以下、本発明の第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置を図面に基づいて説明すると、図1に示すように、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置9は、助手席の前方のインストルメントパネル(適宜、インパネと略す)6の下部側、詳しくは、インパネ6の下部側に配設されたグラブボックス7の下方に、搭載されている。グラブボックス7は、ボックス本体7aと、ボックス本体7aの後方を塞ぐドア部7bと、を備え、ドア部7bは、上縁側を後方に回転させるように開き可能として配設されている。さらに、グラブボックス7の下方には、アンダーカバー8が配設されて、アンダーカバー8の開口8aに、エアバッグ装置9における後述するエアバッグカバー30の扉配設壁部31を配設させて、エアバッグ装置9が、助手席の前方の下方側に、搭載されている。
なお、本明細書での前後、上下、及び、左右の各方向は、車両搭載状態の方向に略対応するもので、図1~4に示すように、後述する取付ベース20の略長方形形状の本体部21における長尺方向を左右の方向とし、短尺方向を前後の方向として、本体部21の直交方向を上下の方向として、説明する。
エアバッグ装置9は、膨張時の後述するエアバッグ10を、搭載部位から下方側に向いて突出させた後、後上方に展開させる構成の所謂「ボトムタイプ」の膝保護用エアバッグ装置9である。そして、エアバッグ装置9は、図1~4に示すように、折り畳まれて収納される膝保護用のエアバッグ10と、エアバッグ10に膨張用ガスGを供給するインフレーター14と、折り畳まれて収納されたエアバッグ10を覆い、かつ、膨張用ガスGを流入させたエアバッグ10に押されて開く扉部32を有したエアバッグカバー30と、エアバッグ10、インフレーター14、及び、エアバッグカバー30、を保持して、車体側部材としてのボディ1側のブラケット2に連結される取付ベース20と、を備えて構成されている。
エアバッグ10は、内部にインフレーター14を収納した状態で折り畳まれて、エアバッグカバー30からなるバッグカバー体29に包まれる構成としている。エアバッグ10には、インフレーター14から突出するボルトからなる取付具17を貫通させる二つの取付孔11,11が、配設されている。
インフレーター14は、略円柱状として、先端に、膨張用ガスGを吐出する複数のガス吐出口15を配設させて構成されている。そして、既述したように、インフレーター14は、上方へ突出するボルトからなる取付具17を、2本突設させている。
なお、第1実施形態のインフレーター14は、外周面から、直接、2本の取付具17を突設させているが、インフレーターとしては、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口を有した略円柱状のインフレーター本体と、インフレーター本体を覆う略円筒状のリテーナと、から構成されるものがあり、その場合には、リテーナから取付具を突設させてもよい。ちなみに、このような構成では、取付具を突出させた状態で、リテーナをエアバッグ内に収納し、折り畳んだエアバッグに対し、所定のエアバッグの挿通孔を経て、リテーナ内にインフレーター本体を組み付けることとなる。
そして、第1実施形態の取付ベース20は、鋼板等の板金製として、略長方形板状の本体部21を備え、本体部21の左右両端には、車両のボディ1側から延びるブラケット2に取付固定される取付ブラケット部24(L,R)が配設されて構成されている。
本体部21は、左右方向に延びる上壁部22と、上壁部22の前縁22aから下方に延びる側壁部23と、を備えた断面L字形としている。上壁部22には、取付具17を貫通させる貫通孔22bが形成されている。また、上壁部22は、エアバッグカバー30としての略四角筒形状のバッグカバー体29の上横壁部29aの前後方向の幅寸法より、短く構成されている。さらに、側壁部23は、後述するエアバッグカバー30の前側壁部38Fの外周面38aにおける少なくとも上端38b側を支持できるように、前側壁部38Fの全長の長さ寸法より短く構成されている。
取付ブラケット部24(L,R)は、上壁部22の左右両縁に溶着等により結合されて、取付孔24aが貫通されている。そして、各取付ブラケット部24(L,R)は、取付孔24aを貫通するボルト3(図1,4の二点鎖線参照)をボディ1側のブラケット2にナット4止めすることにより、エアバッグ装置9をグラブボックス7の下方における助手席の前下側に搭載することとなる。
エアバッグカバー30は、不織布製のシート材50から形成されている。実施形態の不織布は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の短繊維同士を、接着剤や低融点繊維により接合させたり、あるいは、絡み合わせたりして、形成されている。
また、第1実施形態のエアバッグカバー30は、左右方向に延びるエアバッグ10を囲む略四角筒形状のバッグカバー体29、から構成されている。略四角筒形状のバッグカバー体29は、折り畳まれたエアバッグ10の全体を収納可能な箱形状の収納凹部43を形成するものであり、上下で対向する上横壁部29aと下横壁部29bとを備えるとともに、上横壁部29aと下横壁部29bとの前後の縁相互を連結して、前後で対向する前縦壁部29cと後縦壁部29dとを備えて構成されている。
そして、エアバッグカバー30は、下横壁部29bを構成する部位を、折り畳まれたエアバッグ10の下方側を覆う扉配設壁部31とし、扉配設壁部31の前後の縁から上方に延びて取付ベース20に連結される部位を、連結壁部37(F,B)としている。第1実施形態の連結壁部37(F,B)では、前縦壁部29cと後縦壁部29dとを備え、さらに、上横壁部29aを構成する部位と、を備えて構成されている。そして、第1実施形態の場合、前縦壁部29cと後縦壁部29dとを構成する部位を、前後の側壁部38(F,B)とし、上横壁部29aを構成する部位を、天井壁部41として、さらに、天井壁部41は、実施形態の場合、天井構成壁部42(U,D)を重ねた部位としている。
扉配設壁部31は、エアバッグ10の膨張時に押し開かれて、突出用開口35を形成する扉部32を備え、扉部32は、前縁側の扉配設壁部31と前側壁部38Fとの交差する屈曲部36Fを、開き時の回転中心となるヒンジ部34とし、後縁側に、押し開き時に破断する破断予定部33を配設させている。破断予定部33は、シート材50に対してプレス加工によって形成されるもので、左右方向に沿って断続的に、不織布の繊維を切断した切断部位33bを形成して、構成されている。また、この破断予定部33は、切断部位33bに応力集中しやすいように、左右方向に沿った凹溝33aを設けて、その凹溝33aに、切断部位33bを形成して、構成されている。
