JP2016003988A - 検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検査時間を容易に予測し、かつ検査時間を短縮する。
【解決手段】低圧の検査用電圧Vt1を生成する低圧電源部2aと、高圧の検査用電圧Vt2を生成する高圧電源部2bと、電気部品100に対して検査用電圧Vt1を供給している状態で生じる物理量に基づいて電気部品100における短絡の有無を検査する短絡検査を実行すると共に短絡検査において短絡が存在しないと判定したときに電気部品100に対して検査用電圧Vt2を供給している状態で電気部品100の絶縁状態の良否を検査する絶縁検査を実行する処理部6とを備え、処理部6は、電気部品100に対する検査用電圧Vt1の供給開始時点から電気部品100における短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間twを物理量の変化に基づいて特定する特定処理において、供給開始時点から物理量が予め規定された規定状態となったときまでの時間を待機時間twとして特定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、検査対象に対する短絡検査において短絡が存在しないと判定したときにその検査対象に対して絶縁検査を実行する検査装置に関するものである。
検査対象に対して絶縁検査を行う検査装置として、下記特許文献1に開示された絶縁検査方法によって絶縁検査を行う検査装置が知られている。この検査装置では、低圧の検査電圧を検査対象に供給している状態で測定した電流値、および供給している検査電圧の電圧値に基づいて検査対象の絶縁抵抗値を測定し、その絶縁抵抗値が基準値以下のときには、その検査対象が短絡している(絶縁不良である)として記録する。また、絶縁抵抗値が基準値を超えた(短絡が存在しない)検査対象については、高圧の検査電圧を供給している状態で測定した電流値、および供給している検査電圧の電圧値に基づいて絶縁抵抗値を測定する処理を行う。このように、この検査装置では、高圧の検査電圧を供給して行う検査に先立って低圧の検査電圧を供給して短絡の有無(絶縁の良否)検査を行うことで、短絡している検査対象が高圧の検査電圧の印加によって破損する事態を防止することが可能となっている。
特開平6−230058号公報(第3−4頁)
ところが、従来の検査装置には、以下の問題点がある。すなわち、この検査装置では、高圧の検査電圧を供給している状態で行う検査に先立ち、低圧の検査電圧を供給している状態で短絡の有無の検査(以下、「短絡検査」ともいう)を行う。この場合、この短絡検査では、一般的に、検査電圧として直流電圧が用いられる。このため、検査電圧の供給を開始してから供給部位の電圧が定常状態に達するまでには、検査対象が有する静電容量等の電気的特性に応じて、ある程度時間が掛かることとなる。したがって、短絡検査を正確に行うためには、供給部位の電圧が定常状態に達するまで待機した後に絶縁抵抗値を測定する必要がある。しかしながら、待機すべき時間(以下、「待機時間」ともいう)を予め知ることは困難であるため、数多くの検査対象に対して検査を行うときには、全体の検査に要する検査時間を予測することが困難であり、作業計画を作成する際に支障を来すことがある。また、待機時間を予め知ることが困難なため、短絡検査を行う際には、予測される時間よりも十分に長い時間を待機時間として設定して絶縁抵抗値を測定している。このため、従来の検査装置では、必要以上に長い待機時間が設定されることがあり、検査時間が長時間化することがある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、検査時間を容易に予測することができ、かつ検査時間を短縮し得る検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の検査装置は、低圧の検査用電圧および高圧の検査用電圧を生成する電源部と、検査対象に対して前記低圧の検査用電圧を供給している状態で生じる物理量に基づいて当該検査対象における短絡の有無を検査する短絡検査を実行すると共に当該短絡検査において短絡が存在しないと判定したときに当該検査対象に対して前記高圧の検査用電圧を供給している状態で当該検査対象の絶縁状態の良否を検査する絶縁検査を実行する検査部を備えた検査装置であって、前記検査対象に対する前記低圧の検査用電圧の供給開始時点から当該検査対象における前記短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間を前記物理量の変化に基づいて特定する特定処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、前記特定処理において、前記供給開始時点から前記物理量が予め規定された規定状態となったときまでの時間を前記待機時間として特定する。
