JP2009269307A - 環状部材、環状部材張架装置、及び画像形成装置 - Google Patents

環状部材、環状部材張架装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内面の放電を抑制する環状部材、並びに、それを備えた環状部材張架装置、及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも樹脂、及び導電剤を含んで構成され、内面の表面抵抗率を特定範囲とし、かつ外面の表面抵抗率よりも特定範囲低いものとする、内面が炭化された炭化領域101Aが存在する基材層を有する環状部材(中間転写ベルト101)とし内面の放電を抑制する。転写中に放電が発生した場合転写ベルトに過大な電圧がかかり大電流が流入しトナーの電荷が逆転し、白点が発生する。
【選択図】図1

Description

本発明は、環状部材、環状部材張架装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、無機又は有機材料を用いた光導電性感光体である像保持体上に電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像とする。そして、上記トナー像を、中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。特に、上記像保持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置が知られている(特許文献1)。
中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(特許文献2)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、特許文献3,4)、ポリアルキレンフタレート(特許文献5)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(特許文献6)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(特許文献7)等の熱可塑性樹脂に導電性を付与した無端ベルトを用いる提案がなされている。
また、中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられるベルト材料としては、特許文献8,9にポリエステル等の織布と弾性部材を積層してなる補強材入り弾性ベルトが提案されている。
この様な中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用い得る半導電性ベルトとして、例えば特許文献10、11には、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている。
単層ポリイミドベルトとして、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと重合物であるポリアミド酸(Uワニス−S)をポリイミド樹脂の原料とし、低コストで、環境変動が小さいカーボンブラックを分散したベルトを用いることが多い。
ところで、特許文献12では内面導電化処理を行う方法が開示されている。また、特許文献13、14、15などでは単層ベルトの抵抗を傾斜させる方法が開示されている。
特開昭62−206567号公報)。 特開平6−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開平9−305038号公報 特開平10−240020号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開2001-265135公報 特開平10-226028号公報 特開2002-283368公報 特開2003-277522公報
通常、用紙種類や環境、使用モードの変化により転写中に放電が発生した場合、瞬間的に中間転写ベルトに過大な電圧がかかり、中間転写ベルトの抵抗が大きく低下し、大電流が流入する。これにより、トナーの電荷が逆転し、白点が発生する。オフィスなどでの使用用途では、白点の大きさは微小であるが、印刷市場用途、グラフィックアーツ用途など高画質を要求する使用用途では白点の大きさがより大きくなる。
この解決策としては、中間転写ベルトの体積抵抗率を高くすればよい。しかし、体積抵抗率を高くすると、二次転写位置でバックアップロールから中間転写ベルトの内面に放電が発生し、うろこ状の模様が発生する。
本発明の課題は、内面の放電を抑制する環状部材を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも樹脂、及び導電剤を含んで構成され、内面に当該内面が炭化された炭化領域が存在する基材層を有することを特徴とする環状部材である。
請求項2に係る発明は、
前記炭化領域が、導電処理により形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の環状部材である。
請求項3に係る発明は、
前記基材層の内面の表面抵抗率が、1×1011Ω/□以上1×1013Ω/□以下であり、且つ前記基材層の外面の表面抵抗率よりも0.5logΩ/□以上2.0logΩ/□以下の範囲で低いことを特徴とする請求項1に記載の環状部材である。
請求項4に係る発明は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環状部材と、
前記環状部材を内周面側から回転可能に張架する張架部材と、
を備える環状部材張架装置である。
請求項5に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を中間転写体に転写する一次転写手段と、
前記中間転写体から前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、
を備え、
前記中間転写体が、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環状部材であることを特徴とする画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、内面の放電を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、表面抵抗率の調製を行いつつ、容易に炭化領域が形成される。
