JP2009270145A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の成膜装置は、長尺の基板を長手方向に所定の搬送経路で搬送しながら、基板の表面に有機層を形成し、有機層上に無機層を形成するものである。この成膜装置は、基板を長手方向に所定の搬送経路で搬送する搬送手段と、有機層を基板の表面に形成する第1の成膜手段が設けられた第1の成膜室と、第1の成膜室の搬送経路の下流側に配置されるとともに有機層上に無機層を形成する第2の成膜手段が設けられた第2の成膜室と、第1の成膜室内および第2の成膜室内を所定の圧力に減圧する真空排気手段とを有する。
【選択図】図1
Description
また、これらの機能性フィルムの製造に、スパッタリング法またはプラズマCVD法等の真空成膜法(気相成膜法)による成膜(薄膜形成)が利用されている。
このような成膜を実施する成膜装置としては、長尺な基板(ウェブ状の基板)をロール状に巻回してなる供給ロールと、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロールとを用いる、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の成膜装置が知られている。このロール・ツー・ロールの成膜装置は、プラズマCVDによって基板に成膜を行なう成膜室を通過する所定の経路で、供給ロールから巻取りロールまで長尺な基板を挿通し、供給ロールからの基板の送り出しと、巻取りロールによる成膜済基板の巻取りとを同期して行いつつ、成膜室において、搬送される基板に連続的に成膜を行なう。
このメインロールの周囲の所定の位置には、気化有機材料塗布部が設けられており、この気化有機材料塗布部には、真空引配管を介して真空槽の外部に配置されている真空ポンプが連結されている。真空引配管および真空ポンプにより、真空槽の内部よりも低い圧力にされる。メインロールから巻取りロール側の補助ロールとの間に対応する位置には、紫外線ランプユニットが配置されている。真空槽の底部には、無機材料蒸発源として電子ビーム発生器が配置されている。この上にハースが配置されている。電子ビーム発生器とは別に、圧力勾配型プラズマガンが配置されている。
真空槽内での塗膜形成する際、真空槽内の圧力よりも低い雰囲気圧力条件下で蒸気を透明基材フィルムに接触させている。この真空槽内の圧力よりも低い雰囲気条件下は、例えば、真空槽の真空引きとは別に設けた真空ポンプにより実現される。
また、ガスバリア性無機薄膜層は、電子ビームをガスバリア性無機薄膜層形成材料に照射して、気化された形成材料を、圧力勾配型プラズマガンによって発生されるプラズマを利用して活性化させて、透明基材フィルムの上にガスバリア性無機薄膜層を形成する。
また、特許文献1においては、1つのドラム(メインローラ)上で、有機薄膜層と無機薄膜層とを形成している。このため、有機薄膜層と無機薄膜層との最適成膜温度が異なる場合、有機薄膜層および無機薄膜層の少なくともいずれか一方の膜質が低下してしまうとういう問題点もある。
また、本発明において、前記第1のドラムおよび前記第2のドラムには、それぞれ温度調節手段が設けられており、前記第1のドラムと前記第2のドラムとが独立して温度制御されることが好ましい。
また、本発明において、前記差圧室内の圧力は、前記第1の成膜室内および前記第2の成膜室内のいずれの圧力よりも高いことが好ましい。
さらに、本発明において、前記差圧室内の圧力は、前記第1の成膜室内および前記第2の成膜室内のいずれの圧力よりも低いことが好ましい。
また、本発明において、前記差圧室に、その内部の圧力を調整する圧力調節手段が設けられていることが好ましい。
このため、有機層の成膜温度および無機層の成膜温度を、それぞれ最適な温度とすることができ、有機層および無機層の膜質の低下を抑制することができる。
さらには、第1の成膜室と第2の成膜室とが分かれており、第1の成膜手段と第2の成膜手段とが相互に独立していることから、第2の成膜手段の成膜能力を、第1の成膜手段から独立して高くすることができる。このため、第2の成膜手段による無機層の成膜速度が遅い場合でも、有機層の成膜速度が、これに律速されることがなくなり、高い生産効率で成膜することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
