JP2009263426A - 水系仕上材組成物 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 アクリル樹脂エマルジョン、表面に水酸基を有する充填材又は骨材、ビニル基を有するトリアルコキシシラン、顔料、増粘剤、成膜助剤とから成ることを特徴とする水系仕上材組成物である。
【効果】アクリル樹脂と骨材又は充填材がトリアルコキシシラン化合物によって化学反応的に一体化することにより均一な塗膜となり、耐水性が良好で、塗膜は一体的な構造であるため、風や地震等による建物の動きによって生じる塗膜の引張に追従する優れたゼロスパン引張特性を有する水系仕上材組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物の外皮等の外壁に塗付する一液型の水系仕上材組成物であって、コンクリート、モルタル等の下地に塗付され、耐水性と良好なゼロスパン引張特性を有する水系仕上材組成物に関するものである。
従来、建築物の躯体保護、意匠性の付与及び美観性向上のため、建築外皮には各種塗装仕上げが行われている。特に1液型の水系仕上材組成物については、耐候性や良好なゼロスパン引張特性が求められている。一方、アクリル樹脂エマルジョンを配合した塗料においては、各種成膜助剤を使用することにより最低造膜温度が変化することが知られており、沸点の高い成膜助剤を使用するとアクリル樹脂エマルジョンの水分揮発によって生じるアクリル樹脂ポリマーの融着が促進されることが示されている(非特許文献1)。
しかし、成膜助剤は、使用するアクリル樹脂エマルジョンのガラス転移点によっても異なるが、一例としては10%程度配合される場合もあり、沸点が高いために塗膜中に残留しやすく、また当該成膜助剤はエステル基やヒドロキシル基などの極性の高い置換基を有しているため水を保持しやすく、建築物の外皮として塗装された場合、降雨等により塗膜中に水分が浸入して塗膜の性能が低下するという課題があった。
また、成膜助剤の配合量を少なくする手法として、水性樹脂分散体のコア部に高いTg樹脂成分となる単量体を用い、シェル部に低いTg樹脂成分となる単量体を使用することが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、当該コア−シェル構造のアクリル樹脂エマルジョンを調製することは、製造工程数が増加することで、時間と手間を要し、結果としてコストが高くなるという課題があった。
ポリマーエマルジョン皮膜中のポリマー粒子の融着に及ぼす成膜助剤の影響、日本化学会誌、2002年、No1、p47−51 特開2003−226793号公報 特開2001−181557号公報
本発明の課題は、耐水性とゼロスパン引張特性を低下させることとなる成膜助剤の配合量を少なくしながら、コア−シェル構造等の特別なエマルジョンを使用することもなく、耐水性と良好なゼロスパン引張特性を有する水系仕上材組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題について鋭意検討し、請求項1記載の発明は、アクリル樹脂エマルジョン、表面に水酸基を有する充填材又は骨材、ビニル基を有するトリアルコキシシラン、顔料、増粘剤、成膜助剤とから成ることを特徴とする水系仕上材組成物であり、成膜助剤の配合量が少ないにもかかわらず、アクリル樹脂と充填材又は骨材がトリアルコキシシランを介して、化学反応的に一体化し、これにより、連続した塗膜を形成させることができ、耐水性とゼロスパン引張特性に優れた水系仕上材組成物を提供する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の充填材が硅砂粉であることを特徴とする請求項1記載の水系仕上材組成物であり、請求項1記載の発明と同様に、成膜助剤の配合量が少ないにもかかわらず、アクリル樹脂と充填材がトリアルコキシシランを介して、化学反応的に一体化し、これにより、連続した塗膜を形成させることができ、耐水性とゼロスパン引張特性に優れた水系仕上材組成物を提供する。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の骨材が硅砂であることを特徴する請求項1記載の水系仕上材組成物であり、請求項1記載の発明と同様に、成膜助剤の配合量が少ないにもかかわらず、アクリル樹脂と骨材がトリアルコキシシランを介して、化学反応的に一体化し、これにより、連続した塗膜を形成させることができ、耐水性とゼロスパン引張特性に優れた水系仕上材組成物を提供する。
