JP4842599B2 - 建築土木用水性塗料 - Google Patents

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Description

本発明は、無機有機複合の建築土木用水性塗料に関する。
従来、建築、建材、金属、木工など住環境周りに使用される塗料は、アルキッド、アクリル、エポキシ、ウレタンなど有機系樹脂組成物が主である。また、高耐候性グレードとしてアクリルシリコーン樹脂系、フッ素樹脂系組成物が用いられているがその多くは溶剤可溶型であり、環境に対して好ましくなく、その硬化初期に汚れや傷等がつき易いという問題がある。
従来より建築内外装に使用されているアクリルエマルション系樹脂は、水分散系であり環境に対する配慮はされているが、耐侯性、塗膜強度に劣り、汚れやすく、傷つきやすく、光劣化しやすいという問題をかかえている。
そこで、これらの問題を解決するために、ポリオール等の水酸基を有する樹脂と、アルコキシシリル基含有共重合体と、硬化触媒とを含む熱硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この熱硬化性樹脂組成物においては、その耐水性や耐薬品性が十分でなくて水や溶剤に侵され易いほか、硬化の際に55〜350℃の加熱を要するという問題がある。
また、アルコキシシリル基含有ビニル単量体と脂環式エポキシ基含有ビニル単量体との共重合体にジルコニウムキレート化合物を配合してなる硬化性組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、この硬化性組成物では耐候性や低温硬化性に乏しいという問題がある。
そして、上記樹脂の多くは使用領域である20℃〜50℃付近に顕著なガラス転移温度を有し、ガラス転移温度の前後で物性の著しい変化を起こす。これが原因で、これら有機系塗膜においては、塗装時は均一な塗膜を形成するものの、温度、湿度、降雨、皮膚及びプラスチックの接触などの外部刺激に対し、膨張、クラック、剥離、摩耗、汚染物質の滲み込み、手垢汚れなど塗膜の劣化が進行する。
近年、上記の如き有機系の硬化性樹脂組成物における種々の問題を解決し得るものとして、基本骨格にシロキサン結合を持つオルガノポリシロキサンを用いた無機系の硬化性組成物が提案されており、形成された硬化皮膜の表面硬度、耐熱性、耐候性、耐薬品性等において優れた性能を有することから、耐熱用途のみならず建築用分野においても用いられ始めている。しかしながら、このオルガノポリシロキサンを用いた硬化性組成物は、有機系の硬化性樹脂組成物とは異なり、その架橋密度に起因して、耐脆性、耐クラック性、耐アルカリ性、耐収縮性等の点でその性能が劣り、また、高温硬化が必要である。
これに対し、液状オルガノポリシロキサン、有機金属化合物からなる架橋剤、及び含金属化合物からなる硬化触媒を必須成分とする無溶剤で一液タイプの常温硬化型オルガノポリシロキサン組成物が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この無溶剤一液タイプの常温硬化型オルガノポリシロキサン組成物においては、架橋剤として揮発性モノマーを使用したり、硬化速度を遅延コントロールするためにアルコールを使用する等、実質的には無溶剤とは言い難く、しかも、この種のオルガノポリシロキサンを用いる硬化性組成物においては、解決が困難と考えられている厚塗り時や高濃度有機酸接触時等における硬化後のクラック発生の問題が依然として残されている。また、これらオルガノポリシロサン系樹脂組成物は一般的に高価で、汎用的用途には使用しがたいことも事実である。
特許文献4にはアルコキシシランに充填剤として針状無機質を添加しクラックを防止する発明が開示され、特許文献5及び特許文献6には安価なコロイダルシリカにチタン酸アルカリ繊維質を加えてクラックを防止する発明が開示されているが、前者ではアルコールを大量に発生し環境に好ましくなく、後者のチタン酸アルカリ繊維質は光により触媒機能を発揮し、有機バインダー成分を劣化させるという問題点を有している。
