[乗用型田植機の全体構成]
図1〜図3に基づいて乗用型田植機の全体構成について説明する。図1は、乗用型田植機の全体側面図であり、図2は、乗用型田植機の全体平面図である。図3は、乗用型田植機の正面図である。図1〜図3に示すように、前輪1及び後輪2で支持された機体に運転部3が備えられており、機体の後部にリンク機構4及び油圧シリンダ5を介して苗植付装置6が昇降駆動自在に支持されて、乗用型田植機が構成されている。
苗植付け装置6は8条植え付け仕様に構成されており、4個の伝動ケース7、伝動ケース7の後部の右及び左の横側部に回転駆動自在に支持された植付ケース8、植付ケース8の両端に備えられた一対の植付アーム8a、接地フロート9、及び苗が載置される苗のせ台10等を備えて構成されている。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース8が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8aが交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
運転部3におけるフロア11の後部上方に運転座席12が備えられており、運転座席12の後側に施肥装置13(農用材供給装置に相当)が装備されている。施肥装置13は、農用材を貯留する貯留ホッパー14と、繰り出し部15と、ブロア16とを備えて構成されている。
ここで、農用材とは、肥料、薬剤及び種籾を含み、粒状又は粉状の農用粉粒体に限らず、ペースト状、液体状のものをも含む広い概念のものである。なお、例えばこの実施形態での乗用型田植機においては、水田に苗を植え付けるため、粒状又は粉状の肥料又は薬剤を農用材として用いる場合が多いが、例えば水田に播種する播種機等の農作業機においては、種籾を農用材として用いる場合があり、例えば畑に苗を植えつける移植機等の農作業機においては、ペースト状又は液体状の肥料又は薬剤を農用材として用いる場合がある。なお、以下の説明において、農用材を肥料と略称し、農用材を袋詰めした農用材袋を肥料袋Fと略称する。
接地フロート10には作溝具17が備えられており、この作溝具17と繰り出し部15とに亘ってホース18が接続されている。これにより、苗の植え付けに伴って、貯留ホッパー14から肥料が所定量ずつ繰り出し部15によって繰り出されて、ブロア16の送風により肥料がホース18を通って作溝具17に供給され、作溝具17を介して肥料が田面(圃場に相当)に供給される。
エンジンEを覆うボンネット19がフロア11の前方に備えられており、このボンネット19の上部に、前輪1を操向操作する操縦ハンドルが備えられている。ボンネット19の右及び左の横側部には、フロア16につながる右及び左のステップ20が備えられており、フロア16及びステップ20の両横外側には、右及び左の補助ステップ21が備えられている。
機体前部の右側部には、複数の予備苗載せ台30を備えた右側の予備苗載置部Xが装備されており、機体前部の左側部には、複数の予備苗載せ台30を備えた左側の予備苗載置部Xが装備されている。
[予備苗載置部の詳細構造]
図1〜図15に基づいて予備苗載置部Xの詳細構造について説明する。なお、以下の説明において、予備苗載置部Xを構成する予備苗載せ台30のうちの、上側の3段の予備苗載せ台30(30u,30m,30d)を予備苗載せ台Aと表示し、下段の3段の予備苗載せ台30(30u,30m,30d)を予備苗載せ台Bと表示する。また、上側の3段の予備苗載せ台Aのうちの上段の予備苗載せ台30を30uと表示し、中段の予備苗載せ台30を30mと表示し、下段の予備苗載せ台30を30dと表示する。なお、下側の3段の予備苗載せ台Bにおいても、特に相違する部分を除き、上側の3段の予備苗載せ台Aと同様に表示する。
図4は、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bが延長状態での乗用型田植機前部の側面図であり、図5は、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bが延長状態での乗用型田植機前部の平面図である。図6は、格納状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの側面図であり、図7は、延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bの側面図である。図8は、状態切換状況を説明する予備苗載せ台A,Bの前後中央部での平面図であり、図9は、延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの前後中央部での平面図である。
図10は、上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの前後中央部での縦断側面図であり、図11は、上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの縦断背面図である。図12は、予備苗載せ台30の連結構造を説明する詳細図であり、図12(a)は、予備苗載せ台30u,30m,30dの連結部の側面図であり、図12(b)は、予備苗載せ台30u,30m,30dの連結部の平面図である。図12(c)は、予備苗載せ台30dを起立姿勢に姿勢変更した状態での予備苗載せ台30m,30dの連結部の側面図である。図13は、中間ストッパ44の構造を示す縦断面図である。図14は、上段及び下段の予備苗載せ台30u,30dの支持フレーム25への取付部の斜視図であり、図15は、上段及び下段の予備苗載せ台30u,30dの支持フレーム25への取付部の横断平面図である。
図1及び図2に示すように、エンジンEから前方にエンジンフレーム22が延出されており、このエンジンフレーム22に、予備苗載せ台30を支持する前側の支持フレーム25が固定されている。フロア11は、機体フレーム23を介して機体に連結されており、この機体フレーム23に、予備苗載せ台30を支持する後側の支持フレーム25が固定されている。
支持フレーム25の上端部には、上部予備苗載せ台26が前後向きの軸心P1周りで揺動自在に支持されており、この上部予備苗載せ台26は、機体内側に起立した起立姿勢と、機体外側に倒伏した倒伏姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
図1〜図5に示すように、支持フレーム25の横外側における倒伏姿勢での上部予備苗載せ台26の下側には、合計6段の予備苗載せ台30が上下に並べて配設されており、この6段の予備苗載せ台30のうちの上側の3段の予備苗載せ台Aを一組として延長状態に切り換えることができ、下側の3段の予備苗載せ台Bを一組として延長状態に切り換えることができるように構成されている。上側及び下側の3段の予備苗載せ台A,Bは、延長状態に切り換えると搬送ガイド(肥料袋Fの搬送ガイド)として機能するように構成されている。
図6〜図9に示すように、中段の予備苗載せ台30mは、板金製で丸パイプ材等により枠状に形成された支持部材31と、この支持部材31の上部に締め付け固定された樹脂製の苗受け体35とを備えて構成されている。支持部材31の内側端部における前部及び後部には、横断面形状が内向きに開口したコ字状の前後のブラケット32が固定されており、この前後のブラケット32を前後の支持フレーム25に固定することで、予備苗載せ台30mを前後の支持フレーム25に固定できるように構成されている。
上段及び下段の予備苗載せ台30u,30dは、板金製で丸パイプ材等により枠状に形成された支持部材33と、この支持部材33の上部に締め付け固定された樹脂製の苗受け体35とを備えて構成されている。苗受け体35は、中段の予備苗載せ台30mの苗受け体35と同一部品で構成されている。支持部材33の内側端部における前部及び後部には、横断面形状が内向きに開口したコ字状の前後のブラケット34が固定されており、この前後のブラケット34を前後の支持フレーム25に固定することで、予備苗載せ台30u,30dを前後の支持フレーム25に固定できるように構成されている。
苗受け体35は、左右の側枠部35aと、左右の側枠部35aの間に形成された複数のリブ35bとを備えて構成されており、複数のリブ35bは、前後方向に向かう多数の縦リブに多数の横リブを斜めに交差させた格子状に形成されている。