また、成膜装置10においては、供給室12と有機層成膜室13とを区画する壁15、有機層成膜室13と無機層成膜室14とを区画する壁15、および無機層成膜室14と巻取り室16とを区画する壁15には、基板Zが通過するスリット状の開口15cが形成されている。
なお、配管34においては、供給室12に接続されるものには第1のバルブ35aが設けられており、有機層成膜室13に接続されるものには第2のバルブ35bが設けられている。また、配管34においては、無機層成膜室14に接続されるものには第3のバルブ35cが設けられており、巻取り室16に接続されるものには第4のバルブ35dが設けられている。
なお、各第1のバルブ35a〜第4のバルブ35dは、1つのバルブにより構成されることなく、例えば、大気開放(ベント)する機能を有するバルブ、および排気量を調節する機能を有するバルブより構成されていてもよい。
また、有機層成膜室13には内部の圧力を測定する第1圧力センサ38aが設けられ、無機層成膜室14には内部の圧力を測定する第2圧力センサ38bが設けられている。図示はしないが、供給室12および巻取り室16にも内部の圧力を測定する圧力センサが設けられている。
第1圧力センサ38a、第2圧力センサ38bおよび各圧力センサ(図示せず)には、真空容器内の圧力を測定する公知のものを用いることができる。
基板ロール20は、長尺な基板Zを連続的に送り出すものであり、例えば、反時計回りに基板Zが巻回されている。
基板ロール20は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータによって基板ロール20が基板Zを巻き戻す方向rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、基板Zが連続的に送り出される。
本実施形態の成膜装置10においては、ガイドローラ21は、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ21は、基板Zの搬送時における張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
この巻取りロール30は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータにより巻取りロール30が回転されて、有機層b上に無機層fが形成された基板Z(機能性フィルムF)が巻き取られる。
巻取りロール30においては、モータによって基板Zを巻き取る方向Rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、有機層b上に無機層fが形成された基板Z(機能性フィルムF)を連続的に、例えば、時計回りに巻き取る。
ガイドローラ50と、ガイドローラ54とが、所定の間隔を設けて対向して、平行に配置されており、また、ガイドローラ50、およびガイドローラ54は、基板Zの搬送方向Dに対して、その長手方向を直交させて配置されている。
ガイドローラ54は、例えば、軸方向に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ54は、軸方向の長さが基板Zの幅よりも長い。
また、ガイドローラ50、ガイドローラ54は、上記構成以外は、供給室12に設けられたガイドローラ21と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
この第1のドラム52は、例えば、円筒状を呈し、回転軸(図示せず)を有し、この回転軸に対して回転方向に回転可能なものである。かつ第1のドラム52は、軸方向における長さが基板Zの幅よりも長い。第1のドラム52は、その表面52a(周面)に基板Zが巻き掛けられて、回転方向ωに回転することにより、基板Zを所定の成膜位置に保持しつつ、搬送方向Dに基板Zを搬送するものである。
なお、第2のドラム26の回転方向ωの進行方向側、すなわち、基板Zが搬送される側が、下流側であり、この下流側の反対側が上流側である。
さらに、第1のドラム52の内部には、冷媒を循環させるための配管(図示せず)が設けられており、この冷媒を循環させるためのポンプ(図示せず)も備えている。この配管、冷媒およびポンプにより冷却手段が構成される。
この温度調節手段により、第1のドラム52が、形成する有機層bの組成などに応じて、適切な温度に冷却される。これにより、更に一層品質の良い有機層bを得ることができる。
本実施形態のフラッシュ蒸着法は、モノマー中の溶存酸素を低下させる効果を有し、重合率を高めることができるため特に有用である。