本発明の水系仕上材組成物は、アクリル樹脂エマルジョン、表面に水酸基を有する充填材又は骨材、ビニル基を有するトリアルコキシシラン、顔料、増粘剤、成膜助剤とから成ることを特徴とする水系仕上材組成物であり、成膜助剤の配合量が少なくても、アクリル樹脂と骨材又は充填材がトリアルコキシシラン化合物によって化学反応的に一体化し、このため従来成膜させることができない程度の成膜助剤の配合量であっても、均一な塗膜とすることが出来る効果がある。成膜助剤の配合量が少ないことにより、塗膜の耐水性が良好で、塗膜は一体的な構造であるため、風や地震等による建物の動きによって生じる塗膜の引張に追従する良好なゼロスパン引張特性を有し、また使用するアクリル樹脂エマルジョンも、特別なコア−シェル構造を有する必要はないため、高い耐水性と良好なゼロスパン引張特性を有する水系仕上材組成物としては低廉であるという効果がある。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水系塗材組成物は、アクリル樹脂エマルジョン、表面に水酸基を有する充填材又は骨材、ビニル基を有するトリアルコキシシラン、顔料、増粘剤、成膜助剤を配合した水系塗材組成物であり、必要に応じて消泡剤や分散剤が配合される。
本発明のアクリル樹脂エマルジョンは、アクリル酸エステル系共重合樹脂、酢酸ビニル・アクリル酸エステル系共重合樹脂、シリコン変性アクリル系樹脂等の水性アクリル樹脂エマルジョンが使用できる。
充填材又は骨材にはその表面に水酸基を有するものを使用し、特には硅砂粉又は硅砂を使用することが出来るが、得られる意匠と凹凸感によって、その粒度を任意に選択することが出来る。一般的には充填材としては硅砂粉#300(平均粒径25μm、株式会社トウチュウ製、商品名)、骨材としては東北硅砂7号(平均粒径150μm、東北硅砂株式会社製、商品名)を使用することが出来る。硅砂以外には、シリカ、ガラス、タルク、クレーなどが使用可能である。また骨材は充填材と粒径によって区別され、その粒径は100μm以上のものを言っている。
ビニル基を有するトリアルコキシシランは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランや3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが使用可能であり、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランにはKBM-503(信越化学株式会社製、商品名)が、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランにはKBM−5103(信越化学株式会社製、商品名)がある。
顔料には、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、クロム酸鉛、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機系顔料等が使用できるが、中でも酸化チタンは下地の隠蔽性に優れ、白色であるため主たる顔料として使用することが出来る。
増粘剤は、鏝塗り作業性や保水性の向上を目的として配合し、水溶性セルロースエーテル、ウレタン変性ポリエーテル、ポリカルボン酸等が使用できる。水溶性セルロースエーテルとしてはhiメトローズ90SH15000(信越化学株式会社製、商品名)がある。
成膜助剤には、エマルジョンのポリマー粒子の融着を促進し、ポリマーによる均一な皮膜を形成させることを目的で配合し、エチレングリコールジエチルエーテル、ベンジルアルコール、ブチルセロソルブ、エステルアルコール等が使用される。
上記の配合成分の他に、塗材中の巻き込み等による泡を消失させるために消泡剤や、充填材や顔料等を均一に分散させるための分散剤が配合されることがある。
本発明の水系仕上材組成物は骨材を配合するときは、施工にあたっては、パターンローラー、金鏝、吹き付けガン等を使用して、目的としている意匠となるように適切に施工器具を選択し、その意匠に適した塗付量で仕上げる。配合された水系塗材組成物の適正粘度としては、300〜700Pa・sが好ましく、このような粘度とするには、適当量の水を加えることで調整することが出来る。骨材を配合しない場合は、ローラー刷毛等により塗付する。
以下、実施例及び比較例にて具体的に説明する。
(試料の調製)
