形成された歯が引き込まれる側に接続されていることを特徴とする。
上記潤滑油供給装置では、前記誘導通路は、前記噛合い部における前記一対のギアの接線と平行な方向において、前記噛合い部における前記歯が引き込まれる側と対向していることが好ましい。
上記潤滑油供給装置では、前記噛合い部を挟んで軸方向において互いに対向する一対の壁部を備え、前記壁部は、前記誘導通路を構成する部材と接続されており、前記一対の壁部の間の空間部が、前記誘導通路と連続していることが好ましい。
上記潤滑油供給装置では、前記一対のギアの一方が、前記動力伝達装置内に貯留された潤滑油を回転によって送り出すことで前記噛合い部に潤滑油が供給されることが好ましい。
上記潤滑油供給装置では、前記貯留された潤滑油を回転によって送り出すギアとは、前記車両の駆動輪と同軸上に配置され、前記駆動輪と接続された差動機構のリングギアであることが好ましい。
上記潤滑油供給装置では、前記一対のギアとは異なり、前記一対のギアよりも鉛直方向下方に配置された第三のギアを備え、前記第三のギアは、前記動力伝達装置内に貯留された潤滑油を回転によって送り出すことで前記一対のギアに潤滑油を供給することが好ましい。
上記潤滑油供給装置では、前記第三のギアによって送られる潤滑油を前記一対のギアに導く通路部材を備え、前記通路部材は、前記第三のギアの周方向に沿って前記第三のギアと対向して設けられ、前記第三のギアとの間に前記第三のギアによって送られる潤滑油が流入する第一通路を形成する第一構成部と、前記第一通路内の潤滑油を前記一対のギアに導く第二通路を形成する第二構成部と、を有し、前記第二通路は、前記第一通路における前記第三のギアの回転方向に沿った潤滑油の流れ方向の下流側に形成された流出口よりも前記流れ方向の上流側において前記第一通路に接続されており、前記潤滑油供給装置は、更に、前記第一通路において潤滑油が前記第二通路との接続部から前記流出口へ向けて流れることを抑制する抑制構造を備えることが好ましい。
上記潤滑油供給装置では、前記噛合い部における前記一対のギアの接線において、前記噛合い部よりも前記歯が引き込まれる側は、前記噛合い部から離れるにつれて鉛直方向の上側に向かうことが好ましい。
本発明にかかる潤滑油供給装置は、互いに噛合っており、潤滑油の供給を受ける一対のギアと、一対のギアの噛合い部とオイル受け部とを連通する誘導通路とを備える。また、誘導通路は、噛合い部における一対のギアに形成された歯が引き込まれる側に接続されている。これにより、本発明の潤滑油供給装置によれば、一対のギアの噛み合いによって押し出される潤滑油をオイル受け部に送ることで、オイル受け部に潤滑油を送る能力の向上を図ることができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態に係る動力伝達装置を示す正面図である。 図2は、第1実施形態に係る動力伝達装置を示す側面図である。 図3は、第1実施形態に係る誘導部材を示す斜視図である。 図4は、一対のギアの噛合い部を示す図である。 図5は、第1実施形態の第1変形例に係る動力伝達装置を示す正面図である。 図6は、第1実施形態の第2変形例に係る動力伝達装置を示す正面図である。 図7は、第1実施形態の第3変形例に係る動力伝達装置を示す正面図である。 図8は、第2実施形態に係る動力伝達装置を示す正面図である。 図9は、第3実施形態に係る動力伝達装置を示す正面図である。 図10は、実施形態の組合せに基づく潤滑油供給装置の一例を示す図である。
以下に、本発明にかかる潤滑油供給装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
(第1実施形態)
図1から図4を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、オイル受け部から被潤滑部に潤滑油が供給される車両の動力伝達装置に設けられ、オイル受け部に潤滑油を供給する潤滑油供給装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置を示す正面図、図2は、第1実施形態に係る動力伝達装置を示す側面図(A視図)、図3は、第1実施形態に係る誘導部材を示す斜視図、図4は、一対のギアの噛合い部を示す図である。
本実施形態の潤滑油供給装置は、オイル受け部に潤滑油を供給するものであって、デフリングギア(ファイナルリングギア)およびドライブピニオンギア5にダクト状のケース(後述する誘導部材)を備えることで、ギアの噛み合いによって押し出される潤滑油の圧力によって、従来のデフ掻き揚げ構造では届かなかった場所に潤滑油を誘導する。これにより、オイルポンプの低コスト化や引き摺りトルクの低減が図られる。
図1において、符号1は、ハイブリッド車両(図示せず)の動力伝達装置を示す。また、符号1−1は、本実施形態の潤滑油供給装置を示す。動力伝達装置1は、ケース2を有する。ケース2内には、カウンタドライブギア3、カウンタドリブンギア4、ドライブピニオンギア5、MG2リダクションギア6、デフリングギア7、オイル受け部8、貯留部9、誘導部材10が設けられている。カウンタドライブギア3は、カウンタドリブンギア4よりも車両前後方向の前側に、MG2リダクションギア6およびデフリングギア7は、カウンタドリブンギア4よりも車両前後方向の後側に配置されている。
カウンタドライブギア3は、図示しないエンジンの出力軸および第1のモータジェネレータ(MG1)の回転軸と遊星歯車機構を介して接続されており、エンジンの出力は、カウンタドライブギア3およびMG1に分割して入力される。カウンタドリブンギア4およびドライブピニオンギア5は、同軸上に配置され、かつ一体に回転する。カウンタドリブンギア4は、カウンタドライブギア3と噛合っている。図2に示すように、MG2リダクションギア6は、第2のモータジェネレータ(MG2)20のロータ21の回転軸22に連結されており、ロータ21と一体に回転する。図1に示すように、MG2リダクションギア6は、カウンタドリブンギア4と噛合っている。MG2リダクションギア6は、カウンタドリブンギア4よりも小径であり、MG2(20)の出力は、MG2リダクションギア6からカウンタドリブンギア4に増幅して伝達される。
