JP2009261101A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センシング信号に対応する電流成分を精度良く抽出することができ、これにより、モータを安定に制御することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】電流指令値生成部11は、モータ3からトルクを発生させるための電流指令値Idq *を生成する。センシング信号生成部21は、所定のセンシング周波数の正弦波状センシング信号を生成する。このセンシング信号がモータ3のステータに注入される。センシング信号に対するモータ3の応答が電流センサ9によって検出される。減算部24は、検出電流Iαβから電流指令値Iαβ *を差し引くことで、電流指令値Iαβ *の影響を抑制し、センシング信号に対応した電流応答信号Iαβeを生成する。位置推定部20は、電流応答信号Iαβeの波形のピークに基づき、ロータの回転位置を推定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ブラシレスモータをセンサレス駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置における操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転位置を検出するための位置センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。しかし、位置センサの耐環境性が問題となるうえ、高価な位置センサおよびこれに関連する配線がコストの削減を阻害し、かつ、小型化を阻害している。そこで、位置センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。
ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、図4(a)に示すように、ロータ50の回転中心を原点とする二相固定座標であるαβ座標の原点まわりにロータ50の回転方向に沿って回転する高周波電圧ベクトル(大きさは一定)が形成される。より具体的には、このような高周波電圧ベクトルが形成されるように、正弦波の高周波探査電圧であるセンシング信号がU,V,W相のステータ巻線51,52,53に印加される。高周波電圧ベクトルは、ロータ50の回転速度に対して十分に高速に回転する電圧ベクトルである。この高周波電圧ベクトルの印加に伴って、U,V,W相のステータ巻線51,52,53に電流が流れる。この三相の電流の大きさおよび方向をαβ座標上で表した電流ベクトルは、原点まわりに回転することになる。
ロータ50のインダクタンスは、磁束方向に沿う磁極軸であるd軸と、これに直交するq軸(トルク方向に沿う軸)とで異なる値をとる。そのため、電流ベクトルの大きさは、d軸に近い方向の場合に大きく、q軸に近い方向の場合に小さくなる。その結果、図4(b)に示すように、電流ベクトルの終点は、αβ座標上において、ロータ50のd軸方向を長軸とする楕円形の軌跡55を描く。
したがって、電流ベクトルの大きさは、ロータ50のN極方向およびS極方向において極大値を有する。すなわち、図5(a)の曲線L2に示すように、電流ベクトルの1周期において、その大きさは、2つの極大値を有する。この場合、電圧ベクトルの大きさが十分に大きければ、ステータの磁気飽和の影響により、ロータ50のN極側の方がS極側よりもインダクタンスが小さくなり、N極方向の電流ベクトルの大きさが最大値をとることになる(曲線L1参照)。
そこで、十分に大きな高周波電圧ベクトルを印加してN極に対応した電流ベクトルの極大を特定しておき、その後は、大きさを小さくした高周波電圧ベクトルを印加し、電流ベクトルの極大値に基づいて、ロータ50の回転位置を推定することができる。より具体的には、大きさが極大値をとるときの電流ベクトルのα軸成分Iαおよびβ軸成分Iβにより、ロータ50の位相角(電気角)θは、θ=Tan-1(Iβ/Iα)として求められる。
特開2004−343963号公報
ロータ停止時またはロータ低速回転時には、モータからトルクを発生させるためのモータ指示電流に対応する駆動信号にセンシング信号が重畳されてモータに供給される。そのため、モータ電流の応答から、センシング信号に対応した高周波電流成分を抽出するためのフィルタが必要となる。
しかし、たとえば、ロータの回転速度が変化する状況では、トルク発生用電流成分が高周波電流成分抽出用のフィルタを通過してしまい、センサレス駆動のためのアルゴリズムが不安定になりやすくなる。それに応じて、モータの制御が不安定になるという課題がある。