請求項3に係る発明によれば、より効果的に、内面の放電を抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、うろこ状の模様を抑制した画像が形成される。
請求項5に係る発明によれば、うろこ状の模様を抑制した画像が形成される。
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る中間転写ベルトを示す概略構成図である。図2は、図1のA−A断面図である。
本実施形態に係る中間転写ベルト101は、図1に示すように、無端状に形成され、少なくとも樹脂、及び導電剤を含む基材層単層からなる環状部材から構成されている。なお、本実施形態に係る中間転写ベルト101は、基材層単層からなっているが、これに限られず、その外周面に離型層などの機能層を設けてもよい。
そして、本実施形態に係る中間転写ベルト101は、その内面(内周面)には当該内面が炭化された炭化領域101Aが存在してなる。この炭化領域101Aは、所定の面形状(例えば円形、楕円形などのスポット状の形状)で内面に点在しているものであり、基材層を構成する樹脂や不純物(例えばイオン性物質)が炭化されて構成しているものである。ここで、「内面が炭化された」とは、内面から所定の深さまで炭化されていることを意味する。
この炭化領域101Aは、ベルト内面の導電経路(導電サイト)として作用し、ベルト外面に対してベルト内面の表面抵抗率が低くなる。そして、ベルト内面の表面抵抗率の低下は、導電層を形成した場合に比べ、薄膜の炭化領域101Aの存在により実現される。このため、本実施形態に係る中間転写ベルト101を用いると、内面の放電が無いので、うろこ状の模様を抑制した画像が形成される。
ここで、炭化領域101Aの存在の確認は、XPS分析(X線光電子分光分析)に行われる。XPS分析法は、極表面の元素分析定量法として一般的に使われている分析法であり、感度及び再現性に優れる分析法である。JPS −9010(日本電子(株)製)により測定する。具体的には、ベルト外面とベルト内面とにおける全化学結合のピーク面積に対する炭素ピーク面積の差により、炭化領域101Aの存在が確認される。つまり、ベルト外面とベルト内面とにおける全元素に対する−C−C−化学結合(炭素結合)の差から、炭化領域101Aの存在が確認される。
そして、本実施形態では、「炭化領域101Aが存在する」とは、ベルト外面における全化学結合のピーク面積に対する炭素ピーク面積と、ベルト内面における全化学結合のピーク面積に対する炭素ピーク面積との差(相対値)が存在することを意味する。無論、ベルト内面における、後述する導電処理前後での全化学結合のピーク面積に対する炭素ピーク面積の差であってもよい。
なお、測定条件は、アルゴン雰囲気下、加速電圧10kV、電流20mAである。無論、ベルト内面において、後述する導電処理前後での全化学結合のピーク面積に対する炭素ピーク面積の差に
炭化領域101Aは、その厚み(深さ:ベルト厚み方向長さ)は、後述する形成方法によると、内面から10μm程度までとすることが限界である。但し、効果を効果的に発現させる点から、内面0.1μm以上7.0μm以下の厚みを有することが望ましい。この厚みが上記範囲を超えると、炭化領域境界(炭化領域と他の領域との界面)で電荷の蓄積が発生し、ハーフトーンムラ等が発生してしまうことがある。
ここで、炭化領域101Aの厚みは、中間転写ベルト101の内面をラッピングペーパーで研磨しながら内面の表面抵抗率を測定する方法で、中間転写ベルトの外面の表面抵抗率に一致する研磨厚みから算出される。即ち、初期の中間転写ベルトの厚みと、当該一致するまで研磨した後の厚みと、から研磨厚みを算出し、これを炭化領域101Aの厚みとする。無論、ベルト内面において後述する導電処理前の表面抵抗率と、当該一致するまで研磨した後の厚みと、から研磨厚みを算出し、これを炭化領域101Aの厚みとしてもよい。なお、ベルトの厚みの測定は、一般の渦電流式膜厚計を使用して測定することができる。具体的には、例えば、FISCHER社製フィッシャースコープMMSやサンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eが挙げられる。
炭化領域101Aは、ベルト内面の表面抵抗率が、外面の表面抵抗率よりも、0.5logΩ/□以上2.0logΩ/□以下の範囲(望ましくは0.7logΩ/□以上1.5logΩ/□以下の範囲、より望ましくは0.8logΩ/□以上1.0logΩ/□以下の範囲)で低くなるように形成されていることがよい。そして、当該ベルト内面自体の表面抵抗率は、1×1011Ω/□以上1×1013Ω/□以下(望ましくは5×1011Ω/□以上1×1013Ω/□以下、より望ましくは1×1012Ω/□以上1×1013Ω/□以下)であることがよい。なお、表面抵抗率は、500V、10秒印加条件での値である。
ここで、中間転写ベルトの内面と外面の表面抵抗が内面と同程度であると、細線再現性、トナー飛散り等が悪化してしまう。一方、当該内面と外面との表面抵抗率の差が大きすぎると、ハーフトーンムラが悪化してしまうことがある。また、中間転写ベルト内面の表面抵抗率が上記範囲を超えると、うろこ状の模様が発生しやすくなることがあり、引上記範囲未満であるとき、白抜けが発生することがある。
なお、うろこ状の模様に対しては、中間転写ベルトの内面の抵抗を低くすればよいと考えられる。しかし、単層のベルトでは表裏の抵抗を変えることが困難である。また、多層構造のベルトとして、中間転写ベルトの内面の抵抗のみを低くすると、抵抗が異なる境界に電荷が蓄積し、ハーフトーン等の中間調の画像にムラを発生する。このムラは、内面の抵抗と外面の抵抗との差が大きく、内面層の膜厚が厚いとより顕著に発生する。特に、多層構造の中間転写ベルトでは内面層の膜厚が10μmであってもムラが発生する。数μmの層は、塗布により成膜されるが、塗布による成膜では膜厚にバラツキを生じるため上記ムラが発生する。また、単層のベルトの抵抗を傾斜させる手法は、作製法の調整で行うものであり、抵抗制御の自由度が小さく、所望の抵抗に制御することが困難であり、現実的には利用することができない。