扉配設壁部31における前後の前側壁部38Fと後側壁部38Bとの交差する屈曲部36F,36Bは、シート材50に対してプレス加工によって形成された屈曲用の凹溝36aを設け、凹溝36aの部位を、凹溝36aの両側の壁部相互(壁部31,38F相互、壁部31,38B相互)を接近(略直交交差)させるように、屈曲させて、形成されている。
相互に重なる天井構成壁部42U,42Dは、取付具17を貫通させる挿通孔42aを配設させている。挿通孔42aは、シート材50をプレス加工する際、同時に、孔開け加工されて形成されている。また、天井構成壁部42U,42Dにおける前後の側壁部38F,38Bと交差する屈曲部40F,40Bも、シート材50をプレス加工して、屈曲用の凹溝40aを形成し、その凹溝40aの部位を、凹溝40aの両側の壁部相互(壁部42D,38F相互、壁部42U,38B相互)を接近(略直交交差)させるように、屈曲させて、形成されている。
なお、相互に重なる天井構成壁部42U,42Dは、挿通孔42aに取付具17を挿通させて、挿通孔42a周縁を取付具17に係止させることにより、相互に重なるように連結されることとなる。
シート材50からエアバッグカバー30を形成する工程は、図5のA,Bに示すように、ロール巻きされた不織布素材49を平らに展開し、そして、プレス加工により、シート材50をカットして取り出すとともに、その際、凹溝33a,36a,40a、切断部位33b、及び、挿通孔42aを形成する。
なお、第1実施形態の場合、プレス加工時、厚さ寸法t0を厚さ寸法t1とするように、シート材50を薄くするように圧縮させて、圧縮部45を形成するとともに、圧縮しない非圧縮部46を形成している。実施形態の場合、天井構成壁部42U,42Dと前側壁部38Fとを圧縮部45とし、他の扉配設壁部31と後側壁部38Bとを非圧縮部46としている。そして、凹溝33a等を形成したシート材50では、図6のA,Bに示すように、凹溝36a,40aの部位を折り曲げれば、略四角筒形状のバッグカバー体29としてのエアバッグカバー30を形成することができる。
また、第1実施形態では、凹溝36a,40aの部位を折り曲げる際、凹溝36a,40aを設けた側を内側とするように、曲げているが、凹溝36a,40aを設けた逆側の面を内側とするように、曲げてもよい。
さらに、シート材50を形成する不織布(不織布素材)49は、つぎのような物性としている。
目付けは、小さすぎては、撓み易くなって、屈曲部36(F,B),40(F,B)を間にする壁部31,38,42の形状保持性を確保し難く、また、大きすぎては、剛性が高くなりすぎて、屈曲部36(F,B),40(F,B)を折り曲げて形成し難くなることから、200~1500g/m2の範囲内、望ましくは、400~800g/m2の範囲内の600g/m2としている。
引張り破断強度は、小さすぎては、エアバッグ10の膨張時に、破断予定部33以外、例えば、屈曲部36等での破断を招く虞れがあり、また、大きすぎても、破断予定部33の円滑な破断を阻害して、他の部位での破断を招く虞れが生ずることから、100~3000N/5cmの範囲内、望ましくは、300~1500N/5cmの範囲内の530N/5cmとしている。なお、既述の引張り破断強度としては、シート材の縦方向と横方向とで強度が異なる場合、低い側の引張り破断強度を基準とし、通常、縦方向側が基準となり、上記の場合も、強度の低い縦方向側の引張り破断強度として、記載している。
第1実施形態のエアバッグ装置9の組立作業を説明すると、まず、取付具17を突出させるように、エアバッグ10内にインフレーター14を収納しておき、そして、エアバッグ10を折り畳んで、折畳体12を形成するとともに、その折畳体12の底面12aに、エアバッグカバー30の扉配設壁部31を当て、ついで、屈曲部36F,36Bを曲げつつ、前後の側壁部38F,38Bを折畳体12の前後の側面12b,12cに当て、さらに、屈曲部40F,40Bを曲げ、かつ、取付具17を挿通孔42aに挿通させつつ、エアバッグカバー30の天井構成壁部42U,42Dを、折畳体12の天井面12d側に載せて、相互に重ねて連結させれば、エアバッグカバー30からなるバッグカバー体29が、エアバッグ10を折り畳んだ折畳体12を、エアバッグ10の折り崩れを防止して、包むことができる。その後、各取付具17を取付ベース20の貫通孔22bに挿通させて、各取付具17にナット18を締結すれば、エアバッグ装置9を組み立てることができる。そして、エアバッグ装置9を組み立てた後には、インフレーター14から延びる図示しない作動用信号線を所定のコネクタに結線するとともに、取付ベース20の取付ブラケット部24(L,R)を、ボルト3とナット4とを利用して、ボディ1側のブラケット2に取り付ければ、エアバッグ装置9を、グラブボックス7の下方の所定の搭載部位に搭載することができる。
エアバッグ装置9の搭載後、インフレーター14が作動すれば、ガス吐出口15から膨張用ガスGが吐出され、エアバッグ10が、展開膨張し、エアバッグカバー30の破断予定部33を破断させて、扉部32を押し開いて突出用開口35を形成し、その突出用開口35を経て、助手席の乗員の膝の前方側に、配置させることとなる。
そして、第1実施形態のエアバッグ装置9では、エアバッグカバー30が、不織布からなるシート材50に、プレス加工して、屈曲させる屈曲部36,40用の凹溝36a,40aを設けておき、そして、凹溝36a,40aを利用して、プレス加工したシート材50を折り曲げて、所定の屈曲部36,40を設ければ、突出用開口35を形成可能な扉部32を有した扉配設壁部31と、扉配設壁部31の前後両縁から上方に延びる連結壁部37と、を備えて、エアバッグ10を収納可能な箱形状の収納凹部43を設けたエアバッグカバー30を形成でき、ついで、エアバッグカバー30を取付ベース20側に組み付ければ、エアバッグ装置9を組み立てることができる。そして、エアバッグカバー30は、単に、不織布からなるシート材50に、プレス加工により、凹溝36a,40aを形成すれば、後は、単に、折り曲げるだけで、エアバッグ10を収納可能な箱形状の収納凹部43を、形成できて、型成形等を利用しなくともよく、さらに、インフレーター14を組み付けた状態でプレス加工する訳では無いことから、インフレーター14への熱の影響も無く、簡便に、エアバッグカバー30を形成することができる。さらに、エアバッグカバー30が、不織布から形成されて、外観意匠を良好としていなくとも、エアバッグ装置9の搭載部位が、助手席の前下方に搭載されて、膨張時のエアバッグ10が、搭載部位から下方側に向いて突出した後、後上方に展開する構成とした、所謂、ボトムタイプの膝保護用エアバッグ装置9に使用されて、エアバッグカバー30の扉配設壁部31が、フロア近傍で下向きに配設されることから、乗員に目視され難く、座席前方の室内側の意匠性を阻害せず、塗装等の表面処理を行なわなくとも、車両に搭載できる。