また、請求項2記載の検査装置は、請求項1記載の検査装置において、前記処理部は、前記特定処理において、前記物理量が予め決められた基準値となった状態を前記規定状態として前記待機時間を特定する。
また、請求項3記載の検査装置は、請求項1または2記載の検査装置において、前記処理部は、前記特定処理において前記供給開始時点から予め決められた時間が経過するまでに前記物理量が前記規定状態に至らなかったときには、当該特定処理を終了すると共に前記待機時間を特定できなかったことを報知する。
また、請求項4記載の検査装置は、請求項1から3のいずれかに記載の検査装置において、前記電源部は、前記低圧の検査用電圧を生成する低電圧電源部と、前記高圧の検査用電圧を生成する高電圧電源部とを備えて構成されている。
また、請求項5記載の検査装置は、請求項1から4のいずれかに記載の検査装置において、前記特定処理によって特定された前記待機時間を記憶する記憶部を備え、前記検査部は、前記短絡検査において、前記記憶部に記憶されている前記待機時間を読み出して、前記検査対象に対する前記低圧の検査用電圧の供給開始時点から当該待機時間が経過した時点で当該検査対象における前記短絡の有無を判定する。
請求項1記載の検査装置では、処理部が、低圧の検査用電圧の供給開始時点から物理量が予め規定された規定状態となったときまでの時間を、低圧の検査用電圧の供給開始時点から短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間として特定する特定処理を実行する。このため、この検査装置によれば、数多くの同種の検査対象に対する検査を行う場合において、すべての検査対象に対する検査に要する検査時間を、特定した待機時間や、検査対象の交換に要する時間など他の既知の時間に基づいて容易に予測することができる。また、この検査装置によれば、検査対象に応じた適正な待機時間を特定することができるため、必要以上に長い時間が待機時間として設定される構成と比較して、検査時間を十分に短縮することができる。
また、請求項2記載の検査装置では、処理部が特定処理において、検査対象の物理量が基準値となった状態を規定状態として待機時間を特定する。このため、この検査装置では、短絡が存在しない良品の検査対象に対して低圧の検査用電圧を供給し、その電圧が定常状態(または、定常状態に近い状態)となったときに測定される値よりもやや低い値を基準値として設定することで、待機時間として最低限必要な時間を下回る時間が待機時間として設定されることのある構成とは異なり、待機時間が経過した時点で検査対象に供給されている低圧の検査用電圧の電圧値を定常状態(または、定常状態に近い状態)とさせることができるため、短絡検査を十分に正確に行うことができる。
また、請求項3記載の検査装置では、処理部が特定処理において、検査対象の物理量が予め決められた時間が経過するまでに基準値に至らなかったときには、特定処理を終了すると共に待機時間を特定できなかったことを報知する。このため、この検査装置によれば、特定処理の対象とした検査対象に短絡が存在して、適正な待機時間を特定できないことを使用者に確実に認識させることができ、他の検査対象を対象として特定処理を再実行すべきことを使用者に確実に認識させることができる。
また、請求項4記載の検査装置では、低圧の検査用電圧を生成する低圧電源部と、高圧の検査用電圧を生成する高圧電源部とを備えて構成されている。この場合、1つの電源部で低圧の検査用電圧と高圧の検査用電圧とを切り替えて生成する構成では、この種の電源部に通常接続されているフィルタ回路の特性上、切替え時に低圧の検査用電圧および高圧の検査用電圧が規定の電圧値に達するまでに時間を要することがある。これに対して、この検査装置によれば、低圧電源部および高圧電源部が低圧の検査用電圧および高圧の検査用電圧を別々に生成するため、短絡検査および絶縁検査を連続して実行させる際に低圧の検査用電圧および高圧の検査用電圧を切替えるときの切替え時間を十分に短縮することができる結果、その分検査時間を十分に短縮することができる。
また、請求項5記載の検査装置では、特定処理によって特定された待機時間を記憶部に記憶させ、処理部が、短絡検査において、記憶部に記憶されている待機時間を読み出して、検査対象に対する低圧の検査用電圧の供給開始時点から待機時間が経過した時点で検査対象における短絡の有無を判定する。このため、この検査装置によれば、例えば、特定処理によって特定された待機時間を表示部に表示させ、短絡検査においてその待機時間を入力操作によって入力する構成とは異なり、待機時間の入力ミスを確実に防止することができるため、短絡検査の精度を十分に向上させることができる。