ここで、表面抵抗の測定方法は、次の通り行う。円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に従って測定する。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図3は、円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図3に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に中間転写ベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
炭化領域101Aの形成方法は、例えば、中間転写ベルト(基材層)の導電処理により行われる。この導電処理は、中間転写ベルト内面に用紙を接触させ電場を与えるものであり、表面抵抗率の調製を行いつつ、容易に炭化領域が形成される。導電処理は、中間転写ベルトと用紙間で放電することが高いストレスとなるため、放電を発生させるために両者間の接触と剥離を繰返す手法を採用することがよい。
導電処理について図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、導電処理を説明するための模式図である。図4に示すように、中間転写ベルト101の内周面に、用紙102を外周面に巻き付けた支持ロール103を接触させ、中間転写ベルト101の電圧印加ロール104を接触させて、中間転写ベルトを当該支持ロールと電圧印加ロール104とにより挟持する。これにより、用紙102が、中間転写ベルト101内面に接触した状態となる。この状態で、当該ローラ対を回転させつつ、電圧印加ロール104により電圧印加すると、中間転写ベルト101と用紙102とは接触・剥離が繰り返され、当該間で剥離放電が発生する。この放電現象によって、中間転写ベルト101の内面が炭化して炭化領域101Aが形成される。そして、このローラ対を回転させつつ、電圧印加を行うことで、ベルト内面全周にわたり導電処理が施される。なお、上記導電処置の手法は、一例であり、別に中間転写ベルト101に電位差を形成させながら、コロナ放電、沿面方向のアーク放電を行う方法であってもよい。
導電処理を行うときの印加電圧は、給電方式や給電材料の抵抗により一概には言えないため、電流値で制御するのが好ましい。中間転写ベルトを通過する電流値が10μA以上100μA以下(望ましくは30μA以上100μA以下)であることがよい。高い電流により短時間で導電処理ができるが、中間転写ベルト101と用紙102の合せた厚みが150μm以上600μm以下程度であると、10KV以上の電位差を生じると塗膜破壊を起こしてしまうことがある。電流値が上記範囲未満では放電が弱く導電処理に長時間を要し好ましくなく、上記範囲を超えると、中間転写ベルト101の膜厚及び抵抗値にもよるが絶縁破壊を起こす可能性が高くなり好ましくない。
また、導電処理を行うとき環境は、低湿環境がより効果的である。目安として、絶対湿度で2.7g/m以下が望ましく、より望ましくは、1.3g/m以下である。
導電処理を行うときの上記接触・剥離の回数は、20μA、2g/mの条件で、概ね5000回、40μA、2g/m条件で200回である。これは目安であって、絶対湿度、給電方式や電源能力により変化するものであって、規定するものではない。なお、上記手法による接触・剥離の回数とは、ベルト周方向の一回転を1回とする回数である。
次に、導電処理に用いる用紙102について説明する。以下、符号を省略して説明する。用紙は、所謂普通紙が好ましい。低湿下で高抵抗体であり、屈曲性があり、中間転写ベルトとの密着性が良く、安価で入手できるためである。
具体的には、用紙原材料として化学パルプ具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等から作られたもの、また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップを軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等もから作られたものである。これらはバージンパルプのみで使用してものでもよいし、古紙パルプを加えた物であってもよい。
また、不透明度、白さ及び表面性を調整するため、填料を添加してあるものでもよい。填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク等の炭酸カルシウム、カオリン、焼成クレー、パイオロフィライト、セリサイト、タルク等のケイ酸類、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の無機填料、及び、尿素樹脂、澱粉繊維等の有機填料等である。また、表面サイズ剤を使用したものであってもよい。例えば、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤、澱粉、ポリビニルアルコール等である。
また、導電剤を配合し、用紙の表面電気抵抗値を調整したものでもよい。例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム 、メタリン酸ナトリウム等の無機電解質、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、リン酸塩などのアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビット等の非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤、高分子電解質などの導電剤である。
一般的な用紙のとしての特性値を以下に記す。これらは望ましい値はあるが、安定化に使用する用紙の目安であり、限定するものではない。表面抵抗値は、JIS P8111−1998に規定する標準環境(気温23℃、相対湿度50%)において、5×10Ω以上1×1012Ω以下の範囲に入る用紙である。尚、表面電気抵抗値の測定方法はJISK6911の方法によって測定した。JIS−P− 8124による坪量が75g/m2以上95g/m2以下でJIS−P−8119によるベック平滑度が表裏共に65秒以上120秒以下であり、かつ、JIS−P−8118による密度が0.80g/cm3以上であるものが好ましい。また、温度20℃及び湿度65%RHから温度20℃及び湿度25%RHに変化したときのCD(抄紙機の進行方向に対して直角方向)の伸縮率が0.45%以下であり、JIS−P−8118で前処理された用紙のCDの引張弾性率E(kgf/mm)と紙の厚さt(mm)とがE・t≧0.26(式)の関係を満たすものが望ましい。また、超音波伝播法によるMD(抄紙機の進行方向)とCDとの間の繊維配向比が1.10以上1.30以下であるものが望ましい。
