JP2009262917A - エアバッグ及びエアバッグの折り畳み方法 - Google Patents

エアバッグ及びエアバッグの折り畳み方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エアバッグ本体の展開動作が一層迅速かつ円滑に行えるエアバッグを提供する。
【解決手段】車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグであって、展開時乗員側となる乗員拘束面1fと、展開時車体側となる車体側面1gとを有し、かつインフレータ10が収容された基部側のインフレータ収納部8の左右方向の幅に対し、膨張室1d、1eが形成された先端側の左右方向の幅が大きく形成されたエアバッグ本体1と、エアバッグ本体を先端側から折り畳む際に、膨張室とインフレータ収納部との間を、左右方向に長い稜線となるよう襞状に折り畳むことにより形成された緩衝部12とを具備し、車両の衝突時インフレータよりエアバッグ本体内に噴出される高圧ガスが膨張室に流入する前に高圧ガスにより緩衝部を展開させて、高圧ガスが膨張室へ流入しやすくした。
【選択図】図1

Description

本発明は、狭小な場所においても迅速かつ円滑に膨張、展開が可能なエアバッグ及びエアバッグの折り畳み方法に関する。
自動車等の車両が衝突した際の衝撃を吸収するエアバッグ装置は、車両が衝突した際インフレータより噴出される高圧ガスにより膨張展開されるエアバッグを備えている。
このエアバッグは、コンパクトに折り畳まれた状態でインフレータとともにユニット化されて所定の場所、例えばインストルメントパネル等の内側や、ステアリングホイールの中央部等に設置されており、エアバッグ装置の上面はカバー体により覆われている。
一方エアバッグ装置に使用されているエアバッグは、ナイロン等の織布を所定の形状に裁断して単一又は複数枚の基布を製作し、これら基布を袋状に縫製してエアバッグ本体を形成しており、エアバッグ本体の形状は、エアバッグ装置を設置する場所等に応じて種々の形態のものが製作されている。
例えばステアリングホイールの下方に設置して、車両の衝突時運転者の膝を保護するエアバッグ装置の場合、運転者の膝がインストルメントパネルやコラムカバーに近接している上、エアバッグ本体が展開するためのスペースも狭いため、車両の衝突時狭小な場所でも迅速に展開が可能なエアバッグ装置が要求される。
かかる要求に答えるエアバッグ装置として、例えば特許文献1に記載された膝保護用エアバッグ装置のエアバッグ収納方法(折り畳み方法)が提案されている。
前記特許文献1に記載のエアバッグ装置は、膨張完了時乗員側に配置される乗員側壁部(乗員拘束面)と、膨張完了時車体側に配置される車体側壁部(車体側面)とを備えた複数枚の基布を袋状に縫製することにより、エアバッグ本体が形成されている。
またエアバッグ本体の下部側には、車両衝突時インフレータより噴出される高圧ガスを導入するガス導入口が形成されており、さらに膨張完了時の左右方向の幅寸法を、乗員の左右両膝の前方側を覆うことができ、かつ収納部位の左右方向の幅寸法より大きくなるようにエアバッグ本体が形成されている。
そしてエアバッグ本体の収納時には、平らに展開した状態から上端側を下端側に接近させるように折り畳んで上下方向折り畳み部位を形成し、その後車体側の収納部位に収納可能となるように収納部位の左右方向の幅寸法に対応させて、上下方向の折り畳み部位の左右方向の幅寸法を狭めるように折り畳んで、車体側の収納部位に収納するように構成されている。
前記構成された特許文献1のエアバッグ装置のエアバッグ収納方法では、エアバッグ本体内に高圧ガスが流入されると、折り畳み工程と逆にエアバッグ本体が展開されるため、まず収納部位の突出用開口から車両後方にエアバッグ本体が突出することにより、左右方向に幅を狭めた折を解消し、その後左右方向の幅寸法を広げて突出用開口とその周辺を覆うように展開するため、乗員の膝を的確に保護することができる等の効果が得られる。
特開2003−170801号(特許第3743360号)公報
前記特許文献1に記載のエアバッグ収納方法では、車両の衝突時インフレータより噴出される高圧ガスがガス導入口よりエアバッグ本体内へ導入されると、まずロール状に巻かれたエアバッグ本体の先端部側が左右に展開されるが、ロール状に巻かれた先端部は、高圧ガスがロール状部を押し広げながら左右へ展開させる動作が必要となる。
しかしロール状に巻かれたエアバッグ本体の先端部は、基布にほとんど弛みがないため、高圧ガスにより基布が緊張された状態で先端部の展開動作が行われるようになる。
その結果先端部のロール部分が高圧ガスにより締付けられて、展開動作に遅延が生じたり、挙動が不安定となって所定の方向へ展開されない可能性がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、エアバッグ本体の展開動作が一層迅速かつ円滑に行えるエアバッグ及びその折り畳み方法を提供することを目的とするものである。
本発明のエアバッグは、車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグであって、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつインフレータが収容された基部側のインフレータ収納部の左右方向の幅に対し、膨張室が形成された先端側の左右方向の幅が大きく形成されたエアバッグ本体と、前記エアバッグ本体を先端側から折り畳む際に、前記膨張室と前記インフレータ収納部との間を、左右方向に長い稜線状となるよう襞状に折り畳むことにより形成された緩衝部とを具備し、車両の衝突時前記インフレータより前記エアバッグ本体内に噴出される高圧ガスが前記膨張室に流入する前に前記緩衝部を展開させて、高圧ガスが前記膨張室へ流入しやすくしたものである。
前記構成により、車両の衝突時インフレータからエアバッグ本体内に噴出された高圧ガスは、ロール状に折り畳まれた膨張室内に流入する前に、エアバッグ収納部と膨張室との間に形成された緩衝部へ流入して緩衝部を先に展開させるため、緩衝部が形成された基布に弛みが生じて高圧ガスが膨張室内へ流入しやすくなる。
これによってエアバッグ本体が従来のものに比べて、一層迅速かつ円滑に展開されることから、狭小なスペースでも確実にかつ短時間でエアバッグ本体を所定形状に展開させることができる。