図10及び図11に示すように、左右の側壁部35aの上部には、側壁部35aの上面側から上方に突出した形状のガイド部35Aが一体成形されており、上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを搬送ガイドとして機能させた場合において、このガイド部35Aにより、搬送台60が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bから脱落することを防止できると共に、搬送台60を無理なく後方に案内することができる。ガイド部35Aの前部及び後部には、斜めに傾斜した傾斜部35Bが形成されており、この傾斜部35Bにより、肥料袋Fを載せた搬送台60を後方に無理なく案内できる。
ガイド部35Aの左右方向での内面の幅は、側壁部35aの左右方向での内面の幅より広く設定されており、側壁部35aの上面側における内側部分に所定の段部hが形成されている。これにより、図11(a)に示すように、延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを畦等から苗のせ台10への苗Gの補給に用いる場合において、側壁部35aに形成された段部hにより苗Gの脱落を防止しながら側壁部35aに沿って苗Gを後方に無理なく案内できる。
図6〜図9に示すように、苗受け体35には、複数の開口部35cが形成されており、この開口部35cに、ローラー36(抵抗低減部材に相当)が左右向きの軸心周りで回動自在に支持されている。ローラー36は、搬送ガイドとしては機能しない通常の予備苗載せ台(図示せず)より数量が多く設けられており、苗のせ台10に供給する苗Gだけでなく、苗Gより前後長さの短い搬送台60を無理なく搬送できるように構成されている。
図10及び図11に示すように、ローラー36の上端の高さは、リブ35bの上端の高さより所定高さ高くなるように、ローラー36の取付位置が設定されており、これにより、ローラー36の上部に、苗のせ台10に補給する苗G及び搬送台60を搬送する搬送面36Aが形成される。
図6〜図9に示すように、上段の予備苗載せ台30uの前部、及び下段の予備苗載せ台30dの後部における左右のローラー36の間には、滑り難い樹脂又はゴム製の保持部材37が配設されている。保持部材37は、苗受け体35のリブ35bに上方から締め付け固定されており、保持部材37の上面の高さは、ローラー36の搬送面36Aの高さより高く設定されている。なお、保持部材37を苗受け体35に一体成形し、保持部材37の上面側に凹凸部等を一体成形することで、保持部材37の上面が滑り難くなるように構成してもよい。
上段の予備苗載せ台30uの後部には、左右の第1ブラケット38L,38Rが上方から締め付け固定されている。中段の予備苗載せ台30mの前部には、左右の第2ブラケット39L,39Rが上方から締め付け固定されており、中段の予備苗載せ台30mの後部には、左右の第1ブラケット38L,38Rが上方から締め付け固定されている。下段の予備苗載せ台30dの前部には、左右の第2ブラケット39L,39Rが上方から締め付け固定されている。
左の第1ブラケット38Lには、機体外側向きのピン38aが固着されており、右の第1ブラケット38Rには、左右向きの連結穴38bが形成されている。右の第2ブラケット39Rには、機体内側向きのピン39aが固着されており、左の第2ブラケット39Lには、左右向きの連結穴39bが形成されている。
上段の予備苗載せ台30uを支持フレーム25から取り外し、予備苗載せ台30uの左の第1ブラケット38Lのピン38aを中段の予備苗載せ台30mの左の第2ブラケット39Lの連結穴39bに挿入すると共に、予備苗載せ台30mの右の第2ブラケット39Rのピン39aを予備苗載せ台30uの右の第1ブラケット38Rの連結穴38bに挿入することで、上段の予備苗載せ台30uを中段の予備苗載せ台30mの前部に支持させることができる。
下段の予備苗載せ台30dを支持フレーム25から取り外し、中段の予備苗載せ台30mの左の第1ブラケット38Lのピン38aを予備苗載せ台30dの左の第2ブラケット39Lの連結穴39bに挿入すると共に、予備苗載せ台30dの右の第2ブラケット39Rのピン39aを予備苗載せ台30mの右の第1ブラケット38Rの連結穴38bに挿入することで、下段の予備苗載せ台30dを中段の予備苗載せ台30mの後部に支持させることができる。
この場合、第1ブラケット38L,38Rに形成された位置決め接当部38cが第2ブラケット39L,39Rに形成された位置決め接当部39cに接当することで、中央の予備苗載せ台30mに対する前側の予備苗載せ台30uの下方への揺動範囲が規制され、中央の予備苗載せ台30mに対する後側の予備苗載せ台30dの下方への揺動範囲が規制されて、上側及び下側の3段の予備苗載せ台A,Bが側面視で少し後方下方に傾斜して略一直線状になった延長状態を現出できる。
前側の支持フレーム25の内側には、支持ロッド27が装備されている。支持ロッド27は、その上端部が支持フレーム25に横向きの軸心周りで回動自在に支持されており、その下端部が保持部材28により取り外し可能に保持されている。支持ロッド27の下端部を保持部材28から取り外し、前側の予備苗載せ台30uのブラケット34の穴部57に支持ロッド27を連係することで、前側の予備苗載せ台30uを支持ロッド27により支持フレーム25側に安定して支持することができる。
図12に示すように、ピン38aを固着した左の第1ブラケット38Lには、左右向きの支軸40が固着されており、この支軸40に、固定部材41が支軸40の左右向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。第1ブラケット38Lと第2ブラケット39Lを組み合わせた状態で、固定部材41を揺動させて第1ブラケット38Lのピン38aに引っ掛け固定することで、連結穴39bからピン38aが抜け出て予備苗載せ台30u,30dが予備苗載せ台30mから外れることを防止できる。
第1ブラケット38Lと第2ブラケット39Lとに亘って、予備苗載せ台30u,30dの予備苗載せ台30mに対する取付角度を保持する角度保持機構50が装備されており、この角度保持機構50により、予備苗載せ台30u,30dが所定角度上方に揺動し起立した起立姿勢と、予備苗載せ台30u,30dが下方に揺動し予備苗載せ台30mと略平行になって倒伏した倒伏姿勢とに、予備苗載せ台30u,30dの姿勢を姿勢変更できるように構成されている。
図12(a)及び(b)に示すように、第2ブラケット39Lには、左右向きの貫通穴が形成されたボス部51が固着されており、このボス部51に、支軸52が回動自在に支持されている。支軸52の先端部には、縦平板状のアーム部材53の一端部が固着されており、これにより、アーム部材53が第2ブラケット39Lに左右向きの軸心周りで回動自在に支持されている。
第2ブラケット39Lとアーム部材53とに亘って弾性バネ54が装備されており、この弾性バネ54によりアーム部材53が下方側に付勢されて、アーム部材53がピン38aの先端部上側に受け止め支持されるように構成されている。アーム部材53の先端下部には、支軸40の先端部に係合する係合部53aが形成されており、この係合部53aの上側から、アーム部材53を操作する操作部53bが横外側に延出されている。
図12(a)及び(c)に示すように、予備苗載せ台30mに対して予備苗載せ台30dをピン38aの左右向きの軸心周りで上方に揺動させると、支軸40の先端部がアーム部材53の係合部53aの先端に接当し、アーム部材53が支軸52の左右向きの軸心周りで上方に揺動する。そして、予備苗載せ台30u,30dを更に上方に揺動させると、弾性バネ54の付勢力によりアーム部材53が支軸52の左右向きの軸心周りで下方に少し揺動して、アーム部材53の係合部53aが支軸40に係合する。これにより、予備苗載せ台30mに対して予備苗載せ台30dをピン38aの左右向きの軸心周りで上方に揺動させるだけで、予備苗載せ台30dが予備苗載せ台30mに対して所定角度上方に揺動し起立した起立姿勢を現出でき、この起立姿勢を自動的に保持できる。
予備苗載せ台30dが予備苗載せ台30mに対して所定角度上方に揺動した起立姿勢から、予備苗載せ台30dをピン38aの左右向きの軸心周りで更に上方に揺動させると、アーム部材53の係合部53aの支軸40への係合が解除される。この状態で、アーム部材53の操作部53bを弾性バネ54の付勢力に抗して上方に少し持ち上げることで、予備苗載せ台30mに対する予備苗載せ台30dの下方への揺動が許容される。これにより、予備苗載せ台30dを下方に揺動させて、予備苗載せ台30dが予備苗載せ台30mと略平行になって倒伏した倒伏姿勢を現出できる。
なお、図12に示すように、予備苗載せ台30mを起立姿勢に姿勢変更する場合においても、角度保持機構50は、勝手違いで予備苗載せ台30dの場合と同様に動作(作用)する。