そこで、この発明の目的は、センシング信号に対応する電流成分を精度良く抽出することができ、これにより、モータを安定に制御することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(51〜53)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置(5)であって、前記モータからトルクを発生させるためのモータ指示電流を設定するモータ指示電流設定手段(11)と、正弦波状センシング信号をステータに注入するためのセンシング信号注入手段(21)と、前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段(9,23)と、このモータ電流検出手段によって検出されたモータ電流から前記モータ指示電流設定手段によって設定されたモータ指示電流を差し引いた信号に基づいてロータの回転位置を求める位置推定手段(20)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、モータからトルクを発生させるためのモータ指示電流とセンシング信号とが重畳されてステータに印加される。そして、モータに流れる電流がモータ電流検出手段によって検出される。このモータ電流検出手段によって検出されるモータ電流からモータ指示電流を差し引いた信号に基づいて、ロータの回転位置が求められる。したがって、トルク発生用のモータ指示電流の影響を抑制または排除した状態で、センシング信号に対応する応答電流に基づくロータ回転位置推定が行われる。これにより、センシング信号に対応する電流成分を精度よく抽出することが可能となり、その結果、モータを安定に制御することができるようになる。
請求項2記載の発明は、三角キャリヤ波に基づいて作成したPWM駆動パルスをステータに印加するPWM駆動手段(16,8)をさらに含み、前記モータ電流検出手段は、前記三角キャリヤ波の山および谷と同期する検出タイミングでモータ電流をサンプリングするサンプリング手段(32)と、このサンプリング手段によってサンプリングされたモータ電流に基づいて、当該モータ電流のサンプリングタイミング前後におけるPWM駆動パルスの立ち上がり時間および立ち下がり時間でのモータ電流である、立ち上がり電流および立ち下がり電流を推定する立ち上がり/立ち下がり電流演算手段(33)と、この立ち上がり/立ち下がり電流演算手段によって推定された立ち上がり電流および立ち下がり電流の平均値を演算する平均電流演算手段(34)とを含む、請求項1記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、三角キャリヤ波に基づいてPWM駆動パルスが作成され、このPWM駆動パルスがステータに印加される。これにより、モータからトルクが発生する。PWM駆動パルスのデューティは、モータ指示電流およびセンシング信号に応じた値となる。
モータ電流は、前記三角キャリヤ波の山および谷でサンプリングされる。したがって、PWM駆動パルスのオン期間およびオフ期間の各中間タイミングでモータ電流がサンプリングされることになる。
モータ電流は、PWM駆動パルスの立ち上がりに応じて、所定の過渡応答特性で指数関数的に立ち上がる。また、モータ電流は、PWM駆動パルスの立ち下がりに応じて、所定の過渡応答特性で指数関数的に立ち下がる。そのため、PWM駆動パルスのオン期間の中間タイミングでサンプリングされるモータ電流は、オン期間中の平均電流よりも大きな値となる。また、PWM駆動パルスのオフ期間の中間タイミングでサンプリングされるモータ電流は、オフ期間中の平均電流よりも小さな値となる。したがって、オン期間およびオフ期間の各中間タイミングでサンプリングされるモータ電流は、ロータ位置推定のために用いる代表値(モータの電流を代表する値)としては、必ずしも適切ではない。
この発明では、モータ電流のサンプリングタイミング前後におけるPWM駆動パルスの立ち上がり時間および立ち下がり時間におけるモータ電流である立ち上がり電流および立ち下がり電流が推定される。そして、これらの平均値が求められる。この平均値は、オン期間およびオフ期間の各中間タイミングでサンプリングされるモータ電流自体よりも適切な代表値である。したがって、この平均値を用いることによって、より正確にロータ回転位置を推定することができる。その結果、モータをより安定に制御することができる。
PWM駆動パルスのオン時およびオフ時におけるモータ電流I(相電流)の過渡応答特性は、たとえば、次式A,Bでそれぞれ表すことができる。これらの式A,Bに基づいて、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifを推定することができる。
Figure 2009261101
ただし、Iはモータ電流(相電流)、Eはステータ巻線への印加電圧、Rはステータ巻線の電気抵抗、Lはインダクタンス、tはPWM駆動パルスの立ち上がりからの時間(オン時)、または立ち下がりからの時間(オフ時)である。
モータ電流のサンプリングタイミングに対応する時間tは、PWM駆動パルスの周期とPWM駆動パルスのデューティ比とから求めることができる。したがって、この時間tとサンプリングされたモータ電流Iとを式AまたはBに代入することによって、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifを推定することができる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に操舵補助力を与えるモータ3(電動モータ)と、このモータ3を駆動制御するモータ制御装置5とを備えている。モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクに応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、これに対向するステータに配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ7と、このマイクロコンピュータ7によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)8と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流センサ9とを備えている。