またエアバッグ本体を折り畳む際、膨張室とインフレータ収納部との間を襞状に折り畳むだけで緩衝部を形成することができるため、エアバッグ本体に別部材を設けたり、手間のかかる縫製方法を採用する必要がないので、エアバッグが安価に得られるようになる。
本発明のエアバッグは、前記膨張室内を、通気孔を有する仕切り壁により複数の膨張室に区画してなるようにしてもよい。
前記構成により、複数に区画された膨張室が仕切り壁の通気孔より流入する高圧ガスにより順次展開されるため、狭小なスペースにも所定の形状に展開が可能なエアバッグが得られるようになり、乗員の特に膝付近を保護するエアバッグに好適である。
本発明のエアバッグの折り畳み方法は、車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグのエアバッグ本体が、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつ、基部側に形成されたインフレータ収納部の左右方向の幅に対し先端側に形成された膨張室の左右方向の幅が大きく形成して構成されている場合における前記エアバッグの折り畳み方法であって、前記エアバッグ本体の前記インフレータ収納部内に、前記インフレータを収納する工程と、前記膨張室を前記エアバッグ本体の先端側から基端側へロール状に折り畳む工程と、前記インフレータ収納部を折り畳まれた前記膨張室側へスライドさせて、前記インフレータ収納部と前記膨張室との間を襞状に折り畳むことにより、左右方向に長い稜線状の緩衝部を形成する工程と、前記緩衝部を前記膨張室の上側に折り重ねる工程と、前記インフレータ収納部を前記緩衝部上に折り重ねる工程と、前記膨張室の両端部を蛇腹状に折り畳む工程とからなるようにしてもよい。
前記方法により、車両の衝突時インフレータからエアバッグ本体内に噴出された高圧ガスは、ロール状に折り畳まれた膨張室内に流入する前に、エアバッグ収納部と膨張室との間に形成された緩衝部へ流入して緩衝部を先に展開させるため、緩衝部が形成された基布に弛みが生じて高圧ガスが膨張室内へ流入しやすくなる。
これによってエアバッグ本体が従来のものに比べて、一層迅速かつ円滑に展開されることから、狭小なスペースでも確実にエアバッグ本体を所定形状に展開させることができる。
またエアバッグ本体を折り畳む際、膨張室とインフレータ収納部との間を襞状に折り畳むだけで緩衝部を形成することができるため、複雑な折り畳み方法を必要とせずにエアバッグの折り畳みが可能となり、折り畳み時間の短縮によりエアバッグ装置の組み立て作業の能率化が図れるようになる。
本発明のエアバッグの折り畳み方法は、車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグのエアバッグ本体が、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつ、基部側に形成されたインフレータ収納部の左右方向の幅に対し先端側に形成された膨張室の左右方向の幅が大きく形成して構成されている場合における前記エアバッグの折り畳み方法であって、前記エアバッグ本体の前記インフレータ収納部内に、前記インフレータを収納する工程と、前記膨張室を前記エアバッグ本体の先端側から基端側へ蛇腹状に折り畳む工程と、前記インフレータ収納部を折り畳まれた前記膨張室側へスライドさせて、前記インフレータ収納部と前記膨張室との間を襞状に折り畳むことにより、左右方向に長い稜線状の緩衝部を形成する工程と、前記緩衝部を前記膨張室の上側に折り重ねる工程と、前記インフレータ収納部を前記緩衝部上に折り重ねる工程と、前記膨張室の両端部をさらに蛇腹状に折り畳む工程とからなるようにしてもよい。
前記方法により、車両の衝突時インフレータからエアバッグ本体内に噴出された高圧ガスは、蛇腹状に折り畳まれた膨張室内に流入する前に、エアバッグ収納部と膨張室との間に形成された緩衝部へ流入して緩衝部を先に展開させるため、緩衝部が形成された基布に弛みが生じて高圧ガスが膨張室内へ流入しやすくなる。
これによってエアバッグ本体が従来のものに比べて、一層迅速かつ円滑に展開されることから、狭小なスペースでも確実にエアバッグ本体を所定形状に展開させることができる。
またエアバッグ本体を折り畳む際、膨張室とインフレータ収納部との間を襞状に折り畳むだけで緩衝部を形成することができるため、複雑な折り畳み方法を必要とせずにエアバッグの折り畳みが可能となり、折り畳み時間の短縮によりエアバッグ装置の組み立て作業の能率化が図れるようになる。
本発明のエアバッグの折り畳み方法は、車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグのエアバッグ本体が、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつ、基部側に形成されたインフレータ収納部の左右方向の幅に対し先端側に形成された膨張室の左右方向の幅が大きく形成して構成されている場合における前記エアバッグの折り畳み方法であって、前記エアバッグ本体の前記インフレータ収納部内に、前記インフレータを収納する工程と、前記膨張室を前記エアバッグ本体における前記乗員拘束面側を外側にしてその先端側から基端側へ複数回ロール状に折り畳んでロール状折り畳み部を形成する工程と、前記ロール状折り畳み部より前記インフレータ収納部側における前記膨張室を山折り状に折り畳んで山折り状折り畳み部を形成して前記ロール状折り畳み部に重ねる工程と、前記インフレータ収納部と前記膨張室との間における前記エアバッグ本体の前記乗員拘束面側又は前記車体側面側を襞状に折り畳むことにより、左右方向に長い稜線状の緩衝部を形成する工程と、前記緩衝部を前記ロール状折り畳み部及び前記山折り状折り畳み部に折り重ねて前記ロール状折り畳み部および前記山折り状部と共に折り畳み集積部を形成する工程と、前記インフレータ収納部における前記エアバッグ本体の前記乗員拘束面側の弛み部を前記折り畳み集積部に折り重ね置く工程と、前記折り畳み集積部の両端部を前記弛み部と共に前記エアバッグ本体の車体側面側に蛇腹状に折り畳み蛇腹状折り畳み部を形成する工程とからなるようにしてもよい。
前記方法により、膨張室の両端部における蛇腹状折り畳み部がエアバッグ本体の展開時車体側となる車体側面側に配置されているために、かかる蛇腹状折り畳み部は、インフレータから発生した発生ガスの下流側に位置することになって、当該発生ガスによって蛇腹状折り畳み部の間に存在する緩衝部、山状折り畳み部、ロール状折り畳み部の順に展開した部分が膨張室の両端部の蛇腹状折り畳み部を車体側に押付けることになる。