以下、中間転写ベルトの構成する各成分につき詳細につき、説明する。
本実施形態に係る中間転写ベルトは、少なくとも樹脂、及び導電剤を含む基材層で構成されている。樹脂は、そのヤング率が、ベルト厚みによっても異なるが、好ましくは、3500MPa以上、より好ましくは4000MPa以上であればよく、ベルトとしての機械特性が満足される。樹脂としては、上記ヤング率を満たせば、制限はないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂などが挙げられる。
なお、ヤング率は、JIS K7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求めることができる。測定条件としては、短冊状試験片(幅6mm、長さ130mm)、ダンベル1号、試験速度500mm/分、厚さはベルト本体の厚さの各設定で測定するものとする。
上記樹脂の中でも、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が少ないので、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい点から、高ヤング率を有する材料が好ましい。特に、ポリイミド樹脂は、は高いヤング率の中間転写ベルトが得られ好ましい。
ポリイミド樹脂は、高ヤング率材料であることから、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が少ないので、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい中間転写ベルトとなる。ポリイミド樹脂は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、ジアミンとを溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液として得られる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
(一般式(I)中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族を組み合わせたもの、又はそれらの置換された基である。)
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、H2N(CH23O(CH22O(CH2)NH2、H2N(CH23S(CH23NH2、H2N(CH23N(CH32(CH23NH2等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点より極性溶媒(有機極性溶媒)が好適に挙げられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用することができる。
次に、導電剤について説明する。導電剤としては、導電性又は半導電性の微粉末が使用でき、ベルトとして所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導電性に制限はないが、例えば、ケッチエンブラック、アセチレンブラック、pH5以下の酸化処理カーボンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示される。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよいが価格面で有利なカーボンブラックが好ましい。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が10 Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が10以上1013 Ωcm以下であることを意味する。以下同様である。
カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法(吸着した窒素量から、1g当たりの表面積を算出する方法)による比表面積等の物性が異なるものを用いる。ここで、DBP吸油量(cc/100g)とは、カーボンブラック100gに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の量を示すものであり、ASTM(アメリカ標準試験法)D2414−6TTに定義される値である。また、BET法は、JIS6217に定義される方法である。
導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを先に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸性カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
酸性カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
カーボンブラックは、市販品以外にも精製して得てもよい。精製は、製造工程で混入した不純物、例えば残余の酸化剤、処理剤や副生成物等の不純物、その他の無機不純物や有機不純物を除去することである。例えば、不活性ガスや真空中で500℃以上1000℃以下程度にする加熱処理、二硫化炭素やトルエン等の有機溶媒処理、水スラリーのミキシングや有機酸水溶液中のミキシング処理等で不純物を除去する方法である。精製できれば如何なるものであってもよく、これらに限定するものではないが、粉体の加熱処理は製造工程上ハンドリングが難しく、エネルギーを多大に使うという難点がある。有機溶媒処理や水を主体とした処理が精製方法として好ましい。特に、安全面の観点から水主体の処理方法が好ましい。用いる水は、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
また、カーボンブラックの表面は活性が高く物質を非常に吸着しやすいため、カーボンブラックの精製は、使用前に行う必要がある。好ましくは72時間前、より好ましくは48時間前である。72時間を越えるとカーボンブラック表面に不純物が再吸着することがあり、精製の効果が低下してしまうことがある。
