JP2009258406A - 誘電体多層膜ミラーとその製造方法 - Google Patents

誘電体多層膜ミラーとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜応力がバランスして反りの発生を低減できかつ1枚の基板に対する膜層数も大幅に低減された誘電体多層膜ミラーを提供すること。
【解決手段】特定波長域を反射させる誘電体多層膜ミラーであって、基板1の両面に両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜2が原子層堆積(ALD)法により成膜された誘電体多層膜構造体10を2枚以上接合して成ることを特徴とする。また、このミラーの製造方法は、原子層堆積(ALD)法により基板1の両面に両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜2を同時に成膜して誘電体多層膜構造体10を製造し、得られた2枚以上の誘電体多層膜構造体を接合して誘電体多層膜ミラーを製造することを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、特定波長域を反射させる誘電体多層膜ミラーとその製造方法に係り、特に、基板両面に誘電体多層膜が成膜された誘電体多層膜構造体を2枚以上接合して得られる誘電体多層膜ミラーとその製造方法に関するものである。
レーザプリンタ、バーコードリーダ、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等多くの光学部品においては、反射防止膜やミラー等が用いられている。その中で、ミラーには誘電体多層膜構造のものが用いられており、誘電体多層膜ミラーとしてより高反射率のものを得るためには低屈折率層と高屈折率層の膜層数を多くする必要があった。そして、膜層数を多くすると成膜に要する時間が膜層数に比例して長くなる。
ところで、誘電体多層膜の成膜方法は、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法やスパッタリング法等が一般的であり、通常、基板の片面に上記多層膜が施されているが、近年、基板の両面に多層膜が施される場合も多い。
そして、特許文献1には、透光性の支持体両面に光学多層膜から成る反射層が形成されて成り、映像を明確に視認できるようにコントラスト性能を高めることのできる反射型スクリーンが提案されている。ここで、上記反射層は、高屈折率の第1の光学膜とこれより低い屈折率をもつ第2の光学膜とが交互に積層されて2n+1(nは1以上の整数である。)層からなり、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、上記特定の波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有する光学多層膜で構成され、この光学多層膜はディッピング方式で塗布することが開示されている。
また、特許文献2と特許文献3にはALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法により光学フィルターの製造が可能であることが記載され、このALD法による成膜法では基板両面同時に多層膜の成膜が可能であることが記載されている。
特開2005−165252号公報 特開2002−277628号公報 特開2004−176081号公報
ところで、特定波長域を反射させる誘電体多層膜ミラーにおいて、高反射率のミラーを得るためには上述したように低屈折率層と高屈折率層の膜層数を多くする必要があり、膜層数を多くすると成膜に要する時間が膜層数に比例して長くなってしまう。
また、薄い基板に対し上述したスパッタリング法等により膜層数の多い多層膜を成膜すると、得られるミラーに反りが発生する場合も存在した。
本発明はこのような問題に着目してなされたもので、その課題とするところは、膜応力がバランスして上記反りの発生を低減でき、しかも、1枚の基板に対する膜層数も大幅に低減された誘電体多層膜ミラーを提供することにある。
そこで、本発明者は、上記課題を解決するため、広く利用されている真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、スパッタリング法等の成膜方法に代えて、特許文献2や特許文献3に記載されている原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法を採用すると共に、両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜が基板両面に成膜された誘電体多層膜構造体を2枚以上接合させた新規構造の誘電体多層膜ミラーを製造したところ、この誘電体多層膜ミラーにおいては、膜応力がバランスして反りの発生が低減され、しかも1枚の基板に対する膜層数も大幅に低減できることを見出すに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、