表1の組成に従って、実施例1乃至3及び比較例1乃至4の水系仕上材組成物を調製した。表1において、アクリル樹脂エマルジョンはYJ1555Daq(固形分56%、ガラス転移温度16℃、BASFジャパン株式会社製、商品名)を使用した。骨材には東北硅砂7号(比重1.5、平均粒径150μm、東北硅砂株式会社製、商品名)を、充填材は、硅砂粉#300(平均粒径25μm、株式会社トウチュウ製、商品名)を、トリアルコキシシランAにはKBM−503(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学株式会社、商品名)を、トリアルコキシシランBにはKBM−5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学株式会社、商品名)を、トリアルコキシシランCにはKBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学株式会社、商品名)を、顔料には酸化チタンR−820(石原産業株式会社製、商品名)を、体質顔料は炭酸カルシウムホワイトンSB(比重0.85、平均粒径2μm、白石カルシウム株式会社製、商品名)を、増粘剤は水溶性セルロースエーテルhiメトローズ90SH−15000(信越化学株式会社製、商品名)を、成膜助剤はテキサノールCS−12(チッソ株式会社製、商品名)を使用した。この他には消泡剤及び分散剤を添加したが、これらは水系塗材用の市販品より適宜選択されるものを使用することが出来る。これらの原料を均一に混合分散させ水系塗材組成物とした。
Figure 2009263426
評価方法
1)低温ひび割れ性
150×150mm厚さ2mmのガラス板の周縁に厚さ2mm×幅7mmのスペーサーを貼り付け、その内側の表1の水系塗材組成物を均一な厚みになるようにヘラで塗付し、直ちに5℃の恒温槽内に水平に載置した。48時間経過後、恒温槽から取り出し目視にて、塗膜表面にクラックが生じているものを×とし、クラックが無いものを○とした。
2)耐水性
下地としてJISA5430規定のフレキシブルボード(150×150mm厚さ8mm)を使用する。下地のオモテ面にシーラーとして溶剤塩化ゴム系下塗り材(JS−410、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m塗付して、4時間以上乾燥させた後、表1記載の水性塗材組成物を塗付量2.0kg/mにて金鏝を使用して塗付し、直ちに温度5℃湿度50%RHで48時間養生して試験体とした。養生終了後直ちに23℃の水中に浸漬させて48時間放置後、試験体を取り出して目視にて塗膜にふくれが生じているものを×とし、ふくれはないが塗膜にしわがよっているものを△、異常がない塗膜を○として評価した。
3)ゼロスパン引張特性
下地としてJISA5430規定のフレキシブルボード(70×70mm厚さ8mm)を使用し、当該下地を2枚の木口同士を突きつけ、その裏面を養生テープで仮止めする。下地のオモテ面にシーラーとして溶剤塩化ゴム系下塗り材(JS−410、アイカ工業株式会社製、商品名)を0.2kg/m塗布して、4時間以上乾燥させた後、表1記載の水性塗材組成物を塗付量0.9kg/mにて金鏝を使用して塗付し、気温23℃湿度50%RHで12時間養生した。その後同一の水性塗材組成物を塗付量2.0kg/mで金鏝を使用して塗付し、同様に23℃湿度50%RHで14日間養生して試験体とした。その後裏面の仮止めの養生テープをはがし、インストロン万能試験機にて、試験体の両端を2mm/分で引張、突きつけ部にピンホールが発生した距離をゼロスパン引張特性として、当該距離が2.0mm以上を○、1.7mm以上2.0mm未満を△、1.7mm未満を×とした。
試験結果のまとめ
実施例1乃至3では低温ひび割れ性、耐水性、及びゼロスパン引張特性の全てが○評価であったのに対し、比較例1乃至3は低温ひび割れ性及びゼロスパン引張特性の評価が×であった。比較例4では耐水性が×であった。

Claims (3)

  1. アクリル樹脂エマルジョン、表面に水酸基を有する充填材又は骨材、ビニル基を有するトリアルコキシシラン、顔料、増粘剤、成膜助剤とから成ることを特徴とする水系仕上材組成物
  2. 請求項1記載の充填材が硅砂粉であることを特徴とする請求項1記載の水系仕上材組成物
  3. 請求項1記載の骨材が硅砂であることを特徴とする請求項1記載の水系仕上材組成物

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