検査装置1の構成を示す構成図である。 特定処理50のフローチャートである。
以下、検査装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
最初に、検査装置の一例としての図1に示す検査装置1の構成について説明する。検査装置1は、検査対象の一例としての電気部品100における短絡の有無および絶縁状態の良否を検査可能に構成されている。具体的には、検査装置1は、同図に示すように、低圧電源部2a、高圧電源部2b(以下、低圧電源部2aおよび高圧電源部2bを区別しないときには「電源部2」ともいう)、操作部3、表示部4、記憶部5および処理部6を備えて構成されている。
低圧電源部2aは、後述する短絡検査において用いる低圧(一例として、2〜4V程度)の検査用電圧(直流電圧)Vt1を生成する。また、低圧電源部2aは、処理部6の制御に従って動作する図外のスイッチを備えて構成され、プローブ21,21(図1参照)を介して電気部品100の端子101,101に対して行う検査用電圧Vt1の供給および供給停止を実行する。
高圧電源部2bは、後述する絶縁検査において用いる高圧(一例として、25〜1000V程度)の検査用電圧(直流電圧)Vt2を生成する。なお、低圧の検査用電圧Vt1と高圧の検査用電圧Vt2とを区別しないときには、以下「検査用電圧Vt」ともいう。また、高圧電源部2bは、処理部6の制御に従って動作する図外のスイッチを備えて構成され、プローブ21,21を介して電気部品100の端子101,101に対して行う検査用電圧Vt2の供給および供給停止を実行する。なお、高圧電源部2bおよび高圧電源部2bによって電源部が構成される。
操作部3は、処理部6によって実行される短絡検査、絶縁検査および特定処理50(図2参照)において用いられる基準値Rs1,Rs2および規定回数Nrを設定するための操作キーや、検査の開始を指示するための操作キーなどを備えて構成され、これらの操作キーが操作されたときに操作信号Soを出力する。表示部4は、処理部6の制御に従って短絡検査および絶縁検査の結果などを表示する。
記憶部5は、処理部6によって実行される短絡検査および絶縁検査の結果を記憶する。また、記憶部5は、設定された基準値Rs1,Rs2および規定回数Nrを記憶する。また、記憶部5は、特定処理50において特定される後述する待機時間twを記憶する。
処理部6は、操作部3から出力される操作信号Soに従い、電源部2、表示部4および記憶部5を制御する。また、処理部6は、電気部品100の端子101,101に対して検査用電圧Vtを供給している状態で端子101,101間に流れる電流の電流値Imを検出する図外の電流検出部、および端子101,101に供給されている検査用電圧Vtの電圧値Vmを検出する図外の電圧検出部を備えている。
また、処理部6は、検査部として機能し、電気部品100の端子101,101に対して低電圧の検査用電圧Vt1を供給している状態で検出した電流値Imおよび電圧値Vmから抵抗値Rm(物理量の一例)を算出し、その抵抗値Rmと基準値Rs1とを比較して、電気部品100における短絡の有無を判定する短絡検査を実行する。
また、処理部6は、短絡検査において検査対象の電気部品100に短絡が存在しないと判定したときには、その電気部品100の端子101,101に対して高電圧の検査用電圧Vt2を供給している状態で検出した電流値Imおよび電圧値Vmから抵抗値Rmを算出し、その抵抗値Rmと基準値Rs2とを比較して、電気部品100における絶縁状態の良否を判定する絶縁検査を実行する。
また、処理部6は、短絡検査において、検査対象の電気部品100の端子101,101に対する検査用電圧Vt1の供給開始時点から電気部品100における短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間twを、電流値Imおよび電圧値Vmから算出する抵抗値Rm(物理量)の変化に基づいて特定して記憶部5に記憶させる特定処理50を実行する。
具体的には、処理部6は、この特定処理50において、物理量としての抵抗値Rmが供給開始時点から予め規定された規定状態となったときまでの時間を待機時間として特定する。この場合、処理部6は、特定処理50において、抵抗値Rmが予め決められた基準値Rs1以上となった状態を規定状態として待機時間twを特定する。また、処理部6は、特定処理50において、抵抗値Rmが基準値Rs1以上となったか否かを判定する判定処理を一定の時間間隔で行い、判定処理の回数が予め決められた規定回数Nrに達するまでに(つまり、予め決められた時間が経過するまでに)抵抗値Rmが基準値Rs1以上とならなかったときには、待機時間twを特定できなかったこと、および検査対象の電気部品100に短絡が存在することを表示部4に表示させて(報知して)特定処理50を終了する。