モノマーノズル62は、このような減圧下において、基板Zの表面に、予め調製した後述するモノマーを含む塗料を塗布するものである。これにより、基板Zの表面Zfにフラッシュ蒸着による塗膜が成膜される。
なお、利用可能な光源、および照射エネルギーは、後述のとおりである。さらに、モノマーの重合法も、本実施形態のUV照射に限定はされず、各種の方法が利用可能である。
本実施形態においては、第1のドラム52を冷却した状態で、有機層bを成膜することにより、膜厚を均一にすることができる。
また、本実施形態においては、有機層bを、真空中で有機層を形成することができれば、フラッシュ蒸着法に限定されるものではない。
有機層bに用いるポリマーとしては、具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂(以下、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂を併せてアクリレート重合物ともいう)、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他有機珪素化合物の膜である。
有機層bは単独の材料からなっていても混合物からなっていてもよい。2層以上の有機層を積層してもよい。この場合、各層は同じ組成でも異なる組成であってもよい。また、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように無機層との界面が明確で無く、組成が膜さ方向で連続的に変化する膜であってもよい。
有機層bの膜硬度はある程度以上の硬さを有することが好ましい。好ましい硬さとしては、ナノインデンテーション法で測定したときの押し込み硬度として100N/mm2以上が好ましく、200N/mm2以上がより好ましい。また、鉛筆硬度としてはHB以上の硬さを有することが好ましく、H以上の硬さを有することがより好ましい。
有機層bの厚さについては特に限定はないが、薄すぎると膜の均一性を得ることが困難となるし、厚すぎると外力によりクラックを発生し、バリア性能が低下する。かかる観点から、有機層bの厚みは、10nm〜2μmが好ましく、100nm〜1μmがさらに好ましい。
真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。また、フラッシュ蒸着法においても、米国特許第4842893号、米国特許第4954371号、米国特許第5032461号の各明細書に記載の方法が、特に好ましい。
本発明において、有機層bの形成方法としては、ポリマーを溶液塗布して形成しても良いし、特開2000−323273号、特開2004−25732号の各公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。
さらには、有機層bの形成方法としては、ポリマーの前駆体、例えば、モノマーを成膜後、重合することによりポリマー層を形成する方法でも良い。
市販の接着剤としては、ナガセケムテックス製XNR−5000シリーズ等が挙げられる。
アクリレートおよびメタクリレートの好ましい例としては、例えば、米国特許第6083628号、米国特許第6214422号の各明細書に記載の化合物が挙げられる。
光重合を行う場合は、光重合開始剤を併用するのが好ましい。光重合開始剤としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZTなど)、同じくオリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
なお、アクリレートやメタクリレートは、空気中の酸素によって重合阻害を受ける。従って、本発明において、有機層bとしてこれらを利用する場合には、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で2J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
有機層成膜室13内で有機層bを成膜された基板Zは、次いで、無機層成膜室14内に搬送される。
本実施形態においては、有機層成膜室13と無機層成膜室14とが別々に設けられている。有機層成膜室13と無機層成膜室14は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたはアルミニウム合金など、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成されている。