図4に示すように、上側及び下側の3段の予備苗載せ台A,Bを共に延長状態に切り換えて、上側の3段の予備苗載せ台Aのうちの前側及び後側の予備苗載せ台30u,30dが倒伏姿勢のままであると、下側の予備苗載せ台Bにおける予備苗載せ台30u,30dの上方の空間が狭くなる。そのため、下側の3段の予備苗載せ台Bを苗のせ台10への苗Gの補給又は搬送台60を用いた肥料袋Fの搬送に用いる場合において、下側の3段の予備苗載せ台Bのうちの前側の予備苗載せ台30uに苗Gを載せる作業や搬送台60に肥料袋Fを載せる作業が行い難くなるおそれがあり、下側の3段の予備苗載せ台Bのうちの後側の予備苗載せ台30dから苗Gを取り出す作業や搬送台60から肥料袋Fを取り出す作業が行い難くなるおそれがある。
そこで、上側の3段の予備苗載せ台Aのうちの前側及び後側の予備苗載せ台30u,30dを起立姿勢に姿勢変更し、角度保持機構50により起立姿勢を保持することで、下側の予備苗載せ台30u,30dの上方の空間を広く確保することができる。これにより、下側の3段の予備苗載せ台Bのうちの前側の予備苗載せ台30uに苗Gを無理なく上から載せることができ、搬送台60に肥料袋Fを無理なく上から載せることができる。また、下側の3段の予備苗載せ台Bのうちの後側の予備苗載せ台30dから苗Gを無理なく上方に取り出すことができ、搬送台60から肥料袋Fを無理なく上方に取り出すことができる。その結果、苗のせ台10への苗Gの補給作業及び肥料袋Fの搬送作業が行い易くなって、苗のせ台10への苗Gの補給作業及び肥料袋Fの搬送作業の作業性を向上できる。
また、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bにおける後側の予備苗載せ台30dの両方を起立姿勢に姿勢変更し、角度保持機構50により起立姿勢を保持することで、運転部3への乗降空間を形成することができ、運転部3への乗降がし易くなる。
更に、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bにおける前側の予備苗載せ台30uの両方を起立姿勢に姿勢変更すると共に、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bにおける後側の予備苗載せ台30dの両方を起立姿勢に姿勢変更することで、前側及び後側の予備苗載せ台30u,30dを前後中央の予備苗載せ台30m側にコンパクトに格納することができる。これにより、前側及び後側の予備苗載せ台30u,30dを前後中央の予備苗載せ台30mから取り外して支持フレーム25に固定しなくても、前側及び後側の予備苗載せ台30u,30dを簡易迅速に前後中央の予備苗載せ台30m側に格納でき、乗用型田植機の移動や倉庫等への保管が容易になって、苗植付作業の終了後の片付け作業等の作業性を向上できる。
図13に示すように、苗受け体35の左右の側壁部35aには、左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に中間ストッパ44の一端部が内嵌されて、その先端部に弾性バネ45が外嵌されている。側壁部35aの上部及び下部には、左右向きの上部及び下部穴部46,47が形成されている。
弾性バネ45の付勢力に抗して中間ストッパ44を内側に引き操作して、中間ストッパ44の他端部を上部穴部46に内嵌することで、中間ストッパ44により苗G(予備苗)を受け止め支持して、苗G(予備苗)の前後方向への移動を阻止する作用姿勢に、中間ストッパ44の姿勢を変更できる。一方、弾性バネ45の付勢力に抗して中間ストッパ44を内側に引き操作して、中間ストッパ44の他端部を下部穴部47に内嵌することで、中間ストッパ44の上端が搬送面36Aより低い位置に位置することになって、苗Gの前後方向への移動が許容される非作用姿勢に、中間ストッパ44の姿勢を変更できる。
中間ストッパ44は、上段の予備苗載せ台30uの後部、中段の予備苗載せ台30mの前部及び後部、並びに、下段の予備苗載せ台30dの前部における左右両側部に装備されている。
従って、予備苗載せ台30の上部に苗G(予備苗)を載置する場合には、中間ストッパ44を作用姿勢に姿勢変更することで、中間ストッパ44により苗G(予備苗)の前後方向への移動を阻止でき、予備苗載せ台30からの苗G(予備苗)の脱落を防止できる。また、上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを、苗のせ台10への苗Gの補給又は搬送台60を用いた肥料袋Fの搬送に用いる場合には、中間ストッパ44を非作用姿勢に姿勢変更することで、前側の予備苗載せ台30uから後側の予備苗載せ台30dへの苗G及び搬送台60の移動が許容される。
上段の予備苗載せ台30uの前端部には、前部ストッパ48が装備されており、下段の予備苗載せ台30dの後部には、後部ストッパ49が装備されている。前部及び後部ストッパ48,49は、予備苗載せ台30u,30dの下部に前後にスライド移動可能に装着されており、前部ストッパ48を前方にスライド移動させて延長姿勢に姿勢変更することで、前部ストッパ48の上部に苗G(予備苗)を載置することができ、後部ストッパ49を後方にスライド移動させて延長姿勢に姿勢変更することで、後部ストッパ49の上部に苗G(予備苗)を載置できる。
前部及び後部ストッパ48,49の高さは、搬送ガイドとしては機能しない通常の予備苗載せ台(図示せず)における前部及び後部ストッパ(図示せず)の高さより高く設定されており、前部及び後部ストッパ48,49により苗Gを受け止め支持して、苗Gの前後方向への脱落を防止できると共に、前部及び後部ストッパ48,49により搬送台60を受け止め支持して、搬送台60の前後方向への脱落を防止できるように構成されている。
図14及び図15に示すように、前後の支持フレーム25には、左右向きの支持ピン56が固定されており、この支持ピン56の先端部には、フランジ部56aが形成されている。予備苗載せ台30u,30dの支持部材33に固定されたブラケット34の外面側には、側面視でダルマ状の穴部57が形成されている。
これにより、フランジ部56aより径の大きい穴部57の下部を支持ピン56の位置に位置決めして、ブラケット34を支持フレーム25に接当させて、ブラケット34を下方に落とし込むことで、フランジ部56aより径の小さい穴部57の上部が支持ピン56のフランジ部56aに係合して、ブラケット34が支持ピン56に支持され、予備苗載せ台30u,30dが支持フレーム25に支持される。
ブラケット34の横外側には、予備苗載せ台30u,30dが支持フレーム25に支持された状態で、支持ピン56の穴部57からの抜けを防止する抜け止め部材58が嵌め込み装着されている。抜け止め部材58は、樹脂製で、横断面形状が内向きに開口したコ字状に形成されている。抜け止め部材58には、支持部材33のブラケット34に係合する前後の係合部58aと、この係合部58aに形成された傾斜案内部58bと、ブラケット34側に突出した凸部58cと、補強用のリブ58dとを備えて、一体成形されている。
図15(a)に示すように、ブラケット34が支持ピン56に支持された状態で、抜け止め部材58の上下方向での位置をブラケット34の穴部57の下部の位置に合わせて、横外側から抜け止め部材58の前後中央部を機体内側に押す。この場合、抜け止め部材58に形成された傾斜案内部58bにより案内されながら、抜け止め部材58が無理なくブラケット34側に入り込む。そして、図15(b)に示すように、抜け止め部材58の係合部58aがブラケット34の内側端に係合すると共に、抜け止め部材58の凸部58cが穴部57の下部に入り込む。これにより、抜け止め部材58をブラケット34に嵌め込み装着できる。
この場合、穴部57には、斜めに傾斜した傾斜部57aが形成されているので、この傾斜部57aにより、抜け止め部材58を穴部57の下部に無理なく装着できると共に、抜け止め部材58の凸部58cを隙間なく穴部57に装着できる。
例えば、機体の振動等により予備苗載せ台30u,30dが支持フレーム25に対して上下に移動して、ブラケット34が支持ピン56に対して上下に移動した場合であっても、抜け止め部材58によりブラケット34の上下移動が阻止されて、ブラケット34が支持ピン56から外れて予備苗載せ台30u,30dが支持フレーム25から外れることを防止できる。この場合、抜け止め部材58の凸部58cが穴部57の下部に入り込んでいるので、支持ピン56により抜け止め部材58が下方側に押されたとしても、抜け止め部材58の凸部58cにより抜け止め部材58の下方への移動が阻止される。これにより、抜け止め部材58のずれ動きを効果的に防止できる。