これに対して、特許文献7では水分散コロイダルシリカにマイカ、タルク、ガラスフレークまたはセピオライトを指定量添加し、親水性と耐クラック性とを有する無機質塗料を提唱しているが、コロイダルシリカは造膜性が低く、また実質的に顔料を含むため、塗膜の透明性及び平滑性に劣り、艶が出し難い他、種々の外部刺激に対して生じるマイクロクラックの問題を改善したとは言い難い。
すなわち、これまでに提案されている硬化性組成物についてみると、表面硬度、表面タック、耐熱性、耐汚染性、耐汚染除去性、耐候性において優れ、しかも、常温硬化性を有して実質的に0℃〜70℃の範囲で顕著なガラス転移温度を示さない水性硬化性樹脂組成物は、有機系においては実用化されていない。一方、無機系においては、造膜性や耐衝撃性、種々の外部刺激に対するクラック発生の問題がなく、しかも、常温硬化性を有して実質的に水性の硬化性樹脂組成物は未だ実用化されていない。
特開平1−141952号公報 特開昭63−108049号公報 特開平5−247347号公報 特開平1−163275号公報 特公平7−81096号公報 特公平8−27424号公報 特開2003−55581号公報
本発明は、環境に悪影響を及ぼさず、シロキサン結合を有する無機系硬化性組成物の特長を損なうことなく、この種の無機系硬化性組成物において解決困難な問題とされていた硬化後のクラック発生の問題がなく、安価でしかも、常温硬化性を有し、従来の有機系塗膜の諸物性を保持しつつ、常温使用領域において、ガラス転移による顕著な物性変化を起こさない実質的に水性の建築土木用塗料建築土木用水性塗料)を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水分散コロイダルシリカを主成分とし、これに極性基を有するシランカップリング剤を作用、同時にコロイダルシリカと水素結合を結成しうる水性樹脂を配合した主剤を、これら多成分系主剤と相互に反応しうるポリイソシアネート系硬化剤で架橋させ無機−有機ハイブリッド型塗料が、上記問題点を高いレベルで解消し得ることを見出し、本発明を完成した。具体的には、以下の<1>〜<6>の発明である。
<1> 必須成分として、水分散コロイダルシリカ、ウレイド基、アミノ基、チオール基、エポキシ基及び脂環式エポキシ基からなる群より選ばれる基を有するシランカップリング剤、及び水性バインダーを含み、これらを加熱することなく混合して調製される主剤と、
ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤と、
からなることを特徴とする建築土木用水性塗料
<2> 前記主剤と前記硬化剤とを混合した際の配合割合として、前記水分散コロイダルシリカ100質量部に対して、1〜50質量部の前記シランカップリング剤、0.5〜100質量部の前記ポリイソシアネート化合物、及び10〜1000質量部の水性バインダーを含むことを特徴とする<1>に記載の建築土木用水性塗料
<3> 前記水性バインダーが、シラノールと水素結合を形成しうる極性結合を有するバインダーであることを特徴とする<2>に記載の建築土木用水性塗料
なお、前記水性バインダーとしては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア及びポリオキサゾリンからなる群より選ばれる1種以上のバインダーが好ましいものとして例示される。
<4> 0℃〜70℃の範囲で、顕著なガラス転移温度を示さないことを特徴とする<3>に記載の水性塗料
<5> 硬化皮膜形成に用いられる<1>〜<4>のいずれかに記載の建築土木用水性塗料であって、それにより形成される硬化皮膜が実質的に無色透明であることを特徴とする建築土木用水性塗料
