JP2009257801A - 絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置 - Google Patents

絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】検査対象体の絶縁抵抗を短時間で測定する。
【解決手段】プローブ2a,2b間に直流電圧V1を印加する電源部3と、直流電圧V1の印加状態においてプローブ2a,2bに流れる漏れ電流Iを測定する電流計4と、配線パターン11a,11bの絶縁抵抗Rxを測定する処理部5とを備え、処理部5は、検査対象体11a,11bへの未接続状態において直流電圧V1の印加開始から所定時間を経過した時点での定常状態に達する前の漏れ電流Iの電流値を第1電流値IL1として記憶する処理と、配線パターン11a,11bへの接続状態において直流電圧V1の印加開始から所定時間を経過した時点での漏れ電流Iの電流値を第2電流値IL2として取得して、第2電流値IL2と第1電流値IL1との差分値ΔIと直流電圧V1とに基づいて絶縁抵抗Rxを算出する処理とを実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、検査対象体に直流電圧を印加したときに流れる電流の電流値に基づいてこの検査対象体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置に関するものである。
この種の絶縁抵抗を測定する装置として本願出願人は、絶縁検査を行う回路基板検査装置を下記の特許文献1において提案している。この回路基板検査装置は、検査対象としての一対の導体パターンの絶縁検査を行うものであって、一対の導体パターン間に検査電圧を印加する一対の検査用プローブと、複数の入力レンジを備えて切替制御された各入力レンジ毎の変換率で検査用プローブ間の電流を電圧変換するレンジ回路と、入力レンジを大電流用の入力レンジから小電流用の入力レンジに切替制御する制御回路と、一対の導体パターン間の絶縁抵抗値を演算する演算回路とを備えている。この回路基板検査装置では、制御回路が、各入力レンジの定格電流範囲内の下限値よりも低電流の基準値に達した時点で入力レンジを切替制御する。このため、電流が各入力レンジの定格電流範囲内の下限値に達した時点で入力レンジを切替制御する従来の絶縁検査装置と比較して、一対の導体パターン間の容量がより大電流の電流で、かつより長時間充電される。したがって、この回路基板検査装置によれば、従来の絶縁検査装置における電流特性と比較して、一対の導体パターン間の容量を素早く充電して、この充電のための電流の電流値をリーク電流程度の電流値に短時間で安定させることができるため、この安定した電流値(定常状態での電流値)に基づいて、より短時間で、かつ精度良く絶縁抵抗値を演算することが可能となっている。
特開2001−91562号公報(第4−5頁、第1図)
ところで、従来の絶縁検査装置は、複数の入力レンジを備えたレンジ回路を有して構成されている。しかしながら、このような入力レンジの切り替えを行うためのレンジ回路を備えていない絶縁抵抗測定装置、つまり入力レンジが1つに固定されている絶縁抵抗測定装置もあり、このような絶縁抵抗測定装置においても、絶縁抵抗の測定に要する時間を短縮したいという要請も多く存在している。また、上記した従来の絶縁検査装置(複数の入力レンジを備えた検査装置)においても、入力レンジの切替制御によって絶縁抵抗値の測定に適した低電流用入力レンジに達した以後は充電用の電流の電流値が小さくなるため、この部分でのさらなる時間短縮を行わない限り、絶縁抵抗の測定に要する時間のさらなる短縮を図ることが困難である。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検査対象体の絶縁抵抗を短時間で測定し得る絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の絶縁抵抗測定方法は、検査対象体に接続された一対のプローブ間に所定の直流電圧を印加したときに当該一対のプローブに流れる電流の電流値と前記直流電圧の電圧値とに基づいて当該検査対象体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定方法であって、前記検査対象体への未接続状態において前記一対のプローブ間に前記直流電圧を印加すると共に当該直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点での前記一対のプローブに流れる電流であって定常状態に達する前の電流の電流値を第1電流値として測定し、前記検査対象体への接続状態において前記一対のプローブ間に前記直流電圧を印加すると共に当該直流電圧の印加開始から前記所定時間を経過した時点での前記一対のプローブに流れる電流の電流値を第2電流値として測定して前記第1電流値との差分値を算出し、かつ当該差分値と前記直流電圧の電圧値とに基づいて前記絶縁抵抗を算出する。
