JP2009260129A - レーザ光線合波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のレーザ光線を簡便に合波することのできるレーザ光線合波装置を提供する。
【解決手段】レーザ光線合波装置1は、合波体10の周囲に複数のレーザ光源16を備えている。合波体10は、断面形状が楕円形状の中空部11を有し、その壁面の全面に反射層12が形成されている。合波体10には、複数の光入射孔13および1つの光出射孔15が設けられている。各レーザ光源16から出射されたレーザ光線は、光入射孔13を通じて中空部11に入り、焦点F1,F2の一方を通る。焦点を通過した複数のレーザ光線は、それぞれ反射層12で複数回の反射を繰り返しつつ、長軸(X軸)に略沿って互いに重ね合わされたのちに光出射孔15から出力される。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のレーザ光線を合波するためのレーザ光線合波装置に関する。
半導体レーザなどのレーザから出力されるレーザ光線は、波長が単一で、位相が揃っているコヒーレントな光であることから、ディスプレイ、各種加工装置などさまざまな分野に利用されているが、これらの分野においては、最近、より高出力のものが望まれている。
その方法の1つとして、複数のレーザ光線を合波させてその光強度を増やす方法がある。このような複数のレーザ光線の合波方法としては、従来、例えばレンズで重ね合わせる方法、p偏光とs偏光のレーザ光線を合波(PS合波)する方法、あるいは波長の異なるレーザ光線を合波する方法がある(非特許文献1)。
レンズで重ね合わせる方法は、図9に示したように、複数のレーザ光源101を並列に配置し、これらレーザ光源101から出射されたレーザ光線をレンズ102により集光し合波させるものである。
PS合波方法は、図10に示したように、偏光ビームスプリッタ(PBS)103に対向させて偏光の異なるレーザ光源101a,101bを配置しておき、一方のレーザ光源101aから出射されたp偏光のレーザ光線をPBS103で透過させ、他方のレーザ光源101bから出射されたs偏光のレーザ光線をPBS103で反射させて、これら透過光と反射光とを合成させる。これにより偏光の異なった(直交した)レーザ光線が1本の光線に合波される。なお、PBS103に変えて偏光プリズムを用いることもできる。
波長の異なるレーザ光線を合波する方法は、図11に示したように、ダイクロイックミラー104に対向させて波長の異なるレーザ光源101c,101dを配置しておき、一方のレーザ光源101cから出射された波長λ1のレーザ光線をダイクロイックミラー104で透過させ、他方のレーザ光源101dから出射された波長λ2のレーザ光線をダイクロイックミラー104で反射させて、これら透過光と反射光とを合成させるものである。
Roland Diehl(Ed.) "High-Power Diode Lasets: fundamentals, Technology, Applications", p310, (2000) Springer-Verlag Berlin Heidelberg New York
上述のように、従来、いくつかの方法があり、光強度を増大させるには有効であるものの、それぞれ以下のような問題があった。まず、複数のレーザ光線をレンズで合波する方法は、重ね合わせが1点に制限されるので、1本の狭い光線束としては形成し難いという問題がある。なお、複数のレーザ光源を隣接して配設し、平行光線を放射させて光線束を得る方法もあるが、レーザ光線の重ね合わせができないので、総合光強度は上がるものの輝度は上がらない。
また、PS合波方法は、p偏光とs偏光の合計2本のレーザ光線のみしか重ね合わせに使うことができないので、重ね合わされたレーザ光線の強度の増大は限られることになってしまう。波長の異なるレーザ光線を合波する方法については、複数のダイクロイックミラーを用いることにより光強度をより高めることができる。すなわち、この方法は、レーザ光線の波長を変えておけば、ダイクロイックミラーでいくらでも合成できる利点がある。しかしながら、この方法では、重ね合わされたレーザ光線の波長が単一でなく、ばらばらになってしまうという問題がある。
このように従来のレーザ光線の合波手法は、光強度を増大させるには有効であるものの、それぞれ問題があり、欠点が少なく、簡便で、かつ有効な手段がないのが現状である。また、合成したレーザ光線を遠方に伝送するには光ファイバに結合することが有効であるが、従来手法ではこの光ファイバに結合させることも容易ではない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数のレーザ光線を簡便に合波することができ、光ファイバへも容易に結合可能なレーザ光線合波装置を提供することにある。