ドライブピニオンギア5は、デフリングギア7と噛合っており、カウンタドリブンギア4に入力されたエンジンの出力トルクおよびMG2(20)の出力トルクは、ドライブピニオンギア5を介してデフリングギア7に伝達される。図2において、符号23は、図示しない車両の駆動輪と同軸上に配置され、駆動輪と接続された差動機構を示す。デフリングギア7は、差動機構23のリングギアであって、駆動輪の回転と連動して回転する。図1の矢印Y1は、車両の前進時におけるデフリングギア7の回転方向を示す。MG2リダクションギア6は、デフリングギア7の鉛直方向上方に配置されている。
ケース2内における鉛直方向の下部には、潤滑油(例えば、ATF)を貯留する貯留部9が形成されている。デフリングギア7は、ケース2内の下部に配置されており、貯留部9に潤滑油が貯留された場合に、その貯留された潤滑油にデフリングギア7の一部が浸かる。ケース2内におけるデフリングギア7よりも鉛直方向上側には、オイル受け部8が設けられている。オイル受け部8は、潤滑油を貯留可能に構成されており、オイル受け部8内の潤滑油は、動力伝達装置1の被潤滑部に供給される。オイル受け部8は、ケース2の内壁面から突出するリブ8aによってケース2内の下方の空間と仕切られている。オイル受け部8の潤滑油は、供給孔8bを介してMG2(20)に、供給孔8cを介してMG1にそれぞれ供給されてMG1およびMG2(20)を潤滑・冷却する。なお、オイル受け部8の潤滑油は、動力伝達装置1の他の被潤滑部に供給されてもよい。
デフリングギア7は、駆動輪の回転と連動して回転して貯留部9の潤滑油を送り出す。従来、デフリングギア7等の回転部材によって、貯留部の潤滑油を鉛直方向上方のオイル受け部等の供給先に掻き揚げる技術が知られているが、このような掻き上げ方式では、下記のような状況において供給先に潤滑油が届かなかったり、十分な量が供給されなかったりする問題があった。
(a)低車速度時(デフリングギアの回転数が少ないため)。
(b)供給先がデフ軸からみて高い(高さに対して潤滑油の勢いが足りないため)。
(c)供給先がデフリングギアよりも車両後方にある(潤滑油の飛び出し方向を目標に向けるのが難しいため)。
(d)車両が坂を上っている時(デフリングギア周囲の潤滑油が増え、飛び出す潤滑油の勢いがなくなるため)。
本実施形態の潤滑油供給装置1−1は、デフリングギア7とドライブピニオンギア5との噛合い部40とオイル受け部8とを連通する誘導通路17を備える。誘導通路17によって、デフリングギア7とドライブピニオンギア5とが噛み合うことでデフリングギア7およびドライブピニオンギア5の歯溝から押し出される潤滑油がオイル受け部8に導かれる。これにより、低車速時や、オイル受け部8がデフリングギア7の回転軸から見て高い位置にある場合であっても、オイル受け部8に潤滑油を供給することができる。また、潤滑油供給装置1−1は、デフリングギア7およびドライブピニオンギア5の噛合い部40を挟んで軸方向において互いに対向する一対の壁部である側面カバー部13を有している。これにより、噛合い部40において歯溝から押し出される潤滑油がデフリングギア7およびドライブピニオンギア5の側方に流出することが抑制される。よって、歯溝から押し出される潤滑油は、誘導通路17へ向けて流れ、誘導通路17を介してオイル受け部8に効率良く送られる。
本実施形態では、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7が、オイル受け部8よりも鉛直方向下方に配置されて互いに噛合っており、潤滑油の供給を受ける一対のギアを構成している。また、デフリングギア7は、動力伝達装置1内(貯留部9)に貯留された潤滑油を回転によって送り出すことで噛合い部40に潤滑油を供給する。
誘導部材10は、誘導通路17を構成する筒状部11と、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の外周面を覆う外周面カバー部12と、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の側面を覆う側面カバー部13とを有する。誘導通路17は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7が噛み合うことでドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の歯溝から押し出される潤滑油をオイル受け部8に導く通路である。
符号L1は、ドライブピニオンギア5の中心軸線とデフリングギア7の中心軸線とを結ぶ仮想線分を示す。仮想線分L1よりも車両後方側は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の歯が回転により互いに近づく側である。仮想線分L1よりも車両後方側は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7のそれぞれに形成された歯が、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛合い部40に向けて引き込まれる側である。この「歯が引き込まれる側」では、回転に伴って、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の一方の歯溝に他方の歯が入り込み、噛み合い状態となる。