図15(b)に示すように、抜け止め部材58をブラケット34に嵌め込み装着した状態から、前側又は後側の傾斜案内部58b付近を、指で前側又は後側に引き操作することで、前側又は後側の係合部58aのブラケット34への係合が解除される。そして、図15(a)に示すように、抜け止め部材58を機体横外側に移動させることで、ブラケット34から抜け止め部材58を簡易迅速に取り外すことができる。これにより、予備苗載せ台30u,30dを上方に持ち上げて、予備苗載せ台30u,30dを支持フレーム25に対して上方に移動させると共に、予備苗載せ台30u,30dを横外側に移動させることで、予備苗載せ台30u,30dを支持フレーム25から簡易迅速に取り外すことができる。
[搬送台の詳細構造]
図1,図9〜図11に基づいて、延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを搬送ガイドとして用いる場合に使用する搬送台60の詳細構造について説明する。図1に示すように、搬送台60は、前後の支持フレーム25の下部内側のデッドスペース(ステップ20の外縁部の上側辺り)に、例えば前述の予備苗載せ台30u,30dと同様の取り付け構造で、前後の支持フレーム25に内側から着脱自在に取り付けられており、延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを搬送ガイドとして用いる場合には、搬送台60を前後の支持フレーム25から取り外して使用することができる。
図9〜図11に示すように、搬送台60は、左右方向の幅が予備苗載せ台30の幅に対して設定されており、苗受け体35のガイド部35Aと所定の隙間を開けて配設されるように構成されている。搬送台60の長さ及び深さは、肥料袋Fを、無理なく載置することができ、搬送台60から肥料袋Fがはみ出し難い寸法に設定されている。
搬送台60は、樹脂製で、プレス成形等によりトレー形に一体成形されており、その上部の外周部に、下向きコ字状の外周縁部61が一体成形されている。この外周縁部61により、搬送台60の外周部を補強できると共に、この外周縁部61を、搬送台60を持ち運ぶ際の取手として機能させることができる。
搬送台60の側面視での縦断面形状は、船底形に形成されており、搬送台60の正面視での縦断面形状は、船底形に形成されている。これにより、船底形に形成することによる傾斜面60Aによって、搬送台60に肥料袋Fを載せ易くなると共に、搬送台60から肥料袋Fを取り出し易くなる。
搬送台60の底部の下面側には、前後向きの突条が形成された凹凸部62が一体成形されており、この凹凸部62により搬送台60とローラー36との接触面積を小さくして、搬送台60とローラー36との接触による摩擦力を小さくでき、ローラー36の上を搬送台60が移動し易くなる。
搬送台60が予備苗載せ台30の上を搬送される状態(図10(b)の状態)で、搬送台60の底部が少なくとも4つのローラー36で支持されるように、予備苗載せ台30のローラー36の前後方向でのピッチが設定されており、搬送台60が前後の予備苗載せ台30の間を搬送される状態で、搬送台60の底部が少なくとも4つのローラー36で支持されるように、予備苗載せ台30の最も前側及び後側のローラー36の位置が設定されている。
これにより、搬送台60が肥料袋Fの重さなどにより傾いてずれることを防止でき、搬送台60を無理なく前後に移動させることができる。この場合、搬送台60の前後長さが苗Gの前後長さより短くなるように、搬送台60の前後長さが設定されているので、苗Gも無理なく後方に無理なく移動させることができる。
上記のように、予備苗載せ台30に備えたローラー36及びガイド部35A、並びに、搬送台60等によって、肥料袋Fを機体の外側から施肥装置13の貯留ホッパー14に向かって搬送する肥料搬送装置が構成されている。
[予備苗載せ台の状態切換状況]
図1及び図4に基づいて予備苗載せ台30の状態切換状況について説明する。図1及び図4に示すように、上側の3段の予備苗載せ台Aが支持フレーム25側に格納された格納状態から、上側の3段の予備苗載せ台Aのうちの上段の予備苗載せ台30uを中段の予備苗載せ台30mの前側に連結すると共に、下段の予備苗載せ台30dを予備苗載せ台30mの後側に連結する。これにより、上側の3段の予備苗載せ台Aを延長状態に切り換えることができる。
また、下側の3段の予備苗載せ台Bが支持フレーム25側に格納された格納状態から、下側の3段の予備苗載せ台Bのうちの上段の予備苗載せ台30uを中段の予備苗載せ台30mの前側に連結すると共に、下段の予備苗載せ台30dを予備苗載せ台30mの後側に連結する。これにより、下側の3段の予備苗載せ台Bを延長状態に切り換えることができる。
上側及び下側の3段の予備苗載せ台A,Bを共に格納状態から延長状態に切り換えることで、延長状態での上側の予備苗載せ台Aに前後向きの3枚の苗G(予備苗)を載置することができ、延長状態での下側の予備苗載せ台Bに前後向きの3枚の苗G(予備苗)を載置することができる。この場合、上部予備苗載せ台26に1枚の苗G(予備苗)を載置できるので、右側又は左側の予備苗載置部Xに7枚(右側及び左側の予備苗載置部Xに合計14枚)の苗G(予備苗)を搭載することができる。
更に、延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bにおいて、前部及び後部ストッパ48,49を延長姿勢に姿勢変更することで、前部及び後部ストッパ48,49の上にそれぞれ0.5枚の苗G(予備苗)を載置できるので、前部及び後部ストッパ48,49を延長姿勢に姿勢変更すると、一対の前部及び後部ストッパ48,49により延長された部分に、一枚の苗G(予備苗)を載置でき、右側又は左側の予備苗載置部Xに9枚(右側及び左側の予備苗載置部Xに合計18枚)の苗G(予備苗)を搭載することができる。この場合、中間ストッパ44を非作用姿勢に姿勢変更して、苗G(予備苗)を載置する。
なお、この実施形態での乗用型田植機の苗植付装置6は、8条植え付け仕様であるので、右側及び左側の予備苗載置部Xに搭載する苗G(予備苗)の枚数を合計で8の倍数に設定すれば、過不足なく苗のせ台10に苗Gを補給できる。従って、例えば、上部予備苗載せ台26に苗G(予備苗)を載置しないで、延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bおいて、前部及び後部ストッパ48,49をそれぞれ延長姿勢に姿勢変更して、右側又は左側の予備苗載置部Xに8枚(右側及び左側の予備苗載置部Xに合計16枚)の苗G(予備苗)を搭載してもよい。
延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを搬送ガイドとして用いる場合には、支持フレーム25から搬送台60を取り外して、延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの上に、搬送台60を載せる。そして、畦等の近くに延長状態での予備苗載せ台A,Bの前部を近づけて、畦等から搬送台60の上部に肥料袋Fを載置し、肥料袋Fを載置した搬送台60を後方に少し押すことで、肥料袋Fを載置した搬送台60が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの上を後方に移動する。
肥料袋Fを載置した搬送台60が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの後部に移動すると、フロア11上の作業者が搬送台60から肥料袋Fを取り出して、肥料袋Fを開封して肥料を施肥装置13の貯留ホッパー14に補給する。肥料袋Fを取り出した搬送台60を、上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの後部から前方に押すことで、搬送台60を上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの前部に移動させることができる。
この場合、前側の予備苗載せ台30uの前部には、ローラー36の搬送面36Aより高い位置に位置する保持部材37が固定されているので、予備苗載せ台A,Bの前部に移動した搬送台60を、畦等の作業者が受け止めて、保持部材37の上に引き上げることで、予備苗載せ台A,Bの前部に移動した搬送台60がその自重で後方に移動することを防止できる。
なお、延長状態での下側の予備苗載せ台Bを搬送ガイドとして用いる場合において、上側の予備苗載せ台Aが延長状態に切り換えられている場合には、上側の予備苗載せ台Aのうちの前側及び後側の予備苗載せ台30u,30dを起立姿勢に姿勢変更する。これにより、搬送台60への肥料袋Fの載置や搬送台60からの肥料袋Fの取り出しが行い易くなる。
[運転座席の詳細構造]
図2,図16に基づいて運転座席12の詳細構造について説明する。図16は、運転座席12付近の側面図である。図16に示すように、運転座席12は、着座シート12aとシートバック12bとを備えて構成されており、着座シート12aの後部の左右向きの軸心周りでシーバック12bが前後に揺動自在に支持されている。これにより、着座シート12aの側部後部に装備された操作レバー12cを前後に揺動操作することで、シートバック12bの揺動角度を段階的に又は無段階で変更調節できるように構成されている。