マイクロコンピュータ7は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、電流指令値生成部11と、PI(比例積分)制御部12と、指示電圧生成部13と、γδ/αβ座標変換部14と、αβ/UVW座標変換部15と、PWM制御部16と、UVW/αβ座標変換部17と、αβ/γδ座標変換部18と、偏差演算部19と、位置推定部20と、センシング信号生成部21と、加算部22と、電流前処理部23と、減算部24と、dq/αβ座標変換部25と、高周波電流応答抽出部26を備えている。
電流指令値生成部11は、モータ3のロータ磁極方向に沿うd軸電流成分の指令値Id *と、d軸に直交するq軸電流成分の指令値Iq *とを生成する。以下、これらをまとめて言うときには、「電流指令値Idq *」という。ただし、dq座標平面はロータ50の回転方向に沿う平面であり、d軸およびq軸は、ロータ50とともに回転する二相回転座標系(d−q)を規定する(図2参照)。
モータ3のU相、V相およびW相に与えるべき電流(正弦波電流)の振幅を表す電流指令値I*を用いると、d軸電流指令値Id *およびq軸電流指令値Iq *は、次式(1)(2)のように表される。
d *=0 ……(1)
q *=−(3/2)1/2・I* ……(2)
したがって、電流指令値生成部11は、d軸電流指令値Id *=0を生成する一方で、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクに応じたq軸電流指令値Iq *を生成する。より具体的には、操舵トルクに対応したq軸電流指令値Iq *を記憶したマップ(テーブル)を用いてq軸電流指令値Iq *が生成されるようになっていてもよい。モータ3が発生するトルクは、モータ電流に対応するから、電流指令値Idq *は、モータ3から発生させるべきトルクを指令するための「トルク指令値」と言い換えることもできる。
電流センサ9は、モータ3のU相電流IU、V相電流IVおよびW相電流IWを検出する(以下、これらをまとめていうときには「三相検出電流IUVW」という)。その検出値は、所定のサンプリング周波数wsでサンプリングされてマイクロコンピュータ7に取り込まれ、電流前処理部23による処理を受ける。電流前処理部23は、三相検出電流IUVWを処理することによって、より精度の高い電流値を生成し、UVW/αβ座標変換部17に与える。
UVW/αβ座標変換部17は、電流前処理部23による処理を受けた三相検出電流IUVWを、二相固定座標系(α−β)上での電流IαおよびIβ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iαβ」という。)に座標変換する。二相固定座標系(α−β)とは、ロータ50の回転中心を原点として、ロータ50の回転平面内にα軸およびこれに直交するβ軸を定めた固定座標系である(図2参照)。座標変換された二相検出電流Iαβは、αβ/γδ座標変換部18に与えられる。
αβ/γδ座標変換部18は、二相検出電流Iαβを、位置推定部20によって推定されるロータ回転位置θ^(以下、「推定回転位置θ^」という。)に従う二相回転座標系(γ−δ)上での電流IγおよびIδ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iγδ」という。)に座標変換する。二相回転座標系(γ−δ)は、推定回転位置θ^にロータ50がある場合に、ロータ磁極方向に沿うγ軸と、このγ軸に直交するδ軸とによって規定される回転座標系である(図2参照)。推定回転位置θ^に誤差がなく、実際のロータ回転位置と一致しているとき、二相回転座標系(d−q)と二相回転座標系(γ−δ)とは一致する。
二相検出電流Iγδは、偏差演算部19に与えられるようになっている。この偏差演算部19は、d軸電流指令値Id *に対するγ軸電流Iγの偏差、およびq軸電流指令値Iq *に対するδ軸電流Iδの偏差を演算する。これらの偏差がPI制御部12に与えられてそれぞれPI演算処理を受ける。そして、これらの演算結果に応じて、指示電圧生成部13によって、γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *(以下、これらをまとめていうときには「二相指示電圧Vγδ *」という。)が生成されて、γδ/αβ座標変換部14に与えられる。
γδ/αβ座標変換部14は、γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *を、二相固定座標系(α−β)の指示電圧であるα軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *(以下、これらをまとめていうときには「二相指示電圧Vαβ *」という。)に座標変換する。この二相指示電圧Vαβ *は、αβ/UVW座標変換部15に与えられる。