したがって、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置9では、エアバッグカバー30を簡便に形成できて、製造工数・コストを低減することができる。さらに、エアバッグカバー30が、不織布から形成されていても、乗員の視線に曝され難い部位への搭載となることから、意匠性を向上させるための塗装等の表面処理も不要として、そのまま、エアバッグ装置9の構成部品として、支障なく使用することができる。さらに、エアバッグカバー30が不織布から形成されていることから、合成樹脂製のものと異なり、扉配設壁部31の扉部32が突出用開口35を形成するように押し開かれても、その周縁が割れて飛散する虞れが無く、また、乗員の足が衝突しても、割れ等が発生する虞れも生じ難いことから、好適に、エアバッグ装置9の構成部品として、使用できる。
そして、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置9では、エアバッグカバー30における扉配設壁部31の扉部32が、膨張するエアバッグ10に押された際に、周縁の破断予定部33を破断させて開く構成とされ、破断予定部33が、凹溝36a,40aとともに、シート材50をプレス加工する際に形成されて、シート材50に対して不織布の繊維の切断部位33bを断続的に設けて、形成されている。
そのため、第1実施形態のエアバッグ装置9では、エアバッグ10の膨張時に、扉配設壁部31の扉部32が、周縁の破断予定部33を破断させて、突出用開口35を形成するように、開く。そして、このようなエアバッグカバー30では、エアバッグカバー形成用の不織布からなるシート材50に、プレス加工して、屈曲部用の凹溝36a,40aを設けると同時に、破断予定部33用に、単に、繊維の切断部位33bを断続的に設ければ、簡便に、エアバッグ10の突出用開口35を形成可能な扉部32を、扉配設壁部31に配設することができる。
そして、第1実施形態では、エアバッグカバー30の連結壁部37(F,B)が、扉配設壁部31の前後の縁から上方に延びる側壁部38F,38と、側壁部38F,38Bの上端38bから、屈曲用の凹溝36a,40aを屈曲させてなる屈曲部36,40、を経て相互に重なって連結される天井構成壁部42U,42Dを備えて、エアバッグカバー30が、扉配設壁部31、前後の側壁部38F,38B、及び、相互に連結される天井構成壁部42U,42D、により、左右方向に延びる略四角筒形状として、折り畳まれたエアバッグ10の前後と上下との周囲の全周、すなわち、エアバッグ10の折畳体12の底面12a、前後の側面12b,12c、及び、天井面12dの全周を覆ってエアバッグ10を収納する箱形状の収納凹部43を形成するバッグカバー体29、を構成している。
そのため、第1実施形態では、エアバッグカバー30が、折り畳んだエアバッグ10を包むバッグカバー体29として、使用できることから、折り畳んだエアバッグ10の折りの崩れを防止するラッピング材を、別途、使用しなくともよく、エアバッグ装置9の構成部品点数と組付工数とを低減することができる。
この場合、第1実施形態では、インフレーター14が、折り畳まれたエアバッグ10内に収納されるとともに、折り畳まれたエアバッグ10から突出して、取付ベース20に締結するための取付具17を備え、相互に連結される天井構成壁部42U,42Dが、取付具17を挿通させる挿通孔42aを備えるとともに、挿通孔42aを挿通させた取付具17に係止されて、相互に連結される構成としている。
そのため、第1実施形態では、折り畳まれたエアバッグ10をエアバッグカバー30で包んで、取付具17にエアバッグカバー30の天井構成壁部42U,42Dを係止させておけば、エアバッグカバー30が、折り畳んだエアバッグ10を包んだ状態での略直方体形状を、バラけること無く維持できて、その後のエアバッグ装置9の取付ベース20への組付作業等が容易となる。
さらに、第1実施形態では、エアバッグカバー30が、厚さ寸法を薄くするようにシート材50を圧縮した圧縮部45と、圧縮しない非圧縮部46と、を備えて構成され、扉配設壁部31、前後の側壁部38F,38B、及び、相互に連結される天井構成壁部42U,42Dのうち、少なくとも、天井構成壁部42U,42Dが、圧縮部45から形成されている。なお、第1実施形態では、前側壁部38Fも、圧縮部45から形成されている。
そのため、第1実施形態では、天井構成壁部42U,42Dが、不織布の繊維を圧縮させて引き裂き強度を向上させた圧縮部45から形成されており、膨張するエアバッグ10によってエアバッグカバー30の各壁部31,38,42が押圧されて、エアバッグカバー30における天井構成壁部42U.42Dの取付具17を挿通させた挿通孔42a周縁に、強い引張力が作用しても、挿通孔42a周縁が破断せず、安定して、天井構成壁部42U,42Dを取付ベース20側に組み付けておくことができる。
なお、シート材50の圧縮部45の厚さ寸法t1は、薄くなりすぎては、曲げ剛性が低下し、厚すぎれば、引き裂き強度の向上が望めないことから、非圧縮部46の厚さ寸法t0の20~40%程度とすることが望ましい(実施形態では、20%程度としている)。
また、不織布から形成するエアバッグカバーとしては、折り畳んだエアバッグの周囲の全周を覆う構成としなくとも、エアバッグ10の一部を収納する断面U字状の箱形状の収納凹部43Aを形成した図8,9に示すエアバッグカバー30A、のように構成してもよい。
このエアバッグカバー30Aは、周縁に破断予定部33を設けた扉部32を配置させて、折り畳まれたエアバッグ10の下方側を覆う扉配設壁部31と、扉配設壁部31の前後両縁から屈曲部36F,36Bを経て上方側に延び、折り畳まれたエアバッグ10の前後を覆う連結壁部37A(F,B)としての側壁部39(F,B)と、を備えて構成されるとともに、不織布からなるシート材50Aから形成される構成としている。
そして、このエアバッグカバー30Aでも、実施形態と同様に、屈曲部36F,36Bが、シート材50Aに対してプレス加工によって形成された屈曲用の凹溝36aの部位を、凹溝36aの両側の壁部相互(壁部31,39F相互、壁部31,39B相互)を接近(略直交交差)させるように、屈曲させて、形成され、また、破断予定部33が、シート材50Aに対してプレス加工によって形成された不織布の繊維の切断部位33bを断続的に設けて、形成されている。さらに、図例の破断予定部33には、切断部位33bに応力集中し易いように、凹溝33aも形成されている。
なお、このシート材50Aも、実施形態のシート材50と同様に、短繊維を使用した不織布(不織布素材)49を、プレス加工して、所定形状に裁断するとともに、凹溝33a,36aや切断部位33bを形成し、さらに、側壁部39F,39Bの部位に、複数の係止孔39aを孔開け加工している。側壁部39F,39Bの係止孔39aには、取付ベース20Aの上壁部22Aの前後の縁から下方へ延びる側壁部23Aに形成された係止フック23aが、挿入され、係止フック23aが、係止孔39aの周縁を係止して、エアバッグカバー30Aが取付ベース20Aに保持されることとなる。