また、請求項2記載の絶縁抵抗測定方法は、請求項1記載の絶縁抵抗測定方法において、前記絶縁抵抗の算出の各非実行時に前記第1電流値の測定を定期的に実行する。
また、請求項3記載の絶縁抵抗測定方法は、請求項2記載の絶縁抵抗測定方法において、所定時間間隔で前記第1電流値の測定を実行する。
また、請求項4記載の絶縁抵抗測定方法は、請求項1記載の絶縁抵抗測定方法において、所定数の前記検査対象体に対する前記絶縁抵抗の測定が完了する都度、前記第1電流値の測定を実行する。
また、請求項5記載の絶縁抵抗測定装置は、検査対象体に接続される一対のプローブ間に所定の直流電圧を印加する電源部と、前記直流電圧の印加状態において前記一対のプローブに流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、前記測定された電流の電流値と前記直流電圧とに基づいて前記検査対象体の絶縁抵抗を測定する処理部とを備えた絶縁抵抗測定装置であって、前記処理部は、前記検査対象体への未接続状態において前記電源部から前記一対のプローブ間に前記直流電圧が印加されたときの当該直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点での前記電流測定部で測定される前記一対のプローブに流れる電流であって定常状態に達する前の電流の電流値を第1電流値として記憶する電流値記憶処理と、前記検査対象体への接続状態において前記電源部から前記一対のプローブ間に前記直流電圧が印加されたときの当該直流電圧の印加開始から前記所定時間を経過した時点での前記電流測定部で測定される前記一対のプローブに流れる電流の電流値を第2電流値として取得すると共に当該第2電流値と前記第1電流値との差分値を算出し、かつ当該差分値と当該直流電圧とに基づいて前記絶縁抵抗を算出する抵抗算出処理とを実行する。
また、請求項6記載の絶縁抵抗測定装置は、請求項5記載の絶縁抵抗測定装置において、前記処理部は、電源投入直後の所定期間内に前記電流値記憶処理を実行する。
また、請求項7記載の絶縁抵抗測定装置は、請求項5記載の絶縁抵抗測定装置において、前記処理部は、前記抵抗算出処理の各非実行時に前記電流値記憶処理を定期的に実行する。
また、請求項8記載の絶縁抵抗測定装置は、請求項7記載の絶縁抵抗測定装置において、前記処理部は、所定時間間隔で前記電流値記憶処理を実行する。
また、請求項9記載の絶縁抵抗測定装置は、請求項5記載の絶縁抵抗測定装置において、前記処理部は、所定数の前記検査対象体に対する前記絶縁抵抗の測定が完了する都度、前記電流値記憶処理を実行する。
請求項1記載の絶縁抵抗測定方法および請求項5記載の絶縁抵抗測定装置では、検査対象体への未接続状態において一対のプローブ間に直流電圧が印加されたときの直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点でのプローブに流れる電流であって定常状態に達する前の電流の電流値を第1電流値として測定し、検査対象体への接続状態において一対のプローブ間に直流電圧が印加されたときの直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点でのプローブに流れる電流の電流値を第2電流値として測定すると共に第2電流値と第1電流値との差分値を算出し、かつ差分値と直流電圧の電圧値とに基づいて絶縁抵抗を算出する。したがって、この絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置によれば、第1電流値を予め測定しておくことにより、プローブに流れる電流が定常状態に達するよりも前の時点であって、直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点で、検査対象体の絶縁抵抗を算出することができるため、絶縁抵抗の測定に要する時間を一層短縮することができる。また、この結果、絶縁抵抗に基づく検査対象体の絶縁検査についても検査時間を一層短縮することができる。