αβ/UVW座標変換部15は、α軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *を三相固定座標系の指示電圧、すなわち、U相、V相およびW相の指示電圧VU *,VV *,VW *(以下、これらをまとめていうときには「三相指示電圧VUVW *」という。)に変換する。
PWM制御部16は、三相の指示電圧VU *,VV *,VW *に応じて制御されたデューティ比のPWM制御信号を生成して駆動回路8に与える。これにより、モータ3の各相には、該当する相の指示電圧VU *,VV *,VW *に応じたデューティ比で電圧(PWM駆動パルス)が印加されることになる。
PWM制御部16は、三角キャリヤ波を用いてPWM制御信号を生成するものである。具体的には、三角キャリヤ波と三相指示電圧VUVW *に対応するレベルとを比較することによって、三相指示電圧VUVW *に対応したデューティ比のPWM制御信号を生成する。このPWM制御信号によって駆動回路8が制御されることによって、PWM駆動パルスが生成され、このPWM駆動パルスがモータ3のステータ巻線51,52,53に印加されることになる。このように、前記PWM制御部16および駆動回路8によって、モータ3のステータ巻線51〜52にPWM駆動パルスを印加する駆動手段が構成されている。
このような構成によって、舵取り機構2に結合された操作部材としてのステアリングホイール(図示せず)に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、その検出された操舵トルクに応じた電流指令値Idq *が電流指令値生成部11によって生成される。この電流指令値Idq *と二相検出電流Iγδとの偏差が偏差演算部19によって求められ、この偏差を零に導くようにPI制御部12によるPI演算が行われる。この演算結果に対応した二相指示電圧Vγδ *が指示電圧生成部13によって生成され、これが、座標変換部14,15を経て三相指示電圧VUVW *に変換される。そして、PWM制御部16の働きによって、その三相指示電圧VUVW *に応じたデューティ比で駆動回路8が動作することによって、モータ3が駆動され、電流指令値Idq *に対応したアシストトルクが舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクに応じて操舵補助を行うことができる。電流センサ9によって検出される三相検出電流IUVWは、電流前処理部23および座標変換部17,18を経て、電流指令値Idq *に対応するように二相回転座標系(γ−δ)で表された二相検出電流Iγδに変換された後に、偏差演算部19に与えられる。
回転座標系と固定座標系との間での座標変換のためには、ロータ50の回転位置を表す位相角(電気角)θが必要である。この位相角を表す推定回転位置θ^が位置推定部20によって生成され、γδ/αβ座標変換部14およびαβ/γδ座標変換部18に与えられるようになっている。
センシング信号生成部21は、ロータ50の位相角θを推定するために、ステータ巻線51〜53に正弦波状のセンシング信号を注入するセンシング信号注入手段として機能する。このセンシング信号生成部21は、モータ3の定格周波数に比較して十分に高いセンシング周波数wa(たとえば、wa=400Hz)の高周波正弦電圧(図5(b)参照)を、探査電圧として、モータ3のU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53に印加するためのセンシング信号を生成する。より具体的には、ロータ50の回転を引き起こすことのない程度のデューティ比の高周波電圧の印加によって、V−W相通電、W−U相通電およびU−V相通電を順次繰り返させることにより、ロータ50の回転中心まわりで空間的に回転する高周波電圧ベクトルを印加することができるセンシング信号を生成する。この高周波電圧ベクトルは、ロータ50の回転中心を原点とする固定座標であるαβ座標の原点まわりに定速回転する一定の大きさの電圧ベクトルである(図4(a)参照)。
センシング信号生成部21は、この実施形態では、二相指示電圧Vαβ *に重畳すべきセンシング信号を生成する。このセンシング信号は、加算部22によって、二相指示電圧Vαβ *に重畳されるようになっている。
dq/αβ座標変換部25には、電流指令値生成部11が生成する電流指令値Idq *が与えられるようになっている。dq/αβ座標変換部25は、電流指令値Idq *をαβ座標の電流指令値Iα *,Iβ *(これらをまとめていうときには「電流指令値Iαβ *」という。)に変換する。この変換後の電流指令値Iαβ *が、減算部24に与えられるようになっている。
減算部24には、さらに、UVW/αβ座標変換部17から、二相検出電流Iαβが与えられている。減算部24は、二相検出電流Iαβから電流指令値Iαβ *を差し引く。より正確には、α軸検出電流Iαからα軸電流指令値Iα *を差し引いてα軸電流応答信号Iαeを求め、さらに、β軸検出電流Iβからβ軸電流指令値Iβ *を差し引いてβ軸電流応答信号Iβeを求める。以下、これらをまとめていうときには、「電流応答信号Iαβe」という。