エアバッグカバー30Aを組み付けてなるエアバッグ装置9Aは、取付ベース20Aが、板金製として、本体部21Aと取付ブラケット部24とを備えて構成されるものの、本体部21Aの上壁部22Aが、前後の幅寸法を広くして、前後の両縁から下方に延びてエアバッグカバー30の側壁部39F,39Bの前後を覆う側壁部23Aを備え、各側壁部23Aに、既述したように、係止孔39aに係止させる係止フック23aを配設させている点が、第1実施形態の取付ベース20と異なっている。そして、エアバッグカバー30Aが、既述したように、扉配設壁部31と連結壁部37A(F,B)としての側壁部39F,39Bとだけを備えて、側壁部39F,39Bに、取付ベース20Aの係止フック23aに係止させる係止孔39aを配設させている点が異なっている。インフレーター14とエアバッグ10は、実施形態と同様であり、折り畳まれたエアバッグ10から突出する取付具17を、取付ベース20Aの上壁部22Aを貫通孔22bから突出させて、ナット18を締結することにより、取付ベース20Aに保持される構成としている。
そして、このエアバッグ装置9Aでも、実施形態と同様に、エアバッグカバー30Aが、不織布からなるシート材50Aを、プレス加工して、図8のA,Bに示すように、屈曲させる屈曲部36用の凹溝36aを設けたり、あるいは、膨張するエアバッグ10に押されて開く扉部32周縁の破断予定部33用に、繊維の切断部位33bを断続的に設けておき、そして、凹溝36aを利用して、プレス加工したシート材50Aを折り曲げて、所定の屈曲部36F,36Bを設ければ、破断予定部33を設けた扉配設壁部31と、扉配設壁部31の前後両縁から上方に延びる連結壁部37AF,37ABとしての側壁部39F.39Bと、を備えたエアバッグカバー30Aを形成でき、ついで、エアバッグカバー30Aを取付ベース20A側に組み付ければ、エアバッグ装置9Aを組み立てることができる。そして、エアバッグカバー30Aは、単に、不織布からなるシート材50を、プレス加工により、凹溝36aや切断部位33bを形成すれば、後は、単に、折り曲げるだけで形成できて、型成形等を利用しなくともよいことから、簡便に、エアバッグカバー30Aを形成することができて、第1実施形態のエアバッグ装置9と同様な作用・効果を得ることができる。
但し、エアバッグ装置9Aでは、エアバッグカバー30Aの前後の側壁部38(F,B)の上部側を、取付ベース20Aの側壁部23Aが覆う構成としているのに対し、エアバッグ装置9では、図4に示すように、エアバッグカバー30の側壁部38(F,B)におけるエアバッグ10の展開する後方側の側壁部38Bが、上下方向の全域を、取付ベース20の側壁部23に覆われない構成としていることから、エアバッグ10の展開膨張時における扉部32の開き時、扉配設壁部31における破断予定部33から屈曲部36Bまでの後縁部33dとともに、側壁部38Bの下端側が、後方側へ撓み、エアバッグ10の突出用開口35を広げることができて、エアバッグ10を迅速に展開膨張させることができる。
なお、第1実施形態のエアバッグカバー30では、屈曲部が、折り曲げ易いように、凹溝を設けて折り曲げているが、所望位置の屈曲部の強度を上げるように、図10に示すエアバッグカバー30Cに示すように、構成してもよい。すなわち、このエアバッグカバー30Cでは、屈曲部40(B)に、シート材のプレス加工時に、凹溝40aと直交する方向として、内側から外側に突出する凸状を設けてなる所定数(図例では3個)のビード47、を配設させて構成されている。
このエアバッグカバー30Cでは、ビード47により、屈曲部40を補強できて、屈曲部40(B)を間にした壁部42U,38B相互の交差角を安定して維持できて、エアバッグカバー30の内側における折り畳んだエアバッグ10を収納する箱形状の収納凹部43C内の収納スペース29f、を安定して確保でき、そして、収納スペース29fに収納したエアバッグ10の折畳形状を安定させることができる。その結果、例えば、乗員の足等が屈曲部40(B)付近の側壁部38Bに当たっても、エアバッグカバー30Cが変形し難く、エアバッグカバー30C内の収納スペース29fに収納されたエアバッグ10は、折畳形状を一定に維持できて、その後の膨張時のエアバッグの展開挙動を、安定させることに寄与できる。
また、エアバッグ10の折畳体12としては、エアバッグ装置9では、図12のA,B,Cに示すように、エアバッグ10を平らに展開した状態の先端10a側から巻くように、ロール折りし、そして、ロール折りした左右の両端10b,10cを中央側に接近させるように折り畳んで、形成しているが、図11に示すエアバッグ装置9Eの折畳体12Eのように、構成してもよい。この折畳体12Eは、図12のA,Bに示すように、エアバッグ10を平らに展開した状態の先端10a側から巻くように、ロール折りして、左右両端10b,10c側を折り返さないようにしたものであり、実施形態の折畳体12より、左右方向の長さ寸法を長くし、かつ、断面形状を細くしている。
この折畳体12Eを覆うエアバッグカバー30E(バッグカバー体29E)は、図11に示すように、細長くした折畳体12Eに対応するように、エアバッグカバー30を細長くした形状としており、エアバッグカバー30(バッグカバー体29)と同様の部位には、同じ符号を付けて、説明を省略する。
また、取付ベース20Eとしては、本体部21Eの上壁部22Eが、前縁側に側壁部23Eを設けて、後端側を、バッグカバー体29Eの上横壁部29aより、後方へ延ばす形状とし、そして、上面側に、車体側部材に取り付けるための取付孔24aを有した断面L字形の取付ブラケット24E(L,R)を設けて構成されている。
エアバッグ装置9Eとしては、上記のように、構成してもよく、このように構成したエアバッグ装置9Eでは、上下方向の高さ寸法を低く抑えることができることから、上下方向のスペースを狭くしている部位に、好適に搭載することができる。
つぎに、図13に示す第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置9Gについて説明すると、このエアバッグ装置9Gは、第1実施形態と同様なエアバッグ10、インフレーター14、及び、取付ベース20を備えて構成されて、エアバッグカバー30Gが、つぎのように、第1実施形態のエアバッグカバー30と異なる構成としている。なお、第1実施形態と同じ部材、部位には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を適宜省略する。