図2に示すように、運転座席12の後側で、運転座席12のシートバック12bと施肥装置13の貯留ホッパー14との間には、通路Hが形成されており、作業者が運転座席12の後部を左右に行き来することができるように構成されている。
図16の実線で示すように、運転座席12のシートバック12bを後方に揺動させると、シートバック12bの上部が貯留ホッパー14の前面側に接当し、シートバック12bの上端が貯留ホッパー14の上端より少し高い位置に位置し、シートバック12bが斜め後方上方に傾斜した状態になる。この状態で、フロア11に搬送した肥料袋Fを、シートバック12bの上部に載せて支持させて、肥料袋Fを開封し施肥装置13の貯留ホッパー14に肥料を補給することができる。
なお、シートバック12bの上部を貯留ホッパー14に接当させないで、シートバック12bの後方への揺動範囲を規制することで、シートバック12bが斜め後方上方に傾斜し、シートバック12bの上部が貯留ホッパー14の前端の近傍(直前方)に位置した状態を現出するように構成してもよい。
これにより、肥料袋Fを運転座席12のシートバック12bに支持させて、肥料袋Fの肥料を施肥装置13の貯留ホッパー14に補給できる。その結果、例えば肥料袋Fを作業者が持ち抱えた状態で、貯留ホッパー14に肥料を補給する場合に比べ、作業者の労力を軽減でき、貯留ホッパー14への肥料の補給作業の作業性を向上できる。また、シートバック12bが斜め後方上方に傾斜した状態を現出することで、肥料袋Fをシートバック12bの上部に安定して支持させることができる。
なお、シートバック12bを前後揺動自在に支持するのではなく、シートバック12bが前後揺動不能な運転座席12を前後にスライド移動自在に構成し、運転座席12を後方にスライド移動させることにより、シートバック12bの上部が貯留ホッパー14の前端の近傍(直前方)に位置するように構成してもよい。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、搬送台60により肥料袋Fを後方に搬送する例を示したが、図17〜図19に示すように、搬送容器80により肥料を後方に搬送する構造を採用してもよい。図17は、この別実施形態における延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bの側面図であり、図18は、この別実施形態における貯留ホッパー14付近の平面図であり、図19は、搬送容器80の断面図である。なお、後述する以外の他の構成は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様である。
図17及び図18に示すように、予備苗載せ台30における苗受け体35のガイド部35Aは、前述の[発明を実施するための最良の形態]よりも、その高さが高く設定され、苗受け体35には、前述の[発明を実施するための最良の形態]よりも、多くのローラー36が回動自在に支持されて、肥料袋Fを載置した搬送容器80が予備苗載せ台30の上を後方に移動できるように構成されている。
搬送容器80は、上方が開放された箱形(ホッパー形)に形成されており、その左右の側壁の上部に亘って操作具81が左右向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。
図18に示すように、搬送容器80の外形寸法は、施肥装置13の貯留ホッパー14の内寸に対して設定されており、搬送容器80をそのまま貯留ホッパー14の内部に、左右に並べて収容できるように構成されている。この場合、搬送容器80の操作具81を揺動させて倒すことで、搬送容器80の上部の高さを低く抑えて、貯留ホッパー14の蓋14aを無理なく閉めることができる。
図19に示すように、搬送容器80の底部には、下方に開口された開口部80aが形成されており、この開口部80aに開閉可能な底蓋82が、弾性バネ(図示せず)により開口部80aを塞ぐ側に付勢された状態で装着されている。底蓋82は、搬送容器80を貯留ホッパー14に装着すると、図19の2点鎖線で示すように、貯留ホッパー14側に装備された凸片(図示せず)に接当して揺動し、自動的に開口部80aが開放されるように構成されている。これにより、搬送容器80の開口部80aを下方に開放して、搬送容器80に収容された肥料を、貯留ホッパー14に供給できるように構成されている。
なお、搬送容器80に肥料を入れていない状態では、弾性バネの付勢力により開口部80aが底蓋82で塞がれており、この状態で、搬送容器80に肥料を入れると、肥料の重さにより開口部80aが底蓋82で塞がれた状態を維持できる。
図17及び図18に示すように、延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bを搬送ガイドとして用いる場合には、畦等の近くに延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの前端部を近づける。そして、まず、施肥装置13の貯留ホッパー14の蓋14aを開放し、貯留ホッパー14から空になった搬送容器80を取り出して、空になった搬送容器80を延長状態での上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの後部に載せて前方に少し押すことで、空になった搬送容器80が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの上を前方に移動する。
次に、畦等の作業者が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの前部に移動した搬送容器80を畦等に降ろして、肥料袋F等からの肥料を搬送容器80に入れる。そして、肥料を入れた搬送容器80を、畦等から上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの前部に載せて後方に少し押すことで、肥料を入れた搬送容器80が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの上を後方に移動する。
肥料を入れた搬送容器80が上側又は下側の予備苗載せ台A,Bの後部に移動すると、作業者が搬送容器80の操作具81を握って、搬送容器80を貯留ホッパー14に装着する。上記の作業を繰り返すことで、肥料を入れた複数の搬送容器80を貯留ホッパー14に装着することができる。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、及び[発明の実施の第1別形態]においては、支持フレーム25の横外側に予備苗載せ台30を備えた例を示したが、図20に示すような予備苗載せ台30を採用してもよい。図20は、この別実施形態での乗用型田植機の正面図である。なお、後述する以外の他の構成は、前述の[発明を実施するための最良の形態]、又は[発明の実施の第1別形態]と同様である。
図20に示すように、支持フレーム25の横外側における倒伏姿勢での上部予備苗載せ台26の下側には、合計3段の搬送ガイドとしては機能しない通常の予備苗載せ台130が上下に並べて配設されており、上段の予備苗載せ台130uの後部を中段の予備苗載せ台130mの前部に連結し、下段の予備苗載せ台130dの前部を中段の予備苗載せ台130mの後部に連結することで、この3段の予備苗載せ台130を延長状態に切り換えることができるように構成されている。
支持フレーム25の横内側には、合計3段の予備苗載せ台30が上下に並べて配設されており、上段の予備苗載せ台30uの後部を中段の予備苗載せ台30mの前部に連結し、下段の予備苗載せ台30dの前部を中段の予備苗載せ台30mの後部に連結することで、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様に、3段の予備苗載せ台30を延長状態に切り換えて、予備苗載せ台30が搬送ガイドとして機能するように構成されている。
これにより、乗用型田植機の全高を低く抑えながら、予備苗載せ台30,130に多く苗G(予備苗)を載置できると共に、支持フレーム25の横内側に配設された予備苗載せ台30を延長状態に切り換えて、搬送台60又は搬送容器80を用いて、畦等から貯留ホッパー14への肥料の補給を容易に行うことができる。
なお、この別実施形態では、支持フレーム25の横外側に配設した予備苗載せ台130を延長状態に切り換えることができるように構成した例を示したが、延長状態に切り換えることができない予備苗載せ台(図示せず)を、支持フレーム25の横外側に多段に設ける構成を採用してもよい。