また、処理部6は、上記した短絡検査を実行する際に、記憶部5に記憶されている待機時間twを読み出して、電気部品100の端子101,101に対する検査用電圧Vt1の供給開始時点から待機時間twが経過した時点で抵抗値Rmを算出して電気部品100における短絡の有無を判定する。
次に、検査装置1を用いて同種の複数の電気部品100に対して短絡検査および絶縁検査を行う方法、およびその際の検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。
まず、操作部3を操作して、基準値Rs1,Rs2および規定回数Nrを設定する。この場合、例えば、短絡が存在しない良品の電気部品100の端子101,101に対して検査用電圧Vt1を供給し、その電圧が定常状態(または、定常状態に近い状態)となったときに測定される抵抗値よりもやや低い抵抗値を基準値Rs1として設定する。また、絶縁状態が良好な電気部品100の端子101,101に対して検査用電圧Vt2を供給している状態で測定される抵抗値よりもやや低い抵抗値を基準値Rs2として設定する。
次いで、1つ目の電気部品100における端子101,101にプローブ21,21をそれぞれ接続させる。続いて、電気部品100に対する短絡検査および絶縁検査に先立ち、操作部3を操作して、短絡検査において検査用電圧Vt1の供給開始時点から短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間twの特定を指示する。これに応じて、処理部6が、図2に示す特定処理50を実行する。
この特定処理50では、処理部6は、低圧電源部2aを制御して検査用電圧Vt1を生成させ、次いで、低圧電源部2aのスイッチをオン状態に移行させることにより、電気部品100の端子101,101に対してプローブ21,21を介して検査用電圧Vt1を供給させる(ステップ51)。
続いて、処理部6は、端子101,101間に流れる電流の電流値Imを検出すると共に、端子101,101に供給されている検査用電圧Vt1の電圧値Vmを検出する。次いで、処理部6は、検出した電流値Imおよび電圧値Vmから抵抗値Rmを算出する(ステップ52)。
続いて、処理部6は、記憶部5から基準値Rs1を読み出して、算出した抵抗値Rmと基準値Rs1とを比較して、抵抗値Rmが基準値Rs1以上であるか否かを判定する(ステップ53)。この場合、処理部6は、ステップ53において、抵抗値Rmが基準値Rs1以上ではない(基準値Rs1未満である)と判定したときには、ステップ53の処理(判定処理)の実行回数をカウントアップし(ステップ54)、次いで、カウントアップした判定処理の実行回数が規定回数Nrに達したか否かを判定する(ステップ55)。
この場合、処理部6は、判定処理の実行回数が規定回数Nrに達していないと判定したときには、その時点から予め決められた時間であって待機時間twよりも十分に短い時間(例えば、1/1000〜1/100秒程度)が経過した時点で、上記したステップ52を実行して、その時点における電流値Imおよび電圧値Vmを検出して抵抗値Rmを算出する。続いて、処理部6は、上記したステップ53〜ステップ55を実行する。つまり、処理部6は、ステップ53において抵抗値Rmが基準値Rs1以上ではないと判定し、ステップ55において判定処理の実行回数が規定回数Nrに達していないと判定する限り、ステップ52〜ステップ55を予め決められた時間間隔で繰り返して実行する。
次いで、処理部6は、ステップ55において判定処理の実行回数が規定回数Nrに達したと判定したとき、つまり、予め決められた時間が経過するまでに抵抗値Rmが基準値Rs1以上とならなかったときには、待機時間twを特定できなかったこと(待機時間非特定の旨)、および検査対象の電気部品100に短絡が存在すること(短絡ありの旨)を表示部4に表示(報知)させる(ステップ56)。続いて、処理部6は、低圧電源部2aのスイッチをオフ状態に移行させて、端子101,101に対する検査用電圧Vt1の供給を停止させると共に、低圧電源部2aによる検査用電圧Vt1の生成を停止させて、特定処理50を終了する。
この場合、このようにして特定処理50の対象とした電気部品100に短絡が存在していることが判明したときには、その電気部品100に代えて、他の(2つ目の)電気部品100を対象として特定処理50を再度実行する。