このエアバッグカバー30Gは、下面側に配設される扉配設壁部31Gが、前後に離れた連結壁部37G(F,B)の下端37aから相互に接近するように延びて形成される前側部31aと後側部31bとを備えて、扉部32Gが、前側部31aと後側部31bとから構成されている。この扉部32Gは、膨張するエアバッグ10に押されて、前側部31aと後側部31bとの先端31aa,31ba相互を分離させるように押し開かせて、突出用開口35を形成する構成としている。
扉配設壁部31Gの前後の縁側から上方に延びる前後の連結壁部37G(F,B)は、前側部31aと後側部31bとの前後の縁から上方に延びる側壁部38(F,B)を備えるとともに、側壁部38(F,G)の上端38b側を相互に連結させてなる扉配設壁部31に対向する天井壁部41G、を備えて構成されている。天井壁部41Gには、インフレーター14から延びる取付具17を挿通させるための挿通孔41aが形成されている。
そして、このエアバッグカバー30Gでは、扉配設壁部31G、前後の側壁部38F,38B、及び、天井壁部41Gにより、エアバッグ10を収納する略四角筒状とした箱形状の収納凹部43Gが形成されている。
収納凹部43Gの周囲には、第2実施形態の場合、天井壁部41Gと前後の側壁部38F,38Bとの境界部位に、屈曲用の凹溝40aを、凹溝40aの両側の壁部相互(壁部41G,38F相互、壁部41G,38B相互)を接近(略直交交差)させるように、屈曲させてなる屈曲部40(F,B)が配設されている。
エアバッグカバー30Gを形成するシート材50Gは、図14に示すように、第1実施形態と同様な不織布からなるシート材にプレス加工して形成されており、天井壁部41Gの部位に圧縮部45と挿通孔41aとが形成され、天井壁部41Gの前後両縁付近に、屈曲用の凹溝40aが形成されている。また、扉部32Gを形成する前側部31aと後側部31bとの元部31ab,31bb付近には、側壁部38F,38Bから略90°屈曲する屈曲部52(F,B)が、プレス加工して形成されている。
さらに、側壁部38Fには、エアバッグ装置9Gの車両搭載時に、周囲のダクト等の近傍部材5との干渉を防止できるように、凹部38cが形成されており、この凹部38cも、シート材50Gのプレス加工時に、凹溝40aや屈曲部52等と、同時に、賦形されている。
第2実施形態のエアバッグ装置9Gの組立作業を説明すると、第1実施形態と同様に、まず、取付具17を突出させるように、エアバッグ10内にインフレーター14を収納しておき、そして、エアバッグ10を折り畳んで、折畳体12を形成するとともに、インフレーター14から延びる取付具17をエアバッグカバー30Gの天井壁部41Gの挿通孔41aに挿通させつつ、折畳体12の天井面12dを天井壁部41Gの下面41bに当てる。ついで、前後の凹溝40aを、屈曲させて屈曲部40F,40Bを形成して、側壁部38F,38Bを折畳体12の側面12b,12cに当てるとともに、扉配設壁部31Gの前側部31aの先端31aaと後側部31bの先端31baとを重ねる。なお、屈曲部40F,40Bを曲げ変形させる際には、それらの屈曲部40F,40Bでは、前側部31aの先端31aaと後側部31bの先端31baとを重ねた状態を維持するように、曲げ塑性変形されるような状態となる。そのため、エアバッグカバー30Gからなる箱形状のバッグカバー体29Gは、エアバッグ10を折り畳んだ折畳体12を、エアバッグ10の折り崩れを防止して、包むことができる。
その後、各取付具17を取付ベース20の貫通孔22bに挿通させて、各取付具17にナット18を締結すれば、エアバッグ装置9Gを組み立てることができる。そして、エアバッグ装置9Gを組み立てた後には、インフレーター14から延びる図示しない作動用信号線を所定のコネクタに結線するとともに、取付ベース20の取付ブラケット部24(L,R)を、ボルト3とナット4とを利用して、ボディ1側のブラケット2に取り付ければ、エアバッグ装置9Gを、グラブボックス7(図1参照)の下方の所定の搭載部位に搭載することができる。
エアバッグ装置9Gの搭載後、インフレーター14が作動すれば、ガス吐出口15(図2参照)から膨張用ガスGが吐出され、エアバッグ10が、展開膨張し、膨張するエアバッグ10に押されて扉配設壁部31Gの扉部32Gにおける前側部31aと後側部31bとが、相互に離れて、突出用開口35を形成でき、その突出用開口35を経て、膨張したエアバッグ10を、助手席の乗員の膝の前方側に、配置させることとなる。
この第2実施形態のエアバッグ装置9Gでも、エアバッグカバー30Gが、不織布からなるシート材50Gに、プレス加工して、凹部38cや屈曲部52(F,B)とともに、屈曲部40用の凹溝40aを設けておき、そして、凹溝40aを利用して、プレス加工したシート材50Gを折り曲げて、所定の屈曲部40(F,B)を設ければ、突出用開口35を形成可能な扉部32Gを有した扉配設壁部31と、扉配設壁部31の前後両縁から上方に延びる側壁部38(F,B)や天井壁部41Gを具備する連結壁部37Gと、を備えて、エアバッグ10を収納可能な箱形状の収納凹部43Gを設けたエアバッグカバー30Gを形成できることから、第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態では、扉配設壁部31Gの扉部32Gが、周縁に破断予定部を設けていないものの、膨張するエアバッグ10に押されて扉配設壁部31Gの前側部31aと後側部31bとが、相互に離れて、突出用開口35を形成できる。そのため、このような構成では、繊維を断続的に切断する破断予定部を設けない分、切断部位の長さやピッチ等の管理が不要となり、容易に、扉配設壁部31Gの扉部32Gを配設することができる。
さらに、第2実施形態では、エアバッグカバー30Gの扉配設壁部31Gにおける前側部31aと後側部31bとが、先端31aa,31ba相互を上下に重ねるように、配設されていることから、突出用開口35を形成する部位が、前側部31aと後側部31bとの先端31aa,31ba相互を上下に重ねることにより、塞がれることから、エアバッグカバー30G内への異物の進入を防ぐことができる。
また、第2実施形態のエアバッグ装置9Gでは、インフレーター14が、折り畳まれたエアバッグ10内に収納されるとともに、折り畳まれたエアバッグ10から突出して、取付ベース20に締結するための取付具17を備えて、天井壁部41Gが、取付具17を挿通させる挿通孔41aを備えている。そして、エアバッグカバー30Gが、厚さ寸法を薄くするようにシート材50Gを圧縮した圧縮部45と、圧縮しない非圧縮部46と、を備えて構成されて、扉配設壁部31G、前後の側壁部38F,38B、及び、天井壁部41Gのうち、少なくとも天井壁部41Gが、圧縮部45の部位を配設させて構成されている。
そのため、第2実施形態では、膨張するエアバッグ10によってエアバッグカバー30Gの各壁部31G,38(F,B),41Gが押圧されて、エアバッグカバー30Gにおける天井壁部41Gの取付具17を挿通させた挿通孔41a周縁に、強い引張力が作用しても、挿通孔41a周縁が破断せず、安定して、天井壁部41Gを取付ベース20側に組み付けておくことができる。