特定波長域を反射させる誘電体多層膜ミラーにおいて、
基板の両面に両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜が原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により成膜された誘電体多層膜構造体を2枚以上接合して成ることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の誘電体多層膜ミラーの製造方法において、
原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により基板の両面に両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜を同時に成膜して誘電体多層膜構造体を製造し、かつ、得られた2枚以上の誘電体多層膜構造体を接合して誘電体多層膜ミラーを製造することを特徴とする。
次に、請求項3に係る発明は、
請求項2に記載の発明に係る誘電体多層膜ミラーの製造方法において、
上記基板の材質が、ガラス、セラミック、石英、結晶のいずれかであることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項2または3に記載の発明に係る誘電体多層膜ミラーの製造方法において、
ALD装置内において2枚以上の誘電体多層膜構造体を成膜直後に接合することを特徴とするものである。
本発明に係る誘電体多層膜ミラーによれば、
基板両面に原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜を成膜して成る誘電体多層膜構造体を2枚以上接合して構成されているため、単一基板構造のミラーと同等の反射率を得る場合において、1枚の基板に対する膜層数を低減することができ、更に、複数の基板を介し各誘電体多層膜が分散して配置される構造になるため膜応力がバランスして反りの発生も大幅に低減される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
特定波長域を反射させる本発明に係る誘電体多層膜ミラーは、両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜が原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により基板両面に成膜された誘電体多層膜構造体を2枚以上接合して構成されている。
また、この誘電体多層膜ミラーを得るには、両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜を原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により基板両面に同時に成膜して誘電体多層膜構造体を製造し、得られた2枚以上の誘電体多層膜構造体を接合して製造することができる。
そして、ALD法による成膜では基板両面への同時成膜が可能である。すなわち、ALD法は単原子(単分子)層ずつ堆積する方法で、基板両面に対して均一な成膜が可能である。従って、基板の両面に単原子層ずつ同時に堆積されていくことから、各層に膜応力があったとしても両面で膜応力がバランスするため極めて基板の反りが発生し難い。
1.ALD法
原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法は、真空容器(成膜装置)中に基板を配置する共に、分子層を構成する元素が含まれる原料ガスを交互に真空容器内に導入して、基板表面側に吸着された分子と次に導入される原料ガスとの反応により分子層を形成するもので、分子層の膜厚を原子層レベルで制御できる方法である。従って、ALD法で用いられる成膜装置(原子層堆積装置)においては、PVD法やCVD法で用いられる成膜装置に必要であった高価な部品ユニットや高速回転機構等が不要となり、従来の成膜方法と比べて成膜コストの低減が図れる。
そして、ALD法による光学多層膜の製造方法では、光学特性に関係する物性値の異なる複数種類の物質それぞれの分子層を基板に積層し、所望の複合的な物性値を有する薄膜が形成される基本工程を複数回繰り返すことにより複数の薄膜から成る光学多層膜を形成するものである。各薄膜の形成にあたっては、分子層を構成する元素のそれぞれが含まれる原料ガスを交互に真空容器(成膜装置)内に導入し、原料ガスの入れ替え回数を調整することにより各薄膜の複合的な物性値を連続的に変化させる。
ALD法では、SiO、Al、Ta、TiO等多くの酸化物層や窒化物層の成膜が可能である。また、異なった物質を数原子層ずつ堆積して、新たな光学的特性(屈折率、消衰係数)を有する層を作り出すこともできる。
ALD法を用いて、例えばAlの単原子(単分子)層を形成する場合、下記4工程で完成する。
(1)水分子を導入して基板面若しくは既に成膜が行われた面にOH基を吸着させる。
(1層目以降の反応)
2HO+:O−Al(CH → :Al−O−Al(OH)+2CH