具体的には、カーボンブラック、水を必須成分として混合したスラリーを準備しミキシングした後に、カーボンブラックを分離する方法が好ましい。また、カーボンブラック表面の濡れを良くする観点から界面活性作用を有する物質、例えば、所謂界面活性剤やアルコール類を添加してもよい。また、必要に応じて水溶性の有機溶媒を添加してもよいが、製造後の中間転写ベルトに残留しないことが好ましい。このため、低沸点で界面活性作用のある溶媒が好ましい。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2-メトキシアルコール、アリルアルコール等である。更に適時、無機酸を添加してもよい。
ミキシング方法は、できる限り酸性カーボンブラックを一次粒径まで凝集体を解すことがよい。このため、スラリーを一般的な分散機やホモジナイザーで処理することが好ましい。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロールミル、2本ロールミル、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等があり、これらを単独で用いても組合わせて用いてもよい。また、無機不純物の混入を防ぐため、分散メディアを使用しない分散方法を用いる方が好ましく、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザーやジェットミル等の使用が適している。
一方、分離方法としては、遠心分離、ろ過、非水溶性有機への移行により精製された酸性カーボンブラックが得られる。非水溶性有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン等である。安全上の観点から、遠心分離やろ過による分離が好ましい。
なお、分離後のカーボンブラックは、不活性ガス中で加熱乾燥することが望ましいが、転写ベルト製造段階で、加熱処理を行うため必ずしも乾燥工程は必要としない。
ここで、水に対するカーボンブラックの割合は、例えば5質量%以上30質量%以下である。より好ましくは、5質量%以上20質量%以下である。5質量%では精製による得率が低くなり生産性が得られないことがある。また、30質量%を超えると、スラリーが高粘度となりミキシングが困難となり、精製効率が低下してしまうことがある。
酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電剤としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、中間転写ベルト中のカーボンブラックの量が多くなるため、上記電気抵抗値の面内バラツキが押えられる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果が発揮される。
このため、酸性カーボンブラックの含有量は、10質量%以上30質量%以下とすることがよい。これにより、中間転写ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果が発揮される。この含有量が10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなることがある。一方、30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなることがある。さらに、酸性カーボンブラックの含有量を18質量%以上30質量%以下とすることで、その効果がより発揮され、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が顕著に向上される。
次に、導電剤としてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を用いて、中間転写ベルトを作製する例を以下に例示するがこれに限定するものではない。まず、精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散する。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が好ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が好ましく、特に高粘度溶液をバラツキを抑制して分散できるジェットミルが好ましい。
得られたカーボンブラック分散液中にジアミン成分と酸二無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を作製する。
先に得られたカーボンブラック分散液中に、上記ジアミン成分及び上記酸無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラック分散したポリアミド酸溶液を作製する。この際、モノマー濃度(溶媒中におけるジアミン成分と酸無水物成分の濃度)は種々の条件により設定されるが、5質量%以上30質量%以下が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5℃以上50℃以下であり、反応時間は5時間以上10時間以下である。
カーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが好ましい。
シームレスベルトを形成する場合、例えばポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。シームレスベルトの形成に際しては、型の離型処理を施すことができる。
イミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなるため、中間転写ベルトの特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。
そして、得られたベルト成型体を、その内面に対し、上記導電処理を行い点在する炭化領域を形成する。このようにして、例えば、中間転写ベルトが作製される。
次に、本実施形態に係る中間転写ベルトの特性について説明する。
本実施形態に係る中間転写ベルトは、外面(転写面)の硬度が、表面微小硬度で30以下であることが好ましく25以下であることがより好ましい。表面微小硬度とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さの如く、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求められる。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μm)とした時、表面微小硬度DHは下記式で定義される。