一方、仮想線分L1よりも車両前方側は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の歯が回転により互いに離間する側である。仮想線分L1よりも車両前方側は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7のそれぞれに形成された歯が、噛合い部40から送り出される側である。この「歯が送り出される側」では、回転に伴って、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の一方の歯溝から他方の歯が出て、噛み合い状態が解消される。
誘導通路17は、噛合い部40におけるドライブピニオンギア5およびデフリングギア7に形成された歯が引き込まれる側に接続されている。言い換えると、誘導通路17は、仮想線分L1よりも車両後方側におけるドライブピニオンギア5とデフリングギア7との隙間14とオイル受け部8とを接続する。ここで、隙間14は、ドライブピニオンギア5の外周面とデフリングギア7の外周面との間の空間部である。筒状部11は、誘導通路17が内部に形成された断面矩形の煙突形状(筒状)である。筒状部11は、鉛直方向の下端が隙間14において開口し、上端がオイル受け部8の流入口81に開口している。筒状部11における噛合い部40側の部分は、噛合い部40から車両後方に向けて延在している。つまり、誘導通路17は、噛合い部40におけるドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の接線Tと平行な方向において、噛合い部40における歯が引き込まれる側と対向している。
外周面カバー部12は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7のそれぞれの外周面に沿って形成されており、それぞれの外周面と隙間を空けて径方向に対向している。デフリングギア7の外周面に沿って形成されたデフ外周面カバー部12aは、デフリングギア7の鉛直方向の下端の近傍から隙間14まで延在しており、デフリングギア7との間に潤滑油の通路15を形成している。ドライブピニオンギア5の外周面に沿って形成されたピニオン外周面カバー部12bは、隙間14からドライブピニオンギア5の鉛直方向の上端の近傍まで延在しており、ドライブピニオンギア5との間に潤滑油の通路16を形成している。外周面カバー部12により、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7に付着した潤滑油が飛散してしまうことが抑制される。
側面カバー部13は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の側面に沿って形成された板状の構成部である。側面カバー部13は、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7を挟んで軸方向の両側に配置されて軸方向において互いに対向している。側面カバー部13は、外周面カバー部12から径方向の内側に突出しており、外周面カバー部12によって軸方向の両側に配置された側面カバー部13が互いに接続されている。側面カバー部13により、デフリングギア7と共に回転する潤滑油が軸方向に逃げることが抑制され、噛合い部40に多くの潤滑油が供給される。
側面カバー部13は、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛合い部40を挟んで軸方向において互いに対向する一対の壁部であって、噛合い部40を挟む側壁面を有している。また、側面カバー部13は、誘導通路17を構成する部材である筒状部11と接続されている。図3に示すように、側面カバー部13において軸方向に互いに対向する壁面13aは、噛合い部40に対応する側壁面13bを有している。側壁面13bは、噛合い部40を挟んで配置され、かつドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の側面とわずかな隙間を空けて対向している。なお、図3に示すように、側面カバー部13,13の間の空間部13cは、誘導通路17と連続している。側壁面13bにより、以下に図4を参照して説明するように、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛み合いにより押し出される潤滑油が側方に抜けてしまうことが抑制される。
図4において、符号5dは、ドライブピニオンギア5の歯5tと歯5tの間の歯溝、符号7dは、デフリングギア7の歯7tと歯7tの間の歯溝を示す。ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7が回転する際、歯溝5d,7dは潤滑油で満たされている。噛合い部40において、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7とが噛み合うと、ドライブピニオンギア5の歯溝5dにはデフリングギア7の歯7tが入り込み、デフリングギア7の歯溝7dにはドライブピニオンギア5の歯5tが入り込む。これにより、歯溝5d,7dの潤滑油は行き場を失い、歯溝5d,7dから押し出される。押し出される潤滑油は、矢印Y2に示すように歯溝5d,7dから隙間14に向けて流れるだけでなく、歯溝5d,7dから側方に流れようとする。
しかしながら、本実施形態の潤滑油供給装置1−1では、側面カバー部13に側壁面13b(図3参照)が設けられており、噛合い部40において歯溝5d,7dから側方(軸方向)に潤滑油が押し出されることが抑制される。これにより、歯溝5d,7dから押し出される潤滑油は、隙間14に向けて流れ、誘導通路17に流入する。ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7によって継続的に潤滑油が噛合い部40に供給され、歯溝5d,7dから潤滑油が押し出されることで、隙間14の油圧が上昇する。よって、圧力により隙間14から誘導通路17に潤滑油が流入し、オイル受け部8へ向けて押し上げられ、オイル受け部8に潤滑油が供給される。