この結果、エアバッグ本体展開初期時に、上記のように蛇腹状折り畳み部の間に存在する緩衝部、山状折り畳み部及びロール状折り畳み部が、膨張展開して乗員側に突出して乗員保護部を形成することになる。
この時点では、膨張室におけるロール状折り畳み部、山状折り畳み部及び緩衝部の両端部に形成されている蛇腹状折り畳み部の間には、既に膨張室における上記ロール状折り畳み部、山状折り畳み部及び緩衝部が膨張展開して乗員保護部を形成していることから、蛇腹状折り畳み部は、車体側を擦りながら車体両側部側に向かって突出展開することにより、乗員の膝や脚部と干渉することがなく、結果的に、乗員の両脚部を拡げてしまう股開き現象を確実に防止することができる。
また前記方法により、インフレータ収納部におけるエアバッグ本体の車体側面側の弛み部を折り畳み集積部に折り重ね置くことにより、インフレータ収納部の車体側基布の余分な弛み部がエアバッグ本体を車体側に装着するためのリテーナやエアバッグ収納ケースとの間に挟まることを無くすことができる。
更に前記方法により、エアバッグ本体を折り畳む際、膨張室とインフレータ収納部との間を襞状に折り畳むだけで緩衝部を形成することができるため、複雑な折り畳み方法を必要とせずにエアバッグの折り畳みが可能となり、折り畳み時間の短縮によりエアバッグ装置の組み立て作業の能率化が図れるようになり、しかも、車両の衝突時インフレータからエアバッグ本体内に噴出された高圧ガスは、ロール状に折り畳まれた膨張室内に流入する前に、エアバッグ収納部と膨張室との間に形成された緩衝部へ流入して緩衝部を先に展開させるため、緩衝部に形成された基布に弛みが生じて高圧ガスが膨張室内へ流入しやすくなり、結果的に、エアバッグ本体が、従来のものに比して、一層迅速かつ円滑に展開されることになるから、狭小のスペースでも確実にかつ短時間にエアバッグ本体を所定の形状に展開させることができる。
本発明のエアバッグ及びエアバッグの折り畳み方法によれば、高圧ガスがロール状に折り畳まれた膨張室内に流入する前に、エアバッグ収納部と膨張室との間に形成された緩衝部へ流入して緩衝部を先に展開させるため、緩衝部が形成された基布に弛みが生じて高圧ガスが膨張室内へ流入しやすくなり、これによってエアバッグ本体が従来のものに比べて、一層迅速かつ円滑に展開されることから、狭小なスペースでもエアバッグ本体を確実に所定形状に展開させることができる。
本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1はエアバッグ本体を平面状態で展開させて描画した展開図、図2は同膨張、展開した状態の縦断面図、図3ないし図11はエアバッグ本体の折り畳み工程を示す説明図、図12は図11のA−A線に沿う拡大断面図、図13は図11のB−B線に沿う拡大断面図、図14はエアバッグ本体の折り畳みが完了した状態の斜視図である。
図1は、運転席前方に設置して車両が衝突した際、乗員の主として膝付近を保護するエアバッグ装置に使用するエアバッグ本体1を示すもので、ナイロン等の織布を裁断して1枚の基布1aを形成し、この基布1aをほぼ中央(頂部1bとなる)から2つ折りして互いに重ねた状態を示している。
エアバッグ本体1の展開状態では、頂部1b付近が幅方向に細長い長方形状となっていて、長方形部分の左右方向の全幅は乗員の両膝の上方を十分に覆える幅となっており、頂部1bとほぼ平行する底辺部1cは、頂部1bに比べて十分に幅が狭くなっている。
そして長方形部から底辺部1cにかけては、エアバッグ本体1の両側縁が底辺部1c側へ順次幅狭となるようにほぼ逆台形に形成されていて、底辺部1cを除く周辺全体が縫い糸4により縫着されて袋状となっている。
頂部1b側の長方形部内には、上下2段に仕切り壁2、3が設けられていて、これら仕切り壁2、3によりエアバッグ本体1の上部が第1膨張室1dと第2膨張室1eとの2室に区画されている。
仕切り壁2、3は、何れもエアバッグ本体1と同様な織布をほぼ同じ幅の帯状に裁断することにより形成されていて、各仕切り壁2、3の両側縁は、重ねられた状態の基布1aの内面に、縫い糸5により図2に示すように縫着されている。
また図1に示す平面的な展開状態において、エアバッグ本体1の表側の基布1aは、車両が衝突した際に乗員の膝等に当接して乗員を拘束する乗員拘束面1fとなっており、裏側は下側の基布1aは、車両が衝突した際、インストルメントパネルやコラムカバー(何れも図示せず)等の車体側に当接する車体側面1gとなっている。
エアバッグ本体1の上部に設けられた第1、第2膨張室1d、1eを区画する仕切り壁2、3のうち、上側の仕切り壁2には、径の小さい複数の通気孔2aが長手方向にほぼ等間隔で形成されていて、これら通気孔2aより上側の第1膨張室1dに高圧ガスが流入されるようになっている。
そして、第1膨張室1dおよび第2膨張室1eを膨張展開させることによって、乗員を保護する膨張室を構成している。
下側の仕切り壁3には、仕切り壁2側よりやや径の大きい複数の通気孔3aが長手方向にほぼ等間隔で形成されていて、これら通気孔3aより下側の第2膨張室1eへ高圧ガスが流入されるようになっている。
一方、第2膨張室3の下側には、ほぼ逆台形の第3膨張室1hが形成されており、この第3膨張室1hの内側に補強と防炎を兼ねた複数枚の防炎布6と、エアバッグ本体1が所定の形状に展開されるように展開形状を規定する複数のテザーベルト7が設けられている。
防炎布6は、エアバッグ本体1と同様な織布をほぼ長方形状に裁断したもので、底辺の一部に切り欠き6aが形成されており、左右方向の幅は、後述するインフレータ収納部8に収容する棒状のインフレータ10の長さより大きく形成されていて、図2に示すように表裏基布1aの内面に縫い糸9により周囲とほぼ中間部が縫着されている。
テザーベルト7は、仕切り壁2、3の幅とほぼ同じ幅の帯状体により形成されていて、防炎布6の上縁部間に縫い糸9により両端部が縫着されており、防炎布6の左右の幅方向にほぼ等間隔で例えば3個所設けられている。
エアバッグ本体1の膨張時車体側面1gとなる基布1aの防炎布6縫着部には、インフレータ10の外周面より突設された複数の取り付け具10aを挿入するための複数の取り付け孔1jと、取り付け孔1jより径の大きいインフレータ突出口1kが横方向にほぼ一直線状に穿設されていて、この部分の各防炎布6の間にインフレータ収納部8が形成されている。