γδ/αβ座標変換部14から発生される二相指示電圧Vαβ *は電流指令値Idq *に対応しており、これにセンシング信号が重畳された電圧がモータ3に与えられる。そのため、電流センサ9によって検出されるモータ電流は、センシング信号に対する応答成分のみならず、電流指令値Idq *に対応する成分(トルク指令値の成分)をも含んでいる。
そこで、この実施形態では、減算部24において、二相検出電流Iαβから電流指令値Iαβ *を差し引くことによって、二相検出電流Iαβからセンシング信号に対する応答成分としての電流応答信号Iαβeを抽出するようにしている。この抽出された電流応答信号Iαβeが、高周波電流応答抽出部26に与えられるようになっている。
高周波電流応答抽出部26は、ノイズ成分を除去して、電流応答信号Iαβeからセンシング信号の周波数waに対応する周波数成分を抽出するためのフィルタ処理を行う。このフィルタ処理後の電流応答信号Iαβeが、位置推定部20に与えられるようになっている。
位置推定部20は、電流信号のサンプリング周期Ts(=1/ws)ごとに高周波電流応答抽出部26から与えられる電流応答信号Iαβeに基づいて、ロータ50の回転位置を推定し、推定回転位置θ^を生成する。
図3は、位置推定部20の構成を説明するためのブロック図である。位置推定部20は、電流値演算部27と、電流ピークタイミング抽出部28と、電流同期抽出部29と、ロータ位置演算部30とを備えている。
電流値演算部27は、電流ベクトルの大きさ、すなわち、電流の大きさIを求める。より具体的には、電流値演算部27は、高周波電流応答抽出部26から与えられる電流応答信号Iαβeに基づいて、電流の大きさIを演算する。たとえば、次式(3)に従って、電流の大きさIが演算される。
I={Iαe 2+Iβe 21/2 …… (3)
電流ピークタイミング抽出部28は、電流値演算部27によって求められた電流の大きさIが極大値(ピーク値)をとるタイミング(極大値タイミング)を検出する。より具体的には、電流ピークタイミング抽出部28は、センシング信号周期毎にピークホールド処理を行い、そのセンシング信号周期中に電流の大きさIが極大値をとる極大値タイミングを抽出する。この極大値タイミングは、ロータ50の回転位置(位相)に対応する。
電流同期抽出部29は、電流ピークタイミング抽出部28が極大値タイミングtpを生成すると、これに応答して、そのタイミングtpにおける電流応答信号Iαβe(tp)を取り込んで出力する。
ロータ位置演算部30は、電流同期抽出部29から与えられる電流応答信号Iαβe(tp)を用いて、次式(4)に従って、推定回転位置θ^(回転角)を求める。
θ^=Tan-1(Iβe/Iαe) ……(4)
図4(a)は、センシング信号生成部21によって生成されてステータ巻線51,52,53に印加されるセンシング信号(回転探査電圧)に対応する高周波電圧ベクトルを示し、図4(b)は、高周波電圧ベクトルに対する電流ベクトルの応答を示す。回転探査電圧の印加により形成される高周波電圧ベクトルは、一定の大きさを有し、αβ座標の原点まわりに定速で回転する。このとき、ロータ50の極位置に応じて電流ベクトルの大きさが変化する。より具体的には、ロータ50のN極およびS極に対応する位置で電流ベクトルの大きさ、すなわち電流の大きさIが極大値をとり、それらに対して電気角で90度だけ異なる2つの位置で電流の大きさIが極小値をとる。その結果、電流ベクトルの終点は、αβ座標の原点のまわりに楕円形の軌跡55を形成することになる。その楕円形は、ロータ50のN極およびS極に対応する長軸方向を有する。
図5(a)は、電流波形の一例を示す波形図である。すなわち、電流の大きさIの時間変化の一例が示されている。電流波形には、電流ベクトルの終点が形成する楕円形の軌跡55(図4(b)参照)の2つの長軸方向に対応した極大点P1,P2が現れる。
ロータ50の角速度ωが高周波電圧ベクトルの回転速度に対して十分に小さいときには、高周波電圧ベクトルの1周期中に、電流の大きさIは、2度の極大点P1,P2をとる。この状態が図5(a)の曲線L2に示されている。
前述のとおり、電流センサ9が出力する電流信号波形には、センシング信号に対する応答電流成分の他に、モータ3からトルクを発生させるための電流指令値Idq *に対応する電流成分が含まれている。この電流指令値Idq *に対応する電流成分が減算器24で抑制または排除されることによって、図4(b)に示すように大きさが変化し、図5(a)に示すような波形が得られる。
図6は、電流前処理部23の構成を説明するためのブロック図である。電流前処理部23は、サンプリングタイミング生成部31と、サンプリング部32と、立ち上がり/立ち下がり電流演算部33と、平均電流演算部34とを備えている。
サンプリングタイミング生成部31は、PWM制御信号生成のために用いられる三角キャリヤ波をPWM制御部16から受け、その三角キャリヤ波の山部および谷部の両方に同期するタイミングで、サンプリング部32に対してサンプリング指令を与える。
サンプリング部32は、サンプリングタイミング生成部31からサンプリング指令を受けるたびに、その指令を受けたタイミングで、電流センサ9が出力する相電流信号をサンプリングする。