また、この別実施形態では、搬送ガイドとしては機能しない予備苗載せ台130を支持フレーム25の横外側に配設し、搬送ガイドとして機能する予備苗載せ台30を支持フレーム25の横内側に配設した例を示したが、搬送ガイドとして機能する予備苗載せ台30を支持フレーム25の横外側及び横内側の両方に配設してもよく、搬送ガイドとして機能しない予備苗載せ台130を支持フレーム25の横内側に配設し、搬送ガイドとして機能する予備苗載せ台30を支持フレーム25の横外側に配設してもよい。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、及び[発明の実施の第2別形態]においては、ローラー36やガイド部35A等を備えて延長状態での予備苗載せ台30が搬送ガイドとして機能するように構成した例を示したが、図21に示すように、予備苗載せ台30とは別に搬送ガイドを装備する構成を採用してもよい。図21は、この別実施形態での予備苗載せ台30の正面図である。
図21(a)に示すように、支持フレーム25には、ブラケット32を介して支持部材31が連結されており、この支持部材31の上部に苗受け体35が連結されて、予備苗載せ台30が構成されている。
支持部材31の横外側の端部には、搬送ガイドとしてのガイドレール84が予備苗載せ台30の側部に沿って連結されており、このガイドレール84に搬送台160が連結されている。これにより、搬送台160が予備苗載せ台30の側部に沿って前後にスライド自在に支持されている。
なお、予備苗載せ台30は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様に、延長状態に切り換えることができるように構成されており、ガイドレール84は、延長状態での予備苗載せ台30の略全長に亘って配備されている。
これにより、延長状態での予備苗載せ台30の前部に搬送台160をスライド移動させて、搬送台160に肥料袋Fを載置し、搬送台160及び肥料袋Fを後方に押してスライド移動させることで、肥料袋Fを予備苗載せ台30の後部に移動させることができる。
図21(b)に示すように、支持フレーム25には、ブラケット32を介して支持部材31が連結されており、この支持部材31の上部に苗受け体35が連結されて、予備苗載せ台30が構成されている。
支持部材31の横外側の端部には、搬送ガイドとしてのガイドレール84が予備苗載せ台30の側部に沿って連結されており、このガイドレール84に搬送容器180が着脱自在に取り付けられている。これにより、搬送容器180が予備苗載せ台30の側部に沿って前後にスライド自在に支持されている。
なお、予備苗載せ台30は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様に、延長状態に切り換えることができるように構成されており、ガイドレール84は、延長状態での予備苗載せ台30の略全長に亘って配備されている。
これにより、延長状態での予備苗載せ台30の前部に搬送容器180をスライド移動させて、搬送容器180に肥料袋Fからの肥料を入れて、搬送容器180を後方に押してスライド移動させることで、肥料を入れた搬送容器180を予備苗載せ台30の後部に移動させることができる。この場合、ガイドレール84から搬送容器180を取り外して、搬送容器180を貯留ホッパー14まで移動させる。
図21(c)に示すように、支持フレーム25には、ブラケット32を介して支持部材31が連結されており、この支持部材31の上部に苗受け体35が連結されて、予備苗載せ台30が構成されている。
支持部材31の横外側の端部には、搬送ガイドとしてのガイドレール84が予備苗載せ台30の側部に沿って連結されており、このガイドレール84に引っ掛け手段85が連結されている。引っ掛け手段85は、例えば釣り針状のフック金具で構成されている。これにより、引っ掛け手段85が予備苗載せ台30の側部に沿って前後にスライド移動自在に支持されている。
なお、予備苗載せ台30は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様に、延長状態に切り換えることができるように構成されており、ガイドレール84は、延長状態での予備苗載せ台30の略全長に亘って配備されている。
これにより、延長状態での予備苗載せ台30の前部に引っ掛け手段85をスライド移動させて、引っ掛け手段85に肥料袋Fを引っ掛けて、引っ掛け手段85及び肥料袋Fを後方に押してスライド移動させることで、肥料袋Fを予備苗載せ台30の後部に移動させることができる。
なお、この別実施形態では、ガイドレール84を、予備苗載せ台30の支持部材31に連結した例を示したが、ガイドレール84を異なる部材に連結する構成を採用してもよい。具体的には、例えば支持フレーム25の横外側又は横内側に直接的にガイドレール84を連結する構成を採用してもよく、例えば支持部材25とは別の機体前部から立設されたフレーム部材(図示せず)にガイドレール84を連結する構成を採用してもよい。この場合、ガイドレール84を予備苗載せ台30とは別に支持フレーム25側に折り畳むように構成してもよい。
また、この別実施形態では、支持部材31の横外側に、搬送ガイドとしてのガイドレール84を介して搬送台160、又は搬送容器180を連結した例を示したが、支持部材31の上部又は苗受け体35の上部にガイドレール84を介して搬送台160、又は搬送容器180を連結する構成を採用してもよい。
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、及び[発明の実施の第3別形態]においては、搬送台60,160、搬送容器80,180、又は引っ掛け手段85を人力で前後に移動する構成を採用した例を示したが、搬送台60,160、搬送容器80,180、又は引っ掛け手段85を自動で前後に移動する構成を採用してもよい。以下、その一例として、図22に基づいて搬送台60又は搬送容器80を自動で前後に移動する場合を例に説明する。図22は、この別実施形態における延長状態での予備苗載せ台A,Bの平面図である。
図22に示すように、予備苗載せ台30の苗受け体35には、複数のローラー36が左右向きの軸心周りで回動自在に支持されている。苗受け体35の後部における左右中央部には、駆動プーリー86が左右向きの軸心周りで回動自在に支持されており、苗受け体35の前部における左右中央部には、従動プーリー87が左右向きの軸心周りで回動自在に支持されている。
駆動プーリー86には、電動モータ88が連動連結されており、駆動プーリー86と従動プーリー87とに亘ってゴム又は樹脂製の搬送ベルト89が巻回張設されている。搬送ベルト89の上面側の搬送面は、ローラー36の上端の高さよりも少し高い位置に位置するように設定されており、滑り難い凹凸部等を有する形状又は滑り難い材質で構成されている。
なお、延長状態での前後中央部に位置する予備苗載せ台30mに加えて、延長状態の前部及び後部に位置する予備苗載せ台30u,30dにも、同様の駆動プーリー86、従動プーリー87、及び電動モータ88が装備されており、予備苗載せ台30の側部に設けられた操作スイッチ(図示せず)を操作することで、すべての電動モータ88の正逆転及び停止が同時に行えるように構成されている。
なお、電動モータ88で駆動プーリー86を駆動する構成に代えて、駆動プーリー86をモータープーリーで構成して駆動する構成を採用してもよく、また、搬送ベルト89を廃止して駆動プーリー86の回転駆動によって搬送台60又は搬送容器80を搬送する構成を採用してもよい。
以上により、電動モータ88を正転させることで、延長状態での予備苗載せ台30の前部に載置された搬送台60又は搬送容器80を、搬送ベルト89により自動的に後方に搬送することができ、電動モータ88を逆転させることで、延長状態での予備苗載せ台の後部に載置された搬送台60又は搬送容器80を、搬送ベルト89により自動的に前方に移動させることができる。なお、延長状態での予備苗載せ台30を畦等から苗のせ台10への苗Gの補給に用いる場合にも、同様に、搬送ベルト89により自動的には搬送することができる。
この別実施形態では、搬送台60又は搬送容器80を自動的に移動する例を示したが、搬送台160、搬送容器180、又は引っ掛け手段85を自動的に移動する構成を採用してもよい。