またエアバッグ本体1の底辺部1cには、底辺部1cを折り畳んだ際取付け孔1jと合致する位置に、複数の取り付け孔1iが穿設されている。
次に前記構成されたエアバッグの折り畳み方法を、図3ないし図11に示す工程図を参照して説明する。
まず第1工程で図3に示すようにエアバッグ本体1を展開させ、底辺部1c側の開口からインフレータ10をエアバッグ本体1内のインフレータ収納部8へ挿入し、インフレータ10の外周面より突設された取り付け具10aを基布1a及び防炎布6に穿設された取り付け孔1jへ嵌挿して、取り付け具10aの先端をエアバッグ本体1の外側へ突出させると共に、インフレータ10の一端側をインフレータ突出口1kよりエアバッグ本体1の外側へ露出させる。
次に第2工程でエアバッグ本体1の底辺部1cを図4に示すように折り畳んで、底辺部1cに穿設された取り付け孔1iを、前工程でエアバッグ本体1の外側に突出された取り付け具10aの先端部に嵌挿する。
そして第3工程でエアバッグ本体1の頂部1b側を、図5に示すように例えば3回ほどロール状に巻いて、第1、第2膨張室1d、1eが重なるように折り畳んだら、第4工程で第1、第2膨張室1d、1eの折り畳み部を図6に示すようにインフレータ収納部8側へスライドさせて、表裏の基布1aを同時に同じ方向へ襞状に折り畳むことにより、左右方向のほぼ全幅に渡って稜線状の緩衝部12を形成する。
その後第5工程で緩衝部12を図7に示すよう第1、第2膨張室1d、1eの折り畳み部上に重なるように折り畳んだら、さらに第6工程でインフレータ収納部8を折り畳んだ第1、第2膨張室1d、1eの裏面側に折り畳んで、図8に示すように上下を反転する。
これによって図9に示すように、エアバッグ本体1全体が基布1aの幅一杯の長さ有する帯状となるので、次に第7工程で図10に示すようにエアバッグ本体1の両端側を中央部側に折り曲げ、さらに第8工程で先端部を外側へ蛇腹状に折り曲げて、図11に示す状態にする。
なおこの状態のA−A断面を図12に、またB−B断面を図13に示す。
以上のようにしてエアバッグ本体1を折り畳んだら、折り畳み形状が崩れないように、エアバッグ本体1の膨張時破断可能な素材、例えば不織布により袋状に形成したプロテクタ13内に図14に示すように収容して、エアバッグ本体1とインフレータ10がユニット化されたエアバッグ装置の組み立てを完了するもので、組み立ての完了したエアバッグ装置は、運転席前方の例えばインストルメントパネル内や、コラムカバーの下方に設置されたケース(図示せず)内に格納し、インフレータ10の取り付け具10aを車体側に固定して使用に供する。
次に車両が衝突した際にエアバッグ本体1が展開される動作について説明すると、車両が衝突した際の衝撃を図示しない衝突センサが感知すると、インフレータ10より高圧ガスがエアバッグ本体1の第3膨張室1h内へ噴出される。
これによってエアバッグ本体1を包装するプロテクタ13が膨張圧により破断されて、まず第3膨張室1hの膨張が開始される。
そして第3膨張室1hへ噴出された高圧ガスは、第3膨張室1hに連続する第2膨張室1eへと向かうが、第3膨張室1hと第2膨張室1eの間には、エアバッグ本体1を折り畳む際に予め稜線状の緩衝部12が形成されているため、高圧ガスは先にこの緩衝部12に流入して、緩衝部12を展開させる。
これによって第1、第2膨張室1d、1eの折り畳み部と第3膨張室1hの間の基布1aに弛みが生じて第2膨張室1eへ高圧ガスが流入しやすくなるため、第2膨張室1eの展開動作が従来のエアバッグに比べて、一層、迅速かつ円滑に展開されるようになる。
その後第2膨張室1eから第1膨張室1dへ高圧ガスが流入して第1膨張室1dの展開動作が行われるが、第2膨張室1eの展開と同じ理由で第1膨張室1dの展開も迅速かつ円滑に行われる。
以上のようにして展開されたエアバッグ本体1は、乗員の膝付近全体を覆い、エアバッグ本体1の乗員拘束面1fが乗員の膝付近に当接し、エアバッグ本体1の車体側面1gが車体側へと当接されて乗員の膝付近を拘束するため、衝突時の衝撃から乗員を確実に保護することができると共に、エアバッグ本体1が従来のものに比べて、一層迅速かつ円滑に展開されることから、ブレーキ操作や慣性により乗員の膝が前方へせり出したために展開するためのスペースが狭小となった場合でも、エアバッグ本体1を所定形状に確実に展開させることができる。
一方図15ないし図30は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、次にこの第2の実施の形態を図面を参照して説明する。
なお第2の実施の形態は前記第1の実施の形態とエアバッグの折り畳み方法およびエアバッグ本体の開口側底辺部に予めほぼT字形のカバーを縫着された点を除き同様な構成をなしているので、エアバッグ本体1の構成は前記第1の実施の形態とほぼ同様のため、同一部分は同一符号を付して、その説明を省略する。
第2の実施の形態になるエアバッグの折り畳み方法を、図15ないし図30に示す工程図を参照して説明すると、まずエアバッグ本体1が膨張展開された際に車体側となる車体側面1gを上に、また乗員側となる乗員拘束面1fを下にして図15に示すようにエアバッグ本体1を平面的に展開させる。
なお図15中16は、エアバッグ本体1の開口側の底辺部1cに予め縫着されたほぼT字形のカバーで、インフレータ突出口1kと合致する位置に同様な口径のインフレータ突出口16aが開口されている。
エアバッグ本体1の平面的展開が完了したら、第1工程で底辺部1c側の開口からインフレータ10をエアバッグ本体1内のインフレータ収納部8へ挿入し、インフレータ10の外周面より突設された取り付け具10aを基布1a及び防炎布6に穿設された取り付け孔1jへ嵌挿して、取り付け具10aの先端を図15に示すようにエアバッグ本体1の外側へ突出させると共に、インフレータ10の一端側をインフレータ突出口1kよりエアバッグ本体1の車体側面1gより外側へ露出させる。
次に第2工程でエアバッグ本体1の底辺部1cを図16に示すように折り畳んで、底辺部1cに穿設された取り付け孔1iに、前工程でエアバッグ本体1の外側に突出された取り付け具10aの先端部を嵌挿し、この状態でエアバッグ本体1の上下面を図17に示すように反転する。
そして第3工程でエアバッグ本体1の頂部1b側を、図18に示すように例えば乗員側に3回ほど蛇腹状に折り畳んで第1、第2膨張室1d、1eがほぼ40mm程度の幅となるように折り重ね、図19に示す状態にする。