本発明によるレーザ光線合波装置は、断面楕円形の中空部を有する合波体を備えたものである。この合波体は、外部からのレーザ光線を中空部(の楕円形)の2つの焦点のうちいずれか一方の焦点方向へ導く複数の光入射孔と、中空部の壁面に設けられ、入射した複数のレーザ光線を反射しつつ合波する反射層と、反射層により合波されたレーザ光線を外部に導く光出射孔とを有している。
このレーザ光線合波装置では、光入射孔から合波体内に入射した複数のレーザ光線は、中空部の2つの焦点のうち一方の焦点を通過したのち、反射層で反射され、更に、他方の焦点を通過して再度反射層で反射される。反射されたレーザ光線は、このような反射を繰り返しつつ、楕円形の長軸に略平行になると共に互いに重ね合わせられる。
本発明のレーザ光線合波装置によれば、断面楕円形の中空部を有する合波体を用い、その内面に反射層を形成すると共に、2つの焦点のうちいずれか一方を通過するよう複数のレーザ光線を導入させるようにしたので、これら複数のレーザ光線を楕円形の長軸に略平行にすると共に、互いに重ね合わせることができ、これを合波光として外部に導出することができる。よって、レーザ光線の合波を、簡単な構成で実現でき、高出力が要求されるレーザディスプレイ等への適用が可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、具体的な実施の形態の前に、本発明の基本原理について図7を参照しつつ説明する。後述(図1等参照)のように、本発明のレーザ光線合波装置は、中空部10の断面が楕円形状であると共に内壁に反射層を有する合波体10を備え、その楕円形状による光の反射を利用し、複数のレーザ光線の合波を行うものである。
ここで、図7(A)は楕円30の外部から内部へ入射し、焦点F1,F2を通過した光線が反射する様子、図7(B)は同図(A)に示した光線を逆行させたときの光線の反射の様子をそれぞれ表したものである。このような楕円形の内部に光が入射して反射するときの光線の性質は以下のようになる。
図7(A)に示したように、楕円30の外部から内部に入射した光Pinは、一方の焦点F1を通ると、楕円30の内面で反射した後に他方の焦点F2を通過する。これは楕円の特徴によるものである。他方の焦点F2を通過した光は、楕円30の内面での反射を数回繰り返した後、楕円30の長軸(X軸)に略平行な光Pxになる。
光は逆行できるので、図7(B)に示したように、上記X軸に略平行になった光Px1が逆行すれば、数回の反射で短軸(Y軸)に沿うような光Pyに変化することになる。ここで、このようなY軸に略平行になる光Pyは、1つの特徴を持っている。すなわち、Y軸を基準にして楕円30を左半分と右半部に分割すると、光Pyは、楕円30の左半分または右半分の領域の内面で2度の反射R1,R2を繰り返すことができる。図7(B)では、Y軸に略平行になる光Pyは、楕円30の左半分の領域の内面で、連続して2度の反射をしている(反射光R1,R2)。このように楕円30のいずれか一方の半分領域において連続して反射をした光は、その後、互いに反対側の半分領域で反射を繰り返しながら、再度X軸に略平行な光Px2になる。
このことから、内面で光反射が可能な楕円体に、どちらか一方の焦点F1,F2を通るように光が入射された場合には、その光Pinは数回の反射の後に長軸方向にかなり近づいた光Pxになるという性質があることが分かる。本発明は、このような楕円内で反射を繰り返す光線の性質を利用したものである。以下、具体的な実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ光線合波装置1を表すものである。このレーザ光線合波装置1は合波体10の周囲に複数(ここでは2個)のレーザ光源16を備えたものである。なお、これらレーザ光源16は合波体10と一体化されていてもよく,あるいは合波体10とは別体に構成してもよい。
合波体10は、楕円形を長軸(X軸)回りに回転させた回転楕円体の形状を有するものであり、その内部は空洞(中空部11)となっている。中空部11の壁面全面には反射層12が形成されており、外部のレーザ光源16から出射されたレーザ光線を反射するようになっている。なお、合波体10は、少なくとも中空部11の断面形状が楕円形状であればよく、外形は特に制限されるものではない。