このように、本実施形態の潤滑油供給装置1−1では、噛合い部40におけるドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛み合いで歯溝5d,7dから押し出される潤滑油の圧力によって、噛合い部40からオイル受け部8まで誘導通路17を介して潤滑油が供給される。圧力により誘導通路17を潤滑油が押し上げられるため、デフリングギア7の回転速度が小さい低車速時であっても、オイル受け部8まで潤滑油が供給可能となる。つまり、デフリングギア7の回転の勢いによりオイル受け部8まで潤滑油を送る従来の方法と比較して、低車速のときからオイル受け部8に潤滑油を供給可能となり、潤滑油供給装置1−1の能力の向上を図ることができる。
また、外周面カバー部12や側面カバー部13が設けられていることで、ドライブピニオンギア5やデフリングギア7に付着した潤滑油が噛合い部40に到達する前に飛散してしまうことが抑制され、噛合い部40に多くの潤滑油が集中する。これにより、隙間14の油圧が上昇しやすくなることで、より低車速の段階からオイル受け部8に潤滑油が送られる。
また、噛合い部40におけるドライブピニオンギア5とデフリングギア7の接線Tにおいて、噛合い部40よりも歯が引き込まれる側(車両後方側)T1は、噛合い部40から離れるにつれて鉛直方向の上側に向かう。言い換えると、接線Tは、噛合い部40における回転方向後方の歯面が向く方向に向かうにつれて鉛直方向の上側に向かう。これにより、隙間14(噛合い部40における歯が引き込まれる側)が潤滑油で満たされた状態となり、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7の噛み合いにより隙間14の油圧を上昇させて潤滑油を送り出す効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態の誘導部材10において、側面カバー部13が省略されてもよい。このような構成であっても、外周面カバー部12が設けられて外周面カバー部12とドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の外周面との間に潤滑油を溜め込むことができれば、多くの潤滑油を噛合い部40に送ることが可能である。
本実施形態の動力伝達装置1は、ハイブリッド車両の動力伝達装置であったが、これには限定されない。ハイブリッド車両以外の車両に搭載される動力伝達装置、例えばMT(手動変速機)の動力伝達装置に潤滑油供給装置1−1が適用されてもよい。また、潤滑油供給装置1−1は、車両以外の動力伝達装置に適用されてもよい。
(第1実施形態の第1変形例)
第1実施形態の第1変形例について説明する。図5は、本変形例に係る動力伝達装置を示す正面図である。本変形例の潤滑油供給装置1−11が上記第1実施形態の潤滑油供給装置1−1と異なる点は、デフリングギア7の回転が高速である場合に、誘導通路17を介してオイル受け部8に潤滑油が送られるだけでなく、デフリングギア7の回転の勢いにより誘導通路17を介さずにオイル受け部8に潤滑油が送られることである。これにより、高車速時に隙間14に供給される潤滑油の量が過大となることが抑制され、引き摺り損失が低減することで、動力伝達装置1の伝達効率が向上する。
図5に示すように、本変形例のデフ外周面カバー部12aは、デフリングギア7の外周面における鉛直方向の上部のみを覆っている。これにより、デフリングギア7の回転速度が高速である場合に、矢印Y3に示すように、回転の勢いによりデフリングギア7から離れた潤滑油が誘導部材10とケース2の内周面2aとの間を上昇し、オイル受け部8に到達する。つまり、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛み合いにより押し出されて隙間14および誘導通路17を介してオイル受け部8に潤滑油が供給されるのみならず、デフリングギア7の回転の勢いにより誘導通路17を介さずにオイル受け部8に潤滑油が供給される。このように2つの異なる経路を通って潤滑油が供給されることで、高車速時であっても十分な量の潤滑油がオイル受け部8に供給される。また、デフリングギア7の回転速度が高速となるにつれて、回転の勢いによってデフリングギア7から離れる潤滑油の量が多くなる。これにより、高車速時にデフリングギア7によって噛合い部40に送られる潤滑油の量が過大となることが抑制され、引き摺り損失が低減される。
なお、デフ外周面カバー部12aの設置範囲は、例えば、デフリングギア7の回転速度と、回転によってデフリングギア7から離れる潤滑油の流れの状態との関係に基づいて定めることができる。潤滑油の流れの状態とは、デフリングギア7から潤滑油が離れる位置や、離れる潤滑油の量、離れた潤滑油が飛散する方向などとすることができる。例えば、デフリングギア7の回転の勢いが十分に大きくなり、回転の勢いでオイル受け部8まで潤滑油を送ることができるときに、デフリングギア7から離れる潤滑油の流れを妨げないようにデフ外周面カバー部12aの設置範囲を設定するようにすればよい。
なお、高車速時にデフリングギア7の回転の勢いによって潤滑油をオイル受け部8に向けて飛ばすことができる誘導部材10の形状は、図5に示したものには限定されない。例えば、外周面カバー部12や側面カバー部13に切欠部や貫通孔を設けることで、デフリングギア7から離れる潤滑油がオイル受け部8に向けて飛ぶようにしてもよい。
(第1実施形態の第2変形例)
第1実施形態の第2変形例について説明する。図6は、本変形例に係る動力伝達装置を示す正面図である。本変形例の潤滑油供給装置1−12が上記第1実施形態の潤滑油供給装置1−1と異なる点は、誘導部材10に開閉弁18が設けられている点である。開閉弁18は、デフ外周面カバー部12aに設けられ、通路15と外部との間を連通あるいは遮断するものである。開閉弁18は、通路15の圧力に応じて開閉するもので、通路15の圧力が低圧であると閉じ、通路15の圧力が高圧であると開く。これにより、低車速時には開閉弁18が閉じて通路15の潤滑油が外部へ流出することが抑制され、デフリングギア7により効率的に噛合い部40に潤滑油が送られる。一方、高車速時には開閉弁18が開き、通路15の潤滑油が外部へ流出し、オイル受け部8へ向けて流れることができる。