立ち上がり/立ち下がり電流演算部33は、PWM駆動パルスの立ち上がり時間および立ち下がり時間における電流である、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifを推定する。
平均電流演算部34は、立ち上がり/立ち下がり電流演算部33によって推定された立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifの平均値((Ir+If)/2)を演算する。
図7は、電流前処理部23による処理を説明するための図解的な波形図である。図7(a)は、PWM制御信号を生成するために用いられる前述の三角キャリヤ波と、UVW相のうちの1相(たとえばU相)に対応するPWM駆動パルス(相電圧)との波形を表す。図7(b)は、相電圧の印加に対応する相電流(UVW相のうちの対応する1相(たとえばU相)のステータ巻線に現れる電流)の波形を表す。
たとえば、PWM制御部16(図1参照)では、U相指示電圧VU *と三角キャリヤ波とが比較され、その比較結果に対応したU相PWM制御信号が生成される。このU相PWM制御信号に対応する波形のPWM駆動パルス(U相電圧)が、U相ステータ巻線51に印加されることになる。PWM駆動パルスは、たとえば、オン期間には電源電圧となり、オフ期間には零となる。
一方、サンプリングタイミング生成部31は、三角キャリヤ波の山部および谷部のタイミングでサンプリング指令を生成する。このサンプリング指令が生成されるタイミング、すなわち、サンプリングタイミングで、サンプリング部32によって電流センサ9の出力信号がサンプリングされる。サンプリングタイミングでサンプリングされるU相電流を、図7(b)において記号「☆」で表す。
図7(b)から理解されるとおり、サンプリングタイミングは、PWM駆動パルスのオン期間(すなわち、PWM制御信号のオン期間)の中間タイミングと、PWM駆動パルスのオフ期間(すなわち、PWM制御信号のオフ期間)の中間タイミングとに対応している。
立ち上がり/立ち下がり電流演算部33は、サンプリング部32によってサンプリングされた電流信号を既知の過渡応答特性に当てはめる。既知の過渡応答特性は、たとえば、次式(5)(6)で表される。
Figure 2009261101
ただし、IUVWは相電流(U相電流IU、V相電流IVまたはW相電流IW)、Eは駆動回路8への印加電圧(たとえば、電源電圧)、Rはステータ巻線の電気抵抗、Lはインダクタンス、tは時間(PWM駆動パルスの立ち上がりまたは立ち下がりからの時間)である。
図7(b)において、PWM駆動パルスの立ち上がりタイミングにおける相電流である立ち上がり電流Irを記号「○」で表し、その立ち下がりタイミングにおける相電流である立ち下がり電流Ifを記号「●」で表す。
PWM駆動パルスの立ち上がり(t=0)からPWM駆動パルスのオン期間の中間タイミングまでの時間tonは、三角キャリヤ波の周期(PWM周期に等しい。)とデューティ比とから求まる。そこで、PWM駆動パルスのオン期間の中間タイミングでサンプリングされた電流信号(図7中の記号「☆」)と、時間tonとを、前記式(5)に代入することによって、立ち上がり電流Ir(初期値。t=0における相電流IUVW)が求まる。
同様にして、PWM駆動パルスの立ち下がり(t=0)からPWM駆動パルスのオフ期間の中間タイミングまでの時間toffは、三角キャリヤ波の周期とデューティ比から求まる。そこで、PWM駆動パルスのオフ期間の中間タイミングでサンプリングされた電流信号(図7中の記号「☆」)と、時間toffとを前記式(6)に代入することによって、立ち下がり電流If(初期値。t=0における相電流IUVW)が求まる。
立ち上がり/立ち下がり電流演算部33は、PWM駆動パルスの立ち上がり期間および立ち下がり期間のそれぞれにおいて前述のような推定演算を行い、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifを求める。
平均電流演算部34は、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifの平均値を求め、その平均値を前処理後の三相検出電流IUVW(=(Ir+If)/2)として出力する。
相電流は、PWM駆動パルスが立ち上がると、指数関数的に増加する。同様に、PWM駆動パルスが立ち下がると、相電流は指数関数的減少傾向を示す。そのため、PWM駆動パルスのオン期間およびオフ期間の各中間タイミングでサンプリングされた電流値をそのまま用いても、その値は、オン期間およびオフ期間の各平均電流に正確には対応していない。したがって、このサンプリングされた電流値は、そのままでは、ロータ回転位置を推定するための代表値として用いるには必ずしも適切ではない。
そこで、この実施形態では、前述のようにして立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifの平均値を求め、それを前処理後の三相検出電流IUVWとするようにしている。この平均値処理によって得られた三相検出電流IUVWは、サンプリングされたそのままの電流値よりも、モータ電流の代表値としてより適切な値である。したがって、電流前処理部23で処理された後の三相検出電流IUVWを用いることによって、ロータ回転位置の推定精度を高めることができる。