一方、処理部6は、上記したステップ53において、抵抗値Rmが基準値Rs1以上であると判定したときには、端子101,101に対して検査用電圧Vt1の供給を開始したときから抵抗値Rmが基準値Rs1以上であると判定した時点までの時間を待機時間twとして特定する(ステップ57)。続いて、処理部6は、特定した待機時間twを表示部4に表示させると共に、記憶部5に記憶させる(ステップ58)。続いて、処理部6は、低圧電源部2aのスイッチをオフ状態に移行させて、端子101,101に対する検査用電圧Vt1の供給を停止させると共に、低圧電源部2aによる検査用電圧Vt1の生成を停止させて、特定処理50を終了する。なお、待機時間twの精度を向上させるため、1つの電気部品100を対象として特定処理50を複数回実行し、各特定処理50において特定した待機時間twの平均値を記憶部5に記憶させる構成や、同種の複数の電気部品100を対象として特定処理50を実行し、各電気部品100について特定した待機時間twの平均値を記憶部5に記憶させる構成を採用することもできる。以上により、待機時間twの特定が終了する。
次いで、操作部3を操作して、短絡検査および絶縁検査の実行を指示する。これに応じて、処理部6は、短絡検査を実行する。この短絡検査では、処理部6は、記憶部5から待機時間twを読み出す。続いて、処理部6は、低圧電源部2aを制御して検査用電圧Vt1を生成させ、次いで、低圧電源部2aのスイッチをオン状態に移行させることにより、電気部品100の端子101,101に対してプローブ21,21を介して検査用電圧Vt1を供給させる。
続いて、処理部6は、検査用電圧Vt1の供給を開始させた時点から待機時間twが経過した時点で、端子101,101間に流れる電流の電流値Im、および検査用電圧Vtの電圧値Vmを検出し、電流値Imおよび電圧値Vmから抵抗値Rmを算出する。この場合、電気部品100の端子101,101に対して供給している検査用電圧Vt1の電圧が定常状態(または、定常状態に近い状態)となったときに測定される抵抗値よりもやや低い抵抗値が基準値Rs1として設定され、検査用電圧Vt1の供給を開始させた時点から端子101,101間の抵抗値Rmが基準値Rs1となるまでの時間が待機時間twとして特定されている。つまり、検査用電圧Vt1の供給を開始させた時点から待機時間twが経過した時点では、検査用電圧Vt1の電圧が定常状態(または、定常状態に近い状態)となっている。
次いで、処理部6は、低圧電源部2aのスイッチをオフ状態に移行させて、端子101,101に対する検査用電圧Vt1の供給を停止させると共に、低圧電源部2aによる検査用電圧Vt1の生成を停止させる。次いで、処理部6は、記憶部5から基準値Rs1を読み出して、算出した抵抗値Rmと基準値Rs1とを比較して、抵抗値Rmが基準値Rs1以上であるか否かを判定する。この場合、抵抗値Rmが基準値Rs1以上ではないとき(未満のとき)には、処理部6は、その電気部品100に短絡があると判定する。また、このときには、処理部6は、その電気部品100に対する絶縁検査を実行することなく、短絡がある旨の判定結果を表示部4に表示させる。
一方、短絡検査において、抵抗値Rmが基準値Rs1以上のときには、処理部6は、その電気部品100に短絡が存在しないと判定する。また、このときには、処理部6は、その電気部品100に対して絶縁検査を実行する。この絶縁検査では、処理部6は、高圧電源部2bを制御して検査用電圧Vt2を生成させ、続いて、高圧電源部2bのスイッチをオン状態に移行させることにより、電気部品100の端子101,101に対してプローブ21,21を介して検査用電圧Vt2を供給させる。
次いで、処理部6は、端子101,101間に流れる電流の電流値Im、および検査用電圧Vtの電圧値Vmを検出し、電流値Imおよび電圧値Vmから抵抗値Rmを算出する。次いで、処理部6は、高圧電源部2bのスイッチをオフ状態に移行させて、端子101,101に対する検査用電圧Vt2の供給を停止させると共に、高圧電源部2bによる検査用電圧Vt2の生成を停止させる。
続いて、処理部6は、記憶部5から基準値Rs2を読み出して、算出した抵抗値Rmと基準値Rs2とを比較して、抵抗値Rmが基準値Rs2以上であるか否かを判定する。この場合、処理部6は、抵抗値Rmが基準値Rs2以上ではないとき(未満のとき)には、その電気部品100の絶縁状態が不良であると判定し、抵抗値Rmが基準値Rs2以上のときには、その電気部品100の絶縁状態が良好であると判定する。次いで、処理部6は、絶縁検査の結果を表示部4に表示させる。以上により、1つ目の電気部品100に対する短絡検査および絶縁検査が終了する。