なお、第2実施形態では、扉配設壁部31Gの扉部32Gが、前側部31aを後側部31bの下方に配置させて構成されているが、図15に示すように、前側部31aを後側部31bの上方に配置させてもよい。さらに、収納凹部43G内への異物進入を抑制できれば、前側部31aと後側部31bとは、図15の括弧書きに示すように、先端31aa,31ba相互が、上下に重ならず、突合せ状態に配置されてもよい。この場合、収納凹部43G内への異物進入を抑制できれば、先端31aa,31ba相互に若干の隙間が生じていてもよい。
また、凹溝40aの両側の壁部相互(壁部41G,38F相互、壁部41G,38B相互)を接近させるように、屈曲させた屈曲部40B,40Fが、その屈曲状態を維持し難く、扉部32Gが開く虞れが生ずる場合には、図29に示すように、構成してもよい。すなわち、例えば、側壁部38F,38Bの下端側の相互の開きを抑制するように、取付ベース20の側壁部23Gを利用する。この取付ベース20では、本体部21における上壁部22の前後両縁から、下方に延びるように側壁部23Ga,23Gbを配設し、側壁部23Ga,23Gbが、側壁部38F,38Bの上端側の外周側を、相互に離隔しないように、位置規制している。
つぎに、図16,17に示す第3実施形態の膝保護用エアバッグ装置9Hについて説明すると、このエアバッグ装置9Hは、第1実施形態と同様なエアバッグ10、インフレーター14、及び、取付ベース20を備えて構成されて、エアバッグカバー30Hが、つぎのように、第1実施形態のエアバッグカバー30と異なる構成としている。なお、第1実施形態と同じ部材、部位には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を適宜省略する。
このエアバッグカバー30Hも、第1実施形態と同様に、不織布からなるシート材50Hに対してプレス加工して形成された屈曲部36,40用の凹溝36a、40aの部位を屈曲させて形成され、さらに、所定部位を、分離可能な結合手段60により、結合させて形成されている。
具体的には、エアバッグカバー30Hは、前後の連結壁部37H(F,B)が、扉配設壁部31Hの前後の縁側から上方に延びる側壁部38(F,B)を備えるとともに、前後の側壁部38(F,B)の上端38b側相互を連結させてなる扉配設壁部31Hに対向する天井壁部41H、を備えて構成されている。天井壁部41Hには、インフレーター14から延びる取付具17を挿通させるための挿通孔41aが形成されている。
そして、扉配設壁部31H、前後の側壁部38F,38B、及び、天井壁部41Hにより、エアバッグ10を収納する略四角筒形状の箱形状とした収納凹部43Hが形成されるとともに、収納凹部43Hの周囲に、屈曲用の凹溝36a,40aを屈曲させてなる屈曲部36(F,B),40(F,B)が配設される構成としている。そして、エアバッグカバー39Hにおける扉配設壁部31Hの扉部32Hが、側壁部38Fの下端37aから前方に延びるように配設される構成として、扉部32Hの先端縁(後端縁)32aに隣接する側壁部38Bの後方へ屈曲させた縁38d側に対して、分離可能な結合手段60により、結合されている。この結合手段60は、膨張するエアバッグ10に押されて結合解除されることにより、扉部32Hが、側壁部38Fの下端37a付近(屈曲部36F付近)をヒンジ部34として、押し開かれて、突出用開口35が形成される構成としている。
第3実施形態の場合、結合手段60は、扉部32Hの後方へ延びた縁(結合縁)32aと、その縁32aに隣接する側壁部38Bの後方へ延びた縁(結合縁)38dと、を重ねて、相互を熱溶着させることにより、形成されている。
エアバッグカバー30Hを形成するシート材50Hは、図18に示すように、第1実施形態と同様な不織布からなるシート材にプレス加工して形成されており、天井壁部41Hの部位に圧縮部45と挿通孔41aとが形成され、天井壁部41Hの前後両縁付近に、屈曲用の凹溝40aが形成されている。また、側壁部38Fと扉配設壁部31Hとの交差部位と、側壁部38Bの結合縁38dの元部38e付近と、には、屈曲用の凹溝36aが形成されている。
第3実施形態のエアバッグ装置9Hの組立作業を説明すると、第1実施形態と同様に、まず、取付具17を突出させるように、エアバッグ10内にインフレーター14を収納しておき、そして、エアバッグ10を折り畳んで、折畳体12を形成するとともに、インフレーター14から延びる取付具17をエアバッグカバー30Hの天井壁部41Hの挿通孔41aに挿通させつつ、折畳体12の天井面12dを天井壁部41Hの下面41bに当てる。ついで、前後の凹溝40aを屈曲させて屈曲部40F,40Bを形成して、側壁部38F,38Bに折畳体12の側面12b,12cに当てるとともに、前後の凹溝36aを屈曲させて屈曲部36F,36Bを形成しつつ、扉配設壁部31Hの扉部32Hの先端側の結合縁32aの上に、側壁部38Bの結合縁38dを重ねて、複数個所で、熱溶着させてなる溶着部61を設ければ、エアバッグカバー30Hからなる略四角筒状の箱形状としたバッグカバー体29Hを形成できて、エアバッグ10を折り畳んだ折畳体12を、エアバッグ10の折り崩れを防止して、包むことができる。
その後、各取付具17を取付ベース20の貫通孔22bに挿通させて、各取付具17にナット18を締結すれば、エアバッグ装置9Hを組み立てることができる。そして、エアバッグ装置9Hを組み立てた後には、インフレーター14から延びる図示しない作動用信号線を所定のコネクタに結線するとともに、取付ベース20の取付ブラケット部24(L,R)を、ボルト3とナット4とを利用して、ボディ1側のブラケット2に取り付ければ、エアバッグ装置9Gを、グラブボックス7(図1参照)の下方の所定の搭載部位に搭載することができる。
エアバッグ装置9Hの搭載後、インフレーター14が作動すれば、ガス吐出口15(図2参照)から膨張用ガスGが吐出され、エアバッグ10が、展開膨張し、膨張するエアバッグ10に押されて、結合手段60としての熱溶着からなる溶着部61が、結合解除されて、扉部32Hが、前縁側の屈曲部36F付近をヒンジ部34として、押し開かれて、突出用開口35を形成でき、その突出用開口35を経て、膨張したエアバッグ10を、助手席の乗員の膝の前方側に、配置させることとなる。