本発明の建築土木用性塗料によれば、コロイダルシリカ基材と、シランカップリング剤、並びに有機水性樹脂が一体化したハイブリッド構造をとり、透明性が高く、常温以上にガラス転移温度を少なくとも顕著には有さず、使用温度領域では物性の低下がなく、感温性が低く、耐水性、耐溶剤性に優れ、呼吸性が高く、低汚染で耐候性に優れ、汚れにくい硬化皮膜(塗膜)を形成することができる。そのため、建築、土木、各種無機材料あるいは有機材料の表面保護膜として好適に用いられる塗布液であり、基本的に水性であり、製造工程において安全で、その使用が限定されない透明ハイブリッドシリカ膜を形成することができる。また、従来のアルコキシシランを用いた塗布液よりも、はるかに安価なものである。
以下、本発明の建築土木用水性塗料について、詳細に説明する。
本発明では、高価なアルコキシシランを主原料として使用せず、安価なコロイダルシリカを樹脂骨格に用い、その他、極性基を有するシランカップリング剤、ポリイソシアネート化合物、及び水性バインダーを必須成分として本発明の水性塗料は構成されている。
本発明の建築土木用水性塗料により塗膜を形成すると、極性基を有するシランカップリング剤がコロイダルシリカに作用して樹脂骨格を成し、これと水性バインダーとが硬化剤であるポリイソシアネート化合物で架橋、一体化された無機シロキサン−有機系ハイブリッド樹脂組成物が形成される。かかる塗膜は、実質的に無色透明となり、上記無機系塗料における問題点、並びに、上記有機系塗料における問題点を相互補完する形で改善するものである。
以下、構成成分ごとに説明する。
(水分散コロイダルシリカ)
本発明で用いる水分散コロイダルシリカ(以下、単に「コロイダルシリカ」という場合がある。)としては、高分子量の無水珪酸の微粒子を水中に分散させた水性シリカゾルで、粒径10〜30nmの範囲、水素イオン濃度(pH)8〜11の範囲のものが好ましい。粒径が50nm以上の大粒径の物、水素イオン濃度が酸性域の物については、前者は塗膜透明性に不利であり、後者は安定性に不利であるため、目的によっては使用しても構わないが、あまり好ましくない。不揮発分としては、20〜30%の物が一般的であるが、40%品、50%品も市販されており、不揮発分が高い方が、塗料とした場合のソリッド分が向上するため好ましい。
(シランカップリング剤)
本発明で用いるシランカップリング剤は、コロイダルシリカに作用させるために添加する物であり、結果として架橋剤であるポリイソシアネート化合物と反応する極性基を有するもの、ないし発生するものであれば特に限定されない。具体的には例えば、ウレイド基、アミノ基、チオール基を有するシランカップリング剤、または、エポキシ基、脂環式エポキシ基を有するシランカップリング剤を使用することができる。これらの基は、直接コロイダルシリカに添加してもよいし、あらかじめ希酸で加水分解したのち添加してもよい。
なお、シランカップリング剤の添加量としては、基材であるコロイダルシリカの表面の一部をイソシアネ−トと反応する極性基変性できる程度であればよく、コロイダルシリカ100質量部に対して好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜20質量部、さらに好ましくは8〜10質量部である。あまり添加量が多すぎる場合は加水分解して出てくるアルコールが系の安定性を低下させ、また結果的に高価なものとなってしまう。
(ポリイソシアネート化合物)
本発明で用いるポリイソシアネート化合物は、硬化剤を構成する物質であり、一般的に水性塗料に配合可能な自己乳化型ポリイソシアネートであれば制限はない。
ポリイソシアネート系樹脂の配合量としては、水分散コロイダルシリカ100質量部に対して0.5〜100質量部でよく、用途により添加量を使い分ける
(水性バインダー)
本発明で用いる水性バインダーは、基材であるコロイダルシリカと水素結合を形成するために添加する物であり、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリオキサゾリン、ポバールなどコロイダルシリカ表面シラノールと水素結合を形成し得る極性結合を有するバインダーであれば種類は問わない。コロイダルシリカの造膜性を向上させ、クラックを防止し、基材コロイダルシリカと一体化した塗膜を形成するものであればよく、特に0℃〜70℃の範囲で極端なガラス転移を誘発するものでないものが好ましく、より好ましくは0℃以下にガラス転移温度(Tg)を有するものがよく、−50℃以下にTgを有するウレタン樹脂が特に好ましい。