この場合、この検査装置1では、短絡検査および絶縁検査の実行に先立ち、特定処理50を実行して検査対象の電気部品100に応じた適正な待機時間twを特定している。このため、この検査装置1では、数多くの同種の電気部品100に対する検査を行う場合において、すべての電気部品100に対する検査に要する検査時間を、特定した待機時間twに基づいて容易に予測することが可能となっている。また、この検査装置1では、電気部品100に応じた適正な待機時間twを特定しているため、必要以上に長い時間が待機時間として設定されることのある構成と比較して、検査時間を短縮することが可能となっている。また、この検査装置1では、待機時間として最低限必要な時間を下回る時間が待機時間として設定されることのある構成とは異なり、設定した待機時間が経過した時点で端子101,101に供給されている電圧を定常状態(または、定常状態に近い状態)とさせることができるため、短絡検査を正確に行うことができる。
続いて、2つ目の電気部品100における端子101,101にプローブ21,21をそれぞれ接続させ、次いで、操作部3を操作して短絡検査および絶縁検査の実行を指示する。これに応じて、処理部6は、上記したように短絡検査および絶縁検査を実行する。以下、3つ目以降の電気部品100に対する短絡検査および絶縁検査を実行させる。
このように、この検査装置1では、処理部6が、検査用電圧Vt1の供給開始時点から抵抗値Rmが予め規定された規定状態(基準値Rs1となった状態)となったときまでの時間を、検査用電圧Vt1の供給開始時点から短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間twとして特定する特定処理50を実行する。このため、この検査装置1によれば、数多くの同種の電気部品100に対する検査を行う場合において、すべての電気部品100に対する検査に要する検査時間を、特定した待機時間twや、電気部品100の交換に要する時間など他の既知の時間に基づいて容易に予測することができる。また、この検査装置1によれば、電気部品100に応じた適正な待機時間twを特定することができるため、必要以上に長い時間が待機時間として設定される構成と比較して、検査時間を十分に短縮することができる。
また、この検査装置1では、処理部6が特定処理50において、電気部品100の抵抗値Rmが基準値Rs1となった状態を規定状態として待機時間twを特定する。このため、この検査装置1では、短絡が存在しない良品の電気部品100の端子101,101に対して検査用電圧Vt1を供給し、その電圧が定常状態(または、定常状態に近い状態)となったときに測定される抵抗値よりもやや低い抵抗値を基準値Rs1として設定することで、待機時間として最低限必要な時間を下回る時間が待機時間として設定されることのある構成とは異なり、待機時間twが経過した時点で端子101,101に供給されている検査用電圧Vt1の電圧値Vmを定常状態(または、定常状態に近い状態)とさせることができるため、短絡検査を十分に正確に行うことができる。
また、この検査装置1では、処理部6が特定処理50において、電気部品100の抵抗値Rmが予め決められた時間が経過するまでに基準値Rs1に至らなかったときには、特定処理50を終了すると共に待機時間twを特定できなかったことを報知する。このため、この検査装置1によれば、特定処理50の対象とした電気部品100に短絡が存在して、適正な待機時間twを特定できないことを使用者に確実に認識させることができ、他の電気部品100を対象として特定処理50を再実行すべきことを使用者に確実に認識させることができる。
また、この検査装置1では、低圧の検査用電圧Vt1を生成する低圧電源部2aと、高圧の検査用電圧Vt2を生成する高圧電源部2bとを備えて構成されている。この場合、1つの電源部で検査用電圧Vt1と検査用電圧Vt2とを切り替えて生成する構成では、この種の電源部に通常接続されているフィルタ回路の特性上、切替え時に検査用電圧Vt1,Vt2が規定の電圧値に達するまでに時間を要することがある。これに対して、この検査装置1によれば、低圧電源部2aおよび高圧電源部2bが検査用電圧Vt1,Vt2を別々に生成するため、短絡検査および絶縁検査を連続して実行させる際に検査用電圧Vt1,Vt2を切替えるときの切替え時間を十分に短縮することができる結果、その分検査時間を十分に短縮することができる。
