JP2002040236A - 多層光学薄膜 - Google Patents
多層光学薄膜Info
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Abstract
量が格段に小さい多層光学薄膜を提供する。 【解決手段】 高屈折率膜層ZrO2+TiO2と低屈折
率膜層SiO2とを交互に積層してなる多層光学薄膜に
おいて、空気側から数えて5層目以内のSiO2層の少
なくとも1層をMgF2層で置換した多層光学薄膜、お
よび、高屈折率膜層ZrO2+TiO2と低屈折率膜層S
iO2とを交互に積層してなる多層光学薄膜において、
空気側から数えて5層目以内のSiO2層の少なくとも
1層をAl2O3層で置換した多層光学薄膜。
Description
る多層光学薄膜に関する。
ており、例えばバンドパスフィルター、ロングパスフィ
ルター、ショートパスフィルター、ダイクロイックミラ
ー等がある。これらの薄膜構成は、高屈折率材料と低屈
折率材料を交互に数層から数十層を積層してなってい
る。これらの多層光学薄膜は、プロジェクター用の光学
部品を中心として、高性能化が求められており、光学特
性や信頼性の向上が求められている。特に最近では、コ
ンパクトな光学系が求められており、光学部品が照明系
等の光源の近傍に配置されることが多い。このため、使
用時に光学部品の温度が上昇し、それによって特性がシ
フトし、色の再現性など、製品としての性能に悪影響を
与える場合が多い。
めに様々な手法が取り入れられている。例えば、イオン
アシスト法、イオンプレーティング法のように真空蒸着
時にイオンエネルギーを付与する方法や、スパッタリン
グ法のような真空蒸着以外の方法が用いられている。例
えば、特開平8-190010号公報にはTiO2とSi
O2の交互多層膜の成膜において、各層毎に真空度を変
化させて成膜を行う手法が開示されている。しかしこの
手法では温度変化に際してなお5〜6nmの波長シフト
が避けられない。また特開平11-326674号公報
では同じ金属を酸化物にしたり、窒化物にしたりして成
膜を行い、その際にイオンアシスト、イオンプレーティ
ングという手法を用いている。同じ金属の酸化物、窒化
物で膜を構成するのは成膜工程の簡略化であり、成膜時
にイオンアシスト、イオンプレーティングを用いるのは
温度変化による特性シフトを抑えるためである。温度変
化による特性シフトを抑えるためにイオンアシスト、イ
オンプレーティングといった手法を用いるのは公知であ
り、設備費用も多くかかる。
は新たな設備投資が必要であり、管理項目も増えて、生
産コストが増大するという問題がある。このような問題
を生ずることなく、現行設備で、温度環境の変化による
波長シフトを低減できる膜構成の開発が求められてい
た。本発明の目的は上記要求に応えて、新たな設備投資
等を要することなく、温度環境の変化に起因する光学特
性のシフト量が格段に小さい多層光学薄膜を提供するこ
とにある。
を構成する低屈折率層のうち空気側に近い層にMgF 2
層を、またはAl2O3層を設けることで温度環境の変化
に起因する光学特性のシフト量が格段に小さくなること
を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、高屈折率
膜層ZrO2+TiO2と低屈折率膜層SiO2とを交互
に積層してなる多層光学薄膜において、空気側から数え
て5層目以内のSiO2層の少なくとも1層をMgF2層
で置換したことを特徴とする多層光学薄膜に関する。ま
た、本発明は、高屈折率膜層ZrO2+TiO2と低屈折
率膜層SiO2とを交互に積層してなる多層光学薄膜に
おいて、空気側から数えて5層目以内のSiO2層の少
なくとも1層をAl2O3層で置換したことを特徴とする
多層光学薄膜に関する。上記のような積層構造を持つ本
発明の多層光学薄膜は、温度環境が異なっても光学特性
がほとんど変化ないという特徴を有する。
率膜層ZrO2+TiO2と低屈折率膜層SiO2とを交
互に積層してなる多層光学薄膜において、空気側から数
えて5層目以内のSiO2層の少なくとも1層をMgF2
層またはAl2O3層で置換したものであり、300℃以
下の温度、少なくとも50℃以下の温度では、少なくと
も80〜100℃の温度範囲にわたって実質的に波長シ
フトを生じないという特徴を持つものである。
によりその光学特性の温度変化に対する安定性を改善す
ることのできるベースとなる多層光学薄膜は、ZrO2