式:DH≡αP/D
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定がなされる。ここで得られた表面微小硬度と、ホロキャラクター(転写画質のライン画像の中抜け)の発生レベルには極めて正確な相関がある。即ち、中間転写ベルトの転写面の表面微小硬度を、上記範囲にすると、二次転写部において、バイアスローラの押圧力によって中間転写ベルトの転写面の変形が起こり、これにより中間転写ベルト上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥が抑制される、
なお、表面微小硬度は、下記の方法によって求める。転写面を構成する材料(表面層)のシートを5mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料の表面の表面微小硬度を超微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定する。測定条件は、以下の通りである。
測定環境:23℃、55%RH
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.0145gf/sec
保持時間:5sec
本実施形態に係る中間転写ベルトにおいて、ヤング率とベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量との関係は、下記式で表される。
式:Δl=P・l・α/(t・w・E)
ここで、Δl:ベルトの変位量(μm)
P:負荷 (N)
l:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm)
α:係数
t:ベルト厚み(mm)
w:ベルト幅(mm)
E:ベルト材料のヤング率(N/mm2)を表す。
ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)は、ベルト材料のヤング率と厚みに逆比例する。高ヤング率のベルト材料を用いると、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量が少なくなり、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質が安定して得られる。但し、ベルトの厚みは、厚くなると、駆動系ロールなどのベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られ難い、また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断するなどの問題が生じる場合がある。
本実施形態に係る中間転写ベルトの厚みは、総厚みで0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、より好ましくは、0.06mm以上0.30mm以下、さらに好ましくは、0.06mm以上0.15mm以下である。中間転写ベルトの総厚みが、上記範囲未満の場合には、中間転写ベルトとして、必要な機械特性を満足させることが難しくなることがあり、上記範囲を超える場合には、ロール屈曲部での変形によって、ベルト表面の応力が集中して、表面にクラックが発生するなどの問題が生じることがある。
本実施形態に係る中間転写ベルトの体積抵抗率は、500V、10秒印加条件で1×1011Ωcm以上1×1014Ωcm以下であることが好ましい。この体積抵抗率が上記範囲未満である場合には、転写で発生する放電により微小白点が発生してしまうことがあり、上記範囲より高い場合には、電荷が蓄積してしまい、転写ベルトの次サイクルまで電荷が残り、繰り返し使用により転写ができなくなることがあり、別途除電機構が必要となることがある。
ここで、体積抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。測定は表面抵抗率と同一の装置で測定できる。但し、図3に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’とを備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間に中間転写バルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式中、tは、半導電性ベルトTの厚さを示す。
式ρv=19.6×(V/I)×t
以下、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。図5は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
実施形態に係る画像形成装置は、上記実施形態に係る中間転写ベルトを備え、感光体ドラムを各色毎に4台持つ出力機である。
実施形態に係る画像形成装置は、図5に示すように、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kが備えられている。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kには、それぞれ、像保持体としての感光体ドラム12Y,12M,12C,12K(Yはイエロー用、Mはマゼンタ用、Cはシアン用、Kはブラック用を示す)を備え、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの周囲には、それぞれ、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面を帯電する帯電装置14Y,14M,14C,14Kと、帯電された感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に静電潜像を形成する露光装置16Y,16M,16C,16Kと、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に形成された静電潜像を現像剤に含まれるトナーによりトナー像とする現像装置18Y,18M,18C,18Kと、トナー像を中間転写ベルト24に転写するための一次転写装置20Y,20M,20C,20K(例えば転写ロール)と、転写後の感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に付着した残留トナーを除去するための感光体ドラムクリーナー22Y,22M,22C,22Kとが備えられている。