水性バインダーの添加量としては、基材であるコロイダルシリカの物性を損なわない程度の添加量であればよく、コロイダルシリカ100質量部に対し、好ましくは10〜1000質量部、より好ましくは50〜500質量部、更に好ましくは80〜200質量部、最も好ましくは100〜150質量部である。水性バインダーの配合割合が10質量部に満たないと造膜性が悪くなり、クラックが入りやすく、1000質量部を超えると、コロイダルシリカに由来する物性が発揮され難くなるため、それぞれ好ましくない。
(その他の成分)
本発明の建築土木用水性塗料に配合可能な他の成分として、上述水性バインダー以外の樹脂エマルション、非ポリイソシアネート系硬化剤、ワックスエマルションなどの有機バインダー、金属アルコキシド、珪酸アルカリなどの無機バインダー、硬化促進剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、着色顔料、体質顔料、繊維類などを挙げることができ、本発明の目的を逸脱しない範囲でこれらを配合することができる。
建築土木用水性塗料の製造、塗布、効果、その他)
本発明の建築土木用性塗料の製造には、通常の水系塗料の製造方法を採用することができる。
本発明の建築土木用水性塗料を塗料として用いた場合の塗布方法としては、原液のまま、もしくは必要に応じて水などの分散媒を加えて希釈した上で、水性刷毛、ロール刷毛、エアースプレー、エアーレススプレーなどで塗布することができる。このとき形成する塗膜の厚みとしては、乾燥膜厚で20〜50μm程度とするのが好ましい。本発明のハイブリッド型の水性樹脂組成物ないし塗料は、常温で硬化するが、適当な温度で焼付け硬化させることも可能である。
本発明の建築土木用性塗料は、含有するコロイダルシリカの作用により、呼吸性を有し、呼吸性基材に塗布でき基材の呼吸性を阻害せず、下地が水分を含んでいる場合でも膨れ、ブリスターが発生することなく均一に仕上げることができる。
本発明の建築土木用性塗料は、含有するコロイダルシリカの作用により、浸透性に優れ、無機材料、金属、木材、プラスチック、布、紙などに対する付着性に優れるメリットを有する。
本発明の建築土木用性塗料は、塗料としての製品の流通段階では、液安定性確保等の理由で、各成分を2液に分けた状態としておき、使用する段階で混合して用いる。具体的には、ポリイソシアネート化合物を硬化剤水分散コロイダルシリカ、シランカップリング剤、及び水性バインダーを含み、これらを加熱することなく混合して調製した物を主剤とする。
本発明の建築土木用性塗料は、含有するコロイダルシリカの作用により、塗膜は表面親水性を示し、屋外に塗装した場合、雨水などで表面汚れを洗い流すセルフクリーニング性を有する。
本発明の水性塗料は、常温領域である0℃〜70℃に顕著なガラス転移温度を示さないことが好ましく、その場合、使用温度領域での物性低下が少なく、クラック、ワレおよび剥がれに強く、感温性が低いため汚染に対して優れた塗膜表面を形成することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、これにより本発明が限定されるものでないことはいうまでもない。
下記表1に、実施例及び比較例の各塗料の組成及びその評価をまとめて示す。
表1に示す組成に従い、実施例1〜6及び比較例1〜4の10種の塗料を調製し、これを試験片に塗布して得られた塗膜、及び塗料自体について後述する評価試験を実施した。この試験例では、シランカップリング剤にウレイド型のものを使用し、水性バインダーにはウレタンエマルションを使用した。
Figure 0004842599
この試験で用いた各成分について詳述する。
コロイダルシリカとしてはシリカドール#50(日本化学工業製)を用いた。このコロイダルシリカは、平均粒径が10〜20nm、水素イオン濃度(pH)は9.0〜10.5であり、不揮発分(NV)が50%のものである。