(第1実施形態の第3変形例)
第1実施形態の第3変形例について説明する。図7は、本変形例に係る動力伝達装置を示す正面図である。本変形例の潤滑油供給装置1−13が上記第1実施形態の潤滑油供給装置1−1と異なる点は、誘導部材10が外周面カバー部12を有しない点である。これにより、誘導部材10をコンパクト化することができる。
図7に示すように、誘導部材10は、筒状部11と側面カバー部13とで構成されている。側面カバー部13は、上記第1実施形態と同様に、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7を挟んで軸方向の両側に配置されて軸方向において互いに対向している。本変形例の側面カバー部13は、ドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛合い部40を含む噛合い部40の近傍にのみ配置されている。言い換えると、側面カバー部13の設置範囲は、噛合い部40から軸方向に潤滑油が流れ出ることを抑制するために必要とされる範囲である。
外周面カバー部12が設けられていなくとも、デフリングギア7の回転速度が低速である場合には、潤滑油はデフリングギア7の歯と歯の間に保持されたまま噛合い部40まで送られる。したがって、噛合い部40におけるドライブピニオンギア5とデフリングギア7との噛み合いで押し出される潤滑油が、誘導通路17を介してオイル受け部8に供給される。デフリングギア7の回転速度が高速である場合には、上記第1実施形態の第1変形例と同様に、デフリングギア7から離れる潤滑油が、誘導通路17の外部の空間を通ってオイル受け部8に送られる(図5の矢印Y3参照)。なお、噛合い部40において押し出される潤滑油が、隙間14から外部に漏れ出ることを抑制できるように、ドライブピニオンギア5およびデフリングギア7の外周面と筒状部11との隙間は可能な限り小さくされることが望ましい。
(第2実施形態)
図8を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第2実施形態に係る動力伝達装置を示す正面図である。
第2実施形態の潤滑油供給装置1−2では、カウンタドリブンギア4とMG2リダクションギア6との噛み合いにより押し出される潤滑油がオイル受け部8に供給される。デフリングギア7の回転による勢いで潤滑油を鉛直方向の上方に送る場合、低車速時には勢いが足りずにオイル受け部8まで潤滑油が到達しない場合がある。例えば、MG2(20)が大型化されてデフリングギア7とMG2リダクションギア6の高低差が大きくなると、これに対応してオイル受け部8の流入口81が高い位置に設けられることとなり、低車速時に潤滑油がオイル受け部8まで到達できないことがある。
本実施形態の潤滑油供給装置1−2によれば、低車速時に潤滑油がオイル受け部8まで到達しない場合であっても、MG2リダクションギア6まで潤滑油が到達すれば、オイル受け部8に潤滑油を供給することができる。よって、潤滑油供給装置1−2においてオイル受け部8に潤滑油を送る能力の向上を図ることができる。
誘導部材30は、誘導通路37を構成する筒状部31と、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6の外周面を覆う外周面カバー部32と、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6の側面を覆う側面カバー部33とを有する。誘導通路37は、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6が噛み合うことで押し出される潤滑油をオイル受け部8に導くものである。
符号L2は、カウンタドリブンギア4の中心軸線とMG2リダクションギア6の中心軸線とを結ぶ仮想線分を示す。仮想線分L2よりも鉛直方向の上側は、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6に形成された歯が噛合い部41に引き込まれる側(カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6の歯が回転により互いに近づく側)である。誘導通路37は、仮想線分L2よりも鉛直方向上側におけるカウンタドリブンギア4とMG2リダクションギア6との隙間24とオイル受け部8とを接続する。隙間24は、カウンタドリブンギア4の外周面とMG2リダクションギア6の外周面との間の空間部である。つまり、誘導通路37は、噛合い部41におけるカウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6の歯が引き込まれる側に接続されている。誘導通路37を構成する筒状部31は、断面矩形の煙突形状(筒状)である。
オイル受け部8の流入口81は、オイル受け部8における車両前後方向の後ろ側の端部に形成されており、MG2リダクションギア6よりも車両後方側に位置している。オイル受け部8を形成するリブ8aには、第二流入口82が形成されている。第二流入口82は、流入口81よりも車両前方側に配置されており、リブ8aにおけるカウンタドリブンギア4とMG2リダクションギア6との噛合い部41と鉛直方向において対向する位置に形成されている。カウンタドリブンギア4の中心軸線よりもMG2リダクションギア6の中心軸線が鉛直方向の上側に位置している。これに対応して、誘導通路37は、鉛直方向の上側に向けて車両前方側に向かう傾斜を有しており、筒状部31における鉛直方向上側の開口部は、車両前方側を向いている。第二流入口82は、筒状部31の鉛直方向上側の開口部と対向しており、誘導通路37から流出する潤滑油は、第二流入口82を通ってオイル受け部8に流入する。