請求項2,3,4記載の絶縁抵抗測定方法および請求項7,8,9記載の絶縁抵抗測定装置によれば、検査対象体に対する絶縁抵抗の非実行時に第1電流値の測定を定期的に(例えば、絶縁抵抗の各測定の間で1回または複数回)実行したり、また所定時間間隔で第1電流値を測定したり、また所定数の検査対象体に対する絶縁抵抗の測定が完了する都度、第1電流値を測定したりすることにより、湿度などの周囲環境によって変化しやすい第1電流値について、刻々変化する周囲環境に対応させて測定することができるため、第1電流値を用いた絶縁抵抗の測定精度を一層向上させることができる。
請求項6記載の絶縁抵抗測定装置によれば、電源投入直後の所定期間内に処理部が電流値記憶処理を実行することにより、湿度などの周囲環境によって変化しやすい第1電流値について、実際に絶縁抵抗を測定するときの周囲環境に対応させて記憶部に記憶させることができる。このため、検査時間の短縮と共に絶縁抵抗の測定精度を向上させることができる。
以下、本発明に係る絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、本発明に係る絶縁抵抗測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す絶縁抵抗測定装置1は、一対のプローブ2a,2b、電源部3、本発明における電流測定部としての電流計4、処理部5、記憶部6、出力部7および操作部8を備え、検査対象体の絶縁抵抗Rxを測定可能に構成されている。一対のプローブ2a,2bのうちの一方のプローブ2aは電源部3の出力端子(図示せず)に接続され、他方のプローブ2bは電流計4に接続されている。また、各プローブ2a,2bは検査対象体に接触可能に構成されている。なお、同図において符号Csを付した静電容量は各プローブ2a,2b間の浮遊容量(検査対象体が未接続の状態での静電容量。一例として約100nF)を示し、符号Rpを付した抵抗は各プローブ2a,2b間の絶縁抵抗(検査対象体が未接続の状態での絶縁抵抗。一例として約1GΩ)を示している。電源部3は、処理部5によって制御されて、所定の直流電圧V1(グランド電位を基準とした電圧。一例として100V)をその出力端子(図示せず)から出力する。なお、同図において符号3aを付した抵抗は、電源部3の出力抵抗を示している。
電流計4は、図1に示すように、プローブ2bとグランドとの間に介装されている。また、電流計4は、一対のプローブ2a,2b間に流れる漏れ電流(本発明における一対のプローブに流れる電流)Iの電流値を所定のサンプリング周期で測定すると共に、測定の都度、測定した電流値を示すデータDiを出力する。処理部5は、一例としてCPUで構成されて、検査対象体に対する絶縁抵抗測定処理を実行する。記憶部6は、半導体メモリで構成されて、絶縁抵抗測定処理の実行の際に処理部5で測定した第1電流値IL1および第2電流値IL2と、処理部5で算出された絶縁抵抗Rxとを記憶する。また、記憶部6には、絶縁検査のための基準抵抗Rrefが予め記憶されている。出力部7は、一例として表示装置で構成されて、処理部5が測定した絶縁抵抗Rxを表示する。操作部8は、処理部5に対する動作指示を入力する機能を備えている。
次に、絶縁抵抗測定装置1の動作と共に、絶縁抵抗測定処理(絶縁抵抗測定方法)について説明する。なお、回路基板に形成された2つの配線パターンを検査対象体として、この両配線パターン間の絶縁抵抗Rxを測定する例を挙げて説明する。また、絶縁抵抗Rxが100MΩ以上のときに配線パターン11a,11b間の絶縁が良好であると判別するため、この抵抗値(100MΩ)が基準抵抗Rrefとして予め記憶されている。
この絶縁抵抗測定処理では、まず、各プローブ2a,2bを配線パターン11a,11bに接続する前(未接続状態のとき)に、絶縁抵抗測定装置1を作動させて、操作部8から処理部5に対して電流値記憶処理を実行する旨の動作指示を入力する。本例では一例として、絶縁抵抗測定装置1の電源投入後のウォームアップ期間(電源投入直後の所定期間)に動作指示を入力して、処理部5に電流値記憶処理を実行させる。この電流値記憶処理では、最初に、処理部5は、電源部3に対する制御を実行して、電源部3から直流電圧V1をステップ状に出力させる。この直流電圧V1はプローブ2a,2b間に印加され、これにより、漏れ電流Iが各プローブ2a,2bおよび電流計4を介してグランドに流れる。