合波体10の壁には複数(ここでは2つ)の光入射孔13が設けられており、これら光入射孔13を通じてレーザ光源16から出射されたレーザ光線Pinが入射されるようになっている。光入射孔13の径は、中空部11の壁面(反射層12)で反射した光が外部へ漏れることを防止するために、レーザ光線Pinが通過できる最小限の大きさであればよい。光入射孔13には、コリメータレンズ14が設けられ、中空部11に入射されるレーザ光線Pinを細くコリメート(平行光線化)している。
合波体10には1つの光出射孔15が設けられ、この光出射孔15を通じてレーザ光線が外部へ出射されるようになっている。この光出射孔15の位置は、回転楕円体の長軸X軸が合波体10の壁に交差する2つの位置のうちの一方の位置である。光出射孔15の径もまた、楕円の長軸方向に近くなったレーザ光線Pxが通過できる程度の最小限の大きさとする。中空部11の壁面(反射層12)で反射しているレーザ光線が外部に漏れるのを防止するためである。
レーザ光源16は2つの光入射孔13の近傍位置にそれぞれ配置されている。これらレーザ光源16の向きは、出射したレーザ光線が光入射孔13を経て中空部11に入ったのち、断面楕円形の2つの焦点F1,F2のうちのいずれか一方を通るような向き(焦点方向)にそれぞれ調整されている。
好ましくは、レーザ光源16は、楕円形の長軸X軸に対して略直交するような大きな角度を持って、レーザ光線を中空部11に入射できる向きに設定する。中空部11内で反射を繰り返すレーザ光線がX軸に略平行になるまでの反射の回数を少なくでき、光入射孔13が中空部11の壁面(反射層12)で反射している他のレーザ光線の反射を邪魔することを防止できるからである。すなわち、レーザ光源16は、これから出射したレーザ光線が光入射孔13と、この光入射孔13に近い側の焦点(図1ではF1)とを通過した後、この焦点F1が含まれる領域の反射層12で最初に反射するように向きが調整されていれば、レーザ光線Pinは、X軸に略垂直な角度、すなわちYZ平面に略沿った角度を持つことになる。
このようなレーザ光線合波装置1は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、合波体10を2分割した形状の半合波体を鋳物等によって形成した後、その内面に反射層12を形成する。この反射層12は、レーザ光線を反射できるものであればよく、例えば、蒸着やスパッタ等の成膜法によりAu(金)を成膜することにより、または高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して誘電体多層膜とすることにより形成される。次いで、複数の光入射孔13および光出射孔15を半合波体および反射層12を貫通するように形成する。光入射孔13の位置は、レイトレースシミュレーションを予め行ってレーザ光線が反射される位置を特定し、この位置を避けるようにすればよい。すなわち、光入射孔13の形成位置は、レーザ光線の反射を邪魔しないように、幾何学的に容易に決めることができる。次に、複数の光入射孔13にそれぞれコリメータレンズ14を固着する。
続いて、2つの半合成体を対向させて接合することにより合波体10を得ることができる。最後に、合波体10の周囲の各光入射孔13の近傍に、複数のレーザ光源16をそれぞれ配置して、レーザ光線が光入射孔13と焦点F1、F2とを通る方向にレーザ光源16の姿勢を調整すれば、図1に示したレーザ光線合波装置1となる。
本実施の形態のレーザ光線合波装置1では、レーザ光源16からレーザ光線が出射されると、これらレーザ光線は、光入射孔13に設けたコリメータレンズ14によってコリメートされたのち、合波体10の内部(中空部11)に入射する。内部に入ったレーザ光線Pinは、図1に示したように、一方の焦点F1を通った後、反射層12で反射される。焦点F1は、YZ平面で分割される中空部11の左半分にあるので、この左半分領域において、焦点F1を通った光が最初に反射すると、レーザ光線はY軸に略平行になって中空部11に入射したことになる。この後、レーザ光線Pinは、他方の焦点F2を通過し、さらに中空部11の右半分での反射および左半分での反射を繰り返して、X軸に近いレーザ光線Pxとなる。
このような過程は、もう一方のレーザ光源16から、焦点F1を通るように入射した他のレーザ光線も同様であるので、X軸に近い2つのレーザ光線Pxが互いに重なり合う。従って、中空部11に入射されるレーザ光線Pinの数を増やすと、X軸に近いレーザ光線Pxの重なり合いが多くなり、光線の密度が高まる。なお、ここでの複数のレーザ光線Pxの重なりは、厳密には完全な重なりではないが、実用上有効な重ね合わせになっている。そして、これら複数のレーザ光線が重なり合った光束は、光出射孔15を通って合波体10の外部に出力される。