この第3実施形態のエアバッグ装置9Hでも、エアバッグカバー30Hが、不織布からなるシート材50Hに、プレス加工して、屈曲部36,40用の凹溝36a,40aを設けておき、そして、凹溝36a,40aを利用して、凹溝36a,40aの両側の壁部相互(壁部31H,38H相互、壁部38B,38d相互、壁部41H,38F相互、壁部41H,38B相互)を接近(略直交交差)させるように、プレス加工したシート材50Hを折り曲げて、所定の屈曲部36(F,B),40(F,B)を設け、重ねた結合縁32a,38d相互を結合させれば、突出用開口35を形成可能な扉部32Hを有した扉配設壁部31Hと、扉配設壁部31Hの前後両縁から上方に延びる側壁部38(F,B)や天井壁部41Hを具備する連結壁部37Hと、を備えて、エアバッグ10を収納可能な箱形状の収納凹部43Hを設けたエアバッグカバー30Hを形成できることから、第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
さらに、第3実施形態でも、扉配設壁部31Hの扉部32Hが、周縁に破断予定部を設けていないものの、エアバッグ10に押されて扉配設壁部31Hと隣接する側壁部38Bとを結合していた結合手段60としての溶着してなる溶着部61が結合を解除されて、突出用開口35を形成できる。そして、このような構成では、繊維を断続的に切断する破断予定部を設けない分、切断部位の長さやピッチ等の管理が不要となり、容易に、扉配設壁部31Hの扉部32Hを配設することができる。
また、第3実施形態のエアバッグ装置9Hでも、エアバッグカバー30Hが、厚さ寸法を薄くするようにシート材50Hを圧縮した圧縮部45と、圧縮しない非圧縮部46と、を備えて構成されて、天井壁部41Hが、圧縮部45の部位を配設させて構成されているため、エアバッグ10の膨張時、エアバッグカバー30Hにおける天井壁部41Hの取付具17を挿通させた挿通孔41a周縁に、強い引張力が作用しても、挿通孔41a周縁が破断せず、安定して、天井壁部41Hを取付ベース20側に組み付けておくことができる。
なお、第3実施形態では、後方側の側壁部38Bに結合縁38dを設けて、扉配設壁部31Hの後縁側の結合縁32aを結合縁38dに結合させたが、図19に示すように、扉配設壁部31Hを後方側の側壁部38Bの下端37aから前方に延びるように配設して、前方側の側壁部38Fに、前方に屈曲した結合縁38dを設けて、扉配設壁部31Hの扉部32Hの前縁側の結合縁32aを、結合縁38dに結合させるように構成してもよい。
さらに、結合手段60としては、図20,21に示す第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置9Iのように、扉配設壁部31Iの扉部32Iの先端の結合縁32aと、側壁部38Fの下端側の結合縁38dとに、相互に対応する結合手段60として、嵌合部63を設けてもよい。扉配設壁部31Iは、後方側の側壁部38Bの下端37aから前方に延びるように配設されている。そして、この嵌合部63は、分離可能に相互に嵌合する嵌合突起64と嵌合突起64を嵌合させる嵌合孔65と、により、形成されており、扉配設壁部31Iの扉部32Iの先端の結合縁32aに、嵌合孔65が配設され、側壁部38Fの下端の直線状に延びる結合縁38dを、嵌合突起64としている。
具体的には、不織布からなるシート材50Iに対して、第3実施形態と同様に、プレス加工により、屈曲部36,40用の凹溝36a,40aを設け、そしてさらに、所定数の嵌合突起64と嵌合孔65とを形成しつつ、所定形状にカットして、エアバッグカバー30Iを形成している。天井壁部41Iの部位には、圧縮部45と挿通孔41aとを形成する。
この第4実施形態のエアバッグ装置9Iの組立作業を説明すると、第1実施形態と同様に、まず、取付具17を突出させるように、エアバッグ10内にインフレーター14を収納しておき、そして、エアバッグ10を折り畳んで、折畳体12を形成するとともに、インフレーター14から延びる取付具17をエアバッグカバー30Iの天井壁部41Iの挿通孔41aに挿通させつつ、折畳体12の天井面12dを天井壁部41Iの下面41bに当てる。ついで、前後の凹溝40aを、両側の壁部相互(壁部38F,41I相互、壁部41I,38B相互)を接近(略直交交差)させるように、屈曲させて屈曲部40F,40Bを形成して、側壁部38F,38Bに折畳体12の側面12b,12cに当てるとともに、後側の凹溝36aを、両側の壁部38B,31I相互を接近(略直交交差)させるように、屈曲させて屈曲部36Bを形成しつつ、対応する嵌合突起64を嵌合孔65に嵌合させれば、エアバッグカバー30Iからなる略四角筒状の箱形状としたバッグカバー体29Iを形成できて、エアバッグ10を折り畳んだ折畳体12を、エアバッグ10の折り崩れを防止して、包むことができる。
その後、各取付具17を取付ベース20の貫通孔22bに挿通させて、各取付具17にナット18を締結すれば、エアバッグ装置9Iを組み立てることができる。そして、エアバッグ装置9Iを組み立てた後には、インフレーター14から延びる図示しない作動用信号線を所定のコネクタに結線するとともに、取付ベース20の取付ブラケット部24(L,R)を、ボルト3とナット4とを利用して、ボディ1側のブラケット2に取り付ければ、エアバッグ装置9Iを、グラブボックス7(図1参照)の下方の所定の搭載部位に搭載することができる。
エアバッグ装置9Iの搭載後、インフレーター14が作動すれば、ガス吐出口15(図2参照)から膨張用ガスGが吐出され、エアバッグ10が、展開膨張し、膨張するエアバッグ10に押されて、結合手段60としての嵌合部63における嵌合突起64が嵌合孔65から抜けて、嵌合部63の結合が解除されて、扉部32Iが、後方の屈曲部36B付近をヒンジ部34として、押し開かれて、突出用開口35を形成でき、その突出用開口35を経て、膨張したエアバッグ10を、助手席の乗員の膝の前方側に、配置させることとなる。
この第4実施形態のエアバッグ装置9Iでも、エアバッグカバー30Iが、不織布からなるシート材50Iに、プレス加工して、屈曲部36,40用の凹溝36a,40a、嵌合突起64、及び、嵌合孔65を設けておき、そして、凹溝36a,40aを利用して、プレス加工したシート材50Iを折り曲げて、所定の屈曲部36B,40(F,B)を設け、嵌合突起64を嵌合孔65に嵌合させて、重ねた結合縁32a,38d相互を結合させれば、突出用開口35を形成可能な扉部32Iを有した扉配設壁部31と、扉配設壁部31の前後両縁から上方に延びる側壁部38(F,B)や天井壁部41Iを具備する連結壁部37Iと、を備えて、エアバッグ10を収納可能な箱形状の収納凹部43Iを設けたエアバッグカバー30Iを形成できることから、第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
さらに、第4実施形態でも、扉配設壁部31Iの扉部32Iが、周縁に破断予定部を設けていないものの、エアバッグ10に押されて扉配設壁部31Iと隣接する側壁部38Fとを結合していた結合手段60としての嵌合部63が結合を解除されて、突出用開口35を形成できる。そして、このような構成では、繊維を断続的に切断する破断予定部を設けない分、切断部位の長さやピッチ等の管理が不要となり、容易に、扉配設壁部31Iの扉部32Iを配設することができる。