また、この検査装置1では、特定処理50によって特定された待機時間twを記憶部5に記憶させ、処理部6が、短絡検査において、記憶部5に記憶されている待機時間twを読み出して、電気部品100に対する検査用電圧Vt1の供給開始時点から待機時間twが経過した時点で電気部品100における短絡の有無を判定する。このため、この検査装置1によれば、例えば、特定処理50によって特定された待機時間twを表示部4に表示させ、短絡検査においてその待機時間twを入力操作によって入力する構成とは異なり、待機時間twの入力ミスを確実に防止することができるため、短絡検査の精度を十分に向上させることができる。
なお、検査装置1は、上記した構成に限定されない。例えば、物理量(抵抗値Rm)が基準値Rs1となった状態を規定状態として、その検査用電圧Vt1の供給開始時点からその状態となったときまでの時間を待機時間twとして特定する例について上記したが、規定状態は、これに限定されない。具体的には、測定している物理量の変化率(単位時間当たりの変化量)が予め決められた変化率よりも小さくなった状態を規定状態とする構成を採用することもできる。
また、抵抗値Rmを物理量とする例について上記したが、電流値Imを物理量とする構成、つまり、電気部品100の端子101,101間に流れる電流値Imを検出し、その電流値Imが予め決められた基準値となったとき(その基準値まで減少したとき)を「予め規定された規定状態となったとき」として待機時間twを特定する構成を採用することもできる。
また、待機時間twを記憶部5に記憶させて、処理部6が、記憶部5に記憶されている待機時間twを読み出して、短絡検査を実行する例について上記したが、表示部4に表示された待機時間twを入力操作によって入力し、処理部6が入力された待機時間twを用いて短絡検査を実行する構成を採用することもできる。
また、特定処理50において用いる基準値Rs1を短絡検査においても用いる構成、つまり、特定処理50および短絡検査において同じ基準値Rs1を用いる構成例について上記したが、特定処理50および短絡検査において、異なる基準値を用いる構成を採用することができる。具体的には、特定処理50において用いる基準値を短絡検査において用いる基準値よりも大きい値に設定する構成や、特定処理50において用いる基準値を短絡検査において用いる基準値よりも小さい値に設定する構成を採用することができる。
また、電気部品100を検査対象とする例について上記したが、検査対象は電気部品100に限定されず、例えば、回路基板の導体パターンを検査対象とすることもできる。
1 検査装置
2a 低圧電源部
2b 高圧電源部
4 表示部
5 記憶部
6 処理部
100 電気部品
101 端子
Nr 規定回数
Rm 抵抗値
tw 待機時間
Vt1,Vt2 検査用電圧

Claims (5)

  1. 低圧の検査用電圧および高圧の検査用電圧を生成する電源部と、検査対象に対して前記低圧の検査用電圧を供給している状態で生じる物理量に基づいて当該検査対象における短絡の有無を検査する短絡検査を実行すると共に当該短絡検査において短絡が存在しないと判定したときに当該検査対象に対して前記高圧の検査用電圧を供給している状態で当該検査対象の絶縁状態の良否を検査する絶縁検査を実行する検査部を備えた検査装置であって、
    前記検査対象に対する前記低圧の検査用電圧の供給開始時点から当該検査対象における前記短絡の有無を判定するまでに待機すべき待機時間を前記物理量の変化に基づいて特定する特定処理を実行する処理部を備え、
    前記処理部は、前記特定処理において、前記供給開始時点から前記物理量が予め規定された規定状態となったときまでの時間を前記待機時間として特定する検査装置。
  2. 前記処理部は、前記特定処理において、前記物理量が予め決められた基準値となった状態を前記規定状態として前記待機時間を特定する請求項1記載の検査装置。
  3. 前記処理部は、前記特定処理において前記供給開始時点から予め決められた時間が経過するまでに前記物理量が前記規定状態に至らなかったときには、当該特定処理を終了すると共に前記待機時間を特定できなかったことを報知する請求項1または2記載の検査装置。
  4. 前記電源部は、前記低圧の検査用電圧を生成する低電圧電源部と、前記高圧の検査用電圧を生成する高電圧電源部とを備えて構成されている請求項1から3のいずれかに記載の検査装置。
  5. 前記特定処理によって特定された前記待機時間を記憶する記憶部を備え、
    前記検査部は、前記短絡検査において、前記記憶部に記憶されている前記待機時間を読み出して、前記検査対象に対する前記低圧の検査用電圧の供給開始時点から当該待機時間が経過した時点で当該検査対象における前記短絡の有無を判定する請求項1から4のいずれかに記載の検査装置。
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