このように本実施の形態では、断面楕円形状の合波体10の外部に複数のレーザ光源16を設け、これらレーザ光源16から焦点F1,F2に向けてレーザ光線Pinを入射させるようにしたので、内部で反射した複数のレーザ光線Pxを長軸(X軸)に漸近させることができると共に、互いに重ね合わせることができる。これにより光線密度を高めることができ、重ね合わせ後の分離も少なくすることができる。加えて、このレーザ光線合波装置1は、構成が簡単であるので製造コストを安くできると共に、合波体10の形状が回転楕円形状(卵形形状)であるので機械的強度も十分であり、また信頼性も高い。
また、従来技術では凸レンズにより光線の重ね合わせを行っていたが、本実施の形態では、光線の重ね合わせを凸レンズを用いることなく実現できるので、凸レンズで生ずる収差の影響も無い。
更に、このレーザ光線合波装置1では、中空部11に入射されるレーザ光線Pinをコリメータレンズ14によって平行光にするようにしたので、反射層12での反射光の広がりを防止できる。一方、中空部11に入射されるレーザ光線Pinが広がりを持っていると、反射の際に光線の広がりが拡大する。このように反射光が広がりを持つと、光出射孔15から外部に出力されるレーザ光線Pout は、長軸(X軸)に略平行にはなるが、その全体広がり角が大きくなる。つまり、長軸方向に略平行で狭い発散角度の光線を得ることが難しくなってしまう。これに対して、本実施の形態では、光入射孔13にコリメータレンズ14が設けられているので、このような問題が生じることはない。
また、このレーザ光線合波装置1では、ガイド光の導入が容易である。すなわち、光入射孔13から入射する複数のレーザ光線のうちの1つをガイド光とすれはよい。
以下、本発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態の説明において、第1の実施の形態と同一構成要素には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態に係るレーザ光線合波装置2の構成を表すものである。このレーザ光線合波装置2は、レーザ光線合波装置1よりもさらに多くのレーザ光源16を備えている。各レーザ光源16は、一方の焦点F1および他方の焦点F2のいずれかに向けて、レーザ光線Pinを出射するようになっている。
具体的には、YZ平面で分割される中空部11の左半分側に設けられたレーザ光源16は、この左半分側の光入射孔13に設けたコリメータレンズ14を通して、一方の焦点F1をレーザ光線が通過するように配置されている。一方、中空部11の右半分側に設けられたレーザ光源16は、この右半分側の光入射孔13に設けたコリメータレンズ14を通して、他方の焦点F2をレーザ光線が通過するように配置されている。
このレーザ光線合波装置2では、より多くの光入射孔13を必要とするので、この光入射孔13がレーザ光線の反射の邪魔をすることを防ぐ必要がある。そのためには、前述のように、各光入射孔13は、中空部11に入射したレーザ光線がその入射した側の半分領域で反射するような位置に形成されていればよい。
すなわち、このレーザ光線合波装置2では、合波体10の左半分に設けられたレーザ光源16から出射されたレーザ光線は、コリメータレンズ14を通って中空部11に入射され、一方の焦点F1を通過する。その後、このレーザ光線は、中空部11の左半部の領域における反射層12で反射し、他方の焦点F2を通過した後、さらに反射層12で複数回の反射を繰り返して、長軸(X軸)に略沿う光線となる。一方、合波体10の右半分に設けられたレーザ光源16から出射されたレーザ光線は、コリメータレンズ14を通って中空部11に入射され、他方の焦点F2を通過する。その後、このレーザ光線は、中空部11の右半部の領域における反射層12で反射し、一方の焦点F1を通過した後、さらに反射層12で複数回の反射を繰り返して、X軸に略沿う光線となる。従って、各レーザ光源16から出力されたレーザ光線は、合波体10内で長軸に略沿う光線となったときに合波される。
このように本実施の形態では、合波体10の周囲(すなわち、Z軸を中心にして回転する方向)に多数のレーザ光源16を配置するようにしたので、重ね合わせるレーザ光線の数を容易に増やすことができる。加えて、このレーザ光線合波装置2では、レーザ光源16は、互いに近接させて配置する必要がなく、拡散的に配置することができるので、排熱を考慮したシステムを容易に構成することができる。
[第3の実施の形態]