また、第4実施形態のエアバッグ装置9Iでも、エアバッグカバー30Iが、厚さ寸法を薄くするようにシート材50Iを圧縮した圧縮部45と、圧縮しない非圧縮部46と、を備えて構成されて、天井壁部41Iが、圧縮部45の部位を配設させて構成されているため、エアバッグ10の膨張時、エアバッグカバー30Iにおける天井壁部41Iの取付具17を挿通させた挿通孔41a周縁に、強い引張力が作用しても、挿通孔41a周縁が破断せず、安定して、天井壁部41Iを取付ベース20側に組み付けておくことができる。
なお、第4実施形態では、前方側の側壁部38Fに嵌合突起64を設けた結合縁38dを設けて、扉配設壁部31Iの前縁側の結合縁32aに、嵌合孔65を設けたが、図22に示すように、前後を入れ替えて、後方側の側壁部38Bに嵌合突起64を設けた結合縁38dを設けて、扉配設壁部31Iの後縁側の結合縁32aに、嵌合孔65を設けるように構成してもよい。
また、結合手段60としては、図23に示す第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置9Jのように、前方の側壁部38Fの下端37aから後方に延びる扉配設壁部31Jの扉部32Jにおける先端の結合縁32aと、側壁部38Bの後方へ屈曲された下端側の結合縁38dとを、結合手段60としてタグピン67により、結合させてもよい。タグピン67は、ポリアミド等の合成樹脂製として、扉部32Jの先端側の結合縁32aと隣接する側壁部38Bの結合縁38dとを重ねた状態で、両者を貫通する軸部68と、軸部68の両端で貫通した結合縁32a,38dの周縁を押えるように、軸部68から直交方向にT字状に延びる係止頭部69,69と、を備えて構成されている。このタグピン67では、結合縁32a,38dの装着された後、エアバッグ10が膨張する際、係止頭部69,69の少なくとも一方が、結合縁32a,38dから抜けたり、あるいは、軸部68と破断されて、結合縁32a,38dを分離させることとなる。
このエアバッグカバー30Jでは、図24に示すように、第3実施形態と同様に、不織布からなるシート材50Jに、プレス加工により、凹溝36a,40aを設けるとともに、天井壁部41Jの部位に圧縮部45と挿通孔41aとを設けて形成されている。そして、このエアバッグカバー30Jでは、第3実施形態と異なり、結合手段60として、溶着部61を設ける代わりに、タグピン67を装着している点が、異なっている。
そのため、この第5実施形態のエアバッグ装置9Jでは、溶着部61の代わりにタグピン67を装着するだけで、第3実施形態のエアバッグ装置9Hと同様に組み立てることができる。
そして、エアバッグ装置9Jの車両への搭載後、インフレーター14が作動すれば、ガス吐出口15(図2参照)から膨張用ガスGが吐出され、エアバッグ10が、展開膨張し、膨張するエアバッグ10に押されて、結合手段60としてのタグピン67の係止頭部69が抜けたり等して、タグピン67が結合解除されて、扉部32Jが、前方の屈曲部36F付近をヒンジ部34として、押し開かれて、突出用開口35を形成でき、その突出用開口35を経て、膨張したエアバッグ10を、助手席の乗員の膝の前方側に、配置させることとなる。
そして、この第5実施形態のエアバッグ装置9Jでも、第3実施形態と同様に、エアバッグカバー30Jが、不織布からなるシート材50Jに、プレス加工して、屈曲部36,40用の凹溝36a,40aを設けておき、そして、凹溝36a,40aを利用して、プレス加工したシート材50Jを折り曲げて、所定の屈曲部36(F,B),40(F,B)を設け、重ねた結合縁32a,38d相互をタグピン67により結合させれば、突出用開口35を形成可能な扉部32Jを有した扉配設壁部31Jと、扉配設壁部31Jの前後両縁から上方に延びる側壁部38(F,B)や天井壁部41Jを具備する連結壁部37Jと、を備えて、エアバッグ10を収納可能な箱形状の収納凹部43Jを設けたエアバッグカバー30J(エアバッグカバー体29J)を形成できることから、第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
さらに、第5実施形態でも、扉配設壁部31Jの扉部32Jが、周縁に破断予定部を設けていないものの、エアバッグ10に押されて扉配設壁部31Jと隣接する側壁部38Bとを結合していた結合手段60としてのタグピン67が結合を解除されて、突出用開口35を形成できる。そして、このような構成では、繊維を断続的に切断する破断予定部を設けない分、切断部位の長さやピッチ等の管理が不要となり、容易に、扉配設壁部31Jの扉部32Jを配設することができる。
また、第5実施形態のエアバッグ装置9Jでも、エアバッグカバー30Jが、厚さ寸法を薄くするようにシート材50Jを圧縮した圧縮部45と、圧縮しない非圧縮部46と、を備えて構成されて、天井壁部41Jが、圧縮部45の部位を配設させて構成されているため、エアバッグ10の膨張時、エアバッグカバー30Jにおける天井壁部41Jの取付具17を挿通させた挿通孔41a周縁に、強い引張力が作用しても、挿通孔41a周縁が破断せず、安定して、天井壁部41Jを取付ベース20側に組み付けておくことができる。
なお、第5実施形態では、後方側の側壁部38Bに結合縁38dを設けて、扉配設壁部31Jの後縁側の結合縁32aを、タグピン67により、結合縁38dに結合させたが、図25に示すように、前方側の側壁部38Fに、結合縁38dを設けて、扉配設壁部31Jの前縁側の結合縁32aを、タグピン67を使用して、結合縁38dに結合させるように構成してもよい。
なお、タグピン67を使用する場合、対応するタグガンを使用すれば、結合縁32a,38dの両者が外表面側に露出していなくとも、結合縁32a,38dの一方側からタグガンを使用して両者を結合できることから、図26,27に示すエアバッグカバー30J1,30J2のように、略四角筒形状のエアバッグカバー体29Jの内周側において、扉配設壁部31Jの扉部32Jの先端の結合縁32aを、隣接する側壁部38から前後方向に突出させない長さとし、その隣接する側壁部38の結合縁38dを、収納凹部43J側に突出させて、接合縁32a,38d相互を重ね、そして、エアバッグカバー体29Jの外周面側から、図示しないタグガンを使用して、タグピン67により、結合縁32a,38d相互を結合させてもよい。
また、このようなタグピン67は、図28に示すように、第1実施形態のエアバッグカバー30における重ねた天井構成壁部42(U,D)を、結合させるように使用してもよい。
なお、第1~5実施形態では、助手席の前下方に搭載される膝保護用エアバッグ装置9,9G,9H,9I,9Jについて説明したが、本発明は、助手席の他、運転席を含めた座席の前下方に搭載される膝保護用エアバッグ装置に、適用できる。