側面カバー部33は、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6の側面に沿って形成された板状の構成部である。側面カバー部33は、カウンタドライブギア4およびMG2リダクションギア6を挟んで軸方向の両側に配置されて軸方向において互いに対向している。一対の側面カバー部33,33は、外周面カバー部32から径方向の内側に突出しており、外周面カバー部32によって互いに接続されている。また、側面カバー部33は、筒状部31と連続して形成されており、一対の側面カバー部33,33の間の空間部は、誘導通路37と連続している。
側面カバー部33,33は、カウンタドリブンギア4とMG2リダクションギア6との噛合い部41を挟んで軸方向において互いに対向する一対の壁部である。側面カバー部33において、互いに対向する側壁面33bは、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6の側面とわずかな隙間を空けて対向している。側壁面33bが設けられていることで、噛合い部41におけるカウンタドリブンギア4とMG2リダクションギア6との噛み合いにより押し出される潤滑油が軸方向に抜けることが抑制され、潤滑油が隙間24に向けて押し出される。隙間24に押し出された潤滑油は、油圧により誘導通路37を介してオイル受け部8に送られる。
互いに噛合う一対のギアであるカウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6へは、第三のギアとしてのデフリングギア7によって潤滑油が供給される。デフリングギア7は、カウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6よりも鉛直方向下方に配置されており、貯留部9に貯留された潤滑油を回転によって送り出すことで、MG2リダクションギア6に潤滑油を供給する。デフリングギア7の回転によって飛ばされる潤滑油がオイル受け部8まで到達しない低車速時であっても、MG2リダクションギア6に潤滑油が到達すれば、MG2リダクションギア6によって潤滑油が噛合い部41に送られ、誘導通路37を介してオイル受け部8に潤滑油が供給される。また、高車速時には、デフリングギア7の回転の勢いによって送られる潤滑油が、流入口81を介してオイル受け部8に流入する。よって、本実施形態の潤滑油供給装置1−2によれば、オイル受け部に潤滑油を送る能力の向上を図ることができる。
なお、カウンタドリブンギア4には、デフリングギア7によってMG2リダクションギア6まで飛ばされる経路だけでなく、他の経路を介しても潤滑油が供給される。例えば、デフリングギア7とドライブピニオンギア5との噛み合いによってデフリングギア7からドライブピニオンギア5に移る経路や、デフリングギア7からカウンタドリブンギア4に飛び移る経路でカウンタドリブンギア4に潤滑油が供給される。よって、低車速時であっても、多くの潤滑油が噛合い部41に送られ、誘導通路37を介してオイル受け部8に供給される。
(第3実施形態)
図9を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図9は、本実施形態に係る動力伝達装置を示す側面図である。
本実施形態の潤滑油供給装置1−3において、上記第2実施形態の潤滑油供給装置1−2と異なる点は、デフリングギア7の回転力とポンプ作用により発生する圧力とで潤滑油をMG2リングギア6に送る点である。これにより、デフリングギア7の回転力のみで潤滑油を送る場合と比較して鉛直方向の上方に潤滑油を送る能力の向上を図ることができる。また、潤滑油をMG2リダクションギア6に誘導する通路が設けられることで、より多くの潤滑油がMG2リダクションギア6に供給可能となる。上記第2実施形態と同様に、デフリングギア7が第三のギアとしてカウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6に潤滑油を供給する。
図9に示すように、潤滑油供給装置1−3は、上記第2実施形態と同様の誘導部材30に加えて、通路部材50を備えている。通路部材50は、デフリングギア7によって送られる潤滑油をカウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6に導くものであって、第一構成部51および第二構成部52を有する。第一構成部51は、デフリングギア7の周方向に沿ってデフリングギア7と対向して設けられ、デフリングギア7との間にデフリングギア7によって送られる潤滑油が流入する通路である第一通路53を形成する。第一構成部51は、デフリングギア7を軸方向に挟んで互いに対向する一対の側壁部51aと、デフリングギア7の外周面7aと径方向に対向し、外周面7aに対応する形状に形成された曲面部51bとを有する。側壁部51a,51aにおける径方向の外側端部は、曲面部51bによって互いに接続されている。つまり、第一構成部51は、デフリングギア7の両側面および外周面7aとそれぞれ対向している。
デフリングギア7の周方向における第一構成部51の設置領域は、デフリングギア7の半周よりもわずかに少ない領域であって、かつデフリングギア7の回転方向前方の歯面が鉛直方向の上側を向く領域とされている。言い換えると、デフリングギア7に対して第一通路53が形成される周方向の範囲は、デフリングギア7の回転によって潤滑油が鉛直方向上側に送られる範囲に対応している。これにより、第一通路53における潤滑油の流入口53aは、第一通路53の鉛直方向下端に位置し、デフリングギア7の回転方向に沿った潤滑油の流れ方向の下流側に形成された流出口53bは、第一通路53の鉛直方向上端に位置している。流入口53aにおいて、曲面部51bの外周面はケース2の底面に接しており、デフリングギア7の回転によって送られる潤滑油は、流入口53aから第一通路53に流入する。