ガイドローラ24と、ガイドローラ28とが、所定の間隔を設けて対向して、平行に配置されており、また、ガイドローラ24、およびガイドローラ28は、基板Zの搬送方向Dに対して、その長手方向を直交させて配置されている。
また、ガイドローラ24、ガイドローラ28は、上記構成以外は、供給室12に設けられたガイドローラ21と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
この第2のドラム26は、例えば、円筒状を呈し、回転軸(図示せず)を有し、この回転軸に対して回転方向に回転可能なものである。かつ第2のドラム26は、軸方向における長さが基板Zの幅よりも長い。第2のドラム26は、その表面26a(周面)に基板Zが巻き掛けられて、回転方向ωに回転することにより、基板Zを所定の成膜位置に保持しつつ、搬送方向Dに基板Zを搬送するものである。
なお、基板ロール20、ガイドローラ21、ガイドローラ50、第1のドラム52、ガイドローラ54、ガイドローラ26、第2のドラム26、ガイドローラ28、ガイドローラ31および巻取りロール30により、本発明の搬送手段が構成される。
また、第2のドラム26の内部には、冷媒を循環させるための配管(図示せず)が設けられており、この冷媒を循環させるためのポンプ(図示せず)も備えている。この配管、冷媒およびポンプにより冷却手段が構成される。
この温度調節手段により、第2のドラム26が、形成する無機層fの組成などに応じて、適切な温度に加熱される。これにより、更に一層品質の良い無機層fを得ることができる。
成膜部40は、気相成膜方法のうち、例えば、プラズマCVD法により膜を形成するものである。このプラズマCVD法としては、例えば、容量結合型プラズマCVD法(CCP−CVD法)が用いられる。
この成膜部40は、成膜電極42a〜42d、高周波電源44および原料ガス供給部46を有する。制御部36により、成膜部40の高周波電源44および原料ガス供給部46が制御される。
各成膜電極42a〜42dは、長手方向を第2のドラム26の回転軸と平行にして、かつ広い面を第2のドラム26の表面26aに向けて、第2のドラム26の表面26aと所定の隙間Sをあけて、第2のドラム26の表面26aを囲むように回転方向ωに沿って配置されている。例えば、各成膜電極42a〜42dは、第2のドラム26の表面26aの同心円上の接線に一致されている。
本実施形態において、各成膜電極42a〜42dと第2のドラム26との表面26aとの隙間Sの間隔は同じであり、各隙間Sで間隔に、ばらつきがあっても、例えば、20%以内であることが好ましい。
また、各成膜電極42a〜42dと高周波電源44とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続してもよい。
本実施形態においては、原料ガスは、無機層fとして、例えば、SiO2膜を形成する場合、TEOSガス、および活性種ガスとして酸素ガスが用いられる。また、無機層fとして、窒化珪素膜を形成する場合、SiH4ガス、NH3ガス、およびN2ガスが用いられる。
また、原料ガス供給部46においては、原料ガスのみならず、アルゴンガスまたは窒素ガスなどの不活性ガス、および酸素ガス等の活性種ガス等、CCP−CVD法などで用いられている各種のガスを、原料ガスと共に、隙間Sに供給してもよい。このように、複数種のガスを導入する場合には、各ガスを同じ配管で混合して、各成膜電極42a〜42dの複数の穴を通して隙間Sに供給してもよく、各ガスを異なる配管から各成膜電極42a〜42dの複数の穴を通して隙間Sに供給してもよい。
さらに、原料ガスまたはその他、不活性ガスおよび活性種ガスの種類または導入量も、形成する膜の種類、または目的とする成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
成膜装置10は、供給室12から有機層成膜室13および無機層成膜室14を経て巻取り室16に至る所定の経路で、供給室12から巻取り室16まで長尺な基板Zを通して搬送しつつ、有機層成膜室13および無機層成膜室14で、基板Zの表面Zfに有機層bを形成し、その上に無機層fを形成するものである。
有機層成膜室13においては、ガイドローラ50、第1のドラム52、ガイドローラ54を経て、無機層成膜室14に搬送される。このとき、第1のドラム52は、温度調節手段により、形成する有機層bの組成などに応じて、適切な温度に冷却されている。