+TiO2層とSiO2を交互に15層以上積層してなる
公知のいかなる多層光学薄膜に対しても適用可能であ
り、450〜659nmの波長範囲で優れた光学特性を
有する多層膜を対象としている。
宜設定されるが、通常いずれも50〜200nm、好ま
しくは70〜170nmであり、従来からZrO2+T
iO2またはSiO2層に対して適用されている値を使用
すればよい。またMgF2またはAl2O3層は一般的に
は、置換する前のSiO2層の光学的膜厚を適用すれば
よい。
造することができる。一般に真空蒸着は下記の4工程で
進められる: 1)真空排気工程、 2)基板加熱工程(多くの場合、1)と同時に行う)、 3)成膜工程、 4)冷却工程。 以下、典型的な例である実施例1の多層光学薄膜に沿っ
て製造法を説明する。多層光学薄膜は、一般的な真空蒸
着によって製造することができ、BK7のような光学硝
子基板上に多層光学薄膜を構成する各層の材料を順次積
層し成膜する。この際の条件は下記のようなものであ
る。 基板加熱温度:300℃ 到達真空度:1〜2×10-5Torr酸素導入時の真空度 ZrO2+TiO2成膜時:5〜8×10-5Torr SiO2およびMgF2成膜時:酸素ガス導入なし 蒸着槽内に基板もしくは材料をセットしたら、槽内の排
気を行う。排気は基板加熱を同時に行い、実施例1の場
合、2時間の排気を行った。排気の間に基板は約300
℃に加熱され到達真空度も所望の1〜2×10-5Tor
rに達する。排気が完了すると、成膜工程に移る。電子
銃を用いて電子ビームを蒸着材料に照射して加熱溶融さ
せ、基板上に膜を形成させる。実施例1では高屈折率材
料であるZrO2+TiO2と低屈折率材料であるSiO
2を交互に28層積層している。それぞれの層の膜厚は
通常、特定波長の光に対する反射率の変化を計測するこ
とにより、制御を行っている。場合によっては水晶板の
固有振動数により、膜厚を計測する場合もある。こうし
て成膜した基板を冷却し、100℃以下になったところ
で真空槽内を徐々に大気圧に戻し、基板を取り出す。
0nm、特に450〜650nmの波長範囲の光に対し
て、上記の温度範囲で安定した優れた光学特性を有す
る。
つ具体的に説明する。実施例 1:第1層にMgF2 層を設けた多層光学薄膜 BK7の基板(設計主波長での屈折率1.52)上に、
表1に記載した物質を順次真空蒸着して積層し、その第
1層をMgF2層とする全28層の薄膜からなる多層光
学薄膜を製造した。各層を構成する物質の設計主波長に
対する屈折率(n)、膜厚(d)および光学的膜厚(n
d)も表1に示した。設計主波長λ0として700nm
の可視光線を用いた。図1にはこの多層光学薄膜の室温
と100℃での分光透過率を表示した。
層光学薄膜 BK7の基板(設計主波長での屈折率1.52)上に、
表2に記載した物質を順次真空蒸着して積層し、その第
2層をMgF2層とする全28層の薄膜からなる多層光
学薄膜を製造した。各層を構成する物質の設計主波長に
対する屈折率(n)、膜厚(d)および光学的膜厚(n
d)も表2に示した。設計主波長λ0として700nm
の可視光線を用いた。図2にはこの多層光学薄膜の室温
と100℃での分光透過率を表示した。
gF2 層を設けた多層光学薄膜 BK7の基板(設計主波長での屈折率1.52)上に、
表3に記載した物質を順次真空蒸着して積層し、第1
層、第3層および第5層をMgF2層とする全28層の
薄膜からなる多層光学薄膜を製造した。各層を構成する
物質の設計主波長に対する屈折率(n)、膜厚(d)お
よび光学的膜厚(nd)も表3に示した。設計主波長λ
0として700nmの可視光線を用いた。図3にはこの
多層光学薄膜の室温と100℃での分光透過率を表示し
た。
多層光学薄膜 BKの基板(設計主波長での屈折率1.52)上に、表
4に記載した物質を順次真空蒸着して積層し、その最表
面層であるZrO2+TiO2膜層の更に外側に、即ち第
1層としてAl2O3層を真空蒸着して、全28層の薄膜
からなる多層光学薄膜を製造した。各層を構成する物質
の設計主波長に対する屈折率(n)、膜厚(d)および
光学的膜厚(nd)も表4に示した。設計主波長λ0と
して700nmの可視光線を用いた。図4にはこの多層
光学薄膜の室温と100℃での分光透過率を表示した。
率1.52)上に、基板に接してSiO2層を真空蒸着
し、次いで順次ZrO2+TiO2層とSiO2層とを交
互に真空蒸着して空気側の最上層をZrO2+TiO2層