この場合、漏れ電流Iは、電源部3の出力抵抗3aおよび各プローブ2a,2b間に存在している浮遊容量Csを介してグランドに流れる漏れ電流ILCと、この出力抵抗3aおよび各プローブ2a,2b間に存在している絶縁抵抗Rpを介してグランドに流れる漏れ電流ILRp(一定)との合成電流となる。具体的には、この漏れ電流Iの波形は、図2において破線で示すような過渡応答波形となる。すなわち、漏れ電流Iは、直流電圧V1の印加直後に電流値が一旦大きくなり、その後は浮遊容量Csへの充電が進むにつれて(時間の経過に伴い)電流値が次第に低下し、浮遊容量Csの充電が完了した時点(直流電圧V1の印加からの経過時間が時間t1となった時点)で漏れ電流ILRp(=0.1μA(=100V/1GΩ)のみ)となる。
電流計4は漏れ電流Iを所定のサンプリング周期で測定して、その電流値を示すデータDiを出力している。処理部5は、電源部3からの直流電圧V1の出力開始(プローブ2a,2b間への直流電圧V1の印加開始)から所定時間t2(<t1)を経過した時点でのデータDiを入力して、このデータDiから漏れ電流Iの電流値を検出し、この電流値を第1電流値IL1として記憶部6に記憶させる。この場合、第1電流値IL1は、漏れ電流Iが定常状態に達する前の、つまり過渡応答時の漏れ電流Iの電流値である。最後に、処理部5は、電源部3に対する制御を行い、直流電圧V1の出力を停止させる。これにより、電流値記憶処理が完了する。これにより、絶縁抵抗測定装置1の起動の度に、起動時の周囲環境に対応した第1電流値IL1が記憶部6に記憶される。
次いで、プローブ2aが配線パターン11aに接続され、かつプローブ2bが配線パターン11bに接続された状態(接続状態)において、操作部8から処理部5に対して抵抗算出処理を実行する旨の動作指示を入力する。
この抵抗算出処理では、処理部5は、まず、電源部3に対する制御を再度実行して、直流電圧V1をステップ状に出力させる。この直流電圧V1はプローブ2a,2b間と配線パターン11a,11b間とに印加され、これにより、漏れ電流Iが、各プローブ2a,2b、配線パターン11a,11bおよび電流計4を介してグランドに流れる。この場合、漏れ電流Iは、浮遊容量Csを介してグランドに流れる上記の漏れ電流ILCと、絶縁抵抗Rpを介してグランドに流れる上記の漏れ電流ILRp(一定)と、出力抵抗3aおよび各配線パターン11a,11b間の絶縁抵抗Rxを介してグランドに流れる漏れ電流ILRx(一定:(=0.2μA(=100V/500MΩ)))との合成電流となる。具体的には、漏れ電流Iの波形は、図2において実線で示すような過渡応答波形(すなわち、直流電圧V1の印加直後に電流値が一旦大きくなり、その後は浮遊容量Csへの充電が進むにつれて(時間の経過に伴い)電流値が次第に低下し、浮遊容量Csの充電が完了した時点(時間t1)で漏れ電流ILRpおよび漏れ電流ILRxの合成電流(一定)のみとなる波形)となる。なお、実際には配線パターン11a,11b間にも若干の浮遊容量が存在するが、プローブ2a,2bよりも配線パターン11a,11bは十分に短いため、この浮遊容量はプローブ2a,2b間の浮遊容量Csと比較して極めて小さい。このため、配線パターン11a,11b間の浮遊容量については、発明の理解を容易にするために考慮しないものとする。
次いで、処理部5は、電源部3からの直流電圧V1の出力開始(プローブ2a,2b間への直流電圧V1の印加開始)から所定時間t2(<t1)を経過した時点で、この時点でのデータDiを入力すると共に、このデータDiから漏れ電流Iの電流値を検出して第2電流値IL2として記憶部6に記憶させる。続いて処理部5は、記憶部6に記憶されている第1電流値IL1と第2電流値IL2とを読み出して、両者の差分値ΔI(=IL2−IL1)を算出する。この場合、上記したように第1電流値IL1は、浮遊容量Csを介してグランドに流れる漏れ電流ILCと、各プローブ2a,2b間に存在している絶縁抵抗Rpを介してグランドに流れる漏れ電流ILRpとの和であり、第2電流値IL2は、漏れ電流ILCおよび漏れ電流ILRpと、各配線パターン11a,11b間の絶縁抵抗Rxを介してグランドに流れる漏れ電流ILRxとの和であるため、差分値ΔIは漏れ電流ILRxを示すものとなる。