無機層成膜室14においては、ガイドローラ24、第2のドラム26、ガイドローラ28を経て、巻取り室16に搬送される。このとき、第2のドラム26は、温度調節手段により、形成する無機層fの組成などに応じて、適切な温度に加熱されている。
次に、無機層成膜室14に搬送し、この無機層成膜室14内では成膜部40の高周波電源44に、高周波電源44から高周波電圧を印加するとともに、原料ガス供給部46から配管47を介して、各成膜電極42a〜42dの表面に形成された複数の貫通孔から隙間Sに無機層fを形成するための原料ガスを供給する。
このようにして、基板Zの表面Zfに有機層bおよび無機層fが積層して形成されてなる機能性フィルムFが製造される。そして、表面Zfに有機層bおよび無機層fが積層された基板Zが、ガイドローラ28、およびガイドローラ31を経て、巻取りロール30に、成膜された長尺な基板Z(機能性フィルムF)が巻き取られる。
以上のように、本実施形態の成膜装置10の成膜方法においては、表面Zfに有機層bおよび無機層fが積層して形成された基板Z、すなわち、機能性フィルムFが製造される。
そこで、成膜速度が遅い無機層fの形成に律速されることを抑制し、生産効率を高くするためには、無機層fを成膜する成膜ゾーンを多くする必要がある。本実施形態においては、有機層成膜室13の第1のドラム52の直径d1よりも、無機層成膜室14の第2のドラム26の直径d2の方を大きくすることにより、それを実現している。
しかも、本実施形態においては、有機層成膜室13および無機層成膜室14が別々であるため、第2のドラム26の直径d2の大きさを、独立して変えることができる。
なお、第1のドラム52の直径d1および第2のドラム26の直径d2の大きさは、例えば、有機層bの成膜速度、および無機層fの成膜速度により決定される。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
なお、本実施形態においては、図1に示す第1の実施形態の成膜装置と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この差圧室70は、真空排気部32が配管34を介して接続されており、この配管34にはバルブ(圧力調節手段)37が設けられている。このバルブ37は、第1のバルブ35a〜第4のバルブ35dと同様の構成である。バルブ37も、大気開放(ベント)する機能、および排気量を調節する機能を有する。また、バルブ37も、大気開放(ベント)する機能を有するバルブと、排気量を調節する機能を有するバルブとから構成されていてもよい。
ガス供給部72は、配管74を介して、所定の圧力、所定の流量で、不活性ガスを差圧室70内に供給することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。
これ以外にも、差圧室70内にガス供給部72から不活性ガスを供給することにより、成膜への影響を小さくしつつ、差圧室70内の圧力を有機層成膜室13内の圧力および無機層成膜室14内の圧力よりも高くすることができる。
なお、差圧室70内の圧力が有機層成膜室13内の圧力および無機層成膜室14内の圧力よりも高いとは、例えば、差圧室70内の圧力が10%以上高いことである。これは、有機層成膜室13を例にすれば、差圧室70内の圧力(Pa)/有機層成膜室13の圧力(Pa)≦0.9である。
なお、差圧室70内に不活性ガスを供給することにより、形成された有機層bへの影響も小さくすることができる。
この場合、差圧室70のバルブ37を調節して真空排気部32による排気量を、有機層成膜室13の第2のバルブ35bおよび無機層成膜室14の第3のバルブ35cよりも大きくすることにより、差圧室70内の圧力を、有機層成膜室13内の圧力および無機層成膜室14内の圧力よりも低くすることができる。
これ以外にも、差圧室70内だけを排気する真空ポンプ等の排気手段(圧力調節手段)を設けて、差圧室70内の圧力を有機層成膜室13内の圧力および無機層成膜室14内の圧力よりも低くするようにしてもよい。
なお、本実施形態の成膜装置10aにおいては、上記本実施形態の効果以外にも、第1の実施形態の成膜装置10と同様の効果を得ることができる。
本実施形態の成膜装置10aの成膜方法は、第1の実施形態の成膜装置10の成膜方法に比して、基板Zの表面Zfに有機層bを形成した後、基板Zを、差圧室70内を通過させて無機層成膜室14に搬送する点が異なるだけであり、それ以外の成膜工程は、第1の実施形態の成膜装置10による成膜方法と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。