とする全28層の多層光学薄膜を製造した。各層を構成
する物質の設計主波長に対する屈折率(n)、膜厚
(d)および光学的膜厚(nd)も表5に示した。設計
主波長λ0として700nmの可視光線を用いた。図5
にはこの多層光学薄膜の室温と100℃での分光透過率
を表示した。
基板に接してZrO2+TiO2層を真空蒸着し、次いで
順次SiO2層とZrO2+TiO2層とを交互に真空蒸
着して空気側の最上層をSiO2層とする全28層の多
層光学薄膜を製造した。ただし表6に示すように第11
層はSiO2層の代わりにMgF2層とした。各層を構成
する物質の設計主波長に対する屈折率(n)、膜厚
(d)および光学的膜厚(nd)も表6に示した。設計
主波長λ0として700nmの可視光線を用いた。図6
にはこの多層光学薄膜の室温と100℃での分光透過率
を表示した。
長シフトが実質的に認められず、優れた光学特性を有す
る。この特性のため照明等の光源近傍で使用することを
要するコンパクトな光学装置での使用が可能である。
ル。
クトル。
スペクトル。
過率スペクトル。
薄膜の分光透過率スペクトル。
薄膜の分光透過率スペクトル。
Claims (2)
- 【請求項1】 高屈折率膜層ZrO2+TiO2と低屈折
率膜層SiO2とを交互に積層してなる多層光学薄膜に
おいて、空気側から数えて5層目以内のSiO2層の少
なくとも1層をMgF2層で置換したことを特徴とする
多層光学薄膜。 - 【請求項2】 高屈折率膜層ZrO2+TiO2と低屈折
率膜層SiO2とを交互に積層してなる多層光学薄膜に
おいて、空気側から数えて5層目以内のSiO2層の少
なくとも1層をAl2O3層で置換したことを特徴とする
多層光学薄膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000219175A JP2002040236A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 多層光学薄膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000219175A JP2002040236A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 多層光学薄膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002040236A true JP2002040236A (ja) | 2002-02-06 |
Family
ID=18714002
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000219175A Pending JP2002040236A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 多層光学薄膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002040236A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007079349A (ja) * | 2005-09-16 | 2007-03-29 | Toray Ind Inc | 光学フィルタ |
JP2011158909A (ja) * | 2011-03-02 | 2011-08-18 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 光学多層膜フィルタ |
-
2000
- 2000-07-19 JP JP2000219175A patent/JP2002040236A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007079349A (ja) * | 2005-09-16 | 2007-03-29 | Toray Ind Inc | 光学フィルタ |
JP2011158909A (ja) * | 2011-03-02 | 2011-08-18 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 光学多層膜フィルタ |
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