また、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kに対向して、中間転写体としての中間転写ベルト24が配設されている。中間転写ベルト24は、感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kと一次転写装置(例えば一次転写ロール)20Y,20M,20C,20Kとの間に配設されている。
そして、中間転写ベルト24は、駆動ロール26a、中間転写ベルト24がゆがんだり蛇行したりすることを防ぐテンション・ステアリングロール26c、支持ロール26b,26d,26eと共に、バックアップロール28により内周面側から張力を掛けつつ回転可能に支持されて、ベルト張架装置25を構成している。
中間転写ベルト24の周囲には、当該中間転写ベルト24を介してバックアップロール28と対向して二次転写装置30(例えば二次転写ロール)が配設されると共に、二次転写装置30よりも中間転写ベルト24の回転方向下流側にベルトクリーナー32が配設されている。
そして、二次転写装置30よる転写後の記録用紙P(記録媒体)を搬送するための搬送装置34が配設されると共に、搬送装置34による搬送方向下流側に定着装置36が配設されている。
本実施形態に係る画像形成装置では、まず、画像形成ユニット10Yにおいて、感光体ドラム12Yは図中時計方向に回転し、帯電装置14Yでその表面が帯電される。帯電された感光体ドラム12Yにレーザー書き込み装置などの露光装置16Yにより第1色(Y)の静電潜像が形成される。
この静電潜像は現像装置18Yにより供給されるトナー(トナーを含む現像剤)よってトナー現像されて可視化されたトナー像が形成される。トナー像は感光体ドラム12Yの回転により一次転写部に到り、一次転写装置20Yからトナー像に逆極性の電界を作用させることにより、トナー像が、反時計方向に回転する中間転写ベルト24に一次転写される。
そして、同様にして第2色のトナー像(M)、第3色のトナー像(C)、第4色のトナー像(K)が画像形成ユニット10M,10C,10Kにより順次形成され中間転写ベルト24において重ね合わせられ、多重トナー像が形成される。
次に、中間転写ベルト24に転写された多重トナー像は中間転写ベルト24の回転で二次転写装置30が設置された二次転写部に到る。
この二次転写部では、二次転写装置30と中間転写ベルト24を介して対向配置したバックアップロール28との間にトナー像の極性と同極性のバイアス(転写電圧)を印加することで、当該トナー像を記録用紙Pに静電反発で転写する。
記録用紙Pは、記録用紙容器(図示せず)に収容された記録用紙束からピックアップローラ(図示せず)で一枚ずつ取り出され、フィードロール(図示せず)で二次転写部の中間転写ベルト24と二次転写装置30との間に所定のタイミングで給送される。
給送された記録用紙Pには、二次転写装置30とバックアップロール28による圧接及び転写電圧搬送と、中間転写ベルト24の回転と、の作用により、中間転写ベルト24に保持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録用紙Pは、搬送装置34により定着装置36に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。
なお、多重トナー像の記録用紙Pへの転写の終了した中間転写ベルト24は二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー32で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、二次転写装置30はブラシクリーニング(図示せず)により、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
また、単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像を単色で二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が一次転写部で一致するように中間転写ベルト24と感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kとの回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
このようにして、本実施形態に係る画像形成装置では、記録用紙P(記録媒体)に画像が形成される。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(無端ベルト1の作製)
まず、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)からなるポリアミド酸NMP溶液(ユニチカ製Uイミド/固形分濃度20質量%)中にカーボンブラック(SPECIAL Black 4、Degussa社製)を固形分質量比で18質量%投入し、ジェトミル分散機(ジーナス社製:GeanusPY)で分散処理を行った(200N/mm、5パス)。作製したカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物、カーボンブラック凝集物を取り除き、更に真空脱泡して最終的な塗布用溶液を作製した。
次に、得られたポリアミド酸溶液を円筒状金型(外径302mm、長さ500mm、肉厚10mm)外面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させた後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、金型を立てて焼成温度(300℃)まで昇温してイミドの転化を行い、ポリイミドベルトを得た。ベルト厚さは100μmであった。ベルト両端部を所望の幅で切り、最終ベルト形態とした。このようにして無端ベルトを得た。
(無端ベルト2の作製)
無端ベルト1の作製において、カーボンブラック投入量をポリアミド酸NMP溶液との固形分比で16質量%とした事以外は、同一条件で無端ベルト2を作製した。