第4工程で第1、第2膨張室1d、1eの折り畳み部を図20に示すようにインフレータ収納部8側へスライドさせて表裏の基布1aに襞を形成し、この襞の先端を図21の矢印に示すよう上下方向へ引っ張り上げることにより、左右方向のほぼ全幅に渡って稜線状の緩衝部12を形成する。
その後第5工程で緩衝部12を図23に示すよう第1、第2膨張室1d、1eの折り畳み部上に重なるように折り畳んで図22に示す状態にしたら、さらに第6工程で図25に示すようにインフレータ10の上下面を覆う部分の基布1aを上方へ引張り上げて図24に示す状態にし、第7工程でインフレータ10の上下面を覆う部分の基布1aを上方へ引張り上げたまま、図26に示すようにエアバッグ本体1の両端側を中央部側に折り曲げ、さらに第8工程で先端部を外側へ蛇腹状に折り曲げて、図27に示す状態にする。
なおこの状態のF−F断面を図28に示す。
以上のようにしてエアバッグ本体1を折り畳んだら、折り畳み形状が崩れないように、エアバッグ本体1の膨張時破断可能な素材、例えば不織布によりほぼT字形に形成されたカバー16の各辺部分を図29に示すローマ数字表記の番号順に折り畳んで、カバー16により図30に示すようにエアバッグ本体1を包装することにより、エアバッグ本体1とインフレータ10がユニット化されたエアバッグ装置の組み立てを完了するもので、組み立ての完了したエアバッグ装置は、運転席前方の例えばインストルメントパネル内や、コラムカバーの下方に設置されたケース(図示せず)内に図中上方が乗員側になると共に下方側が車体方向になるように格納し、インフレータ10の取り付け具10aを車体側に固定して使用に供する。
なお車両が衝突した際にエアバッグ本体1が展開される動作については前記第1の実施の形態と同様なので、その説明は省略する。
更に図31ないし図49は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、次にこの第3の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお第3の実施の形態は、前記第2の実施の形態と同様に、前記第1の実施の形態とエアバッグの折り畳み方法およびエアバッグ本体の開口側底辺部に予めほぼT字形のカバーを縫着された点を除き、エアバッグ本体1の構成はほぼ第1の実施の形態と同様のため、同一部分は同一符号を付して、その説明を省略する。
但し、上記2つの実施の形態においては、エアバッグ本体1は、1枚の基布1aをほぼ中央部(頂部1bとなる)から2つ折りにして互いに重ねた状態で袋状に縫製することにより形成しているが、第3の実施の形態では、ほぼ同一形状の二枚の基布1aを互いに重ね合わせて、底辺部1cを除く周辺全体を縫い糸4により縫製して袋状に形成したものを使用しており、織布の裁断歩留まりを向上すべく意図したものである。
図31は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳みためにエアバッグ本体を平面的状態に展開させる第1工程を示す説明図、図32は同様に第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第2工程を示す説明図、図33は同様に第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第3工程を示す説明図、図34は同様に第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第4工程を示す説明図、図35は図34のG−G線に沿う概略断面図、図36は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第5工程を示す説明図、図37は同様に第3の実施の形態になるエアバッグの折り畳みの際の第6工程を示す説明図、図38は図37のH−H線に沿う概略断面図、図39は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第7工程を示す説明図、図40は図39のI−I線に沿う概略断面図、図41は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第8工程を示す説明図、図42は図41のJ−J線に沿う概略断面図、図43は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第9工程を示す説明図、図44は図43のK−K線に沿う概略断面図、図45は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第10工程を示す説明図、図46は本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第11工程を示す説明図、図47は同様に本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第12工程を示す説明図、図48は同様に本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第13工程を示す説明図、図49は同様に本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第14工程を示す説明図である。
第3の実施の形態であるエアバッグの折り畳み方法を、図31ないし図49に示す工程図を参照して説明すると、先ず、第1工程で、エアバッグ本体1が膨張展開された際に車体方向側となる車体側面1gを上に、また乗員方向側となる乗員拘束面1fを下にして、図31に示すようにエアバッグ本体1を平面的に展開させる。この時、図31において明示するように、エアバッグ本体1における頂部1bの両端部は、角丸形状に形成されて、膨張展開時のエアバッグ本体1内のガス圧力が適宜分散するように意図していると共に、折り畳み代を可能な限り少なくなる形状にしてある。
なお図31中16は、エアバッグ本体1の底辺部1cに予め縫着されたほぼT字形のカバーで、インフレータ突出口1kと合致する位置に同様な口径のインフレータ突出口16aが開口されている。