以下、差圧室70内の圧力が有機層成膜室13内の圧力および無機層成膜室14内の圧力よりも高い場合を例にして説明する。
このため、差圧室70よりも圧力が低い有機層成膜室13内から、有機層bの形成に用いられるモノマーなどの有機物質が無機層成膜室14に混入してコンタミネーションを起すこと、および無機層fを形成する際に無機層成膜室14内に供給される原料ガスおよび成膜時に生成する反応生成物などが有機層成膜室13に混入してコンタミネーションを起すことがない。
表面Zfに有機層bおよび無機層fが積層された基板Z(機能性フィルムF)が、ガイドローラ28、およびガイドローラ31を経て、巻取りロール30に巻き取られる。
また、機能性フィルムとして、有機ELディスプレイおよび液晶ディスプレイのような表示装置などの各種のデバイスまたは装置の保護フィルムを製造する際には、無機層fとして、酸化ケイ素膜等を成膜する。
さらに、機能性フィルムとして、光反射防止フィルム、光反射フィルム、各種のフィルタ等の光学フィルムを製造する際には、無機層fとして、目的とする光学特性を有する無機層、または目的とする光学特性を発現する材料からなる無機層を形成する。
12 供給室
13 有機層成膜室
14 無機層成膜室
16 巻取り室
20 基板ロール
21,24,28,31 ガイドローラ
30 巻取りロール
32 真空排気部
36 制御部
40 成膜部
42 成膜電極
44 高周波電源
46 原料ガス供給部
42a〜42d 成膜電極板
26a,52a 表面
b 有機層
D 搬送方向
f 無機層
ω 回転方向
Z 基板
Zf 表面
Claims (10)
- 長尺の基板を長手方向に所定の搬送経路で搬送しながら、前記基板の表面に有機層を形成し、前記有機層上に無機層を形成する成膜装置であって、
前記基板を長手方向に所定の搬送経路で搬送する搬送手段と、
前記有機層を前記基板の表面に形成する第1の成膜手段が設けられた第1の成膜室と、
前記第1の成膜室の前記搬送経路の下流側に配置されるとともに前記有機層上に前記無機層を形成する第2の成膜手段が設けられた第2の成膜室と、
前記第1の成膜室内、および前記第2の成膜室内を所定の圧力に減圧する真空排気手段とを有することを特徴とする成膜装置。 - 前記第1の成膜手段は、フラッシュ蒸着法を用いて前記有機層を形成するものであり、
前記第2の成膜手段は、スパッタリング法またはプラズマCVD法を用いて前記無機層を形成するものである請求項1に記載の成膜装置。 - 前記第1の成膜室には、前記基板の搬送方向と直交する幅方向に回転軸を有し、前記搬送手段より搬送された基板が巻き掛けられる、回転可能な円筒状の第1のドラムが設けられており、前記第1のドラムに前記基板が巻き掛けられた状態で、前記第1の成膜手段により前記基板の表面に前記有機層が形成され、
前記第2の成膜室には、前記基板の搬送方向と直交する幅方向に回転軸を有し、搬送された、前記有機層が形成された基板が巻き掛けられる、回転可能な円筒状の第2のドラムが設けられており、前記第2のドラムに前記基板が巻き掛けられた状態で、前記第2の成膜手段により前記有機層の表面に前記無機層が形成される請求項1または2に記載の成膜装置。 - 前記第2のドラムは、前記第1のドラムよりも直径が大きい請求項3に記載の成膜装置。
- 前記第1のドラムおよび前記第2のドラムには、それぞれ温度調節手段が設けられており、前記第1のドラムと前記第2のドラムとが独立して温度制御される請求項3または4に記載の成膜装置。
- さらに、前記搬送経路において前記第1の成膜室と前記第2の成膜室との間に差圧室が設けられており、前記基板は、前記第1の成膜室、前記差圧室および前記第2の成膜室の順で搬送される請求項1〜5のいずれか1項に記載の成膜装置。
- 前記差圧室内の圧力は、前記第1の成膜室内および前記第2の成膜室内のいずれの圧力よりも高い請求項6に記載の成膜装置。
- 前記差圧室に、その内部に不活性ガスを供給するガス供給手段が設けられている請求項7に記載の成膜装置。
- 前記差圧室内の圧力は、前記第1の成膜室内および前記第2の成膜室内のいずれの圧力よりも低い請求項6に記載の成膜装置。
- 前記差圧室に、その内部の圧力を調整する圧力調節手段が設けられている請求項9に記載の成膜装置。
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