(2)余剰水分子をパージ排気する。
(3)Al膜の原料ガスであるTMA[Trimethyl Aluminum:Al(CH]ガスを導入する。TMA分子がOH基と反応してCHガスが発生する。
(1層目の反応)
Al(CH+:O−H → :O−Al(CH+CH
(1層目以降の反応)
Al(CH+:Al−O−H → :Al−O−Al(CH+CH
(4)CHガスをパージ排気する。
この4工程で約0.1nmのAl膜が形成されるので、要求する膜厚に到達するまで上記4工程を繰り返して膜厚を増加させる。
また、ALD法によってTiOの単原子(単分子)層を形成するには、TiO膜の原料ガスにTi(OC(Ti-ethaoxide)ガスを用いることにより同様に形成することができる。上記4工程で約0.04nmのTiO膜が形成されるので、所望の膜厚に到達するまで上記4工程を繰り返して膜厚を増加させる。
次に、ALD法によってSiOの単原子(単分子)層を形成するには、SiO膜の原料ガスにSiClガスを用いることにより同様に形成することができる。この場合、上記SiClガスの導入後と水分子の導入後のそれぞれに、CN(Pyridine)を導入することで、CNの触媒作用により反応を促進させることができる。そして、この2工程が追加された6工程で約0.05nmのSiO膜が形成されるので、所望の膜厚に到達するまでこの工程を繰り返して膜厚を増加させる。
次に、例えば、TiOから成る分子層と、Alから成る分子層とで光学多層膜を構成する場合について説明する。これ等2種類の分子層を形成する場合、例えばTiOの原料ガスとしてTiを含むTiClガスとOを含むHOガスが採用され、Alの原料ガスとしてAlを含む上記TMA(トリメチルアルミニウム)ガスを用いることができる。他の種類の分子層を形成する原料ガスとして、ALD用若しくはCVD用として市販されているものが利用でき、原子層堆積により自己精製効果があるため、特に高純度の原料ガスを用いる必要はない。また、欠陥の少ない光学多層膜を得るためには、固体原料を加熱して得る原料ガスより液体原料の原料ガスを使用することが望ましい。
ここで、ALDの成膜装置において、TiClガスの供給路に配設されたバルブをLV1、HOガスの供給路に配設されたバルブをLV2、TMAガスの供給路に配設されたバルブをLV3、上記成膜装置(真空容器)の真空引きを行う真空ポンプの排気経路に配設されたゲートバルブをGVとすると、まず、真空ポンプにより成膜装置(真空容器)内を所定圧力(例えば、10−3Pa)以下に減圧した状態でゲートバルブGVを閉め、その後、バルブLV2を開いて基板が配置された成膜装置(真空容器)内にHOガスを導入し上記基板両面にOH基を1層だけ吸着させてから、上記ゲートバルブGVを開いて成膜装置(真空容器)内に残留しているHOガスを排気しかつ所定圧力以下に到達するように調整する。次に、ゲートバルブGVを閉じると共に、バルブLV1を開いて成膜装置(真空容器)内にTiClガスを導入することによりTiの吸着物と分解反応させて1層のTiO層を形成し、その後、ゲートバルブGVを開いて成膜装置(真空容器)内に残留しているTiClを排気しかつ所定圧力以下に到達するように調整してゲートバルブGVを閉じる。これ等工程がTiOの1原子層(1分子層)を成膜する1サイクルになり、膜厚はこのサイクル数で決定される。尚、この成膜装置(真空容器)においては、上記原料ガスの入れ替え回数がカウントされるようになっている。
次に、Alから成る分子層についても、TiOから成る分子層の場合と同様、成膜装置(真空容器)内のバルブLV3とバルブLV2を開閉して上記TMAガスとHOガスを交互に供給し、原料ガスの入れ替え回数を調整することにより原子層レベルで膜厚を制御することができる。但し、各分子層の種類によって成膜速度が異なっており、事前に成膜速度を確認した上で条件を設定する必要がある。
ところで、高温成膜ではTiO層が結晶化して散乱原因になる場合があるため、高温でも結晶化し難いAl等の層で上記TiO層を挟み込むことによりTiO層の結晶化を防止することができる。また、反応を促進させるためには基板加熱が必要であり、酸化物膜の場合、200〜400℃で基板の加熱を行うことが好ましい。また、成膜装置(真空容器)内において、基板の向きが水平方向となるように保持した場合、基板の自重により反り(中央部の凹み)を生ずることがある。このような反りを低減させるには、基板の向きが鉛直方向となるように保持した状態(すなわち、基板を鉛直方向に保持した状態)で成膜すればよい。

2.誘電体多層膜ミラーの製造方法
本発明に係る誘電体多層膜ミラーを得るには、上述したように両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜を原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により基板両面に同時に成膜して誘電体多層膜構造体を製造し、得られた2枚以上の誘電体多層膜構造体を接合して製造することができる。