エアバッグ本体1の平面的展開が完了すると、底辺部1c側の開口からインフレータ10をエアバッグ本体1内のインフレータ収納部8へ挿入し、インフレータ10の外周面より突設された取り付け具10aを基布1aおよび防炎布6に穿設された取り付け孔1jへ嵌挿して、取り付け具10aの先端を図31に示すようにエアバッグ本体1のインフレータ収納部8における車体側面1gより外側へ突出させると共に、図示を省略しているがインフレータ10の一端側をインフレータ突出口1kよりエアバッグ本体1の外側へ露出させる。
次に第2工程でエアバッグ本体1のインフレータ収納部8側の底辺部1cをその乗員拘束面1f側が外側になるように図32に示すように折り畳んで、底辺部1cに穿設された取り付け孔1iに、前工程においてエアバッグ本体1の車体側面1gより外側に露出させた取り付け具10aの先端部を嵌挿する。
その後、図33に示す第3工程で、エアバッグ本体1の膨張室1dに隣接する頂部1bの端縁を乗員拘束面1fが外側になるように1回ロール状に基端側に折り畳み、続いて、図34に示す第4工程で、折り畳んだ頂部1bを乗員拘束面1fが外側になるように基端側へ更に1回ロール状に折り畳み、かかる計2回のロール状折り畳みによって、ロール状折り畳み部Vを形成する(図35を参照)。
かかる第4工程においては、図34に示すように、カバー16をエアバッグ本体1の車体側面1gより外側に露出させた取り付け具10aを覆うように反転させている。
次に、図36に示す第5工程で、エアバッグ本体1のロール状折り畳み部Vより基端側における膨張室1eの乗員拘束面1fを1回山折りして、山状折り畳み部Wを形成し、山状折り畳み部Wをロール状折り畳み部Vの上に重ねる(後述の図38の状態を参照)。
次に、図37に示す第6工程で、インフレータ収納部8を膨張室1d、1eに形成されたロール状折り畳み部V側へスライドさせて、インフレータ収納部8と膨張室1d、1eとの間におけるエアバッグ本体1の乗員拘束面1f側を乗員方向側に、および車体側面1g側を車体方向に、それぞれ襞状に折り畳むことによって左右方向のほぼ全幅に渡って長い稜線状の緩衝部12を形成する(図38を参照)。
その後、一方の緩衝部12を、それぞれ膨張室1d、1eに形成されたロール状折り畳み部Vの乗員拘束面1fに重なるように折り畳むと共に、他方の緩衝部12を山状折り畳み部Wの車体側面1gに重なるように折り畳んで、折り畳み集積部Xを形成している。かかる第7工程においては、図39に示すように、エアバッグ本体1を車体方向側となる車体側面1gを下面に、また乗員方向側となる乗員拘束面1fを上面になるように反転させている(図40参照)。
かかる第7工程においては、エアバッグ本体1を、車体方向側となる車体側面1gを上面に、また乗員方向側となる乗員拘束面1fを下面になるように反転させている。
次に、図41に示す第8工程において、エアバッグ本体1のインフレータ収納部8における乗員拘束面1f側に存在する弛み部Yを、山折り状に摘み上げて(図42参照)、図43に示す第9工程において、インフレータ10を90°回転させてから、折り畳み集積部Xに重ね置いている(図44を参照)。
その後、図45に示す第10工程で、エアバッグ本体1を、車体方向側となる車体側面1gを上面に、また乗員方向側となる乗員拘束面1fを下面になるように反転させている。
そして、図46に示す第11工程において、エアバッグ本体1における折り畳み集積部Xの両端部を、弛み部Yと共に、エアバッグ本体1の車体側面側が車体方向側になるように蛇腹状に折り畳んで蛇腹状折り畳み部Zを形成する。
以上のようにしてエアバッグ本体1を折り畳んだ後、折り畳み形状が崩れないように、例えば図46に示すエアバッグ本体1の膨張時破断可能な素材、例えばエアバッグ本体1と同質材料の織布によりT字形に形成されたカバー16のうち、先ず、エアバッグ本体1における車体方向側となる側に長辺部位16bを短辺部位16cと共に図47に示すように折り畳んで、折り畳まれたエアバッグ本体1の蛇腹状折り畳み部Z上に重ねる。
次に、長辺部位16bのエアバッグ本体1からはみ出している両端部を図48に示すようにエアバッグ本体1の乗員方向側となる側に巻込む。この時インフレータ10が長辺部位16bに形成したインフレータ突出口16aから外部に突出している。
そして、次に、短辺部位16cを長辺部位16bに重ねるようにしてエアバッグ本体1の乗員方向側に巻込んでいる(図49参照)。
かかる図49に示す状態において、カバー16は、長辺部位16bおよび短辺部位16cにそれぞれ形成された取付け孔16dを逐次取り付け具10aに嵌入していることから、エアバッグ本体1の折り畳み形状を崩れないように保持して、車両に取り付け可能なエアバッグを構成している。
図49に示すエアバッグは、図中、上面側が車体方向になると共に下面側が乗員方向になるように車両に取り付けられることになる。
かかる構成によって、第3の実施の形態によれば、膨張室1d、1eの両端部における蛇腹状折り畳み部Z、Zがエアバッグ本体1の膨張展開時に車体方向側となる車体側面1g側に配置されているために、かかる蛇腹状折り畳み部Z、Zは、インフレータ10から発生した発生ガスの下流側に位置することになる。当該発生ガスによって蛇腹状折り畳み部Z,Zの間に存在する緩衝部12、山状折り畳み部W、ロール状折り畳み部Vの順に展開し、かかる展開した部分が膨張室1d、1eの両端部の蛇腹状折り畳み部Z、Zを車体側に押付けることになる。
この結果、エアバッグ本体1の展開初期時に、上記のように蛇腹状折り畳み部Z,Z間に存在する緩衝部12、山状折り畳み部W及びロール状折り畳み部Vが、膨張展開して乗員方向側に突出して乗員保護部を形成することになる。
この時点では、膨張室1d、1eにおけるロール状折り畳み部V、山状折り畳み部W、緩衝部12の両端部に形成されている蛇腹状折り畳み部Z、Zの間には、既に膨張室1d、1eにおける上記ロール状折り畳み部Vなどが膨張展開して乗員保護部を形成していることから、蛇腹状折り畳み部Z、Zは、車体側を擦りながら車体両側部側に向かって突出展開することになり、乗員の膝や脚部と干渉することがなく、結果的に乗員の両脚部を拡げてしまう股開き現象を確実に防止することができる。
また、第3の実施の形態によれば、インフレータ収納部8におけるエアバッグ本体1の車体側面側の弛み部Yを折り畳み集積部Xの上に折り重ね置くことにより、インフレータ収納部8の車体方向側基布の余分な弛み部がエアバッグ本体1を車体に装着するためのリテーナやエアバッグ収納ケース(いずれも図示せず)との間に挟まることを無くすことができる。