図8は、ロータ50の推定回転位置θ^を求めるために所定の制御周期毎に繰り返し実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。ただし、高周波電圧ベクトルの1周期(センシング信号周期)中に2回現れる電流信号の極大のうちロータ50のN極に対応する極大を特定するための処理(N極判定処理)が、予め行われているものとする。N極判定処理には、公知の方法を適用することができる。たとえば、充分に大きな高周波電圧ベクトルを印加すると、ステータの磁気飽和の影響により、ロータ50のN極側の方がS極側よりもインダクタンスが小さくなり、N極方向の電流ベクトルの大きさが最大値をとることになる(図5(a)の曲線L1参照)。これを利用して、電流波形の2つの極大点のうちの一方をN極に対応する極大点として特定できる。
まず、センシング信号生成部21からセンシング信号がステータ巻線51〜53に注入される(ステップS1)。
一方、センシング信号印加時に電流センサ9が出力する電流信号に対して電流前処理部23による前処理が施される(ステップS2)。これにより、PWM駆動パルスの立ち上がりおよび立ち下がりにそれぞれ対応する立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifの平均値によって表される電流検出値(三相検出電流IUVW)が得られる。
この三相検出電流IUVWをUVW/αβ座標変換部17で二相検出電流Iαβに変換し、減算部24において電流指令値Iαβ *を減じることによって、電流応答信号Iαβeが得られる(ステップS3)。この電流応答信号Iαβeは、高周波電流応答抽出部26によってフィルタ処理され、ノイズ成分が除去されて、センシング信号の周波数に対応する周波数成分が抽出される(ステップS4)。この抽出された信号は、図4(b)および図5(a)に示すような特性を示す。
位置推定部20では、電流値演算部27において、サンプリング周期Ts毎に電流値Iが演算される(ステップS5)。この電流値Iに基づいて、電流ピークタイミング抽出部28は、センシング信号の一周期中の極大値(ただしN極に対応する極大値)に対応する極大値タイミングtpを出力する(ステップS6)。この極大値タイミングtpにおける電流応答信号Iαβeが電流同期抽出部29によって抽出される(ステップS7)。こうして、サンプリング周期Ts中における電流応答信号Iαβeのピーク値がサンプリングされることになる。このサンプリングされた電流応答信号Iαβeのピーク値に基づいて、ロータ位置演算部30は、推定回転位置θ^を求める(ステップS8)。
以上のように、この実施形態によれば、二相検出電流Iαβから電流指令値Iαβ *を差し引くことによって、センシング信号に対応した電流応答信号Iαβeが抽出される。そして、この電流応答信号Iαβeからノイズ成分を除去するためのフィルタ処理を高周波電流応答抽出部26によって行い、このフィルタ処理後の電流応答信号Iαβeを用いて、ロータ50の回転位置が推定される。このように、モータ3からトルクを発生させるための電流指令値Idq *による影響を抑制または排除した電流応答信号Iαβeを用いてロータ50の回転位置が推定されるので、その推定精度を高めることができる。
しかも、この実施形態では、電流前処理部23によって、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifの平均値が三相検出電流IUVWとして出力されるようになっている。これにより、電流検出精度が向上されているので、このことも、位置推定部20によって求められる推定回転位置θ^の精度の向上に寄与している。
このように、ロータ50の回転位置を高精度で推定することができるようになるので、モータ制御装置5によるモータ3の制御を安定化することができ、モータ3から所望のトルクを確実に発生させることができる。したがって、舵取り機構2に適切な操舵補助力を与えることができるので、操舵フィーリングを向上することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、UVW/αβ座標変換部17から生成される二相検出電流Iαβから電流指令値Iαβ *を差し引くようにしているが、UVW/αβ座標変換部17による座標変換前の三相検出電流IUVWから電流指令値を差し引くようにしてもよい。この場合の構成を図9に示す。すなわち、図1におけるdq/αβ座標変換部25に代えて、dq/UVW座標変換部25Aが設けられており、このdq/UVW座標変換部25Aからは、電流指令値Idq *をUVW三相座標系の値に変換した三相電流指令値IUVW *が生成される。そして、減算部24においては、電流前処理部23が生成する三相検出電流IUVWから、三相電流指令値IUVW *が差し引かれるようになっている。したがって、この減算部24は、電流指令値Idq *に対応した電流成分を抑制または排除した電流応答信号IUVWeを生成することになる。この電流応答信号IUVWeは、UVW/αβ座標変換部40によってαβ座標の電流応答信号Iαβeに変換された後、高周波電流応答抽出部26に与えられるようになっている。UVW/αβ座標変換部40は、高周波電流応答抽出部26と位置推定部20との間に置かれてもよい。すなわち、電流応答信号IUVWeに対してノイズ成分を除去するためのフィルタ処理を行った後に、このフィルタ処理後の電流応答信号IUVWeをαβ座標の電流応答信号Iαβeに変換してもよい。