図3は、第3の実施の形態に係るレーザ光線合波装置3の構成を表すものであり、複数のレーザ光源16の長軸(X軸)方向から見た配置状況を表している。すなわち、このレーザ光線合波装置3では、複数のレーザ光源16を、合波体10の周囲において、X軸を中心にして回転する方向に配置したものである。
このように本実施の形態では、合波体10のX軸を中心にした周方向に複数のレーザ光源16を配置するようにしたので、重ね合わせるレーザ光線の数を容易に増やすことができる。そして、このレーザ光源16の配置を、本実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせて3次元的な配置とすることにより、重ね合わせ後のレーザ光線の密度をさらに高めることができる。その他の構成および作用効果は、第2の実施の形態のそれと同様である。
[第4の実施の形態]
図4は、第4の実施の形態に係るレーザ光線合波装置4の構成を表すものある。このレーザ光線合波装置4は、合波体10の光出射孔15に光ファイバ20の一端を結合させたものである。この光ファイバ20の一端は、中空部11に入り込んでいてもよいが、光出射孔15に近い側の焦点F2の位置までは達しないようにする。光ファイバ20が焦点F2まで達すると、中空部11内で反射を繰り返すレーザ光線を遮ることになるからである。
このレーザ光線合波装置4では、複数のレーザ光線がそれぞれ中空部11の壁面(反射層12)で反射を繰り返してX軸に略沿うと共に重ね合わされ、この合波光線が光出射孔15を通過するときに光ファイバ20に入射される。このように本実施の形態では、ファイバカップルを容易に行うことができる。
[第5の実施の形態]
図5は、第5の実施の形態に係るレーザ光線合波装置5の構成を表すものである。このレーザ光線合波装置5では、合波体10の光出射孔15に集光レンズ21が配置されると共に、この集光レンズ21の外部側の焦点Fに光ファイバ20の一端が配置されている。集光レンズ21は、光出射孔15に近い側の焦点F2までの距離を焦点距離fとしており、その結果、合波体10の外部で焦点を結ぶようになっている。
このレーザ光線合波装置5では、複数のレーザ光線がそれぞれ反射層12で反射を繰り返しX軸に略沿うと共に重ね合わせられ、この合波光線が集光レンズ21を通過し、合波体10の外部で集光されて、光ファイバ20に入射される。
このように本実施の形態では、集光レンズ21によりレーザ光線を集光させるようにしたので、上記第4の実施の形態の場合よりも効率的に光ファイバ20にレーザ光線を入射させることができる。すなわち、ファイバカップルの結合効率がより向上する。
[第6の実施の形態]
図6は、第6の実施の形態に係るレーザ光線合波装置6の構成を表すものである。このレーザ光線合波装置6は、合波体10の光出射孔15にコリメータレンズ22を備えたものである。このコリメータレンズ22は、光出射孔15に近い側の焦点F2までの長さを焦点距離fとしている。
このレーザ光線合波装置6では、複数のレーザ光線がそれぞれ反射層12で反射を繰り返しX軸に略沿うと共に重ね合わせられ、この合波光線がコリメータレンズ22を通過し、コリメートされる。すなわち、合波体10からの出力光線Pout は略重ね合わされた状態で平行束となって、様々な用途に使用しやすい光線になる。
以上、第1〜第6の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、合波体10(中空部11)の形状を回転楕円体として説明したが、本発明の合波体は少なくとも1の断面が楕円形であればよい。すなわち、図8に示したレーザ光線合波装置7のように、楕円柱形状の合波体としてもよい。このレーザ光線合波装置7では、合波体40の内部(中空部41)の壁面に反射層42が形成され、外部のレーザ光源43から出射されたレーザ光線を反射するようになっている。この場合、レーザ光源43はアレイ型やスタック型のものを用いることができ、各レーザ光源43から出射されたレーザ光線が高さ毎に合波されるように、各レーザ光源43の発光点43aを高さ毎に揃えておく。よって、このレーザ光線合波装置7では、高さ毎にレーザ光線が重ね合わせられ、合波される。
なお、従来では、アレイレーザ光線を重ね合わせるのに、通常スタック型が使われていたが、その光量は全体的に大きくなるものの、密度を上げることが容易ではなかった。しかし、楕円柱形状の合波体を用いると、光のスポットサイズをさほど大きくすることなく、重ね合わせることができるので、その面積をあまり拡大させることなく、光密度を上げることができる。