更に、第3の実施の形態によれば、エアバッグ本体1を折り畳む際、膨張室1d、1eとインフレータ収納部8との間を襞状に折り畳むだけで緩衝部12を形成することができるため、複雑な折り畳み方法を必要とせずにエアバッグの折り畳みが可能となり、折り畳み時間の短縮によりエアバッグ装置の組み立て作業の能率化が図れるようになる。
しかも、車両の衝突時インフレータ10からエアバッグ本体1内に噴出された高圧ガスは、膨張室1d、1eのロール状折り畳み部V内に流入する前に、インフレータ収納部8と膨張室1d、1eとの間に形成された緩衝部12へ流入して緩衝部12を先に展開させるため、緩衝部12に形成された基布1aに弛みが生じて高圧ガスが膨張室1d、1e内へ流入しやすくなる。
この結果、エアバッグ本体1が、従来のものに比して、一層迅速かつ円滑に展開されることになるから、狭小のスペースでも確実にかつ短時間にエアバッグ本体1を所定の形状に展開させることができる。
また上記いずれの実施の形態では、運転席の前方にエアバッグ装置を設置して、乗員の膝付近を保護するエアバッグに適用した例について説明したが、狭小なスペースにエアバッグを瞬時に展開させる必要があるエアバッグ装置全般に適用できるものである。
本発明のエアバッグ装置は、緩衝部が形成された基布に弛みが生じて膨張室内へ高圧ガスが流入しやすくなり、これによってエアバッグ本体を一層迅速かつ円滑に展開させることができることから、狭小なスペースでもエアバッグ本体を確実に所定形状に展開させることが必要なエアバッグ装置に最適である。
本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を平面状態で展開させて描画した展開図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグを膨張、展開した状態の縦断面図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第1工程を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第2工程を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第3工程を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第4工程を示す説明図である 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第5工程を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第6工程を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第7工程を示す説明図である。 本発明の実第1の施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第8工程を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第9工程を示す説明図である。 図11のA−A線に沿う拡大断面図である。 図11のB−B線に沿う拡大断面図である。 本発明の第1の実施の形態になるエアバッグ本体の折り畳みが完了した状態の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を平面状態で展開させて描画した展開図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第1工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第2工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第3工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第4工程を示す説明図である 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第5工程を示す説明図である。 図20のC−C線に沿う概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第6工程を示す説明図である。 図22のD−D線に沿う概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第7工程を示す説明図である。 図24のE−E線に沿う概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第8工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第9工程を示す説明図である。 図27のF−F線に沿う概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第8工程を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態になるエアバッグ本体を折り畳む際の第9工程を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳みためにエアバッグ本体を平面的状態に展開する第1の工程を示す説明図である。 同様に第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第2工程を示す説明図である。 同様に第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第3工程を示す説明図である。 同様に第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第4工程を示す説明図である。 図34のG−G線に沿う概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第5工程を示す説明図である。 同様に第3の実施の形態になるエアバッグの折り畳みの際の第6工程を示す説明図である。 図37のH−H線に沿う概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第7工程を示す説明図である。 