(無端ベルト3の作製)
無端ベルト1の作製において、カーボンブラック投入量をポリアミド酸NMP溶液との固形分比で21質量%とした事以外は、同一条件で無端ベルト3を作製した。
(実施例1乃至実施例6)
得られた無端ベルト1乃至3に対し、上記実施形態で説明した導電処理(図4参照)を施した。用紙としては、富士ゼロックス社製P紙を用いた。そして、下記表1に従った、各実施例毎に、印加印加電流値と接触・剥離回数で無端ベルト内面への導電処理を行い、内面に炭化領域が点在した中間転写ベルトを得た。なお、導電処理は、10℃15%(絶対湿度1.36g/m)で行なった。
(実施例7乃至11)
下記表2に従って、比較例毎に、印加印加電流値と接触・剥離回数で無端ベルト内面への導電処理を行った以外は、上記実施例と同様にして中間転写ベルトを得た。
(比較例1)
得られた無端ベルト1に導電処理を施さず、そのままを中間転写ベルトとした。
(比較例2)
作製された無端ベルト1内面に黒鉛分散のイソプロピルアルコールスプレー(日本アチソン社製エアロダッグG)をスプレーし、常温(25℃)で自然乾燥させた。総膜厚は112μmとなったため、内面に形成された導電層の膜厚は、12μmと推定した。
(比較例3)
比較例2に比べ、より導電層が薄膜になるようにスプレーの噴射量を低くしたが、塗りムラが発生し、中間転写ベルトとして使用できなかった。
(評価)
得られた中間転写ベルトについて、以下の評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
−表面抵抗率、体積抵抗率−
得られた中間転写ベルトの体積抵抗率と、外面、内面それぞれの表面抵抗率と、を上記実施形態での説明に従って、測定した。なお、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出した。
−炭化領域の厚み測定−
住友スリーエム社製ラッピングフィルム研磨材#10000でベルト内面側を研磨しながら表面抵抗率を測定した。導電処理前のベルト内面の表面抵抗率と等しくなる研磨厚みを炭化領域の厚みとした。測定には、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用した。
−炭化領域の存在−
JPS−9010(日本電子(株)製)により、ベルト内面における、全化学結合のピーク面積に対する−C−C−結合ピーク面積比(炭素結合ピーク面積)の導電処理前後差を求め、炭化領域が形成されたか否かを確認し、当該差(増加分)を示す。測定条件は、アルゴン雰囲気下、加速電圧10kV 、電流20mAである。測定は5点測定し、平均値を使用した。
−画質評価−
得られた中間転写ベルトを、富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220に搭載した改造機を使用して画質評価を行った。画質評価は、ハーフトーン20%、30%、50%のサンプル及び12ポイント文字を採取し、画質欠陥(うろこ状の模様)を目視判定した。
G1:目視では全くうろこ状の模様が確認されない
G2:目視ではわずかにうろこ状の模様が確認されるが、許容範囲内
G3:目視ではっきりとうろこ状の模様が確認される
上記結果から、実施例では、比較例に比べ、うろこ状の模様を抑制した画像が得られることがわかる。
なお、実施例7,8では、実施例1乃至6に比べてわずかにうろこ状の模様が確認されたが、使用上問題ないレベルであった。また、実施例9、10、11では、うろこ状の模様は確認されなかったが、それぞれ白抜け、文字再現性不良、ハーフトーンムラが確認された。
実施形態に係る中間転写ベルトを示す概略構成図である。 図1のA−A断面図である。 円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。 導電処理を説明するための模式図である。 実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
符号の説明
10Y,10M,10C,10K 画像形成ユニット
12Y,12M,12C,12K 感光体ドラム
14Y,14M,14C,14K 帯電装置
16Y,16M,16C,16K 露光装置
18Y,18M,18C,18K 現像装置
20Y,20M,20C,20K 一次転写装置
22Y,22M,22C,22K 感光体ドラムクリーナー
24 中間転写ベルト
25 ベルト張架装置
26c テンション・ステアリングロール
26a 駆動ロール
26b,26d,26e 支持ロール
28 バックアップロール
30 二次転写装置
32 ベルトクリーナー
34 搬送装置
36 定着装置
101 中間転写ベルト
101A 炭化領域
102 用紙
103 支持ロール
104 電圧印加ロール

Claims (5)

  1. 少なくとも樹脂、及び導電剤を含んで構成され、内面に当該内面が炭化された炭化領域が存在する基材層を有することを特徴とする環状部材。
  2. 前記炭化領域が、導電処理により形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の環状部材。
  3. 前記基材層の内面の表面抵抗率が、1×1011Ω/□以上1×1013Ω/□以下であり、且つ前記基材層の外面の表面抵抗率よりも0.5logΩ/□以上2.0logΩ/□以下の範囲で低いことを特徴とする請求項1に記載の環状部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環状部材と、
    前記環状部材を内周面側から張架する張架部材と、
    を備える環状部材張架装置。
  5. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナー像として現像する現像手段と、
    前記トナー像を中間転写体に転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体から前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、
    を備え、
    前記中間転写体が、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環状部材であることを特徴とする画像形成装置。
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