また、上記実施の形態では、1個の合波体10を用いるようにしているが、同様の構成を有する合波体を組み合わせるようにしてもよい。すなわち、複数の合波体10でそれぞれ得られた合波光線同士を他の合波体によって重ね合わせるものである。これにより、レーザ光線の強度を更に増すことが可能になる。
また、上記実施の形態では、コリメータレンズ14を光入射孔13に配置するようにしたが、コリメータレンズ14は合波体10の外部に配置するようにしてもよい。
以上に説明したレーザ光線合波装置1〜7は、高出力を必要とする様々な機器、レーザディスプレイやレーザ加工装置、レーザ医療装置、プリンタ、レーザ核融合装置等に利用することができる。例えば、レーザ加工装置では、合波体10で重ね合わされたレーザ光線を光ファイバ20により導き、回路基板上の配線パターンに照射すれば、壊れている配線パターンを修復することができる。また、レーザ医療装置に適用した場合には、合波体10で重ね合わされたレーザ光線を光ファイバ20で導いて疾患部位に照射することにより、その疾患部位を一瞬にして焼き切ることが可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ光線合波装置の断面構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係るレーザ光線合波装置の断面構成図である。 本発明の第3の実施の形態に係るレーザ光線合波装置の断面構成図である。 本発明の第4の実施の形態に係るレーザ光線合波装置の断面構成図である。 本発明の第5の実施の形態に係るレーザ光線合波装置の断面構成図である。 本発明の第6の実施の形態に係るレーザ光線合波装置の断面構成図である。 楕円の内部で反射されたレーザ光線の性質を説明するための図である。 本発明の変形例を説明するための図である。 従来の合波方法の1例を説明するための図である。 従来の他の合波方法を説明するための図である。 従来の更に他の合波方法を説明するための図である。
符号の説明
1〜7…レーザ光線合波装置、10,40…合波体、11,42…中空部、12,42…反射層、13…光入射孔、15…光出射孔、16,43…レーザ光源、20…光ファイバ、21…集光レンズ、22…コリメータレンズ、30…楕円。

Claims (10)

  1. 断面楕円形の中空部を有する合波体を備え、
    前記合波体は、
    外部からのレーザ光線を前記中空部の2つの焦点のうちいずれか一方の焦点方向へ導く複数の光入射孔と、
    前記中空部の壁面に設けられ、入射した複数のレーザ光線を反射しつつ合波する反射層と、
    前記反射層により合波されたレーザ光線を外部に導く光出射孔と
    を有するレーザ光線合波装置。
  2. 前記中空部の形状は回転楕円体である
    請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
  3. 前記中空部の形状は楕円柱である
    請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
  4. 前記複数の光入射孔は、前記楕円形の長軸および短軸に直交する軸を中心にした周方向に互いに離間して形成されている
    請求項1記載のレーザ光線合波装置。
  5. 前記複数の光入射孔は、前記楕円形の長軸を中心にした周方向に互いに離間して形成されている
    請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
  6. 前記光出射孔は、前記楕円形の長軸が前記合波体の壁に交差する2つの位置のうちの一方の位置に設けられている
    請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
  7. 前記合波体の外部に、前記複数の光入射孔それぞれに対応してレーザ光源
    を備えた請求項1ないし6のいずれか1項に記載のレーザ光線合波装置。
  8. 前記光出射孔に対して光学的に結合された光ファイバ
    を有する請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
  9. 前記光出射孔に合波されたレーザ光線をコリメートするためのレンズが設けられた
    請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
  10. 前記光出射孔に集光レンズが設けられると共に、前記集光レンズの焦点位置に光ファイバの端部が配置された
    請求項1に記載のレーザ光線合波装置。
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