第二構成部52は、第一通路53と接続されて第一通路53内の潤滑油をオイル受け部8に導く第二通路54を形成している。第二通路54は、第一通路53におけるデフリングギア7の回転方向に沿った潤滑油の流れ方向における流出口53bよりも上流側において第一通路53に接続されている。以下の説明では、第一通路53におけるデフリングギア7の回転方向(Y4)に沿った潤滑油の流れ方向の上流側および下流側を単に「第一通路53の上流側」および「第一通路53の下流側」と称する。第一構成部51の曲面51bには、開口部が形成されており、この開口部が、第一通路53と第二通路54との接続部53cであり、かつ第二通路54の流入口となっている。つまり、第二通路54の流入口である接続部53cは、デフリングギア7の外周面7aと径方向に対向している。
第二構成部52は、第二通路54が内部に形成された断面矩形の煙突状(筒状)に形成されており、接続部53cからオイル受け部8に向けて鉛直方向に延在している。第二構成部52が筒状とされ、第二通路54の両端以外が閉じていることで、第二通路54における潤滑油の移動方向が第二構成部52の軸方向のみに規制され、また油圧の抜けが抑制されることで、潤滑油を上方へ導く力が増加する。第二通路54の流路断面積は、第一通路53の流路断面積よりも大きい。第二通路54の下端は、接続部53cにおいて第一通路53に接続されており、上端はオイル受け部8の流入口81に向けて開口している。また、第二構成部52における鉛直方向の上端には、潤滑油をMG2リダクションギア6に導く誘導通路55が設けられている。誘導通路55は、第二通路54における鉛直方向の上側の開口部とMG2リダクションギア6の下部とを接続している。第二通路54から流出して誘導通路55によりMG2リダクションギア6に導かれた潤滑油は、MG2リダクションギア6に付着して噛合い部41に送られる。つまり、第二通路54によってカウンタドリブンギア4およびMG2リダクションギア6に潤滑油が導かれる。
デフリングギア7が回転すると、貯留部9の潤滑油は、デフリングギア7に送られて流入口53aから第一通路53に流入する。デフリングギア7により、第一通路53に継続的に潤滑油が送り込まれることで、第一通路53内の油圧が上昇する。第一通路53の油圧が上昇することで、第一通路53内の潤滑油は、第二通路54をオイル受け部8に向けて上昇する。つまり、デフリングギア7および通路部材50は、潤滑油の油圧を高めて潤滑油を上方に送り出すポンプとして機能する。
油圧およびデフリングギア7の回転によって第一通路53内をデフリングギア7の回転方向に沿って流れる潤滑油は、第二通路54との接続部53cから流出口53bおよび第二通路54に向けてそれぞれ流れようとするが、本実施形態の潤滑油供給装置1−3は、第一通路53において接続部53cから流出口53bへ向けて潤滑油が流れることを抑制する抑制構造を備えている。この抑制構造とは、第二通路54が、接続部53cから径方向の外側に向けて延在しており、遠心力を受ける潤滑油が第二通路54に向けて流れやすいこと、第二通路54において、オイル受け部8側が接続部53c側よりも第一通路53の下流側に位置しており、接線方向に沿って第一通路53から第二通路54に潤滑油が流れやすいこと、第二通路54の流路断面積が、第一通路53の流路断面積よりも大きいこと、接続部53cよりも流出口53bが鉛直方向の上側に位置していることなどである。本実施形態の抑制構造は、通路部材50とデフリングギア7を含んで構成される。
なお、抑制構造として、接続部53cよりも流れ方向の下流側におけるデフリングギア7と第一構成部51との隙間が、接続部53cよりも流れ方向の上流側におけるデフリングギア7と第一構成部51との隙間よりも小さいことが好ましい。
また、側壁部51aにおけるデフリングギア7と対向する壁面に、壁面に沿って流れる潤滑油を接続部53cに誘導する方向に延在する段差部が設けられることが好ましい。
また、抑制構造として、一対のギアが噛み合うことで歯溝から押し出される潤滑油を流出口53bに導く油路が設けられてもよい。
上記のように、接続部53cがデフリングギア7の外周面と対向する位置に形成されており、第二通路54が接続部53cから径方向の外側に向けて延在していることにより、デフリングギア7の回転の勢いにより第二通路54に送り込まれる潤滑油は、その勢いによって、第二通路54を上方に移動していくことができる。このように、本実施形態の潤滑油供給装置1−3では、デフリングギア7の回転力によるエネルギー(勢い)だけでなく、デフリングギア7と通路部材50によるポンプ効果をも利用して潤滑油がケース2内の上方に向けて送られる。また、接続部53cから流出口53bへ向けて潤滑油が流れることが抑制されており、第二通路54へ向かう潤滑油の流れが促進されることで、第二通路54を介してケース2内の上部まで潤滑油が送られる。よって、低車速時に効率的にMG2リダクションギア6に潤滑油が供給される。また、高車速時には、デフリングギア7によって第二通路54に送り込まれる潤滑油の勢いが高まるため、第二通路54から鉛直方向上方に向けて流出する潤滑油の勢いが大きくなる。このため、第二通路54から飛び出す潤滑油が直接オイル受け部8に流入することができる。
第二構成部52が筒状であり、かつ接続部53cがデフリングギア7の外周面と対向する位置に形成されている場合、以下の(1)から(4)の少なくとも一つの構成を有するようにすれば、第二通路54においてオイル受け部8に向かう潤滑油の流れが接続部53cに向かう流れへと向きを変える渦の発生を抑制することができる。
(1)デフリングギア7の軸方向における第二通路54の幅が、デフリングギア7の外周面の幅と近似している。
(2)デフリングギア7がはすば歯車である場合、第二通路54が、接続部53cからオイル受け部8に向けてデフリングギア7の軸方向におけるデフリングギア7の回転方向前方の歯面が向く側に傾斜している。