ウレイド型シランカッブリング剤としてはA−1160(日本ユニカー製、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)を用いた。
ポリイソシアネート化合物としては、デュラネートWB40−80D(旭化成製、水分散ポリイソシアネート)を用いた。
ウレタンエルションとしては、アデカボンタイターHUX232(旭電化工業製、無黄変型ポリエステルウレタン)を用いた。このウレタンエルションのガラス転移温度(Tg)は、−60℃以下である。
また、一部の実施例には、その他の成分として、有機バインダーであるアクリルエマルションを配合しているが、これにはアクリセットEMN268E(日本触媒製)を使用した。
また、比較例2に使用したアクリル化アルキッド樹脂塗料はアクリル−フトシン型(アトミクス製)、比較例3に使用したアクリルウレタン樹脂塗料はフロアトップ#7000(アトミクス製)、比較例4に使用したエポキシ樹脂塗料はフロアトップ#8000(アトミクス製)である。
以下に各塗料ないし塗膜に対する評価試験の概要を記す。
(塗膜外観)
塗膜外観は、試験片としてのガラスに塗布・形成した各塗膜について、目視により、以下の評価基準で官能評価した。その際、塗膜の透明性(不透明である場合にはその色)についても併せて評価した。
―評価基準―
◎:極めて平滑。
○:平滑だが、やや凹凸あり。
×:平滑性無し。
(ガラス転移温度)
各塗料についてレオメトリック社製動的粘弾性測定装置RSA−IIを用いることにより動的粘弾性E’を測定し、その減少点を求めて、これをガラス転移温度とした。
(耐溶剤性)
耐溶剤性は、キムワイプ(商品名、キンバリー・クラーク社製)にメチルイソブチルケトン(MIBK)を滲み込ませて、試験片(ボンデ鋼板)に塗布・形成された各塗膜に対して100回ラビングした後の塗膜外観を、以下の評価基準で評価した。
―評価基準―
◎:変化無し。
○:ほとんど変化無し。
×:塗膜が溶解してしまう。
(耐水性)
耐水性は、各塗膜が形成された試験片(ボンデ鋼板)を水に24時間浸漬し、その後の塗膜外観を、以下の評価基準で評価した。
―評価基準―
◎:変化無し。
○:ほとんど変化無し。
×:乳濁、溶解、ないしブリスターが生じた。
(耐汚染性)
耐汚染性は、各塗膜が形成された試験片(ボンデ鋼板)を暴露台に載せて、ビルの屋上に6ヶ月間暴露し、その後の塗膜外観を、以下の評価基準で評価した。
―評価基準―
◎:雨すじなどの汚れが無い。
○:雨すじなどの汚れがほとんど無い。
×:雨すじ痕あり。
(タックテスト)
試験片(ボンデ鋼板)に実施例および比較例の各塗料を塗布し、24時間常温常湿で乾燥した。その後、塗膜面にカーボン紙のカーボン面とを重ね合わせ1kgの分銅を載せて60℃(タックテスト1)または80℃(タックテスト2)で放置した。1時間経過後、分銅を外し、カーボン紙を剥がして、塗膜へのカーボンの残り具合を観察して、以下の評価基準で評価した。
―評価基準―
◎:全く痕が残らない。
○:ほとんど痕が残らない。
○△:僅かに痕が残っている。
△:はっきりと痕が残っている。
×:カーボン紙が貼り付いて剥がれない。
(水蒸気透過性)
各塗膜をフッ素樹脂シートに湿潤膜厚125μmで塗布・乾燥し、これをきれいに剥がし取り、得られた塗膜について、JIS Z0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))に準じて、温度23℃、相対湿度90±2%)で透湿度を測定した。その結果、50(g/m2・24h)以上の場合を○、それ未満を×とした。
図1に、水性塗料(実施例3)による硬化膜のイメージ図を載せる。図中、「NCOプレポリマー」とは、ポリイソシアネート化合物のことを意味する。
図2に、比較例1の塗膜における凝集表面のバイオレットレーザー顕微鏡写真を載せる。
図3に実施例1、2および3、並びに比較例4の各塗料における、動的粘弾性E’およびtanδのプロファイルを載せる。
図4に、実施例1と比較例3の塗膜における水蒸気透過性試験の結果を示すグラフを載せる。