また、搬送ベルト89及び駆動プーリー86等によるベルト伝動機構により、搬送台60又は搬送容器80を自動的に移動する例を示したが、異なる伝動機構を採用してもよい。具体的には、例えば、タイミングベルト等の異なるベルト伝動機構(図示せず)や、伝動チェーン及びスプロケットによるチェーン伝動機構(図示せず)等を採用してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、及び[発明の実施の第3別形態]においては、機体の前部から施肥装置13に向かって、搬送ガイドとしての予備苗載せ台30及びガイドレール84を前後向きに配設した例を示したが、機体の外側から施肥装置13に向かって搬送ガイドを配設する構成として異なる構成を採用してもよい。具体的には、例えば、機体の横外側(右側又は左側)から施肥装置13に向かって搬送ガイドを左右向きに配設する構成を採用してもよく、例えば、機体の右側前方又は左側前方から施肥装置13に向かって斜めに搬送ガイドを配設する構成を採用してもよい。
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、[発明の実施の第3別形態]、及び[発明の実施の第4別形態]においては、苗G(予備苗)の長手方向が前後向きになるように、予備苗載せ台30に前後向きの苗G(予備苗)を載置できるように構成した例を示したが、図23及び図24に示すように、苗G(予備苗)の長手方向が左右向きになるように、予備苗載せ台230に左右向きの苗G(予備苗)を載置できるように構成してもよい。図23は、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bが延長状態での乗用型田植機前部の平面図であり、図24は、延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bの側面図である。
図23に示すように、予備苗載せ台230u,230m,230dは、その上部に長手方向が左右向きの苗G(予備苗)を載置できるように、その幅が幅広に設定されており、前部及び後部ストッパ48,49も、その上部に長手方向が左右向きの苗G(予備苗)を載置できるように、その幅が幅広に設定されている。
図23及び図24に示すように、上側及び下側の3段の予備苗載せ台A,Bを共に延長状態に切り換えることで、延長状態での上側の予備苗載せ台Aに左右向きの6枚の苗G(予備苗)を載置することができ、延長状態での下側の予備苗載せ台Bに左右向きの6枚の苗G(予備苗)を載置することができる。この場合、上部予備苗載せ台26に1枚の苗G(予備苗)を載置できるので、右側又は左側の予備苗載置部Xに13枚(右側及び左側の予備苗載置部Xに合計26枚)の苗G(予備苗)を搭載することができる。
更に、延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bにおいて、前部及び後部ストッパ48,49を延長姿勢に姿勢変更することで、前部及び後部ストッパ48,49の上にそれぞれ1枚の苗G(予備苗)を載置できるので、一対の前部及び後部ストッパ48,49を延長姿勢に姿勢変更すると、前部及び後部ストッパ48,49により延長された部分に、2枚の苗G(予備苗)を載置でき、右側又は左側の予備苗載置部Xに17枚(右側及び左側の予備苗載置部Xに合計34枚)の苗G(予備苗)を搭載することができる。
なお、この別実施形態での乗用型田植機の苗植付装置6は、8条植え付け仕様であるので、右側及び左側の予備苗載置部Xに搭載する苗G(予備苗)の枚数を合計で8の倍数に設定すれば、過不足なく苗のせ台10に苗を補給できる。従って、例えば、上部予備苗載せ台26に苗G(予備苗)を載置しないで、延長状態での上側及び下側の予備苗載せ台A,Bにおいて、前部及び後部ストッパ48,49をそれぞれ延長姿勢に姿勢変更して、右側又は左側の予備苗載置部Xに16枚(右側及び左側の予備苗載置部Xに合計32枚)の苗G(予備苗)を搭載してもよい。
これにより、多くの苗G(予備苗)を予備苗載せ台230に載置して植付作業を行うことができ、連続的な苗植付作業が可能になって、苗植付作業の効率化を図ることができる。
なお、この別実施形態では、上部予備苗載せ台26の下側に6段の予備苗載せ台230を備えた例を示したが、上部予備苗載せ台26の下側に3段の予備苗載せ台230を装備する構成を採用してもよく、上部予備苗載せ台26を廃止した構成を採用してもよい。
[発明の実施の第6別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、[発明の実施の第3別形態]、[発明の実施の第4別形態]、及び[発明の実施の第5別形態]においては、上段及び下段の予備苗載せ台30u,30dを支持フレーム25に着脱自在に支持し、支持フレーム25から取り外した上段及び下段の予備苗載せ台30u,30dを中段の予備苗載せ台30mに連結することで、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bを格納状態から延長状態に切り換えるように構成した例を示したが、上側及び下側の予備苗載せ台A,Bを格納状態から延長状態に切り換える構成として異なる構成(例えば、折り畳み式)を採用してもよい。以下、図25に基づいてその一例について説明する。図25は、この別実施形態での予備苗載せ台330の側面図であり、図25(a)は、延長状態での予備苗載せ台330の側面図であり、図25(b)は、格納状態での予備苗載せ台330の側面図である。
図25(a)に示すように、前後中央の予備苗載せ台330mは、支持フレーム25に固定された前後に長い左右のパイプ部材131aを備えた支持部材131と、この支持部材131の上部に固定された苗受け体135とを備えて構成されている。支持部材131の前部及び後部における下部には、前部及び後部ブラケット90,91が固定されている。
前側の予備苗載せ台330uは、前後に長い左右のパイプ部材133aを備えた支持部材133と、この支持部材133の上部に固定された苗受け体135とを備えて構成されている。支持部材133の左右のパイプ部材133aには、連結パイプ92が内嵌固定されており、支持部材133の後部における下部には、ブラケット93が固定されている。前部ブラケット90には、連結部材94が左右向きの軸心周りで回動自在に支持されており、この連結部材94に形成された長穴にブラケット93が連係されている。
後側の予備苗載せ台330dは、前後に長いパイプ部材133aを備えた支持部材133と、この支持部材133の上部に固定された苗受け体135とを備えて構成されている。支持部材133の左右のパイプ部材133aには、連結パイプ95が内嵌固定されており、支持部材133の前部における下部には、ブラケット96が固定されている。ブラケット96には、長穴が形成されており、この長穴に後部ブラケット91が連係されている。
前後中央の予備苗載せ台330mの横外側の側部には、ピン97が固定されており、前側及び後側の予備苗載せ台330u,330dの横外側の側部には、一端部が枢支連結され他端部が着脱自在な状態で、アーム部材98,99が取り付けられている。
図25(b)に示すように、予備苗載せ台330の格納状態から、アーム部材98の他端部を苗受け体135から取り外し、予備苗載せ台330uを上側に持ち上げて連結パイプ92を予備苗載せ台330mのパイプ部材131aに前方から内嵌する。そして、アーム部材99の他端部をピン97から取り外し、予備苗載せ台330dを上側に持ち上げて連結パイプ95を予備苗載せ台330mのパイプ部材131aに後方から内嵌する。これにより、予備苗載せ台330を格納状態から延長状態に切り換えることができる。
この場合、予備苗載せ台330の延長状態では、連結パイプ92,95がパイプ部材131aに内嵌されるので、前側及び後側の予備苗載せ台330u,330dを強固に前後中央の予備苗載せ台330mに連結できる。
図25(a)に示すように、予備苗載せ台330の延長状態から、後側の予備苗載せ台330dを後方に引っ張って下方に揺動させて、予備苗載せ台330dの側部からアーム部材99の他端部を取り外す。そして、予備苗載せ台330dを少し上方に持ち上げてアーム部材99の他端部を支持部材131のピン97に連係する。
次に、前側の予備苗載せ台330uを前方に引っ張って下方に揺動させて、予備苗載せ台330uの側部からアーム部材98の他端部を取り外す。そして、予備苗載せ台330uを少し上方に持ち上げてアーム部材98の他端部を苗受け体135に連係する。これにより、予備苗載せ台330を延長状態から格納状態に切り換えることができる。
以上により、予備苗載せ台330を延長状態と格納状態との間で簡易迅速に切り換えることができ、予備苗載せ台330の状態切換を容易に行うことができる。
なお、この別実施形態では、後側の予備苗載せ台330dの下側に前側の予備苗載せ台330uを折り畳むように構成した例を示したが、前側の予備苗載せ台330uを先に折り畳んで、前側の予備苗載せ台330uの下側に後側の予備苗載せ台330dを折り畳むように構成してもよく、前側又は後側の予備苗載せ台330u,330dを前後中央の予備苗載せ台330mの上側に折り畳むように構成してもよい。