次いで、処理部5は、算出した差分値ΔIと直流電圧V1とに基づいて絶縁抵抗Rx(=V1/ΔI)を算出する。この場合、差分値ΔIは漏れ電流ILRxを示すものであるため、直流電圧V1を差分値ΔIで除算することにより、プローブ2a,2b間の絶縁抵抗Rxが算出される。また、処理部5は、算出した絶縁抵抗Rxを記憶部6に記憶されている基準抵抗Rrefと比較することにより、配線パターン11a,11b間の絶縁状態を判別(検査)する。具体的には、絶縁抵抗Rxが基準抵抗Rref以上であれば、絶縁状態は良好であり、他方、絶縁抵抗Rxが基準抵抗Rref未満であれば、絶縁状態は不良であると判別する。最後に、処理部5は、算出した絶縁抵抗Rxおよび絶縁状態の判別結果を記憶部6に記憶させると共に出力部7に表示させる。これにより、抵抗値算出処理が完了する。また、併せて絶縁抵抗測定処理も完了する。この絶縁抵抗測定処理では、図2,3に示すように、漏れ電流Iが定常状態に達する時間t1よりも前の時点(直流電圧V1の印加から所定時間t2を経過した時点)で第2電流値IL2を測定し、この第2電流値IL2と同じタイミングで予め測定してある第1電流値IL1とこの第2電流値IL2とに基づいて絶縁抵抗Rxを算出するため、漏れ電流Iが安定するまで待って絶縁抵抗値を測定する従来の方法と比較して、絶縁抵抗Rxの算出までの時間が短縮される。
このように、この絶縁抵抗測定処理および絶縁抵抗測定装置1では、処理部5が、配線パターン11a,11bへの未接続状態において各プローブ2a,2b間に直流電圧V1が印加されたときの直流電圧V1の印加開始から所定時間t2を経過した時点での電流計4で測定される漏れ電流Iであって定常状態に達する前の漏れ電流Iの電流値を第1電流値IL1として記憶し、配線パターン11a,11bへの接続状態において電源部3から一対のプローブ2a,2b間に直流電圧V1が印加されたときの直流電圧V1の印加開始から所定時間t2を経過した時点での電流計4で測定される漏れ電流Iの電流値を第2電流値IL2として取得すると共に第2電流値IL2と第1電流値IL1との差分値ΔIを算出し、かつ差分値ΔIと直流電圧V1の電圧値とに基づいて絶縁抵抗Rxを算出する。したがって、この絶縁抵抗測定処理および絶縁抵抗測定装置1によれば、第1電流値IL1を予め測定して記憶させておくことにより、漏れ電流Iが定常状態に達するよりも前の時点であって、直流電圧V1の印加開始から所定時間t2を経過した時点で、配線パターン11a,11bの絶縁抵抗Rxを算出することができるため、絶縁抵抗Rxの測定に要する時間を一層短縮することができる。また、この結果、絶縁抵抗Rxに基づく配線パターン11a,11bの絶縁検査についても検査時間を一層短縮することができる。
また、この絶縁抵抗測定装置1によれば、絶縁抵抗測定装置1の電源投入後のウォームアップ期間(電源投入直後の所定期間)に処理部5が電流値記憶処理を実行することにより、湿度などの周囲環境によって変化しやすい漏れ電流Iの第1電流値IL1について、絶縁抵抗測定装置1の起動の度に、起動時の周囲環境に対応した新たな第1電流値IL1を記憶部6に記憶させることができるため、この第1電流値IL1を用いて絶縁抵抗の測定精度を向上させることができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、複数(3以上)のプローブを備えた治具式の絶縁抵抗測定装置(複数の検査対象体に対応して複数のプローブを備えて、複数の検査対象体に対する絶縁抵抗測定処理を連続して実行する絶縁抵抗測定装置)に適用できるのは勿論である。また、検査対象体として回路基板に形成された配線パターン11a,11bを例に挙げて説明したが、検査対象体はこれに限らず、様々なものについての絶縁抵抗を検査することができる。また、電流値記憶処理の実行について、絶縁抵抗測定装置1の電源投入後のウォームアップ期間に実行する例について上記したが、これに限定されず、絶縁抵抗測定装置1が絶縁抵抗の測定を行っていない期間(本発明における抵抗算出処理の非実行時。例えば、回路基板が絶縁抵抗測定装置1に搬送されて来るまでの空き時間や、抵抗算出処理と抵抗算出処理との合間)において定期的に実行(1回以上の処理の実行や所定時間間隔での実行)したり、所定数の回路基板に対する測定が完了する都度実行したり、先の電流値記憶処理の実行から所定時間が経過する都度(または、予め決められた時刻が到来する都度)実行したりして、第1電流値IL1を測定することもできる。これにより、湿度などの周囲環境によって変化しやすい第1電流値IL1について、刻々変化する周囲環境に対応させて記憶部6に記憶させることができるため、第1電流値IL1を用いた絶縁抵抗の測定精度を一層向上させることができる。