すなわち、ALD装置内においてALD法により基板1の両面に一対の誘電体多層膜2を同時に成膜して複数の誘電体多層膜構造体10を製造する共に、図5(A)に示すようにALD装置内において例えば2枚の誘電体多層膜構造体10を基板ホルダー3により保持し、かつ、基板ホルダー3を移動させて2枚の誘電体多層膜構造体10を図5(B)に示すように接触させ、更に、プレス治具4により図5(C)に示すように上下から圧力を加えて2枚の誘電体多層膜構造体10を接合して本発明に係る誘電体多層膜ミラーを得ることができる。
尚、ALD法により成膜された誘電体多層膜2は原子層毎に堆積していることから表面の平滑性が高いため、2枚の誘電体多層膜構造体10を圧着することにより容易に貼り付けることが可能である。このため、上記誘電体多層膜構造体10の接合は、表面が活性状態にある誘電体多層膜2の成膜直後にALD装置内で連続的に行うことが望ましい。但し、基板1に凸凹が存在すると、ALD法による成膜では基板1の凸凹を反映した誘電体多層膜2が成膜されてしまうため、誘電体多層膜構造体10表面も凸凹になってしまい接合することが困難となる。従って、凸凹が存在しない基板を適用することが好ましい。
そして、2枚の誘電体多層膜構造体10を接合して得られる上記誘電体多層膜ミラーにおいて、単一基板構造の従来のミラーと同等の反射率を得る場合、1枚の基板に対する膜層数を約半分に低減することができるため成膜時間の短縮が図れ、更に、2枚の基板1を介し各誘電体多層膜2が分散して配置される構造になるため膜応力がバランスしてミラーの反りも大幅に低減される。また、接合された誘電体多層膜構造体10の内側に存在する誘電体多層膜は、一対の基板1に囲まれる構造になるため劣化し難い特徴も有する。更に、製造しようとする誘電体多層膜ミラーの目的製造枚数よりも多い基板を配置できるスペースがALD装置内に存在する場合、目的製造枚数の2倍以上である整数倍の基板をALD装置内に配置することで、1枚の基板に対する膜層数を大幅に低減させることができるため、誘電体多層膜ミラーを製造する時間の短縮が図れる利点を有している。
本発明に係る誘電体多層膜ミラーに適用できる基板の材質としては、ALD法による成膜中の温度変化に耐えることが可能で、成膜される誘電体多層膜と熱膨張係数がほぼ等しい、ガラス、セラミック、石英、結晶から選ばれるいずれかであることが好ましい。
また、基板の自重による反り(中央部の凹み)を低減させるため、ALD装置内において基板を垂直に保持する方法を採ることも可能である。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
まず、接合するための誘電体多層膜構造体を設計した。尚、ALD法による成膜は、上述したように両面同時成膜となるため両面対称構造の膜構造になる。
誘電体多層膜ミラーのような高反射性光学薄膜の膜構造を設計する場合、低屈折率層と高屈折率層の繰り返し層を基本とし、要求光学特性を設定して、光学薄膜の計算結果が上記要求光学特性となるように膜層数を増減させ、あるいは膜厚を増減させる最適化を行う。これにはSimplex法やNeedle法等の多くの最適化手法が用いられる。但し、本発明で適用するALD法による成膜では両面対象構造にしなければならないため、最適化の際、両面のn層目は同じ膜厚になるような制限を設定することが必要になる(カップリングあるいはペアリングと呼ばれる)。この実施例では、低屈折率層にSiO、高屈折率層にTiOを採用した。
そして、両面対象構造を有する実施例に係る誘電体多層膜構造体の構成を以下の表1に示す。但し、光学的膜厚(nd)は、屈折率(n)×物理的膜厚(d)、λは設計中心波長550nmである。また、A面は5層、B面も5層の両面対称構造である。
Figure 2009258406
接合するための上記誘電体多層膜構造体における分光透過特性のシミュレーション結果を図1に示す。波長550nmにおける透過率は約13%まで低下している。この誘電体多層膜構造体を2枚接合すると、以下の表2に示すような膜構成になる。
Figure 2009258406
2枚の誘電体多層膜構造体を接合して得られる実施例に係る誘電体多層膜ミラーにおける分光透過特性のシミュレーション結果を図2に示す。波長550nmにおける透過率は約2%まで低下している。
尚、上記誘電体多層膜構造体の基板には、直径4インチ(約100mm)、厚さ300μmのフロートガラス基板(ショット社製 D263)を用いた。
図5(A)に示すように2枚の基板1を基板ホルダー3にそれぞれ水平に固定してALD装置内にセットし、その後、チャンバ(真空容器)を1Torrまで排気し、基板1を300℃に加熱した。
そして、表1に示す膜構成に従って、1層目のSiO層の要求膜厚になるまで上述した原子層の堆積サイクルを行い、次いで、2層目のTiO層目の要求膜厚になるまで同様に原子層の堆積サイクルを行い、以下、これ等堆積サイクルを交互に繰り返すことにより片面5層の両面対称構造を有する誘電体多層膜構造体10を製造した。