[発明の実施の第7別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、肥料袋Fを運転座席12のシートバック12bに支持させて、肥料袋Fの肥料を貯留ホッパー14に補給するように構成した例を示したが、図26に示すような肥料袋載置台70を備える構成を採用してもよい。図26は、この別実施形態での肥料袋載置台70付近の側面図である。
図26に示すように、運転座席12の右横外側のフロア11から一段上がった部分に、貯留ホッパー14へ肥料を補給する際に肥料袋Fを載置する肥料袋載置台70が装備されている。
肥料袋載置台70は、肥料袋Fを載置する上部支持部材71と、フロア11に固定する下部連結部材72とを備えて構成されており、上部支持部材71と下部連結部材72とが、パンタグラフ式のリンク機構73により連結されている。上部支持部材71の前後及び左右中央部と下部連結部材72とに亘って、ガスダンパ74が装着されており、ガスダンパ74に封入された膨張用ガスによる膨張力が、ガスダンパ74を伸長させる側に作用するように構成されている。これにより、ガスダンパ74が伸長し上部支持部材71が上昇した上昇位置(図26の実線の位置)と、ガスダンパ74が短縮し上部支持部材71が下降した下降位置(図26の2点鎖線の位置)とに高さ変更自在に、肥料袋載置台70が構成されている。
肥料袋載置台70には、ロック機構(図示せず)が装備されており、このロック機構により、肥料袋載置台70を上昇位置及び下降位置で保持できるように構成されている。ロック機構には、操作具としての操作ペダル(図示せず)が装備されており、操作ペダルを踏み込み操作すると、ロック機構による肥料袋載置台70の位置保持が解除され、操作ペダルの踏み込み操作を止めると、ロック機構によって肥料袋載置台70の位置が保持されるように構成されている。
例えば、ロック機構の操作ペダルを踏み込み操作した状態で、ガスダンパ74の膨張力に抗して上部支持部材71を下方に押し下げて(例えば、上部支持部材71を手で下方に押し下げて)、肥料袋載置台70を下降位置に位置変更する。そして、ロック機構の操作ペダルの踏み込み操作を止めて、肥料袋載置台70の下降位置を保持する。
次に、肥料袋載置台70が下降位置に位置変更された状態で、肥料袋Fを上部支持部材71の上に載置し、再びロック機構の操作ペダルを踏み込み操作する。これにより、ロック機構による肥料袋載置台70の下降位置での位置保持が解除され、ガスダンパ74による膨張力が作用して、肥料袋Fを載置した上部支持部材71が上昇位置(又は上昇位置付近)に上昇する。
これにより、肥料袋Fを下降位置での肥料袋載置台70の上に載置して、肥料袋載置台70により貯留ホッパー14の上部の高さまで肥料袋Fを上昇させることができる。その結果、例えば肥料袋Fを作業者が持ち抱えた状態で、貯留ホッパー14に肥料を補給する場合に比べ、作業者の労力を軽減でき、貯留ホッパー14への肥料の補給作業の作業性を向上できると共に、例えば肥料袋Fを持ち上げなくてもよくなって、作業者の労力を軽減できる。
上昇位置での上部支持部材71の高さは、貯留ホッパー14の上端より少し高い位置に設定されており、上昇位置での上部支持部材71の後端の位置は、貯留ホッパー14の前端の近傍に設定されているので、開封した肥料袋Fからの肥料が、上部支持部材71と貯留ホッパー14との間の隙間からこぼれることを防止できる。
なお、肥料袋載置台70として異なる構造を採用してもよい。具体的には、例えばガスダンパ74に代えて他のアクチュエータ(例えば油圧式のダンパ等,図示せず)や弾性バネ等を用いた構造を採用してもよく、例えば操作ハンドル(図示せず)を操作具として設けて手で昇降させる構造を採用してもよい。
また、肥料袋載置台70の簡易な構造として、例えばリンク機構73やガスダンパ74を廃止し、上部支持部材71と下部連結部材72とを剛体のフレーム部材(図示せず)により連結して、高さ変更不能な肥料袋載置台70を構成してもよい。この場合、肥料袋載置台70の高さを前述の上昇位置での高さに設定してもよい。
また、運転座席12の右横外側に肥料袋載置台70を配設した例を示したが、貯留ホッパー14の近傍の異なる位置に肥料袋載置台70を配設してもよい。具体的には、例えば運転座席12の左横外側又は後側に肥料袋載置台70を配設してもよく、例えば運転座席12の右又は左横外側のフロア11上又は補助ステップ14上に肥料袋載置台70を配設してもよい。
[発明の実施の第8別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、及び[発明の実施の第1別形態]においては、予備苗載せ台30側に、抵抗低減部材としてのローラー36を備えた例を示したが、搬送台60又は搬送容器80側に、抵抗低減部材を備える構成を採用してもよい。具体的には、例えば、搬送台60又は搬送容器80の下部に左右方向の軸心周りで複数のローラー(図示せず)を回動自在に備え、この複数のローラーで抵抗低減部材を構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、及び[発明の実施の第1別形態]においては、ローラー36で抵抗低減部材を構成した例を示したが、ローラー36以外で抵抗低減部材を構成してもよい。具体的には、ローラー36に代えて、例えば、車輪、キャスター、ボールキャスター等(図示せず)で抵抗低減部材を構成してもよい。
また、例えば、ローラー36等を介さずに苗受け体35の上面に直接的に搬送台60又は搬送容器80を滑らすように構成してもよい。この場合、苗受け体35を滑り易い材料で構成すると共に、この苗受け体35の上面を凹凸の少ない滑り易い形状に成形する等して、搬送台60又は搬送容器80が苗受け体35の上面を滑り易くなるように、抵抗低減部材を構成してもよく、搬送台60又は搬送容器80を滑り易い材料で構成して、搬送台60又は搬送容器80が苗受け体35の上面を滑り易くなるように、抵抗低減部材を構成してもよい。
また、例えば、苗受け体35の上面や、搬送台60又は搬送容器80の下部に、滑り易い低摩擦材等を貼付、塗布、又は固定する等して、搬送台60又は搬送容器80が苗受け体35の上面を滑り易くなるように、抵抗低減部材を構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、搬送ガイドとして機能する延長状態での予備苗載せ台A,Bにおいて、搬送台60を使用して肥料袋Fを搬送するように構成した例を示したが、簡易には、搬送台60を使用せずに、ローラー36により形成された搬送面36Aの上に直接的に肥料袋Fを載せて、肥料袋Fを搬送するように構成してもよい。この場合、苗受け体35にローラー36を密に配設し、肥料袋Fが前後のローラー36の間に落ち込み難くなるように、抵抗低減部材を構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、及び[発明の実施の第1別形態]においては、苗受け体35の底部に左右向きの軸心周りで回動自在にローラー36を備えた例を示したが、例えば、苗受け体35の側部(側壁部35a又はガイド部35A)に、上下向きの軸心周りで回動自在に複数のローラー(図示せず)を支持し、搬送台60又は搬送容器80の横側面の片側又は両側がこのローラーに接当しながら移動するように、抵抗低減部材を構成してもよい。
[発明の実施の第9別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、[発明の実施の第3別形態]、[発明の実施の第4別形態]、[発明の実施の第5別形態]、[発明の実施の第6別形態]、[発明の実施の第7別形態]、及び[発明の実施の第8別形態]においては、苗植付け装置6を8条植え付け仕様に構成した例を示したが、異なる植え付け条仕様の苗植付装置(図示せず)を備えた乗用型田植機においても同様に適用できる。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、[発明の実施の第3別形態]、[発明の実施の第4別形態]、[発明の実施の第5別形態]、[発明の実施の第6別形態]、[発明の実施の第7別形態]、及び[発明の実施の第8別形態]においては、農作業機の一例として乗用型田植機を示したが、異なる農作業機においても同様に適用でき、乗用型の農作業機に限らず歩行型の農作業機にも適用できる。具体的には、例えば播種機においても同様に適用でき、例えば野菜用の移植機等おいても同様に適用できる。この場合、例えば播種機であれば種籾を搬送するように構成してもよく、例えば移植機であればポット苗を搬送し、搬送されたポット苗から苗を取り出して移植するように構成してもよい。