また、操作部8から処理部5に対して動作指示を入力する構成について上記したが、処理部5が、電源投入直後のウォームアップ期間であるか否か、または回路基板に対する絶縁抵抗測定処理の空き時間であるか否か、または所定数の回路基板に対する測定が完了したか否か、または先の電流値記憶処理の実行から所定時間が経過したか否かを判別して、電流値記憶処理を自動的に実行する構成を採用することもできる。この構成によれば、記憶部6に記憶されている第1電流値IL1を周囲環境の変化に対応させて自動的に更新することができるため、絶縁抵抗の測定精度を確実に向上させることができる。
絶縁抵抗測定装置1の構成を示す構成図である。 各プローブ2a,2b間に流れる漏れ電流Iの波形図である。 漏れ電流Iの時間t2付近での拡大波形図である。
符号の説明
1 絶縁抵抗測定装置
2a,2b プローブ
3 電源部
4 電流計
5 処理部
6 記憶部
11a,11b 配線パターン
漏れ電流
L1 第1電流値
L2 第2電流値
Rx 絶縁抵抗
V1 直流電圧
ΔI 差分値

Claims (9)

  1. 検査対象体に接続された一対のプローブ間に所定の直流電圧を印加したときに当該一対のプローブに流れる電流の電流値と前記直流電圧の電圧値とに基づいて当該検査対象体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定方法であって、
    前記検査対象体への未接続状態において前記一対のプローブ間に前記直流電圧を印加すると共に当該直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点での前記一対のプローブに流れる電流であって定常状態に達する前の電流の電流値を第1電流値として測定し、
    前記検査対象体への接続状態において前記一対のプローブ間に前記直流電圧を印加すると共に当該直流電圧の印加開始から前記所定時間を経過した時点での前記一対のプローブに流れる電流の電流値を第2電流値として測定して前記第1電流値との差分値を算出し、かつ当該差分値と前記直流電圧の電圧値とに基づいて前記絶縁抵抗を算出する絶縁抵抗測定方法。
  2. 前記絶縁抵抗の算出の各非実行時に前記第1電流値の測定を定期的に実行する請求項1記載の絶縁抵抗測定方法。
  3. 所定時間間隔で前記第1電流値の測定を実行する請求項2記載の絶縁抵抗測定方法。
  4. 所定数の前記検査対象体に対する前記絶縁抵抗の測定が完了する都度、前記第1電流値の測定を実行する請求項1記載の絶縁抵抗測定方法。
  5. 検査対象体に接続される一対のプローブ間に所定の直流電圧を印加する電源部と、
    前記直流電圧の印加状態において前記一対のプローブに流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、
    前記測定された電流の電流値と前記直流電圧とに基づいて前記検査対象体の絶縁抵抗を測定する処理部とを備えた絶縁抵抗測定装置であって、
    前記処理部は、前記検査対象体への未接続状態において前記電源部から前記一対のプローブ間に前記直流電圧が印加されたときの当該直流電圧の印加開始から所定時間を経過した時点での前記電流測定部で測定される前記一対のプローブに流れる電流であって定常状態に達する前の電流の電流値を第1電流値として記憶する電流値記憶処理と、前記検査対象体への接続状態において前記電源部から前記一対のプローブ間に前記直流電圧が印加されたときの当該直流電圧の印加開始から前記所定時間を経過した時点での前記電流測定部で測定される前記一対のプローブに流れる電流の電流値を第2電流値として取得すると共に当該第2電流値と前記第1電流値との差分値を算出し、かつ当該差分値と当該直流電圧とに基づいて前記絶縁抵抗を算出する抵抗算出処理とを実行する絶縁抵抗測定装置。
  6. 前記処理部は、電源投入直後の所定期間内に前記電流値記憶処理を実行する請求項5記載の絶縁抵抗測定装置。
  7. 前記処理部は、前記抵抗算出処理の各非実行時に前記電流値記憶処理を定期的に実行する請求項5記載の絶縁抵抗測定装置。
  8. 前記処理部は、所定時間間隔で前記電流値記憶処理を実行する請求項7記載の絶縁抵抗測定装置。
  9. 前記処理部は、所定数の前記検査対象体に対する前記絶縁抵抗の測定が完了する都度、前記電流値記憶処理を実行する請求項5記載の絶縁抵抗測定装置。
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