そして、ALD装置内において、基板ホルダー3を移動させて2枚の誘電体多層膜構造体10を図5(B)に示すように接触させ、更に、プレス治具4により図5(C)に示すように上下から約100g/cmの圧力を加えて2枚の誘電体多層膜構造体10を接合させ、実施例に係る誘電体多層膜ミラーを製造した。
尚、実施例に係る誘電体多層膜ミラーの基板1を室温付近まで冷却し、チャンバ(真空容器)をベント(大気開放)した後に、誘電体多層膜ミラーを取り出した。

[比較例]
2枚の誘電体多層膜構造体を接合して得た実施例に係る誘電体多層膜ミラーの分光透過特性にほぼ等しい波長550nmの透過率が約2%まで低下する比較例の誘電体多層膜ミラーを設計した。
以下の表3に比較例に係る誘電体多層膜ミラーの膜構成を示す。A面は9層で、B面も9層の両面対称構造である。
Figure 2009258406
比較例に係る誘電体多層膜ミラーにおける分光透過特性のシミュレーション結果を図3に示す。
尚、実施例と同様に、比較例に係る誘電体多層膜ミラーもALD法により成膜を行い、基板を室温付近まで冷却し、チャンバ(真空容器)をベント(大気開放)した後に、この誘電体多層膜ミラーを取り出した。
「評 価」
実施例に係る誘電体多層膜構造体および2枚の誘電体多層膜構造体を接合して得られた実施例に係る誘電体多層膜ミラーの各分光透過特性と、比較例(従来例)に係る誘電体多層膜ミラーの分光透過特性をそれぞれ自記分光光度計により測定した。
測定結果を図4にまとめて示す。
そして、2枚の誘電体多層膜構造体を接合して得られた実施例に係る誘電体多層膜ミラーと比較例(従来例)に係る誘電体多層膜ミラーでは、ほとんど変わらない分光透過特性を示している。
そして、実施例に係る誘電体多層膜ミラーを構成する各誘電体多層膜構造体の誘電体多層膜は片面5層であることから比較例に係る片面9層の誘電体多層膜ミラーよりも成膜時間が短縮され、両面対称構造でかつ膜層数が少なくなると共に2枚の基板を介し各誘電体多層膜が分散して配置される構造になっている分、反りの発生はほとんどないことが確認される。
本発明に係る誘電体多層膜ミラーによれば、基板両面に原子層堆積(ALD)法により両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜を成膜して成る誘電体多層膜構造体を2枚以上接合して構成されているため、単一基板構造のミラーと同等の反射率を得る場合において、1枚の基板に対する膜層数を低減することができ、更に、複数の基板を介し各誘電体多層膜が分散して配置される構造になるため膜応力がバランスして反りの発生も大幅に低減される。従って、レーザプリンタ、バーコードリーダ、カメラ、望遠鏡、顕微鏡等の光学部品に組み込んで用いられる産業上の利用可能性を有している。
実施例に係る誘電体多層膜ミラーの構成部品である誘電体多層膜構造体における分光透過特性のシミュレーション結果を示すグラフ図。 実施例に係る誘電体多層膜ミラーにおける分光透過特性のシミュレーション結果を示すグラフ図。 比較例に係る誘電体多層膜ミラーにおける分光透過特性のシミュレーション結果を示すグラフ図。 実施例に係る誘電体多層膜構造体および2枚の誘電体多層膜構造体を接合して得られた実施例に係る誘電体多層膜ミラー(本発明のミラー)の各分光透過特性と、比較例(従来例)に係る誘電体多層膜ミラー(従来のミラー)の分光透過特性をそれぞれ自記分光光度計により測定した結果を示すグラフ図。 図5(A)〜(C)は本発明に係る誘電体多層膜ミラーの製造工程を示す工程説明図。
符号の説明
1 基板
2 誘電体多層膜
3 基板ホルダー
4 プレス治具
10 誘電体多層膜構造体

Claims (4)

  1. 特定波長域を反射させる誘電体多層膜ミラーにおいて、
    基板の両面に両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜が原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により成膜された誘電体多層膜構造体を2枚以上接合して成ることを特徴とする誘電体多層膜ミラー。
  2. 請求項1に記載の誘電体多層膜ミラーの製造方法において、
    原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により基板の両面に両面対称構造を有する一対の誘電体多層膜を同時に成膜して誘電体多層膜構造体を製造し、かつ、得られた2枚以上の誘電体多層膜構造体を接合して誘電体多層膜ミラーを製造することを特徴とする誘電体多層膜ミラーの製造方法。
  3. 上記基板の材質が、ガラス、セラミック、石英、結晶のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の誘電体多層膜ミラーの製造方法。
  4. ALD装置内において2枚以上の誘電体多層膜構造体を成膜直後に接合することを特徴とする請求項2または3に記載の誘電体多層膜ミラーの製造方法。
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