(3)第二構成部52は、第二通路54を挟んでデフリングギア7の軸方向において互いに対向する内壁面を有し、互いに対向する内壁面のうち、デフリングギア7の回転方向後方の歯面が向く側の内壁面には、他方の内壁面に向けて突出する突出部が形成されている。
(4)第二通路54に整流部材が配置されている。
また、第二構成部52が筒状である場合、以下の(5)または(6)の少なくとも一方の構成を有することが好ましい。
(5)第二通路54において、オイル受け部8側の流路断面積が、接続部53c側の流路断面積よりも小さい。
(6)第二通路54における接続部53c側からオイル受け部8側へ向かう潤滑油の移動を許容し、かつオイル受け部8側から接続部53c側へ向かう潤滑油の移動を抑制する構造を備える。
上記の実施形態は、適宜組み合わせることができる。図10は、実施形態の組合せに基づく潤滑油供給装置1−4の一例を示す図である。例えば、潤滑油供給装置1−4が、図10に示すように、上記第1実施形態の第1変形例に係る誘導部材10(図5参照)と上記第2実施形態に係る誘導部材30(図8参照)の両方を有するようにしてもよい。この場合、オイル受け部8は、上記第2実施形態と同様の第二流入口82を有するようにする。低車速時には、デフリングギア7に付着した潤滑油がデフリングギア7とドライブピニオンギア5との噛合い部に送られ、誘導通路17を介してオイル受け部8に流入する(矢印Y5参照)。高車速時には、デフリングギア7から離れた潤滑油は、オイル受け部8に向けて上昇する。ここで、デフリングギア7が、はすば歯車であるため、歯スジの向きにより、潤滑油がMG2リダクションギア6に向けて斜めに飛ぶ(矢印Y7参照)。これにより、デフリングギア7から離れた潤滑油は、誘導部材10に邪魔されることなくMG2リダクションギア6へ向けて移動することができる。MG2リダクションギア6に到達した潤滑油は、噛合い部41におけるギアの噛み合いにより押し出されて、誘導通路37を介して第二流入口82からオイル受け部8に流入する。
以上のように、本発明にかかる潤滑油供給装置は、動力伝達装置のオイル受け部に潤滑油を供給するのに有用であり、特に、オイル受け部に潤滑油を送る能力の向上に適している。
1 動力伝達装置
1−1,1−2,1−3,1−4 潤滑油供給装置
2 ケース
4 カウンタドリブンギア
5 ドライブピニオンギア
6 MG2リダクションギア
7 デフリングギア
8 オイル受け部
9 貯留部
10,30 誘導部材
11,31 筒状部
12,32 外周面カバー部
13,33 側面カバー部
14,24 隙間
17,37 誘導通路
40,41 噛合い部
50 通路部材
81 流入口
82 第二流入口

Claims (8)

  1. オイル受け部から被潤滑部に潤滑油が供給される車両の動力伝達装置に設けられ、前記オイル受け部に潤滑油を供給する潤滑油供給装置であって、
    前記オイル受け部よりも鉛直方向下方に配置されて互いに噛み合っており、潤滑油の供給を受ける一対のギアと、
    前記一対のギアの噛合い部と前記オイル受け部とを連通する誘導通路と、を備え、
    前記誘導通路は、前記噛合い部における前記一対のギアに形成された歯が引き込まれる側に接続されている
    ことを特徴とする潤滑油供給装置。
  2. 請求項1に記載の潤滑油供給装置において、
    前記誘導通路は、前記噛合い部における前記一対のギアの接線と平行な方向において、前記噛合い部における前記歯が引き込まれる側と対向している潤滑油供給装置。
  3. 請求項1または2に記載の潤滑油供給装置において、
    前記噛合い部を挟んで軸方向において互いに対向する一対の壁部を備え、
    前記壁部は、前記誘導通路を構成する部材と接続されており、前記一対の壁部の間の空間部が、前記誘導通路と連続している潤滑油供給装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の潤滑油供給装置において、
    前記一対のギアの一方が、前記動力伝達装置内に貯留された潤滑油を回転によって送り出すことで前記噛合い部に潤滑油が供給される潤滑油供給装置。
  5. 請求項4に記載の潤滑油供給装置において、
    前記貯留された潤滑油を回転によって送り出すギアとは、前記車両の駆動輪と同軸上に配置され、前記駆動輪と接続された差動機構のリングギアである潤滑油供給装置。
  6. 請求項1から3のいずれか1項に記載の潤滑油供給装置において、
    前記一対のギアとは異なり、前記一対のギアよりも鉛直方向下方に配置された第三のギアを備え、
    前記第三のギアは、前記動力伝達装置内に貯留された潤滑油を回転によって送り出すことで前記一対のギアに潤滑油を供給する潤滑油供給装置。
  7. 請求項6に記載の潤滑油供給装置において、
    前記第三のギアによって送られる潤滑油を前記一対のギアに導く通路部材を備え、
    前記通路部材は、
    前記第三のギアの周方向に沿って前記第三のギアと対向して設けられ、前記第三のギアとの間に前記第三のギアによって送られる潤滑油が流入する第一通路を形成する第一構成部と、
    前記第一通路内の潤滑油を前記一対のギアに導く第二通路を形成する第二構成部と、
    を有し、
    前記第二通路は、前記第一通路における前記第三のギアの回転方向に沿った潤滑油の流れ方向の下流側に形成された流出口よりも前記流れ方向の上流側において前記第一通路に接続されており、
    前記潤滑油供給装置は、更に、前記第一通路において潤滑油が前記第二通路との接続部から前記流出口へ向けて流れることを抑制する抑制構造を備える潤滑油供給装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の潤滑油供給装置において、
    前記噛合い部における前記一対のギアの接線において、前記噛合い部よりも前記歯が引き込まれる側は、前記噛合い部から離れるにつれて鉛直方向の上側に向かう潤滑油供給装置。
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