また、前述の実施形態では、電流前処理部23において、立ち上がり電流Irおよび立ち下がり電流Ifの平均値を求めるようにしているが、PWM駆動パルスのオン期間中間点でサンプリングされた電流信号と、PWM駆動パルスのオフ期間中間点でサンプリングされた電流信号との平均値を求める構成としてもよい。
むろん、PWM制御信号を生成するための三角キャリヤ波の山部および谷部でそれぞれサンプリングされる電流信号が充分な精度を有するのであれば、それらをそのまま用いてロータ回転位置の推定を行ってもよい。
また、たとえば、前述の実施形態では、電流の大きさIが極大値をとるときの電流応答信号Iαβeを用いてロータ50の回転位置θを求めているが、電流の大きさIが極大値をとるときの二相指示電圧Vα *,Vβ *を用いて(図1のライン37参照)、次式(7)に従って、推定回転位置θ^を求めるようにしてもよい。
θ^=Tan-1(Vβ */Vα *) …(7)
電圧ベクトルは大きさが一定であるので、歪みの生じている電流ベクトルに比較して、その位相の計算が容易である。したがって、式(7)の適用により、演算処理を簡素化できる。
電流の大きさIが極値をとるときの電圧ベクトルの位相を求めるには、前記の式(7)に従う演算を行う代わりに、センシング信号の印加と同期して計数動作を行うカウンタを用いるようにしてもよい。具体的には、高周波電圧ベクトルがα軸(U相方向に一致)に沿うとき(すなわち、高周波電圧ベクトルの位相が零のとき)に初期化されて計数動作を開始するように繰り返し動作するカウンタを設ける。このカウンタは、たとえば、高周波電圧ベクトルの周期(センシング信号周期)Ta(=1/wa)をi等分(iは1周期当たりのサンプリング数。たとえばi=360)した周期Ta/i毎にカウントアップするもので、その出力は、高周波電圧ベクトルの位相を表す。そこで、図5(c)に示すように、電流の大きさIの極大値が検出された時点でカウンタの計数値を参照すれば、この計数値はロータ50の磁極位置(電流ベクトルの大きさが最大のときの高周波電圧ベクトルの位相角)を表す。
また、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータ3に本発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途のモータの制御に対しても適用が可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 位置推定部の構成を説明するためのブロック図である。 図4(a)はセンシング信号(回転探査電圧)に対応する高周波電圧ベクトルを示し、図4(b)は高周波電圧ベクトルに対する電流ベクトルの応答を示す。 図5(a)は電流波形の例を示し、図5(b)は電圧波形の例を示し、図5(c)は電圧ベクトルの位相を検出するためのカウンタの計数値の変化を表す。 電流前処理部の構成を説明するためのブロック図である。 電流前処理部による処理内容を説明するための波形図である。 ロータ回転位置推定演算の流れを説明するためのフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
符号の説明
5…モータ制御装置、7…マイクロコンピュータ、9…電流センサ、24…減算部、50…ロータ、51,52,53…ステータ巻線

Claims (2)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    前記モータからトルクを発生させるためのモータ指示電流を設定するモータ指示電流設定手段と、
    正弦波状センシング信号をステータに注入するためのセンシング信号注入手段と、
    前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、
    このモータ電流検出手段によって検出されたモータ電流から前記モータ指示電流設定手段によって設定されたモータ指示電流を差し引いた信号に基づいてロータの回転位置を求める位置推定手段とを含む、モータ制御装置。
  2. 三角キャリヤ波に基づいて作成したPWM駆動パルスをステータに印加するPWM駆動手段をさらに含み、
    前記モータ電流検出手段は、
    前記三角キャリヤ波の山および谷と同期する検出タイミングでモータ電流をサンプリングするサンプリング手段と、
    このサンプリング手段によってサンプリングされたモータ電流に基づいて、当該モータ電流のサンプリングタイミング前後におけるPWM駆動パルスの立ち上がり時間および立ち下がり時間でのモータ電流である、立ち上がり電流および立ち下がり電流を推定する立ち上がり/立ち下がり電流演算手段と、
    この立ち上がり/立ち下がり電流演算手段によって推定された立ち上がり電流および立ち下がり電流の平均値を演算する平均電流演算手段とを含む、請求項1記載のモータ制御装置。
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