図39のI−I線に沿う概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第8工程を示す説明図である。 図41のJ−J線に沿う概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第9工程を示す説明図である。 図43のK−K線に沿う概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第10工程を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第11工程を示す説明図である。 同様に本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第12工程を示す説明図である。 同様に本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第13工程を示す説明図である。 同様に本発明の第3の実施の形態になるエアバッグを折り畳む際の第14工程を示す説明図である。
符号の説明
1 エアバッグ本体
1a 基布
1d 第1膨張室
1e 第2膨張室
1f 乗員拘束面
1e 車体側面
2 仕切り壁
2a 通気孔
3 仕切り壁
3a 通気孔
6 防炎布
7 テザーベルト
8 インフレータ収納部
10 インフレータ
12 緩衝部
V ロール状折り畳み部
W 山状折り畳み部
X 折り畳み集積部
Y 弛み部
Z 蛇腹状折り畳み部

Claims (5)

  1. 車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグであって、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつインフレータが収容された基部側のインフレータ収納部の左右方向の幅に対し、膨張室が形成された先端側の左右方向の幅が大きく形成されたエアバッグ本体と、前記エアバッグ本体を先端側から折り畳む際に、前記膨張室と前記インフレータ収納部との間を、左右方向に長い稜線状となるよう襞状に折り畳むことにより形成された緩衝部とを具備し、車両の衝突時前記インフレータより前記エアバッグ本体内に噴出される高圧ガスが前記膨張室に流入する前に前記緩衝部を展開させて、高圧ガスが前記膨張室へ流入しやすくしたことを特徴とするエアバッグ。
  2. 前記膨張室内を、通気孔を有する仕切り壁により複数の膨張室に区画してなる請求項1に記載のエアバッグ。
  3. 車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグのエアバッグ本体が、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつ、基部側に形成されたインフレータ収納部の左右方向の幅に対し先端側に形成された膨張室の左右方向の幅が大きく形成して構成されている場合における前記エアバッグの折り畳み方法であって、
    前記エアバッグ本体の前記インフレータ収納部内に、前記インフレータを収納する工程と、前記膨張室を前記エアバッグ本体の先端側から基端側へロール状に折り畳む工程と、前記インフレータ収納部を折り畳まれた前記膨張室側へスライドさせて、前記インフレータ収納部と前記膨張室との間を襞状に折り畳むことにより、左右方向に長い稜線状の緩衝部を形成する工程と、前記緩衝部を前記膨張室の上側に折り重ねる工程と、前記インフレータ収納部を前記緩衝部上に折り重ねる工程と、前記膨張室の両端部を蛇腹状に折り畳む工程とを具備することを特徴とするエアバッグの折り畳み方法。
  4. 車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグのエアバッグ本体が、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつ、基部側に形成されたインフレータ収納部の左右方向の幅に対し先端側に形成された膨張室の左右方向の幅が大きく形成して構成されている場合における前記エアバッグの折り畳み方法であって、
    前記エアバッグ本体の前記インフレータ収納部内に、前記インフレータを収納する工程と、前記膨張室を前記エアバッグ本体の先端側から基端側へ蛇腹状に折り畳む工程と、前記インフレータ収納部を折り畳まれた前記膨張室側へスライドさせて、前記インフレータ収納部と前記膨張室との間を襞状に折り畳むことにより、左右方向に長い稜線状の緩衝部を形成する工程と、前記緩衝部を前記膨張室の上側に折り重ねる工程と、前記インフレータ収納部を前記緩衝部上に折り重ねる工程と、前記膨張室の両端部をさらに蛇腹状に折り畳む工程とを具備することを特徴とするエアバッグの折り畳み方法。
  5. 車両が衝突した際に乗員を保護するエアバッグのエアバッグ本体が、展開時乗員側となる乗員拘束面と、展開時車体側となる車体側面とを有し、かつ、基部側に形成されたインフレータ収納部の左右方向の幅に対し先端側に形成された膨張室の左右方向の幅が大きく形成して構成されている場合における前記エアバッグの折り畳み方法であって、
    前記エアバッグ本体の前記インフレータ収納部内に、前記インフレータを収納する工程と、
    前記膨張室を前記エアバッグ本体における前記乗員拘束面側を外側にしてその先端側から基端側へ複数回ロール状に折り畳んでロール状折り畳み部を形成する工程と、
    前記ロール状折り畳み部より前記インフレータ収納部側における前記膨張室を山折り状に折り畳んで山折り状折り畳み部を形成して前記ロール状折り畳み部に重ねる工程と、
    前記インフレータ収納部と前記膨張室との間における前記エアバッグ本体の前記乗員拘束面側又は前記車体側面側を襞状に折り畳むことにより、左右方向に長い稜線状の緩衝部を形成する工程と、
    前記緩衝部を前記ロール状折り畳み部及び前記山折り状折り畳み部に折り重ねて前記ロール状折り畳み部および前記山折り状部と共に折り畳み集積部を形成する工程と、
    前記インフレータ収納部における前記エアバッグ本体の前記乗員拘束面側の弛み部を前記折り畳み集積部に折り重ね置く工程と、
    前記折り畳み集積部の両端部を前記弛み部と共に前記エアバッグ本体の車体側面側に蛇腹状に折り畳み蛇腹状折り畳み部を形成する工程とを具備することを特徴とするエアバッグの折り畳み方法。
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