<結果の考察>
本発明の建築土木用性塗料を用いた場合、得られる塗膜は、例えば図1に示されるイメージ図のように、コロイダルシリカ基材とシランカップリング剤、有機水性樹脂が一体化したハイブリッド構造をとる。そして、上記評価試験の結果から見ても、実施例では、透明性が高く、常温以上にガラス転移温度を有さず、使用温度領域では物性の低下がなく、感温性が低く、耐水、耐溶剤性に優れ、呼吸性が高く、低汚染で耐候性に優れ、汚れにくいことが確認された。
これに対して、比較例1の塗料では、塗布後に塗膜成分が凝集してしまい、満足な塗膜が得られなかったため、上記各評価試験の実施は見送った。また、比較例2の塗膜では、塗膜強度が低く試験片から剥がし取ることができなかったため、水蒸気透過性の実施は見送った。
比較例2〜4の各塗膜については、いずれかの評価試験項目で良好ないし比較的良好な結果が得られているものもあるが、本発明の建築土木用水性塗料による複合塗膜のように、全ての項目で満足できるものはない。
なお、実施例6の塗膜については、他の実施例に対して若干劣っている項目があるが、これは塗料組成中のコロイダルシリカに対する水性バインダーの割合がやや高く、コロイダルシリカに由来する特性がやや弱くなっているためとおもわれる。ただし、そのような実施例6の塗膜であっても、比較例と比較すれば十分に高い性能を発揮していることがわかる。
したがって、本発明の建築土木用性塗料は、建築用、土木用として、あるいは各種無機材料ないし有機材料表面の保護膜を形成する塗布液として好適に用いることができる。また、本発明の建築土木用性塗料は、基本的に水性であり、製造工程においても安全で、その使用が限定されない透明ハイブリッドシリカ膜を形成することができる。さらに、従来のアルコキシシランを用いた塗布液よりも、はるかに安価なものである。
なお、実施例1および比較例2の塗料について、実際の階段手すり部に並べて連続的に塗布し、6カ月暴露してタック汚れを確認してみたところ、その差は歴然であり、比較例2の塗料で塗装した部位は、汚れが目立ったが、実施例1の塗料で塗装した部位は、汚れが全く確認されなかった。
水性塗料(実施例3)のイメージ図である。 比較例1の凝集表面の青色レーザー顕微鏡写真(倍率9000倍)である。 実施例1、2および3、並びに比較例4の各塗料における、動的粘弾性E’およびtanδのプロファイルである。 実施例1と比較例3の水蒸気透過性試験の結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 必須成分として、水分散コロイダルシリカ、ウレイド基、アミノ基、チオール基、エポキシ基及び脂環式エポキシ基からなる群より選ばれる基を有するシランカップリング剤、及び水性バインダーを含み、これらを加熱することなく混合して調製される主剤と、
    ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤と、
    からなることを特徴とする建築土木用水性塗料
  2. 前記主剤と前記硬化剤とを混合した際の配合割合として、前記水分散コロイダルシリカ100質量部に対して、1〜50質量部の前記シランカップリング剤、0.5〜100質量部の前記ポリイソシアネート化合物、及び10〜1000質量部の水性バインダーを含むことを特徴とする請求項1に記載の建築土木用水性塗料
  3. 前記水性バインダーが、シラノールと水素結合を形成しうる極性結合を有するバインダーであることを特徴とする請求項2に記載の建築土木用水性塗料
  4. 0℃〜70℃の範囲で、顕著なガラス転移温度を示さないことを特徴とする請求項3に記載の建築土木用水性塗料
  5. 硬化皮膜形成に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の建築土木用水性塗料であって、それにより形成される硬化皮膜が実質的に無色透明であることを特徴とする建築土木用水性塗料
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